(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 1/10 20060101AFI20220404BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20220404BHJP
C08K 5/11 20060101ALI20220404BHJP
C08K 5/12 20060101ALI20220404BHJP
C08J 5/00 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
C08L1/10
C08L101/00
C08K5/11
C08K5/12
C08J5/00 CEP
C08J5/00 CET
C08J5/00 CEY
C08J5/00 CFD
(21)【出願番号】P 2017220572
(22)【出願日】2017-11-16
【審査請求日】2020-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】501041528
【氏名又は名称】ダイセルポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】荻原 剛之
(72)【発明者】
【氏名】奥村 泰男
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-168708(JP,A)
【文献】特開2016-124883(JP,A)
【文献】特開2018-100351(JP,A)
【文献】特開2004-051897(JP,A)
【文献】特開2015-168709(JP,A)
【文献】特開2001-031774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
C08J 5/00- 5/02
C08J 5/12- 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)セルロースエステル中間組成物及び(B)熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物であって、
前記(A)成分が、セルロースエステル100質量部に対して可塑剤2~100質量部を含有するものであり、
前記(B)成分が、スチレン-メチルメタクリレート共重合体、スチレン-メチルメタクリレート-無水マレイン酸共重合体、ポリエチレンテレフタレート及びポリカーボネートから選ばれるものであり、
前記可塑剤が、アジピン酸エステル系可塑剤またはフタル酸エステル系可塑剤であり、
下記条件(i)~(iii)を満たすものである、樹脂組成物。
(i)下記式(1)を満たすものであること。
式(1) (r2-r1)×(b)=0.1~0.35
(式中、r1は(A)成分の屈折率、r2は(B)成分の屈折率、(b)はセルロースエステル100質量部に対する(B)成分の配合量を表す。)
(ii)厚さ3mmの成形体における全光線透過率が40%以下であること。
(iii)厚さ3mmの成形体における850nm下の近赤外線透過率が4%以上であるこ
と。
【請求項2】
セルロースエステルが、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレートから選ばれる、請求項
1記載の樹脂組成物。
【請求項3】
セルロースエステルが、置換度2.7以下のセルロースアセテートである、請求項1
又は2記載の樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項記載の樹脂組成物からなる成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近赤外線が透過し易い成形体を提供する樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近赤外線を透過する機能を有する成形体やフィルタは、各種電化製品類のリモートコントロール(リモコン)の受光部や、防犯等を目的とした監視システム内の監視カメラの窓に設置される。そして前記フィルタや成形体の構成の一つとして、ベース樹脂に例えば波長750nm以上の光を透過しやすい(波長750nm未満の光を吸収しやすい)着色剤を添加した樹脂組成物を使用するものがあり、前記着色剤を適宜選択することで赤外光以外の領域の光の透過率を制御している。
【0003】
特許文献1にはアクリル系樹脂及びスチレン系樹脂から選ばれる1種以上の樹脂成分と着色剤とを含有する赤外線透過性熱可塑性樹脂組成物が記載されている。特許文献2には特定のポリカーボネートを用いた樹脂組成物が記載されている。いずれも、染料や顔料等の着色剤により各波長領域の光の透過率を制御することが記載されており、ベース樹脂自体の赤外線透過性については不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-233014号公報
【文献】特開2013-227562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、近赤外線(850~1000nm)が透過し易い機能を有する成形体が得られる樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(A)セルロースエステル中間組成物及び(B)熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物であって、
前記(A)成分が、セルロースエステル100質量部に対して可塑剤2~100質量部を含有するものであり、
下記条件(i)~(iii)を満たすものである、樹脂組成物を提供する。
(i)下記式(1)を満たすものであること。
式(1) (r2-r1)×(b)=0.1~0.35
(式中、r1は(A)成分の屈折率、r2は(B)成分の屈折率、(b)はセルロースエステル100質量部に対する(B)成分の配合量を表す。)
(ii)厚さ3mmの成形体における全光線透過率が40%以下であること。
(iii)厚さ3mmの成形体における850nm下の近赤外線透過率が4%以上であること。
【発明の効果】
【0007】
本発明の樹脂組成物から得られた成形体は、不透明で、近赤外線を透過し易い。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<(A)成分>
(A)成分のセルロースエステル中間組成物は、セルロースエステル100質量部に対して可塑剤2~100質量部を含有する。
【0009】
セルロースエステルは、公知のものであり、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートを挙げることができる。
その他、ポリカプロラクトングラフト化セルロースアセテート、アセチルメチルセルロース、アセチルエチルセルロース、アセチルプロピルセルロース、アセチルヒドロキシエチルセルロース、アセチルヒドロキシプロピルセルロースなども挙げることができる。
中でも、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート又はセルロースアセテートブチレートが好ましい。
【0010】
セルロースエステルの重合度は、粘度平均重合度が100~500ものが好ましく、より好ましくは130~500である。
セルロースエステルは、平均置換度が2.7以下のセルロースアセテートが好ましい。
【0011】
可塑剤は、セルロースエステルの可塑剤として使用されている公知の可塑剤(例えば、特許第5798640号公報に記載の可塑剤)を使用することができるが、それらの中でもアジピン酸エステル系可塑剤又はフタル酸エステル系可塑剤が好ましい。
【0012】
アジピン酸エステルとしては、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ブトキシエトキシエチル・ベンジル、アジピン酸ジブトキシエトキシエチルなどを挙げることができる。
またアジピン酸エステルとしては、特許第5798640号公報の特許請求の範囲に記載された式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)で示されるアジピン酸エステルも使用することができる。
【0013】
フタル酸エステルとしては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル;フタル酸ジメトキシエチル;フタル酸ブチルベンジル;エチルフタリルエチレングリコレート、ブチルフタリルブチレングリコレートなどを挙げることができ、フタル酸ジエチル(ジエチルフタレート)が好ましい。
【0014】
セルロースエステルと可塑剤の含有割合は、セルロースエステル100質量部に対して可塑剤は2~50質量部が好ましく、10~30質量部がより好ましい。
【0015】
(A)成分のセルロースエステル中間組成物は、特開2005-194302号公報の段落番号0035~0042に記載のエポキシ化合物、段落番号0043~0052に記載の有機酸、チオエーテル、亜リン酸エステル化合物等の安定化剤を含有することができる。
【0016】
(A)成分のセルロースエステル中間組成物は、用途に応じて、慣用の添加剤、例えば、他の安定化剤(例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、耐光安定剤など)、着色剤(染料、顔料など)、難燃剤、帯電防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、分散剤、流動化剤、ドリッピング防止剤、抗菌剤等を含んでいてもよい。
【0017】
<(B)成分>
(B)成分は熱可塑性樹脂であって、メチルメタクリレート-フェニルメタクリレートを除くメタクリル酸エステル系樹脂又はポリエステル系樹脂が好ましく、スチレン-メチルメタクリレート共重合体、スチレン-メチルメタクリレート-無水マレイン酸共重合体、ポリエチレンテレフタレート及びポリカーボネートから選ばれるものがより好ましい。
【0018】
(B)成分は、市販品を使用してもよく、例えば前記に例示した好ましいメタクリル酸エステル系樹脂においては、組成比スチレン単位40質量%/メチルメタクリレート単位60質量%のスチレン-メチルメタクリレート(MAS30-M6000、(株)ダイセル製)、組成比スチレン単位45.9質量%/メチルメタクリレート単位21.5質量%/無水マレイン酸単位32.6質量%のスチレン-メチルメタクリレート-無水マレイン酸共重合体(レジスファイR-200、電気化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0019】
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、(A)成分のセルロースエステル中間組成物及び(B)成分の熱可塑性樹脂を含み、下記条件(i)~(iii)を満たすものである。
(i)下記式(1)を満たすものであること。
式(1) (r2-r1)×(b)=0.1~0.35
(式中、r1は(A)成分の屈折率、r2は(B)成分の屈折率、(b)はセルロースエステル100質量部に対する(B)成分の配合量を表す。)
(ii)厚さ3mmの成形体における全光線透過率が40%以下であること。
(iii)厚さ3mmの成形体における850nm下の近赤外線透過率が4%以上であること。
【0020】
<要件(i)>
本発明の樹脂組成物は、前記式(1)を満たすものである。
式中のr1は(A)成分の屈折率を示し、式中のr2は(B)成分の屈折率を示し、前記2成分の屈折率は、実施例に示す方法で測定される。
【0021】
(A)成分のセルロースエステル中間組成物と(B)成分の熱可塑性樹脂とでは、屈折率が異なり、前記2成分の屈折率の差が大きい場合は0.1~0.15程度、前記2成分の屈折率の差が小さい場合は0.03~0.06程度となるように調製することが好ましい。
そのため、本発明の樹脂組成物からは不透明な成形体が得られる。
【0022】
また本発明の樹脂組成物は、前記式(1)を満たすものであるため、前記2成分の屈折率の差の値により、セルロースエステル100質量部に対する(B)成分の熱可塑性樹脂の配合量(b)が決定される。
【0023】
但し、(A)成分のセルロースエステル中間組成物に対する(B)成分の熱可塑性樹脂、中でもポリエステル系樹脂の配合割合を大きくすると、ヘイズが高くなる傾向にある。そのため、ポリエステル系樹脂等、(A)成分のセルロースエステル中間組成物の屈折率との差が大きくなる熱可塑性樹脂を、(B)成分として用いる場合、セルロースエステル100質量部に対する(B)成分の配合量(b)の値は前記式(1)を満たす範囲で小さいことが好ましい。
具体的には、前記2成分の屈折率の差(r2-r1)が大きい場合(0.1~0.15)の前記式(1)中の(b)は0.1~5が好ましく、0.2~3.5がより好ましい。
また、前記2成分の屈折率の差(r2-r1)が小さい場合(0.03~0.06)の前記式(1)中の(b)は1~15が好ましく、1.5~12がより好ましい。
【0024】
前記式(1)は0.1~0.35であって、0.1~0.25が好ましく、0.10~0.15がより好ましい。
本発明の樹脂組成物から得られる成形体は、前記範囲を満たすことによって、全光線透過率が低く近赤外線透過率が高い、つまり、不透明な成形体であるものの近赤外線を透過し易いという特徴を有する。
【0025】
<要件(ii)>
本発明の樹脂組成物は、実施例に記載の方法で測定される成形体の全光線透過率(厚さt=3mm)が40%以下であり、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
前記範囲の全光線透過率を示す成形体は、着色剤により調色した際の発色に優れる。
【0026】
<要件(iii)>
本発明の樹脂組成物は、実施例に記載の方法で測定される成形体の近赤外線透過率(厚さt=3mm)が、850nmにおける近赤外線透過率4%以上であり、10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましい。
【0027】
本発明の樹脂組成物は、顔料や染料等の着色剤により調色して、有色成形体を得ることができる。例えば、黒色顔料は波長400~650nmの平均透過率を低くするための調整が行いやすいために好ましい。
【0028】
本発明の樹脂組成物は、例えば、各成分をタンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー、ニーダーなどの混合機を用いて乾式又は湿式で混合して調製してもよい。
さらに、前記混合機で予備混合した後、一軸又は二軸押出機などの押出機で混練してペレットに調製する方法、加熱ロールやバンバリーミキサー等の混練機で溶融混練して調製する方法を適用することができる。
【0029】
本発明の樹脂組成物は、射出成形、押出成形、真空成形、異型成形、発泡成形、インジェクションプレス、プレス成形、ブロー成形、ガス注入成形等によって各種成形品に成形することができる。
【0030】
本発明の樹脂組成物は、各種電化製品本体に配設される近赤外線通信機器の窓等の近赤外線透過フィルタ、自動ドアや警報装置等に用いられるセンサー(カメラ等)、監視カメラ用窓、各種リモートコントロール(リモコン)機器等のカバー、筐体等に適用することができる。これら製品には、赤外線、中でも波長850~1000nmの近赤外線を透過するフィルタが用いられ、単に赤外線を透過するだけでなく、例えば、リモコンの受容部であれば可視光による誤動作を避けるため、また監視カメラの窓であれば前記カメラの存在を顕在化させないため、可視光を吸収又は反射させる機能が必要となる。
【0031】
また、本発明の樹脂組成物は、例えば一般的な使用形態用、乗り物の運転用及びバイタルサインセンシング用等の眼鏡(サングラス)、眼鏡型表示装置、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)やVR/ARゴーグル等のウェアラブルコンピュータの外装にも適用することができる。
【実施例】
【0032】
実施例および比較例
ヘンシェルミキサーを用いて、ミキサー内の摩擦熱で70℃以上となるように各組成物を攪拌混合した後、二軸押出機(シリンダー温度:200℃、ダイス温度:220℃)に供給し、押し出してペレット化した。
得られたペレットを、射出成形機に供給して、シリンダー温度200℃、金型温度50℃、成形サイクル30秒(射出15秒、冷却時間15秒)の条件でISO多目的試験片(90mm×50mm×3mmtの板状成形品)を射出成形した。
【0033】
((A)成分の屈折率)
セルロースエステル、可塑剤、安定剤成分を、ヘンシェルミキサーを用いて実施例同様に攪拌混合した。
得られた(A)成分のセルロースエステル中間組成物を用いて、測定装置:プリズムカプラー モデル2010/M(メトリコン製)により、屈折率を測定した結果、得られた(A)成分のセルロースエステル中間組成物の屈折率r1は、1.49であった。
【0034】
(近赤外線透過率)
日立ハイテクサイエンス製分光高度計U-3010を用いて測定した。波長600~1000nmまでの範囲の全光線透過率を測定し、近赤外線領域(850nm)での光線透過率を近赤外線透過率(%)とした。なお、サンプルは90mm×50mm×3mmtの板状成形品を用いた。
【0035】
(全光線透過率)
日本電色工業(株)製濁度計NDH4000を用いて、ASTM(D1003)に準ずる方式で行った。なお、サンプルは90mm×50mm×3mmtの板状成形品を用いた。
【0036】
(A)成分(セルロースエステル中間組成物)
・VFR:酢酸セルロース、(株)ダイセル製
・DAIFATTY-101:アジピン酸エステル系可塑剤、大八化学工業(株)製
・ジエチルフタレート:フタル酸エステル系可塑剤、東京化成工業(株)製
(B)成分(熱可塑性樹脂)
・メタブレンH-880:メチルメタクリレート-フェニルメタクリレート(組成比メチルメタクリレート単位79質量%/フェニルメタクリレート21質量%)、屈折率1.52、三菱レーヨン(株)製)。組成比は、測定溶媒として重クロロホルム(CDCl3)を用いた13C-NMR法により測定した。
・MAS30-M6000:スチレン-メチルメタクリレート共重合体、屈折率1.53、(株)ダイセル製
・レジスファイR-200:スチレン-メチルメタクリレート-無水マレイン酸共重合体、屈折率1.55、(電気化学工業(株)製)
・ベルペットEFG6C:ポリエチレンテレフタレート、屈折率1.59、(株)ベルポリエステルプロダクツ製
・ユーピロンS-3000F:ポリカーボネート、屈折率1.64、三菱エンジニアリングプラスティック(株)製)
・TIOXIDE RFC5:二酸化チタン、屈折率2.76、TioxodeMalaysia Snd Bhd製
【0037】
安定剤成分
・亜リン酸エステル化合物:イルガフォス(IRGAFOS)168、BASFジャパン(株)製
・エポキシ化合物:セロキサイド 2021P、(株)ダイセル製
・クエン酸(一水和物):クエン酸(結晶)32M、昭和化工(株)製
【0038】
【0039】
比較例1、3は、前記式(1)が0.1を下回っており、近赤外線透過率が高いものの全光線透過率も高いものであった。そのため、比較例1、3の樹脂組成物を用いて、着色剤により調色した場合、その発色性は実施例のものよりも劣る。
比較例2、4~8は、前記式(1)が0.35を超えており、全光線透過率が低いが近赤外線透過率も低いものであった。
一方、実施例1~10は、前記式(1)が0.1~0.35の範囲にあり、全光線透過率が低く、かつ近赤外線透過率が高いものであった。そのため、前記要件(i)~(iii)を満たす実施例1~10の成形体は、全光線透過率が低く近赤外線透過率が高いという透過性のバランスに優れ、着色剤による発色性も良好で、その結果、不透明で近赤外線を透過し易い機能を有する用途に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の樹脂組成物からは、不透明で、かつ850nm下の近赤外線を透過し易い成形品を得ることができる。
このため、本発明の樹脂組成物は、リモートコントロール(リモコン)機構により遠隔制御可能なテレビの前面枠をはじめ、エアコン、オーディオ、パソコン等電化製品本体に配設される近赤外線通信機器の窓等の近赤外線透過フィルタ、自動ドアや警報装置等に用いられるセンサー(カメラ等)、監視カメラ用窓、各種リモートコントロール機器等のカバー、筐体等、一般的な使用形態用、乗り物の運転用及びバイタルセンシング用等の眼鏡(サングラス)、眼鏡型表示装置、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)やVR/ARゴーグル等のウェアラブルコンピュータに使用することができる。