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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】回路基板
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220404BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
G06F3/041 430
G06F3/044 124
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017222043
(22)【出願日】2017-11-17
(65)【公開番号】P2019095839
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神澤 毅
(72)【発明者】
【氏名】奥野 旭
(72)【発明者】
【氏名】長本 剛
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-215831(JP,A)
【文献】特開2010-211348(JP,A)
【文献】特開2017-021631(JP,A)
【文献】特開2014-123640(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0253646(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にX軸方向に沿って配設された複数のX電極にそれぞれ接続されるとともに、前記X電極が配設される電極領域の外周に設けられた配線領域の一方の面側へ引き出されて配線される複数のX配線と、
複数の前記X電極と対応して前記基板上に配設された複数のY電極にそれぞれ接続されるとともに、前記配線領域の一方の面側へ引き出されて配線される複数のY配線と
を備え、
複数の前記X配線および複数の前記Y配線のいずれか一方は、
対応する前記Y配線または前記X配線との前記基板の平面視における交差回数が互いに同じになるように、前記配線領域の他方の面側に配線され
複数の前記X配線および複数の前記Y配線の他方は、
前記配線領域の他方の面側に配線されることなく、前記配線領域の一方の面側に配線されること
を特徴とする回路基板。
【請求項2】
複数の前記Y配線は、
前記配線領域においてY軸方向に沿って配線される部位を含み、
複数の前記X配線は、
前記Y配線との前記交差回数が互いに同じになるように、前記配線領域でY軸方向に沿って配線される前記Y配線の部位を平面視において横断しつつ連結されて配線されること
を特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
連結された前記X配線は、
前記配線領域の前記X軸方向における端部側に前記Y配線が配線される場合、平面視において当該Y配線と交差する位置まで延長される延長部
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の回路基板。
【請求項4】
連結された前記X配線は、
前記配線領域の前記X軸方向における端部付近まで配線されること
を特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザのパネルに対する接触位置を検出可能なタッチパネルなどに用いられる回路基板が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。従来技術に係る回路基板にあっては、静電容量方式のタッチパネルに用いられ、複数のX電極(送信電極)と、複数のX電極にそれぞれ対応する複数のY電極(受信電極)とが所定距離離間して配設される。
【0003】
そして、例えばユーザの指が電極付近に近づくと、近づいた位置のX電極とY電極との間の静電容量が変化する。静電容量の変化によって、各電極に接続された制御IC(Integrated Circuit)が受信する信号強度も変化し、かかる信号強度の変化に基づいて接触位置を検出するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-27097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した各電極と制御ICとは配線を介して接続され、かかる配線は基板の配線領域に配線される。詳しくは、回路基板にあっては、複数のX電極にそれぞれ接続される複数のX配線と、複数のY電極にそれぞれ接続される複数のY配線とが配線領域の一方の面側に配線される。また、複数のX配線は、X軸方向の同じ行に配設される複数のX電極同士を電気的につなげるため、配線領域の他方の面側で連結されて配線される。
【0006】
ここで、配線領域の他方の面側のX配線と一方の面側のY配線とが平面視において交差するように配線された場合、X配線とY配線との間に静電容量が発生し、発生した静電容量によって、交差したX配線およびY配線につながる電極の信号強度が大きくなる。なお、電極の信号強度は、X配線とY配線との交差回数が増加するにつれて大きくなる。
【0007】
従って、配線領域におけるX配線とY配線との位置関係によっては、交差回数が電極ごとに異なることがあり、これに起因して電極ごとの信号強度に差が生じることがある。上記のように、電極ごとの信号強度に差が生じると、接触の誤検出を招くおそれがあった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電極間における信号強度の差を低減することができ、接触の誤検出を抑制することが可能な回路基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、回路基板において、複数のX配線と、複数のY配線とを備える。複数のX配線は、基板上にX軸方向に沿って配設された複数のX電極にそれぞれ接続されるとともに、前記X電極が配設される電極領域の外周に設けられた配線領域の一方の面側へ引き出されて配線される。複数のY配線は、複数の前記X電極と対応して前記基板上に配設された複数のY電極にそれぞれ接続されるとともに、前記配線領域の一方の面側へ引き出されて配線される。また、複数の前記X配線および複数の前記Y配線のいずれか一方は、対応する前記Y配線または前記X配線との前記基板の平面視における交差回数が互いに同じになるように、前記配線領域の他方の面側に配線される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電極間における信号強度の差を低減することができ、接触の誤検出を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る回路基板を備えたタッチパネルを示す分解斜視図である。
図2図2は、回路基板を説明するための平面図である。
図3図3は、X配線とY配線とが平面視において交差している部分の拡大断面図である。
図4図4は、実施形態に係る回路基板を示す平面図である。
図5図5は、従来技術に係る回路基板を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する回路基板の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
以下では、実施形態に係る回路基板がタッチパネルに用いられる場合を例に挙げて説明するが、これに限られるものではない。例えば、実施形態に係る回路基板は、タッチパッドやタッチスイッチなど、ユーザのパッドやスイッチ等に対する接触を検出するデバイスに用いられてもよい。
【0014】
図1は、実施形態に係る回路基板を備えたタッチパネル1を示す分解斜視図である。タッチパネル1は、例えば、カーナビゲーション装置、スマートフォン、タブレット型端末装置、PC(Personal Computer)等の電子機器に搭載されて画像を表示し、ユーザが表示画面をタッチ操作した場合に、タッチ操作に応じた処理を搭載機器に実行させる表示操作装置として機能する。
【0015】
なお、図1においては、説明の便宜のために、X軸、Y軸およびZ軸を有する3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、後述の説明に用いる他の図面でも示す場合がある。
【0016】
なお、本明細書においては、「X軸方向」「Y軸方向」「Z軸方向」などの表現を用いるが、これはあくまでも説明の便宜のためであって、タッチパネル1などが電子機器等に搭載されたときの方向を限定するものではない。
【0017】
また、図1図2以降に示す図は、いずれも模式図である。したがって、図1等に示される各構成要素の大きさや形状等は必ずしも正確ではない。また、各図では、理解を容易にするため、各構成要素を誇張して示す場合がある。
【0018】
図1に示すように、タッチパネル1は、表示装置11と、回路基板12と、操作パネル13とが順次積層されて構成される。
【0019】
表示装置11は、例えば、液晶ディスプレイであり、動画、静止画、およびテキスト文書等といった任意の画像を表示することができる。操作パネル13は、例えば、アクリル板等の光透過性を備えた平板状の部材であり、略中央に操作面13aを有する。
【0020】
回路基板12は、操作パネル13の操作面13aに対する接触や接触位置などを検出する検出回路である。具体的には、回路基板12は、第1回路基板20と、第2回路基板40とを備える。
【0021】
第1回路基板20は、操作パネル13に対する接触位置などを検出するためのX電極およびY電極(いずれも後述)等が配設される基板である。なお、第1回路基板20は、例えば、X電極やY電極が同じ層に配設される1層の回路基板である。
【0022】
第2回路基板40は、第1回路基板20の電極に接続された各種の配線が引き出されて配線される基板である。第2回路基板40としては、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC(Flexible Printed Circuits))を用いることができる。
【0023】
なお、上記では、回路基板12は、第1回路基板20と第2回路基板40とで別体となるように構成されるが、これに限定されるものではなく、第1回路基板20と第2回路基板40とが一体であってもよい。
【0024】
次いで、上記した回路基板12について図2以降を参照してさらに詳しく説明する。図2は、回路基板12を説明するための平面図である。
【0025】
図2に示すように、回路基板12の第1回路基板20には、上記したX電極21およびY電極31が配設される。X電極21は、例えば送信電極(ドライブ電極)であり、複数ある。なお、図2などに示すX電極21やY電極31の数や配設位置は、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0026】
詳しくは、X電極21は、第1回路基板20上にX軸方向たる行方向に沿って配設される。図2において二点鎖線Axで囲って示すように、行方向に沿って配設された1行のX電極21は、Y軸方向に並列して複数配設される。なお、図2では、X電極21がY軸方向に6行並んでいる例を示している。
【0027】
Y電極31は、複数のX電極21にそれぞれ対応するように構成される、別言すれば、対となるように構成される。そして、一対のX電極21とY電極31とによって、接触位置などの検出用の電極として機能するが、これについては後述する。
【0028】
Y電極31は、例えば受信電極(センシング電極)であり、複数ある。詳しくは、Y電極31は、第1回路基板20上にY軸方向たる列方向に沿って配設される、言い換えると、Y軸方向に延在して配設される。
【0029】
図2において二点鎖線Ayで囲って示すように、列方向に沿って配設された1列のY電極31は、X軸方向に並列して複数配設される。なお、図2では、Y電極31がX軸方向に6列並んでいる例を示している。
【0030】
以下、第1回路基板20において、X電極21やY電極31が配設される領域を「電極領域R1」と記載する場合がある。なお、図2等では、かかる電極領域R1を一点鎖線で囲んで示している。
【0031】
なお、図2などでは、理解の便宜のため、X電極21をドットで示すとともに、Y電極31を斜線で示しているが、例えば、X電極21やY電極31を、導体線をメッシュ状に形成したメッシュパターンなどを用いて形成してもよい。これにより、例えば、X電極21やY電極31などがユーザから見えにくくなり、タッチパネル1の意匠性を向上させることができる。
【0032】
上記したX電極21やY電極31は、各電極を制御する制御IC60と配線を介して接続される。詳しくは、回路基板12は、複数のX電極21にそれぞれ接続される複数のX配線22と、複数のY電極31にそれぞれ接続される複数のY配線32とを備える。
【0033】
X配線22は、X軸方向の同じ行に配設される複数のX電極21同士を電気的につなげるため、第1回路基板20のX電極21からY軸方向に延在されて第2回路基板40まで一旦配線される。
【0034】
なお、第2回路基板40において、X配線22やY配線32が配線される領域を「配線領域R2」と記載する場合がある。なお、図2等では、かかる配線領域R2を一点鎖線で囲んで示している。
【0035】
配線領域R2は、上記した電極領域R1の外周に設けられる。詳しくは、配線領域R2は、電極領域R1に対してY軸負方向に隣接して設けられる。
【0036】
そして、第2回路基板40の配線領域R2において、同じ行に配設されるX電極21から延びるX配線22同士が連結される。具体的には、X配線22は、まず第1回路基板20のX電極21から配線領域R2のZ軸正方向側の面であるおもて面(「一方の面」の一例)側へ引き出されて配線された後、ビア45を介して配線領域R2のZ軸負方向側の面である裏面(「他方の面」の一例)側に配線される。
【0037】
なお、図2などにあっては、配線領域R2の裏面側に配線されるX配線22を破線で示している。このように、X配線22には、配線領域R2のおもて面に配線される部位と、裏面に配線される部位とが含まれる。
【0038】
そして、配線領域R2の裏面側に配線されたX配線22は、同じ行に配設されるX電極21から延びるX配線22同士で連結されつつ、制御IC60に接続される。なお、このX配線22の配線の仕方については、後に詳しく説明する。
【0039】
Y配線32は、第1回路基板20のY電極31からY軸方向に延在されて配線領域R2のおもて面側へ引き出されて配線された後、制御IC60に接続される。このように、Y配線32には、配線領域R2のおもて面においてY軸方向に沿って配線される部位が含まれる。
【0040】
上記のように構成された回路基板12が用いられるタッチパネル1(図1参照)は、静電容量方式によってユーザの接触位置を検出する。ここで、静電容量方式のタッチパネル1がユーザの接触位置を検出する原理について説明する。
【0041】
図2に示すように、送信電極であるX電極21と、受信電極であるY電極31とは、所定距離離間して配設されている。そして、例えば、X電極21に、制御IC60からX配線22を介してパルス電圧が加えられることで、X電極21とY電極31とによって静電容量(コンデンサ)が形成され、コンデンサに電荷が蓄積されてX電極21とY電極31との間に電界が発生する。
【0042】
そして、例えば、ユーザの指が操作パネル13(図1参照)に接触すると、X電極21と指との間にも電界が発生し、X電極21およびY電極31の電界が減少する。これに伴って、指が接触した位置のX電極21とY電極31との間の静電容量が変化する。この静電容量の変化によって、各電極に接続された制御IC60が受信する信号強度も変化することから、かかる信号強度の変化した位置を接触位置として検出することができる。
【0043】
ところで、図2に一点鎖線の閉曲線Dで囲んで示すように、配線領域R2においては、裏面側のX配線22とおもて面側のY配線32とが平面視において交差するように配線さされることがある。
【0044】
なお、本明細書において、平面視において交差するとは、X配線22とY配線32とが同一平面上で交わる状態を意味するものではなく、例えばX配線22とY配線32とがねじれの位置関係にあって、Z軸方向から見た場合に交差している状態、言い換えると、X配線22とY配線32とが立体交差している状態を意味する。
【0045】
図3は、第2回路基板40においてX配線22とY配線32とが平面視において交差している部分の拡大断面図である。
【0046】
図3に示すように、第2回路基板40は、基材42を備える。基材42のおもて面42aにはY配線32が配線される一方、裏面42bにはX配線22が配線される。なお、X配線22やY配線32が配線された基材42は、例えば樹脂製のカバー材43によって覆われてもよい。
【0047】
X配線22はX電極21に接続され、Y配線32はY電極31に接続されていることから、第2回路基板40のX配線22とY配線32とが平面視において交差する部分はコンデンサになって、静電容量が発生する。
【0048】
このように、第2回路基板40においてX配線22とY配線32との間に静電容量が発生すると、発生した静電容量によって、交差したX配線22およびY配線32につながる電極の信号強度が大きくなる。これにより、第2回路基板40の配線領域R2におけるX配線22とY配線32との位置関係によっては、接触の誤検出を招くおそれがあった。
【0049】
上記した接触の誤検出を招くおそれについて図5を参照して詳しく説明する。図5は、従来技術に係る回路基板12を示す平面図である。なお、図5および後述する図4にあっては、理解の便宜のため、X電極21およびY電極31の一部を抜き出して示している。
【0050】
ここでは、第1回路基板20において同じ行の電極A,B,Cに着目して説明を行う。電極Aは、X電極21aとX電極21aに対応するY電極31aとによって構成される。また、電極Aは、電極領域R1においてX軸負方向側の端部(ここでは左端部)に配設される。
【0051】
電極Bは、X電極21bとX電極21bに対応するY電極31bとによって構成される。また、電極Bは、電極領域R1のX軸方向において、上記した電極Aと電極Cとの間に配設される。
【0052】
電極Cは、X電極21cとX電極21cに対応するY電極31cとによって構成される。また、電極Cは、電極領域R1においてX軸正方向側の端部(ここでは右端部)に配設される。
【0053】
そして、電極Aにあっては、X電極21aに接続されるX配線22aは、Y電極31aに接続されるY配線32aに対し、平面視における交差回数が「2回」となるように、配線領域R2に配線されている。なお、図5および後述する図4においては、X配線22とY配線32とが平面視において交差する部分を一点鎖線で囲んで示している。
【0054】
また、電極Bにあっては、X電極21bに接続されるX配線22aは、Y電極31bに接続されるY配線32bに対し、平面視における交差回数が「1回」となるように、配線領域R2に配線されている。
【0055】
また、電極Cにあっては、X電極21cに接続されるX配線22aは、Y電極31cに接続されるY配線32cに対し、平面視における交差回数が「0回」となるように、言い換えると、交差しないように、配線領域R2に配線されている。
【0056】
このように、従来技術にあっては、配線領域R2におけるX配線22とY配線32との位置関係によって、交差回数が電極ごとに異なることがある。上記したように、X配線22とY配線32とが平面視において交差する部分には静電容量が発生することから、電極の信号強度は、X配線22とY配線32との交差回数が増加するにつれて大きくなる。例えば、電極A,B,Cのうち、交差回数が「2回」の電極Aの信号強度が最も大きくなる一方、交差回数が「0回」の電極Cの信号強度が最も小さくなる。
【0057】
上記のように、電極ごとの信号強度に差が生じると、信号強度が、制御ICで正確に接触を検出することのできる規定範囲から外れて、接触の誤検出を招くおそれがあった。そこで、本実施形態に係る回路基板12にあっては、電極間における信号強度の差を低減することができ、よって接触の誤検出を抑制することが可能となるように構成した。
【0058】
図4は、実施形態に係る回路基板12を示す平面図である。図4に示すように、X配線22aは、対応するY配線32a,32b,32cとの平面視における交差回数が互いに同じ(ここでは1回)になるように、配線領域R2の裏面側で連結されて配線される。
【0059】
具体的には、電極AにおけるX配線22aとY配線32aとの交差回数、電極BにおけるX配線22aとY配線32bとの交差回数、および、電極CにおけるX配線22aとY配線32cとの交差回数が「1回」で同じになるようにした。
【0060】
このように、本実施形態にあっては、X配線22とY配線32との交差回数が電極A,B,Cの間で同じになることから、電極間における信号強度の差を低減することができ、接触の誤検出を抑制することが可能となる。
【0061】
具体的に説明すると、上記したように、Y配線32a,32b,32cには、それぞれ配線領域R2においてY軸方向に沿って配線される部位が含まれる。そして、X配線22aは、Y配線との交差回数が互いに同じになるように、Y軸方向に沿って配線されるY配線32a,32b,32cの部位を平面視においてX軸方向に横断しつつ連結されて配線される。なお、図4においては、連結されたX配線に符号22dを付した。
【0062】
これにより、本実施形態にあっては、簡易な構成でありながら、X配線22とY配線32との交差回数を電極間で同じにすることができ、よって電極間における信号強度の差を低減することができ、接触の誤検出を抑制することが可能となる。
【0063】
なお、Y配線32a,32b,32cの部位を横断するX配線22は、上記の連結されたX配線22dである。かかるX配線22dは、X軸方向に沿って直線状となるように配線されるが、これに限定されるものではなく、曲線状など他の形状であってもよい。
【0064】
また、連結されたX配線22dは、延長部23を備える。なお、図4においては、延長部23を二点鎖線で囲んで示し、かかる延長部23は、Y配線32cを横断するための配線である。
【0065】
詳しくは、延長部23は、例えば、配線領域R2のX軸方向における端部側(ここでは右端部40a側)にY配線32cが配線される場合に、形成される。すなわち、図5に示したように、従来技術において、X配線22とY配線32cとは、平面視において交差されない。
【0066】
そこで、本実施形態にあっては、図4に示すように、X配線22dが延長部23を備えるようにし、かかる延長部23は、平面視においてY配線32cと交差する位置まで延長されるようにした。これにより、本実施形態にあっては、X配線22とY配線32との交差回数を電極間で同じ「1回」にすることができる。
【0067】
また、連結されたX配線22dは、配線領域R2のX軸方向における端部付近(ここでは左端部40b付近)まで配線されるようにした。
【0068】
このように、連結されたX配線22dが配線領域R2の左端部40b付近まで延在されて配線されることで、X配線22dを左端部40bに寄せた後、左端部40bに沿って制御IC60まで配線することが可能となる。
【0069】
これにより、例えば、Y配線32は右端部40a側に沿って制御IC60まで配線することが可能となる。すなわち、X配線22dとY配線32とを左右に分けて配線することが可能となるため、例えば、左端部40bに寄せた後のX配線22dとY配線32とが途中で交差することがない、言い換えると、交差回数が増えることがない。
【0070】
従って、本実施形態にあっては、X配線22とY配線32との交差回数を、X配線22dがY配線32を横断したときの「1回」にすることができる。なお、上記では、X配線22とY配線32との交差回数を「1回」としたが、これに限定されるものではなく、例えば2回以上としてもよい。
【0071】
上述してきたように、実施形態に係る回路基板12は、複数のX配線22と、複数のY配線32とを備える。複数のX配線22は、基板12上にX軸方向に沿って配設された複数のX電極21にそれぞれ接続されるとともに、X電極21が配設される電極領域R1の外周に設けられた配線領域R2のおもて面(一方の面の一例)側へ引き出されて配線される。複数のY配線32は、複数のX電極21と対応して基板12上に配設された複数のY電極31にそれぞれ接続されるとともに、配線領域R2のおもて面(一方の面の一例)側へ引き出されて配線される。また、複数のX配線22および複数のY配線32のいずれか一方(ここでは複数のX配線22)は、対応するY配線32またはX配線22(ここではY配線32)との基板12の平面視における交差回数が互いに同じになるように、配線領域R2の裏面(他方の面の一例)側に配線される。これにより、電極間における信号強度の差を低減することができ、接触の誤検出を抑制することが可能となる。
【0072】
なお、上記した実施形態に係る第1回路基板20は、1層の回路基板であるように構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、X電極21とY電極31とが異なる層に配設される多層の回路基板であってもよい。
【0073】
また、上記した実施形態では、複数のX配線22を配線領域R2の裏面側で連結して配線する例を示したが、これに限られず、例えば、複数のX配線22を配線領域R2の表面側で連結して配線し、複数のY配線32を配線領域R2の裏面側で配線するようにしてもよい。
【0074】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 タッチパネル
12 回路基板
21 X電極
22 X配線
23 延長部
31 Y電極
32 Y配線
R1 電極領域
R2 配線領域
図1
図2
図3
図4
図5