(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】生体情報モニタ、及び生体情報システム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
A61B8/14
(21)【出願番号】P 2017224419
(22)【出願日】2017-11-22
【審査請求日】2020-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170911
【氏名又は名称】松山 啓太
(72)【発明者】
【氏名】大浦 光宏
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 壮祐
(72)【発明者】
【氏名】松沢 航
(72)【発明者】
【氏名】安丸 信行
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 和哉
(72)【発明者】
【氏名】鳥飼 浩
(72)【発明者】
【氏名】福島 直樹
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0058660(US,A1)
【文献】特開2008-167838(JP,A)
【文献】特開2012-135428(JP,A)
【文献】特開2017-086664(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0009723(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の生体信号を基にしたバイタルサインと、前記被験者に照射した超音波の反射波を基にした超音波画像と、を取得する生体情報モニタであって、
前記バイタルサインの測定データと測定日時を関連付けて記憶すると共に、前記超音波画像と撮像タイミングを関連付けて記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された
前記バイタルサインの測定データに含まれる複数種類の測定波形の時系列変化を示すトレンドグラフを表示するとともに、前記超音波画像を間欠的に取得した時点を示す前記撮像タイミングを前記トレンドグラフに表示した画面を表示部に表示する制御部と、を備え、
前記制御部は、ユーザにより選択された前記撮像タイミングに対応する前記超音波画像を前記記憶部から読み出して表示する、
を備える生体情報モニタ。
【請求項2】
前記制御部は、前記超音波画像の表示時に、表示対象の前記超音波画像の撮像時に取得した前記バイタルサインの測定値を合わせて表示する、請求項
1に記載の生体情報モニタ。
【請求項3】
前記制御部は、複数の前記超音波画像を表示する、請求項
1または請求項
2に記載の生体情報モニタ。
【請求項4】
前記制御部は、前記超音波画像に関連付けられたイベント情報を前記超音波画像と併せて表示する、請求項
1~3のいずれか1項に記載の生体情報モニタ。
【請求項5】
前記イベント情報は、計測部位、撮像者情報、撮影日時、のいずれかを含む、請求項
4に記載の生体情報モニタ。
【請求項6】
前記制御部は、選択された前記撮像タイミングを含む所定時間帯の前記バイタルサインの測定波形と、前記超音波画像と、が重ならないように表示制御を行う、請求項
1~5のいずれか1項に記載の生体情報モニタ。
【請求項7】
前記制御部は、前記所定時間帯の測定波形の表示位置を移動させ、移動させた測定波形の表示位置と重ならないように前記超音波画像を表示する、請求項
6に記載の生体情報モニタ。
【請求項8】
前記制御部は、前記超音波画像の表示を終了する操作が行われた場合、前記所定時間帯の測定波形を移動前の位置に戻す、請求項
7に記載の生体情報モニタ。
【請求項9】
前記制御部は、ユーザ操作の種類に基づいて、前記超音波画像の表示態様を切り替える、請求項
1~8のいずれか1項に記載の生体情報モニタ。
【請求項10】
被験者の生体信号を基にしたバイタルサインと、前記被験者に照射した超音波の反射波を基にした超音波画像と、を取得する生体情報モニタであって、
前記バイタルサインの測定データと測定日時を関連付けて記憶すると共に、前記超音波画像と撮像タイミングを関連付けて記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されたデータを基にした画面を表示部に表示する制御部と、
を備え
、
前記制御部は、前記記憶部から読み出した1以上の前記超音波画像の画像一覧を表示し、前記画像一覧の中から選択された前記超音波画像の前記撮像タイミングに対応する前記バイタルサインの測定データを表示するとともに、前記測定データを表示するウインドウの大きさに基づいて、当該ウインドウの表示態様を変化させる、生体情報モニタ。
【請求項11】
前記制御部は、前記画像一覧の中から選択された前記超音波画像の拡大画像を表示する、請求項
10に記載の生体情報モニタ。
【請求項12】
前記制御部は、前記拡大画像と共に前記撮像タイミングのタイミング一覧を表示し、前記タイミング一覧から選択された前記撮像タイミングに対応する前記超音波画像を表示する、ことを特徴とする請求項
11に記載の生体情報モニタ。
【請求項13】
前記制御部は、前記画像一覧の中から選択された前記超音波画像の拡大画像と、当該超音波画像の前記撮像タイミングに対応する前記バイタルサインの測定データと、の双方を表示する、請求項
11または請求項
12に記載の生体情報モニタ。
【請求項14】
前記画像一覧は、1以上の前記超音波画像のサムネイルの一覧である、ことを特徴とする請求項
10~13のいずれか1項に記載の生体情報モニタ。
【請求項15】
前記制御部は、選択された前記超音波画像のサムネイルの表示と、選択された前記超音波画像に対応する前記バイタルサインの測定データと、が重ならないように位置の調整を行って双方を表示する、請求項
14に記載の生体情報モニタ。
【請求項16】
前記制御部は、選択された前記超音波画像のサムネイルの表示位置に基づいて、前記バイタルサインの測定データの表示位置を決定する、請求項
15のいずれか1項に記載の生体情報モニタ。
【請求項17】
前記制御部は、選択された前記超音波画像以外のサムネイルを非表示にする、請求項
15または請求項
16に記載の生体情報モニタ。
【請求項18】
被験者の生体信号を基にしたバイタルサインを取得する生体情報モニタと、前記被験者に照射した超音波の反射波を基にした超音波画像を取得する超音波測定装置と、を備え、
前記生体情報モニタは、前記バイタルサインの測定データと測定日時を関連付けて記憶すると共に、前記超音波画像と撮像タイミングを関連付けて記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された
前記バイタルサインの測定データに含まれる複数種類の測定波形の時系列変化を示すトレンドグラフを表示するとともに、前記超音波画像を間欠的に取得した時点を示す前記撮像タイミングを前記トレンドグラフに表示した画面を表示部に表示する制御部と、を備え、
前記制御部は、ユーザにより選択された前記撮像タイミングに対応する前記超音波画像を前記記憶部から読み出して表示する、
を備える生体情報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体情報モニタ及び生体情報システムに関し、特に超音波画像を取得する生体情報モニタ及び生体情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
被験者の状態を把握するための情報として各種のバイタルサイン(血圧、体温、呼吸、脈拍数、動脈血酸素飽和度、等)が広く利用されている。また被験者の胸部や腹部等の状態を把握するために超音波検査装置が用いられている。
【0003】
近年、バイタルサインの測定と超音波診断を同時に行う技術が提案されている。例えば特許文献1では、生体情報モニタに対して超音波トランスデューサを接続可能なシステムが開示されている(特許文献1のFig.1)。当該システムは、超音波トランスデューサが取得した超音波画像と被験者の生体パラメータ(バイタルサイン)の双方を同時に処理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2009/138902号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の装置を用いた場合、医療従事者(医師等)は大型の超音波測定装置を用いることなく、オペ室等であっても被験者のバイタルサインと共に腹部エコー等を参照できる。これにより、例えばオペ室等で腹部内の状態を把握するために間欠的(スポット的)に超音波画像を参照することができる。
【0006】
ところで、バイタルサインの長期的な変化を把握したい場合、医療従事者はバイタルサインの測定値の変化を示すトレンドグラフの表示画面を参照する。しかしながら特許文献1には、バイタルサインのトレンドグラフの表示について言及されていないため、トレンドグラフと超音波画像の撮像タイミングとの関連が把握できないという問題があった。例えばトレンドグラフ上のどのポイントで超音波画像を撮像したかが把握できず、被験者のバイタルサインと超音波画像(腹部エコー等)との関連が分からないため、被験者の状態の変化を正確に把握できなかった。
【0007】
すなわち、バイタルサインと間欠的に取得した超音波画像との関係性を把握することが難しいという課題があった。
【0008】
本発明は当該課題に鑑みてなされたものであり、バイタルサインと間欠的に取得した超音波画像との関係性を把握することができる生体情報モニタ、及び生体情報システムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる生体情報モニタの一態様は、
被験者の生体信号を基にしたバイタルサインと、前記被験者に照射した超音波の反射波を基にした超音波画像と、を取得する生体情報モニタであって、
前記バイタルサインの測定データと測定日時を関連付けて記憶すると共に、撮像タイミングと前記超音波画像を関連付けて記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されたデータを含む画面を表示する表示部と、を備えるものである。
【0010】
上述のように記憶部は、測定日時と関連付けてバイタルサインの測定データ(測定値、測定波形)を記憶している。また記憶部は、撮像タイミングと関連付けて超音波画像を記憶している。すなわちバイタルサインの測定データと超音波画像は共に測定日時(撮像タイミング)と関連付けられて記憶されている。このように関連付けがなされたデータを基に画面が生成されることにより、ユーザはバイタルサインの測定データと超音波画像の関係性を把握することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、バイタルサインと間欠的に取得した超音波画像との関係性を把握することができる生体情報モニタ、及び生体情報システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1にかかる生体情報システム1の外観構成例を示す図である。
【
図2】実施の形態1にかかる生体情報システム1の内部構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態1にかかる表示部16に表示された画面の例を示す図である。
【
図4】実施の形態1にかかる表示部16に表示された画面の例を示す図である。
【
図5】実施の形態1にかかる表示部16に表示された画面の例を示す図である。
【
図6】実施の形態1にかかる表示部16に表示された画面の例を示す図である。
【
図7】実施の形態1にかかる表示部16に表示された画面の例を示す図である。
【
図8】実施の形態1にかかる表示部16に表示された画面の例を示す図である。
【
図9】実施の形態1にかかる表示部16に表示された画面の例を示す図である。
【
図10】実施の形態1にかかる表示部16に表示された画面の例を示す図である。
【
図11】実施の形態2にかかる表示部16に表示された画面の例を示す図である。
【
図12】実施の形態2にかかる表示部16に表示された画面の例を示す図である。
【
図13】実施の形態2にかかる表示部16に表示された画面の例を示す図である。
【
図14】実施の形態2にかかる表示部16に表示された画面の例を示す図である。
【
図15】実施の形態2にかかる表示部16に表示された画面の例を示す図である。
【
図16】実施の形態2にかかる表示部16に表示された画面の例を示す図である。
【
図17】実施の形態2にかかる表示部16に表示された画面の例を示す図である。
【
図18】実施の形態1または2にかかる生体情報モニタ10のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる生体情報システム1の外観構成を示す概念図である。生体情報システム1は、生体情報モニタ10及び超音波測定装置20を有する。なお、図示しないものの生体情報モニタ10は、センサ30(後述)とも適宜接続する。
【0014】
生体情報モニタ10は、被験者に接続された各種のセンサ30(
図2において後述)からの生体信号を基に、各種のバイタルサインを測定する。ここで被験者に接続されるセンサ30は、バイタルサインの測定に用いる各種センサである。例えばセンサ30は、血圧測定に用いるカフ、心電図測定等に用いる電極(ディスポ電極、クリップ電極、等)、SpO2プローブ、呼吸測定用のマスク、等を含む。また測定対象となるバイタルサインは、例えば血圧、体温、呼吸数、動脈血酸素飽和度、心電図、脈拍数である。生体情報モニタ10は、ベッドサイドモニタ、携帯型の医用テレメータ、心電図等の測定機能付きの除細動器、等を含む概念である。すなわち生体情報モニタ10は、バイタルサインを測定する種々の医療装置と解釈できる。以下の説明では、生体情報モニタ10がいわゆるベッドサイドモニタであるものとして説明を行う。
【0015】
生体情報モニタ10は、各種のセンサ30と接続する接続口(いわゆるコネクタの差込口)を有する。超音波測定装置20は、当該接続口に着脱可能な装置である。たとえば超音波測定装置20と生体情報モニタ10は、USB(Universal Serial Bus)により接続してもよく、その他の任意のコネクタを介して接続してもよい。超音波測定装置20は、被験者の生体に探触子21(後述)を接触(または近接)させることにより、被験者の生体内部の超音波画像を取得する。超音波測定装置20は、ユーザ(主に医師)が把持可能な重量及び大きさの装置であり、一般的な超音波診断装置のプローブヘッドにケーブルが接続したような形態である。
【0016】
生体情報モニタ10は、超音波測定装置20が取得した超音波画像を表示部16(後述)に表示することができる。
【0017】
なお超音波測定装置20は、生体情報モニタ10と接続可能な構成であればよい。すなわち超音波測定装置20は、図示するような有線接続に限られず、無線接続によって生体情報モニタ10とデータ送受信を行ってもよい。
【0018】
続いて
図2を参照して、生体情報システム1の機能構成について説明する。
図2は、生体情報システム1の機能構成に着目したブロック図である。センサ30は、上述のように被験者の生体に接続(例えば貼付)されるバイタルサイン用のセンサである。
【0019】
生体情報モニタ10は、入力インターフェイス11、通信部12、操作部13、制御部14、スピーカ15、表示部16、及び記憶部17を有する。図示しないものの生体情報モニタ10は、CPU(Central Processing Unit)や内部電源等も適宜備える。また生体情報モニタ10は、時刻を計時する内部時計(図示せず)も備える。
【0020】
入力インターフェイス11は、上述の接続口及びその周辺回路等である。入力インターフェイス11は、センサ30及び超音波測定装置20から受信した信号を制御部14に供給する。また入力インターフェイス11は、生体情報モニタ10からセンサ30または超音波測定装置20に対して信号を送信する。
【0021】
通信部12は、他の装置(例えば同一院内のセントラルモニタ)とのデータの送受信を行う。通信部12は、例えば無線LAN(Local Area Network)等にかかる通信規格を満たすものであれば良い。なお通信部12は、有線ケーブルを用いて通信処理を行ってもよい。
【0022】
ユーザ(主に医師)は、操作部13を介して生体情報モニタ10に対する入力を行う。操作部13は、例えば生体情報モニタ10の筐体上に設けられたボタン、ツマミ、回転型セレクタ、キー、等である。操作部13を介した入力は、制御部14に供給される。
【0023】
スピーカ15は、アラームをはじめとする各種の報知音を出力する。スピーカ15は、制御部14の制御に応じて報知を行う。
【0024】
表示部16は、生体情報モニタ10の筐体上に設けられたディスプレイ及びその周辺回路等である。表示部16は、制御部14の制御に応じて各種バイタルサインの測定波形、測定値、超音波画像等を表示する。換言すると制御部14は、記憶部17に記憶されたデータ(超音波画像、各種バイタルサインの測定データ(測定波形、測定値)、等)を基にした画面を表示部16に表示する。制御部14による表示制御は、
図3等を参照して後述する。
【0025】
なお操作部13と表示部16は、一体となった構成(いわゆるタッチパネルのような構成)であってもよい。以下の説明では、操作部13と表示部16がタッチパネルであるものとして説明を行う。
【0026】
記憶部17は、制御部14が使用する各種のプログラム(システムソフトウェア、及び各種のアプリケーションソフトウェアを含む)やデータ(バイタルサインの測定値や測定波形を含む測定データ、測定データを測定した日時、後述の超音波画像、超音波画像の撮像タイミング等を含む)を記憶する。制御部14は、記憶部17からのプログラムやデータの読み出しを適宜行う。また制御部14は、記憶部17へのデータの書き込みを適宜行う。記憶部17は、生体情報モニタ10内に設けられた二次記憶装置であり、例えば生体情報モニタ10内に設けられたハードディスクである。なお記憶部17は、生体情報モニタ10に内蔵されている場合に限られず、生体情報モニタ10に着脱可能な構成(例えば生体情報モニタ10に着脱可能なUSB(Universal Serial Bus)メモリ等)であってもよい。
【0027】
記憶部17は、センサ30から取得したバイタルサインの測定データ(測定値、測定波形)と測定日時を対応付けたデータ(第1データ)を記憶すると共に、超音波測定装置20が撮像した超音波画像とその撮像タイミング(超音波画像を測定した日時)を対応付けたデータ(第2データ)を記憶する。
【0028】
制御部14は、生体情報モニタ10の動作制御(センサ30を介した測定の制御、各種設定の反映、超音波画像の取り込み、バイタルサインの測定値の記録、表示部16への表示制御等)を行う。
【0029】
制御部14は、センサ30を介して取得した各種バイタルサイン(血圧、脈拍、体温、動脈血酸素飽和度、呼吸数、呼吸波形、等)の測定値を測定日時と関連付けて記憶部17に書き込む。なお制御部14が測定値と測定日時を関連付けて連続的に記憶部17に書き込むことは、測定波形を測定日時と関連付けて記憶させることと同じである。また制御部14は、超音波測定装置20が取得した超音波画像を撮像タイミング(撮像(測定)した日時)と関連付けて記憶部17に書き込む。測定日時は、図示しない内部時計等のデータを参照して取得される。制御部14は、この記憶部17に記憶されたデータ(バイタルサインの測定値、超音波画像)を基にした画面を表示部16に表示する。表示制御の詳細は、
図3等を参照して後述する。
【0030】
続いて超音波測定装置20の構成について説明する。超音波測定装置20は、
図1に示すように生体情報モニタ10に着脱可能な装置である。超音波測定装置20は、いわゆるプローブに類する形状である。超音波測定装置20は、探触子21、制御部22、及び記憶部23を有する。
【0031】
なお超音波測定装置20は、生体情報モニタ10から電力供給を受けて装置であってもよく、内部電源を有する構成であってもよい。
【0032】
探触子21は、被験者の生体に接触(または近接)して超音波を照射する。また探触子21は、被験者の生体から反射した超音波(反射波)を受信する。探触子21は、受信した超音波を制御部22に供給する。
【0033】
なお探触子21の種類は、特に限定されるものでは無い。すなわち探触子21は、コンベックス型、セクタ型、リニア型、この他の種類、のいずれであってもよい。また探触子21の筐体上に操作インターフェイス(ツマミ、ボタン、操作用ホイール等)が設けられていてもよい。ユーザは、この操作インターフェイスを操作することによって探触子21の設定等を変更する。
【0034】
記憶部23は、制御部22が使用する各種のソフトウェアプログラム(システムソフトウェア、各種のアプリケーションソフトウェア、を含む)やデータ(超音波画像の履歴値、設定値、等)を記憶する。制御部22は、記憶部23からプログラムやデータの読み出しを適宜行う。また制御部22は、記憶部23へのデータの書き込みを適宜行う。記憶部23は、超音波測定装置20内に設けられた二次記憶装置であり、例えば超音波測定装置20内に設けられたハードディスクである。なお記憶部23は、超音波測定装置20内に内蔵されている場合に限られず、超音波測定装置20に着脱可能な構成(例えば超音波測定装置20に着脱可能なUSB(Universal Serial Bus)メモリ等)であってもよい。なお超音波測定装置20が使用する各種のソフトウェアプログラムは、生体情報モニタ10内(すなわち記憶部17)に格納されていてもよい。
【0035】
制御部22は、探触子21の各種設定や探触子21が取得した受信信号の取り込みや画像化を行う。詳細には制御部22は、探触子21のビームフォーミング設定、受信した反射からの超音波受信ビーム形成、超音波受信ビームに対する各種信号処理(モード信号処理、CF信号処理、ドプラ信号処理、等)、スキャン処理による超音波画像の形成、探触子21のエラー検出、等を行う。また制御部22は、探触子21の受信信号から形成した超音波画像を生体情報モニタ10に送信する。なお制御部22は、探触子21が取得した反射波の信号をそのまま生体情報モニタ10に転送してもよい。この場合、制御部14が当該反射波の信号を基にして超音波画像の生成処理を行う。
【0036】
ここで、常に超音波測定装置20を使用するのではなく、スポット的(間欠的)に被験者の腹部エコー等を取得することを想定する。以下、間欠的に超音波画像を取得した場合の生体情報モニタ10(制御部14)における画面制御について説明する。
【0037】
図3は、表示部16に表示されたバイタルサインのトレンドグラフ(測定波形の図示であり、一般的には長時間波形)を示す画面である。制御部14は、記憶部17から各種のバイタルサインの測定値を測定日時と併せて読み出し、測定値v1~v3と測定波形w1~w3を表示部16に表示する。画面上部には、メニューm1~m5が表示され、トレンドグラフに関するメニューm1が選択されている。本例において表示部16は、14:30~15:30までの心拍数(HR)、動脈血酸素飽和度(SpO2)、及び呼吸数(Resp)のトレンドグラフを表示する(
図3w1~w3)。また表示部16は、画面下部に操作用ボタンb1~b5を表示している。
【0038】
なお
図3の画面はあくまでも一例であり、表示対象となるバイタルサインの種類等は任意のものでよい。例えば血圧、体温等に関するバイタルサインのトレンドグラフが表示されてもよい。
【0039】
制御部14は、画面上にバイタルサインのトレンドグラフ(w1~w3、v1~v3)に加えて、超音波画像の撮像タイミングを表示する。この撮像タイミングの表示の際に、制御部14はトレンドグラフの時系列と超音波画像の測定(撮像)日時の関係から、撮像タイミングの表示位置を決定する。
図3の例では、制御部14は超音波画像の撮像タイミングを示すアイコンi1~i4を表示する。
図3の例において撮像タイミングは、時系列上に三角マークで示されている。この三角マークは、この時刻に超音波画像の撮像が行われたことを示している。なお撮像タイミングを示すアイコンはあくまでも一例であり、この他のアイコンであってもよい。また撮像タイミングは、時系列上に縦線(時系列の進行方向と直交する直線)で示されていてもよい。制御部14は、このように記憶部17から読み出したデータを用いて、バイタルサインのトレンドグラフと超音波画像の撮像タイミングを合わせて表示部16に表示する。
【0040】
ユーザ(主に医師)は、この画面(
図3)を参照することにより、各種バイタルサインの測定値の長期的な変化に加えて、どのタイミングで超音波画像を撮像したかを把握できる。例えばユーザは、バイタルサインの測定値が悪化するタイミングにおいて超音波画像を取得しているか否かを把握できる。
【0041】
ユーザは、バイタルサインの測定波形w1~w3を参照し、超音波画像を参照したいタイミングを検討する。そしてユーザは、所望の撮像タイミングを選択する。例えばユーザは、タッチパネル形式の表示部16の撮像タイミングのアイコンを押下すればよい。ここでユーザは、アイコンi1を選択したものとする。
【0042】
以下、
図4を参照する。制御部14は、ユーザにより選択された撮像タイミング(アイコンi1)に対応する超音波画像を記憶部17から読み出す。制御部14は、読み出した超音波画像に関するウインドウd1を画面上に表示する。
【0043】
なお制御部14は、選択された撮像タイミングに対応する超音波画像を全面表示してもよい。
【0044】
またユーザは、タッチパネルによる操作ではなく、生体情報モニタ10の筐体上に設けられたボタン等を用いて所望の撮像タイミング(アイコンi1~i4)を選択してもよい。例えばユーザは、ボタン操作によってカーソルの移動と選択を行い、所望の撮像タイミング(アイコンi1~i4)を選択してもよい。
【0045】
また制御部14は、撮像タイミング(アイコンi1)が選択された直後に超音波画像をウインドウd1に表示するのではなく、メニューm5(超音波タブ)が選択された後に撮像タイミング(アイコンi1)に対応する超音波画像を表示してもよい。撮像タイミング(アイコンi1)が選択された場合、制御部14は当該アイコンi1の色を反転して選択されたことを明示してもよい。
【0046】
また制御部14は、超音波画像を表示すると共に、当該超音波画像の撮像タイミングにおける各種バイタルサインの測定値や測定波形を合わせて表示してもよい。当該表示例を
図5に示す。
図5に示すように制御部14は、選択された撮像タイミングに対応する超音波画像に加えて、各種バイタルサインの測定値(v4)や撮像タイミング(tm1)を含む超音波画像のウインドウd2を表示する。この測定値(v4)は、撮像タイミング(tm1)におけるバイタルサインの測定値(例えば14:32:00~14:33:00の間のバイタルサインの測定値)を示している。ユーザは、この表示画面(
図5)を参照することにより腹部エコー等の画像情報に加えて、撮像時のバイタルサインの測定値を合わせて把握できる。
【0047】
図3の例では、制御部14はバイタルサインの表示エリア(HR、SpO2、Respのタイムライン)と撮像タイミングの表示エリア(UltraSoundのタイムライン)の双方を表示する表示画面を生成したが、必ずしもこれに限られない。例えば制御部14は、バイタルサインの表示エリア上に撮像タイミングのアイコンを表示してもよい。当該表示画面例を
図6に示す。
【0048】
図6の例では、心拍数HRの測定波形w1上に超音波画像の撮像タイミングを示すアイコンi1~i4が表示されている。なお
図6の表示はあくまでも一例であり、全ての種類のバイタルサインの測定波形上に撮像タイミングを示すアイコンが表示されていてもよい。
【0049】
更に制御部14は、ユーザが行った操作の種別(操作種別)に応じてどのような表示制御を行うかを切り替えてもよい。制御部14は、選択された撮像タイミングに加えて、ユーザが行った操作の種別を検出する。詳細には制御部14は、撮像タイミング上(または近傍)で行われた操作の種別(タップ、ダブルタップ、ピンチイン、ピンチアウト、フリック、等)を検出する。
【0050】
制御部14は、検出した操作の種別に応じて超音波画像の表示態様を決定する。例えば撮像タイミングのアイコン上でタップが行われた場合、制御部14は
図4に示すように対象の超音波画像を示すウインドウを表示する。一方、撮像タイミングのアイコン上でピンチインが行われた場合、制御部14は表示対象の超音波画像を全面表示する。なお上述の操作種別と表示制御の関連付けはあくまでも一例であり、ユーザが当該関連付けを定義できるようにしてもよい。操作種別に応じて超音波画像の表示態様を変化させることにより、ユーザは少ない作業で所望の表示形態の超音波画像を参照することができる。
【0051】
更に制御部14は、選択された撮像タイミングのバイタルサインの測定波形と、超音波画像と、が重ならないようにする表示制御を行ってもよい。当該表示制御を
図7及び
図8を参照して説明する。
【0052】
図7は、撮像タイミングの選択前の状態を示す表示画面である。ここでユーザがアイコンi3を選択することを想定する。この撮像タイミング(アイコンi3)を含む所定時間帯のバイタルサインの測定波形が表示された範囲を表示エリアA1とする。
【0053】
図8は、アイコンi3が選択された場合の画面を示す図である。図示するように制御部14は、選択された撮像タイミング(アイコンi3)に対応する超音波画像のウインドウd3を表示する。また制御部14は、このウインドウd3と重ならないように、表示エリアA1(選択された撮像タイミングを含む所定時間帯のバイタルサインの測定波形)を画面の端部方向(
図8の例では左方向であり、点線矢印方向)に移動させ、当該表示エリアA1以外の箇所(所定時間帯の測定波形が表示されていない箇所であり、
図8の例では画面中央から画面右側付近)に超音波画像を表示する。すなわち制御部14は、超音波画像と当該超音波画像の撮像時のバイタルサインの測定波形とが重ならないように表示位置を調整して(表示位置を移動して)双方表示している。これによりユーザは、大きなウインドウで超音波画像を確認できると共に、当該超音波画像の撮像時のバイタルサインの状態も合わせて把握することができる。
【0054】
また
図8の表示状態においてユーザが超音波画像の表示を終了する操作(例えばウインドウd3の×ボタン(閉じるボタン)の押下)を行った場合、制御部14はバイタルサインの測定波形を元の位置(すなわち
図7の状態であり、移動前の位置)に戻すように表示制御を行うことが好ましい。超音波画像の参照前の表示に戻ることにより、ユーザはスムーズに被験者の状態を把握することができる。
【0055】
なお
図8の表示制御はあくまでも一例であり、バイタルサインの測定波形は右端部/上部/下部/斜め下部/斜め上部に向かって移動するようにしてもよい。またバイタルサインの測定波形が中央に表示されるようにし、超音波画像が画面の端部に表示されるようにしてもよい。また制御部14は、表示エリアA1とウインドウd3が合体したようなウインドウ(所定時間帯の測定波形と超音波画像が重ならないように表示する一態様)をポップアップ表示してもよい。
【0056】
また制御部14は、複数の超音波画像を含む画面を生成してもよい。当該例を
図9に参照する。ユーザは、超音波画像のウインドウd4が表示されている状態で、更なる撮像タイミングの選択を行う。
図9の例では、ユーザは超音波のウインドウd4(アイコンi2に対応)のみが表示されている状態で他のアイコンi1を選択する。
【0057】
制御部14は、選択されたアイコンi1に対応する超音波画像を読み出して画面上に表示する。
図9の例では、制御部14は、超音波画像のウインドウd4とウインドウd5の双方を表示している。複数の超音波画像のウインドウの表示を許容する場合、制御部14は最初に表示するウインドウd4がアイコンi1~i4と重ならないように表示することが好ましい。また制御部14は、表示するウインドウ数に合わせて各ウインドウサイズを自動的に調整してもよい。複数の超音波画像が表示されることにより、ユーザは腹部エコー等の変化についても一画面で把握することができる。
【0058】
更に制御部14は、超音波画像の撮像タイミングに関連付けて記録されたイベント情報を表示してもよい。当該例を
図10を参照して説明する。
【0059】
ユーザは、超音波画像に関連付けたイベント情報を入力しておく。イベント情報とは、例えば計測部位、撮像者情報(撮像者の名前等)、被験者情報(被験者の年齢、性別等)、撮影日時、である。これらのイベント情報は、ユーザが操作部13を介して入力してもよく、制御部14が自動的に算出してもよい。例えば制御部14は、撮像した超音波画像を解析することによって各種のパラメータを自動的に算出してもよい。制御部14は、イベント情報を記憶部17に書き込む。
【0060】
その後にユーザは、
図3に示すようなバイタルサインのトレンドグラフを参照し、上述のように撮像タイミングを選択する。制御部14は、選択された撮像タイミングに対応する超音波画像を記憶部17から読み出す。また制御部14は、選択された撮像タイミングに対応するイベント情報も記憶部17から読み出す。制御部14は、読み出した超音波画像とイベント情報を合わせてウインドウd6上に表示する(
図10)。
図10に示すように、超音波画像に加えてイベント情報e1(被験者の名前、性別、年齢)が合わせて表示されている。
【0061】
イベント情報を参照することにより、ユーザは超音波画像では把握できない情報も合わせて把握することができる。これによりユーザは、被験者の状況をより詳細に把握することができる。
【0062】
なお上述の表示例(
図4、
図5、
図8~
図10)においてユーザは、ドラッグ処理により超音波画像が表示されたウインドウの大きさを適宜変更してもよい。制御部14は、ドラッグ処理を検出してウインドウサイズを適宜変更する。同様にユーザは、ウインドウの位置を適宜移動してもよい。
【0063】
続いて本実施の形態にかかる生体情報モニタ10の効果について説明する。上述のように記憶部17は、測定日時と関連付けてバイタルサインの測定データ(測定値、測定波形)を記憶している。また記憶部17は、撮像タイミングと関連付けて超音波画像を記憶している。すなわちバイタルサインの測定データと超音波画像は共に測定日時(撮像タイミング)と関連付けられて記憶されている。これにより、バイタルサインの測定データと超音波画像が関連づいた状態となる。このように関連付けがなされたデータを基に画面が生成されることにより、ユーザはバイタルサインの測定データと超音波画像の関係性を把握することができる。
【0064】
更に表示部16に表示される画面(例えば
図3)において撮像タイミングが選択された場合、制御部14は当該撮像タイミングに対応する超音波画像を表示する(
図4)。これによりユーザは、バイタルサインと超音波画像の対応関係を視覚的に把握することができる。なお、上述のように制御部14は、撮像タイミングが選択された直後に超音波画像を表示してもよく、超音波に関するメニュー(
図3におけるm5)が選択された後に選択された撮像タイミングに対応する超音波画像を表示してもよい。
【0065】
また超音波画像と共にバイタルサインの測定値が表示される場合(
図5)、ユーザはバイタルサインと超音波画像の対応関係をより明確に把握することができる。
【0066】
超音波画像とイベント情報を合わせて表示する場合(
図10)、ユーザは被験者の超音波画像と共に年齢等の各種情報も合わせて把握することができる。
【0067】
図7及び
図8を参照したように、制御部14は選択された撮像タイミングにかかる超音波画像と、当該撮像タイミングにおけるバイタルサインの測定データ(測定波形、測定値)と、が重ならないように表示してもよい。これによりユーザは、選択した撮像タイミングにおける被験者の状態をより詳細に把握することができる。特に
図8に示すようにバイタルサインの表示領域が移動することにより、ユーザは注目している(選択した撮像タイミングにおける)バイタルサインの測定波形が表示されていることを直感的に理解することができる。
【0068】
また複数の超音波画像を表示することにより(
図9)、ユーザは超音波画像の遷移(例えば被験者の腹部状態の遷移)を把握できる。
【0069】
<実施の形態2>
続いて、実施の形態2にかかる生体情報システム1の構成について実施の形態1と異なる点を以下に説明する。本実施の形態にかかる生体情報モニタ10は、複数の超音波画像の画像一覧(例えばサムネイル画面)を表示し、当該画像一覧から選択された超音波画像の撮像タイミングに対応するバイタルサイン(測定波形、測定値)を参照できることを主な特徴とする。
【0070】
生体情報システム1や生体情報モニタ10の基本構成については、実施の形態1と同様である。生体情報モニタ10は、表示部16に
図3に示すような画面を表示する。ユーザが超音波画像の表示を行うメニューm5を選択した場合、制御部14は記憶部17から各撮像タイミングで取得した超音波画像を読み出し、複数の(一つしか存在しない場合には一つの)超音波画像の画像一覧を表示する。例えば制御部14は、読み出した超音波画像をサムネイル変換した画像一覧を時系列に並べて表示する。なお画像一覧は、サムネイルの一覧では無く、ファイル名付のアイコンの一覧や超音波画像のファイル名の一覧等であってもよい。また実施の形態1で言及したようにユーザが撮像タイミングを選択した後にメニューm5を選択した場合、制御部14は当該撮像タイミングに対応する超音波画像のみを大きく表示してもよく、当該超音波画像のサムネイルのみを他のサムネイルに比べて強調して表示してもよい(例えばサムネイルの枠線を他のサムネイルの枠線と異なる色で表示してもよい)。以下、事前の撮像タイミングの選択は行われていないものとして説明する。
図11は、超音波画像がサムネイル形式で表示された画面の一例である。
【0071】
図11に示すように、画面には撮像した枚数だけ超音波画像(u1~u9)がサムネイル形式で時系列に従って表示される。なお画面内に表示される超音波画像の枚数は固定(例えば9枚まで)であってもよく、制御部14はページ送り等のアイコンを表示してページ送りを実現してもよい。
【0072】
ユーザは所望の(バイタルサインの測定データを参照したい)超音波画像を選択(例えばタップ)する。制御部14は、画像一覧の中から選択された超音波画像の撮像タイミングに対応するバイタルサインの測定データを記憶部17から読み出す。詳細には制御部14は、選択された超音波画像の撮像タイミングを含む所定時間帯(例えば1分間)に取得されたバイタルサインの測定データを記憶部17から読み出す。制御部14は、読み出したバイタルサインの測定データを表示した画面を生成する。
図12は、
図11の画面において超音波画像u1が選択された際の画面例を示す図である。
【0073】
図12に示すように、制御部14は選択された超音波画像(u1)の撮像タイミング(14:04:26)における各種バイタルサインの測定値や測定波形を新たなウインドウd7に表示する。ユーザは、この画面を参照することによってサムネイル形式の超音波画像とバイタルサインの測定値や測定波形を合わせて参照することができる。
【0074】
なお制御部14は、ユーザがウインドウd7の大きさをドラッグ処理等によって大きくした場合にのみ測定値に加えて測定波形を表示するようにしてもよい。制御部14は、ウインドウd7の大きさが所定サイズを超えたか否かを適宜判定し、超えた場合には測定値に加えて測定波形を表示する。また制御部14は、所定サイズを超えない場合に測定値のみを表示し、所定サイズを超えた場合には測定値に加えて測定波形を表示するようにしてもよい。つまり制御部14は、測定データを表示するウインドウの大きさに基づいて、当該ウインドウの表示態様を変化させる。このような表示制御により、ウインドウサイズが小さい場合には必要最小限の情報が参照できると共に、ウインドウサイズが大きい場合にはより詳細な情報が参照できる。なお制御部14は、新たなウインドウを表示するのではなく、選択された超音波画像(u1)の近くに測定値を表示してもよい。
【0075】
また制御部14は、ユーザが行った操作の種別(操作種別)に応じてどのような表示制御を行うかを切り替えてもよい。制御部14は、選択された撮像タイミングに加えて、ユーザが行った操作の種別を検出する。詳細には制御部14は、撮像タイミング上(または近傍)で行われた操作の種別(タップ、ダブルタップ、ピンチイン、ピンチアウト、フリック、等)を検出する。
【0076】
制御部14は、検出した操作の種別に応じてどのような表示制御を行うかを決定する。例えば超音波画像u1の表示上でピンチアウト(指先を広げる操作)が行われた場合、制御部14は選択された超音波画像u1の拡大画像(サムネイル表示よりも拡大という意味であって、実際のファイルの縦横比と等倍のサイズであってもよい。)を表示する。一方で超音波画像u1の表示上でダブルタップ(指先で細かく2回タップする操作)が行われた場合、制御部14は選択された超音波画像u1に対応するバイタルサインの測定値や測定波形を表示する(
図12)。また超音波画像u1の表示上でフリック(指先をはじくように動かす操作)が行われた場合、制御部14は選択された超音波画像u1の拡大画像と併せて当該画像の撮像タイミングに対応するバイタルサインの測定値を合わせて表示する(
図13ウインドウd8)。すなわち制御部14は、選択された超音波画像u1の拡大画像及びバイタルサインの測定データ(測定波形又は測定値)の双方を表示してもよく、少なくとも一方を表示してもよい。なお上述の操作と表示制御の対応付けはあくまでも一例であり、この他の対応付けが行われていてもよく、ユーザによって操作と表示制御の対応付けに関する定義が行われてもよい。
【0077】
なおユーザは、操作部13を介して画像一覧から選択された際の動作を設定しておいてもよい。例えばこのような設定が行われた状態でサムネイル画像が選択された場合、制御部14は選択されたサムネイル画像に対応する拡大画像を常に表示する。
【0078】
なお制御部14は、超音波画像u1の拡大画像とバイタルサインの測定値を表示する際に、
図14に示すように撮像タイミングの一覧l1(タイミング一覧)を合わせて表示してもよい。
図14の例では、9個の撮像タイミングが表示されている。なお本例では時刻のみが表示されているが、日付と日時の双方が表示されてもよい。制御部14は、表示中の超音波画像に対応する撮像タイミングを他の撮像タイミングとは区別して表示することが好ましい。
図14の例では制御部14は、“14:04:26”に撮像された超音波画像u1が表示されているため、“14:04:26”の表示にのみ下線を引いている。
【0079】
ユーザは、当該画面上で一覧l1内の撮像タイミングを選択する(例えば所望の時刻をタッチする)ことにより表示対象の超音波画像u1を変更することが可能である。制御部14は、ユーザにより選択された撮像タイミングに対応する超音波画像を記憶部17から読み出し、読み出した超音波画像の拡大画像を表示する。
図14の例では、ユーザが“15:15:46”が選択された場合(例えば画面上でタッチされた場合)、制御部14は“15:15:46”に撮像した超音波画像を記憶部17から読み出し、現在表示している“14:04:26”の超音波画像u1から読み出した15:15:46”の超音波画像u1の表示に切り替える。
【0080】
制御部14は、選択された超音波画像(サムネイル)とバイタルサインの測定値や測定波形が合わせて参照しやすいように表示位置を調整してもよい。当該例を
図15を参照して説明する。
【0081】
図11の画面においてユーザが超音波画像u5を選択したとする。制御部14は、超音波画像u5の表示座標を取得し(例えば表示画面生成時の座標情報を基に算出し)、超音波画像u5が画面の略中央位置にあることを認識する。超音波画像u5が略中央位置にあると判定した場合、制御部14は超音波画像u5の表示位置を画面の端部にずらすと共に、バイタルサインの測定値や測定波形を示すウインドウd9を画面の略中央に表示する。
図15、当該表示例を示す図である。図示するように、超音波画像u5が左端部方向に移動し、バイタルサインの測定値や測定波形を示すウインドウd8が画面中央に表示されている。すなわち制御部14は、超音波画像u5とバイタルサインの測定値や測定波形が重ならないように表示する。なお
図14の画面はあくまでも一例であり、右端部方向に超音波画像u5を移動させてもよく、他の方向に移動させてもよい。すなわち制御部14は、超音波画像u5とウインドウd8が重ならないように表示位置の制御を行えばよい。
【0082】
このように超音波画像u5(選択された超音波画像)を移動させることにより、ユーザは超音波画像u5とバイタルサインの測定値や測定波形を合わせて把握することができる。換言するとユーザは、ある時点での超音波画像とバイタルサインの測定データ(測定値、測定波形)の双方を把握できるため、より詳細に被験者の状態を把握することができる。
【0083】
また制御部14は、超音波画像u1~u3が選択された場合には画面の下部に新たなウインドウ(超音波画像の拡大画面またはバイタルサインの情報)を表示し、超音波画像u7~u9が選択された場合には画面の上部に新たなウインドウ(超音波画像の拡大画面またはバイタルサインの情報)を表示することが好ましい。すなわち制御部14は、選択された超音波画像のサムネイルの表示位置に基づいて、新たなウインドウの表示位置(バイタルサインの測定波形や測定値の表示位置)を決定する。これによりユーザは、サムネイル画像と新たなウインドウを違和感なく双方参照できる。
【0084】
また制御部14は、選択された超音波画像(
図12においては超音波画像u1、
図15においては超音波画像u5)以外の超音波画像を非表示にしてもよい。
図16は、
図15の画面において超音波画像u5以外を非表示にした例を示す図である。これにより、ユーザは着目している撮像タイミングでの超音波画像とバイタルサインの測定データ(測定波形や測定値)を他の画像に影響されることなく正確に把握できる。
【0085】
更に制御部14は、複数のバイタルサインの表示ウインドウを表示してもよい。当該表示例を
図17に示す。例えばユーザがはじめに超音波画像u1を選択したとする。制御部14は、この超音波画像u1と重ならないようにバイタルサインのウインドウd10を
図17に示すように表示する。その後にユーザが超音波画像u9を選択した場合、制御部14は、超音波画像u9、u1及びウインドウd10と重ならないようにバイタルサインのウインドウd11を
図16に示すように表示する。なおユーザは、ドラッグ処理を行うことによってウインドウd10、d11を適宜移動させてもよい。
【0086】
続いて本実施の形態にかかる生体情報モニタ10の効果について説明する。本実施の形態にかかる制御部14は、超音波画像のサムネイル画面を表示し、あるサムネイルが選択された場合、選択された超音波画像の撮像タイミングに対応するバイタルサインの測定データ(測定波形や測定値)を表示する(
図12等)。これによりユーザは、超音波画像からバイタルサインの情報にアクセスでき、両者の関係性を把握することができる。
【0087】
また制御部14は、ユーザの操作種別に応じて表示態様を制御してもよい(
図12、
図13)。これによりフリックやダブルタップといった簡単な操作の違いに応じて表示する対象をダイナミックに変更でき、ユーザは速やかに所望の情報を参照することができる。
【0088】
また制御部14はユーザ操作に応じて複数のウインドウを表示してもよい(
図17)。複数のウインドウが表示されることにより、ユーザは一画面上で参照したいバイタルサインの情報を比較しながら把握することができる。
【0089】
なお本実施の形態においてもイベント情報を合わせて表示することも可能である。すなわち制御部14は、超音波画像の拡大画面またはバイタルサインの情報を表示するウインドウ(例えばd7)にイベント情報を合わせて表示してもよい。
【0090】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0091】
上述の制御部14の処理の少なくとも一部は、生体情報モニタ10内で動作するコンピュータプログラムとして実現することができる。
図18に生体情報モニタ10のハードウェア構成例を示す。生体情報モニタ10は、CPU101、メモリ102(主記憶装置)、記憶部17、表示部16、バス103を有する。なお生体情報モニタ10は、図示しないスピーカや各種の電気回路等を備えていてもよい。各構成要素間は、バス103により接続されている。
【0092】
CPU(Central Processing Unit)101は、上述の制御部14、通信部12の各種の処理の実行に必要なデータやプログラムをメモリ102上に展開し、プログラムに含まれる各命令を実行する。なお制御部14の各種処理の少なくとも一部は、図示しない周辺回路等によって実現されてもよい。
【0093】
ここでプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0094】
1 生体情報システム
10 生体情報モニタ
11 入力インターフェイス
12 通信部
13 操作部
14 制御部
15 スピーカ
16 表示部
17 記憶部
20 超音波測定装置
21 探触子
22 制御部
23 記憶部
30 センサ