(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】ペット用サークル
(51)【国際特許分類】
A01K 1/02 20060101AFI20220404BHJP
A01K 1/01 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
A01K1/02 C
A01K1/01 801G
(21)【出願番号】P 2017230686
(22)【出願日】2017-11-30
【審査請求日】2020-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】516371922
【氏名又は名称】株式会社ペティオ
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 武史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 豪
【審査官】赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-136254(JP,A)
【文献】特開2008-289504(JP,A)
【文献】特開2003-047356(JP,A)
【文献】米国特許第05092270(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/00-3/00
A01K 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面パネルと背面パネルと左右の側面パネルとの各側辺が互いに連結され、内側に内部空間を設ける周壁パネルと、
前記内部空間を居住スペースとトイレスペースとに区画するように前記正面パネル及び前記背面パネルに取り付けられる仕切パネルと、
前記居住スペース側に置かれる大きめの居住側トレーと、
前記トイレスペース側に置かれる小さめのトイレ側トレーと、
を備え、
前記居住側トレーと前記トイレ側トレーとが交換自在とされ、当該両トレーの交換に対応して前記仕切パネルが前記正面パネル及び前記背面パネルに着脱自在とされ、当該仕切パネルの取付位置によって前記居住スペースとトイレスペースとの配置が変更可能とされ
、
少なくとも前記正面パネル及び前記背面パネルは、複数本の線材を格子状に組んだ檻状とされ、前記仕切パネルの着脱位置で隣り合っている線材の間隔が他の位置で隣り合っている間隔よりも狭くされている、
ペット用サークル。
【請求項2】
前記居住側トレー及び前記トイレ側トレーは、一体化さ
れている請求項1に記載のペット用サークル。
【請求項3】
正面パネルと背面パネルと左右の側面パネルとの各側辺が互いに連結され、内側に内部空間を設ける周壁パネルと、
前記内部空間を居住スペースとトイレスペースとに区画するように前記正面パネル及び前記背面パネルに取り付けられる仕切パネルと、
前記居住スペース側に置かれる大きめの居住側トレーと、
前記トイレスペース側に置かれる小さめのトイレ側トレーと、
を備え、
前記居住側トレーと前記トイレ側トレーとが交換自在とされ、当該両トレーの交換に対応して前記仕切パネルが前記正面パネル及び前記背面パネルに着脱自在とされ、当該仕切パネルの取付位置によって前記居住スペースとトイレスペースとの配置が変更可能とされ、
前記居住側トレー及び前記トイレ側トレーは、それぞれ底板部と、当該底板部の外周縁に立ち上げられた周壁部と、当該各周壁部の上端縁から外向きに突出した鍔部と、を備え、隣り合った前記居住側トレーと前記トイレ側トレーの各鍔部に、係合する折返し部が備えられている、
ペット用サークル。
【請求項4】
前記居住側トレー及び前記トイレ側トレーは、それぞれ底板部と、当該底板部の外周縁に立ち上げられた周壁部と、当該各周壁部の上端縁から外向きに突出した鍔部と、を備え、隣り合った前記居住側トレーと前記トイレ側トレーの各鍔部に、係合する折返し部が備えられている請求項1に記載のペット用サークル。
【請求項5】
前記居住側トレーは、前記居住スペース内に置かれる又は前記居住スペースから食み出るように置かれ、前記トイレ側トレーは、前記トイレスペース内に置かれる又は前記トイレスペースから食み出るように置かれる請求項1乃至
4のうちいずれか1項に記載のペット用サークル。
【請求項6】
前記正面パネルは、前記居住スペースへの出入口及び前記トイレスペースへの出入口を有し、前記各出入口を開閉する各主扉を備えている請求項1乃至
5のうちいずれか1項に記載のペット用サークル。
【請求項7】
前記正面パネルは、前記居住スペースへの出入口と前記トイレスペースへの出入口との間に設けられる中間部であって、前記仕切パネルが取り付けられる中間部を備えている請求項1乃至
6のうちいずれか1項に記載のペット用サークル。
【請求項8】
前記仕切パネルは、前記居住スペースと前記トイレスペースとの間でペットが出入りできるようにする仕切出入口を有し、当該仕切出入口を開閉する仕切扉とを備えている請求項1乃至
7のうちいずれか1項に記載のペット用サークル。
【請求項9】
前記正面パネル及び前記背面パネルは、居住スペース側の第1のパネルとトイレスペース側の第2のパネルとに二分割され、前記居住スペース側の第1のパネルとトイレスペース側の第2のパネルとを連結する連結部材を備えている請求項1乃至
8のうちいずれか1項に記載のペット用サークル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬や猫などのペットを入れるペット用サークルに関し、特に、居住スペースとトイレスペースとが隣り合うように設けられたペット用サークルに関する。
【背景技術】
【0002】
犬や猫などのペットを屋内で飼えるようにしたペット用サークルが種々提供されている。例えば、特許文献1には、広めの居住スペースと狭めのトイレスペースとが隣り合うように設けられたペット用サークルが記載されている。
【0003】
このペット用サークルは、内部空間を設ける周壁パネルと、この内部空間を居住スペースとトイレスペースとに区画する仕切パネルとを備えている。居住スペースの床面は、タオル地やカーペット地とされている。トイレスペースには、プラスチック製や金属製のトレーが設置されている。なお、ペット用サークルは、一般的に正面のパネルに扉を取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたペット用サークルは、向かって左側に居住スペースが設置され、右側にトイレスペースが設置されている。ペット用サークルは、設置されるリビングルームのレイアウトの関係などから、向かって左側にトイレスペースを設置し、右側に居住スペースを設置したい場合がある。しかし、ペット用サークルは、正面側と背面側を反転させて、居住スペースとトイレスペースとを左右交換すると、扉が壁向きとなり、前面に扉を有さなくなる。
【0006】
本発明は、正面と背面とを反転することなく、隣り合った居住スペースとトイレスペースとの配置を変更することができるようにしたペット用サークルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様のペット用サークルは、
正面パネルと背面パネルと左右の側面パネルとの各側辺が互いに連結され、内側に内部空間を設ける周壁パネルと、
前記内部空間を居住スペースとトイレスペースとに区画するように前記正面パネル及び前記背面パネルに取り付けられる仕切パネルと、
前記居住スペース側に置かれる大きめの居住側トレーと、
前記トイレスペース側に置かれる小さめのトイレ側トレーと、
を備え、
前記居住側トレーと前記トイレ側トレーとが交換自在とされ、当該両トレーの交換に対応して前記仕切パネルが前記正面パネル及び前記背面パネルに着脱自在とされ、当該仕切パネルの取付位置によって前記居住スペースとトイレスペースとの配置が変更可能とされている。
【0008】
前記居住側トレーは、前記居住スペース内に置かれる又は前記居住スペースから食み出るように置かれ、前記トイレ側トレーは、前記トイレスペース内に置かれる又は前記トイレスペースから食み出るように置かれてもよい。
【0009】
前記正面パネルは、前記居住スペースへの出入口及び前記トイレスペースへの出入口を有し、前記各出入口を開閉する主扉を備えていてもよい。
この場合、前記正面パネルは、前記居住スペースへの出入口と前記トイレスペースへの出入口との間に設けられる中間部であって、前記仕切パネルが取り付けられる中間部を備えていてもよい
前記仕切パネルは、前記居住スペースと前記トイレスペースとの間でペットが出入りできるようにする仕切出入口を有し、当該仕切出入口を開閉する各仕切扉とを備えていてもよい。
【0010】
前記正面パネル及び前記背面パネルは、居住スペース側の第1のパネルとトイレスペース側の第2のパネルとに二分割され、前記居住スペース側の第1のパネルとトイレスペース側の第2のパネルとを連結する連結部材を備えていてもよい。
少なくとも前記正面パネル及び前記背面パネルは、複数本の線材を格子状に組んだ檻状とされ、前記仕切パネルの着脱位置で隣り合っている線材の間隔が他の位置で隣り合っている間隔よりも狭くされていてもよい。
【0011】
前記居住側トレー及び前記トイレ側トレーは、それぞれ底板部と、当該底板部の外周縁に立ち上げられた周壁部と、当該各周壁部の上端縁から外向きに突出した鍔部と、を備え、隣り合った前記居住側トレーと前記トイレ側トレーの各鍔部に、係合する折返し部が備えられていてもよい。
【0012】
前記居住側トレー及び前記トイレ側トレーは、一体化されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、正面と背面とを反転することなく、隣り合った居住スペースとトイレスペースとの配置を変更することができるようにしたペット用サークルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係るペット用サークルの一実施形態を示す斜視図であって、居住スペースが右側、トイレスペースが左側にある状態を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係るペット用サークルの一実施形態を示す斜視図であって、居住スペースが左側、トイレスペースが右側にある状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係るペット用サークルの一実施形態を示す斜視図であって、居住スペースが右側、トイレスペースが左側にある状態を示す分解斜視図である。
【
図4】本発明に係るペット用サークルの一実施形態を示す斜視図であって、正面パネルに備えられた主扉及び仕切パネルに備えられた仕切扉が開けられている状態を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係るペット用サークルに備えられたトレーの一実施形態を示す断面正面図であって、(a)は全体を示す正面断面図、(b)は、要部を拡大した正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のペット用サークルの一実施形態について図面を参照して説明する。本発明のペット用サークルは、周壁パネル1と、仕切パネル2と、居住側トレー41と、トイレ側トレー42と、を備えている。本発明のペット用サークルは、さらに天井パネル3を備えている。
【0016】
図1乃至
図4に示すように、周壁パネル1は、リビングルームのフロアなどの上に設置され、正面パネル11と背面パネル12と左右の側面パネル13,14とを備えている。各パネル11~14は、各側辺が連結部材15によって互いに連結される。周壁パネル1の内側に内部空間5が設けられる。仕切パネル2は、内部空間5を広めの居住スペース51狭めのトイレスペース52とに区画するように正面パネル11及び背面パネル12に取り付けられる。
【0017】
図3にも示すように、周壁パネル1、仕切パネル2及び天井パネル3は、複数本の線材(番線)6を格子状に組んだ檻状とれている。すなわち、正面パネル11は、起立姿勢で並べられた多数本の線材6と、水平姿勢で並べられた複数本の線材6とによって檻状とされている。背面パネル12、左右の側面パネル13,14及び仕切パネル2は、起立姿勢で並べられた多数本の線材6と、上下の2か所及び中間の2か所とに水平姿勢で並べられた線材6とによって檻状とされている。天井パネル3は、水平姿勢で正面パネル11と背面パネル12とに架け渡されるように並べられた多数本の線材6と、水平姿勢で左右の両側面パネル13,14に架け渡されるように並べられた複数本(例えば4本)の線材6とによって檻状とされている。
【0018】
正面パネル11、背面パネル12及び天井パネル3は、居住スペース51側の第1の分割パネル(採番せず)とトイレスペース52の第2の分割パネル(採番せず)に二分割される。分割パネルは、重ね合わされることで、コンパクトに梱包することができる。分割パネルは、連結部材15によって連結されることで、フラットな所定の大きさの正面パネル11、背面パネル12及び天井パネル3に組み立てられる。
【0019】
図4にも示すように、正面パネル11の第1の分割パネルは、居住スペース51への出入口又はトイレスペース52への出入口となる第1の出入口111を有し、この第1の出入口111を開閉する第1の主扉113を備えている。正面パネル11の第2の分割パネルは、居住スペース51への出入口又はトイレスペース52への出入口となる第2の出入口112を有し、この第2の出入口112を開閉する第2の主扉114を備えている。両主扉113,114は、蝶番のような支持部材115を基端側の軸にして手前側に開閉する開き戸である。支持部材115は、側面パネル13,14に隣接する正面パネル11の線材6に取り付けられる。
【0020】
各主扉113,114の先端部には、ロック部材116が取り付けられている。ロック部材116は、各主扉113,114の上部及び下部で突出・退入するスライド部材117と、スライド部材117を操作するハンドル(採番せず)とを備えている。スライド部材117が突出することで、各主扉113,114が開けられないようにされている。スライド部材117が退入することで、各主扉113,114が開けられるようにされている。
【0021】
正面パネル11は、居住スペース51の出入口とトイレスペース52の出入口との間に中間部118を設けたものとされる。中間部118は、第1の分割パネルに設けられ、第2の分割パネルに設けられない。したがって、第1の分割パネルは、第2の分割パネルよりも中間部118の分だけ大きく形成されている。この中間部118の一端(例えば左端)又は他端(例えば右端)に仕切パネル2の前側端縁が位置する。
【0022】
仕切パネル2の上端縁には、一対の掛止部23,23が反対方向に突出するように設けられている。各掛止部23,23が正面パネル11と背面パネル12の各上側の水平姿勢の線材6に掛止される。仕切パネル2の背面側は、中間部118と向き合う背面パネル12に位置する。正面パネル11の中間部118と、この中間部118と向き合う背面パネル12の中間部118は、両線材6の間隔が、中間部118以外の部位の線材6の間隔よりも狭くされている。こうすることで、仕切パネル2が位置ずれしないようにすることができるとともに、仕切パネル2を掛止する位置の目印となる。
【0023】
仕切パネル2は、居住スペース51とトイレスペース52との間でペットが出入りできるようにする仕切出入口21を有し、この仕切出入口21を開閉する仕切扉22とを備えている。仕切出入口21は、例えば、正面パネル11側に設けられる。仕切扉22は、スライドする引き戸とされている。仕切パネル2は、仕切扉22のスライドをガイドする線材6を備えている。
【0024】
天井パネル3の第1の分割パネルと第2の分割パネルは、同じ大きさに形成される。天井パネル3の第2の分割パネルが天井パネル3の第1の分割パネルと隣り合う側(基端側)の線材6であって、正面パネル11及び背面パネル12と平行に向いた線材6の一対は、天井パネル3の第1の分割パネルの線材6であって、天井パネル3の第2の分割パネルと隣り合っている線材6に間隔を空けて巻き付くように延長した折返し部(採番せず)を備えている。この折返し部によって、天井パネル3の第1の分割パネルと第2の分割パネルとが平坦な状態と跳ね上がった状態とに姿勢転換するように開閉する。
【0025】
天井パネル3の第1の分割パネルは、居住スペース51を囲む側の正面パネル11、背面パネル12及び一方(図面では右側)の側板パネル13の上縁に重なるように設置され、跳ね上がった開扉状態と、居住スペース51を閉じた閉扉状態とに開閉する。天井パネル3の第2の分割パネルは、トイレスペース52を囲む側の正面パネル11、背面パネル12及び他方(図面では左側)側板パネル14の上縁に重なるように設置され、跳ね上がった開扉状態と、トイレスペース52を閉じた閉扉状態とに開閉する。
【0026】
さらに、天井パネル3の両分割パネルの遊端側には、閉扉した状態を維持できるように、各側板パネル13,14の上縁の線材6に引っ掛かるフック31,31が設けられている。天井パネル3の各分割パネルの遊端部は、上向きの力が加えられることで、フック31,31が各側板パネル13,14の上縁の線材6から外れ、開扉することができる。
【0027】
広めの居住スペース51内には、大きめの居住側トレー41が置かれる。狭めのトイレスペース52内には、小さめのトイレ側トレー42が置かれる。両トレー41,42は、例えばABS樹脂のような樹脂や金属などで成形される。居住側トレー41がトイレ側トレー42よりも大きくても、正面パネル11に中間部118が設けられていることにより、居住側トレー41が両出入口111,112に食み出ることはない。換言すれば、居住側トレー41が両出入口111,112に食み出ないような大きさに中間部118が設けられる。
【0028】
図5に示すように、居住側トレー41及びトイレ側トレー42は、それぞれ底板部411,421と、この底板部411,421の外周縁に立ち上げられた周壁部412,422と、この各周壁部412,422の上端縁から外向きに突出した鍔部413,423とを備えている。隣り合った居住側トレー41の鍔部413とトイレ側トレー42の鍔部423とには、係合する折返し部414,424がそれぞれ備えられている。トイレ側トレー42の折返し部424が居住側トレー41の折返し部414に被さることで、両トレー41,42が連結される。なお、図示しないが、居住側トレー41の折返し部414がトイレ側トレー42の折返し部424に被さるようにしてもよい。
【0029】
居住側トレー41の底板部411には、複数(図面では3か所)の突起415が設けられている。突起415は、折返し部414が設けられる周壁部412に近接して設けられている。つまり、居住側トレー41には、突起415と周壁部412との間に溝部416が形成された状態とされている。この溝部416内に仕切パネル2の下縁部が嵌め込まれる。このようにして仕切パネル2は、ガタツキがないように内部空間5を仕切る。
【0030】
ここで、本実施形態のペット用サークルの組立手順について説明する。まず、リビングルームのレイアウトなどから、ペットの飼主である使用者は、向かって右側に居住スペース51を設置し、左側にトイレスペース52を設置するか、あるいは、向かって右側にトイレスペース52を設置し、左側に居住スペース51を設置するかを決定する。
【0031】
ペット用サークルの正面パネル11、背面パネル12及び天井パネル3は、第1の分割パネルと第2の分割パネルとに二分割され、重ね合わされ、コンパクトに梱包されて配達される。したがって、開梱した後、使用者は、二分割されている第1の分割パネルと第2の分割パネルとを並べて連結部材15によって一体化し、所定の正面パネル11、背面パネル12及び天井パネル3に組み立てる。
【0032】
なお、正面パネル11は、梱包されたときに、各主扉113,114が両出入口111,112に予め取り付けられたものであってもよいし、別途、取り付けられるものであってもよい。また、仕切パネル2は、梱包されたときに、仕切出入口21に仕切扉22が取り付けられたものであってもよいし、別途、取り付けられるものであってもよい。
【0033】
図1に示すように、右側に居住スペース51を設置し、左側にトイレスペース52を設置する場合は、右側に居住側トレー41を置き、左側にトイレ側トレー42を置く。
図2に示すように、左側に居住スペース51を設置し、右側にトイレスペース52を設置する場合は、左側に居住側トレー41を置き、右側にトイレ側トレー42を置く。いずれにしても、トイレ側トレー42の折返し部424が居住側トレー41の折返し部414に被さることで、両トレー41,42が連結される。
【0034】
使用者は、この両トレー41,42を囲むように周壁パネル1を組み立てる。使用者は、正面パネル11と背面パネル12と側板パネル13,14が両トレー41,42を囲むように起立させる。ただし、仕切パネル2の上端縁で突出した一対の掛止部23,23が正面パネル11の線材6と背面パネル12の線材6とに引っ掛けられるように、正面パネル11と背面パネル12の上部の間隔が下部の間隔よりも広くされている。
【0035】
使用者は、正面パネル11と背面パネル12の上部の間隔と下部の間隔とが同じ、すなわち、正面パネル11と背面パネル12が平行になるように起立させることで、仕切パネル2の上部で突出した一対の掛止部23,23が正面パネル11の線材6と背面パネル12の線材6とに引っ掛けられる。仕切パネル2の下縁部は、居住側トレー41の溝部416内に嵌め込まれる。
【0036】
そして、正面パネル11と背面パネル12と左右の側面パネル13,14との各側辺を連結部材15によって互いに連結することで、内側に内部空間5を設ける周壁パネル1が組み立てられる。周壁パネル1は、連結された居住側トレー41とトイレ側トレー42との両鍔部413,423を囲むことで、両トレー41,42を位置ずれさせない。
【0037】
次に、使用者は、仕切パネル2を正面パネル11と背面パネル12とに取り付ける。
図1に示すように、右側に居住スペース51を設置し、左側にトイレスペース52を設置する場合は、正面パネル11の中間部118の左側に仕切パネル2を位置させる。
図2に示すように、左側に居住スペース51を設置し、右側にトイレスペース52を設置する場合は、正面パネル11の中間部118の右側に仕切パネル2を位置させる。
【0038】
いずれにしても、仕切パネル2の上辺から突出した掛止部23,23が正面パネル11の中間部118及びこの中間部118と対向する背面パネル12の水平姿勢とされた最上の線材6に引っ掛けられる。仕切パネル2の下縁部が居住側トレー41の溝部416内に嵌め込まれる。なお、仕切パネル2は、梱包されたときに、仕切出入口21に仕切扉22が取り付けられたものであってもよいし、別途、取り付けられるものであってもよい。
【0039】
次に、使用者は、内部空間5を塞ぐように天井パネル3の周縁を周壁パネル1上に置く。使用者は、天井パネル3と周壁パネル1とも連結部材15によって連結する。天井パネル3によって、ペットが内部空間5内から飛び出ないようにするとともに、周壁パネル1を保形することができる。
【0040】
ここで、本実施形態のペット用サークルの使用方法について説明する。ここでは、正面パネル11の第1の出入口111側に居住スペース51が設けられ、第2の出入口112側にトイレスペース52が設けられるとして説明する。居住スペース51内の居住側トレー41上には、食器などが置かれる。トイレスペース52内のトイレ側トレー42上には、トイレ用具が置かれる。この食器やトイレ用具は、天井パネル3の各分割パネルを開閉することで、入れたり出したりすることができる。
【0041】
飼主が外出したり、就寝したりするときは、ペットをペット用サークル内に入れて、正面パネル11の両主扉113,114を閉じた状態とする。仕切パネル2の仕切扉22は、基本的に開けた状態とする。
【0042】
ペットに対してトイレ躾するときは、ペットを居住スペース51内に入れて、正面パネル11の両主扉113,114及び仕切パネル2の仕切扉22を閉じた状態とする。ペットの様子から排泄が近づいてきたと察知できた場合、飼主は、仕切パネル2の仕切扉22を開けて、ペットをトイレスペース52へ誘導する。飼主は、ペットがトイレ側トレー42で排泄し終えると、トイレ側トレー42で排泄したことを誉める。
【0043】
そして、飼主は、仕切パネル2の仕切扉22を開けてペットを居住スペース51へ戻す。そして、ペットを内部空間5内から出すときは、飼主は、正面パネル11の居住スペース51の第1の主扉113を開ける。ペットは、居住スペース51へ戻すことなく、正面パネル11のトイレスペース52の第2の主扉114から出すようにしてもよい。
【0044】
ペットに対するトイレの躾ができると、仕切パネル2の仕切扉22は、開けっ放しにしてよい。飼主が外出したり、就寝したりするとき以外は、正面パネル11のトイレスペース52側の第2の主扉114も開けっ放しにしてよい。ただし、躾ができたペットについて、仕切扉22と各主扉113,114の開閉は、飼主の任意である。
【0045】
また、ペット用サークルの設置場所が変更され、居住スペース51とトイレスペース52とを入れ替えたい場合は、天井パネル3を周壁パネル1から外し、仕切パネル2を正面パネル11及び背面パネル12から外し、居住側トレー41とトイレ側トレー42とを交換し、仕切パネル2を正面パネル11及び背面パネル12に付け直す。
【0046】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形改良等は本発明に含まれるものである。
【0047】
例えば、ペット用サークルは、天井パネル3を必ずしも備えなくてもよい。天井パネル3を備えない場合は、周壁パネル1の上縁に枠状のフレーム(図示せず)を固定してもよい。この場合は、枠状のフレームに仕切パネル2の掛止部23を引っ掛ける切欠き部を二対、形成してもよい。
【0048】
また、仕切パネル2は、必ずしも仕切扉22を備えなくてもよい。この場合、ペットは、正面パネル11の居住スペース51への第1の出入口111及びトイレスペース52への第2の出入口112を通って、居住スペース51とトイレスペース52とを行き来する。
【0049】
居住スペース51への第1の出入口111及びトイレスペース52への第2の出入口112は、正面パネル11でなく、少なくとも一方を側面パネル13,14に設けてもよい。また、何れであっても、主扉113,114は、折れ戸としてもよい。主扉113,114に取り付けられるロック部材116は、ターンするだけの部材であったり、ラッチのような部材であったりしてもよい。
【0050】
正面パネル11、背面パネル12及び天井パネル3は、居住スペース51側の分割パネルとトイレスペース52側の分割パネルとに二分割することなく、それぞれ1枚で構成してもよい。逆に、正面パネル11、背面パネル12及び天井パネル3が大型化された場合は、三分割以上としてもよい。正面パネル11や背面パネル12を二分割以上とするときは、連結部材15によって一体化するのではなく、一方の分割パネルの一方の番線が他方の分割パネルの方へ伸びて、他方の分割パネルの直交する番線に巻き付くようにしてもよい。
【0051】
正面パネル11及び背面パネル12は、仕切パネル2の着脱位置の線材6の間隔を必ずしも狭くする必要はない。この場合は、仕切パネル2の取付位置の正面パネル11及び背面パネル12にテープを巻き付けたり着色したりするといったような目印を付し、仕切パネル2が位置ずれしないように掛止部23にスペーサを取り付けてもよい。仕切パネル2は、掛止部23,23にネジを切り、ナット(図示せず)によって固定したものとしてもよい。
【0052】
居住側トレー41とトイレ側トレー42は、必ずしも折返し部414,424を備えることなく、単に並べられるだけとしてもよい。逆に、居住側トレー41とトイレ側トレー42とは、一体化したものとし、左右の向きを逆転させて使用してもよい。この居住側トレー41とトイレ側トレー42とは、一体化したトレーであっても、居住側トレー41の底板部411には、複数(図面では3か所)の突起415が設けられ、突起415と周壁部412との間に溝部416が形成される。
【0053】
正面パネル11、背面パネル12と左右の側面パネル13,14は、連結部材15によって連結することなく、いずれかのパネル11~14の線材6の先端部が延長され、他方の線材6を巻き付くようにして連結してもよい。
【0054】
周壁パネル1や天井パネル3は、複数の線材6を格子状に組んだ檻状とすることなく、いずれかをプラスチック製のボードとしたり、すべてを多数の孔を開けたボードとしたりしてもよい。
【0055】
居住側トレー41とトイレ側トレー42は、それぞれ居住スペース51内とトイレスペース52内に置かれることなく、居住スペース51とトイレスペース52から食み出すように置かれてもよい。この場合は、折返し部414,424を備えていない側の居住側トレー41の周壁部412,422が周壁パネル1の外側を囲む状態となる。正面パネル11の中間部118と背面パネル12の中間部の両下端部が入り込むようにするために、両トレー41,42の折返し部414,424及びこの折返し部414,424を設ける周壁部412,422の両端部は設けられない。
【0056】
以上まとめると、本発明が適用されるペット用サークルは、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態をとることができる。
【0057】
すなわち、本発明に係るペット用サークルは、
正面パネル11と背面パネル12と左右の側面パネル13,14との各側辺が互いに連結され、内側に内部空間5を設ける周壁パネル1と、
内部空間5を居住スペース51とトイレスペース52とに区画するように正面パネル11及び背面パネル12に取り付けられる仕切パネル2と、
居住スペース51側に置かれる大きめの居住側トレー41と、
トイレスペース52側に置かれる小さめのトイレ側トレー42と、
を備え、
居住側トレー41とトイレ側トレー42とが交換自在とされ、当該両トレー41,42の交換に対応して仕切パネル2が正面パネル11及び背面パネル12に着脱自在とされ、当該仕切パネル2の取付位置によって居住スペース51とトイレスペース52との配置が変更可能とされている。
【0058】
このペット用サークルによれば、居住側トレー41とトイレ側トレー42とが交換自在とされ、当該両トレー41,42の交換に対応して仕切パネル2が正面パネル11及び背面パネル12に着脱自在とされていることにより、正面と背面とを反転することなく、隣り合った居住スペース51とトイレスペース52との配置を変更することができる。
【0059】
居住側トレー41は、居住スペース51内に置かれる又は居住スペース51から食み出るように置かれ、トイレ側トレー42は、トイレスペース52内に置かれる又はトイレスペース52から食み出るように置かれる。
【0060】
このペット用サークルによれば、居住側トレー41が居住スペース51内に置かれ、トイレ側トレー42がトイレスペース52内に置かれることにより、周壁パネル1をフロアなどの上に安定して設置することができる。居住側トレー41が居住スペース51から食み出るように置かれ、トイレ側トレー42がトイレスペース52から食み出るように置かれることにより、周壁パネル1を両トレー41,42上に設置するようにすることができる。
【0061】
正面パネル11は、居住スペース51への第1の出入口111及びトイレスペース52への第2の出入口112を有し、各出入口111,112を開閉する各主扉113,114を備えている。
【0062】
このペット用サークルによれば、ペットが居住スペース51又はトイレスペース52へ出入りするときに、居住スペース51への第1の出入口111及びトイレスペース52への第2の出入口112を使用することができる。ペット用サークルは、各主扉113,114を閉扉することで、ペットを内部空間5内に入れておくことができる。正面パネル11が居住スペース51への第1の出入口111、第1の主扉113及びトイレスペース52への第2の出入口112、第2の主扉114を有していても、ペット用サークルは、この両出入口111,112、各主扉113,114を手前に向けたまま、居住スペース51とトイレスペース52との配置を変更することができる。
【0063】
この場合、正面パネル11は、居住スペース51への第1の出入口111とトイレスペース52への第2の出入口112との間に設けられる中間部118であって、前記仕切パネルが取り付けられる中間部118を備えている。
【0064】
このペット用サークルによれば、居住スペース51が大きく、トイレスペース52が小さくされているときに、居住スペース51に設置する居住側トレー41が中間部118内に納まるようにすることができる。
【0065】
仕切パネル2は、居住スペース51とトイレスペース52との間でペットが出入りできるようにする仕切出入口21を有し、当該仕切出入口21を開閉する仕切扉22とを備えている。
【0066】
このペット用サークルによれば、ペットが仕切パネル2の開扉した仕切出入口21を通って、居住スペース51とトイレスペース52とを行き来することができるようにすることができる。ペット用サークルは、仕切扉22を開閉することで、排泄の躾をすることができる。
【0067】
正面パネル11及び背面パネル12は、居住スペース51側の第1のパネルとトイレスペース52側の第2のパネルとに二分割され、居住スペース51側の第1のパネルとトイレスペース52側の第2のパネルとを連結する連結部材15を備えている。
【0068】
このペット用サークルによれば、居住スペース51側の第1のパネルとトイレスペース52側の第2のパネルとに二分割されていることにより、コンパクトに梱包することができ、運送費を抑えることができる。
【0069】
少なくとも正面パネル11及び背面パネル12は、複数本の線材6を格子状に組んだ檻状とされ、仕切パネル2の着脱位置で隣り合っている線材6の間隔が他の位置で隣り合っている間隔よりも狭くされている。
【0070】
このペット用サークルによれば、隣り合っている線材6の間隔が狭くされることにより、仕切パネル2を取り付ける位置がわかりやすくなり、また、仕切パネル2が位置ずれしないようにすることができる。
【0071】
居住側トレー41及びトイレ側トレー42は、それぞれ底板部411,421と、当該底板部411,421の外周縁に立ち上げられた周壁部412,422と、当該各周壁部412,422の上端縁から外向きに突出した鍔部413,423と、を備え、隣り合った居住側トレー41とトイレ側トレー42の各鍔部413,423に、係合する折返し部414,424が備えられている。
【0072】
このペット用サークルによれば、居住側トレー41の鍔部413,423とトイレ側トレー42の鍔部413,423とに備えられた折返し部414,424が係合することで、居住側トレー41とトイレ側トレー42とを一体化し、一方のトレーが他方のトレーに乗り上げないようにすることができる。
【0073】
前記居住側トレー及び前記トイレ側トレーは、一体化されている。このペット用サークルによれば、居住側とトイレ側に分割されていない一体のトレーを使用したいという要請に応えることができる。
【符号の説明】
【0074】
1…周壁パネル
11…正面パネル
111…第1の出入口
112…第2の出入口
113…第1の主扉
114…第2の主扉
118…中間部
12…背面パネル
13…側面パネル
14…側面パネル
15…連結部材
2…仕切パネル
21…仕切出入口
22…仕切扉
3…天井パネル
41…居住側トレー
411…底板部
412…周壁部
413…鍔部
414…折返し部
42…トイレ側トレー
421…底板部
422…周壁部
423…鍔部
424…折返し部
5…内部空間
51…居住スペース
52…トイレスペース
6…線材