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  • 特許-飲食物の消費量カウント装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】飲食物の消費量カウント装置
(51)【国際特許分類】
   A47G 23/12 20060101AFI20220404BHJP
   A47G 23/08 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
A47G23/12
A47G23/08 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017237734
(22)【出願日】2017-12-12
(65)【公開番号】P2019103603
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2019-03-27
【審判番号】
【審判請求日】2020-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】515303584
【氏名又は名称】株式会社FOOD & LIFE COMPANIES
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【弁理士】
【氏名又は名称】椿 豊
(72)【発明者】
【氏名】水留 浩一
【合議体】
【審判長】佐々木 芳枝
【審判官】柿崎 拓
【審判官】長馬 望
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-46958(JP,A)
【文献】特開2003-164365(JP,A)
【文献】特開2000-107005(JP,A)
【文献】特開2002-149780(JP,A)
【文献】特開2003-271713(JP,A)
【文献】特開2006-139549(JP,A)
【文献】特開2006-331075(JP,A)
【文献】特開平11-123136(JP,A)
【文献】登録実用新案第3090840(JP,U)
【文献】特開2011-45466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G23/08
A47G23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の顧客グループ用に備えられる顧客用の複数のテーブルの近傍に設けられる飲食物の運搬経路と、
皿に乗った飲食物を前記運搬経路に沿って運搬し、店舗内を循環させる運搬手段とを備えた店舗に設けられる飲食物の消費量カウント装置であって、
前記テーブルの前記運搬経路上流に設けられ、前記皿を画像で検出することが可能な第1のカメラと、
前記テーブルの前記運搬経路下流に設けられ、前記皿を画像で検出することが可能な第2のカメラと、
前記第1のカメラで前記皿が検出されてから所定時間内に、前記第1のカメラで検出された前記皿が前記第2のカメラで検出されるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に従って、飲食物の消費量をカウントするカウント手段とを備え、
前記カウント手段は、前記所定時間内に前記第1のカメラで検出された前記皿が前記第2のカメラで検出されないと前記判定手段にて判定した場合において、前記第1のカメラで検出されなかった前記皿が前記第2のカメラで検出されたときは、前記所定時間内に前記第2のカメラで検出されなかった前記皿の飲食物が消費されなかったものとして、飲食物の消費量のカウント数を1減算し、
前記第1および第2のカメラの各々、前記第1および第2のカメラの各々で撮影された前記皿の複数の画素を取得し、前記皿の複数の画素に基づいて、前記皿の色を識別可能であり、
前記カウント手段は、前記皿の色ごとに、対応する顧客グループについての飲食物の消費量をカウントする、消費量カウント装置。
【請求項2】
前記顧客用のテーブルの近傍には、顧客から注文を受け付ける注文入力装置が備えられ、
前記注文入力装置に入力された情報と、前記カウント手段のカウント結果とに基づいて飲食料金を演算する演算装置とを備えた、請求項1に記載の飲食物の消費量カウント装置。
【請求項3】
前記カウント手段は、複数の顧客グループのそれぞれについて飲食物の消費量をカウントし、
前記第2のカメラは、前記テーブルの下流側のテーブルについての前記第1のカメラの機能を兼ね備える、請求項1または2に記載の飲食物の消費量カウント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲食物の消費量カウント装置に関し、特に、店舗内で提供される飲食物の消費量をカウントする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食物を客室に搬送して提供する飲食物提供装置について、例えば下記先行技術が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-164365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、飲食物の消費量のカウントを簡易に行うことのできる装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、この発明のある局面に従うと、顧客用のテーブルの近傍に設けられる飲食物の運搬経路と、皿に乗った飲食物を前記運搬経路に沿って運搬し、店舗内を循環させる運搬手段とを備えた店舗に設けられる飲食物の消費量カウント装置は、前記テーブルの前記運搬経路上流に設けられ、前記皿を画像で検出することが可能な第1のカメラと、前記テーブルの前記運搬経路下流に設けられ、前記皿を画像で検出することが可能な第2のカメラと、前記第1のカメラで皿が検出されてから所定時間内に、その皿が第2のカメラで検出されるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に従って、飲食物の消費量をカウントするカウント手段とを備える。
【0006】
好ましくは前記第1および第2のカメラは、前記皿の色を識別可能であり、前記カウント手段は、皿の色ごとに飲食物の消費量をカウントする。
【0007】
好ましくは、前記顧客用のテーブルの近傍には、顧客から注文を受け付ける注文入力装置が備えられ、前記飲食物の消費量カウント装置は、前記注文入力装置に入力された情報と、前記カウント手段のカウント結果とに基づいて飲食料金を演算する演算装置とを備える。
【0008】
好ましくは前記カウント手段は、複数の顧客グループのそれぞれについて飲食物の消費量をカウントし、前記第2のカメラは、前記テーブルの下流側のテーブルについての前記第1のカメラの機能を兼ね備える。
【発明の効果】
【0009】
この発明によると、飲食物の消費量のカウントを簡易に行うことのできる装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態の1つにおける、飲食物の消費量カウント装置(画像認識システム)505を用いた自動会計システムのブロック図である。
図2図1における飲食物の消費量カウント装置(画像認識システム)505の構成を示すブロック図である。
図3図1における飲食物の消費量カウント装置(画像認識システム)505の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおける飲食物の消費量カウント装置(画像認識システム)505を用いた自動会計システムのブロック図である。
【0012】
本自動会計システムは、回転寿司店舗など、皿に乗った飲食物を運搬経路(提供レーン)に沿って運搬し、店舗内を循環させる運搬手段(ベルトコンベアなど)を備えた店舗に設けられる。店舗内には飲食物の運搬経路の近傍に沿って、顧客用のテーブルおよび座席が複数備えられる。顧客用のテーブルおよび座席は、複数の顧客グループ用に複数設けられる。
【0013】
図1を参照して、自動会計システムは、テーブル毎に提供レーンから取られて消費されたすし皿の数を、すし皿の色ごとにカウントする画像認識システム505と、顧客テーブルの席の近傍に備えられる、顧客から注文を受け付けるテーブルタッチシステム(注文入力装置)503と、テーブルタッチシステム(注文入力装置)503から送られてきた情報に基づいて顧客が会計処理、精算を行うセルフレジ501とから構成される。
【0014】
テーブルタッチシステム(注文入力装置)503は、タッチパネルディスプレイなどの表示・入力装置を備えており、顧客から商品の注文情報(オーダー情報)を入力し、それを厨房に送信するとともに、オーダー情報を蓄積する。また、テーブルタッチシステム(注文入力装置)503は、画像認識システム505から送られてくる皿カウント情報を蓄積する。精算時にテーブルタッチシステム(注文入力装置)503は、そのテーブルに対応する顧客グループについて蓄積されたオーダー情報と皿カウント情報とに基づいて、精算情報(提供・消費した商品の種類と数量)をセルフレジ501に送信する。セルフレジ501は、送信されてきた情報に基づいて金額を計算し、顧客に提示するとともに、顧客からの料金の受領や釣り銭の返却などを行う。
【0015】
なお、テーブルタッチシステム(注文入力装置)503に入力された注文に対応する商品は、前述の運搬手段(ベルトコンベアなど)とは異なる搬送手段(別経路のレーン)によって、厨房からそれを注文した顧客へダイレクトに届けられる。
【0016】
画像認識システム505は、1つの顧客テーブル毎に、飲食物の運搬経路の上流側に設けられ、皿を画像で検出することが可能な第1のカメラユニットと、飲食物の運搬経路の下流側に設けられ、皿を画像で検出することが可能な第2のカメラユニットと、各カメラユニットからの信号を処理するパーソナルコンピュータとを備えている。店舗内には、複数の顧客グループが使用する複数のテーブルが存在する。上流側にあるテーブルの第2のカメラユニットの機能と、その1つ下流側にあるテーブルの第1のカメラユニットの機能は、1つのカメラユニットが兼用してもよい。すなわち、1台のカメラユニットに、上流側テーブルの第2のカメラユニットの機能と、その1つ下流側にあるテーブルの第2のカメラユニットの機能とを兼ね備えさせるものである。このような構成を採用することにより、店舗に設置するカメラユニットの数を減少させることができ、機材の設置スペースとコストの減少を図ることができる。
【0017】
図2は、図1における飲食物の消費量カウント装置(画像認識システム)505の構成を示すブロック図である。
【0018】
ここでは店舗内にBOX席A~nのn個のBOX席があり、各BOX席にテーブル115a~115nが存在することを示している。BOX席Aが運搬経路の最も上流にある席であり、BOX席nが運搬経路の最も下流にある席であるものとする。
【0019】
各BOX席にカメラユニット301が設けられる。各カメラユニット301は、運搬経路、および運搬経路上を運ばれる皿をリアルタイムに常時撮影するCCDカメラ301cと、運搬経路の撮影地点に向けられる照明装置301bと、CCDカメラ301cおよび照明装置301bを固定し、電気信号のやりとりを行う基板301aとを備えている。
【0020】
各カメラユニット301に対して専用の小型PC(パーソナルコンピュータ)303が接続されている。各カメラユニット301は、そのテーブルにおける運搬経路の上流の位置を撮影し、第1のカメラユニットの機能を発揮する。また、BOX席B~nに設けられた各カメラユニット301は、そのテーブルの1つ上流側のテーブルについての第2のカメラユニットの機能を兼ね備えている。
【0021】
各カメラユニット301は、例えばMIPI(Mobile Industry Processor Interface)規格により、専用の小型PC(パーソナルコンピュータ)303と通信を行い、かつ、専用の小型PC(パーソナルコンピュータ)303から電源を供給される。
【0022】
最終のBOX席nの下流側の第2のカメラの機能を実現するため、BOX席nの下流側には、カメラユニット301と専用の小型PC(パーソナルコンピュータ)303とが設けられている。
【0023】
図3は、図1における飲食物の消費量カウント装置(画像認識システム)505の動作を示すフローチャートである。
【0024】
このフローチャートに示される処理は、各小型PC(パーソナルコンピュータ)303のCPUによってテーブルごとに実行される。
【0025】
図を参照して、ステップS101において、そのテーブルの上流側に設けられた第1のカメラによってすし皿が検出されると、ステップS103においてその皿の色が識別される。
【0026】
すし皿の検出は、以下のように行われる。各小型PC(パーソナルコンピュータ)303は、すし皿が存在しない状態でのカメラ画像を事前に記憶している。画像中の画素の一部をサンプリングし、それら画素の輝度を記憶していてもよい。店舗営業中に、記憶されたカメラ画像と撮影されたカメラ画像とで変化があるかが判定され、変化がある場合にはすし皿が検出されたものとする。
【0027】
すし皿の色の検出は、以下のように行われる。事前に、RGBの色空間を適当な大きさの領域に分割する。撮影された皿の縁の画素を取得し、それがどの領域に含まれるかを決定し、該当する領域のカウンタを+1する(この分類によって似た色をまとめ、真値からの誤差、色ムラを除去し平均化する)。皿の縁の全画素の分類後、最も多い色を皿の色とする。
【0028】
その後、検出した皿の色のRGBコードを色相、明度、色相で色を表現するHLSコードに変換する。変換後の(色相、明度)を色の検出結果とする(彩度は皿毎の差異が出にくいため使用しないものとする)。色相だけでは似た色の差が小さく色数を増やせないため、明度も採用し、同じ系統の色の「明るい色」と「暗い色」とで明度の差をつけ色数を増やすこととしている。
【0029】
ステップS105において、所定時間にそのテーブルの下流側に設けられた第2のカメラによってすし皿が検出されたか否かを判定する。これは、運搬手段(ベルトコンベアなど)の運搬速度と、第1のカメラおよび第2のカメラの間の距離から、第1のカメラですし皿が検出されてから第2のカメラですし皿が検出されるまでの時間を所定時間として予測しておき、誤差を考慮した時間範囲内に、第1のカメラによって撮影されたすし皿と同じ皿が第2のカメラによって検出されるか否かを判定するものである。
【0030】
ステップS105において、上流で検出されたものと同じすし皿が下流でも検出されたのであれば、そのテーブルにおいてすし皿は取られずに(消費されずに)通過したものと判定する(ステップS107)。ステップS105において、上流で検出されたものと同じすし皿が下流では検出されなかったのであれば、そのテーブルにおいてすし皿は取られた(消費された)ものと判定し、対応する色の皿の数を+1カウントアップする(ステップS109)。
【0031】
顧客が食事を終えてテーブルを離れるときに、テーブルタッチシステム503の会計・精算ボタンを押下すると、テーブルタッチシステム503への入力で注文された商品の種類・数量と、画像認識システム505で自動的に検出された消費された商品の種類(皿の色)・数量とが精算情報としてセルフレジ501に送られる。
【0032】
セルフレジ501において、テーブルタッチシステム503への入力で注文された商品の種類・数量と、画像認識システム505で自動的に検出された消費された商品の種類(皿の色)・数量とに基づいて、合計金額が算出される。例えば、すし皿の色により商品の金額に差を設けている場合には、すし皿の色ごとの消費数のカウントが行われ、その色のすし皿の単価と、その色のすし皿の消費数の乗算結果が演算され、全ての色のすし皿についての乗算結果が合計される。
【0033】
セルフレジ501は、金額を顧客に提示するとともに、顧客からの料金の受領や釣り銭の返却などを行う。
【0034】
なお上述の実施の形態において、カメラによってすし皿上の食品を画像で検出してもよい。すし皿上の食品がテーブル通過中に無くなったかを判定し、無くなった場合にはその食品が消費されたとして消費数をカウントアップするものである。
【0035】
また、店舗によっては、商品の種類、説明を記載したサンプル皿に続いて、そのサンプル皿に対応する商品を搬送する場合がある。この場合、カメラによってサンプル皿も画像として検出することで、それに続く商品の種類を判定することができる。このようにサンプル皿も画像検出に用いることで、より正確な商品種類の判定を行うことができる。
【0036】
なお、図3のフローチャートのステップS105において、上流で検出された皿が所定時間内に下流の第2のカメラで検出されなかったとしても、それは顧客が一旦そのすし皿を手にし、その後それをレーンに戻したことによる場合も考えられる。そこで、第1のカメラで検出されなかったすし皿が第2のカメラで検出されたときには、そのすし皿が実際には消費されなかったものであるとして、消費のカウント数を1減算(消費のカウントから除外)してもよい。
【0037】
以上のようにして構成された、飲食物の消費量カウント装置および自動会計システムによって、顧客の消費した飲食物の量を簡易かつ正確に演算することが可能となる。
【0038】
上述の実施の形態における処理は、ソフトウェアにより行っても、ハードウェア回路を用いて行ってもよい。また、上述の実施の形態における処理を実行するプログラムを提供することもできるし、そのプログラムをCD-ROM、フレキシブルディスク、ハードディスク、ROM、RAM、メモリカードなどの記録媒体に記録してユーザーに提供することにしてもよい。プログラムは、CPUなどのコンピューターにより実行される。また、プログラムはインターネットなどの通信回線を介して、装置にダウンロードするようにしてもよい。
【0039】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0040】
115a~115n BOX席のテーブル
301 カメラユニット
301c カメラ
303 小型PC
501 セルフレジ
503 テーブルタッチシステム(注文入力装置)
505 画像認識システム

図1
図2
図3