(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】発光表示装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/24 20060101AFI20220404BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220404BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220404BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220404BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20220404BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
H05B33/24
H01L27/32
H05B33/14 A
G09F9/30 330
G09F9/30 365
G09F9/302 C
G09F9/302 Z
G09F9/00 366G
(21)【出願番号】P 2018004365
(22)【出願日】2018-01-15
【審査請求日】2020-11-18
(31)【優先権主張番号】10-2017-0029513
(32)【優先日】2017-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】特許業務法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】李 相 雨
(72)【発明者】
【氏名】朴 興 洙
(72)【発明者】
【氏名】尹 智 煥
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 載 ▲薫▼
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104009067(CN,A)
【文献】特開2009-288956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/00 - 33/28
H01L 27/32
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる色相を実現する第1画素、第2画素および第3画素と、赤外線発光部と、を含む基板と、
前記基板上に位置する第1電極と、
前記第1電極と対向する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に位置する発光層と、
前記第1電極と前記発光層との間に位置する補助層と、を含み、
前記補助層は、前記第1画素に位置する第1補助層と、前記赤外線発光部に位置する第2補助層と、を含み、
前記第1補助層および前記第2補助層は、同一の物質を含
み、
前記第1補助層は、前記第1画素が含む共振補助層である、発光表示装置。
【請求項2】
前記第1補助層および前記第2補助層は、同一の層に位置する請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項3】
前記発光層は、前記赤外線発光部に位置する赤外線発光層を含み、前記赤外線発光層は、前記第2補助層上に位置する請求項2に記載の発光表示装置。
【請求項4】
前記発光層は、前記第1画素に位置する第1発光層をさらに含み、前記赤外線発光層は、前記第1発光層と同一の層に位置する請求項3に記載の発光表示装置。
【請求項5】
前記発光層は、前記第1画素に位置する第1発光層と、前記赤外線発光部に位置する第2発光層と、をさらに含み、
前記第1発光層および前記第2発光層は、同一の物質を含む請求項3に記載の発光表示装置。
【請求項6】
前記第1発光層および前記第2発光層は、同一の層に位置する請求項5に記載の発光表示装置。
【請求項7】
前記赤外線発光層は、前記第2発光層上に位置する請求項6に記載の発光表示装置。
【請求項8】
前記補助層は、前記第2画素に位置する第3補助層および前記赤外線発光層と前記第2発光層との間に位置する第4補助層をさらに含み、
前記第3補助層および前記第4補助層は、同一の物質を含む請求項7に記載の発光表示装置。
【請求項9】
前記第3補助層および前記第4補助層は、同一の層である請求項8に記載の発光表示装置。
【請求項10】
前記第1画素、前記第2画素および前記第3画素は、それぞれ緑色画素、赤色画素および青色画素に対応し、前記第1画素の第1補助層が、前記第2補助層と同一の層に位置する請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項11】
前記赤外線発光部で発生する波長は、700ナノメートル以上1000ナノメートル以下の範囲を有する請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項12】
前記基板は、赤外線受光部をさらに含み、前記赤外線発光部および前記赤外線受光部は、前記第1画素、前記第2画素および前記第3画素が配置される面を平面視したとき、前記第1画素、前記第2画素および前記第3画素の中で隣り合う画素の間に位置する請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項13】
前記平面視したとき、前記第1画素、前記第2画素および前記第3画素は、第1方向に沿って配列されており、前記赤外線発光部および前記赤外線受光部は、前記第1方向と交差する第2方向に沿って配列されている請求項12に記載の発光表示装置。
【請求項14】
前記平面視したとき、前記第1画素、前記第2画素および前記第3画素は、第1方向に沿って配列されており、前記赤外線発光部および前記赤外線受光部は、前記第1方向に沿って配列されている請求項12に記載の発光表示装置。
【請求項15】
前記赤外線発光部と前記赤外線受光部との間に前記第1画素、前記第2画素および前記第3画素が位置する請求項14に記載の発光表示装置。
【請求項16】
前記赤外線発光部は、前記第1画素と前記第2画素との間に位置し、前記平面視したとき、前記第1画素、前記赤外線発光部および前記第2画素は、第1方向に沿って配列されており、前記赤外線受光部は、前記第1画素、前記赤外線発光部および前記第2画素に対して前記第1方向と交差する第2方向に沿って配列されている請求項12に記載の発光表示装置。
【請求項17】
前記赤外線発光部および前記赤外線受光部のうち少なくとも一つは、前記第1画素および前記第2画素と第3方向に沿って配列されており、前記第3画素と前記第3方向と交差する第4方向に沿って配列されている請求項12に記載の発光表示装置。
【請求項18】
前記赤外線受光部には透明窓およびセンサ層が位置し、前記透明窓および前記センサ層は、前記基板の上部面と垂直方向に沿って重なる請求項12に記載の発光表示装置。
【請求項19】
前記センサ層は、前記基板と前記第1電極との間に位置する請求項18に記載の発光表示装置。
【請求項20】
前記透明窓は、透明伝導性物質を含む請求項19に記載の発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子は、陽極(anode)から供給される正孔(hole)と陰極(cathode)から供給される電子(electron)とが、陽極と陰極との間に形成された発光層内で結合して励起子(exciton)が形成され、この励起子が安定化されることで光を放出する素子である。
【0003】
発光素子は、広い視野角、速い応答速度、薄い厚さ、低い消費電力などの様々な長所を有しているため、テレビ、モニター、携帯電話機などの多様な電気装置および電子装置に幅広く適用されている。
【0004】
発光素子を含む発光表示装置において、センサを実現するためにセンサモジュールを追加しなければならない場合がある。このとき、センサモジュールの製造のために工程や費用が追加され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、パネルの内部に形成された赤外線発光素子およびセンサを有する発光表示装置を提供することにある。しかし、本発明の実施形態が解決しようとする課題は、上述した課題に限らず、本発明に含まれている技術的な思想の範囲で多様に拡張され得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る発光表示装置は、互いに異なる色相を実現する第1画素、第2画素および第3画素と、赤外線発光部と、を含む基板と、前記基板上に位置する第1電極と、前記第1電極と対向する第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する発光層と、前記第1電極と前記発光層との間に位置する補助層と、を含み、前記補助層は、前記第1画素に位置する第1補助層と、前記赤外線発光部に位置する第2補助層と、を含み、前記第1補助層および前記第2補助層は、同一の物質を含む。
【0007】
前記第1補助層および前記第2補助層は、同一の層に位置してもよい。
【0008】
前記発光層は、前記赤外線発光部に位置する赤外線発光層を含み、前記赤外線発光層は、前記第2補助層上に位置してもよい。
【0009】
前記発光層は、前記第1画素に位置する第1発光層をさらに含み、前記赤外線発光層は、前記第1発光層と同一の層に位置してもよい。
【0010】
前記発光層は、前記第1画素に位置する第1発光層と、前記赤外線発光部に位置する第2発光層と、をさらに含み、前記第1発光層および前記第2発光層は、同一の物質を含んでもよい。
【0011】
前記第1発光層および前記第2発光層は、同一の層に位置してもよい。
【0012】
前記赤外線発光層は、前記第2発光層上に位置してもよい。
【0013】
前記補助層は、前記第2画素に位置する第3補助層および前記赤外線発光層と前記第2発光層との間に位置する第4補助層をさらに含み、前記第3補助層および前記第4補助層は、同一の物質を含んでもよい。
【0014】
前記第3補助層および前記第4補助層は、同一の層であってもよい。
【0015】
前記第1画素、前記第2画素および前記第3画素は、それぞれ緑色画素、赤色画素および青色画素に対応し、前記第1画素の第1補助層が、前記第2補助層と同一の層に位置してもよい。
【0016】
前記赤外線発光部で発生する波長は、700ナノメートル以上1000ナノメートル以下の範囲を有してもよい。
【0017】
前記基板は、赤外線受光部をさらに含み、前記赤外線発光部および前記赤外線受光部は、前記第1画素、前記第2画素および前記第3画素が配置される面を平面視したとき、前記第1画素、前記第2画素および前記第3画素の中で隣り合う画素の間に位置してもよい。
【0018】
前記平面視したとき、前記第1画素、前記第2画素および前記第3画素は、第1方向に沿って配列されており、前記赤外線発光部および前記赤外線受光部は、前記第1方向と交差する第2方向に沿って配列されてもよい。
【0019】
前記平面視したとき、記第1画素、前記第2画素および前記第3画素は、第1方向に沿って配列されており、前記赤外線発光部および前記赤外線受光部は、前記第1方向に沿って配列されてもよい。
【0020】
前記赤外線発光部と前記赤外線受光部との間に前記第1画素、前記第2画素および前記第3画素が位置してもよい。
【0021】
前記赤外線発光部は、前記第1画素と前記第2画素との間に位置し、前記平面視したとき、前記第1画素、前記赤外線発光部および前記第2画素は、第1方向に沿って配列されており、前記赤外線受光部は、前記第1画素、前記赤外線発光部および前記第2画素に対して前記第1方向と交差する第2方向に沿って配列されてもよい。
【0022】
前記赤外線発光部および前記赤外線受光部のうち少なくとも一つは、前記第1画素および前記第2画素と第3方向に沿って配列されており、前記第3画素と前記第3方向と交差する第4方向に沿って配列されてもよい。
【0023】
前記赤外線受光部には透明窓およびセンサ層が位置し、前記透明窓および前記センサ層は、前記基板の上部面と垂直方向に沿って重なってもよい。
【0024】
前記センサ層は、前記基板と前記第1電極との間に位置してもよい。
【0025】
前記透明窓は透明伝導性物質を含んでもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一実施形態によれば、赤外線発光素子および/またはセンサを発光素子の画素と共にパネルの内部に配置して工程が単純化された発光表示装置を実現することができる。また、発光表示装置の物理的なボタンを代替して指紋センサなどを実現して表示領域の面積を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係る複数の画素および赤外線発光部の配置を示す平面図である。
【
図3】赤色画素、緑色画素および赤外線発光部における膜厚に応じた発光強度(luminous intensity)を最適化して示すグラフである。
【
図4】
図2の実施形態に係る赤外線発光部の構造を変形した一実施形態を示す断面図である。
【
図5】
図2の実施形態に係る赤外線発光部の構造を変形した一実施形態を示す断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る複数の画素、赤外線発光部および赤外線受光部の配置を示す平面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る赤外線受光部を示す断面図である。
【
図8】
図6の画素群の配置を変形した一実施形態を示す平面図である。
【
図9】
図6の画素群の配置を変形した一実施形態を示す平面図である。
【
図10】
図6の画素群の配置を変形した一実施形態を示す平面図である。
【
図11】
図6の画素群の配置を変形した一実施形態で複数の画素群を示す平面図である。
【
図12】
図11の実施形態に係る複数の画素群の配置を変形した一実施形態を示す平面図である。
【
図13】
図11の実施形態に係る複数の画素群の配置を変形した一実施形態を示す平面図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る赤外線センサ部を形成した発光表示装置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付する図面を参照して本発明の様々な実施形態について、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が、容易に実施できるように詳しく説明する。しかしながらここで説明する実施形態に限定されず、本発明は多様な形態に実現され得る。
【0029】
本発明を明確に説明するため、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素に対しては同一の参照符号を付する。また、図面に示す各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜上任意に示しているため、本発明は必ずしも図面に示したものに限られない。図面において、複数層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示す。また、説明の便宜上、一部層および領域の厚さを誇張して示している。
【0030】
また、層、膜、領域、板のような各部分が他の部分の「上に」あるとするとき、それは他の部分の「直上に」ある場合だけではなく、その間に他の部分が介在された場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上に」あるとするときは、その間に他の部分が存在しないことを意味する。また、基準になる部分の「上に」あるとすることは、基準になる部分の上または下に位置するものであり、必ずしも重力の反対方向を「上に」位置すると意味するものではない。
【0031】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に記載がない限り、他の構成要素を排除することではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0032】
また、明細書全体において、「平面視」とするとき、これは複数の画素および赤外線発光が配置される面を上から見たときを意味し、「断面上」から見るとするとき、これは複数の画素および赤外線発光を積層方向に切断した断面を横から見たときを意味する。
【0033】
図1は本発明の一実施形態に係る複数の画素および赤外線発光部の配置を示す平面図である。
【0034】
図1を参照すると、本発明の実施形態に係る発光表示装置の基板23は、互いに異なる色相を実現する第1画素G、第2画素Rおよび第3画素Bを含み、赤外線発光部IRを含む。第1画素G、第2画素R、第3画素Bおよび赤外線発光部IRは、平面視したとき、第1方向D1に沿って第2画素R、第1画素G、赤外線発光部IRおよび第3画素Bが順次配列されており、第1方向D1と交差する第2方向D2に沿って同じ画素が並んで配列され、赤外線発光部IRが並んで配列されてもよい。
図1では、赤外線発光部IRは、第1画素Gと第3画素Bとの間に位置しているが、これに限らず、第1画素Gと第2画素Rまたは第2画素Rと第3画素Bとの間に位置してもよい。
【0035】
画素(R、G、B)は、画面を構成している最小単位の明暗を示す点であってもよく、赤外線発光部IRは、照度センサ、近接センサ、指紋認識センサ、虹彩認識センサ、または静脈センサなどとして機能するために必要な約700ナノメートル以上1000ナノメートル以下の範囲の赤外線を放出する領域を示してもよい。
図1において、第2画素R、第1画素G、赤外線発光部IRおよび第3画素Bが、一つの画素群PXGを形成してもよく、基板23上に複数の画素群PXGが第1方向D1および第2方向D2に沿って上下左右に配列されてもよい。
【0036】
図1においては、第2画素R、第1画素G、赤外線発光部IRおよび第3画素Bからなる画素群PXGが繰り返し配列される場合を示すが、赤外線発光部IRは、すべての画素群PXGではなく一部の画素群PXGにのみ含まれてもよい。一例として、第2画素R、第1画素Gおよび第3画素Bからなる第1画素群と、第2画素R、第1画素G、赤外線発光部IRおよび第3画素Bからなる第2画素群PXGとが第1方向D1に沿って交互に配列されたり、前記第1画素群2つごとに前記第2画素群1つが交互に配列されてもよい。これに限らず、多様な方法によって複数の画素群が基板23上に配列されてもよい。このとき、センシングの正確性のために、規則性を有して画素群が配列されることが好ましい。
【0037】
図2は
図1の画素群の断面構造を示す図である。
図1で説明した第2画素R、第1画素G、赤外線発光部IRおよび第3画素Bそれぞれに対応する発光素子を
図2で基板23の上に示す。
【0038】
図2を参照すると、本実施形態に係る発光表示装置は、基板23の上に位置する第1電極120、第1電極120と対向する第2電極190、第1電極120と第2電極190との間に位置する発光層150、第1電極120と発光層150との間に位置する正孔伝達層130、発光層150と第2電極190との間に位置する電子輸送層160、電子輸送層160と第2電極190との間に位置する電子注入層180、および第2電極190の上に位置するキャッピング層200を含む。
【0039】
第1電極120は、それぞれの画素毎に配置される。本実施形態において第1電極120は反射電極であってもよい。反射電極とは、発光層150で発生した光を第2電極190側に送るために、光を反射する性質を有する物質を含む電極である。ここで、光を反射する性質とは、入射光に対する反射率が約70%以上約100%以下の範囲を意味し、より好ましくは約80%以上約100%以下の範囲を意味する。
【0040】
第1電極120は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、チタニウム(Ti)、金(Au)、パラジウム(Pd)またはこれらの合金を含んでもよく、銀(Ag)/酸化インジウム錫(ITO)/銀(Ag)の三層膜構造または酸化インジウム錫(ITO)/銀(Ag)/酸化インジウム錫(ITO)の三層膜構造などを有してもよい。
【0041】
第1電極120は、スパッタリング(sputtering)法、気相蒸着(vapor phase deposition)法、イオンビーム蒸着(ion beam deposition)法、または電子ビーム蒸着(electron beam deposition)法などを利用して形成してもよい。
【0042】
正孔伝達層130は、第1電極120と発光層150との間に位置する付帯層に対応する。正孔伝達層130は、第1電極120上に複数の画素を跨がって配置される。正孔伝達層130は、正孔注入層と正孔輸送層のうち少なくとも一つを含んでもよい。正孔注入層は、第1電極120から正孔の注入を容易にし、正孔輸送層は、正孔注入層から伝達される正孔を円滑に発光層150に輸送する機能を有する。正孔伝達層130は、正孔注入層上に正孔輸送層が位置する2層構造として形成されたり、正孔注入層を形成する物質と正孔輸送層を形成する物質とが混合されて単一層として形成されてもよい。
【0043】
正孔伝達層130は有機物質を含んでもよい。例えば、正孔伝達層130は、N、N-ジナフチル-N、N’-ジフェニルベンジジン(N,N-dinaphthyl-N,N’-diphenyl benzidine;NPD)、N、N’-ビス-3-メチルフェニル)-N、N’-ビス-(フェニル)-ベンジジン(N,N’-bis-3-methylphenyl)-N,N’-bis-(phenyl)-benzidine;TPD)、2,2’,7,7’-テトラキス(N,N-ジフェニルアミノ)-9,9’-スピロビフルオレン(2,2’,7,7’-tetrakis(N,N-diphenylamino)-9,9’-spirobifluorene;spiro-TAD)、4,4’,4”-トリス(N-3-メチルフェニル-N-フェニル-アミノ)-トリフェニルアミン(4,4’,4”-Tris(N-3-methylphenyl-N-phenyl-amino)-triphenylamine;MTDATA)などを含み得るが、これに限定されない。
【0044】
正孔伝達層130の上には発光層150が位置する。発光層150は、特定の色を表示する発光物質を含む。例えば、発光層150は、青色、緑色または赤色のような基本色またはこれらを組み合わせた色を表示し得る。それぞれの画素毎に対応する色を表示する発光層150が配置される。
【0045】
発光層150の厚さは、10nm以上50nm以下の範囲であってもよい。発光層150はホストおよびドーパントを含む。発光層150は、赤色発光層150R、緑色発光層150G、赤外線発光層150IRおよび青色発光層150Bを含み、これらはそれぞれ第1電極120の上面に平行に水平配置されている。
【0046】
正孔伝達層130は、赤色発光層150Rと第1電極120との間、緑色発光層150Gと第1電極120との間、赤外線発光層150IRと第1電極120との間および青色発光層150Bと第1電極120との間に共通して位置し、共通して位置する部分での正孔伝達層130の厚さは、実質的に同一であってもよい。
【0047】
赤色発光層150Rは、カルバゾールビフェニル(carbazole biphenyl;CBP)または1,3-ビス(カルバゾール-9-イル)(1,3-bis(carbazol-9-yl;mCP)を含むホスト物質を含み、ビス(1-フェニルイソキノリン)アセチルアセトネートイリジウム(bis(1-phenylisoquinoline)acetylacetonate iridium;PIQIr(acac))、ビス(1-フェニルキノリン)アセチルアセトネートイリジウム(bis(1-phenylquinoline)acetylacetonate iridium;PQIr(acac))、トリス(1-フェニルキノリン)イリジウム(tris(1-phenylquinoline)iridium;PQIr)およびオクタエチルポルフィリン白金(octaethylporphyrin platinum;PtOEP)からなる群より選択されたいずれか一つ以上を含むドーパントを含む燐光物質を含む。また燐光物質の代わりに、2-[4-ビフェニリル-5-[4-tert-ブチルフェニル]]-1,3,4-オキサジアゾール(2-[4-biphenyl-5-[4-tert-butylphenyl]]-1,3,4-oxadiazole;PBD)、トリス(ジベンゾイルメタン)モノ(1,10-フェナントロリン)ユーロピウム(III)(Tris(dibenzoylmethane) mono(1,10-phenanthroline)europium(III);Eu(DBM)3(Phen))またはペリレン(Perylene)を含む蛍光物質を含んでもよいが、これに限られない。
【0048】
緑色発光層150Gは、CBPまたはmCPを含むホスト物質を含み、fac-トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(III)(fac-tris(2-phenylpyridine)iridium(III);Ir(ppy)3)を含むドーパント物質を含む燐光物質を含む。また燐光物質の代わりに、トリス(8-ヒドロキシキノリノ)アルミニウム(tris(8-hydroxyquinolino)aluminum;Alq3)を含む蛍光物質を含んでもよいが、これに限られない。
【0049】
青色発光層150Bは、CBP、またはmCPを含むホスト物質を含み、イリジウム(III)ビス(4,6-ジ-フルオロフェニル)-ピリジナト-N,C2')ピコリネート(iridium(III)bis(4,6-di-fluorophenyl)-pyridinato-N,C2')picolinate;(4,6-F2ppy)2Irpic)を含むドーパント物質を含む燐光物質を含む。また燐光物質の代わりに、アントラセン基を有するホスト物質を含み、ジアミノ基を含むドーパントを含んだり、2,2’,7,7’-テトラキス(2,2-ジフェニルビニル)スピロ-9,9’-ビフルオレン(2,2’,7,7’-tetrakis(2,2-diphenylvinyl)spiro-9,9’-bifluorene;spiro-DPVBi)、スピロ-6フェニル(spiro-sixphenyl;spiro-6P)、ジスチールベンゼン(distyrylbenzene;DSB)、ジスチリルアリーレン(distyrylarylene;DSA)、ポリフルオレン(PFO)系高分子およびポリフェニレンビニレン(PPV)系高分子からなる群より選択したいずれか一つを含む蛍光物質を含んでもよいが、これに限られない。
【0050】
また、本実施形態で説明したとおり、赤色発光層150R、緑色発光層150Gおよび青色発光層150Bが、必ずしも有機物質でのみ形成される必要はなく、これらは量子ドットのような無機物質で形成されてもよい。
【0051】
本実施形態において赤外線発光層150IRは、画素発光物質または共振補助層物質に赤外線発光ドーパントがドーピングされて形成されてもよい。画素発光物質とは、前述した赤色発光層150Rまたは緑色発光層150Gのホスト物質であり、共振補助層物質とは、正孔伝達層130に含まれる物質であってもよい。
【0052】
赤外線発光層150IRに含まれている赤外線発光ドーパントは、約700ナノメートル以上1000ナノメートル以下の範囲の波長帯を有し得る。好ましくは赤外線発光ドーパントの波長帯は、約850ナノメートル以上950ナノメートル以下の範囲であってもよい。このような波長帯を有するために本実施形態に係る赤外線発光ドーパントは、金属錯化合物、DAD(Donor-acceptor-donor)型化合物およびランタノイド化合物のうち少なくとも一つを含み得る。
【0053】
本実施形態で金属錯化合物に含まれている金属は、Pt、Pd、CuおよびZnの中から選択された一つを含み得る。本実施形態に係る金属錯化合物は、下記の化学式1で表される化合物であってもよい。
【0054】
【0055】
化学式1において、Lは、NまたはCR’であり、Mは、Pt、Pd、Cu、Zn、Sc、Y、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Ag、Au、Cd、Hg、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、Cl、Br、I、At、ランタノイド族元素またはアクチノイド族元素であってもよい。Rは、Cl、Br、I、Atおよびピロール環のβ炭素に結合された原子を含む基の中から独立して選択され、ここで、原子は、B、C、N、O、Si、P、S、Cl、Ge、As、Se、Br、In、Sn、Sb、Te、I、Tl、Pb、Bi、PoおよびAtの中から選択されてもよい。同一ピロール環に結合された2個の隣接するR基は、ピロール環の2個のβ炭素と共にカルボサイクリック環またはヘテロサイクリック環を形成してもよい。前記CR’において、R’は、フェニル基、トリル基、キシレニル基、メシチル基、メチル基、エチル基、n-プロピル基またはイソプロピル基であり得る。化学式1で表される金属錯化合物は、下記の化学式1-1~化学式1-10の中からいずれか一つであり得るが、これは例示であり、このような金属錯化合物の種類に限られない。
【0056】
化学式1-1は、プラチナテトラフェニルテトラベンゾポルフィリン(Pt-tetraphenyltetrabenzoporphyrin;Pt(TPBP))であり得る。
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
化学式1-1~化学式1-10において、Mは、Pt、Pd、Cu、Zn、Sc、Y、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Ag、Au、Cd、Hg、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、Cl、Br、I、At、ランタノイド族元素またはアクチノイド族元素であり得る。
【0068】
本実施形態において、DAD(Donor-acceptor-donor)型化合物は、下記の化学式2、下記の化学式3または化学式4であり得るが、これは例示であり、このような種類に限られない。化学式3は、4,9-ビス(2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン-5-イル)-6,7-ジメチル-[1,2,5]チアジアゾロ[3,4-g]キノキサリン(4,9-bis(2,3-dihydrothieno[3,4-b][1,4]dioxin-5-yl)-6,7-dimethyl-[1,2,5]thiadiazolo[3,4-g]quinoxaline;BEDOT-TQMe2)であり、化学式4は、4,8-ビス(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-5-イル)ベンゾ[1,2-c;4,5-c´]ビス[1,2,5]チアジアゾール(4,8-bis(2,3-dihydrothieno-[3,4-b][1,4]dioxin-5-yl)benzo[1,2-c;4,5-c´]bis[1,2,5]thiadiazole;BEDOT-BBT)であり得る。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
本実施形態において、ランタノイド化合物は、下記の化学式5、化学式6、化学式7、化学式8または化学式9で表される化合物であり得るが、これは例示であり、このような種類に限られない。
【0073】
【0074】
化学式5において、Zは、炭素原子またはR1-Bの断片(fragment)であり、pは1、2または3であり、qは3-pであり、Aはカウンターイオン(counterion)であり、R1は、i)水素、1個~5個のハロゲンまたは炭素数1~8のアルキル基で選択的に置換されたアリール基、1個~5個のハロゲンまたは炭素数1~8のアルキル基で選択的に置換されたアラルキル(aralkyl)基、またはii)一つ以上のハロゲンで選択的に置換された炭素数1~6のアルキル基、一つ以上のハロゲンで選択的に置換された炭素数1~6のアルケニル基、一つ以上のハロゲンで選択的に置換された炭素数1~6のアルキニル基であり、Mは、3価ランタノイド族元素金属イオンであり、Mは、Tb、Ce、Eu、Er、Gd、Tm、Sm、Ndであり、複数のLは、それぞれZと共有結合され、複数のLは、互いに独立して下記の化学式5-1または下記の化学式5-2から選択され得る。
【0075】
【0076】
【0077】
化学式5-1と化学式5-2において、R2、R3、R4は、独立してi)ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、アミノ基、炭素数1~6のアルキルアミノ基、炭素数1~6のアルキルアミド基、カルボキシル基、炭素数1~6のアルキルオキシカルボニル基、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数1~6のアルキルカルボニル基、炭素数1~6のハロアルコキシ基、水素からなるグループ、ii)前記i)で言及した一つ以上のグループで選択的に置換されたアリール基またはアラルキル基からなるグループ、またはiii)前記i)で言及した一つ以上のグループで選択的に置換された炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルケニル基または炭素数1~6のアルキニル基からなるグループから選択されてもよい。または、R2及びR3またはR3及びR4は、互いに連結または融合(fused)して、芳香性または非芳香性であり、かつLのピラゾリル環を有する環構造を形成してもよい。
【0078】
化学式5において、Z(L)3の例示として、下記の化学式5-1-1、化学式5-2-1および化学式5-2-2で表され得る。
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
化学式6および化学式7において、Lnは、Ce3+、Ce4+、Pr3+、Pr4+、Nd3+、Nd4+、Pm3+、Sm3+、Sm2+、Eu3+、Eu2+、Gd3+、Tb3+、Tb4+、Dy3+、Dy4+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Tm2+、Yb3+、Yb2+またはLu3+であり、R1は、置換または無置換のピラゾリル(pyrazolyl)基、トリアゾリル基、ヘテロアリール基、アルキル基、アルコキシ基、フェノキシ基、アミノ基またはアミド基であり、R2、R3、R4、R5、R6、R7は、水素、ハロゲンまたは選択的にヘテロ原子、特に、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を含み得る炭化水素基であり得る。化合物の揮発性を増加させるため、R2~R7はフルオロ化され得る。化学式8および化学式9において、Ln、R2、R3、R4、R6、R6には、化学式6および化学式7で説明した内容が適用され得る。ランタノイド化合物の例示として、ランタノイド化合物は、下記の化学式10で表される化合物であり得る。
【0087】
【0088】
赤色発光層150R、緑色発光層150G、赤外線発光層150IRおよび青色発光層150Bの中で隣り合う発光層150の間には画素定義膜25が位置してもよい。
【0089】
発光層150と第2電極190との間に、電子輸送層160および電子注入層180が位置する。電子輸送層160は、発光層150に隣接するように位置し、電子注入層180は第2電極190に隣接するように位置する。電子輸送層160および電子注入層180は、発光層150上に複数の画素を跨がって配置される。
【0090】
電子輸送層160は有機物質を含み得る。例えば、電子輸送層160は、Alq3、PBD、1,2,4-トリアゾール(1,2,4-triazole;TAZ)、スピロ-2-[4-ビフェニル-5-[4-tert-ブチルフェニル]]-1,3,4-オキサジアゾール(spiro-2-[4-biphenyl-5-[4-tert-butylphenyl]]-1,3,4-oxadiazole;spiro-PBD)、および8-ヒドロキシキノリンベリリウム塩(8-hydroxyquinoline beryllium salt;BAlq)からなる群より選択されたいずれか一つ以上で行われ得るが、これに限られない。
【0091】
電子輸送層160は、第2電極190から発光層150に電子を伝達する。また、電子輸送層160は、第1電極120から注入された正孔が発光層150を通過して第2電極190に移動することを防止する。つまり、電子輸送層160は、正孔阻止層の役割も果たし、発光層150で正孔と電子の結合を助ける。
【0092】
電子注入層180は、第2電極190から電子輸送層160への電子注入を向上する役割を果たす。電子注入層180は、第1成分と第2成分とが結合されたイオン性化合物を含み得る。ここで、第1成分は、イオン性化合物がイオン化されるとき、陽イオンとなる元素であり、第2成分は、陰イオンとなる元素である。本実施形態において、電子注入層180の厚さは、工程マージンを考慮して約2オングストローム以上25オングストローム以下の範囲であってもよい。
【0093】
電子輸送層160、電子注入層180、および第2電極190は、赤色発光層150Rとキャッピング層200との間、緑色発光層150Gとキャッピング層200との間、および青色発光層150Bとキャッピング層200との間に共通して位置し、共通して位置する部分で電子輸送層160、電子注入層180、および第2電極190の厚さは、実質的に同一であり得る。
【0094】
本実施形態において、青色発光層150Bの下部に青色発光層150Bの効率を高めるための補助層BILが位置してもよい。補助層BILは、正孔電荷バランス(hole Charge Balance)を調節して青色発光層150Bの効率を高める役割を果たす。補助層BILは、下記の化学式11で表される化合物を含んでもよい。
【0095】
【0096】
化学式11において、A1、A2およびA3は、それぞれ水素、アルキル基、アリール基、カルバゾリル基、ジベンゾチオフェニル(dibenzothiophenil)基、ジベンゾフラニル(Dibenzofuranil;DBF)基、ビフェニル(biphenyl)基であってもよく、a、b、cは、それぞれ0~4の整数であってもよい。
【0097】
本実施形態に係る発光表示装置は、赤色発光層150Rの下部に赤色共振補助層150R’が位置し、緑色発光層150Gの下部に緑色共振補助層150G’が位置し得る。これら赤色共振補助層150R’および緑色共振補助層150G’は、各色相別共振距離を合わせるために付加された層である。青色発光層150Bおよび補助層BILの下部には、これらと正孔伝達層130との間に位置する別途の共振補助層がなくてもよい。
【0098】
本実施形態において、赤外線発光層150IRの下部に緑色共振補助層150G’が位置する。すなわち、緑色発光層150Gの下部に位置する共振補助層を第1補助層といい、赤外線発光層150IRの下部に位置する補助層を第2補助層というとき、第1補助層および第2補助層は、緑色共振補助層150G’として互いに同一である。したがって、第1補助層および第2補助層は、互いに同一の物質であり、互いに同一の層に位置する。
【0099】
赤外線発光層150IRは、緑色発光層150Gと同一の層に位置してもよい。このような構造を形成するため、熱蒸発法またはインクジェット方法などで
図1の第1画素Gと赤外線発光部IRに対応する領域に緑色共振補助層150G’を形成し、その後、第1画素Gの緑色共振補助層150G’の上に緑色発光層150Gを形成し、赤外線発光部IRの緑色共振補助層150G’の上に赤外線発光層150IRを形成してもよい。緑色発光層150Gおよび赤外線発光層150IRは、隣り合う画素に形成されてもよい。本実施形態で説明する赤外線発光部IRは、第1画素Gの共振に最適な膜厚と第2画素Rの共振に最適な膜厚との間で、共振に最適な膜厚を有し得る。ここでそれぞれの画素および赤外線発光部の膜厚とは、正孔伝達層130と電子輸送層160に挟まれた層の厚さを意味する。これに関して、
図3を参照してより詳しく説明する。
【0100】
図3は赤色画素、緑色画素および赤外線発光部における膜厚に応じた発光強度(luminous intensity)を最大値を1として最適化して示すグラフである。
図3において「Red」は赤色画素を示し、「Green」は緑色画素を示し、「NIR」は赤外線発光部を示す。
【0101】
図3を参照すると、緑色画素の2次共振に最適な膜厚(2番目ピークに対応する膜厚)と赤色画素の1次共振に最適な膜厚(1番目ピークに対応する膜厚)との間に赤外線発光部の最適共振の膜厚が位置する。特に、赤外線発光部の1次共振に最適な膜厚が緑色画素の2次共振の膜厚と近接するため、本実施形態において赤外線補助層と赤外線発光層とを緑色画素と類似に形成すると、効率低下を最少化し、かつ単純な工程で赤外線発光部を形成することができる。具体的には、緑色共振補助層150G’で赤外線発光部の赤外線補助層を形成し、赤外線発光層150IRを緑色発光層150Gより薄く形成することによって、赤外線発光部の1次共振効率を最大化することができる。変形例として、緑色画素を1次共振の膜厚に設計した場合には、赤外線発光層150IRを緑色発光層150Gより厚く形成することによって、赤外線発光部の1次共振効率を最大化することもできる。
【0102】
図4は、
図2の実施形態に係る赤外線発光部IRの構造を変形した一実施形態を示す断面図である。
【0103】
図4の実施形態は、
図2で説明した実施形態と大部分が同一である。以下、
図2の実施形態と異なる部分について説明し、
図2を参照して説明した内容は、全て
図4の実施形態にも適用可能である。
【0104】
図4を参照すると、赤外線発光層150IRと緑色共振補助層150G’との間に緑色発光層150Gが位置してもよい。すなわち、
図1の第1画素Gに位置する緑色発光層150Gを第1発光層といい、
図1の赤外線発光部IRに位置する緑色発光層150Gを第2発光層というとき、第1発光層および第2発光層は、緑色発光層150Gとして互いに同一であってもよい。したがって、第1発光層および第2発光層は、互いに同一の物質であってもよく、互いに同一の層に位置してもよい。
【0105】
図2で説明した製造方法と同様に、本実施形態に係る発光素子構造を形成するため、熱蒸発法またはインクジェット方法などで
図1の第1画素Gと赤外線発光部IRに該当する領域に緑色共振補助層150G’と緑色発光層150Gとを形成し、その後、赤外線発光部IRの緑色発光層150Gの上に赤外線発光層150IRを形成してもよい。
【0106】
図5は、
図2の実施形態に係る赤外線発光部IRの構造を変形した一実施形態を示す断面図である。
【0107】
図5の実施形態は、
図2および
図4で説明した実施形態と大部分が同一である。以下、
図2および
図4の実施形態と異なる部分について説明する。
図2および
図4を参照して説明した内容は、全て
図5の実施形態にも適用可能である。
【0108】
図5を参照すると、赤外線発光層150IRと緑色発光層150Gとの間に赤色共振補助層150R’が位置してもよい。すなわち、
図1の第2画素Rに位置する補助層を第3補助層といい、赤外線発光層150IRと緑色発光層150Gとの間に位置する補助層を第4補助層というとき、第3補助層および第4補助層は、赤色共振補助層150R’として互いに同一であってもよい。したがって、第3補助層および第4補助層は、互いに同一の物質であってもよい。
【0109】
第3補助層と第4補助層とは同一の層であり、同一の工程段階で形成されてもよい。具体的には、
図1の第1画素Gと赤外線発光部IRに該当する領域に緑色共振補助層150G’と緑色発光層150Gとを形成し、マスクを変更またはシフトした状態で、
図1の第2画素Rに該当する領域と赤外線発光部IRに該当する領域に赤色共振補助層150R’を形成してもよい。その後、
図1の赤外線発光部IRの赤色共振補助層150R’の上に赤外線発光層150IRを形成してもよい。
【0110】
図5の実施形態に係る赤外線発光部IRの厚さは、赤色共振補助層150R’の形成により緑色画素の厚さに比べて厚くてもよい。したがって、本実施形態に係る赤外線発光部IRの共振に最適な膜厚は、
図3に示すグラフを参照するとき、2次共振に最適な膜厚であってもよい。ここでそれぞれの画素および赤外線発光部の厚さとは、正孔伝達層130と電子輸送層160に挟まれた層の厚さを意味する。
【0111】
図6は本発明の一実施形態に係る複数の画素、赤外線発光部IRおよび赤外線受光部の配置を示す平面図である。
【0112】
図6の実施形態は、
図1で説明した実施形態と大部分が同一である。以下、
図1の実施形態と異なる部分について説明し、
図1を参照して説明した内容は、全て
図6の実施形態にも適用可能である。
【0113】
図6を参照すると、本発明の実施形態に係る発光表示装置の基板23は、互いに異なる色相を実現する第1画素G、第2画素Rおよび第3画素Bを含み、赤外線発光部IRと赤外線受光部Sとを含む赤外線センサ部IRSを含む。
【0114】
本実施形態で赤外線受光部Sは、外部から入ってくる光を感知する領域である。具体的には、赤外線発光部IRで放出された光が、感知しようとする物体にぶつかって反射され、赤外線受光部Sがその光を受けて物体の有無、近接、移動、明るさなどを判断できるようにする。
【0115】
赤外線発光部IRおよび赤外線受光部Sは、平面視したとき、第1画素Gと第3画素Bとの間に位置しているが、これに限らず、第1画素Gと第2画素Rまたは第2画素Rと第3画素Bとの間に位置してもよい。
図6において、赤外線発光部IRと赤外線受光部Sとが、第2方向D2に沿って配列され、これらの上下配置は適宜変更されてもよい。すなわち、
図6において、赤外線発光部IRが赤外線受光部Sの上に位置しているが、これとは異なり、赤外線発光部IRが赤外線受光部Sの下に配置されてもよい。
【0116】
赤外線受光部Sには透明窓とセンサ層が、基板23の上部面と垂直方向に沿って重なって位置し得る。これに関して、
図7を参照してより詳しく説明する。
【0117】
図7は本発明の一実施形態に係る赤外線受光部を示す断面図である。
図7は、
図6の切断線VII-VII’に沿って切断した概略的な断面図である。
【0118】
図7を参照すると、左側は画素構造を示し、右側は赤外線受光部を概略的に示す。
図7において、まず、画素構造には、基板23の上に水分、酸素などの侵入を防止するためのバッファ層26が位置する。バッファ層26の上には駆動半導体層150aが位置し、図面に示していないが、駆動半導体層150aは両側周縁に不純物がドーピングされたソース領域およびドレイン領域を含む。駆動半導体層150aの上にゲート絶縁層27が位置し、ゲート絶縁層27の上に駆動ゲート電極124aを含むゲート配線が位置する。そして、駆動ゲート電極124aは、駆動半導体層150aの少なくとも一部、特にチャンネル領域と重なるように形成される。
【0119】
一方、ゲート絶縁層27の上には駆動ゲート電極124aを覆う層間絶縁膜28が形成される。層間絶縁膜28の上には駆動ソース電極173aおよび駆動ドレイン電極175aを含むデータ配線が位置してもよい。また、駆動ソース電極173aおよび駆動ドレイン電極175aは、それぞれ層間絶縁膜28およびゲート絶縁層27に形成された貫通孔(図示せず)を介して駆動半導体層150aのソース領域およびドレイン領域と接続される。
【0120】
このように、駆動半導体層150a、駆動ゲート電極124a、駆動ソース電極173aおよび駆動ドレイン電極175aを含む駆動トランジスタTORが形成される。駆動トランジスタTORの構成は前述した例に限らず、当該技術分野の当業者が実施できる多様な公知の構成に適宜変更することができる。ここで、本開示の実施形態は、前述した構造に限らず、場合によって平坦化膜24と層間絶縁膜28のうちいずれか一つは省略することもできる。
【0121】
平坦化膜24の上には発光素子の第1電極120が位置する。平坦化膜24と第1電極120の上に画素定義膜25が位置する。画素定義膜25には第1電極120の上面に開口部が形成されている。このとき、画素定義膜25によって形成された開口部ごとに発光素子層100が位置してもよい。
【0122】
第1電極120の上には発光素子層100が位置する。発光素子層100は、
図2で説明した発光素子で正孔伝達層130、発光層150、電子輸送層160および電子注入層180に対応する。すなわち、発光素子層100を構成する正孔伝達層130、電子輸送層160、および電子注入層180は、発光層150と同様に、画素定義膜25によって形成された開口部ごとに形成されてもよい。これに限定されず、
図4、5で説明した発光素子に関する内容も本開示による表示装置に適用可能である。
【0123】
図7において、発光素子層100が画素定義膜25の開口部内にのみ位置する場合を示すが、例えば
図2、4、および5に示すように、発光素子層100を構成する一部の層は、第2電極190のように画素定義膜25の上部面の上にも位置してもよい。
【0124】
発光素子層100の上には第2電極190およびキャッピング層200が位置する。キャッピング層200の上には封止層300が位置する。封止層300は基板23の上に形成されている発光素子と駆動回路部とを外部から密封して保護する。
【0125】
次に、赤外線受光部Sはダイオード構造を有してもよい。基板23の上にセンサ層105Sが位置し、センサ層105Sの両周縁はそれぞれn型とp型でドーピングされてもよい。したがって、センサ層105Sは、真性半導体領域およびその両断にn型半導体領域およびp型半導体領域を有してもよく、センサ層105Sは、Si、InGeAsなどを含んでもよく、この他にも光センサ機能を果たし得る物質で形成されてもよい。
【0126】
赤外線受光部Sは、センサ層105S以外にソース電極173cおよびドレイン電極175cを含む。基板23の上にバッファ層26が形成されており、その上にゲート絶縁層27、層間絶縁膜28、および平坦化膜24が形成されている。赤外線受光部Sのセンサ層105Sはバッファ層26上に形成され、層間絶縁膜28、ゲート絶縁層27および平坦化膜24に形成された貫通孔(図示せず)を介してソース電極173cおよびドレイン電極175cと接続されている。
【0127】
ソースおよびドレイン電極173c、175cは、発光素子の第1電極120と同一の層に位置し、同一の物質で形成されている。ソースおよびドレイン電極173c、175cの上を画素定義膜25が覆っており、その上には発光素子の第2電極190が延びて形成されている。第2電極190の上にはキャッピング層200が形成されており、キャッピング層200の上には封止層300が形成されている。
【0128】
赤外線受光部Sは、外部から入ってくる赤外線を受信できるようにセンサ層105Sと重なる部分に透明窓105Tを含み得る。つまり、透明窓105Tは、センサ層105Sと重なる赤外線受光部Sの領域を示し、透明窓105Tは透明伝導性物質を含む第1電極120および第2電極190、第1電極120と第2電極190との間に位置する画素定義膜25を含んでもよい。
【0129】
赤外線受光部Sは、受信された信号を伝達するためのスイッチングトランジスタTSWをさらに含んでもよい。スイッチングトランジスタTSWは、スイッチング半導体層150b、スイッチングゲート電極124b、そしてソースおよびドレイン電極173b、175bを含む。スイッチングトランジスタTSWは、赤外線受光部Sと隣接して位置してもよく、離隔して位置し、かつ別途の配線により赤外線受光部Sと接続されてもよい。
【0130】
スイッチングトランジスタTSWは、画素の駆動トランジスタTORと同一の構造を有してもよい。このような構造を有するスイッチングトランジスタTSWは、画素の駆動トランジスタTORの形成時に同時に形成されてもよい。
【0131】
一方、赤外線受光部Sのドレイン電極175cは、平坦化膜24に形成された貫通孔を介してスイッチングトランジスタTSWのソース電極173bに接続されている。実施形態によっては、赤外線受光部Sのドレイン電極175cは、別途の接続配線を介してスイッチングトランジスタTSWのソース電極173bに電気的に接続されていてもよい。
【0132】
以上では、センサ層105Sが基板23とゲート絶縁層27との間に位置する場合を説明したが、これは一つの例示に過ぎず、基板23と第1電極120との間であれば赤外線受光部Sの変形構造によって、前述した位置と異なる位置にセンサ層105Sが形成されてもよい。また、センサ層105Sを無機物質を用いて形成する代わりに、有機物質で形成してもよい。このとき、発光素子層100の有機層を形成する工程段階で赤外線受光部Sを形成してもよく、センサ層105Sが第1電極120と第2電極190との間に位置してもよい。
【0133】
図8は、
図6の画素群の配置を変形した一実施形態を示す平面図である。
【0134】
図8を参照すると、
図6で示す画素群PXGと異なり、画素群PXGが、第3画素B、第1画素G、第2画素Rおよび赤外線センサ部IRSの順序からなり、このような画素群PXGが上下左右に配列されてもよい。第3画素B、第1画素Gおよび第2画素Rは、第1方向D1に沿って配列され、赤外線発光部IRと赤外線受光部Sは、第2方向D2に沿って配列されている。
【0135】
図9は、
図6の画素群の配置を変形した一実施形態を示す平面図である。
【0136】
図9を参照すると、
図6の画素群PXGとは異なり、赤外線発光部IRと赤外線受光部Sとが、第2方向D2に沿って隣接せず、赤外線発光部IRと赤外線受光部Sとの間に第1画素G、第2画素Rおよび第3画素Bが位置する。具体的には、第1画素G、第2画素Rおよび第3画素Bのみならず、赤外線発光部IRと赤外線受光部Sも第1方向D1に沿って配列されている。すなわち、第3画素B、第1画素G、第2画素R、赤外線発光部IR、第3画素B、第1画素G、第2画素Rおよび赤外線受光部Sが、第1方向D1に沿って順次配列されているが、これに限らず、第1方向D1に沿って配列される順序は変更されてもよい。
【0137】
図10は、
図6の画素群の配置を変形した一実施形態を示す平面図である。
【0138】
図10を参照すると、赤外線発光部IRは、第1画素Gと第2画素Rとの間に位置し、第1画素G、赤外線発光部IRおよび第2画素Rは、第1方向D1に沿って配列されている。赤外線受光部Sは、第1画素G、赤外線発光部IRおよび第2画素Rに対して第2方向D2に沿って配列されている。第3画素Bは、第1画素Gおよび赤外線受光部Sに対して第1方向D1に沿って配列されている。
【0139】
図11~
図13は、
図6の画素群の配置を変形した一実施形態において複数の画素群を示す平面図である。
【0140】
図11~
図13を参照すると、赤外線発光部IRおよび赤外線受光部Sのうち少なくとも一つは、第1画素Gおよび第2画素Rと第3方向D3に沿って配列されており、第3画素Bと第4方向D4に沿って配列されている。
図11の実施形態において、赤外線発光部IRおよび第1画素Gは、第2画素Rまたは第3画素Bに対応する領域を互いに分割して配置され、これと類似に赤外線受光部Sおよび第1画素Gは、第2画素Rまたは第3画素Bに対応する領域を互いに分割して配置される。
図12の実施形態において、赤外線発光部IRおよび第2画素Rは、第1画素Gまたは第3画素Bに対応する領域を互いに分割して配置され、これと類似に赤外線受光部Sおよび第2画素Rは、第1画素Gまたは第3画素Bに対応する領域を互いに分割して配置される。
【0141】
図11と
図12の実施形態では、赤外線発光部IRと赤外線受光部Sとが全て同一の画素と領域を分けて分割されている。すなわち、
図11では赤外線発光部IRと赤外線受光部Sとが第1画素Gと領域を分割して配置され、
図12では第2画素Rと領域を分割して配置される。しかし、
図13の実施形態において、赤外線発光部IRと赤外線受光部Sとが、それぞれ互いに異なる画素と領域を分けて分割されている。すなわち、赤外線発光部IRおよび第2画素Rは、第3画素Bに対応する領域を互いに分割して配置され、赤外線受光部Sおよび第1画素Gは、第3画素Bに対応する領域を互いに分割して配置される。
【0142】
図14は本発明の一実施形態に係る赤外線センサ部を形成した発光表示装置を概略的に示す図である。
【0143】
図14の左側図面は、周辺領域PAに第1センサS1と第2センサS2とが形成された発光表示装置である。この場合、第1センサS1は、近接センサの役割を果たしてもよく、第2センサS2は、物理的なボタンを適用して指紋センサの役割を果たしてもよい。このような発光表示装置では、別途のセンサモジュールを製造して発光表示装置に形成しなければならないので、工程が複雑になる。
図14の右側図面は、表示領域DAが外郭まで拡張された発光表示装置である。前述した本発明の実施形態に係る画素および赤外線センサ部配列を用いると、
図14の右側図面のように物理的なボタンを除去して、実質的に全面表示の発光表示装置を実現することができる。
【0144】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態もまた本発明の権利範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0145】
G 第1画素
R 第2画素
B 第3画素
IR 赤外線発光部
S 赤外線受光部
IRS 赤外線センサ部
150 発光層
150IR 赤外線発光層