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特許7051465シミュレーション装置、プレスシステム、シミュレーション方法、プログラム、および記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】シミュレーション装置、プレスシステム、シミュレーション方法、プログラム、および記録媒体
(51)【国際特許分類】
   B21D 43/05 20060101AFI20220404BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20220404BHJP
【FI】
B21D43/05 P
B21D43/05 W
B21D43/05 U
G06F30/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018012485
(22)【出願日】2018-01-29
(65)【公開番号】P2019130536
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】394019082
【氏名又は名称】コマツ産機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸浩
(72)【発明者】
【氏名】二木 秀司
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-131223(JP,A)
【文献】特表2016-500882(JP,A)
【文献】実開平05-076630(JP,U)
【文献】特開2017-164752(JP,A)
【文献】特開平09-216029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 43/05
G06F 30/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークをプレス加工するプレス装置と、前記プレス装置の間で前記ワークを搬送する搬送装置の動作をシミュレーションするシミュレーション部と、
前記シミュレーションから前記搬送装置の幅方向における複数の所定位置の軌跡を取得する取得部と、を備え、
前記搬送装置には、前記ワークを保持する保持具を取り付け可能な搬送バーが設けられており、
前記複数の所定位置は、前記搬送バーの両端の位置であり、
前記搬送装置は、前記幅方向における前記搬送バーの両端の高さが異なるように前記搬送バーを傾斜可能な傾斜機構を有する、
シミュレーション装置。
【請求項2】
前記複数の所定位置の軌跡を外部に出力する出力部を更に備えた、
請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項3】
前記複数の所定位置の軌跡を表示する表示部を更に備えた、
請求項1または2に記載のシミュレーション装置。
【請求項4】
前記搬送バーの傾斜を含む前記搬送装置のモーションを設定するモーション設定部を、を更に備えた、
請求項に記載のシミュレーション装置。
【請求項5】
ワークをプレス加工するプレス装置と、
前記プレス装置間で前記ワークを搬送する搬送装置と、
前記プレス装置および前記搬送装置の動作をシミュレーションするシミュレーション部と、前記シミュレーションから前記搬送装置の幅方向における複数の所定位置の軌跡を取得する取得部と、を有するシミュレーション装置と、を備え、
前記搬送装置には、前記ワークを保持する保持具を取り付け可能な搬送バーが設けられており、
前記複数の所定位置は、前記幅方向における前記搬送バーの両端の位置であり、
前記搬送装置は、前記幅方向における前記搬送バーの両端の高さが異なるように前記搬送バーを傾斜可能な傾斜機構を有する、
プレスシステム。
【請求項6】
ワークをプレス加工するプレス装置と、前記プレス装置の間で前記ワークを搬送する搬送装置の動作をシミュレーションするシミュレーションステップと、
前記シミュレーションから前記搬送装置の幅方向における複数の所定位置の軌跡を取得する取得ステップと、を備え
前記搬送装置には、前記ワークを保持する保持具を取り付け可能な搬送バーが設けられており、
前記複数の所定位置は、前記幅方向における前記搬送バーの両端の位置であり、
前記搬送装置は、前記幅方向における前記搬送バーの両端の高さが異なるように前記搬送バーを傾斜可能な傾斜機構を有する、
ミュレーション方法。
【請求項7】
ワークをプレス加工するプレス装置と、前記プレス装置の間で前記ワークを搬送する搬送装置の動作をシミュレーションするシミュレーションステップと、
前記シミュレーションから前記搬送装置の幅方向における複数の所定位置の軌跡を取得する取得ステップと、をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記搬送装置には、前記ワークを保持する保持具を取り付け可能な搬送バーが設けられており、
前記複数の所定位置は、前記幅方向における前記搬送バーの両端の位置であり、
前記搬送装置は、前記幅方向における前記搬送バーの両端の高さが異なるように前記搬送バーを傾斜可能な傾斜機構を有する、
プログラム。
【請求項8】
請求項に記載のプログラムを記録した記録媒体であって、
コンピュータにより処理可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレーション装置、プレスシステム、シミュレーション方法、プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば自動車のボディの成形などにタンデムプレスラインが用いられている。タンデムプレスラインでは、複数のプレス装置が並べて設置され、それぞれのプレス装置の間にワークを搬送するためのフィーダ装置(搬送装置)が設けられている。
プレス装置に装着される金型を作成するため、ユーザが干渉を確認する手段として、干渉曲線を用いるのが一般的である。干渉曲線とはフィーダ装置の軌跡からプレスストローク軌跡を差し引いた軌跡であり、フィーダ装置の軌跡とプレス装置のストローク軌跡から求めることが出来る。
【0003】
モーションが固定である機械式プレス装置においては、フィーダモーションごとに、プレス装置とフィーダ装置の関係を図にした干渉曲線が求められ、干渉曲線の内側に納まる形状の金型を設計することにより、フィーダに干渉しない金型が設計されていた。
しかしながら、サーボプレス装置とサーボフィーダ装置によるフリーモーション機能が装備されることで、ユーザが作ったフリーモーションの軌跡が必要になってきた。フリーモーションを作成するシミュレーションツールが軌跡データを出力する機能を備えることで、ユーザはその軌跡データから干渉曲線を作ることが可能になるため、上述と同様の干渉確認手順を行うことが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-211935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シミュレーションツールを活用することで、モーションが変わった場合であっても、軌跡データを作ることが可能になるが、フィーダ装置の多様化により、動きが複雑になってきていることで干渉確認が困難になってきた。
本発明は、容易に干渉確認を行うことが可能なシミュレーション装置、プレスシステム、シミュレーション方法、プログラム、および記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明にかかるシミュレーション装置は、シミュレーション部と、取得部と、を有する。シミュレーション部は、ワークをプレス加工するプレス装置と、プレス装置の間でワークを搬送する搬送装置の動作をシミュレーションする。取得部は、シミュレーションから搬送装置の幅方向における複数の所定位置の軌跡を取得する。
第2の発明にかかるプレスシステムは、プレス装置と、搬送装置と、シミュレーション装置と、を備える。プレス装置は、ワークをプレス加工する。搬送装置は、プレス装置間でワークを搬送する。シミュレーション装置は、シミュレーション部と、取得部と、を有する。シミュレーション部は、プレス装置および搬送装置の動作をシミュレーションする。取得部は、シミュレーションから搬送装置の幅方向における複数の所定位置の軌跡を取得する。
【0007】
第3の発明にかかるシミュレーション方法は、シミュレーションステップと、取得ステップとを備える。シミュレーションステップは、ワークをプレス加工するプレス装置と、プレス装置の間でワークを搬送する搬送装置の動作をシミュレーションする。取得ステップは、シミュレーションから搬送装置の幅方向における複数の所定位置の軌跡を取得する。
【0008】
第4の発明にかかるプログラムは、シミュレーションステップと、取得ステップと、をコンピュータに実行させるプログラムである。シミュレーションステップは、ワークをプレス加工するプレス装置と、プレス装置の間でワークを搬送する搬送装置の動作をシミュレーションする。取得ステップは、シミュレーションから搬送装置の幅方向における複数の所定位置の軌跡を取得する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容易に干渉確認を行うことが可能なシミュレーション装置、プレスシステム、シミュレーション方法、プログラム、および記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明にかかる実施の形態におけるプレスシステムを示す模式図。
図2図1のプレスシステムの制御ブロックを示す図。
図3図1のフィーダ装置を示す斜視図。
図4図1のシミュレーション装置の構成を示すブロック図。
図5】(a)図4のシミュレーション装置の入力装置の機能ブロックを示す図、(b)図4のシミュレーション装置のGPUの機能ブロックを示す図、(c)図4のシミュレーション装置の演算装置の機能ブロックを示す図。
図6】(a)図3のフィーダ装置においてワークを移動させる場合に幅方向と平行に配置されているときの搬送バーの軌跡を示す斜視図、(b)図6(a)を幅方向に沿って視た側面図。
図7】(a)図3のフィーダ装置においてワークを移動させる場合に搬送バーを傾斜したときの搬送バーの軌跡を示す斜視図、(b)図7(a)を幅方向に沿って視た側面図。
図8図3のフィーダ装置の搬送モーションとチルト(傾斜)モーションの状態の表を示す図。
図9図4のシミュレーション装置において搬送モーション設定部による表示装置の表示画面を示す図。
図10】(a)図4のシミュレーション装置において傾斜モーション設定部による表示装置の表示画面を示す図、(b)図10(a)に示す第1傾斜角度を説明する模式図、(c)図10(b)に示す第2傾斜角度を説明する模式図、(d)図10(c)に示す第3傾斜角度を説明する模式図。
図11】本実施の形態のシミュレーション装置を用いた軌跡データ出力動作を示すフロー図。
図12】(a)(b)(c)シミュレーション装置による金型の見直しについて説明するための図。
図13図4のシミュレーション装置の出力に基づいた3次元の軌跡表示の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のプレスシステムについて図面を参照しながら以下に説明する。
<1.構成>
(1-1.プレスシステム1の概要)
図1は、本発明にかかる実施の形態のプレスシステム1の構成を示す模式図である。
本実施の形態のプレスシステム1は、プレスライン2と、シミュレーション装置3と、を備える。プレスライン2は、各工程でプレス加工を行うとともに各工程間でワークWを搬送する。シミュレーション装置3は、プレスライン2の動作のシミュレーションを行う。ワークWの搬送方向がXとして図示されている。
【0012】
プレスライン2は、タンデムプレスラインであって、プレスライン制御装置4と、複数のプレス装置5a、5b、5c(プレス装置を区別せず示すときには、プレス装置5と記載する)と、複数のフィーダ装置6a、6b(フィーダ装置を区別せず示すときには、フィーダ装置6と記載する)と、を備える。
【0013】
(1-2.プレスライン制御装置4)
図2は、プレスシステム1の制御ブロックを示す図である。
プレスライン制御装置4は、ライン同期制御装置41と、運転データ記憶機器42と、プレス制御装置43と、フィーダ制御装置44と、を有する。ライン同期制御装置41は、プレスライン2におけるプレス装置5a、5b、5cとフィーダ装置6a、6bとの同期をとる。運転データ記憶機器42は、プレス装置5およびフィーダ装置6の複数のモーションを記憶する。プレス制御装置43は、プレス装置5a、5b、5cを制御する。具体的には、プレス制御装置43は、サーボアンプ53に指令を送信することによりサーボモータ54を駆動させて、プレス加工の制御を行う。
【0014】
フィーダ制御装置44は、フィーダ装置6a、6bを制御する。具体的には、フィーダ制御装置44は、サーボアンプ71に指令を送信することによりサーボモータ70を駆動させてプレス装置5間においてワークWの搬送を行う。
作業者により、運転データ記憶機器42に記憶されている所定のモーションが選択されると、プレス制御装置43は、選択された所定のモーションで動作するようにプレス装置5a、5b、5cを制御し、フィーダ制御装置44は、選択された所定のモーションで動作するようにフィーダ装置6a、6bを制御する。
【0015】
(1-3.プレス装置5)
各々のプレス装置5a、5b、5cは、図1および図2に示すように、スライド51と、ボルスタ52と、サーボアンプ53と、サーボモータ54と、位置検出エンコーダ55と、を有する。スライド51の下面には、上金型7aが取り付けられる。ボルスタ52の上面には、下金型7bが載置される。サーボモータ54の駆動により、スライド51がボルスタ52に対して昇降動作することにより、上金型7aおよび下金型7bの間でプレス加工が行われる。
【0016】
サーボアンプ53は、プレス制御装置43からの指令に従って、サーボモータ54を駆動する。位置検出エンコーダ55は、サーボモータ54の位置を検出し、プレス制御装置43にフィードバックする。なお、図2では、プレス装置5b、5cではサーボアンプ53と、サーボモータ54と、位置検出エンコーダ55は省略されている。また、各々のプレス装置5a、5b、5cに、複数のサーボモータが存在する場合には、サーボモータ54、サーボアンプ53、位置検出エンコーダ55は複数を総括して示すものとする。
【0017】
(1-4.フィーダ装置)
フィーダ装置6aとフィーダ装置6bは同様の構造であるため、フィーダ装置6aを例に挙げて説明する。図3は、フィーダ装置6aを示す斜視図である。図3では、搬送方向Xに対して垂直な幅方向Yが示されており、搬送方向Xを向いて左方向がYL、右方向YRで示されている。
【0018】
フィーダ装置6aは、スライド機構61と、アーム支持部62と、回動部63と、第1アーム64と、伸縮部65と、第2アーム66と、回動部67と、搬送バー68と、回動部69と、を有する。
スライド機構61は、プレス装置5aとプレス装置5bの間に配置されている。スライド機構61は、ボールネジ611と、ガイド612と、サーボモータ70aと、を有する。ボールネジ611は、搬送方向Xに沿って、プレス装置5aからプレス装置5bに向かって延びている。ガイド612は、円柱状であって、ボールネジ611の下方においてボールネジ611と平行に配置されている。サーボモータ70aは、ボールネジ611の一端に減速装置等を介して接続されており、ボールネジ611を回転させる。
【0019】
アーム支持部62は、箱状の部材であって、第1アーム64を回転可能に支持する。アーム支持部62の左方向YL側の側面には、上下一対のブロック621が設けられている。上側のブロック621には、搬送方向Xに沿って貫通孔が形成されており、その内側面には、ネジ形状が形成されている。ボールネジ611は、上側のブロック621の貫通孔を挿通し、貫通孔の内側面のネジ形状と螺合している。また、下側のブロック621には、搬送方向Xに沿って貫通孔が形成されており、ガイド612が挿通されている。サーボモータ70aの回転によってボールネジ611が回転すると、ガイド612にガイドされてアーム支持部62は搬送方向Xの上流側または下流側に移動することができる(矢印A1参照)。
【0020】
回動部63は、アーム支持部62に設けられており、第1アーム64を回動する。回動部63は、サーボモータ70bと図示しない減速部とを有する。サーボモータ70bは、アーム支持部62の内側に固定されている。サーボモータ70bは、駆動軸が右方向YR側に伸びるように配置されている。
第1アーム64は、その上端部においてサーボモータ70bの駆動軸に減速部を介して固定されている。第1アーム64は、幅方向Yに沿った中心軸C1を中心に回動する(矢印A2参照)。
【0021】
第1アーム64は、伸縮可能に構成されており、中空の第1部分641と、中空の第2部分642とを有する。第1部分641の上端部は、サーボモータ70bの駆動軸に減速部を介して固定されている。第1部分641の下端部は、第2部分642の上端部の内側に入り込んでいる。
伸縮部65は、第1アーム64に設けられており、第1アーム64を伸縮する。伸縮部65は、ボールネジ651と、サーボモータ70cと、嵌合ナット652と、を有する。ボールネジ651は、第1アーム64の内側に第1アーム64の長手方向に沿って配置されている。ボールネジ651は、第1部分641と第2部分642に亘って配置されている。サーボモータ70cは、第1部分641の内側に固定されている。サーボモータ70cの駆動軸が減速部を介してボールネジ651に連結されている。嵌合ナット652は、貫通孔が第1アーム64の長手方向に沿うように第2部分642の内側に固定されている。嵌合ナット652の貫通孔にボールネジ651が挿通され、ボールネジ651は、貫通孔の内側面に形成されているネジ形状に嵌合している。
【0022】
これによってサーボモータ70cの駆動によりボールネジ651が回転すると、嵌合ナット652とともに第2部分642が第1部分641に対して移動するため、第1アーム64を伸縮することができる(矢印A3参照)。
第2アーム66は、第1アーム64の下端に第1アーム64の長手方向に沿って配置されている。第2アーム66の長手方向は、第1アーム64の長手方向と一致している。
【0023】
回動部67は、第1アーム64の第2部分642に設けられており、第2アーム66を回動する。回動部67は、サーボモータ70dと図示しない減速部とを有する。サーボモータ70dは、第2部分642の内側に固定されている。サーボモータ70dは、第1アーム64の長手方向に駆動軸が沿うように配置されており、駆動軸は下方に伸びている。
第2アーム66は、その上端がサーボモータ70dの駆動軸に減速部を介して固定されている。第2アーム66は、その長手方向を中心軸C2として回動することができる(矢印A4参照)。
【0024】
搬送バー68は、第2アーム66の下端に幅方向Yに沿って配置されている。搬送バー68には、ワークWを保持する保持具80が着脱可能に取り付けられる。搬送バー68は、連結部681と、左バー682と、右バー683と、バー回動部684と、を有する。連結部681は、第2アーム66の下端と連結している。左バー682は、連結部681の左方向YL側に回動可能に取り付けられている。右バー683は、連結部681の右方向YR側に回動可能に取り付けられている。左バー682と右バー683は、連結軸685で連結されている。左バー682と右バー683と連結軸685は、その長手方向を中心軸C3として回動する。
【0025】
バー回動部684は、連結部681の内側に配置されており、サーボモータ70eと減速部を有する。サーボモータ70eの駆動軸が減速部を介して連結軸685の周囲のネジ形状と噛み合っている。サーボモータ70eの回転によって連結軸685が回転し、連結軸685と繋がっている左バー682と右バー683も回動する(矢印A5参照)。
回動部69は、第2アーム66に設けられている。搬送バー68の連結部681は、第2アーム66の下端部に、搬送方向Xに沿った方向を中心軸C4として回動可能に連結されている。回動部69は、サーボモータ70fと減速部を有する。サーボモータ70fの駆動軸が減速部を介して連結部681の上端部に固定されている。サーボモータ70fの駆動により搬送バー68は、搬送方向Xを中心軸C4として回動する(矢印A6参照)。
【0026】
また、図2のブロック図に示すように、フィーダ装置6aは、サーボモータ70(詳細にはサーボモータ70a~70f、総括する際にはサーボモータ70と記載する)と、サーボアンプ71と、位置検出エンコーダ72と、を有する。サーボアンプ71は、フィーダ制御装置44からの指令に従って、サーボモータ70を駆動する。位置検出エンコーダ72は、サーボモータ70の位置を検出し、フィーダ制御装置44にフィードバックする。なお、詳細には、サーボモータ70a~70fごとにサーボアンプおよび位置検出エンコーダが設けられている。また、図2では、フィーダ装置6bではサーボアンプ71と、サーボモータ70と、位置検出エンコーダ72は省略する。
【0027】
(1-5.シミュレーション装置)
図4は、シミュレーション装置3の構成を示すブロック図である。シミュレーション装置3は、ワークステーション31と、入力装置32と、表示装置33と、通信装置34と、を有する。ワークステーション31は、プレスライン2のシミュレーションを行い、指定された所定位置の座標を取得する。
【0028】
入力装置32は、たとえばキーボードおよびマウスなどを含み、表示装置33を視ながら作業者が各種設定を入力する。
図5(a)は、入力装置32の機能ブロックを示す図である。入力装置32は、搬送バー選択部321と、モーション設定部320と、スキャンタイム設定部324と、を有する。搬送バー選択部321は、記憶されている複数種類の搬送バー68の中から所望の搬送バー68を選択する。
【0029】
モーション設定部320は、プレス装置5a、5b、5cおよびフィーダ装置6a、6bのモーションを設定する。モーション設定部320は、搬送モーション設定部322と、傾斜モーション設定部323と、を有する。搬送モーション設定部322は、フィーダ装置6a、6bの搬送バー68の位置の変化である搬送モーションを設定する。傾斜モーション設定部323は、フィーダ装置6a、6bの搬送バー68の傾斜の変化である傾斜モーションを設定する。搬送バー68の傾斜は、矢印A4方向の回転位置、矢印A5方向の回転位置、および矢印A6方向の回転位置によって設定される。スキャンタイム設定部324は、シミュレーションの際のスキャンタイムを設定する。設定されたスキャンタイムごとに、シミュレーションが行われる。すなわち、スキャンタイムを3msecに設定した場合、3msecごとの状態がシミュレーションされる。
図4に示す表示装置33は、たとえばモニター等であって、搬送バー68の左端位置、中央位置、および右端位置の軌跡を表示する。通信装置34は、搬送バー68の左端位置、中央位置、および右端位置の位置座標のスキャンタイムごとのデータを外部機器に送信する。
【0030】
(1-6.ワークステーション31)
ワークステーション31は、図4に示すように、3Dグラフィックカード35と、演算装置36と、メインメモリ37と、主記憶装置38と、システムバス39と、を有する。3Dグラフィックカード35は、GPU(Graphics Processing Unit)35aとVRAM(Video RAM)35bを有し、3次元画像演算処理および3次元モデルの座標計算などを行う。
【0031】
GPU35aは、図5(b)の機能ブロック図に示すように、搬送バー設定部351と、座標取得位置設定部352と、シミュレーション部353とを、有する。搬送バー設定部351は、入力装置32の搬送バー選択部321で選択された種類の搬送バー68をフィーダ装置6a、6bの第2アーム66の下端に取り付ける設定をシミュレーション空間上において行う。座標取得位置設定部352は、設定された搬送バー68の幅方向Yにおける左端位置と、中央位置と右端位置を設定する。シミュレーション部353は、入力装置32によって選択された搬送バー68を用いて、設定されたプレス装置5a、5b、5cおよびフィーダ装置6a、6bのモーションならびに搬送バー68の傾斜で、プレスライン2の動作のシミュレーションを行う。
【0032】
演算装置36は、CPU(Central Processing Unit)等であって、図4(c)の機能ブロック図に示すように、座標取得部361を有する。座標取得部361は、スキャンタイム設定部324で設定されたスキャンタイムごとに、シミュレーション部353によって行われたシミュレーションから搬送バー68の左端位置の座標、中央位置の座標および右端位置の座標を取得する。
【0033】
メインメモリ37は、RAM(Random Access Memory)等である。主記憶装置38は、HDD(Hard Disk Drive)等であり、選択可能な複数種類の搬送バー68、予め設定されているプレス装置5a、5b、5cのモーション、および予め設定されているフィーダ装置6a、6b、6cのモーション等が記憶されている。
システムバス39は、3Dグラフィックカード35、演算装置36、メインメモリ37、および主記憶装置38を接続する。
【0034】
(1-7.搬送バー68の軌跡)
搬送バー68が幅方向Yに対して平行な状態を保持した状態でワークWをプレス装置5a、5b、5cの間で搬送する場合について説明すると、図1に示すように、フィーダ装置6aの搬送バー68は、二点鎖線で示す軌跡Tを描いてワークWを搬送する。
軌跡Tのうち上側の軌跡Taは、上流側のプレス装置5aからワークWを取り出して下流側のプレス装置5bに搬送する際のアドバンスの軌跡である。軌跡Tのうち下側の軌跡Tbは、下流側のプレス装置5bの下金型7bにワークWを載置した後に、上流側のプレス装置5aのワークWに向かって移動するリターンの軌跡である。
【0035】
図6(a)は、ワークWを移動させる場合に幅方向Yと平行に配置されているときの搬送バー68の軌跡を示す斜視図である。図6(b)は、図6(a)を幅方向Yに沿って視た側面図である。搬送バー68が幅方向Yと平行に配置されている場合、搬送バー68の左端位置P1、中央位置P2、右端位置P3のいずれも同じ高さの軌跡を通って移動する。そのため、図6(b)に示すように、側面視において、左端位置P1の軌跡T1、中央位置P2の軌跡T2および右端位置P3の軌跡T3は一致する。なお、軌跡T1、T2、T3のアドバンスの軌跡は、それぞれTa1、Ta2、Ta3と示され、リターンの軌跡は、それぞれTb1、Tb2、Tb3と示す。
【0036】
すなわち、搬送バー68が幅方向Yと平行に配置されている場合、搬送バー68の幅方向Yにおけるいずれか一点のみの位置の軌跡を確認するだけで、プレス装置5a、5b、5cまたは金型(上金型7aおよび下金型7b)との干渉を確認することができる。
図7(a)は、ワークWを移動させる場合に搬送バー68を傾斜したときの軌跡を示す斜視図である。図7(b)は、図7(a)を幅方向Yに沿って視た側面図である。図7(a)では、幅方向Yに沿った搬送バー68が二点鎖線で示されている。
【0037】
搬送バー68は、ワークWを搬送する際に、その右端位置P3の高さを中央位置P2よりも上げ、左端位置P1の高さを中央位置P2よりも下げるように傾斜されている。このため、図7(b)の側面視において、左端位置P1のアドバンスの軌跡Ta1(点線で示す)は、中央位置P2のアドバンスの軌跡Ta2(実線で示す)よりも下方に描かれ、右端位置P3のアドバンスの軌跡Ta3(二点鎖線で示す)は、中央位置P2のアドバンスの軌跡Ta2よりも上方に描かれる。
このように、搬送バー68が傾斜している場合には、図7(a)および図7(b)に示す搬送バー68の両端の軌跡を確認することによって、プレス装置5a、5b、5cまたは金型(上金型7aおよび下金型7b)との干渉を確認することができる。
【0038】
<2.動作>
次に、本発明にかかる実施の形態のプレスシステム1の動作を説明するとともに、本発明のシミュレーション方法の一例についても同時に説明する。
上述した搬送バー68の軌跡データの出力制御を行う前に、作業者によってシミュレーションを行う条件として、プレス装置5a、5b、5cおよびフィーダ装置6a、6bの動作の設定が行われる。
【0039】
(2-1.モーション設定)
作業者は、入力装置32の搬送モーション設定部322および傾斜モーション設定部323を操作して、主記憶装置38に記憶されているプレス装置5a、5b、5cおよびフィーダ装置6a、6bのモーションを選択する。ここで、作業者は、選択されたモーションを調整することができる。
【0040】
図8は、フィーダ装置6aの搬送モーションとチルト(傾斜)モーションの状態を示す図であり、主記憶装置38に記憶されている。図8では、複数の軸ごとの時間による回転位置が示されている。なお、図8では、16spmの場合を例として挙げており、1ストロークが3.75secで完了する。また、0secのとき、フィーダ装置6a、6bは、プレス装置5aとプレス装置5bの間の待機位置に配置されている。
【0041】
ここで、図8に示す1軸は、サーボモータ70aの駆動軸に対応し、時間ごとのサーボモータ70aの回転位置を示す。サーボモータ70aの回転位置により、矢印A1方向におけるアーム支持部62の位置を示すことができる。2軸は、サーボモータ70bの駆動軸に対応し、時間ごとのサーボモータ70bの回転位置を示す。サーボモータ70bの回転位置により、矢印A2方向における第1アーム64の位置を示すことができる。3軸は、サーボモータ70cの駆動軸に対応し、時間ごとのサーボモータ70cの回転位置を示す。サーボモータ70cの回転位置により、矢印A3方向における第1アーム64の長さを示すことができる。4軸は、サーボモータ70dの駆動軸に対応し、時間ごとのサーボモータ70dの回転位置を示す。サーボモータ70dの回転位置により、矢印A4方向における搬送バー68の位置(平面視における搬送バー68の回転位置)を示すことができる。5軸は、サーボモータ70eの駆動軸に対応し、時間ごとのサーボモータ70eの回転位置を示す。サーボモータ70eの回転位置により、矢印A5方向における搬送バー68の位置(幅方向Yに垂直な平面視における搬送バー68の回転位置)を示すことができる。6軸は、サーボモータ70fの駆動軸に対応し、時間ごとのサーボモータ70fの回転位置を示す。サーボモータ70fの回転位置により、矢印A6方向における搬送バー68の位置(搬送方向Xに垂直な平面視における搬送バー68の回転位置)を示すことができる。
【0042】
1軸、2軸および3軸の値は、フィーダ装置6a、6bの搬送バー68の位置の変化である搬送モーションを示し、4軸、5軸および6軸の値は、フィーダ装置6a、6bの搬送バー68の傾きの変化である傾斜モーションを示す。
図9は、搬送モーション設定部322による表示装置33の表示画面を示す図である。表示画面には、選択された基本モーションTsが表示されている。作業者は、たとえば位置Q1をマウスによって選択してQ2の位置に移動させることによって基本モーションを点線のモーションに変更することができる。画面上によって作業者がモーションを変更すると、演算装置36によって演算が行われ、変更されたモーションを実現するように図8に示す1軸、2軸および3軸の値が変更される。なお、プレス装置5a、5b、5cに関しては、従来と同様のため説明を省略する。
【0043】
次に、作業者は、入力装置32の傾斜モーション設定部323を操作して、搬送バー68の傾斜を調整する。図10(a)は、傾斜モーション設定部323による表示装置33の表示画面を示す図である。図10(a)では、たとえば図8より間隔が大きい0.25secごとの搬送バー68の3つの傾斜角度(第1傾斜角度、第2傾斜角度および第3傾斜角度)を入力することができる。第1傾斜角度θ1は、図10(b)に示すように、搬送バー68の幅方向Yに対する平面視(図3の矢印A4)における傾斜角度である。第2傾斜角度θ2は、図10(c)に示すように、搬送バー68の幅方向Yに垂直な平面視(矢印A5)における水平方向に対する傾斜角度である。第3傾斜角度θ3は、図10(d)に示すように、搬送バー68の搬送方向Xに垂直な平面視(矢印A6)における水平方向に対する傾斜角度である。
【0044】
作業者が、図10(a)に示すような表示画面に所望の傾斜角度を入力すると、演算装置36によって演算が行われ、入力された傾斜モーションを実現するように1軸、2軸および3軸の値を考慮して4軸、5軸および6軸の値が変更される(図8参照)。
以上のように、シミュレーション装置3においてフィーダ装置6a、6bの動作が設定される。
【0045】
(2-2.軌跡データ出力)
次に、軌跡データの出力について説明する。図11は、本実施の形態のシミュレーション装置3を用いた軌跡データ出力動作を示すフロー図である。
はじめに、ステップS10において、作業者は、主記憶装置38に記憶されている複数の搬送バー68のモデルから搬送バー選択部321によって所望の搬送バー68を選択する。
【0046】
次に、ステップS20において、作業者は、スキャンタイム設定部324によって所望のスキャンタイムを設定する。例えば、スキャンタイムが3msecに設定されたとする。
次に、ステップS30において、座標取得位置設定部352が、選択された搬送バー68の第1座標取得位置として搬送バー68の中央位置P2を設定する。
【0047】
次に、ステップS40において、座標取得位置設定部352が、選択された搬送バー68の第2座標取得位置として搬送バー68の左端位置P1と設定する。
次に、ステップS50において、座標取得位置設定部352が、選択された搬送バー68の第3座標取得位置として搬送バー68の右端位置P3と設定する。
次に、ステップS60において、シミュレーション部353によってプレスライン2の動作のシミュレーションが開始される。
【0048】
次に、ステップS70において、座標取得部361が、設定した位置(左端位置P1、中央位置P2および右端位置P3)の座標をシミュレーション部353から取得する。
次に、ステップS80において、1サイクル(1ストローク(アドバンスの軌跡およびリターンの軌跡))が終了していない場合、制御はステップS90に進み、次のスキャンに時間が進められる。そして、ステップS80において、座標取得部361は、次のスキャンタイム(前回から3msec後)における左端位置P1、中央位置P2および右端位置P3の座標を取得する。なお、取得した座標は、主記憶装置38に記憶される。
【0049】
ステップS80において、1サイクルが終了したと判断されると、制御はステップS100へと進み、図7に示す左端位置P1、中央位置P2および右端位置P3の軌跡T1、T2、T3が表示装置33に表示される。このとき、表示装置33は、軌跡T1、T2、T3をプレス装置5a、5b、5cおよびフィーダ装置6a、6bの動きとともに表示する。
【0050】
次に、ステップS110において、左端位置P1、中央位置P2および右端位置P3の座標データが通信装置34によって外部に出力される。
上記動作によって軌跡データの出力が完了する。
このような、フィーダ装置6a、6bの軌跡データと、プレス装置5a、5bのプレスカーブの差を演算することによって、干渉曲線を算出することができる。
【0051】
本実施の形態の場合、左端位置P1、中央位置P2および右端位置P3における干渉曲線が得られる。
例えば、図12(a)に示すように、シミュレーション装置3により、プレス装置5bの下降中に、右端位置P3において上金型7aと、フィーダ装置6aが干渉することが判明した場合(点線T参照)、作業者によって干渉曲線S(図12(b)参照)が算出される。干渉曲線Sの一番低い部分がSpと示されている。干渉曲線Sは搬送バー68の上下方向における中心を基準に描かれているため、上金型7aの場合には、搬送バー68の上面高さまで干渉曲線Sを上げた曲線S´までが干渉領域となる。そして、図12(b)に示すように、干渉曲線S´に侵入しないように金型設計が見直される。たとえば、干渉部分81a(ハッチング部分)と干渉部分81b(ハッチング部分)を削れば干渉しないことがわかる。
【0052】
そして、図12(c)に示すように、修正後の金型を用いて再度シミュレーションを行い、干渉なく生産できることを確認した上で実際に金型を作成することができる。なお、下金型7bとの干渉領域を検討する場合には、干渉曲線Sを搬送バー68に装着される保持具80の下面の高さまで干渉曲線を下げた曲線までが下金型7bとの干渉領域となる。
また、同時刻の左端位置P1と右端位置P3を結ぶことにより、図13に示すように、三次元の軌跡を表示することができるため、プレス装置5a、5bまたは金型(上金型7a、下金型7b)との干渉確認を容易に行うことができる。
【0053】
<3.特徴>
(3-1)
本実施の形態のシミュレーション装置3は、シミュレーション部353と、座標取得部361(取得部の一例)と、を備える。シミュレーション部353は、プレス装置5a、5b、5cと、プレス装置5a、5b、5cの間でワークWを搬送するフィーダ装置6a、6b(搬送装置の一例)の動作をシミュレーションする。座標取得部361は、シミュレーションからフィーダ装置6a、6bの幅方向Yにおける複数の所定位置の軌跡を取得する。
【0054】
これにより、ワークWを搬送する際に、フィーダ装置6a、6bの動きが複雑な場合(例えば幅方向Yに対して傾斜した場合)であっても、フィーダ装置6a、6bの幅方向Yにおける複数の位置の軌跡からプレス装置5a、5b、5cとの干渉の確認を容易に行うことができる。
【0055】
(3-2)
本実施の形態のシミュレーション装置3では、複数の所定位置は、フィーダ装置6a、6bの幅方向Yにおける左端位置P1と右端位置P3(両端の位置の一例)である。
これにより、左端位置P1と右端位置P3の軌跡からプレス装置5a、5b、5cとの干渉確認を行うことができる。
【0056】
(3-3)
本実施の形態のシミュレーション装置3は、通信装置34(出力部の一例)を更に備える。通信装置34は、複数の所定位置の軌跡を外部に出力する。
これにより、フィーダ装置6a、6bの軌跡とプレス装置5a、5b、5cのモーションから干渉曲線を演算し金型の作成に利用することができる。
【0057】
(3-4)
本実施の形態のシミュレーション装置3は、表示装置33(表示部の一例)を更に備える。表示装置33は、複数の所定位置の軌跡を表示する。
これにより、作業者は、表示を見て、フィーダ装置6a、6bとプレス装置5a、5b、5cとの干渉の確認を行うことができる。
【0058】
(3-5)
本実施の形態のシミュレーション装置3では、フィーダ装置6a、6b(搬送装置の一例)には、ワークWを保持する保持具80を取り付け可能な搬送バー68が設けられている。複数の所定位置は、搬送バー68の両端の位置である。
これにより、作業者は、搬送バー68とプレス装置5a、5b、5cとの干渉を容易に確認することができる。
【0059】
(3-6)
本実施の形態のシミュレーション装置3では、フィーダ装置6a、6b(搬送装置の一例)は、回動部67、バー回動部684および回動部69(傾斜機構の一例)を有する。回動部67、バー回動部684および回動部69は、搬送バー68の両端の高さが異なるように搬送バー68を傾斜する。
これにより、フィーダ装置6a、6bの搬送バー68が傾斜する場合であっても、搬送バー68とプレス装置5a、5b、5cとの干渉を容易に確認することができる。
【0060】
(3-7)
本実施の形態のシミュレーション装置3は、モーション設定部320を更に備える。モーション設定部320は、搬送バー68の傾斜を含むフィーダ装置6a、6bのモーションを設定する。
これにより、作業者が、フィーダ装置6a、6bのモーションおよび搬送バー68の傾斜を設定することができる。
【0061】
(3-8)
本実施の形態のプレスシステム1は、プレス装置5a、5b、5cと、フィーダ装置6a、6b(搬送装置の一例)と、シミュレーション装置3と、を備える。複数のプレス装置5a、5b、5cは、ワークWをプレス加工する。フィーダ装置6a、6bは、プレス装置5a、5b、5c間でワークWを搬送する。シミュレーション装置3は、シミュレーション部353と、座標取得部361と、を有する。シミュレーション部353は、プレス装置5a、5b、5cおよびフィーダ装置6a、6bの動作をシミュレーションする。座標取得部361は、シミュレーションからフィーダ装置6a、6bの幅方向Yにおける複数の所定位置の軌跡を取得する。
これにより、ワークWを搬送する際に、フィーダ装置6a、6bの動きが複雑な場合(例えば幅方向Yに対して傾斜した場合)であっても、フィーダ装置6a、6bの幅方向Yにおける複数の位置の軌跡からプレス装置5a、5b、5cとの干渉の確認を容易に行うことができる。
【0062】
(3-9)
本実施の形態のシミュレーション方法は、ステップS60、S90(シミュレーションステップの一例)と、ステップS70(取得ステップの一例)と、を備える。ステップS60、S90(シミュレーションステップの一例)は、プレス装置5a、5b、5cと、プレス装置5a、5b、5cの間でワークWを搬送するフィーダ装置6a、6b(搬送装置の一例)の動作をシミュレーションする。ステップS70(取得ステップの一例)は、シミュレーションからフィーダ装置6a、6bの幅方向Yにおける複数の所定位置の軌跡を取得する。
これにより、ワークWを搬送する際に、フィーダ装置6a、6bの動きが複雑な場合(例えば幅方向Yに対して傾斜した場合)であっても、フィーダ装置6a、6bの幅方向Yにおける複数の位置の軌跡からプレス装置5a、5b、5cとの干渉の確認を容易に行うことができる。
【0063】
<4.他の実施の形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施の形態では、搬送バー68の左端位置P1、中央位置P2、および右端位置P3の座標を取得しているが、中央位置P2については、左端位置P1と右端位置P3から演算できるため、中央位置を取得しなくても良い。
また、本実施の形態の搬送バー68は左右対称であるため、左端位置P1および右端位置P3のいずれか一方と中央位置P2の座標を取得すれば、他方の座標を演算により算出することができる。このため、中央位置P2と、左端位置P1および右端位置P3のいずれか一方とを取得してもよい。
【0064】
(B)
上記実施の形態では、搬送バー68の左端位置P1および右端位置P3の座標を取得しているが、この位置に限らなくてもよく、作業者が座標を取得する位置を設定してもよい。この場合、入力装置32に座標取得位置設定部が設けられ、作業者が設定できるように構成すればよい。
【0065】
(C)
また、上記実施の形態では、搬送バー68を傾けた際に幅方向Yにおいて高さが最も高くなる位置と低くなる位置として左端位置P1と右端位置P3の座標が取得されているが、搬送バー68を傾けた際に幅方向Yにおいて高さが最も高くなる位置と低くなる位置であれば左端位置P1と右端位置P3に限られるものではない。
【0066】
(D)
上記実施の形態では、図3に示すフィーダ装置6a、6bを用いて説明したが、フィーダ装置の構成は、これに限られるものではなく、タンデムプレスラインにおいて、ワークをプレス装置5a、5b、5cで搬送可能なフィーダ装置であればよい。
(E)
上記実施の形態では、搬送バー68が幅方向Yに対して傾斜することにより、左端位置P1と中央位置P2と右端位置P3の高さが変わっている例について説明したが、搬送バー68が幅方向Yに対して傾斜していない場合であっても、左端位置P1と中央位置P2と右端位置P3の軌跡を取得してもよい。また、搬送バー68を幅方向Yに対して傾斜させない場合には、搬送バー68の幅方向Yにおけるいずれか1点のみの座標位置を取得してもよい。
【0067】
(F)
上記実施の形態のプレスライン2では、3台のプレス装置5a、5b、5cと、2台のフィーダ装置6a、6bが設けられていが、これらの数に限られるものではない。
【0068】
(G)
上記実施の形態では、座標取得部361は、演算装置36に設けられているが、GPU35aに設けられていてもよい。
また、搬送バー設定部351、座標取得位置設定部352およびシミュレーション部353の全部または一部が演算装置36に設けられていてもよい。
【0069】
(H)
本発明のプログラムは、上述した本発明のシミュレーション方法の全部または一部のステップの動作をコンピュータにより実行されるプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
本発明の記録媒体は、上述した本発明のシミュレーション方法の全部または一部のステップの動作をコンピュータにより実行さえるプログラムを記録した記録媒体であり、コンピュータにより読み取り可能且つ、読み取られた前記プログラムが前記混ユー多と協働して前記動作を実行する記録媒体である。
本発明のプログラムの一つの利用形態は、コンピュータによって読み取り可能なROM等の記憶媒体に記録され、コンピュータと協働して動作する態様であってもよい。
【0070】
また、本発明のプログラムの一つの利用形態は、インターネット等の伝送媒体、光・電波等の伝送媒体中を伝送し、コンピュータにより読み取られ、コンピュータと協働して動作する態様であってもよい。
また、上述した本発明のコンピュータは、CPU等の純然たるハードウェアに限らず、ファームウェアや、OS、更に周辺機器を含むものであっても良い。さらに、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現しても良いし、ハードウェア的に実現してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明のシミュレーション装置は、容易に干渉確認を行うことが可能な効果を有し、タンデムプレスライン等に有用である。
【符号の説明】
【0072】
3 :シミュレーション装置
5a :プレス装置
5b :プレス装置
5c :プレス装置
6a :フィーダ装置
6b :フィーダ装置
353 :シミュレーション部
361 :座標取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13