(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】油圧ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04B 1/30 20200101AFI20220404BHJP
【FI】
F04B1/30
(21)【出願番号】P 2018022444
(22)【出願日】2018-02-09
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】赤見 俊也
(72)【発明者】
【氏名】山口 祥
【審査官】嘉村 泰光
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-219473(JP,A)
【文献】実開平05-001866(JP,U)
【文献】特開平09-2301(JP,A)
【文献】特開平09-280161(JP,A)
【文献】特開2017-203399(JP,A)
【文献】特開2018-003609(JP,A)
【文献】米国特許第03256830(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 1/00-7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線周りに回転するシリンダブロックであって、複数のシリンダ穴が形成されたシリンダブロックと、
各シリンダ穴内に摺動自在に保持されたピストンと、
前記シリンダブロックが前記回転軸線周りに回転することにより、各ピストンを各シリンダ穴内で摺動させるための斜板であって、その傾転角が変更可能に構成された斜板と、
前記斜板の傾転角が大きくなる向きに前記斜板を付勢する第1付勢手段と、
前記斜板を付勢する付勢ロッドを有し、前記斜板の傾転角が小さくなる向きに前記斜板を付勢する第2付勢手段と、
前記付勢ロッドの側面をガイドするガイド部と、を有する油圧ポンプであって、
前記付勢ロッドにおける前記斜板と反対側の端面には、流量制御信号圧及び
前記油圧ポンプからの圧油の最大吐出流量を減少させるための馬力シフト信号圧の少なくとも一方が作用
し、
前記付勢ロッドの前記側面と前記ガイド部との間に、他のポンプからの圧油が供給される、油圧ポンプ。
【請求項2】
回転軸線周りに回転するシリンダブロックであって、複数のシリンダ穴が形成されたシリンダブロックと、
各シリンダ穴内に摺動自在に保持されたピストンと、
前記シリンダブロックが前記回転軸線周りに回転することにより、各ピストンを各シリンダ穴内で摺動させるための斜板であって、その傾転角が変更可能に構成された斜板と、
前記斜板の傾転角が大きくなる向きに前記斜板を付勢する第1付勢手段と、
前記斜板の傾転角が小さくなる向きに前記斜板を付勢する第2付勢手段と、を有する油圧ポンプであって、
前記第2付勢手段は、前記斜板を付勢する付勢ロッドと、付勢ピンとを有し、
前記付勢ロッドにおける前記斜板と反対側の端面には、流量制御信号圧及び前記油圧ポンプからの圧油の最大吐出流量を減少させるための馬力シフト信号圧の少なくとも一方が作用し、
前記付勢ピンは、前記付勢ピンに対応する信号圧に応じて前記付勢ロッドを介して前記斜板を付勢する、油圧ポンプ。
【請求項3】
前記端面には、前記流量制御信号圧が作用する、請求項1
又は2に記載の油圧ポンプ。
【請求項4】
前記流量制御信号圧は、ネガティブ流量制御信号圧である、請求項
3に記載の油圧ポンプ。
【請求項5】
前記流量制御信号圧又は前記馬力シフト信号圧は、オリフィスを介して前記端面に作用する、請求項1~
4のいずれかに記載の油圧ポンプ。
【請求項6】
前記流量制御信号圧又は前記馬力シフト信号圧は、
互いに並列に接続されたオリフィス及びチェック弁を有するスローリターン機構を介して前記端面に作用する、請求項1~
4のいずれかに記載の油圧ポンプ。
【請求項7】
前記流量制御信号圧又は前記馬力シフト信号圧は、電気信号が電磁比例弁により油圧に変換された信号圧である、請求項1~
6のいずれかに記載の油圧ポンプ。
【請求項8】
前記端面には、前記流量制御信号圧及び前記馬力シフト信号圧のうち、相対的に高い圧力を有する信号圧が作用する、請求項1~
7のいずれかに記載の油圧ポンプ。
【請求項9】
前記ガイド部には、前記他のポンプからの圧油を前記側面と前記ガイド部との間に供給するための供給孔が設けられ、
前記側面には、前記供給孔から供給された圧油を保持するための油保持溝が設けられ、
前記油保持溝は、前記付勢ロッドの前記ガイド部に沿った進退動作中のいずれの位置においても、前記供給孔と対面する、請求項
1に記載の油圧ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設車両等に用いられる油圧ポンプに関し、とりわけ可変容量型の油圧ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
建設車両等の幅広い分野において、可変容量型の油圧ポンプが用いられている。可変容量型の油圧ポンプは、一般的に、回転軸周りに回転し、回転軸方向に沿って延びる複数のシリンダ穴が形成されたシリンダブロックと、各シリンダ穴内に摺動自在に保持されたピストンと、シリンダブロックが回転軸周りに回転することにより、各ピストンを各シリンダ穴内で摺動させるための斜板と、シリンダブロックの回転軸に対する斜板の傾斜角(傾転角)を変更するための機構と、を有している。
【0003】
例えば特許文献1には、斜板の傾転角を変えることで吐出容量が調整される可変容量型の斜板式油圧ポンプが開示されている。特許文献1に開示された油圧ポンプは、回転軸線周りに回転するシリンダブロックと、シリンダブロックに形成された各シリンダ穴内に摺動自在に保持されたピストンと、傾転角が変更可能に構成された斜板と、斜板の傾転角が大きくなる向きに斜板を付勢する第1付勢手段と、斜板の傾転角が小さくなる向きに斜板を付勢する第2付勢手段と、を有しており、この第2付勢手段は、付勢ロッドと複数の付勢ピンとを有し、各付勢ピンは、各付勢ピンに対応する信号圧に応じて付勢ロッドを介して斜板を付勢する。このような油圧ポンプによれば、簡単な機構により斜板の傾転角を調整可能とすることができる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術では、オペレータのレバー操作に応じてコントロールバルブで生成された信号圧が、付勢ピンユニット内に形成された第2圧力室に入力される。この第2圧力室に入力された信号圧により付勢ピストンが付勢され、付勢ピストンにより第4付勢ピンが付勢ロッドに向けて付勢されている。このような機構について本件発明者らが鋭意検討を進めたところ、このような機構を有する油圧ポンプでは、付勢ピンの断面積よりも大きな断面積を有し比較的部品寸法が大きくなる付勢ピストンが必要であることから付勢ピンユニットを小型化することが難しく、油圧ポンプ全体の小型化及び軽量化には限界があることが知見された。
【0006】
また、特許文献1に開示された技術では、オペレータのレバー操作に応じてコントロールバルブで生成された信号圧が、第4付勢ピンを介して、付勢ロッドの後端面における中心から径方向にずれた位置に作用する。これに起因して、当該信号圧により付勢された付勢ロッドには、付勢ロッドの長手方向と直交する軸線周りに回転するモーメントが生じ得る。このモーメントにより、付勢ロッドは第1ガイド部に押付けられ、付勢ロッドと第1ガイド部との間には比較的大きな摩擦を生じる。これにより、付勢ロッド及び第1ガイド部が摩耗し、付勢ロッドの動作が不安定になる虞がある。さらに、付勢ロッドと第1ガイド部との間に摩擦が生じることにより、第2圧力室に同じ信号圧が入力されているにもかかわらず、斜板側へ向かう移動中と、斜板と反対側へ向かう移動中とで付勢ロッドの位置が異なる、いわゆるヒステリシスが生じる虞もある。これによっても付勢ロッドの動作が不安定になる虞がある。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、大型化を抑制しながらも安定した動作が可能な油圧ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による油圧ポンプは、
回転軸線周りに回転するシリンダブロックであって、複数のシリンダ穴が形成されたシリンダブロックと、
各シリンダ穴内に摺動自在に保持されたピストンと、
前記シリンダブロックが前記回転軸線周りに回転することにより、各ピストンを各シリンダ穴内で摺動させるための斜板であって、その傾転角が変更可能に構成された斜板と、
前記斜板の傾転角が大きくなる向きに前記斜板を付勢する第1付勢手段と、
前記斜板の傾転角が小さくなる向きに前記斜板を付勢する第2付勢手段と、を有し、
前記第2付勢手段は、前記斜板を付勢する付勢ロッドを有し、
前記付勢ロッドにおける前記斜板と反対側の端面には、流量制御信号圧及び馬力シフト信号圧の少なくとも一方が作用する。
【0009】
本発明の油圧ポンプにおいて、
前記端面には、前記流量制御信号圧が作用してもよい。
【0010】
本発明の油圧ポンプにおいて、
前記流量制御信号圧は、ネガティブ流量制御信号圧であってもよい。
【0011】
本発明の油圧ポンプにおいて、
前記流量制御信号圧又は前記馬力シフト信号圧は、オリフィスを介して前記端面に作用してもよい。
【0012】
本発明の油圧ポンプにおいて、
前記流量制御信号圧又は前記馬力シフト信号圧は、スローリターン機構を介して前記端面に作用してもよい。
【0013】
本発明の油圧ポンプにおいて、
前記流量制御信号圧又は前記馬力シフト信号圧は、電気信号が電磁比例弁により油圧に変換された信号圧であってもよい。
【0014】
本発明の油圧ポンプにおいて、
前記端面には、前記流量制御信号圧及び前記馬力シフト信号圧のうち、相対的に高い圧力を有する信号圧が作用してもよい。
【0015】
本発明の油圧ポンプにおいて、
前記付勢ロッドの側面をガイドするガイド部をさらに有し、
前記側面と前記ガイド部との間に、他のポンプからの圧油が供給されてもよい。
【0016】
本発明の油圧ポンプにおいて、
前記ガイド部には、前記他のポンプからの圧油を前記側面と前記ガイド部との間に供給するための供給孔が設けられ、
前記側面には、前記供給孔から供給された圧油を保持するための油保持溝が設けられ、
前記油保持溝は、前記付勢ロッドの前記ガイド部に沿った進退動作中のいずれの位置においても、前記供給孔と対面してもよい。
【0017】
本発明の油圧ポンプにおいて、
前記第2付勢手段は、付勢ピンをさらに有し、
前記付勢ピンは、前記付勢ピンに対応する信号圧に応じて前記付勢ロッドを介して前記斜板を付勢してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、大型化を抑制しながらも安定した動作が可能な油圧ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明による一実施の形態を説明するための図であって、油圧ポンプの断面を示す図である。
【
図2】
図2は、油圧ポンプの付勢ピンユニットの断面を示す図であって、
図1のII-II線に対応する断面を示す図である。
【
図3】
図3は、油圧ポンプの一変形例を示す図である。
【
図4】
図4は、油圧ポンプの他の変形例を示す図である。
【
図5】
図5は、油圧ポンプのさらに他の変形例を示す図である。
【
図6】
図6は、油圧ポンプのさらに他の変形例を示す図である。
【
図7】
図7は、油圧ポンプのさらに他の変形例を示す図である。
【
図8】
図8は、油圧ポンプのさらに他の変形例を示す図である。
【
図9】
図9は、油圧ポンプのさらに他の変形例を示す図であって、付勢ロッドが最も斜板と反対側に位置するときの、付勢ロッドと潤滑油の供給孔との位置関係を示す図である。
【
図10】
図10は、
図9の付勢ロッドが最も斜板側に位置するときの、付勢ロッドと供給孔との位置関係を示す図である。
【
図11】
図11は、油圧ポンプのさらに他の変形例を示す断面図である。
【
図12】
図12は、油圧ポンプのさらに他の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0021】
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0022】
図1~
図11は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち
図1は、油圧ポンプの断面を示す図である。
【0023】
本実施の形態の油圧ポンプ10は、いわゆる斜板式可変容量型油圧ポンプである。油圧ポンプ10は、後述のシリンダ穴32からの作動油の吐出(及びシリンダ穴32への作動油の供給)に基づく駆動力を出力する。より具体的には、エンジン等の動力源からの動力によって回転軸25を回転させることにより、回転軸25とスプライン結合等によって結合されたシリンダブロック30を回転させて、シリンダブロック30の回転によりピストン38を往復動作させる。このピストン38の往復動作に応じて、一部のシリンダ穴32からは作動油が吐き出されるとともに他のシリンダ穴32には作動油が吸い込まれ、油圧ポンプが実現される。
【0024】
図1に示された油圧ポンプ10は、ハウジング20、回転軸25、シリンダブロック30、斜板40、第1付勢手段50及び第2付勢手段60を有している。また、
図1に示された油圧ポンプ10には、後述する他のポンプの一例としてのギヤポンプ14が取り付けられている。
【0025】
ハウジング20は、第1ハウジングブロック21と、第1ハウジングブロック21に対して図示しない締結手段等により結合された第2ハウジングブロック22と、を有している。ハウジング20は、回転軸25の一部、シリンダブロック30、斜板40及び第1付勢手段50を収容している。
図1に示された例では、第1ハウジングブロック21の内側に、回転軸25の一方の端部と、吸排プレート35を介して複数のシリンダ穴32に連通する図示しない供給ポート及び排出ポートと、後述の付勢ロッド61をガイドするための第1ガイド部(ガイド部)23と、が配置されている。また供給ポートは、第1ハウジングブロック21を貫通して設けられ、油圧ポンプ10の外部に設けられる油圧源(タンク)に連通する。
【0026】
第1ハウジングブロック21には、回転軸25が挿入される回転軸用孔24aが形成され、回転軸25は、回転軸用孔24aにおいて軸受28aにより回転軸線A周りに回転自在に支持されている。回転軸線Aは、回転軸25の長手方向に沿って延びている。回転軸25の一端は、回転軸用孔24a内に位置し、当該一端に形成されたスプライン結合部26aを介してギヤポンプ14の回転軸16と連結されている。
【0027】
第2ハウジングブロック22には、回転軸25が貫通する回転軸用孔24bが形成され、回転軸25は、その一端から他端へ向かって、シリンダブロック30及び斜板40を貫通して延びている。回転軸25は、その他端において回転軸用孔24bに配置された軸受28bにより回転軸線A周りに回転自在に支持されている。図示された例では、回転軸25の他端は、回転軸用孔24bから外側に向けて突出しており、当該他端に形成されたスプライン結合部26bを介してエンジン等の動力源と連結される。
【0028】
図1に示された例では、回転軸25は、シリンダブロック30を貫通する部分に設けられたスプライン結合部26cにおいてシリンダブロック30とスプライン結合している。このシリンダブロック30とのスプライン結合により回転軸25は、回転軸線Aの方向に関してはシリンダブロック30と無関係に移動可能であるが、回転軸線A周りの回転方向に関してはシリンダブロック30とともに一体的に回転する。また回転軸25は、第1ハウジングブロック21内において軸受28aにより回転自在に支持され、第2ハウジングブロック22内において軸受28bを介して回転自在に支持され、斜板40とは接触しないようになっている。したがって、回転軸25は、シリンダブロック30以外の部材によっては阻害されずに、シリンダブロック30とともに回転軸線A周りの回転方向へ回転可能に設けられている。
【0029】
本実施の形態の油圧ポンプ10には、ギヤポンプ(他のポンプ)14が取り付けられている。ギヤポンプ14は、油圧ポンプ10の第1ハウジングブロック21に対して、回転軸線Aに沿って第2ハウジングブロック22の反対側に、図示しない締結手段等により結合されている。
図1に示された例では、ギヤポンプ14は、回転軸16を有している。回転軸16は、回転軸線A周りに回転自在に配置されている。すなわち、回転軸25と回転軸16とは、回転軸線Aを共有している。上述したように、回転軸25の一端は、当該一端に形成されたスプライン結合部26aを介してギヤポンプ14の回転軸16と連結されている。具体的には、回転軸25の一端とスリーブ18とが、スプライン結合部26aを介して連結され、回転軸16とスリーブ18とが、当該回転軸16に形成されたスプライン結合部17aを介して連結されている。
【0030】
エンジン等の動力源と連結された回転軸25が動力源からの駆動力により回転すると、回転軸25と回転軸16とは、回転軸線A周りに一体的に回転する。これによりギヤポンプ14から、油圧ポンプ10及びギヤポンプ14が組み込まれた作業機械等の各部に、一定圧力で圧油が供給される。とりわけ本実施の形態では、後述するように、付勢ロッド61の側面61cと、側面61cをガイドする第1ガイド部23との間に、ギヤポンプ14から吐出される圧油の一部が、供給ラインLを介して供給される。なお、ギヤポンプ14は、公知のギヤポンプと同様に構成することができるので、その具体的構成についての説明は省略する。
【0031】
シリンダブロック30は、回転軸25とともに回転軸線Aを中心に回転し、回転軸線Aの周りにおいて穿設された複数のシリンダ穴32を有する。とりわけ
図1に示された例では、各シリンダ穴32は、それぞれ回転軸線Aと平行な方向に沿って延びるように設けられている。なお、これに限られず、シリンダ穴32は、回転軸線Aに対して傾斜した方向に沿って延びるように設けられてもよい。シリンダブロック30に形成される複数のシリンダ穴32の数は特に限定されないが、これらのシリンダ穴32は、回転軸線Aに沿った方向から見て、同一円周上に等間隔(等角度間隔)で配置されることが好ましい。
【0032】
シリンダブロック30のうち斜板40が設けられる側とは反対側の端部には、複数のシリンダ穴32のそれぞれに連通する開口32aが形成されている。またシリンダブロック30のうち斜板40が設けられる側とは反対側の端部に対面して、図示しない複数の貫通孔が形成された吸排プレート35が配置されている。複数のシリンダ穴32は、これらの開口32a及び貫通孔を介して、第1ハウジングブロック21内に設けられた図示しない供給ポート及び排出ポートと連通し、これらの供給ポート及び排出ポートを介して作動油の供給及び排出が行われる。また、
図1に示された例では、シリンダブロック30のうち斜板40が設けられる側とは反対側の端部の回転軸25の周囲に、後述のスプリング44及びリテーナ45a,45bを収容する凹部30aが形成されている。
【0033】
図1に示された吸排プレート35は、第1ハウジングブロック21に固定されており、シリンダブロック30が回転軸25とともに回転する場合であっても、ハウジング20(第1ハウジングブロック21)に対して静止している。そのため、供給ポート及び排出ポートの各々と連通するシリンダ穴32は、シリンダブロック30の回転状態に応じて吸排プレート35を介して切り換えられ、供給ポートから作動油が供給される状態と排出ポートに作動油を排出する状態とが繰り返し訪れる。
【0034】
ピストン38は、それぞれ対応するシリンダ穴32に対して摺動自在に配置されている。言い換えると、ピストン38は、それぞれ対応するシリンダ穴32内に摺動自在に保持されている。とりわけ、各ピストン38は、対応するシリンダ穴32に対して回転軸線Aと平行な方向に沿って往復動可能に設けられている。ピストン38の内部は空洞であり、シリンダ穴32内の作動油で満たされている。したがってピストン38の往復動はシリンダ穴32への作動油の供給及び排出と連関し、ピストン38がシリンダ穴32から引き出される際には、シリンダ穴32内に供給ポートから作動油が供給され、ピストン38がシリンダ穴32内に進入する際には、シリンダ穴32内から排出ポートに作動油が排出される。
【0035】
本実施の形態では、各ピストン38の斜板40側の端部(シリンダ穴32から突出する側の端部)、には、シュー43が取り付けられている。また、回転軸25の周囲には、スプリング44、リテーナ45a,45b、連結部材46、押圧部材47及びシュー保持部材48が設けられている。スプリング44及びリテーナ45a,45bは、シリンダブロック30のうち斜板40が設けられる側とは反対側の端部の回転軸25の周囲に形成された凹部30a内に収容されている。
図1に示された例では、スプリング44はコイルスプリングであり、凹部30a内において、リテーナ45aとリテーナ45bとの間に圧縮された状態で配置されている。したがって、スプリング44は、その弾性力によって当該スプリング44が伸長する向きに付勢力を生じる。スプリング44の付勢力はリテーナ45b及び連結部材46を介して押圧部材47へ伝えられる。シュー保持部材48には、各シュー43が保持されており、押圧部材47はスプリング44の付勢力を受けて、シュー保持部材48を介して各シュー43を斜板40へ向けて押圧する。
【0036】
図1に示された例では、斜板40は様々な角度に傾転可能であるが、スプリング44の付勢力によって、斜板40の傾転角にかかわらず各シュー43が斜板40に対して適切に追従して押し当てられる。これにより、ピストン38がシリンダブロック30とともに回転すると、各シュー43は斜板40上を円軌道を描くようにして摺動する。なお、図示された例では、ピストン38の斜板40側の端部が球状の凸部を形成し、シュー43に形成された球状の凹部にピストン38の凸部が嵌め込まれ、シュー43の凹部がかしめられて、ピストン38及びシュー43によって球面軸受構造が形成されている。この球面軸受構造によって、斜板40の傾転角が変化しても、各シュー43は斜板40の傾転に追従して斜板40上を適切に摺動回転できる。
【0037】
斜板40は、シリンダブロック30が回転軸線A周りに回転することにより、各ピストン38を各シリンダ穴32内で摺動させるためのものである。斜板40は、シリンダブロック30に対面する側において平坦な摺動面41を有し、摺動面41には、ピストン38の斜板40側の端部と連結したシュー43が押し当てられている。また、斜板40は傾転可能に設けられており、斜板40(摺動面41)の傾転角に応じてピストン38の往復動のストロークが変わる。すなわち、斜板40(摺動面41)の傾転角が大きいほど各ピストン38の往復動に伴うシリンダ穴32に対する作動油の供給量及び排出量は大きくなり、斜板40(摺動面41)の傾転角が小さいほど各ピストン38の往復動に伴うシリンダ穴32に対する作動油の供給量及び排出量は小さくなる。ここで、斜板40(摺動面41)の傾転角とは、斜板40の板面(摺動面41)が、回転軸線Aと直交する仮想平面に対してなす角を意味している。傾転角が0度の場合には、シリンダブロック30が回転軸線A周りに回転しても各ピストン38は往復動せず、各シリンダ穴32からの作動油の排出量もゼロになる。なお、
図1に示された例では、斜板40は、その傾転角を小さくしていくと、第2ハウジングブロック22に設けられたストッパ27に当接するようになっている。ストッパ27は、斜板40に対して進退可能に構成されている。これにより、斜板40の最小傾転角は、ストッパ27を斜板40に対して進退させることにより適宜調整することができる。また、斜板40は、摺動面41の外側に、後述の付勢ロッド61が当接し付勢ロッド61から付勢力を受ける当接面42を有している。図示された例では、当接面42は、摺動面41と平行をなすように設けられている。
【0038】
第1付勢手段50は、斜板40の傾転角が大きくなる向きに斜板40を付勢する。
図1に示された例では、第1付勢手段50は、斜板40と反対側(第1ハウジングブロック21側)に配置された第1リテーナ51と、斜板40側(第2ハウジングブロック22側)に配置された第2リテーナ52と、第1リテーナ51と第2リテーナ52との間に配置されたスプリング54,55を有している。第1スプリング54は、第1リテーナ51と第2リテーナ52との間に、圧縮された状態で配置されている。したがって、第1スプリング54は、その弾性力によって当該第1スプリング54が伸長する向きに付勢力を生じる。第2スプリング55は、第1スプリング54の内側に配置されている。このため、第2スプリング55の巻径は、第1スプリング54の巻径よりも小さく形成されている。
【0039】
図1に示された例では、第2スプリング55は第2リテーナ52に固定されており、斜板40の傾転角が大きい状態(
図1参照)において第1リテーナ51から離間している。これにより、斜板40の傾転角が大きいうちは、斜板40には第1スプリング54の付勢力のみが作用する。斜板40の傾転角が小さくなっていくと、ある傾転角のときに第2スプリング55が第1リテーナ51に接触する。さらに斜板40の傾転角が小さくなると、第2スプリング55も第1リテーナ51と第2リテーナ52との間で圧縮され、これにより、斜板40には、第1スプリング54及び第2スプリング55の両方の付勢力が作用する。したがって、図示された第1付勢手段50によれば、斜板40の傾転角に応じて、その付勢力を段階的に変化させることができる。なお、第2スプリング55は、第2リテーナ52に固定されるものに限られず、第1リテーナ51に固定されるようにしてもよいし、第1リテーナ51及び第2リテーナ52のいずれにも固定されず、第1リテーナ51と第2リテーナ52との間で移動可能にされていてもよい。図示された例では、第1リテーナ51の第2リテーナ52に対する離間距離は、アジャスタ57を第1リテーナ51に向けて進退させることにより調整可能にされている。これにより、第1付勢手段50の初期付勢力、とりわけ第1スプリング54による第1付勢手段50の初期付勢力を適宜調整することができる。
【0040】
第2付勢手段60は、第1付勢手段50による斜板40への付勢力と反対向きの付勢力を斜板40に作用させる。とりわけ、第2付勢手段60は、第1付勢手段50による斜板40の傾転角が大きくなる向きへの付勢力に抗して、斜板40の傾転角が小さくなる向きに斜板40を付勢する。
図1に示された例では、第2付勢手段60は、付勢ロッド61と付勢ピンユニット70とを有している。付勢ロッド61は、付勢ロッド61と付勢ピンユニット70との間に形成された第1圧力室81に入力(導入)された信号圧Pにより、斜板40に向けて付勢され、斜板40をその傾転軸周りに傾転させる。付勢ピンユニット70は、ユニットケース76と、複数の第1付勢ピン71とを有する。各第1付勢ピン71は、各第1付勢ピン71に対応する信号圧に応じて付勢ロッド61を斜板40に向けて付勢する。言い換えると、各第1付勢ピン71は、各第1付勢ピン71に対応する信号圧に応じて付勢ロッド61を介して斜板40を付勢する。
【0041】
図1に示された例では、付勢ロッド61は、全体として略円柱状の形状を有し、その軸線が回転軸線Aと平行をなすようにして、斜板40の当接面42と付勢ピンユニット70の各第1付勢ピン71との間に配置されている。なお、付勢ロッド61は、その軸線が回転軸線Aと平行をなすように配置されたものに限られず、その軸線が回転軸線Aに対して傾斜して配置されたものであってもよい。付勢ロッド61は、斜板40(当接面42)に対面する先端面61a、付勢ロッド61の軸線に沿って先端面61aと反対側をなす後端面(端面)61b、及び、先端面61aと後端面61bとを接続する側面61cを有している。図示された例では、先端面61aは球面状をなしている。これにより、斜板40の傾転角の変化に起因して斜板40(当接面42)と付勢ロッド61とのなす角度が変化しても、斜板40に対する付勢力を先端面61aから当接面42へ適切に伝達することができる。また、付勢ロッド61の後端面61bは、付勢ロッド61の軸線と直交する平坦面を有している。なお、後端面61bは、信号圧Pが作用する作用面として機能できる形状を有していればよく、その具体的形状は特に限られない。後端面61bは、付勢ロッド61の軸線に対して傾斜した平坦面を有してもよいし、曲面を含んでもよい。例えば、後端面61bは、付勢ロッド61から突出する球面状、付勢ロッド61へ向けて凹んだ球面状、波状、複数の平坦面を組み合わせた形状、複数の曲面を組み合わせた形状、平坦面と曲面とを組み合わせた形状、段部を含む形状等であってもよい。
【0042】
第1ハウジングブロック21(ハウジング20)には、付勢ロッド61の側面61cをガイドするための第1ガイド部(ガイド部)23が設けられており、付勢ロッド61は、第1ガイド部23に対して摺動自在に配置されている。このため、付勢ロッド61は、その一部が第1ガイド部23内に摺動自在に保持されている。第1ガイド部23は、第1ハウジングブロック21に設けられた貫通孔で構成され、付勢ロッド61の断面形状と相補形状をなす断面形状を有している。すなわち、第1ガイド部23は円形断面を有した円筒状の貫通孔で構成されている。
図1に示された例では、第1ガイド部23は、第1ハウジングブロック21(ハウジング20)と一体に設けられている。第1ガイド部23を第1ハウジングブロック21と一体に設けるようにすると、第1ガイド部23は、第1ハウジングブロック21に穿孔することにより形成することができ、簡単な加工で第1ガイド部23を形成することが可能になる。また、第1ガイド部23を設けるために追加の部材を必要としないので、油圧ポンプ10の部品点数の削減及びコストの削減に貢献する。なお、第1ガイド部23の構成はこれに限られるものではない。一例として、第1ハウジングブロック21と別の、例えば円筒状の、部材を用いて形成された第1ガイド部23を、ハウジング20に取り付けるようにしてもよい。
【0043】
第1ハウジングブロック21(ハウジング20)には、第1ガイド部23に連通する凹部29が形成されており、この凹部29には、付勢ピンユニット70の凸部78が嵌め込まれる。
【0044】
付勢ロッド61で斜板40を付勢する際、斜板40からの反力により、付勢ロッド61に、付勢ロッド61の軸線方向に対して傾斜した向きの力が作用する場合がある。本実施の形態の油圧ポンプ10は、上述の第1ガイド部23を有していることにより、付勢ロッド61に、付勢ロッド61の軸線方向に対して傾斜した向きの力が作用しても、第1ガイド部23が付勢ロッド61を適切に保持することができるので、付勢ロッド61を安定して動作させることができる。
【0045】
図1に示された例では、付勢ロッド61の側面61cと第1ガイド部23との間に、他のポンプからの圧油が供給される。図示された例では、他のポンプとして油圧ポンプ10に取り付けられたギヤポンプ14を用いる。圧油は、ギヤポンプ14から供給ラインLを通って第1ガイド部23内に供給される。供給ラインLは、一例として、ギヤポンプ14及びハウジング20(第1ハウジングブロック21)の内部を通って第1ガイド部23に開口する通路とすることができる。なお、他のポンプは、油圧ポンプ10から独立して配置された油圧ポンプであってもよいし、ギヤポンプ以外の油圧ポンプであってもよい。
【0046】
他のポンプから供給された圧油は、側面61cと第1ガイド部23との間の摩擦抵抗を減少させる潤滑油として機能する。特許文献1に開示された技術では、付勢ロッドの側面に、ハウジング内又は第1ハウジングブロックの凹部内に保持された油が供給され、これにより付勢ロッドの側面と第1ガイド部との間の潤滑が行われていた。本実施の形態では、他のポンプから吐出された圧油を、所定の圧力で強制的に側面61cと第1ガイド部23との間に供給するので、より効果的に側面61cと第1ガイド部23との間の潤滑を行うことができる。とりわけ特許文献1に開示された技術では、付勢ロッドが動き始める際に、付勢ピンによる付勢力が生じ始めても付勢ロッドが動かず、付勢ピンによる付勢力がある大きさになってから急に付勢ロッドが動き出すことがあった。これにより、斜板の傾転角が急激に変化し、油圧ポンプによる圧油の吐出が安定して行えなくなる虞がある。これに対して、本実施の形態では、他のポンプから吐出された圧油を、所定の圧力で強制的に側面61cと第1ガイド部23との間に供給することにより、付勢ロッド61をスムーズに移動させることが可能になり、油圧ポンプ10による圧油の吐出を安定して行うことができる。
【0047】
また、特許文献1に開示された技術では、各付勢ピンによる付勢力は、付勢ロッドの後端面における中心から径方向にずれた位置に作用する。これに起因して、当該付勢力により付勢された付勢ロッドには、付勢ロッドの長手方向と直交する軸線周りに回転するモーメントが生じ得る。このモーメントにより、付勢ロッドは第1ガイド部に押付けられ、付勢ロッドと第1ガイド部との間には比較的大きな摩擦を生じる。これにより、第1圧力室、第2圧力室に同じ信号圧が入力されているにもかかわらず、斜板側へ向かう移動中と、斜板と反対側へ向かう移動中とで付勢ロッドの位置が異なる、いわゆるヒステリシスが生じる虞もある。これに対して、本実施の形態では、他のポンプから吐出された圧油を、所定の圧力で強制的に側面61cと第1ガイド部23との間に供給することにより、付勢ロッド61の側面61cと第1ガイド部23との間に生じ得る摩擦を低減させ、付勢ロッド61の位置についてのヒステリシスの発生を抑制することができる。
【0048】
付勢ロッド61の側面61cには、他のポンプから供給された圧油を保持するための油保持溝65が設けられている。
図1に示された例では、油保持溝65は、付勢ロッド61の長手方向(軸方向)に所定の幅を有し、径方向に所定の深さを有し、側面61cに沿った周方向の全周にわたって形成されている。換言すると、付勢ロッド61は、相対的にその直径が細くなった小径部と、長手方向に沿って小径部の先端側(先端面61a側)に隣接し小径部の直径よりも大きい直径を有する第1の大径部と、長手方向に沿って小径部の後端側(後端面61b側)に隣接し小径部の直径よりも大きい直径を有する第2の大径部とを有している。図示された例では、第1の大径部の直径と第2の大径部の直径とは同一である。油保持溝65の径方向に沿った深さは、一例として0.5mm以上1.5mm以下とすることができる。付勢ロッド61がこのような油保持溝65を有していることにより、付勢ロッド61と第1ガイド部23との間には円筒状の隙間が形成され、この隙間に他のポンプから供給された圧油を保持することが可能になる。これにより、油保持溝65から、第1の大径部と第1ガイド部23との間及び第2の大径部と第1ガイド部23との間に、安定して均一に潤滑油を供給することができる。したがって、付勢ロッド61を安定してスムーズに動作させることができる。なお、油保持溝65の具体的形状は、
図1に示された形状に限らない。
【0049】
付勢ロッド61の表面には、付勢ロッド61等の摩耗を抑制するために、表面処理が施されてもよい。付勢ロッド61の先端面61aに表面処理が施されると、先端面61aと斜板40の当接面42との間の摩擦抵抗を減少させ、先端面61a及び当接面42の摩耗を抑制することができる。付勢ロッド61の側面61cに表面処理が施されると、側面61cと第1ガイド部23との間の摩擦抵抗を減少させ、側面61c及び第1ガイド部23の摩耗を抑制することができる。また、付勢ロッド61の後端面61bに表面処理が施されると、後端面61b並びに当該後端面61bと当接する第1付勢ピン71及び調整ピン73の摩耗を抑制することができる。このような表面処理は、例えば、付勢ロッド61の表面にアモルファスカーボン膜を形成することにより行うことができる。
【0050】
付勢ロッド61と付勢ピンユニット70との間には、第1圧力室81が形成されている。より詳細には、付勢ロッド61の後端面61bと付勢ピンユニット70との間に位置する空間が第1圧力室81となっている。第1圧力室81には、流量制御信号圧及び馬力シフト信号圧の少なくとも一方である信号圧Pが入力される。これにより、付勢ロッド61の後端面61bに信号圧Pが作用する。とりわけ、付勢ロッド61の後端面61bに信号圧Pが直接的に作用する。ここで、「直接的に作用する」とは、信号圧Pが、例えば付勢ピンのような他の部材を介することなく付勢ロッド61の後端面61bに作用することを意味する。
【0051】
流量制御信号圧とは、油圧ポンプ10が組み込まれた作業機械等を操作するオペレータによるレバー操作に対応して生成される信号圧である。より具体的には、流量制御信号圧は、オペレータによるレバー操作に応じたコントロールバルブの動作に対応して生成される信号圧である。例えば、ネガティブ流量制御(ネガティブコントロール)機構では、可変容量型油圧ポンプからコントロールバルブを経由してタンクへ向かうセンターバイパスラインにおける、コントロールバルブとタンクとの間にオリフィスが設けられる。そしてこのオリフィスを通過する圧油の漏れ流量がオリフィスの背圧として検出され、検出された背圧が前記可変容量型油圧ポンプにネガティブ流量制御信号圧としてフィードバックされる。一例として、このネガティブ流量制御信号圧を流量制御信号圧として、第1圧力室81に入力することができる。
【0052】
また、流量制御信号圧として、ロードセンシング(LS)流量制御信号圧を用いることも可能である。ロードセンシング流量制御機構からの流量減少信号圧が第1圧力室81内に入力されると、付勢ロッド61が斜板40側へ向けて付勢され、斜板40の傾転角が小さくなる。これにより、油圧ポンプ10から吐出される圧油量が減少する。
【0053】
また、馬力シフト信号圧とは、油圧ポンプ10からの圧油の最大吐出流量を減少(シフト)させるための信号圧である。例えば標高の高い場所で油圧ポンプ10が組み込まれた作業機械等を用いる場合、大気中に含まれる酸素量が少ないことから、エンジン等の動力源から出力される駆動力が低下する。この状態で油圧ポンプ10から最大吐出流量で圧油を吐出するように斜板40の傾転角を最大にすると、動力源に高い負荷がかかり動力源がストールし得る。これを防止するために、標高の高い場所では、第1圧力室81に馬力シフト信号圧を入力して斜板40の最大傾転角を小さくシフトさせ、油圧ポンプ10からの圧油の最大吐出流量を減少させることができる。
【0054】
流量制御信号圧及び馬力シフト信号圧は、どちらか一方のみが第1圧力室81に入力されてもよいし、流量制御信号圧及び馬力シフト信号圧の両方が第1圧力室81に入力されてもよい。
【0055】
このように、付勢ロッド61の後端面61bに、流量制御信号圧及び馬力シフト信号圧の少なくとも一方が作用するようにすることにより、特許文献1に開示された技術において比較的部品寸法が大きくなる付勢ピストンを省略することができ、これにより、油圧ポンプ10の大型化を効果的に抑制することができる。
【0056】
また、上述のように、特許文献1に開示された技術では、オペレータのレバー操作に応じてコントロールバルブで生成された信号圧が、第4付勢ピンを介して、付勢ロッドの後端面における中心から径方向にずれた位置に作用する。これに起因して、当該信号圧により付勢された付勢ロッドには、付勢ロッドの長手方向と直交する軸線周りに回転するモーメントが生じ得る。このモーメントにより、付勢ロッドは第1ガイド部に押付けられ、付勢ロッドと第1ガイド部との間には比較的大きな摩擦を生じる。これにより、付勢ロッド及び第1ガイド部が摩耗し、付勢ロッドの動作が不安定になる虞がある。さらに、付勢ロッドと第1ガイド部との間に摩擦が生じることにより、第2圧力室に同じ信号圧が入力されているにもかかわらず、斜板側へ向かう移動中と、斜板と反対側へ向かう移動中とで付勢ロッドの位置が異なる、いわゆるヒステリシスが生じる虞もある。これによっても付勢ロッドの動作が不安定になる虞がある。これに対して、本実施の形態では、付勢ロッド61の後端面61bの全体に、流量制御信号圧及び馬力シフト信号圧の少なくとも一方が作用するようになり、付勢ロッドの長手方向と直交する軸線周りに回転するモーメントの発生を効果的に抑制することができる。したがって、付勢ロッド61及び第1ガイド部23の摩耗及び付勢ロッド61の位置についてのヒステリシスの発生を抑制することができる。すなわち、油圧ポンプ10の動作に安定性を付与することが可能になる。
【0057】
なお、付勢ロッド61の後端面61bの面積は、第1付勢ピン71の断面積と比較して十分に大きいので、比較的小さい信号圧が第1圧力室81に入力された場合にも、付勢ピストンを用いることなく、付勢ロッド61が斜板40の傾転角を変更するために十分な付勢力を発揮し得る。
【0058】
次に、
図1及び
図2を参照して付勢ピンユニット70の具体的構成について説明する。
図2は、
図1のII-II線に対応する断面を示している。図示された例では、付勢ピンユニット70は、複数の第1付勢ピン71、調整ピン73、アジャスタ77及びユニットケース76を有している。各第1付勢ピン71は、各第1付勢ピン71に対応する信号圧に応じて付勢ロッド61を介して斜板40を付勢する。
【0059】
図1及び
図2に示された例では、第1付勢ピン71は、全体として略円柱状の形状を有し、その軸線が付勢ロッド61の軸線と平行をなすようにして、付勢ロッド61の斜板40と反対側に配置されている。とりわけ図示された例では、第1付勢ピン71は、その軸線が回転軸線Aと平行をなすようにして配置されている。第1付勢ピン71の付勢ロッド61に対面する先端面は平坦面を有している。なお、これに限られず、第1付勢ピン71の先端面は、球面状等の平坦面以外の形状を有していてもよい。
【0060】
ユニットケース76には、第1付勢ピン71の側面をガイドするための複数の第2ガイド部75が設けられており、各第1付勢ピン71は、各第2ガイド部75に対して摺動自在に配置されている。このため、各第1付勢ピン71は、少なくともその一部が対応する第2ガイド部75内に摺動自在に保持されている。各第2ガイド部75は、ユニットケース76に設けられた孔で構成され、第1付勢ピン71の断面形状と相補形状をなす断面形状を有している。すなわち、各第2ガイド部75は円形断面を有した円筒状の孔で構成されている。なお、第2ガイド部75内の、第1付勢ピン71の付勢ロッド61と反対側には、第1付勢ピン71に対する信号圧を受ける第2圧力室82が形成されている。
【0061】
図1及び
図2に示された例では、第2ガイド部75は、ユニットケース76と一体に設けられている。第2ガイド部75をユニットケース76と一体に設けるようにすると、各第2ガイド部75は、ユニットケース76に穿孔することにより形成することができ、簡単な加工で第2ガイド部75を形成することが可能になる。また、第2ガイド部75を設けるために追加の部材を必要としないので、油圧ポンプ10の部品点数の削減及びコストの削減に貢献する。なお、第2ガイド部75の構成はこれに限られるものではない。一例として、ユニットケース76と別の、例えば円筒状の、部材を用いて形成された第2ガイド部75を、ユニットケース76に取り付けるようにしてもよい。
【0062】
調整ピン73は、付勢ロッド61が最も斜板40と反対側に押し込まれたときの付勢ロッド61の位置を調整するための部材である。そのため、調整ピン73は、アジャスタ77により、その長手方向における位置を調整可能にされている。
図1に示された例では、アジャスタ77は、止めねじ及びナットで構成されている。ユニットケース76には、当該ユニットケース76における付勢ロッド61と反対側の面と、調整ピン73の付勢ロッド61と反対側の端部が収容される後室89とを接続する貫通孔が形成されており、アジャスタ77の止めねじがこの貫通孔に対して螺合している。したがって、止めねじを回転させて、止めねじの貫通孔に対する位置を変更することにより、調整ピン73の、その長手方向における位置を調整することができる。
【0063】
ユニットケース76のハウジング20側(付勢ロッド61側)には、第1付勢ピン71を取り囲むようにして形成された凸部78を有している。この凸部78は、第1ハウジングブロック21(ハウジング20)に設けられた凹部29に嵌め込まれる。
図2に示すように、凸部78は円形状の断面を有している。また、第1ハウジングブロック21の凹部29も、凸部78の断面形状に対応して円形状の断面形状を有している。
【0064】
第1付勢ピン71は、各第1付勢ピン71に対応する信号圧に応じて付勢ロッド61を斜板40へ向けて付勢できるように構成されていれば、その具体的形状及び配置は特に限定されないが、一例として、各第1付勢ピン71は、主に
図2を参照して以下に説明するような形状及び配置とすることができる。
【0065】
図2に示された例では、各第1付勢ピン71及び調整ピン73は、各第1付勢ピン71及び調整ピン73の軸線方向から見て、すなわち付勢ロッド61の軸線方向から見て、いずれも同一の直径を有する円形断面を有している。このような形状を有する第1付勢ピン71及び調整ピン73によれば、例えば、1つの長尺状の棒材を切断することにより各第1付勢ピン71及び調整ピン73を製造することができる。また、複数の第2ガイド部75を同一の径で穿孔することにより形成することができる。これにより、各第1付勢ピン71、調整ピン73及び各第2ガイド部75の製造工程の簡略化を図ることができる。
【0066】
また、図示された例では、各第1付勢ピン71の軸線方向から見て、各第1付勢ピン71は、その中心(軸線)が1つの円周C上に位置するように配置されている。とりわけ、各第1付勢ピン71は、1つの円周Cに沿って互いに等間隔を有して配置されている。言い換えると、1つの円周C上で隣り合う2つの第1付勢ピン71による当該円周Cの中心における中心角は、全て等しくなっている。図示された例では、1つの円周C上で隣り合う2つの第1付勢ピン71による当該円周Cの中心における中心角は、全て90°となっている。また、図示された例では、各第1付勢ピン71の軸線方向から見て、各第1付勢ピン71の中心(軸線)が付勢ロッド61と重なる領域内に配置されている。さらに、図示された例では、各第1付勢ピン71の軸線方向から見て、各第1付勢ピン71の全体が付勢ロッド61と重なる領域内に配置されている。第1付勢ピン71をこのように配置することにより、付勢ピンユニット70を効果的に小型化することができる。
【0067】
図1及び
図2に示された例では、付勢ロッド61、各第1付勢ピン71及び調整ピン73は、中実部材で形成されている。付勢ロッド61及びピン71,73が中実部材で形成されていると、付勢ロッド61及びピン71,73を比較的簡単な工程で製造することができるとともに、付勢ロッド61及びピン71,73に十分な機械的強度を付与することができる。したがって、付勢ロッド61及びピン71,73を小型化しつつ、付勢ロッド61及びピン71,73の変形を効果的に防止することが可能になり、これにより斜板40の傾転動作をきわめて安定して行うことができる。
【0068】
なお、調整ピン73の側面には、その一端から他端にわたって、油が通流可能な溝又は切欠きが設けられていてもよい。切欠きは、一例として、調整ピン73の長手方向に直交する断面が、略D字状になるように、側面の一部が面取りされるようにしてもよい。例えば、調整ピン73とユニットケース76との隙間を介して第1圧力室81から後室89に油が流入すると、この油の存在により、調整ピン73の位置が付勢ロッド61側にずれる虞がある。これに対して、調整ピン73の側面に溝又は切欠きが設けられていると、調整ピン73が付勢ロッド61により押圧された際に、後室89に流入した油をこの溝又は切欠きを介して迅速に第1圧力室81へ戻すことができる。したがって、付勢ロッド61が最も斜板40と反対側に押し込まれたときの付勢ロッド61の位置精度を向上させることができる。
【0069】
各第1付勢ピン71に対応する各第2圧力室82には、例えば、油圧ポンプ10から吐出された作動油による信号圧や、同一の駆動源で駆動される他の油圧ポンプからの信号圧や、同一の駆動源で駆動されるエアコン等の外部機器の作動に対応した信号圧等が入力される。油圧ポンプ10が、1つのポンプで2つのポンプの機能を有する、いわゆるスプリットフロー構造の油圧ポンプである場合、油圧ポンプ10から吐出された2つの作動油による信号圧は、それぞれ別の第1付勢ピン71へ入力することができる。
【0070】
したがって、各第1付勢ピン71は、油圧ポンプ10から吐出された作動油による信号圧や、同一の駆動源で駆動される他の油圧ポンプからの信号圧や、同一の駆動源で駆動されるエアコン等の外部機器の作動に対応した信号圧等により駆動される。これにより、各第1付勢ピン71はそれぞれ付勢ロッド61を斜板40に向けて付勢する。
【0071】
次に、斜板40の傾転動作について説明する。油圧ポンプ10の回転軸25は、例えばディーゼルエンジン等の駆動源により駆動される。この駆動源に対して駆動源の駆動力より大きい負荷がかかると、駆動源はストールする。したがって、駆動源に対する負荷が駆動源の駆動力以下となるように、油圧ポンプ10の動作を制御する必要がある。また、油圧機器においては、1つの駆動源で複数の油圧ポンプを駆動させる場合がある。この場合、1つの駆動源で駆動される複数の油圧ポンプの合計の駆動力が駆動源の駆動力以下となるように、油圧ポンプ10の動作を制御することが好ましい。さらに、同一の駆動源でエアコン等の外部機器が駆動される場合、この外部機器による駆動源への負荷も考慮して油圧ポンプ10の動作を制御することが好ましい。
【0072】
また、油圧機器を操作するオペレータが操作レバーを操作していないときには、油圧ポンプから吐出される作動油で駆動される油圧アクチュエータは動作しない。また、オペレータが操作レバーを浅い角度で操作(微操作)しているときには、油圧アクチュエータは、ゆっくりと動作(微動作)する。これらの場合、油圧アクチュエータは油圧ポンプからの作動油を少量しか必要とせず、油圧アクチュエータの駆動に用いられない作動油は従来回収タンク等に排出されていた。しかしこの場合、油圧ポンプの駆動力の大部分が無駄になり、油圧ポンプを駆動するディーゼルエンジン等の駆動源で消費される燃料にも無駄が生じていた。従来、いわゆる高級油圧機器においては、油圧アクチュエータの非動作時及び微動作時に油圧ポンプの作動油の吐出量を減少させる機能を有するものがあった。しかし、安価な油圧機器においてこのような機能を有したものは実現されていなかった。したがって、簡単な機構により油圧アクチュエータの非動作時及び微動作時に油圧ポンプの作動油の吐出量を減少させる機能を実現することが望まれる。
【0073】
ここでは、第1圧力室81にネガティブ流量制御信号圧が入力され、各第1付勢ピン71に対応する第2圧力室82に、それぞれ油圧ポンプ10から吐出された作動油による信号圧、同一の駆動源で駆動される他の油圧ポンプからの信号圧、及び、同一の駆動源で駆動されるエアコンの作動に対応した信号圧が入力される例について説明する。
【0074】
なお、信号圧が入力されない第2圧力室82に対応する第1付勢ピン71は、予備用付勢ピンとすることができる。このような予備用付勢ピンを有していると、他の油圧ポンプや外部機器を追加し、当該油圧ポンプや外部機器の動作も考慮して油圧ポンプ10を制御したい場合に、当該油圧ポンプや外部機器からの信号圧を、予備用付勢ピンに対応する第2圧力室82に入力することで、この予備用付勢ピンを、当該油圧ポンプや外部機器に対応した付勢ピンとして利用することができる。したがって、他の油圧ポンプや外部機器の追加に柔軟に対応することができ、油圧ポンプ10の汎用性を効果的に向上させることができる。
【0075】
斜板40は、第1付勢手段50により、斜板40の傾転角が大きくなる向きに付勢され、第2付勢手段60により、斜板40の傾転角が小さくなる向きに付勢される。斜板40は、第1付勢手段50の付勢力による斜板40の傾転軸まわりのモーメント(
図1では反時計まわりのモーメント)の大きさと、第2付勢手段60による斜板40の傾転軸まわりのモーメント(
図1では時計まわりのモーメント)の大きさとが等しくなる位置に傾転して停止する。
【0076】
ここで説明する例では、第1圧力室81には、流量制御信号圧が入力される。具体的には、ネガティブ流量制御機構のセンターバイパスラインにおけるオリフィスの背圧が検出され、この検出された背圧がネガティブ流量制御信号圧として、第1圧力室81に入力される。第1圧力室81に入力された流量制御信号圧は、付勢ロッド61の後端面61bに作用する。とりわけ、第1圧力室81に入力された流量制御信号圧は、付勢ロッド61の後端面61bを押圧する。
【0077】
油圧アクチュエータを非動作又は微動作させるために、ネガティブ流量制御機構において、コントロールバルブを操作することにより、コントロールバルブを経由し油圧アクチュエータへ向かう圧油の流量を減少させると、油圧ポンプ10からコントロールバルブを経由してすなわちセンターバイパスラインを通ってタンクに戻される圧油の流量は増加する。センターバイパスラインにおけるコントロールバルブとタンクとの間にはオリフィスが設けられており、センターバイパスラインを通る圧油の流量が増加すると、センターバイパスラインのオリフィスの手前における圧油の圧力(背圧)が増大する。この背圧をネガティブ流量制御信号圧として第1圧力室81に入力することにより、この信号圧が付勢ロッド61の後端面61bに作用し、付勢ロッド61が斜板40(当接面42)に向けて付勢される。
【0078】
複数の第1付勢ピン71のうちの1つの第1付勢ピン71に対応する第2圧力室82には、油圧ポンプ10から吐出された作動油による信号圧が入力される。例えば、油圧ポンプ10から吐出された作動油の流路が分岐され、第2圧力室82に接続されることにより、油圧ポンプ10から吐出された作動油による信号圧が第1付勢ピン71に対応する第2圧力室82に入力される。油圧ポンプ10から吐出される作動油で駆動される油圧アクチュエータの負荷が大きくなった場合、油圧ポンプ10から吐出される作動油の圧力が大きくなる。すなわち、油圧ポンプ10から吐出された作動油による信号圧が大きくなる。そして、この信号圧により、第1付勢ピン71が付勢ロッド61に向けて付勢される。したがって、第1付勢ピン71は付勢ロッド61を介して斜板40(当接面42)を付勢する。
【0079】
他の第1付勢ピン71に対応する第2圧力室82には、同一の駆動源で駆動される他の油圧ポンプからの信号圧が入力される。例えば、他の油圧ポンプから吐出された作動油の流路が分岐され、第2圧力室82に接続されることにより、当該油圧ポンプから吐出された作動油による信号圧が第1付勢ピン71に対応する第2圧力室82に入力される。他の油圧ポンプから吐出される作動油で駆動される油圧アクチュエータの負荷が大きくなった場合、当該油圧ポンプから吐出される作動油の圧力が大きくなる。すなわち、他の油圧ポンプから吐出された作動油による信号圧が大きくなる。そして、この信号圧により、第1付勢ピン71が付勢ロッド61に向けて付勢される。したがって、第1付勢ピン71は付勢ロッド61を介して斜板40(当接面42)を付勢する。
【0080】
さらに他の第1付勢ピン71に対応する第2圧力室82には、同一の駆動源で駆動されるエアコンの作動に対応した信号圧が入力される。例えば、他の油圧回路を分岐し、第1付勢ピン71に対応する第2圧力室82に接続する。また、当該油圧回路から分岐した箇所と第2圧力室82との間の作動油の流路にソレノイドバルブ(電磁弁)等のバルブを設ける。そして、エアコンが作動していない間はバルブにより作動油の流路を閉鎖しておき、エアコンが作動するとその信号(電気信号)を受けてバルブが動作して作動油の流路を開く。これにより、エアコンが作動していない間は、第1付勢ピン71に対応する第2圧力室82には信号圧が入力されず、エアコンが作動すると当該第2圧力室82に他の油圧回路から信号圧が入力される。そして、この信号圧により、第1付勢ピン71が付勢ロッド61に向けて付勢される。したがって、第1付勢ピン71は付勢ロッド61を介して斜板40(当接面42)を付勢する。
【0081】
付勢ロッド61を斜板40(当接面42)に付勢する付勢力、すなわち第2付勢手段60による斜板40への付勢力は、第1付勢ピン71の付勢ロッド61への付勢力の和になる。第2付勢手段60の付勢力による斜板40の傾転軸まわりのモーメント(
図1では時計まわりのモーメント)が、第1付勢手段50の付勢力による斜板40の傾転軸まわりのモーメント(
図1では反時計まわりのモーメント)よりも大きくなると、斜板40は、その傾転角が小さくなるように傾転し、第2付勢手段60の付勢力による斜板40の傾転軸まわりのモーメントと、第1付勢手段50の付勢力による斜板40の傾転軸まわりのモーメントとが釣り合うと、斜板40は傾転を停止する。これにより、油圧ポンプ10から吐出される作動油の流量は減少する。
【0082】
本実施の形態の油圧ポンプ10では、オペレータが操作レバーを操作していない又は微操作している、油圧ポンプ10から吐出される作動油で駆動される油圧アクチュエータの負荷が増大する、同一の駆動源により駆動される他の油圧ポンプの負荷が増大する、同一の駆動源により駆動されるエアコン等の外部機器が作動する、のうち少なくとも1つに当てはまる場合に、第2付勢手段60の付勢力が増大し、斜板40は、その傾転角が小さくなるように傾転し、油圧ポンプ10から吐出される作動油の流量が減少するようになる。これにより、油圧ポンプ10を駆動するディーゼルエンジン等の駆動源のストールの発生を効果的に防止することができる。また、駆動源で消費される燃料の無駄を削減し、油圧ポンプ10を備えた油圧機器の省エネルギー性を効果的に向上させることができる。
【0083】
本実施の形態の油圧ポンプ10は、回転軸線A周りに回転するシリンダブロック30であって、回転軸線A方向に沿って延びる複数のシリンダ穴32が形成されたシリンダブロック30と、各シリンダ穴32内に摺動自在に保持されたピストン38と、シリンダブロック30が回転軸線A周りに回転することにより、各ピストン38を各シリンダ穴32内で摺動させるための斜板40であって、その傾転角が変更可能に構成された斜板40と、斜板40の傾転角が大きくなる向きに斜板40を付勢する第1付勢手段50と、斜板40の傾転角が小さくなる向きに斜板40を付勢する第2付勢手段60と、を有し、第2付勢手段60は、斜板40を付勢する付勢ロッド61を有し、付勢ロッド61における斜板40と反対側の後端面61bには、流量制御信号圧及び馬力シフト信号圧の少なくとも一方が作用する。
【0084】
このような油圧ポンプ10によれば、付勢ロッド61の後端面61bに、流量制御信号圧及び馬力シフト信号圧の少なくとも一方が作用するようにすることにより、比較的部品寸法が大きくなる付勢ピストンを省略することができ、油圧ポンプ10の大型化を効果的に抑制することができる。
【0085】
また、このような油圧ポンプ10によれば、付勢ロッド61の後端面61bの全体に、流量制御信号圧及び/又は馬力シフト信号圧が作用するようになり、付勢ロッド61の長手方向と直交する軸線周りに回転するモーメントの発生を効果的に抑制することができる。したがって、付勢ロッド61及び第1ガイド部23の摩耗及び付勢ロッド61の位置についてのヒステリシスの発生を抑制することができる。すなわち、油圧ポンプ10を安定して動作させることができる。
【0086】
本実施の形態の油圧ポンプ10では、後端面61bに流量制御信号圧が作用する。
【0087】
また、本実施の形態の油圧ポンプ10では、流量制御信号圧はネガティブ流量制御信号圧である。
【0088】
このような油圧ポンプ10によれば、油圧アクチュエータの非動作時及び微動作時に、第2付勢手段60の付勢力が増大し、斜板40は、その傾転角が小さくなるように傾転し、油圧ポンプ10から吐出される作動油の流量が減少するようになる。これにより、油圧ポンプ10を駆動するディーゼルエンジン等の駆動源のストールの発生を効果的に防止することができる。また、駆動源で消費される燃料の無駄を削減し、油圧ポンプ10を備えた油圧機器の省エネルギー性を効果的に向上させることができる。なお、流量制御信号圧は、ロードセンシング流量制御信号圧であってもよい。
【0089】
本実施の形態の油圧ポンプ10は、付勢ロッド61の側面61cをガイドするガイド部23をさらに有し、側面61cとガイド部23との間に、他のポンプからの圧油が供給される。
【0090】
このような油圧ポンプ10によれば、他のポンプから吐出された圧油を、所定の圧力で強制的に側面61cと第1ガイド部23との間に供給することにより、付勢ロッド61をスムーズに移動させることが可能になり、油圧ポンプ10による圧油の吐出を安定して行うことができるとともに、付勢ロッド61の側面61cと第1ガイド部23との間に生じ得る摩擦を低減させ、付勢ロッド61の位置についてのヒステリシスの発生を抑制することができる。
【0091】
本実施の形態の油圧ポンプ10では、第2付勢手段60は、付勢ピン71をさらに有し、付勢ピン71は、付勢ピン71に対応する信号圧に応じて付勢ロッド61を介して斜板40を付勢する。
【0092】
このような油圧ポンプ10によれば、付勢ロッド61の後端面61bに作用する流量制御信号圧及び/又は馬力シフト信号圧の他に、油圧ポンプ10から吐出された作動油による信号圧、同一の駆動源で駆動される他の油圧ポンプからの信号圧、同一の駆動源で駆動されるエアコンの作動に対応した信号圧等の他の信号圧によっても、付勢ロッド61を斜板40に向けて付勢することができる。すなわち、流量制御信号圧及び/又は馬力シフト信号圧以外の他の信号圧に基づいて、油圧ポンプ10から吐出される圧油の流量を制御することができる。したがって、油圧ポンプ10から吐出される圧油の流量を、より高い自由度を有して制御することが可能になる。
【0093】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を適宜参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
【0094】
図3は、油圧ポンプ10の一変形例を示す図であり、油圧ポンプ10の第1圧力室81に入力される信号圧Pについて説明するための図である。
図3に示された例では、流量制御信号圧及び馬力シフト信号圧の少なくとも一方である信号圧Pは、オリフィス91を介して第1圧力室81に入力される。すなわち、信号圧Pは、オリフィス91を介して付勢ロッド61の後端面61bに作用する。
【0095】
油圧ポンプ、コントロールバルブ及び各アクチュエータが閉じた油圧回路(クローズド回路)を構成する場合、圧油がこれらの油圧ポンプ、コントロールバルブ及び各アクチュエータを経由して第1圧力室に入力されることから、信号圧Pが発振する場合がある。信号圧Pが発振すると付勢ロッドの動作が不安定になり、これにより油圧ポンプから吐出される圧油の流量も安定しなくなる。これに対して、本変形例の油圧ポンプ10では、オリフィス91によりその振幅を小さくして信号圧Pを第1圧力室に入力することができる。したがって、付勢ロッドの動作及び油圧ポンプから吐出される圧油の流量を安定させることができる。
【0096】
図4は、油圧ポンプ10の他の変形例を示す図であり、油圧ポンプ10の第1圧力室81に入力される信号圧Pについて説明するための図である。
図4に示された例では、流量制御信号圧及び馬力シフト信号圧の少なくとも一方である信号圧Pは、スローリターン機構93を介して第1圧力室81に入力される。すなわち、信号圧Pは、スローリターン機構93を介して付勢ロッド61の後端面61bに作用する。
【0097】
スローリターン機構93は、互いに並列に接続されたオリフィス94及びチェック弁95を有している。本変形例のチェック弁95は、第1圧力室81から流出する圧油は通過可能であるが、第1圧力室81へ流入する圧油は通過不可能となるように構成されている。なお、これに限られず、チェック弁95は、第1圧力室81へ流入する圧油は通過可能であるが、第1圧力室81から流出する圧油は通過不可能となるように構成されていてもよい。
【0098】
本変形例によれば、油圧ポンプ10にスローリターン機能を付加することができる。とりわけ図示された例では、コントロールバルブからの流量増加信号により斜板40の傾転角を大きくして油圧ポンプ10から吐出される圧油の流量を増加させる場合、すなわち付勢ロッド61を斜板40と反対側へ移動させる場合には、第1圧力室81内の圧油がスローリターン機構93のチェック弁95を通過して速やかに流出し、コントロールバルブからの流量減少信号により斜板40の傾転角を小さくして油圧ポンプ10から吐出される圧油の流量を減少させる場合、すなわち付勢ロッド61を斜板40側へ移動させる場合には、圧油がスローリターン機構93のオリフィス94を通過してゆっくりと第1圧力室81内へ流入する。
【0099】
図5は、油圧ポンプ10のさらに他の変形例を示す図であり、油圧ポンプ10の第1圧力室81に入力される信号圧Pについて説明するための図である。
図5に示された例では、流量制御信号圧及び馬力シフト信号圧の少なくとも一方である信号圧Pは、電気信号が電磁比例弁97により油圧に変換されて生成される。
【0100】
図示された例では、油供給源Sからの圧油が電磁比例弁97を通過して信号圧Pとして第1圧力室81へ入力される。電磁比例弁97は、流量制御用及び/又は馬力シフト用の信号を電気信号として受け取り、この電気信号に応じて油供給源Sからの圧油の流路の開度を調整する。
【0101】
本変形例によれば、流量制御用及び/又は馬力シフト用の信号を電気信号として扱うことができるので、油圧配管を減らすことができ、油圧ポンプ10のさらなる小型化を図ることができる。
【0102】
図6は、油圧ポンプ10のさらに他の変形例を示す図であり、油圧ポンプ10の第1圧力室81に入力される信号圧Pについて説明するための図である。
図6に示された例では、流量制御信号圧P1及び馬力シフト信号圧P2は、いずれもシャトル弁99を通って第1圧力室81へ入力される。シャトル弁99では、入力された2つの信号圧P1,P2のうち相対的に高い圧力を有する信号圧のみが通過可能であり、入力された2つの信号圧P1,P2のうち相対的に低い圧力を有する信号圧は通過不可能である。そして、シャトル弁99を通過したいずれかの信号圧P1,P2のみが信号圧Pとして第1圧力室81へ入力される。すなわち、信号圧Pは、流量制御信号圧及び馬力シフト信号圧のうち、相対的に高い圧力を有する信号圧である。
【0103】
本変形例によれば、流量制御信号圧P1及び馬力シフト信号圧P2のうち相対的に高い圧力を有する信号圧を選択的に第1圧力室81へ入力することができる。
【0104】
さらに他の変形例として、
図7に示されているように、シャトル弁99を通過した信号圧Pがさらにオリフィス91を通過して第1圧力室81へ入力されるようにしてもよい。また、
図8に示されているように、シャトル弁99を通過した信号圧Pがさらにスローリターン機構93を通過して第1圧力室81へ入力されるようにしてもよい。
【0105】
図9及び
図10は、油圧ポンプ10のさらに他の変形例を示す図であって、付勢ロッド61と潤滑油の供給孔68との位置関係を示す図である。とりわけ
図9は、付勢ロッド61が最も斜板40と反対側に位置するときの、付勢ロッド61と潤滑油の供給孔68との位置関係を示す図であり、
図10は、付勢ロッド61が最も斜板40側に位置するときの、付勢ロッド61と供給孔68との位置関係を示す図である。
【0106】
図9及び
図10に示された例では、ガイド部23に、他のポンプからの圧油を付勢ロッド61の側面61cとガイド部23との間に供給するための供給孔68が設けられている。供給孔68は、
図9に示すように付勢ロッド61が最も斜板40と反対側に位置するとき、付勢ロッド61の油保持溝65と対面する。また、供給孔68は、
図10に示すように付勢ロッド61が最も斜板40側に位置するときにも、付勢ロッド61の油保持溝65と対面する。すなわち、供給孔68は、付勢ロッド61のガイド部23に沿った進退動作中のいずれの位置においても、油保持溝65と対面する。換言すると、油保持溝65は、付勢ロッド61のガイド部23に沿った進退動作中のいずれの位置においても、供給孔68と対面する。
【0107】
このような油圧ポンプ10によれば、付勢ロッド61が進退動作中のいずれの位置にあっても、供給孔68と油保持溝65とを互いに連通させることができる。すなわち、他のポンプからの圧油を常に油保持溝65内に供給することができる。したがって、付勢ロッド61の側面61cとガイド部23との間の潤滑を安定して行うことが可能になる。
【0108】
図11は、油圧ポンプ10のさらに他の変形例を示す断面図である。本変形例の油圧ポンプ10は、1つのポンプで2つのポンプの機能を有する、いわゆるスプリットフロー構造の油圧ポンプであり、油圧ポンプ10から吐出された作動油による2つの信号圧Pa,Pbが出力される。
【0109】
図示された例では、付勢ピンユニット70は、第2付勢ピン72、アジャスタ77及びユニットケース76を有している。第2付勢ピン72は、相対的に大きな直径を有する大径部と、大径部に対して付勢ロッド61と反対側に隣接し相対的に小さな直径を有する小径部とを有している。大径部及び小径部は、いずれも円柱状に形成されており、第2付勢ピン72の長手方向に沿って見たときに円形の断面を有している。大径部をなす円柱の中心軸と小径部をなす円柱の中心軸とは一致している。また、大径部と小径部とは一体に形成されている。
【0110】
ユニットケース76内には、第3圧力室83及び第4圧力室84が形成されており、第2付勢ピン72の大径部の付勢ロッド61と反対側を向く面のうち小径部から露出した部分が第3圧力室83内に位置し、第2付勢ピン72の小径部の付勢ロッド61と反対側を向く面が第4圧力室84内に位置している。図示された例では、大径部の付勢ロッド61と反対側を向く面のうち小径部から露出した部分の面積と、小径部の付勢ロッド61と反対側を向く面の面積とは、等しくなっている。
【0111】
油圧ポンプ10から吐出された作動油による2つの信号圧Pa,Pbは、それぞれ圧力室83,84へ入力される。すなわち、信号圧Paは第3圧力室83へ入力され、大径部の付勢ロッド61と反対側を向く面のうち小径部から露出した部分に作用して、第2付勢ピン72を付勢ロッド61へ向けて付勢する。また、信号圧Pbは第4圧力室84へ入力され、小径部の付勢ロッド61と反対側を向く面に作用して、第2付勢ピン72を付勢ロッド61へ向けて付勢する。このとき、第2付勢ピン72を付勢ロッド61へ向けて付勢する付勢力は、信号圧Paによる付勢力と信号圧Pbによる付勢力との和になる。
【0112】
スプリットフロー構造の油圧ポンプ10において、油圧ポンプ10から吐出された作動油による2つの信号圧Pa,Pbで、付勢ピンを介して付勢ロッド61を付勢しようとすると、2本の付勢ピンが必要となる。これに対して、油圧ポンプ10から吐出された作動油による2つの信号圧Pa,Pbの合計に応じて、1本の第2付勢ピン72を用いて付勢ロッド61を斜板40へ向けて付勢することができる。したがって、付勢ピンユニット70の部品点数を削減することができる。
【0113】
また、本変形例の第2付勢ピン72は、
図1に示した油圧ポンプ10における調整ピン73の機能をも兼ね備えている。すなわち、第2付勢ピン72は、アジャスタ77により、その長手方向における位置を調整可能にされている。この場合、1本の第2付勢ピン72が、2本の付勢ピン及び1本の調整ピンの3本のピンの機能を発揮することになり、付勢ピンユニット70の部品点数をさらに削減することができる。
【0114】
図12は、油圧ポンプ10のさらに他の変形例を示す断面図である。本変形例の油圧ポンプ10は、
図11を参照して説明した変形例と同様に、1つのポンプで2つのポンプの機能を有する、いわゆるスプリットフロー構造の油圧ポンプであり、油圧ポンプ10から吐出された作動油による2つの信号圧が出力される。
【0115】
図示された例では、付勢ピンユニット70は、第2付勢ピン72、アジャスタ77及びユニットケース76を有している。第2付勢ピン72は円柱状に形成されており、第2付勢ピン72の長手方向に沿って見たときに円形の断面を有している。ユニットケース76内には、第5圧力室85が形成されており、第2付勢ピン72の付勢ロッド61と反対側を向く面が第5圧力室85内に位置している。
【0116】
第5圧力室85には、油圧ポンプ10から吐出された作動油による2つの信号圧の中間圧Pcが入力される。中間圧Pcは、2つの信号圧の中間となる圧力を有する信号圧であり、2つの信号圧をPa,Pbとすると、
Pc=(Pa+Pb)/2 ・・・(1)
となる。この中間圧Pcとしては、例えば特開平6-307330号公報における「開口穴53」から流出した圧油により「圧力連通路54」に生じた「中間圧P’」を用いることができる。
【0117】
本変形例によれば、
図11を参照して説明した変形例と同様の効果を発揮し得る。さらに、本変形例によれば、第2付勢ピン72を単純な円柱形状とすることができるとともに、第2付勢ピン72に対応してユニットケース76内に設ける圧力室を1つの第5圧力室85とすることができる。したがって、付勢ピンユニット70の構造を簡略化することができる。
【0118】
なお、
図11及び
図12を参照して説明した変形例において、第2付勢ピン72以外に、1以上の第1付勢ピン71を設けるようにしてもよい。
【0119】
さらに他の変形例として、
図1及び
図2を参照して説明した実施の形態では、油圧ポンプ10が4本の第1付勢ピン71を有するものを示したが、これに限られない。油圧ポンプ10は、2本、3本又は5本以上の第1付勢ピン71を有していてもよい。
【0120】
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0121】
10 油圧ポンプ
14 ギヤポンプ
16 回転軸
20 ハウジング
21 第1ハウジングブロック
23 第1ガイド部
29 凹部
22 第2ハウジングブロック
25 回転軸
30 シリンダブロック
32 シリンダ穴
35 吸排プレート
38 ピストン
39 シリンダ室
40 斜板
41 摺動面
42 当接面
43 シュー
50 第1付勢手段
51 第1リテーナ
52 第2リテーナ
54 第1スプリング
55 第2スプリング
60 第2付勢手段
61 付勢ロッド
61a 先端面
61b 後端面(端面)
61c 側面
65 油保持溝
68 供給孔
70 付勢ピンユニット
71 第1付勢ピン
72 第2付勢ピン
73 調整ピン
75 第2ガイド部
76 ユニットケース
77 アジャスタ
78 凸部
81 第1圧力室
82 第2圧力室
83 第3圧力室
84 第4圧力室
85 第5圧力室
91 オリフィス
93 スローリターン機構
94 オリフィス
95 チェック弁
97 電磁比例弁
99 シャトル弁
A 回転軸線
L 供給ライン
P 信号圧
S 油供給源