(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】経路案内装置及び経路案内方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20220404BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20220404BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2018039586
(22)【出願日】2018-03-06
【審査請求日】2020-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】504050275
【氏名又は名称】株式会社 ミックウェア
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100118681
【氏名又は名称】田村 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100122286
【氏名又は名称】仲倉 幸典
(74)【代理人】
【識別番号】100189544
【氏名又は名称】柏原 啓伸
(74)【代理人】
【識別番号】100199314
【氏名又は名称】竹内 寛
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】大塚 真大
(72)【発明者】
【氏名】久野 拓也
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-260054(JP,A)
【文献】特開2005-037145(JP,A)
【文献】特開2008-224541(JP,A)
【文献】特開平07-029094(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0027446(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26 ~ 21/36
G08G 1/00 ~ 1/16
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体が行止通路に進入する前に
、通路の先が行き止まりであることを示す行止警告を通知する経路案内装置であって、
通路上の地点を示す複数のノードと、前記ノード間を結ぶ複数のリンクとにより構成された地図データであって、
前記リンクが
前記行止通路であるか否かを示す行止情報を
前記ノード毎に含む前記地図デー
タを格納する記憶部と、
前記移動体の現在地を検出する検出部と、
前記移動体の目的地の指定を受け付ける入力部と、
前記指定を受け付けていない場合に、前記現在地
と、前記地図データとに基いて、前記移動体の進行方向に沿った予想経路を設定し、前記予想経路内の前記行止情報に
基いて、前記行止警告の通
知要否を判断する制御部と、
前記制御部の制御にしたがい前記行止警告を通知する通知部と、
を備え、
前記制御部は、
前記行止情報から、前記予想経路内に含まれる前記ノードが前記行止通路と繋がっているか否かを判定し、且つ、前記ノードが前記行止警告の通知を不要とする非通知領域の外にあるか否かを判定し、
前記ノードが前記行止通路と繋がっていて、且つ、前記非通知領域の外にあると判定した場合、前記ノードについて前記行止警告を前記通知部に通知させ、
前記ノードが前記行止通路と繋がっていて、且つ、前記非通知領域内にあると判定した場合、前記ノードについて前記行止警告を前記通知部に通知させない、
経路案内装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記地図データにおいて、前記移動体の進行方向とのなす角が所定角度以下の
前記リンクを前記予想経路に設定する、請求項1に記載の経路案内装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記指定を受け付けた場合、前記行止警告を前記通知部に通知させない、請求項1又は請求項2に記載の経路案内装置。
【請求項4】
前記記憶部は、更に、前記行止警告の通知を不要とする登録地点を示す登録地点情報を記憶しており、
前記非通知領域は、前記登録地点を含む所定領域である、
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の経路案内装置。
【請求項5】
移動体が行止通路に進入する前に
、通路の先が行き止まりであることを示す行止警告を通知する
経路案内装置に用いられる経路案内方法であって、
前記経路案内装置は、前記移動体の目的地の指定を受け付ける入力部と、前記移動体の現在地を検出する検出部と、記憶部と、制御部と、通知部とを備え、
前記制御部は、
通路上の地点を示す複数のノードと、前記ノード間を結ぶ複数のリンクとにより構成された地図データであって、
前記リンクが
前記行止通路であるか否かを示す行止情報を
前記ノード毎に含む前記地図データ
を前記記憶部から読み出
し、
前記指定を受け付けていない場合に、前記検出部が検出した前記現在地
と、前記地図データとに基いて、前記移動体の進行方向に沿った予想経路を設定
し、
前記行止情報から、前記予想経路内に含まれる前記ノードが前記行止通路と繋がっているか否かを判定し、且つ、前記ノードが前記行止警告の通知を不要とする非通知領域の外にあるか否かを判定し、
前記ノードが前記行止通路と繋がっていて、且つ、前記非通知領域の外にあると判定した場合、前記ノードについて前記行止警告を前記通知部に通知させ、
前記ノードが前記行止通路と繋がっていて、且つ、前記非通知領域内にあると判定した場合、前記ノードについて前記行止警告を前記通知部に通知させない、
経路案内方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の経路を表示する機能を備えた経路案内装置及び経路案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の移動体の経路を案内する経路案内装置(所謂「カーナビゲーション」)が利用されている。経路案内装置は、GPS(Global Positioning System)を利用して、移動体の現在地を地図データの道路上に表示する。この種の経路案内装置として、通路の先が行き止まりである行止通路に移動体が近づいたときに、行止通路の手前で警告を出力するナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1のナビゲーション装置は、進入したことがある行止通路に、再度、移動体が近づいたときは、警告を出力しないようにしている。これにより、行止通路内に目的地(例えば、自宅、友人宅、店舗)が存在する場合に、警告が常に通知されることを防止している。よって、例えば、ドライバが警告により気分を害してしまうことを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のナビゲーション装置は、行止通路の警告を通知するか否かを、各行止通路について個別に判定しているため、処理負荷が大きくなる傾向にあった。
【0005】
本発明の課題は、行止通路の警告に関する処理負荷を低減する経路案内装置及び経路案内方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る経路案内装置は、移動体が行止通路に進入する前に行止警告を通知する。上記経路案内装置は、記憶部、検出部、制御部、及び通知部を備える。上記記憶部には、地図データと登録地点情報が格納される。地図データは、通路上の地点を示す複数のノードと、ノード間を結ぶ複数のリンクとにより構成される。地図データは、各ノードに接続されているリンクが行止通路であるか否かを示す行止情報をノード毎に含む。登録地点情報は、行止警告の通知を不要とする登録地点を示す。上記検出部は、移動体の現在地を検出する。上記制御部は、移動体の現在地に基づいて、地図データ内において移動体の進行方向に沿った予想経路を設定し、予想経路内の行止情報に基づいて、行止警告の通知の要否を判断する。上記通知部は、上記制御部の制御にしたがい行止警告を通知する。上記制御部は、予想経路内に行止通路に繋がるノードがある場合に、行止通路に繋がるノードが登録地点を含む所定領域外にあれば、通知部による行止警告の通知を行い、行止通路に繋がるノードが登録地点を含む所定領域内にあれば、通知部による行止警告の通知を行わないように、通知部を制御する。
【0007】
本発明に係る経路案内方法では、移動体が行止通路に進入する前に行止警告を通知する。上記経路案内方法において、記憶部には地図データと登録地点情報が格納されている。地図データは、通路上の地点を示す複数のノードと、ノード間を結ぶ複数のリンクとにより構成されていて、各ノードに接続されているリンクが行止通路であるか否かを示す行止情報をノード毎に含む。登録地点情報は、行止警告の通知を不要とする登録地点を示す。上記経路案内方法は、制御部により記憶部から地図データと登録地点情報を読み出すステップと、検出部により、移動体の現在地を検出するステップと、制御部により、移動体の現在地に基づいて、地図データ内において移動体の進行方向に沿った予想経路を設定するステップと、制御部により、予想経路内の行止情報に基づいて、行止通路に繋がるノードが予想経路内に含まれているか否かを判断するステップと、予想経路内に行止通路に繋がるノードがある場合は、制御部により、行止通路に繋がるノードが登録地点を含む所定領域内か否かを判断するステップと、行止通路に繋がるノードが所定領域外であれば通知部により行止警告を通知するステップと、を含み、行止通路に繋がるノードが所定領域内であれば行止警告を通知しない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、行止通路の手前で警告する機能を有する経路案内装置及び経路案内方法において、所定領域内では警告を通知しないようにすることで、行止通路の警告に関する処理負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】経路案内装置の全体動作を説明するためのフローチャート
【
図6】予想経路の表示処理を説明するためのフローチャート
【
図7】行止通路に繋がるノードが非通知領域内にない場合を示す図
【
図8】行止通路に繋がるノードが非通知領域内にある場合を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
本実施形態の経路案内装置は、通路の先が行き止まりである行止通路の手前で、行止通路に関する警告を通知する機能を有する。本実施形態の経路案内装置は、行止警告の通知を不要とする登録地点を含む所定範囲の領域(以下「非通知領域」という)内では、移動体が行止通路に近づいても警告を通知しない。これにより、よく行く場所(例えば、自宅、友人宅、店舗)の近辺において、警告が通知されることを防止する。具体的には、本実施形態の経路案内装置は、行止通路に関する警告を通知するか否かの判定を、行止通路に繋がる地点(例えば、交差点)が登録地点を含む非通知領域内か否かに基づいて行う。これにより、警告を通知するか否かの判定に関する処理負荷をより低減できるようにしている。以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
(経路案内装置の構成)
図1は、本実施形態の経路案内装置1を示している。経路案内装置1は、移動体100の経路を表示する機能を有する種々の情報処理装置である。例えば、経路案内装置1は、据付型ナビゲーション装置、PND(Portable Navigation Device)、スマートフォン、携帯電話機、ノート型PC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistants)、又はウェラブル機器である。移動体100は、例えば、車、自動二輪車、自転車、又は人である。
【0012】
経路案内装置1は、
図1に示すように、制御部10、記憶部20、現在地検出部30、入力部40、表示部50、及び音声出力部60を備える。
【0013】
制御部10は、例えば、ソフトウェアと協働して所定の機能を実現するCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部10は、記憶部20に格納されたデータやプログラムを読み出して種々の演算処理を行うことで、所定の機能を実現する。制御部10によって実行されるプログラムは、所定の通信規格にしたがい通信を行う通信部等から提供されてもよいし、可搬性を有する記録媒体に格納されていてもよい。
【0014】
制御部10は、所定の機能を実現するように設計された専用の電子回路、若しくは再構成可能な電子回路等のハードウェア回路で構成されてもよい。制御部10は、種々の半導体集積回路で構成されてもよい。種々の半導体集積回路としては、例えば、CPU、MPUの他に、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)が挙げられる。
【0015】
制御部10は、機能的構成として、経路設定部11、経路案内部12、及び行止通知部13を含む。制御部10は、地図データ21及び登録地点情報25を記憶部20から読み出す。制御部10は、登録地点情報25を取得する取得部の一例である。
【0016】
ユーザにより入力部40を介して目的地が指定された場合、制御部10は、目的地を設定して移動体100の現在地から目的地までの経路を案内する経路案内モード(第1のモード)で動作する。ユーザにより目的地が指定されない場合、制御部10は、目的地を設定せずに移動体の現在地周辺の地図を表示する地図表示モード(第2のモード)で動作する。
【0017】
経路設定部11は、経路案内モードにおいては、移動体100の現在地から目的地までの経路(本実施形態において「誘導経路」と称する)を設定する。経路設定部11は、地図表示モードにおいては、移動体100の現在地から所定距離以下の経路(本実施形態において「予想経路」と称する)を設定する。予想経路は、移動体100が通行すると予想される経路である。経路設定部11は、予想経路を予想経路以外の通路と視覚的に区別して表示部50に表示してもよいし、予想経路を表示しなくてもよい。経路設定部11は、例えば、マイクロコンピュータが記憶部20に記憶されたプログラムを実行することによって、誘導経路及び予想経路を設定する。
【0018】
経路案内部12は、経路案内モードにおいて動作する。経路案内部12は、移動体100の現在地から目的地までの誘導経路を案内する。具体的には、経路案内部12は、経路案内モードにおいて、誘導経路を表示部50に表示すると共に、誘導経路に沿って移動体100を移動させるための音声を音声出力部60から出力する。
【0019】
行止通知部13は、地図表示モードにおいて動作する。行止通知部13は、移動体100が行止通路に近づいたときに、行止通路に関する警告を表示部50及び音声出力部60により通知する。例えば、記憶部20には、行止警告を示す音声データが予め記憶されている。行止通知部13は、その音声データを音声出力部60に出力することによって、音声出力部60から行止警告を示す音声を出力する。行止通知部13は、例えば、進行方向前方の交差点に繋がる通路が行止通路であることを示すメッセージを表示部50の画面に表示させてもよい。行止通知部13は、例えば、マイクロコンピュータが記憶部20に記憶されたプログラムを実行することによって、行止警告を通知する場合と通知しない場合とを弁別する。
【0020】
記憶部20は、経路案内装置1の機能を実現するために必要なプログラム及びデータを記憶する記憶媒体である。記憶部20は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、若しくはSSD(Solid State Drive)を含んで構成される。また、記憶部20は、例えば、フラッシュメモリ、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ROM(Read On Memory)、又はこれらの組み合わせを含んで構成されてもよい。記憶部20は、各種情報を一時的に記憶してもよい。記憶部20は、例えば、制御部10の作業エリアとして機能するように構成されてもよい。
【0021】
本実施形態では、記憶部20に、地図データ21と登録地点情報25が格納されている。地図データ21は、例えば、道路及び建物の画像と地名などの文字を含む。本実施形態において、地図データ21は、行止情報22を含む(行止情報22の詳細については後述する)。又、後述するように、地図データ21は、経路を示す情報として、経路上の地点を示す複数のノードN(N1,N2,N3・・・)と、ノード間を結ぶ複数のリンクL(L1,L2,L3・・・)とを含む(
図3を参照)。登録地点情報25は、行止警告の通知を不要とする地点(本実施形態において、「登録地点」と称する)を示す情報である。登録地点は、例えば、自宅、友人宅、店舗の所在地である。登録地点情報25は、例えば、住所、又は地理座標系の緯度及び経度を示す。
【0022】
現在地検出部30は、地理座標系における移動体100の現在地を示す位置を検出する。現在地検出部30は、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して、受信した地点の緯度及び経度を測位するGPSモジュールである。これにより、現在地検出部30は、リアルタイムで移動体100の現在地を取得することができる。現在地検出部30は、GPSモジュールに加え、加速度を検出する加速度センサ又は角速度を検出するジャイロセンサを含んでもよい。これにより、現在地検出部30は、加速度又は角速度に基づいて、移動体100の現在地を検出してもよい。
【0023】
現在地検出部30は、例えば、無線又は有線の通信回線を介して、移動体100に備えられたGPS受信機から移動体100の位置を示す位置信号を受信する通信モジュールであってもよい。現在地検出部30は、無線又は有線の通信回線を介して、移動体100に備えられた加速度センサ又はジャイロセンサから加速度又は角速度を示すセンサ情報を受信する通信モジュールであってもよい。この場合、現在地検出部30は、受信した位置信号及びセンサ情報に基づいて、移動体100の現在地を検出する。通信モジュールは、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.3,IEEE802.11a/11b/11g/11ac、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)、IEEE1395、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の所定の通信規格に従い通信を行う。
【0024】
入力部40は、ユーザによる種々の操作を入力するHMI(Human Machine Interface)である。入力部40は、例えば、表示部50と共に構成されたタッチパネルであってもよい。また、入力部40は、キーボード、ボタン、スイッチ、及びこれらの組み合わせで構成される物理キーであってもよい。入力部40は、制御部10と電気的に接続されている。ユーザは、入力部40を介して目的地を設定することができる。ユーザは、入力部40を介して登録地点を設定することができる。登録地点情報25は、例えば、入力部40を介して入力されて、記憶部20に格納される。入力部40は、登録地点情報25を取得する取得部の一例である。
【0025】
表示部50は、例えば、液晶ディスプレイ若しくは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイで構成される。表示部50は、地図及び移動体100の現在地を表示する。表示部50は、さらに、移動体100の目的地、現在地から目的地までの誘導経路、及び行止警告を表示できるように構成されている。表示部50は、行止警告を通知する通知部の一例である。表示部50は、経路案内装置1の一部として、経路案内装置1と物理的に一体に構成されていてもよい。又は、表示部50は、経路案内装置1と物理的に離れていて、通信機能によって経路案内装置1と通信可能に接続されていてもよい。
【0026】
音声出力部60は、例えば、電気信号を音声に変換して音声を出力するスピーカである。音声出力部60は、行止警告を通知する通知部の一例である。音声出力部60は、経路案内装置1の一部として、経路案内装置1と物理的に一体に構成されていてもよい。又は、音声出力部60は、経路案内装置1と物理的に離れていて、通信機能によって経路案内装置1と通信可能に接続されていてもよい。
【0027】
図2は、行止警告の一例を示している。移動体100の位置を示すマーク52が表示部50に表示されている。移動体100が行止通路53に近づくと、表示部50は行止警告51を示すメッセージを画面に表示し、音声出力部60は行止警告61を音声で出力する。
【0028】
図3は、地図データ21を模式的に示している。地図データ21において、移動体100が通行可能な通路は、通路上の地点を示す複数のノードN(N1,N2,N3・・・)と、ノード間を結ぶ複数のリンクL(L1,L2,L3・・・)とにより規定される。本明細書においては、
図3に示すように、ノードを「N」と表記し、リンクを「L」と表記する。本明細書において、ノードN1,N2,N3・・・を個々に区別しないときは、まとめてノードNと称し、リンクL1,L2,L3・・・を個々に区別しないときは、まとめてリンクLと称する。地図データ21は、複数のノードNと複数のリンクLの集合を含む。
【0029】
ノードNは、交差点などの道路網表現上の結節点であってもよい。ノードNは、通路上において所定間隔で設けられてもよい。リンクLは、ノード間の通路に対応する。
図3において、リンクL3及びリンクL4は、行止通路に相当する。本実施形態において、地図データ21は、各ノードNに対応づけられた行止情報22を含む。すなわち、各ノードNに行止情報22が埋め込まれている。行止情報22は、ノードNに接続されている1つ以上のリンクLのうち、行止通路に相当するリンクが有るか否かを示す。行止情報22は、行止通路に相当するリンクLを特定する情報を含む。行止情報22によって、各ノードNから先に行止通路が有るか否かがわかる。
【0030】
(経路案内装置の動作)
図4を参照して、経路案内装置1の全体動作について説明する。
図4は、経路案内装置1の制御部10の動作を示している。経路案内装置1は、例えば、経路案内装置1の電源がオンされたときに、
図4に示す動作を開始する。なお、経路案内装置1は、ナビゲーションを行うためのアプリケーションプログラムが起動されたときに、
図4に示す動作を開始してもよい。
【0031】
制御部10は、地図データ21を記憶部20から取得する(S1)。制御部10は、移動体100の目的地が入力部40から入力されたか否かを判断する(S2)。目的地が入力された場合は、制御部10は、誘導経路の案内処理を行う経路案内モードに進む(S3)。具体的には、経路設定部11は、移動体100の現在地から目的地までの誘導経路を設定する。経路案内部12は、誘導経路を案内する。案内処理は、所謂カーナビゲーションなどの経路案内である。経路案内部12は、現在地に基づいて目的地までの道案内を表示部50及び音声出力部60によって行う。目的地が入力されない場合は、制御部10は、予想経路の表示処理を行う地図表示モードに進む(S4)。制御部10は、後述するように、地図表示モードにおいてのみ、行止警告を通知し、経路案内モードでは行止警告を通知しない。
【0032】
図5は、地図表示モードにおいて設定される予想経路150を模式的に示している。経路設定部11は、移動体100の現在地と地図データ21とに基づいて、移動体100の進行方向に沿った予想経路150を設定する。予想経路150は、1つ以上のリンクLを含むようにして構成される。予想経路150の両端はノードNであってもよい。
【0033】
経路設定部11は、移動体100の進行方向に対して所定角度θ以下にあるリンクLを予想経路150に設定する。所定角度θは0度以上30度以下に設定されてもよい。所定角度θは0度以上15度以下であってもよい。進行方向に対して所定角度θより大きな角度となるリンクLを除くという比較的簡単な方法で、予想経路150を設定することによって、予想経路150の生成における処理負荷を低減することができる。
【0034】
経路設定部11は、移動体100の現在地から進行方向に沿って所定距離d1以下において、予想経路150の先端を決定する。例えば、
図5の例では、予想経路150の先端は、所定距離d1以下における最遠端のノードN7である。経路設定部11は、マップマッチングにより移動体100が重なるリンクLを予想経路150に含めてもよい。例えば、
図5の例において、予想経路150の後端は、移動体100が直前に通過したノードN2である。
【0035】
経路設定部11は、地図データ21内において、移動体100の進行方向に対して所定角度θ以下の範囲内にリンクLが一つも存在しない場合は、予想経路150を設定しない。
【0036】
図6は、制御部10による予想経路の表示処理(ステップS4の詳細)を示している。
図7は、行止通路に繋がるノードN3が非通知領域202内にない場合を示している。
図8は、行止通路に繋がるノードN3が非通知領域202内にある場合を示している。非通知領域202は、例えば、登録地点201を中心とした半径r(例えば、r=10m~1km)の円形の領域に設定される。なお、非通知領域202は円形に限定されず、楕円形若しくは多角形であってもよい。行止通知部13は、登録地点201に基づいて非通知領域202を設定する。
【0037】
経路設定部11は、現在地検出部30から移動体100の現在地を取得する(S401)。経路設定部11は、移動体100の進行方向において所定距離d1以下且つ所定角度θ以下のリンクLによって予想経路150を設定する(S402)。ステップS402を予想経路設定工程ともいう。経路設定部11は、予想経路150を予想経路150以外の通路と視覚的に区別して表示部50に表示させてもよい。
【0038】
行止通知部13は、予想経路150上にある行止情報22に基づいて、予想経路150上に行止通路に繋がるノードNがあるか否かを判定する(S403)。ステップS403を行止判別工程ともいう。予想経路150上に行止通路に繋がるノードNがあれば(S403でYes)、行止通知部13は、そのノードNがいずれかの登録地点201に対する非通知領域202内か否かを判断する(S404)。ステップS404は、領域判定工程ともいう。
【0039】
行止通路に繋がるノードNが全ての登録地点201に対する非通知領域202のいずれにおいても含まれていなければ(S404でYes)、行止通知部13は行止警告を通知する(S405)。以下では、ステップS405を通知工程ともいう。例えば、
図7に示すように、予想経路150上にある、行止通路に繋がるノードN3が全ての非通知領域202のいずれにも含まれていないときは、行止通知部13は、
図2に示すように、行止警告51を示すメッセージを表示部50に表示し、行止警告61を音声出力部60により音声で出力する。これにより、ノードN3から延びるリンクL3,L4が行止通路であることをユーザに通知する。行止警告51,61は、
図7に示すように、移動体100が行止通路に繋がるノードN3に近づいたときに、例えば、ノードN3の所定距離d2手前で出力するようにしてもよい。表示部50は、ノードN3の所定距離d2手前で、ノードN3の周辺の地図を拡大表示してもよい。この場合、行止警告51,61を通知するステップS405において、移動体100の現在地と行止通路に繋がるノードNとの距離が所定距離d2以下か否かを判断してもよい。例えば、d2≦d1である。
【0040】
一方、行止通路に繋がるノードNがいずれかの登録地点201に対する非通知領域202内であれば(S404でNo)、行止通知部13は行止警告を通知しない(S407)。例えば、
図8に示すように、行止通路に繋がるノードN3が、全ての非通知領域202のうちのいずれか一つにでも含まれていれば、行止通知部13は行止警告を通知しない。
【0041】
経路設定部11は、ユーザが経路案内装置1の電源をオフする操作をしたか否かを判断する(S406)。経路設定部11は、ユーザが経路案内装置1の電源をオフする操作をしたときに(S406でYes)、
図6に示す予想経路の表示処理を終了する。経路案内装置1の電源をオフにする操作がされていなければ(S406でNo)、経路設定部11は、ステップS401に戻り、移動体100の現在地に基づいた予想経路150の設定を継続する。なお、
図6に示す動作は、ユーザがナビゲーション行うためのアプリケーションプログラムを停止させる操作をしたときに、終了してもよい。
【0042】
以上のように、行止警告を通知するか否かの判断を、行止通路に繋がるノードNが非通知領域202内か否かに基づいて行う。このように比較的簡単な方法で行止警告の通知の要否を決定しているため、処理負荷を低減することができる。
【0043】
(概要及び効果)
本発明の経路案内装置1は、移動体100が行止通路に進入する前に行止警告を通知する機能を有する。経路案内装置1は、地図データ21と登録地点情報25を格納する記憶部20を備える。地図データ21は、通路上の地点を示す複数のノードNと、ノードN間を結ぶ複数のリンクLとにより構成されている。また、地図データ21は、各ノードNに接続されているリンクLが行止通路であるか否かを示す行止情報22をノード毎に含む。登録地点情報25は、行止警告の通知を不要とする登録地点201を示す。経路案内装置1は、移動体100の現在地を検出する現在地検出部30と、移動体100の現在地に基づいて、地図データ21内において移動体の進行方向に沿った予想経路150を設定し、予想経路150内の行止情報22に基づいて、行止警告の通知の要否を判断する制御部10と、制御部10の制御にしたがい行止警告を通知する通知部(表示部50、音声出力部60)と、を備える。制御部10は、予想経路150内に行止通路に繋がるノードがある場合に、行止通路に繋がるノードが非通知領域202外にあれば、通知部による行止警告の通知を行う。非通知領域202は、登録地点201を含む所定範囲の領域である。制御部10は、予想経路150内に行止通路に繋がるノードがある場合であっても、行止通路に繋がるノードが非通知領域202内にあれば、通知部による行止警告の通知を行わないように、通知部を制御する。
【0044】
このように、ノードNが行止通路に繋がっているか否かを示す行止情報22が各ノードに対応付けられているため、各ノードNの行止情報22を参照することによって、ノードNに接続されているリンクLが行止通路か否かを判断することができる。また、警告をするか否かの判定は、予想経路150上のノードNが非通知領域202内にあるか否かに基づいて行っている。すなわち、警告の要否の判断をノード毎に行い、行止通路毎に個別に判定していない。よって、例えば、複数の行止通路が予想経路150上のノードNに接続されていた場合であっても、そのノードNの行止情報22を参照するだけで、警告の要否を決定できる。よって、警告を通知するか否かの判定に関する処理負荷を低減することができる。また、非通知領域202内に行止通路に繋がるノードが複数あった場合、そのノードにおいて行止警告を通知しないため、登録地点201周辺における処理負荷が低減される。
【0045】
制御部10は、地図データ21において、移動体100の進行方向とのなす角が所定角度θ以下のリンクを予想経路150に設定する。進行方向に対して所定角度θより大きな角度となるリンクLを除くという比較的簡単な方法で、予想経路150を設定することによって、予想経路150の生成における処理負荷を低減することができる。
【0046】
制御部10は、移動体100の目的地を設定して現在地から目的地までの経路を案内する経路案内モード(第1のモード)と、目的地を設定せずに現在地から所定距離d1以下において予想経路150を設定する地図表示モード(第2のモード)と、を備え、経路案内モードのときは行止警告を通知しない。経路案内モードにおいて、不要な行止警告を通知してユーザが煩わしさを感じることを抑制できる。また、経路案内モードにおいて、行止警告を通知しないことによって、経路案内モードにおける処理負荷を低減することができる。
【0047】
制御部10は、進行方向において予想経路と繋がるリンクLが地図データ21にない場合は予想経路の設定を終了する。これにより、予想経路150の設定における処理負荷を低減することができる。
【0048】
本発明の経路案内方法において、予想経路設定工程(ステップS402)では、地図データにおいて、移動体100の進行方向に沿った予想経路150が設定される。行止判別工程(ステップS403)では、予想経路150上の各ノードNが行止通路に繋がっているか否かが判別される。領域判定工程(ステップS404)では、行止通路に繋がっているノードNが非通知領域202内か否かが判定される。通知工程(ステップS405)では、行止通路に繋がっているノードNが非通知領域202外のときに、行止警告が通知される。本発明の経路案内方法において、行止警告の通知の要否を、行止通路に繋がっているノードNが非通知領域202内か否かで行っているため、警告を通知するか否かの判定に関する処理負荷を低減することができる。
【0049】
<他の実施形態>
上記実施形態では、ユーザは、入力部40を介して登録地点201を入力し、行止通知部13は、登録地点201に基づいて非通知領域202を設定したが、ユーザが、入力部40を介して非通知領域202を設定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の経路案内装置は、移動体の経路を表示する装置として有用である。
【符号の説明】
【0051】
1 経路案内装置
10 制御部
11 経路設定部
12 経路案内部
13 行止通知部
20 記憶部
30 現在地検出部
40 入力部
50 表示部
60 音声出力部