(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】水抜き孔用キャップおよび基礎構造体
(51)【国際特許分類】
E04B 1/64 20060101AFI20220404BHJP
E04B 1/72 20060101ALI20220404BHJP
E02D 27/01 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
E04B1/64 B
E04B1/72
E02D27/01 101C
(21)【出願番号】P 2018104940
(22)【出願日】2018-05-31
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000010065
【氏名又は名称】フクビ化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100133916
【氏名又は名称】佐藤 興
(72)【発明者】
【氏名】藤田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】石田 尚也
(72)【発明者】
【氏名】福田 稔久
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5103615(US,A)
【文献】特開2016-008445(JP,A)
【文献】特開2003-176575(JP,A)
【文献】実開昭51-042520(JP,U)
【文献】特開2016-138382(JP,A)
【文献】特開2012-207499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62-1/99
E02D 27/01
E04G 21/24
F16B 17/00
B65D 59/02-59/06
F16L 55/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立ち上がり基礎に設けられた水抜き孔を塞ぐ水抜き孔用キャップであって、
前記立ち上がり基礎は、上向きに立設されているとともに、上側からの平面視で、所定領域の周囲に設けられており、
前記水抜き孔は、前記立ち上がり基礎をその厚み方向に貫通するように設けられており、
前記立ち上がり基礎には、前記所定領域の底面を構成するように上面が広がる底面基礎が接合されており、
前記底面基礎の前記上面は、前記水抜き孔における前記所定領域の側の開口部に対して、前記水抜き孔における内周面の下端レベルと同じか、または該下端レベルよりも高い位置にあり、
該水抜き孔用キャップは、
前記水抜き孔における前記所定領域の側の開口部を塞ぐ板状の蓋部と、
前記蓋部における前記所定領域とは反対側の裏面に設けられ、前記水抜き孔に挿入されることで、当該水抜き孔用キャップを前記立ち上がり基礎に係止する係止部と、
を備え、
前記蓋部の下端面は、前記底面基礎の前記上面に当接または近接するように平面状に形成されている、
水抜き孔用キャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の水抜き孔用キャップにおいて、
前記蓋部は、前記所定領域の側のオモテ面および前記裏面の少なくとも一方の面の下部に、当該蓋部の前記下端面に沿うように形成された1条または複数条の溝部を有する、
水抜き孔用キャップ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の水抜き孔用キャップにおいて、
前記係止部は、前記水抜き孔への挿入に伴い弾性変形をしながら該水抜き孔の内周面に対して密に当接する複数の挿入片を有する、
水抜き孔用キャップ。
【請求項4】
請求項3に記載の水抜き孔用キャップにおいて、
前記複数の挿入片には、前記挿入の後の弾性変形した状態において、前記水抜き孔の前記内周面に対して上向きに押し付けられる第1挿入片と、前記水抜き孔の前記内周面に対して下向きに押し付けられる第2挿入片と、が含まれている、
水抜き孔用キャップ。
【請求項5】
請求項4に記載の水抜き孔用キャップにおいて、
前記複数の挿入片には、前記挿入の後の弾性変形した状態において、前記水抜き孔の前記内周面に対して上向きに押し付けられる第3挿入片と、前記水抜き孔の前記内周面に対して下向きに押し付けられる第4挿入片と、がさらに含まれており、
前記第3挿入片は前記第1挿入片に対して水平方向に離間して設けられ、
前記第4挿入片は前記第2挿入片に対して水平方向に離間して設けられている、
水抜き孔用キャップ。
【請求項6】
請求項5に記載の水抜き孔用キャップにおいて、
前記第1挿入片、前記第2挿入片、前記第3挿入片、および前記第4挿入片のそれぞれは、前記水抜き孔の前記内周面に対して線接触または面接触するように平面状に形成された平面部を有する、
水抜き孔用キャップ。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の水抜き孔用キャップにおいて、
前記水抜き孔の中心軸を通り、且つ、鉛直面と平行な基準面を仮定する場合に、
前記第1挿入片と前記第2挿入片とは、前記基準面から水平方向の一方側に離間した位置において、前記基準面と平行な第1仮想面上で上下に並ぶように配置され、
前記第3挿入片と前記第4挿入片とは、前記基準面から水平方向の他方側に離間した位置において、前記基準面と平行な第2仮想面上で上下に並ぶように配置されている、
水抜き孔用キャップ。
【請求項8】
請求項7に記載の水抜き孔用キャップにおいて、
水平方向における前記基準面から前記第1仮想面までの距離と、水平方向における前記基準面から前記第2仮想面までの距離と、は同じである、
水抜き孔用キャップ。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れかに記載の水抜き孔用キャップにおいて、
前記蓋部における前記所定領域の側のオモテ面の上部から、前記所定領域の側に突出する庇部をさらに有する、
水抜き孔用キャップ。
【請求項10】
上向きに立設されているとともに、上側からの平面視で、所定領域の周囲に設けられ、且つ、厚み方向に貫通する水抜き孔を有する立ち上がり基礎と、
前記所定領域の底面を構成するように上面が広がり、前記立ち上がり基礎に接合された底面基礎と、
前記水抜き孔を塞ぐ水抜き孔用キャップと、
を備え、
前記底面基礎における前記上面は、前記水抜き孔における前記所定領域の側の開口部に対して、前記水抜き孔における内周面の下端レベルと同じか、または該下端レベルよりも高い位置にあり、
前記水抜き孔用キャップとして、請求項1から請求項8の何れかの水抜き孔用キャップが用いられている、
基礎構造体。
【請求項11】
上向きに立設されているとともに、上側からの平面視で、所定領域の周囲に設けられ、且つ、厚み方向に貫通する水抜き孔を有する立ち上がり基礎と、
前記所定領域の底面を構成するように上面が広がり、前記立ち上がり基礎に接合された底面基礎と、
前記水抜き孔を塞ぐ水抜き孔用キャップと、
前記水抜き孔用キャップにおける前記蓋部の外縁と、前記立ち上がり基礎における前記所定領域の側の内側面と、の間を塞ぐように塗布形成され、防蟻薬剤が混入された防蟻ペースト層と、
を備え、
前記底面基礎における前記上面は、前記水抜き孔における前記所定領域の側の開口部に対して、前記水抜き孔における内周面の下端レベルと同じか、または該下端レベルよりも高い位置にあり、
前記水抜き孔用キャップとして、請求項9の水抜き孔用キャップが用いられている、
基礎構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水抜き孔用キャップおよび基礎構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の施工においては、先ず、布基礎の上に立ち上がり基礎を立設し、そして、地面上に土間コンクリート層を設ける。このような基礎構造体が形成された後においては、立ち上がり基礎で囲まれた土間コンクリート層上に降雨等で水が溜まることが生じ得る。このため、立ち上がり基礎に対しては、当該立ち上がり基礎を厚み方向に貫通する水抜き孔が設けられる。これにより、施工途中における降雨等によって、土間コンクリート層上における立ち上がり基礎で囲まれた内側領域に水が溜まるのが防がれる。
【0003】
なお、ベタ基礎を採用する場合には、ベタ基礎の上に立ち上がり基礎を立設する。この場合にも、上記布基礎を採用する場合と同じく、ベタ基礎の上に溜まった雨水を排水するために立ち上がり基礎に水抜き孔が設けられる。
【0004】
ところで、上記のような立ち上がり基礎に設けた水抜き孔は、シロアリなどが当該水抜き孔を通り建築物内に入り込むことが懸念されるので、基礎構造体上への柱等の設置に際して、塞がれる。従来における水抜き孔を塞ぐ方法としては、防蟻薬剤が混入されたモルタルを充填する方法などが用いられていた。
【0005】
上記のようにモルタルの充填によって水抜き孔を塞ぐ方法では、建築物の施工現場において煩雑な作業を伴うこととなる。このような水抜き孔を塞ぐのに際しての作業性を向上させる技術が、特許文献1に開示されている。
【0006】
特許文献1に開示の技術では、円板状の蓋部と、当該蓋部の一方の主面から突出した筒状部と、を有するキャップで、水抜き孔を塞ぐこととしている。そして、該技術では、立ち上がり基礎における水抜き孔の周囲部分と、キャップの蓋部との間に防蟻薬剤を混入したOリングを挟み込むこととしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1に開示の技術では、土間コンクリート層やベタ基礎などの底面基礎との位置関係で水抜き孔を塞ぐことが困難である。即ち、土間コンクリート層は、その上面が少なくとも水抜き孔における内周面の下端レベルと同じか、それよりも高い位置となるように形成され、ベタ基礎も、その上面が上記下端レベルと同じとなるように形成される。
【0009】
これに対して、上記特許文献1に開示のキャップでは、円板状の蓋部を備える構造となっているため、底面基礎の上面に対して蓋部の下部が干渉する。また、水抜き孔に対する底面基礎の上面の高さレベルによっては、Oリングを挟み込むスペースの確保も難しい。よって、上記特許文献1に開示のキャップでは、底面基礎の上面との干渉を避けながら、水抜き孔を塞ぐのは困難である。
【0010】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、底面基礎の上面に対する干渉を抑制することで、確実に立ち上がり基礎の水抜き孔を塞ぐことができる水抜き孔用キャップおよび基礎構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る水抜き孔用キャップは、立ち上がり基礎に設けられた水抜き孔を塞ぐ水抜き孔用キャップであって、前記立ち上がり基礎は、上向きに立設されているとともに、上側からの平面視で、所定領域の周囲に設けられており、前記水抜き孔は、前記立ち上がり基礎をその厚み方向に貫通するように設けられており、前記立ち上がり基礎には、前記所定領域の底面を構成するように上面が広がる底面基礎が接合されており、前記底面基礎の前記上面は、前記水抜き孔における前記所定領域の側の開口部に対して、前記水抜き孔における内周面の下端レベルと同じか、または該下端レベルよりも高い位置にあり、該水抜き孔用キャップは、前記水抜き孔における前記所定領域の側の開口部を塞ぐ板状の蓋部と、前記蓋部における前記所定領域とは反対側の裏面に設けられ、前記水抜き孔に挿入されることで、当該水抜き孔用キャップを前記立ち上がり基礎に係止する係止部と、を備え、前記蓋部の下端面は、前記底面基礎の前記上面に当接または近接するように平面状に形成されている。
【0012】
上記態様に係る水抜き孔用キャップでは、蓋部における下端面が底面基礎の上面に当接または近接するように平面状に形成されているので、蓋部における下端面が底面基礎の上面に対して干渉するのを抑制することができる。よって、上記態様に係る水抜き孔用キャップでは、底面基礎の上面が水抜き孔の下端レベルと同じか、または下端レベルよりも高い位置である場合においても、水抜き孔を確実に塞ぐことができる。
【0013】
上記態様に係る水抜き孔用キャップでは、前記蓋部は、前記所定領域の側のオモテ面および前記裏面の少なくとも一方の面の下部に、当該蓋部の前記下端面に沿うように形成された1条または複数条の溝部を有する、とすることもできる。
【0014】
上記構成を採用する場合には、蓋部における少なくとも一方の面の下部に、下端面に沿う溝部が形成されているので、水抜き孔の下端レベルに対する底面基礎の上面の高さレベルが、施工時の製造誤差などで多少変化した場合にあっても、施工の現場で溝部に沿って蓋部の下部の一部を切り取ることで対応が可能である。このような現場での微調整により、底面基礎の上面への蓋部の下端面の緩衝をより確実に防ぐことが可能となり、水抜き孔を確実に塞ぐことができる。
【0015】
上記態様に係る水抜き孔用キャップでは、前記係止部は、前記水抜き孔への挿入に伴い弾性変形をしながら該水抜き孔の内周面に対して密に当接する複数の挿入片を有する、とすることもできる。
【0016】
上記構成を採用する場合には、係止部として、弾性変形しながら水抜き孔の内周面に対して密に押し付けられ当接する複数の挿入片を有するので、施工の現場において水抜き孔に対して水抜き孔用キャップを押し込むという簡易な作業だけで、立ち上がり基礎に対して水抜き孔用キャップを係止することができる。よって、上記態様に係る水抜き孔用キャップでは、高い作業効率を以って水抜き孔を塞ぐことができる。
【0017】
また、上記構成を採用する場合には、複数の挿入片が弾性変形しながら水抜き孔の内周面に対して密に当接するよう構成されているので、弾性域内の範囲であれば、内径が異なる水抜き孔に対しても、上記態様に係る水抜き孔用キャップを用いることができ、部品の共通化を図ることで施工コストを低減することが可能である。
【0018】
上記態様に係る水抜き孔用キャップでは、前記複数の挿入片には、前記挿入の後の弾性変形した状態において、前記水抜き孔の前記内周面に対して上向きに押し付けられる第1挿入片と、前記水抜き孔の前記内周面に対して下向きに押し付けられる第2挿入片と、が含まれている、とすることもできる。
【0019】
上記構成を採用する場合には、複数の挿入片が、水抜き孔の内周面に対して上向きに押し付けられる第1挿入片と、下向きに押し付けられる第2挿入片と、を含むので、水抜き孔の内周面に対する水抜き孔用キャップの係止が鉛直方向の上下で確実になされる。
【0020】
上記態様に係る水抜き孔用キャップでは、前記複数の挿入片には、前記挿入の後の弾性変形した状態において、前記水抜き孔の前記内周面に対して上向きに押し付けられる第3挿入片と、前記水抜き孔の前記内周面に対して下向きに押し付けられる第4挿入片と、がさらに含まれており、前記第3挿入片は前記第1挿入片に対して水平方向に離間して設けられ、前記第4挿入片は前記第2挿入片に対して水平方向に離間して設けられている、とすることもできる。
【0021】
上記構成を採用する場合には、第1挿入片および第2挿入片に加えて、第3挿入片および第4挿入片も有するので、水抜き孔の内周面に対する当接箇所が多くなり、水抜き孔の内周面に対する水抜き孔用キャップの係止をより確実にすることができる。
【0022】
上記態様に係る水抜き孔用キャップでは、前記第1挿入片、前記第2挿入片、前記第3挿入片、および前記第4挿入片のそれぞれは、前記水抜き孔の前記内周面に対して線接触または面接触するように平面状に形成された平面部を有する、とすることもできる。
【0023】
上記構成を採用する場合には、各挿入片が平面部を有し、各挿入片が平面部により水抜き孔の内周面に対して線接触または面接触するようになっているので、水抜き孔に対するガタツキを抑制することができ、水抜き孔に対する係止をさらに確実にすることができる。
【0024】
上記態様に係る水抜き孔用キャップでは、前記水抜き孔の中心軸を通り、且つ、鉛直面と平行な基準面を仮定する場合に、前記第1挿入片と前記第2挿入片とは、前記基準面から水平方向の一方側に離間した位置において、前記基準面と平行な第1仮想面上で上下に並ぶように配置され、前記第3挿入片と前記第4挿入片とは、前記基準面から水平方向の他方側に離間した位置において、前記基準面と平行な第2仮想面上で上下に並ぶように配置されている、とすることもできる。
【0025】
上記構成を採用する場合には、第1挿入片と第2挿入片とが第1仮想面上で上下に並び、第3挿入片と第4挿入片とが第2仮想面上で上下に並ぶ構成としているので、水抜き孔の内周面から各挿入片に対してかかる上下方向の力が、第1仮想面上および第2仮想面上で対向することとなる。よって、上記態様に係る水抜き孔用キャップでは、水抜き孔の内周面からの力が偏りなくかかることで、水抜き孔への係止をさらに確実に行うことができる。
【0026】
上記態様に係る水抜き孔用キャップでは、水平方向における前記基準面から前記第1仮想面までの距離と、水平方向における前記基準面から前記第2仮想面までの距離と、は同じである、とすることもできる。
【0027】
上記構成を採用する場合には、水平方向において、基準面から第1仮想面までの距離と第2仮想面までの距離とを同じとしているので、水抜き孔に対する係止において、水平方向においても、挿入片から水抜き孔の内周面への押付け力を偏りのないものとすることができる。よって、上記態様に係る水抜き孔用キャップでは、水抜き孔への係止をさらに確実に行うことができる。
【0028】
上記態様に係る水抜き孔用キャップでは、前記蓋部における前記所定領域の側のオモテ面の上部から、前記所定領域の側に突出する庇部をさらに有する、とすることもできる。
【0029】
上記構成を採用する場合には、蓋部の上部におけるオモテ面から突出する庇部を有するので、防蟻ペーストの塗布を行う際に、蓋部の上部から下方に防蟻ペーストが垂れてしまうのを抑制することができる。
【0030】
本発明の一態様に係る基礎構造体は、上向きに立設されているとともに、上側からの平面視で、所定領域の周囲に設けられ、且つ、厚み方向に貫通する水抜き孔を有する立ち上がり基礎と、前記所定領域の底面を構成するように上面が広がり、前記立ち上がり基礎に接合された底面基礎と、前記水抜き孔を塞ぐ水抜き孔用キャップと、を備え、前記底面基礎における前記上面は、前記水抜き孔における前記所定領域の側の開口部に対して、前記水抜き孔における内周面の下端レベルと同じか、または該下端レベルよりも高い位置にあり、前記水抜き孔用キャップとして、上記の水抜き孔用キャップが用いられている。
【0031】
上記態様に係る基礎構造体では、立ち上がり基礎に設けられた水抜き孔を、上記の水抜き孔用キャップで塞ぐこととしているので、上述のように、底面基礎の上面が水抜き孔の下端レベルと同じか、それよりも高い高さレベルにある場合においても、確実に水抜き孔を水抜き孔用キャップで塞ぐことができる。
【0032】
本発明の一態様に係る基礎構造体は、上向きに立設されているとともに、上側からの平面視で、所定領域の周囲に設けられ、且つ、厚み方向に貫通する水抜き孔を有する立ち上がり基礎と、前記所定領域の底面を構成するように上面が広がり、前記立ち上がり基礎に接合された底面基礎と、前記水抜き孔を塞ぐ水抜き孔用キャップと、前記水抜き孔用キャップにおける前記蓋部の外縁と、前記立ち上がり基礎における前記所定領域の側の内側面と、の間を塞ぐように塗布形成され、防蟻薬剤が混入された防蟻ペースト層と、を備え、前記底面基礎における前記上面は、前記水抜き孔における前記所定領域の側の開口部に対して、前記水抜き孔における内周面の下端レベルと同じか、または該下端レベルよりも高い位置にあり、前記水抜き孔用キャップとして、庇部を有する上記態様の水抜き孔用キャップが用いられている。
【0033】
上記態様に係る基礎構造体では、蓋部のオモテ面から突出する庇部を有する水抜き孔用キャップを備えるので、防蟻ペースト層の形成時に防蟻ペーストを蓋部の上部に塗布した場合にも、当該塗布した防蟻ペーストが下方に垂れるのを抑制することができる。
【0034】
また、上記態様に係る基礎構造体でも、上記態様と同様に、底面基礎の上面が水抜き孔の下端レベルと同じか、それよりも高い高さレベルにある場合においても、確実に水抜き孔を水抜き孔用キャップで塞ぐことができる。
【発明の効果】
【0035】
上記の各態様では、底面基礎の上面に対する干渉を抑制することで、確実に立ち上がり基礎の水抜き孔を塞ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】実施形態に係る基礎構造体の構成を示す模式展開斜視図である。
【
図2】立ち上がり基礎に設けられた水抜き孔と土間コンクリート層とを示す模式断面図である。
【
図3】水抜き孔用キャップの構造を示す模式斜視図である。
【
図4】(a)は、水抜き孔用キャップの構造を示す模式正面図であり、(b)は、水抜き孔用キャップの構造を示す模式側面図である。
【
図5】水抜き孔用キャップの構造を示す模式平面図である。
【
図6】水抜き孔を水抜き孔用キャップで塞いだ状態を示す模式正面図である。
【
図7】水抜き孔を水抜き孔用キャップで塞いだ状態を示す模式断面図である。
【
図8】水抜き孔を水抜き孔用キャップで塞いだ状態で、防蟻ペースト層を形成した状態での基礎構造体を示す模式正面図である。
【
図9】
図8のIX-IX断面を示す模式断面図である。
【
図10】変形例に係る水抜き孔用キャップの構造を示す模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0038】
なお、以下の説明で用いる各図においては、Z方向が鉛直方向であり、X方向およびY方向が水平方向である。
【0039】
[実施形態]
1.基礎構造体1の構成
本実施形態に係る基礎構造体1の構成について、
図1を用いて説明する。
【0040】
図1に示すように、基礎構造体1は、布基礎2と、立ち上がり基礎3と、土間コンクリート層4と、水抜き孔用キャップ(以下では、単に「キャップ」と記載する。)6と、を備える。布基礎2は、土層10中に形成された基礎である。立ち上がり基礎3は、布基礎2の上面からZ方向上向きに立設されており、地面10aよりもZ方向上方の位置に、該立ち上がり基礎3を厚み方向に貫通する(
図1では、Y方向に貫通する)水抜き孔3aが形成されている。
【0041】
水抜き孔3aは、図示を省略する型枠にコンクリートを流し込み立ち上がり基礎3を形成するのに際して、水抜き孔3aを形成しようとする箇所に予め筒体5を設置することで形成される。そして、立ち上がり基礎3の形成後において、筒体5がそのまま残されている。
【0042】
なお、筒体5としては、例えば、硬質塩化ビニル製のパイプが用いられ、内径が異なる複数種類の塩化ビニル製パイプの何れかが用いられる。例えば、VU管とVP管とでは、外径が同じであっても、肉厚の違いにより、内径が異なる。水抜き孔3aを形成する場合には、施工の現場によってVU管が使われたり、VP管が使われたりする。本実施形態に係るキャップ6では、このような場合においても、筒体5としてVU管が用いられて形成された水抜き孔3aにも、筒体5としてVP管が用いられて形成された水抜き孔3aにも適用することが可能である。
【0043】
ここで、
図1では、詳細な図示を省略しているが、立ち上がり基礎3は、Z方向からの平面視において、
図1の立ち上がり基礎3よりも左側の領域(所定領域)の周囲を囲むように、X方向およびY方向に延びるように形成されている。
【0044】
土間コンクリート層4は、防湿コンクリート層であって、端面が立ち上がり基礎3の内側面に接合されている。土間コンクリート層4は、立ち上がり基礎3によって周囲を囲まれた上記所定領域の底面を構成する層であり、底面基礎に相当する。
【0045】
キャップ6は、土間コンクリート層4が形成された後に、立ち上がり基礎3に設けられた水抜き孔3aの内側開口(
図1に表すY方向左側の開口)を塞ぐように装着される。キャップ6の詳細構造については、後述する。
【0046】
2.水抜き孔3aと土間コンクリート層4
基礎構造体1における立ち上がり基礎3の水抜き孔3aと土間コンクリート層4とについて、
図2を用いて説明する。
図2は、立ち上がり基礎3および土間コンクリート層4を水抜き孔3aの中心軸Ax
3aを通りZ方向(鉛直方向)に沿う面(基準面に相当)で切り取った模式断面図である。
【0047】
図2に示すように、本実施形態に係る基礎構造体1では、水抜き孔3aは、内径φ3aを有する。即ち、水抜き孔3aの内周壁を構成する筒体5の内径がφ3aである。
【0048】
図2に示す断面において、土間コンクリート層4の上面4aは、筒体5の筒体内周面5a(水抜き孔3aの内周面)におけるZ方向下端の箇所(下端レベル)Pよりも、Z方向上側の位置にある。即ち、基礎構造体1においては、筒体内周面5aにおける下端レベルPと、土間コンクリート層4の上面4aとの間には段差Gが存在する。
【0049】
換言すると、水抜き孔3aにおけるY方向左側(内側)の開口は、Z方向下側の一部が土間コンクリート層4により塞がれている。
【0050】
3.キャップ6の構造
キャップ6の構造について、
図3から
図5を用いて説明する。
図3は、キャップ6の構造を示す模式斜視図であり、
図4(a)は、キャップ6の構造を示す模式正面図であり、
図4(b)は、キャップ6の構造を示す模式側面図であり、
図5は、キャップ6の構造を示す模式平面図である。
【0051】
図3に示すように、本実施形態に係るキャップ6は、板状の蓋部6aと、蓋部6aにおける一方の主面からY方向右向きに突設された4つの挿入片6b,6c,6d,6eと、が一体形成されてなる。
図4(a)に示すように、蓋部6aの外辺6iは、Z方向上部の外辺部6i
1が円弧を以って構成され、Z方向下部の外辺部6i
2,6i
3がZ方向に沿った直線を以って構成されている。
【0052】
ここで、本実施形態におけるキャップ6において、4つの挿入片6b,6c,6d,6eが係止部に相当する。
【0053】
図3および
図4(a)、(b)に示すように、蓋部6aのZ方向下端の下端面6gは、X方向に沿った平面状に構成されている。また、
図3のA部に拡大して示すように、蓋部6aのZ方向下部には、それぞれがX方向に延びる複数条の溝部(ノッチング)6hが刻設されている。各溝部6hは、溝底での蓋部6aの肉厚が他の部分よりも薄くなっており、施工の現場において、所定の溝部6hをカッターナイフ等で切断し、これにより、該所定の溝部6hからZ方向下方の部分を切り取ることができるようになっている。これにより、蓋部6aのZ方向での寸法調整を施工現場で行うことができる。
【0054】
図3および
図4(b)に示すように、挿入片6b,6c,6d,6eのそれぞれには、平面部6b
1,6c
1,6d
1(挿入片6eにおける平面部については、図示を省略。)が形成されている。
【0055】
ここで、
図4(b)に示すように、挿入片6bおよび挿入片6dは、Z方向に弾性変形(塑性変形を伴う場合も含む。)が可能なように構成されている(F1,F2)。なお、
図4(b)では、図示を省略しているが、挿入片6c,6eについてもZ方向に弾性変形(塑性変形を伴う場合も含む。)が可能なように構成されている。
【0056】
また、
図5に示すように、Y方向に延びるキャップ6の中心軸Ax
6を通り、Z方向に沿う仮想面(中心軸Ax
6を通り、
図5の紙面に直交する方向の仮想面)を想定するとき、挿入片6bと挿入片6cとは、該仮想面を挟んでX方向に対称となる位置に設けられている。なお、
図5では、図示を省略しているが、挿入片6dと挿入片6eについても同様である。
【0057】
また、
図5に示すように、挿入片6b,6c,6d,6eは、それぞれX方向に弾性変形または塑性変形(降伏点に至るまでの変形)が可能なように構成されている(F3,F4)。
【0058】
また、
図4(b)および
図5に示すように、挿入片6bと挿入片6dとはZ方向に並び、挿入片6cと挿入片6eとはZ方向に並ぶように形成されている。換言すると、
図5に示すように、Z方向上側からキャップ6を平面視する場合に、挿入片6dは挿入片5bと重なり、挿入片6cと挿入片6eと重なる。
【0059】
ここで、本実施形態に係るキャップ6では、挿入片6bが第1挿入片に相当し、挿入片6dが第2挿入片に相当し、挿入片6cが第3挿入片に相当し、挿入片6eが第4挿入片に相当する。
【0060】
次に、
図3および
図4(a)、(b)に示すように、蓋部6aのZ方向上側部分には、
図3および
図4(b)のY方向左側に突出する庇部6fが設けられている。
図4(a)に示すように、庇部6fは、蓋部6aの外辺部6i
1に沿う円弧形状を以って形成されている。
【0061】
4.水抜き孔3aへのキャップ6の係止
水抜き孔3aへのキャップ6の係止について、
図6および
図7を用いて説明する。
図6は、水抜き孔3aにキャップ6を挿入・係止し、水抜き孔3aをキャップ6で塞いだ状態を示す模式正面図であり、
図7は、
図6のVII-VII断面を示す模式断面図である。
【0062】
図7に示すように、水抜き孔3aへのキャップ6の挿入は、矢印Bのように蓋部6aを押し込むことで、立ち上がり基礎3の端面部3b(Y方向左側の内側面)の側から、挿入片6b,6c,6d,6e(
図7では、挿入片6b,6dのみを図示。)を水抜き孔3a内へと向けて行われる。
図6および
図7に示すように、キャップ6の挿入片6b,6c,6d,6eを水抜き孔3a内に向けて挿入してゆくと、挿入片6b,6cは、筒体内周面5aとの当接によりZ方向下向きに押圧されることで弾性変形し(塑性変形を伴う場合も含む)、挿入片6d,6eは筒体内周面5aとの当接によりZ方向上向きに押圧されることで弾性変形する(塑性変形を伴ってもよい)。
【0063】
図6に示すように、挿入片6b,6c,6d,6eを水抜き孔3aに挿入した状態では、挿入片6b,6c,6d,6eは、筒体内周面5aから水抜き孔3aのX方向内側に向けても押圧され、場合によっては弾性変形することもある(塑性変形を伴ってもよい)。
【0064】
ここで、
図6に示すように、水抜き孔3aの中心軸Ax
3aを通り、且つ、鉛直面(Z方向に延びる面)と平行な基準面S
Rを仮定する。この場合に、挿入片6bと挿入片6dとは、基準面S
RからX方向右側に離間した位置において、基準面S
Rと平行な第1仮想面S
V1上でZ方向の上下に並ぶように配置されている。
【0065】
また、挿入片6cと挿入片6eとは、基準面SRからX方向左側に離間した位置において、基準面SRと平行な第2仮想面SV2上でZ方向の上下に並ぶように配置されている。
【0066】
なお、本実施形態では、X方向における基準面SRから第1仮想面SV1までの距離W1と、同じくX方向における基準面SRから第2仮想面SV2までの距離W2と、は同じである。
【0067】
図3から
図6に示すように、挿入片6b,6c,6d,6eのそれぞれは、Z方向の高さに比べてX方向の肉厚が薄い板片部であるので、Z方向の剛性がX方向に比べて高くなっている。
【0068】
図7の矢印C1,C2で指し示す部分に示すように、挿入片6b,6c,6d,6eは、それぞれの平面部6b
1,6c
1,6d
1が筒体内周面5aに対して線接触または面接触するようになっている。また、水抜き孔3aへのキャップ6の装着は、立ち上がり基礎3の端面部3bに対して蓋部6aが当接または近接する状態で完了する。
【0069】
なお、
図6および
図7に示すように、キャップ6により水抜き孔4aを塞いだ状態においては、キャップ6における下端面部6gは、土間コンクリート層4の上面4aに対して当接または近接することになる。ただし、立ち上がり基礎3に設けられた水抜き孔3aに対する土間コンクリート層4の上面4aのZ方向における相対的な位置によっては、蓋部6aのZ方向下部を溝部6hの内の1条に沿って切断して、施工現場で蓋部6aのZ方向サイズを調整することができる。
【0070】
以上のように、水抜き孔3aへのキャップ6の挿入が完了し、挿入片6b,6c,6d,6eによる筒体内周面5aへの付勢(弾性域内での付勢、または塑性域内での付勢)により、水抜き孔3aに対してのキャップ6の係止がなされる。即ち、本実施形態では、水抜き孔3aへの係止に際してキャップ6の挿入片6b,6c,6d,6eが係止部として機能する。
【0071】
5.防蟻ペースト層7の形成
上記のように水抜き孔3aに対してキャップ6を係止した後に実施する、防蟻ペースト層7の形成について、
図8および
図9を用いて説明する。
図8は、水抜き孔3aの開口をキャップ6で塞いだ状態で、防蟻ペースト層7を形成した状態での基礎構造体1を示す模式正面図であり、
図9は、
図8のIX-IX断面を示す模式断面図である。
【0072】
図8に示すように、本実施形態に係る基礎構造体1では、土間コンクリート層4の上面4aと立ち上がり基礎3との境界部、および立ち上がり基礎3とキャップ6の蓋部6aの外辺6iとの境界部を被覆するように形成した防蟻ペースト層7も構成として含む。
【0073】
防蟻ペースト層7は、土間コンクリート層4の上面と立ち上がり基礎3との境界部を被覆する基礎際被覆部7aと、立ち上がり基礎3とキャップ6の蓋部6aの外辺6iとの境界部を被覆するキャップ外縁被覆部7bと、を含む。ただし、基礎際被覆部7aとキャップ外縁被覆部7bとの間には、明確な境界がなく互いに一体化した構成としてもよい。
【0074】
図9に示すように、防蟻ペースト層7における基礎際被覆部7aは、キャップ6における蓋部6aのZ方向下部と、土間コンクリート層4の上面4aの一部と、を被覆するように形成される。また、防蟻ペースト層7におけるキャップ外縁被覆部7bは、キャップ6における蓋部6aの外縁部と、立ち上がり基礎3における端面部3bの一部(水抜き孔3aの開口の周囲縁部)と、を被覆するように形成される。
【0075】
ここで、
図9に示すように、本実施形態に係るキャップ6では、蓋部6において、Y方向左向きの突出する庇部6fを設けているので、防蟻ペースト層7におけるキャップ外縁被覆部7bの形成時において、ペーストが所定の硬度まで固化するまでの間、庇部6fによりペーストがZ方向下方に垂れるのを防ぐことができる。よって、本実施形態に係るキャップ6を用いた施工では、防蟻ペースト層7を形成する際の高い作業性を確保することができるとともに、確実に所定の箇所に防蟻ペースト層7を形成することができる。
【0076】
なお、
図9に示す断面では、挿入片6c,6eと筒体内周面5aとの間に隙間が空いたように図示がされているが、これは、
図8における断面位置によるものであって、実際には、
図7を用いて説明したように、挿入片6b.6c.6d.6eは筒体内周面5aに対して線接触または面接触している。
【0077】
[変形例]
変形例に係る水抜き孔用キャップ(以下では、単に「キャップ」と記載する。)16の構造について、
図10を用いて説明する。
図10は、変形例に係るキャップ16の構造を示す模式斜視図である。
【0078】
なお、以下では、キャップ16の構造についてのみ説明するが、該キャップ16の構造を除き、基礎構造体の他の構成については、上記実施形態と同じである。
【0079】
図10に示すように、本変形例に係るキャップ16は、板状の蓋部16aと、蓋部16aにおける一方の主面からY方向右向きに突設された4つの挿入片16b,16c,16d,16eと、が一体形成されてなる。Y方向から正面視した場合の蓋部16aの形状は、上記実施形態に係るキャップ6の蓋部6aと同じである。
【0080】
また、本変形例に係るキャップ16の蓋部16aにおいても、下端面16gがX方向に沿った平面を以って構成されており、蓋部16aのZ方向下部には、それぞれがX方向に延びる複数条の溝部16hが刻設されている。
【0081】
ここで、
図10の矢印D1,D2,D3で指し示す部分に示すように、本変形例に係るキャップ16においては、挿入片16b,16c,16d,16eのそれぞれに平面部は形成されていない。この点が、上記実施形態に係るキャップ6との構造上の相違点である。
【0082】
なお、本変形例に係るキャップ16においても、蓋部16aのZ方向上側部分には、Y方向左側に突出する庇部16fが設けられている。また、キャップ16における挿入片16b,16c,16d,16eの相互の位置関係については、上記実施形態に係るキャップ6と同じである。
【0083】
ここで、本変形例におけるキャップ16では、挿入片16b,16c,16d,16eが係止部に相当する。また、本変形例に係るキャップ16では、挿入片16bが第1挿入片に相当し、挿入片16dが第2挿入片に相当し、挿入片16cが第3挿入片に相当し、挿入片16eが第4挿入片に相当する。
【0084】
以上のような構造を有するキャップ16においても、上記実施形態と同様に、立ち上がり基礎3の水抜き孔3aを塞ぐのに用いることができる。そして、本変形例に係るキャップ16を用いた基礎構造体においても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0085】
[その他の変形例]
上記実施形態および上記変形例では、キャップ6,16の構成材料については特に言及しなかったが、種々の材料を用いることができる。例えば、樹脂材料(PP、PE、PETなど)や金属材料(ステンレス、アルミニウム合金、メッキ鋼板など)などを用いることができる。
【0086】
また、上記実施形態および上記変形例では、キャップ6において、蓋部6aと挿入片6b,6c,6d,6eとが一体形成され、キャップ16において、蓋部16aと挿入片16b,16c,16d,16eとが一体形成されてなることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。蓋部と挿入片とを別部材として形成し、互いに接合することとしてもよい。
【0087】
また、上記実施形態および上記変形例では、キャップ6において、蓋部6aの一方の主面から4つの挿入片6b,6c,6d,6eが突設され、キャップ16において、蓋部16aの一方の主面から4つの挿入片16b,16c,16d,16eが突設されてなる構成を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、2つまたは3つの挿入片が突設されてなる構成や、5つ以上の挿入片が突設されてなる構成を採用することもできる。
【0088】
また、上記実施形態および上記変形例では、キャップ6,16における挿入片6b,6c,6d,6e,16b,16c,16d,16eのそれぞれが、X方向に厚みを有する板形状としたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。棒状やパイプ状の挿入片を採用することもできる。
【0089】
また、上記実施形態および上記変形例では、キャップ6,16における係止部の一例として、挿入片6b,6c,6d,6e,16b,16c,16d,16eを採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、ばね性を有する線材を係止部として採用することや、ばねとリンク部材との組み合わせを以って係止部とすることなども可能である。
【0090】
また、上記実施形態および上記変形例では、水抜き孔3aの横断面形状を円形状としたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、多角形状の横断面形状や長円形状または楕円形状の横断面形状の水抜き孔を採用することもできる。
【0091】
また、上記実施形態および上記変形例では、土間コンクリート層4の上面4aが水抜き孔3aの下端レベルPよりもZ方向(鉛直方向)上方に位置する構成を一例としたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、土間コンクリート層4の上面4aが水抜き孔3aの下端レベルPが同一の高さレベルとなってもよい。
【0092】
また、上記実施形態および上記変形例では、基礎構造体1において、布基礎2上に立ち上がり基礎3を立設してなる構成を一例として採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、ベタ基礎上に立ち上がり基礎を立設することとしてもよい。この構成の場合には、ベタ基礎が底面基礎に相当することとなり、ベタ基礎の上面が水抜き孔の下端レベルと同じ高さレベルに位置することになる。
【0093】
また、
図6などにおいては、キャップ6の挿入片6b,6c,6d,6eが筒体内周面5a(水抜き孔3aの内周面に相当)に対して線接触した状態で図示したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、キャップにおける掛止部としての挿入片の一部が、水抜き孔の内周面に対して面接触することとしてもよい。
【0094】
また、上記実施形態および上記変形例では、立ち上がり基礎3において、水抜き孔3aが筒体5により構成されることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、立ち上がり基礎のコンクリート面が水抜き孔に対して面する構成としてもよい。
【0095】
また、上記実施形態および上記変形例では、キャップ6,16の蓋部6a,16aに対して、一方の主面だけに複数条の溝部6hを形成することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、水抜き孔の開口部の側の主面に1条または複数条の溝部を設けてもよいし、両主面に設けてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 基礎構造体
2 布基礎
3 立ち上がり基礎
3a 水抜き孔
4 土間コンクリート層(底面基礎)
5 筒体
5a 筒体内周面(水抜き孔内周面)
6,16 水抜き孔用キャップ
6a,16a 蓋部
6b,6c,6d,6e,16b,16c,16d,16e 挿入片(係止部)
6g,16g 下端面
6h,16h 溝部