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  • 特許-スイッチ装置 図1
  • 特許-スイッチ装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 23/06 20060101AFI20220404BHJP
   H01H 23/24 20060101ALI20220404BHJP
   H01H 9/04 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
H01H23/06
H01H23/24 D
H01H9/04 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018114497
(22)【出願日】2018-06-15
(65)【公開番号】P2019220267
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000105659
【氏名又は名称】日本電産コパル電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 学
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-002339(JP,U)
【文献】実開昭54-022177(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 23/06
H01H 23/24
H01H 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部に開口部を有する隔壁により仕切られた第1収容部と第2収容部とを有するハウジングと、
前記第1収容部内に配置された固定接片と、コモン接片、及び前記コモン接片に載置され、前記固定接片に接触することが可能な可動接片とを含むスイッチ機構と、
一端部が前記開口部に挿入されて前記可動接片の上を摺動可能な押し棒と、前記押し棒の他端部に設けられたボタンと、前記押し棒の一端部と他端部との間に設けられたほぼ球形の係止部とを有する操作部と、
前記開口部の周囲の前記隔壁上に設けられ、前記係止部が接触されるOリングと
を具備することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記操作部の前記ボタンと、前記押し棒と、前記係止部は、一体的に形成されることを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記隔壁は、前記開口部の周囲に前記Oリングを収容する溝を具備することを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記Oリングは、断面が矩形又は円形であることを特徴とする請求項3記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば防塵構造を有するシールタイプのスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばロッカースイッチは、ハウジング内に塵埃が侵入することを阻止するため、防塵構造を有している。防塵構造としては、例えばポリウレタン等のスポンジを操作部の裏面側に充填し、操作部とハウジングの間の隙間を埋める方法(例えば特許文献1参照)、又は、操作部に設けられた転換子の周囲にOリングを装着し、ハウジングと転換子との間の隙間を埋める方法(例えば特許文献2参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭60-134255号公報
【文献】特許第4772634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ポリウレタン等のスポンジを用いた場合、スポンジがオイル等に弱いため、スイッチの使用環境が制限される。
また、Oリングを用いた場合、部品点数が増大し、組み立て工数が増加する。
本発明の実施形態は、操作部とハウジングとの間に隙間が生じることを防止でき、オイル等に強く、簡易な構造のスイッチ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態のスイッチ装置は、一部に開口部を有する隔壁により仕切られた第1収容部と第2収容部とを有するハウジングと、前記第1収容部内に配置された固定接片と、コモン接片、及び前記コモン接片に載置され、前記固定接片に接触することが可能な可動接片とを含むスイッチ機構と、一端部が前記開口部に挿入されて前記可動接片の上を摺動可能な押し棒と、前記押し棒の他端部に設けられたボタンと、前記押し棒の一端部と他端部との間に設けられたほぼ球形の係止部とを有する操作部と、前記開口部の周囲の前記隔壁上に設けられ、前記係止部が接触されるOリングと、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態に係るスイッチ装置の一例を示す斜視図。
図2図1のII-II線に沿った断面図。
図3図1の一部を分解して示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。図面において、同一部分には同一符号を付している。
図1図2は、本実施形態に係るスイッチ装置10を示している。スイッチ装置10において、ハウジング11は、ハウジング本体12と、基板13により構成されている。基板13はハウジング本体12の底部に設けられている
ハウジング本体12は、第1収容部12a及び第2収容部12bを具備している。第1収容部12aと第2収容部12bは隔壁12cにより仕切られている。隔壁12cの中央部には、例えば円形状の開口部12dが設けられている。
【0008】
第1収容部12aは、底部に開口部12eを有し、開口部12eは、基板13により閉塞されている。
第1収容部12a内には、接点機構14が設けられている。接点機構14は、例えば基板13の中央部に設けられたコモン接片15と、コモン接片15の近傍の基板13に設けられた固定接片16と、コモン接片15に載置された可動接片17とにより構成されている。固定接片16は、固定接点16aを有している。
【0009】
可動接片17は、略U字状に形成され、第1部分17aと、第1部分17aにほぼ平行する第2部分17bと、第1部分17aと第2部分17bとの間の第3部分17cを具備している。
第1部分17aの中央部は、コモン接片15上に載置される載置部17dを有し、可動接片17は、コモン接片15を支点として、シーソー運動が可能とされている。第1部分17aの一端部には、可動接片17が回動された状態において、固定接点16aに接触することが可能な接点17eが設けられている。
【0010】
可動接片17の第2部分17bは、後述する操作部18の押し棒18bの先端部がスライド可能とされたスライド部17fを具備している。スライド部17fは、載置部17dとほぼ対応する位置が窪んだ略V字形状を有している。
可動接片17は、押し棒18bの先端部がスライド部17fをスライドすることにより、コモン接片15を支点としてシーソー運動することが可能とされている。
【0011】
ハウジング本体12の第2収容部12bは、上部に開口部12fを有している。第2収容部12b内には、操作部18が回動可能に設けられる。
操作部18は、ボタン18aと、押し棒18bと、係止部18cと、図3に示す支持部18d、18eと、を具備している。
【0012】
係止部18cは、押し棒18bの中間に設けられ、開口部12dの径より大きなほぼ球形とされている。支持部18d、18eは、ボタン18aの両側に設けられている。ボタン18aと、押し棒18bと、係止部18cと、支持部18d、18eは、一体的に形成されている。
【0013】
操作部18は、第2収容部12b内に収容された状態において、ボタン18aが開口部12fから露出され、図3に示すように、支持部18d、18eが第2収容部12bの平行する側壁に設けられた穴12g、12hに係合される。このため、操作部18は、支持部18d、18eを支点としてハウジング本体12に対して回動可能に設けられる。
【0014】
図2に示すように、押し棒18bは、隔壁12cの開口部12dに挿入され、その先端部が可動接片17のスライド部17fにスライド可能に接触される。
図3に示すように、隔壁12cの開口部12dの周囲には、溝12iが設けられ、溝12i内にOリング19が設けられる。Oリング19は、ゴム製であり、例えば断面が矩形とされている。Oリング19の内径は、開口部12dの径と同等か、それ以下とされている。
【0015】
図2に示すように、押し棒18bが開口部12d内に挿入された状態において、係止部18cがOリング19に接触される。断面が矩形のOリング19は、係止部18cがOリング19に接触されることにより変形し、係止部18cの外面に密着する。
しかも、溝12iは、Oリング19の断面形状と類似する断面形状を有している。すなわち、Oリング19の外形は矩形であり、溝12iの底面と側面は直交している。このため、Oリング19は溝12iに密着され、Oリング19と溝12iとの間に隙間が生じない。したがって、開口部12dと係止部18cとの間の隙間は、Oリング19により確実に密閉することができる。
【0016】
尚、Oリング19は、断面が矩形に限定されるものではなく、開口部12dと係止部18cとの間の隙間を十分に密閉できれば、断面が円形のOリングを適用することも可能である。この場合、断面が円形のOリングに従って、溝12iは円弧状の断面を有することが好ましい。
【0017】
また、開口部12dから係止部18cまでの距離をOリング19の厚みより若干短くすることにより、係止部18cをOリング19に圧接させることが可能である。この場合、係止部18cと開口部12dとの隙間をより確実に密閉することができる。しかし、これに限らず、係止部18cがOリング19に接触した状態において、操作部18の自重により、Oリング19が変形するように構成してもよい。
【0018】
上記構成において、操作部18のボタン18aが図1図2に示す位置にある場合、可動接片17の接点17eが固定接点16aから離れており、スイッチ装置10はオフである。この状態より、ボタン18aを図示矢印A方向に操作すると、操作部18は係止部18cを中心として回動され、押し棒18bの先端部が可動接片17のスライド部17fをスライドする。押し棒18bの先端部がコモン接片15を越えると、可動接片17が図示矢印B方向に回動し、接点17eが固定接点16aに接触され、スイッチ装置10がオンとなる。
【0019】
スイッチ装置10がオンの状態より、ボタン18aを図示矢印B方向に操作すると、押し棒18bが上記とは逆に動作し、スイッチ装置10は、図2に示すように、オフに復帰する。
(実施形態の効果)
上記実施形態によれば、隔壁12cの開口部12dの周囲にOリング19を設け、押し棒18bが開口部12d内に挿入された状態において、係止部18cがOリング19に圧接されることにより、開口部12dは、係止部18cとOリング19とにより閉塞される。係止部18cとOリング19との接触状態は、Oリング19の弾性により、ボタン18aが操作された場合においても保持される。このため、例えばボタン18aと開口部12fとの間から第2収容部12b内に塵埃が侵入した場合においても、開口部12dを通って第1収容部12a内に塵埃が侵入することを防止できる。したがって、接点機構14の接触を安定に保持することが可能である。
【0020】
また、Oリング19は、隔壁12cの開口部12dの周囲に配置されているため、操作部18の押し棒18bを開口部12dに挿入することによって係止部18cとOリング19とを圧接させることができる。このため、操作部18は、ボタン18a、押し棒18b、係止部18c、及び支持部18d、18eを一体的に形成することが可能である。したがって、部品点数を削減することが可能である。
【0021】
しかも、隔壁12cの開口部12dの周囲にOリング19を配置し、この後、操作部18の押し棒18bを開口部12d内に挿入し、ボタン18aの支持部18d、18eを第2収容部12bの平行する側壁に設けられた穴12g、12hに係合させることにより、組み立てが完了する。このため、組み立てが簡単で、工数を削減することが可能である。
【0022】
さらに、Oリング19は、ゴム製であるため、オイル等に強く、スイッチ装置の使用環境に対する制約を緩和することが可能である。
尚、上記実施形態は、ロッカースイッチに適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ボタン18aの形状が、例えばレバータイプのレバーロッカースイッチなどに適用することも可能である。
【0023】
その他、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0024】
10…スイッチ装置、11…ハウジング、12a…第1収容部、12b…第2収容部、12c…隔壁、12d…開口部、14…接点機構、15…コモン接片、16…固定接片、17…可動接片、18…操作部、18a…ボタン、18b…押し棒、18c…係止部、19…Oリング。
図1
図2
図3