(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】縦アタッチの安全カバー、およびサッシ
(51)【国際特許分類】
E06B 3/96 20060101AFI20220404BHJP
E06B 3/30 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
E06B3/96 A
E06B3/30
(21)【出願番号】P 2018115070
(22)【出願日】2018-06-18
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005005
【氏名又は名称】不二サッシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 絵理
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】実公昭56-21990(JP,Y2)
【文献】実開昭56-54172(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/04-3/52
E06B 3/54-3/88
E06B 3/96-3/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定障子の縦アタッチと横材との接合部にネジで固定される安全カバーであって、前記ネジの軸部を通すネジ孔部が形成されていると共に、そのネジ孔部から前記固定障子のガラスの面外方向に向って開口した開口部が形成されていることを特徴とする縦アタッチの安全カバー。
【請求項2】
請求項1記載の縦アタッチの安全カバーにおいて、
前記開口部の上下方向の開口幅は、前記ネジ孔部との境界部分では前記ネジの外径よりも小さく、その境界部分から前記固定障子のガラスの面外方向に向うに従って徐々に広がるように形成されていることを特徴とする縦アタッチの安全カバー。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の縦アタッチの安全カバーは、
前記ネジ孔部および前記開口部が形成され、前記ネジで固定される固定側面部と、
前記固定側面部の上部または下部からほぼ垂直に曲げられ、前記ネジの軸部の軸方向と平行に延びる上部側面部または下部側面部とを有し、
前記上部側面部または前記下部側面部には、前記固定障子側の縦枠においてサッシ枠の面内方向に向かって突出した凸状部に嵌合する嵌合用切欠部が設けられていることを特徴とする縦アタッチの安全カバー。
【請求項4】
サッシ枠に少なくとも一つの固定障子を設けたサッシであって、前記固定障子の縦アタッチに請求項1~請求項3のいずれか一の請求項に記載の縦アタッチの安全カバーを装着したことを特徴とするサッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定障子の縦アタッチと横材との接合部にネジで固定される縦アタッチの安全カバー、その安全カバーを固定障子の縦アタッチに装着したサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、開き戸の隅部に框の切断端面が外にあらわれないように安全カバーを設ける従来技術が公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1の従来技術では、安全カバーに形成された丸穴形状の係合部にネジを通して框または縦アタッチに取り付けている。また、框等に開口孔を設けて、安全カバーに形成された突起等を係合させることもできるが、火災が発生した場合、安全カバーが溶融すると開口孔が外にあらわれて、そこから火炎が屋内外に貫通して延焼を引き起こす虞がある。よって、安全カバーをネジで固定する必要がある。しかし、安全カバーが破損等して交換する場合には、ネジも取外す必要があり、安全カバーの交換作業が面倒であるという問題がある。
【0005】
特に、いわゆる嵌め殺しの固定障子の場合、建物に取り付け後は、開きドアや可動障子とは異なり動かず、また安全カバーが設けられる固定障子の縦アタッチが額縁等が近接するので、縦アタッチと額縁との間にドライバー等の工具を入れるスペースが無く、ネジを取外すことができない。よって、安全カバーを交換するには、固定障子(ガラス)をサッシ枠から取り外さなけらばならないため、安全カバーの交換作業が非常に面倒であった。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題に着目してなされたもので、固定障子の縦アタッチに取り付けた安全カバーを簡単に交換することができる縦アタッチの安全カバー、およびそのような安全カバーを固定障子の縦アタッチに装着したサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る縦アタッチの安全カバーは、固定障子の縦アタッチと横材との接合部にネジで固定される安全カバーであって、前記ネジの軸部を通すネジ孔部が形成されていると共に、そのネジ孔部から前記固定障子のガラスの面外方向に向って開口した開口部が形成されていることを特徴とする。
また、本発明に係る縦アタッチの安全カバーでは、前記開口部の上下方向の開口幅は、前記ネジ孔部との境界部分では前記ネジの外径よりも小さく、その境界部分から前記固定障子のガラスの面外方向に向うに従って徐々に広がるように形成されていることも特徴とする。
また、本発明に係る縦アタッチの安全カバーでは、前記ネジ孔部および前記開口部が形成され、前記ネジで固定される固定側面部と、前記固定側面部の上部または下部からほぼ垂直に曲げられ、前記ネジの軸部の軸方向と平行に延びる上部側面部または下部側面部とを有し、前記上部側面部または前記下部側面部には、前記固定障子側の縦枠においてサッシ枠の面内方向に向かって突出した凸状部に嵌合する嵌合用切欠部が設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係るサッシは、サッシ枠に少なくとも一つの固定障子を設けたサッシであって、前記固定障子の縦アタッチに上記のいずれかの縦アタッチの安全カバーを装着したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
固定障子の縦アタッチと横材との接合部にネジで固定される本発明に係る安全カバーは、ネジを通すためのネジ孔部を設けていると共に、そのネジ孔部からガラスの面外方向に向って開口した開口部を設けている。
そのため、縦アタッチにネジが固定されたままネジの軸部を安全カバーのネジ孔部から開口部に移動させることにより安全カバーを簡単に取外すことができる共に、その反対に縦アタッチにネジが固定されたネジの軸部に安全カバーの開口部を嵌めてネジ孔部まで押し込んで取り付けることにより、安全カバーを固定しているネジを固定障子の縦アタッチから取外さなくても簡単に安全カバーを取り付けることができる。
また、安全カバーをネジで固定しているので、火災が発生した場合に安全カバーが溶融しても、延焼を引き起こす虞のある貫通孔(開口孔やネジ孔)が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る実施形態の片引きサッシの室内側(内観)を示す正面図である。
【
図2】本発明に係る実施形態の片引きサッシの水平方向(横方向)断面図である。
【
図3】本発明に係る実施形態の片引きサッシの鉛直方向(縦方向)断面図である。
【
図4】
図1におけるA部分の要部水平断面拡大図である。
【
図5】
図1におけるB部分の要部水平断面拡大図である。
【
図6】
図1におけるA部分およびB部分の要部鉛直方向断面拡大図である。
【
図7】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態の片引きサッシを構成する固定障子の上部安全カバーの斜視図である。
【
図8】(a)~(d)それぞれ本発明に係る実施形態の片引きサッシを構成する固定障子の上部安全カバーの平面図、正面図、右側面図、背面図である。
【
図9】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態の片引きサッシを構成する固定障子の下部安全カバーの斜視図である。
【
図10】(a)~(d)それぞれ本発明に係る実施形態の片引きサッシを構成する固定障子の下部安全カバーの平面図、正面図、右側面図、背面図である。
【
図11】本発明に係る実施形態の片引きサッシを構成する固定障子の上部安全カバーを交換する際の特徴を示す要部拡大断面図である。
【
図12】本発明に係る実施形態の片引きサッシを構成する固定障子の下部安全カバーを交換する際の特徴を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態の縦アタッチの安全カバーおよび片引きサッシについて、図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態はあくまで本発明の一例であり、本発明が下記に説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で適宜変更可能である。
【0011】
<片引きサッシ1の構造>
本発明に係る実施形態の縦アタッチの安全カバーが適用される片引きサッシ1は、例えば、
図1に示すように、上枠2、下枠3および左右の縦枠4,4’により四周枠組みしたサッシ枠の中に、例えば屋外側に露出したレール31(
図3等参照。)を走行する可動障子5と、可動障子5の内側となる屋内側に固定された固定障子6とを納めたもので、サッシ枠の屋内側周囲には額縁Gが設けられており、室内側から見て左側に可動障子5、右側に固定障子6が位置するように構成された外動片引きサッシである。
【0012】
可動障子5は、
図2や
図3に示すように、上框51、下框52、縦框53および召合せ框54で囲まれた開口部に2枚のガラス55,56を所定間隔離した複層ガラスを設け、下框52に設けた車輪57によって下枠3に形成されたレール31上を移動できるように構成されている。
【0013】
固定障子6は、
図2や
図3に示すように、上アタッチ61、下アタッチ62、縦アタッチ63および召合せ方立64で囲まれた開口部に2枚のガラス65,66を所定間隔離した複層ガラスを設け、片引きサッシ1を構成する上枠2や下枠3、内観右側の縦枠4に固定して設けられている。
【0014】
尚、
図2等に示すように、内観右側の縦枠4の屋内側には、額縁Gをネジ等(図示省略。)で固定できるように額縁取付け用突出片42が設けられている一方、内観左側の縦枠4’ の屋内側にも額縁Gをネジ等(図示省略。)で固定できるように額縁取付け用突出片42’が設けられている。また、
図3等に示すように、上枠2の屋内側にも、額縁Gをネジ等(図示省略。)で固定できるように額縁取付け用突出片22が設けられている一方、下枠3の屋内側にも額縁Gをネジ等(図示省略。)で固定できるように額縁取付け用突出片32が設けられている。
【0015】
そして本実施形態では、次に説明するように、この固定障子6の縦アタッチ63と、横材である上アタッチ61および下アタッチ62との接合部である屋内側上下のコーナーにそれぞれ安全カバーとして上部安全カバー7と下部安全カバー8とを設けたことを特徴とする。
【0016】
<上部安全カバー7>
上部安全カバー7は、力を加えると、ある程度変形可能な軟質合成樹脂素材、例えば6ナイロン等の素材で、
図7(a),(b)および
図8(a)~(d)等に示すように上部安全カバー本体部71と、上部切断面覆い部72とから構成されている。
【0017】
(上部安全カバー本体部71)
上部安全カバー本体部71は、上部安全カバー7が取り付けられる固定障子6の縦アタッチ63の屋内側上部のコーナーの形状に応じて傾斜した傾斜辺を有し、
図4や
図6等に示すように皿ネジ91によって縦アタッチ63の屋内側上部のコーナーに固定される固定側面部71aと、固定側面部71a前部の鉛直辺からほぼ垂直に曲げられて皿ネジ91の軸部91a(
図4等参照。)の軸方向と平行である見付方向でかつ鉛直方向に延びる鉛直側面部71bと、固定側面部71aの傾斜辺からほぼ垂直に曲げられて皿ネジ91の軸部91aの軸方向と平行である見付方向でかつ鉛直方向に延び、固定側面部71aの傾斜辺と同様に傾斜した上部側面部71cとを有する。
【0018】
固定側面部71aは、皿ネジ91を通すためのネジ孔部71a1が形成されていると共に、そのネジ孔部71a1から固定障子6のガラス65,66の面外方向(
図4において上下方向)に向って開口した開口部71a2が形成されており、上述したようにその上部が固定障子6の縦アタッチ63の屋内側上部のコーナーの形状に応じて傾斜して構成されている。
【0019】
ここで、ネジ孔部71a1は、皿ネジ91が通されて固定されるため、皿ネジ91の軸部91aの外径とほぼ同じ内径で形成されていると共に、皿ネジ91が通された際、皿ネジ91の頭部91b(
図4等参照。)が固定側面部71a表面から突出しないよう、その皿ネジ91の頭部91bの断面形状に応じて内側から外側に向かって拡開する円錐形状に形成されている。
【0020】
また、開口部71a2は、ネジ孔部71a1から固定障子6のガラス65,66の面外方向に向って開口しており、開口部71a2の上下方向の開口幅がネジ孔部71a1との境界部分では皿ネジ91の外径よりも小さく、その境界部分から固定障子6のガラス65,66の面外方向に向うに従って徐々に広がるように形成されていると共に、皿ネジ91の頭部91bの断面形状である円錐台形状に応じて縦アタッチ63表面側から離れるに従って拡径となるように形成している。
【0021】
鉛直側面部71bは、縦アタッチ63の第1屋内側面63bにおいて屋内側上部のコーナーの垂直面をカバーする側面で、その一部を切欠いて、当該上部安全カバー7を取外す際、ドライバー等の工具先端部が挿入可能なように切欠部71b1を設けている。
【0022】
上部側面部71cは、固定側面部71a上部の傾斜辺からほぼ垂直に曲げられて皿ネジ91の軸部91aの軸方向と平行である見付方向に延びて傾斜した側面であって、縦アタッチ63の屋内側上部の傾斜面の上面(加工面)を覆って、固定側面部71aのネジ孔部71a1に通された皿ネジ91と共に、縦アタッチ63の屋内側上部のコーナーに上部安全カバー7を安定して固定できるよう固定障子6側の縦枠4の屋内側面41においてサッシ枠の面内方向(
図4において左右方向)でこの片引きサッシ1の中央に向かって突出する凸状部41a(
図4参照。)が嵌合する嵌合用切欠部71c1を設けている。
【0023】
また、上部側面部71cの裏側には、さらに縦アタッチ63の屋内側上部のコーナーに上部安全カバー7を安定して固定できるように、上部切断面覆い部72と連続するものの上部切断面覆い部72よりも幅および長さが小さく突出し、縦アタッチ63外側面において見付け方向でこの片引きサッシ1の中央に向かって凹んだ凹状溝63a(
図11等参照。)に嵌合する嵌合用凸部71c2を設けている。
【0024】
(上部切断面覆い部72)
上部切断面覆い部72は、上部安全カバー7を縦アタッチ63に取り付けた際、上部安全カバー本体部71から上方に延び、縦アタッチ63の第2屋内側面63cにおいて上部コーナーの切断面(加工面)を覆うように構成されている。
【0025】
<下部安全カバー8>
下部安全カバー8も、上部安全カバー7と同様に6ナイロン等の軟質合成樹脂素材で、
図9(a),(b)および
図10(a)~(d)に示すように下部安全カバー本体部81と、下部切断面覆い部82とから構成されている。
【0026】
(下部安全カバー本体部81)
下部安全カバー本体部81は、下部安全カバー8が取り付けられる固定障子6の縦アタッチ63の屋内側下部のコーナーの形状に応じて傾斜した傾斜辺を有し、
図5や
図6等に示すように皿ネジ92によって縦アタッチ63の屋内側下部のコーナーに固定される固定側面部81aと、固定側面部81a前部鉛直辺からほぼ垂直に曲げられて皿ネジ92の軸部92a(
図5等参照。)の軸方向と平行である見付方向でかつ鉛直方向に延びる鉛直側面部81bと、固定側面部81aの傾斜辺からほぼ垂直に曲げられて皿ネジ92の軸部92aの軸方向と平行である見付方向でかつ鉛直方向に延びて傾斜した下部側面部81cとを有する。
【0027】
固定側面部81aは、皿ネジ92を通すためのネジ孔部81a1が形成されていると共に、そのネジ孔部81a1から固定障子6のガラス65,66の面外方向に向って開口した開口部81a2が形成されており、上述したようにその下部が固定障子6の縦アタッチ63の屋内側下部のコーナーの形状に応じて傾斜して構成されている。
【0028】
ここで、ネジ孔部81a1は、皿ネジ92が通されて固定されるため、皿ネジ92の軸部92aの外径とほぼ同じ内径で形成されていると共に、皿ネジ92が通された際、皿ネジ92の頭部92b(
図5等参照。)が固定側面部81a表面から突出しないよう、その皿ネジ92の頭部92bの断面形状に応じて内側から外側に向かって拡開する円錐形状に形成されている。
【0029】
また、開口部81a2は、ネジ孔部81a1から固定障子6のガラス65,66の面外方向に向って開口しており、開口部81a2の上下方向の開口幅は、ネジ孔部81a1との境界部分では皿ネジ92の外径よりも小さく、その境界部分から固定障子6のガラス65,66の面外方向に向うに従って徐々に広がるように形成されていると共に、皿ネジ92の頭部92bの断面形状である円錐台形状に応じて縦アタッチ63表面側から離れるに従って拡径となるように形成している。
【0030】
鉛直側面部81bは、縦アタッチ63の第1屋内側面63bにおいて屋内側下部のコーナーの垂直面をカバーする側面で、その一部を切欠いて、当該下部安全カバー8を取外す際、ドライバー等の工具先端部が挿入可能な切欠部81b1を設けている。
【0031】
下部側面部81cは、固定側面部81a下部の傾斜辺からほぼ垂直に曲げられてネジの軸部の軸方向と平行である見付方向でかつ鉛直方向に延びて傾斜した側面であって、縦アタッチ63の屋内側下部の傾斜面の下面(加工面)を覆って、固定側面部81aのネジ孔部81a1に通された皿ネジ92と共に、縦アタッチ63の屋内側下部のコーナーに下部安全カバー8を安定して固定できるよう固定障子6側の縦枠4の屋内側面41においてサッシ枠の面内方向でこの片引きサッシ1の中央に向かって突出する凸状部41a(
図5参照。)が嵌合する嵌合用切欠部81c1を設けている。
【0032】
また、下部側面部81cの裏側には、さらに縦アタッチ63の屋内側下部のコーナーに下部安全カバー8を安定して固定できるように、下部切断面覆い部82と連続するものの上部切断面覆い部72よりも幅および長さが小さく突出し、縦アタッチ63の凹状溝63a(
図12等参照。)に嵌合する嵌合用凸部81c2を設けている。
【0033】
(下部切断面覆い部82)
下部切断面覆い部82は、下部安全カバー8を縦アタッチ63に取り付けた際、下部安全カバー本体部81から下方に延び、縦アタッチ63の第2屋内側面63cにおいて下部コーナーの切断面(加工面)を覆うように構成されている。
【0034】
<実施形態の上部安全カバー7等の交換方法>
次に、以上のように構成された実施形態の上部安全カバー7および下部安全カバー8の交換方法について説明する。
【0035】
(上部安全カバー7の交換)
例えば、固定障子6の縦アタッチ63の上部コーナーに装着済みの上部安全カバー7が破損等して交換する場合、本実施形態では、まず、その上部安全カバー7を縦アタッチ63に固定(螺合)している皿ネジ91は緩めることも取外すこともなく縦アタッチ63に固定したまま、上部安全カバー7の上部安全カバー本体部71を
図11上、時計回りである矢印方向に持ち上げる。
【0036】
その際、必要あれば、上部安全カバー本体部71の鉛直側面部71bの切欠部71b1にドライバー等の工具先端部を挿入して上部安全カバー7の上部安全カバー本体部71を縦アタッチ63から浮き上がらせた後、持ち上げるようにしても良い。
【0037】
すると、上部安全カバー7は弾性変形可能な6ナイロン等の軟質合成樹脂から成形されているため、
図11に示すように上部安全カバー本体部71が上部切断面覆い部72に対し曲がり、縦アタッチ63に固定したままの皿ネジ91から上部安全カバー7のネジ孔部71a1がずれ、そのネジ孔部71a1に連続している開口部71a2を通って、縦アタッチ63に皿ネジ91を固定したまま上部安全カバー本体部71を取外すことができる。
【0038】
そしてさらに上部安全カバー本体部71を引き上げると、
図11に示すように、上枠2と縦アタッチ63との間の隙間Sに挿入されていた上部切断面覆い部72がその隙間Sから抜ける一方、縦アタッチ63の凸状部41aに嵌合していた嵌合用切欠部71c1と、縦アタッチ63の外側面に形成されている上下方向に延びる凹状溝63a上端部に挿入ないしは嵌合していた嵌合用凸部71c2も抜け、破損等した旧い上部安全カバー7を縦アタッチ63の上部コーナーから完全に取外すことができる。
【0039】
そして新しい上部安全カバー7を縦アタッチ63に装着する場合は、以上の動作とは反対の作業を行う。つまり、まずは、
図11に示すように、上部安全カバー7の上部切断面覆い部72を上枠2と縦アタッチ63との間の隙間Sに挿入すると共に、嵌合用凸部71c2を縦アタッチ63の凹状溝63a上部に挿入ないしは嵌合しつつ、嵌合用切欠部71c1を縦アタッチ63の凸状部41aに嵌合する。
【0040】
次に、上部安全カバー本体部71の開口部71a2に、縦アタッチ63に固定したままの皿ネジ91の軸部91aが入り込むように上部安全カバー本体部71を縦アタッチ63に向け押圧して、上部安全カバー7のネジ孔部71a1に皿ネジ91の軸部91aを嵌め入れる。これで縦アタッチ63の上部コーナーへの新しい上部安全カバー7の装着が完了する。
【0041】
(下部安全カバー8の交換)
上部安全カバー7を交換する場合と同様に、固定障子6の縦アタッチ63の下部コーナーに装着済みの下部安全カバー8が破損等して交換する場合も、下部安全カバー8を縦アタッチ63に固定(螺合)している皿ネジ92は緩めることも取外すこともなく縦アタッチ63に固定したまま、下部安全カバー8の下部安全カバー本体部81を
図12上、反時計回りである矢印方向に引き下げる。
【0042】
その際、必要あれば、下部安全カバー本体部81の鉛直側面部81bの切欠部81b1にドライバー等の工具先端部を挿入して下部安全カバー8の下部安全カバー本体部81を縦アタッチ63から浮き上がらせた後、作業者が下部安全カバー本体部81を引き下げるようにしても良い。
【0043】
すると、下部安全カバー8も上部安全カバー7と同様に弾性変形可能な6ナイロン等の軟質合成樹脂から成形されているため、
図12に示すように下部安全カバー本体部81が下部切断面覆い部82に対し曲がり、縦アタッチ63に固定したままの皿ネジ92から下部安全カバー8のネジ孔部81a1がずれ、そのネジ孔部81a1に連続している開口部81a2を通って、縦アタッチ63に皿ネジ92を固定したまま下部安全カバー本体部81を取外すことができる。
【0044】
そしてさらに下部安全カバー本体部81を引き下げると、
図12に示すように、縦アタッチ63の凸状部41aに嵌合していた嵌合用切欠部81c1と、縦アタッチ63の凹状溝63a下端部に挿入ないしは嵌合していた嵌合用凸部81c2が抜け、破損等した旧い下部安全カバー8を縦アタッチ63の下部コーナーから完全に取外すことができる。
【0045】
尚、下部安全カバー8の場合、
図6や
図12等に示すように、上部安全カバー7の場合とは異なり下部切断面覆い部82が上枠2と縦アタッチ63との間の隙間Sに挿入されずほとんど露出しているので、先に下部切断面覆い部82を掴んで手前に引っ張り、下部安全カバー本体部81を時計回りに回転させて引き上げるようにして取外しても良い。
【0046】
そして新しい下部安全カバー8を縦アタッチ63に装着する場合は、以上の動作とは反対の作業を行う。つまり、まずは、
図12に示すように、下部安全カバー8の嵌合用凸部81c2を縦アタッチ63の凹状溝63a下部に挿入ないしは嵌合しつつ、嵌合用切欠部81c1を縦アタッチ63の凸状部41aに嵌合し、その後、下部安全カバー本体部81の開口部81a2に、縦アタッチ63に固定したままの皿ネジ92の軸部92aが入り込むように下部安全カバー本体部81を縦アタッチ63に向け押圧して、下部安全カバー8のネジ孔部81a1に皿ネジ92の軸部92aを嵌め入れる。これで縦アタッチ63の下部コーナーへの新しい下部安全カバー8の装着が完了する。
【0047】
尚、下部安全カバー8の場合、上述したように下部切断面覆い部82が上枠2と縦アタッチ63との間の隙間Sに挿入されずほとんど露出しているので、先に下部安全カバー本体部81を皿ネジ92の軸部92aを嵌め入れ、その後、嵌合用切欠部81c1を縦アタッチ63の凸状部41aに嵌合しつつ、嵌合用凸部81c2を縦アタッチ63の凹状溝63a下部に挿入ないしは嵌合するようにしても良い。
【0048】
<実施形態の安全カバー7,8の主な効果>
以上説明したように実施形態の固定障子6の安全カバーである上部安全カバー7および下部安全カバー8は、それぞれ、例えば6ナイロン等の軟質合成樹脂で成型し、それらには固定障子6の縦アタッチ63に固定する皿ネジ91,92が通るネジ孔部71a1、81a1を設けると共に、そのネジ孔部71a1、81a1から固定障子6のガラスの面外方向に向って開口した開口部71a2、81a2を設けている。
【0049】
そのため、固定障子6の縦アタッチ63に取り付けた上部安全カバー7および下部安全カバー8が破損等して交換する場合、上部安全カバー7および下部安全カバー8を縦アタッチ63に固定(螺合)している皿ネジ91,92を緩めることも取外すこともなくその状態のまま縦アタッチ63に固定したままで、
図11や
図12に示すように、皿ネジ91,92の軸部91a,92aを上部安全カバー7および下部安全カバー8のネジ孔部71a1、81a1から開口部71a2、81a2に移動させることにより上部安全カバー7および下部安全カバー8を簡単に取外すことができる。
【0050】
また、その反対に縦アタッチ63に固定したままの皿ネジ91,92に新しい上部安全カバー7および下部安全カバー8を取り付ける場合には、縦アタッチ63に固定したままの皿ネジ91,92の軸部91a,92aを上部安全カバー7および下部安全カバー8の開口部71a2、81a2から入れてネジ孔部71a1、81a1に押し込んで移動させることにより皿ネジ91,92に新しい上部安全カバー7および下部安全カバー8を取り付けることができる。
【0051】
その結果、固定障子6の縦アタッチ63に取り付けた上部安全カバー7および下部安全カバー8が破損等して交換する場合、皿ネジ91,92を縦アタッチ63から取外すことなく簡単に新しい上部安全カバー7および下部安全カバー8それぞれを取り付けることができるので、上部安全カバー7や下部安全カバー8が破損等した際、それらの交換が容易となり、上部安全カバー7および下部安全カバー8の交換作業等の作業性を向上させることができる。
【0052】
また、上部安全カバー7および下部安全カバー8をそれぞれ皿ネジ91,92ネジで固定しているので、火災が発生した場合に安全カバー7,8が溶融しても、延焼を引き起こす虞のある貫通孔(開口孔やネジ孔)が発生せず、防火性能も向上させることができる。
【0053】
また、上部安全カバー7および下部安全カバー8の開口部71a2,81a2の上下方向の開口幅は、ネジ孔部71a1,81a1との境界部分ではそれぞれを固定する皿ネジ91,92の軸部91a,92aの外径よりも小さく、その境界部分から固定障子6のガラス65,66の面外方向に向うに従って徐々に広がるように形成している。
【0054】
そのため、上部安全カバー7および下部安全カバー8をそれぞれ皿ネジ91,92で縦アタッチ63に装着した場合、脱落等せずに確実に装着できる。また、皿ネジ91,92を縦アタッチ63に固定(螺合)したままで上部安全カバー7および下部安全カバー8を引張って取外す場合には、皿ネジ91,92の軸部91a,92aの外径よりも上下の開口幅が狭い開口部71a2,81a2とネジ孔部71a1,81a1との境界部分が弾性変形し易くなるので、この点でも上部安全カバー7および下部安全カバー8の交換作業等の作業性を向上させることができる。
【0055】
特に、上部安全カバー7および下部安全カバー8それぞれのネジ孔部71a1,81a1および開口部71a2,81a2は、これらの安全カバー7,8を縦アタッチ63に固定する皿ネジ91,92の頭部91b,92bの形状である円錐台形状に応じて縦アタッチ63表面側から離れるに従って拡径となるように形成しているため、この点でも開口部71a2,81a2とネジ孔部71a1,81a1との境界部分が弾性変形し易くなり、上部安全カバー7および下部安全カバー8の交換作業等の作業性を向上させることができる。
【0056】
また、本発明に係る実施形態の固定障子6の上部安全カバー7および下部安全カバー8は、固定側面部71a,81aの上部の傾斜辺からほぼ垂直に曲げられ、皿ネジ91,92の軸部91a,92aの軸方向と平行である見付方向に延びる上部側面部71cおよび下部側面部81cを有し、上部側面部71cおよび下部側面部81cには、固定障子6側の縦枠4の屋内側面41においてこの片引きサッシ1の中央に向かって突出する凸状部41a(
図4や
図5等参照。)が嵌合する嵌合用切欠部71c1,81c1を設けている。
【0057】
そのため、本発明に係る実施形態の固定障子6の上部安全カバー7および下部安全カバー8、およびこれらが装着された片引きサッシ1によれば、これらの安全カバー7,8は、固定側面部71a,81aのネジ孔部71a1,81a1に通された皿ネジ91,92だけでなく、上部側面部71cおよび下部側面部81cに形成された嵌合用切欠部71c1,81c1に縦枠4の屋内側面41の凸状部41a(
図4や
図5等参照。)が嵌合して固定されるので、縦枠4に対する位置が決まり、より確実に縦アタッチ63に装着することが可能となる。
【0058】
尚、上記実施形態の説明では、固定障子6の縦アタッチの上部コーナーと下部コーナーのそれぞれに上部安全カバー7と下部安全カバー8を設けるものとして説明したが、本発明では、これに限らず、固定障子6の縦アタッチの上部コーナーと下部コーナーのいずれか一方に安全カバーを設けるようにしても勿論良い。
【0059】
また、上記実施形態の説明では、皿ネジ91,92で上部安全カバー7および下部安全カバー8を縦アタッチ63に固定して説明したが、本発明では、これに限らず、頭部が半球状の通常のネジ(鍋ネジ等)で固定するようにしても勿論良い。
【0060】
また、上記実施形態の説明では、サッシ枠の中に、屋外側の可動障子5と屋内側の固定障子6とを納めた外動片引きサッシ1の固定障子6の縦アタッチ63の上部安全カバー7および下部安全カバー8を一例に説明したが、本発明ではこれに限らず、屋内側の可動障子5と屋外側の固定障子6とを納めた内動片引きサッシや、可動障子5を備えない固定障子6(ガラス)のみのサッシ(FIXサッシ)の縦アタッチの安全カバーに適用するようにしても勿論良い。
【符号の説明】
【0061】
1 片引きサッシ
2 上枠
22 額縁取付け用突出片
3 下枠
32 額縁取付け用突出片
31 レール
4,4’ 縦枠
41 屋内側面
41a 凸状部
42,42’ 額縁取付け用突出片
5 可動障子
51 上框
52 下框
53 縦框
54 召合せ框
55,56 ガラス
6 固定障子
61 上アタッチ(横材)
62 下アタッチ(横材)
63 縦アタッチ
63a 凹状溝
63b 第1屋内側面
63c 第2屋内側面
64 召合せ方立
65,66 ガラス
7 上部安全カバー
71 上部安全カバー本体部
71a 固定側面部
71a1 ネジ孔部
71a2 開口部
71b 鉛直側面部
71b1 切欠部
71c 上部側面部
71c1 嵌合用切欠部
71c2 嵌合用凸部
72 上部切断面覆い部
8 下部安全カバー
81 下部安全カバー本体部
81a 固定側面部
81a1 ネジ孔部
81a2 開口部
81b 鉛直側面部
81b1 切欠部
81c 下部側面部
81c1 嵌合用切欠部
81c2 嵌合用凸部
82 下部切断面覆い部
91,92 皿ネジ
91a,92a 軸部
91b,92b 頭部
G 額縁
S 隙間