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  • 特許-側方車体補強構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】側方車体補強構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20220404BHJP
   B62D 21/15 20060101ALI20220404BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20220404BHJP
【FI】
B62D25/20 F
B62D25/20 G
B62D21/15 Z
B60K1/04 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018169988
(22)【出願日】2018-09-11
(65)【公開番号】P2019108113
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】10-2017-0173620
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ソン、ウン
(72)【発明者】
【氏名】パク、クン、ホ
(72)【発明者】
【氏名】チョン、スン、ミン
【審査官】姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-226353(JP,A)
【文献】特開2012-214172(JP,A)
【文献】特開2013-028191(JP,A)
【文献】特開2017-193299(JP,A)
【文献】特開2011-121483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/20
B62D 21/15
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の底面を構成するセンターフロアパネルと、
前記センターフロアパネルの下面に結合されるバッテリーケースと、
前記センターフロアパネルの幅方向の両側に結合されて前記バッテリーケースの幅方向の両側に配置され、車体の前後方向に延びるボックス形状の端面を有するサイドシルと、
前記センターフロアパネルに下端が結合され、前記センターフロアパネルを幅方向に横切って前記サイドシルに結合されるシートクロスメンバーと、
前記バッテリーケース、前記サイドシル、前記センターフロアパネル、及び前記シートクロスメンバーを順に貫くように上下に延び、前記バッテリーケースに固定されるパイプナットと、
を含む側方車体補強構造。
【請求項2】
前記パイプナットは、パイプ形状に形成されたナットであることを特徴とする請求項1に記載の側方車体補強構造。
【請求項3】
前記パイプナットの下側から挿入されて締結されて構成要素が結合するように機能する締結ボルトをさらに含む請求項2に記載の側方車体補強構造。
【請求項4】
前記センターフロアパネルの下方に突き出して形成され、前記サイドシルの内側板に結合される結合補強部をさらに含む請求項1に記載の側方車体補強構造。
【請求項5】
前記サイドシルのボックス形状の内部に備えられ、前記サイドシルの内側板から外側に離隔して配置され、前記サイドシルの上側板と前記サイドシルの下側板を連結する第1補強メンバーをさらに含む請求項1に記載の側方車体補強構造。
【請求項6】
前記第1補強メンバーは、前記サイドシルの前端から後端まで延びることを特徴とする請求項5に記載の側方車体補強構造。
【請求項7】
前記第1補強メンバーにより支持されるように前記サイドシルのボックス形状の内部に備えられ、前記第1補強メンバーから車体の幅方向の外側に凸となる「U」字形状の端面を有する第2補強メンバーをさらに含む請求項5に記載の側方車体補強構造。
【請求項8】
前記第2補強メンバーは、前記サイドシルの前端から後端まで延びることを特徴とする請求項7に記載の側方車体補強構造。
【請求項9】
前記第1補強メンバーの車体幅方向の内側面は、前記パイプナットの車体幅方向の外側端に支持されることを特徴とする請求項5に記載の側方車体補強構造。
【請求項10】
前記サイドシル及び前記第1補強メンバーに囲まれた空間には発泡フォームが充填されることを特徴とする請求項6に記載の側方車体補強構造。
【請求項11】
前記第2補強メンバー及び前記第1補強メンバーに囲まれた空間には発泡フォームが充填されることを特徴とする請求項7に記載の側方車体補強構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側方車体補強構造に関し、より詳しくは高容量バッテリーが内蔵された車両の側方車体補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両の前方車体において、エンジンルームの下部には車両の前後方向に沿って延びるように形成されたフロントサイドメンバーが車両の車体の幅方向の両側に配置され、前方車体の構造的な剛性を強化させる。
【0003】
前記フロントサイドメンバーの後方には、サイドシルが連結されて車両の長さ方向に沿って延び、車両の車体の幅方向の両側に配置される。
【0004】
一方、車体の底面を形成するフロアパネルは、車両の前方から前後方向に沿ってフロントフロアパネル、センターフロアパネル、及びリアフロアパネルから構成される。ここで、前記フロントフロアパネルはエンジンルームの底面を構成し、前記センターフロアパネルは乗客室の底面を構成し、前記リアフロアパネルはラゲージコンパートメントの底面を構成する。
【0005】
この中で前記センターフロアパネルの上面には、アクセラレーターペダル、ブレーキペダル、搭乗者のためのシートなどが取り付けられ、下面には排気パイプ、プロペラシャフトなどが取付けられ得る。また、前記サイドシルは車体の幅方向の両側で前記センターフロアパネルに結合して車両の側面衝突に対応するように機能する。
【0006】
一方、ハイブリッド自動車(Hybrid Electric Vehicle)を含む電力によって動く車両の総称としての電気自動車(Electric Vehicle)は、前記センターフロアパネルまたは前記リアフロアパネルの下面に高容量バッテリーを取付けるためにバッテリーケースが備えられる。また、前方にエンジンまたは駆動モーターが取り付けられ、後輪が駆動輪である車両のように車両の前後方向に推進軸が横切る車両では前記推進軸が通過するように凹状に上側に凹んだ「U」字形状の端面を有するトンネルが前記センターフロアパネルに形成される。
【0007】
しかし、前記高容量バッテリーが内蔵されたバッテリーケースを取付けるための構造が複雑になり、このような構造による荷重の伝達が断絶する部分が増加すれば、車両の衝突、特に側方衝突に対する対応性能が低下し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は、このような問題点を解決するために創出されたものであり、本発明の目的は、バッテリーケースが備えられ、かつ荷重伝達の効率が向上し、車両の衝突、特に側方衝突に対する対応性能が改善された側方車体補強構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するための本発明の実施例による側方車体補強構造は、車体の底面を構成するセンターフロアパネルと、前記センターフロアパネルの下面に結合されるバッテリーケースと、前記センターフロアパネルの幅方向の両側に結合されて前記バッテリーケースの幅方向の両側に配置され、車体の前後方向に延びるボックス形状の端面を有するサイドシルと、前記センターフロアパネルに下端が結合され、前記センターフロアパネルを幅方向に横切って前記サイドシルに結合されるシートクロスメンバーと、前記バッテリーケース、前記サイドシル、前記センターフロアパネル及び前記シートクロスメンバーを順に貫くように上下に延び、前記バッテリーケースに固定されるパイプナットを含み得る。
【0010】
前記パイプナットは、パイプ形状に形成されたナットであり得る。
【0011】
本発明の実施例による側方車体補強構造は、前記パイプナットの下側から挿入されて締結されて構成要素が結合するように機能する締結ボルトをさらに含み得る。
【0012】
本発明の実施例による側方車体補強構造は、前記センターフロアパネルの下方に突き出して形成され、前記サイドシルの内側板に結合される結合補強部をさらに含み得る。
【0013】
本発明の実施例による側方車体補強構造は、前記サイドシルのボックス形状の内部に備えられ、前記サイドシルの内側板から外側に離隔して配置され、前記サイドシルの上側板と前記サイドシルの下側板を連結する第1補強メンバーをさらに含み得る。
【0014】
前記第1補強メンバーは、前記サイドシルの前端から後端まで延び得る。
【0015】
本発明の実施例による側方車体補強構造は、前記第1補強メンバーに支持されるように前記サイドシルのボックス形状の内部に備えられ、前記第1補強メンバーから車体の幅方向の外側に凸となる「U」字形状の端面を有する第2補強メンバーをさらに含み得る。
【0016】
前記第2補強メンバーは、前記サイドシルの前端から後端まで延び得る。
【0017】
前記第1補強メンバーの車体幅方向の内側面は、前記パイプナットの車体幅方向の外側端に支持され得る。
【0018】
前記サイドシル及び前記第1補強メンバーに囲まれた空間には発泡フォームが充填され得る。
【0019】
前記第2補強メンバー及び前記第1補強メンバーに囲まれた空間には発泡フォームが充填され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例による側方車体補強構造を前方から見た構成図である。
図2】本発明の実施例による側方車体補強構造の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施例を添付した図面に基づいて詳細に説明する。
本明細書において、上、下、前、後で表す方向は、一般的な車体の上、下、前、後方向を意味し、外側及び内側は、一般的な車体の幅方向を基準とする相対的な外側及び内側を意味する。
【0022】
図1は本発明の実施例による側方車体補強構造を前方から見た構成図であり、図2は本発明の実施例による側方車体補強構造の斜視図である。
【0023】
図1及び図2に示すように、本発明の実施例による側方車体補強構造1は、バッテリーケース100と連結される。また、乗客室の底面を構成するセンターフロアパネル200の車体の幅方向の両側にはサイドシル300が結合される。このようなセンターフロアパネル200及びサイドシル300の基本的な構成は、当該技術分野における通常の知識を有する者(以下、当業者)に自明であるので、これについての詳しい説明は省略する。
【0024】
前記バッテリーケース100は、ハイブリッド自動車(Hybrid Electric Vehicle)を含む電力によって動く車両の総称としての電気自動車(Electric Vehicle)に適用される。また、前記バッテリーケース100は、内部に高容量バッテリー(図示せず)を収容することによって、前記電気自動車に高容量バッテリーを取り付けるように提供される。
【0025】
このような高容量バッテリーの電力は、駆動モーター(図示せず)に伝達され、高容量バッテリーと駆動モーターとを連結するために車両の前後方向に横切る高電圧ワイヤー(図示せず)が備えられ得る。一方、電力を駆動力として用いる自動車において高容量バッテリー及び駆動モーター並びに電力供給のための構成は、当業者に自明であるので、これについての詳しい説明は省略する。
【0026】
前記センターフロアパネル200にはシートクロスメンバー220が備えられる。
【0027】
前記シートクロスメンバー220は、前記センターフロアパネル200を車体の幅方向に横切るように配置される。また、前記シートクロスメンバー220は、下端が前記センターフロアパネル200に結合され、車体の幅方向の両端が前記サイドシル300に結合される。さらに、前記シートクロスメンバー220は、車体の前後方向に沿って複数配列され得る。
【0028】
本発明の実施例による側方車体補強構造1は、前記バッテリーケース100の上側に前記センターフロアパネル200が結合され、このような結合によって前記バッテリーケース100の車体幅方向の両側に前記サイドシル300が配置されることによって構成され、結合補強部210、第1補強メンバー340、第2補強メンバー350、パイプナットN、及び締結ボルトBをさらに含む。
【0029】
前記結合補強部210は、前記センターフロアパネル200に形成される。また、前記結合補強部210は、前記センターフロアパネル200の下方に突き出して前記サイドシル300に連結される。ここで、前記サイドシル300は、車体の幅方向を基準に、相対的に内側に配置されるインナーパネルと相対的に外側に配置されるアウターパネルとが結合してボックス形状の端面を有するように構成され、図1及び図2には前記サイドシル300のインナーパネルのみが示されているが、このようなサイドシル300の構成は当業者に自明である。また、前記サイドシル300は、ボックス形状を形成する上側板であるサイドシル上板310、内側板であるサイドシル内板320、及び下側板であるサイドシル下板330を含む。前記サイドシル上板310及び前記サイドシル下板330は、前記サイドシル300のインナーパネル及びアウターパネルに形成され、前記サイドシル内板320は、前記サイドシル300のインナーパネルに形成される。一方、前記センターフロアパネル200の車体の幅方向の両側は、前記サイドシル300のサイドシル上板310に結合され、前記結合補強部210は、前記サイドシル300のサイドシル内板320に結合される。したがって、前記結合補強部210によって前記センターフロアパネル200と前記サイドシル300との結合力が増大する。
【0030】
前記第1補強メンバー340は、前記サイドシル300のボックス形状の内部に備えられる。また、前記第1補強メンバー340は、前記サイドシル内板320から外側に離隔して配置され、前記サイドシル上板310と前記サイドシル下板330とを連結する。さらに、前記第1補強メンバー340は、前記サイドシル300の前端から後端まで延び得る。
【0031】
前記第2補強メンバー350は、前記サイドシル300のボックス形状の内部に備えられる。また、前記第2補強メンバー350は、前記第1補強メンバー340に支持され、前記第1補強メンバー340から車体の幅方向の外側に凸となる「U」字形状の端面を形成する。一方、前記第2補強メンバー350の「U」字形状の端面は、前記サイドシル300のアウターパネルから離隔し得る。さらに、前記第2補強メンバー350は、前記サイドシル300の前端から後端まで延び得る。
【0032】
前記パイプナットNは、下側から前記バッテリーケース100、前記サイドシル下板330、前記サイドシル上板310、前記センターフロアパネル200、及び前記シートクロスメンバー220を順に貫くように上下に延びる。また、前記パイプナットNは、パイプ形状に形成され、内周にはねじ山が形成されたナット(nut)であり得る。さらに、前記パイプナットNは、前記バッテリーケース100に固定され、前記バッテリーケース100には前記パイプナットNを収容するように穿孔された収容穴を105が形成される。一方、前記第1補強メンバー340の車体幅方向の内側面は、前記パイプナットNの車体幅方向の外側端に支持される。このようなパイプナットNによって前記バッテリーケース100、前記サイドシル下板330、前記サイドシル上板310、前記センターフロアパネル200、前記シートクロスメンバー220、及び前記第1補強メンバー340が連続的な荷重伝達ができるように一つに連結される。図1には車体の側方衝突時の概略的な荷重の伝達経路を矢印で示した。
【0033】
前記締結ボルトBは、下側から前記パイプナットNに挿入されて締結される。このような締結ボルトBは、サスペンション(図示せず)などの車体構成要素が結合するように機能する。
【0034】
一方、前記サイドシル300のボックス形状の内部で前記サイドシル上板310、前記サイドシル内板320、前記サイドシル下板330、及び前記第1補強メンバー340に囲まれた空間または前記第2補強メンバー350の「U」字形状の端面及び前記第1補強メンバー340に囲まれた空間には剛性が増大するように発泡フォームFが充電され得る。
【0035】
前述したように本発明の実施例によれば、バッテリーケース100を取付けるための構造により荷重伝達が断絶される部分が減少し、連続性が確保されるように車体と連結されることによって、車両の衝突、特に側方衝突に対する対応性能が改善され得る。
【0036】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明は、前記実施例に限定されず、本発明の実施例から当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者により容易に変更され、均等であると認められる範囲のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0037】
1:側方車体補強構造
100:バッテリーケース
200:センターフロアパネル
210:結合補強部
220:シートクロスメンバー
300:サイドシル
310:サイドシル上板
320:サイドシル内板
330:サイドシル下板
340:第1補強メンバー
350:第2補強メンバー
B:締結ボルト
F:発泡フォーム
N:パイプナット
図1
図2