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特許7051690スプリアスモード除去をもたらす誘導表面弾性波デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】スプリアスモード除去をもたらす誘導表面弾性波デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/145 20060101AFI20220404BHJP
   H03H 9/25 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
H03H9/145 C
H03H9/25 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018539285
(86)(22)【出願日】2017-01-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-02-07
(86)【国際出願番号】 US2017014808
(87)【国際公開番号】W WO2017132184
(87)【国際公開日】2017-08-03
【審査請求日】2019-12-10
(31)【優先権主張番号】62/288,244
(32)【優先日】2016-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/086,936
(32)【優先日】2016-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517090646
【氏名又は名称】コーボ ユーエス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【弁理士】
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】井上 将吾
(72)【発明者】
【氏名】ソラル,マーク
【審査官】志津木 康
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/046117(WO,A1)
【文献】特許第5835480(JP,B2)
【文献】国際公開第2008/078481(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/125934(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/004741(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/037145(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H3/007-H03H3/10
H03H9/00-H03H9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非半導体支持基板、
前記非半導体支持基板の表面上の圧電層、及び
前記非半導体支持基板とは反対側の前記圧電層の表面上の少なくとも1つの櫛形トランスデューサ(Interdigitated Transducer:IDT)
を備えた誘導表面弾性波(Surface Acoustic Wave:SAW)デバイスであって、前記圧電層の厚さ、前記圧電層のSAW速度、及び前記非半導体支持基板の音響速度は、前記誘導SAWデバイスの共振周波数を上回るスプリアスモードの周波数が、前記スプリアスモードが抑制されるように前記誘導SAWデバイスのバルク波カットオフ周波数を上回るようになっており、
前記圧電層の前記厚さが、スプリアスモードを抑制する前記圧電層の規定の最大厚さ未満であり、前記圧電層の前記規定の最大厚さが、前記圧電層の前記SAW速度と、前記非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度との両方の関数であり、
前記非半導体支持基板と前記圧電層との間に誘電体層が存在せず、
前記圧電層が、タンタル酸リチウム(LT)を備え、
前記圧電層の前記規定の最大厚さが、λを単位にして、
【数1】

であり、ここでVsub毎秒メートルで表して前記非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度であり、Vpiezoは毎秒メートルで表して前記圧電層の前記SAW速度である、
前記誘導表面弾性波(SAW)デバイス。
【請求項2】
前記圧電層が、タンタル酸リチウムを含む、請求項1に記載の誘導SAWデバイス。
【請求項3】
前記非半導体支持基板と前記圧電層との間に誘電体層が存在せず、
前記圧電層が、回転YカットX伝搬タンタル酸リチウム(Lithium Tantalate:LT)を含み、
前記圧電層の前記規定の最大厚さが、λを単位にして、
【数2】

であり、ここでVsubは毎秒メートルで表して前記非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度であり、θは度で表して前記回転YカットX伝搬タンタル酸リチウムのカット角である、
請求項1に記載の誘導SAWデバイス。
【請求項4】
前記圧電層の前記厚さが、λの0.1倍よりも大きく、ここでλは前記誘導SAWデバイスの前記共振周波数の波長であり、前記非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度が毎秒6,984メートル未満である、請求項1に記載の誘導SAWデバイス。
【請求項5】
前記非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度が毎秒6,000メートル未満である、請求項1に記載の誘導SAWデバイス。
【請求項6】
前記非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度が毎秒5,400メートル未満である、請求項1に記載の誘導SAWデバイス。
【請求項7】
前記圧電層が、単結晶である、請求項1に記載の誘導SAWデバイス。
【請求項8】
前記非半導体支持基板が、ウェハから作製されている、請求項1に記載の誘導SAWデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表面弾性波(Surface Acoustic Wave:SAW)デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
表面弾性波(SAW)デバイス、たとえばSAW共振器及びSAWフィルタなどは、高周波(Radio Frequency:RF)フィルタなどの多くの用途において使用されている。たとえば、SAWフィルタは、一般に、第二世代(2G)、第三世代(3G)、及び第四世代(4G)のワイヤレス送受信機フロントエンド、デュプレクサ、及び受信フィルタにおいて使用される。SAWフィルタが広範に使用されるのは、SAWフィルタが、良く除去される低挿入損失を示すということにより広帯域幅を達成し得、また従来の空洞及びセラミックフィルタのサイズの数分の一であることに、少なくとも一部が起因する。いずれの電子デバイスもそうであるように、SAWデバイスの性能は、システムの性能全体に影響を及ぼし得る重要なパラメータである。これに関して、高い性能のSAWデバイスの必要性が存在する。
【発明の概要】
【0003】
スプリアスモード抑制をもたらす誘導表面弾性波(SAW)構造体を有するSAWデバイスとその製造方法の諸実施形態について開示する。いくつかの実施形態において、SAWデバイスは、非半導体支持基板、非半導体支持基板の表面上の圧電層、及び非半導体支持基板とは反対側の圧電層の表面上の少なくとも1つの櫛形トランスデューサ(interdigitated transducer:IDT)を含む。圧電層の厚さ、圧電層のSAW速度、及び非半導体支持基板の弾性波速度は、SAWデバイスの共振周波数を上回るスプリアスモードの周波数がSAWデバイスのバルク波カットオフ周波数を上回るようにする。このようにして、SAWデバイスの共振周波数を上回るスプリアスモードは、抑制される。
【0004】
いくつかの実施形態において、圧電層は、タンタル酸リチウム(LiTaO、本明細書においてはLTとも称する)を含む。他の実施形態において、圧電層は、ニオブ酸リチウム(LiNbO)を含む。
【0005】
いくつかの実施形態においては、圧電層の厚さは、λの2倍未満であり、ここで、λは、SAWデバイスの共振周波数の波長であり、カットオフ周波数は、fa+(fa-fr)/2よりも大きく、ここで、frは、SAWデバイスの共振周波数であり、faは、SAWデバイスの反共振周波数である。波長λは、トランスデューサ、すなわち少なくとも1つのIDTの電極の周期から規定され得る。多くの場合において、波長λは、電極周期の2倍である。さらに、いくつかの実施形態において、非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度は、毎秒6,984メートル未満である。他の実施形態において、非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度は、毎秒6,000メートル未満である。他の実施形態において、非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度は、毎秒5,400メートル未満である。
【0006】
いくつかの実施形態において、圧電層の厚さは、λの2倍未満であり、ここで、λは、SAWデバイスの共振周波数の波長であり、非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度は、少なくとも1つのIDT中の表面波速度の1.07倍から毎秒6,984メートルの間である。他の実施形態において、圧電層の厚さは、λの2倍未満であり、ここで、λは、SAWデバイスの共振周波数の波長であり、非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度は、少なくとも1つのIDT中の表面波速度の1.07倍から毎秒6,000メートルの間である。他の実施形態において、圧電層の厚さは、λの2倍未満であり、ここで、λは、SAWデバイスの共振周波数の波長であり、非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度は、少なくとも1つのIDT中の表面波速度の1.07倍から毎秒5,400メートルの間である。
【0007】
いくつかの実施形態において、圧電層の厚さは、スプリアスモード抑制を支持する圧電層の規定の最大厚さ未満であり、圧電層の規定の最大厚さは、圧電層のSAW速度と非半導体支持基板の最遅音響モードの速度との両方の関数である。
【0008】
いくつかの実施形態において、非半導体支持基板と圧電層との間に誘電体層は存在せず、圧電層は、回転YカットX伝搬LTを含み、圧電層の規定の最大厚さは、λを単位にして、
【数1】
であり、ここで、Vsubは、非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度であり、θは、回転YカットLTのカット角である。さらに、いくつかの実施形態において、圧電層の厚さは、λの0.05倍よりも大きく、ここで、λは、SAWデバイスの共振周波数の波長であり、非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度は、毎秒6,984メートル未満である。他のいくつかの実施形態において、圧電層の厚さは、λの0.1倍よりも大きく、ここで、λは、SAWデバイスの共振周波数の波長であり、非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度は、毎秒6,984メートル未満である。他のいくつかの実施形態において、非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度は、毎秒6,000メートル未満である。他のいくつかの実施形態において、非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度は、毎秒5,400メートル未満である。
【0009】
他のいくつかの実施形態において、SAWデバイスは、非半導体支持基板と圧電層との間に酸化ケイ素誘電体層をさらに含み、ここで圧電層は、回転YカットX伝搬LTを含み、圧電層の規定の最大厚さは、λを単位にして、
【数2】
であり、ここで、Vsubは、非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度であり、θは、回転YカットLTのカット角であり、TSiO2は、酸化ケイ素誘電体層の厚さである。いくつかの実施形態において、圧電層の厚さは、λの0.05倍よりも大きく、ここで、λは、SAWデバイスの共振周波数の波長であり、非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度は、毎秒6,984メートル未満である。他のいくつかの実施形態において、圧電層の厚さは、λの0.1倍よりも大きく、ここで、λは、SAWデバイスの共振周波数の波長であり、非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度は、毎秒6,984メートル未満である。他のいくつかの実施形態において、非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度は、毎秒6,000メートル未満である。他のいくつかの実施形態において、非半導体支持基板の伝搬方向における最遅音響モードの速度は、毎秒5,400メートル未満である。
【0010】
当業者であれば、添付の図面に関連する好ましい実施形態の次の詳細な説明を読んだ後に、本開示の範囲を認識し、その追加の態様を理解するであろう。
【0011】
本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は、本開示のいくつかの態様を例示し、説明とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】表面弾性波(SAW)櫛形トランスデューサの原理を示す略図である。
図2】SAW共振器の略図である。
図3】誘導SAWデバイスの共振周波数を上回る、誘導SAWデバイスにおいて生成されるスプリアスモードの1つの例を示す。
図4】本開示のいくつかの実施形態によるスプリアスモード抑制をもたらす誘導SAWデバイスの1つの例を示す。
図5A】ケイ素(Si)支持基板上に42度カット角の回転Yカットタンタル酸リチウム(LT)(本明細書においては、42LTと称す)圧電層を有する誘導SAW共振器の1つの例のシミュレーションしたアドミタンス及びコンダクタンスを示す。
図5B】ケイ素(Si)支持基板上に42度カット角の回転Yカットタンタル酸リチウム(LT)(本明細書においては、42LTと称す)圧電層を有する誘導SAW共振器の1つの例のシミュレーションしたアドミタンス及びコンダクタンスを示す。
図5C】スプリアスモードの周波数が誘導SAWデバイスのカットオフ周波数未満である場合に、スプリアスモードが誘導されることを示す。
図5D】スプリアスモードの周波数が誘導SAWデバイスのカットオフ周波数を上回る場合に、スプリアスモードが抑制されることを示す。
図5E】圧電層がSi支持基板上の42LTである誘導SAWデバイスの具体例の、圧電層の厚さ(Tpiezo)とスプリアスモードの周波数との関係性を示す。
図6A】様々な異なるタイプの支持基板(すなわち、Si、窒化ケイ素(SiN)、スピネル、窒化アルミニウム(AlN)、サファイア、及びアルミナ)上における、スプリアスモード抑制をもたらす42LT圧電層の最大厚さのシミュレーション結果を示す。
図6B】カット角の関数としてLT速度変化を示す。
図7図7Aは、いくつかの例示的実施形態において、圧電層と支持基板との間に誘電体層(複数可)(たとえば、酸化ケイ素)が存在しないとき、圧電層の最小厚さは、少なくともいくつかの実施形態において、たとえば、十分な結合を有するために、0.1λであることを例示するシミュレーション結果を示す。図7Bは、いくつかの例示的実施形態において、誘電体層(複数可)が、圧電層と支持基板との間に設けられているとき、圧電層の最小厚さは、少なくともいくつかの実施形態においては、0.05λであることを例示するシミュレーション結果を示す。
図8】いくつかの実施形態において、誘導SAWデバイスのカットオフ周波数が、fa+(fa-fr)/2よりも大きくなくてはならないことを示す図であり、ただし、frは、誘導SAWデバイスの共振周波数であり、faは、反共振周波数である。
図9】いくつかの実施形態において、誘導SAWデバイスのカットオフ周波数は、たとえばバルク放射損失を回避するために、1.07×frよりも大きくなくてはならないことを示す図である。
図10】本開示のいくつかの実施形態による、圧電層が42LTである場合の様々な基板速度にスプリアスモード抑制をもたらす最大LT厚さを示す。
図11】酸化ケイ素厚さと、スプリアスモード抑制をもたらす最大LT厚さとの関係性のシミュレーション結果を示す。
図12A】本開示のいくつかの実施形態による、図4の誘導SAWデバイスを製造する工程を示す。
図12B】本開示のいくつかの実施形態による、図4の誘導SAWデバイスを製造する工程を示す。
図12C】本開示のいくつかの実施形態による、図4の誘導SAWデバイスを製造する工程を示す。
図12D】本開示のいくつかの実施形態による、図4の誘導SAWデバイスを製造する工程を示す。
図12E】本開示のいくつかの実施形態による、図4の誘導SAWデバイスを製造する工程を示す。
図12F】本開示のいくつかの実施形態による、図4の誘導SAWデバイスを製造する工程を示す。
図12G】本開示のいくつかの実施形態による、図4の誘導SAWデバイスを製造する工程を示す。
図13A】本開示の他のいくつかの実施形態による、図4の誘導SAWデバイスを製造する工程を示す。
図13B】本開示の他のいくつかの実施形態による、図4の誘導SAWデバイスを製造する工程を示す。
図13C】本開示の他のいくつかの実施形態による、図4の誘導SAWデバイスを製造する工程を示す。
図13D】本開示の他のいくつかの実施形態による、図4の誘導SAWデバイスを製造する工程を示す。
図13E】本開示の他のいくつかの実施形態による、図4の誘導SAWデバイスを製造する工程を示す。
図13F】本開示の他のいくつかの実施形態による、図4の誘導SAWデバイスを製造する工程を示す。
図13G】本開示の他のいくつかの実施形態による、図4の誘導SAWデバイスを製造する工程を示す。
図13H】本開示の他のいくつかの実施形態による、図4の誘導SAWデバイスを製造する工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
後述の諸実施形態は、当業者が、実施形態を実施し、実施形態を実施する最良のモードを例示することを可能にするために必要な情報を表している。添付の図面に照らして次の説明を読むと、当業者であれば、本開示の概念を理解し、本明細書に具体的に取り組んでいないこれらの概念の適用例を認識するであろう。これらの概念及び適用例が、本開示及び添付の特許請求の範囲内に入ることを認識すべきである。
【0014】
第1の、第2のなどの用語を本明細書に使用して、様々な要素を説明し得るが、これらの要素を、これらの用語によって限定すべきでないことを理解されたい。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するために使用されるにすぎない。たとえば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶこともあり得、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶこともあり得る。本明細書において使用されるとき、「及び/または」という用語は、関連の列挙した項目のうちの1つまたは複数の任意及びすべての組合せを含む。
【0015】
ある要素が別の要素に「接続」または「結合」されていると称するとき、それは、他の要素に直接、接続または結合され得ること、または介在要素が存在し得ることもまた理解すべきである。対照的に、ある要素が別の要素に「直接、接続され」または「直接、結合され」ていると称するとき、介在要素は存在しない。
【0016】
「上方の」、「下方の」、「底部の」、「中間の」、「中央の」、及び「上部の」などの用語を本明細書に使用して、様々な要素を説明し得るが、これらの要素を、これらの用語によって限定すべきでないことを理解されたい。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するために使用されているにすぎない。たとえば、本開示の範囲から逸脱することなく、これらの要素の相対的な配向に応じて第1の要素を「上方の」要素と呼ぶことがあり得、同様に、第2の要素を「上方の」要素と呼ぶこともあり得る。
【0017】
本明細書に使用される専門用語は、単に特定の実施形態を説明する目的にすぎず、本開示を限定するように意図していない。本明細書に使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈において明確に特段の指示がない限り、複数形を同様に含むように意図されている。「comprises(備える)」、「comprising(備える)」、「includes(含む)」、及び/または「including(含む)」という用語は、本明細書において使用されるとき、提示の特徴、整数値、ステップ、動作、要素、及び/または構成要素の存在を指定しているが、他の1つまたは複数の特徴、整数値、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/またはその群の存在または追加を除外しないことがさらに理解されるであろう。
【0018】
特段の規定がない限り、本明細書に使用されるすべての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本開示が属する分野における通常の知識を有する者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において使用される用語が、本明細書及び関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈すべきであり、本明細書に明示的にそのような規定がない限り、理想的または全体的に正式な意味で解釈されないことがさらに理解されるであろう。
【0019】
本開示の諸実施形態を説明する前に、表面弾性波(SAW)デバイス及びいくつかの関連の問題について論じることは有益である。SAWフィルタは、圧電基板の表面における弾性波の伝搬を使用する。図1は、SAW櫛形トランスデューサ(IDT)10の1つの例を示している。例示しているように、IDT10は、圧電基板(図示せず)の表面上に(たとえば、直接)堆積されている2つの櫛形電極12-1及び12-2を含む。電圧が、2つの電極12-1と12-2との間に印加される。この結果、2つの電極12-1と12-2との間に電場が生じ、圧電効果によってSAWが生成される。交流電位において電極が配列されることにより、2つの連続する周期の場は、反対方向である。これは、電極周期が弾性波長の半分であるとき、IDT10はその効率が最大であることを意味している。SAWデバイスの共振周波数の波長λは、IDT10のトランスデューサ、すなわち電極の周期(p)から規定され得る。多くの場合においては、波長λは、電極周期(p)の2倍である。
【0020】
図2は、SAW共振器14の1つの例を示している。SAW共振器14は、図2においては接地されている2つの格子18-1と18-2との間に挿入されたIDT16を含む。2つの格子18-1及び18-2は、反射器として働き、(音響)空洞を画定する。圧電基板の選択は、得ることができる性能に影響を及ぼす。一般に、基板は、音響モードが、いわゆる漏れSAWモードまたはせん断水平モードであるように選択される。このタイプのモードは、通常、より良い結合係数の利点を提示する。これらのモードの通常の基板タイプは、Y+36度に近い配向のタンタル酸リチウム、またはYに近い配向のニオブ酸リチウムである。両方の場合において、伝搬方向は、通常、結晶のx軸である。このタイプのモードに伴う問題は、エネルギーの大部分が基板のバルクに放射されて、損失がもたらされることである。この問題を解決するための1つの手法は、圧電基板を、支持基板に接合された圧電膜に置き換えることである。支持基板中の音響速度が膜中の速度よりも速い場合には、波は圧電膜中を誘導される。
【0021】
誘導SAWデバイス(すなわち、誘導SAW構造体を有するSAWデバイス)は、層状基板を有し、ここで、ここでは圧電層と称する圧電材料の層が、支持基板、すなわちキャリア基板の表面上に(たとえば、直接)接合または堆積されている。従来のSAWデバイスと比較すると、誘導SAWデバイスは、改良された品質係数(Q)、改良された電気機械結合係数(K2)、及び改良された周波数熱係数(Thermal Coefficient of Frequency:TCF)を有する。しかしながら、望ましくないスプリアスモードが、通常、誘導SAW構造体に生成され、それにより、誘導SAWデバイスの実用化が阻害される。具体的には、誘導SAWデバイスにおいては、スプリアスモードが誘導SAWデバイスの共振周波数を上回って生成され、結果として、帯域外の除去仕様が満たされない場合がある。図3は、誘導SAWデバイスの共振周波数を上回る、誘導SAWデバイスに生成されるスプリアスモードの1つの例を示している。
【0022】
SAWデバイスの共振周波数を上回るスプリアスモードの抑制をもたらす、誘導SAW構造体を有するSAWデバイス(すなわち、誘導SAWデバイス)の実施形態について開示する。いくつかの実施形態においては、誘導SAWデバイスは、非半導体材料の支持基板、すなわちキャリア基板、キャリア基板の表面上の圧電層、及びキャリア基板とは反対側の圧電層の表面上の金属トランスデューサを含む。圧電層の厚さは、誘導SAWデバイスの共振周波数を上回るスプリアスモードを抑制するために、圧電層のSAW速度及び支持基板の音響速度を考慮に入れて最適化される。具体的には、いくつかの実施形態においては、圧電層の厚さ、圧電層のSAW速度、及び支持基板の音響速度は、スプリアスモード(たとえば、誘導SAWデバイスの共振周波数を上回る他のスプリアスモードと比較して、誘導SAWデバイスの共振周波数に最も近い誘導SAWデバイスの共振周波数を上回るスプリアスモード)の周波数が、SAWデバイスのカットオフ周波数(バルク波カットオフ周波数とも称する)よりも大きくなるようにする。いくつかの実施形態においては、圧電層の厚さ、圧電層のカット角(ここで、圧電層のSAW速度は、圧電層のカット角の関数である)、及び支持基板の音響速度は、スプリアスモード(たとえば、誘導SAWデバイスの共振周波数を上回る他のスプリアスモードと比較して、誘導SAWデバイスの共振周波数に最も近い誘導SAWデバイスの共振周波数を上回るスプリアスモード)の周波数が、SAWデバイスのカットオフ周波数(バルク波カットオフ周波数とも称する)よりも大きくなるようにする。いくつかの実施形態においては、圧電層の厚さは、スプリアスモード除去をもたらす圧電層の規定の最大厚さ未満であり、ここで、スプリアスモード除去をもたらす圧電層の規定の最大厚さは、(圧電層のカット角の関数である)圧電層中のSAW速度と、支持基板中の音響速度(すなわち、支持基板中の伝搬方向における最遅音響モードの速度)との両方の関数である。言い換えれば、本開示の実施形態は、(圧電層のカット角の関数である)圧電層中のSAW速度、及び支持基板中の音響速度(すなわち、支持基板中の伝搬方向における最遅音響モードの速度)の関数として圧電層厚さを選択することによってスプリアスモードを抑制し、それによって、より高いQ、より高いK2、及びより優れたTCFが維持される。さらには、支持基板は、その導電性に起因して共振器Qを低下させる半導体ではない。
【0023】
この点に関して、図4は、本開示のいくつかの実施形態による誘導SAWデバイス20の1つの例を示している。例示しているように、誘導SAWデバイス20は、半導体ではない支持基板、すなわちキャリア基板22(そのため、本明細書においては、時として非半導体支持基板22と称する)と、任意選択的に支持基板22の表面上の(たとえば、直接)1つまたは複数の追加の層24(たとえば、1つまたは複数の誘電体層)と、支持基板22とは反対側の1つまたは複数の追加の層24の表面上の圧電層26と、支持基板22とは反対側の圧電層26の表面上の金属トランスデューサ、すなわちIDT28と、任意選択による、金属トランスデューサ28の表面上、及び1つまたは複数の追加の層24の表面の露出部分上の1つまたは複数の保護層30とを含む。代替として、圧電層26が、支持基板22の表面上に(たとえば、直接)あるように、かつ任意選択の保護層(複数可)30が、金属トランスデューサ28の表面及び支持基板22の露出部分上にあるように、追加の層(複数可)24が存在しないこともある。概して、圧電層26の厚さ(tpiezo)は、2λ未満であり、ここで、λは、誘導SAWデバイス20の共振周波数の波長である。いくつかの実施形態においては、支持基板22は、ウェハ(堆積膜ではない)から作製される。いくつかの実施形態においては、圧電層26は、単結晶(堆積膜ではない)である。知られているように、いくつかの場合においては、層24または保護層30は、温度に対するデバイス周波数の感受性を抑えるために酸化ケイ素を含むことができる。やはり知られているように、温度感受性は、たとえば、フッ素またはホウ素を含んだドーパントにより酸化ケイ素をドーピングすることによってさらに抑えることができる。支持基板と圧電基板との間の層が、非常に厚く(いくつかの波長よりも)、窒化アルミニウム、ダイヤモンドまたは炭化ケイ素のように音響速度が大きい場合には、支持基板にはほとんど音響エネルギーが存在せず、基板の音響特性は、結果に影響を全く与えない。基板は、音響速度が大きい薄膜に音響的に置き換え可能である。期待に反して、薄膜は、製造するのに非常に高価であり、制御することが困難である。本開示においては、層は、ウェハ中の音響エネルギーのかなりの部分を有するのに十分なほど薄く、遅いと仮定される。説明の支持基板の音響特性は、通常、膜を支持するウェハの音響特性である。
【0024】
SAWの伝搬方向における支持基板22の最遅音響モードのバルク弾性波(Bulk Acoustic Wave:BAW)速度が誘導SAWデバイス20の速度よりも大きい場合には、圧電層26の内部に音響エネルギーを誘導することが可能であり、バルクへの損失は打ち消し可能である。いくつかの中間層(たとえば、1つまたは複数の追加の層24)は、圧電層26と支持基板22との間に配置され得る。これらの層は、音響誘導または圧電結合を高め、または温度感受性を抑えるために使用され得、あるいはこれらの層は、誘導SAWデバイス20の製造工程に必要であり得る。たとえば、このタイプの手法は、2002年9月3日発行の「DEVICE WITH ACOUSTIC WAVES GUIDED IN A FINE PIEZOELECTRIC MATERIAL FILM BONDED WITH A MOLECULAR BONDING ON A BEARING SUBSTRATE AND METHOD FOR MAKING THE SAME」と題された米国特許第6,445,265号、2001年5月25日発行の「DISPOSITIF A ONDES ACOUSTIQUES GUIDEES DANS UNE FINE COUCHE DE MATERIAU PIEZO-ELECTRIQUE COLLEE PAR UNE COLLE MOLECULAIRE SUR UN SUBSTRAT PORTEUR ET PROCEDE DE FABRICATION」と題された仏国特許第2788176号、Solal, M. et al.,「Oriented Lithium Niobate Layers Transferred on 4’’[100] Silicon Wafer for RF SAW Devices」,Proceedings of the 2002 IEEE Ultrasonics Symposium, Vol. 1, October 8-11, 2002, pages 131-134(本明細書においては以降、「Solal」)、及びPastureaud, T. et al.,「High-Frequency Surface Acoustic Waves Excited on Thin-Oriented LiNbO Single-Crystal Layers Transferred onto Silicon」,IEEE Transactions on Ultrasonics, Ferroelectrics, and Frequency Control, Vol. 54. No. 4, April 2007, pages 870-876(本明細書においては以降、「Pastureaud」)に提案されている。これらの文献は、キャリア基板の上部上の圧電材料の薄層上の構築されたSAWデバイスについて開示している。他の層は、圧電層26と支持基板22との間に存在し得る。これらの中間層は、通常、誘電体層であるが、いくつかの場合においては、金属層を使用することが提案された。圧電層もまた可能である。キャリア基板中の速度は、弾性波が誘導できるのに十分な大きさである。
【0025】
上述のように、従来の誘導SAWデバイスは、SAWデバイスの共振周波数を上回るスプリアスモードを生成する。これらのスプリアスモードを抑制するために、圧電層26の厚さ(tpiezo)、圧電層26中のSAW速度、及び伝搬方向における支持基板22中の最遅音響速度は、スプリアスモードの周波数が誘導SAWデバイス20のバルクカットオフ周波数よりも大きくなるようにする。スプリアスモードが圧電層26及び誘電体層(複数可)14の厚さと結び付いているモードであることに留意されたい。スプリアスモードは、構造において、より高次または他の誘導モードである。本開示における対象のモードではない他のいくつかのスプリアスモード(たとえば、横モード)が存在し得る。より具体的には、圧電層26の厚さ(tpiezo)、圧電層26のSAW速度(ただし、圧電層26のSAW速度の変化は、支持基板22の音響速度の変化と等価である)、及び支持基板22の音響速度(すなわち、伝搬方向における支持基板22中の最遅音響モードの速度)は、スプリアスモードの周波数が誘導SAWデバイス20のカットオフ周波数よりも大きくなるようにする。圧電層26のSAW速度が、本明細書においては時として、単に圧電層26の速度とも称することに留意されたい。同様に、支持基板22の音響速度は、本明細書においては時として、単に支持基板22速度と称する。
【0026】
いくつかの実施形態においては、圧電層26の速度は、圧電層26に使用される圧電材料のカット角の関数であり、それにより、圧電層26の厚さ(tpiezo)及び圧電層26のカット角は、支持基板22の速度を併せて考慮すると、スプリアスモードの周波数が誘導SAWデバイス20のカットオフ周波数よりも大きくなるようにする。言い換えれば、いくつかの実施形態においては、圧電層26の厚さ(tpiezo)は、スプリアスモード抑制をもたらす圧電層26の規定の最大厚さ未満であり、ここで、圧電層26の規定の最大厚さは、(圧電層26のカット角の関数である)圧電層26中の速度と支持基板22中の速度との関数である。
【0027】
次に、圧電層26の厚さ及び支持基板22の速度の具体的な限定事項についての論考が、誘導SAWデバイス20のいくつかの具体的な例に与えられ、ここでは、圧電層26は、タンタル酸リチウム(LiTaO、本明細書においてはLTと称する)である。しかしながら、この説明は、たとえば、ニオブ酸リチウム(LiNbO、本明細書においてはLNと称する)などの他のタイプの圧電材料へと容易に広げることができる。さらには、いくつかの例においては、LTは、回転YカットLTである。LTの配向は、たとえば、YとY+60度との間とすることができる。いくつかの代替の実施形態においては、圧電層は、回転YカットLNである。LNの配向は、たとえば、Y-20度とY+60度との間とすることができる。
【0028】
図5A及び図5Bは、シリコン(Si)支持基板上の42度カット角の回転YカットLT(本明細書においては、42LTと称する)圧電層を有する誘導SAWデバイス(具体的には、誘導SAW共振器として)の1つの例のシミュレートされたアドミタンス及びコンダクタンスを示している。図4の誘導SAWデバイス20とは異なり、これらのシミュレーションに使用されるSi支持基板は、半導体であることに留意されたい。にもかかわらず、シミュレーションは、たとえば、スプリアスモード除去をもたらす圧電層26の最大厚さ及び圧電層26のカット角を導出するために利用される概念を示している。図5A及び図5Bに示されているように、BAWはカットオフ周波数を上回って誘導され得ないので、導電性は、迅速に、誘導SAWデバイス20のカットオフ周波数において高まる。カットオフ周波数は、支持基板22中の速度によって決定される(速度が大きいほど、カットオフ周波数は高くなる)。具体的には、図5Aは、スプリアスモードの周波数がカットオフ周波数を下回るシミュレーションを示しており、その場合においては、スプリアスモードは、図5Cに例示されているように誘導され、そのため、図5Aに例示されているように抑制されない。逆に、図5Bは、スプリアスモードの周波数がカットオフ周波数を上回るシミュレーションを示しており、その場合においては、スプリアスモードは、図5Dに例示されているように誘導されず、そのため、図5Bに例示されているように抑制される。したがって、図5A及び図5Bにおけるシミュレーションから、スプリアスモード抑制の場合、スプリアスモードの周波数は、誘導SAWデバイス20のカットオフ周波数を上回る必要があることが容易にわかり得る。シミュレーションに使用されるモデルは、無限開口及び無限長さを含むトランスデューサまたは共振器を仮定する(周期モデル)。本開示における対象のスプリアスモードは、層(複数可)において、より高次のまたは他の誘導モードである。トランスデューサもしくは共振器の有限の長さまたは開口に結び付けられている他のスプリアスモードは、デバイスの中に存在し得る。いくつかの手法がこれらのスプリアスモードを抑制するために知られているが、層の厚さによりスプリアスモードを抑制する唯一のやり方は、支持基板、及び層、及び/またはそれらの厚さの性質あるいは配向を変更することである。
【0029】
図5Eは、圧電層がSi支持基板上の42LTである誘導SAWデバイスの具体例の、圧電層の厚さ(Tpiezo)とスプリアスモードの周波数との関係性を示している。やはり、図4の誘導SAWデバイス20とは異なり、これらのシミュレーションに使用されるSi支持基板は、半導体であることに留意されたい。にもかかわらず、シミュレーションは、たとえば、スプリアスモード除去をもたらす圧電層26の最大厚さ及び圧電層26のカット角を導出するために利用される概念を示している。図5Eに示されているように、圧電層の厚さ(tpiezo)が薄くなるにつれて、スプリアス周波数は増加するが、カットオフ周波数は変化しない。スプリアス周波数がカットオフ周波数を上回る場合、それらのモードは圧電層において誘導されないので、スプリアス応答の増幅が劇的に抑制される。図5Eから、圧電層の厚さ(tpiezo)は、42LT及びSi支持基板の場合おいては、スプリアスモードを抑制するために0.6ラムダ(λ)未満であるべきであることがわかり得、ここで、λは、誘導SAWデバイスの共振周波数の波長である。
【0030】
上述のように、図5Eのシミュレーションは、Si支持基板上の42LT圧電層を有する誘導SAWデバイスについて行われた。しかしながら、スプリアスモード抑制をもたらす42LT圧電層の最大厚さは、支持基板に使用される材料によって変わることになる。したがって、図6Aは、様々な異なるタイプの支持基板(すなわち、Si、窒化ケイ素(SiN)、スピネル、窒化アルミニウム(AlN)、サファイア、及びアルミナ)上における42LT圧電層の最大厚さのシミュレーション結果を示している。支持基板に様々な材料を使用する図5Eについて行われた同じシミュレーションを実施することによって、スプリアスモード抑制をもたらす42LTの最大厚さ、及び支持基板中の速度は、図6Aに示されているように関係が線形であることがわかった。シミュレーションしたデータ点に曲線適合を行うことによって、支持基板22中の速度(Vsub)の関数として、スプリアスモード抑制をもたらす42LTの最大厚さは、
【数3】
と表すことができ、ここで、TLTは、λを単位にして42LTの厚さであり、Vsubは、毎秒メートル(m/s)を単位にして伝搬方向における支持基板22の最遅音響速度であり、Vsubは、6984m/s未満である。
【0031】
図6Aに示されているシミュレーション結果、したがって、上記の式(1)は、42LTの場合である。しかしながら、スプリアスモード抑制をもたらすLTの最大厚さはまた、LTのカット角の関数である。LTの異なるカット角が使用される場合。LT中のSAW速度(本明細書においては、LT速度と称する)は、変化することになり、それは、支持基板22の速度の変化と等価である。この点に関して、図6Bは、カット角の関数として、LT速度変化を例示している。この曲線は、多項式:
【数4】
によって適合され、ここで、θは、度を単位にしたLTカット角である。次いで、式(2)を使用すると、式(1)は、次のように、支持基板22の速度とLTのカット角との関数としてスプリアスモード抑制をもたらす最大LT厚さを表すように変形され得る:
【数5】
LTを置き換えると、
【数6】
が与えられ、したがって、式(4)は、支持基板22速度(Vsub)とLTのカット角(支持基板の速度と等価に)との両方の関数として、スプリアスモード抑制をもたらす最大LT厚さを規定する。
【0032】
上記の式(3)が、次のように、一般化され得ることに留意すべきである。
【数7】
ただし、Tpiezoは、圧電層26の厚さであり、Vpiezoは、圧電層26のSAW速度である。圧電層26の速度は、使用される圧電材料によって変わることになる。上記の式(3)及び式(4)は、LTについての一例を与えるが、一方で、たとえばLNなどの他の圧電材料が代替として使用され得る。
【0033】
したがって、図4の誘導SAWデバイス20のいくつかの実施形態においては、圧電層26は、回転YカットLT(すなわち、X軸に沿う伝搬であり、ただし、圧電層26は、X軸に沿って回転しており、シータ=0は、表面に垂直なY軸に対応する)、圧電層26の厚さ(tpiezo)は、式(4)において規定された最大LT厚さ未満である。式(4)においてわかるように、圧電層26の最大厚さは、支持基板22中の速度と、圧電層26中の速度との両方の関数である。これは圧電層26に使用される圧電材料に関わらず当てはまる。圧電層26の最大厚さが、同じように、LTの場合に上記に導出されたが、他の圧電材料(たとえば、LiNiO)を使用する際の圧電層26の最大厚さが同じように導出され得ることは重要である。
【0034】
上記に、スプリアスモード抑制をもたらす圧電層26の最大厚さについての論考が与えられている。圧電層26の最小厚さに関しては、圧電層26が薄すぎる場合、圧電結合は失われることになる。圧電層26と支持基板22との間に誘電体層(複数可)(たとえば、酸化ケイ素)が存在しないとき、圧電層26の最小厚さは、少なくともいくつかの実施形態においては、図7Aに示されているシミュレーション結果によって例示しているように、たとえば十分な結合を有するために、0.1λである。圧電層26と支持基板22との間に誘電体層(複数可)が存在する場合、圧電層26の最小厚さは、少なくともいくつかの実施形態においては、図7Bに示されているシミュレーション結果によって例示しているように、0.05λである。したがって、式(4)を併せると、圧電層26がLTであるときの圧電層26の厚さについてのいくつかの例示的な範囲は、いくつかの実施形態においては0.1λから式(4)によって規定された最大厚さまで、及び他のいくつかの実施形態においては0.05λから式(4)によって規定された最大厚さまでである。0.1λ及び0.05λの値は単なる例にすぎず、支持基板22、圧電層26、及び存在する場合の誘電体層(複数可)に使用される材料によって変わることがあることに留意されたい。
【0035】
誘導SAWデバイス20においては、波動は、それらの波動の周波数が、誘導SAWデバイス20のカットオフ周波数を下回るとき、圧電層26内に誘導されることにも留意すべきである。したがって、図8及び図9に例示しているように、誘導SAWデバイス20のカットオフ周波数は、フィルタ通過帯域よりも高い。図8に例示しているように、いくつかの実施形態においては、誘導SAWデバイス20のカットオフ周波数は、fa+(fa-fr)/2よりも大きくなくてはならず、ここで、frは、誘導SAWデバイス20の共振周波数であり、faは、誘導SAWデバイス20の反共振周波数である。図9に例示しているように、他の実施形態においては、誘導SAWデバイス20のカットオフ周波数は、たとえばバルク放射損失を回避するために、1.07×frよりも大きくなくてはならない。SAWデバイスがフィルタである場合、そのバルクカットオフ周波数を測定する簡単なやり方は、そのアドミタンス行列を測定することである。カットオフ周波数においては、フィルタの1つのポートについてのコンダクタンスは、劇的に増加することになる。共振周波数は、通常、通過帯域の低域側に近い。
【0036】
したがって、いくつかの実施形態においては、誘導SAWデバイス20は、支持基板22と圧電層26との間にいかなる誘電体層(複数可)をも含まず、圧電層26の厚さ(tpiezo)は、2λ未満であり、誘導SAWデバイス20の(バルク波)カットオフ周波数は、fa+(fa-fr)/2よりも大きく、Vsubは、6,984m/s未満である。他のいくつかの実施形態においては、誘導SAWデバイス20は、支持基板22と圧電層26との間にいかなる誘電体層(複数可)をも含まず、圧電層26の厚さ(tpiezo)は、2λ未満であり、誘導SAWデバイス20の(バルク波)カットオフ周波数は、fa+(fa-fr)/2よりも大きく、Vsubは、6,000m/s未満である。他のいくつかの実施形態においては、誘導SAWデバイス20は、支持基板22と圧電層26との間にいかなる誘電体層(複数可)をも含まず、圧電層26の厚さ(tpiezo)は、2λ未満であり、誘導SAWデバイス20の(バルク波)カットオフ周波数は、fa+(fa-fr)/2よりも大きく、Vsubは、5,400m/s未満である。
【0037】
他のいくつかの実施形態においては、誘導SAWデバイス20は、支持基板22と圧電層26との間にいかなる誘電体層(複数可)をも含まず、圧電層26の厚さ(tpiezo)は、2λ未満であり、Vsubは、金属トランスデューサ28中の表面波速度の1.07倍から6,984m/sの間である。他のいくつかの実施形態においては、誘導SAWデバイス20は、支持基板22と圧電層26との間にいかなる誘電体層(複数可)をも含まず、圧電層26の厚さ(tpiezo)は、2λ未満であり、Vsubは、金属トランスデューサ28中の表面波速度の1.07倍から6,000m/sの間である。他のいくつかの実施形態においては、誘導SAWデバイス20は、支持基板22と圧電層26との間にいかなる誘電体層(複数可)をも含まず、圧電層26の厚さ(tpiezo)は、2λ未満であり、Vsubは、金属トランスデューサ28中の表面波速度の1.07倍から5,400m/sの間である。
【0038】
他のいくつかの実施形態においては、誘導SAWデバイス20は、支持基板22と圧電層26との間に酸化ケイ素(SiO)誘電体層または二酸化ケイ素(SiO)誘電体層を含み、圧電層26の厚さ(tpiezo)は、2λ未満であり、誘導SAWデバイス20の(バルク波)カットオフ周波数は、fa+(fa-fr)/2よりも大きく、Vsubは、6,984m/s未満である。他のいくつかの実施形態においては、誘導SAWデバイス20は、支持基板22と圧電層26との間にSiO誘電体層またはSiO誘電体層を含み、圧電層26の厚さ(tpiezo)は、2λ未満であり、誘導SAWデバイス20の(バルク波)カットオフ周波数は、fa+(fa-fr)/2よりも大きく、Vsubは、6,000m/s未満である。他のいくつかの実施形態においては、誘導SAWデバイス20は、支持基板22と圧電層26との間にSiO誘電体層またはSiO誘電体層を含み、圧電層26の厚さ(tpiezo)は、2λ未満であり、誘導SAWデバイス20の(バルク波)カットオフ周波数は、fa+(fa-fr)/2よりも大きく、Vsubは、5,400m/s未満である。
【0039】
他のいくつかの実施形態においては、誘導SAWデバイス20は、支持基板22と圧電層26との間にSiO誘電体層を含み、圧電層26の厚さ(tpiezo)は、2λ未満であり、Vsubは、金属トランスデューサ28中の表面波速度の1.07倍から6,984m/sの間である。他のいくつかの実施形態においては、誘導SAWデバイス20は、支持基板22と圧電層26との間にSiO誘電体層を含み、圧電層26の厚さ(tpiezo)は、2λ未満であり、Vsubは、金属トランスデューサ28中の表面波速度の1.07倍から6,000m/sの間である。他のいくつかの実施形態においては、誘導SAWデバイス20は、支持基板22と圧電層26との間にSiO誘電体層を含み、圧電層26の厚さ(tpiezo)は、2λ未満であり、Vsubは、金属トランスデューサ28中の表面波速度の1.07倍から5,400m/sの間である。
【0040】
実装に際して、圧電層26が薄すぎる場合、圧電層厚さと、ウェハにわたる均一性を制御することが困難である。したがって、いくつかの実施形態においては、圧電層26の好ましい厚さは、0.25λ以上である。図10に例示しているように、圧電層26が42LTである場合には、支持基板22の速度は、圧電層厚さの0.25λ以上を受け入れるためには、6,000m/s以下である必要がある。他のいくつかの実施形態においては、圧電層26のより好ましい厚さは、0.4λである。図10に例示しているように、圧電層26が42LTである場合には、支持基板22の速度は、圧電層厚さの0.4λ以上を受け入れるためには、5,400m/s以下である必要がある。したがって、式(4)を併せると、圧電層26がLTであるときの圧電層26の厚さのいくつかの例示的な範囲は、いくつかの実施形態においては0.25λから式(4)によって規定された最大厚さまで、及び他のいくつかの実施形態においては0.4λから式(4)によって規定された最大厚さまでである。
【0041】
上記の式(4)によって規定された圧電層26の最大厚さは、LTの場合であり、支持基板22と圧電層26との間に誘電体層(複数可)(たとえば、SiO)が存在しないときの場合である。しかしながら、SiOなどの誘電体層(複数可)が支持基板22と圧電層26との間に配置される場合、誘導SAWデバイス20の共振周波数は、誘電体層(複数可)のより遅い速度に起因して、より遅くなる。したがって、支持基板22と圧電層26との間に誘電体層(複数可)が存在しないときに必要なものと比較して、より薄い圧電層26が、スプリアスモード抑制には必要である。図11は、SiO厚さと、Si支持基板、Si支持基板の表面上のSiO層、及びSi支持基板とは反対側にSiO層の表面上の42LT圧電層を有する例示的な誘導SAWデバイスについてスプリアスモード抑制をもたらす最大LT厚さとの関係のシミュレーション結果を示している。示されているように、関係は線形である。したがって、式(3)及び式(4)は、次のように、LTと、支持基板22と圧電層26との間のSiO誘電体層とを使用する際の圧電層26の最大厚さを規定するように変形され得る。
【数8】
ただし、TSiO2は、波長を単位にしてSiO誘電体層の厚さである。圧電層26がLTまたは他のいくつかの材料(たとえば、LN)とすることができる、より一般的な場合には、式(5)は、
【数9】
になり、式(5)におけるVLTを置き換えると、
【数10】
が与えられる。したがって、式(6)は、圧電層26としてLTを使用する際の、及び支持基板22と圧電層26との間にSiO誘電体層を含む際の圧電層26の最大厚さを規定する。したがって、誘導SAWデバイス20のいくつかの実施形態においては、圧電層26は、式(6)において規定された最大厚さ未満の厚さを有する回転YカットLTである。いくつかの実施形態においては、圧電層26の厚さは、0.05λから式(6)において規定された最大厚さの間である。他の実施形態においては、圧電層26の厚さは、0.1λから式(6)において規定された最大厚さの間である。他の実施形態においては、圧電層26の厚さは、0.25λから法的式(6)において規定された最大厚さの間である。他の実施形態においては、圧電層26の厚さは、0.4λから式(6)において規定された最大厚さの間である。
【0042】
式(6)は、LT及びSiOについて導出されるが、スプリアスモード抑制をもたらす圧電層26の最大厚さが、他の誘電体材料及び/または他の圧電材料について同じように導出され得ることに留意されたい。LT及びSiOの使用は、一例にすぎない。フッ素(F)または他原子ドープのSiOが、圧電層26と支持基板22との間の層(複数可)、及び保護層(複数可)に使用され得る。さらには、SiOがFによりドープされたのか、または他の何らかの原子によりドープされたのかに関わらず、式(6)は依然として有効であることにも留意されたい。
【0043】
図12A図12Gは、本開示のいくつかの実施形態による図4の誘導SAWデバイス20を製造する工程を示している。図12Aに例示しているように、工程は、支持基板22から開始する。図12Bに例示しているように、1つまたは複数の追加の層24(たとえば、1つまたは複数の誘電体層)を、支持基板22の表面上に形成(たとえば、堆積または接合)する。やはり、追加の層(複数可)14は、任意選択である。図12Cに例示しているように、支持基板22とは反対側の追加の層(複数可)14の表面上に(または追加の層(複数可)14が存在しない場合、支持基板22の表面上に)圧電材料32を接合する。図12Dに例示しているように、圧電材料32を、所望の厚さ(tpiezo)を有する圧電層26を形成するように研磨する、または別の形で加工する。結果として生じる構造体が、図12Eに例示されている。上述したように、いくつの実施形態においては、圧電層26の厚さは、スプリアスモード抑制をもたらすように、支持基板22の速度と圧電材料32の速度との両方の関数として選択される。層が、支持基板22と圧電材料32の間に使用される場合、層は、代替として、支持基板22の代わりに圧電材料32の表面上に形成され得、接合は、層と支持基板22との間で行われ得る。支持基板22上の層のうちのいくつか、及び圧電材料32上の層のうちのいくつかを形成し、層の接合を実現することも可能である。
【0044】
次いで、図12Fに例示しているように、(存在する場合の)追加の層(複数可)14及び支持基板22とは反対側の圧電層26の表面上に(たとえば、直接)金属トランスデューサ28を形成する。次いで、図12Gに例示しているように、任意選択により、金属トランスデューサ28の表面及び下位層の露出表面上に1つまたは複数の保護層30を形成(たとえば、堆積)する。
【0045】
図13A図13Hは、本開示の他のいくつかの実施形態による図4の誘導SAWデバイス20を製造する工程を示している。図13Aに例示しているように、工程は、支持基板22から開始する。図13Bに例示しているように、支持基板22の表面上に1つまたは複数の追加の層24(たとえば、1つまたは複数の誘電体層)を形成(たとえば、堆積または接合)する。やはり、追加の層(複数可)14は、任意選択である。図13Cに例示しているように、圧電材料32の表面へのイオン注入を用いて、圧電層26の所望の厚さを規定する所望の、または制御された厚さで、圧電材料32内に損傷層34を生成する。図13Dに例示しているように、支持基板22とは反対側の追加の層(複数可)14の表面上に(または追加の層(複数可)14が存在しない場合には支持基板22の表面上に)圧電材料32を接合する。図13E及び図13Fに例示しているように、損傷層34の上にある圧電材料32の部分を取り除き、それによって、所望の厚さ(tpiezo)を有する圧電層26を形成する。とりわけ、圧電層26の表面を、圧電層26の表面上の残っているいかなる欠陥をも取り除くように研磨することが好ましい。結果として生じる構造体が、図13Fに例示されている。上述したように、いくつの実施形態においては、圧電層26の厚さは、スプリアスモード抑制をもたらすように、支持基板22の速度と圧電材料26の速度との両方の関数として選択される。上述したように、層は、支持基板22上に堆積されても、圧電材料26上に堆積されても、またはその両方に部分的に堆積されてもよい。
【0046】
次いで、図13Gに例示しているように、(存在する場合)追加の層(複数可)14及び支持基板22とは反対側の圧電層26の表面上に(たとえば、直接)金属トランスデューサ28を形成する。次いで、図13Hに例示しているように、任意選択により、金属トランスデューサ28の表面及び下位層の露出表面上に1つまたは複数の保護層30を形成(たとえば、堆積)する。
【0047】
本開示は、限定されるものではないが、次のことを提供する:
- 圧電厚さが、2ラムダ(λ)未満であり、バルク波カットオフ周波数が、fa+(fa-fr)/2よりも大きく、Vsubが、毎秒6,984メートル(m/s)未満である、圧電物質/非半導体基板上の、または
- 圧電厚さが、2λ未満であり、バルク波カットオフ周波数が、fa+(fa-fr)/2よりも大きく、Vsubが、6,000m/s未満である、圧電物質/非半導体基板上の、または
- 圧電厚さが、2λ未満であり、バルク波カットオフ周波数が、fa+(fa-fr)/2よりも大きく、Vsubが、5,400m/s未満である、圧電物質/非半導体基板上の、または
- 圧電厚さが、2λ未満であり、Vsubが、櫛形トランスデューサ(IDT)中の表面波速度の1.07倍から6,984m/sの間である、圧電物質/非半導体基板上の、または
- 圧電厚さが、2λ未満であり、Vsubが、IDT中の表面波速度の1.07倍から6,000m/sの間である、圧電物質/非半導体基板上の、または
- 圧電厚さが、2λ未満であり、Vsubが、IDT中の表面波速度の1.07倍から5,400m/sの間である、圧電物質/非半導体基板上の
二酸化ケイ素(SiO)を含まない表面弾性波(SAW)デバイスであって、
- 圧電材料が、タンタル酸リチウム(LiTaO;LT)またはニオブ酸リチウム(LiNbO)であり、
- 圧電材料が、回転YカットLTであり、LT厚さが、(λを単位にして)1.76-2.52e-4×{Vsub+4210-(-2.435e-9θ+1.103e-6θ-1.719e-4θ+1.145e-2θ-4.229e-1θ+9.765θ+4.103e+3)}未満であり、ここで、
- Vsubは、(毎秒メートル(m/s)で表して)基板中の速度であり、
- θは、(度で表して)LTカット角であり、
- 圧電厚さが、0.10λよりも大きい、
二酸化ケイ素(SiO)を含まない表面弾性波(SAW)デバイス。
- 圧電厚さが、2ラムダ(λ)未満であり、バルク波カットオフ周波数が、fa+(fa-fr)/2よりも大きく、Vsubが、6,984m/s未満である、圧電物質/SiO/非半導体基板上の、または
- 圧電厚さが、2λ未満であり、バルク波カットオフ周波数が、fa+(fa-fr)/2よりも大きく、Vsubが、6,000m/s未満である、圧電物質/SiO/非半導体基板上の、または
- 圧電厚さが、2λ未満であり、バルク波カットオフ周波数が、fa+(fa-fr)/2よりも大きく、Vsubが、5,400m/s未満である、圧電物質/SiO/非半導体基板上の、または
- 圧電厚さが、2λ未満であり、Vsubが、櫛形トランスデューサ(IDT)中の表面波速度の1.07倍から6,984m/sの間である、圧電物質/SiO/非半導体基板上の、または
- 圧電厚さが、2λ未満であり、Vsubが、IDT中の表面波速度の1.07倍から6,000m/sの間である、圧電物質/SiO/非半導体基板上の、または
- 圧電厚さが、2λ未満であり、Vsubが、IDT中の表面波速度の1.07倍から5,400m/sの間である、圧電物質/SiO/非半導体基板上の
二酸化ケイ素(SiO)を含む表面弾性波(SAW)デバイスであって、
- 圧電材料が、タンタル酸リチウム(LiTaO;LT)またはニオブ酸リチウム(LiNbO)であり、
- 圧電材料が、回転YカットLTであり、LT厚さが、(λを単位にして)1.76-2.52e-4×{Vsub+4210-(-2.435e-9θ+1.103e-6θ-1.719e-4θ+1.145e-2θ-4.229e-1θ+9.765θ+4.103e+3)}-0.50×TSiO未満であり、ここで、
- Vsubは、(毎秒メートル(m/s)で表して)基板中の速度であり、
- θは、(度で表して)LTカット角であり、
- TSiOは、(λを単位にして)SiO厚さであり、
- 圧電厚さが、0.05λよりも大きく、
- SiO厚さが、0.1λ未満であり、
- 圧電層が、単結晶(堆積膜ではない)であり、
- 非半導体基板が、ウェハ(堆積膜ではない)から作製される、
二酸化ケイ素(SiO)を含む表面弾性波(SAW)デバイス。
- 基板上のSAWフィルタまたはSAWデュプレクサ。
【0048】
本開示の好ましい実施形態に対する改良形態及び修正形態を当業者なら認識するであろう。そのような改良形態及び修正形態はすべて、本明細書において開示される概念の範囲及び次の特許請求の範囲内にあると見なされる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図12G
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図13G
図13H