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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】温度制御付き自動注射器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20220404BHJP
   A61M 5/24 20060101ALI20220404BHJP
   A61M 5/168 20060101ALI20220404BHJP
   A61M 5/44 20060101ALI20220404BHJP
   A61M 5/315 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
A61M5/20 560
A61M5/24 530
A61M5/168 500
A61M5/44 510
A61M5/44 520
A61M5/315 510
A61M5/315 580
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2018553307
(86)(22)【出願日】2016-12-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2016082857
(87)【国際公開番号】W WO2017114908
(87)【国際公開日】2017-07-06
【審査請求日】2019-10-09
(31)【優先権主張番号】15203168.8
(32)【優先日】2015-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16190461.0
(32)【優先日】2016-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518234531
【氏名又は名称】アセンディス ファーマ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペデルセン、ペール メルガールド
(72)【発明者】
【氏名】イェンセン、ステーン
(72)【発明者】
【氏名】エーゲスボリ、ヘンリク
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン、ビョルン クヌド
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-279438(JP,A)
【文献】特表2011-507668(JP,A)
【文献】国際公開第2006/059597(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/069305(WO,A1)
【文献】英国特許出願公開第02506918(GB,A)
【文献】特表2010-506681(JP,A)
【文献】特開2005-080832(JP,A)
【文献】国際公開第2015/187797(WO,A1)
【文献】特表平11-513586(JP,A)
【文献】特表2014-502890(JP,A)
【文献】特表2015-501688(JP,A)
【文献】国際公開第2015/115326(WO,A1)
【文献】特表2014-500746(JP,A)
【文献】特表2012-508081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/24
A61M 5/168
A61M 5/44
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を投与するための自動注射器であって、
ハウジングと、
第1のストッパと前記薬剤を収容するカートリッジ室とを有するカートリッジを受け入れるように構成されたカートリッジレシーバであって、前記カートリッジ室は、前記薬剤の第1の薬剤成分を収容する第1のカートリッジ小室と、前記薬剤の第2の薬剤成分を収容する第2のカートリッジ小室とを有している、カートリッジレシーバと、
前記第1のストッパを移動させるように構成されたプランジャロッドを、プランジャロッド後退位置とプランジャロッド伸張位置との間で移動させるように結合された駆動モジュールと、
前記カートリッジレシーバに受け入れられたときに前記カートリッジ内の前記薬剤の温度を表す温度信号を提供するように構成された温度センサと、
前記温度センサおよび前記駆動モジュールに接続された処理ユニットと
を有する自動注射器において、
前記処理ユニットは、
前記温度信号を受信し、
前記プランジャロッドを、前記温度信号に基づいて、第1のプランジャロッド位置から混合プランジャロッド位置へと混合プランジャロッド速度で移動させるように前記駆動モジュールを制御し、前記混合プランジャロッド位置は、前記第1の薬剤成分が前記第2の薬剤成分と混合される位置に前記第1のストッパを位置付けるように選択されており、
前記混合プランジャロッド位置への前記プランジャロッドの移動の完了から所定の再構成時間が経過した後、前記プランジャロッドを前記混合プランジャロッド位置から第2のプランジャロッド位置へと移動させるように前記駆動モジュールを制御し、前記再構成時間は前記温度信号に基づく
ように構成されている、自動注射器。
【請求項2】
前記第1のプランジャロッド位置および/または前記混合プランジャロッド位置は、前記温度信号に基づく、請求項1に記載の自動注射器。
【請求項3】
前記混合プランジャロッド速度は、前記温度信号に基づく、請求項1または2に記載の自動注射器。
【請求項4】
前記カートリッジレシーバは、前記カートリッジと、カートリッジコード特徴部とを有するカートリッジアセンブリを受け入れるように構成され、前記自動注射器は、前記カートリッジコード特徴部を読み取るように構成されたコードセンサを有し、前記処理ユニットは、前記コードセンサに接続され、且つ前記カートリッジコード特徴部を表すコード信号を前記コードセンサから受信するようにさらに構成され、前記第1のプランジャロッド位置から前記混合プランジャロッド位置への移動は、前記コード信号に基づく、請求項1からまでのいずれか一項に記載の自動注射器。
【請求項5】
前記再構成時間は、前記コード信号に基づく、請求項に記載の自動注射器。
【請求項6】
前記第1のプランジャロッド位置および/または前記混合プランジャロッド位置は、前記コード信号に基づく、請求項またはに記載の自動注射器。
【請求項7】
前記混合プランジャロッド速度は、前記コード信号に基づく、請求項からまでのいずれか一項に記載の自動注射器。
【請求項8】
前記カートリッジレシーバに受け入れられた前記カートリッジの向きを表す向き信号をもたらすように構成された向きセンサを有し、前記処理ユニットは、前記向きセンサに接続され、且つ前記向き信号を受信するようにさらに構成され、前記第1のプランジャロッド位置から前記混合プランジャロッド位置への移動は、前記向き信号に基づく、請求項1からまでのいずれか一項に記載の自動注射器。
【請求項9】
前記再構成時間は、前記向き信号に基づく、請求項に記載の自動注射器。
【請求項10】
前記混合プランジャロッド速度は、前記向き信号に基づく、請求項またはに記載の自動注射器。
【請求項11】
前記処理ユニットは、前記自動注射器の累積の運動に基づいて第1の運動パラメータを決定するようにさらに構成される、請求項1から10までのいずれか一項に記載の自動注射器。
【請求項12】
前記再構成時間は、前記第1の運動パラメータに基づく、請求項11に記載の自動注射器。
【請求項13】
前記混合プランジャロッド速度は、前記第1の運動パラメータに基づく、請求項11または12に記載の自動注射器。
【請求項14】
前記第1の運動パラメータは、前記自動注射器の反転の回数を表す、請求項11から13までのいずれか一項に記載の自動注射器。
【請求項15】
前記第1の運動パラメータは、前記自動注射器の運動の周波数を表す、請求項11から14までのいずれか一項に記載の自動注射器。
【請求項16】
前記温度センサは、赤外線センサを有する、請求項1から15までのいずれか一項に記載の自動注射器。
【請求項17】
前記カートリッジレシーバに受け入れられた前記カートリッジの温度を変更するように構成された温度制御ユニットをさらに有する、請求項1から16までのいずれか一項に記載の自動注射器。
【請求項18】
前記温度制御ユニットは、前記カートリッジの温度を上げるように構成される、請求項17に記載の自動注射器。
【請求項19】
前記温度制御ユニットは、抵抗加熱素子を有する、請求項18に記載の自動注射器。
【請求項20】
前記温度制御ユニットは、誘電加熱素子を有する、請求項18または19に記載の自動注射器。
【請求項21】
前記温度制御ユニットは、前記カートリッジの温度を下げるように構成される、請求項17から20までのいずれか一項に記載の自動注射器。
【請求項22】
前記温度制御ユニットは、ペルチェ素子などの熱電素子を有する、請求項17から21までのいずれか一項に記載の自動注射器。
【請求項23】
前記温度制御ユニットは、前記カートリッジレシーバに受け入れられた前記カートリッジに接触するように構成された接触要素を有する、請求項17から22までのいずれか一項に記載の自動注射器。
【請求項24】
前記温度制御ユニットは、前記カートリッジレシーバに受け入れられた前記カートリッジの全周を囲むように構成されたコイル要素を有する、請求項17から23までのいずれか一項に記載の自動注射器。
【請求項25】
前記第1のプランジャロッド位置は、混合前プランジャロッド位置であり、該混合前プランジャロッド位置は、前記第1のカートリッジ小室と前記第2のカートリッジ小室との間の連通が未だ確立されない位置に前記第1のストッパを位置付けるように選択されたものである、請求項1から24までのいずれか一項に記載の自動注射器。
【請求項26】
前記第2のプランジャロッド位置は、プライムプランジャロッド位置であり、該プライムプランジャロッド位置は、前記カートリッジ室内の空気が注射に適した量まで減らされる位置に前記第1のストッパを位置付けるように選択されたものである、請求項1から25までのいずれか一項に記載の自動注射器。
【請求項27】
前記処理ユニットは、前記駆動モジュールを制御して前記プランジャロッドを注射プランジャロッド位置へと移動させるように構成されており、前記注射プランジャロッド位置は、前記カートリッジ室内の薬剤が最小限にされる位置に前記第1のストッパを位置させるように選択されたものである、請求項1から26までのいずれか一項に記載の自動注射器。
【請求項28】
前記処理ユニットは、
トリガイベントを受信し、
前記トリガイベントの受信に続いて前記プランジャロッドを前記注射プランジャロッド位置へと移動させるように前記駆動モジュールを制御する
ようにさらに構成されている、請求項27に記載の自動注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子式自動注射器などの自動注射器、自動注射器用のカートリッジ、自動注射器とカートリッジとを備えるシステム、および自動注射器を動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮下注射器が、身体へと流体をもたらすために広く使用されている。手動操作に適用できる皮下注射器を有することが公知である。しかしながら、電子式自動注射器などの自動注射器が開発されており、身体への流体または薬剤の投与を補助するために広く使用されている。
【0003】
ユーザによる特定の作業の正しい実行に頼らなくてもよいように、自動注射器が注射のプロセスを可能な限り自動的に実行することが、関心をますます集めている。とくには、注射に先立って薬剤を混合する必要がある場合など、薬剤の投与がいくつかのステップを必要とする場合、薬剤などの流体の調製および投与のプロセスを自動化することが有益であり得る。
【0004】
さらに、さまざまな状況において正確な制御を可能にするために、そのような装置にセンサを組み込むことが好都合であり得る。
【発明の概要】
【0005】
薬剤の調製および投与の自動化が改善された電子式自動注射器などの自動注射器が、必要とされている。本開示は、自動注射器、カートリッジ、システム、および自動注射器による薬剤の調製および投与を改善する方法を提供する。
【0006】
したがって、カートリッジからの薬剤などの薬剤を調製および/または投与するための自動注射器が開示される。
【0007】
自動注射器は、ハウジングと、カートリッジレシーバと、駆動モジュールと、温度センサと、処理ユニットとを備える。
【0008】
カートリッジレシーバは、第1のストッパと、薬剤を収容するカートリッジ室とを備えるカートリッジなど、カートリッジを受け入れるように構成される。カートリッジ室は、薬剤の第1の薬剤成分を収容する第1のカートリッジ小室と、薬剤の第2の薬剤成分を収容する第2のカートリッジ小室とを有する。
【0009】
駆動モジュールは、プランジャロッド後退位置とプランジャロッド伸張位置との間でプランジャロッドを移動させるように組み合わせられる。プランジャロッドは、第1のストッパを移動させるように構成される。
【0010】
温度センサは、例えば、カートリッジがカートリッジレシーバに受け入れられたときに、カートリッジ内の薬剤の温度を表す温度信号をもたらすように構成される。
【0011】
処理ユニットは、温度センサおよび駆動モジュールに接続される。処理ユニットは、温度信号を受信し、プランジャロッドを第1のプランジャロッド位置から混合プランジャロッド位置へと移動させるように駆動モジュールを制御し、プランジャロッドの混合プランジャロッド位置への移動が完了してから再構成時間が経過した後にプランジャロッドを混合プランジャロッド位置から第2のプランジャロッド位置へと移動させるように駆動モジュールを制御するように構成される。
【0012】
混合プランジャロッド位置は、第1の薬剤成分が第2の薬剤成分と混合される位置に第1のストッパを位置させるように選択される。
【0013】
処理ユニットは、駆動モジュールを制御して、プランジャロッドを第1のプランジャロッド位置から混合プランジャロッド位置へと混合プランジャロッド速度で移動させるようにさらに構成される。混合プランジャロッド速度は、一定の速度であっても、変化する速度であってもよい。
【0014】
第1のプランジャロッド位置から混合プランジャロッド位置への移動は、温度信号に基づくことができる。例えば、処理ユニットを、駆動モジュールを制御して温度信号に基づいてプランジャロッドを第1のプランジャロッド位置から混合プランジャロッド位置へと移動させるように構成することができる。
【0015】
さらに、上記開示の自動注射器などの自動注射器のためのカートリッジが開示される。カートリッジは、第1のストッパと、薬剤を収容するカートリッジ室とを備える。カートリッジ室は、薬剤の第1の薬剤成分を収容する第1のカートリッジ小室と、薬剤の第2の薬剤成分を収容する第2のカートリッジ小室とを有する。カートリッジは、第1のカートリッジ端部および第2のカートリッジ端部を有し、第1のカートリッジ端部にカートリッジ出口を有することができる。カートリッジは、例えばカートリッジの第2の端部を自動注射器のカートリッジレシーバ開口部を通って挿入することによって、上記開示の自動注射器のカートリッジレシーバなどの自動注射器のカートリッジレシーバによって受け入れられるように構成される。
【0016】
さらに、上記開示の自動注射器などの自動注射器と、上記開示のカートリッジなどのカートリッジとを備えるシステムも開示される。
【0017】
さらに、自動注射器を動作させるための方法も開示され、自動注射器は、上記開示の自動注射器など、例えばカートリッジを受け入れるように構成されたカートリッジレシーバを備える自動注射器であり、カートリッジは、上記開示のカートリッジなど、例えば第1のストッパと、薬剤を収容するカートリッジ室とを備えており、カートリッジ室は、薬剤の第1の薬剤成分を収容する第1のカートリッジ小室と、薬剤の第2の薬剤成分を収容する第2のカートリッジ小室とを有しているカートリッジである。自動注射器は、第1のストッパを移動させるように構成されたプランジャロッドと、温度センサとをさらに備えることができる。
【0018】
この方法は、薬剤の温度を表す温度センサからの温度信号を受信するステップと、プランジャロッドを、温度信号に基づいて、第1のプランジャロッド位置から、第1の薬剤成分が第2の薬剤成分と混合される位置に第1のストッパを位置させるように選択される混合プランジャロッド位置へと、混合プランジャロッド速度で移動させるステップと、混合プランジャロッド位置へのプランジャロッドの移動の完了から再構成時間が経過した後にプランジャロッドを混合プランジャロッド位置から第2のプランジャロッド位置へと移動させるステップとを含む。
【0019】
第1のプランジャロッド位置は、混合前プランジャロッド位置であってよい。混合前プランジャロッド位置を、第1のカートリッジ小室と第2のカートリッジ小室との間の連通が未だ確立されない位置に第1のストッパを位置させるように選択することができる。あるいは、第1のプランジャロッド位置は、例えば初期プランジャロッド位置など、プランジャロッド後退位置であってよい。
【0020】
第2のプランジャロッド位置は、プライムプランジャロッド位置であってよい。プライムプランジャロッド位置を、カートリッジ室内の空気が注射に適した量へと減らされる位置に第1のストッパを位置させるように選択することができる。あるいは、第2のプランジャロッド位置は、注射プランジャロッド位置であってよい。第2のプランジャロッド位置は、プランジャロッド伸張位置であってよい。
【0021】
本方法は、トリガイベントを受信するステップと、例えばプランジャロッドの第2のプランジャロッド位置への移動の完了後に、トリガイベントの受信を受けてプランジャロッドを注射プランジャロッド位置へと移動させるステップとをさらに含むことができる。
【0022】
トリガイベントは、例えば、ボタンの押し下げの結果、小休止の経過の結果、および/またはユーザの所定の行動の結果であってよい。トリガイベントは、自動注射器が注射部位に押し付けられていることを示すことができる。
【0023】
本開示の利点は、薬剤の調製および/または投与に関する工程が、ますます自動化されることである。このような自動化の向上が、薬剤の調製および/または投与における安全性の向上をもたらすことが、さらなる利点である。
【0024】
本開示のさらなる利点は、使用がより容易であり、薬剤の誤った投与の危険性を少なくする自動注射器を提供できることである。
【0025】
本開示のさらなる利点は、自動注射器を薬剤の温度などの温度に応じて動作させることで、例えば自動注射器の動作の精度を高めることができることである。
【0026】
したがって、患者の安全性が向上することが、本開示のさらなる利点である。
【0027】
任意の1つの態様に関連して説明された任意の実施形態または要素を、必要な変更を加えて、任意の他の態様または実施形態において使用できると考えられる。
【0028】
カートリッジは、第1のカートリッジ端部にカートリッジ出口を有することができる。カートリッジは、例えばカートリッジ出口の反対側などの第2のカートリッジ端部に、カートリッジ後面を備えることができる。カートリッジ後面は、カートリッジ後端開口部を備えることができる。カートリッジ後端開口部は、自動注射器のプランジャロッドなどのプランジャロッドに、第1のストッパへのアクセスを提供することができる。
【0029】
カートリッジ室は、薬剤を収容することができる。カートリッジ出口を、例えば第1のカートリッジ端部においてカートリッジ室と連通するように構成することができる。カートリッジを、カートリッジ出口を通って薬剤を吐出するように構成することができる。カートリッジ出口を、皮下注射針などの針と結合して、針を通る薬剤の吐出をもたらすように構成することができる。
【0030】
カートリッジは、カートリッジ室の内部で移動可能な第1のストッパを備える。カートリッジは、カートリッジ室の内部で移動可能な第2のストッパを備えることができる。第2のストッパは、第1のストッパとカートリッジ出口との間にあってよい。カートリッジは、カートリッジ室の内部で移動可能な第3のストッパを備えることができる。第3のストッパは、第2のストッパとカートリッジ出口との間にあってよい。第1のストッパ、第2のストッパ、および/または第3のストッパは、第1のカートリッジ端部に向かうなど、例えば第1のストッパ方向に、カートリッジ出口に向かってカートリッジ室の内部を移動可能であってよい。例えば、薬剤を、例えば第1のストッパ方向であり、さらには/あるいはカートリッジ出口へと向かう第1のストッパ、第2のストッパ、および/または第3のストッパの移動時に、カートリッジ出口を通って吐出させることができる。
【0031】
カートリッジは、2室のカートリッジであってよい。カートリッジ室は、第1のカートリッジ小室および第2のカートリッジ小室を有することができる。第1のカートリッジ小室は、第1のストッパと第2のストッパとの間にあってよい。第2のカートリッジ小室は、第2のストッパとカートリッジ出口および/または第3のストッパとの間にあってよい。
【0032】
第1のカートリッジ小室は、薬剤の第1の薬剤成分を収容することができる。第2のカートリッジ小室は、薬剤の第2の薬剤成分を収容することができる。第1の薬剤成分および/または第2の薬剤成分の各々は、粉末組成物、流体、液体、ゲル、気体、および/またはこれらの任意の組み合わせであってよい。第1の薬剤成分および/または第2の薬剤成分は、粉末組成物などの溶質であってよい。第1の薬剤成分および/または第2の薬剤成分は、液体組成物などの流体組成物などの溶剤であってよい。第2の薬剤成分が、粉末組成物であってよく、第1の薬剤成分が、例えば水またはエタノールまたは生理食塩水または緩衝液または保存液など、流体組成物であってよい。第2の薬剤成分は、溶質であってよい。第1の薬剤成分は、溶剤であってよい。薬剤は、例えば薬剤の再構成(復元)後に皮下注射針を介して注射することができる任意の薬剤であってよいと考えられる。薬剤は、成長ホルモンであってよい。薬剤は、ヒト成長ホルモンであってよい。薬剤は、ヒト成長ホルモンの長時間作用型などのデポ(depot)剤であってよい。第2の薬剤成分は、ヒト成長ホルモンの粉末組成物であってよい。
【0033】
カートリッジは、バイパス部を有することができ、バイパス部は、例えば第2のストッパがバイパス部に位置するときに第1のカートリッジ小室と第2のカートリッジ小室との間の連通をもたらす。カートリッジは、例えば隣接するカートリッジ小室を隔てているストッパがバイパス部に位置するときに隣接するカートリッジ小室の間に連通をもたらす複数のバイパス部を有することができる。
【0034】
開示される自動注射器は、再使用可能な自動注射器であってよい。再使用可能な自動注射器は、カートリッジが複数の小室を備える場合にとくに有用であり得る。例えば、多室またはマルチチャンバカートリッジのための自動注射器は、より先進的である可能性があり、したがって自動注射器を2回以上使用できることが有益となり得る。例えば、自動注射器は、当初はカートリッジの異なる小室にてもたらされる薬剤成分の混合など、薬剤成分の混合のための自動プロセスを提供することができる。
【0035】
カートリッジを、カートリッジアセンブリの一部として構成してもよい。カートリッジアセンブリは、カートリッジを備えることができる。さらに、カートリッジアセンブリは、針、針カバー、カートリッジホルダ、および/またはカートリッジコード特徴部を備える針アセンブリなどの針を備えることができる。
【0036】
カートリッジアセンブリは、針を備える針アセンブリなどの針を備えることができる。針アセンブリは、針カバーおよび/または針ハブを備えることができる。カートリッジアセンブリは、カートリッジホルダを備えることができる。カートリッジホルダを、針アセンブリと係合するように構成することができる。カートリッジホルダは、針アセンブリのカートリッジへの取り付けをもたらすことができる。
【0037】
カートリッジは、カートリッジコード特徴部を備えることができ、さらには/あるいはカートリッジアセンブリが、カートリッジおよびカートリッジコード特徴部を備えることができる。カートリッジコード特徴部は、色、バーコード、RFIDタグ、NFCタグ、識別番号、およびQRコードのうちの1つ以上を備えることができる。例えば、カートリッジコード特徴部は、色および/または色の並びを備えることができる。カートリッジコード特徴部を、第1のストッパなどのストッパが初めに位置するカートリッジ室の一部分を囲み、あるいは部分的に囲んで配置することができる。このようなカートリッジコード特徴部の位置は、例えばストッパがカートリッジコード特徴部の背景を形成できるため、カートリッジコード特徴部の可読性を高めることができる。第1のストッパなどのストッパは、薄い灰色または白色などの明るい色であってよい。第1のストッパなどのストッパは、濃い青、濃い灰色、または黒色などの暗い色であってよい。ストッパは、カートリッジコード特徴部の暗い背景を形成することができる。第1のストッパなどのストッパは、光の反射を低減して、例えばカートリッジコード特徴部の可読性をさらに高めることができる。
【0038】
カートリッジコード特徴部を、例えば第1のストッパなどのストッパとは独立に、カートリッジ上の特定の位置に配置してもよい。例えば、カートリッジコード特徴部を、第2のカートリッジ端部からコード距離に配置することができる。すべてのカートリッジは、例えば第2のカートリッジ端部からコード距離に配置されるなど、同じ位置に配置されたそれぞれのカートリッジコード特徴部を有することができる。カートリッジコード特徴部のこのような一様な配置は、すべての適切なカートリッジにおいてカートリッジコード特徴部が同じ位置で読み取られるがゆえに、自動注射器の複雑さを減らし、サイズを小さくすることができる。
【0039】
カートリッジおよびカートリッジコード特徴部を、1つの要素として製造することができる。例えば、カートリッジコード特徴部は、カートリッジの特定の形態であってよい。あるいは、カートリッジコード特徴部を、例えば接着剤でカートリッジに固定されるなど、カートリッジに取り付けることができる。例えば、カートリッジコード特徴部は、カートリッジに印刷された色コードであってよい。
【0040】
カートリッジコード特徴部は、カートリッジ内の薬剤、カートリッジ内の薬剤の濃度、カートリッジ内の薬剤の粘度、カートリッジ内の薬剤の体積および/または質量、カートリッジ室内のストッパの位置、などの1つ以上のカートリッジ仕様を示すことができる。カートリッジコード特徴部は、カートリッジ室内の空気が減らされ、例えば最小限にされ、さらには/あるいは注射に適した量まで減らされる第1のストッパの位置を示すことができる。カートリッジコード特徴部は、カートリッジに収容された薬剤の量を示すことができる。カートリッジコード特徴部は、特定の種類のカートリッジのID番号など、カートリッジの特定の種類を示すことができる。自動注射器の処理ユニットなどの自動注射器を、例えば参照表によってID番号に基づいて1つ以上のカートリッジ仕様を決定するように構成することができる。カートリッジコード特徴部は、混合時、空気の排出時、および/または注射時などの移動の種々の段階におけるストッパの移動など、ストッパの移動について、最適な速度などの適切な速度を示すことができる。カートリッジコード特徴部は、混合時、空気の排出時、および/または注射時などの移動の種々の段階における第1のストッパの移動の速度など、第1のストッパの移動について、最適な速度などの適切な速度を示すことができる。カートリッジコード特徴部は、第1の薬剤成分と第2の薬剤成分との最適な混合に必要な時間を示すことができる。カートリッジコード特徴部は、例えば注射後の針の後退までの好ましい待機時間など、例えば薬剤の組織への分配を保証するための時間などの薬剤のための適切な滞留時間を示すことができる。カートリッジコード特徴部は、第1の薬剤成分と第2の薬剤成分との最適な混合に必要な運動エネルギの量を示すことができる。カートリッジコード特徴部は、例えば第1の薬剤成分と第2の薬剤成分との混合および/または薬剤の注射のための薬剤の所望の温度を示すことができる。
【0041】
自動注射器は、前込め式の自動注射器であってよい。自動注射器は、カートリッジを受け入れるように構成されたカートリッジレシーバを備える。カートリッジレシーバを、カートリッジを備えるカートリッジアセンブリを受け入れるように構成することができる。カートリッジアセンブリは、カートリッジホルダを備えることができる。カートリッジレシーバは、カートリッジレシーバ開口部を有することができる。カートリッジレシーバを、カートリッジの第2の端部などのカートリッジをカートリッジレシーバ開口部を通って挿入することによって、カートリッジを受け入れるように構成することができる。カートリッジを、カートリッジの受け入れ方向に挿入することができる。カートリッジ受け入れ方向は、例えばカートリッジがカートリッジレシーバに受け入れられるときの第1のストッパ方向とは反対であってよい。カートリッジは、カートリッジレシーバに挿入されるとき、第1の角度位置にあってよい。カートリッジを、例えばカートリッジをカートリッジレシーバに挿入した後に、第2の角度位置でカートリッジレシーバに保持することができる。
【0042】
カートリッジレシーバを、カートリッジとカートリッジホルダとを備えるカートリッジアセンブリを受け入れるように構成することができる。カートリッジアセンブリを、カートリッジレシーバの部材と係合するカートリッジホルダの1つ以上のカートリッジ保持部材によってカートリッジレシーバに保持することができる。
【0043】
カートリッジおよび/またはカートリッジアセンブリは、カートリッジレシーバにロック可能であってよく、例えばカートリッジおよび/またはカートリッジアセンブリをカートリッジレシーバにロックして、カートリッジおよび/またはカートリッジアセンブリのカートリッジレシーバからの取り外しを防止することができる。カートリッジおよび/またはカートリッジアセンブリを、自動注射器のプランジャロッドの動きによってカートリッジレシーバにロックすることができる。
【0044】
自動注射器は、カートリッジセンサを備えることができる。カートリッジレシーバが、カートリッジセンサを備えることができる。カートリッジセンサを、カートリッジレシーバへのカートリッジおよび/またはカートリッジアセンブリの受け入れを検出するように構成することができる。カートリッジセンサは、カートリッジおよび/またはカートリッジアセンブリがカートリッジレシーバに受け入れられているか否かを示すカートリッジセンサ信号をもたらすことができる。カートリッジセンサは、カートリッジレシーバに収容されているカートリッジおよび/またはカートリッジアセンブリを示すカートリッジ検出信号をもたらすことができる。カートリッジセンサ信号は、カートリッジ検出信号を含むことができる。
【0045】
自動注射器は、電子式の自動注射器であってよい。自動注射器は、バッテリを備えることができる。ハウジングは、バッテリを収容することができる。バッテリは、充電式のバッテリであってよい。例えば、バッテリは、LiイオンバッテリまたはNiCdバッテリまたはNiMHバッテリであってよい。バッテリを、充電器の接続によって充電されるように構成することができる。
【0046】
自動注射器は、駆動モジュールを備える。駆動モジュールを、プランジャロッドを例えばプランジャロッド後退位置とプランジャロッド伸張位置との間で移動させ、例えば作動させ、例えば前進させるように組み合わせることができる。プランジャロッドの移動は、カートリッジレシーバへのカートリッジおよび/またはカートリッジアセンブリのロックをもたらすことができる。例えば、カートリッジおよび/またはカートリッジアセンブリを、プランジャロッドをプランジャロッド後退位置から前進させることによって、カートリッジレシーバにロックすることができる。
【0047】
駆動モジュールは、1つ以上の電気素子を備えることができる。駆動モジュールを、バッテリから電力を受け取るように構成することができる。駆動モジュールを、電力を受け取るためにバッテリに電気的に接続することができる。駆動モジュールを、ハウジングに収容することができる。駆動モジュールは、DCモータなどの電気機械モータなどのモータを備えることができ、例えばブラシ付きまたはブラシなしのDCモータを備えることができる。駆動モジュールは、ソレノイドモータを備えることができる。駆動モジュールは、形状記憶金属エンジンを備えることができる。駆動モジュールは、プランジャロッドを作動させるように構成されたばね装置を備えることができる。駆動モジュールは、プランジャロッドを作動させるように構成された加圧ガスを備えることができる。
【0048】
自動注射器は、駆動モジュールによって移動させることができるプランジャロッドなどのプランジャロッドを備えることができる。プランジャロッドを、カートリッジの第1のストッパなどのストッパを移動させるように構成することができる。例えば、プランジャロッドが、第1のプランジャロッド位置から混合プランジャロッド位置および/または混合プランジャロッド位置から第2のプランジャロッド位置など、プランジャロッド伸張位置に向かって移動するときに、プランジャロッドを、例えば2つの薬剤成分を混合し、さらには/あるいはカートリッジ出口を通ってカートリッジ室から薬剤を吐出させ、さらには/あるいはカートリッジ出口を通ってカートリッジ室から空気を吐出させるために、第1のストッパをカートリッジ出口に向かって移動させるように構成することができる。
【0049】
プランジャロッドを、例えばプランジャロッド後退位置から、例えばプランジャロッド伸張位置に向かって、混合前プランジャロッド位置などの第1のプランジャロッド位置へと移動させることができる。第1のプランジャロッド位置は、混合前プランジャロッド位置であってよい。混合前プランジャロッド位置を、第1のカートリッジ小室と第2のカートリッジ小室との間の連通が未だ確立されない位置に第1のストッパを位置させるように選択することができる。
【0050】
プランジャロッドを、例えば第1のプランジャロッド位置から、例えばプランジャロッド伸張位置に向かって、混合プランジャロッド位置へと移動させることができる。混合プランジャロッド位置は、第1の薬剤成分と第2の薬剤成分とが組み合わせられるなど、混合される位置であってよい。混合プランジャロッド位置は、例えば第1のカートリッジ小室と第2のカートリッジ小室との間の連通がもたらされるように、第2のストッパをバイパス部に位置させる位置であってよい。
【0051】
プランジャロッドを、例えば混合プランジャロッド位置から、例えばプランジャロッド伸張位置に向かって、第2のプランジャロッド位置へと移動させることができる。第2のプランジャロッド位置は、プライムプランジャロッド位置であってよい。プライムプランジャロッド位置を、空気がカートリッジ室から吐出させた位置に第1のストッパを位置させるように選択することができる。例えば、プライムプランジャロッド位置を、カートリッジ室内の空気が減らされ、例えば最小限にされ、さらには/あるいは注射に適した量へと減らされる位置に、第1のストッパを位置させるように選択することができる。
【0052】
プランジャロッドを、例えば第2のプランジャロッド位置から、例えばプランジャロッド伸張位置に向かって、注射プランジャロッド位置へと移動させることができる。注射プランジャロッド位置は、薬剤がカートリッジ室から吐出させられ、さらには/あるいは注射された位置であってよい。例えば、注射プランジャロッド位置を、カートリッジ出口に近い位置など、カートリッジ室内の薬剤が減らされ、例えば最小限にされる位置に、第1のストッパを位置させるように選択することができる。注射プランジャロッド位置は、プランジャロッド伸張位置であってよい。
【0053】
プランジャロッドを、プランジャロッド後退位置に向かって、例えばプランジャロッド後退位置へと移動させることができる。例えば、プランジャロッドを、注射プランジャロッド位置および/またはプランジャロッド伸張位置などから、注射の完了後に、プランジャロッド後退位置に向かって、例えばプランジャロッド後退位置へと移動させることができる。
【0054】
処理ユニットを、プランジャロッドを混合プランジャロッド位置、第2のプランジャロッド位置、注射プランジャロッド位置、プランジャロッド伸張位置、および/またはプランジャロッド後退位置へと移動させるように構成することができる。
【0055】
処理ユニットを、例えば第2のプランジャロッド位置などの先行のプランジャロッド位置へのプランジャロッドの移動の完了後に、トリガイベントを受信し、トリガイベントの受信を受けて駆動モジュールを制御してプランジャロッドを注射プランジャロッド位置へと移動させるように構成することができる。
【0056】
自動注射器は、プランジャロッド位置センサなどの排出センサを備えることができる。排出センサを、カートリッジ室内の薬剤および/または空気の吐出などの排出を検出するように構成することができる。排出センサを、プランジャロッドの位置および/または第1のストッパの位置を検出および/または決定するように構成することができる。排出センサを、プランジャロッドの位置および/または第1のストッパの位置を示す状態を検出するように構成することができる。排出センサを、排出センサ信号をもたらすように構成することができる。排出センサ信号は、プランジャロッドおよび/または第1のストッパの位置を表すことができる。
【0057】
排出センサは、例えば駆動モジュールの回転計など、回転計を備えることができる。回転計を、例えばプランジャロッドのプランジャロッド後退位置などのプランジャロッドの位置が既知である所定の点からの駆動モジュールの回転数など、駆動モジュールのモータなどの駆動モジュールの回転数をカウントするように構成することができる。駆動モジュールの回転数を、混合前プランジャロッド位置、混合プランジャロッド位置、プライムプランジャロッド位置、注射プランジャロッド位置、プランジャロッド伸張位置、および/またはプランジャロッド後退位置など、プランジャロッドの実際の位置を決定するために使用することができる。
【0058】
処理ユニットを、回転計などの排出センサに接続することができる。処理ユニットは、駆動モジュールの回転数を示す回転計信号などの第1の排出センサ信号を排出センサから受信することができる。処理ユニットは、第1の排出センサ信号に基づいてプランジャロッドの位置を決定することができる。処理ユニットは、プランジャロッドがプランジャロッド後退位置および/または第1のプランジャロッド位置などの既知の位置にあることを示す第2の排出センサ信号を、例えば排出センサから受信することができる。処理ユニットは、第1の排出センサ信号および第2の排出センサ信号に基づいて、プランジャロッドの位置を決定することができる。
【0059】
カートリッジは、カートリッジレシーバにロック可能であってよく、例えばカートリッジをカートリッジレシーバにロックして、カートリッジのカートリッジレシーバからの取り外しを防止することができる。プランジャロッドをプランジャロッド伸張位置に向かって移動させることで、カートリッジをカートリッジレシーバにロックすることができる。例えば、混合プランジャロッド位置へとプランジャロッドを移動させることで、カートリッジをカートリッジレシーバにロックすることができる。プランジャロッドをプランジャロッド後退位置に向かって移動させることで、カートリッジレシーバへのカートリッジのロックを解除することができる。例えば、プランジャロッドをプランジャロッド後退位置へと移動させることで、カートリッジレシーバへのカートリッジのロックを解除することができる。カートリッジを、プランジャロッドがプランジャロッド後退位置および/またはプランジャロッド後退位置の付近にない場合に、カートリッジレシーバにロックすることができる。プランジャロッドの位置をカートリッジレシーバにおけるカートリッジのロックと結び付けることで、自動注射器が作動しているときのカートリッジの解放を制限または防止することができるという利点を提供することができる。
【0060】
自動注射器は、向きセンサを備えることができる。向きセンサを、例えばカートリッジがカートリッジレシーバに受け入れられたときに、カートリッジの向きを示す向き信号をもたらすように構成することができる。向き信号は、重力の方向に対するカートリッジの向きなど、重力に対するカートリッジの向きを示すことができる。向き信号は、例えば3軸加速度信号などの加速度信号であってよい。向き信号は、例えば三次元の加速度データなどの加速度データを含むことができる。向き信号は、装置の加速度を表す加速度データを含むことができる。
【0061】
向きセンサを、カートリッジの向きおよび/または自動注射器の向きなどのカートリッジの向きを表す向きを検出するように構成することができる。検出された向きは、重力の方向に対する向きなど、重力に対する向きであってよい。向きセンサを、重力の方向を検出するように構成することができ、さらには/あるいは重力の方向が所定の方向の特定の範囲内にあるか否かを検出するように構成することができる。向きセンサは、加速度計を備えることができる。向きセンサは、例えば3次元加速度計などの3次元における加速度を検出するように配置された3つの加速度計など、3つの加速度計などの複数の加速度計を備えることができる。向きセンサは、傾斜センサ、3軸加速度計、1軸加速度計、磁気計、および/またはこれらの任意の組み合わせを備えることができ、向きセンサは、ロール、ピッチ、および方位角の測定値、1つ以上の方向の加速度および/または傾斜の測定値、などをもたらすことができる。
【0062】
向きセンサを、例えば線形加速度および/または速度および/または位置ならびに/あるいは1次元、2次元、または3次元における追加の回転加速度および/または回転速度など、動的信号をもたらすように構成することができる。向きセンサを、装置の位置および/または動きについて完全な慣性感知をもたらすように構成することができる。処理ユニットを、例えば速度信号を導出するための加速度信号の時間積分および/または速度信号から位置信号を導出するための時間積分など、向き信号などの運動センサ信号を或るドメインから他のドメインへと変換するように構成することができる。
【0063】
向きセンサを、カートリッジが所定の向きであるかどうかを検出するように構成することができる。向きセンサを、自動注射器の向きが、カートリッジが所定の向きにあることを示しているかどうかを検出するように構成することができる。所定の向きは、鉛直向きであってよい。所定の向きは、鉛直の30度の範囲内など、鉛直の45度の範囲内の向きであってよい。所定の向きは、カートリッジの長手軸が鉛直の30度の範囲内など、鉛直の45度の範囲内にあるようにカートリッジが向けられ、カートリッジ出口がカートリッジ室の上方の鉛直位置など、カートリッジ室よりも上方に位置する向きであってよい。
【0064】
処理ユニットを、向きセンサに接続することができる。処理ユニットを、例えばカートリッジレシーバに受け入れられたカートリッジの向きを表し、さらには/あるいは自動注射器の向きを表す向き信号を受信するように構成することができる。
【0065】
プランジャロッドの混合プランジャロッド位置および/または第2のプランジャロッド位置および/または注射プランジャロッド位置への移動は、例えば向き信号など、カートリッジの向きに基づくことができる。例えば、第1のプランジャロッド位置から混合プランジャロッド位置へのプランジャロッドの移動が、向き信号に基づくことができる。
【0066】
例えば、プランジャロッドの混合プランジャロッド位置および/または第2のプランジャロッド位置および/または注射プランジャロッド位置への移動は、鉛直とカートリッジに沿って延びる長手軸との間の傾斜角度が30度以内など、45度以内であり、かつカートリッジ出口がカートリッジ室よりも高い鉛直位置にあることを、必要とすることができる。
【0067】
プランジャロッドを混合プランジャロッド位置および/またはプライムプランジャロッド位置および/または注射プランジャロッド位置へと移動させるための駆動モジュールの制御は、例えば向き信号など、カートリッジの向きに基づくことができる。
【0068】
処理ユニットを、向き信号に基づいて駆動モジュールを制御するように構成することができる。例えば、処理ユニットを、向き信号に基づいて、プランジャロッドを混合プランジャロッド位置および/または第2のプランジャロッド位置および/または注射プランジャロッド位置へと移動させるように駆動モジュールを制御するように構成することができる。例えば、処理ユニットを、向き信号が、鉛直とカートリッジに沿って延びる長手軸との間の傾斜角度が鉛直の30度以内など、45度以内であることを示している場合、および/またはカートリッジ出口がカートリッジ室よりも高い鉛直位置にある場合に限り、プランジャロッドを混合プランジャロッド位置および/または第2のプランジャロッド位置および/または注射プランジャロッド位置へと移動させるように駆動モジュールを制御するように構成することができる。
【0069】
第1の運動パラメータを、例えば、向き信号に基づいて決定することができる。処理ユニットを、第1の運動パラメータを決定するように構成することができる。第1の運動パラメータは、自動注射器の累積の運動に基づくことができる。第1の運動パラメータは、例えばプランジャロッドの混合プランジャロッド位置への移動の完了からの所定の時間期間の間、および/または先行する1秒間などの先行の所定の時間の間の自動注射器の運動の量を表すことができる。第1の運動パラメータは、例えばプランジャロッドの混合プランジャロッド位置への移動の完了からの時間、および/または先行の1秒間などの先行の所定の時間における向き信号の累積尺度に基づくことができる。第1の運動パラメータは、装置の震とう(shaking)を示すことができる。2つの薬剤成分の混合時の装置の震とうは、薬剤の過度の発泡をもたらす可能性がある。薬剤の過度の発泡により、より長い再構成時間が必要になる可能性がある。発泡を防止するために、プランジャロッドの移動速度を、装置の震とうが検出された場合に下げるなど、調整することができる。反対に、装置の穏やかな震とうは、発泡を伴うことなく再構成を高速にすることで、必要な再構成時間を短くすることができる。このように、震とうの量は、決定される再構成時間に影響を及ぼす。
【0070】
これに代え、あるいはこれに加えて、第1の運動パラメータは、例えば自動注射器の遠位端などの自動注射器の第1の端部が実質的に上方を向いているような或る1つの鉛直方向の向きから、自動注射器の第1の端部が実質的に下方を向いている逆さ向きへの自動注射器の回転を表すことができる。第1の運動パラメータは、自動注射器の反転の回数を表すことができる。処理ユニットを、反転の回数を検出および/またはカウントするように構成することができる。反転は、自動注射器の第1の端部が実質的に上方を向いている向きから、自動注射器の第1の端部が実質的に下方を向いている逆さの向きへの自動注射器の反転を含むことができる。例えば、反転は、自動注射器の第1の端部が上方の45度の範囲内を向いている向きから、自動注射器の第1の端部が下方の45度の範囲内を向いている逆さの向きへの自動注射器の反転を含むことができる。これに代え、あるいはこれに加えて、反転は、自動注射器の第1の端部が実質的に下方を向いている向きから、自動注射器の第1の端部が実質的に上方を向いている逆さの向きへの自動注射器の反転を含むことができる。例えば、反転は、自動注射器の第1の端部が下方の45度の範囲内を向いている向きから、自動注射器の第1の端部が上方の45度の範囲内を向いている逆さの向きへの自動注射器の反転を含むことができる。
【0071】
処理ユニットを、予め定められた回数の反転が完了したときに、例えば自動注射器のユーザインタフェースを介してフィードバックをもたらすように構成することができる。再構成時間は、所定の回数の反転が完了したか否かなどの第1の運動パラメータに基づくことができる。所定の回数の反転は、混合された薬物へと再構成中に加えられる運動エネルギの量に基づくことができ、例えば所定の回数の反転が、混合された薬物へと再構成中に加えられる運動エネルギの量に相関し得る。所定の回数の反転は、例えば5回や、3~7回の間など、1~10回の間であってよい。所定の回数の反転は、カートリッジコード特徴部を表すコード信号などのカートリッジコード特徴部に基づくことができる。これに代え、あるいはこれに加えて、所定の回数の反転は、薬剤の温度を表す温度信号などの薬剤の温度に基づくことができる。
【0072】
第1の運動パラメータは、回転の角速度および/またはこのような反転の間の待機期間/遅延と組み合わせた反対の鉛直方向の向きの間の複合回転を表すことができる。処理ユニットは、例えば反転の回数のカウントに加えて、自動注射器の回転加速度を測定することができる。処理ユニットは、例えば自動注射器の回転加速度の測定値および/または反転の回数のカウントに基づいて、再構成される薬剤に作用する力およびエネルギを推定することができる。処理ユニットは、予め定められた量のエネルギが自動注射器および/またはカートリッジに加えられたときに、例えばユーザインタフェースを介してフィードバックをもたらすことができる。
【0073】
これに代え、あるいはこれに加えて、加速度が所定の上限しきい値を超えないことを、監視することができる。所定の上限しきい値は、発泡の危険性に結び付くことが知られている加速度を表すことができる。例えば、所定の上限しきい値を超える加速度は、発泡の危険性に結び付くことが知られていてよい。
【0074】
自動注射器の回転加速度の測定値および/または反転の回数のカウントなどに基づき、自動注射器に加えられるエネルギの総量を連続的に評価して、エネルギの水準が例えば所定の下限しきい値を下回るなど、低すぎると考えられる場合、および/またはエネルギの水準が例えば所定の上限しきい値を上回るなど、高すぎると考えられる場合に、例えばこのような運動を実行しているユーザに、リアルタイムの指示を与えることができる。所定の下限しきい値は、運動が再構成の加速に効果を持たないと考えられるエネルギの水準であってよい。所定の上限しきい値は、運動が発泡の危険性を高めると考えられるエネルギの水準であってよい。
【0075】
第1の運動パラメータは、1秒当たりの反転の回数など、自動注射器の運動の周波数を表すことができる。
【0076】
再構成時間は、第1の運動パラメータが周波数しきい値を上回る周波数を示すか否かなど、第1の運動パラメータに基づくことができる。周波数しきい値は、例えば0.7Hzや、0.5~0.9Hzの間など、0.3~1.2Hzの間であってよい。周波数しきい値は、カートリッジコード特徴部に基づくことができ、例えばカートリッジコード特徴部を表すコード信号に基づくことができる。これに代え、あるいはこれに加えて、周波数しきい値は、薬剤の温度に基づくことができ、例えば薬剤の温度を表す温度信号に基づくことができる。
【0077】
再構成時間は、第1の運動パラメータに基づくことができ、例えば所定の回数の反転が完了したか否かに基づくことができ、例えば所定の回数の反転が周波数しきい値を上回る周波数で完了したか否かに基づくことができる。例えば、再構成時間は、0.5Hz以上の周波数で5回の反転が完了するなど、周波数しきい値を上回る周波数で所定の回数の反転が完了することに基づくことができる。
【0078】
自動注射器、例えばカートリッジレシーバを、カートリッジとカートリッジコード特徴部とを含むカートリッジアセンブリを受け入れるように構成することができる。
【0079】
自動注射器は、コードセンサを備えることができる。コードセンサを、例えば1つ以上のカートリッジ仕様を表すカートリッジおよび/またはカートリッジアセンブリのカートリッジコード特徴部などのカートリッジコード特徴部を読み取るように構成することができる。コードセンサを、カートリッジコード特徴部を表すコード信号をもたらすように構成することができる。
【0080】
処理ユニットを、コードセンサに接続することができる。処理ユニットを、コード信号を受信するように構成することができる。処理ユニットを、カートリッジコード特徴部を表すコード信号をコードセンサから受信するように構成することができる。第1のプランジャロッド位置から混合プランジャロッド位置への移動などのプランジャロッドの移動は、コード信号に基づくことができる。
【0081】
処理ユニットを、偽造カートリッジおよび/または使用済みカートリッジおよび/または改ざんされたカートリッジおよび/または用量が間違っているカートリッジおよび/または間違った薬剤を収容したカートリッジなどの非正規のカートリッジをコード信号に基づいて決定するように構成することができる。
【0082】
コードセンサは、光学センサを備えることができる。コードセンサは、光送信器および光受信器などの送信器および受信器を備える光学センサを備えることができる。コードセンサを、カートリッジコード特徴部を読み取るように構成することができる。コードセンサを、色コード、バーコード、RFIDタグ、NFCタグ、識別番号、QRコード、および/またはこれらの任意の組み合わせを読み取るように構成することができる。
【0083】
位置、速度、および/または遅延など、プランジャロッドの移動は、コード信号に基づくことができる。例えば、プランジャロッドの混合プランジャロッド位置および/または第2のプランジャロッド位置および/または注射プランジャロッド位置への移動は、例えばコード信号など、カートリッジコード特徴部に基づくことができる。例えば、プランジャロッドを混合プランジャロッド位置および/または第2のプランジャロッド位置に移動させるための駆動モジュールの制御は、コード信号に基づくことができる。処理ユニットを、コード信号に基づいて駆動モジュールを制御するように構成することができる。例えば、処理ユニットを、コード信号に基づいて、プランジャロッドを混合プランジャロッド位置および/または第2のプランジャロッド位置に移動させるように駆動モジュールを制御するように構成することができる。
【0084】
例えばコード信号などのカートリッジ仕様に基づくプランジャロッドの移動は、プランジャロッドの移動をいくつかの種類のカートリッジに合わせて最適化することを可能にする。例えば、たとえ異なるカートリッジであっても、空気の排出を実行するときに薬剤の吐出を少なくし、あるいは皆無にすることができるため、用量の精度を向上させ、かつ/または患者の不快を軽減することができる。これに加えて、あるいはこれに代えて、混合の手順を、カートリッジの仕様を知ることによって、少ない発泡で実行することができる。
【0085】
例えばコード信号などのカートリッジ仕様に基づくプランジャロッドの移動は、プランジャロッドの移動をいくつかの種類のカートリッジに合わせて最適化することを可能にする。例えば、プランジャロッドを、カートリッジレシーバへのカートリッジの受け入れの検出および第1の入力信号の受信の後にカートリッジ仕様に応じた時間にわたって混合プランジャロッド位置にとどめることにより、例えば異なるカートリッジであっても、適切な混合を保証し、かつ/または患者の不快を軽減することができる。
【0086】
自動注射器は、抵抗センサを備えることができる。抵抗センサを、抵抗信号をもたらすように構成することができる。抵抗信号は、プランジャロッドの移動に対する抵抗を表すことができる。処理ユニットを、抵抗センサに接続することができる。処理ユニットを、抵抗信号を受信するように構成することができる。
【0087】
抵抗信号は、プランジャロッド伸張位置に向かう移動など、プランジャロッドの一方向への移動に対する抵抗を表すことができる。例えば、抵抗信号は、例えばプランジャロッド伸張位置に向かってプランジャロッドを移動させるために必要な力を表すことができる。
【0088】
抵抗センサを、例えば駆動モジュールの電気抵抗、電流、および/または電圧、ならびに/あるいはこれらの組み合わせを測定することによって、駆動モジュールによって消費される電力を決定するように構成することができる。抵抗センサは、電気抵抗センサ、電流センサ、および/または電圧センサを備えることができる。駆動モジュールは、抵抗センサを備えることができる。
【0089】
抵抗センサを、プランジャロッドのプランジャロッド前端部に加えられる圧力および/または力を測定するように構成することができる。プランジャロッド前端部を、カートリッジの第1のストッパと係合するように構成することができる。抵抗センサを、プランジャロッドとストッパとの間の圧力および/または力を測定するように構成することができる。例えば、抵抗センサは、プランジャロッド前端部に圧力トランスデューサおよび/または力変換器を備えることができる。プランジャロッドは、抵抗センサを備えることができる。
【0090】
プランジャロッドの移動は、抵抗信号に基づくことができる。例えば、プランジャロッドの混合プランジャロッド位置および/または第2のプランジャロッド位置および/または注射プランジャロッド位置への移動は、プランジャロッドの移動に対する抵抗に基づくことができ、例えば抵抗信号に基づくことができる。例えば、プランジャロッドを混合プランジャロッド位置へと移動させるための駆動モジュールの制御が、抵抗信号に基づくことができる。処理ユニットを、抵抗信号に基づいて駆動モジュールを制御するように構成することができる。例えば、処理ユニットを、抵抗信号に基づいて駆動モジュールを制御してプランジャロッドを混合プランジャロッド位置へと移動させるように構成することができる。
【0091】
自動注射器は、温度センサを備えることができる。温度センサを、例えばカートリッジがカートリッジレシーバに受け入れられたときのカートリッジ内の薬剤の温度など、自動注射器および/またはカートリッジおよび/または薬剤の温度を表す温度信号などの温度信号をもたらすように構成することができる。温度センサは、赤外線光学センサなどの赤外線センサを備えることができる。温度センサおよびコードセンサは、共通の光学センサなどの共通の光学センサを利用することができる。したがって、赤外線光学センサなどの光学センサを、温度の感知およびカートリッジコード特徴部の読み取りの両方に使用することができる。
【0092】
処理ユニットを、温度センサに接続することができる。処理ユニットを、温度信号を受信するように構成することができる。
【0093】
プランジャロッドの混合プランジャロッド位置および/または第2のプランジャロッド位置および/または注射プランジャロッド位置への移動は、自動注射器および/またはカートリッジおよび/または薬剤の温度に基づくことができる。プランジャロッドの混合プランジャロッド位置および/または第2のプランジャロッド位置および/または注射プランジャロッド位置への移動は、温度信号に基づくことができる。
【0094】
処理ユニットなど、自動注射器を、温度信号に基づいて駆動モジュールを制御するように構成することができる。例えば、処理ユニットを、温度信号に基づいて、プランジャロッドを混合プランジャロッド位置および/またはプライムプランジャロッド位置および/または注射プランジャロッド位置へと移動させるように駆動モジュールを制御するように構成することができる。
【0095】
自動注射器は、温度制御ユニットを備えることができる。温度制御ユニットを、例えばカートリッジがカートリッジレシーバに受け入れられたときに、カートリッジの温度を変更するように構成することができる。温度制御ユニットを、カートリッジおよび/または薬剤の温度を上昇および/または下降させるように構成することができる。これにより、温度に依存する手順のステップを、例えばこれらのステップをより速く実行するように制御することができる。
【0096】
温度制御ユニットは、加熱素子を備えることができる。加熱素子を、自動注射器および/またはカートリッジおよび/または薬剤の温度を上昇させるように構成することができる。加熱素子は、抵抗加熱素子であってよい。加熱素子は、光源であってよく、例えば赤外線ランプであってよい。加熱素子は、誘電加熱素子であってよい。加熱素子は、ペルチェ素子などの熱電素子であってよい。
【0097】
温度制御ユニットは、冷却素子を備えることができる。冷却素子を、自動注射器および/またはカートリッジおよび/または薬剤の温度を低下させるように構成することができる。冷却素子は、ペルチェ素子などの熱電素子であってよい。
【0098】
温度制御ユニットは、ペルチェ素子などの熱電素子を備えることができる。熱電素子を、例えば電気エネルギの消費にて素子の一方の側から他方の側へと熱を伝達するなど、ペルチェ効果の使用などによって、温度を上昇または下降させるために使用することができる。熱電素子は、電流の方向に応じて、温度を上昇または下降させるために使用可能である。
【0099】
温度制御ユニットは、例えばカートリッジがカートリッジレシーバに受け入れられたときにカートリッジと接触するように構成された接触要素を備えることができる。温度制御ユニットは、コイル要素を備えることができる。コイル要素を、例えばカートリッジがカートリッジレシーバに受け入れられたときにカートリッジの全周を囲むように構成することができる。
【0100】
自動注射器は、第1の入力装置などの入力装置を備えることができる。第1の入力装置は、ボタンまたはタッチセンサ領域またはマイクロホンであってよい。第1の入力装置を、第1の入力信号をもたらすように構成することができる。第1の入力信号は、第1の入力装置との第1のユーザ対話を表すことができる。第1の入力装置を、第2の入力信号をもたらすように構成することができる。第2の入力信号は、第1の入力装置との第2のユーザ対話を表すことができる。
【0101】
処理ユニットを、第1の入力装置に接続することができる。処理ユニットを、第1の入力信号および/または第2の入力信号を受信するように構成することができる。処理ユニットを、第1の入力信号を受信した後でのみ、プランジャロッドを混合プランジャロッド位置へと移動させるように駆動モジュールを制御するように構成することができる。処理ユニットを、第2の入力信号を受信した後でのみ、プランジャロッドを第2のプランジャロッド位置へと移動させるように駆動モジュールを制御するように構成することができる。
【0102】
自動注射器は、接触部材を備えることができる。接触部材を、注射部位に押し付けられるように構成することができる。接触部材は、接触部材伸張位置と接触部材後退位置との間で移動可能であってよい。接触部材を、例えば接触部材ばねによって接触部材伸張位置に向かって付勢することができる。接触部材を、例えば注射部位に押し付けられたときに接触部材後退位置に向かって移動するように構成することができる。接触部材および/または接触部材センサを、接触部材の位置を表す接触部材信号をもたらすように構成することができる。自動注射器および/または接触部材は、接触部材の位置を検出するように構成された接触部材センサを備えることができる。接触部材センサを、接触部材を示す接触部材信号をもたらすように構成することができる。
【0103】
接触部材は、例えば接触部材伸張位置と接触部材後退位置との間の第1の接触部材位置にあってよい。第1の接触部材位置にある接触部材は、接触部材が接触部材後退位置に近接していることを示すことができる。第1の接触部材位置にある接触部材は、接触部材が注射部位に対して押し付けられていることを示すことができる。第1の接触部材位置にある接触部材は、カートリッジに配置された針が、薬剤の注射の開始のために皮膚へと充分に押し込まれていることを示すことができる。
【0104】
処理ユニットを、接触部材に接続することができる。処理ユニットを、接触部材信号を受信するように構成することができる。トリガイベントは、接触部材が第1の接触部材位置にあることを示す接触部材信号を含むことができる。接触部材は、トリガ部材であってよい。
【0105】
第1のプランジャロッド位置、混合プランジャロッド位置、第2のプランジャロッド位置、および/または注射プランジャロッド位置などのプランジャロッド位置は、温度信号など、薬剤の温度に基づくことができる。例えば、薬剤は、異なる温度においてわずかに異なる体積を有する可能性があり、これを、薬剤の温度に基づいてプランジャロッドの位置を決定することによって補償することができる。例えば、処理ユニットを、温度信号に基づいて第1のプランジャロッド位置、混合プランジャロッド位置、第2のプランジャロッド位置、および/または注射プランジャロッド位置などのプランジャロッド位置を決定するように構成することができる。
【0106】
第1のプランジャロッド位置、混合プランジャロッド位置、第2のプランジャロッド位置、および/または注射プランジャロッド位置などのプランジャロッド位置は、カートリッジ仕様に基づくことができ、例えばカートリッジコード特徴部に基づくことができ、例えばコード信号に基づくことができる。例えば、処理ユニットを、コード信号に基づいて第1のプランジャロッド位置、混合プランジャロッド位置、第2のプランジャロッド位置、および/または注射プランジャロッド位置などのプランジャロッド位置を決定するように構成することができる。
【0107】
第1のプランジャロッド位置、混合プランジャロッド位置、第2のプランジャロッド位置、および/または注射プランジャロッド位置などのプランジャロッド位置は、向き信号など、カートリッジの向きに基づくことができる。例えば、処理ユニットを、向き信号に基づいて第1のプランジャロッド位置、混合プランジャロッド位置、第2のプランジャロッド位置、および/または注射プランジャロッド位置などのプランジャロッド位置を決定するように構成することができる。
【0108】
第1のプランジャロッド位置、混合プランジャロッド位置、第2のプランジャロッド位置、および/または注射プランジャロッド位置などのプランジャロッド位置は、第1の運動パラメータなど、装置の震とうに基づくことができる。例えば、処理ユニットを、第1の運動パラメータに基づいて第1のプランジャロッド位置、混合プランジャロッド位置、第2のプランジャロッド位置、および/または注射プランジャロッド位置などのプランジャロッド位置を決定するように構成することができる。
【0109】
第1のプランジャロッド位置、混合プランジャロッド位置、第2のプランジャロッド位置、および/または注射プランジャロッド位置などのプランジャロッド位置は、抵抗信号など、プランジャロッドの移動に対する抵抗に基づくことができる。例えば、処理ユニットを、抵抗信号に基づいて第1のプランジャロッド位置、混合プランジャロッド位置、第2のプランジャロッド位置、および/または注射プランジャロッド位置などのプランジャロッド位置を決定するように構成することができる。
【0110】
処理ユニットを、コード信号および/または温度信号および/または向き信号および/または第1の運動パラメータおよび/または抵抗信号に基づいて第1のプランジャロッド位置、混合プランジャロッド位置、第2のプランジャロッド位置、および/または注射プランジャロッド位置などのプランジャロッド位置を決定するように構成することができる。
【0111】
プランジャロッドの移動は、混合プランジャロッド速度、第2のプランジャロッド速度、および/または注射プランジャロッド速度などのプランジャロッド速度を有する移動を含むことができる。プランジャロッド速度は、プランジャロッドの位置に基づくことができる。プランジャロッドを、第1のプランジャロッド位置などから、混合プランジャロッド速度で、混合プランジャロッド位置へと移動させることができる。プランジャロッドを、混合プランジャロッド位置などから、第2のプランジャロッド速度で、第2のプランジャロッド位置へと移動させることができる。プランジャロッドを、混合プランジャロッド位置および/または第2のプランジャロッド位置などから、注射プランジャロッド速度で、注射プランジャロッド位置へと移動させることができる。
【0112】
混合プランジャロッド速度、第2のプランジャロッド速度、および/または注射プランジャロッド速度などのプランジャロッド速度は、一定であってよい。混合プランジャロッド速度、第2のプランジャロッド速度、および/または注射プランジャロッド速度などのプランジャロッド速度は、変化してもよく、例えば時間および/または距離につれて変化してもよい。
【0113】
混合プランジャのロッド速度は、1.7mm/秒など、1mm/秒~3mm/秒の間であってよい。
【0114】
処理ユニットを、プランジャロッドを第1のプランジャロッド位置などから混合プランジャロッド位置へと混合プランジャロッド速度で移動させるように駆動モジュールを制御するように構成することができる。処理ユニットを、プランジャロッドを混合プランジャロッド位置などから第2のプランジャロッド位置へと第2のプランジャロッド速度で移動させるように駆動モジュールを制御するように構成することができる。処理ユニットを、プランジャロッドを第2のプランジャロッド位置などから注射プランジャロッド位置へと注射プランジャロッド速度で移動させるように駆動モジュールを制御するように構成することができる。
【0115】
混合プランジャロッド速度、第2のプランジャロッド速度、および/または注射プランジャロッド速度は、カートリッジ仕様に基づくことができ、例えばカートリッジコード特徴部に基づくことができ、例えばコード信号に基づくことができる。処理ユニットを、コード信号に基づいて混合プランジャロッド速度、第2のプランジャロッド速度、および/または注射プランジャロッド速度を決定するように構成することができる。
【0116】
混合プランジャロッド速度、第2のプランジャロッド速度、および/または注射プランジャロッド速度は、温度信号など、薬剤の温度に基づくことができる。処理ユニットを、温度信号に基づいて混合プランジャロッド速度、第2のプランジャロッド速度、および/または注射プランジャロッド速度を決定するように構成することができる。
【0117】
混合プランジャロッド速度、第2のプランジャロッド速度、および/または注射プランジャロッド速度は、向き信号など、カートリッジの向きに基づくことができる。処理ユニットを、向き信号に基づいて混合プランジャロッド速度、第2のプランジャロッド速度、および/または注射プランジャロッド速度を決定するように構成することができる。
【0118】
混合プランジャロッド速度、第2のプランジャロッド速度、および/または注射プランジャロッド速度は、第1の運動パラメータに基づくことができる。処理ユニットを、第1の運動パラメータに基づいて混合プランジャロッド速度、第2のプランジャロッド速度、および/または注射プランジャロッド速度を決定するように構成することができる。
【0119】
混合プランジャロッド速度、第2のプランジャロッド速度、および/または注射プランジャロッド速度は、抵抗信号など、プランジャロッドの移動に対する抵抗に基づくことができる。処理ユニットを、抵抗信号に基づいて混合プランジャロッド速度、第2のプランジャロッド速度、および/または注射プランジャロッド速度を決定するように構成することができる。
【0120】
処理ユニットを、コード信号および/または温度信号および/または向き信号および/または第1の運動パラメータおよび/または抵抗信号に基づいて、混合プランジャロッド速度、第2のプランジャロッド速度、および/または注射プランジャロッド速度を決定するように構成することができる。
【0121】
遅延などの1つ以上の経過時間を、混合プランジャロッド位置への移動、第2のプランジャロッド位置への移動、注射プランジャロッド位置への移動、などのプランジャロッドの移動の前に存在させることができる。例えば、プランジャロッドの第2のプランジャロッド位置への移動は、プランジャロッドの混合プランジャロッド位置への移動が完了してから再構成時間が経過したことを必要とすることができる。再構成時間を、薬剤の再構成を保証し、例えば第1の薬剤成分および第2の薬剤成分が充分に溶解するなど混合されたことを保証するための充分な時間を可能にするように選択される。
【0122】
いくつかの場合、再構成時間は、きわめて短くてよい。再構成時間は、10秒未満であってよく、例えば5秒未満であってよく、例えば1秒未満であってよい。あるいは、再構成時間は、1秒超であってよく、例えば10秒超であってよく、例えば1分超であってよく、例えば5分超であってよい。
【0123】
再構成時間は、1~10分の間であってよく、例えば2~5分の間であってよく、例えば3分であってよい。
【0124】
処理ユニットを、遅延時間などの1つ以上の経過時間に基づいて、プランジャロッドを混合プランジャロッド位置および/または第2のプランジャロッド位置および/または注射プランジャロッド位置へと移動させるように駆動モジュールを制御するように構成することができる。例えば、処理ユニットを、プランジャロッドの混合プランジャロッド位置への移動の完了から再構成時間が経過した後でのみ、プランジャロッドを第2のプランジャロッド位置へと移動させるように駆動モジュールを制御するように構成することができる。
【0125】
再構成時間は、カートリッジ仕様に基づくことができ、例えば再構成時間は、カートリッジコード特徴部に基づくことができ、例えば再構成時間は、コード信号に基づくことができる。処理ユニットを、コード信号に基づいて再構成時間を決定するように構成することができる。
【0126】
これに代え、あるいはこれに加えて、再構成時間は、温度に基づくことができ、例えば再構成時間は、薬剤の温度に基づくことができ、例えば再構成時間は、温度信号に基づくことができる。例えば、再構成時間は、より低い温度において、より高い温度の場合よりも長くてよい。処理ユニットを、温度信号に基づいて再構成時間を決定するように構成することができる。
【0127】
これに代え、あるいはこれに加えて、再構成時間は、向き信号に基づいてもよい。処理ユニットを、向き信号に基づいて再構成時間を決定するように構成することができる。
【0128】
これに代え、あるいはこれに加えて、再構成時間は、第1の運動パラメータに基づいてもよい。処理ユニットを、第1の運動パラメータに基づいて再構成時間を決定するように構成することができる。
【0129】
これに代え、あるいはこれに加えて、再構成時間は、抵抗信号など、プランジャロッドの移動に対する抵抗に基づいてもよい。処理ユニットを、抵抗信号に基づいて再構成時間を決定するように構成することができる。
【0130】
処理ユニットを、コード信号および/または温度信号および/または向き信号および/または第1の運動パラメータおよび/または抵抗信号に基づいて、再構成時間を決定するように構成することができる。
【0131】
プランジャロッドを、プランジャロッドの注射プランジャロッド位置への移動の完了後に、プランジャロッド後退位置に向かって、例えばプランジャロッド後退位置まで移動させることができる。処理ユニットを、プランジャロッドの注射プランジャロッド位置への移動の完了後にプランジャロッドをプランジャロッド後退位置に向かって移動させるように駆動モジュールを制御するように構成することができる。
【0132】
例えばプランジャロッドの注射プランジャロッド位置への移動の完了後に、プランジャロッド後退位置へと向かい、例えばプランジャロッド後退位置へと到るプランジャロッドの移動は、例えばプランジャロッドの注射プランジャロッド位置への移動の完了から滞留時間が経過することを必要とすることができる。滞留時間を、薬剤が組織へと分配されることを保証するための充分な時間を可能にするように選択することができる。滞留時間は、薬剤および/または薬剤の濃度および/または薬剤の量および/または薬剤の温度によって左右され得る。滞留時間は、カートリッジ仕様に基づくことができ、例えば滞留時間は、カートリッジコード特徴部に基づくことができ、例えば滞留時間は、コード信号に基づくことができる。滞留時間は、薬剤の温度に基づくことができ、例えば滞留時間は、温度信号に基づくことができる。
【0133】
処理ユニットを、プランジャロッドの注射プランジャロッド位置への移動の完了から滞留時間が経過した後でのみ、プランジャロッドをプランジャロッド後退位置に向かって移動させるように駆動モジュールを制御するように構成することができる。
【0134】
滞留時間は、カートリッジ仕様に基づくことができ、例えば滞留時間は、カートリッジコード特徴部に基づくことができ、例えば滞留時間は、コード信号に基づくことができる。処理ユニットを、コード信号に基づいて滞留時間を決定するように構成することができる。
【0135】
これに代え、あるいはこれに加えて、滞留時間は、温度に基づくことができ、例えば滞留時間は、薬剤の温度に基づくことができ、例えば滞留時間は、温度信号に基づくことができる。例えば、滞留時間は、より低い温度において、より高い温度の場合よりも長くてよい。処理ユニットを、温度信号に基づいて滞留時間を決定するように構成することができる。
【0136】
これに代え、あるいはこれに加えて、滞留時間は、向き信号に基づいてもよい。処理ユニットを、向き信号に基づいて滞留時間を決定するように構成することができる。
【0137】
これに代え、あるいはこれに加えて、滞留時間は、第1の運動パラメータに基づいてもよい。処理ユニットを、第1の運動パラメータに基づいて滞留時間を決定するように構成することができる。
【0138】
これに代え、あるいはこれに加えて、滞留時間は、抵抗信号など、プランジャロッドの移動に対する抵抗に基づいてもよい。処理ユニットを、抵抗信号に基づいて滞留時間を決定するように構成することができる。
【0139】
処理ユニットを、コード信号および/または温度信号および/または向き信号および/または第1の運動パラメータおよび/または抵抗信号に基づいて、滞留時間を決定するように構成することができる。
【0140】
本発明の上述の特徴および利点ならびに他の特徴および利点は、添付の図面を参照した本発明の典型的な実施形態の以下の詳細な説明によって、当業者にとって容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0141】
図1】典型的な自動注射器を示している。
図2】カートリッジを有する典型的な自動注射器を示している。
図3】典型的なカートリッジを概略的に示している。
図4】a)~d)は、典型的なカートリッジコード特徴部を有する典型的なカートリッジアセンブリを概略的に示している。
図5】カートリッジアセンブリを有する典型的な自動注射器を概略的に示している。
図6】a)~d)は、自動注射器およびカートリッジアセンブリを概略的に示している。
図7】典型的な自動注射器のブロック図を示している。
図8】a)~f)は、典型的な位置にある典型的なカートリッジアセンブリおよびプランジャロッドを概略的に示している。
図9】位置に対する抵抗の典型的なグラフを示している。
図10】典型的な方法のフロー図を示している。
図11】典型的な方法のフロー図を示している。
図12】典型的な方法のフロー図を示している。
図13】a)~d)は、典型的なユーザインタフェースを概略的に示している。
図14】a)~c)は、典型的な自動注射器の典型的な動作を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0142】
以下で、さまざまな実施形態を、図面を参照して説明する。同様の参照番号は、全体を通して、同様の要素を指す。したがって、同様の要素は、各々の図の説明に関して、詳細には説明されない。図面が実施形態の説明を容易にすることだけを意図していることにも、留意すべきである。これらは、特許請求の範囲に記載される発明を漏れなく説明しようとするものではなく、特許請求の範囲に記載される発明の範囲を限定しようとするものでもない。加えて、例示される実施形態は、必ずしも示された態様または利点のすべてを有する必要はない。或る特定の実施形態に関連して説明される態様または利点は、必ずしもその実施形態に限定されず、たとえそのように図示されておらず、あるいはそのように明記されていない場合でも、任意の他の実施形態において実施することが可能である。
【0143】
図1が、典型的な自動注射器4を示している。自動注射器4を、薬剤を投与するように構成することができる。自動注射器4は、電子式の自動注射器であってよい。
【0144】
自動注射器4は、ハウジング6を備える。自動注射器4は、カートリッジレシーバ300を備える。カートリッジレシーバは、カートリッジおよび/またはカートリッジを含むカートリッジアセンブリを受け入れるように構成される。カートリッジは、薬剤を収容することができる。
【0145】
カートリッジレシーバ300は、カートリッジレシーバ開口部301を有する。カートリッジレシーバ300は、カートリッジレシーバ開口部301を通って長手軸Lに沿ったカートリッジ受け入れ方向304にカートリッジおよび/またはカートリッジアセンブリを受け入れるように構成される。
【0146】
自動注射器4は、図示のように、ユーザインタフェース1100を備えることができる。自動注射器4は、接触部材1102などのトリガ部材を備える。接触部材1102を、注射部位に対して押し付けられるように構成することができる。接触部材1102は、注射部位に対して押し付けられた場合に、ハウジングに対してカートリッジ受け入れ方向304に移動可能であってよい。接触部材1102は、ユーザインタフェース1100の一部であってよい。
【0147】
ユーザインタフェース1100は、例えばボタンなど、図示のとおりの第1の入力部材1108を備えることができる。第1の入力部材1108は、ユーザからのユーザ入力をもたらすことができる。例えば、第1の入力部材1108を、次のステップに進むためのユーザからの押し操作を受け付けるために使用することができる。
【0148】
ユーザインタフェース1100は、例えば複数のLEDなどの図示のとおりの第1の出力部材1110を備えることができる。第1の出力部材1110は、ユーザへのユーザ出力をもたらすことができる。ユーザインタフェース1100は、例えばスピーカなどの第2の出力部材(図示せず)を備えることができる。第2の出力部材を、ユーザに可聴の出力をもたらすように構成することができる。例えば、第1の出力部材1110および/または第2の出力部材を、手順におけるステップをユーザに知らせ、さらには/あるいはエラーメッセージを知らせるために使用することができる。
【0149】
図2が、典型的なシステム2を示している。システム2は、図1に関連して説明したとおりの自動注射器4と、カートリッジレシーバ300に受け入れられた典型的なカートリッジ700とを備える。カートリッジ700は、針カバー908を備えて図示されている。針カバー908は、針カバー908をカートリッジ700から取り外すことができるように、接触部材1102の外へと延びている。
【0150】
図3が、これまでの図に関連して説明した自動注射器などの自動注射器のカートリッジレシーバに受け入れられるように構成されたカートリッジ700などの典型的なカートリッジ700を概略的に示している。
【0151】
カートリッジ700は、カートリッジ室702を備える。カートリッジ室702を、薬剤を収容するように構成することができる。カートリッジ700は、第1の端部718および第2の端部720を有する。カートリッジ700は、第1のカートリッジ端部718にカートリッジ出口714を備える。カートリッジを、カートリッジ出口714を通って薬剤を吐出するように構成することができる。
【0152】
カートリッジは、カートリッジ室の内部で例えば第1のカートリッジ端部に向かって例えば第1のストッパ方向722に移動することができる第1のストッパ708を備える。例えば、薬剤を、第1のストッパ708が第1のストッパ方向に移動するときにカートリッジ出口714を通って吐出させることができる。カートリッジは、第2のカートリッジ端部にカートリッジ後面716を備える。カートリッジ後面716は、プランジャロッドに第1のストッパ708へのアクセスを提供するためのカートリッジ後端開口部を備える。
【0153】
図示のように、カートリッジ700は、2室のカートリッジであってよい。カートリッジは、カートリッジ室702の内部で例えば第1のカートリッジ端部に向かって例えば第1のストッパ方向722に移動することができる第2のストッパ710を備える。カートリッジ室702は、第1のカートリッジ小室704および第2のカートリッジ小室706を含む。第1のカートリッジ小室704は、第1のストッパ708と第2のストッパ710との間に位置する。第2のカートリッジ小室706は、第2のストッパ710とカートリッジ出口714との間に位置する。カートリッジは、第1のカートリッジ小室と第2のカートリッジ小室との間の連通をもたらすためのバイパス部712を備える。バイパス部712は、第2のストッパ710がバイパス部712に位置するときに第1のカートリッジ小室と第2のカートリッジ小室との間の連通をもたらす。
【0154】
第1のカートリッジ小室704は、薬剤790の第1の薬剤成分792を収容する。第1の薬剤成分792は、図示のように、液体であってよい。第2のカートリッジ小室706は、薬剤790の第2の薬剤成分794を収容する。第2の薬剤成分794は、粉末組成物であってよい。第2のストッパ710をバイパス部712に位置させることにより、第1の薬剤成分792をバイパス部712を介して第2のカートリッジ小室706へと運ぶことで、第1の薬剤成分792と第2の薬剤成分794とを混合して、組み合わせの薬剤790を得ることができる。
【0155】
図4a~図4dが、典型的なカートリッジアセンブリ600を概略的に示している。カートリッジアセンブリ600は、典型的なカートリッジ700および典型的なカートリッジコード特徴部(フィーチャ)1000を備える。カートリッジ700は、第1のカートリッジ端部718および第2のカートリッジ端部720を有する。第1のストッパ方向722は、第2のカートリッジ端部720から第1のカートリッジ端部718への方向である。カート特徴部1000は、第2のカートリッジ端部720の近くに配置され、例えば第1のカートリッジ端部718よりも第2のカートリッジ端部720のより近くに配置される。別の典型的なカートリッジアセンブリにおいては、カートリッジコード特徴部1000を、第1のカートリッジ端部720の近くに配置してもよい。
【0156】
図4a~図4dは、異なる種類の典型的なカートリッジコード特徴部1000を示している。
【0157】
図4aは、カートリッジコード特徴部1000が2つのストリップを備えている典型的なカートリッジアセンブリ600を示している。2つのストリップは、着色されてよく、例えば異なる着色とされてよい。色の組み合わせおよび/または並びが、カートリッジコード特徴部1000のコードを表すことができる。
【0158】
図4bは、カートリッジコード特徴部1000がバーコードを備えている典型的なカートリッジアセンブリ600を示している。カートリッジコード特徴部1000は、1つ以上のバーコードを備えることができる。バーコードは、カートリッジコード特徴部1000のコードを表す数字を示すことができる。
【0159】
図4cは、カートリッジコード特徴部1000が異なる格子模様のストリップを備えている典型的なカートリッジアセンブリ600を示している。例えば、図示されているように、カートリッジコード特徴部1000は、2つのストリップを備えることができ、第1のストリップは、45度の格子模様とされ、第2のストリップは、-45度の格子模様とされる。格子および/またはお互いに対するストリップの格子が、カートリッジコード特徴部1000のコードを表すことができる。
【0160】
図4dは、カートリッジコード特徴部1000がRFIDタグまたはNFCタグなどの電磁的に読み取り可能なタグを備える典型的なカートリッジアセンブリ600を示している。電磁的に読み取り可能なタグは、カートリッジコード特徴部1000のコードを表すデータを含むことができる。
【0161】
図5が、典型的なシステム2を示している。システム2は、例えば図1に関連して説明したとおりの自動注射器4と、典型的なカートリッジアセンブリ600とを備える。カートリッジアセンブリ600は、カートリッジ室702を有するカートリッジ700と、針アセンブリ900と、カートリッジコード特徴部1000とを備える。カートリッジアセンブリ600は、自動注射器4に受け入れられる。
【0162】
カートリッジアセンブリ600は、カートリッジホルダ800を備える。カートリッジホルダ800は、自動注射器4のカートリッジレシーバ300にカートリッジ700を保持するように構成される。カートリッジホルダ800は、カートリッジ保持部材808を備える。カートリッジ保持部材808は、カートリッジ700およびカートリッジアセンブリ600をカートリッジレシーバ300に受け入れて保持するために、カートリッジレシーバ300と係合する。
【0163】
針アセンブリ900は、針902および針ハブ904を備える。針アセンブリ900は、例えばカートリッジホルダ800の針アセンブリ結合部812に係合する例えば螺合部などのカートリッジホルダ結合部906を有している針ハブ904によって、カートリッジ700に取り付けられる。針902は、カートリッジ700のカートリッジ出口714を通って延びる。カートリッジ出口714を、針アセンブリ900がカートリッジ700に取り付けられるときに針902によって貫かれる弾性シールによって塞ぐことができる。
【0164】
自動注射器4は、カートリッジコード特徴部1000を読み取るように構成されたコードセンサ24を備える。カートリッジアセンブリ600が挿入されると、図示のように、カートリッジコード特徴部1000がコードセンサ24に整列する。
【0165】
自動注射器4は、プランジャロッド400を備える。プランジャロッド400は、カートリッジ700の第1のストッパを前進させるように構成される。プランジャロッド400は、雌のねじ山を有する外側プランジャロッド404と、雄のねじ山を有する内側プランジャロッド402とを備える。内側プランジャロッド402のねじ山は、外側プランジャロッド404のねじ山に係合する。外側プランジャロッド404の自動注射器のハウジングに対する回転は、防止される。プランジャロッド400の移動は、内側プランジャロッド402の回転を含む。内側プランジャロッド402の回転は、外側プランジャロッド404の回転が制限されているため、外側プランジャロッド404の平行移動をもたらす。外側プランジャロッド404は、第1のストッパ方向722に平行移動するとき、カートリッジ700の第1のストッパに当接し、第1のストッパを第1のストッパ方向722に移動させるように構成される。
【0166】
駆動モジュール500が、プランジャロッド400を作動させるように組み合わせられる。駆動モジュール500は、電力を受け取るためにバッテリに電気的に接続される。駆動モジュール500は、DCモータなどの電気機械モータなどのモータ502を備える。駆動モジュール500は、モータ502をプランジャロッド400の内側プランジャロッド402に結合させるための伝達機構504を備える。
【0167】
図示の例は、電気機械モータであってよいモータ502を備えているが、例えばプランジャロッド400を作動させるように構成されたソレノイドモータ、形状記憶金属エンジン、ばね装置、および/または加圧ガスを備える他の駆動モジュールを有する自動注射器4も実現可能であることを、容易に理解できるであろう。
【0168】
自動注射器4は、プランジャロッド位置センサなどの排出センサ26を備える。排出センサ26は、プランジャロッド400の位置を検出するように構成される。図示の例において、排出センサ26は、モータ502の回転をカウント/検出するように構成された回転計を備える。したがって、プランジャロッド400の位置を、モータ502の回転の総数に基づいて明らかにすることができる。排出センサ26は、プランジャロッド400の位置の検出に基づいて、カートリッジ室の薬剤および/または空気の吐出を検出することができる。プランジャロッド400の位置は、カートリッジ700の第1のストッパの位置を表すことができ、例えばカートリッジ700がカートリッジレシーバ300にあるときの例えばプランジャロッド400の最も前進した位置は、カートリッジ700の第1のストッパの位置を表すことができる。
【0169】
図6a~図6dが、自動注射器4およびカートリッジアセンブリ600を概略的に示している。図6a~図6dは、種々の状況における自動注射器4の接触部材1102の典型的な位置を概略的に示している。
【0170】
自動注射器4は、カートリッジを受け入れて保持するように構成されたカートリッジレシーバ300を備える。自動注射器4は、接触部材1102を備える。接触部材1102は、接触部材伸張位置と接触部材後退位置との間で移動可能であってよい。接触部材1102は、接触部材突出部1112を備える。接触部材突出部1112は、接触部材1102と一緒に移動するように構成される。接触部材1102を、例えば接触部材ばね(図示せず)によって、接触部材伸張位置に向かって付勢することができる。
【0171】
接触部材は、針カバー係合部材1114を備える。針カバー係合部材1114は、例えばカートリッジレシーバ300へと挿入されたカートリッジに位置する針カバーの針カバー当接面に当接するように構成される。
【0172】
自動注射器4は、接触部材1102の位置を検出するように構成された接触部材センサ1104を備える。接触部材センサ1104は、第1の接触部材センサ1130および第2の接触部材センサ1132を備える。第1の接触部材センサ1130および第2の接触部材センサ1132は、光学センサであってよい。接触部材センサ1104は、接触部材1102が第1の接触部材位置にあるときに第1の接触部材センサ1132を覆う接触部材突出部1112、および接触部材1102が第2の接触部材位置にあるときに第2の接触部材センサ1132を覆う接触部材突出部1112によって、接触部材1102の位置を検出する。
【0173】
第1の接触部材位置を、第1の接触部材センサ1130が覆われ、第2の接触部材センサ1132が覆われることによって、検出することができる。第2の接触部材位置を、第1の接触部材センサ1130が覆われず、第2の接触部材センサ1132が覆われることによって、検出することができる。接触部材伸張位置を、第1の接触部材センサ1130が覆われず、第2の接触部材センサ1132が覆われないことによって、検出することができる。
【0174】
図6aは、カートリッジおよび/またはカートリッジアセンブリを受け入れていない状態の自動注射器4を概略的に示している。接触部材1102は、接触部材伸張位置にある。カートリッジを、カートリッジレシーバ開口部301を定める接触部材1102を通ってカートリッジ受け入れ方向322にカートリッジレシーバ300へと挿入することができる。
【0175】
図6bは、カートリッジアセンブリ600を受け入れた自動注射器4を概略的に示している。カートリッジアセンブリ600は、カートリッジ700と、カートリッジホルダ800と、針アセンブリ900とを備える。針アセンブリは、針902および針カバー908を備える。針カバーは、針カバー当接面910を有する。針カバー当接面910は、接触部材1102の針カバー係合部材1114に係合する。接触部材1102は、例えば針カバー908の存在および針カバー係合部材1114への針カバー当接面910の当接によって生じる第2の接触部材位置にある。接触部材突出部1112が、第2の接触部材センサ1132を覆う。接触部材突出部1112は、第1の接触部材センサ1130を覆っていない。
【0176】
図6cは、カートリッジアセンブリ600を受け入れた自動注射器4を概略的に示している。図6bと比較して、針カバー908が取り外されている。接触部材1102は、接触部材伸張位置にある。針カバー当接面910が針カバー係合部材1114に当接していないので、接触部材1102は、接触部材伸張位置へと移動することができる。接触部材突出部1112も、接触部材1102と一緒に移動している。接触部材突出部1112は、第2の接触部材センサ1132を覆っていない。接触部材突出部1112は、第1の接触部材センサ1130を覆っていない。
【0177】
図6dは、カートリッジアセンブリ600を受け入れた自動注射器4を概略的に示している。接触部材1102は、第1の接触部材位置にある。第1の接触部材位置は、接触部材後退位置、または接触部材後退位置の近傍であってよい。接触部材1102を注射部位に押し付けることによって接触部材1102を第1の接触部材位置へと移動させることにより、注射部位に針902を挿入することができる。接触部材突出部1112も、接触部材1102と一緒に移動している。接触部材突出部1112が、第1の接触部材センサ1130を覆う。接触部材突出部1112が、第2の接触部材センサ1132を覆う。
【0178】
図7が、典型的な自動注射器4のブロック図を示している。自動注射器4は、複数のセンサ22,24,26,28,30,32,34と、処理ユニット20と、駆動モジュール500と、ユーザインタフェース1100と、温度制御ユニット36とを備える。センサ22,24,26,28,30,32,34は、処理ユニット20に接続される。ユーザインタフェース1100は、処理ユニット20に接続される。処理ユニットは、駆動モジュール500に接続される。
【0179】
処理ユニット20は、センサ22,24,26,28,30,32,34およびユーザインタフェース1100から信号を受信する。処理ユニット20は、駆動モジュール500を制御するように構成される。処理ユニット20は、センサ22,24,26,28,30,32,34およびユーザインタフェース1100からの受信信号のうちの1つ以上に基づいて、駆動モジュール500を制御することができる。処理ユニット20は、ユーザインタフェース1100を介してユーザ出力をもたらすように構成される。処理ユニット20は、温度制御ユニット36を制御するように構成される。処理ユニット20は、センサ22,24,26,28,30,32,34およびユーザインタフェース1100からの受信信号のうちの1つ以上に基づいて、温度制御ユニット36を制御することができる。
【0180】
自動注射器4は、向きセンサ22を備える。向きセンサ22は、自動注射器4に受け入れられたカートリッジの向きを表す向き信号をもたらすように構成される。例えば、向きセンサ22を、自動注射器4の向きを検出するように構成することができる。カートリッジの向きを、自動注射器4の向きに基づいて決定することができる。向きセンサ22を、重力の方向を検出するように構成することができる。例えば、向きセンサ22は、加速度計を備えることができる。
【0181】
処理ユニット20は、向きセンサ22に接続される。処理ユニット20は、向き信号を受信するように構成される。処理ユニット20は、向き信号に基づいてカートリッジの向きを決定することができる。処理ユニット20は、向き信号に基づいて駆動モジュール500を制御することができる。例えば、処理ユニット20を、向き信号に基づいてプランジャロッドを移動させるように駆動モジュール500を制御するように構成することができる。例えば、処理ユニット20を、カートリッジ出口が上方を向いている場合に限り、駆動モジュール500を制御してプランジャロッドを混合前プランジャロッド位置および/または混合プランジャロッド位置および/またはプライムプランジャロッド位置などへとプランジャロッド伸張位置に向かって移動させるように構成することができる。これに代え、あるいはこれに加えて、処理ユニット20は、向き信号に基づいて、ユーザインタフェース1100を介してユーザ出力をもたらすことができる。
【0182】
自動注射器4は、コードセンサ24を備える。コードセンサ24は、カートリッジコード特徴部を読み取り、カートリッジコード特徴部を表すコード信号をもたらすように構成される。例えば、コードセンサを、色コードを読み取る/検出するように構成することができる。
【0183】
処理ユニット20は、コードセンサ24に接続される。処理ユニット20は、コード信号を受信するように構成される。処理ユニット20は、コード信号に基づいてカートリッジアセンブリのカートリッジコード特徴部を決定することができる。処理ユニット20は、コード信号に基づいて駆動モジュール500を制御することができる。例えば、処理ユニット20を、コード信号に基づいて、駆動モジュール500を制御してプランジャロッドを混合前プランジャロッド位置および/または混合プランジャロッド位置および/またはプライムプランジャロッド位置および/または注射プランジャロッド位置などへとプランジャロッド伸張位置に向かって移動させるように構成することができる。処理ユニット20を、コード信号に基づいて、プランジャロッドしきい値および/または抵抗しきい値などのしきい値を決定するように構成することができる。これに代え、あるいはこれに加えて、処理ユニット20は、コード信号に基づいて、ユーザインタフェース1100を介してユーザ出力をもたらすことができる。
【0184】
自動注射器4は、プランジャロッド位置センサなどの排出センサ26を備える。排出センサ26は、自動注射器4のプランジャロッドの位置を検出し、プランジャロッドの位置を示す排出センサ信号をもたらすように構成される。排出センサ26は、駆動モジュール500に組み合わせられた回転計を備えることができる。
【0185】
処理ユニット20は、排出センサ26に接続される。処理ユニット20は、排出センサ信号を受信するように構成される。処理ユニット20は、排出センサ信号に基づいてプランジャロッドの位置を決定することができる。処理ユニット20は、排出センサ信号に基づいて駆動モジュール500を制御することができる。例えば、処理ユニット20を、排出センサ信号に基づいてプランジャロッドの動きを開始させ、停止させ、あるいは継続するように、駆動モジュール500を制御するように構成することができる。例えば、処理ユニット20を、排出センサ信号に基づいて現在のプランジャロッド位置を決定するように構成することができる。排出センサ信号に基づいて、プランジャロッドが混合前プランジャロッド位置および/または混合プランジャロッド位置および/またはプライムプランジャロッド位置および/または注射プランジャロッド位置にあると決定することができる。これに代え、あるいはこれに加えて、処理ユニット20は、排出センサ信号に基づいて、ユーザインタフェース1100を介してユーザ出力をもたらすことができる。
【0186】
自動注射器4は、カートリッジセンサ28を備える。カートリッジセンサ28は、自動注射器4におけるカートリッジアセンブリの受け入れを検出するように構成される。カートリッジセンサ28は、カートリッジアセンブリの受け入れを示すカートリッジセンサ信号をもたらす。
【0187】
処理ユニット20は、カートリッジセンサ28に接続される。処理ユニット20は、カートリッジセンサ信号を受信するように構成される。処理ユニット20は、カートリッジセンサ信号に基づいて駆動モジュール500を制御することができる。例えば、処理ユニット20を、カートリッジアセンブリが受け入れられた場合、および/またはカートリッジアセンブリが受け入れられた場合に限り、駆動モジュール500を制御してプランジャロッドの動きを開始させるように構成することができる。これに代え、あるいはこれに加えて、処理ユニット20は、カートリッジセンサ信号に基づいて、ユーザインタフェース1100を介してユーザ出力をもたらすことができる。
【0188】
コードセンサ24およびカートリッジセンサ28は、同じセンサであってもよく、例えばコードセンサ24を、カートリッジアセンブリの受け入れを検出し、次いでカートリッジコード特徴部を読み取るように構成することができる。
【0189】
自動注射器4は、針センサ30を備える。針センサ30は、カートリッジアセンブリが自動注射器4に受け入れられたときに、カートリッジアセンブリの針および/または針アセンブリおよび/または針アセンブリの針カバーを検出するように構成される。針センサ30は、カートリッジアセンブリの針および/または針アセンブリおよび/または針アセンブリの針カバーの存在を示す針信号をもたらす。
【0190】
処理ユニット20は、針センサ30に接続される。処理ユニット20は、針信号を受信するように構成される。処理ユニット20は、針信号に基づいて駆動モジュール500を制御することができる。例えば、処理ユニット20を、針が存在する場合に限り、さらには/あるいは針カバーが例えば取り除かれて存在しない場合に限り、駆動モジュール500を制御して混合前プランジャロッド位置および/または混合プランジャロッド位置および/またはプライムプランジャロッド位置および/または注射プランジャロッド位置などへと、例えばプランジャロッド伸張位置へと向かうプランジャロッドの移動を開始させるように構成することができる。針カバーの検出は、針の存在を示すことができる。処理ユニット20を、針カバーが検出され、その後に例えば取り除かれて検出されない場合に限り、駆動モジュール500を制御して動作を開始させるように構成することができる。これに代え、あるいはこれに加えて、処理ユニット20は、針信号に基づいて、ユーザインタフェース1100を介してユーザ出力をもたらすことができる。
【0191】
針センサ30は、図6に例示されるように、接触部材センサの一部であってもよい。
【0192】
自動注射器4は、温度センサ32を備える。温度センサ32は、自動注射器および/またはカートリッジおよび/または薬剤の温度などの温度を検出するように構成される。温度センサ32は、温度を表す温度信号をもたらすように構成される。
【0193】
処理ユニット20は、温度センサ32に接続される。処理ユニット20は、温度信号を受信するように構成される。処理ユニット20を、温度信号に基づいて自動注射器および/またはカートリッジおよび/または薬剤の温度などの温度を決定するように構成することができる。処理ユニット20は、温度信号に基づいて駆動モジュール500を制御することができる。例えば、処理ユニット20を、温度信号に基づいて、駆動モジュール500を制御してプランジャロッドを混合前プランジャロッド位置および/または混合プランジャロッド位置および/またはプライムプランジャロッド位置および/または注射プランジャロッド位置などへとプランジャロッド伸張位置に向かって移動させるように構成することができる。処理ユニット20は、温度信号に基づいてプランジャロッドの位置を決定することができる。例えば、処理ユニット20を、温度信号に基づいて混合前プランジャロッド位置および/または混合プランジャロッド位置および/またはプライムプランジャロッド位置および/または注射プランジャロッド位置を決定するように構成することができる。これに代え、あるいはこれに加えて、処理ユニット20は、温度信号に基づいて、ユーザインタフェース1100を介してユーザ出力をもたらすことができる。
【0194】
自動注射器4は、抵抗センサ34を備える。抵抗センサ34は、自動注射器4のプランジャロッドの移動に対する抵抗を検出するように構成される。抵抗センサ34を、駆動モジュール500の測定値に基づいてプランジャロッドの移動に対する抵抗を検出するように構成することができる。例えば、抵抗センサ34を、駆動モジュール500のモータの電流を検出するように構成することができる。抵抗センサ34は、プランジャロッドの移動に対する抵抗を表す抵抗信号をもたらすように構成される。
【0195】
処理ユニット20は、抵抗センサ34に接続される。処理ユニット20は、抵抗信号を受信するように構成される。処理ユニット20を、抵抗信号に基づいてプランジャロッドの移動に対する抵抗を決定するように構成することができる。処理ユニット20は、抵抗信号に基づいて駆動モジュール500を制御することができる。例えば、処理ユニット20を、抵抗信号に基づいてプランジャロッドの移動を調整するように、駆動モジュール500を制御するように構成することができる。例えば、処理ユニット20を、抵抗信号に基づいてプランジャロッドの移動を開始させ、停止させ、あるいは継続するように、駆動モジュール500を制御するように構成することができる。これに代え、あるいはこれに加えて、処理ユニット20は、抵抗信号に基づいて、ユーザインタフェース1100を介してユーザ出力をもたらすことができる。
【0196】
自動注射器4は、温度制御ユニット36を備える。温度制御ユニット36は、例えば温度信号など、自動注射器および/またはカートリッジおよび/または薬剤の温度に基づいて、自動注射器および/またはカートリッジおよび/または薬剤の温度などの温度を変更するように構成される。例えば、温度制御ユニット36は、カートリッジレシーバに受け入れられたカートリッジの温度を変更するように構成される。
【0197】
処理ユニット20は、温度制御ユニット36に接続される。処理ユニット20は、温度制御ユニット36を制御するように構成される。処理ユニット20を、例えば温度信号に基づいて自動注射器および/またはカートリッジおよび/または薬剤の温度などの温度を変更するように構成することができる。例えば、処理ユニット20を、温度信号に基づいて自動注射器および/またはカートリッジおよび/または薬剤の温度を上げるように、温度制御ユニット36を制御するように構成することができる。
【0198】
温度制御ユニット36は、加熱素子38を備えることができる。加熱素子38を、自動注射器および/またはカートリッジおよび/または薬剤の温度を上昇させるように構成することができる。加熱素子38は、抵抗加熱素子であってよい。加熱素子38は、誘電加熱素子であってよい。
【0199】
温度制御ユニット36は、冷却素子40を備えることができる。冷却素子40を、自動注射器および/またはカートリッジおよび/または薬剤の温度を低下させるように構成することができる。
【0200】
温度制御ユニット36は、接触要素42を備えることができる。接触要素42を、カートリッジレシーバに受け入れられたカートリッジに接触するように構成することができる。接触要素42は、温度制御ユニット36と自動注射器および/またはカートリッジおよび/または薬剤との間の熱伝達の向上をもたらすことができる。
【0201】
温度制御ユニット36は、コイル要素44を備えることができる。コイル要素44は、カートリッジレシーバに受け入れられたカートリッジの全周を囲むように構成することができる。コイル要素44は、温度制御ユニット36と自動注射器および/またはカートリッジおよび/または薬剤との間の熱伝達の向上をもたらすことができる。
【0202】
上述の要素のすべてを含む自動注射器4が、例示されている。しかしながら、代わりに、自動注射器は、上述した要素のうちのただ1つ、または上述した要素のうちの1つ以上からなる任意の組み合わせを備えることができる。
【0203】
自動注射器は、ユーザインタフェース1100を備える。ユーザインタフェース1100は、例えば第1の入力部材など、ユーザ入力を受け取るための1つ以上の入力部材を備えることができる。ユーザインタフェースは、受け取ったユーザ入力を表すユーザ入力信号をもたらすように構成される。ユーザインタフェース1100は、第1の入力信号および/または第2の入力信号をもたらすことができる。
【0204】
処理ユニット20は、ユーザインタフェース1100に接続される。処理ユニット20は、第1の入力信号および/または第2の入力信号などのユーザ入力信号を受信するように構成される。処理ユニット20は、ユーザ入力信号に基づいて駆動モジュール500を制御することができる。例えば、処理ユニット20を、ユーザ入力信号に基づき、さらには/あるいはユーザ入力信号に従って、駆動モジュール500を制御してプランジャロッドを混合前プランジャロッド位置および/または混合プランジャロッド位置および/またはプライムプランジャロッド位置および/または注射プランジャロッド位置などへとプランジャロッド伸張位置に向かって移動させるように構成することができる。
【0205】
自動注射器は、センサ22,24,26,28,30,32,34、処理ユニット20、ユーザインタフェース1100、駆動モジュール500、および温度制御ユニット36を収容するハウジング6を備える。
【0206】
図8a~図8fは、典型的なカートリッジアセンブリ600およびプランジャロッド400を概略的に示している。カートリッジアセンブリ600は、図3に関連して説明したカートリッジなどのカートリッジ700と、カートリッジホルダ800と、針アセンブリ900とを備える。分かり易くするために、プランジャロッド400を備える自動注射器は、図示されていない。
【0207】
カートリッジホルダ800は、カートリッジ保持部材808を備える。カートリッジ保持部材808は、自動注射器のカートリッジレシーバに係合するように構成される。カートリッジホルダ800は、針アセンブリ結合部812を備える。針アセンブリ結合部812は、針アセンブリ900のカートリッジホルダ結合部906と係合するように構成される。針アセンブリ結合部812は、カートリッジ700への針の取り付けを可能にする。
【0208】
針アセンブリ900は、針902および針ハブ904を備える。針アセンブリ900は、例えばカートリッジホルダ800の針アセンブリ結合部812に係合する例えば螺合部などのカートリッジホルダ結合部906を有している針ハブ904によって、カートリッジ700に取り付けられる。針902は、カートリッジ700のカートリッジ出口714を通って延びる。
【0209】
図8aは、プランジャロッド400が典型的なプランジャロッド後退位置にある状況を、概略的に示している。カートリッジ700は、新品のカートリッジであってよい。第1のストッパ708が、初期位置に位置している。第2のストッパ710は、例えばバイパス部712の後方の初期位置にあり、ここでバイパス部712は、第1の小室704と第2の小室706との間の連通を形成していない。
【0210】
図8bは、プランジャロッド400が典型的な混合前プランジャロッド位置にある状況を概略的に示している。図8aと比較して、プランジャロッド400は、プランジャロッド伸張位置に向かって移動する。プランジャロッド400のプランジャロッド前端部410が、第1のストッパ708に当接する。したがって、プランジャロッド400は、第1のプランジャロッド方向422の移動によって、第1のストッパ708を第1のストッパ方向722に移動させ始めている。第2のストッパ710は、例えばバイパス部712の後方の位置にあり、ここでバイパス部712は、第1の小室704と第2の小室706との間の連通を形成していない。
【0211】
図8cは、プランジャロッド400がバイパス部712を介して第1の小室704と第2の小室706との間の連通が確立される典型的な位置にある状況を概略的に示している。プランジャロッド400のプランジャロッド前端部410は、第1のストッパ708に当接する。プランジャロッド400は、第1のプランジャロッド方向422の移動によって、第1のストッパ708を第1のストッパ方向722に移動させている。第2のストッパ710は、バイパス部712に位置し、ここでバイパス部712は、第1の小室704と第2の小室706との間の連通を形成している。このようにして、例えばプランジャロッド400の第1のプランジャロッド方向422の移動による第1のストッパ708の第1のストッパ方向722のさらなる移動により、例えば第1の薬剤成分(図示せず)などの第1の小室704の内容物が、例えばバイパス部712を通って第2の小室706へと運ばれる。
【0212】
図8dは、プランジャロッド400が典型的な混合プランジャロッド位置にある状況を概略的に示している。プランジャロッド前端部410は、第1のストッパ708に当接している。第1のストッパ708は、第2のストッパ710に当接している。第1の小室704は、圧縮されている。第2のストッパ710は、バイパス部712の向こうの位置にある。したがって、第1の小室704と第2の小室706との間の連通は、閉じられている。
【0213】
図8eは、プランジャロッド400が典型的なプライムプランジャロッド位置にある状況を概略的に示している。図8dと比較して、プランジャロッド400は、例えばカートリッジ室702から空気を吐出させるために、プランジャロッド伸張位置に向かって移動している。
【0214】
図8fは、プランジャロッド400が典型的な注射プランジャロッド位置にある状況を概略的に示している。例えば、完全な注射の後で、プランジャロッド400は、注射プランジャロッド位置に位置することができる。第1のストッパ708および第2のストッパ710は、カートリッジ出口714に近い位置にある。例えば薬剤など、カートリッジ構成要素の内容物は、例えばカートリッジ出口714および/または針902を通って吐出済みである。残余の薬剤が、カートリッジに残っていてもよい。
【0215】
図9が、プランジャロッドの位置Pに依存するプランジャロッドの移動に対する抵抗Reの典型的な推移Tを示している。プランジャロッドは、プランジャロッド後退位置PRからプランジャロッド伸張位置PEへと移動する。移動の始めにおいて、プランジャロッドの移動に対する抵抗は、一定であり(Ex1)、例えばプランジャロッドはストッパをまだ押していない。その後に、プランジャロッドのプランジャロッド先端部が、カートリッジの第1のストッパに当接し、プランジャロッドの移動に対する抵抗が増大する(Ex2)。抵抗の増大は、例えば摩擦力に起因する第1のストッパの移動に対する抵抗によって引き起こされる。図示のように、抵抗は、第1のストッパが動き始めた後にわずかに低下するかもしれない。プランジャロッドがプランジャロッド伸張位置PEに近づくとき、抵抗は、例えば第1のストッパがカートリッジの端部に近づくことに起因して、再び増大するかもしれない(Ex3)。
【0216】
推移Tは、受け入れたカートリッジが新品および/または未使用および/または通常のカートリッジであるときのプランジャロッドの移動に対する抵抗の一例である。カートリッジパラメータの決定は、抵抗および/またはプランジャロッドの位置に基づくことができる。カートリッジパラメータの決定は、低抵抗しきい値Re1および/または高抵抗しきい値Re2などの抵抗しきい値、ならびに/あるいは第1のプランジャロッドしきい値P1および/または第2のプランジャロッドしきい値P2などのプランジャロッドしきい値など、1つ以上のしきい値に基づくことができる。
【0217】
受け入れたカートリッジが明らかに使用済みであり、さらには/あるいは欠陥品である状況など、他の状況が、さらなる典型的な推移T2、T3、T4によって例示される。
【0218】
推移T2は、プランジャロッド位置が第1のプランジャロッドしきい値P1に達する前に、移動に対する抵抗が低抵抗しきい値Re1を超えて増加する典型的な状況を示している。このような状況は、例えば、カートリッジに欠陥があることや、何かがプランジャロッドの移動を妨害していることを示している可能性がある。このような状況を受けて、プランジャロッドをプランジャロッド後退位置に戻すことができ、エラーメッセージをユーザインタフェースを介してもたらすことができる。
【0219】
推移T3は、プランジャロッド位置が第2のプランジャロッドしきい値P2に達する前に、移動に対する抵抗が低抵抗しきい値Re1を超えて増加しない典型的な状況を示している。このような状況は、例えば使用済みのカートリッジなど、例えば第1のストッパが前進位置にあるカートリッジを示すことができる。このような状況を受けて、プランジャロッドをプランジャロッド後退位置に戻すことができ、エラーメッセージをユーザインタフェースを介してもたらすことができる。
【0220】
推移T4は、例えばプランジャロッド位置が第1のプランジャロッドしきい値P1を通過した後に、移動に対する抵抗が高抵抗しきい値Re2を超えて増加する典型的な状況を示している。このような状況は、例えば第1のストッパの移動が妨げられていることを示している可能性があり、例えばカートリッジが欠陥品である可能性がある。このような状況を受けて、プランジャロッドをプランジャロッド後退位置に戻すことができ、エラーメッセージをユーザインタフェースを介してもたらすことができる。
【0221】
低抵抗しきい値Re1、高抵抗しきい値Re2、第1のプランジャロッドしきい値P1、および/または第2のプランジャロッドしきい値P2などのしきい値を、受け入れたカートリッジについて個別に決定することができる。例えば、自動注射器の処理ユニットを、受け入れたカートリッジおよび/またはカートリッジアセンブリのカートリッジコード特徴部に基づいて、しきい値のうちの1つ以上を決定するように構成することができる。
【0222】
図10が、自動注射器を動作させるための典型的な方法6000のフロー図を示している。方法6000は、薬剤の温度を表す温度センサからの温度信号を受信するステップ6002と、プランジャロッドを第1のプランジャロッド位置から混合プランジャロッド位置まで混合プランジャロッド速度で移動させるステップ6004と、混合プランジャロッド位置へのプランジャロッドの移動が完了してから再構成時間が経過した後に、プランジャロッドを混合プランジャロッド位置から第2のプランジャロッド位置へと移動させるステップ6006とを含む。方法6000は、トリガイベントを受信するステップ6008と、プランジャロッドを注射プランジャロッド位置へと移動させるステップ6010とをさらに含むことができる。
【0223】
自動注射器は、第1のストッパと、薬剤を収容するカートリッジ室とを備えるカートリッジを受け入れるように構成されたカートリッジレシーバを備えることができる。カートリッジ室は、薬剤の第1の薬剤成分を収容する第1のカートリッジ小室と、薬剤の第2の薬剤成分を収容する第2のカートリッジ小室とを有することができる。自動注射器は、第1のストッパを移動させるように構成されたプランジャロッドと、温度センサとをさらに備えることができる。
【0224】
混合プランジャロッド位置を、第1の薬剤成分が第2の薬剤成分と混合される位置に第1のストッパを位置させるように選択することができる。
【0225】
第1のプランジャロッド位置から混合プランジャロッド位置への移動6004は、温度信号に基づくことができる。
【0226】
第2のプランジャロッド位置は、プライムプランジャロッド位置であってよい。プライムプランジャロッド位置を、カートリッジ室内の空気が注射に適した量へと減らされる位置に第1のストッパを位置させるように選択することができる。
【0227】
混合プランジャロッド位置へのプランジャロッドの移動6004を、カートリッジレシーバに収容されているカートリッジの検出および/または第1の入力信号の受信の後に行うことができる。例えば、混合プランジャロッド位置へのプランジャロッドの移動6004を、カートリッジが検出され、第1の入力信号が受信された後に限り、実行することができる。
【0228】
これに代え、あるいはこれに加えて、混合プランジャロッド位置へのプランジャロッドの移動6004に先立ち、(図12に関連してさらに詳細に説明されるように)カートリッジの向きを判定することができる。例えば、混合プランジャロッド位置へのプランジャロッドの移動6004は、カートリッジの出口が上方を向いていること(例えば、カートリッジの向きを決定することによって判定される)を必要とすることができる。混合プランジャロッド位置へのプランジャロッドの移動6004を、カートリッジの向きが所定の向きの範囲内にない場合に、一時的に停止させることができる。
【0229】
第2のプランジャロッド位置へのプランジャロッドの移動6006は、カートリッジの出口が上方を向いていること(例えば、カートリッジの向きを決定することによって判定される)を必要とすることができる。第2のプランジャロッド位置へのプランジャロッドの移動6006を、カートリッジの向きが所定の向きの範囲内にない場合に、一時的に停止させることができる。
【0230】
混合プランジャロッド位置から第2のプランジャロッド位置へのプランジャロッドの移動6006は、プランジャロッドの混合プランジャロッド位置への移動が完了してから再構成時間が経過することを必要とすることができる。再構成時間は、温度に基づくことができる。温度信号の受信6002を、追加または代案として、例えば再構成時間を決定するために、プランジャロッドの混合プランジャロッド位置への移動6004の後に実行することも可能である。
【0231】
トリガイベントの受信6008は、例えばユーザがボタンを押すことによるトリガ部材からのトリガイベントの受信など、ユーザインタフェースからのユーザ入力信号の受信を含むことができる。トリガイベントは、ユーザによる注射の開始の指示によることができる。トリガイベントは、ユーザが意図される注射部位に自動注射器の前部を押し付けることによることができる。トリガイベントは、接触部材信号が自動注射器の接触部材が第1の接触部材位置にある旨を知らせることを含むことができる。
【0232】
注射プランジャロッド位置へのプランジャロッドの移動6010は、針を通過するなど、カートリッジ出口を通過する薬剤の排出をもたらすことができる。プランジャロッドの移動6010を、例えば第2のプランジャロッド位置へのプランジャロッドの移動6006の完了後に、トリガイベント6008の受信に続いて行うことができる。
【0233】
図11が、典型的な方法6000’のフロー図を示している。方法6000’は、前の図に関連して説明した方法6000と同じステップを含む。しかしながら、方法6000’は、温度を変更する追加のステップ6012を含む方法の一例である。
【0234】
方法6000’は、自動注射器および/またはカートリッジおよび/または薬剤の温度を変更するステップ6012を含む。温度を、薬剤の温度を表す温度信号の受信6002の後に変更することができる。温度を、温度信号の受信6002を行いつつ変更することができる。例えば、温度が低すぎることを示す温度信号を受信6002し、温度を変更6012することによって温度を上げることができ、その後に、温度信号を再び受信6002することができる。このループを、温度が所定の範囲内となるまで続けることができる。受信6002した温度信号が、温度信号が所定の範囲内にあることを示しているとき、方法6000’は、プランジャロッドを混合プランジャロッド位置へと移動させる次のステップ6004に進むことができる。方法6000’は、例えば方法6000’の後続のステップを最適化するために、例えば混合プランジャロッド位置へのプランジャロッドの移動6004の最中など、本方法の他のステップと同時に温度を変更するステップ6012を含むことができる。
【0235】
図12が、典型的な方法6000’’のフロー図を示している。方法6000’’は、前の図に関連して説明した方法6000’と同じステップを含む。しかしながら、方法6000’’は、第1の入力信号を受信するステップ6014、例えば自動注射器のカートリッジレシーバへのカートリッジの受け入れを検出するステップ6016、カートリッジの向きを決定するステップ6018、カートリッジコード特徴部を読み取るステップ6020、針カバーの取り外しを検出するステップ6022、プランジャロッドを混合前プランジャロッド位置などの第1のプランジャロッド位置へと移動させるステップ6024、プランジャロッドの移動に対する抵抗を検出するステップ6026、および再構成時間を決定するステップ6019という追加のステップを含む方法の一例である。
【0236】
第1の入力信号を受信するステップ6014は、例えばユーザがボタンを押すことによるユーザインタフェースからのユーザ入力信号の受信を含むことができる。第1の入力信号は、ユーザが自動注射器をオンにすることによってもたらされてもよい。
【0237】
カートリッジの受け入れを検出するステップ6016は、ユーザがカートリッジレシーバ開口部を通ってカートリッジレシーバへとカートリッジを挿入することを検出することを含むことができる。カートリッジの受け入れを検出するステップ6016は、カートリッジレシーバにおけるカートリッジの存在を検出することを含むことができる。
【0238】
第1の入力信号を受信するステップ6014と、カートリッジの受け入れを検出するステップ6016とを、入れ換えることも可能である。
【0239】
カートリッジの向きを決定するステップ6018は、加速度計などの向きセンサによって向きを決定することを含むことができる。カートリッジの向きを決定するステップ6018は、自動注射器の向きを決定することを含むことができる。カートリッジの向きを決定するステップ6018は、カートリッジの出口が上方を向いているかどうかを判定することを含むことができる。
【0240】
方法6000’’は、カートリッジコード特徴部を読み取るステップ6020を含む。カートリッジコード特徴部は、1つ以上のカートリッジ仕様を示すことができる。方法6000’’の後続のステップは、カートリッジ仕様に基づく適合を含むことができる。例えば、方法6000’’の後続のステップを、受け入れられて識別された特定のカートリッジに合わせて調整することができる。
【0241】
カートリッジコード特徴部を読み取るステップ6020を、温度信号を受信するステップ6002と同時に実行してもよい。しかしながら、代案においては、順次の実行も可能である。例えば、カートリッジコード特徴部を読み取るステップ6020を、温度信号を受信するステップ6002の前に実行することができ、あるいはカートリッジコード特徴部を読み取るステップ6020を、温度信号を受信するステップ6002の後で実行してもよい。
【0242】
針カバーの取り外しを検出するステップ6022は、プランジャロッドの移動の開始の前提条件であってよい。例えば、針カバーの取り外しは、受け入れたカートリッジの使用の意図を表すことができる。
【0243】
プランジャロッドを第1のプランジャロッド位置へと移動させるステップ6024は、例えば2成分の薬剤の混合を開始させることがない第1のストッパの移動など、カートリッジの第1のストッパの初期移動を含むことができる。
【0244】
第1のプランジャロッド位置へのプランジャロッドの移動6024を、カートリッジレシーバに収容されているカートリッジの検出6016および第1の入力信号の受信6014の後に行うことができる。例えば、第1のプランジャロッド位置へのプランジャロッドの移動6024を、カートリッジが検出6016され、第1の入力信号が受信6014された後に限り、実行することができる。
【0245】
プランジャロッドを第1のプランジャロッド位置へと移動させるステップ6024は、温度信号を受信するステップ6002、随意により温度を変更するステップ6012、およびカートリッジコード特徴部を読み取るステップ6020と同時に実行することが可能である。
【0246】
プランジャロッドの移動に対する抵抗を検出するステップ6026は、図示されているように、プランジャロッドを第1のプランジャロッド位置へと移動させるステップ6024と同時に実行することができる。プランジャロッドの移動に対する抵抗を検出するステップ6026は、カートリッジが新品であるか、使用済みでないか、あるいは欠陥品でないかなど、受け入れたカートリッジのカートリッジパラメータを示すことができる。
【0247】
プランジャロッドを混合プランジャロッド位置へと移動させるステップ6004を、カートリッジコード特徴部を読み取るステップ6020、温度信号を受信するステップ6002、針カバーの取り外しを検出するステップ6022、プランジャロッドを混合前プランジャロッド位置へと移動させるステップ6024、プランジャロッドの移動に対する抵抗を検出するステップ6026、およびカートリッジの向きを決定するステップ6018に続いて行うことができる。
【0248】
プランジャロッドを混合プランジャロッド位置へと移動させるステップ6004は、カートリッジコード特徴部、温度、針カバーの取り外し、プランジャロッドの移動に対する抵抗、および/またはカートリッジの向きのうちの1つ以上に基づくことができる。
【0249】
第2のプランジャロッド位置へのプランジャロッドの移動6006は、プランジャロッドの混合プランジャロッド位置への移動が完了してから再構成時間が経過することを必要とすることができる。方法6000’’は、再構成時間を決定するステップ6019を含む。再構成時間を決定するステップ6019は、カートリッジコード特徴部、温度、針カバーの取り外し、プランジャロッドの移動に対する抵抗、および/またはカートリッジの向きのうちの1つ以上に基づくことができる。再構成時間を決定するステップ6019は、自動注射器の震とうおよび/または自動注射器の反転の回数などの自動注射器の運動量などの第1の運動パラメータの決定を含むことができる。第1の運動パラメータを、加速度計などの向きセンサなどからの向き信号に基づいて決定することができる。再構成時間を決定するステップ6019は、向き信号を受信することを含むことができる。
【0250】
再構成時間を決定するステップ6019を、第1の運動パラメータ、温度、および/またはカートリッジコード特徴部の組み合わせに基づいて決定することができる。温度信号の受信6002を、追加または代案として、例えば再構成時間を決定するために、再構成時間を決定するステップ6019の最中に実行することも可能である。
【0251】
プランジャロッドを第2のプランジャロッド位置へと移動させるステップ6006は、カートリッジコード特徴部、温度、針カバーの取り外し、プランジャロッドの移動に対する抵抗、および/またはカートリッジの向きのうちの1つ以上に基づくことができる。
【0252】
プランジャロッドを注射プランジャロッド位置へと移動させるステップ6010は、カートリッジコード特徴部、温度、針カバーの取り外し、および/またはプランジャロッドの移動に対する抵抗のうちの1つ以上に基づくことができる。
【0253】
方法6000および/または方法6000’および/または方法6000’’は、カートリッジを受け入れる第1のステップを含むことができる。
【0254】
図13a~図13dは、図1に示した自動注射器4などの典型的な自動注射器4の典型的なユーザインタフェース1100を概略的に示している。
【0255】
ユーザインタフェース1100は、例えば複数のLEDなどの図示のとおりの第1の出力部材1110を備える。第1の出力部材1110は、ユーザへのユーザ出力をもたらすことができる。第1の出力部材1110を、手順におけるステップをユーザに知らせ、さらには/あるいはエラーメッセージを示すために使用することができる。第1の出力部材1110は、第1のLED1116と、第2のLED1118と、第3のLED1120とを備える。
【0256】
ユーザインタフェース1100は、例えばスピーカなどの第2の出力部材(図示せず)を備えることができる。
【0257】
ユーザインタフェース1100は、例えば自動注射器4の前端部の接触部材1102を備える。接触部材1102を、注射部位に対して押し付けられるように構成することができる。接触部材1102は、ユーザインタフェース1100の第3の出力部材として機能することができ、例えば接触部材1102を、点滅などの光を発するように構成することができる。
【0258】
ユーザインタフェース1100は、例えばボタンなどの第1の入力部材1108を備える。第1の入力部材1108は、ユーザからのユーザ入力をもたらすことができる。例えば、第1の入力部材1108を、次のステップに進むためのユーザからの押し操作を受け付けるために使用することができる。第1の入力部材1108は、ユーザインタフェース1100の第4の出力部材として機能することができ、例えば第1の入力部材1108を、点滅などの光を発するように構成することができる。
【0259】
図13aは、例えば自動注射器4がオフであるなど、出力部材のいずれも作動していないユーザインタフェース1100の状況を概略的に示している。
【0260】
図13bは、第1の入力部材1108および接触部材1102が点滅などの光を発しているユーザインタフェース1100の状況を概略的に示している。第1の入力部材1108および接触部材1102は、同期して点滅することができ、さらには/あるいは同期せずに点滅することができる。図示の状況は、ユーザが第1の入力部材1108を押すべきであり、さらには/あるいは接触部材1102を通ってカートリッジを挿入すべきであることを、知らせる状況であってよい。図示の状況は、自動注射器がオンにされた後の状況であってよい。
【0261】
図13cは、第1の入力部材1108および第2のLED1118が点滅などの光を発しているユーザインタフェース1100の状況を概略的に示している。図示の状況は、ユーザが第1の入力部材1108を押すことによって次のステップに進むべきであることを、知らせる状況であってよい。図示の状況は、薬剤成分の混合後および/または空気の排出を行う前の状況であってよい。
【0262】
図13dは、第1の入力部材1108および接触部材1102ならびに第3のLED1120が点滅などの光を発しているユーザインタフェース1100の状況を概略的に示している。第1の入力部材1108および接触部材1102ならびに第3のLED1120は、同期して点滅することができ、さらには/あるいは同期せずに点滅することができる。図示の状況は、ユーザが接触部材1102を意図される注射部位へと押し付けて薬剤を注射すべきであることを、知らせる状況であってよい。図示の状況は、薬剤を注射する前の状況であってよい。
【0263】
図14a~図14cが、第1の運動パラメータの運動など、典型的な自動注射器4の典型的な運動を概略的に示している。
【0264】
図14aは、自動注射器4の第1の端部4aが実質的に上方を向いている第1の位置にある自動注射器4を示している。自動注射器4の第2の端部4bは、実質的に下方を向いている。
【0265】
図14bは、自動注射器4の第1の端部4aが実質的に下方を向いている第2の位置へと動かされた自動注射器4を示している。自動注射器4の第2の端部4bは、実質的に上方を向いている。
【0266】
図14cは、第1の位置へと戻されるなど、自動注射器4の第1の端部4aが実質的に上方を向いている第3の位置へと動かされた自動注射器4を示している。自動注射器4の第2の端部4bは、実質的に下方を向いている。
【0267】
第1の運動パラメータは、自動注射器4が第1の位置から第2の位置へと動かされ、随意により第1の位置へと戻されるなどの第3の位置へと動かされた回数など、自動注射器4の反転の回数を表すことができる。処理ユニット(図14には図示せず)を、反転の回数を検出および/またはカウントするように構成することができる。
【0268】
図示の例では、第1および第3の位置において自動注射器4の第1の端部4aが真っ直ぐ上を指しているが、自動注射器4の第1の端部4aは、例えば上方45°の範囲を指していれば充分である。
【0269】
同様に、図示の例では、第2の位置において自動注射器4の第1の端部4aが真っ直ぐ下を指しているが、自動注射器4の第1の端部4aは、例えば下方45°の範囲を指していれば充分である。
【0270】
再構成時間は、図14に関連して説明した反転に依存し得る。例えば、再構成は、0.3~1.2Hzの間などの予め定められた周波数範囲の周波数で、5回などの特定の回数の反転を実行することを必要とし得る。例えば、再構成時間は、この回数の反転の実行に使用される時間であってよい。必要な反転の回数および/または周波数範囲を、温度に基づいて決定することができ、例えば、より高い温度においては反転の回数が少なくてよく、より低い温度においては、より多数回の反転が必要とされてよい。これに代え、あるいはこれに加えて、必要な反転の回数および/または周波数範囲を、カートリッジコード特徴部に基づいて決定することができ、例えばカートリッジコード特徴部が、反転の回数および/または反転の周波数範囲を示すことができる。
【0271】
特定の特徴を図示および説明したが、それらが特許請求の範囲に記載される発明を限定しようとするものではないことは明らかであり、特許請求の範囲に記載される発明の技術的思想および技術的範囲から外れることなく種々の変更および修正が可能であることは、当業者にとって自明であろう。したがって、本明細書および図面は、限定の意味ではなく、例示の意味で考慮されなければならない。特許請求の範囲に記載される発明は、すべての代替物、改変物、および等価物を包含するように意図される。
図1
図2
図3
図4a)】
図4b)】
図4c)】
図4d)】
図5
図6a)】
図6b)】
図6c)】
図6d)】
図7
図8a)】
図8b)】
図8c)】
図8d)】
図8e)】
図8f)】
図9
図10
図11
図12
図13a)】
図13b)】
図13c)】
図13d)】
図14a)】
図14b)】
図14c)】