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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】情報処理方法および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20180101AFI20220404BHJP
   G16H 50/30 20180101ALI20220404BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20220404BHJP
【FI】
G06Q50/22
G16H50/30
G16H10/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018553654
(86)(22)【出願日】2017-07-26
(86)【国際出願番号】 JP2017026962
(87)【国際公開番号】W WO2018100797
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】P 2016231791
(32)【優先日】2016-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501431073
【氏名又は名称】ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣部 圭祐
【審査官】岸 健司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-173250(JP,A)
【文献】特開昭64-076884(JP,A)
【文献】特開2011-115362(JP,A)
【文献】特開2016-189085(JP,A)
【文献】特表2005-506601(JP,A)
【文献】国際公開第2015/145810(WO,A1)
【文献】特開2014-008329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体力測定および認知機能の測定結果と、生活情報および社会参加スコアを取得部により取得することと、
前記測定結果に基づく体力値および認知機能値と、生活情報および社会参加スコアとの相関を学習部により学習することと、
ユーザの生活情報および社会参加スコアに基づき、前記学習した相関を用いて、当該ユーザの将来的な体力値および認知機能値を予測部により予測することと、
を含み、
前記予測部は、ユーザの現在の生活情報および社会参加スコアから、前記相関の学習結果を用いて当該ユーザの体力値および認知機能値を時系列分析し、当該ユーザの将来的な体力値および認知機能値を予測する、
情報処理方法。
【請求項2】
前記取得部は、ユーザの位置情報に基づいて前記社会参加スコアを算出して取得する、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記取得部は、前記ユーザの位置情報に基づいて、場所に設定された点数、重み付け、および時間を考慮して前記社会参加スコアを算出する、請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記取得部は、所定の場所に設置された受信装置により前記ユーザが装着した発信装置から発信された信号が受信された際に、当該場所の位置を前記ユーザの位置情報として取得する、請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記取得部は、特定のイベントへの参加情報に基づいて前記社会参加スコアを算出して取得する、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記学習は、前記体力値および認知機能値を正解ラベルに用いて機械学習処理を行う、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記生活情報は、食事情報、睡眠情報、または運動情報の少なくともいずれかを含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記食事情報は、食事の摂取タイミング、カロリー、または水分摂取量の少なくともいずれかを含む、請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記睡眠情報は、睡眠時間、睡眠タイミング、または睡眠の深さの少なくともいずれかを含む、請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記運動情報は、トレーニング、機能訓練、リハビリ、歩数、または活動量の少なくともいずれかを含む、請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記取得部は、体力値として、筋力、敏捷性、協調性、反応速度、または持久力の少なくともいずれかの数値を取得する、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記取得部は、認知機能値として、注意力、または記憶力の少なくともいずれかの数値を取得する、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記情報処理方法は、
前記予測の結果に応じて、介護予防のための生活状況または社会参加状況に関するアドバイスを生成部により生成することと、
前記生成したアドバイスをユーザに提示することと、
をさらに含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項14】
体力測定および認知機能の測定結果と、生活情報および社会参加スコアを取得する取得部と、
前記測定結果に基づく体力値および認知機能値と、生活情報および社会参加スコアとの相関を学習する学習部と、
ユーザの生活情報および社会参加スコアに基づき、前記学習した相関を用いて、当該ユーザの将来的な体力値および認知機能値を予測する予測部と、
を備え
前記予測部は、ユーザの現在の生活情報および社会参加スコアから、前記相関の学習結果を用いて当該ユーザの体力値および認知機能値を時系列分析し、当該ユーザの将来的な体力値および認知機能値を予測する、
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現行の体力測定は、年1回程度行われ、計測時にはストップウォッチやメジャーを用いて手作業で記録したり、専用の器具を使って特定部位の筋力等を計測したりしている。
【0003】
体力測定装置に関し、例えば下記特許文献1では、利用者が行うべき運動の指示を出力する出力部と、利用者の運動を検出する運動検出部と、運動指示に対する前記運動検出部の検出結果の一致度である運動一致度を算出し、当該運動一致度に基づいて行動体力を測定する体力測定部と、を備える体力判定装置が開示されている。
【0004】
また、このような体力測定は、子供や若者に限られず、高齢者の体力、認知機能の測定も重要となる。高齢者の体力測定に関し、例えば下記特許文献2では、階段昇降時間、反復横跳び、垂直跳びを測定し、階段昇降時間と、反復横跳びおよび垂直跳びの相関を求め、「階段昇降時間」の測定を行うだけで、「反復横跳び」および「垂直跳び」の測定に該当する体力レベルを想定することができる、高齢者にとって安全で且つ適切な体力測定方法が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献3では、被測定者の身体機能の測定を行う装置と、身体機能の測定を行う装置で得られた数値データを処理して被測定者の認知機能を評価する評価装置を備えた認知機能評価システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-73272号公報
【文献】特開2000-300710号公報
【文献】特開2011-115362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した現行の体力測定は、手間と工数が掛かり、また、広い場所が必要であったため、年1回程度しか行うことができず、頻繁に行うことが難しかった。しかしながら、高齢者の体力や認知機能には調子の波があり、年1回の計測では正確な数値がとれない場合があった。この場合、介護予防が十分に行えない恐れがある。
【0008】
介護予防とは、要介護状態になることをできる限り遅らせることであって、要介護状態であってもその状態がそれ以上に悪化しないよう改善を図ることと定義される。かかる介護予防には、高齢者の体力や認知機能の日々の低下を防ぐことも重要となるが、上述したような年1回程度の体力測定では不十分であり、また、日々の生活における適切なアドバイスは行われていなかった。
【0009】
そこで、本開示では、介護予防をより充実させることが可能な情報処理方法、情報処理装置、および情報処理端末を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示によれば、体力測定および認知機能の測定結果と、生活情報および社会参加スコアを取得部により取得することと、前記測定結果に基づく体力値および認知機能値と、生活情報および社会参加スコアとの相関を学習部により学習することと、ユーザの生活情報および社会参加スコアに基づき、前記学習した相関を用いて、当該ユーザの将来的な体力値および認知機能値を予測部により予測することと、を含む、情報処理方法を提案する。
【0011】
本開示によれば、体力測定および認知機能の測定結果と、生活情報および社会参加スコアを取得する取得部と、前記測定結果に基づく体力値および認知機能値と、生活情報および社会参加スコアとの相関を学習する学習部と、ユーザの生活情報および社会参加スコアに基づき、前記学習した相関を用いて、当該ユーザの将来的な体力値および認知機能値を予測する予測部と、を備える、情報処理装置を提案する。
【0012】
本開示によれば、ユーザの脚部に装着されたセンサデバイスから検知データを受信する受信部と、前記受信した検知データに基づいて、前記ユーザの体力を測定する測定部と、
を備える、情報処理端末を提案する。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本開示によれば、介護予防をより充実させることが可能となる。
【0014】
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の一実施形態による情報処理システムの概要について説明する図である。
図2】本実施形態による介護予防サイクルを説明する図である。
図3】本実施形態によるユーザ端末の構成の一例を示すブロック図である。
図4】本実施形態によるサーバの構成の一例を示すブロック図である。
図5】本実施形態による測定種目の一例である発声継続時間測定テストの際の画面表示例を示す図である。
図6】本実施形態による発声継続時間の計測について説明する図である。
図7】本実施形態による測定種目の一例であるアジリティテストの際の画面表示例を示す図である。
図8】本実施形態による測定種目の一例であるタップテストの際の画面表示例を示す図である。
図9】本実施形態による測定種目の一例であるステップテストの際の画面表示例を示す図である。
図10】本実施形態による測定種目の一例である足上げテストの際の画面表示例を示す図である。
図11】本実施形態による測定種目の一例であるスクワットテストの際の画面表示例を示す図である。
図12】本実施形態による測定種目の一例である記憶力テストの際の画面表示例を示す図である。
図13】本実施形態による測定種目の一例である注意力テストの際の画面表示例を示す図である。
図14】本実施形態による学習処理を示すシーケンス図である。
図15】本実施形態による予測処理を示すフローチャートである。
図16】本実施形態による社会参加スコア算出について説明する図である。
図17】本実施形態による体力および認知機能スコアの時系列分析結果の一例を示す図である。
図18】本実施形態による要介護の予測について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
また、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本開示の一実施形態による情報処理システムの概要
2.構成
2-1.ユーザ端末1の構成
2-2.サーバ3の構成
3.体力および認知機能の測定
4.動作処理
4-1.学習処理
4-2.予測処理
5.まとめ
【0018】
<<1.本開示の一実施形態による情報処理システムの概要>>
図1は、本開示の一実施形態による情報処理システムの概要について説明する図である。図1に示すように、本実施形態による情報処理システムは、各ユーザ(高齢者)の体力および認知機能を測定するユーザ端末1(1a~1c・・・)と、各ユーザの測定結果をユーザ端末1から受信して蓄積し、機械学習を含めた解析を行うサーバ3とを含む。
【0019】
ユーザ端末1(情報処理端末)は、タブレット端末やスマートフォン等の情報処理端末であって、体力および認知機能測定のために所定の行動指示を表示または音声出力する。ユーザは、かかる行動指示に応じて、例えば椅子に座った状態で足を上げ下げしたり、立ち座りを繰り返す。これらの行動は、図1に示すようにユーザの脚部等に装着されたセンサデバイス2により検知され、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の無線通信または有線通信によりユーザ端末1に送信される。ユーザ端末1は、センサデバイス2から受信したセンサデータを解析し、体力および認知機能の自動計測(数値化)および記録を行う。また、ユーザ端末1は、測定結果をネットワーク4を介してサーバ3へ送信する。
【0020】
ユーザに装着されるセンサデバイス2は、加速度センサおよびジャイロセンサ等を有し、ユーザの動きを検知し、検知したセンサデータをユーザ端末1へ送信する。
【0021】
サーバ3(情報処理装置)は、各ユーザの測定結果を蓄積する他、ユーザ(高齢者)の生活情報(食事、運動、睡眠、および基礎情報)および社会参加スコアをパラメータとし、体力、認知機能スコアを正解ラベルに使って機械学習を続け、体力、認知機能スコアと、生活情報および社会参加スコアとの相関を取得する。これによりサーバ3は、ユーザの生活情報および社会参加スコアに基づいて、体力、認知機能スコアの経時変化を算出して将来的な体力値および認知機能値を予測し、さらにユーザが将来的に要介護になるか否かを予測することが可能となる。
【0022】
ユーザの生活情報は、ユーザが老人ホームに入居している場合は、ネットワーク4を介して老人ホームDB(データベース)5から取得することが可能である。また、社会参加スコアは、特定の場所に訪れる、イベントに参加する等のユーザによる社会への参加状況を数値化したものである。
【0023】
そして、サーバ3は、ユーザの将来的な体力値および認知機能値の予測に応じて、生活状況の改善アドバイスや社会参加を促すアドバイスを生成してユーザに提示し、体力、認知機能の低下防止を図り、介護予防をより充実させることを可能とする。ここで、本実施形態による介護予防サイクルについて図2を参照して説明する。
【0024】
図2は、本実施形態による介護予防サイクルを説明する図である。図2に示すように、本実施形態による情報処理システムでは、日々の生活において得られる生活情報(「食事」、「運動」、「睡眠」、および「基礎情報」)と、社会参加情報とに基づいて、ユーザの体力、認知機能スコアを時系列分析し、ユーザの将来的な体力値および認知機能値、および将来的に要介護となるか否かが予測される。そして、生活状況や社会参加に関する、介護予防のためのアドバイスが生成され、ユーザに提示される。ユーザは、アドバイスに応じて介護予防のために生活状況を改善したり、社会参加を増やすようにすることができる。
【0025】
これらが繰り返されることで、ユーザの介護予防をより充実させることが可能となる。
【0026】
また、ユーザの体力および認知機能スコアの時系列分析は、生活情報および社会参加スコアをパラメータとし、ユーザ端末1から収集した体力、認知機能の測定結果を正解ラベルとした機械学習により得られた、「体力、認知機能」と「生活情報および社会参加スコア」の相関ルールに基づいて行われる。
【0027】
なお本実施形態において、「基礎情報」には、パーソナルデータ(身長、体重、性別、年齢等)、バイタル(体温、血圧、脈拍、SpO2等)、および性格等が含まれる。パーソナルデータおよび性格は、予め登録されていてもよい。バイタルは、ユーザが日常的に装着するスマートバンド、スマートウォッチ等のウェアラブルデバイスにより自動的に取得され得る。
【0028】
また、「食事情報」には、摂取タイミング、量(カロリー)、および水分摂取量等が含まれる。食事情報は、ユーザが老人ホームに入居している場合は老人ホームDB5から取得することが可能である。また、食事の摂取タイミングは、摂取時にウェアラブルデバイスの所定のボタンをユーザが押す等して、ウェアラブルデバイス側で記録することが可能である。
【0029】
また、「睡眠情報」には、睡眠時間、睡眠タイミング、および睡眠の深さ等が含まれる。これらの情報もウェアラブルデバイスにより自動的に取得され得る。
【0030】
また、「運動情報」には、トレーニング、機能訓練、リハビリ、歩数/活動量等が含まれる。これらの情報は、ユーザが老人ホームに入居している場合は老人ホームDB5から取得することが可能である。また、「歩数/活動量」は、ユーザが装着しているウェアラブルデバイスにより自動的に取得され得る。
【0031】
また、「社会参加情報」には、ユーザがどのようなイベント、レクリエーション等に参加したか、また、ユーザが訪れた場所等の情報が含まれ、システム側において社会参加情報に基づいて社会参加スコアが算出され得る。どのようなイベント、レクリエーション等に参加したかは、老人ホームDB5から取得することが可能である。また、ユーザが訪れた場所の情報は、例えば所定の場所に設置されたビーコン受信装置(オブザーバー)により取得される。具体的には、例えばユーザが装着しているウェアラブルデバイスが継続的にビーコンを発信し、これを受信したビーコン受信装置がビーコンからユーザIDを抽出してサーバ3へ送信する。これによりサーバ3は、所定の場所(例えば老人ホーム内の談話室、食堂、トレーニングルーム等)に訪れたユーザを把握することができる。また、サーバ3は、ウェアラブルデバイスにより測位された絶対位置情報に基づいてユーザが訪れた場所を把握することも可能である。
【0032】
なお、ユーザが装着する(または所持する)ウェアラブルデバイスは、例えば生体センサ、位置計測部(屋内/屋外測位)、加速度センサ、ジャイロセンサ等の各種センサや、通信部(Bluetooth、Wi-Fi等)を含む。また、かかるウェアラブルデバイスは、上述した測定時に用いられるセンサデバイス2と兼用であってもよい。
【0033】
以上、本開示の一実施形態による情報処理システムについて説明した。続いて、本実施形態による情報処理システムに含まれる各装置の具体的な構成について図面を参照して説明する。
【0034】
<<2.構成>>
<2-1.ユーザ端末1の構成>
図3は、本実施形態によるユーザ端末1の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、ユーザ端末1は、制御部10、ネットワーク通信部11、センサデバイスI/F(インタフェース)12、操作入力部13、音声入力部14、表示部15、音声出力部16、および記憶部17を有する。
【0035】
制御部10は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従ってユーザ端末1内の動作全般を制御する。制御部10は、例えばCPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。また、制御部10は、使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、及び適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。
【0036】
また、本実施形態による制御部10は、測定部101としても機能する。測定部101は、測定のための行動を指示する行動指示を表示部15または音声出力部16から出力するよう制御し、当該行動指示に対応するユーザの行動、操作内容、または発声に基づいて、体力または認知機能の測定(数値化)を行う。ユーザの行動は、例えばセンサデバイス2から送信された検知データに相当し、ユーザの操作内容は操作入力部13から入力され、また、ユーザの発声は音声入力部14により入力され得る。本実施形態による具体的な測定内容については、図5図13を参照して後述する。
【0037】
ネットワーク通信部11は、有線または無線によりネットワーク4と接続し、ネットワーク上のサーバ3とデータの送受信を行う。ネットワーク通信部11は、例えば有線/無線LAN(Local Area Network)、Wi-Fi(登録商標)、または携帯通信網(LTE(Long Term Evolution)、3G(第3世代の移動体通信方式))等によりネットワーク4と通信接続する。
【0038】
センサデバイスI/F12は、有線または無線によりセンサデバイス2と接続し、センサデバイス2から検知データを受信する。例えばセンサデバイスI/F12は、BluetoothまたはWi-Fi等によりセンサデバイス2と通信接続する。
【0039】
操作入力部13は、ユーザによる操作指示を受付け、その操作内容を制御部10に出力する。操作入力部13は、表示部15と一体的に設けられるタッチセンサ、圧力センサ、若しくは近接センサであってもよい。或いは、操作入力部13は、ボタン、スイッチ、およびレバーなど、表示部15と分離して設けられる物理的構成であってもよい。
【0040】
音声入力部14は、マイクロホンと、そのマイクロホンで得られた音声信号を増幅処理するマイクアンプ部と、音声信号にデジタル変換するA/D変換器により実現され、音声信号を制御部10に出力する。
【0041】
表示部15は、操作画面やメニュー画面等を出力する表示装置である。この表示部15は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどの表示装置であってもよい。本実施形態による表示部15は、制御部10の制御に従って、測定のための行動を指示する行動指示画面を表示する。
【0042】
音声出力部16は、音声信号を再生するスピーカと、スピーカに対するアンプ回路を有する。本実施形態による音声出力部16は、制御部10の制御に従って、測定のための行動を指示する行動指示音声を出力してもよい。
【0043】
記憶部17は、制御部10の処理に用いられるプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、および適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)により実現される。また、本実施形態による記憶部17は、センサデバイス2から送信された検知データや、測定部101による測定結果を記憶してもよい。
【0044】
以上、本実施形態によるユーザ端末1の構成について具体的に説明した。なお図3に示すユーザ端末1の構成は一例であって、本実施形態はこれに限定されない。
【0045】
<2-2.サーバ3の構成>
図4は、本実施形態によるサーバ3の構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、サーバ3(情報処理装置)は、制御部30、通信部31、および記憶部32を有する。
【0046】
(制御部30)
制御部30は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従ってサーバ3内の動作全般を制御する。制御部30は、例えばCPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。また、制御部30は、使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、及び適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。
【0047】
また、本実施形態による制御部30は、学習部301、社会参加スコア算出部302、予測部303、およびアドバイス生成部304としても機能する。
【0048】
学習部301は、ユーザ(高齢者)の生活情報(食事、運動、睡眠、および基礎情報)および社会参加スコアをパラメータとし、体力、認知機能スコアを正解ラベルに使って機械学習を行い、体力、認知機能スコアと、生活情報および社会参加スコアとの相関を取得する。
【0049】
社会参加スコア算出部302は、特定の場所に訪れたり、イベントに参加したりする等のユーザによる社会参加情報に基づいて社会参加スコアを数値化し、取得する。本実施形態による社会参加スコアの算出の詳細については、図15および図16を参照して後述する。
【0050】
予測部303は、学習結果に基づいて、ユーザ(高齢者)の現在の生活情報(食事、運動、睡眠、および基礎情報)および社会参加スコアをパラメータとし、体力、認知機能スコアを時系列分析して、将来的な体力値および認知機能値の予測を行う。さらに、予測部303は、体力および認知機能スコアの時系列分析結果から、ユーザの要介護の可能性(現状の生活状況および社会参加状況における将来的な要介護の有無およびその時期)を予測することが可能である。本実施形態による要介護予測の詳細については、図17および図18を参照して後述する。
【0051】
アドバイス生成部304は、予測部303の予測結果に応じて、介護予防のための生活状況または社会参加状況に関するユーザへのアドバイス(パーソナル介護予防アドバイス)を生成する。例えば、アドバイス生成部304は、食事内容や睡眠時間、運動量、社会参加に関し、介護予防のためにどのように改善したらよいかをユーザに提案する。
【0052】
(通信部31)
通信部31は、有線または無線によりネットワーク4と接続し、ネットワーク4を介して外部装置とデータの送受信を行う。また、通信部31は、例えば有線/無線LAN(Local Area Network)、またはWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)等によりネットワーク4と通信接続する。本実施形態による通信部31は、ユーザ端末1からユーザの体力、認知機能の測定結果を受信したり、老人ホームDB5からユーザの生活情報および社会参加情報を受信したりする。また、本実施形態による通信部31は、ウェアラブルデバイスからユーザの生活情報および社会参加情報を受信したり、各場所に配設されているビーコン受信装置からユーザが訪れた場所を示す情報を受信したりしてもよい。また、通信部31は、介護予防のアドバイスをユーザ端末1に送信する。
【0053】
(記憶部32)
記憶部32は、制御部30の処理に用いられるプログラムや演算パラメータ等を記憶するROM、および適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAMにより実現される。また、本実施形態による記憶部32は、学習部301による学習結果や、各ユーザの体力および認知機能の測定結果、および生活情報、社会参加スコア等を蓄積する。
【0054】
以上、本実施形態によるサーバ3の構成について具体的に説明した。なお図4に示すサーバ3の構成は一例であって、本実施形態はこれに限定されない。
【0055】
<<3.体力および認知機能の測定>>
続いて、本実施形態による体力および認知機能の測定について具体的に説明する。本実施形態による測定は、ユーザに装着するセンサデバイス2およびユーザ端末1(スマートフォンやタブレット端末)を連動して、ユーザ(高齢者)の体力(筋力、敏捷性、協調性、反応速度、および持久力)および認知機能(記憶力および注意力)を自動で、安全に、短時間、かつ省スペースで測定することができる。
【0056】
より具体的には、例えば「筋力」は、椅子立ち座り運動および座位足上げ継続時間を測定することで数値化し、「敏捷性」は、座位で足踏みを行うステップ数を測定することで数値化し、「協調性」は、座位でテンポに合わせて三角形に足を動かす精度を測定することで数値化し、「反応速度」は、座位で画面上に表示される指示に反応して足を動かす速さを測定することで数値化し、「持久力」は、座位で発声を継続する時間、および椅子立ち座り運動の時間における速度低下を測定することで数値化する。
【0057】
また、例えば「記憶力」は、画面上に表示される項目をどれだけ記憶できるかを得点化し、「注意力」は、画面上の指示に従い素早く正確にボタンを押せるかを得点化する。
【0058】
これらの測定種目の実施方法について、以下具体的に説明する。
【0059】
まず、測定準備として、ユーザはセンサデバイス2を大腿部に装着する。次いで、ユーザ端末1からの行動指示に従って所定の動作を行うと、センサデバイス2により検知され、検知データに基づいてユーザ端末1により自動的に測定が行われる。
【0060】
続いて、各測定種目の具体例について説明する。本実施形態では、例えば8つの測定種目により、上述したユーザの体力(筋力、敏捷性、協調性、反応速度、および持久力)および認知機能(記憶力および注意力)を測定する。以下、一例として8つの測定種目の内容について図5図13を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図5図13の画面例は一例であって、本実施形態はこれに限定されない。
【0061】
(1)発声継続時間の計測
「発声継続時間の計測」では、声を出し続ける長さ(秒単位)を計測する。継続時間が長い程良い結果となる。ここで、ユーザ端末1の表示部15に表示される、発声継続時間を測定する際の画面表示例を図5に示す。図5に示すように、画面20には、測定種目の明示「発声継続時間」と、「できるだけ長く声を出してください」といった行動指示が表示される。ユーザ端末1の測定部101は、ユーザにより計測開始ボタン201がタップされた後、音声入力部14によりユーザの発声を収音し、声の大きさのレベルを計測して自動で発声継続時間を測定する。発声継続時間としては、例えば図6に示すように、声量が一定以上となる時間、すなわち最大発声持続時間(MPT:Maximum Phonation Time)が測定される。
【0062】
(2)アジリティテスト
「アジリティテスト」では、ユーザ端末1の表示部15にランダムに矢印を表示し、ユーザが椅子に座った状態で矢印の方向に足を動かす反応速度を測定する。反応速度が速い程良い点数となる。ここで、ユーザ端末1の表示部15に表示される、アジリティテストの際の画面表示例を図7に示す。図7に示すように、画面21には、測定種目の明示「アジリティテスト」と、「椅子に座った状態で、矢印に合わせて足を動かしてください」といった行動指示と、矢印および足を動かす動作の例示画像(静止画、または動画)211が表示される。ユーザ端末1の測定部101は、ユーザにより計測開始ボタン212がタップされた後、表示部15に、足を動かす方向を示す矢印を表示し、さらにユーザによる足を動かす動作の検知データをセンサデバイス2から受信する。このように、ユーザ端末1は、センサデバイス2と連動してユーザの反応速度を測定する。
【0063】
(3)タップテスト
「タップテスト」では、ユーザ端末1から出力されるテンポ音に合わせて、ユーザが足で三角形の頂点を踏む(タップする)際の精度を測定する。30秒間等の所定時間内でのテンポのズレを計測し、ズレが少ない程良い結果となる(単位:点)。なおユーザがタップする三角形がユーザの足元に書かれていてもよい(若しくは三角形が書かれたマット等が敷かれていてもよい)。ここで、ユーザ端末1の表示部15に表示される、タップテストの際の画面表示例を図8に示す。図8に示すように、画面22には、測定種目の明示「タップテスト」と、「椅子に座った状態で、音に合わせて三角形をかかとで順にタップしてください」といった行動指示と、三角形上のタップの順序およびタップ動作の例示画像(静止画、または動画)221が表示される。ユーザ端末1の測定部101は、ユーザにより計測開始ボタン222がタップされた後、音声出力部16からタップ音を出力し、さらにユーザによるタップ動作の検知データをセンサデバイス2から受信する。このように、ユーザ端末1は、センサデバイス2と連動してユーザのタップ動作の精度を測定する。
【0064】
(4)ステップテスト
「ステップテスト」では、椅子に座った状態における所定時間(例えば5秒間)内での足踏みの回数を測定する。回数が多い程良い結果となる。ここで、ユーザ端末1の表示部15に表示される、ステップテストの際の画面表示例を図9に示す。図9に示すように、画面23には、測定種目の明示「ステップテスト」と、「椅子に座った状態で素早く足踏みしてください」といった行動指示と、足踏み動作の例示画像(静止画、または動画)231が表示される。ユーザ端末1の測定部101は、ユーザにより計測開始ボタン232がタップされると、センサデバイス2から受信したユーザによるステップ動作の検知データに基づいて、所定時間、例えば5秒間での足踏み回数を計測する。このように、ユーザ端末1は、センサデバイス2と連動してユーザの足踏み回数を測定する。
【0065】
(5)足上げテスト
「足上げテスト」では、椅子に座った状態で足を上げて保持した時間(秒)を測定する。保持時間が長い程良い結果となる。ここで、ユーザ端末1の表示部15に表示される、足上げテストの際の画面表示例を図10に示す。図10に示すように、画面24には、測定種目の明示「足上げテスト」と、「椅子に座った状態で足を上げてなるべく保持してください」といった行動指示と、足上げ保持動作の例示画像(静止画、または動画)241が表示される。ユーザ端末1の測定部101は、ユーザにより計測開始ボタン242がタップされると、センサデバイス2から受信したユーザによる足上げ保持動作の検知データに基づいて、保持時間を計測する。このように、ユーザ端末1は、センサデバイス2と連動してユーザの足上げ保持時間を測定する。
【0066】
(6)スクワットテスト
「スクワットテスト」では、所定時間内(例えば30秒間)における椅子からの立ち座りの回数や動き方を測定する。回数が多い程良い結果となる。ここで、ユーザ端末1の表示部15に表示される、スクワットテストの際の画面表示例を図11に示す。図11に示すように、画面25には、測定種目の明示「スクワットテスト」と、「椅子の立ち座りを繰り返してください。30秒間計測します。」といった行動指示と、立ち座り動作の例示画像(静止画、または動画)251が表示される。ユーザ端末1の測定部101は、ユーザにより計測開始ボタン252がタップされると、センサデバイス2から受信したユーザによる立ち座り動作の検知データに基づいて、30秒間での立ち座り回数、および立ち座りの速さと変動係数を測定する。
【0067】
(7)記憶力テスト
「記憶力テスト」では、例えばユーザ端末1の表示部15に文字や図表等の情報を所定時間表示してユーザに記憶させ、その後、表示した文字や図表等の情報を含む多数の選択肢を表示し、ユーザがどれだけ正しく記憶しているかを測定する。より多く記憶している程良い点数となる。ここで、ユーザ端末1の表示部15に表示される、記憶力テストの際の画面表示例を図12に示す。ユーザ端末1は、まず、図12上段に示すように、ユーザに記憶させる情報(ここでは複数の絵)261を表示する画面26-1を表示する。次いで、所定時間経過後に、図12下段に示すように、選択肢262を表示する画面26-2を表示し、記憶した絵をユーザに選択させる。ユーザ端末1の測定部101は、ユーザが選択した内容の正誤を判断し、記憶力の測定(単位:点数)を行う。なお、画面26-2には、「やり直し」ボタン263と「次へ」ボタン264が表示され、ユーザは記憶力テストを再度行いたい場合は「やり直し」ボタン263をタップする。また、選択が終了し、次のテストを行う場合、ユーザは「次へ」ボタン264をタップする。
【0068】
(8)注意力テスト
「注意力テスト」では、例えばユーザ端末1の表示部15にボタンを表示し、所定時間内でユーザがどれだけ素早く正確に、指示に従ってボタンを押せるかを測定する。ここで、ユーザ端末1の表示部15に表示される、注意力テストの際の画面表示例を図13に示す。図13に示すように、画面27には、数字ボタンがランダムに表示された画像271が表示されている。ユーザは、所定時間内になるべく早く正確に数字ボタンを順番にタップする。ユーザ端末1の測定部101は、ユーザがタップした早さおよび正確さを判断し、注意力の測定(単位:点数)を行う。なお、画面27には、「やり直し」ボタン272と「次へ」ボタン273が表示され、ユーザは注意力テストを再度行いたい場合は「やり直し」ボタン272をタップする。また、タップ操作が終了し、次のテストを行う場合、ユーザは「次へ」ボタン273をタップする。
【0069】
<<4.動作処理>>
続いて、本実施形態による情報処理システムの動作処理について図14図18を参照して説明する。
【0070】
<4-1.学習処理>
図14は、本実施形態による学習処理を示すシーケンス図である。図14に示すように、まず、ユーザ端末1は、体力および認知機能測定のための行動指示を出力(表示出力または音声出力)する(ステップS103)。具体的な行動指示の内容は、図5図13を参照して上述した通りである。
【0071】
次に、センサデバイス2は、ユーザの動きを検知し(ステップS106)、検知データをユーザ端末1へ送信する(ステップS109)。
【0072】
次いで、ユーザ端末1は、操作入力部13からユーザによる操作入力を受け付ける(ステップS112)。図12図13に示すように、測定種目によっては、ユーザ端末1の画面上(タッチパネル)から直接操作入力する場合もあるためである。
【0073】
次に、ユーザ端末1の測定部101は、受信した検知データ、または直接入力された操作情報に基づいて、体力および認知機能測定、すなわち、筋力、敏捷性、協調性、反応速度、持久力、記憶力、および注意力の数値化を行う(ステップS115)。
【0074】
次いで、ユーザ端末1は、測定結果をサーバ3へ送信する(ステップS118)。
【0075】
一方、サーバ3は、ユーザの生活情報および社会スコアを取得する(ステップS121)。ユーザの生活情報は、例えばユーザのウェアラブルデバイスや老人ホームDB5から取得され得る。また、ユーザの社会スコアは、ユーザの位置情報等に基づいて算出され得る。
【0076】
次に、サーバ3は、ユーザの測定結果と、対応する生活情報および社会スコアとの相関を学習し(ステップS124)、学習結果を蓄積する(ステップS127)。
【0077】
以上説明した学習処理は継続的に行われる。また、図14では、一例として1のユーザ端末しか用いていないが、本実施形態によるサーバ3は、多数のユーザの測定結果(体力、認知機能スコア)と、対応する生活情報および社会スコアを用いて、その相関を学習し続けることが可能である。
【0078】
<4-2.予測処理>
続いて、上述した学習結果を用いて、ユーザの現在の生活情報および社会スコアからユーザの体力および認知機能スコアを時系列分析し、ユーザの将来的な体力値および認知機能値、および、ユーザの将来的な要介護の可能性を予測する予測処理について、図15を参照して説明する。
【0079】
図15は、本実施形態による予測処理を示すフローチャートである。図15に示すように、まず、サーバ3の社会参加スコア算出部302は、ユーザの位置情報等に基づいて、ユーザの社会参加スコアを算出する(ステップS203)。ここで、社会参加スコアの算出について具体的に説明する。本実施形態による社会参加スコア算出部302は、ユーザが訪れた場所や参加したイベントに対応付けられた点数を加算して、社会参加スコアを算出し得る。例えば図16に示すように、自室「0点」、食堂「3点」、2階「2点」等、場所によってポイントが設定されている場合、社会参加スコア算出部302は、ユーザが訪れた場所と時間に基づいて点数を算出して社会参加スコアを算出してもよい。例えば、ユーザが、自室に5時間、食堂に1時間、2階に2時間居た場合は、「5×0+1×3+2×2」となるため、社会参加スコアは「7点」と算出される。また、さらに場所やイベントによって社会参加係数を設定し、時間×(位置ポイント×社会参加係数)により社会参加スコアを定量化してもよい。
【0080】
また、社会参加スコアは、同時に特定の場所に存在する人数によって係数を可変させたり(例えば人が多く集まっている場所に訪れた方が、社会参加スコアが高くなる)、特定の活動やイベントに参加した際にボーナス点を加算したりしてもよい。
【0081】
また、ユーザの位置情報は、図16に示すように、各場所に設置されたビーコン受信装置6a~6cにより、ユーザが装着するウェアラブルデバイス7から発信されるビーコンを受信することで、ユーザがどの場所に訪れたかを特定することが可能である。また、ユーザが訪れた場所の特定はかかる方法に限定されず、ウェアラブルデバイス7により測位された絶対位置情報に基づいて判断してもよい。
【0082】
また、ウェアラブルデバイス7によりユーザの歩数も計測し、算出した社会参加スコアと共に、各ユーザのスコアランキングを、老人ホームや特定コミュニティにおいてデジタルサイネージ等で表示(例えばリアルタイム表示)してもよい。これにより、競争心が芽生え、歩くことや社会参加することのモチベーションを高めることが期待できる。
【0083】
次いで、サーバ3は、ユーザの生活情報を取得する(ステップS206)。ユーザの生活情報は、例えばユーザのウェアラブルデバイス7や老人ホームDB5からネットワーク4を介して通信部31により取得する。
【0084】
次に、サーバ3の予測部303は、取得した社会参加スコアおよび生活情報に基づいて、上述した学習結果を活用し、ユーザの体力および認知機能スコアを時系列分析する(ステップS209)。ここで、図17に、体力および認知機能スコアの時系列分析結果の一例を示す。図17では、例えば5月現在の生活状況および社会参加スコアから学習結果に基づいて予測される体力および認知機能スコアが示されている。図17に示す時系列分析結果から、「協調性」が8月から急激に悪化し、また、「記憶力」が10月から急激に悪化する恐れがあることが分かる。
【0085】
次いで、予測部303は、時系列分析結果に基づいて、将来的な体力値および認知機能値、および、将来的に要介護になるか否かを予測する(ステップS212)。具体的には、例えば予測部303は、図17に示すような時系列分析結果を図18に示すように一次元化し、所定の要介護閾値を下回る際に、要介護となる可能性があると予測する。図18は、本実施形態による要介護の予測について説明する図である。図18に示す例では、体力および認知機能が低下し、将来的に(例えば所定期間内に、としてもよい)要介護閾値を下回る(すなわち要介護となる)可能性があることが分かる。
【0086】
次に、将来的に要介護になると予測した場合(ステップS212/Yes)、サーバ3のアドバイス生成部304は、要介護となることを予防するためのアドバイス(介護予防アドバイス)を生成する(ステップS215)。また、将来的に要介護になるか否かに依らず、健常なユーザ全員に対してアドバイスを生成することも可能である。アドバイスは、生活状況や社会参加状況に関するものである。アドバイスのレベルは複数想定される。例えば図18に示すように、生活状況等の行動変容が小さくて済むアドバイスAの場合と、行動変容が大きいアドバイスBの場合とでは、体力および認知機能スコアの改善にも変化が生じ得る。アドバイスに応じた体力および認知機能スコアの変化も、学習部301による機械学習結果を活用して予測され得る。例えばサーバ3は、アドバイスAとアドバイスBを両方提示し、それぞれどの程度要介護リスクが減るのかを併せて示すようにしてもよい。
【0087】
そして、サーバ3の制御部30は、アドバイス生成部304により生成されたアドバイスをユーザに提示する(ステップS218)。具体的には、例えばサーバ3の制御部30は、アドバイス情報を通信部31からユーザ端末1に送信し、ユーザ端末1からユーザへ提示するよう制御する。
【0088】
以上説明したように、本実施形態では、学習結果を活用してユーザの体力および認知機能を時系列分析することで、正確かつ早期に、要介護リスク(要介護の可能性)を予測することが可能となる。また、要介護リスクが予測された際には、最適なパーソナル介護予防アドバイスを提案し、介護予防をより充実させることができる。なお、図15を参照して説明した動作処理では、将来的に要介護となるか否かに応じてユーザへのアドバイスを生成しているが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態によるサーバ3は、体力および認知機能の予測結果に応じて、全ユーザに対して体力および認知機能の低下を防止する(介護防止)アドバイスを生成し、提示してもよい。この際も、上述した例と同様に、行動変容の大きさによって体力および認知機能の低下がどの程度抑えられるかを、併せてユーザに提示してもよい。
【0089】
また、本実施形態による要介護リスクの予測は、保険商品にも活用することができる。
【0090】
また、体力および認知機能測定の結果を、小売商品のリコメンドやスマートホーム等、他のシステムに接続して活用することもできる。
【0091】
<<5.まとめ>>
上述したように、本開示の実施形態による情報処理システムでは、介護予防をより充実させることが可能となる。
【0092】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本技術はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0093】
例えば、上述したユーザ端末1、センサデバイス2、サーバ3、およびウェアラブルデバイス7に内蔵されるCPU、ROM、およびRAM等のハードウェアに、ユーザ端末1、センサデバイス2、サーバ3、およびウェアラブルデバイス7の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、当該コンピュータプログラムを記憶させたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も提供される。
【0094】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0095】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
体力測定および認知機能の測定結果と、生活情報および社会参加スコアを取得部により取得することと、
前記測定結果に基づく体力値および認知機能値と、生活情報および社会参加スコアとの相関を学習部により学習することと、
ユーザの生活情報および社会参加スコアに基づき、前記学習した相関を用いて、当該ユーザの将来的な体力値および認知機能値を予測部により予測することと、
を含む、情報処理方法。
(2)
前記取得部は、ユーザの位置情報に基づいて前記社会参加スコアを算出して取得する、前記(1)に記載の情報処理方法。
(3)
前記取得部は、前記ユーザの位置情報に基づいて、場所に設定された点数、重み付け、および時間を考慮して前記社会参加スコアを算出する、前記(2)に記載の情報処理方法。
(4)
前記取得部は、所定の場所に設置された受信装置により前記ユーザが装着した発信装置から発信された信号が受信された際に、当該場所の位置を前記ユーザの位置情報として取得する、前記(2)または(3)に記載の情報処理方法。
(5)
前記取得部は、特定のイベントへの参加情報に基づいて前記社会参加スコアを算出して取得する、前記(1)~(4)のいずれか1項に記載の情報処理方法。
(6)
前記学習は、前記体力値および認知機能値を正解ラベルに用いて機械学習処理を行う、前記(1)~(5)のいずれか1項に記載の情報処理方法。
(7)
前記生活情報は、食事情報、睡眠情報、または運動情報の少なくともいずれかを含む、前記(1)~(6)のいずれか1項に記載の情報処理方法。
(8)
前記食事情報は、食事の摂取タイミング、カロリー、または水分摂取量の少なくともいずれかを含む、前記(7)に記載の情報処理方法。
(9)
前記睡眠情報は、睡眠時間、睡眠タイミング、または睡眠の深さの少なくともいずれかを含む、前記(7)または(8)に記載の情報処理方法。
(10)
前記運動情報は、トレーニング、機能訓練、リハビリ、歩数、または活動量の少なくともいずれかを含む、前記(7)~(9)のいずれか1項に記載の情報処理方法。
(11)
前記取得部は、体力値として、筋力、敏捷性、協調性、反応速度、または持久力の少なくともいずれかの数値を取得する、前記(1)~(10)のいずれか1項に記載の情報処理方法。
(12)
前記取得部は、認知機能値として、注意力、または記憶力の少なくともいずれかの数値を取得する、前記(1)~(11)のいずれか1項に記載の情報処理方法。
(13)
前記予測部は、ユーザの現在の生活情報および社会参加スコアから、前記相関の学習結果を用いて当該ユーザの体力値および認知機能値を時系列分析し、当該ユーザの将来的な体力値および認知機能値を予測する、前記(1)~(12)のいずれか1項に記載の情報処理方法。
(14)
前記情報処理方法は、
前記予測の結果に応じて、介護予防のための生活状況または社会参加状況に関するアドバイスを生成部により生成することと、
前記生成したアドバイスをユーザに提示することと、
をさらに含む、前記(1)~(13)のいずれか1項に記載の情報処理方法。
(15)
体力測定および認知機能の測定結果と、生活情報および社会参加スコアを取得する取得部と、
前記測定結果に基づく体力値および認知機能値と、生活情報および社会参加スコアとの相関を学習する学習部と、
ユーザの生活情報および社会参加スコアに基づき、前記学習した相関を用いて、当該ユーザの将来的な体力値および認知機能値を予測する予測部と、
を備える、情報処理装置。
(16)
ユーザの脚部に装着されたセンサデバイスから検知データを受信する受信部と、
前記受信した検知データに基づいて、前記ユーザの体力を測定する測定部と、
を備える、情報処理端末。
(17)
前記測定部は、前記検知データに基づいて、前記体力の測定として筋力を数値化する、前記(16)に記載の情報処理端末。
(18)
前記測定部は、前記検知データに基づいて、前記体力の測定として敏捷性を数値化する、前記(16)に記載の情報処理端末。
(19)
前記測定部は、前記検知データに基づいて、前記体力の測定として協調性を数値化する、前記(16)に記載の情報処理端末。
(20)
前記測定部は、前記検知データに基づいて、前記体力の測定として反応速度を数値化する、前記(16)に記載の情報処理端末。
(21)
前記測定部は、前記検知データに基づいて、前記体力の測定として持久力を数値化する、前記(16)に記載の情報処理端末。
(22)
前記情報処理端末は、
前記ユーザに測定のための行動を指示する行動指示を出力する出力部と、
前記ユーザからの入力を受け付ける入力部と、
をさらに備え、
前記測定部は、前記行動指示に応じて行われたユーザの入力データに基づいて、前記ユーザの認知機能を測定する、前記(16)に記載の情報処理端末。
(23)
前記測定部は、前記入力データに基づいて、前記認知機能の測定として注意力を数値化する、前記(22)に記載の情報処理端末。
(24)
前記測定部は、前記入力データに基づいて、前記認知機能の測定として記憶力を数値化する、前記(22)に記載の情報処理端末。
【符号の説明】
【0096】
1 ユーザ端末
2 センサデバイス
3 サーバ
4 ネットワーク
5 老人ホームDB
6 ビーコン受信装置
7 ウェアラブルデバイス
10 制御部
101 測定部
11 ネットワーク通信部
12 センサデバイスI/F
13 操作入力部
14 音声入力部
15 表示部
16 音声出力部
17 記憶部
30 制御部
301 学習部
302 社会参加スコア算出部
303 予測部
304 アドバイス生成部
31 通信部
32 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18