(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】電気接続部を対応要素とともに作製するための接触要素、電気接続部、及び風防ガラスワイパーモータ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/11 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
H01R13/11 302E
(21)【出願番号】P 2018557349
(86)(22)【出願日】2017-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2017060176
(87)【国際公開番号】W WO2017191046
(87)【国際公開日】2017-11-09
【審査請求日】2020-02-21
(31)【優先権主張番号】102016108069.1
(32)【優先日】2016-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル、ショイブレ
(72)【発明者】
【氏名】ハラルド、カピッツァ
(72)【発明者】
【氏名】カール-ハインツ、シュッサー
(72)【発明者】
【氏名】ジークフリート、シュテファニ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス、シュトゥッペ
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-196816(JP,A)
【文献】特表2013-546151(JP,A)
【文献】特開昭63-058776(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104143716(CN,A)
【文献】中国実用新案第205016725(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0014423(US,A1)
【文献】特開2001-57204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
13/11
13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接続部(1)を対応要素(50)とともに形成するための接触要素(10;10a)であって、
前記接触要素(10;10a)は、少なくとも2つのセクション(12;12a、13;13a)、及び各セクション(12;12a、13;13a)における少なくとも1つの接触領域(21;21a、22;22a、22b;23;23a)を有し、
前記少なくとも2つのセクション(12;12a、13;13a)は、
互いに対面して導電性の前記対応要素(50)用の挿入スロット(15)を形成するように、且つ、
前記接触領域(21;21a、22;22a、22b;23;23a)を介して導電性の前記対応要素(50)に当接するように構成され、
前記少なくとも2つの接触領域(21;21a、22;22a、22b;23;23a)のうちの1つの接触領域は、前記接触要素(10;10a)において直角に配設される2つの軸(X、Y)により画成される長手方向平面(25)の一方の面に対して対面する側に配設され、前記少なくとも2つの接触領域(21;21a、22;22a、22b;23;23a)のうちの他の接触領域は、前記長手方向平面(25)の他方の面に対して対面する側に配設される、
接触要素(10a、10b)において、
前記対応要素(50)に当接するように構成される少なくとも1つの第3接触領域(23;23a)が設けられ、
前記少なくとも1つの第3接触領域(23;23a)は、前記接触要素(10;10a)の前記長手方向平面(25)の軸(Y)に関して、他の接触領域(21;21a、22;22a、22b)のうちの少なくとも1つと異なる位置に配設され、
前記少なくとも2つのセクション(12;12a、13;13a)が出現する接続セクション(11)を有し、前記少なくとも2つのセクション(12;12a、13;13a)及び前記接続セクション(11)は、一部品として一体化され、
前記少なくとも2つのセクション(12;12a、13;13a)は、前記長手方向平面(25)の軸(Y)の一方側のそれぞれの端部で円弧状に一体化され、
前記セクション(12;12a、13;13a)は、前記接触領域(21;21a、22;22a、22b;23;23a)の領域において曲げた態様で構成され、
前記接触領域(21;21a、22;22a、22b;23;23a)は、直線状に構成され、前記接触領域(21;21a、22;22a、22b;23;23a)は、前記長手方向平面(25)の軸(Y)に対して垂直に延在し、
すべての前記接触領域(21;21a、22;22a、22b;23;23a)は、前記長手方向平面(25)の前記軸(Y)において異なる位置に配設される
ことを特徴とする接触要素。
【請求項2】
前記接触要素(10;10a)は、打抜/曲げ部品として構成され、
前記セクション(12;12a、13;13a)は舌状に構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の接触要素。
【請求項3】
前記セクション(12;12a、13;13a)は、長手方向スロット(16、17、28)を有し、
少なくとも1つの前記接触領域(21;21a、22;22a、22b;23;23a)は、前記長手方向スロット(16、17、28)の両側にそれぞれ構成される、
ことを特徴とする請求項
2に記載の接触要素。
【請求項4】
前記
第3接触領域(23;23a)が、前記長手方向スロット(28)と同一平面上に配設される、
ことを特徴とする請求項
3に記載の接触要素。
【請求項5】
前記長手方向スロット(17)は、一側において開放した長手方向スロット(17)として構成される、
ことを特徴とする請求項
3又は4に記載の接触要素。
【請求項6】
前記長手方向スロット(16、28)は、閉鎖した輪郭を有する、
ことを特徴とする請求項
3又は4に記載の接触要素。
【請求項7】
請求項1乃至
6のいずれか一項に記載のように構成される接触要素(10;10a)と対応要素(50)との間の電気接続部(1)であって、
前記対応要素(50)は、プレート又はピン形状の態様において構成される、
電気接続部(1)。
【請求項8】
請求項
7に記載の電気接続部(1)を備えるワイパーモータ。
【請求項9】
前記電気接続部(1)は、前記ワイパーモータの電気接続ケーブルとプレート形状回路基板との間に形成される、
ことを特徴とする請求項
8に記載のワイパーモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の、電気接続部を対応要素とともに作製するための接触要素に関する。更に、本発明は、本発明による接触要素を使用する電気接続部、並びに電気接続部を有する風防ワイパーモータに関する。
【背景技術】
【0002】
請求項1のプリアンブルによる、電気接続部を対応要素とともに作製するための接触要素が、US6,548,934B1から公知である。公知の接触要素は、電気モータのコミュテータの炭素要素と、例えば回路基板の一部であるプレート又はストリップ形状の対応要素との間で電気接続部を作製する。このために、公知の接触要素は、単独部品を形成するように曲げ加工により互いに接合された2つの舌形状セクションを有し、プレストレス下で対応要素の両側に当接する相互に対面する側にライン形状接触領域を形成する。このために、対応要素は2つのセクションの間に形成されたスロットに押し込まれ、これら2つのセクションは互いから離間するように曲げ加工され、これによりプレストレス下で対応要素に当接するものとされる。
【0003】
公知の接触要素において、最小の電気接点抵抗を実現するように、2つの接触領域がその全面によって対応要素に当接すべきことが重要である。例えば、部品の位置がそれらの名目配置状態から逸脱していることを原因としてこれらの要素が互いに対して回転又は傾斜している場合、接触要素と対応要素との当接接触がずれたり変化したりすることになる。更には、接触要素の2つの接触表面のうちの一方しか対応要素に当接接触していないという結果になり得る。これにより、電気接触部の信頼性が減少し、部品間の電気接点抵抗が増大する。
【発明の概要】
【0004】
上述の従来技術にから出発して本発明が解決を提案する問題は、請求項1のプリアンブルに記載の、電気接続部を対応要素とともに作製するための接触要素を、接触要素と対応要素との実際配置状態が名目配置状態から逸脱している場合であっても、接触要素を使用することで作製される電気接続部の良好な信頼性を実現するよう改良することである。
【0005】
この問題は、本発明による請求項1の特徴を有する接触要素において解決される。
【0006】
本発明は、接触要素において少なくとも1つの第3接触領域を形成することによる給電の更なる可能性を作り出し、これにより、接触要素と対応要素との配置状態が準最適なものであっても、接触要素と対応要素との間に給電のための十分に大きい接合面が常に存在することを可能とする、という概念に基づく。具体的には、少なくとも第3接触領域が、接触要素の2つのセクションの間に形成される長手方向平面の軸のうちの一方に関して、少なくとも他の接触領域のうちの一方に対して別の位置に配設されるという、本発明による少なくとも1つの第3接触領域の配設により、上述の対応要素の接触要素に対する歪みや傾斜がある場合であっても、少なくとも2つの接触領域が、対応要素の対向する側で常に当接することが保証され、給電に利用され得る。
【0007】
本発明による、電気接続部を対応要素とともに作製するための接触要素の有利な変形例が従属請求項に示される。請求項、明細書、及び/又は図面に開示される少なくとも2つの特徴の組合せはすべて本発明の範囲に含まれる。
【0008】
接触要素と対応要素との間に歪みや傾斜があっても、接触領域の対応要素に対する当接を可能とするために、接触要素のセクションを、接触領域のエリアにおいて湾曲させるものとする。このような態様において、接触領域と対応要素との間の当接エリアは、部品が互いに対して歪んでいるか傾斜している状態でも、対応要素に対面する接触要素の側面に沿って存在する。
【0009】
対応要素と接触要素との特に安全で確実な接触は、接触要素の全ての接触領域が、接触要素の2つのセクションの間に画成される長手方向平面における1つの軸に関して異なる位置に配設される場合に可能とされる。
【0010】
対応要素に当接する接触要素のセクションのばね張力又は当接力を容易に調整し、更には接触要素の任意の構造サイズに対して異なって配置される複数の接触領域を形成するために、好適には、接触要素の接触領域を作成するためのセクションが長手方向スロットを有し、接触領域が接触要素に長手方向スロットの両側において形成されるものとする。特に一端部において開放している長手方向スロットに関して、このような長手方向スロットにより、非常に単純な態様で、スロットの両側において異なる場所に配設される2つの接触領域を配設又は形成することが可能となる。
【0011】
また、本発明は、上述の接触要素と対応要素との間の電気接続部であって、対応要素は、矩形断面を有するプレート又はピンとして形成される電気接続部に関する。具体的には、このような電気接続部は、風防ガラスワイパーモータにおいて、好適には、風防ガラスワイパーモータの電気接続ワイヤとプレート形状回路基板との間で実現される。
【0012】
本発明の更なる利点、特徴及び詳細は、好適な例示的実施形態についての以下の説明、及び添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】従来技術による、接触要素と対応要素との間の電気接続部の斜視図であり、接触要素及び対応要素が互いに対して実際配置状態に位置しており、当該配置状態は旋回したことで名目配置状態から逸脱している図。
【
図3】本発明による第1接触要素を使用する電気接続部の斜視図。
【
図4】
図2に関して改良された接触要素を使用する電気接続部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面において、同一の要素又は一致する機能を有する要素には、同一の参照符号が付される。
【0015】
図1及び2は、従来技術による、接触要素2と、少なくとも接触要素2のエリアにおいて矩形の断面を有するピン形状の対応要素50との間の電気接続部1を示す。打抜/曲げ部品として形成された接触要素2は、例えば、図示しない電気モータに対する電気接続部として機能する接続セクション3を有する。対応要素50は、例えば、回路基板等の一部である。
【0016】
端領域は、接続セクション3から直角に曲げられ、おおよそ互いに対して平行に配設される2つのセクション5、6を有する。一方のセクション5において、例えば長手方向スロット7が形成されている。2つのセクション5、6は、弾性プレストレス下において接触要素50に当接する2つのセクション5、6の曲げ領域のエリアにおいて相互に対面する側に、ライン形状の接触領域8、9を形成している。弾性プレストレスは、対応要素50が2つのセクション5、6の間で押し付けられることにより生成される。
【0017】
図2から特に明らかなように、対応要素50は、理想(名目)位置に比較して、例えば製造部品の公差又は不正確な組付を理由として旋回した実際位置を、2つのセクション5、6に対して有する。理想位置は、対応要素50’の破線により示されている。対応要素50の名目位置又は名目配置からのこのような逸脱により、接触要素2の2つの接触領域8、9が、対応要素50が長手方向平面4に対して整列した、又はこれに平行な状態において、2つのセクション5、6の間で延在する長手方向平面4のY軸に関して異なる位置に位置することとなる。したがって、長手方向スロット7によって離間した2つの接触領域8は、
図2の平面において接触領域9の上方に位置している。
【0018】
名目位置(対応要素50’)に対する対応要素50の角度により、対応要素50と各接触領域8、9との間で遠ざかるような態様において相対的な移動が同時に生じるため、対応要素50の旋回角度又は傾斜角度によっては、対応要素50’の名目位置に比較して、2つの接触領域8、9のうちの一方において電気的接続部が減少する、又は喪失する可能性がある。
【0019】
図3は、本発明による第1接触要素10を示す。接触要素10も、板金ストリップ又は板金部品から打抜/曲げ部品として形成され、接続セクション11を有する。接続セクション11から、2つのセクション12、13が出現し、これらは、円弧形状接続セクション14によって一部品として一体化されている。接続セクション14から離間する側において、2つのセクション12、13の間の対応要素50用の挿入スロット15が形成されている。一方のセクション12は、閉鎖した輪郭を有する凹形状の第1長手方向スロット16を有する一方、他方のセクション13において、第2長手方向スロット17が形成されている。第2長手方向スロット17は、接続セクション14から離間するセクション13の側面から出現し、ほぼ接続セクション14まで延びる。
【0020】
第2長手方向スロット17は、セクション13を2つの部分領域18、19に分割する。2つの部分領域18、19は、第2長手方向スロット17の方向から見て、異なる軸方向長さを有する。セクション12と同様に、部分領域18、19のそれぞれは、舌形状であり、湾曲した形状を有する。具体的には、第1長手方向軸16の各側のセクション12は、第1ライン形状接触領域21を形成するのに対し、セクション13の部分領域19は、第2ライン形状接触領域22を形成し、セクション13の部分領域18は第3ライン形状接触領域23を形成する。接触領域21乃至23のエリアにおいて、セクション12、13及び接触領域21乃至23は、それぞれ好適には同一の態様で湾曲している。
【0021】
2つのセクション12、13の間において、対応要素50は、2つのセクション12、13によるばね張力の下で受容される。特に、
図3から、2つのセクション12、13の2つの接触領域21、22が、セクション12、13の間においてX軸及びY軸により画成される長手方向平面25において延びるY軸に関して同一のY位置に配置されることが明らかである。これに対し、セクション13の接触領域23は、Y軸に関して、すなわち、接続セクション14から離間する方向において、2つの接触領域21、22の上方に位置する。更に、接触領域21乃至23は、Y軸に対して垂直に、すなわち、長手方向平面25のX軸方向に延びる。
【0022】
図4及び5は、第2接触要素10aを示す。第2接触要素10aは、セクション13aが開口形状において形成された第2長手方向スロット28を有する、又は閉鎖した輪郭を有する点において、第1接触要素10と異なる。長手方向スロット28によって中央に残された材料は、セクション13aの2つの第2接触領域22a、22bの間に配置された第3接触領域23aを形成する。2つの接触領域22a、22bは、Y軸に関して同一の位置に配置されるのに対し、第3接触領域23aは、それに比較して接続セクション14aの方向に位置する。
【0023】
図5から、セクション12aの接触領域21aがY軸に関して2つの第2接触領域22a、22bより幾分上方に配置されるように、セクション12aが配設乃至形成されるのに対し、セクション13aの第3接触領域23aは2つの第2接触領域22a、22b及び第1接触領域21aの下方に配設されることが理解される。したがって、3つの接触領域21a、22a(22b)及び23aは、長手方向平面25のY軸に関して、3つの異なる位置に配置される。
【0024】
上述の接触要素10、10aは、本発明の概念から逸脱することなく多くの態様において変更され得る。
【符号の説明】
【0025】
1 電気接続部
2 接触要素
3 接続セクション
4 長手方向平面
5 セクション
6 セクション
7 長手方向スロット
8 接触領域
9 接触領域
10/a 接触要素
11 接続セクション
12/a セクション
13/a セクション
14 接続セクション
15 挿入スロット
16 第1長手方向スロット
17 第2長手方向スロット
18 部分領域
19 部分領域
21/a 第1接触領域
22/a/b 第2接触領域
23a 第3接触領域
25 長手方向平面
28 長手方向スロット
50 対応要素