(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】電動機および圧縮機
(51)【国際特許分類】
H02K 3/46 20060101AFI20220404BHJP
H02K 3/52 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
H02K3/46 C
H02K3/52 E
(21)【出願番号】P 2019127248
(22)【出願日】2019-07-08
【審査請求日】2021-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000116666
【氏名又は名称】愛知電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】特許業務法人勇智国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100106725
【氏名又は名称】池田 敏行
(74)【代理人】
【識別番号】100105120
【氏名又は名称】岩田 哲幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 光広
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光彦
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-217233(JP,A)
【文献】特開2014-007799(JP,A)
【文献】特開2016-072997(JP,A)
【文献】特開2012-016100(JP,A)
【文献】国際公開第2018/038246(WO,A1)
【文献】実開昭60-086076(JP,U)
【文献】特開2008-148423(JP,A)
【文献】特開2013-115949(JP,A)
【文献】特開2019-97371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/46
H02K 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子コアと、前記固定子コアの軸方向一方側に配置されている第1のボビンと、前記固定子コアの軸方向他方側に配置されている第2のボビンと、固定子巻線とを備え、
前記第1のボビンおよび前記第2のボビンは、周方向および軸方向に延在する外側鍔部と、前記外側鍔部より径方向内側に配置され、周方向および軸方向に延在する複数の内側鍔部と、径方向に延在し、前記外側鍔部と前記複数の内側鍔部を連結する複数の胴部とを有し、
前記固定子巻線は、第1~第3の固定子巻線を有し、
前記第1~第3の固定子巻線は、前記固定子コアのティースに巻き付けられている巻線部分と、巻き始め端および巻き終わり端の一方から延在している第1のリード部分と、巻き始め端および巻き終わり端の他方から延在している第2のリード部分とを有し、前記第1のリード部分は、電源に接続可能なクラスタに接続され、前記第2のリード部分は、共通に接続されて中性点を形成している電動機であって、
前記第1のボビンの前記外側鍔部は、内周面と外周面に連通しているとともに、前記固定子コアと反対側が開口している複数の第1の溝と、保持部を有し、
前記保持部は、前記外側鍔部の前記外周面の外側に、周方向および軸方向に延在するとともに、軸方向両側が開口している保持空間を形成する壁部を有し、
前記第1のリード部分のうちの少なくとも2つは、前記第1の溝を通って前記外側鍔部の内側から外側に渡され、前記保持部の前記保持空間を通って前記クラスタに接続されていることを特徴とする電動機。
【請求項2】
請求項1に記載の電動機であって、
前記壁部は、第1の側壁部と、第2の側壁部と、外壁部とを有し、
前記第1の側壁部は、前記外側鍔部の前記外周面に連設され、径方向および軸方向に延在し、
前記第2の側壁部は、前記第1の側壁部と周方向に離間して配置され、前記外側鍔部の前記外周面に連設され、径方向および軸方向に延在し、
前記外壁部は、前記第1の側壁部および前記第2の側壁部の、前記外側鍔部の前記外周面と反対側に連設され、周方向および軸方向に延在し、また、軸方向および径方向に連通している開口部を有していることを特徴とする電動機。
【請求項3】
請求項2に記載の電動機であって、
前記第1の側壁部は、周方向に連通しているとともに、前記固定子コア側が開口している第1の係止溝を有し、
前記第2の側壁部は、周方向に連通しているとともに、前記固定子コア側が開口している第2の係止溝を有し、
前記第1のリード部分のうちの前記少なくとも2つの一方は、前記外側鍔部の前記第1の溝を通って前記外側鍔部の内側から外側に渡され、前記保持部の前記第1の係止溝および前記保持空間を通って前記クラスタに接続され、
前記第1のリード部分のうちの前記少なくとも2つの他方は、前記外側鍔部の前記第1の溝を通って前記外側鍔部の内側から外側に渡され、前記保持部の前記第2の係止溝および前記保持空間を通って前記クラスタに接続されていることを特徴とする電動機。
【請求項4】
請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の電動機であって、
前記第1~第3の固定子巻線の前記巻き始め端から前記第1のリード部分が延在し、前記第1~第3の固定子巻線の前記巻き終わり端から前記第2のリード部分が延在しており、
前記保持部は、前記第1~第3の固定子巻線の前記巻き始め端のうちの1つに対応する箇所に設けられ、
前記巻き始め端のうちの前記1つから延在している前記第1のリード部分は、直接に前記クラスタに接続され、
前記巻き始め端のうちの残りの2つから延在している前記第1のリード部分は、前記第1の溝を通って前記外側鍔部の内側から外側に渡され、前記保持部の前記保持空間を通って前記クラスタに接続されていることを特徴とする電動機。
【請求項5】
請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の電動機であって、
前記第2のリード部分は、共通に接続された状態で前記外側鍔部の内側を周方向に引き回され、
前記第1のリード部分のうちの前記少なくとも2つの少なくとも一方は、共通に接続されている前記第2のリード部分の内側および前記第1の溝を通って前記外側鍔部の内側から外側に渡され、前記保持部の前記保持空間を通って前記クラスタに接続されていることを特徴とする電動機。
【請求項6】
請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の電動機であって、
前記第1~第3の固定子巻線は、ティース間の渡り部分を有し、
前記第2のボビンの前記外側鍔部は、内周面と外周面に連通しているとともに、固定子コアと反対側が開口している複数の第2の溝と、前記外周面から径方向外側に飛び出ている複数の突部を有し、
前記複数の第2の溝は、前記固定子コアと反対側の端面からの軸方向に沿った深さが異なる第1~第3のグループの溝を含み、
前記複数の突部は、前記固定子コアと反対側の端面からの軸方向に沿った距離が、前記第1~第3のグループの溝の深さに対応している第1~第3のグループの突部を含み、
前記第1~第3の固定子巻線の前記渡り部分は、軸方向に重ならないように、前記第1~第3のグループの溝を通って前記外側鍔部の内側から外側および外側から内側に渡されているとともに、前記外側鍔部の前記外周面を、前記第1~第3のグループの突部によって離間された状態で周方向に引き回されていることを特徴とする電動機。
【請求項7】
圧縮機構部と、前記圧縮機構部を駆動する電動機を備える圧縮機であって、
前記電動機として請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の電動機が用いられていることを特徴とする圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機等に用いられる電動機に関し、特に、固定子巻線のリード部分の移動を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機等において、駆動電動機として集中巻き方式の電動機が用いられている。集中巻き方式の電動機は、例えば、特開2002-44892号公報(特許文献1)に開示されている。
特許文献1に開示されている電動機は、回転子と、固定子を備えている。
固定子は、複数のティースを有する固定子コアと、絶縁特性を有し、固定子コアの軸方向両側に配置されるボビンと、固定子巻線とを有している。好適には、ボビンとして、絶縁特性を有する樹脂により形成された樹脂ボビンが用いられる。
ボビンは、周方向および軸方向に沿って延在する外側鍔部と、外側鍔部より径方向内側に配置され、周方向および軸方向に沿って延在する複数の内側鍔部と、径方向に沿って延在し、外側鍔部と複数の内側鍔部を連結する複数の胴部を有している。
固定子コアの各ティースに巻き付けられた電線によって巻線部分が形成される。固定子巻線は、U相~W相の固定子巻線を有している。U相~W相の固定子巻線は、巻線部分(例えば、直列接続された複数の巻線部分)と、一方端(例えば、巻き始め端)から延在する第1のリード部分と、他方端(例えば、巻き終わり端)から延在する第2のリード部分を有している。U相~W相の固定子巻線は、スター結線されている。例えば、U相~W相の固定子巻線の第1のリード部分は、クラスタを介してR相~T相の電源に接続され、第2のリード部分は、共通に接続されて中性点を形成している。
U相~W相の固定子巻線の第2のリード部分は、共通に接続された状態で、ボビンの外側鍔部の内側を周方向に沿って引き回されている。また、U相~W相の固定子巻線の第1のリード部分は、ボビンの外側鍔部の内側を周方向に沿って引き回された後、クラスタに接続されている。第1のリード部分および第2のリード部分は、輸送時における振動等による移動を防止するために、縛り糸によってボビンに縛り付けられている(固定されている)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固定子のティースに電線を巻き付ける作業は巻線機により行うことができるが、クラスタに接続される第1のリード部分や中性点を形成する第2のリード部分を縛り糸でボビンに縛り付ける作業は、機械で行うのが難しい。このため、第1のリード部分や第2のリード部分を縛り糸でボビンに縛り付ける作業は、作業員が手作業で行っている。第1のリード部分や第2のリード部分を縛り糸でボビンに縛り付ける(固定する)作業は、面倒であり、時間を要する。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、固定子巻線の、クラスタに接続される第1のリード部分の移動を防止する作業を、簡単に、短時間で行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明は電動機に関する。本発明の電動機は、固定子コアと、固定子コアの軸方向一方側および軸方向他方側に配置されている第1のボビンおよび第2のボビンと、固定子巻線を備えている。第1のボビンおよび第2のボビンは、絶縁特性を有する材料、好適には絶縁特性を有する樹脂により形成され、外側鍔部と、複数の内側鍔部と、複数の胴部とを有している。外側鍔部は、周方向および軸方向に沿って延在し、内側鍔部は、外側鍔部より径方向内側に配置され、周方向および軸方向に沿って延在し、胴部は、径方向に沿って延在し、外側鍔部と複数の内側鍔部を連結する。外側鍔部、内側鍔部および胴部によって、周方向に沿って延在する凹部が形成される。
固定子巻線は、第1~第3の固定子巻線を有している。第1~第3の固定子巻線は、典型的には、U相~W相の固定子巻線が対応する。第1~第3の固定子巻線は、巻線部分、巻き始め端および巻き終わり端の一方から延在している第1のリード部分、巻き始め端および巻き終わり端の他方から延在している第2のリード部分を有している。巻線部分は、固定子コアのティースに巻き付けられている電線により形成される。第1~第3の固定子巻線の巻き始め端は、第1~第3の固定子巻線を構成している巻線部分のうちの、巻き始め側の巻線部分を形成する電線の巻き始め端を意味し、第1~第3の固定子巻線の巻き終わり端は、第1~第3の固定子巻線を構成している巻線部分のうちの、巻き終わり側の巻線部分を形成する電線の巻き終わり端を意味する。第1のリード部分は、電源に接続可能なクラスタに接続され、第2のリード部分は、共通に接続されて中性点を形成している。すなわち、本発明では、第1~第3の固定子巻線は、スター結線されている。好適には、第1のリード部分や、第2のリード部分の接続部は、絶縁フィルム等の絶縁部材で覆われる。
第1のボビンの外側鍔部は、複数の第1の溝と保持部を有している。
第1の溝は、外側鍔部の内周面と外周面を連通している(径方向に沿って延在している)とともに、固定子コアと反対側が開口している。
第1のリード部分のうちの少なくとも2つは、第1の溝を通って外側鍔部の内側から外側に渡され、保持部の保持空間を通ってクラスタに接続されている。少なくとも2つの第1のリード部分は、第1の溝および保持部の保持空間を通されることにより、第1のボビンに固定され、移動が防止される。
第1のリード部分の残りの1つは、直接クラスタに接続してもよいし、第1の溝および保持部の保持空間を通ってクラスタに接続してもよい。クラスタは、第1の溝および保持部の保持空間を通っている少なくとも2つの第1のリード部分が接続されているため、保持部より固定子コアと反対側に、起立状態に維持される。このため、残りの1つの第1のリード部分を直接クラスタに接続した場合でも、残りの1つのリード部分の移動が防止される。
第2のリード部分は、共通に接続された状態で、外側鍔部の内側を周方向に沿って引き回される。そして、適宜の方法で第1のボビンに固定される。
本発明では、第1~第3の固定子巻線の第1のリード部分のうちの少なくとも2つを、第1の溝および保持部の保持空間を通してクラスタに接続する作業を行うだけで、第1~第3の固定子巻線の第1のリード部分の移動を防止することができる。すなわち、第1のリード部分の移動を防止する作業を、簡単に、短時間で行うことができる。
第1発明の異なる形態では、壁部は、周方向に離間して配置されている第1の側壁部および第2の側壁部と、外壁部を有している。第1の側壁部および第2の側壁部は、外側鍔部の外周面に連設され、径方向および軸方向に延在している。外壁部は、第1の側壁部および第2の側壁部の、外側鍔部の外周面と反対側に連設され、周方向および軸方向に延在している。外壁部は、軸方向および径方向に連通している開口部を有している。外壁部の開口部は、第1のリード部分を、軸方向に沿って延在している状態で保持空間内に挿入可能に形成されている。
本形態では、第1のリード部分を、保持部の保持空間に容易に挿入することができる。
第1発明の異なる形態では、第1の側壁部および第2の側壁部は、固定子コア側に、周方向に連通している(周方向に沿って延在している)とともに、固定子コア側が開口している第1の係止溝および第2の係止溝を有している。第1の側壁部の第1の係止溝および第2の側壁部の第2の係止溝は、第1のリード部分を、周方向に延在している状態で係止可能に形成されている。
そして、第1のリード部分のうちの少なくとも2つの一方は、第1の溝を通って外側鍔部の内側から外側に渡され、保持部の第1の係止溝および保持空間を通ってクラスタに接続されている。また、第1のリード部分のうちの少なくとも2つの他方は、第1の溝を通って外側鍔部の内側から外側に渡され、保持部の第2の係止溝および保持空間を通ってクラスタに接続されている。第1の係止溝および第2の係止溝によって、第1のリード部分の径方向に沿った移動が規制される。
本形態では、少なくとも2つの第1のリード部分を、保持部に確実に保持することができる。
第1発明の異なる形態では、第1~第3の固定子巻線の巻き始め端から第1のリード部分が延在し、第1~第3の固定子巻線の巻き終わり端から第2のリード部分が延在している。保持部は、第1~第3の固定子巻線の巻き始め端のうちの1つに対応する箇所に設けられている。そして、巻き始め端のうちの1つから延在している第1のリード部分は、直接にクラスタに接続されている。また、巻き始め端のうちの残りの2つから延在している第1のリード部分は、第1の溝を通って外側鍔部の内側から外側に渡され、保持部の保持空間を通ってクラスタに接続されている。
本形態では、第1~第3の固定子巻線の巻き始め端から第1のリード部分が延在しているため、第1のリード部分に巻き戻し方向への力が作用しない。また、第1のリード部分のうちの少なくとも2つを、第1の溝および保持部の保持空間を通せばよい。このため、第1のリード部分の移動を防止するための作業を、容易におこなうことができる。
第1発明の異なる形態では、第2のリード部分は、共通に接続された状態で外側鍔部の内側を周方向に沿って引き回されている。そして、第1のリード部分のうちの少なくとも2つの少なくとも一方は、共通に接続されている第2のリード部分の内側および第1の溝を通って外側鍔部の内側から外側に渡され、保持部の保持空間を通ってクラスタに接続されている。第2のリード部分は、第2のリード部分の内側および第1の溝を通る第1のリード部分と外側鍔部によって保持(挟持)される。
本形態では、第2のリード部分の移動を防止するための作業を、簡単に行うことができる。
第1発明の異なる形態では、第1~第3の固定子巻線は、ティース間の渡り部分を有している。
第2のボビンの外側鍔部は、内周面と外周面に連通している(径方向に沿って延在している)とともに、固定子コアと反対側が開口している複数の第2の溝と、外周面から径方向外側に飛び出ている複数の突部を有している。複数の第2の溝は、固定子コアと反対側の端面からの軸方向に沿った深さが異なる第1~第3のグループの溝を含んでいる。また、複数の突部は、固定子コアと反対側の端面からの軸方向に沿った距離が、第1~第3のグループの溝の深さに対応している第1~第3のグループの突部を含んでいる。
そして、第1~第3の固定子巻線の渡り部分は、異なるグループの溝を通って外側鍔部の内側から外側および外側から内側に渡されているとともに、異なるグループの突部によって軸方向に沿った移動が規制された状態で外側鍔部の外周面を周方向に引き回されている。
本実施形態では、第1~第3の固定子巻線の、ティース間の渡り部分を、接触を防止した状態で、簡単に引き回すことができる。
第2発明は、圧縮機に関する。本発明の圧縮機は、圧縮機構部を駆動する電動機として前述した電動機のいずれかが用いられている。
本発明の圧縮機は、前述した電動機と同様の効果を有している。
【発明の効果】
【0006】
第1発明の電動機および第2発明の圧縮機では、固定子巻線の、クラスタに接続される第1のリード部分の移動を防止する作業を、簡単に、短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の電動機の一実施形態を構成する固定子を示す図である。
【
図2】一実施形態の電動機を構成する固定子の固定子コアを示す図である。
【
図3】一実施形態の電動機を構成する固定子の第1のボビンを示す図である。
【
図7】本発明の電動機の他の実施形態を構成する固定子の第1のボビンの要部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
なお、本明細書中では、「軸方向」という記載は、回転子が固定子に対して回転可能に配置されている状態において、回転子の回転中心を通る回転中心線(
図3に示されている回転中心線P)の延在方向を示す。「周方向」という記載は、回転子が固定子に対して回転可能に配置されている状態において、軸方向に沿った一方側から見て、回転子の回転中心を中心点とする円周方向を示す。「径方向」という記載は、回転子が固定子に対して回転可能に配置されている状態において、軸方向に沿った一方側から見て、回転子の回転中心を通る方向を示す。「周方向一方側」は、
図1に示されている矢印X側を示し、「周方向他方側」は、
図1に示されている矢印Y側を示す。もちろん、「周方向一方側」および「周方向他方側」を、逆方向に規定することできる。
【0009】
本発明の電動機の一実施形態を構成する固定子100を、
図1~
図5を参照して説明する。
図1は、固定子100の斜視図である。
図2は、固定子コア200の斜視図である。
図3は、第1のボビン300の斜視図である。
図4は、
図3に示されている第1のボビン300の要部の拡大図である。
図5は、
図1を矢印V方向から見た図である。
図6は、
図1の要部の拡大図である。
なお、
図1には図示されていないが、本実施形態の電動機は、固定子100に対して回転可能に支持されている回転子を備えている。回転子としては、公知の種々の構成の回転子が用いられる。
【0010】
固定子100は、固定子コア200と、固定子コア200の軸方向一方側(
図1では上方)および軸方向他方側(
図1では下方)に配置されている第1のボビン300および第2のボビン400と、固定子巻線500を有している。
【0011】
固定子コア200は、複数の電磁鋼板を積層した筒状の積層体により構成され、軸方向一方側および軸方向他方側に固定子コア端面200Aおよび200Bを有している。
固定子コア200は、
図2に示されているように、軸方向に沿った一方側から見て、周方向に沿って延在しているヨーク210と、径方向に沿って延在している複数のティース220を有している。ティース220は、ヨーク210から径方向に沿って径方向内側に延在しているティース基部221と、ティース基部221の径方向内側に設けられ、周方向に沿って延在しているティース先端部222を有している。ティース先端部222の径方向内側のティース先端面222aによって、回転子が挿入される固定子コア内側空間200aが形成されている。
周方向に隣接するティース220によってスロット240が形成されている。また、周方向に隣接するティース先端部222によって、スロット開口部240aが形成されている。
なお、固定子コア端面200Aおよび200Bには、第1のボビン300の底面300Aおよび第2のボビン400の底面400Aに形成されている位置決め突部390が嵌合可能な位置決め凹部290が形成されている。
【0012】
第1のボビン300は、絶縁特性を有する材料によって形成されている。好適には、絶縁特性を有する樹脂により形成される(「樹脂ボビン」と呼ばれている)。
第1のボビン300は、
図3に示されているように、外側鍔部310、複数の内側鍔部320、複数の胴部330を有している。
外側鍔部310は、周方向および軸方向に沿って延在している。内側鍔部320は、外側鍔部310より径方向内側に配置され、周方向および軸方向に沿って延在している。胴部330は、径方向に沿って延在し、外側鍔部310と内側鍔部320を連結している。
内側鍔部320によって、ボビン内側空間300aが形成され、外側鍔部310、内側鍔部320および胴部330によって、周方向に沿って延在する凹部300bが形成されている。
第1のボビン300は、固定子コア200の固定子コア端面200Aと対向する側に底面300Aを有し、底面300Aと反対側に端面300Bを有している。底面300Aには、前述した固定子コア200の固定子コア端面200Aに形成されている位置決め凹部290に嵌合可能な位置決め突部390が形成されている。
第1のボビン300は、固定子コア200の軸方向一方側(固定子コア端面200A側)に、外側鍔部310、内側鍔部320および胴部330が、固定子コア200のヨーク210、ティース先端部222およびティース基部221に対向するように配置される。具体的には、第1のボビン300は、第1のボビン300の底面300Aに形成されている位置決め突部390を固定子コア200の固定子コア端面200Aに形成されている位置決め凹部290に嵌合させることによって、固定子コア200に位置決めされる。
【0013】
外側鍔部310は、複数の溝350と、複数の鉤部360と、保持部380を有している。
溝350は、外側鍔部310の外周面310Aと内周面310Bに連通している(径方向に沿って延在している)とともに、底面300Aと反対側(固定子コア200と反対側)が開口している。
鉤部360は、外側鍔部310の外周面310Aに連設され、周方向および径方向外側に延在する第1の部分と、第1の部分の、外周面310Aと反対側に連設され、周方向および軸方向に沿って底面300A側に延在する第2の部分により鉤状に形成されている。後述する第2のリード部分510B~530Bを、外側鍔部310の外周面310Aに沿って周方向に引き回す際に、第2のリード部分510B~530Bを、外側鍔部310の外周面310Aと鉤部360の間を通すことによって、第2のリード部分510B~530Bの、軸方向に沿った底面300Aと反対側への移動および径方向外側への移動が規制される。
図3では、周方向一方側(矢印X側)から周方向他方側(矢印Y側)に向かって、鉤部360a~360cが形成されている。
【0014】
保持部380は、
図4に示されているように、壁部材381を有している。
壁部材381は、第1の側壁部381a、第2の側壁部381bおよび外壁部381cを有している。第1の側壁部381aは、外周面310Aに連設され、径方向および軸方向に延在している。第2の側壁部381bは、第1の側壁部381aと周方向に離間して配置され、外周面310Aに連設され、径方向および軸方向に延在している。
図4では、第1の側壁部381aは、第2の側壁部381bに対して周方向一方側(矢印X側)に離間して配置されている。外壁部381cは、第1の側壁部381aおよび第2の側壁部381bの、外周面310Aと反対側に連設され、周方向および軸方向に沿って延在している。
壁部材381によって、壁部材381と外周面310Aの間に、軸方向および周方向に沿って延在し、軸方向両側が開口している保持空間380aが形成される。保持空間380aの径方向に沿った幅、周方向に沿った長さ、軸方向に沿った長さ等は、後述する第1のリード部分が、保持空間380aを軸方向に通された状態で保持可能に設定される。
外壁部381cは、軸方向および径方向に連通している開口部380bを有している。開口部380bは、第1のリード部分を、軸方向に沿って延在している状態で保持空間380a内に挿入可能に形成される。
第1の側壁部381aおよび第2の側壁部381bは、底面300A側に、底面300A側および外周面310A側が切り欠かれている第1の係止溝382aおよび第2の係止溝382bを有している。後述する第1のリード部分は、第1の係止溝382aあるいは第2の係止溝382bを介して保持空間380aを通される。第1の係止溝382aおよび第2の係止溝382bは、第1のリード部分が係止可能に形成される。第1のリード部分は、第1の係止溝382aあるいは第2の係止溝382bによって、径方向への移動が規制される。
なお、外側鍔部310は、保持空間380aに対応する箇所に、開口部380cを有している。開口部380cについては後述する。
【0015】
第2のボビン400は、第1のボビン300と同様に、外側鍔部410、内側鍔部420、胴部430を有している。
第2のボビン400は、第1のボビン300と同様に、固定子コア200と対向する側に底面400Aを有し、底面400Aと反対側に端面400Bを有している。また、底面400Aには、第1のボビン300と同様に、固定子コア端面200Bに形成されている位置決め凹部290に嵌合可能な位置決め突部(図示省略)が底面400Aに形成されている。
第2のボビン400は、固定子コア200の軸方向他方側(固定子コア端面200B側)に、外側鍔部410、内側鍔部420および胴部430が、固定子コア200のヨーク210、ティース先端部222およびティース基部221に対向するように配置される。
外側鍔部410は、複数の溝450と、複数の突部460を有している。
複数の溝450は、外側鍔部410の外周面410Aと内周面410Bに連通している(径方向に沿って延在している)とともに、端面400B側が開口している。溝450は、端面400Bからの軸方向に沿った深さが異なる第1のグループの溝450A、第2のグループの溝450B、第3のグループの溝450Cを含んでいる。
複数の突部460は、外側鍔部410の外周面410Aから径方向外側に飛び出ている(突出している)。突部460は、端面400Bからの軸方向に沿った距離が、第1~第3のグループの溝450A~450Cの深さに対応する第1のグループの突部460A、第2のグループの突部460B、第3のグループの突部460Cを含んでいる。
【0016】
固定子巻線500は、固定子コア200のティース220(詳しくは、ティース基部221)に巻き付けられている電線によって構成される。
具体的には、固定子コア200の軸方向一方側および軸方向他方側に第1のボビン300および第2のボビン400が配置された状態で、固定子コア200のティース220に電線が巻き付けられる。電線としては、公知の電線が用いられる。例えば、銅等の導体と、導体の外周を覆う絶縁被覆により構成される電線が用いられる。
固定子コア200のティース220に巻き付けられた電線によって巻線部分が形成される。巻線部分は巻き始め端と巻き終わり端を有している。
本実施形態では、固定子巻線500は、第1の固定子巻線510、第2の固定子巻線520および第3の固定子巻線530を有している。第1の固定子巻線510、第2の固定子巻線520および第3の固定子巻線530は、典型的には、U相の固定子巻線、V相の固定子巻線およびW相の固定子巻線が対応する。
第1の固定子巻線510、第2の固定子巻線520および第3の固定子巻線530は、巻線部分と、巻き始め端510a、520aおよび530aから延在する第1のリード部分510A、520Aおよび530Aと、巻き終わり端510b、520bおよび530bから延在する第2のリード部分510B、520Bおよび530Bを有している。
通常、第1~第3の固定子巻線は、複数の巻線部分により構成される。例えば、直列に接続された複数の巻線部分により構成される。この場合、第1のリード部分は、巻き始め側の巻線部分の巻き始め端から延在し、第2のリード部分は、巻き終わり側の巻線部分の巻き終わり端から延在している。なお、第1~第3の固定子巻線510~530は、ティース間の渡り部分510c~530cを有している。
【0017】
次に、第1~第3の固定子巻線510~530の巻き始め端510a~530aから延在している第1のリード部分510A~530A、巻き終わり端510b~530bから延在している第2のリード部分510B~530Bの処理を、
図1を参照して説明する。
保持部380は、第1~第3の固定子巻線510~530の巻き始め端510a~530aのうちの1つに対応する箇所に設けられている。好適には、巻き始め端510a~530aが周方向に沿って配置されている場合、中央に配置されている巻き始め端に対応する箇所に保持部380が設けられる。
図1では、保持部380は、第1の固定子巻線510の巻き始め端510aと第3の固定子巻線530の巻き始め端530aの間に配置されている、第2の固定子巻線520の巻き始め端520aに対応する箇所に配置されている。
【0018】
第1の固定子巻線510の第2のリード部分510Bは、溝350aを通って外側鍔部310の内側から外側に渡される。そして、外側鍔部310の外周面310Aを周方向に沿って引き回され、鉤部360a、360bおよび360cに引っ掛けられる。さらに、溝350dを通って外側鍔部310の外側から内側に渡される。
第2の固定子巻線520の第2のリード部分520Bは、溝350bを通って外側鍔部310の内側から外側に渡される。そして、外側鍔部310の外周面310Aを周方向に沿って引き回され、鉤部360bおよび360cに引っ掛けられる。さらに、溝350dを通って外側鍔部310の外側から内側に渡される。
第3の固定子巻線530の第2のリード部分530Bは、溝350cを通って外側鍔部310の内側から外側に渡される。そして、外側鍔部310の外周面310Aを周方向に沿って引き回され、鉤部360cに引っ掛けられる。さらに、溝350dを通って外側鍔部310の外側から内側に渡される。
第2のリード部分510Bと520Bは、鉤部360bで束ねられ、第2のリード部分510B~530Bは、鉤部360cで束ねられている。
通常、電線は、強い力でティース220に巻き付けられる。このため巻き終わり端510b~530bから延在している第2のリード部分510B~530Bには、巻き戻し方向に強い力が作用する。
本形態では、第2のリード部分510B~530Bは、溝350を2回通され(第2のリード部分510Bは、溝350aと350dを通され、第2のリード部分520Bは、溝350bと350dを通され、第2のリード部分530Bは、溝350cと350dを通され)ているとともに、鉤部360bおよび360cで束ねられている。これにより、第2のリード部分510B~530Bの、巻き戻し方向への移動が防止される。
【0019】
溝350dを通された第2のリード部分510B~530Bの先端側の部分は、共通に接続されて中性点を形成する。接続部(中性点)は、絶縁部材540で覆われる。絶縁部材540としては、例えば、公知の絶縁フィルムを筒状に巻き付け、一方端に接合部541が形成されている絶縁部材が用いられる。
第2のリード部分510B~530Bは、接続部が絶縁部材540で覆われた状態で、外側鍔部310の内側(凹部300b内)を周方向に沿って引き回される。この時、絶縁部材540は、第2の固定子巻線520の巻き始め端520aに対応する箇所(保持部380に対応する箇所)を通るように引き回される。
絶縁部材540として、絶縁フィルムを筒状に巻き付けた絶縁部材を用いた場合、絶縁部材540を、外側鍔部310の内側を周方向に沿って引き回す際に折り目が形成される。絶縁部材540の折り目の部分を、外側鍔部310の、保持部380に対応する箇所に形成されている開口部380cに配置することにより、絶縁部材540を、外側鍔部310の内周面310Bに近づけることができる。これにより、絶縁部材540を、第1のリード部分510A~530Aと外側鍔部310によって確実に保持(挟持)することができる(詳しくは後述する)。
【0020】
第1~第3の固定子巻線510~530の第1のリード部分510A~530Aは、絶縁部材551~553で覆われる。絶縁部材551~553としては、公知の樹脂フィルムを筒状に形成した絶縁部材が用いられる。
第1の固定子巻線510の第1のリード部分510A(絶縁部材551)は、絶縁部材540の内側を通るように周方向に沿って(
図1では、周方向他方方向に沿って)引き回される。そして、保持部380より周方向一方側に設けられている溝350eを通されて、外側鍔部310の内側から外側に渡される。さらに、保持部380の、周方向一方側に配置されている第1の側壁部381aの第1の係止溝382aおよび保持空間380aを通された後、クラスタ600に接続される。
第1のリード部分510Aを、第1の係止溝382aおよび保持空間380aを通す方法としては、以下の方法が用いられる。第1のリード部分510Aを、開口部380bの軸方向に平行(「略平行」を含む)に配置した状態で、開口部380bを通して保持空間380a内に挿入する。そして、第1のリード部分510Aを固定子コア200と反対側に引っ張ることによって、第1のリード部分510Aを、第1の係止溝382aおよび保持空間380aを通す。第1のリード部分510Aは、第1の係止溝382aによって、径方向に沿った移動が規制される。
また、第3の固定子巻線530の第1のリード部分530A(絶縁部材553)は、絶縁部材540の内側を通るように周方向に沿って(
図1では、周方向一方方向に沿って)引き回される。そして、保持部380より周方向他方側に設けられている溝350fを通して、外側鍔部310の内側から外側に渡される。さらに、保持部380の、周方向他方側に配置されている第2の側壁部381bの第2の係止溝382bおよび保持空間380aを通された後、クラスタ600に接続される。
第1のリード部分530Aを、第2の係止溝382bおよび保持空間380aを通す方法としては、第1のリード部分510Aを、第1の係止溝382aおよび保持空間380aを通す方法と同様の方法を用いることができる。
また、第2の固定子巻線520の第1のリード部分520A(絶縁部材552)は、絶縁部材540の内側を引き回された後、クラスタ600に接続される。
【0021】
第1の固定子巻線510の第1のリード部分510Aは、溝350e、第1の係止溝382aおよび保持空間380aを通されることによって、絶縁部材540を外側鍔部310の方向に押し付ける。これにより、絶縁部材540の、巻き始め端520a(第1のリード部分520A)より周方向一方側(矢印X側)の部分が、第1のリード部分510Aと外側鍔部310によって挟持される。
また、第3の固定子巻線530の第1のリード部分530Aは、溝350f、第2の係止溝382bおよび保持空間380aを通されることによって、絶縁部材540を外側鍔部310の方向に押し付ける。これにより、絶縁部材540の、巻き始め端520a(第1のリード部分520A)より周方向他方側(矢印Y側)の部分が、第1のリード部分530Aと外側鍔部310によって挟持される。
また、第1のリード部分510Aおよび530Aは剛性を有しているため、第1のリード部分510Aおよび530Aに接続されているクラスタ600は、保持部380より、固定子コア200と反対側に起立状態で保持される。このため、第2の固定子巻線520の第1のリード部分520Aは、クラスタ600に接続されることにより、絶縁部材540を外側鍔部310の方向に押し付ける。これにより、絶縁部材540の、巻き始め端520aに対応する部分(保持部380に対応する部分)が、第1のリード部分520Aと外側鍔部310によって挟持される。
【0022】
次に、第1~第3の固定子巻線510~530の、ティース間の渡り部分510c~530cの処理を、
図1を参照して説明する。
本実施形態では、渡り部分510c~530cは、第2のボビン400の外側鍔部410の外周面410Aを周方向に沿って引き回されている。
渡り部分510c~530cは、第2の溝450を通して外側鍔部410の内側から外側に渡され、外側鍔部410の外周面410Aを周方向に沿って引き回された後、第2の溝450を通して外側鍔部410の外側から内側に渡される。この時、渡り部分510c~530cは、軸方向に重ならないように、第1~第3のグループの溝450A~450Cの中から選択したグループの溝を通される。なお、外側鍔部410の外周面410Aを周方向に沿って、同じグループの溝の間を引き回される際、第1~第3のグループの突部460A~460Cによって、渡り部分510c~530cが軸方向に接近するのが防止される。
【0023】
本実施形態では、第1~第3の固定子巻線510~530のうちの2つの固定子巻線510、530の第1のリード部分510A、530Aを、固定子コアの軸方向一方側に配置されている第1のボビン300の外側鍔部310の第1の溝350、保持部380の第1の係止溝382aおよび第2の係止溝382b、保持空間380aを通してクラスタ600に接続し、残りの1つの固定子巻線520の第1のリード部分520Aをクラスタ600に接続する作業を行うことで、第1~第3の固定子巻線510~530の第1のリード部分510A~530Aの移動を防止することができる。同時に、第1~第3の固定子巻線510~530の第2のリード部分510B~530Bの移動も防止することができる。
【0024】
本発明の電動機の他の実施形態の固定子の第1のボビン300が
図7に示されている。
図7は、第1のボビン300の要部の拡大図である。本実施形態では、第1のボビン300の外側鍔部310に設けられている保持部380の構造が、
図4に示されている保持部と異なる。すなわち、本実施形態の保持部380を構成する壁部材381は、第1の側壁部381a、第2の側壁部381bおよび外壁部381cを有しているが、第1の側壁部381aおよび第2の側壁部381bは、
図4に示されている第1の係止溝382aおよび第2の係止溝382bを有していない。
本実施形態では、第1のリード部分510Aおよび530Aは、第1の溝350を通って外側鍔部310の内側から外側に渡され、保持部380の保持空間380aを通ってクラスタ600に接続されている。
本実施形態においても、第1~第3の固定子巻線510~530の第1のリード部分510A~530Aの移動を防止する作業を、第2のリード部分510B~530Bの移動を防止しながら、簡単に、短時間で行うことができる。
【0025】
以上の実施形態では、第2のリード部分510B~530Bを第1のリード部分510A~530と外側鍔部310により挟持(保持)する構成を用いたが、この構成は省略することもできる。
また、第1のリード部分510A~530Aのうちの2つ510A、530Aを、第1の溝350および保持部380の保持空間380aを通してクラスタ600に接続したが、第1のリード部分510A~530Aのうちの1つあるいは3つを、第1の溝350および保持部380の保持空間380aを通してクラスタ600に接続するように構成することもできる。
【0026】
本発明は、実施形態で説明した構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。
実施形態では、電動機について説明したが、本発明は、圧縮機構部と、圧縮機構部を駆動する電動機として構成することもできる。
第2のリード部分の接続部を覆う絶縁部材や第1のリード部分を覆う絶縁部材は省略することもできる。
渡り部分を第2のボビン側で引き回したが、第1のボビン側で引き回すこともできる。
第2のリード部分の内側における、第1~第3の固定子巻線の第1のリード部分を引き回す方法(領域等)は、実施形態で説明した方法に限定されない。
第1~第3の固定子巻線の第2のリード部分を引き回す方法は、実施形態で説明した方法に限定されない。
保持部の構成は、実施形態で説明した構成に限定されない。
【符号の説明】
【0027】
100 固定子
200 固定子コア
200A、200B 固定子コア端面
200a 固定子コア内側空間
210 ヨーク
220 ティース
221 ティース基部
222 ティース先端部
222a ティース先端面
240 スロット
240a スロット開口部
290 位置決め凹部
300 ボビン(第1ボビン)
300A 底面
300B 端面
300a ボビン内側空間
300b 凹部
310 外側鍔部
310A 外周面
310B 内周面
320 内側鍔部
330 胴部
350、350a~350f 溝(第1の溝)
360、360a~360c 鉤部
380 保持部
380a 保持空間
380b、380c 開口部
381 壁部材
381a 側壁部(第1の側壁部)
381b 側壁部(第2の側壁部)
381c 外壁部
382a 係止溝(第1の係止溝)
382b 係止溝(第2の係止溝)
390 位置決め突部
400 ボビン(第2ボビン)
400A 底面
400B 端面
410 外側鍔部
420 内側鍔部
430 胴部
450、450A~450C 溝(第2の溝)
460、460A~460C 突部
500 固定子巻線
510~530 第1~第3の固定子巻線
510A~530A 第1のリード部分
510B~530B 第2のリード部分
510a~530a 巻き始め端
510b~530b 巻き終わり端
510c~530c 渡り部分
540、551~553 絶縁部材
541 接合部
600 クラスタ