(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】熱交換器の固定用装置を備えたハイブリッドソーラーパネル
(51)【国際特許分類】
H01L 31/052 20140101AFI20220404BHJP
H02S 30/10 20140101ALI20220404BHJP
H02S 40/42 20140101ALI20220404BHJP
【FI】
H01L31/04 600
H02S30/10
H02S40/42
(21)【出願番号】P 2019501763
(86)(22)【出願日】2017-03-24
(86)【国際出願番号】 FR2017050686
(87)【国際公開番号】W WO2017162993
(87)【国際公開日】2017-09-28
【審査請求日】2020-03-12
(32)【優先日】2016-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518337728
【氏名又は名称】デュアルサン (エスアエス)
【氏名又は名称原語表記】DUALSUN (SAS)
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】ブロティエ,ラエティティア
(72)【発明者】
【氏名】ムトゥルドゥ,ジェローム
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0249198(US,A1)
【文献】特表2014-501900(JP,A)
【文献】特開2005-159175(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0065046(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105141252(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102011107393(DE,A1)
【文献】A. Kroiss et al.,Development of a seawater-proof hybrid photovoltaic/thermal (PV/T) solar collector,Energy Procedia,2014年08月25日,Vol. 52,pp. 93-103,DOI: 10.1016/j.egypro.2014.07.058
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-40/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 前面(12)と背面(11)とを含む太陽光発電モジュール(1)と、
- 下部面(21)と上部面(22)とを含む熱交換器(2)であって、前記上部面(22)が太陽光発電モジュール(1)の背面(11)に対面して配置されている、前記熱交換器(2)と、
- 太陽光発電モジュール(1)および前記熱交換器(2)を取り囲む剛性フレーム(8)と、
- 前記熱交換器(2)が、太陽光発電モジュール(1)の背面(11)に押付けられる形で前記熱交換器(2)の下部面(21)に対して圧縮力を及ぼすように適応された少なくとも1つの弾性要素(3)と、
を含む、ハイブリッドソーラーパネル(P)であって、
- 弾性要素(3)は少なくとも1つの足場要素(4)を足場とし、前記足場要素(4)は、足場要素(4)に対し弾性要素(3)が及ぼす圧縮力の少なくとも一部分が前記剛性フレーム(8)により取込まれるような形で前記剛性フレーム(8)と結合状態にあり、
- 足場要素(4)は、前記熱交換器(2)の下に配置され、前記熱交換器(2)の幅および/または長さ内に延在している、ハイブリッドソーラーパネルにおいて、
足場要素(4)が、1つの底壁(41)および2つの側方分岐(42a、42b)により境界が定められたU字形材の形を呈しており、これらの分岐はそれらの自由端部のレベルで開口部を画定し、前記U字形材は前記開口部が前記熱交換器(2)の下部面(21)に向けられるような形で配列されており、弾性要素(3)は前記U字形材の底壁(41)を足場として
おり、
異なる足場要素(4)間に断熱要素(6a)が間置されていることを特徴とする、ハイブリッドソーラーパネル(P)。
【請求項2】
- 少なくとも1つの阻止要素(5)が前記熱交換器(2)に固定されていること、
- 阻止要素(5)が足場要素(4)と相互作用して、パネル(P)の長さ方向および幅方向で前記熱交換器(2)の並進運動を阻止し、こうして前記剛性フレーム(8)の内部で、前記熱交換器(2)がその自重下で滑り動くのを防げていること、
を特徴とする、請求項1に記載のハイブリッドソーラーパネル(P)。
【請求項3】
阻止要素(5)が前記熱交換器(2)の下部面(21)の中心に位置付けされていることを特徴とする、請求項2に記載のハイブリッドソーラーパネル(P)。
【請求項4】
- 前記剛性フレーム(8)が、パネル(P)の固定用支持体に接して位置付けされるように適応された下部面を有すること、
- 足場要素(4)は、前記足場要素が弾性要素(3)により応力を受けた場合に、前記剛性フレーム(8)の下部面を含む平面(80)を超えないように構成されていること、
を特徴とする、請求項1または2に記載のハイブリッドソーラーパネル(P)。
【請求項5】
前記熱交換器(2)下に配置され各々前記熱交換器(2)の幅内に延在する少なくとも3つの足場要素(4)を含み、これらの足場要素(4)が前記熱交換器(2)の長さ内に規則的間隔で設置された前記U字形材の形を呈していることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1つに記載のハイブリッドソーラーパネル(P)。
【請求項6】
前記熱交換器(2)下に配置され各々前記熱交換器(2)の長さ内に延在する少なくとも3つの足場要素(4)を含み、これらの足場要素(4)が前記熱交換器(2)の幅内に規則的間隔で設置された前記U字形材の形を呈していることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1つに記載のハイブリッドソーラーパネル(P)。
【請求項7】
複数の弾性要素(3)が各前記U字形材の長さ内に分布していることを特徴とする、請求項5または6に記載のハイブリッドソーラーパネル(P)。
【請求項8】
弾性要素(3)は、前記弾性要素が前記U字形材全体を考慮して前記U字形材毎にずれるように配設されるような形で各前記U字形材の中に分布していることを特徴とする、請求項7に記載のハイブリッドソーラーパネル(P)
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器の固定用装置を備えたハイブリッドソーラーパネルを目的とする。
【0002】
本発明は、ハイブリッドソーラーパネルの組立て用システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0003】
太陽光発電ソーラーパネルは、太陽放射から電気エネルギーを生成することを可能にする。太陽光発電ソーラーパネルは、光電効果の原理にしたがって機能する複数の太陽光発電素子(電池または薄層)を含む。概して、複数の太陽光発電素子が、1枚の太陽光発電ソーラーパネル上で互いに連結され、複数のパネルが連結されて太陽光設備を形成する。この設備は、その場で消費されるかまたは配電網に給電することのできる電気を生成する。
【0004】
太陽光発電ソーラーパネルは、太陽放射のわずかな部分しか電気に変換せず、残りは使用されない熱である。約-0.45%/℃の温度に伴う太陽光発電素子の効率の低下が確認できることから、この熱は、ソーラーパネルの電気的性能にとって不利である。このような理由から、太陽光発電ソーラーパネルを冷却することには、2重に利点がある。実際、太陽光発電素子の効率が増大するだけでなく、冷却の熱量は、多少の差こそあれ複雑である加熱システムにおいて利用することができる。この場合それは、電気エネルギーと熱エネルギーを同時に生成する能力を有するハイブリッドソーラーパネルのことである。
【0005】
概して、太陽光発電モジュールを冷却するような形で太陽光発電モジュールの背面に対面して熱交換器が配置される。国際公開第2012/069750号(SOLAIRE 2G)は、太陽光発電素子と接触した状態にある熱交換器で構成されたハイブリッドソーラーパネルを提案している。一般的に、熱交換器は、接着さらには直接的ラミネーション(ラミネーションは太陽光発電の分野において公知の典型的な方法である)などのさまざまな方法によって、太陽光発電モジュールに固定される。
【0006】
このような方法により、太陽光発電モジュールに交換器を一体化することに加えて、空気の存在を回避し、こうして熱性能を改善することができる。しかしながら、これらの技術には、接着剤(またはポリマー)の厚みを厚くする必要があるという欠点がある。
【0007】
さまざまな技術が、利用の際のパネルのさまざまな部分の膨張により生み出される変形を軽減することを可能にしている:
- 太陽光発電モジュールの前面の膨張率から離れた膨張率を有する材料(例えば銅、アルミニウム、またはさらにはポリマー材料)で製造された交換器を一体化できるようにする接着剤が開発されている。しかしながら、これらの接着剤は極めて高価で、ハイブリッドソーラーパネルの製造価格を著しく増大させる。
- 仏国特許第1156550号明細書(SOLAIRE 2G)は、より廉価な接着剤の使用を提案している。しかしながら、これらの接着剤は、膨張率の近接した2つの材料の接着のみに有効である。
- 国際公開第2009149572号(IDS HOLDING AG)は、ガラスとアルミニウムとの間の膨張を制限するために交換器が細分されているパネルを提案している。しかし、このようなパネルは製造および設置が極めて複雑である。
【0008】
上述の技術は全て、非常に高い原価、設置の難しさ、またさらには使用可能な材料タイプの制限などの欠点を有する。独国特許第10 2011 122 126号明細書(PA-ID AUTOMATION&VERMARKTUNG GMBH)は、これらの欠点のいくつかを軽減する装置を提案している。この文献は、以下のものを含むソーラーパネルを提案している:
- 太陽光発電モジュール、
- 太陽光発電モジュールに接して配置された熱交換器、
- 太陽光発電モジュールおよび交換器を取り囲む剛性フレーム、
- および、フレームと直接噛合し、太陽光発電モジュールに押付けるような形で交換器に対して圧縮力を及ぼすように適応された2つの弾性要素。
【0009】
しかしながら、このような装置によって得られる押付けは、極めて特定の部分において圧縮力を及ぼす弾性要素が2つしか含まれていないことから、交換器の表面全体にわたり均一ではない。したがってこのようなハイブリッドソーラーパネルの効率は最適なものではない。その上、熱交換器が太陽光発電モジュールに押付けられているとしても、しかしながら、フレームの内部で長手方向および短手方向に移動し得、この移動は、流体コネクタの破損をひき起こす可能性があり、こうしてこれらのコネクタが交換器から引き離されるか一体化を解除される恐れがある。したがって、このようなソーラーパネルを取り扱う際のその信頼性は不確実であり得る。
【0010】
ハイブリッドソーラーパネルが論文、A.KROISSら:「Development of a seawater-proof Hybrid Photovoltaic/thermal(PV/T)Solar Collector」、ENERGY PROCEDIA、vol.52;1 janvier 2014(2014-01-01)、93~103頁中に記載されている。このハイブリッドソーラーパネルは、交換器が押付けられた太陽光発電モジュールで構成されている。交換器を押付けるためには、ばねの足場となる棒材が使用される。棒材は、ネジシステムにより剛性フレームの背面上に固定される。しかしながら、このソーラーパネルの設計は、比較的複雑であり、フレームの内部での交換器の移動という上述の問題はなおも存在する。
【0011】
他の類似のソーラーパネルが、独国特許第10 2011 107393号明細書(SOLVIS)および米国特許出願公開第2015/349178号明細書(RUBIO)中に記載されているが、しかしながら、交換器の移動に関わる諸問題は適切に解決されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】国際公開第2012/069750号
【文献】仏国特許第1156550号明細書
【文献】国際公開第2009149572号
【文献】独国特許第10 2011 122 126号明細書
【文献】独国特許第10 2011 107393号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/349178号明細書
【非特許文献】
【0013】
【文献】A.KROISSら:「Development of a seawater-proof Hybrid Photovoltaic/thermal(PV/T)Solar Collector」、ENERGY PROCEDIA、vol.52;1 janvier 2014(2014-01-01)、93~103頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、この状況を改善することを目的とする。詳細には、本発明の目的は、特に取り扱いの際の信頼性を極めて高くする設計を有するハイブリッドソーラーパネルを提案することにある。
【0015】
本発明の別の目的は、太陽光発電モジュールに対する熱交換器の押付けの均一性を改善することにある。
本発明のさらに別の目的は、太陽光発電モジュールと熱交換器との間の熱交換を改善することにある。
本発明のさらに別の目的は、製造コストが低い高性能ハイブリッドソーラーパネルを得ることにある。
【0016】
本発明の補足的な目的は、設計が単純化され美観が改善された頑丈なハイブリッドソーラーパネルを得ることにある。
【0017】
本発明の別の目的は、値の大きく異なる膨張率を有する材料を使用することのできるハイブリッドソーラーパネルを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明が提案する解決法は、
- 前面と背面とを含む太陽光発電モジュールと、
- 下部面と上部面とを含む熱交換器であって、前記上部面が太陽光発電モジュールの背面に対面して配置されている、熱交換器と、
- 太陽光発電モジュールおよび熱交換器を取り囲む剛性フレームと、
- 前記交換器が太陽光発電モジュール背面に押付けられる形で交換器の下部面に対して圧縮力を及ぼすように適応された少なくとも1つの弾性要素と、
を含む、ハイブリッドソーラーパネルであって、
- 弾性要素は少なくとも1つの足場要素を足場とし、前記足場要素は、足場要素に対し弾性要素が及ぼす圧縮力の少なくとも一部分が前記フレームにより取込まれるような形でフレームと結合状態にあり、
- 足場要素は、交換器の下に配置され、前記交換器の幅および/または長さ内に延在している、ハイブリッドソーラーパネルである。
【0019】
本発明は、
- 少なくとも1つの阻止要素が交換器に固定されていること、
- 阻止要素が足場要素と相互作用して、パネルの長さ方向および幅方向で交換器の並進運動を阻止し、こうしてフレームの内部で、前記交換器がその自重下で滑り動くのを防げていること、
を特徴とする。
【0020】
交換器は今や、流体コネクタがより一層確実に保持されパネルがより信頼性の高いものとなるように、フレーム内部の所定の位置に完全に維持されている。さらに、パネルの独特の設計により、太陽光発電モジュールに対する交換器のより均一な押付けを得ることができる。さまざまな弾性要素の圧縮力は、前述の独国特許第10 2011 122 126号明細書(PA-ID AUTOMATION&VERMARKTUNG GMBH)中のように局在化された部分においてではなく、前記交換器の全表面にわたり加えられる。
【0021】
本発明の他の有利な特徴を以下で列挙する。これらの特徴の各々は、単独でまたは上述の顕著な特徴と組合せた形で考慮され得、場合によって1つまたは複数の分割する特許出願の対象となることができる:
- 阻止要素は、有利には、交換器の下部面の中心に位置付けされている;
- フレームは、好ましくはパネルの固定用支持体に接して位置付けされるように適応された下部面を有し、足場要素は、前記足場要素が弾性要素により応力を受けた場合に、前記フレームの下部面を含む平面を超えないように構成されている;
- ハイブリッドソーラーパネルは、交換器の下に配置され各々前記交換器の幅内に延在する少なくとも3つの足場要素を含むことができ、これらの足場要素は前記交換器の長さ内に規則的間隔で設置された形材の形を呈している;
- ハイブリッドソーラーパネルは、交換器の下に配置され各々前記交換器の長さ内に延在する少なくとも3つの足場要素を含むことができ、これらの足場要素は、前記交換器の幅内に規則的間隔で設置された形材の形を呈している;
- 複数の弾性要素が各形材の長さ内に分布し得る;
- 弾性要素は、前記弾性要素が前記形材全体を考慮して5点形に配設されるような形で各々の形材の中に分布し得る;
- 足場要素は、1つの底壁および2つの側方分岐により境界が定められたU字形材の形を呈していてよく、これらの分岐はそれらの自由端部のレベルで開口部を画定し、前記形材は前記開口部が交換器の下部面に向けられるような形で配列されており、弾性要素は前記形材の底壁を足場としている;
- 足場要素は、交換器の下に配置され前記交換器の下部面の全表面にわたり延在する板の形を呈することができる;
- 足場要素は、ハニカム状の板の形を呈することができる;
- 複数の弾性要素は、交換器の下部面の全表面にわたり一様に分布していてよい;
- 弾性要素は、5点形に配設されていてよい;
- 弾性要素は、圧縮コイルばねの形を呈することができる;
- ハイブリッドソーラーパネルは、足場要素と交換器の下部面との間に設置された波形の板を含むことができ、前記波形の板はその波形が弾性要素を形成するように構成されている;
- 弾性要素は、プラスチック製または亜鉛メッキ鋼製、またはステンレス鋼製であり得る;
- 弾性要素は、前方端部と後方端部を含むことができ、交換器の下部面と前記前方端部との間に保護手段が置かれている;
- 保護手段は、交換器の下部面と弾性要素の前方端部との間に設置された剛性板の形、交換器の下部面と弾性要素の前方端部との間に置かれたキャップの形、あるいは交換器の下部面と弾性要素の前方端部との間に置かれた発泡プラスチック製要素の形を呈することができる;
- 弾性要素の後方端部と足場要素との間に維持要素を置くことができる;
- 維持要素は、粘着性要素であり得る;
- 足場要素間に断熱要素を間置することができる。
【0022】
本発明の他の利点および特徴は、限定的ではなく例示を目的として作成された添付図面を参照しながら以下に記載していく好ましい実施形態の説明を読むことで、より良く理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】太陽光発電モジュールを形成するさまざまな層の概略的断面図である。
【
図2】本発明に係るハイブリッドソーラーパネルの概略的下面図であり、足場要素は形材の形を呈している。
【
図3a】
図2のハイブリッドソーラーパネルのB-Bに沿った断面図である。
【
図3b】
図2のハイブリッドソーラーパネルのA-Aに沿った断面図である。
【
図5】本発明に係るハイブリッドソーラーパネルの概略的下面図であり、足場要素は板の形を呈している。
【
図6a】
図5のハイブリッドソーラーパネルのB-Bに沿った断面図である。
【
図6b】
図5のハイブリッドソーラーパネルのA-Aに沿った断面図である。
【
図7】本発明に係るハイブリッドソーラーパネルの概略的断面図である。
【
図8a】
図7のハイブリッドソーラーパネルのA-Aに沿った断面図である。
【
図8b】
図8aのハイブリッドソーラーパネルの一変形形態の断面図である。
【
図9】本発明のハイブリッドソーラーパネルの一変形形態の概略的断面図であり、交換器上に阻止手段が設置されている。
【
図12】ハイブリッドソーラーパネルの一変形形態の概略的断面図であり、足場要素間に断熱要素が置かれている。
【
図13a】ハイブリッドソーラーパネルの一変形形態の概略的断面図であり、弾性要素と交換器との間には保護板が置かれている。
【
図13b】ハイブリッドソーラーパネルの一変形形態の概略的断面図であり、各弾性要素と交換器との間に保護キャップが置かれている。
【
図14】ハイブリッドソーラーパネルの一変形形態の概略的断面図であり、足場要素と弾性要素との間に維持要素が置かれている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の対象であるソーラーパネルPは、現状技術から公知のハイブリッドソーラーパネルであり、すなわちこのソーラーパネルは電気エネルギーと熱エネルギーを同時に生成する能力を有する。このソーラーパネルは、それが生成する電気および熱エネルギーを住宅または施設が活用できるように、単独で、または他の類似のパネルと組合せた形で使用するためのものである。
【0025】
添付の図面、特に
図1を参照すると、ソーラーパネルPは、前面12と背面11を有する太陽光発電モジュール1を含んでいる。前面12は、太陽放射を受光することができるように、ふさがれていない状態のままである。受光した太陽エネルギーの約80%がパネルP内で消散する。太陽光発電モジュール1の背面11に対面して置かれた熱交換器2の存在により、太陽光発電モジュール1内に蓄積または消散した熱を回収することが可能になる。
【0026】
図1では、太陽光発電モジュール1は、少なくとも1つ、そして有利には同一平面内に置かれた複数の太陽光発電素子1aを含む。これらの太陽光発電素子は互いに直列または並列に電気接続され、例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA)さらにはシリコーンなどの熱可塑性ポリマー1b、1c内でカプセル封じされて太陽光発電モジュール1を形成する。放射に曝露される太陽光発電モジュール1の前面12は、有利には、例えばガラス板のような透明な板1dで被覆されている。
【0027】
「バックシート」と呼ばれる電気絶縁性材料層が、太陽光発電モジュール1の背面11上に付加される。この層1eは、電気的絶縁に加えて、太陽光発電モジュール1と熱交換器2との間の気密性の機能も保証する。この層1eは例えば、ポリフッ化ビニルフィルムであり得、雨水および/または周囲空気の湿気が太陽光発電モジュール1と直接接触するのを妨げ、こうして例えば接触不良または短絡などのあらゆる電気的問題を回避することを可能にしている。
【0028】
これらのさまざまな要素1a、1b、1c、1d、1eはサンドイッチ形に積層され、太陽光発電の分野では公知の熱間ラミネーション法により共に維持される。
【0029】
図3aおよび3b中、交換器2は、太陽放射を妨げないように、太陽光発電モジュール1の下に位置している。熱交換器2は、有利にはプラスチック材料製、好ましくはポリプロピレン製であるが、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ硫化フェニレン、ポリ酸化フェニレン、ポリフェニレンエーテル、アクリロニトリルブタジエンスチレンさらには当業者にとって都合のよい他のあらゆる物質でできていてよい。同様に、銅またはアルミニウムなどの他のタイプの材料で製造されてもよい。これらの材料は、冷却剤により生成される腐食ならびに90℃にまで至り得る温度に対して永続的に耐えることができる。交換器2は同様に、例えばガラス繊維で充填され、こうしてその剛性を改善できるようにするポリマーで構成されてもよい。
【0030】
典型的には水、さらにはグリコール水である冷却剤は、太陽光発電モジュール1に由来する熱量を回収するために熱交換器2内を循環する。この冷却剤は、入口区域から出口区域まで常に交換器2内を循環する。このタイプの交換器2は例えば仏国特許第2967817号明細書(SOLAIRE 2G)内に記載されており、当業者はこれを参照することができるであろう。
【0031】
交換器2は、太陽光発電モジュール1の背面11と接触するための平担な上部面22、および下部面21で構成されている。上部面22および下部面21は、好ましくは平担で互いに平行である。下部面21の表面は例えば太陽光発電モジュール1の全表面の10%~100%を占める。この表面は例えば、太陽光発電モジュール1の寸法に対応する寸法(長さおよび幅)を有し、これら2つは矩形の全体形状をしている。この表面の長さは150cm~400cmであり得、幅は50cm~300cmと変動し、厚みは1mm~2cmで変動する。好ましくは、20℃の温度について、交換器2の長さは太陽光発電モジュール1の長さの85%、その幅の95%を占める。
【0032】
パネルPは、好ましくはアルミニウム製またはポリマー製であり、例えば溶接またはネジ留めなどのさまざまな組立て技術を用いて互いに組立てられたU字形材で形成され得るフレーム8を含む。U字形材は同様に、それらの角の各々を互いに嵌込むことにより相互に組立てることもできる。このようにして、形材は、補足的な組立て要素を必要とすることなく、互いに一体化される。
【0033】
フレーム8を断面図で示す添付図面、特に
図3aおよび3bを参照すると、前記フレームを形成するU字形材は、コア8aを有する。このコア8aには、その各端部にフランジ8b、8cが備わっている。
【0034】
太陽光発電モジュール1は、上部フランジ8bのレベルでフレーム8内に挿入される。フレーム8内における太陽光発電モジュール1の所定の位置での維持は、当業者にとって適切なあらゆる手段、特にネジ留めまたは接着によって、または前記モジュールが内部に収納される専用ののど部をコア8a内に設けることによって実現可能である。
【0035】
本発明によると、装置が、太陽光発電モジュール1の背面11に対し交換器2を拘束することを可能にする。この装置は、足場要素4を足場とする弾性要素3と組合せた1つまたは複数の前記足場要素4を含む手段(本明細書中の以上で説明されている)の組合せの形を呈している。この手段の組合せは、太陽光発電モジュール1に対し交換器2を効率良くかつ均一に押付けることを可能にする。弾性要素3の存在により、フレーム8の寸法上の誤差および足場要素4の誤差を効果的に吸収して、ハイブリッドソーラーパネルPの性能を改善することができる。弾性要素は同様に、さまざまなタイプの足場要素4の偶発的な撓みを吸収することもできる。
【0036】
拘束装置の実施形態例について、ここで説明していく。
【0037】
第1の実施形態
図2、3aおよび3bに例示されている第1の実施形態において、ハイブリッドソーラーパネルPは、形材の形を呈する複数の足場要素4を含む。パネルPは少なくとも3つの形材4を含むが、さらに多くの形材を含んでいてもよい。これらの形材4は、交換器2の下に、その下部面21に対面して置かれ、その表面全体にわたり分布する。好ましくは、これらの形材は、交換器2の長さ全体にわたり、またはその幅全体にわたり、規則的間隔で設置される。このような整備により、弾性要素3の各々により加えられる圧縮力をより正しく分布させることができ、こうして、太陽光発電モジュール1の背面11に対する交換器2のより均一な押付けが得られる。
【0038】
形材4の数は、所望されるハイブリッドソーラーパネルPの性能ならびに交換器2の撓みに応じて選択される。実際、交換器2の製造材料が柔軟になればなるほど、変形はより大きくなり、必要な弾性要素3の数は多くなる。その結果、形材4の数も同様により多くなるため、上述の間隔は削減される。これらの間隔は、例えば10cm~100cm、好ましくは30cmに等しいものであり得る。形材4はフレーム8により所定の場所に維持されるように設置される。こうして、形材4の各端部はフレーム8内を滑り動く。形材4がフレーム8から離脱するのを避けるために、接着剤、ネジさらには粘着剤などの固定手段を使用することができる。
図3aおよび3bでは、形材4は、下部フランジ8aのレベルでフレーム8内に挿入され、これらの下部フランジのレベルで足場としている。こうして、足場要素4上に弾性要素3が及ぼす圧縮力の全てまたは一部が、下部フランジ8aのレベルでフレーム8によって取込まれる。
【0039】
形材4は、有利には、方形、矩形さらにはH字形の断面の棒材の形を呈し、長さは50cmから400cmまで変動する。その幅は1cm~10cmであり、厚みは2mmから5cmまで変動する。形材4の厚みは、使用される弾性要素3(本明細書中の以上で説明されている)の力に応じて選択される。実際には、応力下にある(弾性要素3の設置後)形材4の撓みは、フレーム8の折返し(または下部面)を超えてはならない。このようにして、各形材4の最下点は、フレーム8の折返しより低くはならない。換言すると、例えば
図3aおよび3bを参照すると、形材4が応力下にあり撓む場合、前記形材は、フレーム8を超えず、特に前記フレームの下部面を含む平面80を超えない。こうして、フレーム8の下部面は、パネルPの設置の際に標準的な固定用支持体上、特に平坦な支持体上に適切に固定され得る。実際、形材4が平面80を超えないかぎりにおいて、フレーム8の下部面全体が、固定用支持体を足場として、点接触無く適正に位置付けされる。例えば、形材4の構成(詳細には断面および/または弾性率)により、前記形材の撓みを制限することができる。前述のA.KROISSらの論文中および米国特許出願公開第2015/349178号明細書中に記載のソーラーパネルにおいて、弾性要素の足場となる形材は、フレームの外に位置し、こうして、このフレームが標準的固定用支持体上に適切に固定され得ない、という点が留意されるであろう。
【0040】
図3bでは、形材4は、好ましくは、底壁41と2つの側方分岐42a、42bを含むU字形材の形を呈している。2つの分岐42a、42bは、ソーラーパネルPの設計の際に交換器2の下部面21に対面して置かれる開口部を画定する。この開口部は、弾性要素3が底壁41を足場とするように弾性要素3を挿入できるようにする。このタイプの形材は、弾性要素3の所定の位置での維持を保証し、パネルPの美観を改善するためにこれらの弾性要素を隠し、潜在的な取扱いミスからこれらの弾性要素を保護することに貢献する。
【0041】
弾性要素3は好ましくは、前方端部32および後方端部31を含む圧縮コイルばねの形を呈する。ただし、これらの弾性要素は、例えば板ばねさらには交換器2上に圧縮力を及ぼすように適応された他の全ての要素など、同じ機能を有する他の形を呈することができる。これらのばね3は、好ましくは、腐食を回避しその寿命を延長させるようステンレス鋼製である。これらのばねは同様に、他のあらゆる金属を用いて製造することができ、亜鉛メッキコーティングされていてもまたはされていなくてもよい。ばね3は同様に、交換器2と前記ばね3との間のあらゆる熱損失を避けるためプラスチック製であってもよい。プラスチック製のばね3によって、同様に、交換器2の下部面21のあらゆる損傷を回避することもできる。ばね3は、5mm~5cmの高さを有する。ばねは、5N~70N、好ましくは8N~12Nの圧縮力を有する。ハイブリッドソーラーパネルPに所望される性能に応じて、その撓みに関する一定の誤差が許容される。この特性により、(以上で説明されていた通りの)使用されるばね3の数と同時にその力も決定される。選択されたばね3は全て、同じ力を有することができるが、同様に異なる力を有することもできる。冷却液の入口区域および出口区域のレベルに置かれるばね3は、例えば交換器2の中心レベルに置かれるばね3の力を上回る力を有することができる。
【0042】
図3aおよび3b上に例示されているように、ばね3は、その後方端部31が形材4を足場としその前方端部32が交換器2の下部面21上に圧縮力を及ぼすような形で位置付けされる。複数のバネ3は各形材4の長さ内で分布し(
図2)、形材4当たりのばね3の数は2から15まで変動し得る。パネルPの使用に際して、交換器2は、特にその長さおよびその幅のレベルで、温度の変化に起因する変形を受ける。交換器2と足場要素4との間にばね3が存在することで、交換器2を太陽光発電モジュール1に押付けながら、この交換器の偶発的な膨張に起因する変形が可能になる。その上、足場要素4は、フレーム8により所定の場所に維持されていることから、ばね3が前記足場要素4上に圧縮力を及ぼした時点で、この力の少なくとも一部分は前記フレーム8により取込まれる。こうして、圧縮力は、形材4の各端部に伝達され、その結果この力は、前記端部が内部を滑り動くフレーム8によって取込まれる。
【0043】
U字形材4を使用することにより、ばね3の後方端部31は、底壁41に接して、2つの分岐42a、42b間に収納されることになる。この構成により、ばね3を保護すると同時にパネルPの美観を改善し、ソーラーパネルPの使用の際のばね3の望ましくない短手方向の移動を回避することができる。
【0044】
ばね3は、全てが整列する(
図4a)すなわち行および列に配置されるように、パネルPの背面に分布することができる。しかしながら、ばね3は、前記ばね3全体を考慮してこれらのばねが5点形に配設されるような形で、形材毎にずれるように(
図4b)配置されてよい。この構成は、ばね3の圧縮力の効果の下で交換器2の撓みを削減するのに貢献し、その結果、太陽光発電モジュール1に対する前記交換器2の押付けの一様性を改善する。
【0045】
ソーラーパネルPは、交換器2に固定され、またパネルPの長さ(縦方向軸X)および幅(横方向軸Y)の方向の並進運動について交換器2を阻止するために形材4と相互作用する少なくとも1つの阻止要素5を含んでいる。好ましくは、阻止要素5は交換器2に固定され、それは、その下部面21の中心のレベルにおいてである。この構成により、パネルPの取り扱い中(例えば梱包、輸送さらには設置などの段階に際して)フレーム8の内部で自重下で交換器2が滑り動くあらゆるリスクを回避することができる。
【0046】
図9、10および11は、このような阻止要素5の一例を例示する。この阻止要素は、底壁51と2つの側壁52a、52bを含むU字形材の形を呈する。底壁51は、溶接、さらには接着などの固定技術を用いて交換器2の下部面21のレベルに固定される。形材4の1つは、壁52a、52b間で滑り動き、こうして交換器2を(方向Xおよび/またはYに沿った)並進運動について阻止することが可能となる。このような構成により、交換器2が移動しその端部にある流体コネクタの破損をひき起こすことが回避される。その上、交換器2の下部面21の中心に阻止手段5を置くことにより、(昼間の太陽放射の存在下での太陽光発電モジュール1の温度上昇および夜間の周囲温度でのその冷却に起因する)交換器2の対称的膨張が可能になる。こうして、パネルPの使用の際には、交換器2の一方の側のみの(幅および長さにおける)xmmの膨張があるのではなく、各々の側のレベルでのx/2mmの膨張が観察される。
【0047】
図10および11上で、拘束装置は、パネルPの設計の際に形材4を所定の位置でより一層安定させることのできるアセンブリ55を含む。このアセンブリ55は、阻止要素5上に置かれた雌要素55bと協働する形材4上に位置する雄要素55aを含む。詳細には、形材4の少なくとも1つ、好ましくは2つの分岐42a、42bが、U字形の外に向いて突出するピンの形を呈する雄要素55aを含む。これと並行して、阻止要素5は、ピン55aが収納される対応する溝55bを含む。
【0048】
図15に表わされている一変形実施形態において、阻止要素5は、形材4の中で滑り動くようになる矩形断面の直方体である。この直方体は、2cmから5cmまで変動する長さおよび形材4の幅(1cm~10cm)に対応する幅を有する。例えばピンさらには釘(例えばステンレス鋼製の溝付釘)などの固定要素56が、形材4内に設けられ、また直方体5内に実現されたオリフィス(図示せず)と整列して置かれたオリフィス57の内部に挿入される。固定要素56は、交換器2の下部面21に一体化される。この構成は、直方体5(ひいては交換器2)が前記形材4に沿って並進運動して動くのを妨げ、一方U字形の分岐42a、42bは横方向に該直方体が動くのを妨げる。
【0049】
図12上で、パネルPは、前記交換器2による熱の回収を改善しその結果前記パネルPの効率を高めるために、交換器2の下部面21のレベルでの熱損失の削減を可能にする断熱要素6aを含む。断熱要素6aは、例えば、グラスウールまたはロックウールなどの非固形材料の形を呈することができる。この図の場合、断熱要素6aは異なる足場要素4間に置かれている。この断熱要素は、形材4および/またはフレーム8に固定された底部板(図示せず)により所定の位置に維持される。この板は、例えば、ネジまたはボルト、粘着剤さらには溶接、接着により、形材4および/またはフレーム8に固定され得る。
【0050】
断熱要素6aは、同様に、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、さらにはポリプロピレンなどの固形材料の板の形を呈することもできる。これらの板は、形材4間に配置され、自然に所定の位置に維持されるように、部分的にフレーム8の下を滑り動き得る。これらの板は同様に、接着剤、さらには粘着剤などの手段によって、形材の側壁42a、42b上に固定されてもよい。
【0051】
第2の実施形態
図5、6aおよび6bは、足場要素4が板の形を呈している第2の実施形態を説明する。この板は交換器2の下に配置され、好ましくは前記交換器2の下部面21の表面全体にわたり延在する。この板4は、ポリマー材料(ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレンなど)さらには金属などの剛性材料で製造される。ばね3の後方端部32は、前記板4の上部面41を足場とし、一方その前方端部31は交換器2の下部面21に接して置かれ、こうして圧縮力をこの交換器に加えこの交換器を太陽光発電モジュール1の背面に押付けることを可能にしている。板4は、交換器2の下部面21の長さおよび幅寸法に類似する長さおよび幅寸法を有する。この板の長さは150cm~400cmであり、幅は50cmから300cmまで変動する。その厚みは、使用される材料により左右され、2mm~4cmである。先行する実施形態について説明されたものと同等の要領で、厚みはパネルPの撓みに左右されることになる。厚みは、最下点がフレーム8の折返しであることを保証するように選択される。
【0052】
第1の実施形態と同じ形で、板4は、所定の位置に維持されるようにフレーム8内を滑り動く。この板4は、その短手方向の縁部のレベルでのみ維持され得る。しかしながら、この板は、長手方向の縁部のレベルで、またはその周囲全体にわたり維持され得る。この板は同様に、接着剤、粘着剤さらにはネジまたはボルトなどの固定手段によって、フレーム8に一体化され得る。このような構成により、板4上にばね3によって及ぼされる圧縮力の少なくとも一部分が、フレーム8により取込まれることが可能になる。好ましい一実施形態によると、板4は、下部フランジ8aのレベルでフレーム8内に挿入され、これらのフランジのレベルで足場としている。こうして、板4に対して弾性要素3により及ぼされた圧縮力の全てまたは一部は、下部フランジ8aのレベルでフレーム8によって取込まれる。
【0053】
好ましい一実施形態において、板4は、ハニカム状である。このタイプの板によると、パネルPがより一層剛化されることに加えて、ばね3が足場とすることおよびソーラーパネルを断熱することを可能にすることからなる2重の役目を、ハニカム状の板が果たすことを理由として、(明細書の以上で説明された)補足的な断熱材の使用を必要とせずにすむ。
【0054】
第1の実施形態に関連して先に説明したように、板4が応力下にあり撓んでいる場合でも、前記板は、フレーム8を超えず、特に前記フレームの下部面を含む平面80を超えない。例えば、ハニカム状の板4を使用すると、前記板の撓みを制限することができる。
【0055】
使用されるばね3は、先行実施形態において説明されたものと同じである。これらのばねは、好ましくは、板4の表面全体にわたり均一に分布しているが、場合によってはランダムに置かれてもよい。先行実施形態について説明したように、5点形での整備は、交換器2の撓みの削減に貢献し、その結果として、太陽光発電モジュール1に対する前記交換器2の押付けの一様性を改善する。
【0056】
この実施形態は、場合によって、交換器2レベルの熱損失を削減するため先の実施形態について説明したものなどの補足的な断熱要素を含むことができる。
図6aおよび
図6b中、断熱要素は、ソーラーパネルPの断熱を改善するように、板4の下、より詳細にはその下部面4bに接して位置することになる板40の形を呈している。この断熱板40は、先の実施形態について説明したものに類似する材料で製造される。この板は、例えば、溶接または接着さらには粘着剤の使用などの固定手段によって、板4に固定され得る。この板は、150cm~400cmの長さと、50cmから300cmまで変動する幅を伴って、板4の下部面4a全体にわたり存在する。その厚みは、使用される材料に応じて2mm~15cmである。
【0057】
有利には、第1の実施形態に関連して先に説明したように、パネルPの長さ(縦方向軸X)および幅(横方向軸Y)の方向での並進運動について交換器2を阻止するために板4と相互作用する、交換器2に固定された阻止要素を使用する。この阻止要素5は、
図10または15上で説明されているものと類似する。
【0058】
第3の実施形態
図7および8aは、先に説明した第1の実施形態と等価の補足的な実施形態を説明する。フレーム8内への足場要素4の挿入および阻止要素5の使用は、この実施形態にあてはまる。
【0059】
ばね3は波形バンド7で置換されている。このバンドは、ソーラーパネルPの使用中に実質的に変形可能となり得るように、半剛性材料で製造される。この材料は、例えばポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタンなどであり得る。
【0060】
図8aが示すように、各々の波形バンド7は、上位点7aと下位点7bを有する波形を含む。波形バンド7の上位点は、交換器2の下部面21と接触しており、太陽光発電モジュール1の背面11に交換器を押付けることを可能にする。波形は弾性要素3として役立ち、多数の点において交換器2に対し圧縮力を及ぼし、こうして押付けの均一性を改善できるようにしている。下位点7bは、形材4を足場としている。多数のばねの代りに唯一のバンド7が各々の形材内に設置されることから、この構成によりパネルのより迅速な設計が可能になる。その上、このような波形バンド7の使用は、ばねを使用する際に突発する可能性のある交換器の下部面21の破損を回避する。さらに、このようなバンド7の原価は、ばねの使用に比べ低減される。
【0061】
第4の実施形態
図8bは、先に説明した第2の実施形態の一変形形態を例示する。フレーム8内の板4の挿入および阻止要素5の使用は、この実施形態にあてはまる。
【0062】
ばねは、少なくとも1つの波形の板7によって置換される。この板7は、
図8bに例示されているように、交換器2の下部面21全体にわたり延在し得る。代替的には、より小さいサイズの板7を下部面21の表面全体にわたり一様に分布させることができる。好ましくは、これらの板は、交換器2の長さ全体にわたってかまたはその幅全体にわたって、規則的な間隔で設置される。
【0063】
波形の板7は、交換器2の寸法に対応する寸法を有する。その長さは150cmから400cmまで変動し、その幅は5cm~300cmである。波形の板は、使用される材料により左右され、1mmから4cmまで変動し得る厚みを有する。
【0064】
第3の実施形態の場合と同じ形で、板7は、上位点7aと下位点7bを有する波形を含む。波形の板7の上位点は、交換器2の下部面21と接触しており、太陽光発電モジュール1の背面11に交換器を押付けることを可能にする。波形は弾性要素3として役立ち、多数の点において交換器2に対し圧縮力を及ぼし、こうして押付けの均一性を改善できるようにしている。下位点7bは、板4を足場としている。
【0065】
ばねの形を呈する弾性要素3を含む第1および第2の実施形態において、ソーラーパネルPは、保護手段9a、9bを有することができる。これらの保護手段9a、9bは、交換器2の下部面21と各ばね3の前方端部32との間に置かれる。これらの保護手段9a、9bは、ばね3が交換器2の下部面21を貫通するのを回避できるようにする。
【0066】
これらの保護手段は、交換器2の下に位置付けされる板9aの形を呈することができる(
図13a)。この板9aは、先に明記した交換器2の寸法と類似の寸法を有する。この板は、例えば鋼、アルミニウムさらにはプラスチックまたは発泡プラスチックなどの任意のタイプの材料で製造され得る。これらの保護手段は同様に、平らな底面をもつキャップ9b(
図13b)の形を呈することもできる。板9aと同様に、これらのキャップ9bは、任意の材料で製造され得る。これらのキャップは、1cm~10cmの直径および、使用される材料に応じて1mmから1cmまで変動する厚みを有する。代替的には、これらの保護手段は、小さなクッション、例えば発泡プラスチック製の要素、好ましくは発泡プラスチック製の小さなクッションの形を呈することができる。発泡プラスチック製の要素および/またはキャップの形状はさまざまであり得、例えば正方形、星形、丸形さらには矩形であってよい。
【0067】
上記に説明された実施形態における本発明のさまざまな要素および/または手段および/またはステップの配列は、全ての実装においてこのような配列を要求するものとして理解されてはならない。いずれにせよ、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、これらの要素および/または手段および/またはステップに対して種々の修正を加えることができるということが分かる。特に、
- 熱交換器2は、例えば金属(例えば鋼、ステンレス鋼、アルミニウムまたは銅)さらには複合材料などの異なる材料で製造可能である。
- 弾性要素3を所定の位置に維持するように、前記弾性要素3と足場要素4(
図14)との間に維持要素10を追加することができる。この維持要素は、例えば粘着剤の形、さらにはクリップの形を呈することができる。
- 各々のばね3の前方端部32は、交換器2の下部面21に擦り傷を付けたりこの下部面を貫通することのないように研磨され得る。
- 太陽光発電モジュール1と交換器2との間には、補足的な板が存在してもいなくてもよい。
- 板4および波形の板7は、先に言及したものと異なる寸法を有することができ、例えば交換器2の表面の半分または3分の1しか覆わなくてもよい。
- 板および/または波形バンド7の波形の度合いは変動し得る。
【符号の説明】
【0068】
1 太陽光発電モジュール
2 熱交換器
3 弾性要素
4 足場要素
5 阻止要素
8 フレーム
11 背面
12 前面
21 下部面
22 上部面