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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】翼形部を有する回転式医療装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3207 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
A61B17/3207
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019502669
(86)(22)【出願日】2017-07-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-22
(86)【国際出願番号】 US2017042505
(87)【国際公開番号】W WO2018017525
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-05-20
(31)【優先権主張番号】62/364,037
(32)【優先日】2016-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/651,327
(32)【優先日】2017-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508132034
【氏名又は名称】カーディオバスキュラー システムズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CARDIOVASCULAR SYSTEMS, INC.
【住所又は居所原語表記】1225 Old Highway 8 NW St. Paul MN 55112 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒギンス,ジョセフ・ピィ
(72)【発明者】
【氏名】ストーン,ジェフリー・アール
【審査官】安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0077638(US,A1)
【文献】特表2010-528817(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0147458(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0007190(US,A1)
【文献】国際公開第2009/065927(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0171448(US,A1)
【文献】特表2016-510637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00-17/3207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機と、前記原動機と動作的に接続される回転式ドライブシャフトとを有する回転式アテレクトミシステムであって、
前記システムは、前記回転式ドライブシャフトと動作的に取り付けられる研磨要素を備え、前記研磨要素は、前記ドライブシャフトの遠位端から近位側に離れた位置に配置され、前記ドライブシャフトの一部分は、前記研磨要素を遠位側に越えて延在しており、前記システムは、前記研磨要素と動作的に接続される翼形部をさらに備える、回転式アテレクトミシステム。
【請求項2】
前記回転式ドライブシャフトは、拡大されたドライブシャフトセクションを備え、前記研磨要素は、前記拡大されたドライブシャフトセクションと動作的に取り付けられる、請求項1に記載の回転式アテレクトミシステム。
【請求項3】
前記翼形部は、上面および下面と、前縁および後縁とを備え、前記前縁は、前記研磨要素に動作的に接続されており、前記翼形部は、湾曲した上面を備える、請求項1に記載の回転式アテレクトミシステム。
【請求項4】
前記前縁と前記後縁との間に引かれるコードと一致しないキャンバ線を有する前記翼形部をさらに備える、請求項3に記載の回転式アテレクトミシステム。
【請求項5】
静止直径と、高速回転の間に達成される作業直径とを備える前記研磨要素をさらに備え、前記作業直径は、前記静止直径よりも大きい、請求項1に記載の回転式アテレクトミシステム。
【請求項6】
原動機と、ワイヤターンから形成されかつ前記原動機と動作的に接続される回転式ドライブシャフトとを備えた回転式アテレクトミシステムであって、前記回転式ドライブシャフト上に位置する研磨セクションをさらに備え、前記研磨セクションは、前記ドライブシャフトの遠位端から近位側に離れた位置に配置され、前記ドライブシャフトの一部分は、前記研磨セクションを遠位側に越えて延在しており、前記システムは、前記研磨セクションと少なくとも部分的に接続される翼形部をさらに備える、回転式アテレクトミシステム。
【請求項7】
原動機と、前記原動機と動作的に接続される回転式ドライブシャフトと、前記回転式ドライブシャフトと動作的に取り付けられる研磨要素と、を備え、前記回転式ドライブシャフトおよび前記原動機に動作的に接続される前記研磨要素の作業直径を増加する回転式装置であって、前記研磨要素は、前記ドライブシャフトの遠位端から近位側に離れた位置に配置され、前記ドライブシャフトの一部分は、前記研磨要素を遠位側に越えて延在しており、翼形部が前記研磨要素と動作的に接続され、前記回転式装置は、
前記翼形部の前縁の方向に前記ドライブシャフトおよび研磨要素を回転させることによって記回転の間に前記翼形部で揚力を発生させ、これにより回転する前記研磨要素に、前記研磨要素の静止直径よりも大きな直径を備える作業経路をたどらせる、回転式装置
【請求項8】
前記研磨要素は、研磨クラウンを備え、前記翼形部の第1部分を介して前記翼形部は前記研磨要素と動作的に接続され、前記翼形部の少なくとも第2部分は、前記研磨クラウンと一体的に形成される、請求項7に記載の回転式装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2016年7月19日に提出され、回転式装置のためのベルヌーイ効果クラウン(BERNOULLI-EFFECT CROWN FOR ROTENTIONAL DEVICES)と題される米国仮出願連続番号第62/364037号の利益を主張し、参照によりその内容全体がここに組み込まれる。
【0002】
連邦政府の助成による研究または開発に関する陳述
不適合
発明の背景
発明の分野
本発明は、回転式アテレクトミ装置を利用する、動脈からのアテローム斑の除去などの身体通路からの組織を除去するための装置および方法に関する。特に、本発明は、クラウンが取り付けられたドライブシャフトの回転の間にベルヌーイ効果を生み出すように形成されたクラウンに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
動脈および類似の身体通路における組織の除去または修復における使用のために、様々な技術および機器が開発されてきた。このような技術および機器の頻出する目的は、患者の動脈におけるアテローム斑の除去である。アテローム性動脈硬化症は、患者の血管の内膜層における(すなわち、内皮下の)脂質性の沈着物(アテローム)の蓄積を特徴とする。非常に多くの場合時間とともに、初め比較的柔らかいコレステロールの多いアテローム物質として堆積されていたものが、石灰化されたアテローム斑へと硬化する。このようなアテロームは、血液の流れを制限し、したがってしばしば狭窄病変部または狭窄ともよばれる。閉鎖物質は、狭窄物質ともよばれる。治療せずに放置された場合、このような狭窄は、狭心症、高血圧症、心筋梗塞、脳卒中などを引き起こすことがある。
【0004】
このような狭窄物質のうちのいくつかまたはすべてを除去しようとするために、数種類のアテレクトミ装置が開発されてきた。デバイスのうちの1つのタイプでは、米国特許第4,990,134号(Auth)に示されるように、ダイアモンドグリット(ダイアモンドの粒子または塵)などの研磨切断材料でコーティングされた回転するバー(burr)が、可撓性の回転式ドライブシャフトの遠位端に備えられる。
【0005】
米国特許第5,314,438号(Shturman)は、拡大された直径を有するドライブシャフトのセクションを備える回転式ドライブシャフトを有する、別のアテレクトミ装置を示している。少なくともこの拡大された直径セクションのセグメントは、研磨材料でコーティングされてドライブシャフトの研磨セグメントを規定する。高速で回転されるとき、研磨セグメントは、動脈から狭窄組織を除去することができる。
【0006】
米国特許第5,314,407号(Auth)は、Auth’134およびShturman’438特許に示されるタイプの回転式アテレクトミ装置とともに用いられ得るハンドルのタイプの詳細を示している。Auth’407特許に示されるタイプのハンドルは、商標Rotablator(商標登録)下で売られる回転式アテクトミ装置で、ハート・テクノロジ社(Heart Technology, Inc.)(レドモンド(Redmond)、ワシントン州)によって販売されており、現在はボストン・サイエンティフィック・コーポレーション(Boston Scientific Corporation)(ナティック(Natick)、マサチューセッツ州)によって所有されている。Rotablator(商標登録)装置のハンドルは、圧縮ガス駆動タービン、ドライブシャフトを通って延在するガイドワイヤを固定するための機構、繊維光学タコメータの部分、およびドライブシャフトを通して生理食塩水を汲むためのポンプを含む、様々な構成要素を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
ドライブシャフト(その関連されたバーを有する)とRotablator(商標登録)装置におけるタービンとの間の接続は、永続的である。しかし、頻繁に、アテレクトミ手順の間に1つより多いサイズのバーを用いる必要がある。すなわち、狭窄をある直径まで開くために小さいサイズのバーがまず用いられ、次いで狭窄をさらに開くために1つ以上の大きいサイズのバーが用いられる。このような続く大きな直径の多数のバーの使用は、「ステップアップ技術」とよばれることもあり、Rotablator(商標登録)装置の製造によって推奨されている。複数バーの技術においては、このような連続的なサイズの各バーのために新たなRotablator(商標登録)装置を用いる必要がある。したがって、医師が手順全体にわたってたった1つのハンドルを用い、このようなハンドルを適切なドライブシャフトおよび組織除去器具(たとえば、バー)に取り付けて手順を開始し、次いでドライブシャフトおよび組織除去器具を異なるサイズまたはさらには異なる設計の組織除去器具を有するドライブシャフトに交換することができるアテレクトミシステムの必要性がある。好ましくは、システムは、研磨要素の静止直径よりも大きな血管内の作業直径をたどることが可能である研磨要素を提供する。本発明は、少なくともこれらの問題点について対処する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1A図1Cは、先行技術の装置の概略図である。
図2A】本発明の1つの実施形態の側面図である。
図2B】本発明の1つの実施形態の切断端部前面図である。
図3A】本発明の様々な翼形部の実施形態を示す図である。
図3B】本発明の様々な翼形部の実施形態を示す図である。
図3C】本発明の様々な翼形部の実施形態を示す図である。
図4】本発明の1つの実施形態の切抜斜視図である。
図5】本発明の1つの実施形態の断面図である。
図6A】本発明の1つの実施形態の切抜斜視図である。
図6B図6Aの実施形態の断面図である。
図6C】本発明の1つの実施形態の切抜斜視図である。
図6D図6Cの実施形態の断面図である。
図7A】本発明の1つの実施形態の切抜斜視図である。
図7B図7Aの実施形態の断面図である。
図8】本発明の1つの実施形態の切抜斜視図である。
図9】本発明の1つの実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の詳細な説明
航空機翼の文脈における翼形部は、周知であり、概して翼形部が空気流体を進むような「揚力」の概念を表す。以下に説明されるように流体(空気)を通る航空機の翼形部の概ね前方への運動は、動脈などの管内の血液などの身体上の流体を通る回転運動に修正され得る。
【0010】
以下に説明される本発明は、流体を通って動く翼形部を備える研磨要素を用いて揚力を生じさせるとともに、研磨材で部分的にコーティングされ、動脈などの流体で満たされた身体上の管内における翼形部を備える研磨材料を高速で回転することが可能である回転式ドライブシャフトに取り付けられ得る構造について説明する。生じる揚力は、概ねドライブシャフトの回転軸から離れるように径方向外側の方向に向けられ、したがって翼形部を備える回転する研磨要素をドライブシャフトの回転軸から径方向に離れるように引く傾向にある。同様に、これは、その静止直径よりも大きな作業痕跡および直径を有する、回転する翼形部をもたらす。翼形部を有する研磨要素の静止直径は、回転の間に増加した作業直径の結果として、これまで可能とされていたよりも小さくされ得る。これにより、患者の曲がりくねった血管系を通る、そこへ取り付けられる研磨要素を有するドライブシャフトの運動において、容易さおよび快適さを向上させるとともに、起こり得る外傷を低減する。
【0011】
航空機翼または翼形部と同様に、いくつかの物理的原理が翼形部を備える回転式研磨要素の文脈で揚力を生み出すことに関わる。
【0012】
効果的な迎角でセットされた航空機翼(翼形部)は、翼形部の周りに流れる流体の速度を変化させるのに非常に効果的である。翼形部の上方の空気は、下方の対応する空気に対して速度の増加を経験する。
【0013】
ベルヌーイの定理は、一般に、ある空気の一団が低圧を有するとき高速度を有し、逆にニュートンの法則に結果として最もよく見られ得ることをあらわす。
【0014】
上述された翼形部の周りの速度の差異の部分的な結果として、翼形部の上方の気圧は大気圧よりも低くなり、翼形部の下方の気圧は大気圧よりも高くなる。また、翼形部の上方の大気圧より低い圧力は、翼形部の下方の大気圧よりも高い圧力よりもはるかに顕著である。
【0015】
航空機の翼形部が機能するために頂部で湾曲されるおよび/または底部で平坦にされる必要がないということは、特筆すべきである。丸みを帯びた前縁は、翼形部の上方および下方で所望の空気の流れを生成するのに役立ち得るが、基本的に平坦なドアでさえ適切な速度および迎角が与えられれば飛行する。
【0016】
翼形部の上方および下方を通る空気は、等時間にそうなるのではない。揚力が生じるとき、翼形部の上方を通るすべての空気の一団は、より長い経路を有するにもかかわらず、実質的に「早く」(翼の下方の対応する一団と比較して)到着する。
【0017】
翼の上方の空気の大部分は、絶対的には早く到着するが(阻害されない空気と比較して)、これは重要ではなく、例外は二重に取るに足らない。
【0018】
翼形部によって生じる揚力の量に貢献する変数は、循環、翼形部の速度、翼形部の密度、翼形部の翼の幅(すなわち、研磨要素の翼形部の長手方向の長さ)を含む。
【0019】
一般的に、揚力の係数は迎角に比例し、循環は揚力の係数と空気速度との積に比例する。
【0020】
これらの原理は、血液などの流体内を回転し、かつ変化する揚力の結果を生じさせるために翼形部を備える一般的な研磨構造を修正ために用いられ得る、翼形部を有する回転する研磨要素に等しく当てはまり、これらの修正の各々は、本発明の範囲内にある。
【0021】
取り囲む流体を通る翼形部を備える研磨要素の説明された回転は、翼形部の上方および下方の双方において、その迎角(およびその回転速度)に比例して、修正された流体循環を生じさせる。この循環は、回転の方向との組み合わせにおいて、回転する翼形部の上方の流体(血液)が回転する翼形部の下方の流体よりも速く移動することを意味する。これは、同様に、ベルヌーイの定理に従って、回転する翼形部表面にかつ回転する翼形部表面の上方に、低圧を生じさせる。低圧は、ニュートンの法則のすべてにしたがって、翼形部上に上向きの力を生成し、流体(血液)上に引き下ろす。
【0022】
以下の各々は、液体を通る翼形部の運動の間に起こる揚力プロセスを異なる態様で説明する。
【0023】
1.翼形部は、少なくとも1つの迎角で流体を通って回転するため、翼形部を備える研磨要素上に揚力を生じさせる。
【0024】
2.翼形部は、流体を通る回転運動の間に、翼形部の周りの流体の誘発された循環によって、翼形部を備える研磨要素上に揚力を生じさせる。
【0025】
3.翼形部は、作用・反作用のベルヌーイの定理およびニュートンの法則の両者によって説明される翼形部を備える研磨要素上に揚力を生み出す。
【0026】
図1A図1Cは、順番に増加する、揚力を提供する様々な(増加する)迎角における、周知の翼形部を示す。迎角とは、入ってくる流体に対する翼形部の角度である。したがって、図1Aにおける迎角は実質的にほぼゼロであるが、翼形部の形状は必要な気流、および揚力を達成するのに必要な、結果として生じる圧力差を提供する。図1Bは、翼形部の周りに湾曲するより多くの空気または流れる空気を達成するような角度における気流の傾き、および図1Aの迎角を超えて増加する揚力を達成するような翼形部の後縁の概念を示す。図1Cは、図1Bの仰角を超える増加した迎角を示すが、失速状態またはほぼ失速状態にあるためにより小さな揚力を有する。なお、図1Aおよび図1Bにおいては、翼形部の上面および下面にわたる気流は、合流し再集結する。この条件は、揚力を維持するために要求され、上側の気流が翼形部の上面において下側に向けられずかつ下側に向けられる下側の気流と合流しないため図1Cでは存在しない。その結果、もしあれば、図1Cにおける揚力は、図1Bのそれよりもはるかに小さい。
【0027】
図は、概して、ある実施形態において、翼形部を備える研磨要素が接続されるまたは取り付けられる回転式ドライブシャフトの公称軸および/または回転軸に対する、揚力または外側の径方向の力を提供するための翼形部構造を備える研磨要素を示す。翼形部を備える研磨要素は、例示の閉塞または他の関心対象の付近に配置され、技術において周知であるように、電気モータまたはタービンなどの外部に位置する原動機によって同様に駆動される回転式ドライブシャフトを介して回転される。例示の血管V内の研磨要素の回転の方向から概ね離れるように延在する翼形部200を有する回転式ドライブシャフト102に取り付けられた一般的な研磨要素100が、図2Aおよび図2Bに示される。迎角αおよび結果として生じる揚力は、概ね、高速回転の間にドライブシャフト102の公称軸および回転軸から径方向外側に方向付けられる。流線および付随する翼形部200の頂面および下面上の矢印は、必要な揚力を提供するための翼形部200の上面および下面の両方による流体の流れの湾曲または旋回を示す。なお、揚力の大きさは、ドライブシャフト102の回転スピード、したがって翼形部の回転スピード、翼形部200の長さLおよび幅W(表面積)、翼形部200の湾曲またはキャンバ、ならびにある実施形態においては研磨要素100と翼形部200との間の接続の角度によって決定される仰角αなどのいくつかの因子を変化させることによって修正され得る。いくつかの実施形態では、迎角αは固定され可変でない一方、他の実施形態では、迎角αは、回転速度が増加するにつれて小さくなってもよい。さらに、翼形部200の湾曲またはキャンバは、回転速度にかかわらず固定されてもよく、可変であってもよい、すなわち翼形部200の湾曲またはキャンバは回転スピードが増加するにつれて増加してもよい。したがって、翼形部200は、固定されたまたは可変の翼形部200の湾曲またはキャンバと組み合わせて、迎角αの固定または変動を備えてもよい。上述されたように、選択された迎角αに応じて、翼形部200は、湾曲またはキャンバを備えていなくてもよい、したがって実質的に平坦であってもよい。
【0028】
一般的には、翼形部で揚力を生成する際に最も重要な変数は、迎角である。翼形部における湾曲またはキャンバの量は、比較的程度は小さい。したがって、図3A図3は、本願に説明されるように揚力を発生させるために用いられ得る可能性のある翼形部の形状を示す。
【0029】
図3Aは、例示の翼形部の前縁から後縁まで引かれるコードに対するキャンバの程度を示す。コードとキャンバ線との間の領域が、キャンバの程度である。コードは前縁を後縁と接続する線であり、キャンバ線は前縁から延び、かつ翼形部の湾曲に従う線である。図3Bは、適切な迎角において揚力の発生をもたらす図3Bの逆を実質的に示す。図3Bは、たとえば逆さまで飛行する航空機の図であり、揚力は翼の迎角を修正することによって可能になる。
【0030】
最後に、図3Cは、対称的な翼形部を提供する。コードとキャンバ線とは一致する。先の例示の翼形部と同様に、図3Cの翼形部は、適切な迎角で揚力を発生させる。図3A図3Cの実施形態の変形例は、本発明の様々な翼形部の設計の範囲内にある。
【0031】
翼形部200との、および動作的な接続または取付けにおける回転式ドライブシャフト102との研磨要素100の特定の実施形態が、図4に示される。この実施形態では、翼形部200は、研磨要素100の統合として形成され、統合された要素としてドライブシャフト102に取り付けられる。翼形部200は、上述されたように固定されてもよいし、されていなくてもよい、示されるような湾曲またはキャンバを備える。回転する翼形部200の上および下の湾曲した流体の流れから生じる揚力は、ドライブシャフト102の回転軸または公称軸から概ね離れるように延びる矢印として示される。図5に示されるように、図4のドライブシャフト102の高速回転の間に、少なくとも部分的に、生じた揚力によって、作業直径Dは、研磨要素100の軌道の作業経路をたどる矢印によって示されるような静止直径Dよりも大きな直径まで増加する。
【0032】
図4および図5は、翼形部200との組み合わせでさらに機能して、発生した揚力の方向に質量中心Cが概ねオフセットされるときに静止直径よりも大きな作業直径を生成する、研磨要素100における質量中心Cの径方向のオフセットをさらに示す。
【0033】
上述されたように、示されたような回転式装置は、クラウンなどの研磨要素もしくは構造、および/または、回転軸を有するドライブシャフトに取り付けられる研磨バンドもしくはリングなどの研磨構造もしくは要素を備える。一般的に、これらの実施形態では、翼形部は、研磨構造もしくは要素と一体で形成されるか、そこに動作的に取り付けられるかのいずれかである。
【0034】
代替的には、上記にも説明されたように、および図6Aおよび図6Bに示されるように、研磨要素は、その中にまたはその上に形成される翼形部を有するドライブシャフトの研磨セクションを備えるドライブシャフトの拡大されたセクションを備え得る。したがって、図6Aは、拡大されたドライブシャフトを示し、翼形部は、ドライブシャフト自体のワイヤターンの中に、およびワイヤターンによって形成される。図6Bは、翼形部構成の断面における拡大されたドライブシャフトを示す。図6Aおよび図6Bは、延在する翼形部を除いて、一致する拡大されたドライブシャフトを示し、それはそこを通る長手方向軸を中心に対称である。
【0035】
図6Cおよび図6Dは、そこを通る長手方向軸を中心に非対称である偏心の拡大されたドライブシャフトを示し、翼形部は、ドライブシャフトのワイヤターンの中におよびワイヤターンによって形成される。
【0036】
他の実施形態は、そこに動作的に接続されるまたは取り付けられる翼形部構造と組み合わせられたドライブシャフトの拡大されたセクションを備え得る。一般的に、これらの実施形態では、ドライブシャフトの拡大されたセクションの少なくとも一部は、当業者にとって周知であるように、研磨材料でコーティングされ得る。
【0037】
代替的に、研磨クラウンは、ドライブシャフトの拡大されたセクション上に嵌められ、そこに動作的に取り付けられ得る。嵌められた研磨クラウンは、拡大されたドライブシャフトの外形を補完するように形付けられ得る。翼形部は、嵌められた研磨クラウンがドライブシャフトの拡大されたセクション内に形成される翼形部と一致し位置合わせする補完的な形状を備えるように、図7A図7Bに示されるように、その上またはその中に形成される。
【0038】
またより代替的には、他の態様では実質的に連続して同じ直径を有するドライブシャフトは、ドライブシャフトの拡大の必要または助けがないことを除いて、図6A図6Dに示される実施形態においてそうであるように、少なくとも部分的にドライブシャフトの研磨セクション内のドライブシャフトのワイヤターンによって形成される翼形部を備えてもよい。またさらには、ドライブシャフトは、図8のように、概ね一定の直径を備えるが、研磨コーティングを備える研磨セクションおよびその上にまたはそこに動作的に接続される翼形部を有してもよい。これらの場合、拡大された作業直径は、主に、翼形部によって発生された揚力および程度は小さいがドライブシャフトの公称線または回転軸からのわずかな質量オフセットから引き起こされる。
【0039】
別の実施形態は、嵌められた研磨クラウンと一体的に形成されるか、図2Aに概して示されるようにそこへ動作的に取り付けられるまたは接続されるかのいずれかである、揚力機能を達成するための翼形部構造を有する、嵌められた研磨クラウンを備えてもよい。この場合、一体的に形成されたときには、翼形部200は、研磨クラウンを研ぐまたは切削することによって形成されてもよい。図9の断面図においてこれを参照のこと。
【0040】
上記の実施形態におけるドライブシャフトの拡大されたセクションは、長手方向軸および/または垂直軸を中心に対称であってもよく、非対称であってもよい。ドライブシャフトの拡大されたセクションの質量中心は、さらに、ドライブシャフトの公称軸または回転軸上に位置してもよく、軌道運動を達成するのを助けるためにドライブシャフトの公称軸または回転軸から径方向にオフセットされてもよい、すなわち生じた揚力との組み合わせられた高速回転の間に、作業直径は静止直径よりも大きくなる。同様に、嵌められた研磨クラウンは、概ねドライブシャフトの公称軸もしくは回転軸上に位置し得る、またはそこから径方向にオフセットされ得る質量中心と、対称であってもよく、非対称であってもよい。
【0041】
同様に、拡大されていないドライブシャフトに取り付けられる研磨要素を備える実施形態の質量中心が、ドライブシャフトの公称軸または回転軸上に位置してもよく、そこから径方向にオフセットされてもよい。いずれの場合においても、この実施形態における研磨要素は、幾何学的な偏心(長手方向軸を中心として非対称)などの質量分布技術の使用、様々な密度を有する材料の使用、およびその中の隙間または穴または空間の使用による製造の間に、必要に応じてまたは所望のとおりに、質量が研磨要素内に対応して分布され得るように、対称形状または非対称形状を備え得る。
【0042】
回転式装置とともに使用されるための追加の研磨構造または要素が当業者に思い浮かび、これらの追加の構造の各々は本発明の範囲内にある。
【0043】
研磨構造の形態またはタイプ(研磨クラウン、バー、ドライブシャフトの拡大されたセクション、ドライブシャフトの真っ直ぐなセクション(拡大されていない)などを含む)が何であろうと、研磨構造の様々な実施形態の各々は、1つの共通性を共有する。それは、翼形部構造が研磨構造自体からおよびドライブシャフトの回転軸から、外側かつ概ね径方向に離れるように延在するということである。
【0044】
一般的に、示されるように、外面は滑らかに丸く、示される凹状の丸い領域は縁の底部上に形成される。
【0045】
一般的に、回転研磨構造の翼形部の翼状形状によって生成される「揚力」は、ドライブシャフトの回転軸から離れるように回転する研磨要素または構造を動かすように機能する、すなわち軌道運動は、回転する研磨構造または要素がその静止直径よりも多いまたは大きくなるように達成される。加えて、ある実施形態は、ドライブシャフトの回転軸から離れて、径方向に、およびいくつかの場合では、横方向に位置する質量中心を備えてもよい。
【0046】
さらに、我々は、以下の特許および出願の開示を提供し、その各々は、カーディオバスキュラーシステム社(Cardiovascular Systems, Inc.)に関し、それらの全体においてここに組み込まれ、それらの各々は、現在開示された主題の様々な実施形態とともに用いられ得るシステム、方法および/または装置を備え得る。
【0047】
米国特許第6,295,712号「回転式アテレクトミ装置(ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICE)」。
【0048】
米国特許第6,494,890号「偏心回転式アテレクトミ装置(ECCENTRIC ROTATIONAL ATHERECTIMY DEVICE)」。
【0049】
米国特許第6,132,444号「アテレクトミ装置のための偏心ドライブシャフトおよび製造方法(ECCENTRIC DRIVE SHAFT FOR ATHERECTMY DEVICE AND METHOD FOR MANUFACTURE)」。
【0050】
米国特許第6,638,288号「アテレクトミ装置のための偏心ドライブシャフトおよび製造方法(ECCENTRIC DRIVE SHAFT FOR ATHERECTMY DEVICE AND METHOD FOR MANUFACTURE)」。
【0051】
米国特許第5,314,438号「回転式アテレクロミのための研磨ドライブシャフト装置(ABRASIVE DRIVE SHAFT DEVICE FOR ROTATIONAL ATHERECTOMY)」。
【0052】
米国特許第6,217,595号「回転式アテレクトミ装置(ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICE)」。
【0053】
米国特許第5,554,163号「アテレクトミ装置(ATHERECTOMY DEVICE)」。
米国特許第7,507,245号「研磨クラウンを備える回転式血管形成装置(ROTATIONAL ANGIOPLASTY DEVICE WITH ABRASIVE CROWN)」。
【0054】
米国特許第6,129,734号「径方向に拡張可能な原動機連結を備える回転式アテレクロミ装置(ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICE WITH RADIALLY EXPANDABLE PRIME MOVER COUPLING)」。
【0055】
米国特許出願第11/761,128号「高速回転式アテレクトミ装置のための偏心研磨ヘッド(ECCENTRIC ABRADING HEAD FOR HIGH-SPEED ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICES)」。
【0056】
米国特許出願第11/767,725号「閉塞損傷を開口するためのシステム、装置および方法(SYSTEM, APPARATUS AND METHOD FOR OPENING AN OCCLUDED LESION)」。
【0057】
米国特許出願第12/130,083号「高速回転式アテレクトミ装置のための偏心研磨要素(ECCENTRIC ABRADING ELEMENT FOR HIGH-SPEED ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICES)」。
【0058】
米国特許出願第12/363,914号「横方向にずらされた質量中心を有するアテレクトミ装置のための多材料研磨ヘッド(MULTI-MATERIAL ABRADING HEAD FOR ATHERECTOMY DEVICES HAVING LATERALLY DISPLACED CENTER OF MASS)」。
【0059】
米国特許出願第12/578,222号「予め湾曲されたドライブシャフトを備える回転式アテレクトミ装置(ROTATIONAL ATHERECTOMU DEVICES WITH PRE-CURVED DRIVE SHAFT)」。
【0060】
米国特許出願第12/130,024号「高速回転式アテレクトミ装置のための偏心研磨および切断ヘッド(ECCENTRIC ABRIDING AND CUTTING HEAD FOR HIGH-SPEED ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICES)」。
【0061】
米国特許出願第12/580,590号「高速回転式アテレクトミ装置のための偏心研磨および切断ヘッド(ECCENTRIC ABRIDING AND CUTTING HEAD FOR HIGH-SPEED ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICES)」。
【0062】
米国特許出願第29/298,320号「回転式アテレクトミ研磨クラウン(ROTATIONAL ATHERECTOMY ABRASIVE CROWN)」。
【0063】
米国特許出願第29/297,122号「回転式アテレクトミ研磨クラウン(ROTATIONAL ATHERECTOMY ABRASIVE CROWN)」。
【0064】
米国特許出願第12/466,130号「回転式アテレクトミ装置のための双方向拡張可能なヘッド(BIDIRECTIONAL EXPANDABLE HEAD FOR ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICE)」。
【0065】
米国特許出願第12/388,703号「回転式アテレクトミセグメント化研磨ヘッドおよび研磨効率を改良するための方法(ROTATIONAL ATHEREVTOMY SEGMENTED ABRADING HEAD AND MWTHOD TO IMPROVE ABRADING EFFICIENCY)」。
【0066】
米国特許出願第13/624,313号「電気モータを備える回転式アテレクトミ装置(ROTATIONAL ATHERECTOMY DEVICE WITH ELECTRIC MOTOR)」。
【0067】
本発明の記載および本明細書に記載されるその用途は、例示であり、本発明の範囲を制限することを意図しない。様々な実施形態の構成は、この発明の実施内で他の思索形態と組み合わされてもよい。本明細書に開示された実施形態の変形および修正が可能であり、実施形態の様々な要素に対する実用的な代替および等価物がこの特許文献の研究において当業者に理解される。本明細書に開示される実施形態のこれらのならびに他の変形および修正は、本発明の範囲および精神から逸脱することなくなされ得る。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8
図9