(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】鉛直方向の変位により組み付けられ鉛直方向及び水平方向に一体に係止されるパネルのセット
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20220404BHJP
E04B 1/61 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
E04F15/02 G
E04B1/61 550B
(21)【出願番号】P 2019516202
(86)(22)【出願日】2017-01-12
(86)【国際出願番号】 SE2017050030
(87)【国際公開番号】W WO2018063047
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2019-11-22
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】504033441
【氏名又は名称】ベーリンゲ、イノベイション、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】VAELINGE INNOVATION AB
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン、ブー
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0266555(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0240500(US,A1)
【文献】特表2003-529692(JP,A)
【文献】国際公開第2016/105266(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/020088(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0267418(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/02
E04B 1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1パネル(1)と第2パネル(2)とを備えるパネルのセットであって、前記第1パネルの第1縁部と前記第2パネルの第2縁部とが、前記第1縁部に対する前記第2縁部の鉛直方向の変位(10)によって一体に係止されて組み付けられるように構成され、
前記第1縁部は、水平及び鉛直方向の係止のために、前記第2縁部の係止溝部(4)と協働するように構成された係止要素(5)を
含む係止ストリップ(8)を備えるパネルのセットにおいて、
前記第1縁部は、鉛直方向の係止のために、前記第2縁部の舌部溝部(6)と協働するように構成された舌部(3)を備え、
前記舌部溝部(6)は、上リップ(7)と下リップ(42)とを有し、
前記第1縁部の上部は第1ガイド面(11)を備え、前記下リップ(42)の下縁部は第2ガイド面(21)を備え、これらは前記鉛直方向の変位に際して協働するように構成され、
前記係止要素の上部は第3ガイド面(12)を備え、前記係止溝部の下縁部は第4ガイド面(22)を備え、これらは前記鉛直方向の変位に際して協働するように構成され、
前記舌部の先端部は第5ガイド面(13)を備え、前記舌部溝部(6)の下リップ(42)の先端部は第6ガイド面(23)を備え、これらは前記鉛直方向の変位に際して協働するように構成され、
前記第1ガイド面(11)は、前記第1縁部の最上部の傾斜面、又は丸み面であり、前記第1ガイド面(11)は、前記第1パネルの装飾層及び/又は磨耗層から前記第1パネル(1)のコアを含む部分まで達
し、
前記係止ストリップ(8)の上面(36)と前記第2縁部の下面(35)は、互いに当接し、かつ前記第1パネル(1)の上面に対して平行となる、
ことを特徴とするパネルのセット。
【請求項2】
前記第3及び前記第4ガイド面(12、22)、並びに前記第5及び前記第6ガイド面(13、23)は、前記鉛直方向の変位に際して、それぞれ同時に協働するように構成される、
請求項1に記載のパネルのセット。
【請求項3】
前記第1及び前記第2ガイド面(11、21)は、前記鉛直方向の変位に際して、前記第3及び第4ガイド面(12、22)が協働する前に協働するように構成される、 請求項1又は2に記載のパネルのセット。
【請求項4】
前記第5及び前記第6ガイド面(13、23)は、互いに対して平行であるとともに、鉛直である、
請求項1‐3のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【請求項5】
前記第1ガイド面(11)は、前記第5ガイド面(13)の上方に配置される、
請求項1‐4のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【請求項6】
前記第2ガイド面(21)は、前記第6ガイド面(23)の下方に配置される、
請求項1‐5のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【請求項7】
前記舌部溝部の上リップ(7)は、前記第1及び前記第2縁部の係止状態において、前記第1ガイド面(11)と重なるように構成される、
請求項1‐6のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【請求項8】
前記上リップ(7)の下面(24)は、湿気及び/又は埃が係止状態の前記第1及び前記第2縁部の間に入り込むことを抑制するように、前記第1ガイド面(11)と協働するように構成される、
請求項7に記載のパネルのセット。
【請求項9】
前記第1ガイド面は、前記第5ガイド面に隣接し、かつこれに連なる、
請求項1‐8のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【請求項10】
係止ストリップが、前記舌部(3)の下方において前記第1縁部から突出し、前記係止ストリップは、前記係止要素を備える、
請求項1‐9のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【請求項11】
前記係止要素(5)の第1係止面(31)が、鉛直及び水平方向の係止のために、前記係止溝部(4)の第2係止面(32)と協働するように構成され、
前記第1係止面(31)と前記第1パネル(1)の上面との間の第1係止角度(43)は、約45°乃至約85°の範囲にある、
請求項10に記載のパネルのセット。
【請求項12】
前記舌部の前記先端部において隣接する面同士の間の各角度は、90°より大きい、
請求項1‐11のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【請求項13】
前記下リップ(42)の前記先端部において隣接する面同士の間の各角度は、90°より大きい、
請求項1‐12のいずれか一項に記載のパネルのセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、鉛直方向の変位により一体に係止されるように構成される床板等のパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
鉛直方向の変位により組み付けられ、鉛直方向及び水平方向において一体に係止されるように構成されたパネルが公知である。このようなパネルは、例えば、WO2014/182215号に開示されている。舌部と溝部との接続により、第1パネルの第1縁部と第2パネルの第2縁部とが係止される。第1及び第2縁部は、鉛直及び水平方向の係止のために、係止溝と協働するように構成された係止要素を更に備える。
【0003】
本発明の実施形態は、パネルの容易な組付及び/又は高い係止力を提供する必要性に取り組む。
【発明の概要】
【0004】
本発明の少なくとも或る実施形態の目的は、上述の技術及び既知の技術を超える改良を提供することである。
【0005】
本発明の少なくとも或る実施の形態の目的は、鉛直方向の変位により組み付けられ鉛直方向及び水平方向に一体に係止されるように構成されたパネルの組付を容易にすることである。
【0006】
本発明の少なくとも或る実施の形態の目的は、パネルの縁部のダメージ、特に係止機能を有する縁部の部品のダメージを防止する、又は少なくとも減少させることによって係止強度を増大させることである。係止強度は、パネルの縁部における係止面の改良された構成によっても増大し得る。
【0007】
本明細書から明らかになるであろうこれら及び他の目標及び利点の少なくともいくつかが、第1パネルと第2パネルとを備えるパネルのセットを備える本発明の第1態様により達成された。第1パネルの第1縁部と第2の第2縁部とが、第1縁部に対する第2縁部の鉛直方向の変位によって一体に係止されて組み付けられるように構成されている。第1縁部は、水平及び鉛直方向の係止のために、第2縁部の係止溝と協働するように構成された係止要素を備える。第1縁部は、鉛直方向の係止のために、第2縁部の舌部溝部と協働するように構成された舌部を備える。第1縁部の上部は第1ガイド面を備え、舌部溝部の下リップの下縁部は第2ガイド面を備え、これらは鉛直方向の変位に際して協働するように構成される。係止要素の上部は第3ガイド面を備え、係止溝部の下縁部は第4ガイド面を備え、これらは鉛直方向の変位に際して協働するように構成される。舌部の先端部は第5ガイド面を備え、舌部溝部の下リップの先端部は第6ガイド面を備え、これらは鉛直方向の変位に際して協働するように構成される。
【0008】
3対のガイド面は、鉛直方向の変位に際して、特に舌部のダメージが防止され得るという利点を有し得る。
【0009】
係止要素と同一の縁部である第1縁部の舌部は、向上したガイド性を提供し得ると同時に、舌部溝部との協働するための向上した構成を提供し得る。
【0010】
第3及び第4ガイド面、並びに第5及び第6ガイド面は、鉛直方向の変位に際して、それぞれ同時に協働するように構成され得る。
【0011】
第1及び第2ガイド面は、鉛直方向の変位に際して、第3及び第4ガイド面によるガイドを備える第2ガイド状態の前に、第1ガイド状態において協働するように構成され得る。これは、これらの縁部が第3及び第4ガイド面、並びに第5及び第6ガイド面によってガイドされるときに、第2縁部が第1縁部に対して正しい位置に配置されるという利点を有し得る。この第2ガイド位置は、第1及び第2縁部を係止状態に変位させるように、係止ストリップの曲げ加工及び/又は第1及び第2縁部の部品の圧縮加工と同時に生じ得る。曲げ加工と圧縮加工は、第1及び第2縁部の応力を伴う。正しい配置は、応力を減少させ得る。
【0012】
第5及び第6ガイド面は、互いに対して本質的に平行であり得る、及び/又は本質的に鉛直であり得る、好適には鉛直であり得る。
【0013】
第1ガイド面は、第5ガイド面の上方に配置され得る。
【0014】
第2ガイド面は、第5ガイド面の下方に配置され得る。
【0015】
舌部溝部の上リップは、第1及び第2縁部の係止状態において、第1ガイド面と重なるように構成され得る。
【0016】
上リップの下面は、湿気及び/又は埃が係止状態の第1及び第2縁部の間に入り込むことを抑制するように、第1ガイド面と協働するように構成され得る。
【0017】
第1ガイド面は、第1縁部の最上部の傾斜面、又は丸み面であり得る。
【0018】
第1ガイド面は、第5ガイド面に隣接し得る、好適にはこれに連なり得る。第1ガイド面と第5ガイド面とが近接して配置されることにより、ガイド性を向上させ得るより大きなガイド面のための空間が提供される。
【0019】
係止ストリップが、舌部の下方において第1縁部から突出し、係止ストリップは、係止要素を備える。
【0020】
係止要素の第1係止面が、鉛直及び水平方向の係止のために、係止溝部の第2係止面と協働するように構成され得る。第1係止面と第1パネルの上面との間の第1係止角度は、好適には約45°乃至約85°の範囲、好適には約60°乃至約85°の範囲にあるか、好適には約80°である。
【0021】
舌部の先端部は、丸みを帯びた形状を有し得る。これにより、先端部の強度が向上し得る。
【0022】
舌部溝部の下リップの先端部は、丸みを帯びた形状を有し得る。これにより、先端部の強度が向上し得る。
【0023】
第1縁部及び第2縁部は、好適には、フライス加工等の機械的切削加工により製造される。
【0024】
係止面及びガイド面は、第1パネル及び/又は第2パネルのコアの材料から構成され得る。
【0025】
第1パネル及び第2パネルは、弾性パネルであり得る。弾性パネルは、熱可塑性材料から構成されるコアを備え得る。熱可塑性材料は発泡性であり得る。
【0026】
熱可塑性材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリアクリレート、メタクリレート、ポリカーボネート、ポリビニル・ブチラール、ポリブチレン・テレフタレート、又はこれらの組み合わせから構成され得る。コアは、複数の層から形成され得る。
【0027】
第1パネル及び第2パネルは、熱可塑性材料から構成される装飾箔等の装飾層を備え得る。熱可塑性材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリアクリレート、メタクリレート、ポリカーボネート、ポリビニル・ブチラール、ポリブチレン・テレフタレート、又はこれらの組み合わせから構成され得る。装飾箔は、好適には、例えば直接輪転グラビア印刷による、又はデジタル印刷による印刷である。
【0028】
第1パネル及び第2パネルは、フィルム又は箔等の摩耗層を備え得る。摩耗層は、熱可塑性材料から構成され得る。熱可塑性材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリアクリレート、メタクリレート、ポリカーボネート、ポリビニル・ブチラール、ポリブチレン・テレフタレート、又はこれらの組み合わせから構成され得る。
【0029】
本発明の実施形態は、高い摩擦を有するガイド面と、あまり弾性のない熱可塑性材料から構成される舌部とを備えるパネルに対して特に有利であり得る。
【0030】
第1及び第2パネルは、HDF、MDF又はべニア板等の木質ベースのコアを備え得る。
【0031】
第1ガイド面は、好適には、装飾層及び/又は摩耗層を通過して延在する。第1ガイド面の一部は、コア材料から構成される。
【0032】
第1パネルと第2パネルとは、第1及び/又は第2パネルを下方に回転させることにより分解されるように構成され得る。
【0033】
本発明の第2態様は、第1パネルと第2パネルとを備えるパネルのセットを備える。第1パネルの第1縁部と第2パネルの第2縁部とは、第1縁部に対する第2縁部の鉛直方向の変位によって一体に係止されて組み付けられるように構成される。第1縁部は、水平及び鉛直方向の係止のために、第2縁部の係止溝部と協働するように構成された係止要素を備える。第1縁部は、鉛直方向の係止のために、第2縁部の舌部溝部と協働するように構成された舌部を備える。係止要素の上部は第3ガイド面を備え、係止溝部の下縁部は第4ガイド面を備え、これらは鉛直方向の変位に際して協働するように構成される。舌部の先端部は第5ガイド面を備え、舌部溝部の下リップの先端部は第6ガイド面を備え、これらは鉛直方向の変位に際して協働するように構成される。舌部の係止面は、鉛直方向の係止のために、舌部溝部の係止面と協働するように構成される。これらの係止面は、第1及び第2縁部の係止状態において、互いに対して特徴的な角度をなして配置される。
【0034】
利点は、製造公差及び/又は第1縁部と第2縁部との面同士の間の埃又は他の粒子の存在を理由としてこれらの係止面が不正確に配置されたとしても、舌部の係止面が舌部溝部の係止面と協働し得るということであり得る。
【0035】
係止ストリップが、舌部の下方において第1縁部から突出し得る。係止ストリップは、係止要素を備える。係止ストリップは、好適には、鉛直方向の変位に際して下方に曲がり、そして係止状態に戻るように構成される。
【0036】
舌部及び/又は舌部溝部の係止面が不正確に配置された状態の係止状態において、係止ストリップはわずかに下方に曲がった状態でとどまり得る。
【0037】
舌部の係止面と舌部溝部の係止面との間の特徴的な角度は、約10°であり得る、又は約5°乃至約15°の範囲にあり得る。
【0038】
本発明の第2態様は、上述の本発明の第1態様の実施例と、又は従属請求項と、又は下記の実施形態と組み合わせられ得る。
【0039】
本発明の実施形態により可能なこれら及び他の態様、特徴及び利点が、添付図面を参照してなされる本発明の実施形態についての以下の説明から明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1A】一体に係止されるように構成された公知のパネルを示す図。
【
図1B】一体に係止されるように構成された公知のパネルを示す図。
【
図2A】本発明によるパネルのセットの実施形態の組付の実施形態を示す図。
【
図2B】本発明によるパネルのセットの実施形態の組付の実施形態を示す図。
【
図2C】本発明によるパネルのセットの実施形態の組付の実施形態を示す図。
【
図3A】本発明によるパネルのセットの実施形態の組付の実施形態を示す図。
【
図3B】本発明によるパネルのセットの実施形態の組付の実施形態を示す図。
【
図3C】本発明によるパネルのセットの実施形態の組付の実施形態を示す図。
【
図4A】本発明の実施形態による
図2A乃至2Cに示すパネルの縁部を示す拡大図。
【
図4B】本発明の実施形態による
図2A乃至2Cに示すパネルの縁部を示す拡大図。
【
図5A】本発明の実施形態によるパネルの縁部の実施形態を示す図。
【
図5B】本発明の実施形態によるパネルの縁部の実施形態を示す図。
【
図6A】本発明の実施形態によるパネルのセットの実施形態を示す図。
【
図6B】本発明の実施形態によるパネルのセットの実施形態を示す図。
【
図7A】本発明の実施形態によるパネルのセットの実施形態を示す図。
【
図7B】本発明の実施形態によるパネルのセットの実施形態を示す図。
【
図7C】舌部の係止面の実施形態、及び舌部溝部の係止面の実施形態を示す拡大図。
【
図8A】本発明の実施形態によるパネルのセットの実施形態を示す図。
【
図8B】本発明の実施形態によるパネルのセットの実施形態を示す図。
【
図8C】本発明の実施形態によるパネルのセットの実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の特定の実施形態を添付図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は多くの異なる形態において具現化され得るものであり、本明細のに記載される実施形態に限定されるものとして解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は本開示が完全且つ完璧であるように呈示され、当業者に本発明の範囲を十分に伝達する。添付図面で示される実施形態の詳細な説明において使用される用語は、本発明を限定することを意図していない。図面において、同様の符号は同様の要素を指す。
【0042】
図1A‐1Bに、公知のパネル、例えば床板等のセットを示す。このセットは、第1パネル51と第2パネル52とを備える。第1パネルの第1縁部は、第2パネルの第2縁部と協働するように構成されている。第1縁部及び第2縁部は、相対的な鉛直方向の変位50によって組み付けられる。第1縁部は舌部溝部56を備え、第2縁部は舌部53を備え、これらは、第1縁部を第2縁部に鉛直方向において係止するように構成されている。第1縁部は、係止要素55を有する突出係止ストリップを備える。係止要素55は、水平方向及び鉛直方向の係止のために第2縁部の係止溝部58と協働するように構成されている。
【0043】
図2A‐2Cに組付中の本発明による実施形態を示す。本実施形態は、第1パネル1と第2パネル2とを備えるパネルのセットを備え、第1パネルの第1縁部と第2パネルの第2縁部とが、第1縁部に対する第2縁部の鉛直方向の変位10によって一体に係止されて組み付けられるように構成されている。
図4Aに第1縁部を拡大して示し、
図4Bに第2縁部を拡大して示す。
【0044】
第1パネル及び第2パネルは、約3mm乃至約12mmの範囲の厚さを有し得る。
【0045】
第1縁部は、水平方向及び鉛直方向の係止のために、第2縁部の係止溝部4と協働するように構成された係止要素5を備える。第1縁部は、鉛直方向の係止のために、第2縁部の舌部溝部6と協働するように構成された舌部3を備える。舌部溝部6は、上リップ7と下リップ42とを有する。第1縁部の上部は第1ガイド面11を備え、下リップ42の下縁部は第2ガイド面21を備え、これらは鉛直方向の変位に際して協働するように構成されている。係止要素の上部は第3ガイド面12を備え、係止溝部の下縁部は第4ガイド面22を備え、これらの面は鉛直方向の変位に際して協働するように構成されている。舌部の先端部は第5ガイド面13を備え、舌部溝部6の下リップ42の先端部は第6ガイド面23を備え、これらの面は鉛直方向の変位に際して協働するように構成されている。公知のパネルのセットに比較して、本発明の本実施形態は、案内面があるために設置がより容易であり得る。特にパネルの縁部が弾性のあまりない材料からなる場合、高い摩擦を持つ面を有するパネルを組み付けるために改良されたガイド性は重要である。この改良されたガイド性がないと、このようなパネル同士を組み付けることが困難であり得る、又はパネルの部品、例えば舌部が組付中に破損し得る。
【0046】
図2Aに、第1ガイド面11と第2ガイド面21とが協働する第1ガイド状態を示す。
【0047】
図2Bに、第3ガイド面12と第4ガイド面22とが協働し、且つ第5ガイド面13と第6ガイド面23とが協働する第2ガイド状態を示す。
【0048】
図2A‐2Bに示すように、本実施形態は、3対のガイド面、すなわち、第1ガイド面11と第2ガイド面21とを備える第1の対と、第3ガイド面12と第4ガイド面22とを備える第2の対と、第5ガイド面13と第6ガイド面23とを備える第3の対と、を備えている。
【0049】
第3ガイド面12及び第4ガイド面22は、丸み面であってもよい。本実施形態は、約3mm乃至約8mmの厚さを有する薄いパネルについて有利である。丸み面は、約0.2mm乃至約0.4mmの範囲にある半径、又は約0.3mmの半径を有し得る。この半径は、パネルの厚さの約5%乃至約10%の範囲にあり得る。
【0050】
第2縁部は、前記係止溝部4に隣接する較正溝部25を設けられ得る。較正溝部は、異なる厚さを有する床板、特に床板の縁部において異なる厚さを有する床板を補償し得る。較正溝部によって、第2縁部は、床板が配置される下地床に向かって押圧され得る。図示の較正溝部は矩形形状を有しているが、較正溝部は斜め形状等の他の形状を有し得る。
【0051】
【0052】
舌部と舌部溝、及び係止要素と係止溝部の両方が鉛直方向に係止されることは、弾性材料から構成されるパネルの係止において有利であり得る。二重の鉛直方向係止により、第1縁部と第2縁部との係合が解除したり分離したりリスクが減少され得る。
【0053】
舌部3は、下側面に係止面33を備え得る。舌部溝部は、下リップ42の上側面に係止面34を備え得る。
【0054】
舌部3の係止面33は、舌部溝部の係止面34に対して平行、又は本質的に平行であり得る。
【0055】
係止要素と同一の縁部である第1縁部の舌部3は、改良されたガイド性を提供する。更に、舌部3及び下リップ42の係止面33、34は、公知の係止システムに比較して大きくてもよく、且つ係止面のより大きい有利な角度をなしていてもよい。これにより係止強度が増大し得る。
【0056】
第3及び第4ガイド面11、21、並びに第5及び第6ガイド面13、23は、鉛直方向の変位に際して、それぞれ同時に協働するように構成されている。
【0057】
第1及び第2ガイド面11、21は、鉛直方向の変位に際して、第3及び第4ガイド面12、22より前に協働するように構成されている。
【0058】
第5及び第6ガイド面13、23は、本質的に互いに対して平行であり得るとともに、好適には本質的に鉛直方向に延在し得る、又は鉛直方向に対して約1°乃至約5°の範囲にあり得る、又は約2°であり得る。
【0059】
第1ガイド面11は、第5ガイド面13面の上方に配置されている。
【0060】
第2ガイド面21は、第6ガイド面23の下方に配置されている。
【0061】
舌部溝部の上リップ7は、第1及び第2縁部の係止状態において、第1ガイド面11に重なるように構成されている。上リップ7の下面24は、湿気及び/又は埃が係止状態の第1及び第2縁部の間に入り込むことを抑制するように、第1ガイド面11と協働するように構成され得る。
【0062】
第1ガイド面11は、第1縁部の最上部の傾斜面又は丸み面であり得る。第1ガイド面11は第5ガイド面13に隣接している、好適にはこれに連なっている。
【0063】
係止ストリップ8が、舌部3の下方において第1縁部から突出している。係止ストリップは、係止要素5を備えている。係止ストリップは、好適には、鉛直方向の変位に際して下方に曲がり、そして係止状態に戻るように構成されている。
【0064】
係止要素5の第1係止面31は、鉛直方向及び水平方向の係止のために、係止溝部4の第2係止面32と協働するように構成されている。
【0065】
第1係止面と係止ストリップの上面との間の湾曲面49は、係止状態において、第4ガイド面22と協働するように構成され得る。これにより、水平方向の係止強度が更に増大し得る。
【0066】
第1係止面31と第1パネルの上面との間の第1係止角度43は、約45°乃至約85°の範囲、好適には約60°乃至約85°の範囲にあり得る、又は好適には約80°であり得る。
【0067】
第2係止面32と第2パネルの上面との間の第2係止角度40は、約45°乃至約85°の範囲、好適には約60°乃至約85°の範囲にあり得る、又は好適には約80°であり得るとともに、第1係止角度43と本質的に同等であり得る。
【0068】
本発明の実施形態は、第2係止角度より大きい、例えば約1‐2°大きい第1係止角度43を備える。これにより、より多くの引き込み荷重が第4ガイド面22と協働する湾曲面にかかるとともに、より大きな係止強度が得られるという効果が得られ得る。
【0069】
係止要素は、第1側面と、反対側の第2側面と、上側面とを有し得る。第1側面は、第2側面より舌部3に近い。第1係止面は、好適には第1側面にある。第2側面と係止溝部4との間にはスペースが存在し得る。上側面と係止溝部4との間にはスペースが存在し得る。
【0070】
舌部3の先端部は、丸みを帯びた形状を有し得る。これにより、先端部の強度が向上され得るとともにガイド性が向上し得る。舌部の先端部において隣接する面同士の各角度は、好適には90°より大きい。
【0071】
図4Cは、第1ガイド面11と第5ガイド面13との間の第1舌部角度91と、舌部の第5ガイド面13と係止面33との間の第2舌部角度92とを備える舌部の実施形態を示す。第1舌部角度91は、約170°であり得る、又は約160°乃至約175の範囲にあり得る。第2舌部角度92は、約125°であり得る、又は約100°乃至約145°の範囲、例えば約110°乃至約145°の範囲にあり得る。
【0072】
第1ガイド面11と鉛直方向との間のガイド角度は、約10°であり得る、又は約5°乃至約20°の範囲にあり得る。
【0073】
舌部溝部6の下リップ42の先端部は、丸みを帯びた形状を有し得る。これにより、先端部の強度が向上され得るとともにガイド性が向上し得る。下リップ42の先端部において隣接する面同士の各角度は、好適には90°より大きい。
【0074】
図4Dは、下リップ42の係止面34と第6ガイド面23との間の第1リップ角度93と、第6ガイド面23と第2ガイド面21との間の第2リップ角度94とを備える下リップ42の実施形態を示す。第1リップ角度93は、約125°であり得る、又は約100°乃至約145の範囲、例えば約110°乃至約145の範囲にあり得る。第2リップ角度94は、約170°であり得る、又は約160°乃至約175の範囲にあり得る。
【0075】
図7Cは、舌部3の係止面33、及び下リップ42の係止面34の実施形態を示す。前記係止面33、34は、係止状態において、特徴的な角度97をなして互いに配置される。利点は、製造公差及び/又は第1縁部と第2縁部との面同士の間の埃又は他の粒子の存在を理由としてこれらの係止面が不正確に配置されたとしても、舌部の係止面33が舌部溝部の係止面34と協働し得るということであり得る。舌部及び/又は舌部溝部の係止面が不正確に配置された状態の係止状態において、係止ストリップはわずかに下方に曲がった状態でとどまり得る。
【0076】
舌部3の係止面33と舌部溝部の係止面34との間の特徴的な角度97は、約10°であり得る、又は約5°乃至約15°の範囲にあり得る。
【0077】
第1係止面角度99が、舌部の係止面と第1パネルの上面との間に存在する。第2係止面角度98が舌部溝部の係止面34と第2パネルの上面との間に存在する。第1係止面角度99は、好適には第2面角度98より大きい。
【0078】
第1係止面角度99は、約35°であり得る、又は約10°乃至約45°の範囲、又は好適には約20°乃至約40°の範囲にあり得る。
【0079】
第2係止面角度98は、約25°であり得る、又は約10°乃至約45°の範囲、又は好適には約20°乃至約40°の範囲にあり得る。
【0080】
係止ストリップの上面36は、係止状態において、第2縁部の下面35と協働するように構成され得る。
【0081】
係止ストリップの上面36は、第1パネルの上面に対して本質的に平行であり得る。
【0082】
係止ストリップの上面36は、好適には第2縁部の下面35に対して平行である。
【0083】
第1パネル1と第2パネル2とは、第1及び/又は第2パネルを下方に回転させる動作70により分解されるように構成され得る。
図2Cを参照されたい。
【0084】
係止ストリップの下側面は、組付中に係止ストリップを曲げ易くするように、係止要素の下方において凹部又は傾斜部等のスペース41を備え得る。
【0085】
第1縁部は、舌部3の下方に下溝部9を備え得る。下リップ42は、鉛直方向の変位に際して、下溝部9に挿入されるように構成され得る。
【0086】
組付は、水平方向における変位工程を備え得る。
【0087】
第1縁部及び第2縁部は、第1及び第2パネルの短縁部であり得る。
【0088】
組付は、第1及び又は第2パネルの長手方向辺に沿った角度を付けた動作工程も備え得る。
【0089】
組付中のパネルのセットの実施形態を
図3A‐3Cに示す。第3及び第4ガイド面12、22は、本実施形態において、本質的に平坦な面を備える傾斜面である。本実施形態は、より大きい厚さを有するパネル、及び/又はHDF、MDF又はベニヤ板等の木質ベースのコアを備えるパネルに対して有利であり得る。より厚いパネルは、約7mm乃至約12mmの範囲における厚さを有し得る。
【0090】
図5A‐5Bは、より大きいスペース41を有する係止ストリップを備える第1縁部の実施形態を示す。第1縁部は、下溝部9の底面45と係止ストリップ8の外面44との間に第1距離47を有する。スペース41は、外面44から底面45に向かって第2距離46だけ延在している。第2距離は、第1距離の約1/10乃至第1距離と同等であり得る、好適には第1距離の約1/10乃至約1/2、又はより好適には第1距離の1/10乃至約1/3であり得る。スペース41は、0.5乃至3mm、好適には約1mmの高さを有し得る。
【0091】
図5Aの実施形態におけるスペースは、係止ストリップの下方の凹部である。
図5Bのスペースは係止ストリップ8における溝部である。これらの実施形態は、より大きい厚さを有するパネルに対して有利であり得る。
【0092】
上述の実施形態は、弾性パネルであり得る。弾性パネルは、熱可塑性材料からなるコアを備え得る。熱可塑性材料は発泡性であり得る。
【0093】
熱可塑性材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリアクリレート、メタクリレート、ポリカーボネート、ポリビニル・ブチラール、ポリブチレン・テレフタレート、又はこれらの組み合わせから構成され得る。コアは、複数の層から形成され得る。
【0094】
上述の実施形態は、熱可塑性材料から構成される装飾箔等の装飾層を備え得る。装飾層の熱可塑性材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリアクリレート、メタクリレート、ポリカーボネート、ポリビニル・ブチラール、ポリブチレン・テレフタレート、又はこれらの組み合わせから構成され得る。装飾箔は、好適には、例えば直接輪転グラビア印刷による、又はデジタル印刷による印刷である。
【0095】
上述の実施形態は、フィルム又は箔等の摩耗層を備え得る。摩耗層は、熱可塑性材料から構成され得る。熱可塑性材料は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ポリアクリレート、メタクリレート、ポリカーボネート、ポリビニル・ブチラール、ポリブチレン・テレフタレート、又はこれらの組み合わせから構成され得る。
【0096】
上述の実施形態は、HDF、MDF又はべニア板等の木質ベースのコアを備え得る。
【0097】
図6Aは、第1パネル及び第2パネルのそれぞれが、装飾層及び/又は摩耗層等の上層61を備え得ることを示す。第1ガイド面11は、好適には、上層61を通過して延在する。第1ガイド面の一部は、コアの材料から構成される。
【0098】
図6Bは、第1パネルと第2パネルのそれぞれが、例えばガラス繊維から構成される単数又は複数の補強層62を備え得ることを示す。補強層62は、好適には第3及び第4ガイド面12、22、並びに第5及び第6ガイド面13、23の外側に配置される。これらのガイド面における補強層は、第1パネルと第2パネルとの組付作業中の摩擦を増大させ得る。
【0099】
図7Aは、第2パネルの第2縁部が、第2係止面32に隣接する第2溝部71を備え得ることを示す。この溝部71は、第1及び/又は第2パネルを下方に回転させる動作70により分解する作業を容易にし得る。
【0100】
図7Bは、第1パネル2の第1縁部が、第1係止面31に隣接する第1溝部72を備え得ることを示す。この溝72は、第1及び/又は第2パネルを下方に回転させる動作70により分解する作業を容易にし得る。
【0101】
第1溝部72を有する第1縁部は、第2溝部71を有する第2縁部と組み合わせられ得る。
【0102】
第1縁部及び第2縁部の実施形態を
図8A‐8Bに示す。本実施形態は、下溝部9に隣接したノッチ82を備える係止ストリップ8を含む。ノッチ82は、第2縁部の下面の突起81であって、下リップに隣接する突起81と協働するように構成されている。ノッチ82及び突起81を有する利点は、水平方向強度が更に増加するということであり得る。
【0103】
ノッチ82は、ノッチ面84を備え得る。ノッチ面84は、水平方向の係止のために、突起81の突起面83と協働するように構成され得る。ノッチ面84と突起面83とは、好適には平行であり、第1パネル1の上面に対して約45°乃至約90°の範囲にある角度86をなして配設される。
【0104】
ノッチ面と突起面は、互いに距離85を置いて配置されるように構成され得る。この距離は、係止状態において、例えば、約0.01mm乃至約0.1mm、又は約0.05mmである。このような距離を有する利点は、第1パネルと第2パネルとの組付作業が容易になることであり得る。
【0105】
更なる実施形態(図示せず)において、係止ストリップが突起を備え、第2縁部の下面がノッチを備える。