(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】成形不織布
(51)【国際特許分類】
D04H 13/00 20060101AFI20220404BHJP
D04H 3/16 20060101ALI20220404BHJP
A61F 13/511 20060101ALI20220404BHJP
A61F 13/514 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
D04H13/00
D04H3/16
A61F13/511 300
A61F13/514 100
(21)【出願番号】P 2019530138
(86)(22)【出願日】2017-12-14
(86)【国際出願番号】 US2017066313
(87)【国際公開番号】W WO2018112146
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2019-06-05
(32)【優先日】2016-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】アーマン、アシュラフ
(72)【発明者】
【氏名】ポール、トーマス、ワイズマン
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-503684(JP,A)
【文献】国際公開第2016/108741(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0074252(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0076180(US,A1)
【文献】特表2001-521590(JP,A)
【文献】特表2013-534177(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0026753(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00-18/04
D06C 3/00-29/00
D06H 1/00- 7/24
A61F 13/15-13/84
D21B 1/00- 1/38
D21C 1/00-11/14
D21D 1/00-99/00
D21F 1/00-13/12
D21G 1/00- 9/00
D21H 11/00-27/42
D21J 1/00- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンポリマーによって作製された単一の不織布であって、
前記不織布が、第1の表面
(12)及び第2の表面
(14)と、前記第1又は第2の表面
(12, 14)の一方の上の三次元形成要素の視覚的に区別可能なパターン
(20, 22, 24)と、を含む単一の不織布であって、前記三次元形成要素のそれぞれが第1の領域
(300)及び第2の領域
(310)を含む微小区域を画定し、前記第1及び第2の領域
(300, 310)が示強的性質の値の差を有し、前記示強的性質が、
a.厚さ、
b.坪量、および
c.体積密度、
であり、
前記厚さの差が25μmよりも大きく、
前記秤量における差が5gsmよりも大きく、
前記体積密度における差が0.042g/ccよりも大きく、
前記第1の領域
(300)の繊維は非接着状態であり、かつ、前記第2の領域
(310)の繊維は接着状態であり、
前記第1の表面
(12)が、
本願明細書記載のEmtec試験法による測定値で、15dB V
2rms未満のTS7値を有する、不織布。
【請求項2】
複数の三次元形成要素の前記パターンが、不規則パターン、繰り返しパターン、又はこれらの組み合わせである、請求項1に記載の不織布。
【請求項3】
前記第1の表面
(12)が2~12dB V
2rmsのTS7値を有し、前記第2の表面
(14)が前記第1の表面
(12)のTS7値とは異なるTS7値を有する、請求項1に記載の不織布。
【請求項4】
前記第2の表面
(14)が、前記第1の表面
(12)のTS7値よりも低いTS7値を有する、請求項1に記載の不織布。
【請求項5】
前記第2の表面
(14)が3dB V
2rms~8dB V
2rmsのTS7値を有し、前記第1の表面
(12)が
前記第2の表面のTS7値とは異なるTS7値を有する、請求項1に記載の不織布。
【請求項6】
前記第1の表面
(12)が、前記第2の表面
(14)のTS7値よりも高いTS7値を有する、請求項1に記載の不織布。
【請求項7】
前記第2の表面
(14)に対する前記第1の表面
(12)のTS7比が、1よりも大きい、請求項1に記載の不織布。
【請求項8】
TS7値が15dB V
2rms未満である前記表面上の前記第1の領域
(300)の割合が5%~95%である、請求項1に記載の不織布。
【請求項9】
TS7値が10dB V
2rms未満である前記表面上の前記第1の領域
(300)の割合が5%~95%である、請求項1に記載の不織布。
【請求項10】
TS7値が7dB V
2rms未満である前記表面上の前記第1の領域
(300)の割合が5%~95%である、請求項1に記載の不織布。
【請求項11】
TS7値が15dB V
2rms未満である前記表面上の前記第1の領域
(300)の割合が20%~80%である、請求項1に記載の不織布。
【請求項12】
TS7値が10dB V
2rms未満である前記表面上の前記第1の領域
(300)の割合が20%~80%である、請求項1に記載の不織布。
【請求項13】
TS7値が7dB V
2rms未満である前記表面上の前記第1の領域
(300)の割合が20%~80%である、請求項1に記載の不織布。
【請求項14】
請求項1に記載の不織布を含む、吸収性物品。
【請求項15】
請求項14に記載の不織布を含む、トップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、又は他の構成要素を含む、吸収性物品。
【請求項16】
請求項15に記載の吸収性物品を含む吸収性物品のパッケージであって、前記パッケージが、本明細書におけるバッグ内積み重ね高さ試験により、70mm~100mmのバッグ内積み重ね高さを有し、
該パッケージは、複数の前記吸収性物品が置かれる内部空間を画定するものである、パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形三次元不織布及び成形三次元不織布で作製された物品に関する。
【背景技術】
【0002】
不織布は、吸収性パーソナルケア製品、衣類、医療用途、及びクリーニング用途をはじめとする様々な用途において有用である。不織布パーソナルケア製品としては、おむつなどの乳幼児用ケア物品、トレーニングパンツなどの小児用ケア物品、生理用ナプキンなどの女性用ケア物品、並びに失禁用製品、パッド、及びパンツなどの成人用ケア物品が挙げられる。不織布衣類としては、保護作業着及び手術衣などの医療用衣料が挙げられる。他の不織布の医療用途としては、不織布創傷ドレッシング材及び外科用ドレッシング材が挙げられる。不織布のクリーニング用途としては、タオル及び拭き取り用品が挙げられる。不織布の更に他の用途もよく知られている。上記の一覧は網羅的なものとは見なされない。
【0003】
不織布の様々な性質によって異なる用途における不織布の適性が決まる。不織布は、異なるニーズに合った異なる性質の組み合わせを有するように加工処理することができる。不織布の様々な特性としては、濡れ性、分配性、及び吸収性などの液体処理特性、引っ張り強さ及び引き裂き強さなどの強さ特性、柔軟特性、耐摩耗性などの耐久特性、並びに美的特性が挙げられる。不織布の物理的形状によっても、不織布の機能性及び美的特性は影響される。不織布は、平坦な表面上に置かれる場合に実質的に平面状の凹凸のない表面を有するか、又は穴、若しくは突起、若しくはその両方といった表面の形成要素の配列を有し得るシートとして最初に形成される。穴又は突起を有する不織布は、しばしば三次元成形不織布と呼ばれる。本開示は、三次元成形不織布に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
不織布の分野におけるこれまでの進歩にもかかわらず、三次元的な表面形成要素を有する改良された不織布が依然として求められている。
【0005】
更に、三次元的な表面形成要素を有する改良された不織布を製造するためのプロセス及び装置が依然として求められている。
【0006】
更に、三次元的な表面形成要素を有する改良された不織布を用いた、吸収性物品をはじめとする物品が依然として求められている。
【0007】
更に、三次元的な表面形成要素を有する不織布を用いた吸収性物品であって、圧縮された形態でパッケージングすることができるが、その一方でパッケージから開封される際に三次元的な表面形成要素の損失が最小限に抑えられる吸収性物品が依然として求められている。
【0008】
更に、使用時の毛羽立ち特性が低い三次元的な表面形成要素を有する柔軟なスパンボンド不織布を用いた吸収性物品が依然として求められている。
【0009】
更に、三次元的な表面形成要素を有し、エムテック・エレクトロニック社(Emtec Electronic GmbH)により販売されるTissue Softness Analyzerにより測定されるような柔らかさと物理的一体性を兼ね備えた改良された不織布が依然として求められている。
【0010】
更に、従来の吸収性物品のパッケージと比較して低いバッグ内積み重ね高さを有することにより、パッケージが介護者にとって取り扱い、及び保管しやすく、製造時の吸収性物品の審美性、明確性、吸収性、又は柔軟性を損なうことなく、製造者が低い流通コストを享受できるような、柔軟な不織布材料からなる吸収性物品のパッケージが依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
不織布を開示する。不織布は、第1の表面及び第2の表面と、第1又は第2の表面の一方の上の三次元形成要素の視覚的に区別可能なパターンと、を含むことができる。三次元形成要素のそれぞれは、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定することができる。第1及び第2の領域が示強的性質の値の差を有することができ、示強的性質は、厚さ、坪量、又は体積密度のうちの1つ以上であり、第1の表面は、約15dB V2rms未満のTS7値を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】
図1に示される本開示の布の一部の断面図である。
【
図5A】横並びの配置の一次成分Aと二次成分Bとで形成されたフィラメントの断面を示す概略図である。
【
図5B】偏心したシース/コアの配置の一次成分Aと二次成分Bとで形成されたフィラメントの断面を示す概略図である。
【
図5C】同心状のシース/コアの配置の一次成分Aと二次成分Bとで形成されたフィラメントの断面を示す概略図である。
【
図7】本開示の布を製造するための装置の概略図である。
【
図8】本開示の布の部分を接着するための装置の部分詳細図である。
【
図9】本開示の布の部分を接着するための装置の更なる部分詳細図である。
【
図10】本開示の布の部分を必要に応じて更に接着するための装置の部分詳細図である。
【
図12】本開示で有用な形成ベルトの一部分の写真図である。
【
図13】
図12に示される形成ベルトの一部分の断面図である。
【
図14】
図12に示される形成ベルトの製造に使用されるマスクの一部分のイメージ図である。
【
図15】
図16に示される形成ベルトの製造に使用されるマスクの一部分のイメージ図である。
【
図16】本開示で有用な形成ベルトの一部分の写真図である。
【
図17】
図18に示される形成ベルトの製造に使用されるマスクの一部分のイメージ図である。
【
図18】本開示で有用な形成ベルトの一部分の写真図である。
【
図19】本開示で有用な形成ベルトの一部分の写真図である。
【
図20】
図19に示される形成ベルトの製造に使用されるマスクのイメージ図である。
【
図21】
図19に示される形成ベルト上に形成された本開示の布の写真図である。
【
図23】本開示の不織布を含む不織布基材の平面図である。
【
図24】本開示の不織布を含む不織布基材の平面図である。
【
図25A】局所坪量を測定するために部分が切り取られた本開示の布の平面図である。
【
図25B】局所坪量を測定するために部分が切り取られた本開示の布の平面図である。
【
図26】本開示の布の坪量の横断方向の変化を示したグラフである。
【
図40】本開示の一例のマイクロCT斜視画像である。
【
図41】本開示の一例のマイクロCT斜視画像である。
【
図44】本開示の発明の異なる効果のグラフによる描図である。
【
図46】本開示の発明の一例の一部分の写真画像である。
【
図47】本開示の発明の一例の一部分の写真画像である。
【
図48】本開示の発明の一例の一部分の写真画像である。
【
図50】本開示の発明の一例の一部分の写真画像である。
【
図51】本開示の発明の一例の一部分の写真画像である。
【
図52】本開示の発明の一例の一部分の写真画像である。
【
図53】本開示の発明の一例の一部分の写真画像である。
【
図54】更なる処理を行った後の
図40及び
図41に示される例のマイクロCT平面画像である。
【
図55】
図54に示される本開示の発明の異なる効果のグラフによる描図である。
【
図56】本開示の布を製造するための装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、成形された形成ベルト上に連続的なスパンボンドフィラメントによって1回の形成プロセスで直接形成された成形不織布を提供するものである。本開示の布は、形成ベルトの形状に対応した形状を有することができる。本開示の方法において本開示の形成ベルト上に形成される本開示の布は、パーソナルケア物品、衣類、医療用製品、及びクリーニング製品における使用に特に有用であり得る。成形不織布は、おむつのトップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、若しくは他の構成層として、又は生理用ナプキンのトップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、若しくは他の構成層として、又は成人用失禁パッド若しくはパンツのトップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、若しくは他の構成層として、又は、床掃除器具のパッドとして使用するために流体透過性とすることができる。
【0014】
不織布の有用な特徴について、不織布の全体の面積に関連して本明細書のいくつかの実施形態において説明する。全体の面積は、本発明の様々な特徴が有用な特性を与える特定の用途に適した寸法によって決定される。例えば、布の全体の面積は、布を、おむつのトップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、若しくは他の構成層として、又は生理用ナプキンのトップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、若しくは他の構成層として、又は成人用失禁パッド若しくはパンツのトップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、若しくは他の構成層として、又は、床掃除器具のパッドとして使用するのに適当なものとするような寸法を有する布の全体の面積とすることができる。このため、全体の面積は、幅3cm~幅50cm、長さ10cm~長さ100cmの範囲の幅及び長さの寸法に基づいたものとすることができ、これにより全体の面積は、30cm2~500cm2となる。上記の範囲には、範囲の境界間の全ての整数の寸法が恰も明確に記載されているかのように含まれる。例として、11cmの幅と16cmの長さとによって画定される176cm2の全体の面積は、上記の範囲内に開示される。本明細書の説明から理解されるように、成形不織布の全体の面積は、成形不織布が商業的に製造される際に成形不織布がその一部となっている不織布材料のウェブの領域よりも小さい面積とすることができる。すなわち、所与の不織布材料の商業的に製造されたウェブに複数の本発明の成形不織布が含まれてよく、それぞれの本発明の成形不織布は、成形不織布が作製されるウェブの領域よりも小さい全体の面積を有する。
【0015】
成形不織布10の代表的な例の写真図を、
図1~
図3に示す。成形不織布10は、第1の表面12と第2の表面14とを有するスパンボンド不織布基材とすることができる。
図1~
図3では、第2の表面14が観測者に面していて、第1の表面12の反対側であり、
図1~
図3では第1の表面12は見えていないが
図4に示されている。「表面」なる用語は、説明の目的でウェブの両面のことを指して広い意味で用いられており、いっさいの必要な平坦度又は平滑度を示唆することも意図していない。成形不織布10は柔軟かつ可撓性であるが、
図1~
図3に示されるように、平坦な状態に平行な、ウェブ製造技術においてはそれぞれ横断方向(CD)及び縦方向(MD)の平面に対応する1以上のXY平面に関連して平坦な状態で説明する。MD方向の長さL及びCD方向の幅Wにより、不織布10の全体の面積Aが決まる。
図1に示される不織布10の一部の断面である
図4に示されるように、説明の目的で成形不織布の三次元形成要素は、第1の表面16のXY平面からZ方向に延在するものとして説明されている(
図4を参照)。一実施形態では、Z方向の三次元形成要素の最大寸法は、第1の表面16の平面と第2の表面18のXY平面との間の最大距離を定義することができ、この距離は不織布10の平均キャリパーACとして測定することができる。平均キャリパーは光学的な非接触的手段によって測定するか、又は間隔を空けて配置された平坦なプレート間に所定の圧力下で置かれた不織布のキャリパーを測定する器具によって測定することができる。全ての三次元形成要素が同じZ方向の最大寸法を有する必要はないが、複数の三次元形成要素が下記に述べる繊維レイダウンプロセス及び形成ベルトの特性によって決まる実質的に同じZ方向の最大寸法を有することができる。
【0016】
図1~
図4に示される代表的な布(及び本明細書に開示される他の布)は流体透過性である。一実施形態では、布全体を流体透過性と見なすことができる。一実施形態では、領域又は区域(下記で述べる)を流体透過性とすることができる。布に関連して本明細書で使用される流体透過性とは、布が、消費者製品の使用条件下で液体を通過させる少なくとも1つの区域を有することを意味する。例えば、布が使い捨ておむつのトップシートとして使用される場合、布は、下層の吸収性コアへと尿を通過させるような一定レベルの流体透過性を有する少なくとも1つの区域を有することができる。ある領域に関連して本明細書で使用される流体透過性とは、その領域が液体を通過させる多孔構造を呈することを意味する。
【0017】
図1~
図4に示されるように、不織布10は、
図2及び
図3に示されるような第1の三次元形成要素20及び第2の三次元形成要素22、並びに第3の三次元形成要素24を含む、複数の個別の認識可能な程度に異なる三次元形成要素の規則的な繰り返しパターンを有することができる。例えば
図1では、ハート形の第1の三次元形成要素20が、より小さい概ね三角形の第2の三次元形成要素22と認識可能な程度に異なっている。認識可能な程度の相違は、認識可能な程度に異なる大きさ及び/又は形状といった視覚的なものであってよい。
【0018】
不織布10の三次元形成要素は、対応する三次元形成要素のパターンを有する形成ベルト上に、カーディング、エアレイング、溶液紡糸、又は熔融紡糸などにより繊維を直接堆積することによって形成することができる。1つの面では、不織布10は、布10の三次元形成要素の形状を決定する形成ベルト上に成形される。しかしながら、重要な点として、本明細書で述べられるように、本明細書の装置及び方法は、形成ベルトの形状を取ること以外に、形成ベルト及び布を形成する装置の特質のために、パーソナルケア物品、衣類、医療用製品、及びクリーニング製品に使用するうえで有用な特性が付与されるように不織布10を製造する。詳細には、下記に述べるような形成ベルト及び他の装置要素の性質のため、不織布10の三次元形成要素は、パーソナルケア物品、衣類、医療用製品、及びクリーニング製品に使用される場合に不織布10の有用な特性を与えるように、微小区域内の第1と第2の領域間で(下記でより詳しく述べる)、又は形成要素ごとに異なり得る示強的性質を有する。例えば第1の三次元形成要素20は、第2の三次元形成要素22の坪量又は密度とは異なる坪量又は密度を有してよく、更に、どちらも第3の三次元形成要素24の坪量又は密度と異なる坪量又は密度を有してよく、これにより、おむつ又は生理用ナプキンにおける流体捕捉性、分配性及び/又は吸収性に関する有用な美的及び機能的特性を与える。
【0019】
不織布10の異なる三次元形成要素間の示強的性質の差は、下記に述べる装置及び方法から生じる繊維の分布及び圧縮によるものと考えられる。繊維の分布は、例えば水流交絡法又はエンボス法のような製造後プロセスと異なり、繊維のレイダウンプロセスの間に生じる。繊維は溶融紡糸プロセスなどのプロセスの間に自由に動くことができ、その運動は形成ベルトの形成要素の性質及び空気透過性、並びに他の処理加工パラメータによって決まるため、繊維は不織布10内でより安定し、永久的に形成されるものと考えられる。
【0020】
図1~3に見られ、本明細書の記載から理解されるように、異なる三次元形成要素は、閉じた図形の形(
図1及び
図3のハート形、並びに
図2及び
図3の菱形)であってよい視覚的に区別可能な領域(三次元形成要素の内部に対して)によってその境界が画定される。このような閉じた図形は、
図1及び
図3のハート形などの曲線を含んだ閉じた図形とすることができる。輪郭をなす視覚的に区別可能な領域は、
図4に示される領域21のような、Z方向で第1の表面12に最も近接した布10の領域であり、平坦な状態にある場合に第1の平面16内、又は平面16上に少なくとも部分的に位置し得る領域とすることができる。例えば
図1に示されるように、第1の三次元形成要素20はハート形をしており、図に示されるような例示的な1つの第1の三次元形成要素20Aは、曲線を含んだ閉じたハート側の要素として画定されている。曲線を含んだ要素とは、その長さに沿った任意の点に接線ベクトルVを有する直線状要素として理解することができ、閉じた形状は、接線ベクトルVが、閉じた図形の直線状要素の長さの50%を上回る部分にわたって値が変化するMD及びCD方向の成分を有するようなものである。図形は100%完全に閉じている必要がないことは言うまでもないが、直線状要素は、閉じた図形の全体の印象を損なわない破断部を有してもよい。形成ベルトに関連して下記に述べるように、輪郭をなす視覚的に区別可能な曲線を含んだ閉じたハート形要素は、布10上に閉じた図形を形成するための形成ベルト上の対応した閉じたハート形の隆起した要素によって形成される。繰り返しパターンにおいて、個々の形状(
図1の第1の三次元形成要素の場合、ハート形)は布10の第2の表面14の全体の面積OAにわたって美的に心地よい、柔らかな、へこみやすい形成要素を与えることができる。不織布10がおむつ又は生理用ナプキンのトップシートとして使用される実施形態では、不織布10の第2の表面14を身体に面する側とすることで、優れた美的効果、並びに、柔軟性、圧縮耐性、及び流体吸収性に関する性能効果を与えることができる。
【0021】
詳細には、
図1~
図3に示される閉じた三次元形成要素の規則的な繰り返しパターンでは、理論に束縛されるものではないが、異なる形成要素の寸法、全体の面積にわたった布10全体の平均坪量、及び異なる示強的性質を定義する下記に述べられる他の処理加工パラメータが、圧縮回復率の効果的改善に寄与するものと考えられる。複数の比較的近い間隔で配された、比較的小さく、比較的に柔らかくへこみやすい三次元形成要素は、圧縮に抗し、圧縮力が除かれると回復するばねとして機能するものと考えられる。圧縮回復は、例えば、おむつ、生理用ナプキン、又は成人用失禁パッド、おむつ、若しくはパンツなどのパーソナルケア物品のトップシート、バックシートの不織布、捕捉層、分配層、又は構成層において、これらの物品は一般的に圧縮された状態でパッケージングされ、折り畳まれることから重要である。パーソナルケア製品の製造では、審美及び性能目的のために、出来上がった状態のキャリパーの、全てではないがほとんどを維持することが望まれる。形成された形成要素の三次元性は、柔らかそうな外見及び感触、並びに
図2に示される小さなハートのような極めて小さい形状を含むはっきりとした明瞭な形状の心地よい外観のため、重要な美的効果を与えるものである。このような三次元形成要素は、使用時の柔軟性、向上した吸収性、漏れの少なさ、及び全体的に改善された使用体験も与えるものである。しかしながら、パーソナルケア物品の折り畳み、パッケージング、出荷、及び保管時に必要とされる圧縮により、吸収性物品のトップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、又は他の構成層のキャリパーが永久的に失われ、これにより、製造時の機能的利点が損なわれ得る。本発明者らは、本開示の不織布が、圧縮パッケージングされ、圧縮パッケージングされた状態で流通させられた後にもその製造時の三次元形成要素を相当程度に維持することを期せずして見出したものである。
【0022】
下記表1に、本開示の2つの実施形態についての圧縮回復率のデータを示す。実施例1は、
図1に示され、
図12及び
図14を参照して説明される形成ベルト上で形成される不織布10に相当する。実施例2は、
図2に示され、
図15及び
図16を参照して説明される形成ベルト上で形成される不織布10に相当する。データから分かるように、本発明の布10は、圧縮エイジング試験により測定した場合の圧縮回復率に関して有意な効果を示している。1つの形態では、本開示の圧縮回復特性を有する吸収性物品のパッケージは、低減されたバッグ内積み重ね高さを有し得る一方で、製造時のおむつの、又はあたかもおむつが一度も圧縮パッケージングされていないのと同様の美的、吸収性、及び柔軟性効果を与えることができる。本発明は、介護者によるパッケージの取り扱い及び保管を容易とする一方で、製造者の流通コストを低減させ、吸収性物品の製造時の美的明瞭性、吸収性、又は柔軟性性能を維持しつつ両者を実現する、バッグ内積み重ね高さが低減されたパッケージを提供するものである。
【実施例】
【0023】
(実施例1):
ポリエチレンシース(ダウ・ケミカル社(Dow chemical company)より入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(ライオンデル・バセル社(LyondellBasell)より入手したPH-835)とを、50:50の比で三葉型繊維の形態に紡糸することによって、
図6に示されるような2成分スパンボンド不織布を製造した。なお、
図6は、2成分三葉型繊維の断面を示した走査型電子顕微鏡写真(scanning electron micrograph、SEM)である。不織布は、
図12で述べるような繰り返しパターンを有する形成ベルト上に、
図7及び
図8に関連して下記に述べるようにして約25m/分の線速度で動く形成ベルト上に30g/m
2の平均坪量で、
図1に示されるハート形の繰り返しパターンで紡糸した。布の繊維を、130℃に加熱した圧縮ロール70、72(後述する)により第1の面12上で更に接着させ、巻き取り機75においてリール上に巻き取った。
【0024】
(実施例2):
ポリエチレンシース(ダウ・ケミカル社(Dow chemical company)より入手したAspun-6850-A)、及びポリプロピレンコア(ライオンデル・バセル社(LyondellBasell)より入手したPH-835)を、50:50の比で三葉型繊維の形態に紡糸することによって、
図6に示されるような2成分スパンボンド不織布を製造した。なお、
図6は、2成分三葉型繊維の断面を示した走査型電子顕微鏡写真である。不織布は、
図16で述べるような繰り返しパターンを有し、
図7及び
図8に関連して下記に述べるようにして約25m/分の線速度で動く形成ベルト上に30g/m
2の平均坪量で、
図2に示される菱形の繰り返しパターンを有する布10を紡糸した。布の繊維を、130℃に加熱した圧縮ロール70,72(後述する)により第1の表面12上で更に接着させた。
【0025】
【0026】
表1から分かるように、本発明の布10は、比較的高い圧力での圧縮後に相当量のキャリパーを保持している。例えば、実施例1及び実施例1の試料は、35KPaの圧力での圧縮エイジング試験により試験した後、それらの最初の平均キャリパーの70%よりも大きなキャリパーを保持している。圧縮エイジング試験は、不織布がおむつの高圧縮パッケージ内にパッケージングされた後、消費者に流通される間、その状態に維持され、その後、パッケージが最終的に消費者によって開封される場合に不織布が曝される条件のシミュレーションである。
【0027】
本開示では溶融紡糸法を用いることができる。溶融紡糸法では押出品における質量の損失が生じない。溶融紡糸法は、溶媒が押出品からの揮発又は拡散によって除去されるために質量の損失につながる、溶液からの湿式又は乾式紡糸法などの他の紡糸法とは区別される。
【0028】
溶融紡糸は、約150℃~約280℃、又はいくつかの実施形態では約190℃~約230℃で行うことができる。繊維の紡糸速度は100m/分よりも速くてもよく、約1,000~約10,000m/分であってよく、約2,000~約7,000m/分であってよく、約2,500~約5,000m/分であってよい。紡糸速度は紡糸繊維の脆性に影響し得るが、一般的には紡糸速度が高いほど繊維の脆性は低くなる。連続繊維は、スパンボンド法又はメルトブローン処理によって製造することができる。
【0029】
本開示の不織布10は、一次ポリマー成分と二次ポリマー成分とを含む連続的な多成分ポリマーフィラメントを含むことができる。フィラメントは、一次ポリマー成分Aと二次ポリマー成分Bとからなる連続的な2成分フィラメントとすることができる。2成分フィラメントは、断面、長さ、及び外周表面を有する。成分A及びBは、2成分フィラメントの断面にわたって実質的に別個の区域に配置することができ、2成分フィラメントの長さに沿って連続的に延在することができる。二次成分Bは、2成分フィラメントの長さに沿って連続的に2成分フィラメントの外周表面の少なくとも一部を構成する。ポリマー成分A及びBは、従来の溶融紡糸装置で多成分繊維に溶融紡糸することができる。装置は多成分の所望の形態に基づいて選択される。市販の溶融紡糸装置は、フロリダ州メルボルン所在のヒルズ社(Hills, Inc.)より販売されている。紡糸の温度は、約180℃~約230℃の範囲である。処理温度は、各成分の化学的性質、分子量、及び濃度によって決まる。2成分スパンボンドフィラメントは、約6~40μm、好ましくは約12~約40μmの平均直径を有することができる。
【0030】
成分A及びBは、
図5Aに示されるような隣り合った配置で、又は
図5Bに示されるような偏心したシース/コア配置で配置することで自然に螺旋状の捲縮を生じるフィラメントを得ることができる。あるいは、成分A及びBは、
図5Cに示されるような同心状のシースコア配置に配置することもできる。更に、成分A及びBは、
図6に示されるような多葉型のシースコア配置に配置することもできる。他の多成分繊維を、本開示の組成物及び方法を使用して製造することができる。2成分繊維及び多成分繊維は、分割パイ型の構成、リボン型の構成、海島型の構成、又はこれらの組み合わせであってよい。シースは、コアの周囲で連続的であっても不連続的であってもよい。シースとコアとの重量比は、約5:95~約95:5である。本開示の繊維は、円形、楕円形、星形、矩形、及び他の様々な偏心形状を含む異なる幾何学形を有することができる。
【0031】
多成分ポリマーフィラメントをこうした配置に押出す方法は、当業者には周知のものである。
【0032】
ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリブチレンなど)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、エラストマー材料などを含む様々なポリマーが、本開示を実施するうえで適当である。フィラメントに紡糸することができるポリマー材料の非限定的な例としては、天然ポリマー(デンプン、デンプン誘導体、セルロース及びセルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、キチン、キトサン、ポリイソプレン(cis及びtrans)、ペプチド、ポリヒドロキシアルカノエートなど)、並びに合成ポリマー(ポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール及びポリビニルアルコール誘導体など)、ポリアクリル酸ナトリウム(吸収性ゲル材)、並びにポリエチレン-オクテンのようなポリオレフィンのコポリマーなどの熱可塑性ポリマー、又はプロピレンとエチレンとのモノマーブレンドからなるポリマー、並びにポリ乳酸フィラメント、ポリビニルアルコールフィラメント、及びポリカプロラクトンフィラメントなどの生分解性又は堆肥化可能な熱可塑性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる。1つの例では、熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン、スチレンブタジエンスチレンブロックコポリマー、スチレンイソプレンスチレンブロックコポリマー、ポリウレタン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。別の例では、熱可塑性ポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。また、ポリマーは、バイオポリエチレン又はバイオポリプロピレンなど生物由来のモノマーから誘導されたものを含んでもよい。
【0033】
一次成分A及び二次成分Bは、得られる2成分フィラメントが改善された不織布の接着及び基材の柔軟性を与えるように選択することができる。一次ポリマー成分Aは、二次ポリマー成分Bの融点よりも低い融点を有する。
【0034】
一次ポリマー成分Aは、ポリエチレン、又はプロピレンとエチレンとのランダムコポリマーを含み得る。二次ポリマー成分Bは、ポリプロピレン、又はプロピレンとエチレンとのランダムコポリマーを含み得る。ポリエチレンには、直鎖状低密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンが含まれる。更に、二次ポリマー成分Bは、フィラメントの天然の螺旋状捲縮性を向上させ、フィラメントの接着温度を低下させ、得られる布の耐摩耗性、強度及び柔軟性を高めるための添加剤を含むことができる。
【0035】
マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、及びチタンの酸化物などの無機充填剤を安価な充填剤又は加工助剤として添加してもよい。他の無機材料としては、水和ケイ酸マグネシウム、二酸化チタン、炭酸カルシウム、粘土、チョーク、窒化ホウ素、石灰石、珪藻土、雲母、ガラス、石英、及びセラミックスが挙げられる。
【0036】
本発明のフィラメントは、繊維に望ましい触感を付与するうえで充分な量のスリップ添加剤を更に含有する。本明細書で使用するところの「スリップ添加剤」又は「スリップ剤」とは外部の潤滑剤を意味する。スリップ剤は、樹脂と溶融混合されると、冷却中又は製造後に徐々に表面に滲出又は移行することで均一で目に見えないほど薄いコーティングを形成し、これにより持続的な潤滑作用を与える。スリップ剤は、好ましくは急速表面滲出(fast bloom)のスリップ剤であり、ヒドロキシド、アリール及び置換アリール、ハロゲン、アルコキシ、カルボキシレート、エステル、飽和炭素、アクリレート、酸素、窒素、カルボキシル、サルフェート、及びホスフェートから選択される1以上の官能基を有する炭化水素であってよい。
【0037】
製造時、又は後処理において、又は更にはその両方で、本発明の不織布を界面活性剤又は他の剤で処理することによってウェブを親水性化するか又はウェブを疎水性化することができる。これは、吸収性物品に使用される不織布では標準的な技法である。例えば、トップシートとして使用される不織布を親水性化材料又は界面活性剤で処理することによってウェブを尿などの身体排出物に対して透過性とすることができる。他の吸収性物品では、トップシートはその天然の疎水性状態に保たれるか、又は疎水性化材料若しくは界面活性剤を添加することで更により疎水性とすることができる。
【0038】
本開示の布の多成分フィラメントの調製に適した材料としては、ライオンデル・バセル社(LyondellBasell)より入手されるPH-835ポリプロピレン及びダウ・ケミカル社(Dow chemical company)より入手されるAspun-6850-Aポリエチレンが挙げられる。
【0039】
ポリエチレンが成分A(シース)であり、ポリプロピレンが成分B(コア)である場合、2成分フィラメントは、約5~95重量%のポリエチレンと約95~約5重量%のポリプロピレンとから構成されてもよい。フィラメントは、約40~60重量%のポリエチレンと約60~約40重量%のポリプロピレンとから構成されてもよい。
【0040】
図7を参照すると、本開示の布10を調製するための代表的なプロセスライン30が開示されている。プロセスライン30は2成分連続フィラメントの布を製造するように構成されているが、本開示は、1成分又は2種類よりも多い成分を有する多成分フィラメントで形成された不織布も包含する点は理解されるべきである。2成分フィラメントは三葉型であり得る。
【0041】
プロセスライン30は、一次ポリマー成分A及び二次ポリマー成分Bを別々に押出すための、それぞれ押出成形機駆動部31及び33によって駆動される1対の押出成形機32及び34を含んでいる。ポリマー成分Aは第1のホッパー36から対応する押出成形機32に供給され、ポリマー成分Bは第2のホッパー38から対応する押出成形機34に供給される。ポリマー成分A及びBは、押出成形機32及び34からそれぞれのポリマー導管40及び42を通ってフィルタ44及び45並びに溶融ポンプ46及び47に供給され、溶融ポンプ46及び47はポリマーを紡糸パック48に圧送する。2成分フィラメントを押出すための紡糸口金は当業者には周知のものであり、ここで詳細に述べることはしない。
【0042】
一般的に述べると、紡糸パック48はハウジングを有しており、ハウジングは、ポリマー成分A及びBを紡糸口金を通じて別々に案内するための流路を形成するように配置された所定のパターンの開口部を有する、互いに積み重ねられた複数のプレートを含んでいる。紡糸パック48は、1本以上の列に配列された開口部を有している。紡糸口金の開口部は、各ポリマーが紡糸口金から押出される際に、下方に延びるフィラメントのカーテンを形成する。本開示の目的では、紡糸口金は、
図5A、
図5B及び
図5Cに示されるシース/コア型、又はサイドバイサイド型の2成分フィラメント、並びに
図6に示される三葉型繊維のような非円形繊維を形成するように構成することができる。更に、繊維は、ポリプロピレンなどの1種類のポリマー成分からなる1成分型であってもよい。
【0043】
プロセスライン30は、紡糸口金から延びるフィラメントのカーテンに隣接して配置される急冷ブロワ50も含んでいる。急冷ブロワ50からの空気は、紡糸口金から延びるフィラメントを急冷する。急冷空気は、フィラメントカーテンの片側又はフィラメントカーテンの両側から送ることができる。
【0044】
アテニュエータ52が紡糸口金の下に配置され、急冷されたフィラメントを受けるようになっている。ポリマーの溶融紡糸においてアテニュエータとして使用される繊維ドロー装置又は吸引機は周知のものである。本開示のプロセスで使用するのに適した繊維ドロー装置としては、米国特許第3,802,817号に示されるタイプの直線状繊維アテニュエータ、並びに米国特許第3,692,618号及び米国特許第3,423,266号に示されるタイプのエダクティブガン(eductive gun)が挙げられる。なお、これらの特許の開示内容を参照によって本明細書に援用する。
【0045】
一般的に述べると、アテニュエータ52は、細長い垂直の通路を有し、この通路を通じて、通路の側面から流入し、通路を下方に流れる空気を吸引することによってフィラメントが引き出される。形状が形成された、エンドレスで、少なくとも部分的に小孔が形成された形成ベルト60がアテニュエータ52の下に配置され、アテニュエータ52の出口開口部からの連続フィラメントを受け取る。形成ベルト60はベルトであり、ガイドローラ62に沿って動く。形成ベルト60のフィラメントが堆積する部分の下に配置された真空装置64が、形成表面に対してフィラメントを吸引する。
図8では、形成ベルト60はベルトとして示されているが、形成ベルトはドラムなどの他の形態であってもよいことを理解すべきである。特定の形状が形成された形成ベルトの詳細を以下に説明する。
【0046】
プロセスライン30の運転時、ホッパー36及び38は、それぞれのポリマー成分A及びBで充満される。ポリマー成分A及びBは、それぞれの押出成形機32及び34によって溶融され、ポリマー導管40及び42並びに紡糸パック48を通じて押出される。溶融ポリマーの温度は使用されるポリマーの温度に応じて異なるが、ポリマー成分A及びポリマー成分Bとしてポリエチレン及びポリプロピレンがそれぞれ使用される場合、各ポリマーの温度は約190℃~約240℃の範囲とすることができる。
【0047】
押出されたフィラメントが紡糸口金の下に延びるのに従って、急冷ブロワ50からの空気流がフィラメントを少なくとも部分的に急冷し、特定のフィラメントでは溶融フィラメントの結晶化を誘導する。急冷空気は、約0℃~約35℃の温度及び約100~約400フィート/分の速度でフィラメントの長さに実質的に垂直な方向に流れることができる。フィラメントを形成ベルト60上に回収されるよりも充分前に急冷することができ、これにより、フィラメント及び形成表面を通過する強制空気によってフィラメントを配列させることができる。フィラメントを急冷することによりフィラメントの粘着性が低減されるため、フィラメント同士が接着される前に互いに密着しすぎることがなく、形成ベルト上へのフィラメントの回収及びウェブの形成の間に形成ベルト上でフィラメントを動かして配列させることができる。
【0048】
急冷後、フィラメントは、繊維ドロー装置の流れによってアテニュエータ52の垂直な通路内に引き込まれる。アテニュエータは、紡糸口金の下部の下方30~60インチに配置することができる。
【0049】
フィラメントは、アテニュエータ52の出口開口部から、形状形成された、動く形成ベルト60上に堆積させることができる。フィラメントが形成ベルト60の形成表面と接触するのに従って、真空装置64が空気及びフィラメントを形成ベルト60に対して引き込むことで、形成表面の形状に一致した形状を有する連続フィラメントの不織布ウェブを形成する。上記で述べたように、フィラメントが急冷されることからフィラメントの粘着性は過度とならず、フィラメントが形成ベルト60上に回収されて布10に形成される際に真空によって形成ベルト60上でフィラメントを動かすか又は配列することができる。
【0050】
プロセスライン30は、ニップを形成する円筒形状の圧縮ロール70及び72のような1つ以上の接着装置を更に有しており、このニップを通じて布を圧縮(すなわちカレンダー加工)することができ、このニップもやはり繊維を接着させるために加熱することができる。圧縮ロール70、72の一方又は両方を加熱することで布の一部を接着させることによって不織布10に向上した特性及び効果を与えることができる。例えば、熱接着をもたらすのに充分な加熱によって布10の引っ張り特性が向上すると考えられる。圧縮ロールは、独立した加熱制御部を有する、1対の表面が滑らかなステンレス鋼製のロールでよい。圧縮ロールは、電気エレメント又は高温のオイルの循環によって加熱することができる。圧縮ロール間の隙間は、布が形成ベルト上で圧縮ロールを通過する際に布に所望の圧力を加えるように油圧制御することができる。一実施形態では、形成ベルトのキャリパーが1.4mmであり、スパンボンド不織布が30gsmの坪量を有する場合、圧縮ロール70と72との間のニップ隙間は約1.4mmとすることができる。
【0051】
一実施形態では、上側圧縮ロール70は、布10の第1の表面12上の繊維を溶融接着させるだけ充分に加熱することができ、これにより布に強度を与えることで一体性を失わずに布を形成ベルト60から取り外すことができる。例えば、
図8及び
図9に示されるように、ロール70及び72が矢印により示される方向に回転するに従って、スパンボンド布が堆積されたベルト60がロール70と72とによって形成されるニップに進入する。加熱されたロール70は、ベルト60の隆起した樹脂要素によってロール70に押しつけられる不織布10の部分(すなわち領域21)を加熱することで布10の少なくとも第1の表面12上に接着繊維80を形成することができる。本明細書の説明により理解されるように、このようにして形成された接着領域は、形成ベルト60の隆起要素のパターンを有することができる。例えば、このようにして形成された接着領域は、
図1及び
図11のハートと同じパターンを形成する領域21の第1の表面12上の実質的に連続的な網目構造又は実質的に半連続的な網目構造となり得る。温度と滞留時間を調節することにより、主として第1の表面12に最も近い繊維に接着を限定してもよく、又は熱接着を
図11(下記により詳しく述べる点接着部90も示されている)及び
図45~
図49に示されるように第2の表面14にまで行うことができる。接着は、例えば下記に述べる点接着部90としての不連続的な網目構造であってもよい。
【0052】
形成ベルト60の隆起要素は、形成ベルト及び不織布基材11又は不織布10の接着領域の様々な網目構造特性を確立するように選択することができる。この網目構造は、形成ベルト60の隆起要素を構成する樹脂に対応しており、実質的に連続的、実質的に半連続的、不連続的、又はこれらの選択肢の組み合わせを含むことができる。これらの網目構造は、形成ベルト60のXY平面内の網目構造の外観若しくは構成、又は本発明の不織布基材11又は不織布10を構成する三次元形成要素に関するものであるため、形成ベルト60の隆起要素を記述したものとなり得る。
【0053】
「実質的に連続的」な網目構造とは、その線の長さ全体にわたってその領域内に全体的に延びる途切れのない線によって任意の2点を結ぶことができるような領域を指す。すなわち、実質的に連続的な網目構造は、第1の平面に平行な全ての方向に実質的な「連続性」を有し、その領域の縁部においてのみ終端する。「連続的な」と組み合わされる用語「実質的に」は、絶対的連続性を実現することが可能であるものの、絶対的連続性からの若干の逸脱は、そのような逸脱が設計及び意図される繊維構造(又は成形部材)の性能に大きく影響しない限りにおいて許容され得ることを示すための用語である。
【0054】
「実質的に半連続的な」網目構造とは、第1の平面に平行な少なくとも1つの方向を除いた全ての方向において「連続性」を有し、その線の長さ全体にわたってその領域内に全体的に延びる途切れのない線によって任意の2点を結ぶことができない領域を指す。半連続構造は、第1の平面に平行な1つの方向でのみ連続性を有することができる。上記に述べた連続的領域と同様、少なくとも1つの方向を除く全ての方向での絶対的連続性が好ましいものの、そのような連続性からの若干の逸脱は、そのような逸脱が繊維構造の性能に大きく影響しない限り許容され得るものである。
【0055】
「不連続的な」網目構造とは、個別的であり、かつ第1の平面に平行な全ての方向において不連続である互いに分離した領域を指す。
【0056】
圧縮後、布は形成ベルト60を離れ、カレンダーロール71、73によって形成されるニップを通ってカレンダー加工されることができ、その後、布をリール上に巻き取ることができる。
図10の概略断面図に示されるように、これらのカレンダーロールは、彫刻パターンロール84及び滑らかなロール86を有するステンレス鋼ロールとすることができる。彫刻ロールは、布10に更なる圧縮及び接着を与えることができる隆起部88を有することができる。隆起部88は、カレンダーロール71及び73のニップ内に比較的小さい点接着部90のパターンを形成する、比較的小さい、間隔を置いて配された「ピン」の規則的なパターンとすることができる。不織布10の点接着部の割合(%)は3%~30%、又は7%~20%とすることができる。彫刻パターンは、複数の近い間隔で配された規則的な概ね円筒形状で、かつ概ね平坦な頂部を有するピンの形状とすることができ、ピンの高さは0.5mm~5mm、好ましくは1mm~3mmの範囲である。ピン結合カレンダーロールは、
図11に示されるような、不織布10に近い間隔で配された規則的な点結合部90を形成することができる。更なる接着を例えば熱風接着によって行うことができる。
【0057】
下記で
図56に関して説明するように、空気通過熱接着は、この用途に適したものとなり得る高ロフトの不織布構造を形成するための別の手法となり得る。空気通過熱接着では、不織布の表面に高温の空気を作用させる。高温の空気は、不織布の真上に配置されたプレナムの穴から流れる。しかしながら、空気は、一般的な熱風オーブンにおけるのと同様、不織布を通じて押されない。陰圧又は吸引によって、不織布がオーブンを通過する際に不織布を支持する開放コンベヤエプロンに空気が引き込まれる。不織布を通じて空気が引き込まれることにより、より迅速かつ均一な熱の伝達が可能となり、布の歪みが最小限に抑えられる。従来の空気通過接着ユニット以外に、真空がベルトの下に設置された状態で3Dベルトの上に接着ユニットを配置することでこの特定の用途において空気通過接着プロセスを模倣することも考えられる。
【0058】
空気通過熱接着で使用されるバインダーとしては、結晶性バインダー繊維、2成分バインダー繊維、及び粉末が挙げられる。結晶性バインダー繊維又は粉末を使用する場合、バインダーは完全に溶融して不織布の断面全体にわたって溶融液滴を形成する。冷却によりこれらの点で接着が生じる。シース/コア型のバインダー繊維の場合では、シースがバインダーであり、コアがキャリア繊維である。不織布がシース/コア型のバインダー繊維を含む一実施形態では、シースはポリエチレンからなり、コアはポリプロピレンからなる。かかる不織布では、空気通過熱接着の空気温度は110℃~150℃の範囲とすればよく、空気通過熱接着時間が、坪量、所望の強度レベル、及び運転速度によって決まることから、滞留時間は0.5~10秒、5~30秒、又は30~60秒の範囲とすることができる。空気通過オーブンを使用して製造された製品は、嵩高く、開放しており、柔軟で、強く、伸展性、通気性、及び吸収性を有する傾向がある。
【0059】
本明細書で用いられる点接着は、不織布、ウェブ、又は基材を熱接着する方法である。この方法では、ウェブを、加熱された雄パターン形成された、又は彫刻を有する金属ロールと、平滑な又はパターン形成された金属ロールとからなる2個のロールの間のニップに通過させる。雄パターン形成されたロールは、円形の点接着部を生じる、複数の隆起した、概ね円筒状のピンを有することができる。平滑なロールは、用途に応じて加熱されてもされなくともよい。不織布の製造ラインでは、非接着繊維のウェブである場合もある不織布が、カレンダーニップに送り込まれ、彫刻された点の先端部において、平滑ロールと接して繊維が互いに熱融合する点まで繊維温度が上げられる。加熱時間は、通常はミリ秒のオーダーである。繊維の特性は、ロール温度、ウェブのライン速度、及びニップ圧などのプロセスの設定値に依存し、これらはいずれも当業者によって所望の点接着度が得られるように決定することができる。高温カレンダー結合として一般的に知られる他の種類の点結合は、楕円、直線、円などの(円形以外の)結合の異なる幾何形状で構成される場合がある。本明細書に開示される例示的な実施形態では、点結合は、10%の全体の結合面積を有する直径0.5mmの円としての点接着のパターンを生じる。他の実施形態は、隆起したピンが、約0.1mm~2.0mmのピンの接着面にわたった最長の寸法を有し、全体の接着面積が5%~30%の範囲であるような接着形状を含む。
【0060】
図11に示されるように、一実施形態では、加熱された圧縮ロール70によって、不織布10の第1の表面12(
図11では観測者から離れる方向に面しているために示されていない)上に実質的に連続的な接着パターン80(例えば、相互接続されたハート形接着部)であってよい所定の接着パターンを形成することができ、彫刻カレンダーロール73によって、布10の第2の表面14上に比較的小さい点接着部90を形成することができる。点接着部90は、布10の使用時に毛羽立ち又はピリングを生じやすい、ほつれた繊維を固定する。不織布10の得られる構造の利点は、おむつ又は生理用ナプキンなどのパーソナルケア物品のトップシートとして使用される場合に最も明確となる。パーソナルケア物品に使用される場合、不織布10の第1の表面12は比較的平坦(第2の表面14に対して)とすることができ、加熱された圧縮ロールが形成ベルト60の隆起要素によって押しつけられる布の領域に接着部80を形成するために比較的多くの接着を有し得る。この接着は不織布10に構造的一体性を与えるが、使用者の皮膚に対して比較的固いか又は粗くなり得る。したがって、不織布10の第1の表面12は、おむつ又は生理用ナプキンでは、物品の内側に面して、すなわち、着用者の身体から離れる方向に向けるとよい。同様に、第2の表面14は使用時には身体に面する側で、身体と接触させることができる。比較的小さい点接着部90は使用者によって視覚的又は触覚的に知覚されにくく、比較的柔らかい三次元形成要素は、使用時に身体にとって柔らかく感じる一方で視覚的に目立つ毛羽立ち及びピリングがない状態に保たれる。上記に述べた接着の代わりに、又はそれに加えて、更なる接着を用いることもできる。
【0061】
形成ベルト60は、2003年8月26日にLindsayらに発行された米国特許第6,610,173号、1996年5月7日にTrokhanらに発行された米国特許第5,514,523号、又は2002年6月4日にBurazinらに発行された米国特許第6,398,910号、又は2013年8月8日にStageらの名義で公開された米国特許出願公開第2013/0199741号に記載される方法及びプロセスに従って作製することができる。これらの形成ベルトのそれぞれは、スパンボンド不織布ウェブを製造するための本明細書に開示される改良された形成要素及びパターンを有している。Lindsay、Trokhan、Burazin、及びStageによるこれらの開示は、織物強化部材上に硬化樹脂を有して形成された製紙用ベルトに代表されるベルトについて記載しているが、これらのベルトは改良を加えることで本明細書に記載されるように本開示で用いることができる。
【0062】
本開示において有用であり、米国特許第5,514,523号の開示に従って製造することができる形成ベルト60の一例が
図12に示されている。本明細書に教示されるように、強化部材94(フィラメント96の織物ベルトなど)を、予め選択された厚さにまで液体感光性ポリマー樹脂で完全にコーティングする。所望の隆起要素パターンの繰り返し要素(例えば
図14)を有するフィルム又はネガマスクを、液体感光樹脂上に並置する。次に、フィルムを通して樹脂を適当な波長の光に曝露する(例えば紫外線硬化性樹脂では紫外線)。この光への曝露によって、曝露された領域(すなわち、マスクの白い部分又は非印刷部分)の樹脂が硬化する。未硬化の樹脂(マスクの不透明部分の下の樹脂)をシステムから取り除くと、図に示されるパターンを形成する硬化樹脂が残される(例えば
図12に示される硬化樹脂要素92)。本明細書に述べられるような他のパターンを形成することもできる。
【0063】
図12は、
図1に示される不織布10を製造するうえで有用な形成ベルト60の一部を示している。図に示されるように、形成ベルト60は織物強化部材94上に硬化樹脂要素92を有することができる。強化部材94は、樹脂コーティングされた製紙用ベルトなどの、製紙用ベルトの技術分野では周知の織フィラメント96で形成することができる。硬化樹脂要素は、
図12に示される一般的な構造を有することができ、
図14に示される寸法を有するマスク97を使用して形成される。
図13の概略断面図に示されるように、硬化樹脂要素92は、強化部材94の周囲に流されて硬化されることで強化部材94に「固定」され、約0.020インチ~約0.060インチ、又は約0.025インチ~約0.030インチの遠位端の幅DW、及び、約0.030インチ~約0.120インチ又は約0.50~約0.80インチ、又は約0.060インチのオーバーバーデン(OB)と呼ばれる強化部材94よりも上の全体の高さを有することができる。
図14は、
図1に示される不織布10の繰り返しハート模様の1個の繰り返し単位の模様及び代表的な寸法を示すマスク97の一部を表している。白い部分98は紫外線を透過し、米国特許第5,514,523号に記載されるベルトの製造プロセスでは、紫外線が下層の樹脂層を硬化することを可能とし、この樹脂層は硬化されて強化部材94上に隆起要素92を形成する。未硬化の樹脂が洗い流された後、
図7に示されるような装置の設計によって決定され得るベルトの長さの両端を継ぎ合わせることにより、
図12に示されるような硬化樹脂の模様を有する形成ベルト60が得られる。
【0064】
同様に、
図15は、
図2に示される不織布10の繰り返し模様の1個の繰り返し単位の模様を示すマスク97の一部を表している。白い部分98は紫外線を透過し、上記ベルトの製造プロセスでは、紫外線が下層の樹脂層を硬化することを可能とし、この樹脂層は強化部材94に対して硬化される。未硬化の樹脂が洗い流された後、
図7に示されるような装置の設計によって決定され得るベルトの長さの両端を継ぎ合わせることにより、
図16に示されるような硬化樹脂の模様を有する形成ベルト60が得られる。
【0065】
更に、別の非限定的な例において、
図17は、
図18に示される不織布10の繰り返し模様の1個の繰り返し単位の模様を示すマスクの一部を表している。白い部分98は紫外線を透過し、上記ベルトの製造プロセスでは、紫外線が下層の樹脂層を硬化することを可能とし、この樹脂層は強化部材94に対して硬化される。未硬化の樹脂が洗い流された後、布10の長さの両端を継ぎ合わせることにより、
図18に示されるような硬化樹脂の模様を有する形成ベルト60が得られる。
【0066】
本開示において有用なタイプの形成ベルト60の一部分の別の例が
図19に示されている。
図19に示される形成ベルト60の部分は、不織布10の全体の面積OAの長さL及び幅Wに対応した長さL及び幅Wを有することができる個別のベルトパターン61である。すなわち、形成ベルト60は、不織布10の全体の面積OAに対応した個別のベルトパターンの全体の面積DPOAをそれぞれが有する個別のベルトパターン61(下記に
図22を参照してより詳しく述べる)を有することができる。
図20は、
図21に示される不織布10の繰り返し模様の1個の繰り返し単位の模様を示すマスクの一部を表している。白い部分98は紫外線を透過し、上記ベルトの製造プロセスでは、紫外線が下層の樹脂層を硬化することを可能とし、この樹脂層は強化部材94に対して硬化される。未硬化の樹脂が洗い流された後、ベルトの長さの両端を継ぎ合わせることにより、
図19に示されるような硬化樹脂の模様を有する形成ベルト60が得られる。
【0067】
図19に示される形成ベルトの部分は、本開示の別の有用性を示す。
図19に示される形成ベルト60の部分は、
図21に示される布10を形成することができる。
図21に示される不織布10は、布10を例えば使い捨ておむつのトップシートとして使用するのに適したものとする幅W及び長さLの寸法、並びに全体の面積OAを有することができる。
図19に例示される形成ベルト60上に形成される不織布10は、形成ベルト60上の個別の樹脂要素92によって形成される三次元形成要素のパターンが全体の面積全体にわたって規則的な繰り返しパターンとなっていない点で、
図1~
図3に示される布10と異なっている。むしろ、個別のベルトパターンの全体の面積DPOA内の三次元隆起要素のパターンは、区域と呼ばれる異なる部分を含んだ不規則なパターンとして述べることができる。各区域間の相違は、視覚的なもの、すなわち視覚的に区別可能な差であってもよく、又は不織布10においては、この相違は、坪量又は密度のような平均の示強的性質の差、又は視覚的性質と示強的性質との組み合わせの差を生じることができる。通常の屋内照明条件(例えば、視力20/20、文字を読むのに充分な照明下)の観測者が、第1の区域112及び第2の区域122のような区域間のパターンの差を視覚的に区別できる場合に、視覚的に区別可能な差が存在する。
【0068】
不織布10もまた、形成ベルトの各区域に対応した視覚的に区別可能な区域を有することができる。例えば、
図21に示されるように、布10は少なくとも2個、3個、又は4個の視覚的に区別可能な区域を有することができる。三次元形成要素の第1のパターン及び第1の平均の示強的性質を有する第1の区域110は、全体の面積OA内のほぼ中央に位置する第1の領域を有することができる。三次元形成要素の第2のパターン及び第2の平均の示強的性質を有する第2の区域120は、全体の面積OA内の第1の区域110のほぼ周囲に、一実施形態では、完全に包囲して分布する第2の領域を有することができる。三次元形成要素の第3のパターン及び第3の平均の示強的性質を有する第3の区域130は、全体の面積OA内の第2の区域120のほぼ周囲に、一実施形態では、完全に包囲して分布する第3の領域を有することができる。三次元形成要素の第4のパターン及び第4の平均の示強的性質を有する第4の区域140は、トップシートの前部など、全体の面積OA内の任意の位置に配置された、
図21に示されるハート模様のような第4の領域を有することができる。一般的に、nを正の整数として、n個の区域が存在してよい。n個の区域のそれぞれは、三次元形成要素の第n番目のパターン、並びに第n番目の領域及び第n番目の平均の示強的性質を有することができる。
【0069】
図21に示されるような視覚的に区別可能な区域は、視覚的に区別可能な三次元形成要素を含むことができる。これらの異なる三次元形成要素は、
図1及び
図3のハート形、並びに
図2及び
図3の菱形のように閉じた図形の形であってよい比較的密度の高い領域(三次元形成要素の内部に対して)によってその境界が画定され得る。一般に、微小区域との関連を含めて下記により完全に述べるように、三次元形成要素は第1の領域と第2の領域とによって画定することができ、第1の領域と第2の領域とは視覚的に区別され、第1及び第2の領域のそれぞれに共通の示強的性質が関連付けられ、第1の領域と第2の領域の共通の示強的性質の値には差がある。一実施形態では、三次元形成要素は第1の領域と第2の領域とによって画定することができ、第1の領域は第1の表面の平面に対して第2の領域よりも高い高さ(Z方向に測定される寸法)にある。別の実施形態では、三次元形成要素は第1の領域と第2の領域とによって画定することができ、第1の領域は第2の領域よりも高い基部にある。
【0070】
理解されるように、本開示の形成ベルト60は、形成ベルト全体にわたって均一な一定の繰り返しパターンを有する代わりに、
図19に示される個別のベルトパターン61にそれぞれが似た、不規則な個別のベルトパターン61の繰り返しを有することができる不織布材料の製造を可能とする。個別のベルトパターン61はそれぞれ、例えばおむつ又は生理用ナプキンなどの使い捨て吸収性物品における使用に適した全体の面積OAを有する1つの不織布10を形成するために使用することができる。不織布10は、連続して(すなわちライン化して)、また、必要に応じて、各レーンが不織布10の連続的なラインである複数の平行なレーンで連続して製造することができる。不織布10の連続的なラインは、縦方向に平行な軸に沿って縦方向で製造することができる。次いで、この不織布材料を、おむつ又は生理用ナプキンなどの使い捨て吸収性物品のトップシートとして使用される不織布10を製造するためのサイズとなるようにスリットを入れるか又は他の形で切断することができる。
【0071】
一実施形態では、それぞれの個別のベルトパターンの全体の面積DPOA内のパターンは、同じであっても異なってもよい。すなわち、連続的に間隔を置いて配された個別のベルトパターンは実質的に同じであってもよく、又はこれらは視覚的外観において、及び/又はベルトパターン上で製造される不織布基材に生じる示強的性質において異なってもよい。例えば、
図22に概略的に示されるように、個別のベルトパターン61Aの第1の形成区域112内の三次元隆起要素のパターンは、個別のベルトパターン61Bの第1の形成区域112内の三次元隆起要素のパターンと異なり得る。このように、形成ベルト60は、使い捨て吸収性物品をはじめとする消費者製品での使用に適した不織布ウェブ10の製造における柔軟性を与えるものである。例えば、おむつの1個のパッケージ内で、少なくとも2個のおむつのトップシートが、異なる区域のパターンを有する連続した個別のベルトパターンを使用した、本明細書に述べられるようなスパンボンドプロセスによってこれらのトップシートが連続的に製造されたことによって、異なり得るものである。一実施形態では、あるサイズのおむつのトップシート又はバックシートの不織布のパターンが、別のサイズのおむつのトップシート又はバックシートの不織布のパターンと異なってよく、これにより、介護者におむつのサイズに関する視覚的な手がかりが与えられる。同様に、生理用ナプキンのトップシートに布10を使用することも可能であり、三次元形成要素の視覚的パターンが生理用ナプキンの吸収性を表す。いずれの場合も、個別のベルトパターンを必要に応じて異なるものとすることによって布10の異なるパターンを単一のベルト上で製造することが可能である。
【0072】
そのため、本発明を、
図22を参照して、縦方向である長手方向に平行な軸Aを有する形成ベルトとして説明することができる。形成ベルト60は、長手方向に対して少なくとも1つの連続的な関係で配列された複数の個別のベルトパターン61を有することができる。各個別のベルトパターン61は、個別のベルトパターン61Aに関して示したのと同様に、長さL及び幅Wによって長方形のパターンとして画定される個別のベルトパターンの全体の面積DPOAを有することができる。各個別のベルトパターンはその全体の面積DPOA内に、第1の表面の平面から外側に延びる三次元隆起要素の第1のパターンを有する第1の形成区域112と、第1の表面の平面から外側に延びる第2の三次元隆起要素を有する第2の形成区域122と、を有することができる。第1の形成区域は第1の空気透過率の値を有してよく、第2の形成区域は第2の空気透過率の値を有してよく、第1の空気透過率の値は第2の空気透過率の値と異なっていてよい。それぞれの連続的に配列された個別のベルトパターンの全体の面積DPOA内のパターンは、同じであっても異なってもよい。
【0073】
例として、
図19に示される形成ベルト60の個別のベルトパターン61及び
図21に示される不織布10を参照して、以下の性質を測定した。不織布10の第1の区域110は、約5gsm~約30gsmの平均坪量を有することができる。第2の区域120は、約50gsm~約70gsmの平均坪量を有してよく、第3の区域130は、約25gsm~約60gsmの平均坪量を有することができる。区域ごとの坪量の差は、形成ベルト60の空気透過率の差に起因し得る。区域110、120,及び130の坪量がそれぞれ、15gsm、53gsm、及び25gsmであるような
図20に示される不織布10を製造するために使用される実施形態では、形成ベルト60のそれぞれの区域112、122、及び132の空気透過率はそれぞれ、379cfm、805cfm、及び625cfmである。したがって、形成ベルト10の各区域の空気透過率を変えることにより、各区域の平均坪量及び平均密度の示強的性質を布10の全体の面積にわたって高めることができる。
【0074】
図22で述べた形成ベルト60の説明から、また
図23を参照することで理解されるように、一実施形態では、ベルト60上に形成される不織布基材11は、長手方向、すなわち、形成ベルト60上に形成される際には縦方向に対して少なくとも1つの連続的な関係で配列された複数の布10として本明細書で述べられる複数の部分を有する不織布基材11として述べることができる。
図23は、それぞれが異なる区域内に異なるパターンを有する連続的に配列された布10を示すスパンボンド不織布基材11の概略図である。各布地10は、長さL及び幅Wによって長方形のパターンとして画定される全体の面積OAを有することができる。それぞれの連続的に配置された布地10は、その全体の面積OA内に、三次元形成要素の第1のパターン及び第1の平均の示強的性質を有し、更に全体の面積OA内に位置する第1の領域を有する少なくとも第1の区域110と、三次元形成要素の第2のパターン及び第2の平均の示強的性質を有し、全体の面積OA内に位置する第2の領域を有する第2の区域120とを有することができる。必要に応じて、更なる区域、例えば、三次元形成要素の第3のパターン及び第3の平均の示強的性質を有し、全体の面積OA内に第3の領域を有する第3の区域130が存在してもよい。
図23の例示的な概略図に示されるように、布10Aの第1のパターン110Aは、布10Bの第1のパターン110Bと異なっていてよく、更に布10Cの第1のパターン110Cと異なっていてよい。同じことが第2の区域120A、120B、及び120Cについてもいえる。
【0075】
一般的に、形成ベルト60上に形成された不織布材料11の連続的に配置された不織布10は、それぞれの全体の面積、示強的性質、及び視覚的外観において異なり得る。共通の示強的性質とは、複数の区域(
図21に示されるような区域化パターンに関して)又は領域(
図1に示されるような規則的な繰り返しパターンのような三次元形成要素について)が有する示強的性質のことである。不織布10のこのような示強的性質は平均値であってよく、これらに限定されるものではないが、密度、体積密度、坪量、厚さ、及び不透明度が挙げられる。例えば、密度が、2つの異なる区域又は領域の共通の示強的性質である場合、一方の区域又は領域の密度の値は、他方の区域又は領域の密度の値と異なり得る。区域(例えば、第1の区域及び第2の区域など)とは、視覚的に、また、その区域内で平均化された異なる示強的性質によって互いに区別することが可能な識別可能な領域であり得る。
【0076】
製造された後、個々の不織布10は適当なサイズに切断され、例えば使い捨て吸収性物品のトップシートなどのそれらの意図される目的で使用することができる。例えば、使い捨ておむつ1006が平らに延ばされた向きで
図24に示されている。1個の布10が、当該技術分野では周知の手段によって適当な全体の面積に切断され、おむつ1006に接着される。布10は、おむつ1006に組み付けられる前に切断してもよく、又はおむつの製造プロセスの間に、不織布基材11をウェブの形態のおむつの他の構成要素と一体に合わせ、組み立て後に適当なサイズに切断してもよい。
【0077】
図24を参照することで理解されるように、一実施形態では、ベルト60上に形成される不織布基材11は、長手方向(すなわち形成ベルト60上に形成される場合には縦方向)に対して少なくとも1つの連続的な関係で、かつ少なくとも1つの横並びの関係(すなわち形成ベルト60上に形成される場合には横断方向)で配列された複数の布10として本明細書で述べられる複数の部分を有する不織布基材11として述べることができる。
図24は、隣接した複数の縦方向レーン13に連続的に配列された布10を示すスパンボンド不織布基材11の概略図であり、隣接した各レーンは、
図24で10D、10E、及び10Fと称される横並びの各布10を有している。各布地10は、長さL及び幅Wによって長方形のパターンとして画定される全体の面積OAを有することができる。それぞれの連続的に配置された布地10は、その全体の面積OA内に、三次元形成要素の第1のパターン及び第1の平均の示強的性質を有し、更に全体の面積OA内に位置する第1の領域を有する少なくとも第1の区域110と、三次元形成要素の第2のパターン及び第2の平均の示強的性質を有し、全体の面積OA内に位置する第2の領域を有する第2の区域120とを有することができる。必要に応じて、更なる区域、例えば、三次元形成要素の第3のパターン及び第3の平均の示強的性質を有し、全体の面積OA内に第3の領域を有する第3の区域130が存在してもよい。横並びのレーンのそれぞれの布10は実質的に同じであってもよく、又はそれぞれの布10は、サイズ、視覚的外観、及び/又は示強的性質に関して異なっていてもよい。製造された後、不織布基材11は巻き取ってから各レーンへとスリットを入れて消費者製品に加工するか、又はスリットを入れてから巻き取ることができる。
【0078】
規則的な繰り返しの均一なパターンで形成された布10と、不均一な区域パターンで形成された布10との坪量の差を比較するための代表的な試料として、実施例1の不織布10を、
図21に示されるものと似たパターンを有する、実施例3と呼ぶ布と比較した。実施例3は、ポリエチレンシース(ダウ・ケミカル社(Dow chemical company)より入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(ライオンデル・バセル社(LyondellBasell)より入手したPH-835)とを、50:50の比で三葉型繊維の形態に紡糸することによって、本明細書に開示される装置で製造した2成分スパンボンド不織布ウェブである。このスパンボンド2成分三葉型繊維を、約25m/分の線速度で動く形成ベルト60上に、
図19に示されるような区域化パターンを有する形成ベルト上で30g/m
2の平均坪量となるように堆積した。第2の基材を同じ条件下で形成したが、
図16に示される形成ベルト上の規則的な繰り返しの均一なパターンを有する少なくとも1つの部分を有するものとし、ここから坪量を求めた。繊維の紡糸条件、スループット、形成ベルトのライン速度、及び圧縮ロールの接着温度は、両方の基材で同じとした。
【0079】
(実施例3):
ポリエチレンシース(ダウ・ケミカル社(Dow chemical company)より入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(ライオンデル・バセル社(LyondellBasell)より入手したPH-835)とを、50:50の比で三葉型繊維の形態に、30g/m
2の平均坪量となるように紡糸することによって、2成分スパンボンド不織布を製造した。約25m/分の線速度で動く形成ベルト上に
図7及び
図8に関連して述べたようにして不織布を製造し、
図20に示されるような区域化パターンを有する布を形成した。布の繊維を、130℃に加熱した圧縮ロール70,72により第1の表面12上で更に接着させ、布を巻き取り機75においてリール上に巻き取った。
【0080】
(実施例4):
ポリエチレンシース(ダウ・ケミカル社(Dow chemical company)より入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(ライオンデル・バセル社(LyondellBasell)より入手したPH-835)とを、50:50の比で三葉型繊維の形態に、30g/m
2の平均坪量となるように紡糸することによって、2成分スパンボンド不織布を製造した。約25m/分の線速度で動く形成ベルト上に
図7及び
図8に関連して述べたようにして不織布を製造し、
図2に示されるような繰り返し(非区域化)パターンを有する布を形成した。布の繊維を、130℃に加熱した圧縮ロール70、72により第1の表面12上で更に接着させ、巻き取り機75においてリール上に巻き取った。
【0081】
下記表2に、本明細書の局所坪量試験方法に従って測定し、10個の試料について平均を取った、平均局所坪量を示す。測定用の試料は、
図25A及び
図25Bに示される布から採取した。
図25A及び
図25Bで、黒い長方形は測定用に3cm
2の試料を切り取った部分である。図に見られるように、各布地は、横断方向(CD)にA~Eとして示されている。測定値は、区域化された布の各区域間の坪量だけでなく、
図26にグラフで示されるようにCD方向の分布にも有意差が見られることを示している。
【0082】
【0083】
表2から分かるように、空気透過性が異なる区域を有する形成ベルト60上に形成された布10では、不織布10のCD方向における繊維の堆積量、したがって坪量の大きなばらつきが示され、繊維が空気と共に透過率の高い区域に移動できることを示している。区域化されていない、規則的な繰り返しパターンの布10は、布のCD方向において概ね同じ坪量を示している。
【0084】
形成ベルト60の異なる区域の空気透過率の差以外に、形成ベルト60の構造は、平均キャリパー、平均の柔軟性、平均の耐圧縮性、及び流体吸収特性といった布10の区域の他の示強的性質にも影響し得る。
【0085】
本発明の別の態様は、布の載置不透明度(laydown opacity)及び均一性を高めるために複数のビームが用いられるスパンボンドの商業的ラインに関するものである。いくつかの場合では、装置は3本のスパンボンドビーム(当該技術分野では「SSS」として知られる)を含むことができ、例えば「SSMMS」スパンボンドラインとして知られる装置においてメルトブローン法(M)と組み合わせることができる。
【0086】
点接着部90を有するように不織布10をカレンダー加工することにより、毛羽立ちを低減することができる。毛羽立ちとは、繊維がほつれ、布10から分離してしまう傾向のことを指す。ほつれ及び分離は、使い捨て吸収性物品の製造時における製造装置との、又は布10に接触する人の皮膚などの別の表面との摩擦接触によって生じ得るものである。使い捨て吸収性物品のトップシートにおけるようないくつかの用途では、毛羽立ちは負の消費者現象である。しかしながら、繊維を定位置に接着することも、それを行わなければ柔軟であるはずの不織布基材の表面に粗さが生じ得ることから、消費者にとってやはり負の要素となり得る。本発明者らは、本開示の不織布基材及び不織布が、最小限の柔軟性の喪失で接着の増大(及びその結果としての毛羽立ちの低減)を可能とすることを予想に基づいて見出したものである。接着は、比較的近い間隔で配される点接着部90によって実現することができ、この間隔は所望の毛羽立ちの低減の度合いによって決められる。接着は、熱接着、超音波接着、圧力接着、ラテックス接着剤による接着、及びこれらの方法の組み合わせなどの、不織布の繊維を化学的又は熱的に接着するための周知の方法によって行うこともできる。接着による毛羽立ちの低減について、以下に実施例5及び6に関して説明する。
【0087】
(実施例5):
ポリエチレンシース(ダウ・ケミカル社(Dow chemical company)より入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(ライオンデル・バセル社(LyondellBasell)より入手したPH-835)とを、50:50の比で、三葉型繊維の形態に、約25m/分の線速度で動く
図7及び
図8に関して述べた形成ベルト上に約30g/m
2の平均坪量となるように紡糸することによって、2成分スパンボンド不織布を製造して、
図36に示されるような繰り返しパターンを有する布を形成した。布地の繊維を、圧縮ロール70,72により、圧縮ロール70を130℃に加熱して第1の表面12上で更に結合させて実質的に連続した結合部80を形成した。
【0088】
(実施例6):
ポリエチレンシース(ダウ・ケミカル社(Dow chemical company)より入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(ライオンデル・バセル社(LyondellBasell)より入手したPH-835)とを、50:50の比で、三葉型繊維の形態に、約25m/分の線速度で動く
図7及び
図8に関して述べた形成ベルト上に約30g/m
2の平均坪量となるように紡糸することによって、2成分スパンボンド不織布を製造して、
図37に関して述べたような繰り返しパターンを有する布を形成した。布地の繊維を、圧縮ロール70,72により、圧縮ロール70を130℃に加熱して第1の表面12上で更に結合させて実質的に連続した結合部80を形成した。布の繊維をカレンダーロール71、73において更にカレンダー接着した。ここで、ロール73は、1.25mmのピン高さ及び0.62mmの開放隙間を有するピンの形態の隆起部分88を10%の点接着パターンで有する彫刻ロールとした。ロール73を135℃に加熱して布10の第2の面14上に
図11に示されるような点接着部90を形成した。
【0089】
実施例5及び6の布10は、点接着部90がないかあるかの点においてのみ異なっていた。布10の第2の面14には、毛羽立ち度試験に従って毛羽立ち試験を行い、布の表面に繊維を固定するうえでの点接着部の効果を調べた。実施例5及び6の毛羽立ち試験の結果を表3に示す。
【0090】
【0091】
上記に示したように、点接着部90によって、MD方向の毛羽立ち度の値が大幅に低下している。接着処理にもかかわらず、その柔軟性、吸収性、及び美的効果が期せずして維持され、この場合では、消費者による使用に際して所望の耐毛羽立ち性も有している。
【0092】
本開示の吸収性物品は、一般的に、配送、保管、及び販売を行うためにパッケージ内に入れられる。パッケージは、高分子フィルム及び/又は他の材料を含んでよい。吸収性物品の特性に関する図形及び/又は目印は、パッケージの外側部分に形成され、印刷され、位置付けられ、及び/又は配置されてよい。それぞれのパッケージは、複数の吸収性物品を含んでよい。吸収性物品は、1パッケージ当たり妥当な量の吸収性物品を依然として提供しながら、パッケージのサイズを低減するように圧縮下で包装されてもよい。吸収性物品を圧縮下で包装することによって、介護者は、パッケージを容易に扱い、保管することができると共に、パッケージのサイズによる流通コストの削減を製造業者にもたらすことができる。
図27は、複数の吸収性物品1004を含む例示的パッケージ1000を示す。パッケージ1000は、複数の吸収性物品1004が置かれる内部空間1002を画定している。複数の吸収性物品1004は、1つ以上の積み重ね1006として配置されている。
【0093】
本明細書に記載されているバッグ内積み重ね高さテストによると、本開示の吸収性物品のパッケージは、約100mm未満、約95mm未満、約90mm未満、約85mm未満、約85mm未満ただし約75mm超、約80mm未満、約78mm未満、約76mm未満、又は約74mm未満であり、具体的には、特定の範囲内及びその中又はそれによって形成された全ての範囲内において全て0.1mmの増分である、バッグ内積み重ね高さを有し得る。あるいは、本明細書に記載されているバッグ内積み重ね積層高さテストによると、本開示の吸収性物品のパッケージは、約70mm~約100mm、約70mm~約95mm、約72mm~約85mm、約72mm~約80mm、又は約74mm~約78mmであり、具体的には、特定の範囲内及びその中又はそれによって形成された全ての範囲内において全て0.1mmの増分である、バッグ内積み重ね高さを有し得る。
【0094】
吸収性物品の概説
本開示の三次元不織布10は、おむつなどの吸収性物品、トレーニングパンツなどの小児用ケア用品、生理用ナプキンなどの女性用ケア用品、並びに失禁製品、パッド、及びパンツなどの成人用ケア用品の構成要素として使用することができる。おむつ220の形態の例示的な吸収性物品が
図28~30に示されている。
図28は、例示のおむつ220の平らに広げられた状態の平面図であり、おむつ220の構造をより分かりやすく示すために構造の一部分を切り欠いて示している。
図28のおむつ220の着用者に面する表面は、図を見る人に面している。本開示の三次元不織布材料は、トップシート、捕捉層、トップシートと捕捉層、又はトップシートと捕捉及び/又は分配システム(acquisition and/or the distribution system、ADS)など、吸収性物品の1つ又は2つ以上の構成要素として使用することができることから、このおむつ220はあくまでも説明の目的で示されるに過ぎない。いかなる場合でも、本開示の三次元不織布材料は液体透過性であり得る。
【0095】
吸収性物品220は、液体透過性材料又はトップシート224と、液体不透過性材料又はバックシート225と、トップシート224とバックシート225との中間に少なくとも部分的に位置付けられた吸収性コア228と、バリアレッグカフ234と、を含み得る。また、吸収性物品は、表示されている例では分配層254及び捕捉層252を含むADS250を含むことができ、これらについては以下に更に詳細に記述する。また、吸収性物品220は、典型的には、トップシート及び/又はバックシートを通して吸収性物品のシャーシと接合し、おむつのシャーシに実質的に平面である弾性体233を含む弾性ガスケットカフ232を含んでもよい。
【0096】
図28及び
図31また、タブ242を備える締着システムなどの典型的なテープ付きおむつ構成要素を示し、タブ242は、物品の後縁部に向かって取り付けられ、吸収性物品の前方でランディング区域244と協働する。吸収性物品はまた、例えば、後側弾性腰部機構、前側弾性腰部機構、横方向バリアカフ(複数可)、及び/又はローションアプリケーションなど、図示されていない他の典型的な要素を含んでもよい。
【0097】
吸収性物品220は、前側腰部縁部210、前側腰部縁部210と長手方向に対向する後側腰部縁部212、第1の側縁部203、及び第1の側縁部203と横方向に対向する第2の側縁部204を備える。前側腰部縁部210は、着用時にユーザーの前面に向かって配置されるように意図された物品の縁部であり、後側腰部縁部212は対向する縁部である。この吸収性物品220は、物品を平らに広げて置き、
図28のように上から見ると、前側腰部縁部210の側面中間点から物品の後側腰部縁部212の側面中間点へと延在し、かつ、長手方向軸線280に対して、物品を実質的に対称である2つの半分に分割している長手方向軸線280を有し得る。また、吸収性物品220は、第1の側縁部203の長手方向中間点から第2の側縁部204の長手方向中間点まで延在する横軸線290を有してもよい。物品の長さLは、長手方向軸線280に沿った、前側腰部縁部210から後側腰部縁部212までの長さとして測定され得る。吸収性物品の幅Wは、第1側縁部203から第2側縁部204へと横軸線290に沿って測定され得る。吸収性物品は、本明細書において、物品220の前縁部210から始まってLの5分の2(2/5)の距離に長手方向軸線上に配置された点として定義された股点Cを含み得る。本物品は、前側腰部領域205、後側腰部領域206、及び股部領域207を備え得る。前側腰部領域205、後側腰部領域206、及び股部領域207は、それぞれ、吸収性物品の長手方向の長さLの1/3を画定し得る。
【0098】
トップシート224、バックシート225、吸収性コア228、及び物品のその他の構成要素は、様々な構成で、具体的には、例えば、糊剤結合又は熱エンボス加工によって組み立てられ得る。
【0099】
吸収性コア228は、超吸収性ポリマーを少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%含む吸収性材料と、超吸収性ポリマーを密閉するコアラップと、を含み得る。コアラップは、典型的には、2つの材料、基材、又はコアの頂部側に不織布材料216及び底部側に不織布材料216’を含み得る。これらのタイプのコアは、エアフェルトを含まないコアとして知られる。コアは、4つのチャネル226、226’及び227、227’として
図28に示された1つ又は2つ以上のチャネルを含んでもよい。チャネル226、226’、227、及び227’は任意選択的な形成要素である。それどころか、コアはチャネルを全く有さずともよく、又は任意の数のチャネルを有してもよい。
【0100】
例示の吸収性物品のこれらの及び他の構成要素を、以下により詳細に考察する。
【0101】
トップシート
本開示において、トップシート(着用者の皮膚に接触し、流体を受容する吸収性物品の部分)は、本明細書に記載されている1つ若しくは2つ以上の三次元不織布材料の一部分若しくは全てで形成される、並びに/又はその上に位置付けられている、及び/若しくはそこに接合されている1つ若しくは2つ以上の不織布材を有することができ、それによって不織布材料(複数の場合あり)は着用者の皮膚に接触する。トップシートの他の部分(三次元不織布材料以外)も着用者の皮膚に接触し得る。三次元不織布材料は、典型的なトップシート224の上面にストリップ又はパッチとして位置付けられ得る。あるいは、三次元不織布材料は、トップシートの中央のCD区域のみを形成し得る。中央のCD区域は、トップシートの全MD長又はトップシートの全MD長未満まで延在し得る。
【0102】
トップシート224は、当該技術分野で既知のように、バックシート225、吸収性コア228、及び/又は任意の他の層に接合させることができる。通常は、トップシート224とバックシート225とは、いくつかの箇所(例えば、吸収性物品の周辺部又はその付近)で互いに直接接合され、また他の箇所では、トップシートとバックシートとを物品220の1つ以上の他の要素に直接接合することによって、これらは間接的に接合される。
【0103】
トップシート224は、着用者の皮膚に対して順応性があり、柔軟な感触であり、非刺激性であってよい。更に、トップシート224の一部分又はその全部は液体透過性であって、その厚さ方向に液体を容易に浸透させることができる。更に、トップシート224の一部分又はその全部を界面活性剤又は他の剤で処理することでウェブを親水性化するか又は疎水性化することができる。トップシート224の任意の部分は、当該技術分野で一般に開示されているローション及び/又はスキンケア組成物でコーティングしてもよい。トップシート224はまた、抗菌剤を含むか、又は抗菌剤で処理され得る。
【0104】
バックシート
バックシート225は、概して、吸収性コア228の衣類に面する表面に隣接して位置付けられ、その中に吸収して封じ込められた流体及び排泄出物がベッドシーツや下着などの物品を汚すのを防止する又は少なくとも阻害する、吸収性物品220の部分である。バックシート225は典型的には、流体(例えば、尿)に対して不透過性、又は少なくとも実質的に不透過性である。バックシートは、例えば、約0.012mm~約0.051mmの厚さを有する熱可塑性フィルムのような薄いプラスチックフィルムであってもよく、これを含んでもよい。他の適切なバックシート材料は、液体がバックシート225を通過することを防止するか又は少なくとも妨げる一方で、吸収性物品220から蒸気を逃がすことを可能とする通気性材料を含むことができる。
【0105】
バックシート225は、当業者に既知の任意の取り付け方法によって、トップシート224、吸収性コア228、及び/又は吸収性物品220の任意の他の要素に接合することができる。
【0106】
吸収性物品は、外側カバー又は外側カバー不織布を含むバックシートを有することができる。吸収性物品220の外側カバー又は外側カバー不織布は、吸収性物品の柔らかい、衣類に面する表面を形成するため、バックシート225の少なくとも一部分又は全てを被覆し得る。外側カバー又は外側カバー不織布は、本明細書に記載されている高ロフトの三次元不織布材料から形成され得る。あるいは、外側カバー又は外側カバー不織布は、1つ又は2つ以上の既知の外側カバー材料を含んでよい。外側カバーが、本開示の三次元不織布材料のうちの1つを含む場合、外側カバーの三次元不織布材料は、吸収性物品のトップシートとして又はトップシート及び捕捉層として使用される三次元不織布材料に一致しても一致しなくてもよい(例えば、同一材料、同一パターン)。他の場合では、外側カバーは、吸収性物品のトップシートとして又はトップシート及び捕捉層の積層体として使用される三次元不織布材料のパターンと一致する又は視覚的に似ている、印刷された、ないしは別の方法で適用されたパターンを有してよい。外側カバーは、機械的接着、超音波、熱接着、接着剤接着、又はその他の好適な取り付け方法によって、バックシート225の少なくとも一部分に接合することができる。
【0107】
吸収性コア
吸収性コアは、最も高い吸収能力を有し、吸収性材料と、吸収性材料を封入するコアラップ又はコアバッグと、を含む、吸収性物品の構成要素である。吸収性コアは、捕捉及び/若しくは分配システムも、コアラップ若しくはコアバッグの一体部分ではないか、又はコアラップ若しくはコアバッグ内に配置されない、吸収性物品のいずれの他の構成要素も含まない。吸収性コアは、コアラップと、上述した吸収性材料(例えば、セルロース繊維をほとんど又はまったく含まない超吸収性ポリマー)と、糊剤と、を含み得るか、それらから本質的になり得るか、又はそれらからなり得る。
【0108】
吸収性コア228は、コアラップ内に封入された、大量の超吸収性ポリマー(本明細書では「superabsorbent polymer、SAP」と略す)を有する吸収性材料を含み得る。SAP含有量は、コアラップに含有される吸収性材料の70重量%~100重量%、又は少なくとも70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、99重量%、若しくは100重量%を占め得る。コアラップは、吸収性コア内のSAPの百分率を見積もる目的で、吸収性材料とは見なされない。吸収性コアは、超吸収性ポリマーを含むか又は含まないエアフェルトを含むことができる。
【0109】
「吸収性材料」とは、SAP、セルロース系繊維、及び合成繊維など、何らかの吸収特性又は液体保持特性を有する材料を意味する。通常、吸収性コアの作製に使用される糊剤は、吸収特性を全く又はほとんど有せず、吸収性材料とは見なされない。SAP含有量は、コアラップに収容された吸収性材料の80重量%超、例えば少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、更には最大で100重量%となり得る。このエアフェルトを含まないコアは、典型的に40~60重量%のSAPと高含量のセルロース繊維とを含む従来のコアと比較して、相対的に薄い。吸収性材料は、特に、天然のセルロース系又は、合成繊維を15重量%未満、又は10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満含んでもよく、あるいは更には天然のセルロース系及び/又は合成繊維を実質的に含まなくともよい。
【0110】
上記を参照すると、天然繊維、セルロース繊維、及び/若しくは合成繊維をほとんど又はまったく含まないエアフェルトを含まないコアは、従来のコアに比べて非常に薄く、それによって、吸収性物品全体が、混合型のSAP及びセルロース繊維(例えば、40~60%のセルロース繊維)を含むコアを有する吸収性物品よりも薄くなる。このコアの薄さは、吸収力及び性能の低下という消費者知覚につながる可能性があるが、技術的には事実と異なる。現在、これらの薄いコアは通常、実質的に平面的な又は有孔のトップシートと共に使用されている。更に、これらの薄いエアフェルトを含まないコアを有する吸収性物品は、コアに天然繊維、セルロース繊維、若しくは合成繊維がほとんど又はまったく存在しないため、毛管間隙空間が減少している。したがって、時折、排泄物の複数回の放出又は1回の大きい放出を完全に受容するための十分な毛管間隙空間が、吸収性物品に存在しない場合がある。
【0111】
かかる問題を解決するため、本開示は、これらの薄いエアフェルトを含まないコアと、トップシート又はトップシートと捕捉層との積層体として本明細書に記載されている、高ロフトの三次元不織布材料のうちのいずれかとを併せ持つ吸収性物品を提供する。かかる場合には、高ロフトの三次元不織布材料がもたらす付加的な厚さによる吸収性物品の厚さの増加を通じて、吸収力及び性能の消費者知覚が向上する。更に、三次元不織布材料は、これらの薄いエアフェルトを含まないコアと共に、トップシート、又はトップシートと捕捉層との積層体として使用される場合、吸収性物品に毛管間隙空間を再び追加しながら、最小限の積み重ね高さを可能にすることで、消費者及び製造業者にコストの削減をもたらす。このように、本開示の吸収性物品は、この増加した毛管間隙空間のために複数回の排泄物放出又は1回の大きい放出を容易に吸収することができる。加えて、トップシート、又はトップシートと捕捉層との積層体を含む吸収性物品は、平面的なトップシート又は有孔のトップシートに比べて厚さの増した美的に満足なトップシートと、それによる吸収力及び性能の消費者知覚と、を消費者に提供する。
【0112】
図31~
図32の吸収性物品220の例示的な吸収性コア228は、
図33~
図35に単独で示されている。吸収性コア228は、前側部480と、後側部282と、前側部480と後側部282とを接合する2つの長手方向側部284、286とを備え得る。吸収性コア228はまた、概ね平面状の頂部側、及び概ね平面状の底部側を備え得る。コアの前側部480は、吸収性物品の前側腰部縁部210に向けて配置されるように意図されるコアの側部である。コア228は、
図28に示すような上平面図で上から見ると、吸収性物品220の長手方向軸線280に実質的に対応する長手方向軸線280’を有し得る。特定の吸収性物品では、前側部にてより高い吸収性が要求され得るため、吸収性材料は、後側部282に向かうよりも前側部480に向かってより多くの量が分配されてもよい。コアの前側部480及び後側部282は、コアの長手方向側部284及び286より短くてもよい。コアラップは、2つの不織布材料、基材、積層体、又はその他の材料216、216’により形成され得るが、それらは、吸収性コア228の側部284、286に沿って、少なくとも部分的に封止され得る。コアラップは、吸収性材料が吸収性コアラップから実質的に全く漏れ出さないように、その前側部480、後側部282、及び2つの長手方向側部284、286に沿って、少なくとも部分的に封止されてもよい。
図34に示されるように、第1の材料、基材、又は不織布216は、第2の材料、基材、又は不織布216’を少なくとも部分的に包囲して、コアラップを形成してもよい。第1の材料216は、第2の材料の216’のうち、第1の側縁部284及び第2側縁部286に近接した一部分を包囲してもよい。
【0113】
吸収性コアは、例えば、コアラップ内でSAPが動かないようにするのを助けるため、かつ/又は、特にコアラップが2つ以上の基材から作られる場合にコアラップの一体性を確保するため、接着剤を含み得る。接着剤は、例えばH.B.Fullerから供給されるホットメルト接着剤であってもよい。コアラップは、吸収性材料をその内部に収容するために厳密に必要とされるよりも広い面積に延在してよい。
【0114】
吸収性材料は、コアラップ内に存在する連続層であってもよい。あるいは、吸収性材料は、コアラップ内に封入された吸収性材料の個別のポケット又はストライプからなってもよい。第1の事例では、吸収性材料は、例えば、吸収性材料の単一の連続層を適用することによって得られてもよい。吸収性材料の、特にSAPの連続層(複数可)は、不連続的な吸収性材料の適用パターンを有する2つの吸収性層を組み合わせることによっても得ることができ、結果として得られる層は、例えば米国特許出願公開第2008/0312622(A1)号(Hundorf)に開示されるように、吸収性粒状ポリマー材料領域の全体にわたって実質的に連続的に分布している。吸収性コア228は、第1の吸収性層と第2の吸収性層とを備えてもよい。第1の吸収性層は、第1の材料216と、100%以下のSAPであり得る吸収性材料の第1の層261と、を備え得る。第2の吸収性層は、第2の材料216’と、やはり100%以下のSAPであり得る吸収性材料の第2の層262と、を備え得る。吸収性コア228はまた、吸収性材料261、262の各層を、それぞれ対応する材料216又は216’に少なくとも部分的に結合する、繊維状の熱可塑性接着剤材料251を含んでよい。これは、一例として
図34~
図35例示されており、図中、第1及び第2のSAP層は、横断ストライプつまり「ランド区域」として適用されており、これらは、組み合される前に、それぞれの基材上の所望の吸収性材料堆積区域と同じ幅を有するものである。ストライプは、コア280の長手方向軸線に沿ってプロファイル化された坪量を提供するために異なる量の吸収性材料(SAP)を含み得る。第1の材料216と第2の材料216’とは、コアラップを形成することができる。
【0115】
繊維状の熱可塑性接着剤材料251は、ランド領域において、吸収性材料261、262と少なくとも部分的に接触していてもよく、また、接合区域において、材料216、216’と少なくとも部分的に接触してよい。これによって、それ自体では長さ及び幅方向の寸法と比べると相対的に厚みが薄い、本質的に二次元の構造である熱可塑性接着剤材料251の繊維層に、本質的に三次元の構造が付与される。それにより、繊維状の熱可塑性接着剤材料は、吸収性材料のランド領域を被覆するキャビティを提供することができ、それによって100%以下のSAPであり得るこの吸収性材料を固定化させる。
【0116】
繊維層に使用される熱可塑性接着剤は、SAPが膨潤するにつれて、繊維によってSAP層上に形成されたウェブを伸長させることができるような、エラストマー特性を有してもよい。
【0117】
超吸収性ポリマー(SAP)
本開示で有用なSAPとしては、非水溶性ではあるが大量の流体を吸収することができる、種々の水膨潤性ポリマーを挙げることができる。
【0118】
超吸収性ポリマーは、乾燥状態において流動性があるように、粒子形態であってもよい。粒子状吸収性ポリマー材料は、ポリ(メタ)アクリル酸ポリマーで作られてもよい。しかしながら、澱粉系の粒子状吸収性ポリマー材料、並びに、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールコポリマー、架橋ポリエチレンオキシド、及びポリアクリロニトリルの澱粉グラフトコポリマーも使用できる。
【0119】
SAPは多様な形状であり得る。用語「粒子」は、顆粒、繊維、フレーク、球体、粉末、小板、並びに超吸収性ポリマー粒子の当業者に既知のその他の形状及び形態を指す。SAP粒子は、繊維の形状、即ち、細長い針状の超吸収性ポリマー粒子であってもよい。繊維はまた、織布であってもよい長フィラメントの形態であってもよい。SAPは、球状粒子であってもよい。吸収性コアは、1つ又は2つ以上のタイプのSAPを含んでもよい。
【0120】
大部分の吸収性物品の場合、特におむつの場合、着用者からの液体排出は、主に吸収性物品の前半部で発生する。したがって、物品の前半部(前縁部と前側腰部縁部210又は後側腰部縁部212からLの半分の距離に位置する横断線との間の領域によって画定される)は、コアの吸収能力の大半を備え得る。したがって、SAPの少なくとも60%、又はSAPの少なくとも65%、70%、75%、80%、若しくは85%が、吸収性物品の前半部に存在し得、残りのSAPが吸収性物品の後半部に配置され得る。あるいは、SAPの分布は、コア全体で均一であってもよく、又は他の適した分布を有してもよい。
【0121】
また、吸収性コア内に存在するSAPの合計量は、想定されるユーザーに応じて更に変動してもよい。新生児用のおむつは、乳幼児用、小児用、又は成人用失禁おむつと比較して、必要なSAPが少ない場合がある。コア中のSAPの量は、約5~60g、又は5~50gであり得る。SAPの堆積区域8内の(又は複数存在する場合は「少なくとも1つの」堆積区域8の)平均SAP坪量は、少なくとも50、100、200、300、400、500g/m2、又はそれ以上となり得る。吸収性材料堆積領域8内に存在するチャネル(例えば、226、226’227、227’)の面積を吸収性材料堆積領域から推定して、この平均坪量を算出する。
【0122】
コアラップ
コアラップは、吸収性材料の周りに折り重ねられた単一の基材、材料、又は不織布で形成されてもよく、あるいは互いに取り付けられた2つ(又はそれ以上)の基材、材料、又は不織布を含むものとしてもよい。一般的な取り付け方法は、いわゆるCラップ及び/又はサンドイッチラップである。例えば
図29及び
図34に示すように、Cラップでは、一方の基材の長手方向縁部及び/又は横方向縁部を他方の基材に折り重ねてフラップを形成する。次に、これらのフラップは、一般的には糊剤接着によって、他方の基材の外表面に結合される。
【0123】
コアラップは、吸収性材料を受容し収容するのに適した任意の材料によって形成されてもよい。従来のコアを生産するのに使用される一般的な基材材料、特に紙、ティッシュ、フィルム、織布若しくは不織布、又はこれらのいずれかの積層体若しくは複合材料が使用されてもよい。
【0124】
基材は更に、通気性であってもよい(液体透過性又は流体透過性に加えて)。したがって、本明細書において有用なフィルムは微細孔を含んでもよい。
【0125】
コアラップは、吸収性材料がコアから実質的に漏れ出さないように、吸収性コアの全ての側部に沿って少なくとも部分的に封止されてもよい。「吸収性材料が実質的にない」とは、コアラップから漏れ出る吸収性材料が5重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、又は約0重量%であることを意味する。「封止」という用語は、広義に理解されるべきである。封止は、コアラップの周辺部全体に沿って連続的である必要はなく、線上で離間された一連の封止点によって形成されるなど、その一部又は全体に沿って不連続であってもよい。封止は、糊剤接着及び/又は熱結合によって形成されてもよい。
【0126】
コアラップが2つの基材216、216’によって形成される場合、4つの封止を用いて吸収性材料260をコアラップ内に封入してもよい。例えば、第1の基材216は、コアの1つの面上に(
図33~
図35では頂部側として示される)配置されていてもよく、コアの反対の底部側を少なくとも部分的に包み込むようにコアの長手方向の縁部の周りに延在する。第2の基材216’は、第1の基材216の包み込まれたフラップと吸収性材料260との間に存在してもよい。強力な封止をもたらすため、第1の基材216のフラップを第2の基材216’に糊剤接着してもよい。このいわゆるCラップ構造は、サンドイッチ式の封止と比較して、湿潤負荷状態での耐破裂性の改善などの利点を提供することができる。次に、コアラップの前側部及び後側部も、第1の基材及び第2の基材を互いに糊剤接着することによって封止されて、コアの周辺部全体にわたる吸収性材料の完全な封入をもたらしてもよい。コアの前側部及び後側部に関しては、第1及び第2の基材が延在してもよく、実質的に平面方向で互いに接合されて、これらの縁部にいわゆるサンドイッチ構造を形成してもよい。いわゆるサンドイッチ構造では、第1及び第2の基材はまた、コアの全側部において外側に延在してもよく、一般的には糊剤接着及び/又は熱結合/圧着結合によって、コアの周辺部の全体若しくは一部に沿って平坦に、又は実質的に平坦に封止されてもよい。一例では、第1及び第2の基材のどちらも形状を成形する必要がないため、製造を簡易にするため矩形に切断されてもよいが、その他の形状も本開示の範囲内である。
【0127】
コアラップはまた、吸収性材料を風呂敷包み状に封入して、コアの前側部及び後側部、並びに一方の長手方向封止部に沿って封止され得る、単一の基材によって形成されてもよい。
【0128】
SAP堆積領域
吸収性材料堆積領域208は、吸収性コアの頂部側から見て分かるように、コアラップ内の吸収性材料260によって形成される層の周辺部によって画定されてよい。吸収性材料堆積領域208は、コアの中央、つまり「股部」領域に向かってその幅に沿ってテーパーを示す、様々な形状、特にいわゆる「ドッグボーン」又は「砂時計」形を有してもよい。このように、吸収性材料堆積領域8は、
図28に図示されるように、吸収性物品の股部領域内に配置されるように意図されたコアの領域で比較的狭い幅を有し得る。これにより、着用時の快適性をより高めることができる。また、吸収性材料堆積区域8は、例えば、
図31~
図33に示すとおり、概ね矩形であってもよいが、矩形、「T」、「Y」「砂時計」又は「犬の骨」形状などの他の堆積区域も、本開示の範囲内である。吸収性材料は、比較的高速で比較的精密なSAPの堆積を可能にし得る任意の好適な技術を用いて堆積することができる。
【0129】
チャネル
吸収性材料堆積区域208は、
図28及び
図29に示されるように、物品280の長手方向に少なくとも部分的に向けられた(すなわち、長手方向のベクトル成分を有する)少なくとも1つのチャネル226を備え得る。他のチャネルは、横方向の向きに(即ち、横方向ベクトル成分を有する)、又は他の任意の方向に少なくとも部分的に向けられてもよい。以下、「チャネル」が複数形で用いられる場合は、「少なくとも1つのチャネル」を意味する。チャネルは、物品の長手方向軸線280上で突出する、物品の長さLの少なくとも10%である長さL’を有し得る。チャネルは、様々な方法で形成されてもよい。例えば、チャネルは、吸収性材料、特にSAPを実質的に含まないか、又は全く含まなくてもよい、吸収性材料堆積領域208内のゾーンによって形成され得る。別の例では、チャネルは、吸収性材料堆積領域208内のゾーンによって形成されてよく、コアの吸収性材料は、セルロース、エアフェルト、SAP、又はこれらの組み合わせを含み、チャネルは、吸収性材料、特にSAP、セルロース、又はエアフェルトを実質的に含まない、又は全く含まなくてもよい。これに加えるか又はこれに代えて、チャネルは、吸収性材料堆積領域208を通じてコアラップの頂部側をコアラップの底部側と連続的又は不連続的に結合することによって形成することもできる。チャネルは連続的であってよいが、チャネルが断続的であり得ることも考えられる。捕捉-分配システム若しくは層250、又は物品の別の層が、吸収性コアのチャネルに対応しても又はしなくてもよいチャネルを更に備え得る。
【0130】
いくつかの場合では、2つの長手方向に延在するチャネル226、226’により
図28に示すように、チャネルは、吸収性物品の股点C又は横方向軸線260と少なくとも同じ長手方向の高さに存在し得る。また、チャネルは、股部領域207から延在してもよく、あるいは物品の前側腰部領域205及び/又は後側腰部領域206内に存在してもよい。
【0131】
吸収性コア228もまた、3つ以上、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又はそれより多くのチャネルを備えてもよい。より短いチャネルが、例えばコアの後側腰部領域206又は前側腰部領域205において、物品の前側部に向かう
図28の一対のチャネル227、227’によって表されるとおりに、更に存在してもよい。チャネルは、対称に配置されるか、ないしは別の方法で長手方向軸線280に対して配置された、1つ以上のチャネルの対を備え得る。
【0132】
チャネルは、非矩形(に形作られた)コアを使用することが不利になる程度までコアの可撓性を改善させ得るので、吸収性材料堆積領域が矩形のとき、チャネルは吸収性コア内で特に有用となることがある。当然ながら、チャネルは、形作られた堆積領域を有するSAP層内にも存在してよい。
【0133】
チャネルは、完全に長手方向に向けられて、長手方向軸線と平行であってもよく、あるいは完全に横方向に向けられて、横方向軸線と平行であってもよいが、少なくとも部分的に湾曲してもよい。
【0134】
流体が漏出するリスクを低減するために、長手方向の主チャネルは、吸収性材料堆積領域208のいずれかの縁部に至るまで延在し得ず、したがって、コアの吸収性材料堆積領域208内に完全に包囲され得る。チャネルと吸収性材料堆積領域208の最も近い縁部との間の最小距離は、少なくとも5mmであってもよい。
【0135】
チャネルはその全長の少なくとも一部に沿って、例えば少なくとも2mm、少なくとも3mm、少なくとも4mm、最大で例えば20mm、16mm、又は12mmの幅Wcを有し得る。チャネルの幅は、チャネルの実質的に全長にわたって一定であってもよく、あるいはその長さに沿って変化してもよい。チャネルが吸収性材料の堆積領域208内の吸収性材料非存在ゾーンによって形成される場合、チャネルの幅は材料非存在ゾーンの幅であると見なし、チャネル内に存在する可能性のあるコアラップは度外視する。チャネルが吸収性材料非存在ゾーンによって形成されるのではなく、例えば主として、吸収性材料ゾーンを通じたコアラップの結合によって形成される場合、チャネルの幅はこの結合部の幅となる。
【0136】
チャネルの少なくともいくつか、又はその全てが恒久的なチャネルであってもよく、これはつまり、乾燥状態及び湿潤状態の両方でその完全性が少なくとも部分的に維持されることを意味する。恒久的なチャネルは、例えば、チャネルの壁内で基材を吸収性材料と接着する助けとなる、接着剤材料の繊維層又は構造用糊剤など、1つ以上の接着剤材料を提供することによって得られてもよい。恒久的なチャネルはまた、チャネル全体を通して、コアラップの上側部及び下側部(例えば、第1の基材216及び第2の基材216’)、並びに/又はトップシート224及びバックシート225を互いに結合することによって形成されてよい。典型的には、チャネルを通してコアラップの両側部、又はトップシートとバックシートとを結合するために接着剤が用いられ得るが、圧着結合、超音波結合、熱結合、又はこれらの組み合わせなどの他の既知のプロセスによる結合も可能である。コアラップ、又はトップシート224とバックシート225とは、チャネルに沿って連続的に結合されるか、又は断続的に結合されてよい。吸収性物品が完全に流体で満たされたとき、チャネルは有利には、少なくともトップシート及び/又はバックシートを通して目に見える状態を維持するか、又は目に見える状態となってもよい。これは、膨潤しないようにチャネルにSAPを実質的に含有させない、また湿潤時に閉じることがないようにチャネルを十分に大きくすることによって得られてもよい。更に、チャネル全体を通してコアラップをそれ自体に結合させるか、又はトップシートをバックシートに結合させることが、有利となる場合がある。
【0137】
バリアレッグカフ
吸収性物品は、一対のバリアレッグカフ34を備え得る。それぞれのバリアレッグカフは、吸収性物品に接着される1片の材料によって形成され得るため、吸収性物品の着用者に面する表面から上方向に延在することができ、また、着用者の胴及び脚の接合部付近で液体及び他の排泄物の改良された封じ込めをもたらすことができる。バリアレッグカフは、トップシート224及び/又はバックシート225と直接的あるいは間接的に接合された近位縁部64と、着用者の皮膚に接触して着用者の皮膚との封止を形成するように意図された自由端縁部266と、によって境界を定められてもよい。バリアレッグカフ234は、長手方向軸線280の両側面上で、吸収性物品の前側腰部縁部210と後側腰部縁部212との間に少なくとも部分的に延在し、かつ少なくとも股点(C)又は股部領域の高さに存在する。バリアレッグカフは、糊剤接着、溶融結合、又は他の好適な結合プロセスの組み合わせによって実施され得る結合部265によって、近位縁部264で物品のシャーシと接合され得る。近位縁部264での結合部265は、連続的又は断続的であってもよい。レッグカフの隆起区間と最も近接する結合部265は、レッグカフの立ち上がり区間の近位縁部264の境界を定める。
【0138】
バリアレッグカフは、トップシート224又はバックシート225と一体であってもよく、あるいは物品のシャーシに接合された別個の材料であってもよい。各バリアレッグカフ234は、より良好な封止を提供するため、自由端縁部266付近に1つ、2つ、又はそれ以上の弾性ストリング235を備え得る。
【0139】
バリアレッグカフ234に加えて、物品は、吸収性物品のシャーシ、特にトップシート224及び/又はバックシート225に接合され、かつバリアレッグカフに対して外方に設置された、ガスケットカフ232を備え得る。ガスケットカフ232は、着用者の大腿の周りにより効果的な封止をもたらすことができる。各ガスケットレッグカフは、吸収性物品のシャーシ内のトップシート224とバックシート225との間の脚部開口部の領域に、1つ以上の弾性ストリング又は弾性要素233を備え得る。バリアレッグカフ及び/又はガスケットカフの全部若しくは一部を、ローション又は別のスキンケア組成物で処理してもよい。
【0140】
捕捉-分配システム
本開示の吸収性物品は、捕捉-分配層又はシステム250(「ADS」)を備え得る。ADSの一機能は、流体のうちの1つ以上を迅速に捕捉して、これらを効率的に吸収性コアに分配することである。ADSは、1つ、2つ、又は3つ以上の層を備えてもよく、これらの層は一体の層を形成してもよく、あるいは、互いに取り付けられ得る個別の層として留まっていてもよい。一実施例では、ADSは、2つの層、つまり吸収性コアとトップシートとの間に配置される分配層254及び捕捉層252を備え得るが、本開示はこのようには限定されない。
【0141】
1つの例において、本開示の高ロフトの三次元不織布材料は、トップシート及び捕捉層を積層体として含み得る。分配層はまた、トップシート/捕捉層の積層体の衣類に面する側に提供され得る。
【0142】
キャリア層
本開示の高ロフトの三次元不織布材料がトップシート及び捕捉層の積層体を包含する場合においては、分配層は、1つ又は2つ以上の不織布材料又はその他の材料を含み得るキャリア層(図示せず)によって支持される必要がある場合がある。分配層は、キャリア層に適用されるか、又はキャリア層上に位置付けられ得る。このような構成であることから、キャリア層は捕捉層と分配層との中間に位置付けられてよく、捕捉層及び分配層と面する関係にあってよい。
【0143】
分配層
ADSの分配層は、少なくとも50重量%の架橋セルロース繊維を含み得る。架橋セルロース繊維は、捲縮、加撚、若しくはカールされてもよく、又は捲縮、加撚、及びカールを含むこれらの組み合わせであってもよい。このタイプの材料が、米国特許出願公開第2008/0312622(A1)号(Hundorf)に開示されている。架橋セルロース繊維は、製品のパッケージ条件下又は(例えば着用者の体重を受ける)使用条件下での圧縮に対する高い反発力、及びしたがって高い耐性を第1の吸収性層に付与する。これによって、より高い空隙容積、透過性、及び液体吸収性がコアに付与されるため、漏れが減少して乾燥状態が改善され得る。
【0144】
本開示の架橋セルロース繊維を含む分配層は、他の繊維を含み得るが、有利には、この層は、層の少なくとも50重量%、又は60重量%、又は70重量%、又は80重量%、又は90重量%、又は更には最大100%の架橋セルロース繊維(架橋剤を含む)を含み得る。
【0145】
捕捉層
本開示の三次元不織布材料が、吸収性物品のトップシートとしてのみ提供される場合、ADS250は捕捉層252を含み得る。捕捉層は、分配層254とトップシート224との間に配置され得る。かかる場合において、捕捉層252は、スパンボンド、メルトブローン、及び更にスパンボンドされた層、又は代替として、カーディングを施された短繊維の化学接着された不織布を含む、親水性のSMS又はSMMS材料などの不織布材料であってもよく、又は不織布材料を含んでもよい。不織布材料は、ラテックス結合されてもよい。
【0146】
締結システム
吸収性物品は締結システムを含んでもよい。締結システムは、テープ付きおむつでは典型的であるように、吸収性物品の外周の周りに横方向の張力を与えて、吸収性物品を着用者に対して保持するために使用され得る。トレーニングパンツ物品の腰部領域は既に結合されているので、この締結システムはこれらの物品の場合は必須ではない場合もある。締結システムは、例えば、テープタブ、フックとループの締結要素、タブ及びスロットのような係合締結具、バックル、ボタン、スナップ、及び/又は雌雄同体締結要素などの締結具を含んでよいが、他の任意の好適な締結機構も、本開示の範囲内である。通常、ランディングゾーン244は、締結具を着脱自在に取り付けられるように、前側腰部領域205の衣類に面する表面上に提供される。
【0147】
前耳部及び後耳部
吸収性物品は、前耳部246と後耳部240とを備え得る。耳部は、トップシート224及び/又はバックシート226からサイドパネルとして形成されるような、シャーシと一体になった部分であり得る。あるいは、
図28に示すように、耳部は、糊剤接着、熱エンボス加工、及び/又は圧着結合により取り付けられる別個の要素であってもよい。タブ242をランディングゾーン244に容易に取り付け、テープ付きおむつを着用者の腰部周りの定位置に保つために、後耳部240は伸縮可能であり得る。後耳部240は更に、最初に吸収性物品を着用者にぴったりとフィットさせ、続いて、弾性の耳部によって吸収性物品の側部が伸縮し得るために、着用時間全体を通して、吸収性物品が流体又は他の身体排泄物で充填されてからかなりの時間が過ぎてもこのフィットを維持することにより、より快適で、体型に合ったフィットを付与するように、弾性又は伸張性であってもよい。
【0148】
弾性腰部機構
吸収性物品220はまた、改善されたフィット性及び封じ込めを提供するうえで役立つ、少なくとも1つの弾性腰部機構(図示せず)を備え得る。弾性腰部機構は、弾性的に伸縮して、着用者の腰部に動的にフィットすることが概ね意図されている。弾性腰部機構は、吸収性コア228の少なくとも1つの腰部縁部から少なくとも長手方向外方に延在して、吸収性物品の端縁部の少なくとも一部を概ね形成してもよい。使い捨ておむつは、2つの弾性腰部機構を有するように構成され得る、一方は、前側腰部領域に位置付けられ、他方は、後側腰部領域に位置付けられる。
【0149】
色シグナル
1つの形態では、本開示の吸収性物品は、異なる層、又はその部分に異なる色を有することができる(例えば、トップシートと捕捉層、トップシートと不織布コアカバー、トップシートの第1の部分と第2の部分、捕捉層の第1の部分と第2の部分)。異なる色は、同じ色の濃淡(例えば、濃い青と薄い青)であってもよく、又は実際に異なる色(例えば、紫色と緑色)であってもよい。異なる色は、例えば、約1.5~約10、約2~約8、又は約2~約6の範囲のΔEを有することができる。他のΔEの範囲もまた、本開示の範囲内である。
【0150】
1つの例では、吸収性物品の異なる層同士を着色接着剤により接合することができる。着色接着剤は、任意の適当な1乃至複数の層上に所定のパターンで配置することができる。接着剤のパターンは、トップシートのパターンを補うものであってもそうでなくてもよい。そのようなパターンは、吸収性物品の視覚的な奥行きを大きくすることができる。特定の実施形態では、着色接着剤は青色とすることができる。
【0151】
他の例では、いずれかの層が、吸収性物品の外見、奥行きの印象、吸収性の印象、又は品質の印象の助けとなる印刷インクなどの標示を有することができる。
【0152】
他の例では、色は、吸収性物品の構成要素として用いられる不織布10の三次元形成要素のパターンと相補的であるか又は位置合わせされたものでもよい。例えば、三次元形成要素の視覚的に区別されるパターンの第1及び第2の区域を有する布には、布10の外見を強調、目立たせる、対比する、又は他の形で変えるための色が印刷されてもよい。色の強調は、吸収性物品の使用者に使用時の不織布10の特定の機能特性を伝えるうえで効果的であり得る。したがって、1つの構成要素又は複数の構成要素の組み合わせにおいて、構造的な三次元形成要素と色を組み合わせることによって視覚的に目立つ吸収性物品を与えることができる。例えば、副次的なトップシート又は捕捉層に、吸収性物品のトップシートとして用いられる布10の三次元形成要素のパターンを補う1乃至複数の色のパターンを印刷してもよい。別の例は、1)チャネルを有する吸収性コア、2)コアの1乃至複数のチャネルと位置合わせ又はチャネルを強調する三次元パターンを有するトップシート、及び3)コアの1乃至複数のチャネルの機能的特徴及び吸収性物品の全体的性能を更に強調するためにトップシート観測面(身体に接触する表面)又はバックシート観測面(衣類に面する表面)から視認される図柄、着色要素、印刷インク、又は標示を有する吸収性物品である。
【0153】
本開示の新規な態様の更なる特性評価は、視覚的に区別可能な区域内の三次元形成要素に注目することによって行うことができる。上記に述べた区域110、120、及び130などの各区域について微小区域に関連して更に説明することができる。微小区域は、少なくとも2個の視覚的に区別可能な領域を有する、1つの区域内の不織布10の部分であり、これら2つの領域間には共通の示強的性質の差が存在する。微小区域は、少なくとも2個の視覚的に区別可能な領域を有する、2以上の区域の境界部と交差する不織布10の部分を構成することができ、これら2つの領域間には共通の示強的性質の差が存在する。
【0154】
本開示において微小区域を考慮する利点は、上記に述べたような区域110、120、及び130などの区域による平均の示強的性質の差以外に、本開示は、区域内の三次元形成要素によって画定される各領域間の実際の、及び/又は平均の示強的性質の差を有し、各三次元形成要素が布を製造するために使用される形成ベルトのデザインに従って正確に配置されている布も提供するものであることを説明することにある。三次元形成要素の各領域間の示強的性質の差により、機能的利点ばかりでなく、更なる視覚的効果も与えられる。各領域間の明瞭な視覚的コントラストは、1つの区域内及び複数の区域間で極めて良好な視覚的に明瞭なデザインを与えることができる。同様に、正確に製造された形成ベルトによって与えられる各領域の正確な配置によって、各区域の優良かつ調整された柔軟性、強度、及び液体処理特性を与えることができる。よって、本発明は、一実施形態において、各区域間の平均の示強的性質の差と、同時に微小区域を構成する領域の示強的性質の差との予想外の組み合わせを提供するものである。
【0155】
三次元形成要素によって画定される領域は、
図38及び
図39を参照して理解することができる。
図38は、本開示に基づく布10の一部の光学顕微鏡画像を示したものであり、
図39は、
図38に示される布の部分の断面の操作電子顕微鏡写真(scanning electron micrograph、SEM)である。すなわち、
図38及び
図39は、布の普通なら視覚的に区別可能な形成要素のより正確な説明のために拡大された不織布10の一部を示したものである。
図38に示される不織布10は、CD方向に約36mmであり、下記に述べられるように少なくとも3個の視覚的に区別される区域の部分を示している。
【0156】
不織布10の1つのパターンの一部を示した
図38及び
図39において、第1の区域110(
図38の左側)は、幅の変化する第2の領域310のMD方向の列によって分離された幅の変化する第1の領域300の概ねMD方向の列によって特徴付けられる。第1の領域は、第1及び第2の領域300、310を画定する三次元形成要素20でもある。一実施形態では、三次元形成要素は、この説明文では第1の領域300である、形成ベルトの隆起要素の間又はその周囲に形成された不織布10の部分であり、得られる構造はZ方向に比較的大きな寸法を有する。隣接する第2の領域310は、第1の領域300と共通の示強的性質を一般的に有しており、一実施形態では、比較的小さい厚さ(すなわち、Z方向により小さい寸法)の値を有する。上記に述べた第1の表面16に対するZ方向の相対寸法を
図39に見ることができる。絶対寸法は重要ではないが、寸法の差は、拡大することなく不織布10上で視覚的に区別可能であり得る。
【0157】
本開示の発明は、微小区域内の三次元形成要素によって画定される領域に対して最もよく表される有用な特徴を可能とする。例えば、
図38に示されるように、各三次元形成要素20内の区域110内では、第1の領域300と第2の領域310との間に視覚的な差異がある。上記に述べたように、不織布10内には拡大せずとも視覚的な差異が存在しうるものであり、本明細書に用いた拡大図は分かりやすい開示の目的のためである。第1の領域300と第2の領域310との間の境界部にわたって充分に延びることにより、それぞれの示強的性質の差がその領域内にあるものと見なすことができるいずれの領域も微小区域となり得る。更に、ある構造の光学顕微鏡像又はマイクロCT画像を用いて各領域の位置及び微小区域の面積を確立することができる。
【0158】
図38に示される不織布10の部分は、隣接領域間の示強的性質の差が各区域にわたった差であり得るという点で布10の別の有用な特徴を更に示している。したがって、区域120の第2の領域310及び区域130の第1の領域300を含む領域にわたる微小区域を識別することができる。
図38及び
図39に示される不織布10を含む特定の実施形態では、微小区域内の領域によって示される示強的性質の差は、区域境界が区域内の領域によって示される示強的性質の差とは大きさにおいて大きく異なり得ることを示す。
【0159】
特定の微小区域がどの区域又はどの区域境界部を含むかによらず、三次元形成要素は三次元形成要素によって画定される各領域の示強的性質の差によって特徴付けることができる。一般的に、本開示の不織布は第1の表面の平面を画定する第1の表面を有するスパンボンド不織布であり得る。布は、それぞれが第1の領域及び第2の領域を画定する複数の三次元形成要素を有することができ、各領域はそれらの間で異なる値を有する共通の示強的性質を有する。一実施形態では、第1の領域は第1の表面の平面に対して第2の領域よりも高い高さにあり、したがって、各領域の共通の厚さの示強的性質の差を示すものとして区別することができる。これら2つの領域は、異なる密度、坪量、及び体積密度を有するものとして区別することもできる。すなわち、2つの領域は、スパンボンド不織布の微小区域内で厚さ、密度、坪量、及び体積密度などの性質を含む共通の示強的性質に関して異なるものとして区別することができる。一実施形態では、微小区域の一方又は両方の領域を流体透過性とすることができる。一実施形態では、微小区域のより高密度の領域を流体透過性とすることができる。
【0160】
例えば、
図38に示される布の部分の区域110内には、第1の領域300及び第2の領域310の少なくとも2つの領域を画定する三次元形成要素20が存在し得る。
図38に示される区域110の第1及び第2の領域間の厚さ、坪量、及び体積密度の差は、それぞれ、274μm、1gsm、及び0.437g/ccであり得る。
【0161】
同様に、例えば
図38に示される布の部分の区域130内には、第1の領域300及び第2の領域310の少なくとも2つの領域を画定する三次元形成要素20が存在し得る。
図38に示される区域130の第1及び第2の領域間の厚さ、坪量、及び体積密度の差は、それぞれ、2083ミクロン、116gsm、及び0.462g/ccであり得る。
【0162】
更に、例えば
図38に示される布の部分の区域120内には、第1の領域300及び第2の領域310の少なくとも2つの領域を画定する三次元形成要素20が存在し得る。
図38に示される布の部分の第1及び第2の領域間の厚さ、坪量、及び体積密度の差は、それぞれ、204μm、20gsm、及び0.53g/ccであり得る。示される実施形態では、区域120は、不織布10の非拡大図において、区域110と130との間の縫い合わされた境界部として見えているものを形成している。
【0163】
更に、例えば
図38に示される布の部分の区域120と130との間の境界部を含む区域では、区域130内の第1の領域300及び区域120内の第2の領域310の少なくとも2つの領域が存在している。
図38に示される布の部分の第1及び第2の領域間の厚さ、坪量、及び体積密度の差は、それぞれ、2027μm、58gsm、及び0.525g/ccであり得る。
【0164】
微小区域について、
図40~
図42、及び
図44に示されるデータを参照してより詳細に説明する。
図40~
図42は、
図38に示される不織布10の部分と同様のパターンを有する不織布10の部分のマイクロCTスキャンである。マイクロCTスキャンは、
図38に示されるものと同じ形成要素を若干異なる形で、かつ示強的性質の極めて正確な測定を可能とする形で説明することを可能とするものである。
【0165】
図40に示されるように、区域110、120、及び130は、それぞれの三次元形成要素20と共に明瞭に見えている。
図40及び
図41に示されるように、三次元形成要素は暗色部分であり、また、暗色は三次元形成要素20の第1の領域300も表しており、隣接する明色部分は三次元形成要素20の第2の領域310である。
【0166】
マイクロCTスキャンは、画像を
図41の切断面450によって示されるように「切断された」断面として示すことを可能とする。切断面は画像のどこに位置してもよいが、本開示の目的では、切断面450は
図42の断面画像が得られるようにZ軸に実質的に平行な断面で切断している。
【0167】
マイクロCT技術によって示強的性質の正確かつ直接的な測定が可能である。厚さの測定は、
図42に示される断面のように、倍率に基づいて画像化された断面から直接行うことができる。更に、第1の領域及び第2の領域間の色の差は、坪量、体積密度、及び他の示強的性質の差を表し、かつこれに比例しており、これらも同様に直接測定することが可能である。マイクロCT法については、下記の試験方法の項で説明する。
【0168】
図43は、
図40及び
図41に示される不織布10の部分のマイクロCTスキャン画像である。不織布10の番号付けされた部分として示される特定の第1及び第2の領域を用いて分析を行うことができる。
図43において、特定の領域をマニュアルで選択し、分析を行って厚さ、坪量及び体積密度を測定し、データを
図44に示す。
【0169】
図44は、
図44に示される3つの区域内で行った第1及び第2の領域の測定値のグループ分けのデータを示している。X軸は各領域であり、数値は
図43の番号付けされた領域に対応している。第1の領域の測定値はFn(例えば、F1)として示され、第2の領域の測定値はSn(例えば、S1)として示されている。したがって、領域1~5は第1の領域F1であり、それぞれ区域110内にある。領域6~10は第2の領域S1であり、やはり区域110内にある。同様に、第1の領域F2は区域120内の領域16~20であり、領域11~15及び21~25は区域120内の第2の領域S2である。最後に、領域31~35は区域130内の第1の領域F3であり、領域26~30は区域130内の第2の領域S2である。番号付けされた各領域は、
図44の3つのグラフの全てで同様に示されているが、簡略化のため、区域110、120、及び130は厚さのマップにのみ示している。
【0170】
図44に示される各グラフは、任意の1つの区域内の第1の領域と第2の領域との間の示強的性質の差の大きさをグラフで表したものであり、これらのグラフを使用して微小区域を構成する領域の各ペアについて示強的性質の差をグラフで見ることができる。例えば、区域110において、2つの領域間で坪量は実質的に同じであり得るが、厚さ(キャリパー)は、第1の領域の約400μm~第2の領域の約40μmまでで変化し得る(すなわち約10Xの差)。区域110内の体積密度は約0.1g/cc~約0.6g/ccまでで変化し得る。同様の定量可能な差違について、図に示された区域のそれぞれについて理解することができる。
【0171】
したがって、
図43及び
図44を合わせて参照すると、本開示の布10の有用な構造の更なる特性評価を理解することができる。不織布10は少なくとも2つの視覚的に区別される区域、例えば、区域110及び120を有するものとして述べることができ、これらの区域のそれぞれは三次元形成要素のパターンを有しており、三次元形成要素のそれぞれは、第1及び第2の領域、例えば、領域300、310を含む微小区域を画定し、第1の区域内の微小区域の少なくとも1つにおける値の差は、第2の区域内の微小区域の少なくとも1つにおける値の差に対して定量可能に異なっている。例えば、
図43において、区域130内の2つの代表的な微小区域400が、領域31と27、及び領域33と26として示された領域のペアとして指定されている。すなわち、第1の領域31と第2の領域27とが1つの微小区域を形成し、第1の領域33と第2の領域26とが1つの微小区域を形成している。同様に、区域120内の2つの代表的な微小区域400が、領域19と24、及び領域17と22として示された領域のペアとして指定されている。
図44から、下記に示されるような表4~7を得ることができる。
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
【0176】
2つの区域からの4つの代表的な微小区域を、説明のために表4~6に示した。しかしながら、理解されるように、
図43の第1及び第2の領域のそれぞれのペアは、表4の更なる列を構成するように定量することができるが、説明を簡潔にする目的でそうしていない。一般的に、微小区域を画定する三次元形成要素のパターンをそれぞれが有する2つ以上の区域を有する任意の布において、
図43及び
図44を参照して本明細書に示されるように示強的性質を測定して表にまとめることで、1つの区域内の示強的性質の値の差、及び第1の区域内の1つの領域と第2の区域内の別の領域との間の示強的性質の値の差の両方を理解することができる。
【0177】
区域110及び区域130のような2つの区域にわたる微小区域は、1つの区域内の微小区域に対して更に大きな示強的性質の差を有し得る。例えば、区域130の第1の領域(例えば第1の領域32)と、区域110の第2の領域(例えば第2の領域8)とにわたった微小区域のデータを見ると、この微小区域は厚さ、坪量及び体積密度の全てにおいて顕著な差を示している。区域130の第1の領域32の厚さが約2100μmであるのに対して、区域110の第2の領域8の厚さは約29μmである(すなわち約72Xの差)。同様に、区域130の第1の領域32の坪量は150gsmと高い値となり得るのに対して、区域110の第2の領域8の坪量は約14gsmであり得る(すなわち約10Xの差)。更に、区域130の第1の領域32の体積密度は約0.069g/ccとなり得るのに対して、区域110の第2の領域8の体積密度は0.492g/ccであり得る(すなわち約7Xの差)。
【0178】
1つの微小区域の異なる領域の測定された示強的性質のパラメータのそれぞれについて、本明細書に述べられるマイクロCT法を用いてこのような測定を行う。この方法の解像度は、微小区域の各領域の示強的性質を確立することを支持するため、本明細書に述べられるようにして各領域の差及び比の比較を行うことができる。
【0179】
不織布10及びその領域のより詳細な特定の態様を示すSEMである
図45~
図49を参照して布10の更なる特性評価を行うことができる。
図45~
図49は、
図38に示される布の区域110の拡大部分の写真図である。
図38に示される不織布10は、
図7を参照して上記に説明したプロセスに従って作製されたものであり、布は圧縮ロール70と72とによって形成されたニップに通されて加工され、第1の面12と接触するロール72が加熱されて第2の領域301内の繊維の部分的な接着をもたらす。
図45(ベルトに面する)及び
図46(加熱された圧縮ロールに面する)は、20倍に拡大された、それぞれ第2の表面14及び第1の表面12の部分のSEMである。
図47(ベルトに面する)及び
図48(加熱された圧縮ロールに面する)は、90倍に拡大された、それぞれ第2の表面14及び第1の表面12の部分の写真図であり、圧縮ロール70及び72によって形成された繊維の部分的な接着の有用な構造的特徴を詳細に示したものである。
【0180】
図47及び
図48、並びに
図49の断面図に最も分かりやすく見られるように、加熱された圧縮ロールは、異なる程度で繊維の熱接着を引き起こし、布10全体に有用な効果をもたらすことができる。図に示されるように、加熱されたロール(例えば布10の第1の表面12と接触するロール70)と接触した繊維は溶融接着されるため、第1の表面12は、第2の表面14よりも比較的高い繊維同士の接着を生じる。一実施形態では、第1の表面の接着繊維80は実質的に完全に溶融接着して接着繊維のフィルムスキンを事実上、形成し得るのに対して、第2の表面14上の第2の領域310内の繊維は接着をほとんど、又はまったく生じない。この特徴のため、使い捨て吸収性物品の例えばトップシートとして使用される不織布10は、製造時及び使用時に物理的一体性を維持できるばかりでなく、使用者に面する皮膚接触面となり得る一方の側において比較的高い柔軟性を維持することができる。
【0181】
最も大きい厚さの差を有する微小区域であっても、この「接着皮膜」効果は、柔軟性、又は液体処理特性などの他の有用な特性に大きく影響することなく、ウェブの一体性を維持する役割を果たす。
図50~
図53を参照することで理解されるように、繊維の熱接着の程度の差は、第2の領域310における第1の表面12上の繊維が完全、又は実質的に完全であり得るようなものであるのに対して、第1の領域300における第2の表面14上の繊維の熱接着の程度は最小であるか又は熱接着をまったく生じていない。
【0182】
図50は、やはり
図38に示される不織布10の部分を示している。
図51~
図53は、視覚的には穴又は開口部のように見える、
図50において第1の領域300及び第2の領域310として示される1つの微小区域の拡大画像を示したものである。
図51及び
図52は、それぞれ40倍及び200倍に拡大された第2の表面14上に見られる微小区域を示している。
図53は、倍率200倍で第1の表面12上に見られる第2の領域310を示している。第2の領域310内の繊維が完全、又は完全に接着されているのに対して、第1の領域300内の繊維は完全、又は実質的に完全に非接着状態である。図に示される構造の利点は、微小区域が流体透過性開口部として機能し得る一方で、同時に第2の領域310の接着領域が布10の物理的一体性を維持するように機能することである。
【0183】
したがって、微小区域は、本発明の布10の全体の物理的構造及び機能において重要な役割を果たす。本開示の形成ベルトによって実現される、比較的近い間隔の、正確に設計された三次元形成要素を製造することで、布10は、少なくとも柔軟性及び液体処理性の領域において優れた機能性を与えるばかりでなく、視覚的に魅力的な美的デザインを与える、視覚的に区別される区域、微小区域、及び三次元形成要素を呈することができる。第1の表面と第2の表面との物理的特性の潜在的な差により、強度及び柔軟性の両方、形態及び機能の両方の観点から不織布10を設計することが可能である。
【0184】
図54は、
図40及び
図41に示されるものと似ているが、カレンダーローラ71及び73のニップ内で点接着部90を形成する更なる加工工程に供された不織布10の部分のマイクロCTスキャン画像である。上記と同様、
図43及び
図44の説明に関して、特定の点接着部の微小区域400について、不織布10の番号付けされた部分として示される第1及び第2の領域を分析することができ、特に番号付けされた領域31~35において点接着部の領域を含み得る。例えば、隣接した領域23と26とは、第3の区域130内に微小区域400を形成している。
図54では、特定の領域は、付加された点接着領域を含む領域を識別するために視覚的に区別されており、これを分析して厚さ、坪量及び体積密度を測定し、データを
図55に示し、点接着領域を含む全ての領域の厚さ、坪量及び体積密度を定量して比較した。
【0185】
図55は、
図54に示される3つの区域内で行った第1及び第2の領域の測定値のグループ分けのデータを示している。X軸は各領域であり、数値は
図43の番号付けされた領域に対応している。第1の領域の測定値はFn(例えば、F1)として示され、第2の領域の測定値はSn(例えば、S1)として示されている。したがって、領域1~5は第1の領域F1であり、それぞれ区域110内にある。領域6~10は第2の領域S1であり、やはり区域110内にある。同様に、第1の領域F2は区域120内の領域16~20であり、領域11~15及び21~25は区域120内の第2の領域S2である。最後に、領域31~35は第2の領域であるが、
図55でB1として示される点接着部90であり、本開示においてこれらの点接着部90を点接着プロセスによって形成されたものとして区別している。区域130内の第1の領域F3は領域26~30及び36~40であり、領域41~44は区域130内の第2の領域S2である。番号付けされた各領域は、
図55の3つのグラフの全てで同様に示されているが、簡略化のため、区域110、120、及び130は厚さのマップにのみ示している。
【0186】
図54に示される各グラフは、カレンダー加工による点接着工程に供された布の任意の1つの区域内の第1の領域と第2の領域との間の示強的性質の差の大きさをグラフで表したものであり、これらのグラフを使用して微小区域を構成する領域の各ペアについて示強的性質の差をグラフで見ることができる。例えば、区域110では、2つの領域間の坪量は、厚さ又は体積密度よりも狭い範囲内で変化し得ることが分かる。例えば、厚さ(キャリパー)は、区域110の第1の領域における約325μm~第2の領域における約29μmまでで変化し得る(すなわち約10Xの差)。区域110内の体積密度は約0.08g/cc~約0.39g/ccまでで変化し得る。同様の定量可能な差違について、図に示された区域のそれぞれについて理解することができる。
【0187】
一般に、微小区域の各領域は、坪量、厚さ、及び体積密度について幅広く変化する値を有し得る。
【0188】
したがって、
図54及び
図55を合わせて参照すると、特に熱カレンダー点接着部90に関して本開示の布10の有用な構造の更なる特性評価を理解することができる。説明の目的で区域130に注目すると、点接着された領域である第1及び第2の領域を含む微小区域を画定する三次元形成要素を識別し、示強的性質の値を定量することができる。例えば、
図54において、区域130内の代表的な点接着微小区域400は、領域26と32、又は領域30と35として示された領域のペアとすることができる。すなわち、第1の領域26と第2の領域32とが1つの点接着微小区域400を形成し、第1の領域30と第2の領域35とが1つの点接着微小区域400を形成している。
【0189】
点接着微小区域の特定の示強的性質の差を
図55に見ることができる。例えば、上記に述べた2つの点接着微小区域400(例えばそれぞれ、領域26と32及び領域30と35の2つの点接着微小区域400)を例に取ると、第1の領域と第2の領域との間には約55~約60gsmの範囲の坪量のわずかな差があるが、同じ領域が約430μm~約460μmから約125μmの厚さの大きな差を示し、約0.13~0.14g/ccから約0.41~0.48g/ccの体積密度の大きな差を示すことが分かる。示強的性質の他の差を、
図55を参照して見ることができる。
【0190】
点接着部90は、本発明の布10の全体の物理的構造及び機能において重要な役割を果たし得る。本開示の形成ベルトによって実現される、比較的近い間隔の、正確に設計された三次元形成要素を含む布10に点接着部90を付加することにより、布10は、柔軟性、強度、低い毛羽立ち、及び液体処理性の高性能の組み合わせにおいて優れた機能性を与えるばかりでなく、視覚的に魅力的な美的デザインを与える、視覚的に区別される区域、微小区域、及び三次元形成要素の予想外の組み合わせを呈するように更に改良されることができる。点接着形成部は、不織布10を、特に形態及び機能を考慮した場合に、強度、柔軟性、液体処理性、及び視覚的美観の最も高い組み合わせ性能が得られるように設計することを可能とする。
【0191】
本開示の成形不織布ウェブの1つの利点は、改善された柔軟性である。柔軟性は、エムテック・ペーパー・テスティング・テクノロジー社(Emtec Paper Testing Technology)社(Emtec Electronic, GmbH.)より販売されるEmtec Tissue Softness Analyzerを使用して測定することができる。下記表5は、以下のEmtec試験方法にしたがった、Emtec Tissue Softness AnalyzerからのTS7測定値としての柔軟性値を示す。下記実施例7~9の全てにおいて、
図16に記載のベルト上で不織布を作製し、不織布ウェブは
図2に示されるものと同様の外観を有するものとした。
【0192】
【0193】
(実施例7):
ポリエチレンシース(ダウ・ケミカル社(Dow chemical company)より入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(ライオンデル・バセル社(LyondellBasell)より入手したPH-835)とを、50:50の比で、実施例2に関して上記に述べたように三葉型繊維の形態に紡糸することによって、2成分スパンボンド不織布を製造した。不織布は、約25m/分の線速度で動く
図16で述べたような繰り返しパターンを有する形成ベルト上に紡糸して、
図2に示される菱形の繰り返しパターンを有する平均坪量25g/m
2の布地10を形成した。布地の繊維は、圧縮ロール70、72によって圧縮したが、カレンダー加工ではなく、145℃の温度で
図56に関して下記に述べるような通気結合ユニットによって更なる結合を得た。
【0194】
(実施例8):
ポリエチレンシース(ダウ・ケミカル社(Dow chemical company)より入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(ボレアリス社(Borealis)より入手したHG475FP)とを30:70の比で、
図56で述べるような二重ビームスパンボンドプロセスを用いて丸型繊維の形態に紡糸することによって製造した2成分スパンボンド不織布。不織布は、
図7に関して上記に述べたようにして、約152m/分の線速度で動く
図16で述べた繰り返しパターンを有する形成ベルト上に平均坪量35g/m
2となるように紡糸して、
図2に示されるような菱形の繰り返しパターンを形成した。
図7のプロセスに従って製造された成形不織布ウェブと実施例8との相違は、実施例8が、
図7で述べたプロセスと、下記の
図56で述べるプロセスとの組み合わせにより製造された点である。具体的には、プロセスは、
図56に示されるような2個のスピンビームを用いるが、最終的な加熱工程は、通気結合ではなくカレンダーロール71、73により行った。布地の繊維は、第1のビーム48Aの後で110℃に加熱された圧縮ロール70A及び72Aによって第1の表面12上に結合され、更に第2のビーム48Bの後で110℃の圧縮ロール70B及び72Bにより結合され、更にカレンダーロール71及び73で約140℃でカレンダー結合された後、巻き取り機75においてリールに巻き取られた。
【0195】
(実施例9):
ポリエチレンシース(ダウ・ケミカル社(Dow chemical company)より入手したAspun-6850-A)と、ポリプロピレンコア(ボレアリス社(Borealis)より入手したHG475 FP)とを30:70の比で、
図56で述べるような二重ビームスパンボンドプロセスを用いて丸型繊維の形態に紡糸することによって製造した2成分スパンボンド不織布。不織布は、約228m/分の線速度で動く
図16で述べた繰り返しパターンを有する形成ベルト上に平均坪量25g/m
2となるように紡糸して、
図2に示されるような菱形の繰り返しパターンを形成した。布地の繊維は、第1のビーム48Aの後で110℃に加熱された圧縮ロール70A及び72Aによって第1の表面12上に結合され、更に第2のビーム48Bの後で110℃の圧縮ロール70B及び72Bにより結合され、更に通気接着機76(
図56に示される)の100℃、135℃及び135℃の3つの加熱区域において高温通気結合された後、巻き取り機75においてリールに巻き取られた。
【0196】
実施例7~9は、Emtec測定値によって示されるように、高い柔軟性を示す本開示の成形不織布を代表するものである。Emtec測定値は、約1dB V2rms~約15dB V2rms、又は約3dB V2rms~約10dB V2rms、又は約5dB V2rms~約8dB V2rmsでありうる。一般に、第1の表面又は第2の表面のいずれかのEmtec測定値は、約15dB V2rms以下の任意の整数値、及び1~15の間の任意の整数の範囲でありうる。更に、一般に、第2の面に対する第1の面のEmtecの測定値の比は1~3であってよく、1~3の任意の実数であってよい。
【0197】
理論に束縛されるものではないが、本発明の成形不織布が示す柔軟性の向上は、開示された区域及び微小区域を含む比較的小さな区域において異なる示強的性質を可能にする本発明の方法及び装置によって実現されるものと考えられる。例えば、坪量、密度、又は厚さにおける開示された相違を有する不織布を設計及び製造する一方で、吸収性物品のトップシートに有用な固結された布地を同時に与えることが可能であることにより、例えば、従来からの課題であった、表面テクスチャと柔軟性との間の技術的矛盾が解消される。すなわち、本開示の成形不織布は、不規則なパターンを含む視覚的に目立つ表面テクスチャと共に、Emtec測定値によって示されるような優れた柔軟性を提供することができる。更に、本開示の成形不織布は、視覚的に目立つ表面テクスチャと物理的一体性及び低い毛羽立ち特性との組み合わせを、Emtec測定値によって示されるような優れた柔軟性を共に提供することができる。
【0198】
上記に述べたように、1つの例では、成形不織布を製造するためのプロセスは、
図7に関して述べたプロセスを改変したものとすることができる。かかる改変の1つを
図56に関連して説明する。
図56に示すように、プロセスは、2個以上のスピンビームを用いる溶融紡糸プロセスにおいて、上記に述べたようなベルト60を含むことができる。紡糸パック48A及び48Bのみを概略的に示したように、2個のビームを使用してベルト60上に繊維を溶融紡糸し、それぞれのビームの後で圧縮操作70A、72A及び70B、72Bを行うことができる。真空ボックス64A及び64Bを、それぞれのスピンビーム48A及び48Bとそれぞれ機能的に関連付けることができる。
【0199】
繊維をベルト60上に紡糸した後、上記に述べたように圧縮中に必要に応じて熱接着を行って圧縮した後、それぞれ独立して温度制御される3つのチャンバ76A、76B及び76Cのような複数のチャンバを有することができる通気ヒーター76によって、成形された不織布ウェブに更なる加熱を行うことができる。
【0200】
上記の実施例7及び9は、
図56に概略的に示されるプロセスにおいて二重ビームプロセスラインで作製され、通気結合されたものである。理論に束縛されるものではないが、通気結合は、表5のTS7値の差によって示されるように、成形不織布の三次元形成要素の三次元特性の大部分を保持すると考えられる。あるいは、面形成部がより少ない不織布が望ましい場合、表5の実施例8に示されるように、カレンダー結合がTS7値を更に均一とする傾向があると考えられる。したがって、このプロセスのパラメータを本明細書に述べられるように制御することで、成形不織布の各面(すなわち表面)で所定の柔軟性を実現することができる。
【0201】
本明細書に開示されている寸法及び/又は値は、列挙される正確な数値寸法及び/又は値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。むしろ、別段の指定のない限り、このような各寸法及び/又は値は、列挙した寸法及び/若しくは値、並びに/又はその寸法及び/若しくは値の近辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図している。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0202】
あらゆる相互参照又は関連特許若しくは関連出願を含む、本明細書に引用される全ての文献は、明確に除外ないしは別の方法で限定されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明全てを教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0203】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。
【0204】
試験方法:
圧縮エイジング試験
初期キャリパーの測定:
・測定する不織布1枚当たり5つの3インチ×3インチの試料を切り出す。
・各試料に1~5まで番号を付与する。
・常法にしたがい、Thwing-Albertキャリパー試験機を使用して標準的な65mmフットを用い、0.5kPaでのキャリパーを測定する。
・5つの試料のそれぞれについて、初期のキャリパーを報告する。
・5つの試料の平均キャリパーを報告する。
【0205】
エイジング圧縮方法及びエイジングキャリパー測定
・5つの試料を、それぞれをペーパータオルで分離して、それぞれ試料番号1で始まり、5で終わる積み重ね体として交互に積み重ねる。
・交互に積み重ねられた試料を、試料の上に適当な重り(4kPa、14kPa、又は35kPa)を載せてアルミニウム製の試料ホルダーに入れる。
・重りを載せた積み重ね試料を40℃のオーブンの中に15時間置く。
・15時間後に重りを除き、試料を分離し、常法にしたがい、標準的な65mmフットのThwing-Albertキャリパー試験機を用いて0.5kPaでの各試料のキャリパーを測定する。
・5つの試料のそれぞれについてエイジング後のキャリパーの値を報告する。
・5つの試料のエイジング後の平均のキャリパーを報告する。
【0206】
分析結果の報告:
・位置番号別に平均の初期及びエイジング後のキャリパーを報告する。
・キャリパー回復指数を報告する。すなわち、
(平均のエイジング後のキャリパー/平均の初期のキャリパー)×100
【0207】
局所坪量
不織布の局所坪量は、いくつかの利用可能な方法によって測定することができるが、簡単な代表的な1つの方法では、3.0cm2の面積を有する打ち抜き型を用い、これを使用して不織布の全体の面積から選択された領域からウェブの試料片を切り出す。次に試料片を秤量し、その面積で割ることによって、不織布の局所坪量をg/m2の単位で得る。結果を、選択された領域当たり2個の試料の平均として報告する。
【0208】
毛羽立ち度試験
毛羽立ち度試験を用いて、研磨力の作用によって不織布材料から剥離する繊維の量(すなわち、毛羽立ち度)を測定する。
【0209】
毛羽立ち度試験では以下の材料を使用する。すなわち、
・テキサス州サンアントニオ所在のダニリー社(Danilee Co)より販売される2lbの重りを備えたSutherlandインク摩擦試験機。
・プリムス・コーティング社(Plymouth Coatings)((617)447~7731)により製造される酸化アルミニウムクロス320砥粒ショップロール。この材料は、マクマスター・カー社(McMaster Carr)(部品番号468.7A51、(330)995~5500)より注文することもできる。
・ネザーランド・ラバー社(Netherland Rubber Company)((513)733~1085)より販売される3M #409両面テープ。
・ネザーランド・ラバー社(Netherland Rubber Company)((513)733~1085)より販売される3M #3187繊維除去テープ。
・化学てんびん(+/-0.0001g)
・ペーパーカッター
・2200gの重り(金属製)170mm×63mm。
・キャリパー0.0445インチ(1.13mm)の厚型剥離紙ライナボール紙。
【0210】
材料の調製
酸化アルミニウムクロスを長さ7.5インチ(19.0cm)に測定して切断する。長さ6.5インチ(16.5cm)の3M #3187テープ片を測定して切断する(各試料片について2片のテープ)。取り扱いやすいように3M #3187テープの両端を約0.25インチ(0.6cm)、下に折り曲げる。3M #3187テープをその後の使用に備えて厚型剥離紙上に置く。
【0211】
試料の調製
どの材料を扱う、又は試験する前にも、石鹸と水で手を洗って余分な油分を手から取り除く。必要に応じてゴム手袋を着用してもよい。試験する不織布の試料を、MD方向に少なくとも11cm、CD方向に4cmの大きさに切断する。試験する不織布の試料を試験する側を下に向けて広げて置く。3M #409両面テープの少なくとも11cmの長さをロールから出して切り取る。裏紙を剥がし、両面テープの裏紙に面していた側を試料不織布に機械方向(MD)に縦に貼りつける。露出したテープを覆って裏紙を置く。ペーパーカッターを用いて、試験試料をテープを貼ったMD方向に11cm、CD方向に4cmの領域内で切断する。
【0212】
試験手順
1.酸化アルミニウムクロスの切片を、2lbの重りを使用してSutherlandインク摩擦試験機上に載せる。酸化アルミニウムクロスの第2の切片を厚型剥離紙ライナボール紙の上に置く(各試験ごとに新しい紙片を使用する)。両方を2lbの重りの上に置く。各辺がクリップの形に折れ曲がる(このとき、酸化アルミニウムクロスと厚型剥離紙ライナボール紙とが平らになるようにする)。
2.この試料をSutherlandインク摩擦試験機のプラットフォーム上に金属プレート上に中心を合わせて載せる。2200gの重りを試料の上に20秒間置く。
3.金属プレートと2lbの重りをSutherlandインク摩擦試験機に取り付ける。
4.摩擦試験機を作動させる。カウンターのライトが点灯しない場合、リセットボタンを押す。カウンターボタンを押して摩擦サイクルを20サイクルに設定する。速度ボタンを使用して遅い速度である速度1を選択する(ライトは点灯しない)。「スタート」を押す。
5.摩擦試験機が停止したら、ほつれた微小繊維(毛羽)が失われないように注意しながら酸化アルミニウムクロス/重りを慎重に取り除く。場合によっては、微小繊維は酸化アルミニウムクロスと試料不織布の表面の両方に付着する。重りをひっくり返してベンチの上に置く。
6.剥離紙が付いたままの繊維除去テープを秤量する。繊維除去テープの折り曲げられた端をつまんで剥離紙を剥がして脇に置く。テープを静かに酸化アルミニウムクロス上に置いて毛羽を全て取り除く。繊維除去テープを剥がして剥離紙上に再び置く。この繊維除去テープを秤量して重量を記録する。
7.予め秤量した別の繊維除去テープ片の折り曲げられた端をつまむ。この繊維除去テープを、摩擦された不織布試料の表面上に静かに置く。平板な金属プレートを繊維除去テープの上に置く。
8.2200gの重りを金属プレートの上に20秒間置く。繊維除去テープを剥がす。指紋が付かないように、予め秤量した繊維除去テープの折り曲げられた端をつまむ。予め秤量した繊維除去テープを剥離紙上に再び置く。この繊維除去テープを秤量して重量を記録する。
9.毛羽の重量は、両方の繊維除去テープの重量増分の合計である。
10.毛羽の重量を10回の測定の平均として報告する。
【0213】
計算
所与の試料について、酸化アルミニウムクロスから回収された毛羽の重量(g)と、擦過された試料不織布から回収された毛羽の重量(g)とを加え合わせる。合計重量(g)に1000を掛けてミリグラム(mg)に変換する。この測定値を絶対重量損失から単位面積当たりの重量損失に変換するには、毛羽の総重量を摩擦された領域の面積で割る。
【0214】
空気透過率試験
空気透過率試験を用いて、形成ベルトを通過する空気流の大きさを、立方フィート/分(cfm)の単位で測定する。空気透過率試験は、スイス、シュヴェルツェンバハ、Sonnenbergstrasse 72、CH 8603所在のテクステスト社(Textest AG)より販売されるTextest InstrumentsモデルFX3360 Portair空気透過率試験機で行った。この装置は、300~1000cfmの空気透過率の範囲では20.7mmのオリフィスプレートを用いる。空気透過率が300cfm未満である場合、オリフィスプレートを小さくする必要がある。1000cfmを超える場合、オリフィスプレートを大きく必要がある。形成ベルトの局所区域で空気透過率を測定することで形成ベルトにわたった空気透過率の差を調べることができる。
【0215】
試験手順
1.FX3360装置を起動する。
2.以下の設定を有する既定の方式を選択する。
a.材料:標準
b.測定特性:空気透過率(AP)
c.試験圧力:125Pa(パスカル)
d.T係数:1.00
e.試験ポイントのピッチ:0.8インチ。
3.20.7mmのオリフィスプレートを形成ベルトの頂部側(三次元突起のある面)の対象とする位置に配置する。
4.試験装置のタッチスクリーンで「スポット測定」を選択する。
5.必要であれば測定の前にセンサーをリセットする。
6.リセット後、「スタート」ボタンを選択して測定を開始する。
7.測定値が安定するまで待ち、スクリーン上のcfrmの測定値を記録する。
8.再び「スタート」ボタンを選択して測定を停止する。
【0216】
バッグ内積み重ね高さ試験
吸収性物品のパッケージのバッグ内積み重ね高さは、以下のとおりに決定する。
【0217】
機器
平坦な剛性の水平スライディングプレートを備えた厚さテスタが使用される。厚さテスタは、水平スライディングプレートが平坦な剛性の水平ベースプレートのすぐ上で水平の向きに常に維持された状態で、水平スライディングプレートが垂直方向に自由に移動するように構成される。厚さテスタは、水平スライディングプレートと水平ベースプレートとの間の間隙を±0.5mm以内で測定するのに好適な装置を含む。水平スライディングプレート及び水平ベースプレートは、各プレートと接触する吸収性物品パッケージの表面よりも大きい(即ち、全ての方向で各プレートは吸収性物品パッケージの接触表面を越えて延在する)。水平スライディングプレートは、吸収性物品パッケージに下方への力850±1重量グラム(8.34N)を加えるが、これはスライディングプレートの合計質量に付加重量を足して850±1グラムとなるように、水平スライディングプレートのパッケージに接触しない上面の中央に好適な重しを置くことによって達成し得る。
【0218】
試験手順
吸収性物品パッケージを、測定前に、23±2℃及び50±5%の相対湿度で平衡化する。
【0219】
水平スライディングプレートを上げ、パッケージ内の吸収性物品が水平方向になるような形で、吸収性物品パッケージを水平スライディングプレートの下で中央に配置する(
図XXを参照のこと)。プレートのどちらかに接触するであろうパッケージの表面上にある任意のハンドル又は他のパッケージング機構を、パッケージの表面に対して平坦に折り重ねることで、測定に対する影響を最小限にする。水平スライディングプレートを、パッケージの上面に接触するまでゆっくり下げてから、解放する。水平スライディングプレートを解放してから10秒後に、水平プレート間の間隙を±0.5mm以内で測定する。5つの同一パッケージ(同じサイズのパッケージ及び同じ吸収性物品数)を測定し、算術平均をパッケージ幅として報告する。「バッグ内積み重ね高さ」=(パッケージ幅/積み重ね当たりの吸収性物品数)×10を計算し、±0.5mm以内で報告する。
【0220】
マイクロCTによる示強的性質の測定方法
このマイクロCTによる示強的性質の測定方法では、基材試料の視覚的に区別可能な領域内の坪量、厚さ、及び体積密度の値を測定する。この方法は、マイクロCT器具(適当な器具は、スキャンコ・メディカル社(Scanco Medical AG)(スイス)より販売されるScanco μCT 50、又はこれに相当する器具である)で得られる3D X線試料画像の分析に基づいたものである。このマイクロCT器具は、遮蔽キャビネットを備えた円錐ビームマイクロトモグラフである。メンテナンスフリーX線管を、焦点の直径が調節可能な線源として使用する。X線ビームは試料を通過し、X線の一部は試料によって減衰される。減衰の程度は、X線が通過しなければならない材料の質量と相関する。透過したX線は、デジタル検出器アレイに入射して試料の2D投射像を生成する。回転させた試料の複数の個別の投射像を収集し、次いでこれらの投射像を単一の3D画像として再構成することによって試料の3D画像が生成される。器具は、コンピュータで動作するソフトウェアと連動されることで画像の取得を制御し、生データを保存する。次いで、3D画像は画像解析ソフトウェア(適当な画像解析ソフトウェアは、マサチューセッツ州ネイティック所在のザ・マスワークス社(The Mathworks, Inc.)より販売されるMATLAB又はこれに相当するソフトウェアである)によって試料内部の領域の坪量、厚さ、及び体積密度の示強的性質を測定するために分析される。
【0221】
試料の調製:
測定用の試料を得るため、乾燥した基材材料の1枚の層を平らに広げて置き、直径30mmの円形片を打ち抜く。
【0222】
基材材料が、例えば、トップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、又は他の構成層などの吸収性物品の層である場合には、吸収性物品を固い平坦面にテープで貼り付けて平面状の形態とする。個々の基材層を吸収性物品から慎重に分離する。必要に応じて、メス及び/又は低温スプレー(Control Company(Houston TX)製Cyto-Freeze)を使用して、更なる下層から基材層を除去することにより、材料の縦方向及び横方向の延在を防止することができる。基材層が物品から除去されたなら、上述したように試料の打ち抜きを行う。
【0223】
基材材料が湿潤拭き取り用品の形態である場合には、湿潤拭き取り用品の新しいパッケージを開封してパッケージから積み重ね全体を取り出す。積み重ねの中ほどから1枚の拭き取り用品を抜き取り、これを平らに広げて置き、完全に乾燥させた後、分析用の試料を打ち抜く。
【0224】
分析を行う視覚的に区別可能な区域を含む任意の位置から試料を切り取ることができる。1つの区域内において分析を行う領域は、1つの微小区域を画定する三次元形成要素に不随した領域である。微小区域は少なくとも2つの視覚的に区別可能な領域を含む。区域、三次元形成要素、又は微小区域は、テクスチャ、高さ、又は厚さが変化しているために視覚的に区別可能である。同じ基材材料から採取された異なる試料内の領域を分析し、互いに比較することができる。試料を採取する位置を選択する場合、折れ目、皺、又は破れを避けるように注意を払う必要がある。
【0225】
画像の取得:
製造者の仕様書に従ってマイクロCT装置を準備して較正する。試料を、25mmの内径を有する低密度材料の2個のリング間で適切なホルダー内に配置する。これにより、試料の中央部分を水平とし、その上面及び下面に他の材料が直接隣接していない状態で走査することができる。測定値はこの領域で取られなければならない。3D画像の視野はXY平面内で各辺が約35mmであり、約5000×5000ピクセルの解像度を有し、試料のZ方向を完全に含むだけの充分な数の厚さ7μmのスライスが集められる。再構成された3D画像解像度は7μmの等方性ボクセルを含む。画像は、更なる低エネルギーフィルターを用いることなく45kVp、133μAの電源を用いて取得される。これらの電流及び電圧の設定値は、充分なX線が試料を透過して投射データのコントラストが最大となるように最適化することができるが、ひとたび最適化された後は全ての実質的に同様の試料について一定に維持される。積分時間1000ms及び3つの平均で、合計1500枚の投射画像が得られる。これらの投射画像は3D画像に再構成され、16ビットのRAWフォーマットで保存されることで、分析用の完全な検出器出力シグナルを保存する。
【0226】
画像処理:
画像解析ソフトウェアに3D画像をロードする。3D画像の閾値を、空気によるバックグラウンドシグナルを分離、除去するが、基材内の試料繊維からのシグナルは維持する値に設定する。
【0227】
閾値3D画像から2Dの示強的性質の画像が3つ生成される。第1は、坪量の画像である。この画像を生成するには、XY平面のスライス内の各ボクセルの値を、試料からのシグナルを含む他のZ方向のスライス内の対応するボクセルの値の全てと合計する。これにより2D画像が生成され、この各ピクセルは、試料全体を通じた累積シグナルに等しい値を有することになる。
【0228】
坪量画像内の生データ値を実際の値に変換するため、坪量較正曲線が生成される。分析される試料と実質的に同様の組成を有し、均一な坪量を有する基材を得る。上記に述べた手順に従って較正曲線用基材の少なくとも10個の複製試料を得る。質量を0.0001g単位で測定し、試料の面積で割り、g/平方メートル(gsm)に変換することによって、単一層の較正試料のそれぞれの坪量を正確に測定し、平均を0.01gsm単位で計算する。上記に述べた手順に従って、較正用試料基材の単一層のマイクロCT画像を取得する。上記に述べた手順に従って、マイクロCT画像を処理し、生データ値を含む坪量画像を生成する。この試料の実際の坪量の値は、較正用試料で測定された平均の坪量の値である。次に、2層の較正用基材試料を互いの上に積み重ね、2層の較正用基材のマイクロCT画像を取得する。両方の層を合わせた坪量の生データ画像を生成する。その実際の坪量の値は、較正用試料で測定した平均の坪量の値の2倍に等しい。単一層の較正用基材を積み重ね、全ての層のマイクロCT画像を取得し、その実際の坪量の値が層の数に較正用試料で測定した平均の坪量の値を掛けたものに等しい、全ての層の生データの坪量画像を生成する、この手順を繰り返す。合計で少なくとも4つの異なる坪量較正画像が得られる。正確な較正を確実とするには、較正用試料の坪量の値は、分析される元の試料の坪量の値の上下の値を含む必要がある。較正曲線は、4つの較正用試料について実際の坪量の値に対する生データの線形回帰を行うことによって生成される。この線形回帰は少なくとも0.95のR2値を有していなければならず、そうでない場合には較正手順全体を繰り返す。次にこの較正曲線を用いて生データの値を実際の坪量に変換する。
【0229】
第2の示強的性質の2D画像は厚さの画像である。この画像を生成するには、試料の上面と下面を特定し、これらの表面の間の距離を計算して試料の厚さを得る。試料の上面は、最も上のZ方向のスライスから開始し、試料を通じて進みながら各スライスを評価していくことで、試料シグナルが最初に検出されたXY平面内の全てのピクセル位置についてZ方向のボクセルの位置を特定することによって特定される。試料の下面を特定するには、位置特定されるZ方向のボクセルが、試料シグナルが最後に検出されたXY平面内の全ての位置である点を除いて同じ手順にしたがう。上面と下面が特定された時点で、これらを15×15のメディアンフィルターによって平滑化して逸脱繊維からのシグナルを除去する。次いで、XY平面内のピクセル位置のそれぞれについて上面と下面との間に存在するボクセルの数をカウントすることによって2Dの厚さ画像を生成する。次いで、ボクセルのカウントに7μmスライスの厚さ解像度を掛けることによりこの生の厚さ値を、μm単位の実際の距離に変換する。
【0230】
第3の示強的性質の2D画像は体積密度の画像である。この画像を生成するには、gsm単位の坪量画像内のXY平面のピクセル値のそれぞれを、μm単位の厚さ画像内の対応するピクセルで割る。体積密度画像の単位はg/立方センチメートル(g/cc)である。
【0231】
マイクロCTによる坪量、厚さ、及び体積密度の示強的性質:
分析を行う領域を特定することにより開始する。分析を行う領域は、1つの微小区域を画定する三次元形成要素に付随した領域である。微小区域は少なくとも2つの視覚的に区別可能な領域を含む。区域、三次元形成要素、又は微小区域は、テクスチャ、高さ、又は厚さが変化しているために視覚的に区別可能である。次に、分析を行う領域の境界を特定する。領域の境界は、試料内の他の領域と比較した場合に示強的性質の差の視覚的な区別によって特定される。例えば、領域の境界は、試料の別の領域と比較した場合に厚さの差を視覚的に区別することに基づいて特定することができる。いずれの示強的性質を用いてもマイクロCTによる示強的性質の画像のいずれのものの物理的試料自体の領域の境界を区別することができる。領域の境界が特定された時点で、楕円形又は円形の「対象領域(region of interest、ROI)」を領域の内側に描く。ROIは、少なくとも0.1mm2の面積を有し、特定された領域を表す示強的性質の値を有する面積を測定するように選択する必要がある。計算された3つの示強的性質の画像のそれぞれから、ROI内の平均の坪量、厚さ、及び体積密度を計算する。これらの値を、その領域の坪量として0.01gsm単位で、厚さとして0.1μm単位で、更に体積密度として0.0001g/cc単位で記録する。
【0232】
Emtec試験方法
TS7及びTS750値は、Emtec TSAソフトウェア(バージョン3.19又はこれに相当するもの)を実行するコンピュータに接続されたEMTEC Tissue Softness Analyzer(「Emtec TSA」)(エムテック・エレクトロニック社(Emtec Electronic GmbH)、ドイツ、ライプツィヒ)を使用して測定される。Emtec社によれば、TS7値は、実際の材料の柔らかさと相関し、TS750値は、材料のフェルト平滑度/粗さと相関している。Emtec TSAは、規定の較正された回転速度(製造業者によって設定される)及び100mNの接触力で試験試料上で回転する垂直ブレードを備えたロータを有している。垂直ブレードと試験片との接触によって振動が発生し、この振動が器具内のマイクロフォンによって記録される音を発生する。記録された音声ファイルは、Emtec TSAソフトウェアによって分析される。試料調製、器具操作、及び試験手順は、機器製造者の仕様書に従って行う。
【0233】
試料の調製
試験試料は、最終製品から正方形又は円形の試料を切り出すことによって調製される。試験試料は、試料をTSA機器内に適切に固定することができるように、約90mm以上及び約120mm以下の長さ及び幅(又は円形の場合は直径)に(これらの寸法のいずれかにおいて)切断される。試験試料は、試験領域内に穿孔、しわ、又は折り目がないように選択される。試験のために、8つの実質的に同様の複製試料を調製する。TSA試験を実施する前に、全ての試料をTAPPIの標準温度及び相対湿度条件(23℃±2℃及び50%±2%)で少なくとも2時間平衡化する。TSA試験もTAPPI条件下で行う。
【0234】
試験手順
Emtec参照基準(「参照2試料」)を用いた1点較正法を用いて製造者の指示に従って機器を較正する。これらの参照試料がない場合、製造者によって提供される適当な参照試料を使用する。結果がEmtec参照標準(「参照2試料」)による1点較正法を用いた場合に得られるものと同等となるように、製造業者の推奨及び指示に従って機器を較正する。
【0235】
試験用の布地の8つの複製試料を提供する。試験試料を、1つの面を上にして器具に取り付け、製造者の指示に従って試験を実施する。試験が完了すると、ソフトウェアがTS7及びTS750の値を表示する。これらの値のそれぞれを0.01dB V2rms単位で記録する。次いで、試験試料を器具から取り外して処分する。この試験を複製試料のうちの4つのものの同じ表面上で、次いで、他の4つの複製試料の他の表面上で個別に実施する。第1の試験表面は、本明細書に開示される成形不織布の第1の表面12又は第2の表面14のいずれかとすることができる。
【0236】
第1の試験表面から得たTS7及びTS750の4つの試験結果値の平均を求める(単純な数値平均を用いる)。第2の試験表面から得たTS7及びTS750の4つの試験結果の値について同じ手順を行う。特定の試験試料の第1及び第2の試験表面の両方について、TS7及びTS750の個々の平均値を0.01 dB V2rms単位で報告する。更に、第2の試験表面に対する第1の試験表面のTS7の比を、第1の試験表面の平均TS7を第2の試験表面の平均TS7で割って計算する。
【0237】
本開示の発明は、以下の段落のいずれかによって記述されうる。
A.スパンボンド不織布であって、スパンボンド不織布が、
a.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面の少なくとも一方の上の少なくとも第1及び第2の視覚的に区別可能な区域と、を含むみ、第1及び第2の区域のそれぞれが三次元形成要素のパターンを有し、三次元形成要素のそれぞれが、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1及び第2の領域が示強的性質の値の差を有し、
b.第1の区域内の微小区域の少なくとも1つにおける示強的性質の値の差が、第2の区域内の微小区域の少なくとも1つにおける示強的性質の値の差と異なり、表面の少なくとも1つが約15dB V2rms未満のTF7値を有する、スパンボンド不織布。
B.第1の表面が、約2~約12dB V2rmsのTS7値を有し、第2の表面が、第1の表面のTS7値とは異なるTS7値を有する、段落Aに記載のスパンボンド不織布。
C.第2の表面が、第1の表面のTS7値よりも低いTS7値を有する、段落A又はBに記載のスパンボンド不織布。
D.第2の表面が、3~8のTS7値を有し、第1の表面が、第1の表面のTS7値とは異なるTS7値を有する、段落A~Dのいずれかに記載のスパンボンド不織布。
E.第1の表面が、第2の表面のTS7値よりも高いTS7値を有する、段落A~Dのいずれかに記載のスパンボンド不織布。
F.第2の表面に対する第1の表面のTS7比が、約1よりも大きい、段落A~Eのいずれかに記載のスパンボンド不織布。
G.TS7値が15dB V2rms未満である表面上の第1の区域又は第2の区域の一方における第1の領域の割合が、約5%~95%である、段落A~Fのいずれかに記載のスパンボンド不織布。
H.TS7値が10dB V2rms未満である表面上の第1の区域又は第2の区域の一方における第1の領域の割合が、約5%~95%である、段落A~Gのいずれかに記載のスパンボンド不織布。
I.TS7値が7dB V2rms未満である表面上の第1の区域又は第2の区域の一方における第1の領域の割合が、約5%~95%である、段落A~Hのいずれかに記載のスパンボンド不織布。
J.TS7値が15dB V2rms未満である表面上の第1の区域又は第2の区域の一方における第1の領域の割合が、約20%~80%である、段落A~Iのいずれかに記載のスパンボンド不織布。
K.TS7値が10dB V2rms未満である表面上の第1の区域又は第2の区域の一方における第1の領域の割合が、約20%~80%である、段落A~Jのいずれかに記載のスパンボンド不織布。
L.TS7値が7dB V2rms未満である表面上の第1の区域又は第2の区域の一方における第1の領域の割合が、約20%~80%である、段落A~Kのいずれかに記載のスパンボンド不織布。
M.段落A~Lのいずれかに記載のスパンボンド不織布を含む吸収性物品。
N.段落A~Mのいずれかに記載のスパンボンド不織布を含むトップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、又は他の構成要素を含む吸収性物品。
O.吸収性物品のパッケージであって、各吸収性物品が不織布を含み、不織布が、
a.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面の少なくとも一方の上の少なくとも第1及び第2の視覚的に区別可能な区域と、を含み、第1及び第2の区域のそれぞれが三次元形成要素のパターンを有し、三次元形成要素のそれぞれが、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1及び第2の領域が示強的性質の値の差を有し、
b.第1の区域内の微小区域の少なくとも1つにおける示強的性質の値の差が、第2の区域内の微小区域の少なくとも1つにおける示強的性質の値の差と異なっており、表面の少なくとも1つが約15dB V2rms未満のTF7値を有する、パッケージ。
P.本明細書におけるバッグ内積み重ね高さ試験により、約70mm~約100mmのバッグ内積み重ね高さを有する、段落Oに記載のパッケージ。
Q.第1の表面及び第2の表面と、第1又は第2の表面の一方の上の三次元形成要素の視覚的に区別可能なパターンと、を含む不織布であって、三次元形成要素のそれぞれが、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1及び第2の領域が示強的性質の値の差を有し、示強的性質が、
a.厚さ、
b.坪量、
c.体積密度、のうちの1つ以上であり、
d.第1の表面が、約15dB V2rms未満のTS7値を有する、不織布。
R.複数の三次元形成要素のパターンが、不規則パターン、繰り返しパターン、又はこれらの組み合わせである、段落Qに記載の不織布。
S.第1の表面が、約2~約12dB V2rmsのTS7値を有し、第2の表面が、第1の表面のTS7値とは異なるTS7値を有する、段落Q又はRに記載の不織布。
T.第2の表面が、第1の表面のTS7値よりも低いTS7値を有する、段落Q~Sのいずれかに記載の不織布。
U.第2の表面が、約3dB V2rms~約8dB V2rmsのTS7値を有し、第1の表面が、第1の表面のTS7値とは異なるTS7値を有する、段落Q~Tのいずれかに記載の不織布。
V.第1の表面が、第2の表面のTS7値よりも高いTS7値を有する、段落Q~Uのいずれかに記載の不織布。
W.第2の表面に対する第1の表面のTS7比が、約1よりも大きい、段落Q~Vのいずれかに記載の不織布。
X.TS7値が15dB V2rms未満である表面上の第1の領域の割合が5%~95%である、段落Q~Wのいずれかに記載の不織布。
Y.TS7値が10dB V2rms未満である表面上の第1の領域の割合が5%~95%である、段落Q~Xのいずれかに記載の不織布。
Z.TS7値が7dB V2rms未満である表面上の第1の領域の割合が5%~95%である、段落Q~Sのいずれかに記載の不織布。
AA.TS7値が15dB V2rms未満である表面上の第1の領域の割合が約20%~80%である、段落Q~Zのいずれかに記載の不織布。
BB.TS7値が10dB V2rms未満である表面上の第1の領域の割合が約20%~80%である、段落Q~AAのいずれかに記載の不織布。
CC.TS7値が7dB V2rms未満である表面上の第1の領域の割合が約20%~80%である、段落Q~BBのいずれかに記載の不織布
DD.段落Q~CCのいずれかに記載のスパンボンド不織布を含む吸収性物品。
EE.段落Q~DDのいずれかに記載のスパンボンド不織布を含むトップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、又は他の構成要素を含む吸収性物品。
FF.吸収性物品のパッケージであって、各吸収性物品が不織布を含み、不織布が、
a.第1の表面及び第2の表面と、第1の表面及び第2の表面の少なくとも一方の上の少なくとも第1及び第2の視覚的に区別可能な区域とを含み、第1及び第2の区域のそれぞれが三次元形成要素のパターンを有し、三次元形成要素のそれぞれが、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1及び第2の領域が示強的性質の値の差を有し、示強的性質が、
i.厚さ、
ii.坪量
iii.体積密度、のうちの1つ以上であり、
b.第1の表面が、約15dB V2rms未満のTS7値を有する、パッケージ。
GG.本明細書におけるバッグ内積み重ね高さ試験により、約70mm~約100mmのバッグ内積み重ね高さを有する、段落FFに記載のパッケージ。
HH.スパンボンド不織布であって、スパンボンド不織布が、
a.第1の表面及び第2の表面と、第1又は第2の表面の一方の上の三次元形成要素の視覚的に区別可能なパターンと、を含み、三次元形成要素のそれぞれが、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1及び第2の領域が示強的性質の値の差を有し、
b.第1の表面が、約15dB V2rms未満のTS7値を有する、スパンボンド不織布。
II.示強的性質が、厚さ、坪量、体積密度のうちの1つである、段落HHに記載のスパンボンド不織布。
JJ.複数の三次元形成要素のパターンが、不規則パターン、繰り返しパターン、又はこれらの組み合わせである、段落HH又はIIに記載のスパンボンド不織布。
KK.第1の表面が、約2~約12dB V2rmsのTS7値を有し、第2の表面が、第1の表面のTS7値とは異なるTS7値を有する、段落HH~JJのいずれかに記載のスパンボンド不織布。
LL.第2の表面が、第1の表面のTS7値よりも低いTS7値を有する、段落HH~KKのいずれかに記載のスパンボンド不織布。
MM.第2の表面が、約3dB V2rms~約8dB V2rmsのTS7値を有し、第1の表面が、第1の表面のTS7値とは異なるTS7値を有する、段落HH~LLのいずれかに記載のスパンボンド不織布。
NN.第1の表面が、第2の表面のTS7値よりも高いTS7値を有する、段落HH~MMのいずれかに記載のスパンボンド不織布。
OO.第2の表面に対する第1の表面のTS7比が、約1よりも大きい、段落HH~NNのいずれかに記載のスパンボンド不織布。
PP.TS7値が15dB V2rms未満である表面上で第1の領域の割合は5%~95%である、段落HH~OOのいずれかに記載のスパンボンド不織布。
QQ.TS7値が10dB V2rms未満である表面上で第1の領域の割合は5%~95%である、段落HH~PPのいずれかに記載の不織布。
RR.TS7値が7dB V2rms未満である表面上で第1の領域の割合は5%~95%である、段落HH~QQのいずれかに記載の不織布。
SS.TS7値が15dB V2rms未満である表面上で第1の領域の割合は20%~80%である、段落HH~RRのいずれかに記載のスパンボンド不織布。
TT.TS7値が10dB V2rms未満である表面上で第1の領域の割合が約20%~80%である、段落HH~SSのいずれかに記載のスパンボンド不織布。
UU.TS7値が7dB V2rms未満である表面上の第1の領域の割合は約20%~80%である、段落HH~TTのいずれかに記載のスパンボンド不織布。
VV.段落HH~UUのいずれかに記載のスパンボンド不織布を含む吸収性物品。
WW.段落HH~VVのいずれかに記載のスパンボンド不織布を含むトップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、又は他の構成要素を含む吸収性物品。
XX.吸収性物品のパッケージであって、各吸収性物品がスパンボンド不織布を含み、スパンボンド不織布が、
a.第1の表面及び第2の表面と、第1又は第2の表面の一方の上の三次元形成要素の視覚的に区別可能なパターンと、を含み、三次元形成要素のそれぞれが、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1及び第2の領域が示強的性質の値の差を有し、
b.第1の表面が、約15dB V2rms未満のTS7値を有する、パッケージ。
YY.本明細書におけるバッグ内積み重ね高さ試験により、約70mm~約100mmのバッグ内積み重ね高さを有する、段落XXに記載のパッケージ
ZZ.第1の表面及び第2の表面と、第1又は第2の表面の一方の上の三次元形成要素の視覚的に区別可能なパターンとを含む不織布であって、三次元形成要素のそれぞれが、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1及び第2の領域が、
a.厚さにおける差が約25μmよりも大きい、厚さ、
b.秤量における差が約5gsmよりも大きい、坪量、及び、
c.体積密度における差が約0.042g/ccよりも大きい、体積密度、の値の差を有し、
d.第1の表面が、約15dB V2rms未満のTS7値を有する、不織布。
AAA.複数の三次元形成要素のパターンが、不規則パターン、繰り返しパターン、又はこれらの組み合わせである、段落ZZに記載の不織布。
BBB.第1の表面が約2~約12dB V2rmsのTS7値を有し、第2の表面が第1の表面のTS7値とは異なるTS7値を有する、段落ZZ又はAAAに記載の不織布。
CCC.第2の表面が、第1の表面のTS7値よりも低いTS7値を有する、段落ZZ~BBBのいずれかに記載の不織布。
DDD.第2の表面が、約3dB V2rms~約8dB V2rmsのTS7値を有し、第1の表面が、第1の表面のTS7値とは異なるTS7値を有する、段落ZZ~CCCに記載の不織布。
EEE.第1の表面が、第2の表面のTS7値よりも高いTS7値を有する、段落ZZ~DDDに記載の不織布。
FFF.第2の表面に対する第1の表面のTS7比が、約1よりも大きい、段落ZZ~EEEに記載の不織布。
GGG.TS7値が10dB V2rms未満である表面上の第1の領域の割合は5%~95%である、請求項54に記載の不織布。
HHH.TS7値が10dB V2rms未満である表面上の第1の領域の割合は5%~95%である、段落ZZ~GGGに記載の不織布。
III.TS7値が7dB V2rms未満である表面上の第1の領域の割合は5%~95%である、段落ZZ~HHHのいずれかに記載の不織布。
JJJ.TS7値が15dB V2rms未満である表面上の第1の領域の割合が20%~80%である、段落ZZ~IIIに記載の不織布。
KKK.TS7値が10dB V2rms未満である表面上の第1の領域の割合が20%~80%である、段落ZZ~JJJに記載の不織布。
LLL.TS7値が7dB V2rms未満である表面上の第1の領域の割合が20%~80%である、段落ZZ~KKKに記載の不織布。
MMM.段落ZZ~LLLのいずれかに記載のスパンボンド不織布を含む吸収性物品。
NNN.段落ZZ~MMMのいずれかに記載のスパンボンド不織布を含むトップシート、バックシート不織布、捕捉層、分配層、又は他の構成要素を含む吸収性物品。
OOO.吸収性物品のパッケージであって、各吸収性物品が不織布を含み、不織布が、
a.第1の表面及び第2の表面と、第1又は第2の表面の一方の上の三次元形成要素の視覚的に区別可能なパターンとを含む不織布であって、三次元形成要素のそれぞれが、第1の領域及び第2の領域を含む微小区域を画定し、第1及び第2の領域が、
b.厚さにおける差が約25μmよりも大きい、厚さ、
c.秤量における差が約5gsmよりも大きい、坪量、及び、
d.体積密度における差が約0.042g/ccよりも大きい、体積密度、の値の差を有し、
e.第1の表面が、約15dB V2rms未満のTS7値を有する、パッケージ。
PPP.本明細書におけるバッグ内積み重ね高さ試験により、約70mm~約100mmのバッグ内積み重ね高さを有する、段落OOOに記載のパッケージ。
【0238】
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0239】
相互参照される又は関連する全ての特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本願に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全容が本願に援用される。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明全てを教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0240】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのような全ての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。