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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】磁気リンクを移送するシステム
(51)【国際特許分類】
   H02G 11/02 20060101AFI20220404BHJP
   F16H 7/02 20060101ALI20220404BHJP
   F16H 1/06 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
H02G11/02
F16H7/02 Z
F16H1/06
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019543883
(86)(22)【出願日】2018-02-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 FR2018050362
(87)【国際公開番号】W WO2018150139
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】1751248
(32)【優先日】2017-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515277746
【氏名又は名称】コンダクティクス ヴァンプフラー フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ベルジェ,ジャン‐ミッシェル
(72)【発明者】
【氏名】ベッサー,ラルス
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-49477(JP,U)
【文献】実開昭60-51504(JP,U)
【文献】特開平7-277674(JP,A)
【文献】特表2009-544994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 11/02
F16H 7/02
F16H 1/06
G02B 6/44
G02B 6/46
G02B 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の要素と、前記第1の要素に対して回転可能な第2の要素との間の磁気リンクを移送するためのシステムであって、前記リンクの第1の端部は、前記第1の要素に取り付けられるように構成され、前記リンクの第2の端部は、前記第2の要素に取り付けられるように構成され、前記システムは:
‐ 前記第1の要素に強固に接続されるように構成された第1の部分と;
‐ 前記第1の部分に対して回転可能であり、前記第2の要素の回転速度で回転駆動されるように前記第2の要素に強固に接続されるように構成された第2の部分と;
‐ 前記第1の部分及び前記第2の部分に対して回転可能である第3の部分と;
‐ 前記第2の要素の前記回転速度の半分に等しい速度で前記第3の部分を回転駆動するように構成された、前記第2の部分及び前記第3の部分を結合する結合部材と;
‐ 前記磁気リンクを巻き付けるための2つの同軸強磁性表面の2つのセットであって、
第1のセットは、前記第1の部分と一体の第1の表面及び前記第3の部分と一体の第2の表面を有し、
第2のセットは、前記第2の部分と一体の第3の表面及び前記第3の部分と一体の第4の表面を有する、
2つのセットと;
を有し、
前記第3の部分は、軸であり、前記第1の部分は、第1のボディ部分であり、前記第2の部分は、第2のボディ部分であり、前記第1のボディ部分は、前記軸の周りに広がり、前記第2のボディ部分は、前記軸の周りに広がり、
前記結合部材は、前記第2の部分に結合された第1の伝動手段と、前記第3の部分に結合された第2の伝動手段とを有する衛星を有する、
システム。
【請求項2】
第1の要素と、前記第1の要素に対して回転可能な第2の要素との間の磁気リンクを移送するためのシステムであって、前記リンクの第1の端部は、前記第1の要素に取り付けられるように構成され、前記リンクの第2の端部は、前記第2の要素に取り付けられるように構成され、前記システムは:
‐ 前記第1の要素に強固に接続されるように構成された第1の部分と;
‐ 前記第1の部分に対して回転可能であり、前記第2の要素の回転速度で回転駆動されるように前記第2の要素に強固に接続されるように構成された第2の部分と;
‐ 前記第1の部分及び前記第2の部分に対して回転可能である第3の部分と;
‐ 前記第2の要素の前記回転速度の半分に等しい速度で前記第3の部分を回転駆動するように構成された、前記第2の部分及び前記第3の部分を結合する結合部材と;
‐ 前記磁気リンクを巻き付けるための2つの同軸強磁性表面の2つのセットであって、
第1のセットは、前記第1の部分と一体の第1の表面及び前記第3の部分と一体の第2の表面を有し、
第2のセットは、前記第2の部分と一体の第3の表面及び前記第3の部分と一体の第4の表面を有する、
2つのセットと;
を有し、
前記第1の部分は第1の軸部分であり、前記第2の部分は前記第1の部分と同軸の第2の軸部分であり、前記第3の部分は前記第1の軸部分及び前記第2の軸部分の周りに広がるボディであり、
前記結合部材は、前記ボディに結合され、前記第2の要素の前記回転速度の半分に等しい速度で前記ボディを回転駆動するように構成された円錐形ピニオンを有する、
ステム。
【請求項3】
第1の要素と、前記第1の要素に対して回転可能な第2の要素との間の磁気リンクを移送するためのシステムであって、前記リンクの第1の端部は、前記第1の要素に取り付けられるように構成され、前記リンクの第2の端部は、前記第2の要素に取り付けられるように構成され、前記システムは:
‐ 前記第1の要素に強固に接続されるように構成された第1の部分と;
‐ 前記第1の部分に対して回転可能であり、前記第2の要素の回転速度で回転駆動されるように前記第2の要素に強固に接続されるように構成された第2の部分と;
‐ 前記第1の部分及び前記第2の部分に対して回転可能である第3の部分と;
‐ 前記第2の要素の前記回転速度の半分に等しい速度で前記第3の部分を回転駆動するように構成された、前記第2の部分及び前記第3の部分を結合する結合部材と;
‐ 前記磁気リンクを巻き付けるための2つの同軸強磁性表面の2つのセットであって、
第1のセットは、前記第1の部分と一体の第1の表面及び前記第3の部分と一体の第2の表面を有し、
第2のセットは、前記第2の部分と一体の第3の表面及び前記第3の部分と一体の第4の表面を有する、
2つのセットと;
を有し、
前記第1の部分は第1の軸部分であり、前記第2の部分は前記第1の部分と同軸の第2の軸部分であり、前記第3の部分は前記第1の軸部分及び前記第2の軸部分の周りに広がるボディであり、
前記結合部材は、前記第2の部分に結合された第1の伝動手段と、前記第1の部分に結合された第2の伝動手段とを有する衛星を有する、
ステム。
【請求項4】
前記第1の伝動手段及び/又は前記第2の伝動手段は、歯車装置を有する、
請求項又はに記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の伝動手段及び/又は前記第2の伝動手段は、ベルトを有する、
請求項又はに記載のシステム。
【請求項6】
同軸に組み立てられた2つの回転ジョイントであって、前記2つの回転ジョイントはそれぞれ、軸と、前記軸に対して回転可能なボディと、前記磁気リンクを巻き付けるための2つの同軸強磁性表面のセットとを有し、前記回転ジョイントの前記セットの前記2つの同軸強磁性表面のうちの1つは前記軸と一体であり、前記回転ジョイントの前記セットの前記2つの同軸強磁性表面のうちの他方は前記ボディと一体であ
前記第1の部分は、それぞれ、第1の回転ジョイントの軸又はボディであり、前記第2の部分は、それぞれ、第2の回転ジョイントの軸又はボディであり、前記第3の部分は、それぞれ、前記2つの回転ジョイントの前記軸又は前記ボディの剛性アセンブリから形成される、
請求項1乃至のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記磁気リンクは平らなリボンである、
請求項1乃至のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記磁気リンクは:
- 磁化ストリップであって、前記磁化ストリップの厚さ方向に配向された永久磁化を有する磁化ストリップと;
- 前記磁化ストリップに沿って延びる少なくとも1つのエネルギ及び/又は信号伝達要素と;
- 前記磁化ストリップに接続され、各前記エネルギ及び/又はデータ伝達要素を包囲するコーティング材料と;
を有する、
請求項1乃至のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記コーティング材料と前記磁化ストリップとの間の接合は、接着剤によって提供される、
請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記エネルギ及び/又は信号伝達要素は、光ファイバである、
請求項又はに記載のシステム。
【請求項11】
前記磁化ストリップは、連続する長手方向セクションに細分される、
請求項乃至10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記2つの同軸強磁性表面の各セットは、前記磁気リンクの10から90ターンの間を受け入れることができる、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記磁気リンクを巻き付けるための前記2つの同軸強磁性表面の前記2つのセットは、半径方向に互いに対向する、
請求項1乃至12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記磁気リンクを巻き付けるための前記2つの同軸強磁性表面の前記2つのセットは、同じ寸法を有する、
請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の要素と第1の要素に対して回転可能な第2の要素との間で磁気リンク(lien magnetique)を移送する(transfert)システムに関し、前記リンクの第1の端部は第1の要素に取り付けられるように構成され、リンクの第2の端部は第2の要素に取り付けられるように構成されている。
【背景技術】
【0002】
第1の要素と第1の要素に対して移動可能な第2の要素との間の回転リンクによってエネルギ及び/又は信号(例えば、電流、光学信号、機械的応力、流体等)を伝達することが必要な多くの工業的用途が存在する。例えば、第1の要素は、地面に固定されたキャビネット、ロボットのフレームなどであり、第2の要素は、地面の上で回転するワゴン又はガントリ、ロボットのアームなどであり得る。
【0003】
前述のエネルギ及び/又は信号は、「エネルギ及び/又は信号伝達要素」によって本文において一般的に指定される、電気ケーブル、光ファイバ若しくは光ファイバの束、機械的ケーブル、油圧若しくは空気圧導管、又は他の任意の適切な手段を介して伝達される。
【0004】
第1の要素に対する第2の要素の変位中に、エネルギ伝達要素が無秩序な態様で展開されることを回避するために、第1の要素又は第2の要素に取り付けられたドラム上にエネルギ伝達要素及び/又は信号伝達要素を配置し、第2の要素の変位と同期して前記伝達要素を巻き戻す(derouler)又は巻き付ける(enrouler)ようにすることが知られている。
【0005】
特に、本出願人は、エネルギ及び/又は信号伝達要素と一体化した磁気リンクが、2つの表面のそれぞれに巻かれ、一方の表面の他方に対する相対回転の過程で、一方から他方に移動する、2つの同軸強磁性表面を有する移送システム(systeme de transfert)を設計した。磁力は、リンクの不適時な巻き戻しを回避するために、強磁性表面に又は既に前記表面に接触しているターンに巻き付けられた磁気リンクを維持する。
【0006】
特許文献1は、このように、第1の要素と第1の要素に対して回転可能な第2の要素との間で磁気リンクを移送するためのシステムを記載しており、前記リンクの第1の端部は、第1の要素に取り付けられるように構成され、リンクの第2の端部は、第2の要素に取り付けられるように構成され、第2の要素は、ボディと、ボディに対して回転可能な軸とを有し、その一方は第1の要素と、他方は第2の要素と強固に接続されることが意図されており、第2の要素の回転が、第2の要素の回転速度で、ボディと軸との相対回転を駆動するようになっている。ボディ及び軸は、それぞれ、磁気リンクを巻き付けるための強磁性表面を有し、前記面は、同軸である。
【0007】
特許文献2及び特許文献3は、そのような移送システムに適合した磁気リンクが記載されている。一般に、これらのリンクは、ストリップの厚さの方向に配向された永久磁化を有する磁化ストリップと、磁化ストリップに沿って延在し、それと一体化された少なくとも1つのエネルギ及び/又は信号伝達要素とを含む。
【0008】
しかし、上述のような移送システムは、一般に、磁気リンクの最大90ターンを受け入れるように構成されている。
【0009】
実際、このような数のターンを超えると、磁力は、強磁性表面に対して磁気リンクのターンを正しく押し付けるには不十分となる。
【0010】
従って、問題は、典型的には90ターンよりも大きい、多数のターンに対して効率的であり続ける移送システムを設計することである。
【0011】
特許文献4は、回転リンクの固定部分と一体化された、固定コイル、回転リンクの移動可能部分と一体化されたアキュムレータコイル、及び円錐形ピニオンによってアキュムレータコイルの速度の半分で回転駆動される2つの中間コイルから構成される、リンク(非磁性)を移送するためのシステムを記載している。中間コイルは、固定コイル及びアキュムレータコイルのみから構成されるシステムと比較して、回転リンクのターンを2倍にすることを可能にする。しかし、このシステムの欠点は、カップリング、ベアリング、及び機械的摩耗を受ける多数の部品を有する複雑な構造を有することである。従って、製造し維持することは高価である。加えて、それは、特に軸方向においてかさばる。
【発明の概要】
【0012】
従って、本発明の目的は、第1の要素と第1の要素に対して回転可能な第2の要素との間で磁気リンクを移送するシステムを設計することであり、これにより、磁気リンクのターンの数が多い場合でもリンクの巻き付け及び巻き戻しを制御することが可能となる。このようなシステムは、さらに、既存のシステムと比較して比較的コンパクトでなければならず、限られた数の構成要素を必要とする。
【0013】
この目的のために、提案された発明は、第1の要素と、第1の要素に対して回転可能な第2の要素との間の磁気リンクを移送するためのシステムであって、前記リンクの第1の端部は、第1の要素に取り付けられるように構成され、前記リンクの第2の端部は、第2の要素に取り付けられるように構成され、システムは:
‐ 第1の要素に強固に接続されるように構成された第1の部分と;
‐ 第1の部分に対して回転可能であり、前記第2の要素の回転速度で回転駆動されるように第2の要素に強固に接続されるように構成された第2の部分と;
‐ 第1の部分及び第2の部分に対して回転可能である第3の部分と;
‐ 第2の要素の回転速度の半分に等しい速度で第3の部分を回転駆動するように構成された、第2の部分及び第3の部分を結合する結合部材と;
‐ 磁気リンクを巻き付けるための2つの同軸強磁性表面の2つのセットであって、
第1のセットは、第1の部分と一体の第1の表面及び第3の部分と一体の第2の表面を有し、
第2のセットは、第2の部分と一体の第3の表面及び第3の部分と一体の第4の表面を有する、
2つのセットと;
を有することを特徴とする。
【0014】
一実施形態によれば、第3の部分は、軸であり、第1の部分は、第1のボディ部分であり、第2の部分は、第2のボディ部分であり、前記ボディ部分は、軸の周りに広がる。
【0015】
前記結合部材は、第2の部分に結合された第1の伝動手段と、第3の部分に結合された第2の伝動手段とを有する衛星(satellite)を有し得る。
【0016】
別の実施形態によれば、第1の部分は第1の軸部分であり、第2の部分は第1の部分と同軸の第2の軸部分であり、第3の部分は第1の軸部分及び第2の軸部分の周りに広がるボディである。
【0017】
前記結合部材は、ボディに結合され、第2の要素の回転速度の半分に等しい速度で前記ボディを回転駆動するように構成された円錐形ピニオンを有し得る。
【0018】
代替的には、結合部材は、第2の部分に結合された第1の伝動手段と、第1の部分に結合された第2の伝動手段とを有する衛星を有し得る。
【0019】
第1及び/又は第2の伝動手段は、歯車装置又はベルトを有する。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、システムは、同軸に組み立てられた2つの回転ジョイントを有し、それぞれは、軸と、軸に対して回転可能なボディと、磁気リンクを巻き付けるための2つの同軸強磁性表面のセットであって、前記表面のうちの1つは軸と一体であり、他の表面はボディと一体である、セットとを有する。第1の部分は、それぞれ、第1の回転ジョイントの軸又はボディであり、第2の部分は、それぞれ、第2の回転ジョイントの軸又はボディであり、第3の部分は、それぞれ、2つの回転ジョイントの軸又はボディの剛性アセンブリから形成される。
【0021】
特に有利な方法では、磁気リンクは平らなリボンである。
【0022】
好ましい実施形態によれば、磁気リンクは:
- 磁化ストリップであって、前記ストリップの厚さ方向に配向された永久磁化を有する磁化ストリップと;
- 磁化ストリップに沿って延びる少なくとも1つのエネルギ及び/又は信号伝達要素と;
- 磁化ストリップに接続され、各エネルギ及び/又はデータ伝達要素を包囲するコーティング材料と;
を有する。
【0023】
コーティング材料と磁化ストリップとの間の接合(liaison)は、接着剤によって提供され得る。
【0024】
一実施形態によれば、エネルギ及び/又は信号伝達要素は、光ファイバである。
【0025】
一実施形態によれば、磁化ストリップは、連続する長手方向セクションに細分される。
【0026】
特に有利な方法では、2つの磁性表面の各セットは、磁気リンクの10から90ターンの間を受け入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
その他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明から明らかになる。
【0028】
図1A】本発明の第1の実施形態に係る移送システムの図である。
図1B】本発明の第1の実施形態に係る移送システムの図である。
図1C】本発明の第1の実施形態に係る移送システムの図である。
図2A】本発明の第2の実施形態に係る移送システムの図である。
図2B】本発明の第2の実施形態に係る移送システムの図である。
図3A】本発明の第3の実施形態に係る移送システムの図である。
図3B】本発明の第3の実施形態に係る移送システムの図である。
図3C】本発明の第3の実施形態に係る移送システムの図である。
図4A】本発明による移送システムで使用されることができる磁気リンクの横方向断面図である。
図4B】本発明による移送システムで使用されることができる磁気リンクの長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明による磁気リンクを移送するためのシステムは、異なる形態をとることができ、それらのうちの3つの具体的であるが非限定的な実施形態を以下に説明する。
【0030】
それ自体既知の方法では、磁気リンクは、第1の要素に取り付けられるように適合された第1の端部と、第2の要素に取り付けられるように適合された第2の端部とを有する。
【0031】
第1の要素及び第2の要素は、産業において使用することができる任意の要素であり得る。
【0032】
例えば、第1の要素は、機械工具フレーム、クレーンの構造、港湾施設の土木、ガントリのフレーム、シーリングキャップ等であり得る。移動可能な要素は、特に、コイル、ロボットアーム、工作機械スライド、減速機シャフト、回転ジョイント、電気コレクタの移動可能部分などであり得る。これらのリストは、明らかに限定するものではない。
【0033】
磁気リンクは、特に、詳細な説明のために参照され得る、特許文献2及び特許文献3に記載されているようなリンクであり得る。
【0034】
好ましくは、磁気リンクは、平らなリボンの形態であり、この形態は、強磁性表面上のリンクの規則的な巻線を促進する。
【0035】
図4A及び4Bに示す好ましい実施形態によれば、磁気リンク2は:
- 前記ストリップの厚さ(eで示される)の方向に配向された永久磁化を有する磁化ストリップ200と;
- 磁化ストリップ200に沿って延びる少なくとも1つのエネルギ及び/又は信号伝達要素201と;
- 磁化ストリップ200に接続され、各エネルギ及び/又はデータ伝達要素201を包囲するコーティング材料202;と
を有する。
【0036】
磁化ストリップは、その厚さ方向に配向された永久磁化をそれに与える粒子が組み込まれた弾性材料から構成され得る。
【0037】
一実施形態によれば、コーティング材料202と磁化ストリップ200との間の結合は、接着剤(図示せず)によって提供される。前記接着剤は、例えば、接着剤、両面接着フィルムなどであり得る。
【0038】
本発明の特定の用途によれば、エネルギ及び/又は信号伝達要素は光ファイバである。
【0039】
特に有利な方法では、特許文献3に記載されているように、磁化ストリップ200は、連続する長手方向セクション200a、200b、200cに細分される。その長さがリンクの全長よりもはるかに短いこれらの異なるセクションは、特に温度変化による寸法変化の間に、磁化ストリップとコーティング材料との間に発生するせん断力が、これらの2つの要素の間に剥離を生じさせるのに十分に強力であることを回避することができる。実際、異なるセクションを区切るために磁化ストリップ内に作られたノッチは、コーティング材料と磁化ストリップとの間のせん断応力を緩和することを可能にする。
【0040】
当然のことながら、当業者は、本発明の範囲を超えることなく、対象の用途及びそれに関連する制約に応じてのリンクを設計し、特許文献2及び特許文献3の教示を適合させることができるであろう。
【0041】
一般に、リンクを移送するためのシステムは:
- 第1の要素に強固に接続されるように構成された第1の部分と;
- 第1の部分に対して回転可能であり、前記第2の要素の回転速度で回転駆動されるように第2の要素に強固に接続されるように構成された第2の部分と;
- 第1及び第2の部分に対して回転可能である第3の部分と;
- 第2の要素の回転速度の半分に等しい速度で第3の部分を回転駆動するように構成される、第2及び第3の部分を結合する部材と;
- 磁気リンクを巻き付けるための2つの同軸強磁性表面の2つのセットであって、
第1のセットは、第1の部分と一体の第1の表面及び第3の部分と一体の第2の表面を有し、
第2のセットは、第2の部分と一体の第3の表面及び第3の部分と一体の第4の表面を有する、
2つのセットと;
を有する。
【0042】
一実施形態によれば、結合部材は、第2の部分に結合された第1の伝動手段と、第3の部分に結合された第2の伝動手段とを有する衛星を有する。この目的のために、ベルト、チェーン、ギヤなどの任意の伝動手段が用いられ得る。
【0043】
別の実施形態によれば、第3の部分が移送システムのボディを形成し、第1及び第2の部分が2つの同軸軸部分を形成し、一方が第1の要素に接続され、他方が第2の要素に接続されている場合、結合部材は、前記ボディに結合され、第2の要素の回転速度の半分に等しい速度で前記ボディを回転駆動するように構成された円錐形ピニオンを有する。
【0044】
各セットの2つの強磁性表面は、同軸であり、半径方向に互いに対向している。強磁性表面の第1のセット及び第2のセットにそれぞれ属する、第3の部分と一体の2つの強磁性表面は、同軸であるが軸方向において互いに離れている。
【0045】
したがって、第1の要素に対する第2の要素の変位の間に、リンクは、第1の部分と一体の同軸強磁性表面と、第3の部分と一体の強磁性表面との間で移動される。
【0046】
強磁性表面の2つのセットが同一の寸法を有し、従って、同じ数のターンを受容する場合、本発明によるシステムは、前記磁性表面の単一のセットを有する回転ジョイントと比較して、リンクのターン数を2倍にすることを可能にする。
【0047】
さらに、以下に詳細に説明するように、システムの異なる部分の結合は、少ない数の部分によって達成され、それによって、特許文献4に記載されたシステムよりも堅牢である。
【0048】
このような移送システムは、上記の定義に従って特に設計及び製造され得ることに留意されたい。これは、特に、異なる構成要素の設計及びそのアセンブリを最適化することを可能にする。
【0049】
代替的には、前記リンク移送システムは、特許文献1に記載されているように、2つの既知の回転ジョイントを組み立てることによって形成することができ、これらの回転ジョイントの各々は、軸と、軸に対して回転可能なボディと、磁気リンクを巻き付けるための2つの同軸強磁性表面のセットとを有し、前記表面の一方は軸と一体であり、他方の表面はボディと一体である。
【0050】
前記ジョイントは、次いで、2つの回転ジョイントの軸を強固に接続し(一方の回転ジョイントのボディは第1の要素に接続され、他方の回転ジョイントのボディは第2の要素に接続される)、前記軸を第2の要素に接続されるボディに結合する部材によって第2の要素の回転速度の半分で駆動することによって、同軸に組み立てられる。前記結合部材は、例えば、第2の要素に接続されたボディに結合された第1の伝動手段と、2つの軸のセットに結合された第2の伝動手段とを有する衛星であり得る。
【0051】
代替的には、2つの回転ジョイントのボディは、強固に結合され(一方の回転ジョイントの軸が第1の要素に結合され、他方の回転ジョイントの軸が第2の要素に結合される)、それらは、第2の要素に結合される軸に前記ボディを結合する部材によって、第2の要素に接続された回転ジョイントの軸の速度の半分で駆動される。前記結合部材は、例えば、第2の要素に接続された軸に結合される第1の伝動手段と、2つのボディのセットに結合された第2の伝動手段とを有する円錐形ピニオン又は衛星であり得る。
【0052】
図1A~1Cは、本発明の第1の実施形態を示す。
【0053】
リンク2を転送するためのシステム1は、2つのボディ部分11、21を有する:部分11は第1の要素(図示せず)に接続され、部分21は第2の要素(図示せず)に接続される。第1及び第2の要素へのボディ部分の接続は、任意の適切な手段、特に、第1の要素に関しては:ショックマウント(silentblocs)、ねじ、リベット、溶接等、第2の要素に関しては:フレキシブルカップリング、駆動フィンガ、結合器、ねじ、ショックマウント等によって達成され得る。
【0054】
第1の要素が固定されている場合、ボディ部分11は固定されるが、ボディ部分21は第2の要素の速度Vに等しい速度で第2の要素によって回転駆動される。
【0055】
各ボディ部分11、21は、それぞれ、磁気リンク2によって担持されたエネルギ及び/又はデータ転送要素を第1の要素及び第2の要素それぞれに接続するためのそれぞれのボックス10、20を支持する。
【0056】
2つのボディ部分11、21の内側には、前記ボディ部分に対して回転可能であり且つそれと同軸である軸30が配置される。軸30の一部のみが図1A~1Cにおいて見えるが、軸30は移送システム1の全長にわたって実質的に延びている。
【0057】
衛星の形態の結合部材40は、前記軸30をボディ部分21に結合することを可能にする。
【0058】
衛星40は、第1の要素と一体の軸41上のベアリング44を介して自由に回転するように取り付けられている。
【0059】
前記衛星40は、2つのピニオンを有し、そのうちの1つ(43)は、ボディ部分21とかみ合うように配置され、他方(42)は、軸30とかみ合うように配置されている。2つのピニオン42、43の直径は、ボディ部分21と軸30との間に2の減速比を作るように選択される。換言すれば、結合部材40は、軸30を、ボディ部分21の速度Vの半分に等しい速度V/2で駆動することを可能にする。
【0060】
かみ合いモードは限定するものではなく、歯(歯車装置)であってもよいが、ベルト、チェーンなどであってもよい。
【0061】
システム1は、その上に磁気リンク2が巻き付けられる、2つのセットの強磁性表面(図1A~1Cでは見えない)を有する:
- 半径方向に互いに対向する2つの同軸表面の第1のセットは、第1の要素に接続されたボディ部分11と一体の外側表面と、軸30と一体の内側表面とを有する;
- 半径方向に互いに対向する2つの同軸表面の第2のセットは、第2の要素に接続されたボディ部分21と一体の外側表面と、軸30と一体の内側表面とを有する。
【0062】
したがって、移送システムの動作中、磁気リンクの経路は、連続的に、第1のセットの外側表面、第1のセットの内側表面、第2のセットの内側表面、第2のセットの外側表面(及び反対方向の回転の場合はその逆もまた同様に)を含む。
【0063】
代替的には、システムは、各々が同軸表面の一セットに関連する2つの磁気リンクを有してもよく、2つのリンクは、軸30のレベルで接続される。
【0064】
図2A及び2Bは、本発明の第2の実施形態を示す。
【0065】
リンク2を移送するためのシステム1は、2つの同軸軸部分13、23を有する:部分13は第1の要素(図示せず)に接続され、部分23は第2の要素(図示せず)に接続される。第1及び第2の要素への軸部分の接続は、任意の適切な手段、特に、第1の要素に関しては:サイレントブロック、ねじ、リベット、溶接等;第2の要素に関しては、フレキシブルカップリング、駆動フィンガ、結合器、ねじ、サイレントブロック等によって達成され得る。
【0066】
第1の要素が固定される場合、軸部分13はしたがって固定され、一方、軸部分23は、第2の要素の速度Vに等しい速度で第2の要素によって回転駆動される。
【0067】
2つの軸部分13、23は、それらと同軸のボディ31に配置され、前記軸部分に対して回転可能である。
【0068】
衛星の形をした結合部材40は、前記ボディ31を軸部分13、23に結合することを可能にする。
【0069】
衛星40は、ボディ31のベアリング44を介して自由に回転するように取り付けられた軸41を有する。図2Bに示す実施形態では、ボディ31は、軸41によって強固に結合された2つの部分から構成されている。
【0070】
前記衛星40は、軸41から延びる2つのピニオンを有し、そのうちの1つ(ピニオン43)は、軸部分23とかみ合うように配置され、他方(ピニオン42)は、軸部分13とかみ合うように配置される。2つのピニオン42、43の直径は、軸部分23とボディ31との間に2の減速比を作るように選択される。換言すれば、結合部材40は、軸部分23の速度Vの半分に等しい速度V/2でボディ31を駆動することを可能にする。
【0071】
かみ合いモードは限定するものではなく、歯(歯車装置)であってもよいが、ベルト、チェーンなどであってもよい。
【0072】
システム1は、さらに、その上に磁気リンク2が巻き付けられる、2つのセットの強磁性表面(図2A及び2Bでは見えない)を有する:
- 半径方向に互いに対向する2つの同軸表面の第1のセットは、第1の要素に接続された軸部分13と一体の外側表面と、ボディ31と一体の内側表面とを有する;
- 半径方向に互いに対向する2つの同軸表面の第2のセットは、第2の要素に接続された軸部分13と一体の外側表面と、ボディ31と一体の内側表面とを有する。
【0073】
したがって、移送システムの動作中、磁気リンクの経路は、連続的に、第1のセットの内側表面、第1のセットの外側表面、第2のセットの外側表面、第2のセットの内側表面(及び反対方向の回転の場合はその逆もまた同様に)を含む。
【0074】
代替的には、システムは、各々が同軸表面の一セットに関連する2つの磁気リンクを有してもよく、2つのリンクは、ボディ31のレベルで接続される。
【0075】
図3A~3Cは、本発明の第3の実施形態を示す。
【0076】
図2A及び2Bの実施形態のように、リンク2を移送するためのシステム1は、2つの同軸軸部分13、23を有する:部分13は第1の要素(図示せず)に接続され、部分23は第2の要素(図示せず)に接続される。第1及び第2の要素への軸部分の接続は、任意の適切な手段、特に、第1の要素に関しては:サイレントブロック、ねじ、リベット、溶接等;第2の要素に関しては:フレキシブルカップリング、駆動フィンガ、結合器、ねじ、サイレントブロック等によって達成され得る。
【0077】
第1の要素が固定される場合、軸部分13はしたがって固定され、一方、軸部分23は、第2の要素の速度Vに等しい速度で第2の要素によって回転駆動される。
【0078】
2つの軸部分13、23は、それらと同軸のボディ31に配置され、前記軸部分に対して回転可能である。
【0079】
円錐形ピニオン45が、ボディ31上に回転可能に取り付けられ、軸部分13及び23とそれぞれ一体の2つの円錐形ホイール451及び452とかみ合う。
【0080】
前記ピニオン45は、軸部分23とボディ31との間に2の減速比を作るように寸法決めされている。換言すれば、ピニオン45は、軸部分23の速度Vの半分に等しい速度V/2でボディ31を回転駆動することを可能にする。
【0081】
システム1はさらに、その上に磁気リンク2が巻き付けられる、2つのセットの強磁性表面(図3A~3Cでは見えない)を有する:
- 半径方向に互いに対向する2つの同軸表面の第1のセットは、第1の要素に接続された軸部分13と一体の内側表面と、ボディ31と一体の外側表面とを有する;
- 半径方向に互いに対向する2つの同軸表面の第2のセットは、第2の要素に接続された軸部分13と一体の内側表面と、ボディ31と一体の外側表面とを有する。
【0082】
したがって、移送システムの動作中、磁気リンクの経路は、連続的に、第1のセットの内側表面、第1のセットの外側表面、第2のセットの外側表面、第2のセットの内側表面(及び反対方向の回転の場合はその逆もまた同様に)を含む。
【0083】
代替的には、システムは、各々が同軸表面の一セットに関連する2つの磁気リンクを有してもよく、2つのリンクは、ボディ31のレベルで接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【文献】FR 2 865 860
【文献】WO 2005/08374
【文献】WO 2008/012353
【文献】FR 2 643 624
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B