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特許7051893感光性組成物、カラーフィルタ及びそれに由来するマイクロレンズ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】感光性組成物、カラーフィルタ及びそれに由来するマイクロレンズ
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/023 20060101AFI20220404BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220404BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220404BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20220404BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20220404BHJP
   C08L 45/00 20060101ALI20220404BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20220404BHJP
   C08K 5/3465 20060101ALI20220404BHJP
   C08K 5/3445 20060101ALI20220404BHJP
   C08K 5/42 20060101ALI20220404BHJP
   C08K 5/18 20060101ALI20220404BHJP
   C08K 5/29 20060101ALI20220404BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
G03F7/023
G03F7/004 505
G03F7/004 501
G02B5/20 101
G02B3/00 A
G02B1/04
C08L45/00
C08K5/00
C08K5/3465
C08K5/3445
C08K5/42
C08K5/18
C08K5/29
C08L63/00 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019552959
(86)(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 US2018024710
(87)【国際公開番号】W WO2018183413
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】62/477,696
(32)【優先日】2017-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】303043461
【氏名又は名称】プロメラス, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100154449
【弁理士】
【氏名又は名称】谷 征史
(72)【発明者】
【氏名】カンダナラチチ, プラモッド
(72)【発明者】
【氏名】ジェン, ホンシ
(72)【発明者】
【氏名】ローズ, ラリー エフ.
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/194619(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/129182(WO,A1)
【文献】特開2014-012814(JP,A)
【文献】特開2015-007762(JP,A)
【文献】特開2017-057260(JP,A)
【文献】国際公開第2016/175103(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
G02B 5/20
G02B 3/00
G02B 1/04
C08L 45/00
C08K 5/00
C08K 5/3465
C08K 5/3445
C08K 5/42
C08K 5/18
C08K 5/29
C08L 63/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンに由来する繰り返し単位と、メタノールで開環した開環無水マレイン酸の繰り返し単位とを含有するコポリマー、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンに由来する繰り返し単位と、n-ブタノールで開環した開環無水マレイン酸の繰り返し単位とを含有するコポリマー、
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン及び5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンに由来する繰り返し単位と、メタノールで開環した開環無水マレイン酸の繰り返し単位とを含有するターポリマー、及び、
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)に由来する繰り返し単位と、n-ブチルアミンで開環した開環無水マレイン酸の繰り返し単位とを含有するコポリマー、
からなる群より選択されるポリマー;
b)赤色染料、緑色染料、青色染料、黄色染料、マゼンタ染料、黒色染料及びシアン染料からなる群から選択された染料;
c)光活性化合物;及び
d)担体溶媒、を含む組成物。
【請求項2】
前記染料は、溶剤染料、分散染料、酸性染料、塩基性染料、硫化染料及び建染染料からなる群から選択された染料である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記染料は、前記組成物と混和可能である、請求項に記載の組成物。
【請求項4】
前記染料は、
【化5】
コバルトと複合化された14H-ベンゾ[4,5]イソキノリノ[2,1-a]ピリミジン-14-オン;
【化6】
クロムと複合化された(Z)-4-(2-(2-ヒドロキシ-4-ニトロフェニル)ヒドラジニリデン)-5-メチル-2-フェニル-2,4-ジヒドロ-3H-ピラゾール-3-オン;
【化8】
クプラート(1-)、[C,C,C-トリス[[[3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]プロピル]アミノ]スルホニル]-29H,31H-フタロシアニン-C-スルホナト(3-)N29,N30,N31,N32]-、水素、3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]-1-プロパンアミン(1:1)の化合物;
【化9】
1,4-ビス(アルキルアミノ)アントラセンジオン(Rは、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、2-エチルヘキシル、3-((2-エチルヘキシル)オキシ)プロピル、3-メトキシプロピル、フェニル又はp-トリルである。);
【化10】
1,4-ビス(メシチルアミノ)アントラセン-9,10-ジオン;
【化11】
N-(4-((4-ヒドロキシ-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-1-イル)アミノ)フェニル)アセトアミド;及び
黒色モノアゾ染料
からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記光活性化合物は、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホニル部分、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホニル部分(それぞれ構造式(IIIa)、(IIIb)で表される。):
【化12】
及び、構造式(IIIc)で表されるスルホニルベンゾキノンジアジド基
からなる群から選択される部分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記光活性化合物は、
【化13】
であり、
ここで、少なくとも1つのQは、式(VIIa)又は(VIIb)の基であり、
【化14】
残りのQは水素である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物は、
【化15】
2,2’-(((2-エチル-2-((オキシラン-2-イルメトキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイル)ビス(オキシ))ビス(メチレン))ビス(オキシラン);
【化16】
グリセロールのポリ(オキシプロピレン)エポキシドエーテルのトリグリシジルエーテル;
【化17】
ビス(4-(オキシラン-2-イルメトキシ)フェニル)メタン;
からなる群より選択される1つ以上の架橋剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、γ-ブチロラクトン(GBL)、及びN-メチルピロリドン(NMP)からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物は、
溶解促進剤;
接着促進剤;
酸化防止剤;
界面活性剤;及び
これらの組み合わせの混合物からなる群より選択される1つ以上の添加剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
カラーフィルタ機能を備えたマイクロレンズアレイを含む物品であって、
前記アレイは、請求項1に記載の組成物により形成された膜を含む、物品。
【請求項11】
前記アレイは、チェッカーボード構成である、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
超小型電子又は光電子デバイスにおけるカラーフィルタマイクロレンズアレイ作製用膜を形成する方法であって、
請求項1に記載の組成物で適切な基板をコーティングして膜を形成するステップ;
前記膜を適切な放射線で露光してマスクでパターン化するステップ;
露光後の前記膜を現像してフォトパターンを形成するステップ;及び
前記パターン化された膜を適切な温度に加熱して、マイクロレンズアレイを形成するステップを含む、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の組成物により形成された、マイクロレンズアレイ。
【請求項14】
請求項13に記載のマイクロレンズアレイを含む、光電子又は超小型電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互引用
本願は、2017年3月28日に出願され、本願に組み込まれた米国仮出願第62/477,696号の権利を主張している。
【0002】
本発明による実施形態は、一般に、カラーフィルタ及びマイクロレンズを形成するための感光性組成物に関し、より具体的には、ノルボルネン(NB)及び無水マレイン酸などのオレフィン系モノマーに由来するポリマーを含む組成物に関する。本発明により形成されたカラーフィルタ及び/又はマイクロレンズは、各種の画像及びデジタルセンサの製造に有用である。
【背景技術】
【0003】
有機ポリマー材は、様々な用途で超小型電子及び光電子分野における使用が増加している。例えば、当該有機ポリマー材の用途には、特にイメージセンサ及びデジタルセンサの製造が含まれる。当該有機ポリマー材が感光性であるため光画像化が可能であり、上述のデバイスの製造に求められる複数の構造を形成するうえで必要な工程ステップの数を減らすことができるという利点を提供する。さらに、当該有機ポリマー材は、デバイス及びデバイス部品の直接接着結合を可能にして、様々な構造を形成することもできる。さらに重要なのは、特定の光学用途では、可視光線スペクトル領域、即ち400~700nmの波長で有機ポリマー材が透明である必要がある。特に、上述の材料の用途は、様々なカメラモジュールで幅広く用いられているイメージセンサと同様の用途で拡大している。
【0004】
イメージセンサの基本要素は、高画素数のカメラの製造に役立つオンチップカラーフィルタである。オンチップカラーフィルタは、マイクロレンズとカラーフィルタとで構成される。マイクロレンズの機能は、カラーフィルタを介して光をフォトダイオードまで効率的に届けることであり、カラーフィルタの機能は、光の色情報を取得することである。より解像度の高いデジタルカメラの需要が高まるにつれて、より小型のカラーフィルタの製造の需要も増加しつつある。より具体的には、画素の大きさが1.4μm未満のデバイスは、上述の高解像度を処理できるマイクロレンズ及びカラーフィルタの製造を必要とする。近年では、最大1.1μm、又は最大0.5μmの分解能を有する新規な材料の開発への関心が高まっている。
【0005】
WO2011/129182A1は、官能化ノルボルネンモノマーと無水マレイン酸から得られた付加コポリマーで形成されたカラーフィルタ形成用バインダー材を開示している。当該特許が開示している組成物は、ネガティブトーンの画像を形成する組成物として機能し、これは一般に溶媒ベースであり、上述の高解像度には及ばず、画像化及びポスト現像後に一部の残基を残す。さらに、これらの組成物は、有機溶媒を使用しているため、環境にやさしくないと考えられており、その他の望ましくない様々な特徴が見られる。WO2016/194619A1は、同様の欠点を有する他の種類のネガティブトーン組成物を開示している。
【0006】
従って、イメージセンサの製造に用いることができる有機ポリマー組成物が依然として必要である。より具体的には、赤、緑、青(RGB)の着色剤を含む組成物の形成に用いることができ、高解像度のカラーフィルタの形成が可能であり、マイクロレンズの機能を備えた有機ポリマーが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、高解像度のマイクロレンズ及びカラーフィルタを特徴とするイメージセンサの製造に用いられる様々な着色剤と互換性のある有機ポリマー組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
特定のノルボルネンモノマーと開環無水マレイン酸のコポリマーを用いることにより、各種の着色剤を含有する組成物を形成できることが見出されており、当該コポリマーは、硬化工程の前後で可視光線スペクトル領域(波長400~700nm)において高い透明度を示し、イメージセンサの形成において費用対効果に優れている。本発明の組成物は、高解像度の画像化に求められる溶解特性を有するように調整可能である。驚くべきことに、本発明の組成物は、特にマイクロレンズを形成するために、結像膜の熱流動性を制御できるように熱処理可能なことがさらに見出された。
【0009】
従って、本発明は、
a)式(IA)で表され、式(I)のモノマーに由来する1つ以上の第1の繰り返し単位と、
【化1】
(式中、
mは0、1又は2の整数であり、
、R、R、Rは、同一又は異なり、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、直鎖又は分岐鎖の(C-C12)アルキル、ヒドロキシ(C-C12)アルキル、パーフルオロ(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、パーフルオロ(C-C10)アリール、パーフルオロ(C-C10)アリール(C-C)アルキル、(C-C10)ヘテロアリール、(C-C10)ヘテロアリール(C-C)アルキル、ヒドロキシ、(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルコキシ、(C-C12)ビシクロアルコキシ、(C-C14)トリシクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシ(C-C)アルキル、(C-C10)ヘテロアリールオキシ(C-C)アルキル、(C-C10)アリールオキシ、(C-C10)ヘテロアリールオキシ、(C-C)アシルオキシ、-(CH-C(CFOR、-(CH-COR、
式(A)の基:
【化2】
及び
式(B)の基:
【化3】
からなる群より選択され、
ここで、
aは、0~4の整数であり、
bは、0~10の整数であり、
cは、0、1、2、3、又は4の整数であり、
Rは、水素、直鎖又は分岐鎖の(C-C)アルキル、(C-C)シクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C12)アラルキルからなる群より選択される。)
式(IIA)で表され、式(II)のモノマーに由来する1つ以上の第2の繰り返し単位とを含むポリマー、
【化4】
(式中、
Zは、O又はN-Rであり、ここで、Rは水素、直鎖又は分岐鎖の(C-C)アルキル、(C-C)シクロアルキル、(C-C12)アリールからなる群より選択され、
、R、Rは、それぞれ互いに独立して、水素、直鎖又は分岐鎖の(C-C)アルキル、フルオロ化又はパーフルオロ化(C-C)アルキル、(C-C12)アリール、(C-C12)アリール(C-C12)アルキルからなる群より選択される。)
ここで、前記の基は、それぞれ、原子価が許容する限り、直鎖又は分岐鎖の(C-C)アルキル、(C-C)シクロアルキル、(C-C)パーフルオロアルキル、(C-C)アルコキシ、(C-C)シクロアルコキシ、(C-C)パーフルオロアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、直鎖又は分岐鎖のヒドロキシ(C-C)アルキル、アセトキシ、フェニル、ヒドロキシフェニル、アセトキシフェニルからなる群より選択される1つ以上の基で置換されてもよい、ポリマー;
b)赤、緑、青、黄、マゼンタ、黒、シアンの着色材料から選択された着色剤;
c)光活性化合物;及び
d)担体溶媒
を含む、組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
下記の添付の図面を参照しながら本発明による実施形態について、以下に説明する。図面は、説明を目的として本発明の様々な実施形態の一部を簡略化して図示したものである。
図1】本発明の様々な組成物の実施形態の吸収スペクトルを示す。
図2】は、本発明の組成物の実施形態から形成されたチェッカーボード画像の走査電子顕微鏡(SEM)の断面図である。
図3】は、熱流動後に、本発明の組成物の実施形態で得られたマイクロレンズ/チェッカーボード構成のSEMの上面図である。
図4】本発明の組成物の実施形態で得られたマイクロレンズ/チェッカーボード構成のSEMの断面図である。
図5】比較例の組成物のうちの1つから形成された約8μmの分離されたトレンチのポジティブトーンリソグラフィー画像のSEMの断面図である。
図6】比較例の別の組成物から形成された約8μmの分離されたトレンチのポジティブトーンリソグラフィー画像のSEMの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において用いられる用語は、下記の意味を有する。
【0012】
本明細書において、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、他に明確且つ明白に1つの対象に限定されていない限り、複数の対象を含む。
【0013】
本明細書及び明細書に添付された特許請求の範囲で用いられる成分の量、反応条件などを表す数字、数値、及び/又は式は、これらの数字、数値、及び/又は式を得るために行った測定において様々な不確定要素があるため、別途の記載がない限り、全て「約」という用語によって修飾されたものと理解すべきである。
【0014】
本明細書で数字の範囲が開示されている場合、前記範囲は連続的であり、当該範囲の最大値と最小値、及び前記最大値と最小値との間の全ての値を含む。さらに、前記範囲が整数を示す場合、範囲の最大値と最小値との間の全ての整数が含まれる。さらには、特徴又は特性を説明する目的で複数の範囲が提示されている場合、これらの範囲を組み合わせることができる。即ち、別途の記載がない限り、本明細書に開示される全ての範囲は、当該範囲に含まれる任意の且つ全ての下位範囲を含むものと理解すべきである。例えば、「1~10」という範囲が提示された場合、当該範囲は、最小値1と最大値10の間の全ての下位範囲を含むものと見なすべきである。1と10の間の下位範囲の例には、1~6.1、3.5~7.8、5.5~10などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書において、記号
【化5】
は、示された基の構造によって、他の繰り返し単位、又は別の原子、分子、基、部分と共に結合を形成する位置を示す。
【0016】
本明細書において「ヒドロカルビル」は、炭素原子及び水素原子を含有する基を示し、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルカリル、アルケニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。「ハロヒドロカルビル」という用語は、少なくとも1つの水素がハロゲンで置換されたヒドロカルビル基を示す。パーハロカルビルという用語は、全ての水素がハロゲンで置換されたヒドロカルビル基を示す。
【0017】
本明細書において「(C-C)アルキル」という表現は、メチル基及びエチル基、並びに直鎖又は分岐鎖のプロピル基、ブチル基、ペンチル基、及びヘキシル基を含む。特にアルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、及びtert-ブチルなどである。「(C-C)アルコキシ」、「(C-C)チオアルキル」、「(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル」、「ヒドロキシ(C-C)アルキル」、「(C-C)アルキルカルボニル」、「(C-C)アルコキシカルボニル(C-C)アルキル」、「(C-C)アルコキシカルボニル」、「アミノ(C-C)アルキル」、「(C-C)アルキルアミノ」、「(C-C)アルキルカルバモイル(C-C)アルキル」、「(C-C)ジアルキルカルバモイル(C-C)アルキル」、「モノ-又はジ-(C-C)アルキルアミノ(C-C)アルキル」、「アミノ(C-C)アルキルカルボニル」、「ジフェニル(C-C)アルキル」、「フェニル(C-C)アルキル」、「フェニルカルボニル(C-C)アルキル」、「フェノキシ(C-C)アルキル」などの派生表現も同様に解釈することができる。
【0018】
本明細書において「シクロアルキル」という表現は、公知の全ての環式基を含む。「シクロアルキル」の代表例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。「シクロアルコキシ」、「シクロアルキルアルキル」、「シクロアルキルアリール」、「シクロアルキルカルボニル」などの派生表現も同様に解釈することができる。
【0019】
本明細書において「(C-C)アルケニル」という表現は、エテニル基及び直鎖又は分岐鎖のプロぺニル基、ブテニル基、ペンテニル基、並びにヘキセニル基を含む。同様に、「(C-C)アルキニル」という表現は、エチニル基及びプロピオン基、直鎖又は分岐鎖ブチニル基、ペンチニル基、並びにヘキシニル基を含む。
【0020】
本明細書において「(C-C)アシル」という表現は、「(C-C)アルカノイル」と同じ意味を有し、構造としては「R-CO-」で表すことができる。ここで、Rは、本明細書で定義される(C-C)アルキルである。さらに、「(C-C)アルキルカルボニル」は、(C-C)アシルと同じ意味を有する。特に「(C-C)アシル」は、ホルミル、アセチル又はエタノイル、プロパノイル、n-ブタノイルなどを意味する。「(C-C)アシルオキシ」及び「(C-C)アシルオキシアルキル」などの派生表現も同様に解釈することができる。
【0021】
本明細書において「(C-C)パーフルオロアルキル」という表現は、前記アルキル基の全ての水素原子がフッ素原子で置換されたことを意味する。具体例には、トリフルオロメチル基及びペンタフルオロエチル基、並びに直鎖又は分岐鎖ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ウンデカフルオロペンチル基及びトリデカフルオロヘキシル基が挙げられる。「(C-C)パーフルオロアルコキシ」などの派生表現も同様に解釈することができる。さらに、本明細書に記載の一部のアルキル基、例えば、「(C-C)アルキル」は、部分的にフルオロ化されてもよく、即ち、前記アルキル基内の水素原子の一部のみがフッ素原子で置換されてもよく、これによって解釈されなければならないということに留意すべきである。
【0022】
本明細書において「(C-C10)アリール」という表現は、置換又は非置換のフェニル又はナフチルを意味する。置換フェニル又は置換ナフチルの具体例には、o-、p-、m-トリル、1,2-、1,3-、1,4-キシリル、1-メチルナフチル、2-メチルナフチルなどが挙げられる。また、「置換フェニル」又は「置換ナフチル」は、本明細書で定義されているか、又は当該分野で公知のもののうち可能な置換基を全て含む。「(C-C10)アリールスルホニル」などの派生表現も同様に解釈することができる。
【0023】
本明細書において「(C-C10)アリール(C-C)アルキル」という表現は、本明細書で定義される(C-C10)アリールが、本明細書で定義される(C-C)アルキルにさらに結合していることを意味する。代表例には、ベンジル、フェニルエチル、2-フェニルプロピル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチルなどが挙げられる。
【0024】
本明細書において「ヘテロアリール」という表現は、公知の全ての芳香族ラジカルを含有するヘテロ原子を含む。代表的な5員ヘテロアリールラジカルには、フラニル、チエニル、チオフェニル、ピロリル、イソピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルなどが含まれる。代表的な6員ヘテロアリールラジカルには、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニルなどのラジカルが含まれる。二環式ヘテロアリールラジカルの代表例には、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ピリドフラニル、ピリドチエニルなどのラジカルが挙げられる。
【0025】
本明細書において「複素環」という表現は、全ての環状ラジカルを含有する公知の還元ヘテロ原子を含む。代表的な5員複素環ラジカルには、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、2-チアゾリニル、テトラヒドロチアゾリル、テトラヒドロオキサゾリルなどが含まれる。代表的な6員複素環ラジカルには、ピペリジニル、ピぺラジニル、モルホリニル、チオモルホリニルなどが含まれる。その他の様々な複素環ラジカルには、アジリジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル、及びトリアゾカニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0026】
「ハロゲン」又は「ハロ」は、クロロ、フルオロ、ブロモ、及びヨードを意味する。
【0027】
広義で、「置換」という用語は、有機化合物の許容される全ての置換基を含むと解釈することができる。本明細書に開示される一部の特定の実施形態において、「置換」という用語は、(C-C)アルキル、(C-C)アルケニル、(C-C)パーフルオロアルキル、フェニル、ヒドロキシ、-COH、エステル、アミド、(C-C)アルコキシ、(C-C)チオアルキル、(C-C)パーフルオロアルコキシ、-NH、Cl、Br、I、F、-NH-低級アルキル、-N(低級アルキル)からなる群より独立して選択される1つ以上の置換基で置換することを意味する。しかしながら、当業者に公知のその他の適切な置換基であれば、当該実施形態において用いることができる。
【0028】
本明細書の本文、スキーム、実施例、及び表において、原子価を満たしていない任意の原子は、当該原子価を満たすために適切な数の水素原子を有すると見なされる点に留意しなければならない。
【0029】
本明細書において、「ポリマー組成物」、「コポリマー組成物」、「ターポリマー組成物」、又は「テトラポリマー組成物」という用語は、互換的に用いられ、少なくとも1つの合成ポリマー、コポリマー、ターポリマー、又はテトラポリマー、並びに前記ポリマーの合成による開始剤、溶媒、又は他の元素の残基を含むことを意味するが、前記残基は、当該ポリマーに必ずしも共有結合的に含まれるとは限らないと理解される。しかしながら、一部の触媒又は開始剤は、ポリマー鎖の最初及び/又は最後のいずれかでポリマー鎖の一部に共有結合している場合がある。「ポリマー」又は「ポリマー組成物」の一部としてみなされる前記残基及びその他の元素は、通常、ポリマー間で混合又は混成され、容器、又は溶媒若しくは分散媒体間で移送されるときにポリマーと共に残る傾向がある。ポリマー組成物は、前記組成物に特定の性質を提供又は変更するためにポリマー合成後に添加される材料をさらに含むことができる。前記材料には、溶媒、酸化防止剤、光開始剤、増感剤、及びその他の材料が含まれるが、これらに限定されず、これらについては下記でより詳細に説明する。
【0030】
「感光性」という用語は、本発明の実施形態によるポリマー又はポリマー組成物など、材料又は材料の組成物の特徴を示し、パターン化した層又は構造の内部及びそれ自体に形成される。換言すれば、「感光性層」は、上述のパターン化した層又は構造を形成するために、感光性層上に形成される別の材料層、例えばフォトレジスト層を必要としない。さらに、上述の特性を有するポリマー組成物は、一般に、パターン形成スキームに用いられ、パターン化された膜/層又は構造を形成するものと理解することができる。前記スキームは、感光性の材料又は感光性の材料から形成された層の「像様露光」を含むことに留意しなければならない。像様露光とは、層の選択された部分を活性光線に露出させ、選択されていない部分は、活性光線の露出から保護されることを意味する。
【0031】
本明細書において、「自己画像形成性組成物」という用語は、感光性を帯びた材料を意味し、従って、当該材料で形成された膜に直接像様露光を加え、適切な現像剤を用いて膜内の画像を現像した後にパターン化した層及び/又は構造を得られる。
【0032】
本明細書において、「超小型電子デバイス」という用語は、「超小型光電子デバイス」及び「光電子デバイス」を含むものと理解できる。従って、超小型電子デバイス又は超小型電子デバイスアセンブリを言及することは、光電子デバイス及び超小型光電子デバイス並びにそれらのアセンブリを含むことである。
【0033】
本明細書において、「由来」という用語は、ポリマーの繰り返し単位を式(I)により、例えば、多環ノルボルネン型モノマー(又は式(II)のオレフィン系モノマー)、又は式(III)の無水マレイン酸型モノマーから重合(形成)することを意味する。この場合、結果として得られたポリマーは、以下に示されるように、交互に配列される無水マレイン酸型モノマーとノルボルネン型モノマーの2,3連鎖によって形成される。
【化6】
【0034】
ポリマー内のモノマー組成物によっては、繰り返し単位が常に交互に配列されるとは限らないことを理解する必要がある。即ち、例えば、ノルボルネン型モノマーと無水マレイン酸モノマーのモル比が50:50以外のコポリマーの場合、繰り返し単位は常に交互に配列されず、モル比がより高いモノマーの塊がランダムに発生することになる。
【0035】
従って、本発明の実施により、
a)式(IA)で表され、式(I)のモノマーに由来する1つ以上の第1の繰り返し単位と、
【化7】
(式中、
mは0、1又は2の整数であり、
、R、R、Rは、同一又は異なり、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、直鎖又は分岐鎖の(C-C12)アルキル、ヒドロキシ(C-C12)アルキル、パーフルオロ(C-C12)アルキル、(C-C12)シクロアルキル、(C-C12)ビシクロアルキル、(C-C14)トリシクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C10)アリール(C-C)アルキル、パーフルオロ(C-C10)アリール、パーフルオロ(C-C10)アリール(C-C)アルキル、(C-C10)ヘテロアリール、(C-C10)ヘテロアリール(C-C)アルキル、ヒドロキシ、(C-C12)アルコキシ、(C-C12)シクロアルコキシ、(C-C12)ビシクロアルコキシ、(C-C14)トリシクロアルコキシ、(C-C10)アリールオキシ(C-C)アルキル、(C-C10)ヘテロアリールオキシ(C-C)アルキル、(C-C10)アリールオキシ、(C-C10)ヘテロアリールオキシ、(C-C)アシルオキシ、-(CH-C(CFOR、-(CH-COR、
式(A)の基:
【化8】
及び
式(B)の基:
【化9】
からなる群より選択され、
ここで、
aは、0~4の整数であり、
bは、0~10の整数であり、
cは、0、1、2、3、又は4の整数であり、
Rは、水素、直鎖又は分岐鎖の(C-C)アルキル、(C-C)シクロアルキル、(C-C10)アリール、(C-C12)アラルキルからなる群より選択される。)
式(IIA)又は式(IIB)で表され、式(II)のモノマーに由来する1つ以上の第2の繰り返し単位とを含むポリマー、
【化10】
(式中、
Zは、O又はN-Rであり、ここで、Rは水素、直鎖又は分岐鎖の(C-C)アルキル、(C-C)シクロアルキル、(C-C12)アリールからなる群より選択され、
、R、Rは、それぞれ互いに独立して、水素、直鎖又は分岐鎖の(C-C)アルキル、フルオロ化又はパーフルオロ化(C-C)アルキル、(C-C12)アリール、(C-C12)アリール(C-C12)アルキルからなる群より選択される。)
ここで、前記の基は、それぞれ、原子価が許容する限り、直鎖又は分岐鎖の(C-C)アルキル、(C-C)シクロアルキル、(C-C)パーフルオロアルキル、(C-C)アルコキシ、(C-C)シクロアルコキシ、(C-C)パーフルオロアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、直鎖又は分岐鎖のヒドロキシ(C-C)アルキル、アセトキシ、フェニル、ヒドロキシフェニル、アセトキシフェニルからなる群より選択される1つ以上の基で置換されてもよい、ポリマー;
b)赤、緑、青、黄、マゼンタ、黒、シアンの着色材料から選択された着色剤;
c)光活性化合物;及び
d)担体溶媒、からなる組成物を提供する。
【0036】
本発明の光画像形成性組成物に用いられるポリマーは、当業者に既知の任意の手順により合成できる。一般に、当該ポリマーはフリーラジカル重合によって調製される。例えば、アルコールを有し、本明細書に記載の、各種のノルボルネンモノマーと共重合した開環無水マレイン酸ポリマー(ROMA)を開示している米国特許第8715900号を参照されたい。その関連部分は参照により本明細書に組み込まれる。また、アミンを有し、本明細書にも記載の、各種のノルボルネンモノマーと共重合した開環無水マレイン酸ポリマー(ROMI)を開示している米国特許第9422376号を参照されたい。その関連部分は参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で用いられるノルボルネンの繰り返し単位を含む様々な他の種類のポリマーも、遷移金属触媒、例えば、ニッケル又はパラジウムを用いたビニル付加重合によって調製することができる。例えば、米国特許第5929181号、第6455650号、第6825307号、及び第7101654号を参照されたい。その関連部分は参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
一般に、本発明によるポリマーの実施形態は、上述の1つ以上の他の第1種の式(IA)の繰り返し単位と、式(IIA)又は式(IIB)の繰り返し単位との組み合わせを含む。後述するように、ポリマーの実施形態に含まれる様々な繰り返し単位は、当該実施形態が目的とする用途に適切且つ望ましいポリマーの実施形態に特性を提供するように誘導される。従って、当該ポリマーの実施形態は、各種の特定の用途に合わせて調整することが可能である。
【0038】
例えば、ポリマーの実施形態は、一般に、画像形成性を提供するように誘導された繰り返し単位を少なくとも1つ必要とする。従って、上記で定義したように、構造式(IA)で表される別の種類の繰り返し単位、例えば、Rがフェネチル基である繰り返し単位を用いることができる。しかしながら、同様の効果をもたらし得る他の官能基、例えばフェニル、ベンジル又は置換フェニルのいずれかを代わりに用いることができる。さらに、カルボン酸側基を含む式(IIA)の繰り返し単位は、一般に、適切に選択された添加剤又は適切な放射線に露出される間、ネガティブトーンの画像の固定につながり得る可能性のある他の繰り返し単位との反応に加わるのに有用であり、さらに後述するように、露光後のベーク条件によりさらに硬化される。当該組成物は、さらに後述するように、露光後の熱架橋でポジティブトーン画像の固定に用いることもできる。さらに、酸性側基を含む当該ポリマー組成物が、適切なモノマーを用いることにより重合後に作製できることを、当業者であれば容易に理解できることに留意すべきである。例えば、式(IIB)の繰り返し単位を含むコポリマーが最初に形成され、その後、適切なアルコール又はアミンと反応して、当該分野で既知の任意の手順により、カルボン酸側基を含むコポリマーを形成する。従って、式(IIB)の無水物モノマーの繰り返し単位の特定の残量は、本明細書で用いられるポリマー中に常に存在していてもよい。
【0039】
本発明の組成物に用いられるポリマーは、式(IA)で表される繰り返し単位の1つ以上と共に、式(IIA)で表される1つ以上の異なる第2種の繰り返し単位を1つ以上を含み得ることがさらに見出された。これにより、一部の実施形態において、本発明のポリマーは、式(II)の1つのモノマーのみに由来する式(IIA)及び式(IIB)の繰り返し単位と組み合わせて、式(IA)の1つの繰り返し単位のみを含む。一部の別の実施形態において、本発明のポリマーは、式(IIA)及び式(IIB)の繰り返し単位と組み合わせて、式(IA)で表される1つ以上の繰り返し単位を含む。従って、そのような繰り返し単位の組み合わせは、いずれも本発明の範疇に属する。
【0040】
一般に、本明細書において用いられるポリマーは、式(IA)の繰り返し単位と式(IIA)及び式(IIB)の繰り返し単位の組み合わせを50:50のモル比で含むコポリマーである。しかしながら、一部の実施形態において、本発明のポリマーは、式(IA)で表される1つ以上の異なる繰り返し単位と式(IIA)及び式(IIB)の繰り返し単位の組み合わせを50:50のモル比で含み得ることを理解する必要がある。即ち、一般に、当該ポリマーは、式(IA)が結合した異なる繰り返し単位と式(IIA)及び式(IIB)が結合した繰り返し単位を等モル比で含む。言い換えれば、本発明の組成物の実施形態で用いられるポリマーを作製するために1つ以上のノルボルネンモノマーが用いられる場合、ノルボルネン由来の繰り返し単位の総モル量は、無水マレイン酸由来の繰り返し単位の総モル量(式(IIA)と(IIB)の合計モル量)と同じである。同様に、本発明の組成物の実施形態で用いられるポリマーを作製するために式(II)の1つ以上のモノマーが用いられる場合、式(IIA)及び式(IIB)由来の繰り返し単位の総モル量はノルボルネン由来の繰り返し単位の総モル量(式(IA)で表される異なる繰り返し単位の合計モル量)と同じである。従って、一般に、本明細書において用いられるポリマーは、ノルボルネンと無水マレイン酸が交互に配列する繰り返し単位を特徴とする。但し、過剰なノルボルネンの繰り返し単位が共に存在する特定のポリマー、例えばノルボルネンと無水マレイン酸のモル比が60:40、70:30、又は80:20であるポリマーを作製するために、より多くのモル比のノルボルネン型単位を用いることもできる。同様に、例えば、ノルボルネンと無水マレイン酸のモル比が40:60、30:70、又は20:80など、過剰な無水マレイン酸由来の繰り返し単位が存在する可能性もある。このようなポリマーの組み合わせは、いずれも本発明の範疇に属する。
【0041】
一般に、酸性側基を有するモノマーの繰り返し単位(一般に、式(IIA)の繰り返し単位で、ZはO、R及びRが水素、Rが水素であるか、或いは直鎖又は分岐鎖の(C-C)アルキルである繰り返し単位、或いはZがN-Rであり、Rが水素である繰り返し単位)を含むポリマーは、本発明の感光性組成物に特定の有益な効果を提供することが見出された。従って、本発明の一部の実施形態において、本発明の感光性組成物に用いられるポリマーは、約10~50モル%の酸性側基を有するモノマーの繰り返し単位を、一部の別の実施形態では、約20~40モル%の酸性側基を有するモノマーの繰り返し単位を含む。一部の別の実施形態では、ポリマーにおいて、ZがOであり、Rが水素である(即ち、完全開環及び加水分解した)式(IIA)のモノマーの繰り返し単位のモル%は、約10~50モル%、約20~45モル%、一部の別の実施形態では、約30~40モル%であってもよい。一部の別の実施形態において、ポリマーにおける式(IA)のノルボルネン型モノマーの繰り返し単位のモル%は、約50~60モル%であってもよい。
【0042】
別の実施形態において、本発明の組成物は、mが0であり、R、R、R、及びRは、独立して、水素、ヘキシル、デシル、-(CH-C(CFOH、-(CH-COH、ベンジル、フェネチルを表す式(I)のモノマーに由来するポリマーを含む。
【0043】
別の実施形態において、本発明の組成物は、ZがOであり、R及びRが水素であり、Rが水素であるか、或いは直鎖又は分岐鎖の(C-C)アルキルであるポリマーを含む。即ち、上記の実施形態で用いられたポリマーは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソ-ブタノール、tert-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプチルアルコール、n-オクチルアルコール、n-ノニルアルコールなどを含む(C-C)アルコール類のいずれかで開環無水マレイン酸モノマーに由来する。但し、環式アルコールを含む任意の高級アルコールも用いることができることに留意しなければならない。
【0044】
別の実施形態において、本発明の組成物は、ZがN-R12であり、R及びRが水素であり、Rが水素であり、R12が水素であるか、或いは直鎖又は分岐鎖の(C-C)アルキルであるポリマーを含む。即ち、上記の実施形態で用いられたポリマーは、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、イソ-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、n-ペンチルアミン、n-ヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、n-オクチルアミン、n-ノニルアミンなどを含む(C-C)アルキルアミン類のいずれかで開環無水マレイン酸モノマーに由来する。
【0045】
従って、式(I)で表される既知のモノマーであれば、本発明のこの形態で用いることができる。式(I)で表されるモノマーの代表例は、下記のとおりであるが、これらに限定されない。
【化11-1】
【化11-2】
【化11-3】
【化11-4】
【化11-5】
【化11-6】
【化11-7】
【化11-8】
【化11-9】
【0046】
ここで、本発明の組成物に用いられるポリマーを形成する式(IIA)又は式(IIB)の第2の繰り返し単位を参照して、無水マレイン酸自体を含む任意の無水マレイン酸誘導体をモノマーとして用いることができると考えられる。そのような種類のモノマーの代表例には、以下からなる群より選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【化12-1】
【化12-2】
【0047】
さらに別の実施形態において、本発明の組成物は、式(I)の1つ以上のモノマー及び式(IIA)又は式(IIB)の繰り返し単位となる式(II)の少なくとも1つ以上のモノマーを包含するコポリマー又はターポリマーであるポリマーを含む。
【0048】
別の実施形態において、本発明の組成物は、式(IIA)又は式(IIB)に該当する繰り返し単位となる式(II)の少なくとも1つ以上のモノマーと、式(I)の少なくとも1つ以上のモノマーを包含するコポリマー又はターポリマーであるポリマーを含む。
【0049】
さらに別の実施形態において、本発明の組成物は、式(I)の1つ以上のモノマーと、式(IIA)又は式(IIB)の該当する繰り返し単位となる式(II)の1つ以上のモノマーを包含するポリマーを含む。
【0050】
つまり、本明細書に記載の重合性モノマーのいずれも用いることができる。従って、一実施形態において、本発明のポリマーは、以下からなる群より選択される該当するモノマーに由来する1つ以上の繰り返し単位を含む:
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(NB);
5-ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(HexNB);
5-オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(OctNB);
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB);
ノルボルネニル-2-トリフルオロメチル-3,3,3-トリフルオロプロパン-2-オール(HFANB);
5-n-パーフルオロブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(CNB);
テトラオキサドデカンノルボルネン(NBTODD);
5-(3-メトキシブトキシ)メチル-2-ノルボルネン(NB-3-MBM);
5-(3-メトキシプロパンオキシ)メチル-2-ノルボルネン(NB-3-MPM);
5-((2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(NBTON);
2-((ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-イルメトキシ)メチル)オキシラン(MGENB);
2-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-イル)オキシラン;及び
2-(7-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-イル)ヘキシル)オキシラン。
【0051】
5-ベンジルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(BenNB);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB);
エチル3-(ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-2-イル)プロパノエート(EPEsNB);
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2-カルボン酸(Acid NB);及び
ノルボルネニルプロパン酸(NBEtCOOH)。
【0052】
さらに別の実施形態において、本発明のポリマーは、以下からなる群より選択される式(I)の該当するモノマーに由来する1つ以上の繰り返し単位を含む:
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(NB);
5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB);
ノルボルネニル-2-トリフルオロメチル-3,3,3-トリフルオロプロパン-2-オール(HFANB);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB);及び
ノルボルネニルプロパン酸(NBEtCOOH)。
【0053】
別の実施形態において、本発明の組成物は、以下からなる群より選択される式(II)の該当するモノマーに由来する1つ以上の繰り返し単位を有するポリマーを含む:
無水マレイン酸;及び
2-メチル-無水マレイン酸。
【0054】
上述のコポリマー又はターポリマーの例は下記のとおりであるが、これらに限定されない:
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)に由来する繰り返し単位と、メタノールで開環した、即ちR及びRが水素であり、ZがOであり、Rがメチルである式(IIA)の完全に開環無水マレイン酸の繰り返し単位を含む、コポリマー;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(NB)に由来する繰り返し単位と、n-ブタノールで開環した、即ちR及びRが水素であり、ZがOであり、Rがn-ブチルである式(IIA)の完全に開環無水マレイン酸の繰り返し単位を含む、コポリマー;
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)及び5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(DecNB)に由来する繰り返し単位と、メタノールで開環した、即ちR及びRが水素であり、ZがOであり、Rがメチルである式(IIA)の完全に開環無水マレイン酸の繰り返し単位を含む、ターポリマー;及び
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)に由来する繰り返し単位と、n-ブチルアミンで開環した、即ちR及びRが水素であり、ZがN-n-ブチルであり、Rが水素である式(IIA)の完全に開環無水マレイン酸の繰り返し単位を含むコポリマー。
【0055】
本発明の組成物を形成するために用いられるポリマーは、一般に、少なくとも約2,000の重量平均分子量(M)を示す。一般に、本明細書に記載のフリーラジカル重合により製造されたポリマーは、ビニル付加重合法により製造されたポリマーと比較した場合、より低い分子量を示す。従って、別の実施形態において、本発明の組成物に用いられるポリマーは、少なくとも約5,000のMを有する。さらに別の実施形態において、本発明の組成物に用いられるポリマーは、少なくとも約8,000のMを有する。一部の別の実施形態において、本発明のポリマーは、少なくとも約10,000のMを有する。一部の別の実施形態において、本発明のポリマーは、約20,000~50,000のMを有する。一部の別の実施形態において、特にポリマーがビニル付加重合法の手順により製造される場合、本発明のポリマーは、少なくとも約10,000のMを有する。一部の別の実施形態において、本発明に用いられるビニル付加ポリマーは約50,000~500,000のMを有する。ポリマーの重量平均分子量(M)は、例えば、適切な検出器とキャリブレーション標準(狭屈折率検出器など)を備えたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)などの既知の任意の手法で決定できる。
【0056】
本発明による組成物の実施形態で用いられる着色剤は、本発明の組成物から様々なカラーフィルタを製造できるようにマイクロレンズを形成することを可能とする。従って、本発明の組成物は、少なくとも1つ以上の着色剤を含む。染料、顔料、及びこれらの混合物などを含む任意の好適又は効果的な着色剤を本発明の組成物に用いることができる。本発明の組成物中に分散又は溶解することができ、本明細書に記載の様々な他の成分との互換性があれば、任意の染料又は顔料を選択することができる。本発明の組成物は、当業者に既知の色指数(C.I.)溶剤染料、分散染料、変性酸性直接染料、塩基性染料、硫化染料、建染染料などの従来の着色剤のいずれかを用いることができる。適切な染料の例には、Neozapon Red 492(BASF社);Orasol Red G(BASF社);Direct Brilliant Pink B(Oriental Giant Dyes社);Direct Red 3BL(Classic Dyestuffs社);Supranol Brilliant Red 3BW(Bayer AG社);Lemon Yellow 6G(United Chemie社);Light Fast Yellow 3G(Shaanxi社);Aizen Spilon Yellow C-GNH(保土谷化学工業);Bernachrome Yellow GD Sub(Classic Dyestuffs社);Cartasol Brilliant Yellow 4GF(Clariant社);Cibanon Yellow 2GN(BASF社);Orasol Black CN(BASF社);Savinyl Black RLSN(Clariant社);Pyrazol Black BG(Clariant社);Morfast Black 101(Rohm&Haas社);Diazol Black RN(ICI社);Orasol Blue GN(BASF社);Savinyl Blue GLS(Clariant社);Luxol Fast Blue MBSN(Pylam Products社);Sevron Blue 5GMF(Classic Dyestuffs社);Basacid Blue 750(BASF社)、Neozapon Black X51(BASF社)、Classic Solvent Black 7(Classic Dyestuffs社)、Sudan Blue 670(C.I.61554)(BASF社)、Sudan Yellow 146(C.I.12700)(BASF社)、Sudan Red 462(C.I.26050)(BASF社)、C.I.Disperse Yellow 238、Neptune Red Base NB543(BASF社)、C.I.Solvent Red 49)、Neopen Blue FF-4012(BASF社)、Lampronol Black BR from ICI(C.I.Solvent Black 35)、Morton Morplasマゼンタ36(C.I.Solvent Red 172)、本明細書にも組み込まれた米国特許第6221137号に開示されたメタルフタロシアニン着色剤などが挙げられる。その他の適切な染料には、本明細書にも組み込まれた米国公開特許第2010/0086683号、米国特許第7732581号、第7381831号、第6713614号、第6646111号、第6590082号、第6472523号、第6713614号、第6958406号、第6998493号、第7211131号、第7294730号に開示されているものが含まれる。本明細書にも組み込まれた米国特許第5621022号及び第5231135号に開示されており、Milliken&CompanyからMilliken Ink Yellow 869、Milliken Ink Blue 92、Milliken Ink Red 357、Milliken Ink Yellow 1800、Milliken Ink Black 8915-67、uncut Reactant Orange X-38、uncut Reactant Blue X-17、Solvent Yellow 162、Acid Red 52、Solvent Blue 44、uncut Reactant Violet X-80などの製品名で市販されているポリマー染料も使用可能である。
【0057】
一部の実施形態では、溶剤染料が用いられる。適切な溶剤染料の例には、Neozapon Red 492(BASF社);Orasol Red G(BASF社);Direct Brilliant Pink B(Global Colors);Aizen Spilon Red C-BH(保土谷化学工業);Kayanol Red 3BL(日本化薬);Spirit Fast Yellow 3G;Aizen Spilon Yellow C-GNH(保土谷化学工業);Cartasol Brilliant Yellow 4GF(Clariant);Pergasol Yellow CGP(BASF社);Orasol Black RLP(BASF社);Savinyl Black RLS(Clariant);Morfast Black Conc.A(Rohm&Haas社);Orasol Blue GN(BASF社);Savinyl Blue GLS(Sandoz);Luxol Fast Blue MBSN(Pylam);Sevron Blue 5GMF(Classic Dyestuffs);Basacid Blue 750(BASF社)、Neozapon Black X51[C.I.Solvent Black、C.I.12195](BASF社)、Sudan Blue 670[C.I.61554](BASF社)、Sudan Yellow 146[C.I.12700](BASF社)、Sudan Red 462[C.I.260501](BASF社)などが挙げられる。
【0058】
顔料も、本明細書に記載の組成物に適切な着色剤である。顔料は、本発明の組成物と互換性のある有機顔料又は無機顔料のいずれも可能である。本明細書で用いられる顔料は、一般に、微細に分散した形態で存在する。通常、本発明で用いるのに適切な有機顔料は、500nm以下の平均一次粒径を有する。一部の実施形態において、顔料の平均一次粒径は200nm以下である。一部の別の実施形態においては100nm以下であり、一部の別の実施形態においては50nm以下である。無機顔料は、通常、0.1~5μmの平均粒径を有する。一部の実施形態において、無機顔料の平均粒径は0.1~3μmであり、一部の別の実施形態においては0.1~1μmである。これらの顔料の平均粒径は、当該分野で既知の任意の手順で決定できる。
【0059】
有機顔料は、ペリレン顔料、フタロシアニン顔料、ジケトピロロピロール顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、インダントロン顔料、モノアゾを含むアゾ顔料、ビスアゾ及びアゾメチン顔料、ビスアゾ縮合顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、キナクリドン顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ピラゾロキナゾロン顔料、ぺリノン顔料、ジオキサジン顔料であってもよい。
【0060】
適切な顔料の例には、HELIOGEN(登録商標) Green L8730(BASF社)、HELIOGEN(登録商標) Green L8735(BASF社);HELIOGEN(登録商標) Green L9361(BASF社)、HELIOGEN(登録商標) Blue D6840、D7080、K6902、K6910、L7020、L6700F、L6900、L6905F、L6960HD、(BASF社)、PALIOGEN(登録商標) Blue L6480、PALIOGEN(登録商標) Blue 6470、L6360(BASF社)、SUNFAST Blue 15:4と15:3(Sun Chemical社);HOSTAPERM(登録商標) Blue B2G-D(Clariant社)、HOSTAPERM(登録商標)Blue B4G(Clariant社)、Sudan Blue OS(BASF社)、NEOPEN Blue FF4012(BASF社)、PV Fast Blue B2GO1(Clariant社)、IRGALITE Blue BCA(BASF社);IRGAZIN(登録商標)Red L3660 HD、IRGAZIN(登録商標) Red L3670 HD、PALIOGEN Red 3340、3871K、L3885、L3920(BASF社)、LITHOL Scarlet D3700(BASF社)、LITHOL Scarlet 4440(BASF社)、Permanent Red P-F7RK、Bon Red C(Dominion Color Company)、PALIOGEN(登録商標) Black L0086、PALIOGEN(登録商標)Black EH 0788、LUMOGEN(登録商標)Black FK 4281、PALIOGEN Black L0084(BASF社);Pigment Black K801(BASF社);REGAL 330(商標) (Cabot社)、Nipex 150(Degussa社)、Carbon Black 5250、Carbon Black 5750(Columbia Chemical社)のようなカーボン黒などが挙げられるが、これらに限定されない。他の適切な顔料には、本明細書にも組み込まれた米国特許第7905954号、第7503973号、第7465348号、第7427323号に開示されている顔料が挙げられる。
【0061】
本発明の組成物に適切な無機顔料であれば制限なく用いることができる。無機顔料には、例えば、Pigment Blue 28、36、Pigment Green 17、26、50、又はPigment Black 12、30が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
2つ以上の染料、2つ以上の顔料、及び1つ以上の顔料と1つ以上の染料の混合物も用いることができる。
【0063】
従って、本明細書に記載の任意の既知の着色剤は、前記の意図した変化をもたらすものであれば本発明の組成物に用いることができる。一般に、本明細書において用いられる染料は、本発明の組成物を形成するために用いられる溶媒に溶解可能であるため、染料を含む組成物は、通常、透明な溶液である。一方、本明細書において用いられる顔料は、本発明の組成物に分散可能であるため、顔料を含む組成物は、一般に、微細に分散された顔料を含むコロイド状である。
【0064】
本発明の一部の実施形態において、組成物は、染料である着色剤を含む。上述のように、一般に用いられる染料はポリマー溶液に溶解可能であるため、透明な組成物を形成する。
【0065】
本発明の組成物に用いられる1つ以上の特定の着色剤は、以下からなる群より選択されるが、これらに限定されない。
【化13】
コバルトと複合化された14H-ベンゾ[4,5]イソキノリノ[2,1-a]ピリミジン-14-オン(CAS No.6829-22-7)(ペリミジノンアゾ金属錯体染料、Solvent Redとして一般に入手可能か、Clariant社よりSavinyl Fire Red(コバルト錯体)の製品名で市販);
【化14】
クロムと複合化された(Z)-4-(2-(2-ヒドロキシ-4-ニトロフェニル)ヒドラジニリデン)-5-メチル-2-フェニル-2,4-ジヒドロ-3H-ピラゾール-3-オン(CAS No.12227-55-3)(ピラゾリンアゾ金属錯体、Solvent red 122として一般に入手可能であり、BASF社よりORASOL(登録商標) redの製品名で市販);
【化15】
銅が複合化されたフタロシアニン(CAS no.1328-53-6)(Pigment green 7として一般に入手可能であり、BASF社よりMicrolith Greenの製品名で市販);
【化16】
クプラート(1-)、[C,C,C-トリス[[[3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]プロピル]アミノ]スルホニル]-29H,31H-フタロシアニン-C-スルホナト(3-)N29,N30,N31,N32]-、水素、3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]-1-プロパンアミン(1:1)(CAS No.94277-77-7)(青色着色剤として一般に入手可能であり、BASF社よりORASOL(登録商標) Blue 855の製品名で市販);
【化17】
1,4-ビス(アルキルアミノ)アントラセンジオン(Rは、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、2-エチルヘキシル、3-((2-エチルヘキシル)オキシ)プロピル、3-メトキシプロピル、フェニル、p-トリル)(これらの染料の一部は、一般にBASF社よりSudan Blue B(CAS No.64553-79-3)、Sudan Blue 673(CAS No.90170-70-0)、Sudan Blue ER(CAS No.74499-36-8)の製品名で市販);
【化18】
1,4-ビス(メシチルアミノ)アントラセン-9,10-ジオン(CAS No.116-75-6)(青色着色剤として一般に入手可能であり、Clariant社よりSolvent Blue 104又はPolysanthren Blueの製品名で市販);
【化19】
N-(4-((4-ヒドロキシ-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-1-イル)アミノ)フェニル)アセトアミド(CAS No.67905-17-3)(青色着色剤として一般に入手可能であり、Clariant社よりSolvent Blue 122又はPolysanthren Gの製品名で市販);及び
モノアゾ染料(黒色着色剤として一般に入手可能であり、BASF社よりORASOL(登録商標) Black X51(CAS No.12237-22-8)の製品名で市販)。
【0066】
一部の別の実施形態において、本発明の組成物は、顔料である着色剤を含む。上述のように、意図した変化をもたらすために、本発明の組成物に1つ以上の顔料を用いることができる。一部の別の実施形態において、本発明の組成物は、1つ以上の顔料と1つ以上の染料との組み合わせを含む。
【0067】
本発明の組成物の全ての成分を溶解することができる任意の溶媒を、担体溶媒として用いることができる。前記溶媒の代表例には、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルアミルケトン(MAK)、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどのケトン溶媒;デカン、トルエン、P-メンタンなどの炭化水素溶媒;酢酸ベンジル、酢酸エチルなどのエステル溶媒;ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)などのグリコール及びエーテル溶媒;N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アニソール、メチル3-メトキシプロピオネート、テトラヒドロフラン(THF)、3-エトキシ-1,1,1,2,3,4,4,5,5,6,6,6-ドデカフルオロ-2-(トリフルオロメチル)ヘキサン(HFE-7500)、1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロ-4-メトキシブタン、1,1,1,2,2,3,4,4,4-ノナフルオロ-3-メトキシブタン、及びこれらの任意の組み合わせの混合物などのその他の溶媒;が含まれる。
【0068】
上述のように、本発明のポリマー組成物は、光活性化合物(PAC)をさらに含む。本明細書でさらに議論されるような所望の結果をもたらし得る当業者に既知のPACは、いずれも本発明の組成物に用いることができる。広義で、本発明に用いることができるPACは、適切な放射線に露出されると化学変換を引き起こす感光性化合物で、結果として生じる生成物は、一般に、現像剤、例えば、アルカリ溶液などに対して溶解度がさらに高くなるため、露光部分は非露光部分より容易に溶解される。上述のように、本発明の組成物は、エポキシ樹脂と溶媒をさらに含む。さらに、当該組成物は、本明細書に記載のように、様々なイメージセンサデバイスの製造において、自己画像化可能層として有用な膜を形成できる。即ち、活性光線で像様露光を行うと、当該の層(又は膜)は現像されて前記パターン化された膜を形成することができ、当該パターンは、膜が露光された画像を反映して、パターン化された膜を形成し、例えば、具体例で後述するマイクロレンズに形成することができる。
【0069】
このようにして、イメージセンサデバイス部品の一部であるか又は部品となる構造を提供することになる。例えば、当該膜は、マイクロレンズの形成に有用である可能性があり、及び/又は当該分野で既知のカラーフィルタとして用いることができる。その例は、自己画像化可能膜の多くの用途のうちのごく一部に過ぎず、その例は、当該膜又は膜を形成するために用いられるポリマー及びポリマー組成物の範囲を限定しないことに留意すべきである。
【0070】
一般に、本発明に適切なPACは、式(C)のジアゾキノン基を含む。
【化20】
当該光活性化合物(PAC)の例としては、それぞれ、構造式(IIIa)及び(IIIb)で表される1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホニル部分、及び/又は1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホニル部分などの基が挙げられるが、これらに限定されない。
【化21】
なかでも、別の光活性部分には構造式(IIIc)で表されるスルホニルベンゾキノンジアジド基が含まれる。
【化22】
【0071】
一般に、式(IIIa)、(IIIb)、及び/又は(IIIc)の官能基は、それぞれの塩化スルホニル(又は他の反応性部分)及び下記の構造式(IVa)~(IVai)で総括的に表される1つ以上の例示化合物のようなフェノール化合物のエステル化生成物として前記感光性組成物に添加される。従って、前記エステル化生成物のいずれか1つ、又は2つ以上の混合物は、本発明の感光性樹脂組成物を形成する際に樹脂と組み合わされる。下記式(IVa)~(IVai)において、Qは、式(IIIa)、(IIIb)、又は(IIIc)のいずれかを表してもよい。感光性組成物の膜又は層の一部が、適切な電磁放射線に露出されると、これらのエステル化生成物は、水性アルカリ溶液に対する露光部分の溶解度を当該膜の非露光部分と比較して向上させるカルボン酸を生成する。一般に、前記感光性材料は、樹脂100重量部当たり1~50重量部の量で組成物に添加される。感光性材料と樹脂の特定の比率は、非露光部分と比較した露光部分の溶解率と、所望の溶解率との差を達成するうえで必要な放射線量の関数である。
【0072】
【化23-1】
【化23-2】
【化23-3】
【化23-4】
【0073】
前記式(IVa)~(IVai)のPACにおいて、Qは、式(IIIa)、(IIIb)、又は(IIIc)の光活性部分のいずれか、又は水素を表し、それぞれの構造式において、これらのQの少なくとも1つは、(IIIa)、(IIIb)、又は(IIIc)である。上記に挙げたPACの一部は市販されている。例えば、式(IVc)のPAC-5570(St.Jean Photochemicals社、カナダケベック州)、式(IVd)のSCL6(Secant Chemicals社、米国マサチューセッツ州ウィンチェンドン)、式(IVo)のTrisP3M6C-2-201(TrisPともいう)、式(IVa)のTS-200、TS-250、TS-300、式(IVe)の4NT-300(いずれも東洋合成社、日本千葉)が、市販されているPACに該当する。TS-200、TS-250、TS-300タイプのPACの場合、Qの置換度も使用製品によって変動することに留意しなければならない。例えば、TS-200はQの67%を置換し、TS-250は83%を、TS-300は100%を置換し、非置換部分は水素である。上述のように、各事例におけるQは、(IIIa)、(IIIb)、又は(IIIc)の基のいずれか一つに該当する。
【0074】
一部の実施形態において、本発明の組成物は、下記式のPACを含む:
【化24】
ここで、少なくとも1つのQは、式(IIIa)又は(IIIb)の基であり、残りのQは、水素である。
【0075】
組成物におけるPACの仕込量は、用いられるポリマーの種類及び想定される露光量に依存する。その量は、一般に、ポリマー100重量部当たり約5~50重量部で、通常は約10~約30重量部で変動し得るが、前記材料の他の有利な量も適切であり、本発明の範疇に属する。
【0076】
本発明の組成物が少なくとも1つ以上の架橋剤を含有することが見出された。硬化工程中にポリマーと他の添加剤との架橋をもたらし得る文献で既知の架橋剤は、いずれも本発明の実施形態で用いることができる。
【0077】
上述のエポキシ及び他の架橋剤の例には、ビスフェノールAエポキシ樹脂(LX-1、ダイソーケミカル社、日本大阪)、2,2’-((((1-(4-(2-(4-(オキシラン-2-イルメトキシ)フェニル)プロパン-2-イル)フェニル)エタン-1,1-ジイル)ビス(4,1-フェニレン))ビス(オキシ))ビス(メチレン))ビス(オキシラン)(Techmore VG3101L:三井化学社)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(TMPTGE:CVC Specialty Chemicals社)、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-1,5-ビス(3-(オキシラン-2-イルメトキシ)プロピル)トリシロキサン(DMS-E09:Gelest社)、液状エポキシ樹脂(D.E.R.(商標)732[nは8~10]、又はD.E.R.(商標)736[nは4~6]:ダウケミカル社)、ビス(4-(オキシラン-2-イルメトキシ)フェニル)メタン(EPON(商標)862:Hexion Specialty Chemicals社)、グリセロールのポリ(オキシプロピレン)エポキシドエーテルのトリグリシジルエーテル(Heloxy 84又はGE-36の製品名で市販、Momentive Specialty Chemicals社、又はBOC Science)、2-((4-(tert-ブチル)フェノキシ)メチル)オキシラン(Heloxy 65の製品名で市販、Momentive Specialty Chemicals社)、及びシリコーン変性エポキシ化合物(BY16-115の製品名で市販、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社)が含まれるが、これらに限定されず、各材料の式は、以下の通りである:
【化25】
LX-01(nは1~5);
【化26】
2,2’-(((2-エチル-2-((オキシラン-2-イルメトキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイル)ビス(オキシ))ビス(メチレン))ビス(オキシラン)(TMPTGE)(Denacol EX-321Lの製品名で市販、長瀬社);
【化27】
【化28】
D.E.R.(商標)732(nは8~10)及びD.E.R.(商標)736(nは4~6);
【化29】
EPON(商標)862(Momentive Specialty Chemicals社より市販);
【化30】
グリセロールのポリ(オキシプロピレン)エポキシドエーテルのトリグリシジルエーテル(nは6~10)(Heloxy 84又はGE-36の製品名で市販、Momentive Specialty Chemicals社);
【化31】
2-((4-(tert-ブチル)フェノキシ)メチル)オキシラン(Heloxy 65の製品名で市販、Momentive Specialty Chemicals社);及び
【化32】
シリコーン変性エポキシ化合物(BY16-115の製品名で市販、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社);
【化33】
JER1032H60(日本化薬社より市販)
【化34】
GT-401(ダイセル社より市販)。
【0078】
本発明の組成物に用いることができるその他の架橋剤としては、以下の材料が挙げられる。
【化35】
【0079】
エポキシ樹脂又は架橋剤の別の例としては、Araldite MTO163及びAraldite CY179(チバガイギー社製)、EHPE-3150、及びEpolite GT300(ダイセルケミカル社製)が挙げられる。本発明の感光性組成物の形成において添加剤として用いられることができる架橋又は架橋性材料の別の例には、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、シリコーン含有エポキシ樹脂など;プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ポリメチル(グリシジルオキシプロピル)シクロヘキサンなど;2-メチル-2-オキサゾリン、2-エチル-2-オキサゾリン、1,3-ビス(2-オキサゾリン-2-イル)ベンゼン、1,4-ビス(2-オキサゾリン-2-イル)ベンゼン、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、2,6-ビス(4-イソプロピル-2-オキサゾリン-2-イル)ピリジン、2,6-ビス(4-フェニル-2-オキサゾリル-2-イル)ピリジン、2,2’-イソプロピリデンビス(4-フェニル-2-オキサゾリン)、(S,S)-(-)-2,2’-イソプロピリデンビス(4-tert-ブチル-2-オキサゾリン)、ポリ(2-プロぺニル-2-オキサゾリン)などのオキサゾリン環を含有するポリマー;N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、フルフリルアルコール、ベンジルアルコール、サリチルアルコール、1,2-ベンゼンジメタノール、1,3-ベンゼンジメタノール、1,4-ベンゼンジメタノール、レゾール型フェノール樹脂、又はこれらの混合物が含まれる。別の実施形態において、本明細書で挙げられた少なくとも2つのエポキシ化合物が用いられる。
【0080】
エポキシ化合物の量は、PACと同様に、組成物に用いられる基本ポリマーによって変動してもよく、また、その量も意図する結果物によっても変動してもよい。その量は、一般に、ポリマー100重量部当たり約1~50重量部(即ち、樹脂100部当たりの部数、pphr)、通常約2~約30重量部で変動してもよいが、前記材料の他の有利な量もまた適切であり、本発明の範疇に属する。さらに、本明細書で挙げた1つ以上の異なるエポキシ化合物を本発明の組成物に用いることができ、従って、それぞれの化合物の量は必要に応じて変動する。
【0081】
別の実施形態では、本明細書で挙げられるエポキシ化合物の少なくとも2つが用いられる。
【0082】
本発明のポリマー組成物は、特に同様の用途について文献で報告されているいくつかのポリマーと比較した場合、いくつかの望ましい特性を提供することが見出された。この側面は、後述する特定の実施例によりさらに立証される。より具体的には、本発明の組成物は、優れた熱的特性を有しており、後述においてより詳細に説明するように、パターン化及び硬化工程の直後にマイクロレンズアレイを製造するように調整することができる。
【0083】
さらに、様々な他の添加剤/成分を本発明の組成物に添加することができ、光画像化可能層の形成に用いられ、カラーフィルタ及び/又はマイクロレンズを含むデバイスの意図された形成に有用であるように熱的特性又は機械的特性を所望どおりに調整することもできる。また、他の添加剤を用いて、熱放射及び/又は光放射におけるポリマーの安定性を向上するなど、加工性を変更することができる。この場合、当該添加剤には、界面活性剤、酸化防止剤、接着促進剤などが含まれるが、これらに限定されない。当該添加剤は、単独で又はそれらの任意の組み合わせにより用いることができる。前記化合物は、以下からなる群より選択することができるが、これらに限定されず、市販の材料は、製品名で示されている。
【0084】
【化36】
トリメトキシ(3-(オキシラン-2-イルメトキシ)プロピル)シラン(通称、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403、信越化学工業株式会社));
【化37】
トリエトキシ(3-(オキシラン-2-イルメトキシ)プロピル)シラン(通称、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(KBM-403、信越化学工業株式会社));
【化38】
トリメトキシ(3-(オキシラン-2-イルメトキシ)プロピル)シラン(通称、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3-GTS));
【化39】
((トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド(Si-75又はSi-266、エボニック社);
【化40】
((トリメトキシシリル)プロピル)ジスルフィド;
【化41】
ジエトキシ(プロポキシ)(3-チオシアナトプロピル)シラン、製品名SIT-7908.0、Gelest社;
【化42】
2,2’-((2-ヒドロキシ-5-メチル-1,3-フェニレン)ビス(メチレン))ビス(4-メチルフェノール)(酸化防止剤AO-80、東京化成工業株式会社);
【化43】
6,6’-メチレンビス(2-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェノール)(4-PC);
【化44】
ビス(4-(2-フェニルプロパン-2-イル)フェニル)アミン(製品名Naugard-445、Addivant社より市販);
【化45】
ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(Irganox 1010、BASF社);
【化46】
3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-オクタデシルエステルベンゼンプロパン酸(Irganox 1076、BASF社);
【化47】
1,4-ビス[(エテニルオキシ)メチル]-シクロヘキサン(シクロヘキサンジビニルエーテル(CHDVE));及び
【化48】
2,2’-メチレンジフェノール。
【0085】
本発明のさらに別の態様は、カラーフィルタ機能を備えたマイクロレンズアレイを含む物品をさらに提供することであり、当該アレイは、本発明による組成物から形成される。アレイは、使用目的に応じて任意の構成で形成できる。例えば、一部の実施形態において、当該アレイはチェッカーボード構成である。
【0086】
本発明のさらに別の態様は、超小型電子又は光電子デバイスにおけるカラーフィルタマイクロレンズアレイの製造のためのパターン化された膜を形成する方法をさらに提供するものであり、前記の方法では、
適切な基板を本発明による組成物でコーティングして膜を形成し、
前記膜を適切な放射線で露光してマスクでパターニングし、
露光後に前記膜を現像してフォトパターンを形成し、
前記パターン化された膜を適切な温度に加熱して、マイクロレンズアレイを形成する。
【0087】
本発明の感光性組成物を用いて膜を形成するための所望の基板の塗布は、本明細書に記載の塗布工程及び/又は当該分野の当業者に既知の任意の手順、例えば、スピンコートによって行うことができる。他の適切な塗布方法としては、スプレーコート、ドクターブレードコート、メニスカスコート、インクジェットコート、スロットコートなどが挙げられるが、これらに限定されない。適切な基板としては、任意の適切な基板がそのまま挙げられるか、電気、電子、又は光電子デバイスに用いることができる、例えば、半導体基板、セラミック基板、ガラス基板が挙げられる。
【0088】
次に、塗布した基板に残留する流延溶媒の除去を促進するために、最初に、例えば、60℃~140℃の温度で1~30分間加熱するなどソフトベークを行うが、他の適切な温度及び時間も可能である。一部の実施形態において、最初に、基板を約100℃~約130℃の温度で2分~10分間ソフトベークする。加熱後、一般に、膜を適切な波長の活性光線に画像形態で露光し、波長は前記ポリマー組成物中の光増感剤と組み合わせて用いられる光塩基生成剤に基づいて選択する。但し、一般に、水銀灯により生成される適切な波長は、用いられる水銀灯の種類によって200~450nmである。ここで、「像様露光」という用語は、膜の露光部分と非露光部分の結果として得られるパターンを提供するためにマスキング要素を介して露光することを意味することが理解される。
【0089】
本発明による組成物から形成された膜の像様露光後、現像工程が用いられる。本発明の組成物は、「ポジティブトーン」組成物として機能する。当該分野で既知のように、「ポジティブトーン」組成物において現像工程は、膜の露光部分のみを除去し、それにより膜内にマスキング層のポジティブ画像を残す。即ち、適切な活性光線に露出された膜は、現像剤により溶けやすくなる。
【0090】
一般に、ポジティブトーン組成物に適した現像剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニアなどの無機アルカリ性水溶液;及び0.26Nテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、エチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アルカリ性水溶液が含まれる。有機アルカリを用いる場合、一般に、水と実質的に完全に混和する有機溶媒を用いて、有機アルカリに適切な溶解度を提供する。TMAHの水溶液は、半導体分野において広く知られている開発者向けの現像溶液である。また、適切な現像剤には、特に、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、及び酢酸ブチルなどの有機溶媒が含まれる。
【0091】
従って、本発明の一部の実施形態は、像様露光後、結果として得られる画像が水性塩基溶液により現像される自己画像化可能膜を提供する。画像を現像した後、基板を洗浄して過剰な現像溶媒を除去し、通常、洗剤は水又は適切なアルコール及びそれらの混合物である。
【0092】
前記洗浄後、基板を乾燥させ、結像膜を最終的に硬化させる。即ち、画像を固定させる。当該ステップにおいて、組成物は架橋反応をし、そこで残りのポリマーが本明細書に記載のような架橋剤と反応する。加熱は、一般に、例えば160℃~250℃の所望の温度で十分な時間の間、即ち数分~1時間以上にわたって行われる。残りの層は、本明細書に記載のエポキシ添加剤と架橋する。
【0093】
このような「像様露光」、現像及びその後の硬化ステップは、画像の固定に役立つだけでなく、膜の熱流動性を促進して所望のマイクロレンズアレイを形成することが見出された。即ち、上述のように、膜は一般に、カラーフィルタの用途のマイクロレンズの構成を形成するために、当該分野で既知の、例えばチェッカーボード構成を有するマイクロレンズアレイを形成するために、適切なマスクを用いて適切な放射線に露出するのが一般的であり、例えば、米国特許第7575854号及び第7884435号を参照されたい。次に、露光膜は、上述のように現像される。現像されたチェッカーボード画像は、一般に鋭いエッジを有する一連の柱と溝から構成され、また、一般に、サブミクロン解像度を有する。
【0094】
次に、現像した画像に、上述のように硬化ステップを実行する。当該ステップでは、柱の鋭いエッジがポリマーの熱流動によって再形成されて丸いレンズ状を形成し、カラーフィルタの用途に適したマイクロレンズアレイを提供することが見出された。
【0095】
さらに、マイクロレンズアレイの形成は、用いられるポリマーのガラス転移温度に依存することが見出された。一般に、ポリマーのガラス温度(T)が160℃~210℃の範囲であれば、マイクロレンズアレイの形成が促進されることが見出された。従って、一部の実施形態においてポリマーのTは160℃~210℃であり、一部の別の実施形態においてポリマーのTは170℃~200℃であり、さらに一部の別の実施形態においてポリマーのTは180℃~190℃である。
【0096】
従って、一部の実施形態において、結果として得られた画像の露光膜又は層は、約170℃~約220℃の温度で約20分~約240分間パターン化して現像された基板を加熱することで硬化される。一部の別の実施形態においては、約180℃~約210℃の温度で約30分~約180分間加熱して硬化させる。一部の別の実施形態においては、約190℃~約200℃の温度で約60分~約120分間加熱して硬化させる。最後に、本発明の一部の別の実施形態においては、硬化は、約130℃~約200℃の温度に約5℃/分で、約1~3時間加熱して行われる。一部の別の実施形態においては、硬化ステップ後、パターンリフローが完全になくなり、これはパターンの完全性が維持され、約10μm以下の画像解像度が得られ得ることを意味する。一部の別の実施形態では、画像解像度が約5μm以下である。一部の別の実施形態では、画像解像度は約5μm未満、約2μm未満、又は1μm未満である。
【0097】
さらに、こうして形成された結像硬化マイクロレンズアレイは、耐溶媒性であり、異なる染料を含むポリマー組成物のさらなる層が結像表面に形成できる。従って、本発明のさらなる実施形態では、当該分野で一般にRGBカラーフィルタとして知られている、例えば黒、赤、緑、及び青色層などの異なる染料を含む一連のマイクロレンズアレイを備えた複数の結像ポリマー層が提供される。一般に、バックライトの漏れを防ぐために黒色層が最初に形成され、その後、一連の赤、緑、青色染料を含む層がその上に形成される。本明細書に記載のように、これらの層のそれぞれは、新しい層をコーティングし、当該層を適切な放射線に露出し、現像及び硬化することにより形成される。従って、これらの複数の層を形成する際に、各層の形成に用いられるマスクは異なっていてもよい。同様に、硬化ステップは、これらの各ステップでマイクロレンズを形成するための追加の熱流動ステップを含んでもよく、含まなくてもよい。最後に、用途に応じて、及び/又は意図された利益又は用途を提供するために、これらの層のいずれかに誘電体層をさらに設けてもよい。
【0098】
デバイスは、本発明の感光性樹脂組成物の実施形態を用いて製造され、改善された熱特性、高解像度を有することを特徴とする層を形成し、多種多様なカラーフィルタ及びマイクロレンズの形成に有用な丸いレンズ状のチェッカーボード模様に形成することによって製造される。
【0099】
従って、本発明の一部の実施形態において、本発明の組成物によって得られるカラーフィルタマイクロレンズ製品も提供される。別の実施形態では、本明細書に記載のカラーフィルタマイクロレンズ製品を含む光電子又は超小型電子デバイスも提供される。
【0100】
下記の実施例は、本発明の特定の化合物/モノマー、ポリマー、及び組成物の調製、並びに利用方法を詳しく説明するものである。詳細な調製方法は、上述のより一般的に記載された調製方法の範疇に属し、またそれを例示するために供するものである。実施例は、単に説明のために提示するものであり、本発明の範疇を限定するための ものではない。実施例及び本明細書において用いられるように、モノマーと触媒の比率は、モル対モル基準に基づいている。
【実施例
【0101】
下記の略語は、本発明の実施形態の一部を説明するために用いられる化合物、機器、及び/又は方法を記述するものである:
NB:ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン;
PENB:5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン;
HFANB:ノルボルネニル-2-トリフルオロメチル-3,3,3-トリフルオロプロパン-2-オール;
NBEtCOOH:ノルボルネニルプロパン酸;
DecNB:5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン;
NBTON:5-((2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン;
MA:無水マレイン酸;
MeOH:メタノール;
BuOH:n-ブタノール;
TMPTGE:2,2’-(((2-エチル-2-((オキシラン-2-イルメトキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイル)ビス(オキシ))ビス(メチレン))ビス(オキシラン);
GE-36:グリセロールのポリ(オキシプロピレン)エポキシドエーテルのトリグリシジルエーテル;
EPON 862:ビス(4-(オキシラン-2-イルメトキシ)フェニル)メタン;
Si-75:((トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド;
KBM-403E:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;
Megaface MF-556:フルオロ基、親水基、親油基を有するオリゴマー。DIC株式会社製;
O,O’-BPF:2,2’-メチレンジフェノール;
GBL:γ-ブチロラクトン;
PGMEA:プロピレングリコールメチルエーテルアセテート;
TrisP3M6C-2-201:本明細書に記載の式(Ivo)のPAC;
ROMA:アルコールで開環した無水マレイン酸ポリマー;
phr:樹脂100部当たりの部数;
R.T.:室温;
LC-MS:液体クロマトグラフィー/質量分析計;
SEM:走査電子顕微鏡法;
GPC:ゲル浸透クロマトグラフィー;
:重量平均分子量;
PDI:多分散指数;
pphr:樹脂100部当たりの部数。
【0102】
下記の実施例は、本発明の組成物の調製において、本明細書に記載の各種ポリマーの調製に用いられる手順を説明するものである。但し、実施例は、本発明の範疇を制限することなく、且つ開示内容を説明するよう意図されていることに留意しなければならない。
【0103】
<ポリマーの実施例>
本発明の感光性組成物を形成するために用いられるポリマーは、一般に文献で既知のポリマーであり、当該分野における既知の手順に従って製造される。ROMAポリマーに関連する全ての合成手順に関しては、例えば、米国特許第8715900号を参照されたい。
【0104】
〔光画像化可能なポリマー組成物及び画像化の研究〕
下記の実施例は、本明細書に記載の各種着色剤及び他の成分を含む本発明の組成物の形成及び画像形成性を説明する。
【0105】
<実施例1A~1G>
PENBとメタノール開環MA(実施例1A、1C、1DはM=8,900、PDI=2.1、実施例1B、1E、1F、1GはM=8,600、PDI=1.9、ZがOであり、Rがメチルである式(IIA)の繰り返し単位)のモル比が50:50であるモノマー組成物を有する完全に開環したコポリマー(樹脂100重量部)をPGMEA(400部)に溶解した。表1にまとめたように、樹脂100部当たりの部数(pphr)で表される特定の量の着色剤を、適切な大きさのアンバーHDPEボトルで各ポリマー溶液と混合した。実施例1B及び1Eの溶液を60℃で1時間加熱した。実施例1A、1C、及び1Dの溶液を60℃で4時間加熱した。実施例1F及び1Gの溶液は加熱しなかった。加熱後、全ての溶液を大気温度下で一晩撹拌し、0.2μm孔のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスクフィルタでポリマー溶液を濾過することにより、粒子の汚染を除去した。
【0106】
【表1】
【0107】
<実施例2A及び2B>
[着色剤を含まない組成物]
着色剤を含まない組成物の2つのバッチを以下のように形成した。NBとn-ブタノール開環MA(M=11,600、PDI=2.1、ZがOであり、Rがn-ブチルである式(IIA)の繰り返し単位)のモル比が50:50であるモノマー組成物を有する完全に開環したコポリマー(樹脂100重量部)をPGMEA(400部)に溶解した(実施例2A)。同様に、ポリマー溶液の2つ目のバッチもPENBとメタノール開環MA(M=8,200、PDI=1.9、ZがOであり、Rがメチルである式(IIA)の繰り返し単位)のモル比が50:50であるモノマー組成物を有する完全に開環したコポリマーを用いて形成した(実施例2B)。次に、適切な大きさのアンバーHDPEボトルで、樹脂100部当たりの部数(pphr)で表される特定の量の添加剤、即ち、光活性化合物としてTrisP3M6C-2-201(27.5pphr)、エポキシド架橋剤としてTMPTGE(20pphr)、接着促進剤としてKBM-403E(3pphr)及びSi-75(3pphr)を各ポリマー溶液に混合した。混合物を18時間回転させて均一な溶液を生成した。0.2μm孔のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスクフィルタでポリマー溶液を濾過することにより、粒子の汚染を除去した。濾過されたポリマー溶液は低粒子HDPEアンバーボトルに集めて5℃で保管した。
【0108】
<実施例3A~3C>
[着色剤を含む組成物]
PENBとメタノール開環MA(実施例3A及び3Bは、M=8,600、PDI=1.9、実施例3Cは、M=8,200、PDI=1.9、 ZがOであり、Rがメチルである式(IIA)の繰り返し単位)のモル比が50:50であるモノマー組成物を有する完全に開環したコポリマー(樹脂100重量部)をPGMEA(400部)に溶解した。表2にまとめたように、樹脂100部当たりの部数(pphr)で表される特定の量の着色剤と、その他の添加剤、即ち光活性化合物としてTrisP3M6C-2-201(30pphr)、エポキシド架橋剤としてTMPTGE(30pphr)、接着促進剤としてKBM-403E(3pphr)及びSi-75(3pphr)、表面レベリング剤としてMegaface MF-556(0.3pphr)を、適切な大きさのアンバーHDPEボトルで、各ポリマー溶液に混合した。混合物を18時間回転させて均一な溶液を生成した。0.2μm孔のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスクフィルタでポリマー溶液を濾過することにより、粒子の汚染を除去した。濾過されたポリマー溶液は低粒子HDPEアンバーボトルに集めて5℃で保管した。
【0109】
【表2】
【0110】
<実施例4>
[Orasol Black X51を含む組成物]
PENBとメタノール開環MA(M=8,900、PDI=2.1、ZがOであり、Rがメチルである式(IIA)の繰り返し単位)のモル比が50:50であるモノマー組成物を有する完全に開環したコポリマー(樹脂100重量部)をPGMEA(400部)に溶解した。次に、適切な大きさのアンバーHDPEボトルで、樹脂100部当たりの部数(phr)で表される特定の量の添加剤、即ち、黒色着色剤としてOrasol Black X51(50pphr)、光活性化合物としてTrisP3M6C-2-201(30pphr)、エポキシド架橋剤としてGE-36(30pphr)とEPON-862(20pphr)、接着促進剤としてKBM-403E(3pphr)及びSi-75(3pphr)、表面レベリング剤としてMegaface MF-557(0.3pphr)と、GBL(100pphr)を溶液に添加した。混合物を18時間回転させて均一な溶液を生成した。0.2μm孔のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスクフィルタでポリマー溶液を濾過することにより、粒子の汚染を除去した。濾過されたポリマー溶液は低粒子HDPEアンバーボトルに集めて5℃で保管した。
【0111】
<実施例5A及び5B>
[Savinyl Fire Redを含む組成物]
PENBとn-ブタノール開環MA(M=11,500、PDI=2.1、ZがOであり、Rがn-ブチルである式(IIA)の繰り返し単位)のモル比が50:50であるモノマー組成物を有する完全に開環したコポリマー(樹脂100重量部)をPGMEA(400部)に溶解した。次に、適切な大きさのアンバーHDPEボトルで、樹脂100部当たりの部数(pphr)で表される特定の量の添加剤、即ち、赤色着色剤としてSavinyl Fire Red(150pphr)、光活性化合物としてTrisP3M6C-2-201(30pphr)、エポキシド架橋剤としてGE-36(30pphr)とEPON-862(20pphr)、接着促進剤としてKBM-403E(3pphr)と、Si-75(3pphr)と、GBL(100pphr)とを溶液に添加した(実施例5A)。実施例5Bには、溶解促進剤としてO,O-BPF(2.5phr)をさらに添加した。混合物を18時間回転させて均一な溶液を生成した。0.2μm孔のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスクフィルタでポリマー溶液を濾過することにより、粒子の汚染を除去した。濾過されたポリマー溶液は低粒子HDPEアンバーボトルに集めて5℃で保管した。
【0112】
<実施例6A及び6B>
[Savinyl Fire Redを含む組成物]
NBとn-ブタノール開環MA(M=11,500、PDI=2.1、 ZがOであり、Rがn-ブチルである式(IIA)の繰り返し単位)のモル比が50:50であるモノマー組成物を有する完全に開環したコポリマー(樹脂100重量部)をPGMEA(400部)に溶解した。次に、適切な大きさのアンバーHDPEボトルで、樹脂100部当たりの部数(pphr)で表される特定の量の添加剤、即ち、赤色着色剤としてSavinyl Fire Red(100pphr)、光活性化合物としてTrisP3M6C-2-201(30pphr)、エポキシド架橋剤としてGE-36(30pphr)とEPON-862(20pphr)、接着促進剤としてKBM-403E(3pphr)と、Si-75(3pphr)と、GBL(300pphr)とを溶液に添加した(実施例6A)。同様に、PENBとメタノール開環MA(M=8,200、PDI=1.9、ZがOであり、Rがメチルである式(IIA)の繰り返し単位)のモル比が50:50であるモノマー組成物を有する完全に開環したコポリマーを用いて同様の組成物を調製した(実施例6B)。混合物を18時間回転させて均一な溶液を生成した。0.2μm孔のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスクフィルタでポリマー溶液を濾過することにより、粒子の汚染を除去した。濾過されたポリマー溶液は低粒子HDPEアンバーボトルに集めて5℃で保管した。
【0113】
<実施例7A>
[着色剤/ポリマー溶液の可視光線スペクトル]
実施例1A~1Gの溶液を4インチのガラスウエハ上にスピンコートして塗布後ベーク(PAB)を行い厚さ0.7~1.5μmの膜を得た。膜の透明度(%T)は、Agilent Cary 100紫外及び可視光線分光光度計(UV-Visible Spectrophotometer)を用いて、400~700nmの波長範囲で測定した。%T値は、全てのサンプルに対して膜厚1μmに正規化した。図1は、実施例1A(赤)、1C(緑)、及び1E(青)のスペクトルを示す。赤、緑、青色スペクトルの透明領域と不透明領域が十分に分離されているため、これらのスペクトルの特性は、カラーフィルタの用途に適している。実施例1B、1D、1Fでも同様の色分解が見られた。図1に、膜の透明度が400~700nmの波長領域で低くなる実施例1G(黒)の可視光線スペクトルも示す。
【0114】
<実施例7B>
[赤色着色剤を含む組成物の可視光線スペクトル]
実施例5Aの溶液を4インチのガラスウエハ上にスピンコートして塗布後ベーク(PAB)を行い厚さ1.03μmの膜を得た。膜の透明度(%T)は、Agilent Cary 100紫外及び可視光線分光光度計を用いて、400~700nmの波長範囲で測定した。%T値は、全てのサンプルに対して膜厚1μmに正規化した。400~575mの波長領域での透明度は3%未満であった。波長が575nmから640nmに増加すると、透明度は急速に増加して90%を超えた。640nm~700nmの透明度は90%を超えたままであった。これは、当該赤色着色剤が、カラーフィルタの用途に適していることを示す。同様に、実施例5Bの溶液を4インチのガラスウエハ上にスピンコートして塗布後ベーク(PAB)を行いそれぞれ厚さ1.8μmの2枚の膜を得た。膜の透明度(%T)は、Agilent Cary 100紫外及び可視光線分光光度計を用いて400~700nmの波長範囲で測定した。%T値は、全てのサンプルに対して膜厚1μmに正規化した。ウェハの一方を窒素下のオーブンで硬化させ、他方のウェハを220℃のホットプレートを用いて大気中で硬化させ、両方の硬化は1時間かけて行った。膜の透明度を測定し、1μmの膜厚に正規化した。400~700nm領域で、透明度は窒素雰囲気下で硬化させた膜は約1%減少し、大気中で硬化させた膜は約2%減少した。この結果は、赤色の永久材料を生成するために硬化ステップが必要な場合、当該赤色着色剤がカラーフィルタの用途に適していることを示す。
【0115】
<実施例8>
[着色剤を含まない組成物の透明度]
実施例2A及び2Bの組成物を4インチのガラスウエハ上にスピンコートして塗布後ベーク(PAB)を行い厚さ1~1.2μmの膜を得た。膜の透明度(%T)は、Agilent Cary 100紫外及び可視光線分光光度計を用いて、400~700nmの波長範囲で測定した。%T値は、全てのサンプルに対して膜厚1μmに正規化した。いずれの膜も400~700nmの波長範囲で98%を超える高透明度を示した。バンドパスフィルタを用いて365nmで、広帯域水銀蒸気光源(g、h、及びi帯域)を用いて、1J/cmで膜を露光した。次に、これらの膜を窒素雰囲気下のオーブン内で200℃で1時間かけて硬化させ、再度透明度を測定した。いずれの膜も400~700nmの波長範囲で97%を超える高透明度を維持した。実施例2A及び2Bの膜は、硬化後の波長400nmで99.5%及び98.1%の透明度が得られた。当該実施例は、NB/ROMA-BuOHポリマーとPENB/ROMA-MeOHポリマーがカラーフィルタの用途に適していることを示している。また、当該実施例は、用いられた成分がカラーフィルタの用途のポジティブトーン画像化組成物に適していることを示している。組成物に用いられるポリマー又は成分のいずれも、カラーフィルタが作動する400~700nmの波長領域で顕著な吸光度を示さなかった。
【0116】
〔光画像化の研究〕
<実施例9>
実施例3A~3Cの組成物を4インチの熱酸化シリコンウエハに750rpmでまず30秒間、2500rpm(実施例9A)、2000rpm(実施例9B)又は3000rpm(実施例9C)でさらに30秒間スピンコートした。これらの膜は、115℃(実施例9A)、90℃(実施例9B)、及び120℃(実施例9C)で3分間、塗布後ベーク(PAB)を行った。ステッパーを用いて広帯域水銀蒸気光源(g、h、及びi帯域)で365nmで各ウェハを露光し、バンドパスフィルタを用い、マスクを介してトレンチ及びとコンタクトホールを生成した。露光基板を現像剤(2.38wt.%TMAH)にそれぞれ異なる時間で含浸した(含浸現像)。
【0117】
一般に、全てのサンプルが良好な膜特性を示した。露光と現像によって形成されたパターンの解像度を光学顕微鏡又はSEMで測定した。組成物の実施例3A、3B、3Cの光画像化特性を表3にまとめた。実施例9は、上述の着色剤、ポリマー、及び配合成分を用いることにより、カラーフィルタの用途に適した高解像度の画像を形成できることを示した。
【0118】
【表3】
【0119】
<実施例10>
実施例4の組成物を4インチの熱酸化シリコンウエハ上に500rpmでまず30秒間、600rpmでさらに30秒間スピンコートした。当該膜に塗布後ベーク(PAB)を110℃で3分間行い、厚さ0.91μmの膜を得た。ステッパーを用いて広帯域水銀蒸気光源(g、h、及びi帯域)で365nmで各ウェハを露光し、バンドパスフィルタを用い、マスクを介してカラーフィルタの用途に適した柱とコンタクトホールが交互に配列されるチェッカーボードパターンを生成した。露光基板を現像剤(2.38wt.%TMAH)で30秒間含浸して(含浸現像)厚さ0.61μmのチェッカーボードパターンが現れるようにした。現像前後の膜厚に基づく非露光部分の膜厚損失率や暗部損失率(DFL)は33%であった。図2は、225mJ/cmの露光量で解像度1μmの前記チェッカーボードのSEMの断面像である。さらに、これらのパターンのSEMプロファイルは、現像剤において溶解度の僅かな違いによる交互の水平線の存在で定常波(standing wave)の効果を示した。当該実施例は、カラーフィルタの用途で黒色染料を用いることができることを示した。
【0120】
<実施例11>
実施例5Bの組成物を4インチの熱酸化シリコンウエハ上に500rpmでまず30秒間、4000rpmでさらに30秒間スピンコートした。当該膜に塗布後ベーク(PAB)を105℃で3分間行い厚さ0.86μmの膜を得た。ステッパーを用いて広帯域水銀蒸気光源(g、h、及びi帯域)で365nmでウェハを露光し、バンドパスフィルタを用い、マスクを介してカラーフィルタの用途に適した(柱とコンタクトホールが交互に配列された)チェッカーボードのパターンと、半密集(1:2ピッチ)の柱を生成した。露光基板を現像剤(2.38wt.%TMAH)で18秒間含浸して(含浸現像)0.81μmの膜厚でパターンが現れるようにした。現像前後の膜厚に基づく非露光部分の膜厚損失率や暗部損失率(DFL)は6%であった。SEM下向式の画像は450mJ/cmの露光量で解像度0.6μmの上述のチェッカーボードパターン及び半密集の柱の形成を示す。当該実施例11は、カラーフィルタの用途で赤色染料を用いることができることを示す。
【0121】
<実施例12>
実施例6A及び6Bの組成物を4インチの熱酸化シリコンウエハ上に500rpmでまず30秒間、2500rpmでさらに30秒間スピンコートした。当該膜を塗布後ベーク(PAB)を110℃で3分間行った。ステッパーを用いて広帯域水銀蒸気光源(g、h、及びi帯域)で365nmで各ウェハを露光し、バンドパスフィルタを用い、マスクを介してカラーフィルタの用途に適した(柱とコンタクトホールが交互に配列された)チェッカーボードパターンと、半密集(1:2ピッチ)の柱を生成した。露光基板を現像剤(2.38wt.%TMAH)に含浸させてパターンが現れるようにした。一部の露光基板については現像に先立って露光した後ベーク(PEB)を1分間90℃でさらに行った。このような膜の光画像化特性は、暗部損失率(DFL)を測定することによって評価し、表4にまとめた。サブミクロン解像度により膜全体にわたって鋭いエッジを有するチェッカーボードと半密集(1:2ピッチ)の柱パターンが観測できた。また、これらのパターンのSEMプロファイルは、現像剤において溶解度の僅かな違いによる交互の水平線の存在で定常波の効果を示した。実施例10において同様の定常波の効果が図2でも示された。これらの膜について、200℃で1時間かけてさらに硬化ステップを実施すると、チェッカーボード構成を維持しながらパターンの鋭いエッジは熱流動の効果によって丸く磨耗された(レンズ状)。このとき、定常波による効果も消滅した。図3は、実施例12Bにおいて、熱流動後のマイクロレンズ/チェッカーボード構成の下向式のSEMの像を、約1μmの解像度で示している。図4は、実施例12Dにおいて、熱流動後のチェッカーボード構成のSEMの断面図を、約1μmの解像度で示している。当該実施例12は、本発明の各種の組成物を用いたマイクロレンズ/カラーフィルタのハイブリッド特性の生成の実現可能性を示した。
【0122】
【表4】
【0123】
<実施例13>
[ガラス転移温度の測定]
比較例1A、1B、2、3の組成物から形成され、200℃で1時間かけて硬化した膜のガラス転移温度を熱機械分析法(TMA)で測定し、実施例6Bと比較した。200℃で1時間かけて行った硬化ステップにおける結像膜のガラス転移温度と熱流動性を表5にまとめた。表5にまとめた結果からも明らかなように、ガラス転移温度が低いと、結像膜の熱流動が過度に高くなる。比較例1Bの組成物を用いた実施例13Dの場合、ガラス転移温度は約147℃である。逆に、ガラス転移温度が高いと、結像膜の熱流動が過度に低くなる。比較例2の組成物を用いた実施例13Aの場合、ガラス転移温度は約226℃である。NB/ROMA-BuOHを用いてガラス転移温度が198℃である実施例13Cは、マイクロレンズの形成に良好な熱流動性を示す一方、実施例13DでPENB/ROMA-MeOHを用いてガラス転移温度が147℃である同様の組成物は熱流動が高く、当該膜はマイクロレンズの形成に不適合であった。しかしながら、組成物にSavinyl Fire Red着色剤を添加すると(実施例13E)、ガラス転移温度が163℃と高くなり、当該膜はカラーフィルタ/マイクロレンズの形成に適するようになった。当該実施例13は、ROMAポリマー組成物とエポキシ架橋剤の組み合わせを変更したり適切な着色剤を添加して硬化膜のガラス転移温度を最適化する必要があることを示す。
【0124】
【表5】
【0125】
<実施例14A~14C>
〔耐溶媒性の研究〕
実施例14A~14Cは、本発明の組成物を硬化して本発明の組成物の形成に一般に用いられる溶媒に対して耐性のあるポリマー層が得られることを示す。さらに、実施例14A~14Cは、本発明の組成物を含有するポリマー層の第2の被覆層を第1の被覆層の上面に容易に形成できることを示し、カラーフィルタの用途に必要な各種染料を含む複数の層を容易に製造できることを示す。
【0126】
別の3つのバッチにおいて、PENBとメタノール開環MAのモル比が50:50であるモノマー組成物を有する完全に開環したコポリマー(樹脂100重量部)を、Savinyl Fire Red 50部(実施例14A)、Polysanthren Blue 50部(実施例14B)、Orasol Blue 855 100部(実施例14C)と混合してPGMEA(550部)に溶解した。次に、適切な大きさのアンバーHDPEボトルで、樹脂100部当たりの部数(pphr)で表される特定の量の添加剤、即ち、光活性化合物としてTrisP3M6C-2-201(30pphr)、エポキシド架橋剤としてTMPTGE(実施例14A及び14Bは30pphr、実施例14Cは35pphr)とGE-36(実施例14A及び14Bは10pphr、実施例14Cは15pphr)、接着促進剤としてKBM-403E(3pphr)とSi-75(3pphr)、表面レベリング剤としてMegaface MF-556(0.3pphr)と、PGMEA(150phr)をポリマー溶液3種にそれぞれ添加した。混合物を18時間回転させて均一な溶液を生成した。0.2μm孔のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスクフィルタでポリマー溶液を濾過することにより、粒子の汚染を除去した。濾過されたポリマー溶液は低粒子HDPEアンバーボトルに集めて5℃で保管した。
【0127】
4インチの熱酸化シリコンウエハに、500rpmでまず10秒間、1000rpmでさらに30秒間実施例14A、14B、14Cの組成物をスピンコートした。当該膜に塗布後ベーク(PAB)を3分間120℃で行った。次に、これらの膜に200℃で1時間かけてさらに硬化ステップを行い、10分間PGMEAに含浸させた。硬化ステップ及びPGMEA含浸後の膜厚を測定した。PGMEA含浸後の膜厚の変化は、約1%損失(実施例14A)、21%損失(実施例14B)、2%増加(実施例14C)であり、これは硬化膜が本質的にPGMEA不溶性であることを示す。これは、200℃で1時間かけて硬化ステップを実施すると、膜を架橋させて永久材料を生成させることができることを示す。次に、実施例14A、14B、14Cの硬化膜に2次被覆層を、500rpmでまず10秒間、1000rpmでさらに30秒間スピンコートを行った。2次被覆膜に塗布後ベーク(PAB)を3分間120℃で行った。二重被覆後、膜の総厚さは92%(実施例14A)、98%(実施例14B)、115%(実施例14C)増加した。結果を表6にまとめた。
【0128】
【表6】
【0129】
<比較例1A及び1B>
[Savinyl Fire Redを含まない組成物]
比較例1A及び1Bでは、Savinyl Fire Redを用いていないこと以外は、実施例6の手順に従った。NB/ROMA-BuOH(比較例1A、M=11,500、PDI=2.1)又はPENB/ROMA-MeOH(比較例1B、M=8,200、PDI=1.9)をPGMEAに溶解した20wt.%溶液を製造し、適切な大きさのアンバーHDPEボトルで、樹脂100部当たりの部数(pphr)で表される特定の量の添加剤、即ち、光活性化合物としてTrisP3M6C-2-201(30pphr)、エポキシド架橋剤としてGE-36(30pphr)とEPON-862(20pphr)、接着促進剤としてKBM-403E(3pphr)とSi-75(3pphr)と、GBL(300phr)を添加した。混合物を18時間回転させて均一な溶液を生成した。0.2μm孔のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスクフィルタでポリマー溶液を濾過することにより、粒子の汚染を除去した。濾過されたポリマー溶液は低粒子HDPEアンバーボトルに集めて5℃で保管した。
【0130】
<比較例2>
[Savinyl Fire Redを含まない組成物]
NB/ROMA-BuOH(M=11,600、PDI=2.1)をPGMEAに溶解した30wt.%溶液を製造し、適切な大きさのアンバーHDPEボトルで、樹脂100部当たりの部数(pphr)で表される特定の量の添加剤、即ち、光活性化合物としてTrisP3M6C-2-201(27.5pphr)、エポキシド架橋剤としてTMPTGE(35pphr)、接着促進剤としてSi-75(3pphr)を添加した。混合物を18時間回転させて均一な溶液を生成した。5μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスクフィルタでポリマー溶液を濾過することにより、粒子の汚染を除去した。濾過されたポリマー溶液は低粒子HDPEアンバーボトルに集めて5℃で保管した。
【0131】
<比較例3>
[Savinyl Fire Redを含まない組成物]
NB/ROMA-BuOH(M=11,600、PDI=2.1)をPGMEAに溶解した30wt.%溶液を製造し、適切な大きさのアンバーHDPEボトルで、樹脂100部当たりの部数(pphr)で表される特定の量の添加剤、即ち、光活性化合物としてTrisP3M6C-2-201(27.5pphr)、エポキシド架橋剤としてEPON-862(40pphr)とHeloxy-65(10pphr)、接着促進剤としてSi-75(3pphr)を添加した。混合物を18時間回転させて均一な溶液を生成した。5μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスクフィルタでポリマー溶液を濾過することにより、粒子の汚染を除去した。濾過されたポリマー溶液は低粒子HDPEアンバーボトルに集めて5℃で保管した。
【0132】
<比較例4A及び4B>
[比較例1で得られた組成物の光画像化]
4インチの熱酸化シリコンウエハに、500rpmでまず30秒間、2000rpmでさらに30秒間、比較例1A及び1Bの組成物をスピンコートした。当該膜に塗布後ベーク(PAB)を3分間110℃で行った。ステッパーを用いて広帯域水銀蒸気光源(g、h、及びi帯域)で365nmで各ウェハを露光し、バンドパスフィルタを用い、マスクを介してカラーフィルタの用途に適した(柱とコンタクトホールが交互に配列された)チェッカーボードパターンと、半密集(1:2ピッチ)の柱、トレンチ、密集(1:1ピッチ)コンタクトホールを生成した。露光基板を現像剤(2.38wt.%TMAH)に含浸させてパターンが現れるようにした。当該膜の画像化の特性を表7にまとめた。比較例4Aは、6秒間の露光部分の膜厚損失率(DFL)が53%である一方、Savinyl Fire Redを用いた実施例12Aは、46秒間の損失率が18%にもならなかった。同様に、比較例4Bは、現像25秒間のDFLが13%であったが、Savinyl Fire Redを用いた実施例12Cは、75秒間のDFLが10%にとどまった。これらの実施例は、組成物内に存在するSavinyl Fire Red着色剤が有用であり、水性塩基溶液を用いて現像時のDFLを最小化するために不可欠であることを示す。比較例4A及び4Bの膜は、いずれもトレンチ及びとコンタクトホールを形成した。比較例4Aの画像はDFLが高いため過度に現像され、そのため1:1ピッチの5μmコンタクトホールが形成されなかった。従って、Savinyl Fire Red着色剤を含まない比較例1Aの組成物は、着色剤を含む実施例6Aとは異なり、カラーフィルタの用途に適さなかった。比較例4Bは、過度に現像されておらず、従って着色剤がないにもかかわらず1μmのチェッカーボード、半密集(1:2)の柱、密集の3μmのコンタクトホール(1:1ピッチ)、3μmのトレンチを形成した。しかしながら、比較例4Bの結像ウェハを200℃で1時間かけて硬化すると、過度に熱流動が発生し、5μm未満の特徴、特にコンタクトホールが消えてしまった。従って、比較例1Bは、着色剤を用いる実施例6Bとは異なり、カラーフィルタ/マイクロレンズの用途に適していない。当該組成物から形成された膜のガラス転移温度は、熱機械分析法(TMA)で測定した結果、147℃であった。従って、比較例6は、ROMAポリマーと適切な組成物だけでなく、Savinyl Fire Redのような着色剤も、本発明のカラーフィルタ/マイクロレンズの形成に不可欠であることを示す。
【0133】
【表7】
【0134】
<比較例5>
[比較例2で得られた組成物の光画像化]
4インチの熱酸化シリコンウエハに比較例2の組成物をスピンコートして塗布後ベーク(PAB)を行い、目視で凹凸やボケが確認できない厚さ約10μmの膜を得た。当該ウェハをマスクアライナを用いて広帯域水銀蒸気光源(g、h、及びi帯域)で365nmで露光し、バンドパスフィルタを用い、マスクを介して2~10μmの分離されたトレンチを生成した。露光基板を現像剤(2.38wt.%TMAH)に含浸させてパターンが現れるようにした。結像ウエハを1時間かけて200℃の温度で、窒素下でオーブンに入れて硬化した。図5は、幅約8μmのトレンチの断面におけるSEMプロファイルを示す。プロファイルは、カラーフィルタ/マイクロレンズの用途に適した丸い形をしていない。比較例2の組成物から得られた硬化膜のガラス転移温度を、熱機械分析法(TMAで226℃)と動的機械分析法(DMAで264℃)で測定した。当該比較例5は、ROMAポリマーとエポキシ架橋剤だけではカラーフィルタマイクロレンズの形成に十分ではなく、膜は適切なガラス転移温度を特徴として硬化ステップ中に望ましい熱流動を発生させ、本明細書に記載のように、マイクロレンズを形成しなければならないということを示す。
【0135】
<比較例6>
[比較例3で得られた組成物の光画像化]
4インチの熱酸化シリコンウエハに比較例3の組成物をスピンコートして塗布後ベーク(PAB)を行い、目視で凹凸やボケを確認できない厚さ約10μmの膜を得た。当該ウェハをマスクアライナを用いて広帯域水銀蒸気光源(g、h、及びi帯域)で365nmで露光し、バンドパスフィルタを用い、マスクを介して2~10μmの分離されたトレンチを生成した。露光基板を現像剤(2.38wt.%TMAH)に含浸させてパターンが現れるようにした。結像ウエハを1時間かけて200℃の温度で、窒素雰囲気下でオーブンに入れて硬化した。図6は、幅約8μmのトレンチの断面SEMプロファイルを示す。プロファイルは、カラーフィルタ/マイクロレンズの用途に適した丸い形をしていない。比較例5の組成物から得られた硬化膜のガラス転移温度を、熱機械分析法(TMAで200℃)と動的機械分析法(DMAで233℃)で測定した。当該比較例6は、ROMAポリマーと任意のエポキシ架橋剤だけではカラーフィルタマイクロレンズの形成に十分ではなく、エポキシ架橋剤の組み合わせを適切に調整して、当該膜が適切なガラス転移温度を有し、硬化ステップ中に望ましい熱流動を発生させるようにしなければならないということを示す。
【0136】
要約すると、比較例1~5は、本発明のポリマー及び組成物が示す特定の特性、例えば、本明細書に記載のポリマーの熱的特性と本発明の組成物が有する各種の優れた特性(但し、これらに限定されない)により、本明細書が規定する各種カラーフィルタの用途に適するように組成物を調整できることを示す。しかしながら、本発明の組成物は、本明細書が規定する用途だけでなく、これらの用途以外に適切な特性を備えることも可能である。なお、表8に本明細書で記載の有益な結果の一部をまとめた。
【0137】
【表8】
【0138】
上記の実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらに限定されると解釈されてはならず、むしろ、本発明は上述のように一般的な領域を含む。本発明の趣旨から逸脱しない限り様々な改良案及び実施形態を作成することも可能である。
この明細書により開示される事項には、以下のものが含まれる。
〔1〕 a)式(IA)で表され、式(I)のモノマーに由来する1つ以上の第1の繰り返し単位と、
【化51】
(式中、
mは、0、1又は2の整数であり、
、R 、R 、R は、同一又は異なり、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、直鎖又は分岐鎖の(C -C 12 )アルキル、ヒドロキシ(C -C 12 )アルキル、パーフルオロ(C -C 12 )アルキル、(C -C 12 )シクロアルキル、(C -C 12 )ビシクロアルキル、(C -C 14 )トリシクロアルキル、(C -C 10 )アリール、(C -C 10 )アリール(C -C )アルキル、パーフルオロ(C -C 10 )アリール、パーフルオロ(C -C 10 )アリール(C -C )アルキル、(C -C 10 )ヘテロアリール、(C -C 10 )ヘテロアリール(C -C )アルキル、ヒドロキシ、(C -C 12 )アルコキシ、(C -C 12 )シクロアルコキシ、(C -C 12 )ビシクロアルコキシ、(C -C 14 )トリシクロアルコキシ、(C -C 10 )アリールオキシ(C -C )アルキル、(C -C 10 )ヘテロアリールオキシ(C -C )アルキル、(C -C 10 )アリールオキシ、(C -C 10 )ヘテロアリールオキシ、(C -C )アシルオキシ、-(CH -C(CF OR、-(CH -CO R、
式(A)の基:
【化52】
式(B)の基:
【化53】
からなる群より選択され、
ここで、
aは、0~4の整数であり、
bは、0~10の整数であり、
cは、0、1、2、3、又は4の整数であり、
Rは、水素、直鎖又は分岐鎖の(C -C )アルキル、(C -C )シクロアルキル、(C -C 10 )アリール、(C -C 12 )アラルキルからなる群より選択される。)
式(IIA)又は式(IIB)で表され、式(II)のモノマーに由来する1つ以上の第2の繰り返し単位とを含むポリマー、
【化54】
(式中、
Zは、O又はN-R であり、ここで、R は水素、直鎖又は分岐鎖の(C -C )アルキル、(C -C )シクロアルキル、(C -C 12 )アリールからなる群より選択され、
、R 、R は、それぞれ互いに独立して、水素、直鎖又は分岐鎖の(C -C )アルキル、フルオロ化又はパーフルオロ化(C -C )アルキル、(C -C 12 )アリール、(C -C 12 )アリール(C -C 12 )アルキルからなる群より選択される。)
ここで、前記の基は、それぞれ、原子価が許容する限り、直鎖又は分岐鎖の(C -C )アルキル、(C -C )シクロアルキル、(C -C )パーフルオロアルキル、(C -C )アルコキシ、(C -C )シクロアルコキシ、(C -C )パーフルオロアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、直鎖又は分岐鎖のヒドロキシ(C -C )アルキル、アセトキシ、フェニル、ヒドロキシフェニル、アセトキシフェニルからなる群より選択される1つ以上の基で置換されてもよい、ポリマー;
b)赤、緑、青、黄、マゼンタ、黒、シアンの着色材料から選択された着色剤;
c)光活性化合物;及び
d)担体溶媒、からなる組成物。
〔2〕 ZがOであり、R 及びR が水素であり、R が水素であるか、或いは直鎖又は分岐鎖の(C -C )アルキルである、上記〔1〕に記載の組成物。
〔3〕 mが0であり、R 、R 、R 、R が、独立して、水素、ヘキシル、デシル、-(CH -C(CF OH、-(CH -CO H、ベンジル、フェネチルを表す、上記〔1〕に記載の組成物。
〔4〕 前記ポリマーは、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(NB);
ノルボルネニル-2-トリフルオロメチル-3,3,3-トリフルオロプロパン-2-オール(HFANB);
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB);及び
5-((2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(NBTON);
からなる群より選択される前記モノマーに由来する1つ以上の第1つの繰り返し単位を含む、上記〔1〕に記載の組成物。
〔5〕 前記ポリマーは、
無水マレイン酸;及び
2-メチル-無水マレイン酸からなる群より選択される前記モノマーに由来する1つ以上の第2の繰り返し単位を含む、上記〔1〕に記載の組成物。
〔6〕 前記ポリマーは、
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンに由来する繰り返し単位と、メタノールで開環した開環無水マレイン酸の繰り返し単位とを含有するコポリマー、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンに由来する繰り返し単位と、n-ブタノールで開環した開環無水マレイン酸の繰り返し単位とを含有するコポリマー、
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン及び5-デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エンに由来する繰り返し単位と、メタノールで開環した開環無水マレイン酸の繰り返し単位とを含有するターポリマー、
5-フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン(PENB)に由来する繰り返し単位と、n-ブチルアミンで開環した開環無水マレイン酸の繰り返し単位とを含有するコポリマーからなる群より選択される、上記〔1〕に記載の組成物。
〔7〕 前記着色剤は、染料である、上記〔1〕に記載の組成物。
〔8〕 前記染料は、前記組成物と混和可能である、上記〔7〕に記載の組成物。
〔9〕 前記着色剤は、
【化55】
コバルトと複合化された14H-ベンゾ[4,5]イソキノリノ[2,1-a]ピリミジン-14-オン;
【化56】
クロムと複合化された(Z)-4-(2-(2-ヒドロキシ-4-ニトロフェニル)ヒドラジニリデン)-5-メチル-2-フェニル-2,4-ジヒドロ-3H-ピラゾール-3-オン;
【化57】
銅が複合化されたフタロシアニン;
【化58】
クプラート(1-)、[C,C,C-トリス[[[3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]プロピル]アミノ]スルホニル]-29H,31H-フタロシアニン-C-スルホナト(3-)N29,N30,N31,N32]-、水素、3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]-1-プロパンアミン(1:1)の化合物;
【化59】
1,4-ビス(アルキルアミノ)アントラセンジオン(Rは、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、2-エチルヘキシル、3-((2-エチルヘキシル)オキシ)プロピル、3-メトキシプロピル、フェニル、p-トリル);
【化60】
1,4-ビス(メシチルアミノ)アントラセン-9,10-ジオン;
【化61】
N-(4-((4-ヒドロキシ-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-1-イル)アミノ)フェニル)アセトアミド;及び
黒色モノアゾ染料
からなる群より選択される、上記〔1〕に記載の組成物。
〔10〕 前記着色剤は、顔料である、上記〔1〕に記載の組成物。
〔11〕 前記光活性化合物は、それぞれ、構造式(IIIa)及び(IIIb)で表される1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホニル部分及び/又は1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホニル部分:
【化62】
又は、構造式(IIIc)で表されるスルホニルベンゾキノンジアジド基
を含む、上記〔1〕に記載の組成物。
〔12〕 前記光活性化合物は、
【化63】
であり、
ここで、少なくとも1つのQは、式(VIIa)又は(VIIb)の基であり、
【化64】
残りのQは水素である、上記〔1〕に記載の組成物。
〔13〕 前記組成物は、
【化65】
2,2’-(((2-エチル-2-((オキシラン-2-イルメトキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイル)ビス(オキシ))ビス(メチレン))ビス(オキシラン);
【化66】
グリセロールのポリ(オキシプロピレン)エポキシドエーテルのトリグリシジルエーテル;
【化67】
ビス(4-(オキシラン-2-イルメトキシ)フェニル)メタン;
からなる群より選択される1つ以上の架橋剤をさらに含む、上記〔1〕に記載の組成物。
〔14〕 前記溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、γ-ブチロラクトン(GBL)、及びN-メチルピロリドン(NMP)からなる群より選択される、上記〔1〕に記載の組成物。
〔15〕 前記組成物は、
溶解促進剤;
接着促進剤;
酸化防止剤;
界面活性剤;及び
これらの組み合わせの混合物からなる群より選択される1つ以上の添加剤をさらに含む、上記〔1〕に記載の組成物。
〔16〕 カラーフィルタ機能を備えたマイクロレンズアレイを含む物品であって、
前記アレイは、上記〔1〕に記載の組成物を含む、物品。
〔17〕 前記アレイは、チェッカーボード構成である、上記〔16〕に記載の物品。
〔18〕 超小型電子又は光電子デバイスにおけるカラーフィルタマイクロレンズアレイ作製用膜を形成する方法であって、
上記〔1〕に記載の組成物で適切な基板をコーティングして膜を形成するステップ;
前記膜を適切な放射線で露光してマスクでパターン化するステップ;
露光後の前記膜を現像してフォトパターンを形成するステップ;及び
前記パターン化された膜を適切な温度に加熱して、マイクロレンズアレイを形成するステップを含む、方法。
〔19〕 上記〔1〕に記載の組成物から得られる、カラーフィルタマイクロレンズ製品。
〔20〕 上記〔19〕に記載の製品を含む、光電子又は超小型電子デバイス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6