(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】箔剥ぎ装置及び箔剥ぎ方法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/12 20060101AFI20220404BHJP
B21F 19/00 20060101ALI20220404BHJP
H02G 1/14 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
H02G1/12 060
B21F19/00 Z
H02G1/14
(21)【出願番号】P 2020019099
(22)【出願日】2020-02-06
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】築地 信人
(72)【発明者】
【氏名】間渕 実良
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-214062(JP,A)
【文献】特開2017-005978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/12
B21F 19/00
H02G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状に並列配置された複数の線材と、前記複数の線材を覆う箔と、前記箔を覆うシースと、を含む多芯電線であって、先端部分において前記シースが剥かれ前記箔が露出した電線を把持する電線把持ユニットと、
前記露出した箔における前記複数の線材間に押し当てられ、前記複数の線材間を離間させる線材空間空けユニットと、
前記露出した箔における前記離間された複数の線材間に当接され、前記箔に切込を入れる箔切込ユニットと、
前記切込から前記箔を開き、前記開かれた箔を切断する箔除去ユニットと、を備える
箔剥ぎ装置。
【請求項2】
前記線材空間空けユニットは、刃角が第一角度である押当ブレードを有し、
前記箔切込ユニットは、刃角が前記第一角度よりも小さい第二角度である切込刃を有する
請求項1に記載の箔剥ぎ装置。
【請求項3】
前記線材空間空けユニットは、前記電線を挟んで対向する一対の前記押当ブレードを有し、前記一対の押当ブレードを、前記露出した箔における前記複数の線材間に、互いに近接させて押し当て、前記複数の線材間を離間させる
請求項2に記載の箔剥ぎ装置。
【請求項4】
前記箔切込ユニットは、前記電線を挟んで対向する一対の前記切込刃を有し、前記一対の切込刃を、前記露出した箔における前記離間された複数の線材間に当接させ、前記箔に切込を入れる
請求項2又は3に記載の箔剥ぎ装置。
【請求項5】
前記箔除去ユニットは、
前記箔を前記切込に沿って開く箔開き部と、
前記開かれた箔を切断する箔切断刃と、を有する
請求項1~4のいずれか一項に記載の箔剥ぎ装置。
【請求項6】
前記箔開き部は、前記切込の入った前記箔に回転ブラシを当接させて、前記電線の延在方向と交わる方向に回転させることにより、前記箔を開く
請求項5に記載の箔剥ぎ装置。
【請求項7】
前記箔開き部は、前記電線の先端側から前記切込の入った前記箔にエアーを吹き付けることにより、前記箔を開く
請求項5に記載の箔剥ぎ装置。
【請求項8】
前記開かれた箔を把持する箔チャックを備え、
前記箔切断刃は、前記箔チャックの一部に設けられる
請求項5~7のいずれか一項に記載の箔剥ぎ装置。
【請求項9】
直線状に並列配置された複数の線材と、前記複数の線材を覆う箔と、前記箔を覆うシースと、を含む多芯電線であって、先端部分において前記シースが剥かれ前記箔が露出した電線を把持し、
前記露出した箔における前記複数の線材間に、線材空間空けユニットを押し当てて、前記複数の線材間を離間させ、
離間された複数の線材間に箔切込ユニットを当接させて、前記箔に切込を入れ、
前記切込から前記箔を開き、前記開かれた箔を除去する
箔剥ぎ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箔剥ぎ装置及び箔剥ぎ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部に金属箔(アルミ箔、銅箔)が含まれるケーブルの端末処理を行う場合、シースを剥離後、人手にて金属箔を切り取っていた。しかし電線のシース切断位置を基準とした加工を行う上では、皮剥き後に電線を人手で再度電線加工設備にセットすることは、寸法精度に課題があった。そこで、例えば、特許文献1において、人手を介さず金属箔を切断する装置が提案されている。特許文献1に記載の皮剥き装置は、皮剥きカッタを備えるシールド線の皮剥き装置において、金属箔シールド線の金属箔に孔をあける針を備える。この装置により、シースをカッタで切断すると同時に、針で金属箔に孔をあけ、シースを引っ張って金属箔を孔から破断させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記特許文献1の皮剥き装置による皮剥き方法は、カッタ(皮剥き刃)でシースと共に金属箔を切断する際、皮剥き刃が金属箔の内側にある線心(線材)を傷つける場合があった。特に、金属箔及び編組の内側に絶縁層がある同軸線と異なり、金属箔のすぐ内側に線材があるシールド電線の場合、皮剥き刃の切込深さがシースの厚み以上となり線材が傷つくおそれがある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、線材に傷をつけることなく、シールド電線の箔を除去することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る箔剥ぎ装置及び箔剥ぎ方法は、下記(1)~(9)を特徴としている。
(1)直線状に並列配置された複数の線材と、前記複数の線材を覆う箔と、前記箔を覆うシースと、を含む多芯電線であって、先端部分において前記シースが剥かれ前記箔が露出した電線を把持する電線把持ユニットと、
前記露出した箔における前記複数の線材間に押し当てられ、前記複数の線材間を離間させる線材空間空けユニットと、
前記露出した箔における前記離間された複数の線材間に当接され、前記箔に切込を入れる箔切込ユニットと、
前記切込から前記箔を開き、前記開かれた箔を切断する箔除去ユニットと、を備える
箔剥ぎ装置。
(2)前記線材空間空けユニットは、刃角が第一角度である押当ブレードを有し、
前記箔切込ユニットは、刃角が前記第一角度よりも小さい第二角度である切込刃を有する
上記(1)に記載の箔剥ぎ装置。
(3)前記線材空間空けユニットは、前記電線を挟んで対向する一対の前記押当ブレードを有し、前記一対の押当ブレードを、前記露出した箔における前記複数の線材間に、互いに近接させて押し当て、前記複数の線材間を離間させる
上記(2)に記載の箔剥ぎ装置。
(4)前記箔切込ユニットは、前記電線を挟んで対向する一対の前記切込刃を有し、前記一対の切込刃を、前記露出した箔における前記離間された複数の線材間に当接させ、前記箔に切込を入れる
上記(2)又は(3)に記載の箔剥ぎ装置。
(5)前記箔除去ユニットは、
前記箔を前記切込に沿って開く箔開き部と、
前記開かれた箔を切断する箔切断刃と、を有する
上記(1)~(4)のいずれか一に記載の箔剥ぎ装置。
(6)前記箔開き部は、前記切込の入った前記箔に回転ブラシを当接させて、前記電線の延在方向と交わる方向に回転させることにより、前記箔を開く
上記(5)に記載の箔剥ぎ装置。
(7)前記箔開き部は、前記電線の先端側から前記切込の入った前記箔にエアーを吹き付けることにより、前記箔を開く
上記(5)に記載の箔剥ぎ装置。
(8)前記開かれた箔を把持する箔チャックを備え、
前記箔切断刃は、前記箔チャックの一部に設けられる
上記(5)~(7)のいずれか一に記載の箔剥ぎ装置。
(9)直線状に並列配置された複数の線材と、前記複数の線材を覆う箔と、前記箔を覆うシースと、を含む多芯電線であって、先端部分において前記シースが剥かれ前記箔が露出した電線を把持し、
前記露出した箔における前記複数の線材間に、線材空間空けユニットを押し当てて、前記複数の線材間を離間させ、
離間された複数の線材間に箔切込ユニットを当接させて、前記箔に切込を入れ、
前記切込から前記箔を開き、前記開かれた箔を除去する
箔剥ぎ方法。
【0007】
上記(1)の構成の箔剥ぎ装置及び上記(9)の構成の箔剥ぎ方法によれば、離間された線材間に切込を入れて箔を開き、開かれた箔を除去することにより、線材に刃を当てることがないため、線材を傷つけることなく箔を除去できる。また、箔の内側に絶縁層がなく線材がある多芯線について、電線を設備から取り外すことなく箔除去を行えるので、寸法精度よく端末加工できる。また、この構成によれば、人手による箔の切断、切り残し代の管理が不要となり、自動化が可能となるため、加工品質の向上が可能となる。
尚、本開示において線材(線芯、線心)とは、信号線と、この信号線を覆う被覆とをそれぞれ備えた通信線を意味する。
【0008】
上記(2)の構成の箔剥ぎ装置によれば、切込刃よりも刃角が大きい押当ブレードを複数の線材間に押し当てることで、箔を介して複数の線材を互いに離間する方向に押して、複数の線材間に空間を設けることができる。また、押当ブレードよりも刃角の小さい切込刃は、箔に当接して切断しながら線材間の空間に進入するので、線材を傷つけることなく箔に切込を入れることができる。
【0009】
上記(3)の構成の箔剥ぎ装置によれば、互いに対向する一対の押当ブレードで複数の線材間を挟んで、箔を介して複数の線材を互いに離間させる方向に押すので、押当ブレードが一枚の場合に比べて線材間の距離を広げることができる。
【0010】
上記(4)の構成の箔剥ぎ装置によれば、一対の切込刃で箔の対向する二か所に切込を入れられるので、箔をきれいに開くことができる。
【0011】
上記(5)の構成の箔剥ぎ装置によれば、線材から剥がされて開かれた箔を、箔切断刃で切断するので、箔を引っ張り、破断させて除去する場合と比べて、精度よく箔を除去できる。
【0012】
上記(6)の構成の箔剥ぎ装置によれば、回転ブラシを箔に当接させて回転させるので、線材を痛めることなく箔を剥ぐことができる。
【0013】
上記(7)の構成の箔剥ぎ装置によれば、エアー吹き付けにより、線材を痛めることなく箔を剥ぐことができる。
【0014】
上記(8)の構成の箔剥ぎ装置によれば、箔切断刃が箔チャックに設けられることにより、開かれた箔を切断しながら把持して、箔を除去できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、線材に傷をつけることなく、シールド電線の箔を除去できる。
【0016】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態の箔剥ぎ装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す電線セット装置の要部を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す箔切込装置の要部を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、箔切込装置の動作を説明するための図(1)である。
【
図5】
図5は、箔切込装置の動作を説明するための図(2)である。
【
図6】
図6は、箔切込装置の動作を説明するための図(3)である。
【
図7】
図7は、箔切込装置の動作を説明するための図(4)である。
【
図8】
図8は、
図3に示す線材空間空けユニットの要部拡大図である。
【
図9】
図9は、
図3に示す箔切込ユニットの要部拡大図である。
【
図11】
図11は、箔除去装置の動作を説明するための図(1)である。
【
図12】
図12は、箔除去装置の動作を説明するための図(2)である。
【
図13】
図13は、箔が除去された状態のシールド電線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。以下、シースが剥かれて箔が露出したシールド電線の端末(先端部分)において、箔を除去する箔除去装置及び箔除去方法について説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態の箔剥ぎ装置1を示す斜視図である。
図1に示すように、箔剥ぎ装置1は、電線セット装置2と、箔切込装置3と、箔除去装置5と、搬送装置8と、を備える。箔剥ぎ装置1の処理対象は、直線状に並列配置された二本の線材101(芯線)と、線材101を覆う箔102と、箔102を覆う編組103と、編組103を覆うシース104と、環状のスリーブ105と、を有するシールド電線W(
図2、
図10、
図13)である。スリーブ105は、シース104上の所定位置に外嵌される。線材101は、信号線と、この信号線を覆う被覆とをそれぞれ備えた通信線であり、二本の線材101は、撚り合わされず並列配置される。尚、本実施形態において、前後、左右、上下の各方向は、特に断りがない限り、
図1に示すように箔剥ぎ装置1の前後、左右、上下の各方向を指す。尚、理解を容易にするため、編組103の図示は適宜省略する。
【0020】
電線セット装置2は、作業者によってセットされたシールド電線Wを、箔切込装置3及び箔除去装置5に供給する。電線セット装置2は、取付プレート8aを介して搬送装置8に取り付けられる。電線セット装置2は、左右方向に並列配置された、後述する電線セットモジュール、箔切込装置3、及び箔除去装置5の各位置に、搬送装置8によって順次移動される。電線セット装置2に、作業者が、先端部分においてシース104が剥かれて、所定長に切断された編組103がスリーブ105上に折り返された状態のシールド電線Wをセットすると、以降の処理は、箔剥ぎ装置1によって自動で行われる。
【0021】
箔切込装置3は、電線位置決めユニット3Aと、線材空間空けユニット3Bと、箔切込ユニット3Cと、を備え、シールド電線Wの二本の線材101間を離間させて箔102に切込を入れる。電線位置決めユニット3Aは、シース104が剥かれ箔102が露出したシールド電線Wを把持(位置決め)する。線材空間空けユニット3Bは、露出した箔102における複数の線材101間に押し当てられ、複数の線材101間を離間させる。箔切込ユニット3Cは、露出した箔102における、離間された複数の線材101間に当接され、箔102に切込を入れる。
【0022】
箔除去装置5は、箔102における二本の線材101間に、箔切込装置3によって入れられた切込から、箔102を開き、開かれた箔102を除去する。
【0023】
箔剥ぎ装置1によれば、離間された二本の線材101間に切込を入れて箔102を開き、開かれた箔102を除去することにより、線材101に刃(切込刃37、箔切断刃82、83)を当てることがないため、線材101を傷つけることなく箔102を除去できる。
【0024】
図2は、
図1に示す電線セット装置2の要部を示す斜視図である。
図2は、シールド電線Wが載置されチャックされる前の状態の電線セット装置2を示す。
【0025】
図1及び
図2に示すように、電線セット装置2は、平板状のベース21と、ベース21上に固定された固定部22と、固定部22に対して、前後方向に移動可能に取付られた移動部23と、移動部23に設けられた電線把持部2A及び電線ガイド2Bと、を備える。
【0026】
電線把持部2Aは、移動部23の上面に固定されたプレート24と、プレート24上に設けられ略直方体形状を有する一対のブロック25と、を有する。一対のブロック25は、プレート24上のレール24aに沿って、左右方向に移動可能であり、図示しない駆動部により、一対のブロック25を互いに近接及び離間させるように移動される。各ブロック25の前面及び後面には、クランプ26a、26bがそれぞれ取り付けられる。
【0027】
一対のクランプ26aの前面において、シールド電線Wをガイドする凹部27a1を有する電線保持部27aが、レール24aの前側に固定配置される。一対のクランプ26bの後面において、電線保持部27bがレール24aの後側に固定配置される。電線保持部27bは、シールド電線Wをガイドする凹部27b1を有し、かつ、シールド電線Wが凹部27b1に配置されたことを検知するセンサ部として機能する。ブロック25及びクランプ26a、26bは、後述する四本のシャフト2B2を挿通可能な孔をそれぞれ有する。
【0028】
一対のクランプ26aは、互いに対向する位置に、右側のクランプ26aには凹部26a1を、左側のクランプ26aには凸部26a2を、それぞれ有する。一対のクランプ26bは、一対のクランプ26aと同様の構成を有する。一対のブロック25が近接される(閉じられる)ことによって、一対のクランプ26aが近接し、一対のクランプ26bが近接する(閉じる)。クランプ26a、26bが閉じることで、電線保持部27a、27bに保持されたシールド電線Wは、凹部26a1と凸部26a2との間、及び、クランプ26bの凹部と凸部との間に、把持される。
【0029】
電線ガイド2Bは、一対の先端プレート2B1と、各先端プレート2B1から二本ずつ後方に延在するシャフト2B2と、二本ずつのシャフト2B2の後端にそれぞれ固定される一対のブロック2B3と、を備える。また、電線ガイド2Bは、二本のシャフト2B4と、編組保護部2B5と、を備える。各シャフト2B2は、ブロック25及びクランプ26a、26bを前後方向に貫通し、これらに対して移動可能とされる。ブロック25とブロック2B3とは、バネを内蔵するシャフト2B4を介して互いに近接及び離間可能に接続される。
【0030】
一対の先端プレート2B1は、前後方向に見て略台形状の本体部2B1aと、本体部2B1aから互いに対向する方向に延在する延在部2B1bと、を有する。延在部2B1bの、互いに対向する位置には、互いに離間する方向に窪んだ半円形状の凹部2B1cが設けられる。一対の先端プレート2B1における各凹部2B1cの位置には、前方に延在する半円筒形状の編組保護部2B5が設けられる。一対のブロック25が互いに近接されることにより、一対の先端プレート2B1が互いに近接し、二つの凹部2B1c及び二つの編組保護部2B5が、先端において編組103が露出したシールド電線Wの周囲を囲む。二つの編組保護部2B5が閉じて、シース104から露出した編組103の全周を覆うことで、編組103を保護しながら、箔切込装置3及び箔除去装置5(加工装置)内にシールド電線Wを投入できる。
【0031】
作業者による電線セット装置2へのシールド電線Wのセットは、図示しない電線セットモジュールにおいて行われる。電線セットモジュールは、電線セット装置2の先方に、接触式の電線先端検知部を設けたものである。作業者は、電線セット装置2の電線保持部27a、27bの凹部27a1、27b1及び先端プレート2B1における二つの凹部2B1cの間に、シールド電線Wを載置する。凹部27b1にシールド電線Wが載置されることで、電線保持部27bによる検知が行われる。そして、作業者がシールド電線Wを所定位置まで前方に押しこむことで、電線先端検知部による検知が行われる。これらの検知が行われると、電線セット装置2は、一対のブロック25を閉じて、電線把持部2Aによってシールド電線Wをチャックする(
図4参照)。このとき、電線ガイド2Bによってシールド電線Wがガイドされ姿勢が矯正される。また、シールド電線Wは、編組103の先端が編組保護部2B5から突出しないようにチャックされることが望ましい。
【0032】
電線セット装置2にセットされたシールド電線Wは、
図4に示すように加工装置(
図4では箔切込装置3)に供給される。電線セット装置2は、搬送装置8によって移動された箔切込装置3前の所定位置において、移動部23が後方に移動することで、電線把持部2A及び電線ガイド2Bが箔切込装置3に近接する(
図4に示す電線挿通方向Dに進む)。電線ガイド2Bの先端プレート2B1が箔切込装置3の前方に設けられた図示しないストッパに当たると、電線ガイド2Bの前後方向における位置が固定され、電線把持部2Aのみがさらに移動する。すなわち、電線把持部2Aの前面(電線保持部27a)と先端プレート2B1とが近接して、電線把持部2Aに把持されたシールド電線Wが編組保護部2B5から前方に突出する。そして、電線位置決めユニット3Aの中心位置に、シールド電線Wが投入される。
【0033】
このように、シールド電線Wを箔切込装置3の内部に入れ込もうとする際、電線ガイド2Bの先端プレート2B1がストッパに当接して電線把持部2A側へ押される。すなわち、電線把持部2Aによってシールド電線Wが箔切込装置3側へ押し出されることとなる。このため、シールド電線Wの先端ではなく中間や末端を把持していても、電線ガイド2Bがシールド電線Wをガイドして姿勢を矯正できるので、箔切込装置3内にシールド電線Wをまっすぐ挿入できる。また、箔102を加工するときは、編組保護部2B5が電線把持部2A側へ押されることで、加工対象の箔102部分を露出させることができる。箔切込装置3内に挿入されたシールド電線Wは、電線位置決めユニット3Aによって、左右方向の位置決めがなされる。
【0034】
図3は、
図1に示す箔切込装置3の要部を示す斜視図である。
図4~
図7は、箔切込装置3の動作を説明するための図である。
図8は、線材空間空けユニット3Bの要部拡大図であり、
図8(a)は後方から視た図、
図8(b)は
図8(a)の拡大図、
図8(c)は前方から視た図である。
図9は、箔切込ユニット3Cの要部拡大図である。尚、
図7において、電線位置決めユニット3Aの図示を省略している。
図1及び
図3に示すように、箔切込装置3は、平板状のベース30aに、上面視L字状のベースフレーム30bが立設され、ベース30aの前方側に電線位置決めユニット3Aが配置される。また、電線位置決めユニット3Aの後側に線材空間空けユニット3B及び箔切込ユニット3Cが設けられる。
【0035】
電線位置決めユニット3Aは、箔102が露出したシールド電線Wの先端部分を定位置にガイドする箔チャック31と、レール32と、プレート33と、駆動部34と、移動部35と、を含む。レール32は、箔チャック31の下部を収容する、左右方向に延びる溝を有する。プレート33は、ベース30aの前側において、移動部35の上面に立設された矩形平板であり、後側の一面に駆動部34が設けられる。駆動部34は、左右方向に延在するレール32の下方に位置し、レール32上の箔チャック31を開閉して、シールド電線Wの先端部分(箔102)を把持及び把持解除するよう駆動する。移動部35は、プレート33を前後方向に移動させる。
【0036】
箔チャック31は、
図4に示すように、シールド電線Wを挟んでそれぞれ対向する、一対の箔チャック本体31a、一対のブロック31b、及び一対のツメ31cを有する。箔チャック本体31aは、上面視L字状の角柱状部材であり、前後方向に延びる直線部と直線部の後端をシールド電線W側に突出させた突出部とを有し、一対の突出部間にシールド電線Wの箔102が露出した部分の先端をガイドする。ブロック31bは、箔チャック本体31aの前端側に固定される角柱状部材である。ツメ31cは、前後方向に視て略L字状の部材であり、左右方向に延びる部分にブロック31bが固定される。ツメ31cの左右方向に延びる部分はレール32に収容される。一対のツメ31cが駆動部34によって開閉することで、一対のブロック31b及び一対の箔チャック本体31aが開閉される。一対の箔チャック本体31aが閉じることにより、シールド電線Wの先端(箔102)が左右方向において位置決めされる。また、移動部35が前後方向に移動されることにより、シールド電線Wを前後方向において位置決めすることができる。
【0037】
このように、電線セット装置2及び搬送装置8によって、箔切込装置3前の所定位置に搬送されたシールド電線Wは、電線位置決めユニット3Aによってその先端が定位置にガイドされる。
【0038】
次に、線材空間空けユニット3B及び箔切込ユニット3Cについて説明する。
図3及び
図7に示すように、箔切込装置3は、電線位置決めユニット3Aによって把持されたシールド電線Wを挟んで上下にそれぞれ設けられた一対の押当ブレード36及び一対の切込刃37を有する。また、箔切込装置3は、一対のブラケット38a、一対のスライダー38b、レール38c、一対のブロック39、及び一対のナット40を有する。さらに箔切込装置3は、ねじ軸41、50、駆動部42、51b、54、取付部43、51a、プレート44、45、48、53、スライダー46、56、レール47、57、ナット49、ジョイント52、ロッド55を有する。一対の押当ブレード36、一対の切込刃37、一対のブラケット38a、一対のスライダー38b、レール38c、一対のブロック39、及び一対のナット40は、シールド電線Wが載置される面を挟んでそれぞれ上下対象に設けられる。以下、上側に設けられる各部材について説明し、下側に設けられる各部材についての説明を省略する。
【0039】
押当ブレード36は、
図7に示すように、押当ブレード本体36aと、略直方体状のブロック36bと、を含む。押当ブレード本体36aは、
図8(b)に示すように、前後方向に視てV字形状をなす刃面36a1、36a2を有する。刃面36a1、36a2のなす刃角αは、押当ブレード本体36aが二本の線材101の中間に箔102を介して押し当てられた状態で、刃面36a1,36a2が二本の線材101を、二本の線材101が互いに離間する方向に押す角度(例えば90°)とされる。また、刃角αは、押当ブレード本体36aが箔102に当接した場合に箔102を切断しない角度とされる。押当ブレード本体36aは、前後方向の長さがシールド電線Wにおいて露出された箔102の長さに相当する。押当ブレード本体36aは、ブロック36bの下端面に設けられる。ブロック36bは、前側の一面が上側に延伸されて、ブラケット38aに取り付けられる。
【0040】
切込刃37は、
図7に示すように、切込刃本体37aと、略直方体状のブロック37bと、を含む。切込刃本体37aは、
図9に示すように、前後方向に視てV字形状をなす刃面37a1、37a2を有する。刃面37a1、37a2のなす刃角βは、切込刃本体37aが離間された二本の線材101の中間に箔102を介して当接された状態で、刃面37a1と刃面37a2との交線に発生するせん断応力によって箔102が切断される角度(例えば45°)とされる。刃角αは、刃角βよりも小さくされる。切込刃本体37aは、前後方向の長さがシールド電線Wにおいて露出された箔102の長さに相当する。切込刃本体37aは、ブロック37bの下端面に設けられる。ブロック37bは、前側の一面が上側に延伸されて、ブラケット38aに取り付けられる。
【0041】
ブラケット38aは、左右方向に延在する前面部38a1と、前面部38a1の左側端部から後方向に延在する側面部38a2と、を有する。前面部38a1には、ブロック36b及びブロック37bが、左右方向に並列して設けられる。側面部38a2は、上側にブロック39を介してナット40に固定される。ナット40は、上下方向に沿うように配置されたねじ軸41に、上下方向に移動可能に取り付けられる。ねじ軸41は、上部に設けられた取付部43を介して、鉛直面(上下面)内において前後方向に延在するプレート44に固定される。ねじ軸41は、上端に設けられた駆動部42の駆動軸に連結されて回転させることで、一対のナット40を上下方向において互いに近接又は離間させるように移動させる。一対のナット40が近接又は離間される(
図6の矢印A1)ことで、一対のブラケット38aが近接又は離間され(
図6の矢印A2)、一対の押当ブレード36及び一対の切込刃37が互いに近接する(閉じる)又は離間する(開く)こととなる。
【0042】
プレート44の後方の側面には、鉛直面内において左右方向に延在するプレート45が固定される。プレート45は、左右方向に延在するレール47に沿って左右方向に移動可能なスライダー46に取り付けられる。レール47は、鉛直面内において左右方向に延在するプレート48の前面に固定される。プレート48の下方には、ナット49が固定される。ナット49は、前後方向に沿うように配置されたねじ軸50に、前後方向に移動可能に取り付けられる。ねじ軸50は、後方に取り付けられた取付部51aを介して、ベースフレーム30bの側面30b1に固定される。側面30b1は、鉛直面内において前後方向に延在する。ベースフレーム30bは、側面30b1と、側面30b1の後端から左側に延在する後面30b2とで構成される。ねじ軸50は、後端に設けられた駆動部51bの駆動軸に連結されて回転されることで、ナット49を前後方向に移動させる(
図6の矢印B1)。ナット49が前後方向に移動されることで、プレート48が前後方向に移動され、プレート45、44等を介してプレート48に接続された一対のブラケット38aが前後方向に移動する(
図6の矢印B2)。これにより、一対の押当ブレード36及び一対の切込刃37が前後方向に移動される。
【0043】
プレート45の後面には、上面視略U字状のジョイント52が固定される。ジョイント52の後端は、左右方向に沿って配置されたロッド55の一端に固定される。ロッド55の他端はプレート53を介して駆動部54に接続される。プレート53は、鉛直面内において前後方向に延在し、ベースフレーム30bの側面30b1に固定される。駆動部54の駆動によりロッド55が左右方向に移動される(
図6の矢印C1)ことで、ジョイント52が左右方向に移動され、ジョイント52に固定されたプレート45が、プレート48に対して左右方向にスライドする。そして、プレート45に、プレート44等を介して接続された一対のブラケット38aが左右方向に移動される(
図6の矢印C2)。これにより、一対の押当ブレード36及び一対の切込刃37が左右方向に移動される。
【0044】
一対の押当ブレード36と、一対の押当ブレード36を駆動する各部とは、線材空間空けユニット3Bを構成し、一対の切込刃37と、一対の切込刃37を駆動する各部とは、箔切込ユニット3Cを構成する。
【0045】
続いて、以上のように構成された箔切込装置3の動作を説明する。
図4に示すように、電線セット装置2にセットされたシールド電線Wが、箔切込装置3前の所定位置に搬送されると、シールド電線Wが後方に移動されて、開かれた状態の一対の箔チャック31の中間に挿入される(
図5)。このとき、一対の箔チャック31の中間には、線材空間空けユニット3Bの一対の押当ブレード36が配置されている。
【0046】
一対の箔チャック31が閉じると、一対の箔チャック本体31aによってシールド電線Wの箔102が定位置にガイドされる。また、一対の押当ブレード36(線材空間空けユニット3B)が閉じると(
図8の矢印A3)、シールド電線Wの上下方向から一対の押当ブレード本体36aが箔102を介して二本の線材101間に押し当てられる。そして、刃面36a1、36a2に押された二本の線材101が互いに離間する(
図8)。その後、一対の押当ブレード36が開く。
【0047】
次に、一対の箔チャック31が開いて、前方に移動する。このとき、シールド電線Wは電線セット装置2に保持されているため、シールド電線Wの位置は変化しない。一対の押当ブレード36及び一対の切込刃37は、右側に移動し(
図6の矢印C2)、一対の箔チャック31が後方に移動する。一対の切込刃37が一対の箔チャック31の中間に配置されると、一対の箔チャック31が閉じて、箔102が定位置にガイドされる(
図9)。
【0048】
その後、一対の切込刃37(箔切込ユニット3C)が閉じる(
図9の矢印A4)と、シールド電線Wの上下方向から一対の切込刃本体37aが箔102における、離間した二本の線材101間に当接される。切込刃本体37aが箔102に接触(当接)すると、刃面37a1、37a2の交線において箔102が切断される(
図8)。一対の切込刃37は、閉じた状態で、ブラケット38aの移動により後方に移動される(
図9の矢印B3)。一対の切込刃37が閉じたまま後方に移動されることで、箔102が確実に切断される。
【0049】
二本の線材101間において箔102が切断されると、一対の切込刃37及び一対の押当ブレード36が開き、一対の箔チャック31も開かれる。開かれた一対の箔チャック31は、前方に移動し、電線セット装置2にセットされたシールド電線Wも前方に移動する。
【0050】
図10は、
図1に示す箔除去装置5の要部拡大図であり、
図11及び
図12は、箔除去装置5の動作を説明するための図である。
図11(a)は一対のブラシ71では箔102を左右に開く様子を示す図であり、
図11(b)は
図11(a)の拡大図である。
図13は、箔102が除去された状態のシールド電線Wを示す図である。尚、
図12において、ツメ60b、61bは図示を省略する。
【0051】
図1及び
図10に示すように、箔除去装置5は、二つのブラシ71と、二つのブラシ保持部72と、二つのブラケット73と、二つのブラシ駆動部74と、ブラシ取付ブロック75と、を備える。また、箔除去装置5は、箔チャック76~79と、駆動部80、81と、ツメ80a、80b、81a、81bと、二つの箔切断刃82と、移動部93、94と、を備える。電線セット装置2にセットされたシールド電線Wは、二つのブラシ71の間に挿入される。
【0052】
ブラシ71は、前後方向の回転軸を有し、箔102を線材101から剥がせる材質のブラシである。ブラシ71の回転軸は、ブラシ保持部72及びブラケット73を介してブラシ駆動部74の回転軸に結合される。ブラケット73は、略U字形状を有するように屈曲された矩形板であり、左右方向に延びる一面にブラシ駆動部74が配置され、ブラシ駆動部74に対向する一面の裏面が、ブラシ取付ブロック75に対してスライド可能に取り付けられる。
図11に示すように、上側のブラシ71は左回り(反時計回り)に、下側のブラシ71は右回り(時計回り)に、ブラシ駆動部74によってそれぞれ回転(自転)する。また、二つのブラシ71は、図示しない駆動部によって、互いに近接及び離間するように移動可能である。二つのブラシ71間にシールド電線W(箔102が露出した先端部分)が挿入されると、二つのブラシ71は、シールド電線Wに近接するように移動して、箔102に当接される。ブラシ取付ブロック75は、図示しない支持部材によって、図示しないベースプレート上に固定される。
【0053】
二つのブラシ71の間には、シールド電線Wの左側に、ブロック状の箔チャック78、79と、箔チャック78、79をそれぞれ移動させるツメ81a、81bと、ツメ81a、81bを前後方向にスライド可能に保持する駆動部81と、を有する。また、シールド電線Wの右側に、ブロック状の箔チャック76、77と、箔チャック76、77をそれぞれ移動させるツメ80a、80bと、ツメ80a、80bを前後方向にスライド可能に保持する駆動部80と、を有する。箔チャック76、77と箔チャック78、79は、駆動部80、81により連動動作し、箔チャック76、77間が近接又は離間すると同時に、箔チャック78、79間が近接又は離間する(
図10)。
図10に示すように、箔チャック76、77は、右側に開かれた箔102を把持し、箔チャック78、79は、左側に開かれた箔102を把持する。
【0054】
箔チャック77、79には、互いに対向する面に、箔切断刃82、83がそれぞれ取り付けられる。箔切断刃82、83は、箔チャック77、79から刃先を前方に突出させて配置され、箔切断刃82、82に当接した箔102を切断する。移動部93、94は、上面に搭載された駆動部80、81をそれぞれ左右方向において近接又は離間させる。
【0055】
以上のように構成された箔除去装置5の動作を説明する。
図10に示すように、電線セット装置2にセットされたシールド電線Wは、箔チャック76、78、箔切断刃82、83の間に配置される。この状態で、シールド電線Wを挟んで上下に配置された一対のブラシ71が回転(自転)しながら互いに近接し、切込の入った箔102に当接される。各ブラシ71が左右方向に回転すると、
図11に示すように、切込から左右に分かれた箔102が左右にそれぞれ移動される。
【0056】
次に、
図10に示すように、箔チャック76、77が互いに近接し、箔チャック78、79が互いに近接するように連動動作すると、左右に広げられた箔102が箔チャック76、77の間、箔チャック78、79の間に把持される(
図12)。このとき、把持された箔102は、箔切断刃82、83に当接して切断される。切断された箔102は、箔チャック76、77及び箔チャック78、79に把持されて除去される。箔剥ぎ装置1により箔102が除去されたシールド電線Wは、
図13に示すように、先端部分において二本の線材101が露出し、スリーブ15の端部近傍に、先端が切断された箔102がわずかに残る。スリーブ15近傍に残る箔102は、切込刃37及び箔切断刃82、83によってせん断され、シャープな切断面となっている。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の箔剥ぎ装置1によれば、離間された線材101間に切込を入れて箔102を開き、開かれた箔102を除去する。したがって、線材101に刃(切込刃37、箔切断刃82、83)を当てることがないため、線材101を傷つけることなく箔102を除去できる。また、箔の内側に絶縁層がなく線材がある多芯線について、電線を設備から取り外すことなく箔除去を行えるので、寸法精度よく端末加工できる。また、この構成によれば、人手による箔の切断、切り残し代の管理が不要となり、自動化が可能となるため、加工品質の向上が可能となる。
【0058】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、前述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。例えば、前述した実施形態では、箔剥ぎ装置1の処理対象が、二本の線材101が撚り合わされない(ストレートに配置された)シールド電線Wであったが、線材の本数は二本に限定されず、例えば四本等でもよい。また、線材101と金属箔102との間に編組103を有しないシールド電線を処理対象としてもよい。さらに、箔除去装置5において、箔切断刃82、83を設けず、箔102を破断により除去することも可能である。
【0059】
前述した実施形態では、ブラシ71によって箔102を開いたが、ブラシ71に代えて、切込の入った箔102に電線先端側からエアーを吹き付けることによって箔102を左右に開いてもよい。エアー吹き付けによっても、線材101を傷つけることなく箔102を開くことができる。
【0060】
また、前述した実施形態では、一対の箔チャック31がシールド電線Wの先端部分(箔102が露出した部分)を把持(ガイド)したが、箔チャック31に代えて、シールド電線Wの先端部分を差し込む穴によって、シールド電線Wの先端部分をガイドしてもよい。
【0061】
ここで、上述した本発明の実施形態に係る箔剥ぎ装置及び箔剥ぎ方法の特徴をそれぞれ以下[1]~[10]に簡潔に纏めて列記する。
[1]直線状に並列配置された複数の線材(101)と、前記複数の線材を覆う箔(102)と、前記箔を覆うシース(104)と、を含む多芯電線(シールド電線W)であって、先端部分において前記シースが剥かれ前記箔が露出した電線を把持する電線把持ユニット(電線位置決めユニット3A)と、
前記露出した箔における前記複数の線材間に押し当てられ、前記複数の線材間を離間させる線材空間空けユニット(3B)と、
前記露出した箔における前記離間された複数の線材間に当接され、前記箔に切込を入れる箔切込ユニット(3C)と、
前記切込から前記箔を開き、前記開かれた箔を除去する箔除去ユニット(箔除去装置5)と、を備える
箔剥ぎ装置(1)。
[2]前記線材空間空けユニットは、刃角が第一角度である押当ブレード(36)を有し、
前記箔切込ユニットは、刃角が前記第一角度よりも小さい第二角度である切込刃(37)を有する
上記[1]に記載の箔剥ぎ装置。
[3]前記線材空間空けユニットは、前記電線を挟んで対向する一対の前記押当ブレード(36)を有し、前記一対の押当ブレードを、前記露出した箔における前記複数の線材間に、互いに近接させて押し当て、前記複数の線材間を離間させる
上記[2]に記載の箔剥ぎ装置。
[4]前記箔切込ユニットは、前記電線を挟んで対向する一対の前記切込刃を有し、前記一対の切込刃(37)を、前記露出した箔における前記離間された複数の線材間に当接させ、前記箔に切込を入れる
上記[2]又は[3]に記載の箔剥ぎ装置。
[5]前記箔除去ユニットは、
前記箔を前記切込に沿って開く箔開き部(ブラシ71)と、
前記開かれた箔を切断する箔切断刃(82、83)と、を有する
上記[1]~[4]のいずれか一に記載の箔剥ぎ装置。
[6]前記箔開き部は、前記切込の入った前記箔に回転ブラシを当接させて、前記電線の延在方向と交わる方向に回転させることにより、前記箔を開く
上記[5]に記載の箔剥ぎ装置。
[7]前記箔開き部は、前記電線の先端側から前記切込の入った前記箔にエアーを吹き付けることにより、前記箔を開く
上記[5]に記載の箔剥ぎ装置。
[8]前記開かれた箔を把持する箔チャック(76~79)を備え、
前記箔切断刃は、前記箔チャックの一部(77、79)に設けられる
上記[5]~[7]のいずれか一に記載の箔剥ぎ装置。
[9]直線状に並列配置された複数の線材(101)と、前記複数の線材を覆う箔(102)と、前記箔を覆うシース(104)と、を含む多芯電線(シールド電線W)であって、先端部分において前記シースが剥かれ前記箔が露出した電線を把持し、
前記露出した箔における前記複数の線材間に、線材空間空けユニット(3B)を押し当てて、前記複数の線材間を離間させ、
離間された複数の線材間に箔切込ユニット(3C)を当接させて、前記箔に切込を入れ、
前記切込から前記箔を開き、前記開かれた箔を除去する
箔剥ぎ方法。
[10]線材(101)と、前記線材を覆う絶縁層と、前記絶縁層を覆う箔(102)と、前記箔を覆うシース(104)と、を含む電線であって、先端部分において前記シースが剥かれ前記箔が露出した電線を把持する電線把持ユニット(電線位置決めユニット3A)と、
前記露出した箔に、前記電線の延在方向に沿った切込を入れる箔切込ユニット(3C)と、
前記切込から前記箔を開き、前記開かれた箔を除去する箔除去ユニット(箔除去装置5)と、を備える
箔剥ぎ装置(1)。
【符号の説明】
【0062】
1 箔剥ぎ装置
2 電線セット装置
2A 電線把持部
2B 電線ガイド
3 箔切込装置
3A 電線位置決めユニット
3B 線材空間空けユニット
3C 箔切込ユニット
5 箔除去装置
31、76~79 箔チャック
36 押当ブレード
37 切込刃
71 ブラシ
82、83 箔切断刃
101 線材
102 箔
103 編組
104 シース
105 スリーブ
W シールド電線