(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルの電気化学的に活性なカソード材料及び前記材料を含む電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/52 20100101AFI20220404BHJP
H01M 6/06 20060101ALI20220404BHJP
H01M 6/50 20060101ALI20220404BHJP
H01M 10/24 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
H01M4/52
H01M6/06 C
H01M6/50
H01M10/24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020116553
(22)【出願日】2020-07-06
(62)【分割の表示】P 2017502756の分割
【原出願日】2015-03-19
【審査請求日】2020-07-08
(32)【優先日】2014-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】315014051
【氏名又は名称】デュラセル、ユーエス、オペレーションズ、インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー、アン、ネルソン
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド、ロイド、アングリン
(72)【発明者】
【氏名】マリアローザ、ブルーンドゥ
(72)【発明者】
【氏名】ポール、アルバート、クリスティアン
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-332259(JP,A)
【文献】特表平06-511106(JP,A)
【文献】特開2003-151549(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0247363(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/52-525
H01M 6/02-20
H01M 6/50
H01M 10/24-32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルを備える電気化学的に活性なカソード材料を備えるカソード(12)と、
亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、カドミウム、鉄、金属水酸化物、これらの合金、及び、これらの混合物から成るグループから選択される電気化学的に活性なアノード材料を備えるアノード(14)と、
前記カソード(12)と前記アノード(14)との間のセパレータ(16)と、
電解質と、を備え、
前記ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルは、14.9°2θから16.0°2θの第1ピーク(111)、21.3°2θから22.7°2θの第2ピーク(112)、37.1°2θから37.4°2θの第3ピーク(113)、43.2°2θから44.0°2θの第4ピーク(114)、59.6°2θから60.6°2θの第5ピーク(115)、及び、65.4°2θから65.9°2θの第6ピーク(116)を備えるX線回折パターンを有する、
電池(10)。
【請求項2】
前記第1ピーク(111)が15.4°2θであり、前記第2ピーク(112)が22.1°2θであり、前記第3ピーク(113)が37.3°2θであり、前記第4ピーク(114)が43.6°2θであり、前記第5ピーク(115)が60.1°2θであり、前記第6ピーク(116)が65.7°2θである、請求項1に記載の電池(10)。
【請求項3】
前記X線回折パターンが、約10.8°2θから約12.0°2θの第7ピーク(117)、約47.2°2θから約47.4°2θの第8ピーク(118)、及び、約48.1°2θから約48.6°2θの第9ピーク(119)をさらに備える、請求項1又は2に記載の電池(10)。
【請求項4】
前記第7ピーク(117)が約11.2°2θであり、前記第8ピーク(118)が約47.3°2θであり、前記第9ピーク(119)が約48.3°2θである、請求項3に記載の電池(10)。
【請求項5】
外面を有するハウジング(18)と、
電圧テスタ(330)を備えるラベル(320)と、
を備え、
前記ラベル(320)は前記ハウジング(18)の前記外面に貼り付けられている、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電池(10)。
【請求項6】
前記ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルは、Li
xA
yNi
1+a-zM
zO
2・nH
2Oを備える化学式を備え、
xは約0.02から約0.20、
yは約0.03から約0.20、
aは約0から約0.2、
zは約0から約0.2、
nは約0から約1であって、
Aはカリウムを備え、及び
Mはアルカリ土類金属、遷移金属、非遷移金属、並びにこれらの任意の合成物を備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電池(10)。
【請求項7】
前記ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルは水を備える、請求項6に記載の電池(10)。
【請求項8】
約14.9°2θから約16.0°2θの第1ピーク(111)、約21.3°2θから約22.7°2θの第2ピーク(112)、約37.1°2θから約37.4°2θの第3ピーク(113)、約43.2°2θから約44.0°2θの第4ピーク(114)、約59.6°2θから約60.6°2θの第5ピーク(115)、及び、約65.4°2θから約65.9°2θの第6ピーク(116)を備えるX線回折パターンを有するベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルと、
酸化マンガン、二酸化マンガン、及び、これらの混合物から成るグループから選択される付加的な電気化学的に活性なカソード材料と、
を備える電気化学的に活性なカソード材料。
【請求項9】
前記付加的な電気化学的に活性なカソード材料は、電解二酸化マンガン(EMD)、化学二酸化マンガン(CMD)
、ラムダ二酸化マンガン、ガンマ二酸化マンガン、ベータ二酸化マンガン及びこれらの混合物から成るグループから選択される二酸化マンガンである、請求項8に記載の電気化学的に活性なカソード材料。
【請求項10】
前記X線回折パターンが、約10.8°2θから約12.0°2θの第7ピーク、及び約48.1°2θから約48.6°2θの第8ピークをさらに備える、請求項8に記載の電気化学的に活性なカソード材料。
【請求項11】
前記第1ピークが約15.4°2θであり、前記第2ピークが約22.1°2θであり、前記第3ピークが約37.3°2θであり、前記第4ピークが約43.6°2θであり、前記第5ピークが約60.1°2θであり、前記第6ピークが約65.7°2θである、請求項8乃至10のいずれか一項に記載の電気化学的に活性なカソード材料。
【請求項12】
前記X線回折パターンが、約11.2°2θの前記第7ピーク、約48.3°2θの前記第8ピークを備える、請求項10に記載の電気化学的に活性なカソード材料。
【請求項13】
前記X線回折パターンが、約1.01から約2.09の第1ピークのFWHM、約0.86から約1.95の第2ピークのFWHM、約0.23から約0.41の第3ピークのFWHM、約0.40から約0.75の第4ピークのFWHM、約0.57から約1.45の第5ピークのFWHM、約0.27から約0.53の第6ピークのFWHMを備える、請求項8に記載の電気化学的に活性なカソード材料。
【請求項14】
前記X線回折パターンが、約1.01から約2.09の第1ピークのFWHM、約0.86から約1.95の第2ピークのFWHM、約0.23から約0.41の第3ピークのFWHM、約0.40から約0.75の第4ピークのFWHM、約0.57から約1.45の第5ピークのFWHM、約0.27から約0.53の第6ピークのFWHM、約0.56から約1.73の第7ピークのFWHM、約0.33から約0.58の第8ピークのFWHMを備える、請求項9に記載の電気化学的に活性なカソード材料。
【請求項15】
前記X線回折パターンが、第3ピークに対する第1ピークが約13から約37の規格化強度、第3ピークに対する第2ピークが約6から約16の規格化強度、第3ピークが約100の規格化強度、第3ピークに対する第4ピークが約45から約73の規格化強度、第3ピークに対する第5ピークが約7から約17の規格化強度、及び、第3ピークに対する第6ピークが約41から約61の規格化強度を備える、請求項8に記載の電気化学的に活性なカソード材料。
【請求項16】
前記X線回折パターンが、第3ピークに対する第1ピークが約24の規格化強度、第3ピークに対する第2ピークが約10の規格化強度、第3ピークが約100の規格化強度、第3ピークに対する第4ピークが約58の規格化強度、第3ピークに対する第5ピークが約11の規格化強度、及び、第3ピークに対する第6ピークが約48の規格化強度を備える、請求項8に記載の電気化学的に活性なカソード材料。
【請求項17】
前記付加的な電気化学的に活性なカソード材料は、電解二酸化マンガン(EMD)、化学二酸化マンガン(CMD
)及びこれらの混合物から成るグループから選択される二酸化マンガンを備える、請求項8乃至16のいずれか一項に記載の電気化学的に活性なカソード材料。
【請求項18】
前記付加的な電気化学的に活性なカソード材料は、電解二酸化マンガン(EMD)を備える請求項17に記載の電気化学的に活性なカソード材料。
【請求項19】
前記ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルは、Li
xA
yNi
1+a-zM
zO
2・nH
2Oを備える化学式を備え、
xは約0.02から約0.20、
yは約0.03から約0.20、
aは約0から約0.2、
zは約0から約0.2、
nは約0から約1であって、
Aはカリウム、ルビジウム、セシウム並びにこれらの任意の合成物を備え、
Mはアルカリ土類金属、遷移金属、非遷移金属、及び、これらの任意の合成物を備える、請求項8乃至18のいずれか一項に記載の電気化学的に活性なカソード材料。
【請求項20】
前記Aはカリウムである、請求項19に記載の電気化学的に活性なカソード材料。
【請求項21】
前記aは約0.09から約0.
2である、請求項19又は20に記載の電気化学的に活性なカソード材料。
【請求項22】
前記aは約0.09から約0.10である、請求項19乃至21のいずれか一項に記載の電気化学的に活性なカソード材料
【請求項23】
前記ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルは、前記nが0より多く含水している、請求項19乃至22のいずれか一項に記載の電気化学的に活性なカソード材料。
【請求項24】
請求項8乃至23のいずれか一項に記載の電気化学的に活性なカソード材料を備えるカソード(12)と、
亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、カドミウム、鉄、金属水酸化物、これらの合金、及び、これらの混合物から成るグループから選択される電気化学的に活性なアノード材料を備えるアノード(14)と、
前記カソード(12)と前記アノード(14)との間のセパレータ(16)と、
電解質と、を備える電池(10)。
【請求項25】
外面を有するハウジング(18)と、
電圧テスタ(330)を備えるラベル(320)と、
をさらに備え、
前記ラベル(320)は前記ハウジング(18)の前記外面に貼り付けられている、請求項24に記載の電池(10)。
【請求項26】
前記電解質は水溶性電解質を備える、請求項24又は25に記載の電池(10)。
【請求項27】
前記電解質はKOHを備える、請求項25乃至26のいずれか一項に記載の電池(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学的に活性なカソード材料に関し、より詳しくは、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルの電気化学的に活性なカソード材料に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学セル又は電池は、電気エネルギー源として広く使用されている。電池は、典型的にアノードと呼ばれる負の電極と、典型的にカソードと呼ばれる正の電極とを含んでいる。アノードは、酸化され得る電気化学的に活性なアノード材料を含んでいる。カソードは、還元され得る電気化学的に活性なカソード材料を含んでいる。電気化学的に活性なアノード材料は、電気化学的に活性なカソード材料を還元することができる。アノードとカソードとの間にセパレータが配置される。電池構成要素は、主として金属製の缶又はハウジングに配置される。
【0003】
電池が、電子装置において電気エネルギー源として使用されるとき、装置を通って電子を流すことができ、電子装置に電力をもたらすべくそれぞれの酸化及び還元反応を生じさせることができるよう、電気接触が、アノード及びカソードに形成される。電解質は、アノード、カソード及びセパレータに接触している。電解質は、放電中に電池全体の電荷バランスを維持するために、アノードとカソードとの間のセパレータを通って流れるイオンを含んでいる。
【0004】
電池を、玩具、リモコン、オーディオ装置、懐中電灯、デジタルカメラ及び撮像周辺機器、電子ゲーム機、歯ブラシ、ラジオ、ならびに時計などの最新の電子装置への給電により適するようにすることが、ますます必要とされてきている。この必要を満たすために、電池は、電気化学的に活性なアノード及び/又はカソード材料のより高いローディングを含んでもよく、容量及び耐用年数の増加を供する。しかしながら、電池には、例えば、AA、AAA、AAAA、C及びDのような、共通のサイズがあり、外部の寸法が固定されており、内容量が制約されている。電池の性能をより良くするために、電気化学的に活性な材料のローディングのみを増加させる能力は、それゆえに制限されている。
【0005】
電池の電気化学的に活性なカソード材料は、高い性能を供するために調整され得る他の一つの設計特性である。例えば、容量及び重量がより大きい電気化学的に活性な材料は、より高い性能の電池になり得る。同様に、酸化状態が高い電気化学的に活性な材料もまた、より高い性能の電池になり得る。しかしながら、選択した電気化学的に活性な材料は、電池が電力供給し得る装置用の閉回路電圧、または作動電圧を提供しなければならない。
電池のOCVまたは作動電圧が高すぎる場合、装置が損傷し得る。反対に、電池の作動電圧が低すぎる場合、装置は全く機能しないかもしれない。さらに、酸化状態の高い遷移金属酸化物のような電気化学的に活性な材料は、高い反応を示し得る。電気化学的に活性な材料が、電池内に組込まれ、電解質と接触する場合、電気化学的に活性な材料のような高い反応を示す性質は、ガス発生を引き起こし得る。ガス発生は、カソード内の導通及び/又は電池からの電解質漏出のような、電池内の構造の問題を引き起こし得る。高い酸化状態の遷移金属酸化物は、例えば、黒鉛のような炭素添加剤、界面活性材のような他の添加剤及び/又はセパレータのような、他の電池構成要素と有害な反応を起こし得る。高い酸化状態の遷移金属酸化物は、さらに電解質を消費する傾向を有していてもよく、このことは、カソード膨潤や電池内の水分バランスが悪くなるといった、電池内の他の構造の問題を引き起こし得る。さらに、電池がある一定期間保管される場合、電気化学的に活性なカソード材料として高い酸化状態の遷移金属酸化物を含む電池は、例えば、不安定性及び高い自己放電率を示し得る。
【0006】
上述されたニーズに取り組む電池のために電気化学的に活性なカソード材料を提供する必要性が存在する。本発明のベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルの電気化学的に活性なカソード材料は、とりわけ、これらのニーズに取り組む。
【発明の概要】
【0007】
一実施形態では、本発明は、電気化学的に活性なカソード材料に関する。電気化学的に活性なカソードは、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルを含んでいる。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルは、X線回折パターンを有する。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのX線回折パターンは、約14.9°2θから約16.0°2θの第1ピーク、約21.3°2θから約22.7°2θの第2ピーク、約37.1°2θから約37.4°2θの第3ピーク、約43.2°2θから約44.0°2θの第4ピーク、約 59.6°2θから約60.6°2θの第5ピーク、及び約65.4°2θから約65.9°2θの第6ピークを含んでいる。
【0008】
別の一実施形態では、本発明は電池に関する。電池は、カソードと、アノードと、アノードとカソードとの間のセパレータと、電解質と、を含んでいる。カソードは、導電性添加剤及び電気化学的に活性なカソード材料を含んでいる。電気化学的に活性なカソード材料は、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルを含んでいる。アノードは、電気化学的に活性なアノード材料を含んでいる。電気化学的に活性なアノード材料は、亜鉛を含んでいる。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルは、X線回折パターンを有する。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのX線回折パターンは、約14.9°2θから約16.0°2θの第1ピーク、約21.3°2θから約22.7°2θの第2ピーク、約37.1°2θから約37.4°2θの第3ピーク、約43.2°2θから約44.0°2θの第4ピーク、約 59.6°2θから約60.6°2θの第5ピーク、及び約65.4°2θから約65.9°2θの第6ピークを含んでいる。
【0009】
本明細書は、本発明を形成すると考えられる本発明の要旨を特に指摘し、明確に請求する請求項で完結しているが、添付の図面と併せ、以下の説明から本発明はより理解されると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルの電気化学的に活性なカソード材料の実施形態を含む一次アルカリ電池の断面図。
【
図2】本発明のベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルの電気化学的に活性なカソード材料の実施形態の粉末X線回折パターンを、他の材料の粉末X線回折パターンとともに含む図。
【
図3】電圧計を含む本発明の一次アルカリ電池の透視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
電気化学セルまたは電池は、一次でも二次でもよい。一次電池は、例えば、空になるまで一回だけ放電し、その後、廃棄される。一次電池は、例えば、David LindenのHandbook of Batteries(第4版、2011年)に記載されている。二次電池は、充電されることを目的とする。二次電池は、例えば、50回超、100回超、またはそれ以上など、多数回放電し、充電することが可能である。二次電池は、例えば、David LindenのHandbook of Batteries(第4版、2011年)に記載されている。したがって、電池は、様々な電気化学の結合及び電解質の合成物を含み得る。本明細書及び本明細書に呈示される実施例は、概して一次アルカリの電気化学セル、または電池に関するが、水系、非水系、イオン液体及び固体系の一次及び二次電池の両方に、本発明が当てはまることを、理解するべきである。それゆえに、前述の系統の一次及び二次電池は、本出願の技術的範囲内にあり、本発明は、いかなる特定の実施形態にも限定されない。
【0012】
図1を参照すると、一次アルカリ電気化学セル又は電池10は、カソード12と、アノード14と、セパレータ16と、ハウジング18と、を含んでいる。さらに、電池10は、集電体20と、シール22と、エンドキャップ24と、を含んでいる。エンドキャップ24は、電池10のマイナス端子として機能する。正極突起26は、エンドキャップ24から見て、電池10の他端に位置している。正極突起26は、電池10のプラス端子として機能し得る。電解質溶液が、電池10の全体に広がっている。カソード12、アノード14、セパレータ16、電解質、集電体20及びシール22は、ハウジング18内に含まれている。電池10は、例えば、AA、AAA、AAAA、CまたはDサイズのアルカリ電池であってよい。
【0013】
ハウジング18は、一次アルカリ電池において広く使用されている任意の従来のタイプのハウジングであってよく、例えば、冷延鋼板、又はニッケルめっき冷延鋼板などの任意の適切な機材で制作可能である。ハウジング18は、筒状体であってもよい。ハウジング18は、他の適切な、非円筒状の形状であってもよい。ハウジング18は、例えば、長方形、正方形、または角柱形など、少なくとも2枚の並列のプレートを備える形状であってもよい。ハウジング18は、例えば、冷延鋼板、又はニッケルめっき鋼板のような、1枚の基材から深絞り加工されていてもよい。ハウジング18は、例えば、筒状体で表されてもよい。ハウジング18は、少なくとも1つの開口端を有していてもよい。ハウジング18は、閉口端及び開口端間に側壁のある閉口端及び開口端を有していてもよい。ハウジング18の側壁の内部の表面は、ハウジング18の側壁の内部の表面とカソード12のような電極との間の低い電気接触抵抗を供する材料で処理されていてもよい。例えば、ハウジング18の側壁の内部の表面とカソード12のとの間の接触抵抗を減らすため、ハウジング18の側壁の内部の表面は、例えば、ニッケルやコバルトで覆われ、及び/又は、炭素が添加された塗料を塗られていてもよい。
【0014】
カソード12は、少なくとも1つの電気化学的に活性なカソード材料を含んでいる。電気化学的に活性なカソード材料は、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルであってもよい。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルは、一般化学式LixAyNi1+a-zMzO2・nH2Oを有していてもよく、xは約0.02から約0.20、yは約0.03から約0.20、aは約0から約0.2、zは約0から約0.2、nは約0から約1であり、Aはアルカリ金属を備え、Mはアルカリ土類金属、遷移金属、非遷移金属及びこれらの任意の合成物を備えている。
【0015】
元素周期表のグループ1Aからの元素は、一般にアルカリ金属と称される。アルカリ金属は、元素周期表のグループ1Aからの元素または元素の任意の合成物を含み得る。アルカリ金属は、例えば、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びこれらの合成物を含んでいてもよい。
【0016】
元素周期表のグループIIAからの元素は、典型的にアルカリ土類金属と称される。アルカリ土類金属は、元素周期表のグループIIAからの元素または元素の任意の合成物を含んでいてもよい。アルカリ土類金属は、例えば、マグネシウム(Mg)を含んでいてもよい。
【0017】
元素周期表のグループIB-VIIIBからの元素は、典型的に遷移金属と称される。
遷移金属は、元素周期表のグループIB-VIIIBからの元素または元素の任意の合成物を含んでいてもよい。遷移金属は、例えば、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、チタン(Ti)及びこれらの合成物を含んでいてもよい。
【0018】
非遷移金属は、例えば、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)、錫(Sn)及びこれらの合成物を含んでいてもよい。
【0019】
アルカリ金属は、例えばカリウム(K)であってもよい。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルの化学式は、例えば、LixKyNi1+a-zMzO2・nH2Oであってもよく、xが約0.02から約0.20、yは約0.03から約0.20、aは約0から約0.2、zは約0から約0.2まで、nは約0から約1、である。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルの化学式は、例えばLi0.11K0.11NiO2・0.5H2O、またはLi0.06K0.12NiO2・0.53H2Oであってもよい。
【0020】
アルカリ土類金属は、例えば、マグネシウム(Mg)であってもよい。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルの化学式は、例えば、LixKyNi 1+a-zMgzO2・nH2Oであってもよく、xは約0.02から約0.2、yは約0.03から約0.2、aは約0から約0.2、zは約0から約0.2、nは約0から約1、である。 ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルの化学式は、例えば、Li0.15K.10Ni1.05Mg0.04O2・0.24H2Oであってもよい。
【0021】
遷移金属は、例えば、コバルト(Co)であってもよい。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルの化学式は、例えば、LixKyNi 1+a-zCozO2・nH2Oであってもよく、xは約0.02から約0.2、yは約0.03から約0.2、aは約0から約0.2、zは約0から約0.2、nは約0から約1、である。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルの化学式は、例えば、Li0.04K0.11Ni0.97Co0.03O2・nH2Oであってもよい。
【0022】
非遷移金属は、例えば、アルミニウム(Al)であってもよい。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルの化学式は、例えば、LixKyNi 1+a_zAlzO2・nH2oであってもよく、xは約0.02から約0.2、yは約0.03から約0.2、aは約0から約0.2、zは約0から約0.2、nは約0から約1、である。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルの化学式は、例えば、Li0.12K0.09Ni1.08Al0.02O2・0.18H2Oであってもよい。
【0023】
ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル内のアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び/又は非遷移金属の含有量は、先行技術において既知である任意の好ましい方法によって決定してもよい。例えば、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル内のアルカリ金属及び遷移金属の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光(ICP-AE)分析法及び/又は原子吸光(AA)分析法によって決定し得る。ICP-AE及び/又はAA分析は、例えば、J.R.DeanのPractical Inductively Coupled Plasma Spectroscopy(2005年、pp.65~87)、並びに、B.Welz and M.B SperlingのAtomic Absorption spectrometry(第3版、1999年、pp.221~294)に記載されるような一般的な方法を、例えば用いて完了してもよい。Horiba Scientific(Kyoto、日本)から入手可能な、Ultima 2 ICP分析装置を、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのような試料材料におけるICP-AE分析を完了させるために用いてもよい。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのICP-AE分析は、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル内に含まれている元素による波長を変えることで行ってもよい。
【0024】
ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル内の含水量は、先行技術の中で既知である任意の好ましい方法によって決定してもよい。例えば、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル内の含水量は、熱重量分析(TGA)によって決定してもよい。TGAは、温度上昇に応じた試料の重量の変化を測定することによって、例えば、試料材料の吸収され吸着された水、試料材料の結晶格子内の含水量、及び、試料材料内の合計含水量を決定する。TGAは、例えば、R.F.SpeyerのThermal Analysis of Materials(1994)に、記載されている。TA Instruments(Newcastle,DE,アメリカ)から入手可能なQ5000分析装置を、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのような試料材料におけるTGAを完了するために用いてもよい。
【0025】
粉末X線回折(XRD)は、結晶性粉末のような試料材料の結晶格子構造の特性を示すために使用される分析技術である。結晶の試料材料のXRD分析によって、試料材料の結晶構造における回析平面に対応する変化する強度、幅、及び回折角度(ピーク位置)のピークから成る特有の回折パターンが得られる。例えば、B.D.Cullity and
S.R.StockのElements of X-ray Diffraction(第3版、2001年)に記載されているような一般的な方法によるCuKα放射線を用いるX線回折計で、XRDパターンを測定してもよい。Bruker Corporation(Madison,WI,アメリカ)から入手可能なD-8アドバンスX線回折計を、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのような試料材料においての粉末XRD分析を完了するために用いてもよい。
【0026】
試料材料の、単位電池の長さや角度のような単位電池のパラメータは、例えば、XRDパターンのRietvelt法によって決定してもよい。Rietvelt法は、例えば、H.M.RietveltのA Profile Refinement Method for Nuclear and Magnetic Structures(2J.Appl.Cryst.、1969年、pp.65~71)に記載されている。
【0027】
試料材料の結晶サイズは、シリコン(Si)スタンダードを含んでいる試料材料のXRDパターンに広幅するピークによって決定してもよい。例えば、H.P.Klug and L.E.AlexanderのX-ray Diffraction Procedures for Polycrystalline and Amorphous Materials(1974年、pp.618~694)に論述されているように、シングルピークScherrer法またはWarren-Averbach法によって、ピーク広幅化の分析を完了してもよい。Warren-Averbach法も、試料材料の残留歪み及び応力を決定するために用いてもよい。
【0028】
半値全幅(FWHM)は、試料材料の回折パターンにおけるラインの相対的な鋭さまたは広さの特性を示すために用いてもよい。ピークの強度を測定し、半分の強度(半分の高さ)を算出するために測定強度を2で割り、且つ、算出された半分の高さでのピークの2θにおける幅を測定することにより、FWHMを決定してもよい。
【0029】
規格化強度は、ピークの位置に沿って、試料材料の結晶格子内の特定の回析平面に関連した回析の相対的効率を比較するために用いてもよい。規格化強度を同じXRDパターン内のピークについて算出してもよい。XRDパターンのピークは、すべて最高強度(基準ピーク)を有するピークへ規格化されてもよい。パーセントで報告される規格化は、規格化されているピークの強度を基準ピークの強度で割ることによって、及び、100を乗ずることによって、生じる。例えば、基準ピークは、425の強度を有していてもよく、正規化されているピークは、106の強度を有していてもよい。ピークの規格化強度は25%、つまり、[(106/425)・100]である。基準ピークは、100%の規格化強度を有する。
【0030】
結果として生じるXRDパターンは、既知のXRDパターンと比較されてもよい。比較されるXRDパターンは、既知の試料材料から生成されてもよい。さらに、結果として生じるXRDパターンは、例えば、International Centre for Diffraction Data(Newton Square,PA,アメリカ)から入手可能な粉末回析ファイル(PDF)データベース、または、FIZ Karlsruhe(Eggenstein‐Leopoldshafen,ドイツ)から入手可能な無機結晶構造データベース(ICSD)内の既知のXRDパターンと比較されてもよい。
既知の試料材料またはPDFとの比較は、試料材料の結果として生じるXRDパターンが、材料の既知のXRDパターンと別個か、類似しているか、又は、同じかどうかを判断する。例えば、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルとの比較用のPDFデータベース内の既知のXRDパターンは、ベータオキシ水酸化ニッケル用のPDF #00-06-0141、ガンマオキシ水酸化ニッケル用のPDF#00-00675、酸化ニッケル用のPDF#00-059-0463、ベータ水酸化ニッケル用のPDF#00-059-0463、及び水酸化カリウム用のPDF#00-036-0791を含んでいる。
【0031】
ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルは、特有のXRDパターンを有していてもよい。
XRDパターンは、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルを示す複数のピーク又はピークの組合せを含んでいてもよい。XRDパターンは、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルの複数のピークに対する特有のFWHM値を含んでいてもよい。XRDパターンは、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルの複数のピークに対する特有の規格化強度もまた、含んでいてもよい。
【0032】
ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、第1ピークを含んでいてもよい。第1ピークは、約14.9°2θから約16.0°2θのXRDパターン上にピーク位置を有していてもよい。第1ピークは、例えば、約15.4° 2θであってもよい。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、第2ピークを含んでいてもよい。第2ピークは、約21.3°2θから約22.7°2θのXRDパターン上にピーク位置を有していてもよい。第2ピークは、例えば、約22.1° 2θであってもよい。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、第3ピークを含んでいてもよい。第3ピークは、約37.1°2θから約37.4°2θのXRDパターン上にピーク位置を有していてもよい。第3ピークは、例えば、約37.3°2θであってもよい。
ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、第4ピークを含んでいてもよい。第4ピークは、例えば、約43.2°2θから約44.0°2θのXRDパターン上にピーク位置を有していてもよい。第4ピークは、例えば、約43.6°2θであってもよい。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、第5ピークを含んでいてもよい。第5ピークは、約59.6°2θから約60.6°2θのXRDパターン上にピーク位置を有していてもよい。第5ピークは、例えば、約60.1°2θであってもよい。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、第6ピークを含んでいてもよい。第6ピークは、約65.4°2θから約65.9°2θのXRDパターン上にピーク位置を有していてもよい。第6ピークは、例えば、約65.7°2θであってもよい。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、第7ピークを含んでいてもよい。第7ピークは、約10.8°2θから約12.0°2θのXRDパターン上にピーク位置を有していてもよい。第7ピークは、例えば、約11.2°2θであってもよい。
ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、第8ピークを含んでいてもよい。第8ピークは、約47.2°2θから約47.4°2θのXRDパターン上にピーク位置を有していてもよい。第8ピークは、例えば、約47.3°2θであってもよい。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、第9ピークを含んでいてもよい。第9ピークは、約48.1°2θから約48.6°2θのXRDパターン上にピーク位置を有していてもよい。第9ピークは、例えば、約48.3°2θであってもよい。
【0033】
ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンの第1ピークは、FWHM(FWHM)を有していてもよい。第1ピークのFWHMは、約1.01から約2.09であってもよい。第1ピークのFWHMは、例えば、約1.37であってもよい。
【0034】
ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンの第2ピークは、FWHMを有していてもよい。第2のピークのFWHMは、約0.86から約1.95であってもよい。第2ピークのFWHMは、例えば、1.37であってもよい。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンの第3ピークは、FWHMを有していてもよい。第3ピークのFWHMは、約0.23から約0.41であってもよい。第3ピークのFWHMは、例えば、0.28であってもよい。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンの第4ピークは、FWHMを有していてもよい。第4ピークのFWHMは、約0.40から約0.75であってもよい。第4ピークのFWHMは、例えば、0.60であってもよい。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンの第5ピークは、FWHMを有していてもよい。第5ピークのFWHMは、約0.57から約1.45であってもよい。第5ピークのFWHMは、例えば、0.92であってもよい。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンの第6ピークは、FWHMを有していてもよい。第6ピークのFWHMは約0.27から約0.53であってもよい。第6ピークのFWHMは、例えば、0.36であってもよい。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンの第7ピークは、FWHMを有し得る。第7ピークのFWHMは、約0.56から約1.73であってもよい。第7ピークのFWHMは、例えば、1.13であってもよい。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンの第8ピークは、FWHMを有していてもよい。第8ピークのFWHMは、約0.08から約0.21であってもよい。第8ピークのFWHMは、例えば、0.15であってもよい。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンの第9ピークは、FWHMを有していてもよい。第9ピークのFWHMは、約0.33から約0.58であってもよい。第9ピークのFWHMは、例えば、0.45であってもよい。
【0035】
ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンのピークは規格化されてもよい。XRDパターンのピークは、例えば、XRDパターンの第3のピークへ規格化されてもよい。XRDパターンの第1ピークの規格化強度は、約13%から約37%であってもよい。XRDパターンの第1ピークの規格化強度は、例えば、約24%であってもよい。XRDパターンの第2ピークの規格化強度は、約6%から約16%であってもよい。XRDパターンの第2ピークの規格化強度は、例えば、約10%であってもよい。XRDパターンの第3ピークの規格化強度は、例えば、100%であってもよい。XRDパターンの第4ピークの規格化強度は、約45%から約73%であってもよい。XRDパターンの第4ピークの規格化強度は、例えば、約58%であってもよい。XRDパターンの第5ピークの規格化強度は、約7%から約17%であってもよい。XRDパターンの第5ピークの規格化強度は、例えば約11%であってもよい。XRDパターンの第6ピークの規格化強度は、約41%から約61%であってもよい。XRDパターンの第6ピークの規格化強度は、例えば、約48%であってもよい。XRDパターンの第7ピークの規格化強度は、約2%から約18%であってもよい。XRDパターンの第7ピークの規格化強度は、例えば、約6%であってもよい。XRDパターンの第8ピークの規格化強度は、約8%から約20%であってもよい。XRDパターンの第8ピークの規格化強度は、例えば、約10%であってもよい。XRDパターンの第9ピークの規格化強度は、約6%から約20%であってもよい。XRDパターンの第9ピークの規格化強度は、例えば、約12%であってもよい。
【0036】
材料が水溶性電解質に接触して置かれる場合、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのような電気化学的に活性な材料は、例えば、酸素ガスのようなガスを生成し得る。電気化学的に活性な材料が、電解質に接触して置かれる場合のガス発生速度は、定性的に観察され、定量的に決定され得る。
【0037】
電気化学的に活性な材料のガス発生速度(GER)の定性的速度は、目視観測を通じて決定され得る。例えば、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのような電気化学的に活性な材料の定量は、ペトリ皿のようなコンテナ内に置かれ得る。水酸化カリウムの9規定(9N)水溶液のような電解質の量は、電気化学的に活性な材料を含むペトリ皿に加えられ得る。電解質が電気化学的に活性な材料と接触する際に、ガス気泡は形成され始められ得る。ガス気泡の形成は、例えば、ゆっくりであっても、速くても、場合によっては、激しくてもよい。1つの電気化学的に活性な材料の目視できるガス気泡の形成を、1つ以上の他の電気化学的に活性な材料と、定性的に比較してもよい。高い酸化状態の遷移金属酸化物、つまり、アルファ脱リチウム化酸化ニッケルのような、高い酸化状態を有する他の電気化学的に活性な材料と比較した場合、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルは、より低い定性のGERを示し得る。
【0038】
ガス発生の定量速度は、ガス発生速度(GER)モニタによって決定され得る。例えば、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのような電気化学的に活性な材料の量は、水酸化カリウムの9規定(9N)水溶液のような電解質の量と混ざっていてもよい。混合物は、ガラス・ジャーのように密閉されているコンテナ内に置かれてもよい。その後、ガラス・ジャーは密閉され、室内の状態でまたはオーブン内のように高温で保管されてもよい。圧力センサが、例えば、ガラス・ジャーのキャップに付けられてもよい。圧力センサは、ガラス・ジャー内のガス圧力における変化を監視してもよく、このガス圧力は、電解質が電気化学的に活性な材料と接触する場合に生成され得るガスから生じる。Valcom S.r.l.(Milan,イタリア)から入手可能なシリーズ27A圧力センサが圧力センサに適切かもしれない。時間が経つにつれてのガラス・ジャー内のガス圧力の変化を記録するために、データ収集ユニットが圧力センサに付けられてもよい。Agilent Technologies, Inc.(Santa Clara,CA,アメリカ)から入手可能な34970Aデータ収集/データロガー・スイッチ・ユニットが、データ収集ユニットに適切である。高酸化状態の遷移金属酸化物(例えば、アルファ脱リチウム化酸化ニッケル)のような、高酸化状態を有する他の電気化学的に活性な材料と比較した場合、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルはより低い定量のGERを示し得る。
【0039】
ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのような電気化学的に活性な材料の安定性は、等温マイクロカロリメータ(IMC)を使用して判断されてもよい。IMCは、時間が経つにつれての動的で化学的及び/又は物理的なプロセスから生じる、試料材料への、または試料材料からの熱流を測定し記録する。IMCは、化学的及び/又は物理的なプロセスによって吸収され又は生成された累積熱量をさらに測定し記録する。IMCは、例えば、M.E.BrownのHandbook of Thermal Analysis and Calorimetry Voloume 1 Principles and Practice(1998年)に、記述されている。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのような、電気化学的に活性な材料の量が、水酸化カリウムの9規定(9N)水溶液の電解質と共に、プラスチック試料保持具のような試料保持具に入れられる場合に、IMC測定は行われ、記録されてもよい。試料保持具は、例えば、約40℃で恒温槽内に密閉され、置かれてもよい。例えば、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルと電解質との間の反応は発熱を伴っていてもよい。発熱反応プロセスからの熱生成は、例えば、TA Instruments(Newcastle, DE,アメリカ)から入手可能なTAM III等温マイクロカロリメータを使用して、測定され記録されてもよい。高酸化状態の遷移金属酸化物、例えば、アルファ脱リチウム化酸化ニッケル、のような高酸化状態を有する電気化学的に活性な材料と比較した場合、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルは安定性の向上、例えば、より低い熱生成、を示し得る。
【0040】
カソード12は、さらに少なくとも1つ以上の付加的な電気化学的に活性なカソード材料を含み得る。付加的な電気化学的に活性なカソード材料は、酸化マンガン、二酸化マンガン、電解二酸化マンガン(EMD)、化学二酸化マンガン(CMD)、ハイパワーの電解二酸化マンガン(HP EMD)、ラムダ二酸化マンガン、ガンマ二酸化マンガン、ベータ二酸化マンガン及びこれらの混合物を含んでいてもよい。他の電気化学的に活性なカソード材料は、酸化銀、酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケル、酸化銅、ヨウ素酸銅のような銅塩、酸化ビスマス、高原子価ニッケル化合物、酸素、及びこれらの混合物を含み得、しかしながら、これらに限定されない。酸化ニッケルは、水酸化ニッケル、オキシ水酸化ニッケル、オキシ水酸化コバルトが塗布されたオキシ水酸化ニッケル、アルファ脱リチウム化層状酸化ニッケル及びこれらの合成物を含んでいてもよい。水酸化ニッケル又はオキシ水酸化ニッケルは、ベータオキシ水酸化ニッケル、ガンマオキシ水酸化ニッケル、並びに/又はベータオキシ水酸化ニッケル及び/又はガンマオキシ水酸化ニッケルの連晶を含んでいてもよい。オキシ水酸化コバルトが塗布されたオキシ水酸化ニッケルは、オキシ水酸化コバルトが塗布されたベータオキシ水酸化ニッケル、オキシ水酸化コバルトが塗布されたガンマオキシ水酸化ニッケル並びに/又はベータオキシ水酸化ニッケル及びガンマオキシ水酸化ニッケルのオキシ水酸化コバルトが塗布された連晶を含んでいてもよい。
【0041】
カソード12は、炭素やバインダーのような導電性の添加剤を含んでいてもよい。カソード12は、さらに他の添加剤を含んでいてもよい。炭素は、カソード12の立体構造内の電子流を促進させることより、カソード12の導電性を増加させ得る。炭素は、膨張黒鉛及び天然黒鉛のような黒鉛、グラフェン、シングルウォールナノチューブ、マルチウォールナノチューブ、炭素繊維、炭素ナノ繊維、並びにこれらの混合物であってもよい。カソード内における炭素の量が、比較的低いこと(例えば、約12%未満、約10%未満、約9%未満、約8%未満、約6%未満、約3.75%未満、又は、さらに言えば、例えば、約2.0%から約3.5%のような、約3.5%未満)が好適である。より低い炭素レベルによって、カソード12のボリュームを増加させたり、バッテリ10内の気孔容量(この容量は、ガスがセル内に生成されるにつれて、内部圧力が高く上昇しすぎるのを防ぐために、あるレベルに、またはあるレベル以上に保たれなければならない)を減少させたりすることなく、カソード12内の電気化学的に活性なカソード材料のより高いローディングの含有が可能になる。バッテリ内の使用に適している黒鉛は、例えば、TIMCAL
Carbon & Graphite(Bodio,スイス)から入手可能な、BNB-90及び/又はBNC-30であってもよい。
【0042】
カソードは、非膨張黒鉛実質的に含まないことが一般に好適である。非膨張黒鉛粒子がカソードペレット形成プロセスに潤滑性を与える一方で、このタイプの黒鉛は、膨張黒鉛ほど著しく導電的ではない。したがって、膨張黒鉛を含んでいるカソードと同じカソード導電性を得るために、より多くの非膨張黒鉛を使用することが必要である。カソード12は低レベルの非膨張黒鉛を含んでいてもよい。しかしながら、非膨張黒鉛の含有によって、非膨張黒鉛のより低い導電性により適切なレベルのカソード伝導性を維持しながらも、得られ得る黒鉛濃度は減少し得る。
【0043】
カソード12内で使用されてもよい任意のバインダーの例として、ポリエチレン、ポリアクリル酸、またはPVDF又はPTFEのようなフッ素樹脂が含まれる。電池内で使用される任意のバインダーは、例えば、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE,アメリカ)から入手可能な、COATHYLENE HA‐1681であってもよい。他のカソード添加剤の例は、例えば、米国特許番号5,698,315号、5,919,598号、5,997,775号及び7,351,499号に記載されている。
【0044】
カソード12における電気化学的に活性なカソード材料の量は、カソードローディングと称されてもよい。カソード12のローディングは、電池10において使用される電気化学的に活性なカソード材料及び電池10のサイズに応じて、さまざまであってもよい。例えば、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルを有するAAサイズの電池は、少なくとも約6グラムのベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのカソードローディングを有していてもよい。カソードローディングは、例えば、少なくとも約7グラムのベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルであってもよい。カソードローディングは、例えば、約7.2グラムから約11.5グラムの間のベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルであってもよい。カソードローディングは、約8グラムから約10グラムのベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルであってもよい。カソードローディングは、約8.5グラムから約9.5グラムのベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルであってもよい。カソードローディングは、約9.5グラムから約11.5グラムのベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルであってもよい。カソードローディングは、約10.4グラムから約11.5グラムのベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルであってもよい。AAAサイズの電池については、カソードローディングは、少なくとも約1.4グラムのベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルであってもよい。カソードローディングは、約1.4グラムから約2.3グラムのベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルであってもよい。カソードローディングは、約1.6グラムから約2.1グラムのベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルであってもよい。カソードローディングは、約1.7グラムから約1.9グラムのベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルであってもよい。単6電池については、カソードローディングは、約0.7グラムから約1.2グラムのベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルであってもよい。Cサイズの電池については、カソードローディングは、約27.0グラムから約40.0グラム、例えば、約33.5グラム、のベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルであってもよい。Dサイズの電池については、カソードローディングは、約60.0グラムから約84.0グラム、例えば、約72.0グラム、のベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルであってもよい。
【0045】
活性なカソード材料、炭素粒子、バインダー及び他の添加剤のような、カソード構成要素は、水溶性水酸化カリウム電解質のような液体と結合され、混合され、バッテリ10のアセンブリにおいて使用されるペレットにプレスされる。最適なカソードペレット処理については、カソードペレットが約2.5%から約5%の範囲の水分レベルを有していることが、一般的には、好適であり、約2.8%から約4.6%の水分レベルを有していることが、より好適である。ペレットは、電池10の組み立て中にハウジング18内に置かれた後に、ハウジング18内のユニフォームカソードアセンブリを形成するために典型的に再圧縮される。
【0046】
カソード12は、カソード製造の際に算出され得る気孔率を有している。カソード12の気孔率は、約20%から約40%、約22%と約35%の間であってもよく、例えば約26%であってもよい。カソード12の気孔率は、カソード製造の時に、例えば、カソードペレット処理の後に、算出されてもよい。なぜなら、電池10におけるカソード12の気孔率は、とりわけ、カソードの電解質湿潤及び電池10の放電を伴ったカソード膨張によって、時間と共に変化し得るからである。カソード12の気孔率は以下のように算出されてもよい。各固体のカソード構成要素の真密度は、例えば、Lange’s Handbook of Chemistry(第16版、2005年)のような参考文献から得られてもよい。各カソード構成要素の固体重量は、電池の設計によって定義される。各カソード構成要素の固体重量を、各カソードの構成要素の真密度で割り、カソードの固体の容量を決定してもよい。電池10内のカソード12で占められる容量は、電池の設計によって再び定義される。カソード12で占められる容量は、コンピュータ支援設計(CAD)プログラムによって算出されてもよい。気孔率は以下の式によって決定されてもよい。
カソード気孔率=[1-(カソードの固体の容量÷カソードの容量)]×100
【0047】
例えば、AAサイズの電池のカソード12は、カソード12内の固体として約9.0グラムのアルファ脱リチウム化酸化ニッケル及び約0.90グラムの黒鉛(BNC-30)を含んでいてもよい。アルファ脱リチウム化酸化ニッケル及び黒鉛の真密度は、それぞれ、約4.9g/cm3及び約2.15g/cm3であってもよい。それぞれの真密度で固体の重量を割ることで、約1.8cm3のアルファ脱リチウム化酸化ニッケルで占められていた容量、及び約0.42cm3の黒鉛で占められていた容量を導き出す。全固形容量は約2.2cm3である。電池の設計者は、カソード12によって占められていた容量を約3.06cm3と選択し得る。[1-(2.2cm3÷ 3.06cm3)]の上記の式によってカソード気孔率を計算すると、約0.28または28%のカソード気孔率を導き出す。
【0048】
アノード14は少なくとも1つの電気化学的に活性なアノード材料、ゲル化剤及び有機及び/又は無機のガス抑制剤のような小量の添加剤から形成されることができる。電気化学的に活性なアノード材料は、亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、カドミウム、鉄、AB5(H)、AB2(H)及びA2B7(H)のような金属水素化物、これらの合金、及びこれらの混合物を含んでいてもよい。
【0049】
アノード14内の電気化学的に活性なアノード材料の量は、アノードローディングと称されてもよい。アノード14のローディングは、電池10において使用される電気化学的に活性なアノード材料、及び電池10のサイズに応じて変化してもよい。例えば、電気化学的に活性なアノード材料である亜鉛を有するAAサイズの電池は、少なくとも約3.3グラムの亜鉛のアノードローディングを有していてもよい。アノードローディングは、例えば、少なくとも約3.5グラム、約3.7グラム、約3.9グラム、約4.1グラム、約4.3グラム、または約4.5グラムの亜鉛であってもよい。アノードローディングは、約4.0グラムから約5.2グラムの亜鉛であってもよい。アノードローディングは、約4.2グラムから約5.0グラムの亜鉛であってもよい。例えば、電気化学的に活性なアノード材料である亜鉛を有するAAAサイズの電池は、少なくとも約1.8グラムの亜鉛のアノードローディングを有していてもよい。例えば、アノードローディングは、約1.8グラムから約2.2グラムの亜鉛であってもよい。例えば、アノードローディングは、約1.9グラムから約2.1グラムの亜鉛であってもよい。例えば、電気化学的に活性なアノード材料である亜鉛を有するAAAAサイズの電池は、少なくとも約0.6グラムの亜鉛のアノードローディングを有していてもよい。例えば、アノードローディングは、約0.7グラムから約1.1グラムの亜鉛であってもよい。例えば、電気化学的に活性なアノード材料である亜鉛を有するCサイズの電池は、少なくとも約9.5グラムの亜鉛のアノードローディングを有していてもよい。例えば、アノードローディングは、約10.0グラムから約19.0グラムの亜鉛であってもよい。例えば、電気化学的に活性なアノード材料である亜鉛を有するDサイズの電池は、少なくとも約30.0グラムの亜鉛のアノードローディングを有していてもよい。例えば、アノードローディングは、約30.0グラムから約45.0グラムの亜鉛であってもよい。例えば、アノードローディングは、約33.0グラムから約39.5グラムの亜鉛であってもよい。
【0050】
使用され得るゲル化剤は、例として、ポリアクリル酸、ジビニルグリコールのポリアルケニルエーテルに架橋されたポリアクリル酸、グラフト澱粉材料、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、またはこれらの合成物を含んでいてもよい。アノード14は、ビスマス、錫またはインジウムのような無機材料を含み得るガス抑制剤を含んでいてもよい。あるいは、ガス抑制剤は、リン酸エステルのような有機化合物、イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤を含んでいてもよい。
【0051】
電解質を、カソード12、アノード14及びセパレータ16の全体にわたって分散させてもよい。電解質は、イオン導電性成分を水溶液おいて含んでいる。イオン導電性成分は水酸化物であってもよい。水酸化物は、例えば、水酸化カリウム、水酸化セシウム、及びこれらの混合物であってもよい。イオン導電性成分の濃度を、電池の設計及び電池の所望の性能に応じて選択してもよい。水溶性アルカリ電解質は、イオン導電性成分のような水酸化物を、水を含む溶液中に含んでいてもよい。電解質内の水酸化物の濃度は、電池10内の電解質の総重量に基づいて、約0.20から約0.40または約20%から約40%であってもよい。例えば、電解質の水酸化物の濃度は、電池10内の電解質の総重量に基づいて、約0.25から約0.32または約25%から約32%であってもよい。水溶性アルカリ電解質は、さらに酸化亜鉛(ZnO)を含んでいてもよい。ZnOは、アノードにおける亜鉛の腐食を抑えるように機能してもよい。電解質内に含まれるZnOの濃度は、電池10内の全電解質の約5%重量未満であってもよい。ZnO濃度は、例えば、電池10内の電解質の総重量の約1%から約3%であってもよい。
【0052】
AAサイズのアルカリ電池内の水溶性アルカリ性電解質の総重量は、例えば、約3.0グラムから約4.4グラムであってもよい。より好ましくは、AAサイズの電池内の電解質の総重量は、例えば、約3.3グラムから約3.8グラムであってもよい。AAサイズの電池内の電解質の総重量は、例えば、約3.4グラムから約3.65グラムであってもよい。AAAサイズの電池内の電解質の総重量は、例えば、約1.0グラムから約2.0グラムであってもよい。AAAサイズの電池内の電解質の総重量は、例えば、約1.2グラムから約1.8グラムであってもよい。AAAサイズの電池内の電解質の総重量は、例えば、約1.4グラムから約1.6グラムであってもよい。AAAAサイズの電池内の電解質の総重量は、約0.68グラムから約0.78グラム、例えば、約0.70グラムから約0.75グラムであってもよい。Cサイズの電池内の電解質の総重量は、約12.3グラムから約14.1グラム、例えば、約12.6グラムから約13.6グラムであってもよい。Dサイズの電池内の電解質の総重量は、約26.5グラムから約30.6グラム、例えば、約27.3グラムから約29.5グラムであってもよい。
【0053】
セパレータ16は、電解質によって濡らすことができる材料又は電解質によって濡らされた材料を含んでいる。材料は、液体と材料の表面との間の接触角度が、90°未満である場合、又は液体が自然に材料の表面全体に広がろうとする場合に、液体によって濡らされると考えられ、これら両条件は通常は共存する。セパレータ16は、織られた紙又は不織の紙または布の単層又は多層を含んでいてもよい。セパレータ16は、例えば、不織材料の層と組み合わさったセロハンの層を含んでいてもよい。セパレータ16は、さらに不織材料の追加の層を含んでいてもよい。セパレータ16もまた、電池10内のもとの場所に形成されてもよい。米国特許第6,514,637号は、例えば、そのようなセパレータ材料及び該出願の適切な方法の可能性を開示している。セパレータ材料は薄くてもよい。セパレータ16は、例えば、250マイクロメートル(ミクロン)未満の乾燥厚さを有していてもよい。セパレータ16は、約50ミクロンから約175ミクロンの乾燥厚さを有していてもよい。セパレータ16は、約70ミクロンから約160ミクロンの乾燥厚さを有していてもよい。セパレータ16は、約40g/m2以下の坪量を有していてもよい。セパレータ16は、約15g/m2から約40g/m2の坪量を有していてもよい。セパレータ16は、約20g/m2から約30g/m2の坪量を有していてもよい。セパレータ16は、通気度値を有していてもよい。セパレータ16は、国際標準化機構(ISO)の規格2965において定義されるような通気度値を有していてもよい。セパレータ16の通気度値は、約2000cm3/cm2・min@1kPaから約5000cm3/cm2・min @1kPaであってもよい。セパレータ16の通気度値は、約3000cm3/cm2・min @ 1kPaから約4000cm3/cm2・min @ 1kPaであってもよい。セパレータ16の通気度値は、約3500cm3/cm2・min @1kPaから約3800cm3/cm2・min @ 1kPaであってもよい。
【0054】
集電体20は、先行技術において任意の既知の方法による、特定の電池の設計の任意の適切な形に製造されてもよい。集電体20は、例えば、爪のような形を有していてもよい。集電体20は、柱状体及び柱状体の片端に位置する先端部を有していてもよい。集電体20を、例えば、亜鉛、銅、真鍮、銀、又は他の任意の適切な材料の金属で製作することができる。集電体20は、錫、亜鉛、ビスマス、インジウムまたは集電体20と、例えばアノード14との間の低い電気接触抵抗を示す他の適切な材料で任意にめっきされてもよい。めっき材料は、さらに、集電体20がアノード14と接触する場合に、ガス発生を抑える能力を発揮し得る。
【0055】
シール22を、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエーテルウレタンなどのポリマー、ポリマー複合体、及びこれらの混合物を所定の寸法を有する形に射出成形することによって準備してもよい。シール22は、例えば、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン11、ポリプロピレン、ポリエーテルウレタン、コポリマー、混合物、及びこれらの混合物から製造されてもよい。例示的な射出成形方法は、コールドランナー法及びホットランナー法の両方を含んでいる。シール22は、可塑剤、結晶核剤、酸化防止剤、離型剤、潤滑剤、及び帯電防止剤などの他の既知の機能材料を含んでいてもよい。シール22は、シーラントで覆われていてもよい。シール22は、電池10内での使用に先立って濡らされてもよい。シール22は、シール材料に応じて、例えば、約1.0重量%から約9.0重量%の水分量を有していてもよい。集電体20は、シール22内に及びシール22を介して挿入されてもよい。
【0056】
エンドキャップ24は、各電池を閉じるのに十分な任意の形で形成されてもよい。エンドキャップ24は、例えば、円筒状形又はプリズム形であってもよい。エンドキャップ24は、適切な寸法で所望の形へ材料をプレスすることより形成されてもよい。エンドキャップ24は、電池10の放電中に電子を導電する任意の適切な材料から製造されてもよい。エンドキャップ24を、例えば、ニッケルめっきした鋼又は銀めっきした鋼で製造してもよい。エンドキャップ24は、集電体20に電気的に接続されてもよい。エンドキャップ24は、例えば、集電体20に溶接されることにより集電体20に電気的に接続してもよい。エンドキャップ24は、電池10におけるガス発生中に、例えば、ベントが破裂し得る、装置内における電池10の深放電又は反転中に、エンドキャップ24において作られたガス圧を放出するために、穴のような1つ以上の口径を含んでいてもよい。
【0057】
ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルを含むカソード12を含む電池10は、ボルトで測定される開路電圧(OCV)を有していてもよい。電池10は、約1.70Vから約1.85VのOCVを有していてもよい。電池10は、例えば、約1.78VのOCVを有していてもよい。
【0058】
本発明の電気化学的に活性なカソード材料であるベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルは、例えば、電気化学的に活性なカソード材料である高酸化状態の遷移金属酸化物を含む電池より、低、中、高放電排出率の向上した放電性能を有していてもよい。本発明の電気化学的に活性なカソード材料であるベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルを含む電池は、例えば、電気化学的に活性なカソード材料である高酸化状態の遷移金属酸化物を含む電池より閉路電圧が低くてもよい。本発明の電気化学的に活性なカソード材料を含むベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルを含む電池は、例えば、電気化学的に活性なカソード材料である高酸化状態の遷移金属酸化物を含む電池よりガス発生が低くてもよい。本発明の電気化学的に活性なカソード材料を含むベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルを含む電池は、例えば、電気化学的に活性なカソード材料を含む高酸化状態の遷移金属酸化物を含む電池より、カソード構造的な統合、導通、及び漏出の特性をより有してもよい。本発明の電気化学的に活性なカソード材料であるベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルは、例えば、電池内に組み込まれた電気化学的に活性なカソード材料である高酸化状態の遷移金属酸化物より水の消費が少なくなり得、この事により、電池内に組込まれた時、カソード膨張及び水分バランスが悪くなるといった結果に陥る。
【0059】
図2を参照すると、複数の試料材料のXRDパターンが示されている。本発明のベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル110(Li
0.06K
0.12NiO
2・ 0. 53H
2o)の例示的なXRDパターンが
図2内に含まれている。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル110の例示的なXRDパターンは、約15.6°2θの第1ピーク(111)、約21.9°2θの第2ピーク(112)、約 37.3°2θの第3ピーク(113)、約 43.6°2θの第4ピーク(114)、約 59.9°2θの第5ピーク(115)、及び約65.8°2θの第6ピーク(116)を含んでいる。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル110の例示的なXRDパターンは、さらに、約11.2°2θの第7ピーク(117)、約 47.3°2θの第8ピーク(118)、及び約48.3°2θの第9ピーク(119)を含んでいる。
【0060】
さらに
図2を参照すると、ガンマオキシ水酸化ニッケル120(γ-NiOOH)の例示的なXRDパターンが示されている。ガンマオキシ水酸化ニッケル120のXRDパターンは、約12.8°2θの第1ピーク(121)、約25.5°2θの第2ピーク(122)、約37.8°2θの第3ピーク(123)、約42.9°2θの第4ピーク(124)、約66.3°2θの第5ピーク(125)、及び約67.7°2θの第6ピーク(126)を含んでいる。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、ガンマオキシ水酸化ニッケルのXRDパターンと異なる。例えば、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、とりわけ、約15.6°2θ(111)、約21.9°2θ(112)、及び約59.9°2θ(115)でXRDパターンにおける顕著なピークを含んでいる。ガンマオキシ水酸化ニッケルのXRDパターンには、そのようなピークは含まれない。さらに、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、とりわけ、約11.2°2θ(117)、約 47.3°2θ(118)、及び約48.3°2θ(119)でXRDパターンにおける顕著なピークを含んでいる。ガンマオキシ水酸化ニッケルのXRDパターンにはそのようなピークは含まれない。
【0061】
さらに
図2を参照すると、アルファ脱リチウム化層状酸化ニッケル130(Li
0.06NiO
2)の例示的なXRDパターンが示されている。アルファ脱リチウム化層状酸化ニッケル130の例示的なXRDパターンは、約18.5°2θの第1ピーク(131)、約37.2°2θの第2ピーク(132)、約38.8°2θの第3ピーク(133)、約44.9°2θの第4ピーク(134)、約58.6°2θの第5ピーク(135)、及び約64.1°2θの第6ピーク(136)を含んでいる。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、アルファ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンとは異なる。例えば、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、とりわけ、約15.6°2θ(111)、約21.9°2θ(112)、及び約43.6°2θ(114)でXRDパターンにおける顕著なピークを含んでいる。アルファ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンにはそのようなピークは含まれない。さらに、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、とりわけ、約11.2°2θ(117)でXRDパターンにおける顕著なピークを含んでいる。アルファ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンにはそのようなピークは含まれない。
【0062】
さらに
図2を参照すると、酸化ニッケル140(NiO)の例示的なXRDパターンが示されている。酸化ニッケル140のXRDパターンは約37.2°2θの第1ピーク(141)、約43.3°2θの第2ピーク(142)、及び約62.9°2θの第3ピーク(143)を含んでいる。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、酸化ニッケルのXRDパターンとは異なる。例えば、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、とりわけ、約15.6°2θ(111)、約21.9°2θ(112)、約59.9°2θ(115)、及び約65.8°2θ(116)でXRDパターンにおける顕著なピークを含んでいる。酸化ニッケルのXRDパターンにはそのようなピークは含まれない。さらに、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、とりわけ、約11.2°2θ(117)、 約47.3°2θ(118)、及び約48.3°2θ(119)でXRDパターンにおける顕著なピークを含んでいる。酸化ニッケルのXRDパターンにはそのようなピークは含まれない。
【0063】
さらに
図2を参照すると、ベータニッケル水酸化物150(β‐Ni(OH)
2)の例示的なXRDパターンが示されている。ベータニッケル水酸化物150のXRDパターンは約19.2°2θの第1ピーク(151)、約33.1°2θの第2ピーク(152)、約38.5°2θの第3ピーク(153)、約52.2°2θの第4ピーク(154)、約59.2°2θの第5ピーク(155)、及び約62.8°2θの第6ピーク(156)を含んでいる。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、ベータニッケル水酸化物のXRDパターンとは異なる。例えば、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、とりわけ、約15.6°2θ(111)、約21.9°2θ(112)、約 43.6°2θ(114)、及び約65.8°2θ(116)でXRDパターンにおける顕著なピークを含んでいる。ベータニッケル水酸化物のXRDパターンにはそのようなピークは含まれない。さらに、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、とりわけ、約11.2°2θ(117)、約 47.3°2θ(118)、及び約48.3°2θ(119)でXRDパターンにおける顕著なピークを含んでいる。ベータニッケル水酸化物のXRDパターンには、そのようなピークは含まれない。
【0064】
さらに
図2を参照すると、ベータオキシ水酸化ニッケル160(β‐NiOOH)の例示的なXRDパターンが示されている。ベータオキシ水酸化ニッケル160のXRDパターンは、約19.1°2θの第1ピーク(161)、及び約37.9°2θの第2ピーク(162)を含んでいる。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンはベータオキシ水酸化ニッケルのXRDパターンとは異なる。例えば、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、とりわけ、約15.6°2θ(111)、約21.9°2θ(112)、約43.6°2θ(114)、約 59.9°2θ(115)、及び約65.8°2θ(116)でXRDパターンにおける顕著なピークを含んでいる。ベータオキシ水酸化ニッケルのXRDパターンには、そのようなピークは含まれない。さらに、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、とりわけ、約11.2°2θ(117)、約 47.3°2θ(118)及び約48.3°2θ(119)でXRDパターンにおける顕著なピークを含んでいる。ベータオキシ水酸化ニッケルのXRDパターンには、そのようなピークは含まれない。
【0065】
さらに
図2を参照すると、水酸化カリウム170(KOH)の例示的なXRDパターンが示されている。水酸化カリウム170のXRDパターンは約22.1°2θの第1ピーク(171)、約28.4°2θの第2ピーク(172)、約30.5°2θの第3ピーク(173)、約33.3°2θの第4ピーク(174)、約39.1°2θの第5ピーク(175)、及び約45.8°2θの第6ピーク(176)を含んでいる。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは水酸化カリウムのXRDパターンとは異なる。例えば、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、とりわけ、約15.6°2θ(111)、約7.3°2θ(113)、約 43.6°2θ(114)、約 59.9°2θ(115)、及び約65.8°2θ(116)でXRDパターンにおける顕著なピークを含んでいる。水酸化カリウムのXRDパターンには、そのようなピークは含まれない。さらに、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのXRDパターンは、とりわけ、約11.2°2θ(117)でXRDパターンにおける顕著なピークを含んでいる。水酸化カリウムのXRDパターンには、そのようなピークは含まれない。
【0066】
さらに
図2を参照して、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル110、アルファ脱リチウム化層状酸化ニッケル130、酸化ニッケル140、ベータ‐ニッケル水酸化物150、及び水酸化カリウム170のXRDパターンは、NIST640dシリコン標準で示される、約28.5°2θのピーク(101)を含んでいる。シリコン標準は、2θ回折角度校正のために用いられる。
【0067】
図3を参照すると、例えば、電池310の電圧、容量、充電状態、及び/又は電力を決定する、ラベル320内に組み込まれたインディケータ、またはテスタ330を有するラベル320を含む電池310が示されている。ラベル320は、ラベル・グラフィックス及びテキストを有する透明又は半透明の層を有するラミネートされた多層膜であってもよい。ラベル320は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、及び他の類似のポリマー材料で製造されてもよい。テスタ330は、例えば、サーモクロミック又はエレクトロクロミックのインディケータを含んでいてもよい。サーモクロミックの電池テスタでは、インディケータは、電池310のハウジングとエンドキャップとの電気接点に置かれてもよい。消費者は、テスタ330内に組み込まれた電気回路におけるスイッチを手動で押し下げることにより、インディケータを起動する。一度スイッチが押し下げられれば、消費者は、エンドキャップによって、電池310のカソードに、ハウジングによってサーモクロミックのテスタを介して、電池310のアノードを接続する。サーモクロミックのテスタは、導体の抵抗も銀導体の長さと共に変化するような可変幅を有する銀導体を含んでいてもよい。電流が銀導体を移動するにつれ、電流は、銀導体上にあるサーモクロミックインク・ディスプレイの色を変化させる熱を生成する。テスタ330は、例えば、電池310の相対的容量を示すゲージとして、配置されてもよい。電流が高いほど、熱は生成され、ゲージは電池310が良好であることを示すように変化する。
【0068】
実験試験
ICP-AEによる元素分析
ICP-AEによる元素分析は電気化学的に活性な材料の試料において完了し、試料材料の元素の内容物を決定する。ICP-AE分析は、HORIBA Scientific Ultima 2 ICP分光計を用いることで完了する。ICP-AE分析は、分光計内に試料液を置くことにより完了する。試料液は、分析されることが所望される元素に従ずる方法で準備されている。
【0069】
元素分析については、第1の溶液は、およそ0.15グラムの試料材料を硝酸(HNO3)の8規定(8N)溶液の約20mLに加えることにより作られる。ほぼ全ての液体が蒸発するまで、第1の溶液は約210℃で加熱される。その後、第1の溶液を約100℃から約150℃の間に冷却する。第2の溶液は、第1の溶液が冷却した後に、濃塩酸(HCl)の約10mLを、第1の溶液に加えることにより形成される。ほぼ全ての液体が蒸発するまで、第2の溶液は約210℃で加熱される。その後、第2の溶液を冷却する。第3の溶液は、第2の溶液が約100℃から約150℃の間に冷却した後に、濃縮HClの約10mLを、第2の溶液に加えることにより形成される。ほぼ全ての溶液が蒸発するまで、第3の溶液は約210C℃で加熱される。その後、第3の溶液を、約110℃で一時間、オーブンに入れる。オーブン内での保管の後に、第3の溶液を冷却する。第4の溶液は、5mLの濃縮HCLを第3の溶液に加えることにより形成される。試料材料が第4の溶液中に溶解するまで、第4の溶液は約210℃に加熱される。第4の溶液を冷却する。
第5の溶液は、第4の溶液を100mLの容量のフラスコに移し、第4溶液に蒸留水を容量フラスコの100mLの目盛り線まで加えることにより形成される。第5の溶液は、ICP-AE分光計を用いて、リチウム(Li)、カリウム(K)及びビジウム(Rb)の元素分析に使用される。第6の溶液は、1mLの第5の溶液を50mLの遠心分離管内に移し、約2.5mLの濃縮HClを遠心分離管に加え、第6の溶液の総重量が50グラムになるように、遠心分離管に蒸留水を加え、遠心分離管の構成要素を混合することにより形成される。第6の溶液はICP-AE分光計を用いて、ニッケル(Ni)の元素分析に使用される。
【0070】
ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのICP-AE分析は、カリウム(K)、リチウム(Li)、ニッケル(Ni)及びルビジウム(Rb)に特有の様々な波長で行なわれる。例えば、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル内のカリウム(K)の分析のための波長(λ)を、約766nmで設定してもよい。例えば、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル内のリチウム(Li)の分析のための波長(λ)を、約610nmで設定してもよい。
例えば、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル内のニッケル(Ni)の分析のための波長(λ)を、約231nmで設定してもよい。例えば、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル内のルビジウム(Rb)の分析のための波長(λ)を、約780nmで設定してもよい。
【0071】
下記の表1は、アルファ脱リチウム化層状酸化ニッケル(材料A)及びベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル(材料B)のICP-AEの結果による元素分析を含んでいる。試料材料内のリチウム(Li)、ニッケル(Ni)及びカリウム(K)の重量パーセントが報告されている。ICP-AEデータによる元素分析は材料A及び材料Bの化学合成物を決定するために使用される。ICP-AEによる元素分析も材料A及び材料Bがそれぞれの化学合成物内に不適合な副生成物又は分解物を有していないことを確認するために使用される。
【0072】
熱重量分析(TGA)による含水量
TGAによる含水量は、試料材料内の吸収する/吸着する水分、結晶の水分、及び総含水量を決定するために電気化学的に活性な材料の試料上で完了する。TGA分析はTA Instruments Q5000 Analyzerを用いて完了する。
【0073】
TGA分析は、TGA試料保持具上に約34mgの試料を置くことにより行なわれる。
試料材料は、5℃/minの割合で、約800℃に加熱される。試料の加熱は、例えば、約25 mL/minの割合で流れている窒素が存在する状態で生じる。試料重量は、時間と温度の関数で測定される。
【0074】
表1は、TGAによってアルファ脱リチウム化層状酸化ニッケル(材料A)及びベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル(材料B)を測定した含水量を含んでいる。TGAによって測定された含水量は材料A及び材料Bの化学合成物の中の格子水の存在を決定するために用いられる。TGAによって測定される含水量もまた、材料A及び材料Bの表面へ吸着された水分を決定し、かつ、余分な水分がそれぞれの材料の中に存在しないことを確認するために用いられる。
【0075】
定質的ガス発生速度(GER)分析
ガス発生の速度を定質的に決定するために、定質的なガス発生速度(GER)分析は電気化学的に活性な材料の試料上で完了する。定質的GER分析は目視観測を通じて完了する。定質的GER分析は、ペトリ皿に約1グラムの試料材料を置き、約0.5グラムの9規定(9N)水溶性水酸化カリウム電解質をペトリ皿内の試料材料に加えることを含んでいる。その後、定質的GERは視覚的に観察され記録される。
【0076】
表1は、アルファ脱リチウム化層状酸化ニッケル(材料A)及びベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル(材料B)の定質的なGERの結果を含んでいる。アルファ脱リチウム化層状酸化ニッケル(材料A)は高い定質的なGERを示している。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル(材料B)は低い定質的なGERを示している。
【0077】
定量的ガス発生速度(GER)分析
ガス発生の速度を定量的に決定するために、定量的ガス発生速度(GER)分析は、電気化学的に活性な材料の試料上で完了する。定量的GER分析は、密閉可能な、100mLのガラス・ジャーのキャップに付けられた、Valcom Series 27A圧力センサを用いることで完了する。Agilent 34970Aデータ収集ユニットが圧力センサに付けられている。約2.5グラムの試料材料及び約1.5グラムの9規定(9N)水溶性水酸化カリウム電解質の混合物は、ガラス・ジャー内に置かれる。その後、ガラス・ジャーはキャップで密閉される。その後、密閉したガラス・ジャーを、約40℃でオーブン内に置く。電解質と接触する試料材料によって長時間にわたって生成されるあらゆるガスの圧力は、Agilentデータロガーによって記録される。
【0078】
表1は、アルファ脱リチウム化層状酸化ニッケル(材料A)及びベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル(材料B)の定量的GERの結果を含んでいる。ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル(材料B)は最初にガスを生成する。およそ20時間の測定の後、材料Bは、約65mBarのガスを生成する。およそ40時間の測定の後、材料Bは、約69mBarのガスを生成する。およそ80時間の測定の後、材料Bは、約74mBarのガスを生成する。
【0079】
アルファ脱リチウム化層状酸化ニッケル(材料A)は、より大量のガスを、材料Bより速い速さで最初に生成する。およそ20時間の測定の後、材料Aは、約137mBarのガスを生成する。およそ40時間の測定の後、材料Bは、約150mBarのガスを生成する。およそ80時間の測定の後、材料Bは、約169mBarのガスを生成する。各測定点での材料Aによって生成されるガスは、同測定点での材料Bにより生成されるガスの2倍を超える量である。
【0080】
等温マイクロ熱量計測(IMC)分析による安定性の決定
IMCによる安定性の決定は、電解質に接触する試料材料によって生成される熱の量及び割合を決定するために、電気化学的に活性な材料の試料上で行なわれる。安定性の決定はTA InstrumentsのTAM III等温マイクロ熱量計を用いて完了する。約1.5グラムの9規定(9N)水溶性水酸化カリウム電解質をグラス・ビーカー内の約2.5グラムの試料材料に加えることにより、混合物を準備する。約1グラムの混合物を1.5mLのプラスチック小瓶内へ移す。混合物を含んでいるプラスチック小瓶を、TA Instrumentsの4mLガラス製アンプル内に置く。その後、ガラス製アンプルを密閉し、約40℃で等温マイクロ熱量計内に置く。その後、時間に対比する試料材料によって生成される熱を測定し記録する。
【0081】
表1は、アルファ脱リチウム化層状酸化ニッケル(材料A)及びベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル(材料B)のIMCの結果による安定性の決定を含んでいる。材料A及び材料Bの両方は、最初に、それぞれ、約7×10-3W/g及び約1×10-3W/gでそれぞれ熱を発する。材料Aが生成する熱は安定しており、約2時間後の測定で、10-3W/gと、比較的一定のままである。しかしながら、この同時点では、材料Bが生成する熱は、約7×-5W/gまで減少した。約1日後の測定では、材料Aが生成する熱は、約1×10-3W/g、材料Bが生成する熱は約6×10-5W/gであり、比較的一定のままである。約3日後の測定では、材料Aが生成する熱は、約4×10-5W/g、材料Bが生成する熱は、約2×10-5W/g、と減少する。
【0082】
熱生成における最初のスパイクの後に、材料Bが生成する熱は、9規定(9N)水溶性水酸化カリウム電解質に存在している間は、材料Aより少ない。したがって、9規定(9N)水溶性水酸化カリウム電解質に存在している場合に、材料Bは、材料Aより安定している。安定性の測定は、上記で論述した定質的及び定量的GERの実験で見られた、材料A及び材料Bの相対的な反応性を確認する。
【表1】
【0083】
粉末X線回折分析
結晶性粉末試料の特有のXRD回折パターンを決定するために、粉末X線回折(XRD)分析が結晶性粉末試料について行なわれる。XRD分析は、Bruker D-8 Advance X線回折計を用いて完了する。XRD分析は、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルについても複数の比較試料についても行なわれる。約1グラムから約2グラムの試料材料をBruker試料保持具内に置く。その後、試料材料を含む試料保持具は、X線回折計の回転試料台に置かれ、その後、試料材料はCuKα回折計のX線源によって照射される。回折されるX線は、Baltic Scientific Instruments (Riga,ラトビア)から入手可能な、Sol‐x検知器によって測定される。その後、各試料のXRDパターンは、Bruker Corporationによって供給されるDiffrac-plusソフトウェアを用いて、10°2θから80°2θまでの2秒/ステップで、0.02°ステップサイズを用いて集められる。その後、試料材料のXRDパターンは、EVA and Topasのデータ分析ソフトウェアパッケージ(Bruker Corporationから入手可能)を用いて、分析される。
試料材料のXRDパターンは、既知の材料を測定した基準XRDパターンと比較される。
【0084】
表2は分析された試料及び既知の材料、並びに各材料のXRDパターン内の特有のピークをまとめている。
【表2】
【0085】
組み立てられたAAAサイズのアルカリ一次電池の性能試験
以下の表3において、電池Aと称される例示的なAAAサイズの電池が組み立てられる。電池Aは、アノードと、カソードと、セパレータと、円筒状ハウジング内の水溶性アルカリ電解質と、を含んでいる。アノードは、1.96グラムの亜鉛を含むアノードスラリー、水に溶解した約30%重量のKOH及び2%重量のZnOを有する0.875グラムの水酸化カリウムアルカリ性電解質、0.02グラムのポリアクリル酸ゲル化剤、及び0.01グラムの腐食防止剤を含んでいる。カソードは、アルファ脱リチウム化層状酸化ニッケル、黒鉛、及び水溶性水酸化カリウム電解質溶液の混合物を含んでいる。カソードは、3.35グラムのアルファ脱リチウム化層状酸化ニッケルのローディング、0.40グラムのTimcal BNC-30の黒鉛のローディング、及び0.21グラムの電解質を有している。セパレータは、アノードとカソードとの間に置かれる。アノード、カソード及びセパレータは、円筒状ハウジングに挿入される。その後、ハウジングは電池の組立プロセスを完了させるために密閉される。その後、下記に述べられるように、電池Aの老朽化及び性能試験を行う。
【0086】
以下の表3において、電池Bと称される実験的なAAAサイズの電池が組み立てられる。電池Bはアノードと、カソードと、セパレータと円筒状ハウジング内の水溶性アルカリ電解質と、を含んでいる。アノードは、1.96グラムの亜鉛を含むアノードスラリー、水に溶解した約30%重量のKOH及び2%重量のZnOを有する0.875グラムの水酸化カリウムアルカリ性電解質、0.02グラムのポリアクリル酸ゲル化剤、及び0.01グラムの腐食防止剤を含んでいる。カソードは、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル、黒鉛及び水溶性水酸化カリウム電解質溶液の混合物を含んでいる。カソードは、3.35グラムのベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのローディング、0.40グラムのTimcal BNC-30の黒鉛のローディング、及び0.21グラムの電解質を含んでいる。セパレータは、アノードとカソードとの間に置かれる。アノード、カソード及びセパレータは、円筒状ハウジングに挿入される。その後、ハウジングは電池の組立プロセスを完成させるために密閉される。その後、下記に述べられるように、電池Bの老朽化及び性能試験を行う。
【表3】
【0087】
性能試験は、電力シグネチャ試験と称され得る放電性能試験を含んでいる。電力シグネチャ試験プロトコルは、各放電レジームの間における回復又は停止期間に、高率、中率、及び低率の放電レジームを電池に順次印加することを含んでいる。最初に、高率の放電レジームを電池に印加する。高率の放電レジームは、0.9ボルトのカットオフ電圧に到達するまで、電池に0.5ワットの一定のパワードレインを印加することを含んでいる。その後、4時間の間、電池を回復させる。その後、中率の放電レジームを電池に印加する。
中率の放電レジームは、0.9ボルトのカットオフ電圧に到達するまで、電池に0.125ワットの一定のパワードレインを印加することを含んでいる。その後、4時間の間、電池を回復させる。その後、低率の放電レジームを電池に印加する。低率の放電レジームは、0.9ボルトのカットオフ電圧に到達するまで、電池に0.025ワットの一定のパワードレインを印加することを含んでいる。アンペア時間(Ah)における電池の測定容量が、それぞれ個々の放電レジームについて報告される。さらに、アンペア時間(Ah)における全ての放電レジームの電池に対する累積測定容量も報告される。
【0088】
性能試験は、30ミリアンペア連続放電試験(30mA Continuous)と称され得る放電性能試験を含んでいる。30mA連続プロトコルは0.9ボルトのカットオフ電圧に到達するまで、電池に30mAの定電流ドレインを印加することを含んでいる。
電池の測定総容量は、アンペア時間(Ah)で報告される。30mA連続放電試験は低率放電試験である。
【0089】
性能試験の前に、電池は約20℃で4日間保管する。4日間保管した後に、電池の開路電圧(OCV)を測定する。電池のOCVは、例えば、電池の正極及び負極端子を跨って電圧計を置くことにより測定される。電池の測定開路電圧(V)が報告される。OCV試験は、電池の容量を全く消費しない。
【0090】
4日間保管した後に、電池の短絡電流(SCC)を測定する。SCCプロトコルは、0.1秒間に6アンペア(Amps)の定電流を電池に印加することを含んでいる。6アンペアのドレインの間、電池の電圧は測定され、そして報告される。電池が完全に短絡する場合、電池は、ゼロ(0)ボルトの測定電圧を有する。電池が短絡する電流は、測定OCVの座標とドレイン下での測定電圧の座標との間の線を、電圧に対する電流のx、yプロット上のx軸の切片に外挿することにより算出される。測定OCVは、(0アンペア、OCV)の(x、y)座標を有する。ドレイン下での測定電圧は、(6アンペア、負荷電圧)の(x、y)座標を有する。SSC試験は、試験期間が非常に短いため、電池の容量をあまり消費しない。SSCは下記式によって計算される。
【0091】
SSC(Amps)=[(OCV・6Amp)/(OCV-負荷電圧)]
性能試験結果
電池A及び電池Bは、OCV、SSC、電力シグネチャ及び30mA連続試験を行う。
下記の表4は、性能試験の結果を要約する。表4のパーセンテージ差の欄は、電池Aに関する電池Bの性能におけるパーセンテージ差を含んでいる。
【0092】
ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルを含む電池Bは、アルファ脱リチウム化層状酸化ニッケルを含んでいる電池Aと比較すると、全体として向上した性能を提供する。電池Aと比較する場合、電池BのOCVはわずかに減少している。電池Bが電池Aのより高いOCVの電気装置に組み入れられる場合、電池Bのより低いOCVは、損傷の可能性を減少させる。電池BのSSCは電池Aより著しく高い。電池Bのより高いSSCは、電池Aより高い放電電流を伴う、より高い能力を示す。パワーシグネチャー試験の高率放電及び中率放電レジームにおける電池Bの容量は、電池Aより著しく高い。電池Bの放電容量がより高いことは、電池Aよりこれらの放電条件の下で向上した性能を提供するより高い能力を示す。電力シグネチャ試験の低率放電レジームにおける電池Bの容量は、電池Aより低い。電池Bのより低い放電容量は、電力シグネチャ試験の高率及び中率放電レジームにおいて、電池Aより容量をより消費することによる。電池Bの累積放電容量は電池Aより大きい。電池Bの累積放電容量がより大きいことは、電池Aより総伝送容量が高いことを示している。30mA連続試験においても、電池Bの容量は電池Aの容量より高い。電池Bの放電容量が電池Aより高いことは、電池Aより低率放電条件の下で、向上した性能を提供する、より高い能力を示している。
【表4】
【0093】
組み立てられたAAサイズのアルカリ一次電池の性能試験
以下の表5において、電池Cと称される例示的なAAサイズの電池が組み立てられる。
電池Cは、アノードと、カソードと、セパレータと水溶性アルカリ電解質と、を円筒状ハウジング内に含んでいる。アノードは、5.04グラムの亜鉛を含むアノードスラリー、水に溶解した約28%重量のKOH及び1.8%重量のZnOを有する2.32グラムの水酸化カリウムアルカリ性電解質、0.04グラムのポリアクリル酸ゲル化剤、及び0.01グラムの腐食防止剤を含んでいる。カソードは、アルファ脱リチウム化層状酸化ニッケル、黒鉛、及び水溶性水酸化カリウム電解質溶液の混合物を含んでいる。カソードは、8.99グラムのアルファ脱リチウム化層状酸化ニッケルのローディング、0.92グラムのTimcal BNC‐30の黒鉛のローディング、及び0.49グラムの電解質を含んでいる。セパレータはアノードとカソードとの間に置かれる。アノード、カソード及びセパレータは円筒状ハウジングに挿入される。その後、ハウジングを電池の組立プロセスを完了するために密閉する。その後、下記に述べられるように、電池Cの老朽化と性能試験を行う。
【0094】
以下の表5において、電池Dと称される実験的なAAサイズの電池が組み立てられる。
電池Dは、アノードと、カソードと、セパレータと電解質と、を円筒状ハウジング内に含んでいる。アノードは、4.83グラムの亜鉛を含むアノードスラリー、水に溶解した約28%重量のKOH及び1.8%重量のZnOを有する2.287グラムの水酸化カリウムアルカリ電解質、0.04グラムのポリアクリル酸ゲル化剤、及び0.01グラムの腐食防止剤を含んでいる。カソードは、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケル、黒鉛、及び水溶性水酸化カリウム電解質溶液の混合物を含んでいる。カソードは、8.99グラムのベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルのローディング、0.92グラムのTimcal BNC‐30の黒鉛のローディング、及び0.49グラムの電解質を含んでいる。セパレータは、アノードとカソードとの間に置かれる。アノード、カソード、及びセパレータは、円筒状ハウジングに挿入される。その後、ハウジングを電池の組立プロセスを完了するために密閉する。その後、下記に述べられるように、電池Dの老朽化と性能試験を行う。
【表5】
【0095】
性能試験は、上記のPerformance Testing of Assembled AAA Alkaline Primary Batteriesのセクション内に記述されるプロトコルによるOCV、SSC、及び30mA連続試験を含んでいる。性能試験に先立って、電池は、約20℃で4日間保管した。
【0096】
性能試験の結果
電池C及び電池Dに、OCV、SSC及び30mA連続性能試験を行う。下記の表6は性能試験の結果を要約している。表6のパーセント差の欄は電池Cに関する電池Dの性能におけるパーセンテージ差を含んでいる。
【0097】
アルファ脱リチウム化層状酸化ニッケルを含んでいる電池Cと比較すると、ベータ脱リチウム化層状酸化ニッケルを含んでいる電池Dは、全体的に向上した性能を提供する。電池Cと比較する場合、電池DのOCVはわずかに減少する。電池Dが電子装置に組み入れられる場合、電池Dのより低いOCVは、電池Cのより高いOCVより損傷の可能性が減少する。電池DのSSCは、電池Cより著しく高い。電池DのSSCが電池Cより高いことは、電池Cより高い放電電流を伴うより高い能力を発揮する。30mA連続試験における電池Dの容量もまた、電池Cより高い。電池Dの放電容量がより高いことは、電池Cより低率放電条件において向上した性能を提供する、より高い能力を発揮する。
【表6】
【0098】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載の通りの正確な数値に厳密に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、特に指定がない限り、そのような寸法の各々は、記載の値及びその値の周囲の機能的に同等な範囲の両方を意味するように意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」意味するように意図されている。
【0099】
相互参照や関連する特許もしくは特許出願、及び、本出願がその優先権もしくは利益を主張する特許出願又は特許を含む文献を本明細書において引用した場合、これらの文献は、明確に除外したり他の限定を加えたりしたものでない限り、いずれもその全体を参照により本明細書に取り込んだものとする。いかなる文献の引用も、本明細書で開示され又は権利主張された発明に関して先行技術であることも、単独もしくは他のいかなる文献との組み合わせにおいても本願発明を教示し示唆し開示することを承認するものではない。さらに、本明細書における用語のなんらかの意味又は定義が、引用により取り込まれた文書における同一の用語のなんらかの意味又は定義に抵触する程度において、本明細書における用語に与えられた意味又は定義が優先する。
【0100】
本発明の特定の実施の形態を図示及び説明したが、さまざまな他の変更及び改良を本発明の技術的思想及び技術的範囲から離れることなく行うことができることは、当業者にとって自明である。したがって、本発明の技術的範囲に包含されるすべてのそのような変更及び改良は、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。