(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】フィルムの下又はパウチ内に配置された医療製品を個別に識別する方法、及び識別された製品
(51)【国際特許分類】
B65D 69/00 20060101AFI20220404BHJP
A61J 1/10 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
B65D69/00
A61J1/10 333A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020156150
(22)【出願日】2020-09-17
(62)【分割の表示】P 2017516391の分割
【原出願日】2015-09-25
【審査請求日】2020-10-14
(31)【優先権主張番号】102014113959.3
(32)【優先日】2014-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501276371
【氏名又は名称】フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ヨルン・ヘールマン
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン・マイジンガー
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-296659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 69/00
A61J 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム(9)、又は前記フィルム(9)を少なくとも部分的に有するバッグ(1)をマーキングする工程であって、前記フィルム(9)又は前記バッグ(1)は、医療製品(3)を有するか若しくは囲み、或いは前記フィルム(9)又は前記バッグ(1)は、このような医療製品(3)を取り込むために提供又は準備され、前記工程は、
1つ又は複数の接合工程を介して、前記フィルム(9)と、前記フィルム(9)内に、前記フィルム(9)に、及び/又は前記フィルム(9)上にフィルム片(5)を結合するステップを含み、前記フィルム片(5)は、前記医療製品(3)をマーキングするための情報を保持し、
前記工程がさらに、
前記フィルム(9)の1つの部分に通路開口(27)を作製することと、
前記通路開口(27)の両側に前記フィルム片(5)を配置することと、
前記通路開口(27)を介して、前記フィルム片(5)を前記フィルム片(5)自身に結合することと
を備え、前記結合することは、前記通路開口(27)
の内部において、前記通路開口(27)の両側に配置された前記フィルム片(5)を結合することを備え、前記フィルム片(5)が、前記フィルム(9)に結合されず、前記フィルム片(5)自身にのみ結合される、
工程。
【請求項2】
用いられる前記結合工程及び/又は前記接合工程が、融着、接着、パンチリベット、又はこれらの任意の組み合わせを含む、又はこれらからなる一群の接合工程から選択される、請求項1に記載の工程。
【請求項3】
前記医療製品(3)をマーキングするための前記情報が、コード、プレーンテキスト、及び/又は記号の形態であり、好ましくは製造報告と関連付けて、単一製品をトレースするための様々なデータの提示を可能にする、請求項1及び2のいずれか一項に記載の工程。
【請求項4】
前記フィルム片(5)によって保持された前記医療製品(3)をマーキングするための前記情報が、インクジェット、レーザー、熱転写、又はホットエンボス工程によって行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載の工程。
【請求項5】
前記フィルム片(5)が、前記フィルム(9)又は前記バッグ(1)から破断的にのみ除去可能であるか又は分離されるように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の工程。
【請求項6】
前記フィルム(9)及び/又は前記フィルム片(5)の材料が、熱可塑性樹脂からなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の工程。
【請求項7】
前記フィルム片(5)の色は、前記医療製品(3)をマーキングするための前記情報を保持するフィルム片部分の色とは別に選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の工程。
【請求項8】
前記フィルム片(5)及び前記フィルム(9)、又はバッグ(1)は、物質的に接着された結合も、非確動的な結合もされていない、請求項1~7のいずれか一項に記載の工程。
【請求項9】
フィルム(9)の内部又は下方に存在する医療製品(3)であって、少なくとも部分的に前記フィルム(9)からなるバッグ(1)を有するか、又は前記バッグ(1)内にある、少なくとも1つのフィルム片(5)が、1つ又は複数の接合工程によって、前記フィルム(9)に又は前記フィルム(9)上に結合されるか又は取り付けられ、前記フィルム片(5)が、前記医療製品(3)のマーキングの情報を保持し、前記フィルム(9)が、少なくとも1つの部分に、前記フィルム(9)が1つ又は複数の層で存在する、少なくとも1つの通路開口(27)を有し、前記フィルム片(5)が、前記通路開口(27)の両側に配置され、前記フィルム片(5)が、前記通路開口(27)を介して前記フィルム片(5)自身と結合され、前記フィルム片(5)が、前記フィルム(9)に結合されず、前記通路開口(27)
の内部において、前記通路開口(27)の両側で前記フィルム片(5)自身にのみ結合される、医療製品(3)。
【請求項10】
用いられる前記結合工程及び/又は前記接合工程が、融着、接着、パンチリベット、又はこれらの任意の組み合わせを含む、又はこれらからなる一群の接合工程から選択される、請求項9に記載の医療製品(3)。
【請求項11】
前記医療製品(3)が、医療機器、又は医療消耗材である、請求項9及び10のいずれか一項に記載の医療製品(3)。
【請求項12】
前記医療消耗材が、透析に用いられる薬剤又は溶液である、請求項11に記載の医療製品(3)。
【請求項13】
前記フィルム(9)及び/又は前記フィルム片(5)の材料が、熱可塑性樹脂からなる、請求項9~12のいずれか一項に記載の医療製品(3)。
【請求項14】
前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、又はポリエチレンテレフタレート(PET)である、請求項13に記載の医療製品(3)。
【請求項15】
前記フィルム(9)又はバッグ(1)が、前記医療製品(3)を受ける、覆う、若しくはその他の方法で包装するように構成される、請求項9~14のいずれか一項に記載の医療製品(3)。
【請求項16】
前記医療製品(3)が、血液カセット、血液チューブセット、これらの部品である、請求項9~15のいずれか一項に記載の医療製品(3)。
【請求項17】
前記通路開口(27)が、連続スロットである、請求項1~8のいずれか一項に記載の工程。
【請求項18】
前記連続スロットは、少なくとも前記フィルム片(5)の幅と同じ長さを有する、請求項17に記載の工程。
【請求項19】
前記通路開口(27)が、連続スロットである、請求項9~16のいずれか一項に記載の医療製品(3)。
【請求項20】
前記連続スロットは、少なくとも前記フィルム片(5)の幅と同じ長さを有する、請求項19に記載の医療製品(3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム内又はフィルムの下、或いはバッグ内にある医療製品をマーキングするための、請求項1に記載の工程に関する。また、請求項7に記載の、本発明によってマーキングされた医療製品に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム又はバッグで包装されることが多い、医療用薬液、又は透析液等の医療製品は、例えば、目的外の使用、及び/又は製品の偽造を防止するために、特に法的要件に従ってマーキングされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、フィルム内又はフィルムの下、或いはバッグ内に存在する医療製品をマーキングする、さらに進んだ工程を提供することである。
【0004】
さらに、医療製品は、フィルム内又はバッグ内に適切にマーキングされて提供されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、請求項1の特徴を有する工程によって解決される。さらに、この課題は、請求項7の特徴を有する医療製品によって解決される。
【0006】
本発明によれば、医療製品を含むフィルム又はバッグをマーキングする工程、又は医療製品を受ける工程が提案される。医療製品は、例えば、医療機器、又は医療消耗材であってもよい。
【0007】
フィルム又はバッグは、医療製品を受ける、覆う、若しくはその他の方法で包装することが目的とされ、又はこれを行う。
【0008】
この工程は、フィルム又はバッグの少なくとも1つの部分と、部分内で、部分上で、又は部分の上部で、好ましくは確動結合となるように、フィルム片を、好ましくはこの部分の外側又は表面、或いはフィルム片自身に結合するステップ(例えば、融着その他の接合を行うステップ)を含む。
【0009】
フィルム片は、医療製品をマーキングするために、特に光学的に捕捉され得るような情報を保持するか、又はこのような情報を示す。
【0010】
本発明による医療製品は、フィルムの内側若しくは下、又はバッグ内に存在する。この場合、少なくとも1つのフィルム片は、フィルム又はバッグと、或いはフィルム片自身とに結合される。フィルム片は、医療製品をマーキングするための情報を保持する。
【0011】
本発明による実施形態は、当業者が技術的に不可能でないと認める限り、後述の特徴の幾つか、又は全てを任意の組み合わせで有することができる。本発明の好適な改善が、従属するクレームの各主題である。
【0012】
以下の実施形態の全てにおいて、「~することができる、~してもよい、~され得る、~する場合がある(can be)」及び「有することができる、有し得る、有してもよい、有する場合がある(can have)」等の表現の使用は、各々「好ましくは~である、(is preferably)」及び「好ましくは~を有する、(has preferably)」等の同意語として理解されるべきであり、本発明による実施形態を示すことが目的とされている。
【0013】
本明細書で数字が示される場合は常に、当業者によって、下限の記述であることが認められよう。当業者によって認められるように、これが矛盾に繋がらない限り、例えば、「1つ」と明示されているところでは、当業者は常に、「少なくとも1つ」とも読み取るであろう。本発明は、この理解を含むと同時に、「1つ」等の数字は、当業者によって認められるように技術的に不可能でない限り、代替的に「正確に1つの」を意味し得るという解釈を含む。この両方が本発明に含まれ、且つ本明細書で使用される全ての数値に有効である。
【0014】
読みやすくするため、フィルムは主に以下のように記載される。フィルムはバッグの一部、例えば、その外層であってもよい。後述においてフィルムについて記載されるときは常に、当業者にとって不可能と認められない限り、これはバッグに対しても有効である。
【0015】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、結合は、融着、接着、パンチリベット、又はその他これらの任意の組み合わせである。
【0016】
本発明による具体的な例示的実施形態では、用いられる接合工程は、融着、接着、パンチリベット、その他これらの任意の組み合わせを含む、又はこれらからなる、一群の接合工程から選択される。
【0017】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、医療消耗材は、透析に用いられる薬剤又は溶液である。
【0018】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、医療製品は、血液カセット、血液チューブセット、これらの部品等である。
【0019】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、バッグは、溶液バッグ、したがって溶液で満たされたバッグ又はバッグシェルである。溶液は、例えば、透析が目的とされていてもよい。
【0020】
フィルム片は、任意の適切な形態を有してもよい。フィルム片は、帯、平面、部分等として設計されてもよい。
【0021】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、フィルム片は、例えば、フィルムのフィルム質部にのみ融着又は接着によって結合される又は結合されている。
【0022】
この工程の本発明による幾つかの例示的実施形態では、フィルム片は、フィルムに結合されず又は結合されておらず、フィルム片自身にのみ結合される。したがって、フィルム片の第1の部分は、フィルム片の第2の部分に結合される。
【0023】
この工程の本発明による幾つかの例示的実施形態では、フィルムは、その少なくとも1つの部分に2層設計を有する。この場合、少なくとも第1のフィルム層は、例えば、融着して第2のフィルム層に結合される又は結合されている。フィルム片の少なくとも1つの部分は、第1のフィルム層と第2のフィルム層との間にあり又は配置されており、且つ例えば、融着又は接着によって、少なくとも第1のフィルム層及び/又は第2のフィルム層に、例えば、これらの内面に結合されている。
【0024】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、フィルム片は、例えば、融着又は接着によって、フィルム、又は第1のフィルム層の少なくとも1つの外層、又は外面にある又は結合されている。
【0025】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、この工程は、単一層又は多層として存在するフィルム又はバッグの1つの部分に、パンチギャップ等の通路開口を生成するステップ、或いはこのような通路開口を有するフィルム又はバッグを提供するステップを含む。さらに、この工程は、通路開口の両側にフィルム片を配置するステップ、すなわちフィルムに沿った、フィルム片の通路開口の両側への付着、並びに通路開口を介して、フィルム片をフィルム片自身に、例えば、融着又は接着して、或いはパンチリベットで結合するステップを含む。
【0026】
この製品の本発明による幾つかの例示的実施形態では、フィルムは、その少なくとも1つの部分において、少なくとも2層設計である。この場合、少なくとも1つの第1のフィルム層は、少なくとも第2のフィルム層に少なくとも部分ごとに置かれ、少なくとも部分ごとに、例えば、接着結合、融着結合、又は融着継目を介して結合される。本発明によるこの実施形態では、フィルム片の少なくとも1つの部分は、第1のフィルム層と第2のフィルム層との間に配置される。フィルム片の少なくとも1つの部分は、第1のフィルム層の少なくとも1つの部分、及び/又は第2のフィルム層の少なくとも1つの部分に結合される。
【0027】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、フィルム片は、フィルムには結合されず、フィルム片自身にのみ結合される。
【0028】
この製品の本発明による幾つかの例示的実施形態では、フィルム又はバッグは、単一層又は多層で存在するその少なくとも1つの部分に、通路開口を有する。この場合、フィルム片は、通路開口の両側に存在し、通路開口を介してフィルム片自身に結合される。
【0029】
「単一層」とは、本発明による幾つかの実施形態では、フィルム層を意味する場合があり、フィルム層は、正確に1つの内側及び正確に1つの外側とを有し、内側は医療製品と接触してもよく、外側は周囲又は大気と接触してもよい。
【0030】
本発明による幾つかの例示的実施形態では、「2層」とは、2つのフィルム層を意味する場合があり、2つのフィルム層の各々は、正確に1つの内側及び正確に1つの外側とを有し、各々の内側は、医療製品と接触してもよく、且つ各々の外側は、周囲又は大気と接
触してもよい。
【0031】
本発明によれば、マーキングは、どのような方法で行われてもよいが、好ましい単なる例として、インクジェット、レーザー、熱転写、又はホットエンボス工程のうちの1つの方法で行われてもよい。
【0032】
本発明によれば、コードは、例えば、バーコード、2Dコード、データマトリクスコード又はその他であってもよい。
【0033】
バッグフィルムは、本発明による幾つかの実施形態では、透明である。このような実施形態では、フィルム片のみが、カラー又は黒で設計される。このカラー又は黒の設計には、背景と書き込み部分との間のコントラスト(例えば、白い背景に黒いコード)が増すことによって、読みやすさが向上するという利点があり、その結果、自動読み取りも確実に向上する。
【0034】
本発明による幾つか又は全ての実施形態は、前述及び/又は後述の利点の1つ、複数、又は全てを有し得る。
【0035】
本発明による、中に収容された医療製品の情報を含むフィルム、又はバッグをマーキングする工程の考えられる利点の1つは、コード、プレーンテキスト、又は記号の形態による、本発明に従うマーキングするステップが、様々なデータの提示を可能にし、したがって、バッチではなく単一製品としての製品のシリアライズ内のエラー及び苦情に関するより良いトレーサビリティが可能になる。また、好適には、詳細な工程の追跡、例えば、製造報告と関連付けることが可能である。
【0036】
本発明による工程を用いることによって、好適には、このようなフィルム材料を、マーキングするための良好な色の付着、及び/又は良好な色表示に特に適した表面特性を有する、フィルム片として用いることが初めて可能になるが、このようなフィルムを医療製品を完全に包装するためのフィルムとして用いることはない。
【0037】
マーキングを有するフィルム片は、好ましくは、適用環境、すなわち実験室外等での少なくとも使用中、又は通常の取り扱い時に、バッグのフィルムから破断的にのみ除去又は分離され得るような方法で、フィルム片がフィルムに結合されてもよい。医療製品の標識又はマーキングは、医療製品、或いはそのフィルム又はバッグにそれぞれしっかりと結合され、その後この状態を保つ必要があるため、このことは有利である。
【0038】
さらに好適には、医療製品用のバッグのフィルムの色は、マーキングの色とは別に選択されてもよい。例えば、フィルムは白であってもよく、マーキング、又はマーキングの1つの構成要素も、背景として(白以外の)別の色を適切に選択すれば、白であってもよい。
【0039】
一方でフィルムを個別に実装し、他方でマーキングを有するフィルム部分を別々に実装することにより、マーキングは、好適には容易に読み取られ、且つ検出され得る。必要なコントラストは、自由に選択されてもよい。例えば、医療製品の認可において、マーキングに一定の等級又は品質が必要とされる場合、これによって、例えば、一定の、又は十分なコントラスト(例えば、白と黒とのコントラスト)が得られるため特に好適である。
【0040】
さらに、本発明による工程を用いることによって、好適には、レーザー処理による標識化又はマーキング(例えば、レーザー色転写マーキング)において、レーザー特性又はレーザー効果が変化しても、バッグのフィルムは無傷のままで、バリア性が損なわれないこ
とが実現され得る。
【0041】
例えば、医療製品を含むバッグを、製造且つ場合によっては充填して、フィルム部分をフィルムに結合する場所及び時間とは無関係に、マーキングを有するフィルム部分を付着することによって、更に好適には、充填されたバッグを製造するための製造ラインのタイミングとは無関係に、フィルム部分への印刷を行うことが可能になる。充填されたバッグへの印刷されたフィルム部分の結合は、接合工程又は結合工程のみによって、例えば、融着工程によって実施される。
【0042】
幾つかの実施形態では、好適には、印刷されたフィルム部分を、接着、融着等による内部結合(
図2)を介してフィルムに結合することによって、印刷されたフィルム部分が、バッグのフィルムの表面と直接結合することが防止され得る。これにより、好適には、フィルムに表面、外面、又は外層が用いられてもよく、これらは、結合性が不十分であるか、又は全く結合不能である一方、他方では他の良好な材料特性(例えば、SiOxフィルム被覆等の高いバリア特性)を示す。
【0043】
さらに、本発明による工程によって、幾つかの実施形態では、好適には、印刷可能なフィルム部分用の材料を選択して且つ使用することが可能になり、印刷可能なフィルム部分は、バッグ用のフィルムに結合又は融着できず、それ自身にのみ結合又は融着可能である。したがって、好適には、フィルム部分用の材料と、バッグのフィルム用の材料とは、互いに別々に選択されてもよい。
【0044】
本発明による工程を用いることにより、好適には、バッグ固有の個別の標識化要件(連番付与)によって、バッグ内の医療製品に、医薬品偽造対策指令(falsified medicines directive)2011/62/EUを適用することが最終的に可能になる。さらに、本発明による工程によって、第1のステップで標識化を実行するための様々なデータを生成し、且つこのデータを個別のラベルとして、医療製品を入れたバッグにしっかりと結合することが可能になる。
【0045】
本発明による工程を通して達成可能な全ての利点は、本発明による製品の、本発明による幾つかの実施形態において、制限なく達成され得る。
【0046】
後述において、本発明は、同封した図面を参照しながら、単に例示的な様式で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明による第1の実施形態における、フィルムを有する(フィルム)バッグ内に入っている医療製品の簡略化した断面図を示し、バッグは、医療製品をマーキングする情報を含むフィルム片を有する。
【
図2】本発明による第2の実施形態における、医療製品のマーキングの情報を含むフィルム片を有する、
図1のバッグを示す。
【
図3】本発明による第3の実施形態における、医療製品のマーキングの情報を含むフィルム片を有する
図1のバッグを示す。
【
図4】フィルム片にマーキングを施すステップ、並びにその後でフィルム片をバッグに結合するステップを示す。
【
図5】別の実施形態による、フィルム片にマーキングを施すステップ、並びにその後でフィルム片をバッグに結合するステップを示す。
【
図6】さらに別の実施形態による、フィルム片にマーキングを施すステップ、並びにその後でフィルム片をバッグに結合するステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以降の図は、本発明を一例において説明し、ここではフィルム片は、フィルムに融着される。この例は、単に例示的なものである。融着を含まない、若しくは融着を含むとは限らない他の結合工程、又は接合工程もまた本発明に含まれるが、繰り返しを避けるため図面には示されない。
【0049】
図1は、バッグ1の一部を簡略化した断面図で示し、バッグは、医療製品3(ここでは、透析液又は透析溶液等の医療消耗材)、並びに医療製品3のマーキング7用の情報を含む、フィルム片5を囲んでいる。バッグ1は、フィルム9で作製されるか、これに相当し、又は少なくともフィルム9を有する。
【0050】
例示的に、バッグ1は、外側フィルム11によって囲まれるか、包装されるか、又は保護されており、したがって、周囲フィルム、保護フィルム、又は包装として説明されてもよい。外側フィルム11は、図では単に概略的に示されている。外側フィルム11は任意選択であり、且つ存在する場合は、バッグ1全体を囲むように配置されることが好ましい。
【0051】
マーキング7は、異なる方法でフィルム片5に施されてもよい。例えば、フィルム片5は、インクで印刷されてもよい。これに加えて、又はこれに代えて、フィルム片5は、レーザー処理、又は接着によってマーキングされてもよい。
【0052】
図1の単に例示的な第1の実施形態において、フィルム片5は、少なくとも1つの融着結合部又は融着点15を介して、フィルム9の外面13(或いは、
図1の例にあるようにフィルム9が多層で配置される場合は、外層又は第1のフィルム層9a)に結合される。このため、フィルム片5の材料及びフィルム9の材料は、互いに融着可能なように選択される。フィルム片5が、融着結合によってフィルム9に結合されず、その代わりに、例えば、接着結合によって結合される、本発明による他の例示的な実施形態では、融着結合部又は融着点15は、従って、接着結合部又は接着点等となる。
【0053】
この目的のため、熱可塑性樹脂は特に適切なフィルム材料、及びフィルム片材料であり、これらは一般的に柔らかく、可塑的、展性的に流動性を持つようになり、且つ熱の影響下で融着可能なためである。ポリプロピレン(PP)、又はポリエチレン(PE)等の熱可塑性樹脂は、通常の接合工程、特に本明細書で述べる接合工程を用いて結合可能、例えば融着可能であり、同様にポリエチレンテレフタレート(PET)が用いられてもよい。
【0054】
融着結合部15の領域は、例えば、帯状、継目状、又はフラップ状(
図1に描かれている平面に垂直に延びる帯/継目、又はフラップの長手方向の配置)であってもよい。
【0055】
図1では右側に示すバッグ1の端部において、第1のフィルム層9aのフィルム9は、第2のフィルム層9bに当接し、且つこの位置において、少なくとも部分的に第2のフィルム層9bに融着される。この融着は
図1には示されておらず、且つフィルム片5が融着によってフィルム9に結合される融着点15とは無関係である。
【0056】
融着部15は、
図1の例では、具体的にはバッグ1の外縁、又は第1のフィルム層9aが第2のフィルム層9bと重なり、両者が互いに融着される領域にある。第1のフィルム層9aと第2のフィルム層9bとが互いに融着されるこの領域は、(バッグの内容物、すなわち医療製品3に向かって)融着部15との関係において、更に内側に配置されてもよく、フィルム片5のフィルム9との融着部15の領域で重なってもよく、或いは更に外側(
図1では右側)に配置されてもよい。
【0057】
図2は、
図1のバッグ1、及び医療製品3のマーキング7の情報を保持するフィルム片5を示しているが、
図1のものとは異なる方法でフィルム9に取り付けられている。
【0058】
図1の第1の実施形態とは異なり、
図2の第2の実施形態では、フィルム片5は、第1のフィルム層9aの一部と、第2のフィルム層9bの一部との間の、少なくとも1つの部分5aに配置される。
【0059】
図2の例では、フィルム片9は、フィルム9の2つの内面、又は第1のフィルム層9aの内面17a及び第2のフィルム層9bの内面17bとの各々に融着される。具体的には、フィルム片9は、融着領域15で両側が融着される、つまり、その両方の外面(
図2では、上面及び下面)が、2つの内面とそれぞれ融着され、2つの内面とは、
図2の例では、フィルム9の互いに面している第1のフィルム層9aの内面17a、又は第2のフィルム層9bの内面17bである。本発明による他の実施形態では、フィルム片は、その部分5aで、内面17a、17bのうちの1つのみに融着される。
【0060】
図3は、医療製品3を有する
図1のバッグ、並びにフィルム9又はバッグの各々に対する、フィルム片5の別の配置、及び取り付けを示す。
【0061】
図1及び
図2とは異なり、
図3では、フィルム片5は、バッグ1のフィルム9には融着されず、少なくとも1つの融着部19で、フィルム片5自身に融着される。具体的には、融着部19では、フィルム片5の一部は、フィルム片5の別の部分、好ましくはフィルム片5自身にのみ融着される。この目的のため、フィルム片5の材料は、フィルム片5自身に融着可能なことが理想的である。あるいは、フィルム片5は、フィルム片又はその被覆をそれぞれフィルム片自身と確実に融着できるようにするために、少なくともフィルム片のフィルム片自身との融着部19の領域で、適切に被覆されるか、又は異なる材料、若しくは改質された材料を示してもよい。
【0062】
フィルム片5のフィルム片5自身との融着は、
図3の例では、バッグ1が、(
図3では)その右側端部に通路開口を有することで可能になり、第1のフィルム層9aと、第2のフィルム層9bとは互いに結合され、通路開口は、バッグ1の上面並びに下面を通過する。通路開口は、
図6に関連する段落で説明されるように、
図6に示す連続スロット27であってもよい。通路開口として、スロット形状以外の形状、例えば円形、長方形等も可能であり、等しく本発明に含まれる。
【0063】
通路開口によって、フィルム9を介して、フィルム片のフィルム片自身との融着を行うことができる。通路開口を介してフィルム片5を融着することにより、フィルム片5をフィルム9又はバッグ1に対して確実に結合し、これらの間に非確動的又は物質的に接着された結合を必要としない。好適には、これにより、一方でフィルム9用の材料を、他方でフィルム片5用の材料を選択することが可能になり、これらは、互いに融着可能でない、或いは特別な試みがなされたときのみ互いに融着可能である。
【0064】
図4は、
図1の実施形態による、フィルム片5にマーキング7を施すのに必要な、並びに後でフィルム片5をバッグ1のフィルム9に結合するのに必要な考えられるステップを示し、幾つかの実施形態では全てのステップを示す。
【0065】
フィルム9の第1のフィルム層9aと第2のフィルム層9bとが重なっている融着部又は融着継目21の領域(バッグ1を密封するフィルム層9a、9bの融着部)は、縞模様になっている破線で示されている。
【0066】
フィルム片5、又は第1のフィルム層9aの、フィルム9との融着部15の領域は、特
に外側領域(
図4では、フィルム9の右側端部)にある。
【0067】
まず、第1のステップ23では、フィルム片5にマーキング7が施される。これは、インク、又はレーザー標識工程を用いてフィルム片5に印刷することによって行われてもよい。その後、第2のステップ25において、印刷されるか、又は異なる方法でマーキングされたフィルム片5が、フィルム9に融着される。フィルム片5は、フィルム9の全幅を覆わないことが好ましい。
【0068】
なお、本発明によれば、ステップ23及び25は、本明細書で述べるものとは逆の順番で実施されてもよい。このことは、
図5及び
図6に関連して説明される実施形態にも当てはまる。
【0069】
図5は、
図2の実施形態による、
図4と類似した、フィルム片5にマーキング7を施すため、並びに後でフィルム片5をバッグ1のフィルム9に融着するための考えられるステップ、及び必要に応じて全てのステップを示す。
【0070】
フィルム片5の融着部15の領域では、フィルム片5は、その部分5aによってフィルム9の内面17(
図2を参照)に結合され、これは、
図5では見ることができない。
【0071】
図4とは異なり、フィルム片5は、フィルム9の右端を越え、少なくとも1つのフィルム層(ここでは、第1のフィルム層9a)の端を越えて突出している。
【0072】
図6は、
図3の実施形態による、
図4と類似した、フィルム片5にマーキング7を施すため、並びに後でフィルム片5をバッグ1のフィルム9に結合するための考えられるステップ、及び必要に応じて全てのステップを示す。
【0073】
好ましくは、
図4及び
図5とは異なり、
図6のフィルム片5は、フィルム9に物質的に接着されず、また、必要に応じて、非確動的に結合されない、特に融着されないことが好ましい。さらに、フィルム片5の1つの部分は、フィルム片5の別の部分に、したがってフィルム片5自身に融着される。
【0074】
フィルム片5の2つの部分が互いに融着されるように重ねるために、フィルム9は、通路開口等を有し、これは、作製が容易な連続スロット27であることが好ましい。
【0075】
通路開口、ここではスロット27は、少なくともフィルム片5の幅と同じくらいの長さを有することが好ましい。これにより、フィルム片5は、融着を妨げる可能性がある力を受けたり、反ったりすることなく、通路開口を通過することができる。
【0076】
図6の右側の図では、この連続スロット27は、融着部の領域でマーキング7を保持するフィルム片5によって覆われて、見えなくなっている。
【0077】
フィルム片5は、一体に形成されてもよい。また、2つ又は幾つかの部分で作製されてもよい。幾つかの部分で作製される場合は、第1の部分はフィルム9の上側の面、したがって第1のフィルム層9aに配置され、第2の部分はフィルム9の下側の面、したがって第2のフィルム層9bに配置される。融着は、ここで説明されるように、通路開口を介して行われる。両方の部分が十分に大きい場合は、フィルム片5は全体として、通路開口又はフィルム9の内部に、それぞれ確動結合を形成する。
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
フィルム(9)、又は前記フィルム(9)を少なくとも部分的に有するバッグ(1)をマーキングする工程であって、前記フィルム(9)又は前記バッグ(1)は、医療製品(3)を有するか若しくは囲み、或いはこのような製品を取り込むために提供又は準備され、前記工程は、
1つ又は複数の接合工程を介して、前記フィルム(9)と、前記フィルム(9)内に、及び/又は前記フィルム(9)上にフィルム片(5)を結合するステップを含み、前記フィルム片(5)は、前記医療製品(3)をマーキングするための情報を保持する、工程。
[C2]
前記フィルム片(5)が、前記フィルム(9)に結合されず、前記フィルム片(5)自身にのみ結合される、C1に記載の工程。
[C3]
前記フィルム(9)が、その少なくとも一部において少なくとも2層で形成され、少なくとも1つの第1のフィルム層(9a)が、
前記フィルム片(5)の少なくとも1つの部分(5a)を、前記第1のフィルム層(9a)と、前記第2のフィルム層(9b)との間に配置するステップと、
前記フィルム片(5)の前記少なくとも1つの部分(5a)を、前記1つ又は前記複数の接合工程によって、少なくとも前記第1のフィルム層(9a)、及び/又は前記第2のフィルム層(9b)に結合するステップとを用いて、
前記第2のフィルム層(9b)の上に、又は前記第2のフィルム層(9b)に結合されている、或いは結合される、C1~2のいずれか一項に記載の工程。
[C4]
前記フィルム片(5)が、前記フィルム(9)の少なくとも1つの外層又は外面(13)に結合される、C1~3のいずれか一項に記載の工程。
[C5]
前記フィルム(9)の1つの部分に通路開口(27)を作製するステップと、
前記通路開口(27)の両側に前記フィルム片(5)を配置するステップと、
前記通路開口(27)を介して、前記フィルム片(5)を前記フィルム片(5)自身に結合するステップとを含む、
C1~4の少なくとも一項に記載の工程。
[C6]
用いられる前記結合工程及び/又は前記接合工程が、融着、接着、パンチリベット、又はこれらの任意の組み合わせを含む、又はこれらからなる一群の接合工程から選択される、C1~5のいずれか一項に記載の工程。
[C7]
フィルム(9)の内部又は下方に存在する医療製品(3)であって、少なくとも部分的に前記フィルム(9)からなるバッグ(1)を有するか、又は前記バッグ(1)内にある、少なくとも1つのフィルム片(5)が、1つ又は複数の接合工程によって、前記フィルム(9)に又は前記フィルム(9)上に結合されるか又は取り付けられ、前記フィルム片(5)が、前記医療製品(3)の前記マーキングの情報を保持する、医療製品(3)。
[C8]
前記フィルム片(5)が、前記フィルム(9)の少なくとも1つの外層又は外面(13)に結合される、C7に記載の医療製品(3)。
[C9]
少なくとも1つの第1のフィルム層(9a)が第2のフィルム層(9b)上に又は第2のフィルム層(9b)と結合されることによって、前記フィルム(9)が、その少なくとも1つの部分において少なくとも2層で形成され、前記フィルム片(5)の少なくとも1つの部分(5a)が、前記第1のフィルム層(9a)と、前記第2のフィルム層(9b)との間に配置され、前記フィルム片(5)の前記少なくとも1つの部分(5a)が、少なくとも前記第1のフィルム層(9a)及び/又は前記第2のフィルム層(9b)に結合される、C7又は8のいずれか一項に記載の医療製品(3)。
[C10]
前記フィルム片(5)が、前記フィルム(9)に結合されず、前記フィルム片(5)自身にのみ結合される、C7~9のいずれか一項に記載の医療製品(3)。
[C11]
前記フィルム(9)が、少なくとも1つの部分に、前記フィルム(9)が1つ又は複数の層で存在する、少なくとも1つの通路開口(27)を有し、前記フィルム片(5)が、前記通路開口(27)の両側に存在し、且つ前記フィルム片(5)が、前記通路開口(27)を介して前記フィルム片(5)自身に結合される、C7~10のいずれか一項に記載の医療製品(3)。
[C12]
用いられる前記結合工程及び/又は前記接合工程が、融着、接着、パンチリベット、又はこれらの任意の組み合わせを含む、又はこれらからなる一群の接合工程から選択される、C7~11のいずれか一項に記載の医療製品(3)。
【符号の説明】
【0078】
1 バッグ
3 医療製品
5 フィルム片
5a フィルム片の一部
7 マーキング、マーキングの情報
9 フィルム
9a 第1のフィルム層
9b 第2のフィルム層
11 外側フィルム
13 外面、フィルムの外層
15 フィルム片のフィルムとの融着部
17a 内面、第1のフィルム層9aの内層
17b 内面、第2のフィルム層9bの内層
19 フィルム片のフィルム片自身との融着部
21 バッグを密封するためのフィルムの融着継目又は融着部
23 フィルム片にマーキングを施す手順
25 マーキングしたフィルム片をフィルムに加える手順
27 連続スロット