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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】アブソリュートエンコーダ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
G01D5/245 110W
G01D5/245 110L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020181207
(22)【出願日】2020-10-29
(62)【分割の表示】P 2017131231の分割
【原出願日】2017-07-04
(65)【公開番号】P2021009168
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2020-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】長田 靖夫
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-077483(JP,A)
【文献】特開2002-131049(JP,A)
【文献】特開2006-098234(JP,A)
【文献】特開2017-044639(JP,A)
【文献】特開2002-340619(JP,A)
【文献】特開2014-147262(JP,A)
【文献】特開2016-105676(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0007067(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00-7/34
G01D 5/00-5/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸の複数回の回転にわたる回転量を特定するアブソリュートエンコーダであって、
前記主軸の回転に従って回転する第1駆動歯車と、
前記第1駆動歯車と噛合う第1従動歯車と、
前記第1従動歯車の回転に従って回転する第2駆動歯車と、
前記第2駆動歯車と噛合う第2従動歯車と、
前記第2従動歯車の回転に従って回転する第2回転体の回転角を検知する角度センサと、
底部と、当該底部から突出する複数の支柱と、有するベースと、
前記底部と対向配置され、前記複数の支柱に固定される基板と、
を備え、
前記第1駆動歯車、前記第1従動歯車、前記第2駆動歯車および前記第2従動歯車は、前記底部の前記基板側の面に配置され、
前記角度センサは、前記基板の前記底部側の面に配置され、
前記第1駆動歯車はウォーム歯車であり、
前記第1従動歯車はウォームホイールであり、
前記第2駆動歯車はウォーム歯車であり、
前記第2従動歯車はウォームホイールであることを特徴とするアブソリュートエンコーダ。
【請求項2】
前記複数の支柱は、前記第1従動歯車を挟んで離れて配置される2つの支柱を含むことを特徴とする請求項1に記載のアブソリュートエンコーダ。
【請求項3】
前記ベースは、前記底部から延出する外壁部を有し、
前記基板は、前記外壁部に隙間を介して包囲されることを特徴とする請求項1または2に記載のアブソリュートエンコーダ。
【請求項4】
前記第1駆動歯車、前記第1従動歯車、前記第2駆動歯車および前記第2従動歯車は、前記主軸の回転を伝達する回転伝達経路を構成し、
前記回転伝達経路は、前記底部に沿って屈曲して配置され
前記第2従動歯車は、前記回転伝達経路の終端であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のアブソリュートエンコーダ。
【請求項5】
前記主軸の回転角を検知する別の角度センサをさらに備え、
記別の角度センサは、前記第1駆動歯車、前記第1従動歯車、前記第2駆動歯車および前記第2従動歯車を挟んで前記底部とは反対側に設けられることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のアブソリュートエンコーダ。
【請求項6】
前記第1従動歯車の外径は前記第1駆動歯車の外径より小さく設定されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のアブソリュートエンコーダ。
【請求項7】
前記主軸の回転軸線に沿った方向に偏平な直方体形状を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のアブソリュートエンコーダ。
【請求項8】
前記外壁部は、前記第1従動歯車の前記主軸とは反対側に配置される特定外壁部を含み、
平面視において、前記第1従動歯車の回転軸線は、前記特定外壁部の延在方向に対して5°から30°の範囲で傾斜していることを特徴とする請求項に記載のアブソリュートエンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力軸の回転量を特定するためのアブソリュートエンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の制御機械装置において、可動要素の位置や角度を検出するために用いられるロータリーエンコーダが知られている。このようなエンコーダには相対的な位置又は角度を検出するインクリメンタル型のエンコーダと、絶対的な位置又は角度を検出するアブソリュート型のエンコーダがある。例えば特許文献1には、自動制御装置やロボット装置等の運動制御用の回転軸やバルブ開閉に用いる動力伝達用の回転軸等の回転量を絶対量としてデジタル的に計測するためのアブソリュート型のロータリーエンコーダが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平4-96019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のアブソリュートエンコーダは、回転ディスク、スリット、投光素子、受光素子などの構成要素をシャフトの軸方向に積み上げて構成される。このため各構成要素の軸方向寸法が軸方向に積み重ねているため、アブソリュートエンコーダの軸方向の寸法が大きくなり、薄型化が難しい問題がある。アブソリュートエンコーダを薄型化するために、各構成要素を薄く形成することも考えられる。しかし、構成要素を薄く形成すると、強度が低下し、振動や衝撃を受けた際に破損しやすくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、薄型化に好適なアブソリュートエンコーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のアブソリュートエンコーダは、主軸の複数回の回転にわたる回転量を特定するアブソリュートエンコーダであって、主軸の回転に従って回転する第1駆動歯車と、第1駆動歯車と噛合う第1従動歯車と、第1従動歯車の回転に従って回転する第2駆動歯車と、第2駆動歯車と噛合う第2従動歯車と、第2従動歯車の回転に従って回転する第2回転体の回転角を検知する角度センサと、を備える。
【0007】
この態様によると、アブソリュートエンコーダにおいて、角度センサにより第2従動歯車の回転角を検知することができる。
【0008】
本発明の別の態様もまた、アブソリュートエンコーダである。このアブソリュートエンコーダは、主軸の複数回の回転にわたる回転量を特定するアブソリュートエンコーダであって、主軸の回転に伴い第1減速比で回転する中間回転体と、中間回転体の回転に伴い第2減速比で回転する第2回転体と、第2回転体の回転角を検知する角度センサと、を備える。主軸の回転軸線は、中間回転体の回転軸線に対してねじれの位置にあり、第2回転体の回転軸線と平行に設けられる。
【0009】
本発明のさらに別の態様もまた、アブソリュートエンコーダである。このアブソリュートエンコーダは、主軸の複数回の回転にわたる回転量を特定するアブソリュートエンコーダであって、ウォーム変速機構を含み、主軸の回転に伴いマグネットを回転させる減速機構と、マグネットの磁極に応じてマグネットの回転角を検知する角度センサと、を備える。主軸の回転軸線は、マグネットの回転軸線と平行である。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、薄型化に好適なアブソリュートエンコーダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係るエンコーダを説明するブロック図である。
図2】本発明の第2実施形態に係るエンコーダを説明するブロック図である。
図3】本発明の第3実施形態に係るエンコーダを説明するブロック図である。
図4】本発明の第4実施形態に係るエンコーダを説明するブロック図である。
図5図4のエンコーダの斜視図である。
図6図4のエンコーダの別の斜視図である。
図7図4のエンコーダのさらに別の斜視図である。
図8図4のエンコーダの基板の底面図である。
図9図4のエンコーダの平面図である。
図10図4のエンコーダの一部断面を含む正面図である。
図11図4のエンコーダの第2回転体の周辺を示す断面図である。
図12図4のエンコーダの第3回転体および接続回転体の周辺を示す断面図である。
図13】本発明の第5実施形態に係るエンコーダの平面図である。
図14】本発明の第5実施形態に係るエンコーダの一部断面を含む正面図である。
図15】本発明の第6実施形態に係るエンコーダの平面図である。
図16】本発明の第6実施形態に係るエンコーダの一部断面を含む正面図である。
図17】本発明の第7実施形態に係るエンコーダの平面図である。
図18】本発明の第7実施形態に係るエンコーダの一部断面を含む正面図である。
図19】本発明の第8実施形態に係るエンコーダの平面図である。
図20】各実施形態によるエンコーダの仕様分類表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者は、アブソリュートエンコーダ(以下、単にエンコーダという)について以下のような知見を得た。
【0014】
本発明者は、主軸の複数回の回転(以下、複数回転という。)にわたる回転量(以下、主軸の回転量という。)を、主軸の回転に伴い減速回転する回転体の回転角を取得することによって、特定し得ることを見出した。すなわち、回転体の回転角を減速比で除することにより、主軸の回転量を特定することができる。ここで、特定可能な主軸の回転量の範囲は、減速比に反比例して増加する。例えば、減速比が1/100であれば、100回転分の回転量を特定することができる。一方、特定可能な主軸の回転量の分解能は、減速比に反比例して低下する。例えば、減速比が1/100であれば、減速比が1の場合に0.1°であった分解能が10°に低下する。
【0015】
この知見から、本発明者は、用途に応じて回転量範囲と分解能とを選択可能なエンコーダの構成を案出した。この場合、コストと性能のバランスを改善することができる。以下、いくつかの実施の形態に基づき具体的な構成を説明する。
【0016】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。各実施形態、変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0017】
[第1実施形態]
図1を参照して本発明の第1実施形態について説明する。図1は本発明の第1実施形態に係るエンコーダ100を説明するブロック図である。エンコーダ100は、モータ1の主軸1aの複数回の回転にわたる回転量を特定するアブソリュートエンコーダである。エンコーダ100は、主軸1aと、第1回転体20と、第1ウォーム歯車10と、第1ウォームホイール12と、中間回転体22と、第2ウォーム歯車14と、第2ウォームホイール16と、第2回転体24と、マグネットMpと、角度センサSpと、制御部40と、を含む。
【0018】
主軸1aは、モータ1の出力軸であり、エンコーダ100に回転が入力される入力軸である。第1回転体20は、主軸1aに固定され、主軸1aと一体にモータ1の軸受部材によって回転可能に支持される。第1ウォーム歯車10は主軸1aの回転に従って回転するように、第1回転体20の外周に双方の中心軸が略一致するように設けられる。第1ウォームホイール12は、第1ウォーム歯車10と噛合い、第1ウォーム歯車10の回転に伴い回転するように設けられる。第1ウォームホイール12は、中間回転体22の外周に中心軸が一致するように設けられる。第1ウォームホイール12と第1ウォーム歯車10との軸角は90°に設定される。
【0019】
第1ウォームホイール12の外径に特別な制限はないが、この図の例では、第1ウォームホイール12の外径は第1ウォーム歯車10の外径より小さく設定されている。第1ウォームホイール12の外径が大きい場合に比べて、エンコーダの主軸1aに対する軸方向の寸法を小さく抑えることができる。
【0020】
第2ウォーム歯車14は、第1ウォームホイール12の回転に従って回転する。第2ウォーム歯車14は、中間回転体22の外周に双方の中心軸が略一致するように設けられる。第2ウォームホイール16は、第2ウォーム歯車14と噛合い、第2ウォーム歯車14の回転に伴い回転するように設けられる。第2ウォームホイール16は、第2回転体24の外周に双方の中心軸が略一致するように設けられる。第2ウォームホイール16と第2ウォーム歯車14との軸角は90°に設定される。第2ウォームホイール16の回転軸線は、第1ウォーム歯車10の回転軸線と平行に設けられる。
【0021】
角度センサSpは、第2ウォームホイール16の回転角を検知する。マグネットMpは、第2回転体24の上面に双方の中心軸が略一致するように固定される。マグネットMpの上面には第2回転体24の回転軸線に対して垂直な方向に2極の磁極Upが設けられる。角度センサSpは、その下面が隙間を介してマグネットMpの上面にスラスト方向に対向するように設けられる。一例として、角度センサSpは、エンコーダ100のハウジング(不図示)などに支持された基板に固定される。角度センサSpは、磁極Upを検知し、磁極Upに応じてマグネットMpの回転角を特定し、制御部40に出力する。制御部40は、角度センサSpから取得した回転角に基づき主軸1aの回転量を特定して出力する。制御部40は、一例として主軸1aの回転量をデジタル信号として出力するようにしてもよい。
【0022】
第1ウォーム歯車10の条数は1であり、第1ウォームホイール12の歯数は20である。つまり、第1ウォーム歯車10と第1ウォームホイール12は、減速比が1/20の第1ウォーム変速機構11を構成する。第1ウォーム歯車10が20回転するとき第1ウォームホイール12は1回転する。第1ウォームホイール12は中間回転体22を回転させ、中間回転体22は第2ウォーム歯車14を回転させる。したがって、第1ウォームホイール12は1回転するとき中間回転体22および第2ウォーム歯車14は1回転する。
【0023】
第2ウォーム歯車14の条数は5であり、第2ウォームホイール16の歯数は25である。つまり、第2ウォーム歯車14と第2ウォームホイール16は減速比が1/5の第2ウォーム変速機構15を構成する。第2ウォーム歯車14が5回転するとき第2ウォームホイール16は1回転する。第2ウォームホイール16は第2回転体24およびマグネットMpを回転させる。これらの各歯車各回転体の作用により、主軸1aが100回転すると、中間回転体22が5回転し、マグネットMpが1回転する。つまり、角度センサSpは、主軸1aの100回転分の回転量を特定することができる。
【0024】
このように構成されたエンコーダ100は、主軸1aの回転量を特定することができる。一例として、主軸1aが1回転したとき、第2回転体24およびマグネットMpは1/100回転、すなわち3.6°回転する。このため、第2回転体24の回転角度が3.6°以下であれば、主軸1aは1回転以内の回転量であると特定することができる。
【0025】
[第2実施形態]
図2を参照して本発明の第2実施形態に係るエンコーダ120について説明する。図2は本発明の第2実施形態に係るエンコーダ120を説明するブロック図である。エンコーダ120は、モータ1の主軸1aの複数回の回転にわたる回転量を特定するアブソリュートエンコーダである。エンコーダ120は、第1実施形態に係るエンコーダ100に対して、角度センサSqと、マグネットMqと、をさらに含み、他の構成は同様である。第1実施形態と重複する説明を省き、相違する構成について説明する。
【0026】
マグネットMqは、第1回転体20の上面に双方の中心軸が略一致するように固定される。マグネットMqの上面には第1回転体20の回転軸線に対して垂直な方向に2極の磁極Uqが設けられる。角度センサSqは、その下面が隙間を介してマグネットMqの上面にスラスト方向に対向するように設けられる。一例として、角度センサSqは、角度センサSpと同面に角度センサSpが固定された基板に固定される。角度センサSqは、磁極Uqを検知し、磁極Uqに応じて主軸1aの回転角であるマグネットMqの回転角を特定し、制御部40に出力する。制御部40は、角度センサSqから取得した回転角に基づき主軸1aの回転角を特定する。主軸1aの回転角の分解能は角度センサSqの分解能に対応する。
【0027】
このように構成されたエンコーダ120は、角度センサSpの検知した回転角度に応じて主軸1aの複数回の回転にわたる回転量を特定するとともに、角度センサSqの検知した回転角度に応じて主軸1aの回転角を特定することができる。この結果、特定可能な主軸1aの回転量の範囲の拡大と、特定可能な主軸の回転角の分解能の向上とを両立させることが可能になる。
【0028】
[第3実施形態]
図3を参照して本発明の第3実施形態に係るエンコーダ140について説明する。図3は本発明の第3実施形態に係るエンコーダ140を説明するブロック図である。エンコーダ140は、モータ1の主軸1aの複数回の回転にわたる回転量を特定するアブソリュートエンコーダである。エンコーダ140は、第1実施形態に係るエンコーダ100に対して、第3ウォーム歯車30と、第3ウォームホイール32と、接続回転体33、駆動歯車34と、従動歯車36と、第3回転体38と、マグネットMrと、角度センサSrと、をさらに含み、他の構成は同様である。第1実施形態と重複する説明を省き、相違する構成について説明する。
【0029】
第3ウォーム歯車30は、第1ウォームホイール12の回転に従って回転する。第3ウォーム歯車30は、中間回転体22の外周に双方の中心軸が略一致するように設けられる。第3ウォームホイール32は、第3ウォーム歯車30と噛合い、第3ウォーム歯車30の回転に伴い回転するように設けられる。第3ウォームホイール32は、接続回転体33の外周に双方の中心軸が略一致するように設けられる。第3ウォームホイール32と第3ウォーム歯車30との軸角は90°に設定される。第3ウォームホイール32の回転軸線は、第1ウォーム歯車10の回転軸線と平行に設けられる。
【0030】
駆動歯車34は、第3ウォームホイール32と双方の中心軸が略一致するように接続回転体33の外周に固定される。駆動歯車34は、第3ウォームホイール32の回転に従って一体に回転する。従動歯車36は、駆動歯車34と噛合い、駆動歯車34の回転に従って回転する。第3回転体38は、従動歯車36に双方の中心軸が略一致するように固定される。第3回転体38は、従動歯車36の回転に従って一体に回転する。第3回転体38の回転軸線は、第1回転体20の回転軸線と平行に設けられる。
【0031】
第3ウォーム歯車30の条数は1で、第3ウォームホイール32の歯数は30で、これらは減速比が1/30の第3ウォーム変速機構31を構成している。第3ウォーム歯車30が中間回転体22と一体に30回転するとき、第3ウォームホイール32は1回転する。つまり、主軸1aが600回転するとき、第3ウォームホイール32は1回転する。駆動歯車34は歯数が24の平歯車で、従動歯車36は歯数が40の平歯車で、これらは減速比が3/5の減速機構35を構成している。つまり、主軸1aが1000回転するとき、従動歯車36および第3回転体38は一体に1回転する。
【0032】
角度センサSrは、従動歯車36の回転角を検知する。マグネットMrは、第3回転体38の上面に双方の中心軸が略一致するように固定される。マグネットMrの上面には第3回転体38の回転軸線に対して垂直な方向に2極の磁極Urが設けられる。角度センサSrは、その下面が隙間を介してマグネットMrの上面にスラスト方向に対向するように設けられる。一例として、角度センサSrは、角度センサSpと同面に角度センサSpが固定された基板に固定される。角度センサSrは、磁極Urを検知し、磁極Urに応じて第3回転体38および従動歯車36の回転角であるマグネットMrの回転角を特定し、制御部40に出力する。
【0033】
これらの各歯車各回転体の作用により、主軸1aが1000回転するとき、第3回転体38、従動歯車36およびマグネットMrが1回転する。つまり、角度センサSrは、主軸1aの1000回転分の回転量を特定することができる。制御部40は、角度センサSpおよび角度センサSrから取得した各回転角に基づき主軸1aの回転量を特定する。一例として、主軸1aが1回転したとき、従動歯車36およびマグネットMrは1/1000回転、すなわち0.36°回転する。このため、従動歯車36の回転角度が0.36°以下であれば、主軸1aは1回転以内の回転量であると特定することができる。
【0034】
このように構成された第3実施形態のエンコーダ140は、角度センサSrの検知した回転角度に応じて主軸1aの複数回の回転にわたる回転量を特定することにより、特定可能な主軸1aの回転量の範囲を一層大きくすることができる。エンコーダ140は、角度センサSpの検知した回転角度に応じて主軸1aの複数回の回転にわたる回転量を特定することにより、角度センサSpを備えない場合に比べて、特定可能な主軸1aの回転量の分解能の低下を抑制することができる。
【0035】
この結果、エンコーダ140は、特定可能な主軸1aの回転量の範囲を一層拡大しつつ、特定可能な主軸の回転量の分解能の低下を補うことができる。
【0036】
[第4実施形態]
図4を参照して本発明の第4実施形態に係るエンコーダ160について説明する。図4は本発明の第4実施形態に係るエンコーダ160を説明するブロック図である。エンコーダ160は、モータ1の主軸1aの複数回の回転にわたる回転量を特定するアブソリュートエンコーダである。エンコーダ160は、第1実施形態に係るエンコーダ100に対して、角度センサSqと、マグネットMqと、第3ウォーム歯車30と、第3ウォームホイール32と、接続回転体33と、駆動歯車34と、従動歯車36と、第3回転体38と、マグネットMrと、角度センサSrと、をさらに含み、他の構成は同様である。つまり、エンコーダ160は、第1実施形態に係るエンコーダ100、第2実施形態に係るエンコーダ120および第3実施形態に係るエンコーダ140の構成を併せて備える。第1~第3実施形態と重複する説明を省き、相違する構成について説明する。
【0037】
制御部40は、角度センサSp、Sq、Srから取得した各回転角に基づき主軸1aの回転量を特定する。
【0038】
このように構成された第4実施形態のエンコーダ160は、角度センサSrの検知した回転角度に応じて主軸1aの複数回の回転にわたる回転量を特定することにより、特定可能な主軸1aの回転量の範囲を一層大きくすることができる。エンコーダ160は、角度センサSpの検知した回転角度に応じて主軸1aの複数回の回転にわたる回転量を特定することにより、角度センサSpを備えない場合に比べて、特定可能な主軸1aの回転量の分解能の低下を抑制することができる。エンコーダ160は、角度センサSqの検知した回転角度に応じて主軸1aの回転角を特定することにより、特定可能な主軸1aの回転角の分解能を向上することができる。
【0039】
この結果、エンコーダ160は、特定可能な主軸1aの回転量の範囲を一層拡大しつつ、特定可能な主軸の回転角の分解能を向上することができる。
【0040】
次に、図5図12を参照して、第4実施形態に係るエンコーダ160の詳細な構成について説明する。なお、以下の説明は、第1~第3実施形態のエンコーダ100、120、140について、エンコーダ160と共通する構成について同様に適用される。
【0041】
図5は第4実施形態に係るエンコーダ160の斜視図である。以下、XYZ直交座標系をもとに説明する。X軸方向は水平な左右方向に対応し、Y軸方向は水平な前後方向に対応し、Z軸方向は鉛直な上下方向に対応する。Y軸方向およびZ軸方向はそれぞれX軸方向に直交する。X軸方向は左方向あるいは右方向と、Y軸方向は前方向あるいは後方向と、Z軸方向は上方向あるいは下方向と表記することがある。この図において、Z軸方向で上から視た状態を平面視と、Y軸方向で前から視た状態を正面視と、X軸方向で左右から視た状態を側面視という。このような方向の表記はエンコーダ160の使用姿勢を制限するものではなく、エンコーダ160は任意の姿勢で使用されうる。
【0042】
エンコーダ160は、既述したように、モータ1の主軸の複数回転にわたる回転量を特定して出力するアブソリュート型のエンコーダである。本例では、エンコーダ160はモータ1のZ軸方向の端部に設けられている。エンコーダ160の形状に特別な制限はないが、実施の形態では、エンコーダ160は、平面視で略矩形状を有し、正面視及び側面視で主軸の延伸方向(以下、軸方向という。本例で、軸方向はZ軸方向に平行な方向である。)に薄い横長の矩形状を有する。つまり、エンコーダ160はZ軸方向に偏平な直方体形状を有する。
【0043】
エンコーダ160は内部構造を収容する中空角筒状の筐体3を備える。筐体3は少なくとも主軸と中間回転体とを包囲する複数(例えば4つ)の外壁部3b、3c、3d、3eを含む。筐体3の外壁部3b、3c、3d、3eの端部に蓋部4が固定されている。蓋部4は、平面視で略矩形状を有し、軸方向に薄い板状の部材である。外壁部3b、3c、3d、3eはこの順でそれぞれ連結されている。外壁部3b、3dは、互いに平行に設けられる。外壁部3c、3eは、外壁部3b、3dの側端部に架け渡され、互いに平行に設けられる。この例では、外壁部3b、3dは、平面視においてX軸方向に延伸し、外壁部3c、3eは、平面視においてY軸方向に延伸している。
【0044】
モータ1は、一例として、ステッピングモータやDCブラシレスモータであってもよい。一例として、モータ1は波動歯車装置などの減速機構を介して産業用などのロボットを駆動する駆動源として適用されてもよい。モータ1の主軸1aはモータ1のZ軸方向の両側に突出している。エンコーダ160は主軸1aの回転量をデジタル信号として出力する。
【0045】
図6は、エンコーダ160の別の斜視図である。図6は筐体3から蓋部4を取り外した状態を示している。この状態では、基板5がエンコーダ内部を覆うように設けられている。基板5は、平面視で略矩形状を有し、軸方向に薄い板状のプリント配線基板である。図7は、エンコーダ160のさらに別の斜視図である。図8は基板5の底面図である。図9は、エンコーダ160の平面図である。図7および図9は、基板5を取り外した状態を示している。角度センサSp、Sq、Srは基板5に取付けられているが、理解を容易にするため、これらの図では角度センサSp、Sq、Srを表示している。図10は、エンコーダ160の正面図である。図10は、エンコーダ160を主軸1aの中心を通るZ軸方向に平行な平面で切断した状態を示している。図11は、第2回転体24の周辺を示す断面図である。図11は、エンコーダ160を略左側方から視た縦断面を示している。図11は、エンコーダ160を第2回転体24の中心を通り、中間回転体22の回転軸線に垂直、かつ、Z軸方向に平行な平面で切断した状態を示している。図12は、第3回転体38および接続回転体33の周辺を示す断面図である。図12は、エンコーダ160を略右側方から視た縦断面を示している。図12は、エンコーダ160を第3回転体38の中心および接続回転体33の中心を通るZ軸方向に平行な平面で切断した状態を示している。図11図12では筐体3および蓋部4の記載を省略している。
【0046】
エンコーダ160は、ベース2と、筐体3と、蓋部4と、基板5と、付勢部62と、複数の固定具64と、を含む。ベース2は、各回転体および各歯車を回転可能に支持する基台である。ベース2に配設される支柱2cは基板5を支持する。基板5は、主に角度センサSp、Sq、Srおよび制御部40を支持する。ベース2は、底部2bと、複数(例えば4個)の支柱2cと、を含む。底部2bは、エンコーダ160のモータ1側に面する板状の部分であり、X軸方向及びY軸方向に延在する。支柱2cは、底部2bから軸方向でモータ1から遠ざかる方向に突出する略円柱状の部分である。ベース2の底部2bには、中空角筒状の筐体3が複数(例えば3個)の固定具64によって固定される。固定具64は例えばスクリュウであってもよい。支柱2cの突出端には、基板5が例えばスクリュウ(不図示)を用いて固定される。付勢部62については後述する。
【0047】
また、エンコーダ160は、第1回転体20と、第1ウォーム歯車10と、第1ウォームホイール12と、中間回転体22と、第2ウォーム歯車14と、第2ウォームホイール16と、第2回転体24と、第3ウォーム歯車30と、第3ウォームホイール32と、接続回転体33と、駆動歯車34と、従動歯車36と、第3回転体38と、マグネットMp、Mq、Mrと、角度センサSp、Sq、Srと、制御部40(図8を参照)と、を含む。
【0048】
(第1回転体)
第1回転体20は、主軸1aの回転に従って回転し、主軸1aの回転を第1ウォーム歯車10に伝える。第1回転体20は、主軸1aの外周に嵌合する連結部20bと、第1ウォーム歯車10が形成されるギア形成部20cと、マグネットMqを保持する保持部20dと、を含む。連結部20bは、主軸1aを環囲する円筒形状を有する。ギア形成部20cは、連結部20bの外周から半径方向に張出す円板形状を有する。保持部20dは、ギア形成部20cの軸方向で底部2bから遠い方の端面に設けられる円筒状の凹部形状を有する。連結部20bと、ギア形成部20cと、保持部20dと、は各中心軸が略一致するように一体に形成される。第1回転体20は、樹脂材料や金属材料など種々の材料から形成することができる。本例では、第1回転体20は、ポリアセタール樹脂から形成されている。
【0049】
(第1ウォーム歯車)
第1ウォーム歯車10は、第1ウォームホイール12を駆動する伝達要素である。特に、第1ウォーム歯車10は、ギア形成部20cの外周に形成される条数=1のねじ歯車である。第1ウォーム歯車10の回転軸線は主軸1aの軸方向に延伸している。
【0050】
(中間回転体)
中間回転体22は、主軸1aの回転に従って回転し、主軸1aの回転を第2回転体24および接続回転体33に伝える。中間回転体22は、底部2bに略平行に延びる回転軸線Laの周りに回転可能に支持されている。中間回転体22は、その回転軸線Laの方向に延伸する略円筒形状の部材である。中間回転体22は、基部22bと、第1ウォームホイール12が形成される第1筒部22cと、第2ウォーム歯車14が形成される第2筒部22dと、第3ウォーム歯車30が形成される第3筒部22eと、両端に設けられる被支持部22f、22gと、を含む。
【0051】
外壁部3bは、中間回転体22の主軸1aとは反対側に設けられる。外壁部3dは、外壁部3bと平行に、中間回転体22の主軸1aが配置される側に設けられる。中間回転体22は、その回転軸線Laが任意の方向に向くように配置されてもよい。中間回転体22の回転軸線Laは、平面視において、中間回転体22の主軸1aとは反対側に設けられる外壁部3bの延伸方向に対して5°から30°の範囲で傾斜して設けられてもよい。図9の例では中間回転体22の回転軸線Laは外壁部3bの延伸方向に対して20°傾斜している。換言すると、筐体3は、平面視において、中間回転体22の回転軸線Laに対して5°から30°の範囲で傾斜した方向に延在する外壁部3bを含んでいる。図9の例では、外壁部3bの延在方向と中間回転体22の回転軸線Laとの傾斜Dsは20°に設定されている。
【0052】
本例では、基部22bは円筒形状を有し、第1筒部22c、第2筒部22d、および第3筒部22eは基部22bより大径の円筒形状を有する。基部22bと、第1筒部22cと、第2筒部22dと、第3筒部22eと、被支持部22f、22gと、は各中心軸が略一致するように一体に形成される。第2筒部22d、第1筒部22c、および第3筒部22eはこの順で互いに離れた位置に配置される。中間回転体22は、樹脂材料や金属材料など種々の材料から形成することができる。本例では、中間回転体22は、ポリアセタール樹脂から形成されている。
【0053】
本例では、被支持部22f、22gは、底部2bの一部が切り起こされた支持部2f、2gに支持される。支持部2f、2gには、中間回転体22の回転軸線方向に貫通して被支持部22f、22gが嵌合する孔が設けられている。このように構成されることによって、中間回転体22は支持部2f、2gに回転可能に支持される。
【0054】
(付勢部)
付勢部62について説明する。中間回転体22は、第2ウォーム歯車14および第3ウォーム歯車30が各ウォームホイールを駆動することにより、中間回転体22の回転軸線方向に反力が作用し、回転軸線方向の位置が変動することがある。そこで、本例では、中間回転体22に付勢力を付与する付勢部62が設けられている。付勢部62は、反力と反対向きの付勢力を中間回転体22に付与することにより、回転軸線方向の位置変動を抑制する。付勢部62は、底部2bに取付けられる取付部62bと、取付部62bから延出し
て半球型突起22hに接触するスプリング部62cと、を含む。取付部62bと、スプリング部62cと、は薄板状のスプリング材から形成され、スプリング部62cの根元が途中で取付部62bに対して略直角に折曲げられている。このように付勢部62が半球型突起22hを付勢することで、中間回転体22の回転動作への影響を低減しつつ、中間回転体22の回転軸方向の位置の変動を抑えることが可能となる。
【0055】
本例では、第2ウォーム歯車14が回転することによって中間回転体22が受ける反力の向きは、第3ウォーム歯車が回転することによって中間回転体22が受ける反力の向きとは逆に設定される。特に、各反力の中間回転体22の回転軸線方向の成分が互いに逆向きになるように、各ウォーム歯車の歯形状が設定されている。具体的には、各ウォーム歯車における歯の傾斜方向が、その反力の中間回転体22の回転軸線方向の成分の向きが互いに逆向きになるように設定されている。この場合、各ウォーム歯車の反力の方向が同じ場合に比べて合成反力が小さくなるので、それに応じて付勢部62の付勢力を小さくすることができる。この場合、中間回転体22の回転抵抗が減少して円滑に回転することができる。
【0056】
(第1ウォームホイール)
第1ウォームホイール12は、第1ウォーム歯車10に駆動される伝達要素である。特に、第1ウォームホイール12は、第1筒部22cの外周に形成される歯数=20のはす歯車である。第1ウォーム歯車10および第1ウォームホイール12は第1ウォーム変速機構11を構成する。第1ウォームホイール12の回転軸線は主軸1aの軸方向に垂直な方向に延伸している。
【0057】
(第2ウォーム歯車)
第2ウォーム歯車14は、第2ウォームホイール16を駆動する伝達要素である。特に、第2ウォーム歯車14は、第2筒部22dの外周に形成される条数=5のねじ歯車である。第2ウォーム歯車14の回転軸線は主軸1aの軸方向に垂直な方向に延伸している。
【0058】
(第2回転体)
第2回転体24は、主軸1aの回転に従って回転し、主軸1aの回転を減速してマグネットMpに伝える。第2回転体24は、底部2bから略垂直に延びる回転軸線周りに回転可能に支持されている。第2回転体24は、平面視で略円形状の部材である。底部2bに回転可能に支持される軸受部24bと、第2ウォームホイール16が形成される張出部24cと、マグネットMpを保持する保持部24dと、を含む。軸受部24bは、底部2bから突出する突出するシャフト24sを隙間を介して環囲する円筒形状を有する。
【0059】
張出部24cは、軸受部24bの外周から半径方向に張出す円板形状を有する。本例では、張出部24cは、軸受部24bの底部2bから遠い方の端部に寄った位置に設けられている。保持部24dは、張出部24cの軸方向で底部2bから遠い方の端面に設けられる円筒状の凹部形状を有する。軸受部24bと、張出部24cと、保持部24dと、は各中心軸が略一致するように一体に形成される。第2回転体24は、樹脂材料や金属材料など種々の材料から形成することができる。本例では、第2回転体24は、ポリアセタール樹脂から形成されている。
【0060】
(第2ウォームホイール)
第2ウォームホイール16は、第2ウォーム歯車14に駆動されるはす歯車である。特に、第2ウォームホイール16は、張出部24cの外周に形成される歯数=25のはす歯車である。第2ウォーム歯車14および第2ウォームホイール16は第2ウォーム変速機構15を構成する。第2ウォームホイール16の回転軸線は主軸1aの軸方向に平行な方向に延伸している。
【0061】
第3ウォーム歯車30は、第3ウォームホイール32を駆動する伝達要素である。特に、第3ウォーム歯車30は、第3筒部22eの外周に形成される条数=1のねじ歯車である。第3ウォーム歯車30の回転軸線は主軸1aの軸方向に垂直な方向に延伸している。
【0062】
(接続回転体)
接続回転体33は、主軸1aの回転に従って回転し、主軸1aの回転を減速して第3回転体38に伝える。接続回転体33は、底部2bから略垂直に延びる回転軸線周りに回転可能に支持されている。接続回転体33は、平面視で略円形状の部材である。底部2bに回転可能に支持される軸受部33bと、第3ウォームホイール32が形成される張出部33cと、を含む。軸受部33bは、底部2bから突出する突出するシャフト33sを隙間を介して環囲する円筒形状を有する。
【0063】
接続回転体33を備えることにより、その分後述する第3回転体38を第3ウォーム歯車30から遠ざけた位置に配置することができる。このため、マグネットMq、Mrの間の距離を長くして互いの漏れ磁束の影響を減らすことができる。また、接続回転体33を備えることにより、その分減速比を設定できる範囲が拡がり設計の自由度が向上する。
【0064】
張出部33cは、軸受部33bの外周から半径方向に張出す円板形状を有する。本例では、張出部33cは、軸受部33bの底部2bから遠い方の端部に寄った位置に設けられている。駆動歯車34は、軸受部33bの張出部33cより底部2b側の領域の外周に形成される。軸受部33bと、張出部33cと、は各中心軸が略一致するように一体に形成される。接続回転体33は、樹脂材料や金属材料など種々の材料から形成することができる。本例では、接続回転体33は、ポリアセタール樹脂から形成されている。
【0065】
(第3ウォームホイール)
第3ウォームホイール32は、第3ウォーム歯車30に駆動される伝達要素である。特に、第3ウォームホイール32は、張出部33cの外周に形成される歯数=30のはす歯車である。第3ウォーム歯車30および第3ウォームホイール32は第3ウォーム変速機構31を構成する。第3ウォームホイール32の回転軸線は主軸1aの軸方向に平行な方向に延伸している。
【0066】
(駆動歯車)
駆動歯車34は、従動歯車36を駆動する伝達要素である。特に、駆動歯車34は、軸受部33bの外周に形成される歯数=24の平歯車である。
【0067】
(第3回転体)
第3回転体38は、主軸1aの回転に従って回転し、主軸1aの回転を減速してマグネットMrに伝える。第3回転体38は、底部2bから略垂直に延びる回転軸線周りに回転可能に支持されている。第3回転体38は、平面視で略円形状の部材である。第3回転体38は、底部2bに回転可能に支持される軸受部38bと、従動歯車36が形成される張出部38cと、マグネットMrを保持する保持部38dと、を含む。軸受部38bは、底部2bから突出するシャフト38sを隙間を介して環囲する円筒形状を有する。
【0068】
張出部38cは、軸受部38bの外周から半径方向に張出す円板形状を有する。本例では、張出部38cは、軸受部38bの底部2bに寄った位置に設けられている。保持部38dは、軸受部38bの軸方向で底部2bから遠い方の端面に設けられる円筒状の凹部形状を有する。軸受部38bと、張出部38cと、保持部38dと、は各中心軸が略一致するように一体に形成される。第3回転体38は、樹脂材料や金属材料など種々の材料から形成することができる。本例では、第3回転体38は、ポリアセタール樹脂から形成されている。
【0069】
(従動歯車)
従動歯車36は、駆動歯車34に駆動される伝達要素である。特に、従動歯車36は、張出部38cの外周に形成される歯数=60の平歯車である。駆動歯車34および従動歯車36は減速機構35を構成している。
【0070】
(マグネット)
マグネットMp、Mq、Mr(以下、各マグネットと表記する)は軸方向に偏平な略円筒形状を有する。各マグネットは、例えばフェライト系やNdFeB系の磁性材料から形成される。各マグネットは、例えば樹脂バインダを含むゴム磁石やボンド磁石であってもよい。各マグネットには磁極が設けられる。各マグネットの磁化方向に制限はないが、本例では、2極の磁極Up、Uq、Urが各マグネットの角度センサに対向する端面に設けられている。各マグネットの回転方向の磁束密度分布は台形波形状であってもよく、正弦波状や矩形波形状であってもよい。実施の形態では台形波状に着磁される。
【0071】
各マグネットは、各回転体の端部に形成された凹部に一部または全部が収容され、例えば接着やカシメにより固定される。マグネットMpは第2回転体24の保持部24dに、マグネットMqは、第1回転体20の保持部20dに、マグネットMrは第3回転体38の保持部38dに接着固定されている。
【0072】
各マグネットの間の距離が短いと、互いに隣り合うマグネットの漏れ磁束の影響により角度センサの検出誤差が大きくなる。そこで図9の例では、平面視において、各マグネットは筐体3の外壁部3bに対して傾斜する直線(以下、配置直線Lmという)上に離隔して配置されている。配置直線Lmが外壁部3bに平行な場合に比べて、各マグネットの間の距離を長くすることができる。この観点から、配置直線Lmの外壁部3bに対する傾斜は、例えば本実施形態の場合は30°~60°の範囲が好ましく、図9の例では38°~42°の範囲に設定されている。
【0073】
(角度センサ)
角度センサSp、Sq、Sr(以下、各角度センサと表記する)は、各回転体の1回転に対応する0°~360°の範囲の絶対的な回転角を検知するセンサである。各角度センサは検知した回転角に応じた信号(例えばデジタル信号)を制御部40に出力する。各角度センサは、一旦通電を停止して再通電をした場合にも、通電停止前と同じ回転角を出力する。このためバックアップ電源を備えない構成が可能である。
【0074】
各角度センサは、図8に示すように、基板5の底部2b側の面にはんだ付けや接着などの方法により面一に固定されている。角度センサSpは、第2回転体24に設けたマグネットMpの磁極Upと隙間を介して対向する位置にて、基板5に固定される。角度センサSqは、第1回転体20に設けたマグネットMqの磁極Uqと隙間を介して対向する位置にて、基板5に固定される。角度センサSrは、第3回転体38に設けたマグネットMrの磁極Urと隙間を介して対向する位置にて、基板5に固定される。
【0075】
各角度センサには比較的分解能が高い磁気式角度センサを使用してもよい。磁気式角度センサは、それぞれの回転体の軸方向において、各マグネットの磁極と隙間を介して対向配置され、これら磁極の回転に基づいてロータの回転角を特定してデジタル信号を出力する。磁気式角度センサは、一例として、磁極を検知する検知素子と、この検知素子の出力に基づいてデジタル信号を出力する演算回路と、を含む。検知素子は、例えばホールエレメントやGMR(Giant Magneto Resistive)エレメントなどの磁界検知要素を複数(例えば4つ)含んでもよい。
【0076】
演算回路は、例えば複数の検知素子の出力の差や比をキーとしてルックアップテーブルを用いてテーブル処理によって回転角を特定するようにしてもよい。この検知素子と演算回路とは一つのICチップ上に集積されてもよい。このICチップは薄型の直方体形状の外形を有する樹脂中に埋め込まれてもよい。各角度センサは、図示しない配線部材を介して検知した各ロータの回転角に対応するデジタル信号である角度信号を制御部40に出力する。例えば、各角度センサは各回転体の回転角を複数ビット(例えば7ビット)のデジタル信号として出力する。
【0077】
(制御部)
制御部40について説明する。図4に示す制御部40の各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(central processing unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組み合わせによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0078】
制御部40は、回転角取得部40p、40q、40rと、対応関係テーブル40bと、回転量特定部40cと、出力部40eと、を含む。回転角取得部40pは、角度センサSpが検知した第2回転体24の回転角Apを取得する。回転角取得部40qは、角度センサSqが検知した第1回転体20の回転角Aqを取得する。回転角取得部40rは、角度センサSrが検知した第3回転体38の回転角Arを取得する。対応関係テーブル40bは、テーブル処理により、取得した回転角Ap、Arに対応する主軸1aの回転数を特定する。回転量特定部40cは、対応関係テーブル40bによって特定された主軸1aの回転数と、取得した回転角Aqと、に応じて主軸1aの複数回転にわたる回転量を特定する。出力部40eは、特定された主軸1aの複数回転にわたる回転量を所望の形式の信号に変換して出力する。本例では、制御部40は、図8に示すように、基板5の底部2b側の面にはんだ付けや接着などの方法により固定されている。
【0079】
このように構成された第4実施形態に係るエンコーダ160の作用・効果を説明する。
【0080】
第4実施形態に係るエンコーダ160は、主軸1aの複数回の回転にわたる回転量を特定するアブソリュートエンコーダであって、主軸1aの回転に従って回転する第1ウォーム歯車10と、第1ウォーム歯車10と噛合う第1ウォームホイール12と、第1ウォームホイール12の回転に従って回転する第2ウォーム歯車14と、第2ウォーム歯車14と噛合う第2ウォームホイール16と、第2ウォームホイール16の回転に従って回転する第2回転体24の回転角を検知する角度センサSpと、を備えている。この構成によれば、角度センサSpの検知結果に応じて主軸1aの複数回の回転にわたる回転量を特定することができる。第1ウォーム歯車10と第1ウォームホイール12とを含む第1ウォーム変速機構11と、第2ウォーム歯車14と噛合う第2ウォームホイール16とを含む第2ウォーム変速機構15と、備えるため、エンコーダ160は屈曲した伝達経路を構成して薄型化することができる。この作用・効果は、同様の構成を備える第1~第3実施形態に係るエンコーダ100、120、140についても奏しうる。
【0081】
第4実施形態に係るエンコーダ160は、主軸1aの複数回の回転にわたる回転量を特定するアブソリュートエンコーダであって、主軸1aの回転に伴い第1減速比で回転する中間回転体22と、中間回転体22の回転に伴い第2減速比で回転する第2回転体24と、第2回転体24の回転角を検知する角度センサSpと、を備え、主軸1aの回転軸線は、中間回転体22の回転軸線に対してねじれの位置にあり、第2回転体24の回転軸線と平行に設定されている。この構成によれば、角度センサSpの検知結果に応じて主軸1aの複数回の回転にわたる回転量を特定することができる。中間回転体22の回転軸線が、主軸1aおよび第2回転体24の回転軸線に対してねじれの位置にあり正面視で直交するため、エンコーダ160は屈曲した伝達経路を構成して薄型化することができる。この作用・効果は、同様の構成を備える第1~第3実施形態に係るエンコーダ100、120、140についても奏しうる。
【0082】
第4実施形態に係るエンコーダ160は、主軸1aの複数回の回転にわたる回転量を特定するアブソリュートエンコーダであって、第1ウォーム変速機構11を含み、主軸1aの回転に伴いマグネットMpを回転させる減速機構と、マグネットMpの磁極Upに応じてマグネットMpの回転角を検知する角度センサSpと、を備え、主軸1aの回転軸線は、マグネットMpの回転軸線と平行に設定されている。この構成によれば、角度センサSpの検知結果に応じて主軸1aの複数回の回転にわたる回転量を特定することができる。第1ウォーム変速機構11を含み、主軸1aの回転軸線とマグネットMpの回転軸線とが平行に設定されるため、エンコーダ160は屈曲した伝達経路を構成して薄型化することができる。この作用・効果は、同様の構成を備える第1~第3実施形態に係るエンコーダ100、120、140についても奏しうる。
【0083】
第4実施形態に係るエンコーダ160は、主軸1aの回転角を検知する角度センサSqを備えている。この構成によれば、角度センサSqの検知結果に応じて主軸1aの回転角を特定することができる。角度センサSqを備えない場合に比べて、エンコーダ160は特定可能な主軸1aの回転角の分解能を向上することができる。この作用・効果は、同様の構成を備える第2実施形態に係るエンコーダ120についても奏しうる。
【0084】
第4実施形態に係るエンコーダ160では、第1ウォームホイール12の回転に従って回転する第3ウォーム歯車30と、第3ウォーム歯車30と噛合う第3ウォームホイール32と、第3ウォームホイール32の回転に従って回転する第3回転体38の回転角を検知する角度センサSrと、を備えている。この構成によれば、角度センサSqの検知結果に応じて主軸1aの複数回の回転にわたる回転量を特定することができる。角度センサSrを備えない場合に比べて、エンコーダ160は特定可能な主軸1aの回転量の範囲を大きくすることができる。この作用・効果は、同様の構成を備える第3実施形態に係るエンコーダ140についても奏しうる。
【0085】
第4実施形態に係るエンコーダ160では、第2ウォーム歯車14および第3ウォーム歯車30が設けられる中間回転体22を備え、第2ウォーム歯車14が回転することによって中間回転体22が受ける反力の向きは、第3ウォーム歯車が回転することによって中間回転体22が受ける反力の向きとは逆に設定されている。この構成によれば、反力の方向が同じ場合に比べて両反力の合成反力を小さくすることができる。この作用・効果は、同様の構成を備える第3実施形態に係るエンコーダ140についても奏しうる。
【0086】
第4実施形態に係るエンコーダ160では、第1ウォームホイール12の外径は第1ウォーム歯車10の外径より小さく設定されている。この構成によれば、第1ウォームホイール12の外径が大きい場合に比べて、薄型化が容易である。この作用・効果は、同様の構成を備える第1~第3実施形態に係るエンコーダ100、120、140についても奏しうる。
【0087】
第4実施形態に係るエンコーダ160は、中間回転体22の主軸1aとは反対側に配置される外壁部3bを含む筐体3を備え、平面視において、中間回転体22の回転軸線Laは外壁部3bの延在方向に対して20°で傾斜している。この構成によれば、中間回転体22の回転軸線Laが傾斜していない場合に比べて、各マグネットの配置直線の外壁部3bに対する傾斜を大きくすることができる。この結果、各マグネットの間の距離が大きくなり隣り合うマグネットの漏れ磁束の影響を低減することができる。この作用・効果は、同様の構成を備える第1~第3実施形態に係るエンコーダ100、120、140についても奏しうる。
【0088】
[第5実施形態]
図13図14を参照して本発明の第5実施形態に係るエンコーダ200について説明する。図13は、第5実施形態に係るエンコーダ200の平面図である。図13図9に対応する。図14は、エンコーダ200の正面図である。図14図10に対応する。エンコーダ200は、第4実施形態に係るエンコーダ160に対して、角度センサSqおよびマグネットMqを備えておらず、主軸201a、第1回転体220、基板205、および蓋部204の形状が異なり、他の構成は同様である。第4実施形態と重複する説明を省き、相違する構成について説明する。主軸201a、第1回転体220、基板205、および蓋部204はそれぞれ主軸1a、第1回転体20、基板5、および蓋部4に対応し、同様の特徴を有する。主軸201aは、第1回転体220に設けられた開口220h、基板205に設けられた開口205h、および蓋部204に設けられた開口204hを貫通して、軸方向でモータ1から遠ざかる方向に突出している。本明細書において、エンコーダ200のように主軸がモータ1の両側に突出するものを両軸と表記し、エンコーダ160のように主軸がモータ1の片側にのみ突出するものを片軸と表記する。主軸201aは、断面が詰まっている中実のシャフトである。
【0089】
第5実施形態に係るエンコーダ200は、第4実施形態に係るエンコーダ160と同様の構成を有する部分において同様の作用・効果を奏する。第5実施形態に係るエンコーダ200では、モータ1の出力軸である主軸201aがエンコーダ200のモータ1とは反対側から突出する突出部を有しているから、その突出部に被駆動負荷を接続することができる。主軸201aがモータ1のエンコーダ200とは反対側にも突出しているいわゆる両軸の構成を実現することができる。このため、エンコーダ200は多様な用途に使用することができる。
【0090】
[第6実施形態]
図15図16を参照して本発明の第6実施形態に係るエンコーダ300について説明する。図15は、第6実施形態に係るエンコーダ300の平面図である。図15図9に対応する。図16は、エンコーダ300の正面図である。図16図10に対応する。エンコーダ300は、第5実施形態に係るエンコーダ200に対して、主軸301a、第1回転体320、基板305、および蓋部304の形状が異なり、他の構成は同様である。第5実施形態と重複する説明を省き、相違する構成について説明する。主軸301a、第1回転体320、基板305、および蓋部304はそれぞれ主軸201a、第1回転体220、基板205、および蓋部204に対応し、同様の特徴を有する。主軸201aが中実のシャフトであったのに対して、主軸301aは、中空のシャフトであり、主軸201aより大径に設定されている。主軸301aは、第1回転体320に設けられた開口320h、基板305に設けられた開口305h、および蓋部304に設けられた開口304hを貫通している。開口320h、開口305h、および開口304hは、主軸301aの大径化に対応して、開口220h、開口205h、および開口204hよりそれぞれ拡径されている。
【0091】
第6実施形態に係るエンコーダ300は、第5実施形態に係るエンコーダ200と同様の作用・効果を奏する。第6実施形態に係るエンコーダ300はモータ1の出力軸である主軸301aが中空であるから、その中空部に被駆動負荷を接続することができる。
【0092】
[第7実施形態]
図17図18を参照して本発明の第7実施形態に係るエンコーダ400について説明する。図17は、第7実施形態に係るエンコーダ400の平面図である。図17図9に対応する。図18は、エンコーダ400の正面図である。図18図10に対応する。エンコーダ400は、第4実施形態に係るエンコーダ160に対して、主軸401aおよび第1回転体420の形状が異なり、他の構成は同様である。第4実施形態と重複する説明を省き、相違する構成について説明する。
【0093】
主軸401aおよび第1回転体420は、それぞれ主軸1aおよび第1回転体20に対応し、同様の特徴を有する。主軸1aが中実のシャフトであったのに対して、主軸401aは、中空のシャフトであり、主軸1aより大径に設定されている。第1回転体320は、主軸401aの外径が大径化されたことに対応して主軸401aを環囲する部分の内径が大径化されている。第1回転体320は、中空の主軸401aの端面を覆う部分を有する。
【0094】
第7実施形態に係るエンコーダ400は、第4実施形態に係るエンコーダ160と同様の作用・効果を奏する。第7実施形態に係るエンコーダ400はモータ1の出力軸である主軸401aが中空であるから、その中空部に被駆動負荷を接続することができる。
【0095】
[第8実施形態]
図19を参照して本発明の第8実施形態に係るエンコーダ500について説明する。図19は、第8実施形態に係るエンコーダ500の平面図である。図19では、理解を容易にするため、重要でない部材や部分の図示を省いている。エンコーダ500は、第4実施形態に係るエンコーダ160に対して、中間回転体22の回転軸線Lbが外壁部3bの延在方向(X軸方向)に平行に設けられ、その分各マグネットの配置直線Lnの外壁部3bの延在方向に対する傾斜が小さく設定されている点で異なり、他の構成は同様である。第4実施形態と重複する説明を省き、相違する構成について説明する。図19の例では、各マグネットの配置直線Lnの外壁部3bの延伸方向に対する傾斜は20°に設定されている。
【0096】
第8実施形態に係るエンコーダ500は、第4実施形態に係るエンコーダ160と同様の構成を有する部分において同様の作用・効果を奏する。第8実施形態に係るエンコーダ500は、中間回転体22を短く構成することが可能になり、その分軽量化することができる。
【0097】
図20は、各実施形態によるエンコーダの仕様分類表である。図20に示すように、各実施形態のエンコーダは、多様な仕様に展開することができる。特に、基本構成を共通にして、第1回転体の形状を選択することにより、主軸の中空と中実および片軸と両軸のいずれの組み合わせの仕様にも対応することができる。また、角度センサSqのありとなしを選択することにより、主軸の回転角について高分解能と中分解能のいずれの仕様にも対応することができる。また、角度センサSrの有無を選択することにより、検知可能な主軸の回転量の範囲について広範囲と中範囲のいずれの仕様にも対応することができる。つまり、プラットフォームの共通化および構成要素の共用率向上によって設計の効率化や生産コストの低下を実現し、多様なニーズへの対応が容易になる。
【0098】
以上、本発明の各実施形態をもとに説明した。これらの実施形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求の範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0099】
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、各実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。各実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施の形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0100】
(第1変形例)
各実施形態の説明では、各マグネットがそれぞれ一体の部材である例について説明したがこれに限られない。マグネットMp、Mq、Mrは、それぞれ複数のピースを組み合わせて構成されてもよい。
【0101】
(第2変形例)
各実施形態の説明では、各歯車や各回転体が樹脂材料から形成される例について説明したがこれに限られない。これらの各歯車や各回転体の全部または一部は金属材料やその他の材料から形成されてもよい。
【0102】
上述の変形例によれば、各実施形態と同様の構成を有する部分において同様の作用・効果を奏する。
【0103】
上述した各実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0104】
1・・モータ、 1a・・主軸、 2・・ベース、 3・・筐体、 10・・第1ウォーム歯車、 12・・第1ウォームホイール、 14・・第2ウォーム歯車、 16・・第2ウォームホイール、 20・・第1回転体、 22・・中間回転体、 24・・第2回転体、 30・・第3ウォーム歯車、 32・・第3ウォームホイール、 38・・第3回転体、 40・・制御部、 100、120、140、160・・エンコーダ。
図1
図2
図3
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図5
図6
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図20