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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】AFX骨格型分子ふるいの合成
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20220404BHJP
   B01J 20/18 20060101ALI20220404BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20220404BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
C01B39/48
B01J20/18 A
B01J20/30
B01J20/28 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020505855
(86)(22)【出願日】2018-06-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 IB2018054000
(87)【国際公開番号】W WO2019048940
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】15/697,777
(32)【優先日】2017-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シエ、ダン
(72)【発明者】
【氏名】ジェンセン、カート オーウェン
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-154528(JP,A)
【文献】特表2018-531864(JP,A)
【文献】特開2016-169139(JP,A)
【文献】国際公開第2016/036590(WO,A1)
【文献】特開2016-204245(JP,A)
【文献】Chem. Mater.,2016年,28,4998-5012,DOI: 10.1021/acs.chemmater.6b01676
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20-39/54
B01J 20/18
B01J 20/30
B01J 20/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
AFX骨格型の分子ふるいを合成する方法であって、
(a)
(1)酸化ケイ素と(2)酸化アルミニウムとの組み合わされた供給源としてのゼオライトY;
(3)ナトリウムを含むが実質的にカリウムを含まない1族金属(M)の供給源;
(4)ヘキサメトニウムジカチオン、1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンジカチオン、および1,4-ビス(N-メチルピロリジニウム)ブタンジカチオンの1種以上を含む構造規定剤(Q);
(5)水酸化物イオンの供給源;および
(6)水、
を含む反応混合物を調製すること:ならびに
(b)前記反応混合物を、前記分子ふるいの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供すること、
を含み、
前記反応混合物が、モル比換算で、以下の組成を有する、方法。
【表1】
【請求項2】
前記反応混合物が、モル比換算で、以下の組成を有する、請求項1に記載の方法。
【表2】
【請求項3】
前記結晶化条件が、125℃~200℃の温度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
AFX骨格型で、かつ合成されたままの形態で、ヘキサメトニウムジカチオン、1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンジカチオン、および1,4-ビス(N-メチルピロリジニウム)ブタンジカチオンの1種以上をその細孔中に含み、5~50の範囲のSiO /Al モル比を有する、分子ふるい。
【請求項5】
5~25の範囲のSiO/Alモル比を有する、請求項に記載の分子ふるい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、AFX骨格型分子ふるいの合成に関する。
【背景技術】
【0002】
結晶性分子ふるいおよびゼオライトは、その独特なふるいの特徴と触媒特性とにより、炭化水素転化、ガス乾燥および分離などの用途に特に有用である。
【0003】
分子ふるいは、ゼオライト命名法に関するIUPAC委員会の規則に従って、国際ゼオライト協会の構造委員会によって分類されている。この分類によると、構造が確立された骨格型ゼオライトおよび他の結晶性微細孔性分子ふるいには、3文字のコードが割り当てられ、それは、「Atlas of Zeolite Framework Types」、改訂第6版、Elsevier(2007)に記載されている。
【0004】
構造が確立された既知の分子ふるいの1つは、AFXと呼ばれる材料であり、これは、四面体配位原子の8員環によって形成される交差チャネルによって規定される細孔を有する分子ふるいであり、約3.4Å~約3.6Åの断面寸法を有する。AFX骨格型分子ふるいの例には、SAPO-56およびSSZ-16が含まれる。AFX骨格型分子ふるいは、潜在的に、例えば二酸化炭素からメタンの収着分離、ならびに酸素化合物のオレフィンへの転化(OTO)および燃焼排ガス中のNOxの選択的還元を含む化学反応の触媒作用に有用な可能性があり、そこでは、小さい細孔サイズが望まれている。
【0005】
米国特許第4,508,837号には、ゼオライトSSZ-16、および1,4-ジ(1-アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)低級アルカン化合物から誘導される有機窒素含有種の存在下におけるその合成が開示されている。
【0006】
米国特許第5,194,235号には、DABCO-Cn-ジクワットカチオンを含む反応混合物からのゼオライトSSZ-16の合成が開示されており、式中、DABCOは1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを表し、nは3、4、または5である。
【0007】
米国特許第5,370,851号には、N、N、N’N’-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミンを含む反応混合物からの分子ふるいSAPO-56の合成が開示されている。
【0008】
米国特許第8,562,942号には、構造規定剤(structure directing agent)として1,3-ビス(1-アダマンチル)イミダゾリウムカチオンを使用するアルミノケイ酸塩AFX骨格型ゼオライトの合成が開示されている。
【0009】
本開示によれば、今では、ヘキサメトニウムジカチオン、1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンジカチオン、および1,4-ビス(N-メチルピロリジニウム)ブタンジカチオンが、AFX骨格型分子ふるいの合成における構造規定剤として有効であり得ることが見出された。
【発明の概要】
【0010】
一態様では、AFX骨格型の分子ふるいを合成する方法であって、(a)(1)酸化ケイ素の供給源;(2)酸化アルミニウムの供給源;(3)ナトリウムを含むが実質的にカリウムを含まない1族金属の供給源;(4)ヘキサメトニウムジカチオン、1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンジカチオン、および1,4-ビス(N-メチルピロリジニウム)ブタンジカチオンのうち1種以上を含む構造規定剤;(5)水酸化物イオンの供給源;および(6)水、を含む反応混合物を調製すること、ならびに(b)前記反応混合物を、前記分子ふるいの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供すること、を含む方法を提供する。
【0011】
別の態様では、AFX骨格型で、かつ合成されたままの形態で、ヘキサメトニウムジカチオン、1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンジカチオン、および1,4-ビス(N-メチルピロリジニウム)ブタンジカチオンのうち1種以上をその細孔中に含む、結晶性分子ふるいを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、例1で調製した合成されたままの分子ふるいの粉末X線回折(XRD)パターンである。
【0013】
図2図2は、例1で調製した合成されたままの分子ふるいの走査電子顕微鏡写真(SEM)画像である。
【0014】
詳細な説明
序論
「骨格型」の用語は、「Atlas of Zeolite Framework Types」、改訂第6版、Elsevier(2007)に記載されている意味で使用される。
【0015】
「合成されたままの」の用語は、本明細書では、結晶化後で、構造規定剤を除去する前の形態の分子ふるいを指すために使用される。
【0016】
「無水形態」の用語は、本明細書では、物理的に吸着された水と化学的に吸着された水の両方を実質的に含まない分子ふるいを指すために使用される。
【0017】
本明細書で使用する場合、周期表の族の番号付け体系は、Chem.Eng.News 1985、63(5)、26~27に開示されている。
【0018】
反応混合物
一般に、AFX骨格型分子ふるいは、(a)(1)酸化ケイ素の供給源;(2)酸化アルミニウムの供給源;(3)ナトリウムを含むが実質的にカリウムを含まない1族金属(M)の供給源;(4)ヘキサメトニウムジカチオン、1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンジカチオン、および1,4-ビス(N-メチルピロリジニウム)ブタンジカチオンのうち1種以上を含む構造規定剤;(5)水酸化物イオンの供給源;および(6)水、を含む反応混合物を調製すること、ならびに(b)前記反応混合物を、前記分子ふるいの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供すること、により合成することができる。
【0019】
分子ふるいが形成される反応混合物の組成を、モル比換算で、以下の表1に特定する。
【表1】
【0020】
酸化ケイ素の適切な供給源には、コロイダルシリカ、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、アルカリ金属ケイ酸塩およびテトラアルキルオルトケイ酸塩が含まれる。
【0021】
酸化アルミニウムの適切な供給源には、水和アルミナおよび水溶性アルミニウム塩(例えば、硝酸アルミニウム)が含まれる。
【0022】
酸化ケイ素と酸化アルミニウムとが組み合わされた供給源を、追加的にまたは代替的に使用することができ、これには、アルミノケイ酸塩ゼオライト(例えば、ゼオライトY)およびクレイまたは処理したクレイ(例えば、メタカオリン)が含まれ得る。
【0023】
1族金属(M)はナトリウムを含む。金属(M)は一般的に、反応混合物中に水酸化物として存在する。
【0024】
特定の態様では、1族金属(M)には、実質的にカリウムが含まれない場合がある(例えば、カリウムは、Mの5重量%未満であり、例えば、2.5重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、または0重量%である。)。追加的にまたは代替的に、反応混合物には添加によるカリウムが含まれない場合がある。反応混合物の成分の1種以上の中には、不純物としてカリウムが存在する可能性もあるが、反応混合物にカリウムを導入するための成分を、特に添加することはない。
【0025】
構造規定剤(Q)には、それぞれ以下の構造(1)、(2)および(3)によって表される、ヘキサメトニウムジカチオン、1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンジカチオン、および1,4-ビス(N-メチルピロリジニウム)ブタンジカチオンのうち1種以上が含まれる。
【化1】
【0026】
Qの適切な供給源は、ジ第四級アンモニウム化合物の水酸化物、塩化物、臭化物、および/または他の塩である。
【0027】
さらに、反応混合物には、水酸化ナトリウムなどの水酸化物イオンの供給源も含まれる。さらに、水酸化物は、構造規定剤の対イオンとしても存在し得る。
【0028】
さらに、反応混合物は、SSZ-16などの分子ふるい材料の種を、望ましくは、反応混合物の0.01~10,000重量ppm(例えば、100~5000重量ppm)の量で含み得る。
【0029】
本明細書に記載の各実施形態の場合、分子ふるい反応混合物を、複数の供給源から供給することができる。さらに、2つ以上の反応成分を1つの供給源から供給することもできる。
【0030】
反応混合物は、バッチ式または連続的のいずれかで調製することができる。本明細書に記載の分子ふるいの結晶サイズ、形態、および結晶化時間は、反応混合物の性質および合成条件によって変化し得る。
【0031】
結晶化および合成後の処理
上記の反応混合物からの分子ふるいの結晶化は、例えば、ポリプロピレンジャーまたはテフロン内張りまたはステンレス鋼製オートクレーブなどの適切な反応容器内で、静止した状態または撹拌下の状態で、125℃~200℃の温度で、使用した温度で結晶化が起こるのに十分な時間(例えば、10~480時間、または24~240時間)行なうことができる。結晶化は典型的には、自原生(autogenous)の圧力下の閉鎖系で行われる。
【0032】
分子ふるいの結晶が形成された後、その固体生成物は、遠心分離またはろ過などの標準的な機械的分離技術によって反応混合物から回収される。結晶を水洗し、次に、乾燥させて、合成されたままの分子ふるいの結晶を得る。乾燥ステップは、大気圧でまたは真空下で行なうことができる。乾燥ステップは典型的には、200℃未満の温度で行なわれる。
【0033】
結晶化プロセスの結果として、回収された結晶性分子ふるいの生成物には、その細孔構造内に、その合成に使用した構造規定剤の少なくとも一部が含まれる。
【0034】
本明細書に記載したように調製した合成されたままの分子ふるいを、後続する処理に供して、その合成に使用した有機構造規定剤の一部またはすべてを除去することができる。これは、合成されたままの材料を、少なくとも370℃の温度に、少なくとも1分間かつ通常は24時間以内、加熱することができる、熱処理によって都合よく行なうことができる。熱処理には、大気圧以下及び/又は大気圧以上を使用することができるが、大気圧が便宜上の理由から望ましい場合がある。熱処理は、925℃までの温度で行なうことができる。追加的に又は代替的に、有機構造規定剤はオゾンを用いる処理によって除去することができる(参照:例えば、A.N.Parikhら、Micropor.Mesopor.Mater.2004、76、17~22)。
【0035】
所望の程度にまで、合成されたままの分子ふるい中の元の1族の金属カチオン(例えば、Na)は、他のカチオンとのイオン交換によって、当技術分野で周知の技術に従って置換することができる。適切な置換するカチオンには、金属イオン、水素イオン、水素前駆体(例えば、アンモニウムイオン)及びそれらの組み合わせが含まれる。好ましい置換するカチオンには、特定の化学転化反応に触媒活性を適合させるものが含まれ得る。これらには、水素、希土類金属、および元素周期表の2~15族の金属が含まれる。
【0036】
本発明の分子ふるいは、最終的な触媒に追加的な硬度または触媒活性をもたらす結合剤および/またはマトリクス材料などの他の材料と組み合わせることにより、触媒組成物に配合させることができる。
【0037】
本発明の分子ふるいとブレンドすることができる材料には、様々な不活性または触媒活性材料が含まれる。これらの材料には、カオリンおよび他のクレイ、様々な形態の希土類金属、他の非ゼオライト触媒成分、ゼオライト触媒成分、アルミナまたはアルミナゾル、チタニア、ジルコニア、石英、シリカまたはシリカゾル、ならびにそれらの混合物などの組成物が含まれる。さらに、これらの成分は、触媒全体のコストを削減し、再生中に触媒を遮熱するのを助ける熱シンクとして機能し、触媒を高密度化し、そして触媒強度を高めるのにも効果的である。そのような成分とブレンドする場合、最終的な触媒生成物に含まれるAFX骨格型分子ふるいの量は、触媒全体の1~90重量%(例えば、2~80重量%)の範囲であり得る。
【0038】
分子ふるいの特徴付け
合成されたままでかつ無水形態では、本明細書に記載したようにして調製したAFX骨格型分子ふるいは、モル比換算で、表2に記載の化学組成を有する。
【表2】
【0039】
合成されたままの形態の分子ふるいは、該合成されたままの形態のものを調製するのに使用した反応混合物中の反応物のモル比とは異なるモル比を有し得ることに留意すべきである。この結果は、反応混合物中の100%の反応物が、(該反応混合物から)形成された結晶中に完全には取り込まれなかったために起こり得る。
【0040】
本明細書に開示の方法により合成されるAFX骨格型分子ふるいは、それらの粉末X線回折パターンにより特徴付けられる。AFX骨格型分子ふるいを表わす粉末XRDパターンは、国際ゼオライト協会の構造委員会のために発行された「Collection of Simulated XRD Powder Patterns for Zeolites」改訂第5版,Elsevier(2007)にて参照することができる。
【0041】
X線回折パターンの小さい変動は、格子定数の変化によって特定のサンプルの骨格種のモル比が変動することから生じ得る。更に、十分に小さい結晶は、ピークの形や強度に影響して、ピークはかなり拡がるであろう。さらに、XRDパターンの小さい変動は、調製に使用した有機化合物の変動からも生じ得る。さらに、か焼によっても、XRDパターンに小さなシフトが生じ得る。これらの小さい変動にもかかわらず、基本的な結晶格子は不変のまま維持される。
【0042】
本明細書に提示した粉末XRDパターンを、標準的な技術によって収集した。放射線はCuKα線であった。ピーク高さと位置を、θがブラッグ角のとき2θの関数として、ピークの相対強度から読取り(バックグラウンドについて調整し)、そしてd、つまり記録された線に対応する面間隔を算出することができる。
【実施例
【0043】
以下の例示的な例は、非限定的であることを意図している。
【0044】
例1
27.20gの脱イオン水、1.55gの50%NaOH溶液、8.57gの20%水酸化ヘキサメトニウム溶液および3.00gのCBV760 Yゼオライト粉末(Zeolyst International、SiO/Alモル比=60)をテフロンライナー中で一緒に混合した。得られたゲルを均質になるまで攪拌した。次に、ライナーに蓋をして、Parr鋼製オートクレーブ反応器内に置いた。次に、オートクレーブを150℃に加熱したオーブン中に3日間、置いた。固体生成物を、冷却した反応器から遠心分離により回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0045】
生成物を、粉末XRDおよびSEMにより分析した。図1の粉末XRDパターンは、純粋なAFX骨格型分子ふるいである生成物と一致している。図2のSEM画像は、結晶の一様な視野を示す。
【0046】
生成物は、ICP元素分析により測定して、12.55のSiO/Alモル比を有していた。
【0047】
例2
5.23gの脱イオン水、0.39gの50%NaOH溶液、0.48gの20%水酸化ヘキサメトニウム溶液および0.50gのCBV760 Yゼオライト粉末(Zeolyst International、SiO/Alモル比=60)をテフロンライナー中で一緒に混合した。得られたゲルを均質になるまで攪拌した。次に、ライナーに蓋をして、Parr鋼製オートクレーブ反応器内に置いた。次に、オートクレーブを150℃に加熱したオーブン中に3日間、置いた。固体生成物を、冷却した反応器から遠心分離により回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0048】
粉末XRDは、生成物が純粋なAFX骨格型分子ふるいであることを示した。
【0049】
生成物は、ICP元素分析により測定して、11.91のSiO/Alモル比を有していた。
【0050】
例3
10.46gの脱イオン水、0.77gの50%NaOH溶液、0.95gの20%水酸化ヘキサメトニウム溶液および1.00gのCBV780 Y-ゼオライト粉末(Zeolyst International、SiO/Alモル比=80)をテフロンライナー中で一緒に混合した。得られたゲルを均質になるまで撹拌した。次に、ライナーに蓋をして、Parr鋼製オートクレーブ反応器内に置いた。次に、オートクレーブを150℃に加熱したオーブン中に3日間、置いた。固体生成物を、冷却した反応器から遠心分離により回収し、脱イオン水で洗浄して、95℃で乾燥させた。
【0051】
粉末XRDは、生成物が純粋なAFX骨格型分子ふるいであることを示した。
【0052】
生成物は、ICP元素分析により測定して、13.11のSiO/Alモル比を有していた。
【0053】
例4
4.56gの脱イオン水、0.19gの50%NaOH溶液、1.43gの20%水酸化ヘキサメトニウム溶液および0.50gのCBV720 Y-ゼオライト粉末(Zeolyst International、SiO/Alモル比=30)をテフロンライナー中で一緒に混合した。得られたゲルを均質になるまで攪拌した。次に、ライナーに蓋をして、Parr鋼製オートクレーブ反応器内に置いた。次に、オートクレーブを150℃に加熱したオーブン中に3日間、置いた。固体生成物を、冷却した反応器から遠心分離により回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0054】
粉末XRDは、生成物が純粋なAFX骨格型分子ふるいであることを示した。
【0055】
生成物は、ICP元素分析により測定して、11.24のSiO/Alモル比を有していた。
【0056】
例5
例1の合成されたままの分子ふるいを、マッフル炉内で1℃/分の速度で540℃に加熱した空気流下でか焼して、540℃で5時間保持し、周囲温度に冷却した。
【0057】
か焼した生成物の微細孔容積は、窒素物理吸着を使用して測定し、データはB.E.T.法で分析した。測定した微細孔容積は0.23cm/gであった。
【0058】
例6
4.55gの脱イオン水、0.16gの50%NaOH溶液、0.05gの45%KOH溶液、1.43gの20%水酸化ヘキサメトニウム溶液および0.50gのCBV760 Y-ゼオライト粉末(Zeolyst International、SiO/Alモル比=60)をテフロンライナー中で一緒に混合した。得られたゲルを均質になるまで攪拌した。次に、ライナーに蓋をして、Parr鋼製オートクレーブ反応器内に置いた。次に、オートクレーブを150℃に加熱したオーブン中に3日間、置いた。固体生成物を、冷却した反応器から遠心分離により回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0059】
粉末XRDは、生成物が純粋なERI骨格型分子ふるいであることを示した。
【0060】
例7
25.88gの脱イオン水、1.16gの50%NaOH溶液、10.46gの20%1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンヒドロキシド溶液および3.00gのCBV760 Y-ゼオライト粉末(Zeolyst International、SiO/Alモル比=60)をテフロンライナー中で一緒に混合した。得られたゲルを均質になるまで攪拌した。次に、ライナーに蓋をして、Parr鋼製オートクレーブ反応器内に置いた。次に、オートクレーブを150℃に加熱したオーブン中に4日間、置いた。固体生成物を、冷却した反応器から遠心分離により回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0061】
粉末XRDは、生成物が純粋なAFX骨格型分子ふるいであることを示した。
【0062】
生成物は、ICP元素分析により測定して、13.91のSiO/Alモル比を有していた。
【0063】
例8
30.87gの脱イオン水、2.32gの50%NaOH溶液、3.49gの20%1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンヒドロキシド溶液および3.00gのCBV760 Y-ゼオライト粉末(Zeolyst International、SiO/Alモル比=60)をテフロンライナー中で一緒に混合した。得られたゲルを均質になるまで攪拌した。次に、ライナーに蓋をして、Parr鋼製オートクレーブ反応器内に置いた。次に、オートクレーブを150℃に加熱したオーブン中に3日間、置いた。固体生成物を、冷却した反応器から遠心分離により回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0064】
粉末XRDは、生成物が純粋なAFX骨格型分子ふるいであることを示した。
【0065】
生成物は、ICP元素分析により測定して、13.05のSiO/Alモル比を有していた。
【0066】
例9
20.76gの脱イオン水、1.55gの50%NaOH溶液、2.10gの20%1,4-ビス(N-メチルピロリジニウム)ブタンヒドロキシド溶液および2.00gのCBV760 Y-ゼオライト粉末(Zeolyst International、SiO/Alモル比=60)をテフロンライナー中で一緒に混合した。得られたゲルを均質になるまで攪拌した。次に、ライナーに蓋をして、Parr鋼製オートクレーブ反応器内に置いた。次に、オートクレーブを150℃に加熱したオーブン中に3日間、置いた。固体生成物を、冷却した反応器から遠心分離により回収し、脱イオン水で洗浄し、95℃で乾燥させた。
【0067】
粉末XRDは、生成物が純粋なAFX骨格型分子ふるいであることを示した。
【0068】
生成物は、ICP元素分析により測定して、12.23のSiO/Alモル比を有していた。
なお、下記[1]から[7]は、いずれも本発明の一形態又は一態様である。
[1]
AFX骨格型の分子ふるいを合成する方法であって、
(a)
(1)酸化ケイ素の供給源;
(2)酸化アルミニウムの供給源;
(3)ナトリウムを含むが実質的にカリウムを含まない1族金属(M)の供給源;
(4)ヘキサメトニウムジカチオン、1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンジカチオン、および1,4-ビス(N-メチルピロリジニウム)ブタンジカチオンの1種以上を含む構造規定剤(Q);
(5)水酸化物イオンの供給源;および
(6)水、
を含む反応混合物を調製すること:ならびに
(b)前記反応混合物を、前記分子ふるいの結晶を形成するのに十分な結晶化条件に供すること、
を含む方法。
[2]
前記反応混合物が、モル比換算で、以下の組成を有する、[1]に記載の方法。
【表3】

[3]
前記反応混合物が、モル比換算で、以下の組成を有する、[1]に記載の方法。
【表4】

[4]
前記結晶化条件が、125℃~200℃の温度を含む、[1]に記載の方法。
[5]
AFX骨格型で、かつ合成されたままの形態で、ヘキサメトニウムジカチオン、1,6-ビス(N-メチルピロリジニウム)ヘキサンジカチオン、および1,4-ビス(N-メチルピロリジニウム)ブタンジカチオンの1種以上をその細孔中に含む、分子ふるい。
[6]
5~50の範囲のSiO /Al モル比を有する、[5]に記載の分子ふるい。
[7]
5~25の範囲のSiO /Al モル比を有する、[5]に記載の分子ふるい。
図1
図2