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特許7052019放射放出半導体デバイスおよび放射放出半導体デバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】放射放出半導体デバイスおよび放射放出半導体デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/026 20060101AFI20220404BHJP
   H01S 5/183 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
H01S5/026 610
H01S5/183
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020515028
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2018075488
(87)【国際公開番号】W WO2019063412
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】102017122325.8
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514272140
【氏名又は名称】オスラム オーエルイーディー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】OSRAM OLED GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, 93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エンツマン ローラント ハインリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ハルブリッター フーベルト
(72)【発明者】
【氏名】ベリンガー マルチン ルドルフ
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-311861(JP,A)
【文献】特開2003-318485(JP,A)
【文献】特開2012-023375(JP,A)
【文献】特開2002-026452(JP,A)
【文献】特開2002-141556(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0153306(US,A1)
【文献】特開2010-62267(JP,A)
【文献】特開2006-66538(JP,A)
【文献】特開2001-156396(JP,A)
【文献】特表2012-511824(JP,A)
【文献】特開2003-188460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射放出半導体デバイス(1)であって、
- 放射を生成する目的で設けられている活性領域(20)を有する半導体ボディ(2)と、
- 前記半導体ボディが上に配置されているキャリア(3)と、
- 貫通部を有する光学素子(4)と、
を備えており、
前記光学素子が直接接合結合部によって前記半導体ボディに取り付けられており、
前記貫通部が、前記半導体ボディの電気的接触のためのコンタクトを露出補助接合層が、前記半導体ボディと前記光学素子との間に配置されており、前記補助接合層は、前記活性領域において生成される放射に対して透過性である、
放射放出半導体デバイス。
【請求項2】
前記キャリアおよび前記光学素子が、前記半導体デバイスの境界を画成している側面(11)と、端面が同一平面内にある、
請求項1に記載の放射放出半導体デバイス。
【請求項3】
ミラー領域(7)が前記活性領域と前記光学素子との間に配置されている、
請求項1または請求項2に記載の放射放出半導体デバイス。
【請求項4】
前記ミラー領域が、前記活性領域と前記直接接合結合部との間に配置されている、
請求項3に記載の放射放出半導体デバイス。
【請求項5】
前記ミラー領域が、前記直接接合結合部と前記光学素子との間に配置されている、
請求項3に記載の放射放出半導体デバイス。
【請求項6】
前記活性領域が、複数のセグメント(20A,20B)に分割されており、前記光学素子が、前記複数のセグメントの上方に連続的に延在している、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の放射放出半導体デバイス。
【請求項7】
- 前記半導体デバイスの、外部から電気的に接触するための前記コンタクト(5)が、前記光学素子の側の前記半導体ボディの面に配置されており、
- 前記直接接合結合部が、前記半導体ボディの側の面において、前記補助接合層(61)に隣接しており、
- 前記補助接合層が、前記コンタクトを完全に覆っており、かつ部分的に、前記コンタクトより大きい垂直方向範囲を有する、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の放射放出半導体デバイス。
【請求項8】
前記コンタクトは、環状に形成されており、前記コンタクトは、少なくとも部分的に前記補助接合層から開放されている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の放射放出半導体デバイス。
【請求項9】
複数の放射放出半導体デバイスを製造する方法であって、
a) 放射を生成する目的で設けられる活性領域(20)を有し、かつ第1の界面(81)を有する半導体積層体(29)を、キャリア(3)の上に設けるステップであって、コンタクトが前記半導体積層体の上に配置される、設けるステップと、
b) 第2の界面(82)を有する光学系担体(49)を設けるステップと、
c) 前記第1の界面と前記第2の界面との間に直接接合結合部(6)を作製するステップと、
d) 前記複数の放射放出半導体デバイス(1)に分離するステップであって、前記放射放出半導体デバイスそれぞれが、前記キャリアの一部と、前記半導体積層体の一部と、前記光学系担体の一部とを備えており、前記コンタクトが、ステップc)においては前記光学系担体によって覆われており、ステップc)の後に露出する、分離するステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
ステップd)において、前記光学系担体および前記キャリアが切断される、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップc)の前に、前記第1の界面および/または前記第2の界面が化学機械的に研磨される、
請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップc)の前に、前記コンタクト(5)と、前記コンタクトを覆う補助接合層(61)とが、前記半導体積層体の上に配置され、前記補助接合層が化学機械的に研磨される、
請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ステップc)の後に、前記キャリアとは反対側の前記光学系担体の放射出口面(40)が形成される、
請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ステップc)の前に、前記光学系担体が複数の光学素子(4)を備えている、
請求項9から請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の放射放出半導体デバイス(1)が製造される、
請求項9から請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、放射放出半導体デバイスと、放射放出半導体デバイスを製造する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ビーム整形を目的として、放射放出半導体チップの上に光学素子がしばしば配置される。しかしながら、このような光学素子を個々に組み立てることは、特に、高い位置決め精度が要求されるときには高コストであり、時間がかかり、かつ複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、容易かつ高い信頼性で製造され、良好な放射特性を特徴とする半導体デバイスを開示することである。さらに、半導体デバイスを効率的かつ高い精度で製造することのできる方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの目的は、独立請求項に係る放射放出半導体デバイスまたは方法によって解決される。さらなる発展形態および利点は、従属請求項の主題である。
【0005】
放射放出半導体デバイスを開示する。
【0006】
本放射放出半導体デバイスの少なくとも一実施形態によれば、本放射放出半導体デバイスは、放射を生成する目的で設けられている活性領域を有する半導体ボディ、を有する。活性領域は、例えば、特にエピタキシャルに堆積されている半導体積層体の一部である。例えば、活性領域は、第1の半導体領域と第2の半導体領域との間に配置されており、第1の半導体領域と第2の半導体領域が、少なくとも部分的に、導電型に関して互いに異なっており、したがって、活性領域はpn接合部に位置している。活性領域は、例えば、紫外スペクトル領域、可視スペクトル領域、または赤外スペクトル領域における電磁放射を生成するように意図されている。
【0007】
本放射放出半導体デバイスの少なくとも一実施形態によれば、本放射放出半導体デバイスは、半導体ボディが上に配置されているキャリアを有する。キャリアは、特に、半導体ボディを機械的に安定させる役割を果たす。このキャリアは、例えば、半導体ボディをエピタキシャルに堆積させるための成長基板である、または、成長基板とは異なるキャリアである。
【0008】
本放射放出半導体デバイスの少なくとも一実施形態によれば、本放射放出半導体デバイスは、光学素子を有する。この光学素子は、特に、活性領域から放出された放射を、所定の放射特性(特に、空間放射特性)に従って整形する(例えば、焦点を合わせる、平行にする、または広げる)ように意図されている。この光学素子は、特に、活性領域において生成される放射に対して透過性であるように形成されている。
【0009】
本放射放出半導体デバイスの少なくとも一実施形態によれば、光学素子は、直接接合結合(direct bonding connection)によって半導体ボディに取り付けられている。
【0010】
直接接合結合の場合、特に、互いに結合される結合要素(事前に作製される)は、原子間力および/または分子間力によって、特に、水素結合および/またはファンデルワールス相互作用によって、互いに保持される。直接接合結合は、一般には、単に圧力および/または温度の影響下で、2つの平坦な界面の間に形成される。直接接合結合には、接着層やはんだ層などの接合層が必要ない。このような接合層における吸収損失を回避することができる。
【0011】
間に直接接合結合が形成される界面は、最大で5nm、特に、最大で3nm、または最大で1nmの二乗平均平方根粗さ(RMS粗さとしても知られている)を有することが好ましい。
【0012】
半導体ボディと光学素子は、必ずしも互いに直接隣接している必要はない。例えば、半導体ボディと光学素子との間に1層または2層の補助接合層を配置することができる。補助接合層としては、例えば酸化物層(二酸化珪素を含む層など)が適切である。補助接合層は、活性領域において生成される放射に対して、例えば少なくとも90%ないし少なくとも95%の透過率において透過性であるように形成されていることが有利である。このことは、設けることのできる任意のさらなる補助接合層についても同様にあてはまる。
【0013】
本放射放出半導体デバイスの少なくとも一実施形態においては、本放射放出半導体デバイスは、放射を生成する目的で設けられている活性領域を有する半導体ボディと、半導体ボディが上に配置されているキャリアと、光学素子と、を備えており、光学素子は、直接接合結合によって半導体ボディに取り付けられている。
【0014】
本放射放出半導体デバイスの製造時、複数の半導体デバイスの光学素子と半導体ボディとの間の直接接合結合部を、複合体において同時に作製することができる。これと同時に、直接接合結合部は、特に、広い温度範囲にわたる高い信頼性を特徴とする。複合体における取付けは、特に、個々の半導体ボディに個々の光学素子を個別に取り付ける場合と比較して、特に高い精度で達成することができる。例えば光学素子は、関連する半導体ボディに1μm以下の精度で取り付けられる。
【0015】
本放射放出半導体デバイスの少なくとも一実施形態によれば、キャリアおよび光学素子は、本半導体デバイスの境界を画成している側面と、端面が同一平面内にある。本放射放出半導体デバイスの製造時、キャリアおよび光学素子を、共通の分離ステップにおいて切断することができる。したがってキャリアおよび光学素子は、分離工程の特徴的な痕跡、例えば機械的な材料除去の痕跡(ソーマークなど)、または化学的な材料除去の痕跡、またはコヒーレント放射(レーザ分離工程など)による材料除去の痕跡、を有することがある。
【0016】
さらには、キャリア、光学素子、および半導体ボディは、本半導体デバイスの境界を画成している側面と、端面が同一平面内にあることが好ましい。半導体ボディは、キャリアと光学素子との間に配置されていることが好ましい。すなわち、半導体ボディの側面が、キャリアの側面と、光学素子の側面と同一平面内にあることが好ましい。さらに、キャリア、光学素子、および半導体ボディを、本放射放出半導体デバイスの製造時に共通の分離ステップにおいて切断することができる。したがって、キャリア、光学素子、および半導体ボディは、分離工程の特徴的な痕跡、例えば機械的な材料除去の痕跡(ソーマークなど)、または化学的な材料除去の痕跡、またはコヒーレント放射(レーザ分離工程など)による材料除去の痕跡、を有することがある。
【0017】
本放射放出半導体デバイスの少なくとも一実施形態によれば、活性領域と光学素子との間にミラー領域が配置されている。ミラー領域は、例えばブラッグミラーとして形成されている。例えば、ミラー領域は、活性領域が位置している共振器の一部である。本放射放出半導体デバイスは、例えば、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL:vertical cavity surface emitting laser)または共振型発光ダイオード(RCLED:resonant cavity light emitting diode)である。
【0018】
本放射放出半導体デバイスの少なくとも一実施形態によれば、ミラー領域は、活性領域と直接接合結合部との間に配置されている。したがって本放射放出半導体デバイスの製造時、ミラー領域と活性領域は直接接合結合部の同じ側に位置する。ミラー領域は、例えば、半導体ボディの一部である、または光学素子の側の半導体ボディの面に配置されている。
【0019】
半導体ボディの外側に配置されているミラー領域は、例えば、複数の誘電体層によって形成されている。半導体ボディに組み込まれるブラッグミラーとは異なり、誘電体ブラッグミラー(dielectric Bragg mirror)の個々の層は、屈折率の比較的大きな差を示すことができ、したがって高い効率のブラッグミラーを簡易化された方法で作製することができる。
【0020】
半導体ボディに組み込まれるブラッグミラーは、特に、導電性(例えばp型導電性またはn型導電性)に形成することができる。活性領域の電気的接触は、ミラー領域を通じて形成することができる。
【0021】
本放射放出半導体デバイスの少なくとも一実施形態によれば、ミラー領域は、直接接合結合部と光学素子との間に配置されている。本放射放出半導体デバイスの製造時、たとえ直接接合結合部が作製される前にも、光学素子上にミラー領域を形成することができる。
【0022】
本放射放出半導体デバイスの少なくとも一実施形態によれば、活性領域は、複数のセグメントに分割されている。特に、これらのセグメントを、互いに独立して外部から電気的に制御することができる。例えば、大部分のセグメントが、1次元マトリクスまたは2次元マトリクスにおいて横方向に互いに隣り合って配置されている。特に、光学素子は、大部分のセグメントの上方に連続的に延在していることができる。例えば、光学素子は、各セグメントに対する光学セグメント(optical segment)を有し、これらの光学セグメントは、それらのビーム整形に関して同一に、または異なるように形成することができる。
【0023】
外部から電気的に接触するために、本放出半導体デバイスは、少なくとも2つのコンタクトを有する。これらのコンタクトの間に外部電圧を印加することによって、電荷キャリアが活性領域に相異なる側から入ることができ、活性領域で再結合して放射を放出する。
【0024】
本放射放出半導体デバイスの少なくとも一実施形態によれば、本半導体デバイスの、外部から電気的に接触するためのコンタクトは、光学素子の側の半導体ボディの面に配置されている。直接接合結合部は、特に、半導体ボディの側の面において、補助接合層に隣接している。補助接合層は、コンタクトを完全に覆っており、かつ例えば、コンタクトより大きい垂直方向範囲を部分的に有する。補助接合層は、例えば本放射放出半導体デバイスの製造時、光学素子の側の表面を平坦化する役割を果たす。
【0025】
光学素子の側の面に配置されているコンタクトは、例えば環状に形成されており、したがって活性領域において生成された放射が環の開口部を通じて出ることができる。
【0026】
本放射放出半導体デバイスの少なくとも一実施形態によれば、本放射放出半導体デバイスは、外部から電気的に接触するための2つのコンタクトを、光学素子とは反対側の半導体ボディの面に(例えば半導体ボディとは反対側のキャリアの面に)有する。特に、光学素子の側の半導体ボディの面に、電気コンタクトがまったく存在しないようにすることができる。この場合、光学素子も半導体ボディを完全に覆うことができる。
【0027】
さらに、放射放出半導体デバイスを製造する方法を開示する。
【0028】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、放射を生成する目的で設けられる活性領域と、第1の界面とを有する半導体積層体を、キャリアの上に設ける。この界面は、半導体積層体によって形成する、または半導体積層体の上に配置されている層(例えば補助接合層)によって形成することができる。半導体積層体を、複数の半導体ボディにすでに分割しておくことができる。半導体ボディの活性領域を、複数のセグメントに分割することができる。
【0029】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、本方法は、第2の界面を有する光学系担体(optics carrier)を設けるステップ、を含む。第2の界面は、光学系担体によって形成する、または光学系担体の上に配置される層(例えばさらなる補助接合層)によって形成することができる。
【0030】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、本方法は、第1の界面と第2の界面との間に直接接合結合部を作製するステップ、を含む。これにより、半導体積層体を有するキャリアと、その一方で光学系担体を有する複合体、が形成される。
【0031】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、本方法は、複数の放射放出半導体デバイスへの分離を行うステップであって、放射放出半導体デバイスそれぞれが、キャリアの一部と、半導体積層体の一部と、光学系担体の一部とを備えている、ステップ、を含む。特に、半導体積層体から各放射放出半導体デバイスの半導体ボディが形成され、光学系担体から各光学素子が形成される。
【0032】
直接接合結合部の作製時、例えばキャリアおよび/または光学系担体に(特に、それぞれの縁部領域に)配置される位置合わせマーク(alignment mark)を使用することによって、キャリアおよび光学系担体を互いに対して高い精度で位置決めすることができる。
【0033】
本方法の少なくとも一実施形態においては、放射を生成する目的で設けられる活性領域と、第1の界面とを有する半導体積層体を、キャリア上に設ける。第2の界面を有する光学系担体を設ける。第1の界面と第2の界面との間に直接接合結合部を作製する。複数の放射放出半導体デバイスへの分離を実行し、この場合、放射放出半導体デバイスそれぞれが、キャリアの一部と、半導体積層体の一部と、光学系担体の一部とを備えている。
【0034】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、分離時、特に、共通の分離ステップにおいて、光学系担体およびキャリアを切断する。このような半導体デバイスにおいては、半導体ボディおよび関連する光学素子の端面を、少なくとも部分的に、半導体デバイスの側面と同一平面内にすることができる。
【0035】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、直接接合結合部を作製する前に、第1の界面および/または第2の界面を平滑化する、特に、化学機械的に研磨する。このような工程(CMP工程としても知られている)では、特に滑らかな表面を、高い効率かつ高い精度で作製することができる。
【0036】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、半導体積層体の上にコンタクトを配置し、この場合、このコンタクトは、直接接合結合部の作製時には光学系担体によって覆われており、直接接合結合部の作製後に露出させる。光学系担体を、部分的に垂直方向に(すなわち活性領域の主延在面に垂直に)完全に除去することができる。
【0037】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、コンタクトおよび(コンタクトを覆う)補助接合層を、半導体積層体の上に配置し、この場合、直接接合結合部を作製する前に、補助接合層を化学機械的に研磨する。これにより、平坦な第1の界面の作製が簡易化される。研磨後、補助接合層が依然としてコンタクトを完全に覆っていることができる。したがって補助接合層は、直接接合結合部の界面を継続的に形成している。これに代えて、平滑化の後にコンタクトを少なくとも部分的に、または完全に露出させることも考えられる。
【0038】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、直接接合結合部を作製した後に、キャリアとは反対側の光学系担体の放射出口面を形成する。直接接合結合部を作製する時点では、光学系担体が、特に、平坦な光学系担体(それ自体は何らのビーム整形特性を有さない)として形成されていることができる。したがって、半導体積層体に光学系担体を取り付けた後に初めて光学素子を形成する。この場合、直接接合結合部を作製する前に、光学系担体をキャリアに対する高い精度で配置するステップを省くことができる。
【0039】
本方法の少なくとも一実施形態によれば、直接接合結合部を作製する前に、光学系担体は複数の光学素子を有する。したがって直接接合結合部を作製した後、分離時に光学系担体を切断する以外には、光学素子を形成するためのさらなるステップが必要ない。
【0040】
本方法は、上述した放射放出半導体デバイスを製造する目的に特に適している。したがって、本放射放出半導体デバイスに関連して述べた特徴は、本方法にも使用することができ、逆も同様である。
【0041】
さらなる実施形態および利点は、図面を参照しながらの例示的な実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、概略断面図を使用して放射放出半導体デバイスの例示的な実施形態を示している。
図2図2は、概略断面図を使用して放射放出半導体デバイスの例示的な実施形態を示している。
図3図3は、概略断面図を使用して放射放出半導体デバイスの例示的な実施形態を示している。
図4図4は、概略断面図を使用して放射放出半導体デバイスの例示的な実施形態を示している。
図5A】各図は、放射放出半導体デバイスを製造する方法の例示的な実施形態を、それぞれ概略断面図で表現されている中間ステップに基づいて示している。
図5B図5Bは、放射放出半導体デバイスを製造する方法の例示的な実施形態を、概略断面図で表現されている中間ステップに基づいて示している。
図5C図5Cは、放射放出半導体デバイスを製造する方法の例示的な実施形態を、概略断面図で表現されている中間ステップに基づいて示している。
図5D図5Dは、放射放出半導体デバイスを製造する方法の例示的な実施形態を、概略断面図で表現されている中間ステップに基づいて示している。
図6A図6Aは、放射放出半導体デバイスを製造する方法の例示的な実施形態を、概略断面図で表現されている中間ステップに基づいて示している。
図6B図6Bは、放射放出半導体デバイスを製造する方法の例示的な実施形態を、概略断面図で表現されている中間ステップに基づいて示している。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図において、同じ要素、類似する要素、または類似する機能の要素は、同じ参照符号によって表してある。
【0044】
図は、いずれも概略的な表現であり、したがって必ずしも正しい縮尺ではない。むしろ明瞭さのため、比較的小さい要素、特に層の厚さを、誇張した大きさで示していることがある。
【0045】
図1は、放射放出半導体デバイスの例示的な実施形態を示している。放射放出半導体デバイス1は、放射を生成する目的で設けられている活性領域20を有する半導体ボディ2を有する。半導体ボディ2は、キャリア3の上に配置されている。このキャリアは、例えば、半導体ボディの半導体層をエピタキシャルに堆積させるための成長基板である。キャリアは、成長基板とは別のものとすることもできる。その場合、キャリアは、接合層によって半導体ボディ2に取り付けることができる。
【0046】
半導体デバイス1は、光学素子4をさらに有する。光学素子4は、直接接合結合部6によって半導体ボディ2に取り付けられている。直接接合結合部は、例示的に、補助接合層61とさらなる補助接合層62との間に形成されている。例えば、補助接合層61およびさらなる補助接合層62のそれぞれが、酸化物(シリコン酸化物など)を含む。しかしながら、これとは異なり、半導体デバイス1が1つの補助接合層のみを有する、または補助接合層を有さないこともできる。
【0047】
光学素子4は、活性領域20において生成される放射に対して透過性に形成されている。光学素子4は、例えば、ガラス、リン化ガリウム、窒化ガリウム、またはシリコンを有する。シリコンは、少なくとも1100nmの波長の赤外スペクトル領域における放射に特に適している。
【0048】
光学素子4は、例示的に、屈折光学系(例えば生成される放射を平行にする、または焦点を合わせる)として形成されている。本半導体デバイスの断面視においては、光学素子は、例えば凸状に湾曲した放射出口面40を有する。しかしながら、光学素子を、例えばビーム拡張用に、または一般的には所定の放射特性に従ってのビーム整形用に、形成することもできる。
【0049】
さらには、光学素子4を、回折光学素子として形成することもできる。回折光学素子の場合、動作モードは屈折に基づくのではなく、光学素子に入射する放射の回折に基づく。
【0050】
光学素子4およびキャリア3は、部分的に、側面11(横方向における半導体デバイス1の境界を画成している)の一部を形成している。光学素子の側面45およびキャリアの側面30は、半導体デバイス1の側面11上で互いに同一平面内にある。
【0051】
外部から電気的に接触するため、半導体デバイス1は2つのコンタクトを有し、この場合、コンタクトの一方は、光学素子4の側の半導体ボディ2の面に配置されている。光学素子4は貫通部(breakthrough)41を有し、貫通部41においては、例えばボンディングワイヤによる電気的接触のためにコンタクト5が露出している。貫通部41は、補助接合層61,62(存在する場合)も貫いている。
【0052】
半導体デバイス1は、例えば、面発光レーザとして、または共振器を有する発光ダイオードとして、形成されている。活性領域20は、ミラー領域7とさらなるミラー領域75との間に配置されている。
【0053】
図示した例示的な実施形態においては、ミラー領域7およびさらなるミラー領域75の両方が、半導体ボディの一部である。活性領域20の電気的接触は、ミラー領域7およびさらなるミラー領域75を通じて行われる。
【0054】
半導体ボディ2は、第1の半導体領域21および第2の半導体領域22を備えており、この場合、第1の半導体領域と第2の半導体領域は、電荷のタイプに関して互いに異なり、第1の半導体領域21と第2の半導体領域22の間に活性領域が配置されている。したがって活性領域20は、pn接合部に位置している。ミラー領域7は、第2の半導体領域22の一部であり、さらなるミラー領域75は、第1の半導体領域21の一部である。
【0055】
活性領域は、例えば、紫外スペクトル領域、可視スペクトル領域、または赤外スペクトル領域における放射を生成する目的で設けられている。
【0056】
半導体ボディ2、特に活性領域20は、III-V族化合物半導体材料を含むことが好ましい。
【0057】
III-V族化合物半導体材料は、紫外スペクトル領域(AlInGa1-x-yN)から可視スペクトル領域(特に青色~緑色の放射の場合にはAlInGa1-x-yN、特に黄色~赤色の放射の場合にはAlInGa1-x-yP)、さらには赤外スペクトル領域(AlInGa1-x-yAs)の放射を生成するのに、特に適している。各場合において、0≦x≦1、0≦y≦1、かつx+y≦1が成り立ち、このとき特に、x≠1、y≠1、x≠0、および/またはy≠0である。特に上に挙げた材料系のIII-V族化合物半導体材料を使用することで、放射の生成時に高い内部量子効率をさらに達成することができる
【0058】
図2に示した例示的な実施形態は、図1に関連して説明した例示的な実施形態に実質的に相当する。異なる点として、この半導体デバイス1は、活性領域の複数のセグメント20A,20Bを有する。これらのセグメントは、横方向に(すなわち活性領域の主延在面に沿って)列状またはマトリクス状に互いに隣り合って配置することができる。
【0059】
光学素子4は、セグメント20A,20Bの上方に連続的に延在している。これらのセグメントは、それぞれ光学セグメント42に割り当てられており、各光学セグメント42は、そのビーム整形特性に関して同じように形成されている。しかしながら、光学セグメント42がビーム整形に関して互いに異なっていることもできる。セグメント20A,20Bには、それぞれ、割り当てられているコンタクト5を介して互いに独立して外部から電気的に接触することができる。半導体ボディ2とは反対側のキャリア3の面に配置されているコンタクト5は、2つ以上の、特にすべてのセグメントのための共通の裏面コンタクトを形成することができる。
【0060】
活性領域のこのようなセグメント化は、以下に説明する例示的な実施形態においても使用することができる。
【0061】
図3に示した例示的な実施形態は、図1に関連して説明した例示的な実施形態に実質的に相当する。異なる点として、ミラー領域7が、直接接合結合部6と光学素子4との間に配置されている。したがってこの半導体デバイスの製造時、ミラー領域7を、半導体ボディ2とは個別に光学素子4の上に形成することができる。ミラー領域7は、例えば、いくつかの誘電体層の形のブラッグミラーによって形成されており、隣接する層はそれらの屈折率の点で互いに異なる。
【0062】
半導体ボディ2に最も近いミラー領域7の層は、直接接合結合部6を作製するための界面も形成している。これとは異なり、図1に関連して説明したように、さらなる補助接合層を設けることもできる。
【0063】
図4に示した例示的な実施形態は、図1に関連して説明した例示的な実施形態に実質的に相当する。
【0064】
図1とは異なる点として、この半導体デバイス1は、外部から電気的に接触するための2つのコンタクト5を、光学素子4とは反対側の半導体ボディ2の面に(特に、光学素子とは反対側のキャリア3の面に)有する。光学素子4の側の半導体ボディ2の面には、外部から電気的に接触するための要素がまったく存在しない。光学素子4は、半導体デバイス1の外部からの電気的接触に影響することなく半導体ボディ2を完全に覆うことができる。第2の半導体領域22(キャリア3とは反対側の活性領域20の面に配置されている)には、半導体ボディにおける凹部25を介して電気的に接触する。凹部25は、特に、活性領域20を貫通している。活性領域20の電気的短絡を回避するため、凹部はその内面が絶縁層26によって覆われている。
【0065】
図5A図5Dは、半導体デバイスを製造する方法の例示的な実施形態を示しており、この場合、例示的に、図1に関連して説明した1つの半導体デバイスのみが製造される。
【0066】
図5Aに示したように、放射を生成する目的で設けられる活性領域20を有する半導体積層体29を、キャリア3の上に設ける。半導体積層体2を、横方向において複数の半導体ボディにすでに構造化しておくことができる。簡潔さのため、このことは図示していない。
【0067】
キャリア3とは反対側の半導体積層体29の面に、コンタクト5を配置する。補助接合層61は、コンタクト5を完全に覆っており、コンタクト5の間の空間51を満たしている。空間51において、補助接合層が半導体積層体29に隣接している。補助接合層61は、第1の界面81を形成している。次いで必要な場合、第1の界面81を、例えば化学機械的に研磨することによって図5Bに示したように平らにする。
【0068】
光学系担体49を設け、この場合、図示した例示的な実施形態における光学系担体は、複数の光学素子4を有する(図5B)。光学素子4は、光学系担体49において連続的に形成されている。光学系担体49は、半導体積層体29を完全に覆っている。光学系担体49の第2の界面82は、例示的に、さらなる補助接合層62によって形成される。
【0069】
半導体積層体29を有するキャリア3と、光学系担体49との間の高い精度での相対的な調整は、例えば、位置合わせマークによって達成することができ、位置合わせマークは、光学系担体49の縁部、および/または半導体積層体29を有するキャリア3の縁部に配置することができる。これらの位置合わせマークは、製造される半導体デバイスの外側に配置され、したがって図には明示的に示していない。こうして、横方向における光学系担体と半導体積層体との間の相対的な調整の精度として、1μm以下を達成することができる。
【0070】
次いで、図5Cに示したように、第1の界面81と第2の界面82との間に直接接合結合部6を作製する。
【0071】
コンタクト5を露出させる。この目的のため、光学系担体49に、例えばエッチングによって複数の貫通部41を形成する。
【0072】
最後に、分離線9に沿って、複数の半導体デバイス1への分離を実行する(図5D)。分離時には、完成した半導体デバイスそれぞれが、キャリア3の一部と、半導体積層体29から形成されている半導体ボディ2の一部と、光学素子4の一部とを有するように、光学系担体49と、半導体積層体29を有するキャリア3とを切断する。したがって、分離した後に、個々の半導体デバイスそれぞれに光学素子を貼り付ける必要がない。
【0073】
分離は、機械的に(例えばソーイングによって)、または化学的に(例えばエッチングによって)、またはコヒーレント放射によって(例えばレーザ分離工程によって)、行うことができる。
【0074】
図6Aおよび図6Bは、方法の別の例示的な実施形態を示している。この例示的な実施形態は、図5A図5Dに関連して説明した例示的な実施形態に実質的に相当する。
【0075】
前の方法と異なる点として、横方向にまったく構造化されていない光学系担体49を、直接接合結合部6によって、半導体積層体29を有するキャリア3に取り付ける(図6A)。その後に初めて、光学素子4を形成する目的で、半導体積層体29とは反対側の放射出口面40において光学系担体49を処理する(図6B)。この処理は、例えばエッチング工程によって行うことができる。この場合、半導体積層体29を有するキャリア3に対する光学系担体49の高い精度での調整を省くことができる。
【0076】
さらなるステップ(分離など)は、図5A図5Dに関連して説明したように行うことができる。
【0077】
[関連出願]
本特許出願は、独国特許出願第102017122325.8号の優先権を主張し、この文書の開示内容は参照により本明細書に組み込まれている。
【0078】
本発明は、例示的な実施形態に基づく説明によって制限されない。むしろ本発明は、任意の新規の特徴および特徴の任意の組合せ(特に特許請求項における特徴の任意の組合せを含む)を包含しており、これらの特徴または特徴の組合せは、それ自体が特許請求項あるいは例示的な実施形態に明示的に記載されていない場合であっても、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1 半導体デバイス
11 側面
2 半導体ボディ
20 活性領域
20A セグメント
20B セグメント
21 第1の半導体領域
22 第2の半導体領域
25 凹部
29 半導体積層体
3 キャリア
30 側面
4 光学素子
40 放射出口面
41 貫通部
42 光学セグメント
45 側面
49 光学系担体
5 コンタクト
51 空間
6 直接接合結合部
61 補助接合層
62 さらなる補助接合層
7 ミラー領域
75 さらなるミラー領域
81 第1の界面
82 第2の界面
9 分離線
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B