(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】振動伝達が高められたゴルフグリップ
(51)【国際特許分類】
A63B 53/14 20150101AFI20220404BHJP
A63B 60/08 20150101ALI20220404BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20220404BHJP
【FI】
A63B53/14 Z
A63B60/08
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2021001082
(22)【出願日】2021-01-06
(62)【分割の表示】P 2019156918の分割
【原出願日】2015-10-19
【審査請求日】2021-02-02
(32)【優先日】2014-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ワング
(72)【発明者】
【氏名】アレックス ウオール
(72)【発明者】
【氏名】ウエン-チェン スー
【審査官】石原 豊
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-246022(JP,A)
【文献】特開2010-082800(JP,A)
【文献】特開2000-325514(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0079173(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/14
A63B 60/06-60/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面、内面、接合端部、及び先端部を有し、前記接合端部から前記先端部までを全長とした細長い管状体を含み、総合密度を有するゴルフグリップであって、
この全長にわたっての1つの位置において、断面積、最小の外面断面半径を有する外面断面半径、及び、最小の内面断面半径を有する内面断面半径を有する1つの横断面を有しており、
前記横断面は、第1領域密度を有する第1領域及び第2領域密度を有する第2領域を含み、前記第1領域は、内面から半径方向外向きに延び、内面周りに対して一定の第1領域厚みであり、それによって、前記外面と前記第1領域との間の横断面の残余部として第2領域を定め、前記第1領域厚みは、前記最小の外面断面半径と前記最小の内面断面半径との間の差の半分に等しく、
第1領域平均密度は、前記内面、前記第2領域、前記横断面及び前記横断面に平行で前記横断面から1cm離れたオフセットされた横断面に囲まれた第1領域試験体積に対して決定され、
第2領域平均密度は、前記外面、前記第1領域、前記横断面及び前記オフセットされた横断面に囲まれた第2領域試験体積に対して決定され、
前記第1領域平均密度は、0.3~0.6g/ccであり、前記第2領域平均密度より小さく、前記第1領域及び前記第2領域は、ゴム化合物からなり、前記ゴルフグリップの前記総合密度は、0.65g/cc以下である、ことを特徴とするゴルフグリップ。
【請求項2】
前記第1領域平均密度は、前記第2領域平均密度の75%より小さいことを特徴とする請求項1に記載のゴルフグリップ。
【請求項3】
前記第1領域平均密度は、0.5g/cc以下であることを特徴とする請求項2に記載のゴルフグリップ。
【請求項4】
前記ゴルフグリップの前記総合密度は、0.60g/cc以下であることを特徴とする請求項3に記載のゴルフグリップ。
【請求項5】
前記第2領域平均密度は、前記第1領域平均密度の2倍以下であることを特徴とする請求項4に記載のゴルフグリップ。
【請求項6】
前記第2領域平均密度は、前記第1領域平均密度よりも少なくとも50%大きいことを特徴とする請求項5に記載のゴルフグリップ。
【請求項7】
前記第1領域密度は、最小第1領域密度から最大第1領域密度に変化することを特徴とする請求項5に記載のゴルフグリップ。
【請求項8】
前記最小第1領域密度は、前記総合密度の少なくとも40%であることを特徴とする請求項7に記載のゴルフグリップ。
【請求項9】
前記最大第1領域密度は、前記最小第1領域密度よりも少なくとも20%大きいことを特徴とする請求項8に記載のゴルフグリップ。
【請求項10】
前記最小第1領域密度は、内面に存在することを特徴とする請求項8に記載のゴルフグリップ。
【請求項11】
前記最小第1領域密度は、前記総合密度の70%より小さいことを特徴とする請求項7に記載のゴルフグリップ。
【請求項12】
前記細長い管状体は、少なくとも、製造工程前に測定された第1層厚み、第1層密度及び第1層用の発泡剤量を有する第1領域と、製造工程前に測定された第2層厚み及び第2層密度を有する第2領域とから形成され、前記第1層密度は、第2層密度とは異なり、前記第1領域及び前記第2領域は、熱及び圧力下で架橋結合されるゴム化合物から成る、ことを特徴とする請求項5に記載のゴルフグリップ。
【請求項13】
前記第1層厚みは、前記第2層厚みとは異なることを特徴とする請求項12に記載のゴルフグリップ。
【請求項14】
前記第1層厚み及び前記第2層厚みのうち少なくとも1つは、1.5~3.0mmであることを特徴とする請求項12に記載のゴルフグリップ。
【請求項15】
前記第1層厚み及び前記第2層厚みのうち少なくとも1つは、2.0mm以下であることを特徴とする請求項14に記載のゴルフグリップ。
【請求項16】
前記第2領域は、前記第1層用の発泡剤量とは異なる第2層用の発泡剤量を有することを特徴とする請求項12に記載のゴルフグリップ。
【請求項17】
前記第1層用の発泡剤量は、前記第2層用の発泡剤量の少なくとも2倍あることを特徴とする請求項16に記載のゴルフグリップ。
【請求項18】
前記第1領域は、製造工程前に測定された少なくとも55ショア硬さの第1層硬さを有し、前記第2領域は、前記第1層硬さとは異なる、製造工程前に測定された第2層硬さを有することを特徴とする請求項12に記載のゴルフグリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2014年10月19日に出願された米国特許仮出願第62/065,728号に対する優先権を主張し、その開示内容は、本明細書に全て記載されたように、その全体を参照として本明細書に組み込む。
(連邦政府資金による研究開発の記載)
本発明は、連邦政府による資金提供を受けた研究開発事業の一環として製作されたものではなかった。
【0002】
本発明における開示は、概して、グリップ、さらに具体的には、スポーツ用具用のハンドグリップに関するものである。
【背景技術】
【0003】
今日、多くの異なるタイプのグリップが存在し、多種多様な用具に用いられる。これらの用具は、これに限定されないが、ゴルフクラブ、工具(ハンマーの取っ手、ねじ回し等)、ラケット(ラケットボール、スカッシュ、バドミントン、または、テニスラケット)、バット(野球またはソフトボール)、プールキュー、傘、釣竿等、を含む。
本開示におけるグリップは、ゴルフクラブのグリップに適用することを特に言及しているが、本開示が同様に他のグリップに適用可能であることは、すぐに明白となるであろう。
【0004】
成形ゴム材料または合成高分子材料から作られる、スリップオン式のゴルフクラブのグリップが、公知であり、ゴルフ産業で広く用いられている。
ここで用いられる用語“スリップオン式”は、シャフトまたは取っ手に対して摺動し、接着剤、テープ、または同種のものによって固定される、グリップに関する。スリップオン式のグリップは、多くの構造、形状、及びタイプで利用可能である。
【0005】
ゴルフクラブのグリップは、歴史的に、幅広い種類の材料から作られてきた。例えば、取っ手に直接巻き付けられる皮革、若しくは、スリーブに巻き付けられる皮革、取っ手に対して摺動されるアンダーリスティング(underlisting;グリップの芯となる部分)、または、最近になってのゴム、ポリウレタン、若しくは、他の剛性材料等が、用いられている。
今日までの努力は、シャフトからゴルフグリップへ伝達される振動を減らすことに大きく目を向けられてきた。また、減弱した振動伝達は、ゴルフクラブの感触を減らし、ゴルファーに十分に正確な触覚フィートバックを提供しない。これは、パターに特に当てはまる。ゴルファーは、振動が取り除かれた、振動が弱められた、または、振動が切り離された感覚を生み出すように、フィードバックがないことを特徴付けるであろう。
【0006】
これまで、様々な工法が、より低い総合密度の材料を作るために用いられてきた。
通常、内部構造は、軽量の発泡材料、多くの場合EVA発泡体を用いて形成される。この構造の表面に、摘み層(グリッピング層)が、配置され、また、接着剤かそれとも他の何らかの接着方法を用いることによって、その配置に保持される。
通常、この掴み層は、フェルト材料から作られ、外側はポリウレタンに覆われて、より滑らかでかつより耐久性のある外層を提供する。
【0007】
この構造における限界は、構造、用いられる材料、及び製造方法に主に起因して、伝統的な構造の標準サイズのグリップと比較して、パターのグリップに、より低い振動伝達が存在することである。
より低い振動伝達に関連した多くの問題点が存在するが、重大な1つの問題点は、ゴルフボールをパッティングしている間にユーザー(ゴルファー)の両手に達する振動量と関連している。
パッティングは、比較的低いエネルギ事象であり、振動伝達の減弱がどれだけであっても、弱い衝撃(インパクト)の感触をもたらすであろう。この弱い衝撃をさらに弱めることは、ユーザーに、ボールをどれほどよくインパクトしたかをより認識させない上に、この“感触”を甚だ弱めてしまう。
【0008】
ゴルファーは、この“感触”を、ボールのインパクトの質を高めることができるフィードバックとして利用する。これにより、現存するグリップは、実際には、高めるべきゴルファーの能力を下げてしまう。
ゴルファーは、この体験を“切り離されている”または“分離されている”ようであると評しており、また、これは、特定の動作、すなわちインパクトが再現されているかどうかを識別することを極めて難しくさせる、と評している。
また、この、ゴルフボールのインパクトの“感触”は、一部のゴルファーにとって、ゴルフをプレイすることの喜びの一部であり、この“感触”を取り除くことによって、喜びのレベルが低下してしまうであろう。
【0009】
軽量構成のグリップを成形するための他の従来の製造方法では、発泡フォーム/スポンジ材料チューブ(EVA、ニトリルゴム等)を用い、この種のチューブを研磨して成形する。
これらのチューブの材料特性は、(感触)特性を下げる振動をさせるものとして販売されているため、前述したグリップのような同様の問題を有する。
また、これらのフォーム/スポンジは、比較的低い耐摩耗性と紫外線抵抗性を有し、また、従来のゴム製グリップより早く摩耗する傾向にある。
【0010】
従って、グリップを保持するヒトの両手に、グリップ構造を介して振動伝達を優先的に高めるハンドグリップ、特に、ヒトの両手が最も感知できる周波数スペクトルにおいて、効果的に振動を伝達するグリップが、今もなお必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
振動伝達が高められたグリップが、グリップの領域内の特有の密度関係性を用いて製造される。本発明の一実施形態として、このグリップは、圧縮成形過程において接合されるゴム化合物から成る多重層から形成される。
さらなる実施形態として、これらの多重層は、異なる量の発泡剤を有し、所望の密度と振動促進を実現することができる。
また、グリップは、グリップの外面への振動伝達をさらに促進するように選択された密度の、ティップトゥシャフトコネクタを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下で主張される本発明の範囲を限定しない
図1~26の描画及びグラフ図形をここで参照する。
これらの図面は、以下でより詳細に説明される、本発明における例示的な実施形態の理解を促すために提供されており、また、本発明を過度に制限するように解釈されるべきでない。特に、図面に示されている様々な部品の、相対空間、配置、サイズ、及び寸法は、縮尺通りに描画されておらず、より明確にするために、誇張されるか、縮小されるか、さもなければ、変更されている。
また、当業者は、より明確にするために、また、図面の枚数を減らすために、代替構成の範囲が単に省略されていることを、十分に理解するであろう。
【
図1】ノンスケールの、ゴルフグリップの一実施形態における平面図である。
【
図2】ノンスケールの、ゴルフグリップの一実施形態における側面図である。
【
図3】ノンスケールの、ゴルフグリップの一実施形態における正面図である。
【
図4】ノンスケールの、ゴルフグリップの一実施形態における上面図である。
【
図5】ノンスケールの、ゴルフグリップの一実施形態における、
図3の切断線5‐5に沿った横断面図である。
【
図6】ノンスケールの、ゴルフグリップの一実施形態における、
図3の切断線5‐5に沿った横断面図である。
【
図7】ノンスケールの、ゴルフグリップの一実施形態における、
図2の切断線6‐6に沿った縦断面図である。
【
図8】ノンスケールの、ゴルフグリップの一実施形態における、
図2の切断線6‐6に沿った縦断面図である。
【
図9】ノンスケールの、ゴルフグリップの一実施形態における、
図2の切断線6‐6に沿った縦断面図である。
【
図10】ノンスケールの、ゴルフグリップの一実施形態における、いくつかの部品の概略的なアセンブリ断面図である。
【
図11】ノンスケールの、ゴルフグリップの一実施形態における、いくつかの部品の概略的なアセンブリ断面図である。
【
図12】ノンスケールの、ゴルフグリップの一実施形態における、いくつかの部品の概略的なアセンブリ断面図である。
【
図13】ノンスケールの、ゴルフグリップの一実施形態における、いくつかの部品の概略的なアセンブリ断面図である。
【
図14】ノンスケールの、2つのセンサの位置が示された、ゴルフクラブに取り付けられたゴルフグリップの一実施形態における前面図である。
【
図15】ゴルフグリップの一実施形態を製造するために用いられる、圧縮成形装置の部分投影図である。
【
図16】ゴルフグリップの一実施形態を製造するために用いられる、圧縮成形装置の部分投影図である。
【
図17】他社のゴルフクラブの一実施形態と比較した、本発明におけるゴルフグリップの一実施形態に関連したテストデータを示した図である。
【
図18】他社のゴルフクラブの一実施形態と比較した、本発明におけるゴルフグリップの一実施形態に関連したテストデータを示した図である。
【
図19】他社のゴルフクラブの一実施形態と比較した、本発明におけるゴルフグリップの一実施形態に関連したテストデータを示した図である。
【
図20】他社のゴルフクラブの一実施形態と比較した、本発明におけるゴルフグリップの一実施形態に関連したテストデータを示した図である。
【
図21】他社のゴルフクラブの一実施形態と比較した、本発明におけるゴルフグリップの一実施形態に関連したテストデータを示した図である。
【
図22】他社のゴルフクラブの一実施形態と比較した、本発明におけるゴルフグリップの一実施形態に関連したテストデータを示した図である。
【
図23】他社のゴルフクラブの一実施形態と比較した、本発明におけるゴルフグリップの一実施形態に関連したテストデータを示した図である。
【
図24】他社のゴルフクラブの一実施形態と比較した、本発明におけるゴルフグリップの一実施形態に関連したテストデータを示した図である。
【
図25】他社のゴルフクラブの一実施形態と比較した、本発明におけるゴルフグリップの一実施形態に関連したテストデータを示した図である。
【
図26】他社のゴルフクラブの一実施形態と比較した、本発明におけるゴルフグリップの一実施形態に関連したテストデータを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、従来技術から大きな進歩を可能にする。本発明の好ましい実施形態は、部品の斬新な配置、及び、特有で斬新な手段で構成される方法によって実現され、また、以前は利用できなかった好適かつ望ましい機能を示す。
図面に関連して以下に記載する説明は、本発明の現在好ましい実施形態の説明としてのみ意図され、本発明が構成または利用できる唯一の形態を表すことを意図するものではない。この説明は、例示した実施形態に関連して本発明を実施するための、構造、機能、手段、及び方法を明記する。
しかしながら、同一または同等の機能及び特徴が、本発明の精神と範囲内に包含されることが意図された異なる実施形態によって達成され得ることが理解されるべきである。本開示は、図示及び記載された好ましい実施形態と添付図面を参照しながら説明する。
【0014】
しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、この開示が徹底して完全になるように、これらの実施形態が提供されており、これらの実施形態は、当業者に本開示の範囲を完全に伝えるであろう。
同様の符号は、本開示と図面全体を通して同様の要素を参照する。図面において、特定の線、層、部品、要素または特徴部の厚みは、明確にするために誇張されている。特に断りのない限り、破線は、任意の特徴または動作を示す。
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の引用文献は、その全体を参照として本明細書に組み込む。本開示の実施形態は、特にゴルフクラブのグリップに適しており、また、本明細書は、ゴルフクラブのグリップとして明確に作成されているが、本開示の実施形態が用具として他のグリップにも適用可能であることが、すぐに明白となるはずである。
【0015】
図1を参照すると、ゴルフグリップ(10)は、従来の握り方で、右利きのゴルファーの開いた手の中に配置されている。この、本明細書中で使用される用語「右利き」は、これに限定されないが、ボールを投げる、書く、ラケット、バット、またはゴルフクラブをスイングすることを含んだ動作において選択されるほうの、最初の手すなわち利き手として右手を使用する人を意味することが意図されている。
本明細書中で使用される用語「左利き」は、これらの種類の動作において反対側の手を使用する人を意味する。
図2及び
図3に見られるように、ゴルフグリップ(10)は、外面(110)、内面(120)、接合端部(130)、及び先端部(140)を有する中空の管状体(100)を含んだ、構造を有する。
図1の従来の握り方として、ゴルファーの開いた左手は、グリップ(10)の接合端部(130)側に配置され、また、開いた右手は、グリップ(10)の先端部(140)、すなわち開放端側に配置される。
【0016】
この握り方において、ゴルフグリップ(10)上で閉じたグリップを形成するときに、一対の指は、組み合わせることができるが、当業者は、いくつかの例を挙げるとクロスハンドグリップ、クロウグリップ、ソウグリップ、及びペンシルグリップなどの、従来とは異なる他の握り方が利用されることができることを理解するであろう。
当然のことながら、各個人のベストの握り位置は、握り方や、天候やゴルフコースなどの多種多様なゴルフコンディションに基づいて、ゴルファーによって異なるであろう。他の要因としては、これに限定されないが、グリップ感、ゴルフクラブ、シャフトの構成、クラブヘッドの重量、及びゴルファーの手の大きささえも含む。
当然のことながら、左利きの人のための両手の配置は、一般的に右利きの人の手の配置とは逆になる。ゴルフグリップ上の手の配置は、フルスイングかそれともパッティングストロークであるどうかが、ゴルフスイングにおける重要な因子となる。ゴルフグリップ上の手の配置は、ゴルフボールの飛距離と方向に影響を与えることができる。
【0017】
ゴルフスイングにおけるもう1つの重要な因子は、ゴルフグリップ(10)を保持したときの手触りと、ゴルフボールを打つクラブヘッド(H)に関連したフィードバック感触の双方の、特有のグリップ感触を有する性能である。
これまでの努力は、ゴルフグリップ(10)の特性として、振動減衰性を高めること、または、振動伝達を低減することに大いに取り組んできた。このような低減された振動伝達は、フィードバック感触を減少させ、また、特にパターに当てはまることだが、十分に正確な触覚フィードバックをゴルファーに提供しない。
この場合、ゴルファーは、このフィードバックの欠乏を、真実みに欠ける、弱められた、または分離された感触と評するであろう。
【0018】
図5に示されているように、ゴルフグリップ(10)の全長にわたっての其々の位置における、特定の場所(ポイント)は、断面積(152)及び断面半径(154)によって特徴付けられる横断面(150)を有する。
特にパターグリップを対象にした一実施形態として、ゴルフグリップ(10)の全長にわたっての少なくとも1つの位置において、少なくとも4.75 cm
2の断面積(152)を有する。その一方で、さらなる一実施形態として、ゴルフグリップ(10)の全長の少なくとも50%は、少なくとも4.75 cm
2の断面積(152)を有する。
またさらなる一実施形態として、ゴルフグリップ(10)の全長の85%は、少なくとも4.75 cm
2の断面積(152)を有する。
【0019】
断面半径(154)は、ゴルフグリップ(10)内部の中央開口部の中心から、外面(110)までの半径である。
特にパターグリップを対象にした一実施形態として、ゴルフグリップ(10)の全長にわたっての少なくとも1つの位置において、少なくとも0.46インチの断面半径(154)を有する。その一方で、さらなる一実施形態として、ゴルフグリップ(10)の全長の少なくとも50%は、少なくとも0.46インチの断面半径(154)を有する。
またさらなる一実施形態として、ゴルフグリップ(10)の全長の85%は、少なくとも0.46インチの断面半径(154)を有する。
【0020】
本発明の一実施形態として、ゴルフグリップ(10)の全長にわたっての少なくとも1つの位置において、少なくとも0.525インチの断面半径(154)を有する。その一方で、さらなる一実施形態として、ゴルフグリップ(10)の全長の少なくとも50%は、少なくとも0.525インチの断面半径(154)を有する。
またさらなる一実施形態として、ゴルフグリップ(10)の全長の85%は、少なくとも0.525インチの断面半径(154)を有する。
比較的テーパが存在しないさらなる実施形態として、ゴルフグリップ(10)の全長の少なくとも50%は、0.46~0.60インチの断面半径(154)を有する。その一方で、もう1つの一実施形態として、ゴルフグリップ(10)の全長の少なくとも85%は、0.46~0.60インチの断面半径(154)を有する。
【0021】
特大のパターグリップのさらなる実施形態として、ゴルフグリップ(10)の全長にわたっての少なくとも1つの位置において、少なくとも6.75 cm2の断面積(152)を有する。その一方で、さらなる一実施形態として、ゴルフグリップ(10)の全長の少なくとも50%は、少なくとも6.75 cm2の断面積(152)を有する。
またさらなる一実施形態として、ゴルフグリップ(10)の全長の85%は、少なくとも6.75 cm2の断面積(152)を有する。
特に特大のパターグリップを対象にした一実施形態として、ゴルフグリップ(10)の全長にわたっての少なくとも1つの位置において、少なくとも0.55インチの断面半径(154)を有する。その一方で、さらなる一実施形態として、ゴルフグリップ(10)の全長の少なくとも50%は、少なくとも0.55インチの断面半径(154)を有する。
またさらなる一実施形態として、ゴルフグリップ(10)の全長の85%は、少なくとも0.55インチの断面半径(154)を有する。
【0022】
比較的テーパが存在しないさらなる実施形態として、ゴルフグリップ(10)の全長の少なくとも50%は、0.55~0.70インチの断面半径(154)を有する。その一方で、もう1つの一実施形態として、ゴルフグリップ(10)の全長の少なくとも85%は、0.55~0.70インチの断面半径(154)を有する。
また、他の実施形態として、外面(110)上の少なくとも1つの位置において、少なくとも0.65インチの断面半径(154)を有する。
またさらに、パターグリップの他の実施形態として、少なくとも100ccの体積と55~115gの重量を有する。その一方で、さらなる一実施形態として、100~130ccの体積と55~90gの重量を有し、またさらなる一実施形態として、135ccの体積と70~140gの重量を有し、またさらなる一実施形態として、135~160ccの体積と75~100gの重量を有する。
【0023】
本発明の複数の実施形態を説明するために、密度勾配解析手順が定義されなければならない。
まず、
図5及び6に示されているように、グリップ(10)の横断面は、少なくとも2つの領域、すなわち、内面(120)から半径方向外向きに延びた第1領域(160)、及び、外面(110)から半径方向内向きに延びた第2領域(170)を示している。
この第1領域(160)は、第1領域厚み(162)及び第1領域密度を有する。同様に、第2領域(170)は、第2領域厚み(172)及び第2領域密度を有する。
この2つの領域の実施形態のために、ゴルフグリップ(10)の全長にわたっての任意の位置における特定の断面に対して、2つの領域の境界が、外面(110)に対する最小断面半径(154)、及び、内面(120)に対する最小内面半径(156)を用いて定められる。
【0024】
これらの半径(154, 156)は、シャフト(S)を受け入れるように設計されたゴルフグリップ(10)の中央の、中空の空洞の中心から、または、ゴルフグリップ(10)が非円形である場合は空洞における重心から測定されている。
従って、
図5及び6に示された断面における、外面(110)に対する最小断面半径(154)、及び、内面(120)に対する最小内面半径(156)は、ゴルフグリップ(10)の両側に存在するが、この密度勾配解析手順は、これらの最小半径において他の形状や他の配置を見込んでいる。
一旦、最小半径(154, 156)が決定されると、これらの差が計算され、そして、これらの差の半分が最小内面半径(156)に合計され、第1推移半径(158)を定める。
【0025】
一連の実施形態として、
図5に示されているように、最小断面半径(154)と最小内面半径(156)との間の差の三分の一が、第2領域厚み(172)、すなわち第2領域(170)の最も内側部分の境界線を定めるために用いられ、また、初期設定として第1領域(160)も定める。
ここで、第2領域(170)は、外面(110)から内側に延びる一定の第2領域厚み(172)を有しており、その一方で、第1領域(160)は、可変の第1領域厚み(162)を有することができる。
本発明の一実施形態として、可変の第1領域厚み(162)は、最小第1領域厚み(162)より少なくとも25%大きい最大第1領域厚み(162)を有し、その一方で、さらなる一実施形態として、最大第1領域厚み(162)は、最小第1領域厚み(162)より少なくとも50%大きい。
【0026】
あるいは、
図6に示されているように、第1推移半径(158)は、第1領域(160)の最も外側部分の境界線を定めるために用いられ、また、初期設定として第2領域(170)も定める。
ここで、第1領域(160)は、内面(120)から外側に延びる一定の第1領域厚み(162)を有しており、その一方で、第2領域(170)は、可変の第2領域厚み(172)を有することができる。
【0027】
当業者は、最終的に製造されるグリップが2つの領域間に知覚可能な境界を持たないため、第1領域(160)及び第2領域(170)を定めるこれらの手順が、必要とされることを理解するであろう。
また、本開示におけるこれら2つの領域とそれらの関係性は、ゴルフグリップ(10)の全長にわたっての任意の位置における、単一の断面において見られることのみを必要とする。
さらなる実施形態として、本開示の2つの領域の関係性は、ゴルフグリップ(10)の全長の少なくとも25%にわたって見られる。その一方で、またさらなる実施形態として、この関係性は、ゴルフグリップ(10)の全長の少なくとも50%にわたって見られ、またさらなる他の実施形態として、この関係性は、ゴルフグリップ(10)の全長の少なくとも75%にわたって見られる。
【0028】
図5及び6の実施形態における2つの領域を参照すると、本発明の一実施形態として、第1領域(160)は、第1領域平均密度を有し、また、第2領域(170)は、第2領域平均密度を有する。
この実施形態において、第1領域平均密度は、第2領域平均密度より低い。その一方で、本発明のさらなる実施形態として、第1領域平均密度は、第2領域平均密度の75%未満であり、本発明のさらなる他の実施形態として、第1領域平均密度は、第2領域平均密度の50%未満である。
【0029】
本発明のさらなる実施形態として、第1領域(160)の第1領域平均密度は、ゴルフグリップ(10)の中心から外側に延びる位置によって径方向に変化し、高密度の位置や低密度の位置を、第1領域(160)に作り出す。このとき、第1領域高密度は、第1領域低密度より少なくとも10%高い。
本発明のさらなる実施形態として、第1領域高密度は、第1領域低密度より少なくとも25%高い。その一方で、本発明のまたさらなる実施形態として、第1領域高密度は、第1領域低密度より少なくとも50%高い。
【0030】
本発明の一実施形態として、第2領域(170)の平均密度は、第1領域低密度の少なくとも2倍ある。その一方で、本発明のさらなる一実施形態として、第2領域(170)の平均密度は、第1領域低密度の少なくとも2.5倍ある。
ゴルフグリップ(10)内の密度変化は、シャフト(S)からゴルフグリップ(10)の外面(110)への振動伝達を高めるように表れている。
本発明の他の実施形態は、内面(120)寄りにある第1領域高密度、及び、外面(110)寄りにある第1領域低密度を有することによって、ゴルフグリップ(10)、特にシャフト(S)との取り付けにおける耐久性を高める。
【0031】
従って、この実施形態は、径方向に変化する密度勾配を有しており、第1領域低密度は、内面(120)に向かって内側の位置に、第1領域低密度より高い第1領域高密度を有しており、また、外面(110)に向かって外側の位置に、第1領域低密度より高い第2領域第1密度を有する。
特に耐久性のある一実施形態として、第1領域高密度は、第1領域低密度より少なくとも20%高い。その一方で、さらなる一実施形態として、第1領域高密度は、第1領域低密度より少なくとも50%高い。
【0032】
さらなる一実施形態として、断面内の3mmの間隔で分離される任意の2つの径方向位置間の、密度微分が0.25 g/cc未満になるように、径方向密度勾配を調整することによって、振動伝達が高められる。
その一方で、またさらなる一実施形態として、これら2つの径方向位置間の密度微分が0.15 g/cc未満になるように、またさらなる一実施形態として、これら2つの径方向位置間の密度微分が0.10 g/cc未満になるように、径方向密度勾配が調整される。
従って、
図10に示されているように、ゴルフグリップ(10)が、少なくとも第1層(210)及び第2層(220)を含んだ複数の層(200)から形成されていたとしても、使用材料は慎重に選択され、製造工程は、密度微分が大きくなることを避けるように構成される。
【0033】
また、ゴルフグリップ(10)の単一の断面を参照して開示した2つの領域とそれらの関係性の全てと同様に、上述された密度微分は、ゴルフグリップ(10)の全長にわたっての任意の位置における、単一の断面において見られることのみを必要とする。
しかしながら、さらなる実施形態として、本開示の密度微分の関係性は、ゴルフグリップ(10)の全長の少なくとも25%にわたって見られる。その一方で、またさらなる実施形態として、この関係性は、ゴルフグリップ(10)の全長の少なくとも50%にわたって見られ、またさらなる他の実施形態として、この関係性は、ゴルフグリップ(10)の全長の少なくとも75%にわたって見られる。
【0034】
密度微分の実施形態として、所与の径方向位置における密度微分の分析が、ゴルフグリップ(10)の任意の一断面をまず切り取り、その面が分析位置を通過するように、行われる。
そのために、ゴルフグリップ(10)を2つに切断し、より長いほうの部分が用いられ、第2の横切断が、最初に切断された長いほうの部分に対して1 cmの間隔で行われる。これによって、ゴルフグリップ(10)の1 cm長の断面部を残す。
その後、分析位置から外面(110)に向かって1.5 mm径方向外側の位置が同定され、また、分析位置から内面(120)に向かって1.5 mm径方向内側の位置が同定される。
断面部において開いているシャフトの中心を中心として、分析位置から1.5 mm径方向外側の位置を通過する第1円が作り出される。また、断面部において開いているシャフトの中心を中心として、分析位置から1.5 mm径方向内側の位置を通過する第2円が作り出される。
【0035】
ゴルフグリップ(10)の1 cm長の断面部は、その後、第1円と第2円に合わせて磨かれ、研磨、または、切断される。これにより、分析位置まわりを中心とした1 cmの厚みと3 mmの幅を有するリングが作り出される。
このリングの質量と体積が測定され、分析位置における密度を求める。これと同様の手順が、ゴルフグリップ(10)内の特定の位置に対する任意の密度を求めるために用いられてもよい。また、第1領域平均密度、第1領域高密度、第1領域低密度、及び、第2領域平均密度を求めるときも、この手順が同様に用いられてよい。
【0036】
本発明の一実施形態として、第2領域平均密度は、第1領域平均密度より少なくとも50%高い。その一方で、本発明のさらなる一実施形態として、第2領域平均密度は、第1領域平均密度より少なくとも75%高く、またさらなる一実施形態として、第2領域平均密度は、第1領域平均密度より少なくとも100%高い。
本発明の他の実施形態として、第2領域平均密度は、第1領域平均密度より300%以下高い。その一方で、本発明のさらなる一実施形態として、第2領域平均密度は、第1領域平均密度より200%以下高く、またさらなる一実施形態として、第2領域平均密度は、第1領域平均密度より100%以下高い。
【0037】
本発明の特定の実施形態として、第2領域平均密度は、少なくとも0.8 g/ccあり、その一方で、さらなる一実施形態として、第2領域平均密度は、0.85~1.1 g/ccである。
本発明の他の実施形態として、第1領域平均密度は、0.6 g/cc未満であり、その一方で、さらなる一実施形態として、第1領域平均密度は、0.3~0.5 g/ccである。
本発明のまたさらなる一実施形態として、第1領域高密度は、少なくとも0.6 g/ccあり、その一方で、さらなる一実施形態として、第1領域高密度は、0.9 g/cc未満である。
第2領域(170)によって提供される振動伝達に加えて、より高い第2領域平均密度は、さらに、ゴルフグリップ(10)の耐摩耗性、紫外線抵抗性、及び手触りを向上させる。
【0038】
本発明の一実施形態として、ゴルフグリップ(10)全体の総合密度は、0.45~0.65 g/ccである。その一方で、さらなる一実施形態として、ゴルフグリップ(10)全体の総合密度は、0.50~0.60 g/ccであり、またさらなる一実施形態として、ゴルフグリップ(10)全体の総合密度は、0.53~0.58 g/ccである。
本発明の特定の実施形態として、第1領域低密度は、ゴルフグリップ(10)全体の総合密度の70%未満であり、また、第2領域平均密度は、ゴルフグリップ(10)全体の総合密度より少なくとも65%高い。
【0039】
またさらなる一実施形態として、第1領域低密度は、ゴルフグリップ(10)全体の総合密度の40~65%であり、また、第2領域平均密度は、ゴルフグリップ(10)全体の総合密度より70~90%高い。
本発明の代替の一連の実施形態として、ゴルフグリップ(10)全体の総合密度は、0.70~1.00 g/ccである。その一方で、さらなる一実施形態として、ゴルフグリップ(10)全体の総合密度は、0.75~0.95 g/ccであり、またさらなる一実施形態として、ゴルフグリップ(10)全体の総合密度は、0.80~0.90 g/ccである。
【0040】
図7を参照すると、本発明の他の実施形態として、シャフト(S)から外面(110)への振動伝達は、ゴルフグリップ(10)の先端部(140)において、ティップトゥシャフトコネクタ(142)を組み込むことによって、促進される。
このティップトゥシャフトコネクタ(142)は、コネクタ密度を有しており、本発明の一実施形態として、平均コネクタ密度は、第2領域平均密度と少なくとも同じ高さである。
ティップトゥシャフトコネクタ(142)は、コネクタ内面(143)、コネクタ外面(144)、コネクタ近接端部(146)、及び、コネクタ末端部厚み(147)を有するコネクタ末端部(145)を有する。コネクタ近接端部(146)の一部は、第2領域(170)の一部と接触している。
【0041】
さらなる一実施形態として、コネクタ近接端部(146)の一部は、外面(110)と接触している。その一方で、またさらなる一実施形態として、ティップトゥシャフトコネクタ(142)の一部は、第1領域(160)とも接触している。
コネクタ内面(143)の少なくとも一部は、内面(120)と同じ寸法構造か、または、より小さくなるように形成されている。これにより、コネクタ内面(143)の一部がシャフト(S)と接触することを確実にし、シャフト(S)から外面(110)への振動伝達を促進することができる。
実際には、本発明の一実施形態として、ティップトゥシャフトコネクタ(142)は、少なくとも0.125インチのコネクタ長さ(149)を有しており、また、このコネクタ長さ(149)の少なくとも50%は、コネクタ内面(143)がシャフト(S)と接触して、振動伝達をさらに促進するように構成されている。
【0042】
また、本発明の他の実施形態として、コネクタ末端部厚み(147)は、少なくとも0.0625インチであり、振動伝達をさらに促進する。
一方、本発明の他の実施形態として、コネクタ外面(144)は、コネクタ末端部(145)の外径寸法から、コネクタ角度(148)でゴルフグリップ(10)の外径寸法まで変化している。また、本発明の他の実施形態として、このコネクタ角度(148)は、少なくとも15°あり、また、75°未満である。これにより、突角部に関連した伝達損失を排除する。
本発明の一実施形態として、ティップトゥシャフトコネクタ(142)は、ゴルフグリップ(10)の全体体積の10%未満のコネクタ体積を有する。
【0043】
本発明の一実施形態として、ティップトゥシャフトコネクタ(142)は、1つのステップにおいて第2領域(170)と硬化するため、構造的な変化としての明らかな線が存在しない。
また、本発明のさらなる実施形態として、コネクタ(142)の平均密度は、第2領域平均密度の20%の範囲内にある。
図7に示されている実施形態は、単一の堅いティップトゥシャフトコネクタ(142)を示しているが、ティップトゥシャフトコネクタ(142)は、
図8に示されているような複数の指から構成されてもよい。これらの複数の指は、シャフト(S)と接触するコネクタ末端部(145)の一部を有しており、また、コネクタ近接端部(146)の一部は、外面(110)と接触している。
【0044】
またさらに、
図9に見られるように、ゴルフグリップ(10)は、伝達増進構造(240)を含むことができる。
この伝達増進構造(240)の一部分は、第2領域(170)と接触し、また、伝達増進構造(240)の一部分は、内面(120)と接触しているので、伝達増進構造(240)は、シャフト(S)と接触し、第2領域(170)への振動伝達をさらに促進することができる。
本発明の一実施形態として、伝達増進構造(240)は、第2領域平均密度と少なくとも同じ高さの平均密度を有する。本発明の一実施形態として、伝達増進構造(240)の平均密度は、第2領域平均密度より少なくとも10%高い。
その一方で、本発明の他の実施形態として、
図9に示されているように、伝達増進構造(240)の一部分は、ティップトゥシャフトコネクタ(142)内に延びている。
【0045】
本発明のさらなる実施形態として、伝達増進構造(240)は、第2領域(170)から第1領域(160)を経由して内面(120)へ、振動を単に伝達する。従って、この実施形態は、ティップトゥシャフトコネクタ(142)を組み込む必要がない。
実際には、本発明の一実施形態として、伝達増進構造(240)は、ティップトゥシャフトコネクタ(142)に類似しているが、接合端部(130)のほうへより移動している。
この実施形態において、伝達増進構造(240)は、内面(120)から第2領域(170)へ延びた、リング状の器具であり、また、第2領域平均密度と少なくとも同じ高さの密度を有する。
【0046】
ゴルフグリップ(10)の総合密度に最小限の影響を与えるように設計された本発明のさらなる一実施形態として、伝達増進構造(240)の体積は、ゴルフグリップ(10)の全体体積の10%未満である。
本発明のまたさらなる一実施形態は、ゴルフグリップ(10)の全長に沿って少なくとも3インチの間隙を介してこのようなリングを少なくとも2つ含み、ゴルファーの片手は、リングの配置位置を覆うように外面(110)と接触する。
またさらに、これらの少なくとも2つのリングは、外面(110)の全体にわたって広がってもよく、また、ユーザーの目に見えるものであってもよい。
【0047】
伝達増進構造(240)のリング型でない実施形態に戻ると、本発明のさらなる一実施形態として、縦方向に帯状の伝達増進構造(240)が、先端部(140)から接合端部(130)までの距離の少なくとも10%の、ゴルフグリップ(10)の縦方向軸に沿った距離で延びる。
その一方で、本発明のまたさらなる実施形態として、この帯状の伝達増進構造(240)は、先端部(140)から接合端部(130)までの距離の少なくとも25%、少なくとも50%、または、少なくとも75%延びる。
これらの実施形態において、帯状の伝達増進構造(240)は、特定の縦方向距離で延びるが、必ずしも直線的に延びる必要はない。
【0048】
この伝達増進構造(240)は、優れた振動伝達特性を有する材料から成る薄い帯、ワイヤ、または層である。
本発明の一実施形態として、伝達増進構造(240)は、圧縮成形過程においてゴルフグリップ(10)と共に成形される。
さらに、本発明の他の実施形態として、伝達増進構造(240)の一部は、ゴルフグリップ(10)の外面(110)の一部となるため、外面(110)に沿って目に見える。
本発明のさらなる他の実施形態として、伝達増進構造(240)は、第2領域平均密度の少なくとも2倍の密度を有する。その一方で、他の実施形態として、伝達増進構造(240)は、いくつかの実施形態としてアルミニウム、スチール、チタン、銅、青銅、黄銅、マグネシウム、及びニッケルのグループから選択される金属合金から成る。
従って、本発明の一実施形態として、伝達増進構造(240)の密度は、第2領域平均密度より少なくとも50%高い。また、さらなる一実施形態として、伝達増進構造(240)の密度は、第2領域平均密度より少なくとも100%高い。
【0049】
前述したように、本発明の一実施形態として、ゴルフグリップ(10)は、
図10及び11に見られるように、少なくとも第1層(210)及び第2層(220)を含んだ複数の層(200)から形成されることができる。
これらの個別の層は、互いに接着されるか、または、圧縮成形過程において接合されることができる。
本発明の一実施形態として、第1層(210)は第1層厚み(212)を有し、また、第2層(220)は、第2層厚み(222)を有する。これら双方の層の厚みは、実際の製造工程前に測定された厚みであり、従って、未硬化の厚みである。
【0050】
さらなる一実施形態として、第1層厚み(212)は、第2層厚み(222)より少なくとも25%大きい。
本発明の一実施形態として、第1層厚み(212)は、1.50~3.00 mmであり、また、第2層厚み(222)は、1.25~2.50 mmである。その一方で、さらなる一実施形態として、第1層厚み(212)は、2.00~2.80 mmであり、また、第2層厚み(222)は、1.70~2.25 mmである。
またさらなる一実施形態として、第1層厚み(212)は、2.30~2.70 mmであり、また、第2層厚み(222)は、1.80~2.00 mmである。
【0051】
さらに、第1層(210)及び第2層(220)は、異なる量の発泡剤を含んでもよく、これは、これらの層を、圧縮成形硬化過程において異なった様態で膨張させる。
例えば、一例として、第1層(210)は、第2層(220)における発泡剤の量の少なくとも2倍の量の発泡剤を有する。
その一方で、さらなる一実施形態として、第1層(210)は、第2層(220)における発泡剤の量の少なくとも2.5倍の量の発泡剤を有し、またさらなる一実施形態として、第1層(210)は、第2層(220)における発泡剤の量の少なくとも3倍の量の発泡剤を有する。
【0052】
発泡剤の量は、ゴム重量100に対する発泡剤の重量部(phr)で測定される。
組成物を膨張させるための発泡剤は、これに限定されないが、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)、アゾジカルボンアミド(AZC)、p-トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)、4,4'-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)並びに同類のもの、及び、無機発泡剤(例えば、炭酸水素ナトリウム)を含むことができる。
さらに、発泡剤は、発泡工程において導入される窒素ガスを、高温で放出するジアゾ化合物、化学発泡剤から分解される二酸化炭素、及び/または、多くの場合、膨張性マイクロスフェアまたはマイクロカプセルと呼ばれる、内部に気化液体を含むコア-シェルを有する膨張セルシステム、を含むことができる。
【0053】
本発明の一実施形態として、第1層(210)及び第2層(220)は、EPDMか、天然ゴムとEPDMの混合物のいずれかのゴム化合物である。
本発明のさらなる一実施形態として、第1層(210)は、圧縮成形される前において、少なくとも55ショア硬さの高い材料硬度を有する。そのため、この高い材料硬度は、第1層(210)が、圧縮成形過程において膨張されるときに、その膨張に耐えることができる。
本発明の一実施形態として、第1層(210)は、極めて高いエチレン含有量、高い分子量、高い充填量を有し、硬度を上げる。
また、本発明の一実施形態として、第1層(210)は、ケイ酸塩、硬度用の高いスチレン含有量、架橋結合用のEPDMに対する極めて高いジエン比、及び、低油分を含み、硬度を維持する能力を上げる。
【0054】
本発明のさらなる一実施形態として、第2層(220)は、硬度と耐摩耗性を上げるために、高いエチレン含有量と高い充填量を有することによって、優れた耐摩耗性を備えた比較的高い硬度を提供するものから選択される。
また、本発明の一実施形態として、第2層(220)は、処理済の珪酸塩、架橋結合用の高ジエン比、及び、加工性のための平均的な油含有量、平均的な感触、並びに平均的な耐摩耗性を含む。
ゴルフグリップ(10)は、個別のアンダーリスティングを有さず、また、フェルトが使われない。
【0055】
前述した二層の実施形態に加えて、
図12及び13に見られる本発明のさらなる実施形態は、第3層(230)を含む。この第3層(230)は、第3層厚み(232)を有し、第1層(210)と第2層(220)との間に配置されている。
第3層(230)を含むと、製造工程の精度を高めることができる。
二層の実施形態と同様に、個別の層は、互いに接着されるか、または、圧縮成形過程において接合されることができる。さらに同様に、本明細書で述べられている個別の層の厚みは、実際の製造工程前に測定された厚みであり、従って、未硬化の厚みである。
本発明の一実施形態として、第1層厚み(212)と第3層厚み(232)の双方は、第2層厚み(222)より小さい。実際には、さらなる一実施形態として、第1層厚み(212)と第3層厚み(232)の双方は、第2層厚み(222)より少なくとも20%小さい。
またさらなる一実施形態として、第1層厚み(212)と第3層厚み(232)の双方は、第2層厚み(222)の少なくとも50~75%である。
【0056】
本発明のさらなる他の実施形態として、第1層厚み(212)及び第3層厚み(232)は、1.00~1.50 mmであり、また、第2層厚み(222)は、1.25~2.50 mmである。その一方で、さらなる一実施形態として、第1層厚み(212)及び第3層厚み(232)は、1.25~1.40 mmであり、また、第2層厚み(222)は、1.70~2.25 mmである。
またさらなる他の実施形態として、第1層厚み(212)及び第3層厚み(232)は、1.30~1.35 mmであり、また、第2層厚み(222)は、1.80~2.00 mmである。
本発明の一実施形態として、第3層(230)は、第2層(220)における発泡剤の量の少なくとも2倍の量の発泡剤を有する。
その一方で、さらなる一実施形態として、第3層(230)は、第2層(220)における発泡剤の量の少なくとも2.5倍の量の発泡剤を有し、またさらなる一実施形態として、第3層(230)は、第2層(220)における発泡剤の量の少なくとも3倍の量の発泡剤を有する。
【0057】
本発明の他の実施形態として、第1層厚み(212)と第2層厚み(222)の双方は、第3層厚み(232)より小さい。実際には、さらなる一実施形態として、第1層厚み(212)と第2層厚み(222)の双方は、第3層厚み(232)より少なくとも20%小さい。
またさらなる一実施形態として、第1層厚み(212)と第2層厚み(222)の双方は、最大の第3層厚み(232)の半分より小さい。
本発明のさらなる他の実施形態として、第1層厚み(212)及び第2層厚み(222)は、1.50 mm未満であり、また、第3層厚み(232)は、少なくとも2.00 mmある。
その一方で、さらなる一実施形態として、第1層厚み(212)は、最大の第3層厚み(232)の20%未満であり、また、第1層厚み(212)は、最大の第2層厚み(222)の50%未満である。
またさらなる一実施形態として、第1層厚み(212)は、0.50 mm未満であり、第2層厚み(222)は、少なくとも0.75 mmあり、また、第3層厚み(232)は、1.5~8.0 mmである。
【0058】
さらに、これらの三層構造の実施形態において、第1層(210)、第2層(220)、及び第3層(230)は、異なる量の発泡剤を含んでもよく、これは、これらの層を、圧縮成形硬化過程において異なった様態で膨張させる。
例えば、一例として、第1層(210)及び第3層(230)は、第2層(220)における発泡剤の量の少なくとも2倍の量の発泡剤を各々有する。
その一方で、さらなる一実施形態として、第1層(210)及び第3層(230)は、第2層(220)における発泡剤の量の少なくとも2.5倍の量の発泡剤を各々有し、またさらなる一実施形態として、第1層(210)及び第3層(230)は、第2層(220)における発泡剤の量の少なくとも3倍の量の発泡剤を各々有する。
【0059】
その一方で、またさらなる一実施形態として、第1層(210)及び第3層(230)は、第2層(220)における発泡剤の量の3~6倍の量の発泡剤を各々有する。またさらなる一実施形態として、第1層(210)及び第3層(230)は、第2層(220)における発泡剤の量の4~5.5倍の量の発泡剤を各々有する。
上述したような第1層(210)の材料組成及び材料特性と同様に、発泡剤は、この第3層(230)にも適用可能である。
【0060】
発泡剤の量、及び、圧縮成形過程のパラメータは、ゴルフグリップ(10)の領域の密度、気孔率、及び硬度に影響を与える。
ゴルフグリップ(10)は、前述した複数の層を用いて圧縮成形されることができる。
図10~13及び
図15、16に示されているように、これら複数の層のストリップ(帯)は、完成品のグリップとして望まれる配置に対応する配置で、コアロッド(CR)まわりに両半分の圧縮成形型(M)内に配置される。
コアロッド(CR)すなわちマンドレルは、中空の管状ゴルフグリップ(10)を成形することを容易にするために、両半分の圧縮成形型内に配置される。
両半分の圧縮成形型は、共に固定され、完成品のゴルフグリップ(10)の管状形状に、複数の層を加硫処理して結合させる、温度に加熱される。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態として、コアロッド(CR)は、内面(120)からの硬化をさらに促進し、また、ゴルフグリップ(10)の内面(120)のほうに第1領域高密度を作り出すように、少なくとも120° Cの温度まで加熱すなわち暖められる。
その一方で、本発明のさらなる一実施形態として、コアロッド(CR)は、少なくとも140° Cの温度まで加熱すなわち暖められ、またさらなる一実施形態として、コアロッド(CR)は、少なくとも165° Cの温度まで加熱すなわち暖められる。
【0062】
本発明における一実施形態の試験は、他社の製品と比較して、振動伝達が増強されたことを示した。この試験において、最小限のゴルフ活動から経験豊富なゴルファーまで、ゴルフ経験の異なる10人の試験者が参加した。
試験は、10フィートと12フィートの距離の間に、ゴルフボールを置くことから成る。同一のパターに、本発明の一実施形態及び他社のゴルフグリップが備えられた。
ゴルフクラブに、
図17~26において“本実施形態”とラベル付けされた本発明の一実施形態か、
図17~26において“比較例”とラベル付けされた他社の製品のいずれかが備えられた。
金属製のゴルフクラブシャフト上と、ゴルファーによって保持されたグリップ上の振動力の応答が測定され、また、試験者10人の各タイプのグリップを使用した一連のパットを記録した。
【0063】
図14に示されているように、振動センサ、すなわちグリップセンサ(GS)が、ゴルフグリップ(10)の側に、具体的には先端部(140)から接合端部(130)に向かって1.5インチ離れた位置に配置された。また、もう1つの振動センサ、すなわちシャフトセンサ(SS)が、シャフト(S)側に、具体的には先端部(140)からパターヘッド(H)に向かって1インチ離れた位置に配置された。
これらのセンサは、高強度の接着剤を使用して、指定した位置に取り付けられた100 mV / gの加速度計であった。
これらのセンサは、IO-テックダイナミック信号アナライザ(マルチチャンネル)(IO-tech Dynamic Signal Analyzer)とラップトップコンピュータに接続された。データは、ゾニックブックダイナミック信号アナライザ(ZonicBook dynamic signal analyzer)を使用して得られた。
【0064】
データを分析すると、
図17、18、19、20、及び25に関連した5人の最も経験豊富なゴルファーが、
図21、22、23、24、及び26の他の試験者より、ストローク(打撃)がより小さい偏差を有することが分かった。
“本実施形態”のグリップに対する5人の経験豊富なゴルファーの手への感触の、平均増幅は、“比較例”のグリップより49%高い。
従って、“本実施形態”のグリップは、5人の経験豊富なゴルファーにとって、グリップセンサ(GS)に、“比較例”のグリップによって提供されるエネルギより、49%多くのエネルギが提供される。
さらに、最小限のゴルフ活動からトップの5人の経験豊富なゴルファーまでの試験者が“本実施形態”のグリップを使用した場合の、力の平均偏差(これは、一貫したパットと考えることができる)は、同一の試験者が“比較例”のグリップを用いた場合に記録された力の平均偏差より28%小さい偏差を有する。
これは、ゴルファーがパッティングストロークを行ったときに、パットのよりよい感触を一貫して有していたことを示している。
【0065】
説明を簡単化するために、以下の表1に見られ、また、
図17に示されている試験#1において収集されたテストデータのみを詳述する。
最初の試験者の10回のパットが記録された。其々のパットに対して、200~1000 Hzの範囲の振動の、正のピーク値と負のピーク値が、各センサで測定された。
このように、シャフトセンサ(SS)とグリップセンサ(GS)によって測定された、高いほうの、すなわち正のピーク値、及び、低いほうの、すなわち負のピーク値が、双方のグリップに対して、記録された。
これらの測定は、表1における“高”と“低”の値の列に相当し、(ただ、“低”の値が負の符号なしに表1に示されているが)また、これらの値は、図に示され、図式的に簡素化されている。
【0066】
各列の平均が算定され、故に、各ゴルフグリップは、シャフトセンサ平均高値、シャフトセンサ平均低値、グリップセンサ平均高値、及びグリップセンサ平均低値を有する。これらの値は、
図17にグラフで示されている値である。
シャフトセンサ平均高値とシャフトセンサ平均低値の和が算出され、同様に、グリップセンサ平均高値とグリップセンサ平均低値の和が算出されて、平均全振幅に反映された。
この計算は、本実施形態と比較例の双方のグリップに対して繰り返された。その後、グリップセンサ(GS)へのエネルギ伝達を示す割合を示す関係式(Sum GS - Sum SS) / ((Sum GS) * 100)によって、グリップセンサの和が、シャフトセンサの和と比較された。
以下の表1に見られるように、“本実施形態”のグリップに対する増幅におけるこの計算値は、94%であり、その一方で、“比較例”のグリップに対する計算値は、14%である。
人間の手は、300~500 Hzの範囲をピークの感度として、この範囲の振動に敏感であるため、200~1000 Hzの範囲の振動が、測定された。
【0067】
【0068】
以下の表2は、10人の試験者の各自に対する、PEと省略された“本実施形態”のグリップに対する増幅と、CEと省略された“実施例”のグリップに対する増幅と、を示している。
【0069】
【0070】
また、以下の表3及び4に見られるように、5人の最も経験豊富なゴルファーにおけるデータが、シャフトセンサ(SS)とグリップセンサ(GS)によって記録された平均力を用いてさらに分析された。
【0071】
【0072】
【0073】
シャフトセンサ(SS)とグリップセンサ(GS)によって記録された平均力を用いたこの方法は、任意の振り子型パター試験機を用いて簡単に再現される。
例えば、ミシシッピ州のジャクソン社のパッティングアークからの“鉄アーチ”パッティングロボットが用いられて、前に説明した増幅及び伝達性を単独で得ることができる。
また、この試験機を用いることは、グリップセンサ(GS)とシャフトセンサ(SS)によって収集されたデータが、ゴルフグリップ(10)上のゴルファーの両手による影響がない(この影響が最小限になる)ことを可能にする。
まず、前に説明した複数のセンサが、ゴルフグリップ(10)のシャフト(S)上の其々の特定の位置に取り付けられる。
【0074】
その後、試験機が異なり、また、異なったパターは異なる重量を有するため、バックスイング位置を定め、シャフトセンサ(SS)によって測定される入力の力30 g’sで、ゴルフボールをインパクトするように加速されるように、パターのヘッドがリリースされる、試験が行われる。
このバックスイング位置は記録され、ロボット試験のスタート位置として用いられる。
次に、一連の10回のパットが、所定のバックスイング位置からリリースされるパターによって行われ、グリップセンサ(GS)は、ゴルフグリップ(10)上の200~1000 Hzの範囲の振動力応答を記録する。その一方で、シャフトセンサ(GS)は、200~1000 Hzの範囲の入力の振動力応答を記録する。
【0075】
その後、シャフトセンサ(SS)によって記録される平均力、及び、グリップセンサ(GS)によって記録される平均力が算定される。これらの平均力は、表4に示されているような、伝達性を計算するために用いられる。
本発明の一実施形態として、ゴルフグリップ(10)は、少なくとも120%の伝達性を有し、さらなる一実施形態として、ゴルフグリップ(10)は、少なくとも140%の伝達性を有する。本発明のまたさらなる一実施形態として、ゴルフグリップ(10)の伝達性は、少なくとも160%あり、さらなる他の実施形態として、ゴルフグリップ(10)の伝達性は、少なくとも180%ある。
【0076】
本明細書に開示された好ましい実施形態の、多くの変更、修正、及び、バリエーションは、当業者には明らかであり、それらは、本発明の精神と範囲内にあると考えられ、すべて予想される。
具体的な実施例を詳細に説明したが、例えば、当業者は、前述の実施形態及びそれらのバリエーションが、様々なタイプの代替、及び/または、追加若しくは別の材料、要素の相対的配置並びに寸法構成を含んで修正されることができることを理解するであろう。
従って、本発明のいくつかのバリエーションが、本明細書に記載されているにもかかわらず、このような追加修正、バリエーション、及び、同等のものを実施することが、以下の特許請求の範囲で定義されるような本発明の精神と範囲内にあることが理解されるべきである。
【0077】
また、外面(110)全体に対して、外面(110)構造にわたって、厚さ1mmまたはそれ未満の表面的または装飾的なコーティングが可能である。
以下の特許請求の範囲におけるすべての手段すなわちステップと機能要素に対応する、構造、材料、行為、及び同等のものは、具体的に主張したクレームのような他のクレームの要素と組み合わせて機能を実行するための、任意の構造、材料、または行為を含むものとする。