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特許7052148変動低抵抗ライン不揮発性メモリ素子及びその動作方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-01
(45)【発行日】2022-04-11
(54)【発明の名称】変動低抵抗ライン不揮発性メモリ素子及びその動作方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/1159 20170101AFI20220404BHJP
   H01L 45/00 20060101ALI20220404BHJP
   H01L 49/00 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
H01L27/1159
H01L45/00 A
H01L49/00 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021523505
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 KR2019014052
(87)【国際公開番号】W WO2020091307
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-06-16
(31)【優先権主張番号】10-2018-0133895
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521091398
【氏名又は名称】ブイメモリー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】VMEMORY CORP.
【住所又は居所原語表記】109, Gwanggyo-ro, Yeongtong-gu, Suwon-si Gyeonggi-do 16229 Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ソン ジョンファ
(72)【発明者】
【氏名】ソン ジョンヨク
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/107466(WO,A1)
【文献】特表2018-509777(JP,A)
【文献】特開2007-173395(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0277683(US,A1)
【文献】米国特許第5886920(US,A)
【文献】米国特許第4262339(US,A)
【文献】特開2002-270789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/1159
H01L 45/00
H01L 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自発分極性材料を含むベースと、
前記ベースの一面に隣接するように配置されたゲートと、
前記ゲートを通じて前記ベースに電場を印加して、前記ベースに形成され、相異なる方向の分極を有する少なくとも二つの分極領域と、
選択的に前記相異なる方向の分極を有する分極領域の境界に対応する変動低抵抗ラインと、
前記変動低抵抗ラインに接するように位置するソースと、
前記変動低抵抗ラインに接するように位置するドレインと、を含み、
前記変動低抵抗ラインは、前記ベースの領域のうち、前記変動低抵抗ラインと隣接した他の領域よりも電気的抵抗が低い領域に形成され、
前記分極領域は、前記ベースの厚さに垂直な平面方向に互いに隣接するように位置し、
前記変動低抵抗ラインは、前記ソースとドレインを電気的に連結するように備えられ、
前記変動低抵抗ラインは、前記ベースの表面方向に前記ゲートから離隔されるように位置し、
前記変動低抵抗ラインは、前記ベースの表面から垂直な方向にベースの全厚にわたって形成され、
前記ゲートは、ゲートに隣接した領域に既に形成されている分極の方向が他の方向に変更されるように電場が印加され
前記変動低抵抗ラインは、前記ゲートを通じた電場を制御して、前記分極領域の制御によって生成または消滅し、電場が取り除かれた後には、形成された低抵抗ラインの形態をそのまま保持して情報の不揮発性特性を有する不揮発性メモリ素子。
【請求項2】
前記分極領域は、第1方向の分極を有する第1領域と、選択的に前記第1方向と逆になる第2方向の分極を有する第2領域とを含み、
前記変動低抵抗ラインは、前記第1領域と第2領域との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の不揮発性メモリ素子。
【請求項3】
前記第1領域及び前記第2領域は、同じ厚さを有することを特徴とする請求項2に記載の不揮発性メモリ素子。
【請求項4】
前記第2領域は、第1厚さを有し、前記第1領域は、前記第1厚さよりも厚い第2厚さを有する部分を含むことを特徴とする請求項2に記載の不揮発性メモリ素子。
【請求項5】
前記ゲートは、前記第1領域及び第2領域のうち一つの領域に電場を印加するように備えられたことを特徴とする請求項2に記載の不揮発性メモリ素子。
【請求項6】
前記ゲートは、前記第1領域及び第2領域のうち、少なくともゲートに隣接した領域の分極方向を制御するように備えられたことを特徴とする請求項5に記載の不揮発性メモリ素子。
【請求項7】
前記変動低抵抗ラインは、前記ゲートを通じた電場の強度を制御して、前記ベースの厚さ方向への前記変動低抵抗ラインの深みが制御されて、前記ベースの全厚にわたって形成されるように制御されることを含むことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性メモリ素子。
【請求項8】
前記変動低抵抗ラインは、
前記ゲートを通じた電場の印加時間を制御して、前記ベースとの距離が制御されることを特徴とする請求項1に記載の不揮発性メモリ素子。
【請求項9】
前記ベースは、強誘電性材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性メモリ素子。
【請求項10】
前記変動低抵抗ラインは、前記ゲートを通じて印加された電場が取り除かれても保持されることを特徴とする請求項1に記載の不揮発性メモリ素子。
【請求項11】
自発分極性材料を含むベースと、前記ベースの一面に隣接するように配置されたゲートと、前記ゲートから離隔され、かつ前記ベースに接するように配置されるソース及びドレインと、を含む不揮発性メモリ素子に対して、
前記ベースに、第1方向の分極を有する第1領域を形成するステップと、
前記ゲートを通じて前記ベースに第1電圧を印加して、前記第1領域のうち前記ゲートに隣接するように、前記第1方向と逆になる第2方向の分極を有する第2領域を形成するステップと、
前記ゲートを通じて前記ベースに前記第1電圧を第1時間保持して、前記第2領域を成長させ、前記第1領域と第2領域との間に位置し、前記ソース及びドレインと電気的に連結される変動低抵抗ラインを形成するステップと、を含み、
前記第1領域及び第2領域は、前記ベースの厚さに垂直な平面方向に互いに隣接するように位置し、
前記変動低抵抗ラインは、前記ソースとドレインを電気的に連結するように備えられ、
前記変動低抵抗ラインは、前記ベースの表面方向に前記ゲートから離隔されるように位置し、
前記変動低抵抗ラインは、前記ベースの表面から垂直な方向にベースの全厚にわたって形成され
前記ゲートを通じて前記ベースに第2電圧を印加して、ゲートに隣接した第2領域を、前記第1方向の分極を有する第1領域に変換するステップと、
前記ゲートを通じて前記ベースに前記第2電圧を第2時間保持して、前記第1領域を成長させ、前記第1領域が前記変動低抵抗ラインを通過するようにするステップと、を含むことを特徴とする不揮発性メモリ素子の動作方法。
【請求項12】
前記第2電圧は、前記第1電圧と相異なっていることを特徴とする請求項11に記載の不揮発性メモリ素子の動作方法。
【請求項13】
前記第2時間は、前記第1時間以上であることを特徴とする請求項11に記載の不揮発性メモリ素子の動作方法。
【請求項14】
前記変動低抵抗ラインは、前記ゲートに前記第1電圧の印加が終了しても保持されるようにすることを特徴とする請求項11に記載の不揮発性メモリ素子の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変動低抵抗ライン不揮発性メモリ素子及びその動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の発展及び人々の生活の利便性への関心が高くなるにつれて、様々な電子製品についての開発の試みが盛んになっている。
【0003】
また、このような電子製品は、益々小型化されつつ集積化されており、使われる場所が広範囲に増加している。
【0004】
このような電子製品は、様々な電気素子を含み、例えば、CPU、メモリ、その他の様々な電気素子を含む。当該電気素子は、様々な種類の電気回路を含むことができる。
【0005】
例えば、コンピュータ、スマートフォンだけでなく、IoTのための家庭用センサ素子、人体工学用バイオ電子素子など、様々な分野の製品において電気素子が使われる。
【0006】
近年の技術の発達速度とユーザの生活水準の急激な向上に伴い、当該電気素子の使用と応用分野が急激に増加し、それによって、その需要も増加している。
【0007】
このような傾向によって、一般に使用している様々な電気素子に容易かつ迅速に適用する電気回路を具現して制御するのに限界がある。
【0008】
一方、メモリ素子、特に不揮発性メモリ素子は、コンピュータだけでなく、カメラ、通信機器など、様々な電子装置の情報記憶及び/または処理装置として幅広く利用されている。
【0009】
このようなメモリ素子は、特に寿命と速度の面で多くの開発が行われているが、ほとんどの課題は、メモリの寿命と速度の確保にあるが、各メモリ素子の特殊な限界によって限界がある状況である。
【0010】
既存のシリコン系メモリ素子についての研究に加えて、近年、強誘電体メモリ(Fe-RAM)、抵抗変化メモリ(ReRAM)、相変化メモリ(P-RAM)などが次世代メモリとして研究されている。
【0011】
強誘電体メモリは、従来のDRAMと類似した原理を利用するが、キャパシタの中間の誘電膜として強誘電体を使用するものであり、強誘電体に電界を印加すれば、キャパシタに電荷が蓄積される。当該強誘電体メモリは、素子の高集積化によって、強誘電体の分極を活用しなければならないため、蓄電器の大きさを小さくするのには限界がある。それによって、メモリ素子の大きさを一定の大きさ以下に小さくすることができないので、データ保存容量において限界がある。
【0012】
抵抗変化メモリは、金属のイオン化または酸素欠損により、スイッチング特性を発生させるものであるが、結局、抵抗変化のために物質の変化が行われなければならないため、素子の劣化問題などが生じる。
【0013】
相変化メモリは、Ge-Sb-Te系の相変化膜の比抵抗が非晶質状態及び結晶状態で相異なる点を利用するものであり、物質の相変化を利用しているため、やはり長時間の使用による素子の劣化問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前記のような従来の次世代メモリ素子の場合、素子の集積度問題、素子の寿命問題、及び/またはメモリ速度の限界など、依然として多くの限界を有している状況である。
【0015】
本発明の実施形態は、前記のような問題、限界及び/または必要を解決するためのものであり、データの保存期間が長く、メモリ速度が速く、かつ素子の集積度を向上させることが可能なメモリ素子及びその動作方法を提供するのに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するために、本発明の実施形態は、自発分極性材料を含むベースと、前記ベースに隣接するように配置されたゲートと、前記ゲートを通じて前記ベースに電場を印加して、前記ベースに形成され、相異なる方向の分極を有する少なくとも二つの分極領域と、選択的に前記相異なる方向の分極を有する分極領域の境界に対応する変動低抵抗ラインと、前記変動低抵抗ラインに接するように位置するソースと、前記変動低抵抗ラインに接するように位置するドレインと、を含み、前記変動低抵抗ラインは、前記ベースの領域のうち、前記変動低抵抗ラインと隣接した他の領域よりも電気的抵抗が低い領域に形成される不揮発性メモリ素子を開示する。
【0017】
他の実施形態において、前記分極領域は、第1方向の分極を有する第1領域と、選択的に前記第1方向と逆になる第2方向の分極を有する第2領域とを含み、前記変動低抵抗ラインは、前記第1領域と第2領域との間に位置してもよい。
【0018】
さらに他の実施形態において、前記第1領域及び前記第2領域は、同じ厚さを有してもよい。
【0019】
さらに他の実施形態において、前記第2領域は、第1厚さを有し、前記第1領域は、前記第1厚さよりも厚い第2厚さを有する部分を含んでもよい。
【0020】
さらに他の実施形態において、前記変動低抵抗ラインは、前記ソースとドレインを電気的に連結するように備えられてもよい。
【0021】
さらに他の実施形態において、前記変動低抵抗ラインは、前記ゲートと離隔されるように位置してもよい。
【0022】
さらに他の実施形態において、前記変動低抵抗ラインは、前記ゲートを通じた電場を制御して、前記分極領域の制御によって生成または消滅し、電場が取り除かれた後には、形成された低抵抗ラインの形態をそのまま保持して情報の不揮発性特性を有してもよい。
【0023】
さらに他の実施形態において、前記変動低抵抗ラインは、前記ゲートを通じた電場の強度を制御して、前記ベースの厚さ方向への前記変動低抵抗ラインの深みが制御されてもよい。
【0024】
さらに他の実施形態において、前記変動低抵抗ラインは、前記ゲートを通じた電場の印加時間を制御して、大きさが制御されてもよい。
【0025】
さらに他の実施形態において、前記ベースは、強誘電性材料を含んでもよい。
【0026】
さらに他の実施形態において、前記変動低抵抗ラインは、前記ゲートを通じて印加された電場が取り除かれても保持されてもよい。
【0027】
本発明の他の実施形態は、自発分極性材料を含むベースと、前記ベースに隣接するように配置されたゲートと、前記ゲートから離隔され、かつ前記ベースに接するように配置されるソース及びドレインと、を含むメモリ素子に対して、前記ベースに、第1方向の分極を有する第1領域を形成するステップと、前記ゲートを通じて前記ベースに第1電圧を印加して、前記第1領域のうち前記ゲートに隣接するように、前記第1方向と逆になる第2方向の分極を有する第2領域を形成するステップと、前記ゲートを通じて前記ベースに前記第1電圧を第1時間保持して、前記第2領域を成長させ、前記第1領域と第2領域との間に位置し、前記ソース及びドレインと電気的に連結される変動低抵抗ラインを形成するステップと、を含む不揮発性メモリ素子の動作方法を提供することができる。
【0028】
さらに他の実施形態において、前記ゲートを通じて前記ベースに第2電圧を印加して、ゲートに隣接した第2領域を、前記第1方向の分極を有する第1領域に変換するステップと、前記ゲートを通じて前記ベースに前記第2電圧を第2時間保持して、前記第1領域を成長させ、前記第1領域が前記変動低抵抗ラインを通過するようにするステップと、を含んでもよい。
【0029】
さらに他の実施形態において、前記第2電圧は、前記第1電圧と相異なっていてもよい。
【0030】
さらに他の実施形態において、前記第2時間は、前記第1時間以上であってもよい。
【0031】
さらに他の実施形態において、前記変動低抵抗ラインは、前記ゲートに前記第1電圧の印加が終了しても保持されるようにしてもよい。
【0032】
前述した以外の他の側面、特徴及び利点は、以下の図面、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0033】
前述のような本発明の実施形態によれば、データの保存期間が長く、メモリ速度が速く、かつ素子の集積度を向上させることが可能なメモリ素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態に係る電子素子を示す概略的な平面図である。
図2図1のI-I線に沿って切り取った断面図である。
図3図2のKの拡大図である。
図4A-4C】図1の電子素子に関し、電流経路範囲制御方法を説明するための図面である。
図5】本発明の他の実施形態に係る電子素子を示す概略的な平面図である。
図6図5のII-II線に沿って切り取った断面図である。
図7-11】図5の電子素子の動作を説明するための図面である。
図12】本発明のさらに他の実施形態に係る電子素子を示す概略的な平面図である。
図13図12のV-V線に沿って切り取った断面図である。
図14】本発明のさらに他の実施形態に係るメモリ素子を示す概略的な平面図である。
図15図14のVI-VI線に沿って切り取った断面図である。
図16】第1領域と変動低抵抗ラインとの電圧及び電流関係を示すグラフである。
図17】さらに他の実施形態による変動低抵抗ラインメモリ素子の断面図である。
図18】さらに他の実施形態による変動低抵抗ラインメモリ素子の断面図である。
図19】さらに他の実施形態による変動低抵抗ラインメモリ素子の断面図である。
図20】さらに他の実施形態による変動低抵抗ラインメモリ素子の断面図である。
図21】さらに他の実施形態による変動低抵抗ラインメモリ素子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付した図面に示した本発明に係る実施形態を参照して、本発明の構成及び作用を詳細に説明する。
【0036】
本発明は、様々な変換を加えることができ、色々な実施形態を有するところ、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明で詳細に説明する。本発明の効果及び特徴、並びにそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すれば明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、様々な形態に具現可能である。
【0037】
以下、添付された図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明し、図面を参照して説明するとき、同一または対応する構成要素は、同じ図面符号を付与し、それについての重複説明は省略する。
【0038】
以下の実施形態において、第1、第2などの用語は、限定的な意味ではなく、一つの構成要素を他の構成要素と区別する目的に使われた。
【0039】
以下の実施形態において、単数の表現は、文脈上明白に取り立てて意味しない限り、複数の表現を含む。
【0040】
以下の実施形態において、“含む”または“有する”などの用語は、明細書上に記載された特徴または構成要素が存在することを意味するものであり、一つ以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性を予め排除するものではない。
【0041】
図面では、説明の便宜上、構成要素の大きさが誇張されたり縮小されたりする。例えば、図面に示された各構成要素の大きさ及び厚さは、説明の便宜上、任意に表しているので、本発明が必ずしも図示されたところに限定されない。
【0042】
以下の実施形態において、x軸、y軸及びz軸は、直交座標系上の三つの軸に限定されず、それらを含む広い意味で解釈されうる。例えば、x軸、y軸及びz軸は、互いに直交してもよいが、互いに直交しない相異なる方向を指すこともある。
【0043】
ある実施形態が異なって具現可能な場合に、特定の工程順序は、述べられる順序と異なって行われることもある。例えば、連続して述べられる二つの工程が実質的に同時に行われてもよいし、述べられる順序と逆の順序で行われてもよい。
【0044】
図1は、本発明の一実施形態による電場を利用した電流経路範囲制御方法を具体的に説明するための平面図であり、図2は、図1のI-I線に沿って切り取った断面図であり、図3は、図2のKの拡大図である。
【0045】
図1及び図2を参照すれば、本実施形態の電子素子10は、活性層11と、印加電極12と、変動低抵抗領域VLとを含むことができる。
【0046】
活性層11は、自発分極性材料を含むことができる。例えば、活性層11は、絶縁材料を含み、強誘電性材料を含むことができる。すなわち、活性層11は、電場の存在時に反転可能な自発的な電気分極(電気双極子)を持つ材料を含むことができる。
【0047】
選択的な実施形態として、活性層11は、ペロブスカイト系物質を含んでもよく、例えば、BaTiO、SrTiO、BiFe、PbTiO、PbZrO、SrBiTaを含んでもよい。
【0048】
また、他の例として、活性層11は、ABX3構造であり、Aは、CnH2n+1のアルキル基、及びペロブスカイト太陽電池の構造の形成が可能な、Cs、Ruなどの無機物から選択された一つ以上の物質を含むことができ、Bは、Pb、Sn、Ti、Nb、Zr及びCeから構成された群から選択された一つ以上の物質を含むことができ、Xは、ハロゲン物質を含むことができる。具体例として、活性層11は、CH3NH3PbI3、CH3NH3PbIxCl3-x、MAPbI3、CH3NH3PbIxBr3-x、CH3NH3PbClxBr3-x、HC(NH22PbI3、HC(NH22PbIxCl3-x、HC(NH22PbIxBr3-x、HC(NH22PbClxBr3-x、(CH3NH3)(HC(NH221-yPbI3、(CH3NH3)(HC(NH221-yPbIxCl3-x、(CH3NH3)(HC(NH221-yPbIxBr3-x、または(CH3NH3)(HC(NH221-yPbClxBr3-x(0≦x、y≦1)を含むことができる。
【0049】
その他の様々な強誘電性材料を利用して、活性層11を形成することができるところ、これについての全ての例示の説明は省略する。また、活性層11を形成する際、強誘電性材料にその他の様々な物質をドーピングして、付加的な機能を含むか、または電気的特性の向上を行うこともできる。
【0050】
活性層11は、自発分極性を有し、電場の印加によって、分極の程度及び方向を制御することができる。また、活性層11は、印加された電場が取り除かれても、分極状態を維持することができる。
【0051】
印加電極12は、活性層11に電場を印加するように形成可能であり、例えば、電圧を活性層11に印加することができる。
【0052】
選択的な実施形態として、印加電極12は、活性層11の上面に接するように形成されてもよい。
【0053】
また、印加電極12は、活性層11に様々な大きさの電圧を印加することができ、電圧の印加時間を制御するように形成可能である。
【0054】
選択的な実施形態として、印加電極12は、ゲート電極であってもよい。
【0055】
例えば、印加電極12は、電源(図示せず)または電源制御部と電気的に連結されてもよい。
【0056】
印加電極12は、様々な材料を含むことができ、電気的導電性の高い材料を含むことができる。例えば、様々な金属を利用して、印加電極12を形成することができるが、アルミニウム、クロム、チタン、タンタル、モリブデン、タングステン、ネオジム、スカンジウムまたは銅を含有するように形成することができる。または、それらの材料の合金を利用して形成してもよく、それらの材料の窒化物を利用して形成してもよい。
【0057】
また、選択的な実施形態として、印加電極12は、積層体構造を含むこともできる。
【0058】
図示していないが、選択的な実施形態として、印加電極12と活性層11との間に、一層以上の絶縁層がさらに配置されてもよい。
【0059】
変動低抵抗領域VLは、活性層11に形成された領域であり、かつ電流が流れることができる領域であり、また、図1に示すように、印加電極12の周辺に線状を有する電流の通路として形成可能である。
【0060】
具体的には、変動低抵抗領域VLは、活性層11の領域のうち、変動低抵抗領域VLと隣接した他の領域よりも電気的抵抗が低くなった領域である。
【0061】
また、印加電極12を通じた変動低抵抗領域VLを形成した後、印加電極12を通じた電場を取り除いても、例えば、電圧を取り除いても、活性層11の分極状態は維持されるので、変動低抵抗領域VLは保持され、電流の通路を形成した状態を維持することができる。
【0062】
これにより、様々な電子素子を構成することが可能である。
【0063】
変動低抵抗領域VLは、高さHVLを有し、当該高さHVLは、活性層11の全厚に対応することができる。
【0064】
当該変動低抵抗領域VLの高さHVLは、印加電極12を通じて印加される電場の強度、例えば、電圧の大きさに比例することができる。少なくとも当該電場の大きさは、活性層11が有する固有の抗電場よりは大きい。
【0065】
変動低抵抗領域VLは、印加電極12を通じて電圧が活性層11に印加されれば形成される領域であり、印加電極12の制御によって、変動、例えば、生成、消滅,移動することができる。
【0066】
活性層11は、第1分極方向を有する第1分極領域11Rを含むことができ、変動低抵抗領域VLは、当該第1分極領域11Rの境界に形成可能である。
【0067】
また、活性層11は、第1分極領域11Rに隣接するように、第2分極方向を有する第2分極領域11Fを含むことができ、変動低抵抗領域VLは、当該第2分極領域11Fの境界に形成可能である。第2方向は、少なくとも第1方向と相異なる方向であり、例えば、第1方向と逆方向であってもよい。
【0068】
例えば、変動低抵抗領域VLは、第1分極領域11Rと第2分極領域11Fとの間の境界に形成されてもよい。
【0069】
変動低抵抗領域VLは、一方向、すなわち、対向する二つの変動低抵抗領域VL間の幅WVLを有することができ、それは、変動低抵抗領域VLの移動距離に比例することができ、それについては後述する。
【0070】
選択的な実施形態として、図3に示すように、変動低抵抗領域VLは、所定の平面方向厚さTVLを有してもよいが、それは、0.3nmを中心として+/-0.2nmでもある。
図4Aないし図4Cは、図1の電子素子に関し、電流経路範囲制御方法を説明するための図面である。
【0071】
図4Aを参照すれば、活性層11は、第1分極方向を有する第1分極領域11Rを含むことができる。選択的な実施形態として、印加電極12を通じた初期化電場を印加して、図4Aのような活性層11の分極状態を形成してもよい。
【0072】
次いで、図4Bを参照すれば、活性層11に第2分極領域11Fが形成される。具体例として、印加電極12の幅に対応するように、少なくとも印加電極12と重畳された領域に、先に第2分極領域11Fが形成可能である。
【0073】
印加電極12を通じて、活性層11の抗電場よりも大きく、かつ少なくとも活性層11の全厚に対応するように、第2分極領域11Fの高さHVLが形成可能な程度の大きさの電場を活性層11に印加することができる。
【0074】
このような印加電極12を通じた電場の印加により、活性層11の第1分極領域11Rの一領域に対する分極方向を変えて、第2分極領域11Fに変わるようにすることができる。選択的な実施形態として、第2分極領域11Fの高さHVL方向への成長速度は非常に速いが、例えば、約1km/sec(秒)の速度で成長してもよい。
【0075】
次いで、印加電極12を通じた電場を保持し続ければ、すなわち、時間が経てば、第2分極領域11Fは、水平方向H、すなわち、高さHVLと直交する方向に移動して、その大きさが大きくなる。すなわち、第1分極領域11Rの領域を漸進的に第2分極領域11Fに変換することができる。
【0076】
選択的な実施形態として、第2分極領域11Fの水平方向Hへの成長速度は非常に速いが、例えば、1m/sec(秒)の速度で成長してもよい。
【0077】
これにより、変動低抵抗領域VLの大きさを制御することができるが、当該大きさは、例えば、第2分極領域11Fの一方向の幅WVLと、第2分極領域11Fの成長距離に対応するので、成長速度及び電場保持時間に比例することができる。例えば、成長距離は、成長速度と電場保持時間との積に比例することができる。
【0078】
また、第2分極領域11Fの成長速度は、高さHVL方向への成長速度と、水平方向Hへの成長速度との和に比例することができる。
【0079】
したがって、変動低抵抗領域VLの大きさは、電場保持時間を制御して、所望によって調節可能である。
【0080】
具体的には、図4Cに示すように、第2分極領域11Fは広がって大きくなり、それによって、変動低抵抗領域VLも、印加電極12から遠く離れる方向に移動することができる。
【0081】
本実施形態は、印加電極を通じて活性層に電場を印加して、活性層に第1分極方向と異なる第2分極方向を有する第2分極領域を形成し、当該第1分極領域と第2分極領域との間の境界に該当する変動低抵抗領域を形成することができる。当該変動低抵抗領域は、抵抗が低い、すなわち、抵抗が低下した領域であり、電流の通路となることができるので、電子素子を容易に形成することができる。
【0082】
また、本実施形態は、印加電極を通じた電場の大きさを制御して、例えば、電圧の大きさを制御して、変動低抵抗領域の高さを決めることができ、具体的には、活性層の全厚に対応する高さを有するように制御することができる。
【0083】
また、印加電極を通じた電場を保持する時間を制御して、変動低抵抗領域の大きさ、例えば、幅を決めることができる。このような変動低抵抗領域の大きさの制御により、電流のフローの通路の大きさを容易に制御することができる。
【0084】
また、印加電極を通じた電場を取り除いても、分極領域の分極状態は維持されるので、電流の通路を容易に保持することができ、印加電極を通じた電場を持続的に保持して、分極領域が拡大すれば、既に形成されていた変動低抵抗領域は、抵抗が低くなり、電流が流れなくなる。
【0085】
これにより、電流の通路に対する消滅を制御することができ、結果として電流のフローに対する容易な制御が可能である。
【0086】
図5は、本発明の一実施形態に係る電子素子を示す概略的な平面図であり、図6は、図5のII-II線に沿って切り取った断面図である。
【0087】
図5及び図6を参照すれば、本実施形態の電子素子100は、活性層110と、印加電極120と、変動低抵抗領域VLと、一つ以上の連結電極部131、132とを含むことができる。
【0088】
活性層110は、自発分極性材料を含むことができる。例えば、活性層110は、絶縁材料を含み、強誘電性材料を含むことができる。すなわち、活性層110は、電場の存在時に反転可能な自発的な電気分極(電気双極子)を持つ材料を含むことができる。
【0089】
選択的な実施形態として、活性層110は、ペロブスカイト系物質を含んでもよく、例えば、BaTiO、SrTiO、BiFe、PbTiO、PbZrO、SrBiTaを含んでもよい。
【0090】
また、他の例として、活性層110は、ABX3構造であり、Aは、CnH2n+1のアルキル基、及びペロブスカイト太陽電池の構造の形成が可能な、Cs、Ruなどの無機物から選択された一つ以上の物質を含むことができ、Bは、Pb、Sn、Ti、Nb、Zr及びCeから構成された群から選択された一つ以上の物質を含むことができ、Xは、ハロゲン物質を含むことができる。具体例として、活性層110は、CHNHPbI、CHNHPbICl3-x、MAPbI、CHNHPbIBr3-x、CHNHPbClBr3-x、HC(NHPbI、HC(NHPbICl3-x、HC(NHPbIBr3-x、HC(NHPbClBr3-x、(CHNH)(HC(NH1-yPbI、(CHNH)(HC(NH1-yPbICl3-x、(CHNH)(HC(NH1-yPbIBr3-x、または(CHNH)(HC(NH1-yPbClBr3-x(0≦x、y≦1)を含むことができる。
【0091】
その他の様々な強誘電性材料を利用して、活性層110を形成することができるところ、これについての全ての例示の説明は省略する。また、活性層110を形成する際、強誘電性材料にその他の様々な物質をドーピングして、付加的な機能を含むか、または電気的特性の向上を行うこともできる。
【0092】
活性層110は、自発分極性を有し、電場の印加によって、分極の程度及び方向を制御することができる。また、活性層110は、印加された電場が取り除かれても、分極状態を維持することができる。
【0093】
印加電極120は、活性層110に電場を印加するように形成可能であり、例えば、電圧を活性層110に印加することができる。
【0094】
選択的な実施形態として、印加電極120は、活性層110の上面に接するように形成されてもよい。
【0095】
また、印加電極120は、活性層110に様々な大きさの電圧を印加することができ、電圧の印加時間を制御するように形成可能である。
【0096】
選択的な実施形態として、印加電極120は、ゲート電極であってもよい。
【0097】
例えば、印加電極120は、電源(図示せず)または電源制御部と電気的に連結されてもよい。
【0098】
印加電極120は、様々な材料を含むことができ、電気的導電性の高い材料を含むことができる。例えば、様々な金属を利用して、印加電極120を形成することができる。
【0099】
例えば、印加電極120は、アルミニウム、クロム、チタン、タンタル、モリブデン、タングステン、ネオジム、スカンジウムまたは銅を含有するように形成することができる。または、それらの材料の合金を利用して形成してもよく、それらの材料の窒化物を利用して形成してもよい。
【0100】
また、選択的な実施形態として、印加電極120は、積層体構造を含むこともできる。
【0101】
連結電極部131、132は、一つ以上の電極部材を含むことができ、例えば、第1連結電極部材131及び第2連結電極部材132を含むことができる。
【0102】
連結電極部131、132は、活性層110上に形成可能であり、例えば、活性層110の上面に印加電極120と離隔されるように形成可能であり、選択的な実施形態として、活性層110と接するように形成されてもよい。
【0103】
第1連結電極部材131及び第2連結電極部材132は、様々な導電性材料を利用して形成することができる。例えば、第1連結電極部材131及び第2連結電極部材132は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデンまたはタングステンを含有するように形成することができる。
【0104】
選択的な実施形態として、第1連結電極部材131及び第2連結電極部材132は、複数の導電層を積層した構造を含んでもよい。
【0105】
選択的な実施形態として、第1連結電極部材131及び第2連結電極部材132は、導電性の金属酸化物を利用して形成してもよく、例えば、酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム-酸化スズ合金(In-SnO)、または酸化インジウム-酸化亜鉛合金(In-ZnO)を含有するように形成してもよい。
【0106】
選択的な実施形態として、連結電極部131、132は、電気的信号の入出力を含む端子部材であってもよい。
【0107】
また、具体例として、連結電極部131、132の第1連結電極部材131及び第2連結電極部材132は、ソース電極またはドレイン電極を含むことができる。
【0108】
図7ないし図11は、図5の電子素子の動作を説明するための図面である。
【0109】
図7は、印加電極120を通じて第1電場が印加された状態を示す図面であり、図8は、図7のIII-III線に沿って切り取った断面図であり、図9は、図8のK2の拡大図である。
【0110】
図7ないし図9を参照すれば、印加電極120を通じて第1電場が活性層110に印加されれば、活性層110の少なくとも一領域は、分極領域110Fを含むことができる。当該分極領域110Fは、印加電極120を中心に、印加電極120を取り囲む形態でもある。分極領域110Fは、境界線を有することができる。
【0111】
第1変動低抵抗領域VL1は、当該境界線の側面に対応する領域に形成可能である。図7を参照すれば、印加電極120を中心に、印加電極120を取り囲む線状に形成可能である。
【0112】
例えば、互いに対向する第1変動低抵抗領域VL1は、印加電極120を取り囲むように、一方向に第1幅WVL1を有することができる。
【0113】
また、第1変動低抵抗領域VL1は、分極領域110Fの境界線の側面の全体に対応するように形成可能であり、分極領域110Fの側面から遠くなる方向、すなわち、平面方向に厚さTVL1を有することができる。
【0114】
選択的な実施形態として、当該厚さTVL1は、0.3nmを中心として、+/-0.2nmでもある。
【0115】
選択的な実施形態として、印加電極120を通じて第1電圧が活性層110に印加される前に、初期化電場を活性層110に印加する過程を進行してもよい。
【0116】
このような初期化電場を活性層110に印加する過程により、活性層110の領域を、分極領域110Fと相異なる方向の分極、例えば、逆方向の分極領域にいずれも切り替えるステップを含むことができる。
【0117】
次いで、それと逆方向の電場を印加して、一領域に分極領域110Fを形成することができる。
【0118】
活性層110の分極領域110Fの境界に形成された第1変動低抵抗領域VL1は、活性層110の他の領域に比べて、抵抗が低い領域に変わりうる。例えば、第1変動低抵抗領域VL1は、活性層110の分極領域110F、及び第1変動低抵抗領域VL1の周辺の活性層110の領域よりも低い抵抗を有することができる。
【0119】
これにより、第1変動低抵抗領域VL1は、電流の通路を形成することができる。選択的な実施形態として、第1変動低抵抗領域VL1は、活性層110に備えられた複数のドメインウォールの一領域に対応してもよい。
【0120】
また、当該第1変動低抵抗領域VL1は、活性層110の分極領域110Fの分極状態が維持されれば、保持され続けることができる。すなわち、印加電極120を通じて活性層110Fに印加された第1電圧を取り除いても、変動低抵抗領域VL1の状態、すなわち、低抵抗状態は維持できる。
【0121】
図7及び図8に示すように、第1変動低抵抗領域VL1により、電流の通路が形成可能である。但し、連結電極部131、132が第1変動低抵抗領域VL1に対応しないので、連結電極部131、132を通じた電流のフローは生じないのである。
【0122】
図10は、印加電極120を通じて第1電場を一定の時間さらに保持した状態を示す図面であり、図11は、図10のIV-IV線に沿って切り取った断面図である。
【0123】
図10及び図11を参照すれば、印加電極120を通じた第1電場の保持時間が長くなるにつれて、図10及び図11の分極領域110Fが水平方向に移動して、分極領域110Fが大きくなり、それによって、前述した第1変動低抵抗領域VL1よりも外側に拡大した第2変動低抵抗領域VL2が形成可能である。
【0124】
例えば、図7及び図8において印加した電圧を一定の時間さらに保持して、図10及び図11のような構造を形成することができる。
【0125】
分極領域110Fは、印加電極120を中心に、印加電極120を取り囲む形態でもある。分極領域110Fは、境界線を有することができる。第2変動低抵抗領域VL2は、当該分極領域110Fの境界線の側面に対応する領域に形成可能である。図10を参照すれば、印加電極120を中心に、印加電極120を取り囲む線状に形成可能である。
【0126】
例えば、互いに対向する一対の第2変動低抵抗領域VL2は、印加電極120を挟んで、一方向に第2幅WVL2を有することができ、第2幅WVL2は、第1幅WVL1よりも広い。
【0127】
また、第2変動低抵抗領域VL2は、分極領域110Fの境界線の側面の全体に対応するように形成可能であり、分極領域110Fの側面から遠くなる方向に厚さを有することができ、選択的な実施形態として、当該厚さは、0.3nmを中心として+/-0.2nmでもある。
【0128】
活性層110の分極領域110Fの境界に形成された第2変動低抵抗領域VL2は、活性層110の他の領域に比べて、抵抗が低い領域に変わりうる。例えば、第2変動低抵抗領域VL2は、活性層110の分極領域110F、及び第2変動低抵抗領域VL2の周辺の活性層110の領域よりも低い抵抗を有することができる。
【0129】
これにより、第2変動低抵抗領域VL2は、電流の通路を形成することができる。
【0130】
選択的な実施形態として、第2変動低抵抗領域VL2は、活性層110に備えられた複数のドメインウォールの一領域に対応してもよい。
【0131】
また、当該第2変動低抵抗領域VL2は、活性層110Fの分極状態が維持されれば、保持され続けることができる。すなわち、印加電極120を通じて活性層110Fに印加された第2電圧を取り除いても、第2変動低抵抗領域VL2の状態、すなわち、低抵抗状態は維持できる。
【0132】
したがって、第2変動低抵抗領域VL2により、電流の通路が形成可能である。
【0133】
また、具体例として、連結電極部131、132が第2変動低抵抗領域VL2に対応するように形成され、例えば、連結電極部131、132の第1連結電極部材131及び第2連結電極部材132が互いに離隔されたまま、第2変動低抵抗領域VL2の上面と接するように配置されてもよい。
【0134】
これにより、連結電極部131、132の第1連結電極部材131及び第2連結電極部材132を通じて、電流が流れることができる。
【0135】
また、選択的な実施形態として、活性層110の全体に対する初期化過程を行うこともできる。
【0136】
次いで、再び印加電極120を通じて活性層110に電場を印加する場合、連結電極部131、132の第1連結電極部材131及び第2連結電極部材132に電流が流れることとなる。本実施形態の電子素子は、印加電極を通じて活性層に様々な大きさの電圧を印加することができ、印加される時間を制御することができる。
【0137】
これにより、所望の大きさの領域で活性層に分極領域を形成することができ、当該分極領域の境界に変動低抵抗領域を形成することができる。
【0138】
当該変動低抵抗領域に対応するように、例えば、接するように連結電極部を形成する場合、連結電極部を通じて電流が流れることができ、電圧を取り除いても、強誘電性材料を含有する活性層は、分極状態を維持することができ、それによって、その境界の変動低抵抗領域も保持可能であるので、電流が流れ続けることができる。
【0139】
また、変動低抵抗領域を分極領域に変えるように、印加電極を通じて電圧を活性層に印加することができ、これを通じて電流が流れていた連結電極部には電流が流れなくなる。
【0140】
このような印加電極の電圧を制御して、電流のフローを制御することができ、このような電流のフローの制御により、電子素子は様々な用途に利用可能である。
【0141】
選択的な実施形態として、電子素子は、メモリとして使用してもよい。
【0142】
例えば、電流が流れることを1、流れないことを0と定義して、メモリとして使用でき、具体例として、電圧が取り除かれても電流が流れることができるところ、不揮発性メモリとしても使用できる。
【0143】
また、電子素子は、様々な信号を生成して伝達する回路部を構成することができ、スイッチング素子としても使用できる。
【0144】
さらに、その他に電気的信号の制御を要する部分に簡単な構造で適用できるので、可変回路、CPU、バイオチップなど様々な分野に適用可能である。
【0145】
図12は、本発明の他の実施形態に係る電子素子を示す概略的な平面図であり、図13は、図12のV-V線に沿って切り取った断面図である。
【0146】
図12及び図13を参照すれば、本実施形態の電子素子200は、活性層210と、印加電極220と、変動低抵抗領域VLと、連結電極部231、232とを含むことができる。説明の便宜上、前述した実施形態と相異なる点を中心に説明する。
【0147】
活性層210は、自発分極性材料を含むことができる。例えば、活性層210は、絶縁材料を含み、強誘電性材料を含むことができる。すなわち、活性層210は、電場の存在時に反転可能な自発的な電気分極(電気双極子)を持つ材料を含むことができる。
【0148】
活性層210を形成する材料についての説明は、前述した実施形態で説明したところと同様であるか、またはそれを変形して適用可能であるので、具体的な説明は省略する。印加電極220は、活性層210に電場を印加するように形成可能であり、例えば、電圧を活性層210に印加することができる。
【0149】
選択的な実施形態として、印加電極220は、活性層210の上面に接するように形成されてもよい。
【0150】
印加電極220を形成する材料についての説明は、前述した実施形態で説明したところと同様であるか、またはそれを変形して適用可能であるので、具体的な説明は省略する。連結電極部231、232は、一つ以上の電極部材を含むことができ、例えば、第1連結電極部材231及び第2連結電極部材232を含むことができる。
【0151】
連結電極部231、232は、活性層210上に形成可能であり、例えば、印加電極220と離隔されるように、活性層210の面のうち、印加電極220が形成された面の反対面に形成されてもよい。
【0152】
印加電極220は、活性層210の上面に、連結電極部231、232は、活性層210の下面に形成可能である。
【0153】
選択的な実施形態として、連結電極部231、232は、活性層210と接するように形成されてもよい。
【0154】
第1連結電極部材231及び第2連結電極部材232は、様々な導電性材料を利用して形成することができる。
【0155】
第1連結電極部材231及び第2連結電極部材232を形成する材料についての説明は、前述した実施形態で説明したところと同様であるか、またはそれを変形して適用可能であるので、具体的な説明は省略する。
【0156】
図13を参照すれば、印加電極220を通じて電圧が活性層210に印加されれば、活性層210の少なくとも一領域は、分極領域210Fを含むことができる。
【0157】
変動低抵抗領域VLは、当該分極領域210Fの境界線の側面に対応する領域に形成可能であり、図12を参照すれば、印加電極220を中心に、印加電極220を取り囲む線状に形成可能である。
【0158】
また、変動低抵抗領域VLは、分極領域210Fの境界線の側面の全体に対応するように形成可能であり、分極領域210Fの側面から遠くなる方向に厚さを有することができ、選択的な実施形態として、当該厚さは、0.3nmを中心として+/-0.2nmでもある。
【0159】
活性層210の分極領域210Fの境界に形成された変動低抵抗領域VLは、活性層210の他の領域に比べて、抵抗が低い領域に変わりうる。例えば、変動低抵抗領域VLは、活性層210の分極領域210F、及び変動低抵抗領域VLの周辺の活性層210の領域よりも低い抵抗を有することができる。
【0160】
これにより、変動低抵抗領域VLは、電流の通路を形成することができる。
【0161】
選択的な実施形態として、変動低抵抗領域VLは、活性層210に備えられた複数のドメインウォールの一領域に対応してもよい。
【0162】
また、当該変動低抵抗領域VLは、活性層210Fの分極状態が維持されれば、保持され続けることができる。すなわち、印加電極220を通じて活性層210Fに印加された電圧を取り除いても、変動低抵抗領域VLの状態、すなわち、低抵抗状態は維持できる。変動低抵抗領域VLにより、電流の通路が形成可能である。
【0163】
また、具体例として、連結電極部231、232が変動低抵抗領域VLに対応するように形成され、例えば、連結電極部231、232の第1連結電極部材231及び第2連結電極部材232が互いに離隔されたまま、変動低抵抗領域VLの下面と接するように配置されてもよい。
【0164】
これにより、連結電極部231、232の第1連結電極部材231及び第2連結電極部材232を通じて、電流が流れることができる。
【0165】
本実施形態の電子素子は、印加電極を通じて活性層に様々な大きさの電圧を印加することができ、印加される時間を制御することができる。
【0166】
これにより、所望の大きさの領域で活性層に分極領域を形成することができ、当該分極領域の境界に変動低抵抗領域を形成することができる。
【0167】
また、活性層の一面に印加電極を形成し、他面に連結電極部を形成して、電子素子の精密なパターニング及び微細化を容易に行うことができる。
【0168】
前述のような電子素子は、下記のような変動低抵抗ラインメモリ素子として具現可能である。
【0169】
図14は、一実施形態による変動低抵抗ラインメモリ素子300の平面図であり、図15は、図14のVI-VI線に沿って切り取った断面図である。
【0170】
図14及び図15を参照すれば、前記変動低抵抗ラインメモリ素子300は、ベース310と、ゲート320と、ソース331と、ドレイン332とを含むことができる。
【0171】
前記ベース310は、前述した活性層の物質を含むことができるが、例えば、自発分極性材料を含むことができる。例えば、ベース310は、絶縁材料を含み、強誘電性材料を含むことができる。すなわち、ベース310は、電場の存在時に反転可能な自発的な電気分極(電気双極子)を持つ材料を含むことができる。
【0172】
選択的な実施形態として、ベース310は、ペロブスカイト系物質を含んでもよく、例えば、BaTiO3、SrTiO3、BiFe3、PbTiO3、PbZrO3、SrBi2Ta29を含んでもよい。
【0173】
また、他の例として、ベース310は、ABX3構造であり、Aは、CnH2n+1のアルキル基、及びペロブスカイト太陽電池の構造の形成が可能な、Cs、Ruなどの無機物から選択された一つ以上の物質を含むことができ、Bは、Pb、Sn、Ti、Nb、Zr及びCeから構成された群から選択された一つ以上の物質を含むことができ、Xは、ハロゲン物質を含むことができる。具体例として、ベース310は、CH3NH3PbI3、CH3NH3PbIxCl3-x、MAPbI3、CH3NH3PbIxBr3-x、CH3NH3PbClxBr3-x、HC(NH22PbI3、HC(NH22PbIxCl3-x、HC(NH22PbIxBr3-x、HC(NH22PbClxBr3-x、(CH3NH3)(HC(NH221-yPbI3、(CH3NH3)(HC(NH221-yPbIxCl3-x、(CH3NH3)(HC(NH221-yPbIxBr3-x、または(CH3NH3)(HC(NH221-yPbClxBr3-x(0≦x、y≦1)を含むことができる。
【0174】
その他の様々な強誘電性材料を利用して、ベース310を形成することができるところ、これについての全ての例示の説明は省略する。また、ベース310を形成する際、強誘電性材料にその他の様々な物質をドーピングして、付加的な機能を含むか、または電気的特性の向上を行うこともできる。
【0175】
ベース310は、自発分極性を有し、電場の印加によって、分極の程度及び方向を制御することができる。また、ベース310は、印加された電場が取り除かれても、分極状態を維持することができる。
【0176】
前記ベース310は、X-Y平面方向に互いに隣接して位置する第1領域311と第2領域312を含むことができる。前記第1領域311は、第1方向の分極を有することができるが、前記第1方向は、ベース310の厚さ方向、すなわち、第1領域311と第2領域312が配置された方向に垂直なZ方向でもある。
【0177】
前記第2領域312は、第1領域311に対して、厚さに垂直な方向、すなわち、X-Y平面方向に隣接して位置するが、前記第2領域312は、選択的に第1方向と逆になる第2方向に整列された分極を有することができる。
【0178】
前記第2領域312上には、ゲート320が位置することができる。前記ゲート320は、図示していないが、別途の装置に連結され、ゲート信号を印加されることが可能である。
【0179】
前記第2領域312が第1領域311とは逆方向の分極を有することは、前記ゲート320に印加される電圧により可能になる。
【0180】
このように互いに逆方向の分極を有する第1領域311と第2領域312との間に、変動低抵抗ライン340が形成可能である。前記変動低抵抗ライン340は、第1領域311及び/または第2領域312に比べて、抵抗が非常に低い領域になり、当該領域を通じて、電流のフローが形成可能である。当該変動低抵抗ライン340は、以下の一実施形態によって形成可能である。
【0181】
まず、自発分極性材料を含むベース310が全体的に第1方向の分極を有するようにすることができる。必ずしもベース310の全体が第1方向の分極を有することに限定されるものではなく、ベース310の少なくともゲート320に対向する一定の面積が第1方向の分極を有すればよい。選択的にこのように第1方向の分極を有するようにすることは、ゲート320に初期化電場を印加して形成可能である。
【0182】
この状態で、ゲート320に第1電圧を第1時間印加して、ゲート320を通じてベース310に電場を印加するにつれて、ゲート320に対向する一定の面積が第2方向に分極が変わることになる。分極の方向が変わるようにゲート320に印加する電場は、第1電圧により調節可能であるが、すなわち、ベース310を形成する自発分極性材料の抗電場よりも大きい電場が印加されるように、第1電圧を印加することができる。
【0183】
前記ベース310は、第1厚さt1を有するようにすることができる。この際、前記第1厚さt1の全体にわたって第2領域312が形成され、前記第1厚さt1によって、ゲート320に印加される第1電圧の大きさを調節可能である。一実施形態によれば、第1厚さt1と、ゲート320に印加される第1電圧の大きさとは比例することができる。すなわち、第1厚さt1が厚い場合、第1電圧を大きくすることができる。
【0184】
前記変動低抵抗ライン340も、図15に示すように、第1厚さt1の全体にわたって形成可能である。
【0185】
このように形成される第2領域312の面積は、ゲート320に第1電圧が印加される第1時間により比例して決定されうる。
【0186】
したがって、所望の面積及び/または大きさの第2領域12を形成するためには、該当する強誘電体物質についての適当なゲート電圧、時間、及び第2領域12の第1厚さt1を実験及び/または計算により予め決定することができる。
【0187】
このように第2領域312の分極方向が第1方向から第2方向に変われば、第1方向の分極を有する第1領域311と、第2方向の分極を有する第2領域312との間に、所定の幅の変動低抵抗ライン340が形成可能である。当該変動低抵抗ライン340は、ゲート320を中心に形成可能である。前記変動低抵抗ライン340の幅は約0.3nmであるが、必ずしもそれに限定されるものではなく、0.3nmを中心として+/-0.2nmの幅を有してもよい。
【0188】
図16は、前記第1領域及び変動低抵抗ラインにおいて、電圧を増加するにつれて、電流が変わる状態を示すものである。変動低抵抗ライン340は、第1領域311に比べて抵抗が非常に低いので、電圧の印加によって電流のフローが円滑に行われることが分かる。
【0189】
前記のように形成される変動低抵抗ライン340は、時間が経っても消滅しないのである。
【0190】
このように形成された変動低抵抗ライン340に接するように、ソース331とドレイン332を位置させる。その場合、前記変動低抵抗ライン340を通じて、ソース331からドレイン332へ電流のフローが形成可能である。したがって、この際、データ書き込みが可能になり、例えば、1で読み取られる。
【0191】
選択的に、前記変動低抵抗ライン340は、ゲート320に印加された電圧により、第2領域312の分極方向が再び第1領域311の分極方向と同じになるようにすることによって消滅するのである。
【0192】
すなわち、ゲート320に第2電圧を印加して、第2領域312の分極方向が再び第1方向にすることができる。以後、第2電圧を第2時間保持して、第1方向に分極が変わる領域を平面方向に成長させることができ、第1方向に分極が変わった領域が、前記変動低抵抗ライン340を通過して、第1領域311まで延長されれば、変動低抵抗ライン340が消滅するのである。その場合、ソース331からドレイン332へ電流が流れることができず、したがって、この際、データ消去が可能になり、0で読み取られる。
【0193】
この際、前記第2電圧は、前記第1電圧と相異なる電圧になるが、一実施形態による第1電圧と同じ大きさかつ逆極性の電圧でもある。前記第2時間は、少なくとも前記第1時間以上でもある。
【0194】
前記のように形成された変動低抵抗ラインメモリ素子は、前述した変動低抵抗ライン340が、ゲート320に電源が切れても、その状態を維持することができるので、不揮発性メモリ素子として使用可能である。
【0195】
前記変動低抵抗ラインメモリ素子は、約1012回以上の書き込み/消去が可能であるので、既存の半導体素子に基づくメモリ素子に比べて、約107倍以上のメモリ寿命を有することができる。
【0196】
前記変動低抵抗ラインメモリ素子のメモリ速度も、約10-9secになることができるので、既存の半導体素子に基づくメモリ素子に比べて、約106倍のメモリ速度を上げることができる。
【0197】
このように、前記変動低抵抗ラインメモリ素子は、非常に優れた速度と寿命を有するメモリ素子になることができる。
【0198】
既存の強誘電体メモリの場合、強誘電体の分極を利用するため、強誘電体素子の大きさを小さくするのに限界があったが、前記変動低抵抗ラインメモリ素子は、分極を直接使用することなく、低抵抗ラインの特性のみを使用するので、集積度をさらに向上させることができるという長所がある。
【0199】
また、ゲート電圧及び/または印加時間によって、前記変動低抵抗ライン340が形成される位置を調節可能であるので、様々なメモリ素子の設計が可能であり、強誘電体を利用した既存の強誘電体メモリ素子に比べて薄型化が可能である。さらに、メモリ設計の自由度が高くなるので、素子の集積度を向上させることができるという長所がある。
【0200】
このように形成される変動低抵抗ライン340は、図14に示すように、ゲート320を中心に閉ループ状に形成可能であるが、この閉ループ状の一部にソース331及びドレイン332を配置することにより、ソース331とドレイン332を連結する線は二本になることができる。しかし、必ずしもそれに限定されるものではなく、ベースの平面方向の一辺にゲートを位置させ、隣接した他の二辺にソース及びドレインを配置させれば、前記変動低抵抗ラインは、ソースとドレインを連結する単一の線になってもよい。
【0201】
前記のようなソース331及びドレイン332は、ベース310上にパターニングされて形成される電極構造であるが、本発明は、必ずしもそれに限定されるものではなく、図示していないが、ベース310を覆う絶縁膜に形成されたビアホールを通じて変動低抵抗ライン340とコンタクトされるものであってもよい。
【0202】
図17は、さらに他の実施形態による変動低抵抗ラインメモリ素子400を示す断面図であり、基板430にソース431とドレイン432が形成され、基板430上に自発分極性材料を含むベース410を配置することができる。前記基板430は、半導体ウェーハ、一実施形態によれば、シリコンウェーハにより形成可能である。そして、前記ソース431とドレイン432は、ウェーハへのイオンドーピングにより形成可能である。もちろん、図示していないが、前記ソース431とドレイン432には、別途のビアを通じて外部信号線が連結されてもよい。
【0203】
このような構造では、基板430に形成されたソース431及びドレイン432の領域に対応して変動低抵抗ライン440が位置するように、ゲート電圧及び印加時間を決めることができる。
【0204】
前記のような基板430とベース410は、別途の接着層により接合されるが、必ずしもそれに限定されるものではなく、基板430上にベース410が成膜されてもよい。このように、基板430上に薄膜でベース410を具現することにより、メモリ素子400の更なる薄型化が可能であり、既存のメモリ素子の工程を利用できるので、製造工程の効率をさらに向上させることができる。
【0205】
前述した実施形態では、第1領域及び第2領域が同じ厚さを有する場合を示しているが、本発明は、必ずしもそれに限定されるものではない。図18は、さらに他の実施形態による変動低抵抗ラインメモリ素子500を示す断面図であり、基板530にソース531とドレイン532が形成され、基板530上に自発分極性材料を含むベース510を配置することができる。図18に示す実施形態のメモリ素子500は、第1領域511が、第2領域512の第1厚さt1よりも厚い第2厚さt2を有することができる。該第2厚さt2は、ゲート520に印加される電圧により分極の方向がスイッチングされない厚さになり、それによって、変動低抵抗ライン540は、第1厚さt1と第2厚さt2との境界になる位置に形成可能である。
【0206】
前述のように、ゲート520に印加される電圧を、第1厚さt1に対して分極のスイッチングが行われる電圧にセットすることができるので、ベース510に第2厚さt2の領域を形成することにより、ゲート520に印加される電圧の強度及び時間によっても、第2厚さt2には変動低抵抗ライン540が形成されず、第1厚さt1の領域にのみ変動低抵抗ライン540が形成されるようにすることができる。
【0207】
すなわち、図18に示すように、変動低抵抗ライン540は、第1厚さt1と第2厚さt2との境界になる位置に形成可能である。
【0208】
図19は、さらに他の実施形態による変動低抵抗ラインメモリ素子600を示す断面図であり、基板630にソース631とドレイン632が形成され、基板630上に自発分極性材料を含むベース610を配置することができる。図19に示す実施形態のメモリ素子600も、図18に示す実施形態と同様に、第1領域611が、第2領域612の第1厚さt1よりも厚い第2厚さt2を有することができる。
【0209】
この際、ゲート620に電圧が印加される時間によって、図19に示すように、第1厚さt1と第2厚さt2との境界から、第1厚さt1が形成された内側に位置することができる。したがって、このような構造のメモリ素子600において、ソース631とドレイン632は、第1厚さt2と第2厚さt2との境界よりも内側に形成することができる。それによって、ゲート620に印加される電圧の強度及び/またはその時間の変更によって、変動低抵抗ライン640の形成位置が変更されるとしても、変動低抵抗ライン640とソース631/ドレイン632とが電気的に連結可能である。
【0210】
前述した実施形態では、ゲートはベース上に隣接して形成されているが、本発明は、必ずしもそれに限定されるものではなく、図20に示す本発明のさらに他の実施形態のメモリ素子700のように、ベース710とゲート720との間に他の膜750がさらに位置してもよい。前記膜750は、絶縁膜であるが、ベース710を形成する強誘電体物質と異なる物質であってもよい。
【0211】
この場合も、ゲート720に印加される電圧による電場の影響により、第2領域712の分極方向がスイッチングされるようにすることができ、この際、分極方向がスイッチングされるゲート720の電圧及び/または時間は、予め実験及び/または計算により得られる。
【0212】
図21は、さらに他の実施形態による変動低抵抗ラインメモリ素子800を示す断面図であり、基板830にソース831とドレイン832が形成され、基板830上に自発分極性材料を含むベース810を配置することができる。
【0213】
図21に示す実施形態によれば、ベース810に対向した第1ゲート821と、ベース810を中心に、第1ゲート821と反対側に位置する第2ゲート822とを含むことができる。
【0214】
この場合、第1ゲート821により、第2領域812の分極方向をスイッチングして、変動低抵抗ライン840を形成することができる。それによって、データ書き込みが可能になる。
【0215】
第2ゲート822により、第2領域812の分極方向を第1領域11のように再びスイッチングすることにより、変動低抵抗ライン840を取り除くことができる。それによって、データ消去が可能になる。
【0216】
このように、第1ゲート821及び第2ゲート822により、0/1でデータを読み取ることができる。
【0217】
前述した本明細書の全ての実施形態は、各図示した実施形態に限定されるものではなく、互いに複合的に適用可能であることはいうまでもない。
【0218】
このように、本発明は、図面に示した実施形態を参考にして説明したが、それは、例示的なものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、それから様々な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決まらなければならない。
【0219】
実施形態で説明する特定の実行は、一実施形態であり、いかなる方法でも実施形態の範囲を限定するものではない。また、“必須な”、“重要に”などのような具体的な断りがなければ、本発明の適用のために、必ずしも必要な構成要素ではないことがある。
【0220】
実施形態の明細書(特に、特許請求の範囲)において、“前記”の用語及びそれと類似した指示用語の使用は、単数及び複数の両方に該当するものである。また、実施形態において、範囲(range)を記載した場合、前記範囲に属する個別的な値を適用した発明を含むものであり(それに反する記載がなければ)、詳細な説明に前記範囲を構成する各個別的な値を記載したものと同様である。最後に、実施形態による方法を構成するステップについて、明らかに順序を記載するか、またはそれに反する記載がなければ、前記ステップは、適当な順序で行われる。必ずしも前記ステップの記載順序によって、実施形態が限定されるものではない。実施形態において、全ての例または例示的な用語(例えば、など)の使用は、単に実施形態を詳細に説明するためのものであり、特許請求の範囲によって限定されない限り、前記の例または例示的な用語によって、実施形態の範囲が限定されるものではない。また、当業者は、様々な修正、組み合わせ及び変更が付加された特許請求の範囲、またはその均等物の範疇内で、設計条件及びファクタによって構成可能であることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0221】
前述した本明細書の全ての実施形態は、各図示した実施形態に限定されるものではなく、互いに複合的に適用可能である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21