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特許7052187筆記具及びスタイラスの外筒、並びにこの外筒を備える筆記具及びスタイラス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】筆記具及びスタイラスの外筒、並びにこの外筒を備える筆記具及びスタイラス
(51)【国際特許分類】
   B43K 24/02 20060101AFI20220405BHJP
   B43K 7/00 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
B43K24/02 100
B43K7/00 100
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021215496
(22)【出願日】2021-12-31
【審査請求日】2022-01-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】721007098
【氏名又は名称】野澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】野澤 弘司
【審査官】富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-059687(JP,A)
【文献】特公平02-026877(JP,B2)
【文献】特開2013-233739(JP,A)
【文献】特許第4755317(JP,B1)
【文献】中国実用新案第205523214(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K1/00-1/12、5/00-8/24、
21/00-21/26、24/00-24/18、
27/00-27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状の筆記具及びスタイラスを対象物とし、前記対象物の外形を支持し、使用時には六角形の断面であり、携帯時には平たくたたむ形に変形可能な外筒であり、
筒片と
接続具とを備え、
前記筒片は、組み合わされて6面の筒となり、前記筒の6つの角の部分を軸として回転を制限する手段を持って連結され、
前記接続具の両端は、前記筒の軸と平行な軸により前記筒の2組の相対する2面の筒片に回転支持され、
前記接続具の中央のリングは、前記対象物を差し込み支持することを特徴とする外筒。
【請求項2】
前記接続具が弾性体であり、前記接続具の、前記筒片に回転支持される両端の軸穴の中心間距離が、対応する相対する前記2面の筒片の軸穴の中心間距離の最小値以下であることを特徴とする請求項1記載の外筒
【請求項3】
前記筒片の前記接続具を支持する軸穴が前記筒片の長手方向に長い長穴であることを特徴とする請求項2記載の外筒
【請求項4】
前記対象物に対して着脱可能な支持手段を持つことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の外筒
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の外筒を備える筆記具
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の外筒を備えるスタイラス
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具及びスタイラスを支持する外筒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
手に持ち指先で細かい操作をおこなう筆記具及びスタイラスの形状は、使用しやすいように保持する指の長さや大きさを考慮して棒状で適度な長さと太さになっているものがほとんどである。一方、手帳や小型電子機器と共に使用するために、使用しやすさよりも携帯しやすさを優先して形状を扁平にしたものや外径を小さくしたものもある。非特許文献1にある外径3.7mmのボールペンがその代表例である。
【0003】
使用しやすさと携帯しやすさを両立する手段として、筆記具に対する特許文献1にあるように、使用するときは適度な太さの棒状となり、携帯するときはたたんで平たくなるよう変形させることが考えられる。
【0004】
特許文献1において筆記具を変形させるためには、筆記具を手に持ちもう片方の手で後部に突き出ている中軸を回転させることが必要であり、両手を使わなければならないところに課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-59687号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】オート株式会社、商品名「ミニモ ボールペン」、[online]、[令和3年12月30日検索]、インターネット<URL:https://ohto.co.jp/product/ミニモ%E3%80%80ボールペン/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする課題は使用しやすさと携帯しやすさを両立させるために筆記具及びスタイラスの外形を変形させる場合について、その変形に要する操作がより簡単なものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためのもので、棒状の筆記具及びスタイラスの外形を支持し、使用時には六角形の断面であり携帯時には平たくたたむ形に変形可能な外筒であり、筒片と接続具とを備え、筒片は組み合わされて6面の筒となり、この筒の6つの角の部分を軸として回転を制限する手段を持って連結され、接続具の両端は筒の軸と平行な軸により筒の2組の相対する2面の筒片に回転支持され、接続具の中央のリングは対象物を差し込み支持することを特徴とする外筒である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1:使用時の全体の斜視図
図2】実施例1:携帯時の全体の斜視図
図3】接続具30の斜視図
図4】実施例1:使用時の断面図
図5】実施例1:携帯時の断面図
図6】実施例1:筒片20の斜視図
図7】実施例1:筒片21の斜視図
図8】実施例1:2枚の筒片21に接続具30を組んだ状態の斜視図
図9】実施例1:使用時及び携帯時の筒片と関連するヒンジピンのみの断面図
図10】6節リンクを使った説明図
図11】接続具の寸法の説明のためのグラフ1
図12】接続具の寸法の説明のためのグラフ2
図13】接続具の寸法の説明のためのグラフ3
図14】接続具の変形例31の説明図
図15】接続具の変形例32の説明図
図16】接続具の変形例33の説明図
図17】接続具の変形例34及び35の斜視図
図18】接続具の変形例36及び37の斜視図
図19】接続具の変形例38及び39の斜視図
図20】変形停止具40の斜視図
図21】変形停止具40の使用時及び携帯時の断面図
図22】変形時の筒片21を固定した場合の変形停止具40の軌跡図
図23】実施例2:使用時の全体の斜視図
図24】実施例2:筒片22、23、及び24の斜視図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0010】
以下に筆記具を対象とした本発明の具体的実施例1を図面にもとづいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、使用時の全体の斜視図であり断面が正六角形の筒状であり、その中心に筆記具本体10がある。図2は外筒をたたんだ携帯時の斜視図であり、断面が細長く角がないため、手帳に挟んだ場合には角度の緩やかなふくらみになり、手帳に跡が残らない。筆記具本体10は、非特許文献1を参考にした外径の小さなノック式ボールペンであり、軸筒を備えていてこれ自体で使用可能である。
【0012】
図3は接続具30の斜視図であり両端にヒンジピン51を通す穴があり、中心に筆記具本体10を差し込んで支持するリングがある。
【0013】
図4図5はそれぞれ使用時及び携帯時の全体の断面図である。筒片20が上下に2枚配置され、筒片21が2枚組み合わされたものがそれぞれ左右に配置され、それら6枚の筒片が組み合わされヒンジ機構によって連結され筒状になる。接続具30は2組の相対する外筒21へヒンジ機構により支持されるとともに筆記具本体10を4方向から筒の中心に支持している。
【0014】
使用時の形状から上下の筒片20を指で挟み込むように力を加えると左右の組み合わされた2枚1組の筒片21がたたまれて携帯時の形状になる。また、携帯時の形状から左右の角にあたるヒンジ部分を指で両側から力を加えるとたたまれていた左右の2枚1組の筒片21が開き使用時の形状になる。
【0015】
図4のB-B断面図に示すように筒片21には接続具30を必要な範囲で揺動させるためのヒンジ溝90がある。その溝の角度によって、連結された筒片の断面がたたまれていた状態から使用時の正六角形に開いたときに接続具30が溝90の端に接触して変形が停止する。断面を縦長の六角形や長方形にしないためである。
【0016】
また、図4のC-C断面図に示すようにヒンジ部分91の筒片20と筒片21の端部形状についても、ヒンジ溝90と同様の目的により回転範囲が制限される構造である。
【0017】
六角形の外筒を指で持ち操作する場合は、断面が六角形の鉛筆を操作する場合と同様であり、親指、人差し指と中指を使って隣り合わない3面を軽く均等に力をかけて持つことが一般的である。その場合、必ず1面は外筒をたたむような方向へ力がかかる筒片20を持ち、残りの2面は外筒を使用時の形状に保つような方向へ力がかかる筒片21持つことになる。そのため使用時において外筒が自然にたたまれてしまうことはない。
【0018】
ほかの指に比べて特定の指に強く力がかかる持ち方をしている場合はその指を筒片21の面にあてて使用するとよい。特定の指に力を強くかけてしまいその指が痛くなる、又は疲れてしまう持ち方が癖になっている場合には、この外筒をどの面を持ってもたたまれないように使用することによってその持ち方を矯正することができる。また、後述するように接続具の適用例によっては使用時及び携帯時の形状を保持でき、均等に力をかけることをしなくてもたたまれることはない。
【0019】
以上のように、外筒を変形させるためには、外筒を指で持った状態から離すことなく回転させて特定の2面又は対角を挟み込めばよい。
【0020】
図6の斜視図は筒片20であり、携帯時に筆記具本体10と接続具30のリング部分を受けるために内側中央がくぼんだ形状となっていて図4及び図5の断面図にあるように上下に2枚使用される。
【0021】
図7(a)の斜視図は筒片21であり、接続具30を支持するための溝とヒンジピン51を通す穴がある。図7(b)のように、1枚の筒片の手前と奥を反対にして2枚ずつ組み合わせられ、図4及び図5の断面図にあるように左右に2組4枚使用される。
【0022】
図8は2枚1組の筒片21へ接続具30を配置したものである。接続具30は相対する筒片21の溝へ組み合わせられる。
【0023】
以下に、接続具30とそれを支持する筒片21のヒンジ部分について説明する。
【0024】
図9は筒片及び関係するヒンジピン50のみの使用時と携帯時の断面図である。距離dは筒片同士を連結するヒンジ穴の中心間の距離、距離Lは筒片21に開けられた接続具30を支持するためのヒンジ穴の中心と、直近の筒片20と筒片21を連結するヒンジ穴の中心との距離である。距離Sは接続具30が支持されるべき相対する2つの筒片21のヒンジ穴の中心間距離である。
【0025】
図9(b)の断面図の筒片20と筒片21の外角は20°とした。この角度は調整することができ、筆記具本体の外径が同じとすれば、距離dが大きくなるほど小さくなり、使用時の外筒が大きくなる。非特許文献1のボールペンの外径3.7mmを採用し、距離dを5.4mmとすると、使用時の外筒の正六角形の断面上の対角のヒンジ中心間の距離は10.8mmとなる。さらにヒンジのリングの厚みを加えた直径約12mmの円に内接する操作しやすい太さの外筒を想定した場合の筒片20と筒片21の外角が20°である。
【0026】
距離Sは距離Lや外筒をたたむ過程で変化する。接続具30を組み込むことができるような変位の小さい位置を確認する。
【0027】
図10は説明のために図9を模したものであり、XY直交座標軸上に6節のリンク機構を重ね合わせたものである。図10(a)は使用時の正六角形で図10(b)は携帯時の形状に対応する。リンクAFとリンクEFの外角をθ、距離Lは数1に示すようにリンクの長さである距離dに0から1までの実数である比率αを乗じたもので表わす。
【0028】
【数1】
【0029】
点P及び点Qの座標はそれぞれ数2及び数3によって求まり、点PQ間の距離Sは数4によって求まる。
【0030】
【数2】
【0031】
【数3】
【0032】
【数4】
【0033】
リンクAFを固定しリンクCDをX軸に平行なまま原点方向へ移動させていくと角度θは使用時の60°から携帯時のたたんだ状態の20°へ変化する。図11は比率αを変化させた場合に、角度θの変化を横軸とし、数式4で計算された距離Sを縦軸としたグラフである。例えば、αが0の場合は点AD間の距離の変化、αが1の場合は点BE間の距離の変化を示している。
【0034】
αが0.4の場合の距離Sが角度θに関係なく一定に近いことがわかる。さらにαの値を0.4近辺で細かく変化させて距離Sが角度θに関係なく一定により近い部分を表わしたものが図12である。
【0035】
距離Sの変位が最も小さいαが0.37であり、角度θが20°から60°の間において距離Sの最大値は1.765d、最小値は1.749d、変位は0.016dとなる。
【0036】
以下に筒片21の穴の位置及び形状と対応する接続具の両端の穴の中心間の距離について3つの適用例を示す。
【0037】
第1例として、点Pと点Qについて、距離Sの変位が最も小さいαである0.37とし、その公差範囲を0.35から0.39とした場合に対応した位置を採用すると、図12に示すように角度θが20°から60°の間において距離Sの最大値は1.783d、最小値は1.716d、変位は0.067dとなる。
【0038】
リンク長さdを5.4mm、対角間の距離が10.8mmの正六角形である場合について計算すると、距離Sの最大値は9.63mm、最小値は9.27mm、変位は0.36mmとなる。
【0039】
上記の数値から、接続具30の両端の穴の中心間距離を距離Sの最大値と最小値の中間である9.45mmとし、両端の穴の内径をヒンジピン51の外径より0.18mm大きくし、外径についても筒片21の溝から0.18mm離して距離Sの変位を吸収するように製作して、連結された筒片に組み込む。2つの同形状の接続具30を一組としてY軸に対応する中心線に対称に交差させて取り付けているため、リンク機構の動作と同様に上部の筒片は下部の筒片へ平行に接近し、筆記具本体10と接続具30の中央のリングを筒片20のくぼみへを確実に挟み込み変形させることができる。
【0040】
第2例として、αとその公差範囲、点Pと点Qの位置及びリンク長さdを第1例と同様の条件とすると、距離Sの最大値は9.63mm、最小値は9.27mm、変位は0.36mmである。
【0041】
また、図12に示すようにそのαの公差範囲では角度θが25°から55°の間に距離Sが極大値を示し、その極大値の左右のそれぞれの範囲において、距離Sの最小値を示す角度は20°と60°である。
【0042】
上記の数値から、接続具30を弾性材料で製作し、その両端の穴の中心間距離を距離Sの最小値以下となるαを採用する。例えば、αが1.680dに対応する9.07mmで製作して連結された筒片に組み込む。その場合、第1例のように接続具21の両端の穴の内外径に余裕を取る必要はなく、弾力が変位を吸収して第1例と同様に変形させることができる。
【0043】
また、接続具30は常にたわんで伸びた状態となり、縮んで元の状態に戻ろうとする力が働いているため、その力が筒片21へ伝わり距離Sは常にその最小値を取ろうとし、最小値の位置に留まろうとする。その最小値をとる場合の筒片20と筒片21の外角が20°と60°であるため、携帯時及び使用時の形状が保持される。
【0044】
第3例として、筒片21のヒンジ穴について、これを長穴にした場合について説明する。αを0.34と0.40に対応するヒンジ穴の位置をつなげて長穴にした場合の距離Sは、図13の斜線の範囲で示される。
【0045】
第2例と同様に、リンク長さdを5.4mm、接続具30を弾性材料で製作し、その両端の穴の中心間距離をαが1.680dに対応する9.07mmとした場合、常にたわんで伸びた状態となり、縮んで元の状態に戻ろうとする力が働いている。そのため、図13の距離Sについて常にその範囲の最小値である実線部分を移動する。約54°にははっきりした極大値があり、その左右の最小値の20°と60°への傾きが第2例の場合よりも急であるため第2例の場合よりも携帯時及び使用時の形状が確実に保持される。
【0046】
筆記具本体10は接続具30の中央のリングから抜け落ちないように、少なくとも一つの接続具30に圧入または接着などの方法で固定する。図4のB-B断面図にある接続具30は、外筒がたたまれる過程で時計回りに、C-C断面図にある接続具では反時計回りに回転する。そのため、2つ以上の接続具30を筆記具本体10へ固定する場合は、接続具の破損や変形を避けるために、外筒の変形時に同じ方向へ回転する接続具を選んで固定するとよい。
【0047】
筆記具本体10を接続具30から着脱可能にして、異なった形状、表面の色柄や材質の外筒へ交換できるようにしてもよい。着脱を可能にする方法を以下に例を挙げる。
【0048】
筆記具本体10の接続具30への圧入が指先の力で可能で、かつ使用時の筆圧以上であればよい。ただし、着脱を繰り返し行った場合の圧入部のゆるみの増大による保持力の低下や接続具材料への疲労を考慮しなければならない。
【0049】
図14に示すように、接続具の変形例31とナット70を外筒の最前部または最後部あるいはその両方に取り付け、筆記具本体10を外筒へ差し込んだ後、接続具の変形例31のチャックのおねじ部分にナット70を締め込むことによって固定することができる。
【0050】
図15に示すように、接続具の変形例32を外筒の最前部または最後部あるいはその両方に取り付け、筆記具本体10を外筒へ差し込んだ後、Oリング71を接続具の変形例32の端部の中心に向かって切り込まれた部分へ接触するように取り付けることによって固定することができる。
【0051】
図16のように、Oリング71が内側に装着された接続具の変形例33を最前部または最後部あるいはその両方に取り付け、筆記具本体10を外筒へ差し込むことによって固定することができる。ただし、着脱を繰り返し行った場合の接続具材料への疲労を考慮しなければならない。
【0052】
接続具の変形例31、32、及び33の筆記具本体10を着脱する部分のみを接続具から切り離し別部材として、最前部及び最後部の接続具30の端部に接触するように設置して固定してもよい。その場合、接続具30の筆記具本体10への圧入に要する力は使用時の異音を防ぎ違和感が起きないような程度でよい。
【0053】
図10の直線PQがY軸と交わる点をTとすると、数2及び数3にあるとおり、直線PTと直線QTのX成分の絶対値は同じであり、2つの直線は同じ傾きであるためY成分も同じである。つまり2つの直線の長さは同じであり、直線PQの長さの半分となる。そのため筒片への支持を1つにした図17(a)の接続具の変形例34を4つ使用すれば、接続具30を2つ使用することと同等になる。
【0054】
接続具30の変形例として、図17(b)の接続具の変形例35は筆記具の筒片21を支持するヒンジ穴部分と筆記具本体10を支持するリングとの間のアームの部分を接続具30よりも細くかつ奥行を長くして強度を同等に保つとともに湾曲させてたわみやすくしたものである。接続具の材料のたわみにくさや強度に合わせてアームの部分の細さや奥行の長さ、又は個数を変化させれば外筒の携帯時及び使用時の形状の保持の強さを調節することができる。
【0055】
接続具は例えば図4の接続具30の断面図にあるものを薄板から打ち抜いて成形し、重ね合わせて必要な厚さにしたものを使用してもよい。
【0056】
接続具を金属の薄板から製作した場合の例として図18(a)の接続具の変形例36のように、中央の筆記具本体10を支持するリングの部材へ残りの部材を溶接して製作する方法や、図18(b)の接続具の変形例37のように、切断と曲げ加工のみにより製作してもよい。
【0057】
図19の接続具の変形例38及び39に示すように、隣接した2つの接続具の筆記具本体10を差し込むためのリングの接触面へ、互いにはまり合うような凹凸を加工し、凹部の周方向の長さを凸部の周方向の長さより長くし、その長さを調節することにより接続具同士の筆記具本体10を中心とした回転可能な範囲を調節できる。そのため、これらの接続具を組み込むことによって、段落0015のヒンジ溝90の形状の目的と同様に、連結された筒片が使用時の正六角形に開いたときに変形を停止することができる。
【0058】
図20に示す変形停止具40は筆記具本体10へ圧入することにより、段落0015のヒンジ溝90の形状の目的と同様に、連結された筒片が使用時の正六角形に開いたときに変形を停止させることができる。図21(b)に示すように連結された筒片の断面がたたまれてい状態では筒片21の溝に一部入り込んで固定されている。接続具が筆記具本体10に圧入され変形時に筆記具本体10が回転する場合には、変形停止具40を筆記具本体10へ軽い負荷で空回りする程度に圧入することにより、図22に示すように、使用時の正六角形に変形する過程で変形停止具40は筆記具本体10と共に回転しその先端部は常に筒片21の溝に接触したまま揺動を続け、図21(a)に示すように筒片21同士が連結している左右のヒンジ部分の内側に接触する。
【0059】
連結された筒片の回転を制限する手段であり、その断面がたたまれていた状態から使用時の正六角形に開いた時に変形が停止し断面が縦長の六角形や長方形にならないようにする手段として、段落0015、0016、0057及び0058に示したもののうち少なくとも一つを採用すればよい。
【0060】
ヒンジピン50及び51は片方がツバ付きでもう一方が止め輪用又はねじ止め用などの一般的な構造のものを使用すればよい。回転接触面に円形の凹凸を設けてはめあい支持回転するヒンジを設けてもよい。ヒンジ特性の高いプラスチックを筒片に使用し組み合わせて連結された筒片を構成してもよい。
【0061】
構成部材はプラスチックや木、金属、ゴムなどその使用に対して十分な強度がある材料であればよい。特に、ヒンジピンはSUS304が好ましい。接続具はプラスチックであればポリエーテルエーテルケトン、金属であれば、ステンレス系バネ材が好ましい。
【0062】
手帳に使用する筆記具の外筒として使用する場合は滑り止めにもなり手帳に挟むだけで保持することができるように軸片の外側に薄いゴムなど摩擦係数の高いものを貼り付けるとよい。
【実施例2】
【0063】
筆記具を対象とした本発明の具体的実施例2を図面にもとづいて説明する。実施例1と異なるところは、図23のように筒片が接続具30を覆ってないことである。図24に示したように接続具30を覆うための加工が不要となり筒片22,23,24の形状が簡素になる。また、筒片がずれることを防ぐためスペーサーパイプ25を使用する。実施例1と比べて柔軟性があり、使用時に密着性がある。前方の端部カバー60と筒片の間のくぼみへ指を当てて使用すると、指の位置がより安定して繊細な作業をすることができる。
【符号の説明】
【0064】
10 筆記具本体
20 実施例1:内側に筆記具本体10と接続具30のリング部分を受けるくぼみのある筒片
21 実施例1:内側に接続具30を支持するための溝のある筒片
22 実施例2:内側に筆記具本体10を受けるくぼみのある筒片
23 実施例2:筒片
24 実施例2:筒片
25 実施例2:スペーサーパイプ
30 接続具(図3
31 接続具の変形例(図14
32 接続具の変形例(図15
33 接続具の変形例(図16
34 接続具の変形例(図17a)
35 接続具の変形例(図17b)
36 接続具の変形例(図18a)
37 接続具の変形例(図18b)
38 接続具の変形例(図19
39 接続具の変形例(図19
40 変形停止具
50 筒片を連結するヒンジピン
51 筒片21と接続具30を支持するヒンジピン
60 端部カバー
70 ナット
71 Oリング
90 ヒンジ部分において揺動範囲を制限する溝
91 筒片20と筒片21とが接触する端部
d 筒片同士を連結するヒンジ穴の中心間の距離
L 筒片21に開けられた接続具30を支持するためのヒンジ穴の中心と、直近の筒片20と筒片21を連結するヒンジ穴の中心との距離
S 接続具が支持されるべき相対する2つの筒片21のヒンジ穴の中心間距離
α 0から1までの実数
θ 図10に示したリンクAFとリンクEFの外角
【要約】
【課題】使用しやすさと携帯しやすさを両立させるために筆記具及びスタイラスの外形を変形させる場合について、その変形に要する操作がより簡単なものを提供することである。
【解決手段】棒状の筆記具及びスタイラスの外形を支持し、使用時には六角形の断面であり、携帯時には平たくたたむ形に変形可能な外筒であり、連結された筒片とその内側に筆記具やスタイラスを4方向から支持するための接続具とを備え、使用時の断面が六角形の形状から上下の筒片を指で挟み込むように力を加えると左右の筒片がたたまれて携帯時の形状になる。また、携帯時の形状から左右の角にあたるヒンジ部分を指で両側から力を加えるとたたまれていた左右の筒片が開き使用時の形状になる外筒である。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24