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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】紙箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/66 20060101AFI20220405BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20220405BHJP
   B65D 5/43 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
B65D5/66 301H
B65D5/54 301B
B65D5/43
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017070743
(22)【出願日】2017-03-31
(65)【公開番号】P2018172137
(43)【公開日】2018-11-08
【審査請求日】2020-02-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売した物 紙箱 販売日 平成28年11月11日 販売した場所 マガシーク物流センター(神奈川県座間市広野台2-10-8)
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田澤 公樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嵩人
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-080521(JP,U)
【文献】特開2015-030529(JP,A)
【文献】特開2016-150753(JP,A)
【文献】実開平06-067317(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/66
B65D 5/54
B65D 5/43
B65D 5/10
B65D 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状の前面板と、該前面板から折罫線を介して順次連設された右側面板、後面板、左側面板を有し、
前記前面板、右側面板、後面板、左側面板から折罫線を介して連設された底面部材群によって底面が構成され、
前記前面板には、折罫線を介して前天面板が連設され、前記後面板には、折罫線を介して後天面板が連設され、前記左右側面板には、折罫線を介してそれぞれ左右内フラップが連設されており、
該左右内フラップの前後方向の中央部に設けられ、左右内フラップの先端部から左右方向に延びるスリットに、前記前天面板の先端部の左右に折罫線を介して設けられた差込片を差し込み、当該差込片が差し込まれた箇所を前記後天面板の左右の領域が覆い、前記後天面板の中央部に設けられた差込片を前記前天面板および左右内フラップの下に差し込まれるように前記スリットに差し込むことにより、天面が閉止され、
前後天面板の合わせ目に粘着式の伝票を貼付することにより封緘される構造であることを特徴とする紙箱。
【請求項2】
前記後天面板の中央部に設けられた差込片の付け根の部分に、円弧状の山折罫線を設けたことを特徴とする請求項1に記載の紙箱。
【請求項3】
前記左右内フラップの前後方向の中央部に設けられ、左右内フラップの先端部から左右方向に延びるスリットは、前記前天面板の先端部の左右に折罫線を介して設けられた差込片が差し込まれる部分を除いて、左右内フラップの先端部に向かって幅が広がっていることを特徴とする請求項1または2に記載の紙箱。
【請求項4】
前面板の上部中央部を開封開始点とし、前天面板の左右差込片の付け根に向かってV字状に広がる開封用ミシン目線を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の紙箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収納した後、箱の表面に送り状などの伝票を貼り付けて発送するための紙箱に関し、特に簡単な操作で組立、閉止が可能で、さらに粘着テープ等で封緘する手間を省き、伝票を貼り付けるだけで封緘できる梱包用紙箱に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小口の貨物便が発達し、日々大量の貨物便が流通している。その多くは、段ボール製の紙箱に内容物を収納し、箱の蓋を粘着テープ等で封緘し、さらに送り状などの伝票を貼り付けた形式のものが用いられている。
【0003】
段ボール箱の最も一般的な構造としては、開口部において左右から内フラップが折られ、この左右内フラップの上に、前後の外フラップが被さり、箱の中心線において前後の外フラップが突き付けられる構造が一般的である。このような箱の封緘は、前後の外フラップの合わせ目に粘着テープを貼ることで行われる。
【0004】
この構造は、ブランク形状が単純であり、製造が容易なことから広く用いられているが、いくつかの欠点がある。その一つとしては、箱を上から見たときに、正方形であれば問題ないが、横長の長方形の箱の場合、左右の内フラップの長さが不足し、隙間があいてしまうという問題がある。長方形の箱において左右のフラップが届くように十分な長さにしようとすると、用紙の無駄が大きくなるため、一般には採用されていない。
【0005】
左右の内フラップの長さが短いと、箱を閉じた時に内フラップが箱の中に垂れ下がり易くなるため、外フラップの隙間から物を挿入したり、手を差し込んで開封したりすることが容易に行い得る。このため、このような構造の箱にあっては、外フラップを閉じた後で、外フラップの合わせ目をホッチキスで止めたり、合わせ目に粘着テープを貼ったりする以外に、安全を期すために外フラップの左右両サイドも粘着テープで固定するという非常に煩雑な手間が掛かっていた。
【0006】
特許文献1に記載された梱包箱は、上記の問題を解決するためになされたものであり、粘着テープ等を用いることなく閉止でき、また手で開梱することができる梱包箱である。
【0007】
特許文献1に記載された梱包箱は、底板を中心として、前板、後板、右側板、左側板をそれぞれ連設し、左右側板の両側から前後内側係止フラップを連設し、前後板からは、それぞれ前天板、後天板を連設し、天面において後天板に設けた閉止スリットに前天板に設けた閉止爪を差し込んでロックすることにより、粘着テープ等を用いることなく天面部を閉止することができるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2014-101144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された梱包箱は、天面部については、後天板に設けた閉止スリットに、前天板に設けた閉止爪を差し込んでロックすることによって閉止することができるものの、左右側板に連設された左右のフラップについては、従来の段ボール箱と何ら変わらない単純な形状のフラップである。このため、天面と側面との間には従来の段ボールと同様に広い隙間があり、ここからシート状の物品を挿入したり、あるいは手を入れてこじ開けたりされる余地を残している。
【0010】
本発明の解決しようとする課題は、開口部の側面部に粘着テープを用いることなく極めて簡単な操作で閉止可能であり、さらに天面板と側面板の隙間から物品や手を挿入することができない紙箱を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、矩形状の前面板と、該前面板から折罫線を介して順次連設された右側面板、後面板、左側面板を有し、
前記前面板、右側面板、後面板、左側面板から折罫線を介して連設された底面部材群によって底面が構成され、
前記前面板には、折罫線を介して前天面板が連設され、前記後面板には、折罫線を介して後天面板が連設され、前記左右側面板には、折罫線を介してそれぞれ左右内フラップが連設されており、
該左右内フラップの前後方向の中央部に設けられ、左右内フラップの先端部から左右方向に延びるスリットに、前記前天面板の先端部の左右に折罫線を介して設けられた差込片を差し込み、当該差込片が差し込まれた箇所を前記後天面板の左右の領域が覆い、前記後天面板の中央部に設けられた差込片を前記前天面板および左右内フラップの下に差し込まれるように前記スリットに差し込むことにより、天面が閉止され、
前後天面板の合わせ目に粘着式の伝票を貼付することにより封緘される構造であることを特徴とする紙箱である。
【0012】
本発明に係る紙箱は、開口部である天面部の構造を、左右内フラップの中央部に設けたスリットに前天面板の先端に設けた差込片を差し込み、さらに後天面板の中央部に設けた差込片を前天面板および左右フラップの下に差し込むことによって天面を閉止する構造を採用したことにより、天面の閉止が容易である。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、前記後天面板の中央部に設けられた差込片の付け根の部分に、円弧状の山折罫線を設けたことを特徴とする請求項1に記載の紙箱である。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、前記左右内フラップの前後方向の中央部に設けられ、左右内フラップの先端部から左右方向に延びるスリットが、前記前天面板の先端部の左右に折罫線を介して設けられた差込片が差し込まれる部分を除いて、左右内フラップの先端部に向かって幅が広がっていることを特徴とする請求項1または2に記載の紙箱である。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、前面板の上部中央部を開封開始点とし、前天面板の左右差込片の付け根に向かってV字状に広がる開封用ミシン目線を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の紙箱である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る紙箱は、天面を開口部とし、左右側面板から連設された左右内フラップの上に、前面板から連設された前天面板と、後面板から連設された後天面板が被さる構造である。前天面板の左右先端に設けた差込片を左右内フラップの中央部に設けたスリットに差し込み、さらに後天面板の中央部先端に設けた差込片を前天面板および左右内フラップの下に差し込んで固定する構造であるため、箱の閉止が容易であり、さらに天面の中央部の前後天面板の合わせ目に粘着式の送り状伝票を貼付することにより、開口部が封止され、伝票を除去しない限り開封することができなくなる。このため、セキュリティの面でも優れている。
【0017】
また、前天面板の左右先端に設けた差込片が左右内フラップの中央部に設けたスリットに差し込まれることにより、左右内フラップの箱内部への垂れ下がりが防止されると共に、天面板と内フラップの間の隙間に物や手が入り難いという効果を発揮する。
【0018】
請求項2に記載の発明のように、後天面板の中央部に設けられた差込片の付け根の部分に、円弧状の山折罫線を設けた場合には、差込片を手で持って差し込む時に、差込片が下に凸の形状に湾曲するため、差込片を差し込み易くなる。また閉止後の天面の平面性が向上するため送り状等の伝票がより強固に接着される。
【0019】
請求項3に記載の発明のように、左右内フラップの中央部に設けられたスリットが、前天面板の先端部の左右に折罫線を介して設けられた差込片が差し込まれる部分を除いて、左右内フラップの先端部に向かって幅が広がっている場合には、後天面板の中央部に設けられた差込片を前天面板および左右内フラップの下に差し込む時に、隙間が広くなるために、差込片をより差し込み易くなる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明のように、前面板の上部中央部を開封開始点とし、前天面板の左右差込片の付け根に向かってV字状に広がる開封用ミシン目線を有する場合には、開封操作が簡単になり、ワンタッチで開封できる。また開封と同時に送り状等の伝票も同時に除去できるため、極めて効率が良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明に係る紙箱の一実施態様におけるブランクの平面模式図である。
図2図2は、図1のブランクを製函した紙箱を折畳んだ状態を示した斜視説明図である。
図3図3は、図2の状態から底面を組み立てて箱を引き起こした状態を示した斜視説明図である。
図4図4は、図3の状態から左右内フラップを閉じた状態を示した斜視説明図である。
図5図5は、図4の状態から前天面板の先端の差込片を左右内フラップのスリットに差し込んだ状態を示した斜視説明図である。
図6図6は、図5の状態から後天面板の差込片を前天面板の下に差し込んで、紙箱を閉止した状態を示した斜視説明図である。
図7図7は、図6の状態から送り状伝票を所定の位置に貼付して紙箱を封緘した状態を示した斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る紙箱について詳細に説明する。図1は、本発明に係る紙箱1の一実施態様におけるブランク4の平面模式図であり、ブランクを箱の表面側から見た状態を示している。図中一点鎖線は、山折罫線を、点線は谷折罫線を示している。また図2図7は、図1のブランクを製函した紙箱を折畳んだ状態から組み立てて最終的に封緘した状態までの一連の過程を示した斜視説明図である。
【0023】
本発明に係る紙箱1は、矩形状の前面板5と、前面板5から折罫線を介して順次連設された右側面板6、後面板7、左側面板8を有する。前面板5、右側面板6、後面板7、左側面板8から折罫線を介して連設された底面部材群17によって底面が構成されている。
【0024】
底面3の構造については、特に限定されるものではないが、図1のブランクに示された例のように、ワンタッチで組み上げられるワンタッチ底や所謂地獄底などのように、ホチキスや粘着テープを用いないで簡単に組み上げられる構造が好ましい。
【0025】
前面板5には、折罫線を介して前天面板9が連設され、後面板7には、折罫線を介して後天面板10が連設され、右側面板6、左側面板8には、折罫線を介してそれぞれ右内フラップ11、左内フラップ12が連設されている。
【0026】
左右内フラップの中央部に設けられたスリット13に、前天面板9の先端部の左右に折罫線を介して設けられた差込片14、15を差し込み、後天面板10の中央部に設けられた差込片16を前天面板9および左右内フラップ11、12の下に差し込むことにより、天面2が閉止される。
【0027】
この時、前天面板9の先端中央部には、挿入された差込片16を上から押さえつけるように、突起25を設けておくと良い。
【0028】
閉止された天面2の前後天面板の合わせ目に、粘着式の送り状伝票を貼付することにより、開口部である天面は完全に封緘されるので、天面と側面板との隙間に粘着テープ等を貼る必要が無く、非常に効率的である。
【0029】
天面2の送り状を貼付する位置には、正しい位置が分かるように、図6に示したように、伝票貼り付け位置マーク21を予め印刷しておいても良い。
【0030】
なお、図1は、ブランクを紙箱の表面側から見た状態を示しており、一点鎖線は山折罫線を、また点線は谷折罫線をそれぞれ示している。この例では、糊代22は、左側面板8に接着され、底面部材群17のうち、谷折罫線で区分された三角形の部分が隣合う底面部材に接着される。
【0031】
本発明に係る紙箱1においては、左右内フラップ12、11の中央部にスリット13を設け、このスリット13に前天面板9の先端に折罫線を介して設けた左右の差込片14、15を差し込んで固定するようにしたことが重要なポイントである。
【0032】
差込片14、15には、外側に張り出し部24が設けてあり、この張り出し部24がスリットの行き止まり部分に引っ掛かって係止するようになっている。このため、差込片は一旦スリットに差し込まれると簡単には抜けない構造になっている。
【0033】
このことにより、左右の内フラップは、箱の内部に垂れ下がることなく水平に保持されると共に、天面板と内フラップの隙間から物品を挿入することが出来なくなっている。
【0034】
後天面板10の中央部に設けられた差込片16の付け根の部分に、円弧状の山折罫線18を設けることにより、差込片16を前天面板9の下に挿入する際に、差込片16が下に凸に反り易くなる。このため挿入が円滑に行われる。
【0035】
また、差込片16が挿入された後も、この円弧状の山折罫線18が少し折れた状態に留まるため、天面2の平面性が向上する。この事は、前後天面板の合わせ目に、粘着式の送り状等の伝票を貼付する際に、より強固に接着できることを意味している。
【0036】
なお、円弧の形状としては、円弧の頂点と円弧の始点(終点)の距離が20~30mm程度が好ましい。
【0037】
図1に示した例では、右内フラップ11、左内フラップ12の中央部に設けられたスリット13は、前天面板9の先端部の右左に折罫線を介して設けられた差込片14、15が差し込まれる部分を除いて、左右内フラップの先端部に向かって幅が広がっている。
【0038】
このようにすることにより、後天面板10の中央部に設けられた差込片16を前天面板9および左右内フラップ12、11の下に差し込む際に、隙間が広くなるため、操作がやり易くなる。
【0039】
また図1に示した例では、前面板5の上部中央部を開封開始点20とし、前天面板9の左右差込片15、14の付け根に向かってV字状に広がる開封用ミシン目線19が設けられている。
【0040】
このようなミシン目線を設けたことにより、紙箱を開封する際に、開封開始点20を始点としてワンタッチで開封することができる。またこの際に天面に貼られている送り状伝票も同時に除去されるため、極めて効率的である。
【0041】
本発明に係る紙箱に使用する材料としては、箱の大きさや内容物の重量に応じて、所定のフルート規格のダンボール紙を始めとして各種厚紙等を使用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1・・・紙箱
2・・・天面
3・・・底面
4・・・ブランク
5・・・前面板
6・・・右側面板
7・・・後面板
8・・・左側面板
9・・・前天面板
10・・・後天面板
11・・・右内フラップ
12・・・左内フラップ
13・・・スリット
14・・・差込片(右)
15・・・差込片(左)
16・・・差込片(中央)
17・・・底面部材群
18・・・円弧状の山折罫線
19・・・開封用ミシン目線
20・・・開封開始点
21・・・伝票貼り付け位置マーク
22・・・糊代
23・・・伝票
24・・・張り出し部
25・・・突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7