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特許7052304リチウムイオン蓄電デバイスの製造方法およびリチウムイオン蓄電デバイス
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  • 特許-リチウムイオン蓄電デバイスの製造方法およびリチウムイオン蓄電デバイス 図1
  • 特許-リチウムイオン蓄電デバイスの製造方法およびリチウムイオン蓄電デバイス 図2
  • 特許-リチウムイオン蓄電デバイスの製造方法およびリチウムイオン蓄電デバイス 図3
  • 特許-リチウムイオン蓄電デバイスの製造方法およびリチウムイオン蓄電デバイス 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】リチウムイオン蓄電デバイスの製造方法およびリチウムイオン蓄電デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20220405BHJP
   H01M 4/1399 20100101ALI20220405BHJP
   H01M 4/60 20060101ALI20220405BHJP
   H01M 4/1393 20100101ALI20220405BHJP
   H01M 4/1395 20100101ALI20220405BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20220405BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M4/1399
H01M4/60
H01M4/1393
H01M4/1395
H01M10/052
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017217679
(22)【出願日】2017-11-10
(65)【公開番号】P2019091538
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-09-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 達也
(72)【発明者】
【氏名】中条 文哉
(72)【発明者】
【氏名】山野 晃裕
(72)【発明者】
【氏名】森下 正典
(72)【発明者】
【氏名】境 哲男
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/159058(WO,A1)
【文献】特開2015-195144(JP,A)
【文献】特開2011-159642(JP,A)
【文献】特開2015-092449(JP,A)
【文献】特表2004-519078(JP,A)
【文献】特開2001-076761(JP,A)
【文献】特開2013-058378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05-10/0587
H01M 4/00- 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極とが積層されて成り、正極に使用される活物質が、元素分析による硫黄の総含有量が50質量%以上の硫黄系活物質であるリチウムイオン蓄電デバイスの製造方法であって、
正極および負極に、その厚み方向に貫通する透孔を形成する工程と、
正極に形成された透孔の位置と負極に形成された透孔の位置とが一致するように、正極および負極を積層する工程と、
正極および負極を積層し、その積層方向の少なくとも一方側にリチウムイオン供給源を配置する工程と、
負極または正極に、前記リチウムイオン供給源に由来するリチウムを担持させる工程とを含むことを特徴とするリチウムイオン蓄電デバイスの製造方法。
【請求項2】
正極および負極に形成された透孔の開孔径が0.05mm以上であり、開孔率が1.0%以上であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウムイオン蓄電デバイスの製造方法。
【請求項3】
正極および負極の目付が0.5mAh/cm 2 以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン蓄電デバイスの製造方法。
【請求項4】
正極に使用される活物質が、ラマンスペクトルにおいて、ラマンシフトの500cm-1付近、1250cm-1付近、および1450cm-1付近にピークを有する炭素硫黄構造体を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のリチウムイオン蓄電デバイスの製造方法。
【請求項5】
負極が、炭素系材料、シリコン系材料、スズ合金系材料、またはこれらを複合してなる材料から成る層を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のリチウムイオン蓄電デバイスの製造方法。
【請求項6】
正極と負極とが積層されて成り、正極に使用される活物質が、元素分析による硫黄の総含有量が50質量%以上の硫黄系活物質であるリチウムイオン蓄電デバイスであって、
正極および負極にはそれぞれ、積層方向に貫通する透孔が形成され、
正極に形成された透孔の位置と負極に形成された透孔の位置とが一致するように、正極および負極が積層され、
負極または正極にはリチウムが担持されていることを特徴とするリチウムイオン蓄電デバイス。
【請求項7】
正極および負極の目付が0.5mAh/cm 2 以上である、請求項6に記載のリチウムイオン蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン蓄電デバイスの製造方法、および該製造方法により製造されたリチウムイオン蓄電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン二次電池の活物質として硫黄を用いた技術が注目されている。硫黄はレアメタルに比べて入手が容易で、かつ安価であるだけでなく、リチウムイオン二次電池の充放電容量を大きくすることができる。例えば、正極活物質として硫黄を用いたリチウムイオン二次電池は、一般的な正極材料であるコバルト酸リチウムを用いたリチウムイオン二次電池の約6倍の充放電容量を達成できることが知られている。また、硫黄は酸素に比べ反応性が低く、過充電等による発火、爆発等の危険性も低いという利点もある。
【0003】
さらに、特許文献1および2には、硫黄と炭素材料等とを複合した活物質が開示されている。かかる炭素硫黄複合系活物質を用いることにより、電解液への硫黄の溶出を抑制し、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上させることができる。
【0004】
上記のような硫黄系活物質はリチウム原子を含んでいないため、硫黄系活物質をリチウムイオン蓄電デバイスに使用する際には、リチウム金属を電極に混合してリチウム源を担保するか、あるいは活物質にあらかじめリチウムイオンを担持させる操作(以下、プリドープと呼ぶ)を行う必要がある(特許文献3および4)。しかしながら、特許文献3に記載の二次電池は、活物質とリチウム金属が直接接触しているため、電池を大型化した際に発熱や爆発の危険性がある。また、特許文献4では、一旦プリドープするための電池を作製し、この電池を解体して組み合わせるという煩雑な工程を経て電池を作製する必要がある。
【0005】
特許文献5には、貫通孔を有する集電体を備えた正極および負極の積層ユニットを有し、リチウムプリドープを行なった有機電解質電池が開示されている。しかしながら、電池のエネルギー密度を増やすために電極目付を増やしたり、電極枚数を増加すると、容量の大きな硫黄系活物質等を利用したリチウムイオン蓄電デバイスにおいては、均一なドーピングが困難になることが予想される。また、穿孔集電体に対する活物質層用のスラリーの塗工は、スラリーが穿孔から裏抜けしやすく、均一な厚さの電極を作製するのが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-154815号公報
【文献】特開2015-92449号公報
【文献】特開平5-234621号公報
【文献】特開平3-233860号公報
【文献】国際公開第00/07255号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、安全かつ簡便なプリドープ操作により、今後需要が拡大するEVや定置用用途の大型電池に利用可能な高容量のリチウムイオン蓄電デバイスを製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討の結果、集電体に活物質を塗工した後に、集電体と活物質層をまとめて穿孔加工することにより、電極の加工および作製が非常に簡便になるとともに、リチウムイオンのプリドープを行う際、プリドープが効率的に進行することを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、
〔1〕正極と負極とが積層されて成り、正極に使用される活物質が、元素分析による硫黄の総含有量が50質量%以上の硫黄系活物質であるリチウムイオン蓄電デバイスの製造方法であって、
正極および負極に、その厚み方向に貫通する透孔を形成する工程と、
正極および負極を積層し、その積層方向の少なくとも一方側にリチウムイオン供給源を配置する工程と、
負極または正極に、前記リチウムイオン供給源に由来するリチウムを担持させる工程とを含むことを特徴とするリチウムイオン蓄電デバイスの製造方法、
〔2〕正極および負極に形成された透孔の開孔径が0.05mm以上であり、開孔率が1.0%以上であることを特徴とする、〔1〕に記載のリチウムイオン蓄電デバイスの製造方法、
〔3〕正極に形成された透孔の位置と負極に形成された透孔の位置とが一致するように、正極および負極を積層することを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載のリチウムイオン蓄電デバイスの製造方法、
〔4〕正極に使用される活物質が、ラマンスペクトルにおいて、ラマンシフトの500cm-1付近、1250cm-1付近、および1450cm-1付近にピークを有する炭素硫黄構造体を含む、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載のリチウムイオン蓄電デバイスの製造方法、
〔5〕負極が、炭素系材料、シリコン系材料、スズ合金系材料、またはこれらを複合してなる材料から成る層を有することを特徴とする、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載のリチウムイオン蓄電デバイスの製造方法、
〔6〕正極と負極とが積層されて成り、正極に使用される活物質が、元素分析による硫黄の総含有量が50質量%以上の硫黄系活物質であるリチウムイオン蓄電デバイスであって、
正極および負極にはそれぞれ、積層方向に貫通する透孔が形成され、
負極または正極には、積層方向の少なくとも一方側に配置されたリチウムイオン供給源に由来するリチウムが担持されていることを特徴とするリチウムイオン蓄電デバイス、
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、安全かつ簡便なプリドープ操作により、高容量のリチウムイオン蓄電デバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】硫黄系活物質の製造に使用する反応装置を模式的に示す断面図である。
図2】実施例1で得られた硫黄系活物質をラマンスペクトル分析した結果を示すグラフである。
図3】実施例1で得られた硫黄系活物質をFT-IRスペクトル分析した結果を示すグラフである。
図4】本実施形態に係るリチウムイオン蓄電デバイスにおける電極配置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態に係るリチウムイオン蓄電デバイスの構成およびその製造方法について、以下に説明する。
【0013】
<電極の構成>
本実施形態に係る正極および負極は、一般的なリチウムイオン蓄電デバイスと同様の構造とすることができる。例えば、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電極は、活物質、導電助剤、バインダ、および溶媒を混合した電極材料を集電体に塗布することにより作製することができる。
【0014】
(集電体)
集電体としては、リチウムイオン二次電池用の電極として一般に用いられるものを使用することができる。集電体の具体例としては、例えば、アルミニウム箔、アルミニウムメッシュ、パンチングアルミニウムシート、アルミニウムエキスパンドシート等のアルミニウム系集電体;ステンレススチール箔、ステンレススチールメッシュ、パンチングステンレススチールシート、ステンレススチールエキスパンドシート等のステンレス系集電体;発泡ニッケル、ニッケル不織布等のニッケル系集電体;銅箔、銅メッシュ、パンチング銅シート、銅エキスパンドシート等の銅系集電体;チタン箔、チタンメッシュ等のチタン系集電体;カーボン不織布、カーボン織布等の炭素系集電体が挙げられる。なかでも、機械的強度、導電性、質量密度、コスト等の観点から、アルミニウム系集電体が好ましい。また、黒鉛化度の高いカーボンからなるカーボン不織布および/またはカーボン織布製の集電体は、水素を含まず、また硫黄との反応性が低いため、硫黄系活物質用の集電体として好適である。黒鉛化度の高い炭素繊維の原料としては、カーボン繊維の材料となる各種のピッチ(すなわち、石油、石炭、コールタールなどの副生成物)やポリアクリロニトリル繊維(PAN)等が挙げられる。
【0015】
集電体の形状には特に制約はないが、例えば、箔状基材、三次元基材等を用いることができる。三次元基材(発泡メタル、メッシュ、織布、不織布、エキスパンド等)を用いると、集電体との密着性に欠けるようなバインダであっても高い容量密度の電極が得られるとともに、高率充放電特性も良好になる傾向がある。
【0016】
(活物質)
活物質としては、硫黄系活物質が好適に用いられる。なお、本実施形態において「硫黄系活物質」とは、硫黄元素を構成要素に含む活物質のことをいい、例えば、単体硫黄(S)や、硫化チタン、硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅、硫化ニッケル、硫化リチウム、有機ジスルフィド化合物等の硫黄元素を含む化合物が挙げられる。また、硫黄と炭素材料等とを複合した活物質(炭素硫黄複合系活物質)も好適に用いられる。
【0017】
炭素硫黄複合系活物質としては、チエノアセン構造を有する炭素硫黄構造体が特に好適に用いられる。該炭素硫黄構造体を正極に用いたリチウムイオン二次電池は、充放電容量が大きくかつサイクル特性に優れる。
【0018】
該炭素硫黄構造体は、ラマンスペクトルにおいて、ラマンシフトの500cm-1付近、1250cm-1付近、および1450cm-1付近にピークを有する。かかるスペクトルは、6員環であるグラファイト構造で見られる1350cm-1付近のDバンド、および1590cm-1付近のGバンドと呼ばれるスペクトルとは異なっており、文献〔Chem. Phys. Chem. 2009, 10, 3069-3076〕に記載のチエノアセンのスペクトルと似ていることから、上記のラマンスペクトルを示す炭素硫黄構造体は、式(i)
【化1】
で表されるようにチオフェン環が縮合して連鎖した長鎖ポリマー状のチエノアセン構造を有していると推測される。
【0019】
また該炭素硫黄構造体は、水素の含有量が1.6質量%以下、特に1.0質量%以下であるのが好ましい。また、FT-IRスペクトルにおいて、917cm-1付近、1042cm-1付近、1149cm-1付近、1214cm-1付近、1388cm-1付近、1415cm-1付近、および1439cm-1付近にピークが存在することが好ましい。
【0020】
該炭素硫黄構造体は、例えば特開2015-92449号公報に記載の方法に準じ、未加硫のジエン系ゴムに、硫黄と加硫促進剤および/または導電性粉体を配合し、熱処理して製造することができる。製造された該炭素硫黄構造体は、所定の粒度となるように粉砕し、分級して正極の製造に適した粒子とすることができる。
【0021】
硫黄系活物質における硫黄の総含有量が多いほど、リチウムイオン二次電池のサイクル特性が向上する傾向にある。そのため、硫黄系活物質における元素分析による硫黄の総含有量は50質量%以上であるのが好ましい。
【0022】
硫黄系活物質が炭素硫黄複合系活物質の場合、その炭素硫黄構造体の分子中に取り込まれる硫黄の量が少なくなったり、単体の硫黄を封入しうる十分な大きさのネットワークを形成できなかったり、炭素硫黄構造体による電子導電性が低下したりする結果、リチウムイオン二次電池の充放電容量が小さくなるおそれがある。また電解液への硫黄の溶出を十分に抑制できずサイクル特性が低下するおそれもある。
【0023】
なお、導電性粉体としてグラファイト構造を有する炭素材料を配合する系では、当該炭素材料を構成する炭素の影響で、硫黄の含有量が上記の範囲を下回る場合もあるが、それでもなおリチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上する効果を奏することができる。ただし、その場合の硫黄の含有量は、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上する効果を維持するために、45質量%以上であるのが好ましい。
【0024】
(導電助剤)
導電助剤としては、例えば、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)、炭素粉末、カーボンブラック(CB)、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、グラファイト、グラフェン、カーボンチューブ等の炭素系導電助剤;アルミニウムやチタン等の正極電位において安定な金属の微粉末等が挙げられ、これらのうち一種を用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。容量密度および入出力特性の観点からは、炭素系導電助剤が好ましく、さらに導電性およびコストの観点から、アセチレンブラック(AB)またはケッチェンブラック(KB)がより好ましい。
【0025】
(バインダ)
バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、変性ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂等が挙げられる。環境および人体への負荷低減の観点からは、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、アクリル樹脂等の水性バインダが好ましい。これらのバインダは単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。
【0026】
(溶剤)
溶剤としては、例えばN-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアルデヒド、アルコール、水等から選ばれる一種または二種以上が挙げられる。環境および人体への負荷低減の観点からは、水が好ましい。
【0027】
(負極材料)
リチウムイオン二次電池の負極を構成する負極材料としては、例えば、金属リチウム、黒鉛などの炭素系材料;シリコン薄膜、SiOなどのシリコン系材料;銅-スズやコバルト-スズ等のスズ合金系材料等の公知の負極材料が挙げられる。負極材料としてリチウムを含まない材料、例えば、炭素系材料、シリコン系材料、スズ合金系材料等を用いた場合には、デンドライトの発生による正負極間の短絡を生じにくくでき、リチウムイオン二次電池の長寿命化を図ることができる。なかでも、高容量の負極材料であるシリコン系材料が好ましく、電極厚さを小さくでき、体積当りの容量の点で有利となる薄膜シリコンがより好ましい。
【0028】
本実施形態に係る電極は、例えば、活物質、導電助剤、バインダ、および溶剤と混合し、十分に混練して均一なスラリーを作製した後、該スラリーを集電体に塗布し、乾燥することにより形成される。上記各成分の配合割合は特に限定されないが、例えば活物質100質量部に対して、導電助剤3~50質量部、バインダ3~50質量部、および適量の溶媒を配合することができる。
【0029】
本実施形態に係る電極は、活物質を塗工した集電体を穿孔加工し、電極の厚み方向に貫通する透孔を形成することを特徴とする。集電体に活物質を塗工した後に、集電体と活物質層をまとめて穿孔加工することにより、電極の加工および作製が非常に簡便になるとともに、リチウムイオンのプリドープを行う際、プリドープが効率的に進行する。
【0030】
開孔を行う際は、パンチングのような機械加工やレーザー加工等の一般的な手法を用いることができる。また開孔部の配列は特に限定されず、千鳥型、角千鳥型、並列型等の一般的なものでよい。また開孔部の形も特に問わないが、円が一般的である。
【0031】
電極の開孔径は、ドーピングの進行効率の観点から0.05mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましく、0.2mm以上がさらに好ましい。また、電池のエネルギー密度の観点から5.0mm以下が好ましく、3.0mm以下がより好ましく、2.0mm以下がさらに好ましい。
【0032】
電極の開孔率は、ドーピングの進行効率の観点から1.0%以上が好ましく、3.0%以上がより好ましく、5.0%以上がさらに好ましい。また、電池のエネルギー密度の観点から50%以下が好ましく、45%以下がより好ましく、40%以下がさらに好ましい。
【0033】
電極目付は、電池のエネルギー密度の観点から0.1mAh/cm2が好ましく、0.5mAh/cm2以上がより好ましく、1.0mAh/cm2以上がさらに好ましい。
【0034】
開孔間距離は、好ましくは1mm~20mm、より好ましくは1.5mm~15mm、さらに好ましくは2mm~10mmである。
【0035】
集電体を含む電極の厚みは、好ましくは10μm~500μm、より好ましくは30μm~400μm、さらに好ましくは50μm~300μmである。
【0036】
<リチウムイオン供給体>
リチウムイオン供給体としては、単体のリチウム金属(Li)や、リチウム-アルミニウム合金のようなリチウム合金化合物、リチウム化合物等を使用することができる。リチウム化合物の具体例としては、例えば、LiFeO2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、Li5FeO4、Li2MnO3、LiFePO4、LiV24等が挙げられる。
【0037】
リチウム金属集電体として、ステンレスメッシュ等の導電性多孔体を用い、この導電性多孔体の気孔部に、好ましくはリチウム金属の80%以上を充填して配置することにより、リチウムがドーピングされてもリチウムの消失による電極間に生じる隙間を少なくし、リチウムを活物質にスムーズに担持することができる。
【0038】
<電解質>
リチウムイオン二次電池を構成する電解質としては、イオン伝導性を有する液体または固体であればよく、公知のリチウムイオン二次電池に用いられる電解質と同様のものが使用できるが、電池の出力特性が高いという観点から、有機溶媒に支持電解質であるアルカリ金属塩を溶解させたものを使用することが好ましい。
【0039】
有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルエーテル、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル等の非水系溶媒から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。好ましくは、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、またはこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0040】
支持電解質としては、例えばLiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiI、LiClO4等が挙げられ、LiPF6が好ましい。
【0041】
支持電解質の濃度は0.5mol/L~1.7mol/L程度であればよい。なお電解質は液状には限定されない。例えばリチウムイオン二次電池がリチウムポリマー二次電池である場合、電解質は固体状(例えば、高分子ゲル状)、あるいはイオン性液体や溶融塩等であってもよい。
【0042】
<セパレータ>
セパレータは、正極と負極との間に介在して両極間のイオンの移動を許容するとともに、当該正極と負極との内部短絡を防止するために機能する。リチウムイオン二次電池が密閉型であれば、セパレータには電解液を保持する機能も求められる。
【0043】
セパレータとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、アラミド、ポリイミド、セルロース、ガラス等を材料とする薄肉かつ微多孔性または不織布状の膜を用いるのが好ましい。
【0044】
セパレータの孔径は、好ましくは1μm~1000μm、より好ましくは10μm~500μm、さらに好ましくは10μm~200μmである。
【0045】
セパレータの厚みは、好ましくは1μm~100μm、より好ましくは5μm~50μm、さらに好ましくは10μm~40μmである。
【0046】
セパレータの空隙率は、好ましくは10%~90%、より好ましくは30%~85%、さらに好ましくは50%~80%である。
【0047】
セパレータの繊維径は、好ましくは0.001μm~100μm、より好ましくは0.01μm~20μm、さらに好ましくは0.1μm~10μmである。
【0048】
図4に、本実施形態に係るリチウムイオン蓄電デバイスにおける電極配置の模式図を示す。集電体の両面に活物質を塗工し穿孔加工した後成形した各正極13および各負極14を、セパレータを介して交互に配置し積層体を構成する。さらに、リチウムイオン供給体15を、セパレータを介して積層体の積層方向の少なくとも一方側、好ましくは両側の最外層に配置して積層ラミネートセルを構成する。なお、各正極13に形成された透孔17の位置と各負極14に形成された透孔17の位置とが一致するように、正極13および負極14が積層されていることが好ましい。なお、本実施形態においては、積層体として、正極13および負極14をそれぞれ複数交互に積層したものに限らず、正極13および負極14をそれぞれ1層積層したものや、正極13および負極14の一方を、他方の電極で挟んだものであってもよい。
【0049】
<プリドープの確認>
ドーピング工程では、電池構造体の端部の電極とリチウムイオン供給体15を短絡させ、活物質にリチウムイオンをドーピングしてもよい。あるいは、正極13または負極14とリチウムイオン供給体15との間に電圧を印加して、リチウムイオンをドーピングしてもよい。なお、ドーピングの対象電極は、正極13および負極14のいずれであっても良い。
【0050】
プリドープ時の電位を測定するため、例えば、リチウムイオン供給体15から最も離間した位置に配置される電極を含む複数の電極に、導体片(タブ)16を接続することができる。また、必要に応じてリチウムイオン供給体15に導体片(タブ)16を接続してもよい。
【0051】
ドーピングの進行度は、ドープした電極それぞれの開回路電圧(Open Circuit Voltage:OCV)を測定することにより確認することができる。ドープが完了した場合、それぞれの電極において参照極(リチウム金属)との差が少なく、また積層位置(リチウムイオン供給体15からの距離)によるOCVの差も少なくなる。例えば、リチウムイオン供給体15から最も近い負極14と、最も遠い負極14のOCVの差が0.01V以下の場合は、リチウムドーピングが完了したと判定する目安とすることができる。
【0052】
この場合、OCVの計測開始から一定時間経過後のOCVを計測するのが好ましい。プリドープが完了していない場合、OCVの計測開始直後は、参照極と近い電位を示すが、時間経過後は徐々に電位が上昇する。本実施形態に係るリチウムイオン蓄電デバイスは、OCVの計測開始時から少なくとも500秒後のOCVがドープ直後のOCV、即ちOCVの計測開始時点のOCVと変わらない場合において、電池の実容量が設計容量と同等の値を示すことが確認されている。このことから、例えばドープ直後のOCVと500秒後のOCVとの差が0.01V以下となる場合は、リチウムドーピングが完了したと判定する目安とすることができる。
【0053】
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されず、円筒型、積層型、コイン型、ボタン型等の種々の形状にすることができる。
【実施例
【0054】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0055】
《実施例1》
<硫黄系活物質の製造>
(原料化合物の調製)
ジエン系ゴムとしては、ハイシスブタジエンゴム〔宇部興産(株)製のUBEPOL(登録商標)BR150L、シス1,4結合含量98質量%〕を用い、導電性炭素材料としては、デンカ(株)製のデンカブラックを用い、硫黄としては、鶴見化学工業(株)製の沈降硫黄を用い、加硫促進剤としては、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛〔大内新興化学工業(株)製のノクセラー(登録商標)EZ〕を用いた。
【0056】
上記ハイシスブタジエンゴム100質量部に、沈降硫黄1000質量部、導電性炭素材料20質量部、および加硫促進剤25質量部を配合し、混練試験装置〔(株)モリヤマ製のミックスラボ〕を用いて混錬することにより原料化合物を得た。得られた原料化合物は、カッターミルで細かく砕き、熱処理工程に供した。
【0057】
(反応装置)
原料化合物2の熱処理には、図1に示す反応装置1を用いた。反応装置1は、原料化合物2を収容して熱処理するための、有底筒状をなす石英ガラス製の、外径60mm、内径50mm、高さ300mmの反応容器3、当該反応容器3の上部開口を閉じるシリコーン製の蓋4、当該蓋4を貫通する1本のアルミナ保護管5((株)ニッカトー製の「アルミナSSA-S」、外径4mm、内径2mm、長さ250mm)、ガラス導入管6およびガス排出管7(いずれも、(株)ニッカトー製の「アルミナSSA-S」、外径6mm、内径4mm、長さ150mm)、並びに反応容器3を底部側から加熱する電気炉8(ルツボ炉、開口幅φ80mm、加熱高さ100mm)を備えている。
【0058】
アルミナ管5は、蓋4から下方が、反応容器3の底に収容した原料化合物2に達する長さに形成され、内部に熱電対9が挿通されている。アルミナ保護管5は、熱電対9の保護管として用いられる。熱電対9の先端は、アルミナ保護管5の閉じられた先端で保護された状態で原料化合物2に挿入されて、当該原料化合物2の温度を測定するために機能する。熱電対9の出力は、図中に実線の矢印で示すように、電気炉8の温度コントローラ10に入力され、温度コントローラ10は、この熱電対9からの入力に基づいて電気炉8の加熱温度をコントロールするために機能する。
【0059】
ガス導入管6およびガス排出管7は、その下端が蓋4から下方へ3mm突出するように形成されている。また、反応容器3の上部は、電気炉8から突出して外気に露出されている。そのため、反応容器3の加熱によって原料化合物から発生する硫黄の蒸気は、図中に一点鎖線の矢印に示すように、反応容器3の上方へ上昇するものの途中で冷却され、液滴となって、図中に破線の矢印で示すように滴下して還流される。そのため、反応系中の硫黄がガラス排出管7を通って外部に漏れ出すことはない。
【0060】
ガス導入管6には、図示しないガスの供給系からアルゴンガスが継続的に供給される。また、ガス排出管7は、水酸化ナトリウム水溶液11を収容したトラップ槽12に接続されている。反応容器3からガス排出管7を通って外部へ出ようとする排気は、一旦、トラップ槽12内の水酸化ナトリウム水溶液11を通ったのちに外部へ放出される。そのため、排気中に加硫反応によって発生する硫化水素ガスが含まれていても、水酸化ナトリウム水溶液と中和されて排気からは除去される。
【0061】
(熱処理工程)
原料化合物2を反応容器3の底に収容した状態で、ガスの供給系から80mL/分の流量でアルゴンガスを継続的に供給しながら、供給開始30分後に電気炉8による加熱を開始した。昇温速度は150℃/時で実施した。そして、原料化合物の温度が450℃に達した時点で、450℃を維持しながら2時間熱処理をした。次いでArガスの流量を調整しながら、アルゴンガス雰囲気下、反応生成物の温度を25℃まで自然冷却させたのち、該反応生成物を反応容器3から取り出した。
【0062】
(未反応硫黄の除去)
反応生成物を乳鉢で粉砕し、粉砕物2gをガラスチューブオーブンに収容して、真空吸引しながら250℃で3時間加熱して、未反応硫黄が除去された(または、微量の未反応硫黄しか含まない)硫黄系活物質を得た。昇温速度は10℃/分とした。
【0063】
(ラマンスペクトル分析)
得られた硫黄系活物質について、ナノフォトン(株)製のレーザーラマン顕微鏡RAMAN-11を用いて励起波長λ=532nm、グレーチング:600gr/mm、分解能:2cm-1の条件でラマンスペクトル分析をした(図2)。なお、図2において縦軸は相対強度、横軸はラマンシフト(cm-1)を示す。得られた硫黄系活物質は、ラマンシフトの500cm-1付近、1250cm-1付近、1450cm-1付近、および1940cm-1付近にピークが存在しており、この結果は、先の多量の硫黄が取り込まれて水素が減少しているという元素分析結果ともよく一致していることが確認された。
【0064】
また図2のスペクトルは、6員環であるグラファイト構造で見られる1350cm-1付近のDバンド、および1590cm-1付近のGバンドと呼ばれるスペクトルとは異なっており、文献〔Chem. Phys. Chem 2009, 10, 3069-3076〕に記載のチエノアセンのスペクトルと似ていることから、得られた硫黄系活物質は、前記の式(i)で表されるチエノアセン構造を有していると予想された。
【0065】
(FT-IRスペクトル分析)
得られた硫黄系活物質について、(株)島津製作所製のフーリエ変換赤外分光光度計IRAffinity-1を用いて、分解能:4cm-1、積算回数:100回、測定範囲400cm-1~4000cm-1の条件で、拡散反射法によってFT-IRスペクトル分析をした(図3)。得られた硫黄系活物質は、FT-IRスペクトルにおいて、917cm-1付近、1042cm-1付近、1149cm-1付近、1214cm-1付近、1388cm-1付近、1415cm-1付近、および1439cm-1付近にピークが存在しており、この結果は、先の多量の硫黄が取り込まれて水素が減少しているという元素分析結果ともよく一致していることが確認された。
【0066】
<リチウムイオン二次電池の作製>
(正極)
硫黄系活物質、導電助剤(アセチレンブラック(電気化学工業(株)製のデンカブラック)/VGCF=4:1の混合物)、および水性アクリル樹脂を90:5:5(質量比)の割合で秤量し、容器に入れ、分散剤に水を使用して粘度調整を行いながら自転公転ミキサー((株)シンキー製のARE-250)を用いて攪拌、混合を行い、均一なスラリーを作製した。作製したスラリーを厚さ15μmのカーボンコートアルミ上に、アプリケーターを使用して塗工し、150℃で3時間乾燥させ、リチウムイオン二次電池用の正極13を作製した。
【0067】
(負極)
活物質、アセチレンブラック(電気化学工業(株)製のデンカブラック)、およびバインダを90:5:5(質量比)の割合で秤量し、容器に入れ、分散剤に水を使用して粘度調整を行いながら自転公転ミキサー((株)シンキー製のARE-250)を用いて攪拌、混合を行い、均一なスラリーを作製した。作製したスラリーを厚さ10μmの集電体上に、アプリケーターを使用して塗工し、150℃で3時間、乾燥機で加熱して負極14を作製した。
【0068】
(電極の加工)
正極13および負極14は、所定の開孔径、開孔率でレーザー加工機にて穿孔加工した。開孔部(透孔17)の形は円、配列は角千鳥(45°千鳥)型とした。また、穿孔加工した正極13および負極14を、塗工部が50mm×50mmとなるように切り出し加工を行った。さらに、各負極14は独立して開回路電圧(OCV)が測定できるよう、タブ付けを行った。
【0069】
(リチウムイオン供給体)
リチウムイオン供給体15は、リチウム金属箔をステンレスメッシュ等の導電性多孔体からなる集電体に貼り付けることにより構成した。また、負極同様にタブ付けを行った。
【0070】
(電解液)
電解液としては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1で混合した混合溶媒にLiPF6を、濃度が1.0mol/Lとなるよう溶解した非水電解質を用いた。
【0071】
(電池作製)
ドライルーム内で、上記の穿孔加工、成形した各正極13および各負極14を、セパレータ(Celgard社製のCelgard2400、厚さ25μmのポリプロピレン微孔質膜)を介して交互に配置し積層体を構成した。さらに、セパレータを介して、ステンレス多孔箔に金属リチウムを貼り付けたリチウムイオン供給体15を両側最外層に配置して、正極13、負極14、リチウムイオン供給体15およびセパレータからなる三極積層ユニットを作製した。この三極積層ユニットを外装体であるアルミラミネートでパッケージングし、上記電解液を注入し、蓄電デバイスを作製した。このとき、リチウムイオンのドープの対象である負極14のうち、リチウムイオン供給体15から最も離間した位置に配置される負極14を含む複数の負極14に電気的に接続されている各導体片(タブ)16、およびリチウムイオン供給体15に電気的に接続されている導体片(不図示)を、互いに接触しないようにリチウムイオン蓄電デバイスの外部に露出させた。
【0072】
(プリドープ)
蓄電デバイスを組み立てた後、負極14とリチウムイオン供給体15とを短絡させることにより、所定のドープ時間だけリチウムイオンを負極14にドープした。その後、リチウムイオン供給体15を参照極とし、各負極14のOCV計測開始時から500秒後のOCVを測定した。なお、リチウムイオン供給体15から最も近い負極14と、最も遠い負極14のOCVの差が0.004V以下の場合は、リチウムドーピングが完了したと判断した。ドープの進行度は1~5の5段階で評価し、ドープが完了または略完了しているものの評点を5とした。評価の方法は、設計容量と実用量との比較(実用量が小さければ進行度が悪い)や、各負極14のOCV計測開始時からの電位上昇分(ドープが十分進行していれば電位上昇がない)に基づいて行っている。
【0073】
《比較例1》
正極13および負極14に対して穿孔を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で電池作製および試験を行った。
【0074】
《元素分析》
全自動元素分析装置(エレメンタール社製のvario MICRO cube)を用いて、実施例1および比較例1で得られた硫黄系活物質の総量中に占める硫黄含有量を算出した。
【0075】
以上の結果を表1~表4に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明によれば、安全かつ簡便なプリドープ操作により、高容量のリチウムイオン蓄電デバイスを製造することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 反応装置
2 原料化合物
3 反応容器
4 シリコーン製の蓋
5 アルミナ保護管
6 ガス導入管
7 ガス排出管
8 電気炉
9 熱電対
10 温度コントローラ
11 水酸化ナトリウム水溶液
12 トラップ槽
13 正極
14 負極
15 リチウムイオン供給体
16 導体片(タブ)
17 透孔
図1
図2
図3
図4