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特許7052317水中油型日焼け止め化粧料及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】水中油型日焼け止め化粧料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/06 20060101AFI20220405BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20220405BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220405BHJP
   A61K 8/894 20060101ALI20220405BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20220405BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/27
A61K8/34
A61K8/894
A61K8/37
A61Q17/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017226552
(22)【出願日】2017-11-27
(65)【公開番号】P2019094303
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000174541
【氏名又は名称】堺化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】特許業務法人タス・マイスター
(74)【代理人】
【識別番号】100120019
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 敏安
(72)【発明者】
【氏名】芦田 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】四家 彩渚
(72)【発明者】
【氏名】佐野 晃文
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-532541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/06
A61K 8/27
A61K 8/34
A61K 8/894
A61K 8/37
A61Q 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水相に
SiR(OR(1)
(式中、Rは、炭素数6~12の炭化水素基を表す。
は、メチル基又はエチル基を表す)
で表される化合物で表面処理された酸化亜鉛粒子(a)、多価アルコール(b)及びポリエーテル変性シリコーン(c)を含有し、
油相にp-メトキシ桂皮酸エチルヘキシルを含有する
ことを特徴とする水中油型日焼け止め化粧料。
【請求項2】
表面処理された酸化亜鉛粒子(a)は、水中油型日焼け止め化粧料の全量に対して、7~25重量%の割合で含まれるものである請求項1記載の水中油型日焼け止め化粧料。
【請求項3】
SiR(OR
(式中、Rは、炭素数6~12の炭化水素基を表す。
は、メチル基又はエチル基を表す)
で表される化合物で表面処理された酸化亜鉛粒子(a)、多価アルコール(b)及びポリエーテル変性シリコーン(c)を含有する水分散体を調製する工程(1)、及び、
前記工程(1)で得られた水分散体を油性成分と混合し、水中油型分散体を得る工程(2)
からなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の水中油型日焼け止め化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型日焼け止め化粧料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無機系の紫外線散乱剤である酸化亜鉛粒子を水相に分散させた水中油型日焼け止め化粧料は、感触の良さ、クレンジングのしやすさ等の観点から注目されており、近年では種々の処方について検討がなされている。このような水中油型日焼け止め化粧料において、酸化亜鉛粒子は、皮膚に塗布した際に汗や水で流れ落ちないようにするため、撥水化処理を行うことが必要である。撥水化表面処理した酸化亜鉛粒子を水相に分散させ、水中油型日焼け止め化粧料に使用することについて、本発明者らは、既に特許文献1等において検討を行っている。
【0003】
また、日焼け止め化粧料においては、有機系の紫外線吸収剤であるp-メトキシ桂皮酸エチルヘキシルが併用されることが多い。酸化亜鉛粒子はUV-A波の、p-メトキシ桂皮酸エチルヘキシルはUV-B波の吸収に特徴があるため、その2つを併用することは紫外線遮蔽上の技術的価値が高い。しかし、この場合、酸化亜鉛粒子から微量の亜鉛イオンが溶出することによって、p-メトキシ桂皮酸エチルヘキシルの加水分解が促進され、悪臭の原因となる場合がある。特に酸化亜鉛粒子を水相に分散させる時には亜鉛イオンの溶出が増えるためか、このような問題が顕著であった。このため、このような問題の改善が求められている。
【0004】
本発明者らは特許文献2において、酸化亜鉛粒子に高密度シリカ被覆層を形成することによって、上記問題を改善することを検討した。しかし、このような方法による悪臭の抑制効果は必ずしも十分なものではなく、更に効果の改善が求められている。
【0005】
特許文献3は、油中水型化粧料において、表面処理酸化亜鉛粒子及びp-メトキシ桂皮酸エチルヘキシルを配合することが記載されている。しかし、特許文献3においては、撥水処理した酸化亜鉛粒子は油層中に分散されていることから、水への溶出は生じにくく、このため、上述したような本発明の課題は生じることがなかった。
【0006】
酸化亜鉛粒子は、水中油型、油中水型に係わらずに油相、水相のどちらにも配合可能ではあるが、瑞々しい感触を特徴とする水の配合量の多い水中油型日焼け止めでは、水相に酸化亜鉛粒子を分散することが好ましい。このような水中油型日焼け止めは、油中水型と比較して油剤の配合量が少ないため、多くの量の酸化亜鉛粒子を油分散することが困難になる。このため、多くの量の酸化亜鉛粒子を配合するためには油剤を増やす必要があり、そのために油剤の感触が目立つ結果、瑞々しさという特徴が失われてしまう。また、内相である油相(油滴)に酸化亜鉛粒子が存在するため、肌での付着均一性が損なわれる可能性がある。逆に酸化亜鉛粒子を水分散させる場合は油剤の配合量を気にする必要がなくなり、且つ、外相である水相に存在するため、肌の上で均一に付着しやすくなると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】WO2015/125622
【文献】特開2006-335654号
【文献】特開2014-240382号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記に鑑み、p-メトキシ桂皮酸エチルヘキシルが分解されることで発生する悪臭が抑制され、かつ、使用感に優れる水中油型日焼け止め化粧料を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、水相に
SiR(OR(1)
(式中、Rは、炭素数6~12の炭化水素基を表す。
は、メチル基又はエチル基を表す)
で表される化合物で表面処理された酸化亜鉛粒子(a)、多価アルコール(b)及びポリエーテル変性シリコーン(c)を含有し、
油相にp-メトキシ桂皮酸エチルヘキシルを含有する
ことを特徴とする水中油型日焼け止め化粧料である。
【0010】
上記表面処理された酸化亜鉛粒子(a)は、水中油型日焼け止め化粧料の全量に対して、7~25重量%の割合で含まれるものであることが好ましい。
【0011】
本発明は、
SiR(OR(1)
(式中、Rは、炭素数6~12の炭化水素基を表す。
は、メチル基又はエチル基を表す)
で表される化合物で表面処理された酸化亜鉛粒子(a)、多価アルコール(b)及びポリエーテル変性シリコーン(c)を含有する水分散体を調製する工程(1)、及び、
前記工程(1)で得られた水分散体を油性成分と混合し、水中油型分散体を得る工程(2)
からなることを特徴とする上述した水中油型日焼け止め化粧料の製造方法でもある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によって、p-メトキシ桂皮酸エチルヘキシルの分解による悪臭を生じることがなく、使用感にも優れた水中油型日焼け止め化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、酸化亜鉛粒子及びp-メトキシ桂皮酸エチルヘキシルを併用する化粧料において、p-メトキシ桂皮酸エチルヘキシルの分解による悪臭を抑制できる、という点において特に優れたものである。
【0014】
酸化亜鉛粒子を水中油型化粧料の水相に配合した化粧料は、ざらつきが少なく、さっぱりとした使用感であり、更にクレンジングも容易なものである。
しかしながら、このような化粧料において、酸化亜鉛粒子は水相中に分散するものであることから、撥水化処理を行ったとしてもごく微量の亜鉛イオンの溶出を生じてしまう。このようにして生じた亜鉛イオンがp-メトキシ桂皮酸エチルヘキシルの分解の原因になると推測される。
【0015】
一方、このような亜鉛イオンの溶出を抑制するための表面処理としてシリカによる処理が知られている。しかしながら、シリカによる処理では本発明の目的は充分に達成されない。シリカによる表面処理では、シラノール基が存在し、これが若干の酸性を示すため、亜鉛イオンの溶出を完全には抑制できないと推測される。
【0016】
このため、本願発明においては、長鎖アルキル基を有するシリケート化合物による被覆を行い、より優れた撥水処理を得ることで、水分子が酸化亜鉛粒子表面に接近しにくく、これによって、亜鉛の溶出が生じにくいものと推測される。更に、ポリエーテル変性シリコーン(c)を併用すると、当該化合物が酸化亜鉛粒子の表面に均一に付着し、これによっても上述した効果を更に向上させるものである。
【0017】
また、本発明においては、上述したような酸化亜鉛粒子を水に分散させた分散体を調製して、これを使用して水中油型の製剤を得ることが好ましい。これによって、安定的に撥水化処理酸化亜鉛粒子が水相に分散した水中油型日焼け止め化粧料とすることができる。
【0018】
更に、このような水中油型化粧料を安定的に得るためには、多価アルコール(b)の併用が必須となる。すなわち、上記一般式(1)で表される化合物で処理された酸化亜鉛粒子(以下、「被覆酸化亜鉛粒子」とも言う。)は、水との親和性が非常に低いものであることから、水中に安定して分散させるためには、多価アルコール(b)及びポリエーテル変性シリコーン(c)の併用が必要である。
以下、本発明において使用される各成分について詳述する。
【0019】
本発明に使用する被覆酸化亜鉛粒子の一次粒子サイズとしては、一般に紫外線吸収・散乱効果を有する平均粒子径が5~200nmであることが好ましい。上記下限は、10nmであることが更に好ましく、上記上限は100nmであることが好ましい。なお、本明細書における粒子径は電子顕微鏡でランダムに選択した200個の粒子の粒子径を測定し、その一次粒子径の平均を算出するという方法によって測定した値である。
【0020】
酸化亜鉛粒子の形状としては、球状、棒状、針状、紡錘状、板状、六角板状、針状凝集体等、任意の形状のものを使用することができる。なお、棒状、針状、紡錘状粒子の場合は、上記平均粒子径は短軸側の長さを、板状の場合は面の最大内接円の平均直径で規定する。
【0021】
またこれらの酸化亜鉛粒子は、シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、ジルコニア等の無機酸化物、無機水酸化物による無機被覆を施さず、直接一般式(1)で表される化合物によって被覆することもできる。用途・目的によっては、これらの無機被覆を施さないものであることが好ましい。本発明においてはこれらの無機被覆を有することで、かえって悪臭が増加する場合がある。よって、無機被覆を有さないことがより好ましい。また、仮に無機被覆を形成する場合でも、その被覆量は、5重量%以下であることが好ましい。
【0022】
特に、シリカによる被覆層を有する複合粉体は、白っぽくなり、べたつき、きしみ、よれなどの使用感においても、好ましくない性能を有する場合がある。このような観点から、本発明は特にシリカによる被覆層を有さないものであることが好ましい。
【0023】
本発明においては、
SiR(OR(1)
(式中、Rは、炭素数6~12の炭化水素基を表す。
は、メチル基又はエチル基を表す)
によって被覆した酸化亜鉛粒子を使用するものである。このような酸化亜鉛粒子は、亜鉛イオンの水中への溶出を抑制する効果が強い点で好ましいものである。更に、化粧料に使用したとき、白っぽくなりにくく、べたつき、きしみ、よれなどの使用感においても優れた性質を有するものとすることができる点でも好ましい。
【0024】
上記一般式(1)で表される化合物としては、例えば、トリエトキシオクチルシラン、デシルトリメトキシシラン、トリメトキシオクチルシラン、デシルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
このような化合物による被覆は、公知の通常の方法によって行うことができる。
【0025】
上記酸化亜鉛粒子の撥水性有機処理においては、処理後の無機粉体の全量に対して、2~15質量%の有機処理が施されたものであることが好ましく、2質量%未満では、撥水性が不十分であり、15質量%を超えると撥水性が頭打ちとなる。より好ましくは、3~12質量%の有機処理が施されたものである。
【0026】
本発明においては、化粧料全量中で7~25質量%の割合で上記被覆酸化亜鉛粒子を含有することが好ましい。このように、酸化亜鉛粒子が高い割合で配合される化粧料においては、上述したようなp-メトキシ桂皮酸エチルヘキシルの分解による悪臭という問題を生じやすい。このため、このような配合量の範囲において特に本発明の効果が顕著となるものである。この範囲で被覆酸化亜鉛粒子が配合されることにより効果的にUV-A波を遮蔽することが出来るようになる。配合量の下限は、8質量%であることが好ましく、13質量%であることがより好ましい。
【0027】
本発明の水中油型日焼け止め化粧料は、更に、多価アルコール(b)を必須成分として含有する。本発明においては、撥水化処理した酸化亜鉛粒子を水相中に分散させるものである。よって、良好な分散性を得るために、多価アルコール(b)を配合する。
【0028】
多価アルコール(b)としては、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオールから選ばれる1種及び又は2種以上であることが好ましく、特にブチレングリコール、ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、ヘキサンジオールが好ましい。このような多価アルコール(b)を配合することによって、後述のポリエーテル変性シリコーン(c)が粉体表面により均一に配向でき、分散体が安定するものと考えられる。また、多価アルコール(b)は、化粧品において保湿剤として汎用される成分である。このため、皮膚への安全性も高く、得られる化粧料に保湿性を付与できるという点でも好ましい。
【0029】
本発明においては、化粧料全量中で0.1~5質量%の割合で上記多価アルコール(b)を含有することが好ましい。このような割合で配合することで、分散安定性を得ることができる点で好ましい。
【0030】
本発明の水中油型日焼け止め化粧料は、更に、ポリエーテル変性シリコーン(c)を含有するものである。ポリエーテル変性シリコーン(c)もまた、撥水化処理された酸化亜鉛粒子を水相中に良好に分散させるために使用される成分である。また、ポリエーテル変性シリコーン(c)は、被覆酸化亜鉛粒子の表面に均一に付着し、これによって、上述したp-メトキシ桂皮酸エチルヘキシルの加水分解を抑制する作用も有すると推測される。
【0031】
上記ポリエーテル変性シリコーン(c)のHLBとしては、6-12であることが望ましい。HLBが12を超えるポリエーテル変性シリコーン(c)だけを使用して分散させた水分散体は、O/W製剤へ配合した場合、ポリエーテル変性シリコーン(c)の水への溶解性が高過ぎるため粉への吸着性が悪くなり、製剤の粘度上昇を起こしやすく、耐水性が悪くなりやすい。またポリエーテル変性シリコーン(c)のHLBが6未満の場合は水分散体を作成することが難しくなる。なお、本明細書においてHLBは、W.C.Grifinnによって定義された次式によって求める。
HLB=(E+P)/5
(NHLB:HLB値、E:ポリオキシエチレン部の分散剤分子全体に対する質量%、P:多価アルコール部の分散剤分子全体に対する質量%)
【0032】
本発明においては、化粧料全量中で0.1~10質量%の割合で上記ポリエーテル変性シリコーン(c)を含有することが好ましい。このような割合で配合することで、分散安定性を得ることができる点で好ましい。
【0033】
本発明において、これらの成分(a)~(c)は、水相中に存在するものである。これらが水相中に分散した水中油型日焼け止め化粧料を得るためには、上記(a)~(c)を水中に分散させた水分散体を調製し、これを油性成分と混合することによって得ることが好ましい。このような製造方法も本発明の一つである。当該製造方法においては、水分散体、油性成分に加え、その他の水性成分も添加するものであってもよい。
【0034】
上記水分散体は、上記酸化亜鉛粒子(a)を分散体全量に対して、30質量%以上含むものであることが好ましい。当該配合量とすることで、化粧料材料として少量で効果に必要な量を配合できるという点で好ましい。上記配合量は、40質量%以上であることがより好ましい。配合量の上限は特に限定されるものではないが、70質量%以下であることが好ましく、より好ましくは60質量%以下である。
【0035】
水分散体における上記多価アルコール(b)の配合量は、上記水系分散体中に5~25質量%であることが好ましい。上記下限は8質量%であることがより好ましく、上記上限は20質量%であることがより好ましい。
【0036】
水分散体における上記ポリエーテル変性シリコーン(c)の配合量は、分散体全量に対して、1~25質量%であることが好ましい。上記下限は、2質量%であることがより好ましく、3質量%であることが更に好ましい。上記上限は、20質量%であることがより好ましく、15質量%であることが更に好ましい。このような配合量とすることで、酸化亜鉛粒子が良好に分散した分散体を得ることができる。
【0037】
上記水分散体は、水を含有するものである。水の含有量は特に限定されるものではないが、10~40重量%であることが好ましい。
【0038】
上記水分散体は、原料として使用される場合は、上記(a)~(c)及び水以外の成分の配合量が5重量%以下であることが好ましい。このような分散体は、化粧料において一般的に使用される成分のみを配合するものであることから、種々の幅広い処方に適用できる。更に、水分散体の状態での安定性が高く、原料の保管・輸送において長期間安定性を保つことができる点でも好ましい。上記水分散体は、(a)~(c)及び水のみからなるものであっても差し支えない。
【0039】
本発明の水中油型日焼け止め化粧料は、更に、油相中にp-メトキシ桂皮酸エチルヘキシルを含有するものである。p-メトキシ桂皮酸エチルヘキシルは、日焼け止め化粧料において汎用されている有機系紫外線吸収剤である。p-メトキシ桂皮酸エチルヘキシルと酸化亜鉛粒子とを併用することによって、良好な紫外線吸収能を得ることが出来る点で好ましいものである。なお、油相はp-メトキシ桂皮酸エチルヘキシルのみからなるものであってもよい。
p-メトキシ桂皮酸エチルヘキシルは、化粧料における配合量が1~20質量%であることが好ましい。
【0040】
本発明の化粧料は、上述した各成分に加えて、化粧品分野において使用することができる任意の水性成分、油性成分を併用するものであってもよい。上記水性成分及び油性成分としては特に限定されず、例えば、油分、界面活性剤、保湿剤、高級アルコール、金属イオン封鎖剤、天然及び合成高分子、水溶性及び油溶性高分子、紫外線遮蔽剤、各種抽出液、無機及び有機顔料、無機及び有機粘土鉱物等の各種粉体、金属石鹸処理又はシリコーンで処理された無機及び有機顔料、有機染料等の色剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等の成分を含有するものであってもよい。また、本発明の化粧料用蛍光体以外の化粧料用蛍光体を含有するものであってもよい。具体的には、以下に列挙した配合成分の1種又は2種以上を任意に配合して常法により目的の化粧料を製造することが可能である。これらの配合成分の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
【0041】
上記油分としては特に限定されず、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、流動パラフィン、オゾケライト、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等を挙げることができる。
【0042】
上記界面活性剤としては特に限定されず、例えば、親油性非イオン界面活性剤、親水性非イオン界面活性剤、その他の界面活性剤を挙げることができる。
上記親油性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α´-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等を挙げることができる。
【0043】
上記親水性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2-オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、ブルロニック等のプルアロニック型類、POE・POPセチルエーテル、POE・POP2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等を挙げることができる。
【0044】
上記その他の界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン、高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体等のカチオン界面活性剤、及び、イミダゾリン系両性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等の両性界面活性剤を安定性及び皮膚刺激性に問題のない範囲で配合してもよい。
【0045】
上記保湿剤としては特に限定されず、例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等を挙げることができる。
【0046】
上記高級アルコールとしては特に限定されず、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等を挙げることができる。
【0047】
金属イオン封鎖剤としては特に限定されず、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1- ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸四ナトリウム塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸等を挙げることができる。
【0048】
上記天然の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子を挙げることができる。
【0049】
半合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等を挙げることができる。
【0050】
合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等を挙げることができる。
【0051】
無機の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ベントナイト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等を挙げることができる。
【0052】
紫外線遮蔽剤としては特に限定されず、例えば、パラアミノ安息香酸(以下PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線遮蔽剤;ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線遮蔽剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線遮蔽剤;オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等の桂皮酸系紫外線遮蔽剤;2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4’-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤;3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール、2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4’-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン等を挙げることができる。
【0053】
その他薬剤成分としては特に限定されず、例えば、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸DL-α-トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、2-O-α-D-グルコピラノシル-L-アスコルビン酸、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;エストラジオール、エチニルエストラジオール等のホルモン;アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸;アラントイン、アズレン等の抗炎症剤、アルブチン等の美白剤、;タンニン酸等の収斂剤;L-メントール、カンフル等の清涼剤やイオウ、塩化リゾチーム、塩化ピリドキシン等を挙げることができる。
【0054】
各種の抽出液としては特に限定されず、例えば、ドクダミエキス、オウバクエキス、メリロートエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、キナエキス、ユキノシタエキス、クララエキス、コウホネエキス、ウイキョウエキス、サクラソウエキス、バラエキス、ジオウエキス、レモンエキス、シコンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、スギナエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、キイチゴエキス、メリッサエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、モモエキス、桃葉エキス、クワエキス、ヤグリマギクエキス、ハマメリスエキス、プラセンタエキス、胸腺抽出物、シルク抽出液、甘草エキス等を挙げることができる。
【0055】
上記各種粉体としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性着色顔料、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、二酸化チタン、シリカ等の無機粉末やポリエチレン末、ナイロン末、架橋ポリスチレン、セルロースパウダー、シリコーン末等の有機粉末等を挙げることができる。好ましくは、官能特性向上、化粧持続性向上のため、粉末成分の一部又は全部をシリコーン類、フッ素化合物、金属石鹸、油剤、アシルグルタミン酸塩等の物質にて、公知の方法で撥水化処理して使用してもよい。
【実施例
【0056】
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。以下の記載において特に限定なく、「%」とある場合は「重量%」を表す。
【0057】
(実施例1)
1,3-ブチレングリコール5.0gとKF-6013(PEG-9ジメチコン:信越化学工業製)10.0gと一次粒子径35nmの酸化亜鉛に4wt%のトリエトキシオクチルシランで処理された表面処理酸化亜鉛(堺化学工業製FINEX-30-OTS)60gとを混合した後、水25.0gを加えて撹拌し、酸化亜鉛水分散体1を作製した。
【0058】
(実施例2)
1,3-ブチレングリコール5.0gとKF-6013(PEG-9ジメチコン:信越化学工業製)10.0gと一次粒子径35nmの酸化亜鉛に4wt%のデシルトリメトキシシランで処理された表面処理酸化亜鉛60gとを混合した後、水25.0gを加えて撹拌し、酸化亜鉛水分散体2を作製した。
【0059】
(実施例3)
1,3-ブチレングリコール5.0gとKF-6013(PEG-9ジメチコン:信越化学工業製)10.0gと一次粒子径35nmの酸化亜鉛に5wt%のシリカで表面処理を施した後に4wt%のトリエトキシオクチルシランで処理された表面処理酸化亜鉛60gとを混合した後、水25.0gを加えて撹拌し、酸化亜鉛水分散体3を作製した。
【0060】
(比較例1)
1,3-ブチレングリコール10.0gとKF-6013(PEG-9ジメチコン:信越化学工業製)5.0gと一次粒子径35nmの酸化亜鉛に5wt%のシリカで表面処理を施した後に4wt%のハイドロゲンジメチコンで処理された表面処理酸化亜鉛(堺化学工業製FINEX-33W-LP2)60gとを混合した後、水25.0gを加えて撹拌し、酸化亜鉛水分散体4を作製した。
【0061】
(比較例2)
1,3-ブチレングリコール10.0gとKF-6013(PEG-9ジメチコン:信越化学工業製)5.0gと一次粒子径35nmの酸化亜鉛に21wt%のシリカで処理された表面処理酸化亜鉛(堺化学工業製FINEX-30W)40gを混合した後、水45.0gを加えて撹拌し、酸化亜鉛水分散体5を作製した。
【0062】
酸化亜鉛水分散体1~5を用いて、表1に示す材料を用いて水中油型日焼け止め化粧料を作製した。製造方法は以下に示すものである。得られた水中油型日焼け止め化粧料は、以下に示す方法で評価を行った。結果を表2に示す。
【0063】
(製造方法)
A:油相材料を混合する。
B:水相材料を混合する。
C:BにAを添加し、日焼け止めO/W乳液を得た。
【0064】
【表1】
【0065】
(評価)
実際に塗布した際の白さ、べたつき、きしみ、よれ、匂いについて10人のパネラーによる官能試験を実施した。
その結果を表2に示す。なお、各評価はそれぞれの評価項目で実施例及び比較例で作製したものを順位付けし、その順位を平均化したものである。
【0066】
白さの評価は塗ってから3分後に見た目の白いものから1、一番透明なものを5とした。
べたつきの評価は塗っている最中にべたつきを最も感じたものを1とし、最もべたつきを感じなかったものを5としている。
きしみの評価は塗っている最中にきしみを最も感じたものを1とし、最もきしみを感じなかったものを5としている。
よれの評価は塗ってから3分後に指の腹で塗布膜を10回擦り、最もよれが発生する方を1とし、最もよれが発生しなかったものを5としている。
匂いの評価は作製後に40℃で1日静置保管した乳液の臭いを嗅いでもらい、最も臭いが強いものを1とし、最も臭いが弱いものを5としている。
【0067】
【表2】
【0068】
評価の結果、トリエトキシオクチルシラン、デシルトリメトキシシランで処理を施した酸化亜鉛粒子の水分散体を使用した実施例では塗布時の白さ、べたつき、きしみ、よれが緩和され、好適な水中油型日焼け止め化粧料が得られることが分かった。特に酸化亜鉛粒子にシリカ処理が施されていない実施例1と2では、白さ及びきしみの改善が明らかであった。
【0069】
また、匂い(臭気)についての評価において、予想外にシリカ処理を施さなくとも実施例1及び2はメトキシ桂皮酸エチルヘキシルの加水分解物に由来する匂いが弱くなっている。
これは、酸化亜鉛粒子表面が特定のアルキルシランによって被覆されることにより、分散剤として使用したポリエーテル変性シリコーン(c)が粒子により均一に付着し、その結果、メトキシ桂皮酸エチルヘキシルの加水分解の促進を抑制したものと推測される。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、優れた性能を有する日焼け止め化粧料として使用することができる。またその製造方法として使用することができる。