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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】暖房システムおよび暖房機
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/355 20220101AFI20220405BHJP
   F24H 15/00 20220101ALI20220405BHJP
   F24H 15/345 20220101ALI20220405BHJP
【FI】
F24H3/04 305L
F24H3/04 305J
F24H3/04 305K
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018055074
(22)【出願日】2018-03-22
(65)【公開番号】P2019168143
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 隆文
(72)【発明者】
【氏名】力丸 光生
(72)【発明者】
【氏名】奥 航太
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-009771(JP,A)
【文献】特開平11-072238(JP,A)
【文献】特開2003-222348(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101490483(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0040907(US,A1)
【文献】特開平10-064664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 15/00
F24H 3/04
F24H 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンおよび電気式のヒータを備える第1暖房機と、
ファンおよび電気式のヒータを備える第2暖房機と、
前記第1暖房機および前記第2暖房機を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記ファンおよび前記ヒータを駆動する第1モードと、前記ファンを駆動するとともに、前記ヒータの出力が前記第1モードにおける前記ヒータの出力よりも低い第2モードとを有し、前記第1暖房機および前記第2暖房機の両方を運転させる連動運転を行う場合に、前記第1暖房機および前記第2暖房機のうち一方の暖房機を前記第1モードで運転させ、かつ、前記第1暖房機および前記第2暖房機のうち他方の暖房機を前記第2モードで運転させ、その後、前記他方の暖房機の運転モードを前記第2モードから前記第1モードに移行する、暖房システム。
【請求項2】
前記第2モードは、
前記ファンおよび前記ヒータのうち前記ファンのみを駆動するモードである、請求項1に記載の暖房システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第2モードにおいて、前記第1モードにおける前記ファンの回転数よりも低い回転数で前記ファンを駆動する、請求項1または2に記載の暖房システム。
【請求項4】
前記第1暖房機および前記第2暖房機の少なくとも一方は、
温度検知部
を備え、
前記制御部は、
前記温度検知部の検知結果に基づいて前記第2モードの継続時間を決定する、請求項1~3のいずれか一つに記載の暖房システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1暖房機および前記第2暖房機のうち、少なくとも前記第1モードで駆動する暖房機の消費電力値に基づいて前記第2モードの継続時間を決定する、請求項1~3のいずれか一つに記載の暖房システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第1暖房機および前記第2暖房機のうち一方の暖房機を運転させる第1単独運転が指示されてから予め決められた猶予期間内に、前記第1暖房機および前記第2暖房機のうち他方の暖房機を運転させる第2単独運転が指示された場合に、前記一方の暖房機または前記他方の暖房機を前記第2モードで運転させる、請求項1~5のいずれか一つに記載の暖房システム。
【請求項7】
前記第1暖房機および前記第2暖房機は、
温度検知部
を備え、
前記制御部は、
前記第1単独運転が指示されてから前記猶予期間内に前記第2単独運転が指示された場合に、前記一方の暖房機および前記他方の暖房機のうち、前記温度検知部によって検知された温度が低い方の暖房機を前記第1モードで運転させ、前記温度検知部によって検知された温度が高い方の暖房機を前記第2モードで運転させる、請求項6に記載の暖房システム。
【請求項8】
前記連動運転中であることを報知する報知部
を備え、
前記制御部は、
前記第1単独運転が指示されてから前記猶予期間内に前記第2単独運転が指示された場合に、前記報知部に対し前記連動運転中であることを報知させる、請求項6または7に記載の暖房システム。
【請求項9】
ファンと、
電気式のヒータと、
前記ファンおよび前記ヒータを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記ファンおよび前記ヒータを駆動する第1モードと、前記ファンを駆動するとともに、前記ヒータの出力が前記第1モードにおける前記ヒータの出力よりも低い第2モードとを有し、
他の暖房機との連動運転を行う場合に、前記第2モードで運転可能な暖房機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、暖房システムおよび暖房機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室を暖める浴室暖房機が知られている(特許文献1参照)。また、近年では、ヒートショック低減等の観点から、浴室に隣接する洗面所や脱衣所にも暖房機を設置することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-222348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
浴室用および隣室用の暖房機には電気式ヒータが用いられる。しかしながら、電気式ヒータの中には通電直後に突入電流が発生するものもあり、浴室用および隣室用の暖房機を連動運転させると、突入電流の発生タイミングが重なって過大電流が発生するおそれがある。
【0005】
過大電流の発生を回避する方法として、たとえば、連動運転の開始時において一方の暖房機の運転開始タイミングを遅らせることで、突入電流の発生タイミングをずらすことが考えられる。しかしながら、運転開始タイミングを遅らせると、たとえば使用者が故障と誤認してしまうなど、使用者に違和感を与えるおそれがある。
【0006】
本開示は、使用者に違和感を与えることなく、2つの暖房機を連動運転させた場合における過大電流の発生を抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る暖房システムは、ファンおよび電気式のヒータを備える第1暖房機と、ファンおよび電気式のヒータを備える第2暖房機と、前記第1暖房機および前記第2暖房機を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記ファンおよび前記ヒータを駆動する第1モードと、前記ファンを駆動するとともに、前記ヒータの出力が前記第1モードにおける前記ヒータの出力よりも低い第2モードとを有し、前記第1暖房機および前記第2暖房機の両方を運転させる連動運転を行う場合に、前記第1暖房機および前記第2暖房機のうち一方の暖房機を前記第1モードで運転させ、かつ、前記第1暖房機および前記第2暖房機のうち他方の暖房機を前記第2モードで運転させ、その後、前記他方の暖房機の運転モードを前記第2モードから前記第1モードに移行する。
【0008】
連動運転を行う場合に、一方の暖房機を第1モードで運転させ、他方の暖房機を第2モードで運転させることで、2つの暖房機における突入電流の発生タイミングをずらすことができる。これにより、突入電流の発生タイミングが重なることによる過大電流の発生を回避することができる。一方、他方の暖房機のファンは遅延なく動作が開始されるため、使用者に故障等を誤認させるおそれがない。したがって、使用者に違和感を与えることなく、2つの暖房機を連動運転させた場合における過大電流の発生を抑制することができる。
【0009】
また、前記第2モードは、前記ファンおよび前記ヒータのうち前記ファンのみを駆動するモードである。
【0010】
第2モードにおいてヒータを駆動しないことで、2つの暖房機における突入電流の発生タイミングをずらすことができる。
【0011】
また、前記制御部は、前記第2モードにおいて、前記第1モードにおける前記ファンの回転数よりも低い回転数で前記ファンを駆動する。
【0012】
これにより、第2モード時の電力消費量や騒音を抑制することができる。また、第2モード中の第2暖房機から冷風が吹き出ることを抑制することができる。
【0013】
また、前記第1暖房機および前記第2暖房機の少なくとも一方は、温度検知部を備え、前記制御部は、前記温度検知部の検知結果に基づいて前記第2モードの継続時間を決定する。
【0014】
室内の温度が低いほど、室内を所望の温度まで暖房するのに多くの電力が必要となる。言い換えれば、突入電流が収まるまでに長い時間を要する。そこで、温度検知部の検知結果に基づいて第2モードの継続時間を決定するようにすることで、過大電流の発生をより確実に抑制することができる。
【0015】
また、前記制御部は、前記第1暖房機および前記第2暖房機のうち、少なくとも前記第1モードで駆動する暖房機の消費電力値に基づいて前記第2モードの継続時間を決定する。
【0016】
第1暖房機および第2暖房機のうち、少なくとも第1モードで駆動する暖房機の消費電力値に基づいて第2モードの継続時間を決定することで、過大電流の発生を抑制しつつ、遅延させた側のヒータへの通電を可及的速やかに開始することができる。
【0017】
また、前記制御部は、前記第1暖房機および前記第2暖房機のうち一方の暖房機を運転させる第1単独運転が指示されてから予め決められた猶予期間内に、前記第1暖房機および前記第2暖房機のうち他方の暖房機を運転させる第2単独運転が指示された場合に、前記一方の暖房機または前記他方の暖房機を前記第2モードで運転させる。
【0018】
これにより、第1単独運転および第2単独運転が個別に指示された場合であっても、突入電流の発生タイミングが重なることによる過大電流の発生を回避することができる。
【0019】
また、前記第1暖房機および前記第2暖房機は、温度検知部を備え、前記制御部は、前記第1単独運転が指示されてから前記猶予期間内に前記第2単独運転が指示された場合に、前記一方の暖房機および前記他方の暖房機のうち、前記温度検知部によって検知された温度が低い方の暖房機を前記第1モードで運転させ、前記温度検知部によって検知された温度が高い方の暖房機を前記第2モードで運転させる。
【0020】
これにより、第1暖房機が設置される部屋および第2暖房機が設置される部屋のうち気温がより低い方の部屋を優先的に暖房することができる。
【0021】
また、前記連動運転中であることを報知する報知部を備え、前記制御部は、前記第1単独運転が指示されてから前記猶予期間内に前記第2単独運転が指示された場合に、前記報知部に対し前記連動運転中であることを報知させる。
【0022】
これにより、第1単独運転および第2単独運転が個別に指示された場合であっても、使用者に連動運転中であることを報知することができ、使い勝手を向上させることができる。
【0023】
また、本開示の一実施形態に係る暖房機は、ファンと、電気式のヒータと、前記ファンおよび前記ヒータを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記ファンおよび前記ヒータを駆動する第1モードと、前記ファンを駆動するとともに、前記ヒータの出力が前記第1モードにおける前記ヒータの出力よりも低い第2モードとを有し、他の暖房機との連動運転を行う場合に、前記第2モードで運転可能である。
【0024】
連動運転を行う場合に、本開示の一実施形態に係る暖房機を第2モードで運転させることで、2つの暖房機における突入電流の発生タイミングをずらすことができる。これにより、突入電流の発生タイミングが重なることによる過大電流の発生を回避することができる。一方、ファンは遅延なく動作が開始されるため、使用者に故障等を誤認させるおそれがない。したがって、使用者に違和感を与えることなく、2つの暖房機を連動運転させた場合における過大電流の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、使用者に違和感を与えることなく、2つの暖房機を連動運転させた場合における過大電流の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る暖房システムの概要構成図である。
図2図2は、本開示の一実施形態に係る暖房システムの構成例を示すブロック図である。
図3図3は、暖房システムにおける連動運転の開始処理の一例を示すタイミングチャートである。
図4図4は、暖房システムにおける連動運転の開始処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、第1変形例に係る連動運転の開始処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、第2変形例に係る暖房システムの構成例を示すブロック図である。
図7図7は、第3変形例に係る暖房システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本開示に係る暖房システムおよび暖房機を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示に係る暖房システムおよび暖房機が限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0028】
図1は、本開示の一実施形態に係る暖房システムの概要構成図である。図1に示すように、本開示の一実施形態に係る暖房システム1は、第1暖房機10と、第2暖房機20と、操作部30と、制御装置40とを含む。
【0029】
第1暖房機10は、浴室2に設置され、浴室2を暖房する。たとえば、第1暖房機10は、浴室2の天井に埋め込まれるビルトインタイプの暖房機である。第2暖房機20は、浴室2に隣接する洗面所、脱衣所あるいは洗面脱衣所等の隣室3に設置され、隣室3を暖房する。たとえば、第2暖房機20は、隣室3の壁面に設置される壁掛式の暖房機である。なお、第2暖房機20は、隣室3の天井に埋め込まれるビルトインタイプの暖房機であってもよい。
【0030】
操作部30は、たとえば隣室3の壁面に設置されるリモコンである。操作部30は、使用者の操作を受け付ける各種ボタンや第1暖房機10および第2暖房機20の運転状況を使用者に知らせるLED(Light Emitting Device)ランプ等を備える。
【0031】
制御装置40は、第1暖房機10、第2暖房機20および操作部30を制御する。制御装置40は、第1暖房機10、第2暖房機20および操作部30と有線または無線により電気的に接続されており、操作部30から取得した操作情報に基づいて第1暖房機10および第2暖房機20を制御する。
【0032】
図2は、本開示の一実施形態に係る暖房システム1の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、第1暖房機10は、ファン11と、ヒータ12と、温度検知部13とを備える。
【0033】
ファン11は、第1暖房機10の風路内に配置される。第1暖房機10の風路は、たとえば、浴室2の内部に向けて開口する吸込口と吹出口とを連通するダクトであり、ファン11は、吸込口から吹出口へ向かう空気の流れを発生させる。ファン11は、モータ等の駆動部を含んで構成され、制御装置40によって制御される。
【0034】
ヒータ12は、第1暖房機10の風路内に配置され、風路内を吹出口へ向かって流れる空気を加熱する。ヒータ12は、通電によって発熱する電気式のヒータであり、通電によって加熱する。ヒータ12への通電のオン・オフは、制御装置40によって制御される。
【0035】
温度検知部13は、浴室2の温度を検知する。たとえば、温度検知部13は、第1暖房機10の風路内に配置され、第1暖房機10の風路内の温度を検知する。温度検知部13は、浴室2の温度の検知結果を制御装置40へ出力する。
【0036】
第2暖房機20は、ファン21と、ヒータ22と、温度検知部23とを備える。ファン21は、第2暖房機20の筐体内に配置され、筐体に形成される吸込口から筐体内に空気を吸い込むとともに、吸い込んだ空気を筐体に形成された吹出口に向けて送り出す。ファン21は、モータ等の駆動部を含んで構成され、制御装置40によって制御される。
【0037】
ヒータ22は、第2暖房機20の筐体内に配置され、吹出口へ向かって流れる空気を加熱する。ヒータ22は、通電によって発熱する電気式のヒータであり、通電によって加熱する。ヒータ22への通電のオン・オフは、制御装置40によって制御される。
【0038】
温度検知部23は、隣室3の温度を検知する。たとえば、温度検知部23は、第2暖房機20の筐体内に配置される。温度検知部23は、隣室3の温度の検知結果を制御装置40へ出力する。
【0039】
操作部30は、浴室運転ボタン31と、隣室運転ボタン32と、連動運転ボタン33と、通信部34と、浴室運転発光部35と、隣室運転発光部36と、連動運転発光部37とを備える。浴室運転発光部35、隣室運転発光部36および連動運転発光部37は、たとえば、LEDランプである。
【0040】
操作部30は、浴室運転ボタン31が操作された場合に、浴室運転発光部35を発光させるとともに、浴室運転ボタン31が操作された旨の操作信号を通信部34を介して制御装置40へ送信する。また、操作部30は、隣室運転ボタン32が操作された場合に、隣室運転発光部36を発光させるとともに、隣室運転ボタン32が操作された旨の操作信号を通信部34を介して制御装置40へ送信する。また、操作部30は、連動運転ボタン33が操作された場合に、連動運転発光部37を発光させるとともに、連動運転ボタン33が操作された旨の操作信号を通信部34を介して制御装置40へ送信する。
【0041】
制御装置40は、制御部41と、記憶部42とを備える。記憶部42は、たとえばRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子等によって実現される。
【0042】
制御部41は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部42に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部41は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0043】
かかる制御部41は、運転制御部43と、優先決定部44と、継続時間決定部45とを備え、以下に説明する機能や作用を実現または実行する。なお、制御部41の内部構成は、図2に示した構成に限られず、他の構成であってもよい。
【0044】
運転制御部43は、第1暖房機10および第2暖房機20の動作を制御する。具体的には、運転制御部43は、浴室運転ボタン31が操作された旨の操作信号を操作部30から受信した場合に、第1暖房機10のファン11およびヒータ12を駆動することで第1暖房機10による暖房運転(以下、「第1単独運転」と記載する)を開始させる。また、運転制御部43は、隣室運転ボタン32が操作された旨の操作信号を操作部30から受信した場合、第2暖房機20のファン21およびヒータ22を駆動することで第2暖房機20による暖房運転(以下、「第2単独運転」と記載する)を開始させる。
【0045】
また、運転制御部43は、連動運転ボタン33が操作された旨の操作信号を操作部30から受信した場合、第1暖房機10のファン11およびヒータ12と、第2暖房機20のファン21およびヒータ22とを駆動することで、第1暖房機10および第2暖房機20による暖房運転(以下、「連動運転」と記載する)を行う。
【0046】
ここで、ヒータ12,22は、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータである。PTCヒータは、温度によって抵抗値が変化する特性を有しており、抵抗値の増大と減少を繰り返すことによって自己温度を制御することができる。
【0047】
しかしながら、PTCヒータには、その特性上、通電開始直後に突入電流が発生するという問題がある。突入電流とは、一時的に流れる大電流のことである。このため、連動運転を行う場合に、第1暖房機10のヒータ12および第2暖房機20のヒータ22に対して同じタイミングで通電を開始すると、突入電流の発生タイミングが重なり、たとえばブレーカの容量を超える過大電流が流れてブレーカが落ちてしまうおそれがある。
【0048】
過大電流の発生を回避する方法として、たとえば、連動運転の開始時において一方の暖房機の運転開始タイミングを遅らせることで、突入電流の発生タイミングをずらすことが考えられる。しかしながら、運転開始タイミングを遅らせると、たとえば使用者が故障と誤認してしまうなど、使用者に違和感を与えるおそれがある。
【0049】
そこで、運転制御部43は、第1暖房機10および第2暖房機20の運転制御モードとして、第1モードと第2モードとを有する。第1モードは、ファンおよびヒータ(ファン11およびヒータ12またはファン21およびヒータ22)を駆動するモードである。第2モードは、ファン(ファン11またはファン21)を駆動するとともに、ヒータ(ヒータ12またはヒータ22)の出力が第1モードにおけるヒータ(ヒータ12またはヒータ22)の出力よりも低いモードである。具体的には、第2モードは、ファンおよびヒータ(ファン11およびヒータ12またはファン21およびヒータ22)のうち、ファン(ファン11またはファン21)のみを駆動するモードである。
【0050】
運転制御部43は、連動運転を行う場合に、第1暖房機10および第2暖房機20のうち一方の暖房機を第1モードで運転させ、かつ、他方の暖房機を第2モードで運転させる。そして、その後、運転制御部43は、他方の暖房機の運転モードを第2モードから第1モードに移行する。これにより、使用者に違和感を与えることなく、第1暖房機10と第2暖房機20とを連動運転させた場合における過大電流の発生を抑制することができる。
【0051】
この点について図3を参照して説明する。図3は、暖房システム1における連動運転の開始処理の一例を示すタイミングチャートである。
【0052】
図3に示すように、連動運転ボタン33が操作されると(連動運転ボタンON)、運転制御部43は、たとえば、第1暖房機10を第1モードで運転させ、第2暖房機20を第2モードで運転させる。すなわち、第1暖房機10については、ファン11およびヒータ12の両方を駆動し(ファンON、ヒータON)、第2暖房機20については、ファン21およびヒータ22のうち、ファン21のみを駆動する(ファンON、ヒータOFF)。その後、運転制御部43は、第2暖房機20のヒータ22を駆動することにより(ファンON、ヒータON)、第2暖房機20の運転モードを第2モードから第1モードに移行する。
【0053】
このように、運転制御部43は、連動運転を行う場合に、第1暖房機10および第2暖房機20のうち一方の暖房機を第1モードで運転させ、他方の暖房機を第2モードで運転させることで、第1暖房機10および第2暖房機20における突入電流の発生タイミングをずらすことができる。このため、突入電流の発生タイミングが重なることによる過大電流の発生を回避することができる。
【0054】
一方、第2暖房機20のファン21については遅延なく動作が開始されるため、使用者に故障等を誤認させるおそれがない。このように、運転制御部43によれば、使用者に違和感を与えることなく、第1暖房機10および第2暖房機20を連動運転させた場合における過大電流の発生を抑制することができる。
【0055】
たとえば第2暖房機20を第2モードで運転させる場合、運転制御部43は、第1モードにおけるファン21の回転数よりも低い回転数でファン21を駆動してもよい。すなわち、運転制御部43は、第2モードにおいてファン21を低速で回転させ、第1モードに移行した場合に、ファン21を通常の回転数で回転させてもよい。これにより、第2モード時の電力消費量や騒音を抑制することができる。また、第2モード中の第2暖房機20から冷風が吹き出ることを抑制することができる。
【0056】
図2に戻り、優先決定部44について説明する。優先決定部44は、第1暖房機10および第2暖房機20のうち先に第1モードで運転させる暖房機(以下、「優先暖房機」と記載する)を決定する。具体的には、優先決定部44は、連動運転ボタン33が操作された旨の操作信号を操作部30から受信した場合に、第1暖房機10の温度検知部13による検知結果と第2暖房機20の温度検知部23による検知結果とを取得する。そして、優先決定部44は、第1暖房機10および第2暖房機20のうち、温度検知部13,23による検知結果がより低い方の暖房機を優先暖房機として決定する。
【0057】
たとえば、優先決定部44は、浴室2および隣室3のうち浴室2の方が気温が低い場合、浴室2に設置される第1暖房機10を先に第1モードで運転させる。また、優先決定部44は、浴室2および隣室3のうち隣室3の方が気温が低い場合には、隣室3に設置される第2暖房機20を先に第1モードで運転させる。これにより、浴室2および隣室3のうち気温がより低い部屋を優先的に暖房することができる。
【0058】
なお、使用者は、浴室2および隣室3のうち、隣室3から先に入室するため、優先決定部44は、隣室3に設置される第2暖房機20を優先暖房機として決定してもよい。
【0059】
継続時間決定部45は、第2モードの継続時間を決定する処理を行う。具体的には、継続時間決定部45は、第1暖房機10の温度検知部13および第2暖房機20の温度検知部23のうち何れか一方または両方の検知結果に基づいて第2モードの継続時間を決定する。
【0060】
浴室2または隣室3の気温が低いほど、浴室2または隣室3を所望の温度まで暖房するのに多くの電力が必要となる。言い換えれば、突入電流が収まるまでに長い時間を要する。そこで、継続時間決定部45は、浴室2または隣室3の気温が低いほど、第2モードの継続時間を長くする。これにより、過大電流の発生をより確実に抑制することができる。
【0061】
たとえば、記憶部42には、温度と第2モードの継続時間とを関連付けた継続時間情報が記憶される。継続時間決定部45は、温度検知部13による検知結果および温度検知部23による検知結果のうち、より温度が低い検知結果を用い、この検知結果により示される温度に対応する継続時間を記憶部42に記憶された継続時間情報を参照して決定する。
【0062】
上記の例に限らず、継続時間決定部45は、温度検知部13による検知結果および温度検知部23による検知結果の平均値を用いて継続時間を決定してもよい。また、継続時間決定部45は、優先決定部44によって優先暖房機として決定された暖房機(第1暖房機10または第2暖房機20)の温度検知部(温度検知部13または温度検知部23)による検知結果を用いて継続時間を決定してもよい。また、継続時間決定部45は、温度検知部13および温度検知部23のうち予め設定された一の温度検知部による検知結果を用いて継続時間を決定してもよい。
【0063】
継続時間決定部45は、浴室2または隣室3の気温に限らず、第1暖房機10および第2暖房機20のうち、少なくとも第1モードで駆動する暖房機の消費電力値に基づいて第2モードの継続時間を決定してもよい。
【0064】
たとえば、継続時間決定部45は、第1暖房機10および第2暖房機20に設けられた図示しない消費電力監視部の監視結果に基づき、第1暖房機10の暖房運転時における消費電力値の経時変化と、第2暖房機20の暖房運転時における消費電力の経時変化値とをそれぞれ取得する。また、継続時間決定部45は、取得した第1暖房機10および第2暖房機20の各消費電力の経時変化に基づき、第1暖房機10および第2暖房機20の消費電力の合計値が、ブレーカの容量等に基づく閾値電力以下となるために必要な遅延時間を算出する。そして、継続時間決定部45は、算出した遅延時間を第2モードの継続時間として決定する。
【0065】
また、継続時間決定部45は、たとえば、第1暖房機10および第2暖房機20のうち、第1モードで駆動している暖房機の消費電力値が下がったタイミングに基づいて、第2モードの継続時間を決定することも可能である。
【0066】
これにより、過大電流の発生を抑制しつつ、遅延させた側のヒータ12,22への通電を可及的速やかに開始することができる。なお、第1暖房機10および第2暖房機20の消費電力の経時変化は、予め記憶しておいてもよい。
【0067】
次に、暖房システム1における連動運転の開始処理の手順について図4を参照して説明する。図4は、暖房システム1における連動運転の開始処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0068】
図4に示すように、制御部41は、連動運転ボタン33が操作されたか否かを判定する(ステップS101)。この判定は、操作部30から連動運転ボタン33が操作された旨の操作信号を受信したか否かにより行われる。制御部41は、連動運転ボタン33が操作されるまで、ステップS101の判定処理を繰り返す(ステップS101,No)。
【0069】
ステップS101において、連動運転ボタン33が操作されたと判定した場合(ステップS101,Yes)、制御部41は、先に第1モードで運転させる優先暖房機を決定する(ステップS102)。たとえば、制御部41は、温度検知部13,23による検知結果がより低い方の暖房機(第1暖房機10または第2暖房機20)を優先暖房機として決定する。
【0070】
つづいて、制御部41は、第2モードの継続時間を決定する(ステップS103)。たとえば、制御部41は、温度検知部13または温度検知部23による検知結果が低いほど、すなわち、浴室2または隣室3の気温が低いほど、第2モードの継続時間を長くする。
【0071】
なお、ここでは、優先暖房機を決定した後で(ステップS102)、第2モードの継続時間を決定する(ステップS103)場合の例を示したが、ステップS102およびステップS103の順番は逆であってもよい。
【0072】
つづいて、制御部41は、優先暖房機のファンおよびヒータ(ファン11およびヒータ12またはファン21およびヒータ22)を駆動する(ステップS104)。また、制御部41は、優先でない暖房機のファン(ファン11またはファン21)を駆動する(ステップS105)。また、制御部41は、操作部30の連動運転発光部37を発光させる(ステップS106)。
【0073】
つづいて、制御部41は、ステップS105において優先でない暖房機のファン(ファン11またはファン21)を駆動してから、ステップS103において決定した第2モードの継続時間が経過したか否かを判定する(ステップS107)。制御部41は、第2モードの継続時間が経過するまで、ステップS107の判定処理を繰り返す(ステップS107,No)。
【0074】
一方、ステップS107において、第2モードの継続時間が経過したと判定した場合(ステップS107,Yes)、制御部41は、優先でない暖房機のヒータ(ヒータ12またはヒータ22)を駆動する(ステップS108)。すなわち、優先でない暖房機の運転モードを第2モードから第1モードへ移行して、連動運転の開始処理を終了する。なお、制御部41は、たとえば予め設定された運転時間が経過した場合に、第1暖房機10および第2暖房機20のファン11,21およびヒータ12,22を停止して連動運転を終了する。
【0075】
次に、上述した暖房システム1の変形例について説明する。上述した実施形態では、操作部30の連動運転ボタン33が操作された場合に、連動運転を開始することとした。これに限らず、制御部41は、浴室運転ボタン31が操作されてから予め決められた期間(以下、「猶予期間」と記載する)内に隣室運転ボタン32が操作された場合に、連動運転を開始してもよい。
【0076】
この場合の処理手順について図5を参照して説明する。図5は、第1変形例に係る連動運転の開始処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0077】
図5に示すように、制御部41は、浴室運転ボタン31または隣室運転ボタン32が操作されたか否かを判定する(ステップS201)。この判定は、操作部30から浴室運転ボタン31が操作された旨の操作信号または隣室運転ボタン32が操作された旨の操作信号を受信したか否かにより行われる。制御部41は、浴室運転ボタン31または隣室運転ボタン32が操作されるまで、ステップS201の判定処理を繰り返す(ステップS201,No)。
【0078】
ステップS201において、浴室運転ボタン31または隣室運転ボタン32が操作されたと判定した場合(ステップS201,Yes)、制御部41は、該当する暖房機のファンおよびヒータ(ファン11およびヒータ12またはファン21およびヒータ22)を駆動する(ステップS202)。すなわち、制御部41は、該当する暖房機を第1モードで運転させる。また、制御部41は、該当する発光部(浴室運転発光部35または隣室運転発光部36)を発光させる(ステップS203)。
【0079】
たとえば、浴室運転ボタン31が操作されたと判定した場合、制御部41は、ステップS202において第1暖房機10のファン11およびヒータ12を駆動し、ステップS203において浴室運転発光部35を発光させる。また、隣室運転ボタン32が操作されたと判定した場合、制御部41は、ステップS202において第2暖房機20のファン21およびヒータ22を駆動し、ステップS203において隣室運転発光部36を発光させる。
【0080】
つづいて、制御部41は、他方のボタン、すなわち、浴室運転ボタン31および隣室運転ボタン32のうち、ステップS201において操作されなかった方のボタンが猶予期間内に操作されたか否かを判定する(ステップS204)。制御部41は、猶予期間内に他方のボタンが操作されるまで、ステップS204の判定処理を繰り返す(ステップS204,No)。
【0081】
ステップS204において、猶予期間内に他方のボタンが操作されたと判定した場合(ステップS204,Yes)、制御部41は、優先暖房機を決定する(ステップS205)。また、制御部41は、第2モードの継続時間を決定する(ステップS206)。
【0082】
つづいて、制御部41は、既に運転中の暖房機、すなわち、ステップS202においてファンおよびヒータの駆動を開始した暖房機を優先させるか否かを判定する(ステップS207)。たとえば、ステップS202において第1暖房機10のファン11およびヒータ12を駆動させた場合、制御部41は、ステップS207において第1暖房機10が優先暖房機として決定されたか否かを判定する。
【0083】
この判定において、既に運転中の暖房機を優先させると判定した場合(ステップS207,Yes)、制御部41は、他方の暖房機のファン(ファン11またはファン21)を駆動する(ステップS208)。また、制御部41は、ステップS203において点灯させた発光部(浴室運転発光部35または隣室運転発光部36)を消灯し、連動運転発光部37を点灯する(ステップS209)。
【0084】
たとえば、既に運転中の暖房機が第1暖房機10であり、第1暖房機10が優先暖房機として決定された場合、つまり、優先暖房機である第1暖房機10が既に第1モードで運転を開始している場合、制御部41は、第2暖房機20のファン21およびヒータ22のうち、ファン21のみを駆動する。すなわち、制御部41は、第2暖房機20を第2モードで運転させる。そして、制御部41は、浴室運転発光部35を消灯して連動運転発光部37を発光させる。
【0085】
一方、ステップS207において、既に運転中の暖房機を優先させない場合(ステップS207,No)、制御部41は、既に運転中の暖房機のヒータ(ヒータ12またはヒータ22)を停止する(ステップS210)。また、制御部41は、他方の暖房機のファンおよびヒータ(ファン11およびヒータ12またはファン21およびヒータ22)を駆動する(ステップS211)。また、制御部41は、ステップS203において点灯させた発光部(浴室運転発光部35または隣室運転発光部36)を消灯し、連動運転発光部37を点灯する(ステップS212)。
【0086】
ステップS209またはステップS212の処理を終えると、制御部41は、第2モードの継続時間が経過したか否かを判定する(ステップS213)。制御部41は、第2モードの継続時間が経過するまで、ステップS213の判定処理を繰り返す(ステップS213,No)。
【0087】
一方、ステップS213において、第2モードの継続時間が経過したと判定した場合(ステップS213,Yes)、制御部41は、優先でない暖房機のヒータ(ヒータ12またはヒータ22)を駆動する(ステップS214)。すなわち、優先でない暖房機の運転モードを第2モードから第1モードへ移行して、連動運転の開始処理を終了する。
【0088】
このように、制御部41は、たとえば、第1暖房機10を運転させる第1単独運転が指示されてから予め決められた猶予期間内に、第2暖房機20を運転させる第2単独運転が指示された場合も連動運転を開始させることとした。すなわち、第1暖房機10または第2暖房機20を第2モードで運転させることとした。したがって、連動運転ボタン33ではなく、浴室運転ボタン31および隣室運転ボタン32が操作された場合であっても、突入電流の発生タイミングが重なることによる過大電流の発生を回避することができる。
【0089】
また、制御部41は、第1単独運転が指示されてから猶予期間内に第2単独運転が指示された場合に、第1暖房機10および第2暖房機20のうち、温度検知部13,23によって検知された温度が低い方の暖房機を第1モードで運転させ、温度検知部13,23によって検知された温度が高い方の暖房機を第2モードで運転させる。これにより、第1暖房機10が設置される部屋および第2暖房機20が設置される部屋のうち気温がより低い方の部屋を優先的に暖房することができる。
【0090】
また、暖房システム1は、連動運転中であることを報知する連動運転発光部37(報知部の一例)を備える。そして、制御部41は、第1単独運転が指示されてから猶予期間内に第2単独運転が指示された場合に、連動運転発光部37を発光させることにより、連動運転発光部37に対して連動運転中であることを報知させる。これにより、浴室運転ボタン31および隣室運転ボタン32がそれぞれ単独で操作された場合であっても、使用者に連動運転中であることを報知することができ、使い勝手を向上させることができる。
【0091】
なお、ここでは、第1暖房機10および第2暖房機20のうち、第1暖房機10のみを運転させる場合を「第1単独運転」とし、第2暖房機20のみを運転させる場合を「第2単独運転」とした。しかし、これに限らず、第2暖房機20のみを運転させる場合を「第1単独運転」とし、第1暖房機10のみを運転させる場合を「第2単独運転」としてもよい。
【0092】
また、ここでは、連動運転中であることを発光により報知する発光部を報知部の一例に挙げたが、報知部は、たとえば、連動運転中であることを文字や音等により報知するものであってもよい。
【0093】
また、暖房機システムの構成は、図2に示した構成に限定されない。以下、暖房機システムの他の構成例について図6および図7を参照して説明する。図6は、第2変形例に係る暖房システムの構成例を示すブロック図である。また、図7は、第3変形例に係る暖房システムの構成例を示すブロック図である。
【0094】
上述した実施形態では、暖房システム1が1つの操作部30を備える場合の例について説明したが、複数の操作部を備えていてもよい。たとえば、図6に示すように、暖房システム1Aは、浴室操作部30A1と、隣室操作部30A2とを備える。浴室操作部30A1は、浴室2に設置される操作部であり、たとえば、浴室運転ボタン31と、隣室運転ボタン32と、通信部34とを備える。また、隣室操作部30A2は、隣室3に設置される操作部であり、たとえば、浴室運転発光部35と、隣室運転発光部36と、通信部34とを備える。
【0095】
暖房システム1Aでは、たとえば、図5に示すように、浴室運転ボタン31および隣室運転ボタン32の一方が操作された後、猶予期間内に他方のボタンが操作された場合に、優先暖房機を第1モードで運転させ、かつ、優先でない暖房機を第2モードで運転させ、その後、優先でない暖房機を第2モードから第1モードへ移行する。これにより、突入電流の発生タイミングが重なることによる過大電流の発生を回避することができる。
【0096】
なお、ここでは、浴室操作部30A1および隣室操作部30A2が連動運転ボタン33および連動運転発光部37を備えない場合の例について説明したが、浴室操作部30A1および隣室操作部30A2は、連動運転ボタン33および連動運転発光部37を備えていてもよい。また、暖房システム1Aは、浴室操作部30A1および隣室操作部30A2に加え、連動運転ボタン33、連動運転発光部37および通信部34を備える連動操作部をさらに備えていてもよい。また、暖房システム1Aは、浴室運転ボタン31、隣室運転ボタン32、通信部34、浴室運転発光部35および隣室運転発光部36を備える1つの操作部、言い換えれば、連動運転ボタン33および連動運転発光部37を備えない1つの操作部を備えていてもよい。
【0097】
また、上述した実施形態では、連動運転を含めた暖房システム1全体の制御を行う1つの制御部41を備える制御装置40が、第1暖房機10、第2暖房機20および操作部30とは別体に設けられる場合の例について説明した。しかし、これに限らず、第1暖房機、第2暖房機および操作部の何れかが、上述した制御部41の機能を有していてもよい。
【0098】
たとえば、図7に示すように、第2変形例に係る暖房システム1Bは、第1暖房機10Bと、第2暖房機20Bと、操作部30とを備える。第1暖房機10Bは、ファン11と、ヒータ12と、温度検知部13と、制御部14と、記憶部15とを備える。また、第2暖房機20Bは、ファン21と、ヒータ22と、温度検知部23と、制御部24と、記憶部25とを備える。制御部14および制御部24は、運転制御部43、優先決定部44および継続時間決定部45を備える。
【0099】
かかる暖房システム1Bでは、たとえば、連動運転ボタン33が操作された場合、または、浴室運転ボタン31および隣室運転ボタン32の一方が操作された後、猶予期間内に他方のボタンが操作された場合に、制御部14と制御部24とが連携して連動運転の制御を行う。このように、連動運転の制御を行う制御部は、第1暖房機10Bおよび第2暖房機20Bに設けられてもよい。
【0100】
なお、図7に示す例に限らず、連動運転の制御を行う制御部は、第1暖房機および第2暖房機のいずれか一方にのみ設けられてもよい。また、連動運転の制御を行う制御部は、操作部30に設けられてもよい。
【0101】
また、上述した実施形態では、第2モードが、ファンおよびヒータのうちファンのみを駆動するモードである場合の例について説明したが、第2モードは、第1暖房機10と第2暖房機20とで突入電流の発生タイミングをずらすことができるものであればよい。したがって、たとえば、第2モードは、ファンおよびヒータを駆動し、かつ、ヒータについては、少なくとも第2モードの継続時間内に突入電流が発生しない程度に駆動するモードであってもよい。この場合も、第1暖房機10と第2暖房機20とで突入電流の発生タイミングをずらすことが可能である。
【0102】
また、上述した実施形態では、第1暖房機10,10Bおよび第2暖房機20,20Bの両方に温度検知部13,23が設けられる場合の例について説明したが、温度検知部13,23は、第1暖房機10,10Bおよび第2暖房機20,20Bのいずれか一方にのみ設けられる構成でもよい。
【0103】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の請求お範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 暖房システム
2 浴室
3 隣室
10 第1暖房機
11 ファン
12 ヒータ
13 温度検知部
20 第2暖房機
21 ファン
22 ヒータ
23 温度検知部
30 操作部
40 制御装置
41 制御部
42 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7