(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】医用画像管理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20220405BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
G16H10/00
A61B5/00 D
(21)【出願番号】P 2018059122
(22)【出願日】2018-03-27
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀内 亮
【審査官】田中 寛人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-012346(JP,A)
【文献】特開2005-078367(JP,A)
【文献】特開2002-202786(JP,A)
【文献】特開2012-094198(JP,A)
【文献】特開2015-176336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00- 5/01
G16H10/00-80/00
G06Q10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像をモバイル端末に表示させ
、前記医用画像が前記モバイル端末に表示されている間の少なくとも一部の期間に、前記医用画像に関連する関連情報を前記モバイル端末を介して伝達する
制御手段を備え
る医用画像管理装置であって、
前記
制御手段は、前記関連情報の伝達対象部分を時間軸に沿って変化させ
て伝達させるためのデータを前記医用画像管理装置から前記モバイル端末へ送る医用画像管理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記医用画像を表示させるとともに前記関連情報の伝達対象部分を時間軸に沿って変化させて表示させるためのデータを前記モバイル端末へ送る請求項1に記載の医用画像管理装置。
【請求項3】
前記
制御手段は、前記関連情報の文字列を前記モバイル端末における前記医用画像の表示画面内の所定の領域にスクロールして表示させる請求項1
又は2に記載の医用画像管理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、先に前記医用画像の表示を開始させ、その後前記関連情報のスクロール表示を開始させる請求項3に記載の医用画像管理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、先に前記関連情報のスクロール表示を開始させ、その後前記医用画像の表示を開始させる請求項3に記載の医用画像管理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記モバイル端末からデバイスの種類の情報を取得し、前記取得されたデバイスの種類がモバイル端末である場合に、前記データとしてモバイル端末用のデータを送る請求項2から5のいずれか一項に記載の医用画像管理装置。
【請求項7】
前記
制御手段は、前記関連情報の文字列を音声変換して音声データを生成し、当該音声データに基づいて、前記モバイル端末の音声出力手段に音声出力させる請求項1に記載の医用画像管理装置。
【請求項8】
前記関連情報は、前記医用画像の付帯情報、前記医用画像に係る患者の臨床情報、前記医用画像に係る患者の管理情報、前記医用画像に対する医師の指示、前記医用画像に係る患者の診療計画、又は、前記医用画像に係る検査に対応する過去の検査に対して作成された読影レポートである請求項1から
7のいずれか一項に記載の医用画像管理装置。
【請求項9】
医用画像管理装置のコンピューターを、
医用画像をモバイル端末に表示させ
、前記医用画像が前記モバイル端末に表示されている間の少なくとも一部の期間に、前記医用画像に関連する関連情報を前記モバイル端末を介して伝達する
制御手段として機能させるためのプログラムであって、
前記
制御手段は、前記関連情報の伝達対象部分を時間軸に沿って変化させ
て伝達させるためのデータを前記医用画像管理装置から前記モバイル端末へ送るプログラム。
【請求項10】
前記制御手段は、前記医用画像を表示させるとともに前記関連情報の伝達対象部分を時間軸に沿って変化させて表示させるためのデータを前記モバイル端末へ送る請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記制御手段は、前記関連情報の文字列を前記モバイル端末における前記医用画像の表示画面内の所定の領域にスクロールして表示させる請求項9又は10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記制御手段は、先に前記医用画像の表示を開始させ、その後前記関連情報のスクロール表示を開始させる請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記制御手段は、先に前記関連情報のスクロール表示を開始させ、その後前記医用画像の表示を開始させる請求項11に記載のプログラム。
【請求項14】
前記制御手段は、前記モバイル端末からデバイスの種類の情報を取得し、前記取得されたデバイスの種類がモバイル端末である場合に、前記データとしてモバイル端末用のデータを送る請求項10から13のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項15】
前記制御手段は、前記関連情報の文字列を音声変換して音声データを生成し、当該音声データに基づいて、前記モバイル端末の音声出力手段に音声出力させる請求項9に記載のプログラム。
【請求項16】
前記関連情報は、前記医用画像の付帯情報、前記医用画像に係る患者の臨床情報、前記医用画像に係る患者の管理情報、前記医用画像に対する医師の指示、前記医用画像に係る患者の診療計画、又は、前記医用画像に係る検査に対応する過去の検査に対して作成された読影レポートである請求項9から15のいずれか一項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像管理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野においても情報の電子化が進み、医用画像や読影レポート等が電子データとして管理されている。医師は、医用画像を表示装置に表示させた状態で、読影を行っている。
【0003】
例えば、医用画像と読影レポートを効率的に参照できるように、医用画像と読影レポートを別画面で同時に表示する技術が提案されている(特許文献1参照)。読影レポート表示画面は、医用画像表示画面上に重ねて表示される。
【0004】
また、検査画像に対する読影の判定結果を示す判定区分の入力を支援するため、検査画像に対する所見や判定区分を入力するための所見入力画面を検査画像上に表示する医用画像診断支援システムが利用されている(特許文献2参照)。
【0005】
また、地域医療連携や医療施設内のワークフロー改善のため、医療施設の内外で、タブレット端末やスマートフォン等のモバイル端末が利用されている。また、医療施設に担当医がいない時間帯に急病患者が発生した場合に、担当医が自宅等からモバイル端末で患者の医用画像を確認することで、担当医が医療施設に呼び出されずに済むといった効果も報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-223501号公報
【文献】特開2017-191519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、医用画像の読影においては、読影を依頼した医師が指示した読影オーダーに含まれる読影目的や過去の読影レポートを参照しながら読影する場合が多い。タブレット端末やスマートフォン等のモバイル端末では、表示画面のサイズが一般的なPC(Personal Computer)等と比較して小さいため、医用画像の他に、読影目的や過去の読影レポート等の関連情報を表示すると、医用画像の表示領域が小さくなり、読影が困難となるおそれがあった。医用画像表示画面とその他の画面とを切り替える方法もあるが、やはり読影効率は低下する。
【0008】
また、医用画像の表示領域を確保するために、特許文献1、特許文献2に記載の技術のように、読影レポート表示画面や所見入力画面を医用画像表示画面上に重ねて表示すると、医用画像の一部が隠れてしまい、画像全体を観察することができない。
【0009】
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、モバイル端末における医用画像の表示サイズを確保しながら、医用画像に関連する関連情報を効率良く伝えることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、医用画像をモバイル端末に表示させ、前記医用画像が前記モバイル端末に表示されている間の少なくとも一部の期間に、前記医用画像に関連する関連情報を前記モバイル端末を介して伝達する制御手段を備える医用画像管理装置であって、前記制御手段は、前記関連情報の伝達対象部分を時間軸に沿って変化させて伝達させるためのデータを前記医用画像管理装置から前記モバイル端末へ送る。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医用画像管理装置において、前記制御手段は、前記医用画像を表示させるとともに前記関連情報の伝達対象部分を時間軸に沿って変化させて表示させるためのデータを前記モバイル端末へ送る。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の医用画像管理装置において、前記制御手段は、前記関連情報の文字列を前記モバイル端末における前記医用画像の表示画面内の所定の領域にスクロールして表示させる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の医用画像管理装置において、前記制御手段は、先に前記医用画像の表示を開始させ、その後前記関連情報のスクロール表示を開始させる。
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の医用画像管理装置において、前記制御手段は、先に前記関連情報のスクロール表示を開始させ、その後前記医用画像の表示を開始させる。
請求項6に記載の発明は、請求項2から5のいずれか一項に記載の医用画像管理装置において、前記制御手段は、前記モバイル端末からデバイスの種類の情報を取得し、前記取得されたデバイスの種類がモバイル端末である場合に、前記データとしてモバイル端末用のデータを送る。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の医用画像管理装置において、前記制御手段は、前記関連情報の文字列を音声変換して音声データを生成し、当該音声データに基づいて、前記モバイル端末の音声出力手段に音声出力させる。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の医用画像管理装置において、前記関連情報は、前記医用画像の付帯情報、前記医用画像に係る患者の臨床情報、前記医用画像に係る患者の管理情報、前記医用画像に対する医師の指示、前記医用画像に係る患者の診療計画、又は、前記医用画像に係る検査に対応する過去の検査に対して作成された読影レポートである。
【0014】
請求項9に記載の発明は、医用画像管理装置のコンピューターを、医用画像をモバイル端末に表示させ、前記医用画像が前記モバイル端末に表示されている間の少なくとも一部の期間に、前記医用画像に関連する関連情報を前記モバイル端末を介して伝達する制御手段として機能させるためのプログラムであって、前記制御手段は、前記関連情報の伝達対象部分を時間軸に沿って変化させて伝達させるためのデータを前記医用画像管理装置から前記モバイル端末へ送る。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のプログラムにおいて、前記制御手段は、前記医用画像を表示させるとともに前記関連情報の伝達対象部分を時間軸に沿って変化させて表示させるためのデータを前記モバイル端末へ送る。
請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載のプログラムにおいて、前記制御手段は、前記関連情報の文字列を前記モバイル端末における前記医用画像の表示画面内の所定の領域にスクロールして表示させる。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載のプログラムにおいて、前記制御手段は、先に前記医用画像の表示を開始させ、その後前記関連情報のスクロール表示を開始させる。
請求項13に記載の発明は、請求項11に記載のプログラムにおいて、前記制御手段は、先に前記関連情報のスクロール表示を開始させ、その後前記医用画像の表示を開始させる。
請求項14に記載の発明は、請求項10から13のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、前記制御手段は、前記モバイル端末からデバイスの種類の情報を取得し、前記取得されたデバイスの種類がモバイル端末である場合に、前記データとしてモバイル端末用のデータを送る。
請求項15に記載の発明は、請求項9に記載のプログラムにおいて、前記制御手段は、前記関連情報の文字列を音声変換して音声データを生成し、当該音声データに基づいて、前記モバイル端末の音声出力手段に音声出力させる。
請求項16に記載の発明は、請求項9から15のいずれか一項に記載のプログラムにおいて、前記関連情報は、前記医用画像の付帯情報、前記医用画像に係る患者の臨床情報、前記医用画像に係る患者の管理情報、前記医用画像に対する医師の指示、前記医用画像に係る患者の診療計画、又は、前記医用画像に係る検査に対応する過去の検査に対して作成された読影レポートである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、モバイル端末における医用画像の表示サイズを確保しながら、医用画像に関連する関連情報を効率良く伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施の形態における医用画像システムのシステム構成図である。
【
図2】医用画像管理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】クライアント端末の機能的構成を示すブロック図である。
【
図4】医用画像システムにおける一般的なワークフローを示すラダーチャートである。
【
図5】医用画像管理装置により実行される第1の医用画像提供処理を示すフローチャートである。
【
図6】モバイル端末に表示される医用画像表示画面の例を示す図である。
【
図7】過去の読影レポートをモバイル端末に表示させる際の伝達対象部分の変化を説明するための図である。
【
図8】時間の経過に伴い、関連情報表示領域に表示される関連情報が変わっていく様子を示す図である。
【
図9】第2の実施の形態の医用画像管理装置により実行される第2の医用画像提供処理を示すフローチャートである。
【
図10】過去の読影レポートをモバイル端末において音声出力させる際の伝達対象部分の変化を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施の形態]
まず、本発明に係る医用画像管理装置の第1の実施の形態について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0018】
図1に、第1の実施の形態における医用画像システム100のシステム構成を示す。
図1に示すように、医用画像システム100は、電子カルテサーバー10、RIS(Radiology Information System)サーバー20、医用画像管理装置30、モダリティー40、クライアント端末50等から構成されている。医用画像システム100を構成する各装置は、LAN(Local Area Network)等の施設内ネットワークN1を介してデータ通信可能に接続されている。各装置は、HL7(Health Level Seven)やDICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格に準じており、各装置間の通信は、HL7やDICOMに則って行われる。また、医療施設外のクライアント端末50は、インターネットN2を介して医用画像管理装置30、電子カルテサーバー10等とデータ通信可能に接続可能となっている。なお、クライアント端末50の台数は、特に限定されない。
【0019】
電子カルテサーバー10は、クライアント端末50からの操作指示に応じて、患者に対する診療行為や診断結果を記録した電子カルテ情報や、患者に対する検査を依頼するための検査オーダーを生成する。
【0020】
検査オーダーには、検査依頼者(主治医)、読影医、患者情報、検査情報等が含まれている。
患者情報は、患者に関する情報である。患者情報には、患者ID、患者氏名、生年月日、年齢、性別、身長、体重、血圧(上/下)、血液型、体温、現病歴、既往歴、入外区分、アレルギー歴、感染症等が含まれる。
検査情報は、検査に関する情報である。検査情報には、検査ID、検査日時、モダリティー(DR、CR、US、CT、MRI等)、検査部位(胸部、腹部等)、技師氏名、診療科、検査目的、読影目的、造影剤有無、受付番号等が含まれる。
【0021】
検査目的は、検査依頼者から検査技師や読影医へ検査目的を伝えるための情報である。
読影目的は、検査依頼者から読影医へ読影目的や読影すべきポイントを伝えるための情報である。
【0022】
RISサーバー20は、放射線機器による検査や治療の予約、検査結果等の放射線科内の情報を管理する。RISサーバー20は、電子カルテサーバー10において発行された検査オーダーを管理し、検査オーダーに基づいて、検査対象のモダリティー40に対して検査依頼を送信し、医用画像管理装置30に読影依頼を送信する。
【0023】
医用画像管理装置30は、モダリティー40において生成された医用画像の画像データを記憶し、患者ごとに管理する。医用画像管理装置30としては、例えば、PACS(Picture Archiving and Communication System)等が挙げられる。
【0024】
図2に、医用画像管理装置30の機能的構成を示す。
図2に示すように、医用画像管理装置30は、制御部31、通信部32、記憶部33、画像保管部34等を備えて構成されており、各部はバス35により接続されている。
【0025】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等から構成され、医用画像管理装置30の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。ROMには、クライアント端末50に搭載されたWebブラウザーとHTTPプロトコルによる通信を行ってWebブラウザーに各種Web画面を提供するWebサーバーとしての機能を実現させるためのWebサーバープログラムや、Webサーバー上で動作し、Webブラウザーを介してクライアント端末50のユーザーに医用画像等の情報を提供するためのアプリケーションプログラム等が記憶されている。
【0026】
通信部32は、ネットワークインターフェース等により構成され、施設内ネットワークN1又はインターネットN2を介して接続された外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0027】
記憶部33は、ハードディスクや不揮発性メモリー等により構成され、各種データを記憶している。例えば、記憶部33には、ユーザー管理テーブルT1、検査管理テーブルT2、読影レポート、画面レイアウトデータが記憶されている。
【0028】
ユーザー管理テーブルT1は、医用画像管理装置30が提供する画像管理システムを利用するユーザーを管理するためのテーブルである。ユーザー管理テーブルT1には、ユーザー(医療従事者)ごとに、ユーザーID、パスワード、氏名、所属(医療施設、診療科)、メールアドレス等が対応付けられて格納されている。
【0029】
検査管理テーブルT2は、画像検査を管理するためのテーブルである。検査管理テーブルT2には、画像検査ごとに、検査依頼者(主治医)、読影医、患者情報、検査情報、医用画像の識別情報(画像ID)、読影レポートの識別情報(レポートID)等が対応付けられて格納される。
【0030】
読影レポートは、読影医がクライアント端末50において医用画像を読影する際に、クライアント端末50からの操作指示に応じて作成される画像診断報告書である。読影レポートは、レポートIDで特定される。
【0031】
画面レイアウトデータは、医用画像表示画面(ビューアー画面)のレイアウトを示す情報であり、医用画像の表示領域、関連情報の表示領域等の配置が定められている。画面レイアウトデータとしては、モバイル端末用の画面レイアウトデータ(以下、モバイル端末用レイアウトという。)、PC用の画面レイアウトデータ(以下、PC用レイアウトという。)が予め用意されている。モバイル端末は、持ち運び可能な情報端末装置であり、例えば、タブレット端末やスマートフォン等が用いられる。また、PC用レイアウトとして、クライアント端末50が備えるモニターの構成(モニター数、表示画面のサイズ等)に応じて、複数のPC用レイアウトが用意されていることとしてもよい。
【0032】
画像保管部34は、患者ごとに、医用画像の画像データを記憶し、保管するための記憶装置である。医用画像は、画像IDで特定される。
【0033】
制御部31は、通信部32を介して、外部機器から医用画像や読影レポートの取得要求があった場合に、当該取得要求に応じて、要求された医用画像や読影レポートを表示させるための画面データ(表示用データ)を当該外部機器に送信する。
【0034】
制御部31は、医用画像をクライアント端末50に表示させる。すなわち、制御部31は、表示制御手段として機能する。具体的には、制御部31は、医用画像をクライアント端末50の表示部53(
図3参照)に表示させるための画面データを、通信部32を介してクライアント端末50に送信する。
【0035】
クライアント端末50がモバイル端末である場合に、制御部31は、医用画像がクライアント端末50に表示されている間の少なくとも一部の期間に、医用画像に関連する関連情報をクライアント端末50を介して伝達する。すなわち、制御部31は、伝達手段として機能する。
制御部31は、クライアント端末50における関連情報の伝達対象部分を時間軸に沿って変化させる。具体的には、制御部31は、関連情報に含まれる文字列の全てを同時に伝達対象とするのではなく、関連情報に含まれる文字列のうち、伝達対象とする部分を時間の経過とともに移動させていく。
【0036】
関連情報は、医用画像の付帯情報、医用画像に係る患者の臨床情報、医用画像に係る患者の管理情報、医用画像に対する医師の指示、医用画像に係る患者の診療計画、又は、医用画像に係る検査に対応する過去の検査に対して作成された読影レポートである。
「医用画像の付帯情報」とは、医用画像に付帯されている情報である。付帯情報として、例えば、医用画像の画像ファイルのヘッダーに含まれる患者氏名、患者ID、性別、検査ID、検査日時等が挙げられる。
「医用画像に係る患者の臨床情報」とは、医用画像の撮影対象の患者に対する診察、治療等に関する情報である。臨床情報には、例えば、尿検査、血液検査等の生検結果等が含まれる。
「医用画像に係る患者の管理情報」とは、医用画像の撮影対象の患者に対する医療施設における管理履歴を示す情報である。管理情報には、例えば、入院・退院・転院に関する情報(医療施設、時期等)、紹介情報(紹介元・紹介先の医療施設、紹介の経緯等)、モダリティーの予約等が含まれる。
「医用画像に対する医師の指示」には、例えば、医用画像の読影に対する読影目的、医用画像に係る検査の検査目的、医用画像の読影を依頼した医師からの要望、コメント等が含まれる。
「医用画像に係る患者の診療計画」とは、医用画像の撮影対象の患者に対して行われる予定の治療、処置、検査(モダリティーによる検査のオーダー、生検予定等)、リハビリテーション等に関する情報である。
「医用画像に係る検査に対応する過去の検査」とは、医用画像の撮影対象とされた患者と同一の患者に対して行われた、医用画像に係る検査と同一の過去の検査をいう。つまり、「医用画像に係る検査に対応する過去の検査に対して作成された読影レポート」は、医用画像の撮影対象患者に対して今回の検査と同一の検査が過去に行われていた場合に、その過去の検査において撮影された医用画像の読影により作成された読影レポートである。
【0037】
以下、関連情報として過去の読影レポートを用いる場合を中心に説明するが、関連情報として他の情報を用いる場合には、表示対象の医用画像と当該医用画像に関連する関連情報との対応関係が、医用画像管理装置30の内部又は外部に予め登録されており、医用画像管理装置30において医用画像に対応する関連情報を取得し、利用できることとする。
【0038】
第1の実施の形態では、クライアント端末50がモバイル端末である場合に、制御部31は、関連情報の文字列をクライアント端末50における医用画像の表示画面内の所定の領域にスクロールして表示させる。具体的には、制御部31は、医用画像を表示させつつ、関連情報の文字列を所定の領域にスクロールして表示させるための画面データを生成し、クライアント端末50の表示部53に表示させるべく、当該画面データを通信部32を介してクライアント端末50に提供する。ここで、先に医用画像の表示を開始させ、その後関連情報のスクロール表示を開始させてもよいし、先に関連情報のスクロール表示を開始させ、その後医用画像の表示を開始させてもよい。また、先に関連情報のスクロール表示を終了させ、その後医用画像の表示を終了させてもよいし、先に医用画像の表示を終了させ、その後関連情報のスクロール表示を終了させてもよい。つまり、医用画像が表示画面内に表示されている期間と、関連情報がスクロール表示される期間が少なくとも一部で重なっていればよい。
【0039】
モダリティー40は、X線撮影装置(DR、CR)、超音波診断装置(US)、CT、MRI等の画像生成装置であり、患者を撮影して得られた医用画像を生成する。モダリティー40は、DICOM規格に則って、付帯情報(患者情報、検査情報等)を医用画像の画像ファイルのヘッダーに書き込むことにより、医用画像に付帯情報を付帯させる。
【0040】
クライアント端末50は、医師により使用されるPC、タブレット端末、スマートフォン等のコンピューター装置である。主治医は、クライアント端末50において、電子カルテの作成、検査オーダーの生成、医用画像や読影レポートの閲覧等を行う。読影医は、クライアント端末50において、医用画像の読影、読影レポートの作成等を行う。
【0041】
図3に、クライアント端末50の機能的構成を示す。
図3に示すように、クライアント端末50は、制御部51、操作部52、表示部53、音声出力部54、通信部55、記憶部56等を備えて構成されており、各部はバス57により接続されている。
【0042】
制御部51は、CPU、ROM、RAM等から構成され、クライアント端末50の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。ROMには、Webブラウザーを実現するためのWebブラウザープログラム等が記憶されている。
【0043】
操作部52は、カーソルキー、文字・数字入力キー及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部51に出力する。また、操作部52が、表示部53に積層されたタッチパネルにより構成される場合には、ユーザーの指等によるタッチ操作の位置に応じた操作信号を制御部51に出力する。
【0044】
表示部53は、LCD(Liquid Crystal Display)等のモニターを備えて構成されており、制御部51から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0045】
音声出力部54は、スピーカー、D/A変換回路等を備える。音声出力部54は、D/A変換回路により、音声データに基づくデジタル信号をアナログ信号に変換し、スピーカーにより、アナログ信号に基づいて、音声を出力する。
【0046】
通信部55は、ネットワークインターフェース等により構成され、施設内ネットワークN1又はインターネットN2を介して接続された外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0047】
記憶部56は、ハードディスクや不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種データを記憶している。
【0048】
制御部51は、医用画像管理装置30から送信される画面データ等に基づいて、表示部53に各種画面を表示させる。
【0049】
次に、医用画像システム100における動作について説明する。
図4は、医用画像システム100における一般的なワークフローを示すラダーチャートである。
【0050】
まず、主治医がクライアント端末50から電子カルテサーバー10にアクセスし、患者や検査内容を指定して検査オーダーを発行すると(ステップS1)、電子カルテサーバー10は、RISサーバー20に検査オーダーを送信する。
【0051】
RISサーバー20は、電子カルテサーバー10から受信した検査オーダーに基づいて、モダリティー40に検査依頼を送信し(ステップS2)、医用画像管理装置30に読影依頼を送信する(ステップS3)。検査依頼や読影依頼に、検査オーダーに含まれる情報のうち、どの内容を入れるかは任意に設定可能である。RISサーバー20からモダリティー40や医用画像管理装置30に、検査オーダーそのものを送信することとしてもよい。
【0052】
モダリティー40は、RISサーバー20から検査依頼を受信すると、検査技師の操作により、検査依頼に応じて対象患者の対象部位の撮影を行い(ステップS4)、生成された医用画像を保存する(ステップS5)。モダリティー40は、医用画像を医用画像管理装置30に送信する(ステップS6)。
【0053】
医用画像管理装置30では、モダリティー40から医用画像を受信すると、制御部31は、当該医用画像の付帯情報に基づいて、RISサーバー20から受信した読影依頼の中から当該医用画像に対応する読影依頼を特定し、当該医用画像と特定された読影依頼(患者情報、検査情報等)とを対応付けて保存する。具体的には、制御部31は、医用画像を画像保管部34に記憶させるとともに、記憶部33の検査管理テーブルT2に、検査依頼者、読影医、患者情報、検査情報、医用画像の画像IDを対応付けて格納する。
【0054】
読影医がクライアント端末50から医用画像管理装置30にアクセスし、読影対象の医用画像を選択すると、選択された医用画像がクライアント端末50の表示部53に表示される(ステップS7)。
【0055】
読影医は、クライアント端末50の表示部53に表示された医用画像を読影し、操作部52から読影結果を入力し、読影レポートを作成する(ステップS8)。医用画像管理装置30において、制御部31は、作成された読影レポートを、患者情報及び検査情報と対応付けて管理する。具体的には、制御部31は、読影レポートを記憶部33に記憶させるとともに、検査管理テーブルT2の該当レコードに、読影レポートのレポートIDを格納する。検査管理テーブルT2において、検査依頼者、読影医、患者情報、検査情報、医用画像の画像ID、読影レポートのレポートIDが対応付けられることで、医用画像と当該医用画像に対して作成された読影レポートとが対応付けられる。
【0056】
次に、医用画像管理装置30がRISサーバー20に読影が完了した旨の通知を送信すると、RISサーバー20は、電子カルテサーバー10に読影が完了した旨の通知を送信する(ステップS9)。
【0057】
主治医がクライアント端末50から医用画像管理装置30にアクセスし、読影レポートの表示を指示すると、クライアント端末50の表示部53に読影レポートが表示される(ステップS10)。
【0058】
主治医は、患者を診察するとともに(ステップS11)、クライアント端末50から電子カルテサーバー10にアクセスし、電子カルテを作成する(ステップS12)。具体的には、主治医は、読影レポートを参考にして今後の治療方針を計画し、患者への説明を行う。主治医は、患者に対して処方・処置を行う(ステップS13)。
【0059】
ステップS7の医用画像を表示させ読影を行う処理について、通常は、クライアント端末50として、高精細モニターを備える医療施設内のPC等が用いられるが、緊急時には、クライアント端末50として、医療施設外のタブレット端末やスマートフォン等のモバイル端末が用いられる。例えば、主治医(検査依頼者)が医療施設外にいる読影医に対して電話で読影を依頼すると、読影医は、モバイル端末で読影を行い、追加検査が必要であれば、技師に依頼する。特に追加検査が必要でなければ、診断内容(読影結果)を電話、又は、医用画像管理装置30が提供する画像管理システムのメッセージツールを使って、主治医に連絡する。主治医は、読影医から連絡を受けると、読影医による診断を考慮しつつ、患者に対して仮の処方・処置を行う。
このように、モバイル端末を用いて緊急の簡易的な読影が行われた場合には、後日、読影医が医療施設に出勤してからPC等を用いて再読影を行う等、ステップS7以降の処理が行われる。
【0060】
図5は、医用画像管理装置30により実行される第1の医用画像提供処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部31のCPUとROMに記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0061】
まず、制御部31は、通信部32を介してクライアント端末50からのアクセスを受ける(ステップS21)。具体的には、クライアント端末50において、ユーザーが操作部52を介してWebブラウザー上から医用画像管理装置30にアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)を入力すると、制御部51は、入力されたURLに基づいて、通信部55を介して医用画像管理装置30に接続する。
医用画像管理装置30では、制御部31は、クライアント端末50に対し、通信部32を介して、ログイン画面を表示させるための画面データを提供する。
【0062】
クライアント端末50では、表示部53にログイン画面が表示される。ログイン画面において、ユーザーが操作部52からの操作により、ユーザーID及びパスワードを入力すると、制御部51は、入力されたユーザーID及びパスワードを、通信部55を介して医用画像管理装置30に送信する。
【0063】
医用画像管理装置30では、通信部32によりユーザーID及びパスワードが受信されると、制御部31は、受信されたユーザーID及びパスワードが、記憶部33のユーザー管理テーブルT1に登録されているユーザーID及びパスワードの組み合わせのいずれかと一致するか否かを判断し、ログイン処理を行う。
【0064】
次に、制御部31は、通信部32を介してクライアント端末50に対し、デバイスの種類を問い合わせ、クライアント端末50のデバイスの種類を取得する(ステップS22)。具体的には、制御部31は、デバイスの種類を問い合わせるAPI(Application Programming Interface)を利用して、クライアント端末50からデバイスの種類を取得する。デバイスの種類として、モバイル端末、PC等の区分が挙げられる。また、PCにおいて、さらに、モニターの構成(モニター数、表示画面のサイズ等)に応じて複数の種類に分類されていてもよい。
【0065】
次に、制御部31は、通信部32を介してクライアント端末50から、表示対象の医用画像の選択を受け付ける(ステップS23)。
【0066】
ここで、制御部31は、ステップS22で取得したデバイスの種類がモバイル端末であるか、PCであるかを判断する(ステップS24)。
デバイスの種類がモバイル端末である場合には(ステップS24;モバイル端末)、制御部31は、記憶部33に記憶されている画面レイアウトデータのうち、モバイル端末用レイアウトを選択する(ステップS25)。
【0067】
次に、制御部31は、ステップS23で選択された医用画像を画像保管部34から取得する(ステップS26)。
次に、制御部31は、ステップS25で選択されたモバイル端末用レイアウトに、医用画像を割り付け、医用画像表示画面を表示させるための画面データを生成する(ステップS27)。
【0068】
次に、制御部31は、医用画像に関連する関連情報を取得する(ステップS28)。例えば、制御部31は、記憶部33の検査管理テーブルT2を参照して、今回表示対象とされている医用画像の画像IDに対応付けられている患者及び検査を特定し、特定された患者と同一患者、かつ、特定された検査と同一の過去の検査に係る読影レポートのレポートIDを取得する。そして、制御部31は、当該レポートIDに基づいて、記憶部33に記憶されている過去の読影レポートを取得する。あるいは、制御部31は、今回表示対象とされている医用画像に係る読影依頼に含まれる読影目的又は検査目的を、記憶部33から取得することとしてもよい。また、制御部31は、RISサーバー20から、今回表示対象とされている医用画像に係る読影目的又は検査目的を取得することとしてもよい。
【0069】
次に、制御部31は、医用画像表示画面の所定領域に関連情報をスクロール表示させるための画面データを生成する(ステップS29)。制御部31は、生成した画面データを、通信部32を介してクライアント端末50(モバイル端末)に提供する。
【0070】
クライアント端末50(モバイル端末)では、表示部53に医用画像表示画面が表示される。
図6に、クライアント端末50(モバイル端末)の表示部53に表示される医用画像表示画面531の例を示す。医用画像表示画面531には、医用画像表示領域61、関連情報表示領域(所定領域)62が含まれる。医用画像表示領域61は、医用画像が表示される領域であり、関連情報表示領域62は、関連情報が表示される領域である。モバイル端末用レイアウトでは、関連情報表示領域62は、医用画像の表示を妨げないように、医用画像表示領域61と比較して、かなり小さく設定されている。関連情報表示領域62は、例えば、1行~5行程度の文字列を表示可能なサイズとする。関連情報表示領域62には、関連情報が下から上へ流れるようにスクロール表示される。
【0071】
図7に、過去の読影レポート(画像診断報告書)70の例を示す。
図7に示す破線で囲まれた伝達対象部分71を上から下へ(
図7に示す矢印72の向き)一定の速度でずらしていくように、過去の読影レポート70の伝達対象部分71の情報が関連情報表示領域62にスクロール表示される。具体的には、過去の読影レポート70の領域A1~A7の内容が、順次スクロール表示される。
【0072】
図8(a)~(c)に、関連情報表示領域62に表示される関連情報が、時間の経過に伴い、順に変わっていく様子を示す。過去の読影レポート70内の情報を最後までスクロール表示し終えたら、そこでスクロールは停止する。
【0073】
ユーザーが関連情報のスクロールを止めたい場合には、操作部52からの操作により、
図6に示した医用画像表示画面531の関連情報表示領域62をタップすることで、関連情報のスクロールが止まる。
また、ユーザーが見逃した情報を見直したい場合には、操作部52からの操作により、
図6に示した医用画像表示画面531の関連情報表示領域62を、スクロールの向きと逆向きにスワイプすることで、表示対象部分が戻る等、スクロールの調整が可能となっている。
【0074】
なお、スクロールの開始位置や終了位置、読影レポートのどの項目をスクロール表示対象とするかを、施設ごと、ユーザーごとに設定しておき、ユーザーが所属する医療施設ごと、又はユーザーごとに、読影レポートの表示方法を切り替えることとしてもよい。また、
図7に示した領域A1~A7を順番にスクロール表示することに代えて、予め設定された項目の順番でスクロール表示してもよい。
【0075】
ステップS24において、デバイスの種類がPCである場合には(ステップS24;PC)、制御部31は、PC用レイアウトを選択する(ステップS30)。
【0076】
次に、制御部31は、ステップS23で選択された医用画像を画像保管部34から取得する(ステップS31)。
次に、制御部31は、ステップS30で選択されたPC用レイアウトに、医用画像を割り付け、医用画像表示画面を表示させるための画面データを生成する(ステップS32)。
【0077】
次に、制御部31は、医用画像に関連する関連情報を取得する(ステップS33)。
次に、制御部31は、医用画像表示画面の所定領域に関連情報を常時表示させるための画面データを生成する(ステップS34)。制御部31は、生成した画面データを、通信部32を介してクライアント端末50(PC)に提供する。
【0078】
クライアント端末50(PC)では、表示部53に医用画像表示画面が表示される。医用画像表示画面には、医用画像表示領域と関連情報表示領域(所定領域)とが含まれる。PC用レイアウトでは、関連情報表示領域は、関連情報の全てを同時に表示可能な大きさに設定されている。なお、PC用レイアウトにおいても、関連情報表示領域の大きさ、関連情報の量によっては、関連情報の一部が表示されることとしてもよい。
ステップS29又はステップS34の後、第1の医用画像提供処理が終了する。
【0079】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、クライアント端末50がモバイル端末である場合に、医用画像に関連する関連情報については、伝達対象部分を時間軸に沿って変化させるので、関連情報の全てを同時に表示させるためのスペースが必要ない。したがって、クライアント端末50における医用画像の表示サイズを確保しながら、医用画像に関連する関連情報を効率良く伝えることができる。
【0080】
具体的には、クライアント端末50がモバイル端末である場合に、関連情報の文字列をクライアント端末50における医用画像の表示画面内の所定の領域にスクロールして表示させるので、医用画像の表示を妨げることなく、関連情報を伝達することができる。
一方、クライアント端末50がPCである場合には、医用画像と関連情報の両方を同時に表示することで、ユーザーは情報を一望することができる。
【0081】
なお、第1の実施の形態では、クライアント端末50(モバイル端末)の表示部53において、関連情報を画面の上下方向に(下から上へ)スクロール表示することとしたが、関連情報を画面の左右方向に(右から左へ)スクロール表示することとしてもよい。
【0082】
また、クライアント端末50(モバイル端末)の表示部53において、関連情報をスクロール表示することに代えて、関連情報を複数の範囲に区切り、この区切られた範囲ごとに、所定時間単位で切り替えて表示することとしてもよい。
【0083】
[第2の実施の形態]
次に、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態における医用画像システムは、第1の実施の形態に示した医用画像システム100と同様の構成であるため、
図1~
図3を援用し、その構成については図示及び説明を省略する。以下、第2の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0084】
第1の実施の形態では、クライアント端末50がモバイル端末である場合に、医用画像に関連する関連情報をスクロール表示する場合について説明したが、第2の実施の形態では、クライアント端末50がモバイル端末である場合に、医用画像に関連する関連情報を音声出力する。
【0085】
医用画像管理装置30の制御部31は、医用画像をクライアント端末50に表示させる。
【0086】
クライアント端末50がモバイル端末である場合に、制御部31は、医用画像がクライアント端末50に表示されている間の少なくとも一部の期間に、医用画像に関連する関連情報をクライアント端末50を介して伝達する。
制御部31は、関連情報の伝達対象部分を時間軸に沿って変化させる。
【0087】
クライアント端末50がモバイル端末である場合に、制御部31は、関連情報の文字列を音声変換して音声データを生成し、当該音声データに基づいて、クライアント端末50の音声出力部54に音声出力させる。音声変換は、文字列(テキストデータ)を音声データに変換する処理であって、公知の読み上げソフトウェアを利用することができる。ここで、先に医用画像の表示を開始させ、その後関連情報の音声出力を開始させてもよいし、先に関連情報の音声出力を開始させ、その後医用画像の表示を開始させてもよい。また、先に関連情報の音声出力を終了させ、その後医用画像の表示を終了させてもよいし、先に医用画像の表示を終了させ、その後関連情報の音声出力を終了させてもよい。つまり、医用画像が表示画面内に表示されている期間と、関連情報が音声出力される期間が少なくとも一部で重なっていればよい。
【0088】
第2の実施の形態では、記憶部33に記憶されている画面レイアウトデータのうち、モバイル端末用レイアウトについては、関連情報の表示領域は不要である。
【0089】
クライアント端末50の制御部51は、医用画像管理装置30から送信される画面データ等に基づいて、表示部53に各種画面を表示させる。
制御部51は、医用画像管理装置30から送信される音声データに基づいて、音声出力部54に関連情報を音声で出力させる。
【0090】
次に、第2の実施の形態の医用画像システムにおける動作について説明する。
図9は、医用画像管理装置30により実行される第2の医用画像提供処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部31のCPUとROMに記憶されているプログラムとの協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0091】
ステップS41~ステップS48の処理は、第1の医用画像提供処理(
図5参照)のステップS21~ステップS28の処理と同様であるから、説明を省略する。
ステップS47において、制御部31は、医用画像表示画面を表示させるための画面データを、通信部32を介してクライアント端末50(モバイル端末)に提供する。
【0092】
クライアント端末50(モバイル端末)では、表示部53に医用画像表示画面が表示される。医用画像表示画面には、医用画像が表示される。
【0093】
ステップS48の後、制御部31は、関連情報の文字列を音声変換して音声データを生成する(ステップS49)。
制御部31は、生成された音声データを、通信部32を介してクライアント端末50(モバイル端末)に送信し、クライアント端末50の音声出力部54から音声出力させる(ステップS50)。
【0094】
クライアント端末50(モバイル端末)では、医用画像管理装置30から受信した音声データに基づいて、音声出力部54により、関連情報が音声出力される。
【0095】
図10に、過去の読影レポート(画像診断報告書)80の例を示す。制御部31は、過去の読影レポート80内の情報に対し、先頭行の左から右へ(矢印81に沿って)文字列に含まれる各単語を音声変換の対象とし、1行の最終文字まで到達したら(矢印82)、次の行に移り(矢印83)、次の行の左端から音声変換を継続するように、音声データを生成する。
【0096】
なお、音声出力(読み上げ)の開始位置や終了位置、読影レポートのどの項目を読み上げ対象とするかを、施設ごと、ユーザーごとに設定しておき、ユーザーが所属する医療施設ごと、又はユーザーごとに、読影レポートの音声出力方法を切り替えることとしてもよい。また、
図10に示した領域A1~A7を順番に音声出力することに代えて、予め設定された項目の順番で音声出力してもよい。
【0097】
ステップS44において、デバイスの種類がPCである場合には(ステップS44;PC)、ステップS51に移行する。
ステップS51~ステップS55の処理は、第1の医用画像提供処理(
図5参照)のステップS30~ステップS34の処理と同様であるから、説明を省略する。
ステップS50又はステップS55の後、第2の医用画像提供処理が終了する。
【0098】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、クライアント端末50がモバイル端末である場合に、医用画像に関連する関連情報については、伝達対象部分を時間軸に沿って変化させるので、関連情報の全てを同時に表示させるためのスペースが必要ない。したがって、クライアント端末50における医用画像の表示サイズを確保しながら、医用画像に関連する関連情報を効率良く伝えることができる。
【0099】
具体的には、クライアント端末50がモバイル端末である場合に、関連情報の文字列を音声変換して音声データを生成し、当該音声データに基づいて、クライアント端末50の音声出力部54に音声出力させるので、医用画像の表示を妨げることなく、関連情報を伝達することができる。
【0100】
なお、クライアント端末50(モバイル端末)から音声出力するにあたり、患者のプライバシー保護のため、イヤホンによる出力の場合にのみ、関連情報の音声出力を許可する等、制限を設けることで、外部に情報が漏れることを防ぐこととしてもよい。
【0101】
また、上記各実施の形態における記述は、本発明に係る医用画像管理装置の例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0102】
例えば、上記各実施の形態では、デバイスの種類に応じて画面レイアウトデータ(モバイル端末用レイアウト、PC用レイアウト)を選択することとしたが、ユーザーがクライアント端末50からログインする際に、予め用意されている複数の画面レイアウトデータの中からいずれかの画面レイアウトデータをユーザーに選ばせるようにしてもよい。
【0103】
以上の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピューター読み取り可能な媒体としてROMを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリー等の不揮発性メモリー、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0104】
30 医用画像管理装置
31 制御部
32 通信部
33 記憶部
34 画像保管部
50 クライアント端末
51 制御部
52 操作部
53 表示部
54 音声出力部
55 通信部
56 記憶部
100 医用画像システム
N1 施設内ネットワーク
N2 インターネット