(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】光書き込み装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/447 20060101AFI20220405BHJP
G03G 15/04 20060101ALI20220405BHJP
B41J 2/45 20060101ALI20220405BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220405BHJP
H04N 1/036 20060101ALI20220405BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
B41J2/447 101A
G03G15/04 111
B41J2/45
H05B33/14 A
H04N1/036
B41J2/447 101C
G02B26/10 B
G02B26/10 Z
(21)【出願番号】P 2018074728
(22)【出願日】2018-04-09
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】特許業務法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 隆宏
(72)【発明者】
【氏名】長岡 敦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昌彦
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-080604(JP,A)
【文献】特開2008-224957(JP,A)
【文献】特表2005-515600(JP,A)
【文献】特開2018-049981(JP,A)
【文献】特開2008-080758(JP,A)
【文献】特開平09-164717(JP,A)
【文献】特開2009-111212(JP,A)
【文献】特開2009-036854(JP,A)
【文献】特開2007-206668(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0120739(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/447
G03G 15/04
B41J 2/45
H01L 51/50
H04N 1/036
G02B 26/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と当該複数の光源を駆動する駆動回路とが同一の基板面上に実装された光源基板と、前記光源の出射光を感光体上に結像させる光学素子と、を有する光書き込み装置であって、
前記複数の光源は、前記光学素子の光軸方向からの平面視において2次元配列されており、
前記感光体までの光軸方向距離が互いに異なる光源が含まれて
おり、
前記光源基板は、複数の光源と当該複数の光源を駆動する駆動回路とが同一の基板面上に実装された単位基板を複数含んでおり、
前記感光体までの光軸方向距離が互いに異なる光源は、互いに異なる単位基板に実装されており、
前記光軸方向からの平面視において、光源が実装されていない領域が、単位基板どうしで重なり合っており、
1の単位基板は、当該1の単位基板よりも前記光学素子から遠い他の単位基板上に実装された光源から前記光学素子への光路外に配設されている
ことを特徴とする光書き込み装置。
【請求項2】
前記複数の光源は、第1の方向に沿って光源を配列した光源列を前記第1の方向とは異なる第2の方向に並設した複数の光源列を構成し、
前記感光体までの光軸方向距離が互いに異なる光源は、互いに異なる光源列に含まれている
ことを特徴とする請求項1に記載の光書き込み装置。
【請求項3】
互いに異なる光源列に属する光源は、前記感光体までの光軸方向距離が互いに異なる
ことを特徴とする請求項2に記載の光書き込み装置。
【請求項4】
1の単位基板に実装された光源と、当該1の単位基板よりも前記光学素子から遠い他の単位基板の光源が実装されていない領域とが、前記光軸方向からの平面視において重なり合っている
ことを特徴とする請求項
1に記載の光書き込み装置。
【請求項5】
前記第1の方向とは異なる方向において、光源が実装されている複数の領域が存在しており、
当該複数の領域は、領域どうしで当該領域に実装されている光源から感光体までの光軸方向距離が異なっている
ことを特徴とする請求項
2に記載の光書き込み装置。
【請求項6】
前記複数の単位基板は、前記光源が2次元配列されている2次元配列基板を含み、
前記2次元配列基板よりも前記光学素子に近い単位基板に実装されている光源は、前記光軸方向からの平面視において、前記2次元配列基板に実装されている光源に挟まれている
ことを特徴とする請求項
1または4に記載の光書き込み装置。
【請求項7】
前記複数の単位基板どうしが互いに接触しないように保持する保持手段を備える
ことを特徴とする請求項
1から6のいずれかに記載の光書き込み装置。
【請求項8】
前記感光体までの光軸方向距離が互いに異なる光源は、1の基板の互いに異なる基板面上に実装されている
ことを特徴とする請求項1から
7のいずれかに記載の光書き込み装置。
【請求項9】
複数の光源と当該複数の光源を駆動する駆動回路とが同一の基板面上に実装された光源基板と、前記光源の出射光を感光体上に結像させる光学素子と、を有する光書き込み装置であって、
前記複数の光源は、前記光学素子の光軸方向からの平面視において2次元配列されており、
前記感光体までの光軸方向距離が互いに異なる光源が含まれており、
前記光学素子は、前記複数の光源それぞれに対応する複数の部分光学素子を有し、前記部分光学素子は対応する光源の出射光を感光体上に結像させ、
前記部分光学素子の光軸方向は、いずれも前記光学素子の光軸方向と同じであり、
前記光源基板は、基板面が前記光軸方向に斜交するように配設されている
ことを特徴とす
る光書き込み装置。
【請求項10】
前記光源は、複数の発光点を含む発光点群である
ことを特徴とする請求項1から
9のいずれかに記載の光書き込み装置。
【請求項11】
前記光源は、OLEDである
ことを特徴とする請求項1から
10のいずれかに記載の光書き込み装置。
【請求項12】
請求項1から
11の何れかに記載の光書き込み装置を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光書き込み装置及び画像形成装置に関し、特にライン光学方式の光書き込み装置の高精細化と小型化とを両立する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置の技術分野においては、感光体を露光して静電潜像を形成する光書き込み装置として、光走査方式とライン光学方式との2種類がある。このうち、ライン光学方式の光書き込み装置は、光走査方式の光書き込み装置よりも小型化が容易であることから、近年普及が著しい。
【0003】
しかしながら、画像形成装置に対する小型化の要請は留まるところを知らず、ライン光学方式の光書き込み装置に対しても更なる小型化が求められている。特に、ライン光学方式の光書き込み装置は感光体ドラムの直近に配置する必要があることから副走査方向におけるサイズの制約が厳しい。
【0004】
一方、画像の高精細化に追随して、ライン光学方式の光書き込み装置の発光点数を増加させると、発光点を駆動制御するドライバーIC(Integrated Circuit)や給電用の配線数が増大するので、光源基板が大型化してしまう。
【0005】
例えば、
図10に示すように、光源基板の副走査方向における中央部に、複数の発光点からなる発光点群が主走査方向に沿って千鳥配置された発光領域が設けるとともに、発光点を駆動制御するための配線長を短縮するために、ドライバーICを副走査方向において発光領域に隣り合うように配設した場合、画像データ等をドライバーICに入力するためのフレキシブルプリント配線板(FPC: Flexible Printed Circuit)を光源基板に接続するための異方性導電フィルム(ACF: Anisotropic Conductive Film)接続スペースを、光源基板の副走査方向における端部に設ける必要がある。すると、副走査方向における光源基板の大型化が避けられない。
【0006】
このような問題に対して、ガラスエポキシ基板に発光ダイオード(LED: Light Emitting Diode)を搭載した従来の光源基板においては、例えば、
図11に示すように、ガラスエポキシ基板を多層化した光源基板1102を用いることによって、LED1101とドライバーIC1103とを互いに光源基板1102の反対側の主面に実装すれば、LED1101とドライバーIC1113とを光源基板1102の同じ主面上に実装する場合よりも、光源基板1102を副走査方向に小型化することができる。
【0007】
また、
図12に示すように、LED1201とドライバーIC1203とを互いに別の回路基板1202、1212の一方の基板面上に実装するとともに、回路基板1202、1212の他方の基板面上にそれぞれコネクター1204、1205を実装し、ハーネス1206を用いてコネクター1204、1205を接続することによって、回路基板1202、1212に形成された回路を電気的に接続すれば、やはりLED1201とドライバーIC1213とを光源基板1202の同じ主面上に実装する場合よりも、光源基板1202を副走査方向に小型化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2009-36854号公報
【文献】特開2007-206668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、薄膜トランジスター(TFT: Thin Film Transistor)回路と同一プロセスで形成できるOLED(Organic LED)を発光点として用いる光源基板が注目されている。OLEDは、透明ガラス基板上に酸化インジウム(ITO)等の透明電極から成る陽極と、陽極上に少なくとも1層から成る有機層、有機層上にアルミ等の電極から成る陰極を積層して構成した有機EL(Organic Electro-Luminescence)素子である。
【0010】
このOLEDは、ガラス基板上に形成されるため多層化が困難であるため、
図13に示すように、OLED1301とドライバーIC1303とをガラス基板1302の同一主面上に配設せざるを得ないため、ドライバーIC1303をOLED1301の裏面側に実装することはできない。従って、ガラス基板1302を副走査方向に小型化することはできない。
【0011】
また、OLEDとドライバーICとを別基板にしたところで、
図14に示すように、OLED1401とコネクター1404とをガラス基板1402の同一主面上に配設し、ドライバーIC1403とコネクター1405とをガラス基板1412の同一主面上に配設せざるを得ないため、やはりガラス基板1402、1412を副走査方向に小型化することには限界がある。
【0012】
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、画像の高精細化と副走査方向のユニットサイズ低減を両立させることができる光書き込み装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る光書き込み装置は、複数の光源と当該複数の光源を駆動する駆動回路とが同一の基板面上に実装された光源基板と、前記光源の出射光を感光体上に結像させる光学素子と、を有する光書き込み装置であって、前記複数の光源は、前記光学素子の光軸方向からの平面視において2次元配列されており、前記感光体までの光軸方向距離が互いに異なる光源が含まれており、前記光源基板は、複数の光源と当該複数の光源を駆動する駆動回路とが同一の基板面上に実装された単位基板を複数含んでおり、前記感光体までの光軸方向距離が互いに異なる光源は、互いに異なる単位基板に実装されており、前記光軸方向からの平面視において、光源が実装されていない領域が、単位基板どうしで重なり合っており、1の単位基板は、当該1の単位基板よりも前記光学素子から遠い他の単位基板上に実装された光源から前記光学素子への光路外に配設されていることを特徴とする。
【0014】
この場合において、前記複数の光源は、第1の方向に沿って光源を配列した光源列を前記第1の方向とは異なる第2の方向に並設した複数の光源列を構成し、前記感光体までの光軸方向距離が互いに異なる光源は、互いに異なる光源列に含まれていてもよい。
【0015】
また、互いに異なる光源列に属する光源は、前記感光体までの光軸方向距離が互いに異なっていてもよい。
【0017】
また、1の単位基板に実装された光源と、当該1の単位基板よりも前記光学素子から遠い他の単位基板の光源が実装されていない領域とが、前記光軸方向からの平面視において重なり合ってもよい。
【0019】
また、前記第1の方向とは異なる方向において、光源が実装されている複数の領域が存在しており、当該複数の領域は、領域どうしで当該領域に実装されている光源から感光体までの光軸方向距離が異なっていてもよい。
【0020】
また、前記複数の単位基板は、前記光源が2次元配列されている2次元配列基板を含み、前記2次元配列基板よりも前記光学素子に近い単位基板に実装されている光源は、前記光軸方向からの平面視において、前記2次元配列基板に実装されている光源に挟まれていてもよい。
【0021】
また、前記複数の単位基板どうしが互いに接触しないように保持する保持手段を備えてもよい。
【0022】
また、前記感光体までの光軸方向距離が互いに異なる光源は、1の基板の互いに異なる基板面上に実装されてもよい。
【0023】
また、本発明に係る光書き込み装置は、複数の光源と当該複数の光源を駆動する駆動回路とが同一の基板面上に実装された光源基板と、前記光源の出射光を感光体上に結像させる光学素子と、を有する光書き込み装置であって、前記複数の光源は、前記光学素子の光軸方向からの平面視において2次元配列されており、前記感光体までの光軸方向距離が互いに異なる光源が含まれており、前記光学素子は、前記複数の光源それぞれに対応する複数の部分光学素子を有し、前記部分光学素子は対応する光源の出射光を感光体上に結像させ、前記部分光学素子の光軸方向は、いずれも前記光学素子の光軸方向と同じであり、前記光源基板は、基板面が前記光軸方向に斜交するように配設されてもよい。
【0024】
また、前記光源は、複数の発光点を含む発光点群でもよい。
【0025】
また、前記光源は、OLEDでもよい。
【0026】
また、本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る光書き込み装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
このようにすれば、画像の高精細化と副走査方向のユニットサイズ低減を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の主要な構成を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る光書き込み装置100の主要な構成を示す断面図である。
【
図3】本発明の第2の実施の形態に係る光書き込み装置100の主要な構成を示す断面図である。
【
図4】(a)は本発明の第2の実施の形態に係る光源基板300における発光素子群301の配置を例示する平面図であり、(b)は1つの発光素子群301における発光点411の配置を例示する平面図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態に係る発光素子210の構成を例示する断面図である。
【
図6】本発明の第3の実施の形態に係る光書き込み装置100の主要な構成を示す断面図である。
【
図7】本発明の第4の実施の形態に係る光書き込み装置100の主要な構成を示す断面図である。
【
図8】本発明の第4の実施の形態に係る光書き込み装置100の別の構成例を示す断面図である。
【
図9】本発明の第5の実施の形態に係る光書き込み装置100の主要な構成を示す断面図である。
【
図10】従来技術に係る光源基板の主要な構成を示す平面図である。
【
図11】LEDとドライバーICとをガラスエポキシ基板の両面に実装した光源基板を例示する図である。
【
図12】LEDとドライバーICとを互いに異なるガラスエポキシ基板に実装した光源基板を例示する図である。
【
図13】OLEDとドライバーICとをガラス基板に実装した光源基板を例示する図である。
【
図14】OLEDとドライバーICとを互いに異なるガラス基板に実装した光源基板を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る光書き込み装置及び画像形成装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[1]第1の実施の形態
本実施の形態に係る画像形成装置は、光源基板の両面にOLEDが配設されていることを特徴とする。
(1-1)画像形成装置の構成
まず、本実施の形態に係る画像形成装置の構成について説明する。
【0030】
図1に示すように、画像形成装置1は、所謂タンデム方式のカラープリンターであって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)各色のトナー像を形成する作像部110Y、110M、110C及び110Kを備えている。作像部110Y、110M、110C及び110Kは、矢印A方向に回転する感光体ドラム101Y、101M、101C及び101Kを有している。
【0031】
感光体ドラム101Y、101M、101C及び101Kの周囲には外周面に沿って順に帯電装置102Y、102M、102C及び102K、光書き込み装置100Y、100M、100C及び100K、現像装置103Y、103M、103C及び103K、1次転写ローラー104Y、104M、104C及び104K及びクリーニング装置105Y、105M、105C及び105Kが配設されている。
【0032】
帯電装置102Y、102M、102C及び102Kは感光体ドラム101Y、101M、101C及び101Kの外周面を一様に帯電させる。光書き込み装置100Y、100M、100C及び100Kは、いわゆるOLED-PH(Organic Light Emitting Diode - Print Head)であって、感光体ドラム101Y、101M、101C及び101Kの外周面を露光して静電潜像を形成する。
【0033】
現像装置103Y、103M、103C及び103KはYMCK各色のトナーを供給して静電潜像を現像し、YMCK各色のトナー像を形成する。1次転写ローラー104Y、104M、104C及び104Kは感光体ドラム101Y、101M、101C及び101Kが担持するトナー像を中間転写ベルト106へ静電転写する(1次転写)。
【0034】
クリーニング装置105Y、105M、105C及び105Kは、1次転写後に感光体ドラム101Y、101M、101C及び101Kの外周面上に残留する電荷を除電すると共に残留トナーを除去する。なお、以下において、作像部110Y、110M、110C及び110Kに共通する構成について説明する際にはYMCKの文字を省略する。
【0035】
中間転写ベルト106は、無端状のベルトであって、2次転写ローラー対107及び従動ローラー108、109に張架されており、矢印B方向に回転走行する。この回転走行に合わせて1次転写することによって、YMCK各色のトナー像が互いに重ね合わされカラートナー像が形成される。中間転写ベルト106はカラートナー像を担持した状態で回転走行することによって、カラートナー像を2次転写ローラー対107の2次転写ニップまで搬送する。
【0036】
2次転写ローラー対107を構成する2つのローラーは互いに圧接されることによって2次転写ニップを形成する。これらのローラー間には2次転写電圧が印加されている。中間転写ベルト106によるカラートナー像の搬送にタイミングを合わせて給紙トレイ120から記録シートSが供給されると、2次転写ニップにおいてカラートナー像が記録シートSに静電転写される(2次転写)。
【0037】
記録シートSは、カラートナー像を担持した状態で定着装置130まで搬送され、カラートナー像を熱定着された後、排紙トレイ140上へ排出される。
【0038】
画像形成装置1は、更に制御部150を備えている。制御部150は、PC(Personal Computer)等の外部装置から印刷ジョブを受け付けると、画像形成装置1の動作を制御して画像形成を実行させる。
(1-2)光書き込み装置100の構成
次に、光書き込み装置100の構成について説明する。
【0039】
図2に示すように、光書き込み装置100は、光源基板200と光学素子210とを備えており、不図示のホルダーが光源基板200と光学素子210とを支持している。光学素子210は、例えば、マイクロレンズアレイ(MLA: Micro Lens Array)であって、光源基板200の出射光を感光体ドラム101の外周面上に結像させる。
【0040】
光源基板200は、ガラス基板202の光学素子210に対向する基板面202a上に発光点群201aおよびドライバーIC203aが実装され、基板面202aの裏側の基板面202b上に発光点群201bおよびドライバーIC203bが実装されている。発光点群201a、201bはいずれも複数の発光点からなっており、発光点はいずれもOLEDである。
【0041】
発光点群201a、201bは副走査方向には互いに異なる位置に配設され、いずれも主走査方向(光軸方向と副走査方向とのいずれにも直交する方向)に沿って多数列設されており、それぞれ封止ガラス204a、204bによって外気に触れないように封止されている。また、発光点群201aは、発光点群201bよりも感光体ドラム101までの光軸方向距離が短くなっている。
【0042】
光源基板200では、一方の基板面のみに発光点群を配設した光源基板と比較して、1つの基板面当たりの発光点群数が少なくなっている。このため、1つの基板面に実装されるドライバーICの規模もまた、一方の基板面のみに発光点群を配設した光源基板と比較して小さい。
【0043】
更に、一方の基板面のみに発光点群を配設した光源基板では、光軸方向からの平面視において、すべてのドライバーICを互いに異なる位置に配設しなければならないのに対して、本実施の形態においては、光軸方向からの平面視においてドライバー203a、203bが互いに重なり合うように、基板面202a、202b上の互いに対応する位置に配設されている。このため、ガラス基板202の面積を小さくすることができるので、光源基板200の小型化を図ることができる。
[2]第2の実施の形態
本実施の形態に係る画像形成装置は、上記第1の実施の形態に係る画像形成装置1と概ね共通の構成を備える一方、光書き込み装置100の構成が相違している。以下、主に相違点に着目して説明する。
【0044】
本実施の形態に係る光書き込み装置100が備える光源基板300は、ガラス基板302の一方の基板面302a上に発光点群301a、301b及び301cとドライバーIC303a、303bが実装されており、発光点群301a、301bおよび301cは封止ガラス304によって封止されている。ガラス基板302の基板面が光学素子210の光軸方向に対して所定の傾斜角θになるように、不図示のホルダーが光学素子210とガラス基板302とを保持する。このようにすれば、光源基板300の基板面積を小さくしなくても、光軸方向からの平面視における光源基板300の副走査方向におけるサイズを小さくすることができる。
【0045】
図4に示すように、発光素子群301a、301bおよび301cはそれぞれ主走査方向に沿って発光素子群を配列した発光素子群列401a、401bおよび401cに属している。発光素子群列401a、401bおよび401cから感光体ドラム101の外周面までの光軸方向距離は発光素子群列ごとに異なり、同じ発光素子群列に属する発光素子群どうしは感光体ドラム101の外周面までの光軸方向距離が同じである。
【0046】
本実施の形態においては、光学素子210としてマイクロレンズアレイを用いれば、発光点群ごとに個別のマイクロレンズを用いて感光体ドラム101の外周面上に結像することができるので、感光体ドラム101の外周面までの距離が発光点群ごとに異なっていても感光体ドラム101の外周面上での結像性能に影響を与えることなく光源基板300を小型化することができる。
【0047】
光学素子210は、
図5に示すように、光源基板300の出射光を平行化するマイクロレンズアレイ500と、当該平行光を感光体ドラム101の外周面上に結像させるマイクロレンズアレイ510とからなっている。マイクロレンズアレイ500は、ガラス基板402上に樹脂レンズ401a、401bおよび401cを形成したものである。
【0048】
樹脂レンズ401a、401bおよび401cはそれぞれ発光点群301a、301bおよび301cにそれぞれ対応しており、発光点群301a、301bおよび301cの出射光を平行化する。このため、樹脂レンズ401a、401bおよび401cは互いに異なっている。
【0049】
また、マイクロレンズアレイ510は、ガラス基板512上に樹脂レンズ511を形成したものである。いずれの樹脂レンズ511にも平行光が入射し、樹脂レンズ511から感光体ドラム101の外周面までの距離は互いに同じであるので、樹脂レンズ511は互いに同じレンズになっている。なお、樹脂レンズ401a、401b、401cおよび511は同じ樹脂レンズが主走査方向に列設されている。
【0050】
また、発光素子群列401a、401bおよび401cの主走査方向における一方の端部に位置する発光素子群の中心を結んだ第2の方向は第1の方向(主走査方向)に斜交しているが、直交していてもよい。
[3]第3の実施の形態
本実施の形態に係る画像形成装置は、上記第1の実施の形態に係る画像形成装置1と概ね共通の構成を備える一方、光書き込み装置100の構成が相違している。以下、主に相違点に着目して説明する。
【0051】
本実施の形態に係る光源基板600は、2枚の単位基板600a、600bからなっており、単位基板600a、600bは互いに概ね同様の構成を備えている。すなわち、単位基板600a、600bはいずれもガラス基板602a、602bの光軸方向における光学素子210とは反対側の基板面上に発光点群601a、601bおよびドライバーIC603a1、603a2、603b1および603b2が実装されており、発光点群601a、601bはそれぞれ封止ガラス604a、604bに封止されている。
【0052】
単位基板600aは封止ガラス604aの上部が平坦になっており、この平坦な上部が単位基板600bの光軸方向における光学素子210側の基板面に接着固定されている。
【0053】
また、単位基板600a、600bを光軸方向に重なり合うように接着固定した状態で、単位基板600bに実装された発光点群601bの出射光が通過できるように、単位基板600aのガラス基板602aには貫通孔605が設けられている。
【0054】
なお、貫通孔605に代えてガラス基板602aの当該位置を透明部にしてもよい。
【0055】
このようにすれば、光源基板600を疑似的に多層化することができるので、光軸方向から見てドライバーIC603a1、603b1が互いに重なり合い、かつドライバーIC603a2、603b2が互いに重なり合うように配置することができる。従って、副走査方向における光源基板600のサイズを小さくすることができる。
[4]第4の実施の形態
本実施の形態に係る画像形成装置は、上記第1の実施の形態に係る画像形成装置1と概ね共通の構成を備える一方、光書き込み装置100の構成が相違している。以下、主に相違点に着目して説明する。
【0056】
図7に示すように、本実施の形態に係る光源基板700は同じ構成を有する3個の単位基板700a、700bおよび700cからなっている。すなわち、単位基板700a、700bおよび700cはいずれもガラス基板702a、702bおよび702cの光軸方向における光学素子210とは反対側の基板面上に発光点群701a、701bおよび701cとドライバーIC703a、703bおよび703cとが実装されており、発光点群701a、701bおよび701cはそれぞれ封止ガラス704a、704bおよび704cに封止されている。
【0057】
単位基板700a、700bおよび700cは、主走査方向については互いに同じ位置にある一方、副走査方向については互いに所定の長さずつシフトした位置に配設されている。また、単位基板700a、700bは封止ガラス704a、704bの上部が平坦になっており、この平坦な上部が単位基板700b、700cの光軸方向における光学素子210側の基板面に接着固定される。
【0058】
このようにすれば、上記第3の実施の形態とは異なって、光学素子210側に位置する単位基板700a、700bに貫通孔や透明部を設けなくても単位基板700b、700cの出射光を光学素子210へ向かわせることができる。また、光源基板700を疑似的に多層化することができるので、光軸方向から見てドライバーIC703a、703bおよび703cが互いに重なり合うように配置することができる。従って、副走査方向における光源基板700のサイズを小さくすることができる。
【0059】
なお、単位基板700a、700bの封止ガラス704a、704bの平坦な上部に単位基板700b、700cの光軸方向における光学素子210側の基板面を接着固定するのに代えて、次のようにしてもよい。すなわち、
図8に示すように、ホルダー810を用いて、単位基板800a、800b、800cおよび光学素子210を保持してもよい。単位基板800a、800b、800cはいずれも単位基板700a、700bおよび700cと同様の構成を備えている。
【0060】
ホルダー810には、単位基板800a、800bおよび800cの出射光を通過させるための貫通孔811a、811bおよび811cが設けられており、貫通孔811a、811bおよび811cの光軸方向における光学素子210とは反対側の周縁には突起部812a、812bおよび812cが設けられている。突起部812a、812bおよび812cは光学素子210に対する単位基板800a、800bおよび800cの位置決めを行うためのものである。このようにすれば、封止ガラス804a、804bおよび804cの高さに関係なく単位基板800a、800bおよび800cの位置決めを精度よく行うことができる。
[5]第5の実施の形態
本実施の形態に係る画像形成装置は、上記第1の実施の形態に係る画像形成装置1と概ね共通の構成を備える一方、光書き込み装置100の構成が相違している。以下、主に相違点に着目して説明する。
【0061】
図9に示すように、本実施の形態に係る光源基板900は子基板900aと親基板900bからなっている。子基板900aはガラス基板902aの光軸方向における光学素子210とは反対側の基板面上に発光点群901aとドライバーIC903a1、903a2とが実装されており、発光点群901aは封止ガラス904aに封止されている。封止ガラス904aの平坦な上部は親基板900bの光軸方向における光学素子210側の基板面に接着固定される。
【0062】
親基板900bはガラス基板902bの光軸方向における光学素子210とは反対側の基板面上に発光点群901b1、901b2とドライバーIC903b1、903b2とが実装されており、発光点群901b1、901b2はそれぞれ封止ガラス904b1、904b2に封止されている。子基板900aは親基板900bの光学素子210側に配設される。
【0063】
光源基板900は、光軸方向から見て、発光点群901aおよびドライバーIC903a1、903a2が、ドライバーIC903b1、903b2に重なり合うように配設されている。このうち、発光点群901aはドライバーIC903a1、903a2の光学素子210側に配設されているので、発光点群901aの出射光はドライバーIC903a1、903a2によって遮られることなく光学素子210に入射する。このようにすれば、光源基板900を疑似的に多層化することができるので、副走査方向における光源基板900のサイズを小さくすることができる。
【0064】
また、光源基板900は、発光点から感光体ドラム101までの距離が相対的に短い個所と長い個所とを織り交ぜて、副走査方向における中心について概ね対称な構成になっている。言い換えると、副走査方向において、発光点群が実装されている複数の領域が存在しており、当該複数の領域は、領域どうしで当該領域に実装されている発光点群から感光体ドラム101の外周面までの光軸方向距離が異なっている。このようにすれば、発光点を点灯することによって発光点が発熱しても、昇温によって光源基板900が歪むのを抑制することができる。
[6]変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(6-1)上記第1および第3から第5までの実施の形態においては、ガラス基板の基板面が光軸方向に直交するように光源基板を配設する場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、上記第1および第3から第5の実施の形態においても、上記第2の実施の形態のように、基板面が光軸方向に斜交するように光源基板を配設してもよい。このようにすれば、第2の実施の形態と同様に、光軸方からの平面視において光源基板のサイズを副走査方向に小さくすることができる。
(6-2)上記第2から第5の実施の形態においては、ガラス基板の一方の基板面上にのみ発光点群を実装する場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、上記第2から第5の実施の形態においても、上記第1の実施の形態のように、ガラス基板の両方の基板面上に発光点群を実装してもよい。
【0065】
このようにすれば、上記第2の実施の形態においては、ドライバーICどうしが基板面に直交する方向からの平面視において重なり合う位置に配設することができるので、光源基板の副走査方向におけるサイズを更に小さくすることができる。また、上記第3から第5の実施の形態においては、ガラス基板の枚数を削減することができるので、光源基板の光軸方におけるサイズを小さくすることができるとともに、ガラス基板の部品コストを低減することができる。
(6-3)上記実施の形態においては、画像形成装置がタンデム方式のカラープリンターである場合を例にとって説明したが、ほんはつめいがこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えてタンデム方式以外の方式のカラープリンターであってもよいし、モノクロプリンターであってもよい。また、スキャナーを備えた複写装置や、更にファクシミリ通信機能を備えたファクシミリ装置といった単機能機、或いはこれらの機能を兼ね備えた複合機(MFP: Multi-Function Peripheral)に本発明を適用しても同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係る光書き込み装置及び画像形成装置は、ライン光学方式の光書き込み装置を小型化した装置として有用である。
【符号の説明】
【0067】
1………画像形成装置
100…光書き込み装置
200…光源基板
201…発光点群
202…ガラス基板
203…ドライバーIC
204…封止ガラス
210…光学素子