(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20220405BHJP
G06F 3/0484 20220101ALI20220405BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20220405BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20220405BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
H04N1/00 350
G06F3/0484
B41J29/42 F
B41J29/46 Z
G03G21/00 380
G03G21/00 388
G03G21/00 386
(21)【出願番号】P 2018109003
(22)【出願日】2018-06-06
【審査請求日】2021-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】飛永 真志
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-267500(JP,A)
【文献】特開2005-195666(JP,A)
【文献】特開2007-057801(JP,A)
【文献】特開2006-222633(JP,A)
【文献】特開2014-019078(JP,A)
【文献】国際公開第2008/044279(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0030372(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G06F 3/0484
B41J 29/42
B41J 29/46
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
用紙に画像を形成する画像形成部と、
ジャムの発生を検出する検出部と、
ジャムの種類に対応付けて、当該種類のジャムに関連するガイダンスを記憶する記憶部と、
前記検出部がジャムの発生を検出した場合に、前記記憶部に記憶されている、前記発生したジャムの種類に関連する前記ガイダンスを前記表示部に表示する表示制御部と、
ユーザーからの操作入力を受け付ける操作受付部と、
前記ガイダンスが前記表示部に表示されているときに、前記操作受付部が前記ガイダンスに対するコメントの追加を要求するユーザー指示を受け付けた場合に、前記コメントの追加を可能とする入力モードに移行させ、当該入力モードにおいて、前記操作受付部が前記コメントの追加入力を受け付けると、追加された前記コメントを、関連するジャムの種類に対応付けて前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、
前記発生したジャムの種類に関連する前記コメントが前記記憶部に存在するか否かを判断する判断部と、を備え、
前記表示制御部は、前記検出部がジャムの発生を検出した場合に、前記判断部により前記発生したジャムの種類に関連する前記コメントが前記記憶部に存在すると判断されたときは、前記コメントを、前記発生したジャムの種類に関連するガイダンスに加えて前記表示部に表示する画像形成装置。
【請求項2】
前記記憶制御部は、前記操作受付部が前記入力モードにおいて追加された前記コメントの転用を要求するユーザー指示を受け付けた場合に、前記追加された前記コメントをユーザーが指定した転用先のジャムの種類にも対応付けて前記記憶部に記憶させる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
表示部と、
用紙に画像を形成する画像形成部と、
ジャムの発生を検出する検出部と、
ジャムの種類に対応付けて、当該種類のジャムに関連するガイダンスを記憶する記憶部と、
前記検出部がジャムの発生を検出した場合に、前記記憶部に記憶されている、前記発生したジャムの種類に関連する前記ガイダンスを前記表示部に表示する表示制御部と、
ユーザーからの操作入力を受け付ける操作受付部と、を備えると共に、
前記表示制御部は、前記操作受付部がジャムの種類を示すジャムリストの前記表示部への表示を要求するユーザー指示を受け付けた場合に、前記ジャムリストを前記表示部に表示し、
前記操作受付部が前記表示部に表示されている前記ジャムリストの中からユーザー選択を受け付けた場合に、前記ガイダンスに対するコメントの追加を可能とする入力モードに移行させ、当該入力モードにおいて、前記操作受付部が前記コメントの追加入力を受け付けると、追加された前記コメントをユーザーが選択したジャムの種類に対応付けて前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、
前記発生したジャムの種類に関連する前記コメントが前記記憶部に存在するか否かを判断する判断部と、を更に備え、
前記表示制御部は、前記検出部がジャムの発生を検出した場合に、前記判断部により前記発生したジャムの種類に関連する前記コメントが前記記憶部に存在すると判断されたときは、前記コメントを、前記発生したジャムの種類に関連するガイダンスに加えて前記表示部に表示する画像形成装置。
【請求項4】
表示言語のユーザー設定を受け付ける設定受付部を更に備えると共に、
前記記憶部は、予め用意された前記ガイダンスを複数の言語でそれぞれ記憶し、
前記表示制御部は、前記検出部がジャムの発生を検出した場合に、前記判断部により前記発生したジャムの種類に関連する前記コメントが前記記憶部に存在すると判断されたときは、前記コメント及び前記発生したジャムの種類に関連するガイダンスを前記表示部に表示し、一方、前記判断部により前記発生したジャムの種類に関連する前記コメントが前記記憶部に存在しないと判断されたときは、前記設定受付部が受け付けた設定言語に従って、前記記憶部に記憶されている、前記発生したジャムの種類に関連する前記予め用意された前記ガイダンスを前記表示部に表示するが、
前記コメントで修正された前記ガイダンスが前記表示部に表示されているときに、前記操作受付部が修正されていない前記ガイダンスの表示を要求するユーザー指示を受け付けた場合は、前記設定受付部が受け付けた設定言語に従って、前記記憶部に記憶されている、前記発生したジャムの種類に関連する前記予め用意された前記ガイダンスを前記表示部に表示する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、ジャムを解消するための情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機、ファクシミリ、プリンター、又はこれら機器の複数の機能を兼ね備えた複合機等の画像形成装置は、給紙部から給紙される用紙に画像を形成し、画像を形成した用紙を装置外へ排出するものであるが、用紙が正常に給紙又は排出されず、ジャム(紙詰まり)が発生すると、印刷処理を停止し、ガイダンスとして、ジャムの発生位置と共に、詰まっている用紙を取り除くための手順(ジャムの解消方法)を示すメッセージを表示部に表示する(例えば、下記の特許文献1及び2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-152983号公報
【文献】特開2009-206739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザーは予め用意されたガイダンスを参照しただけでは、ジャムを解消することが難しい場合がある。それは、ユーザーが簡単に確認できるような場所に、詰まった用紙が存在しないことや、画像形成装置それぞれの状態や仕様によって、ジャムを解消するための適切な方法が微妙に異なるからである。
【0005】
また、画像形成装置の仕組みにあまり詳しくないユーザーは、作業手順を誤り、別の問題を引き起こしてしまうおそれもある。別の問題が生じた場合には、メンテナンス作業能力を有するメンテナンス者に連絡する必要が生じ、ジャムの解消までに長時間を要することになり、生産性が大きく低下する。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、ジャムを解消するための情報を従来よりも適切に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ジャムの解消作業を行うとき、ユーザーは予め用意されたガイダンスに記載されていない当該ユーザー独自のテクニックを使って、ジャムを解消することがある。また、ジャムの解消作業を行っている途中で、ユーザーはガイダンスに記載されていない新たな注意点に気づくことがある。これら独自のテクニックやガイダンスに記載されていない新たな注意点を、他のユーザーと共有することができれば、ジャムの解消を手助けでき、ジャム解消のためにメンテナンス者へ連絡する機会も減らすことができ、生産性の低下を防止することが可能となる。
【0008】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、表示部と、用紙に画像を形成する画像形成部と、ジャムの発生を検出する検出部と、ジャムの種類に対応付けて、当該種類のジャムに関連するガイダンスを記憶する記憶部と、前記検出部がジャムの発生を検出した場合に、前記記憶部に記憶されている、前記発生したジャムの種類に関連する前記ガイダンスを前記表示部に表示する表示制御部と、ユーザーからの操作入力を受け付ける操作受付部と、前記ガイダンスが前記表示部に表示されているときに、前記操作受付部が前記ガイダンスに対するコメントの追加を要求するユーザー指示を受け付けた場合に、前記コメントの追加を可能とする入力モードに移行させ、当該入力モードにおいて、前記操作受付部が前記コメントの追加入力を受け付けると、追加された前記コメントを関連するジャムの種類に対応付けて前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、前記発生したジャムの種類に関連する前記コメントが前記記憶部に存在するか否かを判断する判断部と、を備え、前記表示制御部は、前記検出部がジャムの発生を検出した場合に、前記判断部により前記発生したジャムの種類に関連する前記コメントが前記記憶部に存在すると判断されたときは、前記コメントを、前記発生したジャムの種類に関連するガイダンスに加えて前記表示部に表示する。
【0009】
また、本発明の一局面に係る画像形成装置は、表示部と、用紙に画像を形成する画像形成部と、ジャムの発生を検出する検出部と、ジャムの種類に対応付けて、当該種類のジャムに関連するガイダンスを記憶する記憶部と、前記検出部がジャムの発生を検出した場合に、前記記憶部に記憶されている、前記発生したジャムの種類に関連する前記ガイダンスを前記表示部に表示する表示制御部と、ユーザーからの操作入力を受け付ける操作受付部と、を備えると共に、前記表示制御部は、前記操作受付部がジャムの種類を示すジャムリストの前記表示部への表示を要求するユーザー指示を受け付けた場合に、前記ジャムリストを前記表示部に表示し、前記操作受付部が前記表示部に表示されている前記ジャムリストの中からユーザー選択を受け付けた場合に、前記ガイダンスに対するコメントの追加を可能とする入力モードに移行させ、当該入力モードにおいて、前記操作受付部が前記コメントの追加入力を受け付けると、追加された前記コメントをユーザーが選択したジャムの種類に対応付けて前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、前記発生したジャムの種類に関連する前記コメントが前記記憶部に存在するか否かを判断する判断部と、を更に備え、前記表示制御部は、前記検出部がジャムの発生を検出した場合に、前記判断部により前記発生したジャムの種類に関連する前記コメントが前記記憶部に存在すると判断されたときは、前記コメントを、前記発生したジャムの種類に関連するガイダンスに加えて前記表示部に表示する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ジャムを解消するための情報を従来よりも適切に提供することができる。例えば、ジャム解消のために表示するガイダンスにコメント(例えば、ユーザー独自のテクニック、及び予め用意されたガイダンスに記載されていない新たな注意点など)を追加して表示させることができるので、ジャムの解消を手助けできると共に、メンテナンス者へ連絡する機会を減らすことができ、ジャムの迅速な解決が可能になることで生産性の低下を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の構造を示した模式的な部分断面正面図である。
【
図2】第1実施形態に係る画像形成装置の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。
【
図3】(A)、(B)は、表示部に表示されるガイダンスの一例を示した図である。
【
図4】(A)乃至(D)は、表示部に表示されるガイダンスの一例を示した図である。
【
図5】コメントが表示されたガイダンスの一例を示した図である。
【
図6】第1実施形態に係る画像形成装置の制御ユニットで行われる処理動作の一例を示したフローチャートである。
【
図7】(A)、(B)は、表示部に表示されるガイダンスの一例を示した図である。
【
図8】(A)乃至(C)は、表示部に表示されるガイダンスの一例を示した図である。
【
図9】ジャムリストが表示された表示画面の一例を示した図である。
【
図10】(表示部に表示されるガイダンスの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の構造を示した模式的な部分断面正面図である。画像形成装置1は、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機であり、装置本体11に、操作部47、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、及び搬送路190を含んで構成されている。
【0013】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について操作者から画像形成動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。表示部473はタッチパネルになっており、操作者は画面表示されるボタンやキーに触れて画像形成装置1を操作することができる。
【0014】
画像形成装置1で原稿読取動作が行われる場合について説明する。原稿給送部6により搬送されて搬送読取用プラテンガラス161を通過する原稿、又は載置読取用プラテンガラス162に載置された原稿の画像を、原稿読取部5が光学的に読み取り、そして画像データを生成する。原稿読取部5により生成された画像データは、内蔵HDD(Hard Disk Drive)、又はネットワーク接続されたコンピューター等に保存される。
【0015】
原稿読取部5は、光源や反射ミラー等を有し、光源を使って原稿を照射し、その反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサーで受光することによって、原稿から画像を読み取る。
【0016】
画像形成装置1で画像形成動作が行われる場合について説明する。原稿読取動作により生成された画像データや、内蔵HDDに記憶されている画像データ、ネットワーク接続されたコンピューターから受信した画像データ等に基づいて、画像形成部12が、給紙部14から給紙され、搬送路190により搬送される記録媒体としての用紙Pにトナー像を形成する。
【0017】
画像形成部12は、ブラック、イエロー、シアン、及びマゼンタ用の感光体ドラム121を備え、感光体ドラム121は、図中反時計回りに回転駆動するようになっている。転写ユニット120は、その外周面にトナー像が転写される中間転写ベルト125、駆動ローラー125A、従動ローラー125B、及び一次転写ローラー126を含んで構成されている。
【0018】
中間転写ベルト125は、駆動ローラー125Aと従動ローラー125Bとの間に張架され、感光体121の周面に当接した状態で駆動ローラー125Aによって駆動され、感光体121と同期しながら、無端走行する。
【0019】
中間転写ベルト125上に転写される各色(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)のトナー像は、転写タイミングを調整して中間転写ベルト125上で重ね合わされ、カラーのトナー像となる。
【0020】
二次転写ローラー210は、中間転写ベルト125の表面に形成されたカラーのトナー像を、中間転写ベルト125を挟んだ、駆動ローラー125Aとのニップ部Nにおいて、給紙部14から搬送路190を搬送されてきた用紙Pに転写させるものである。
【0021】
定着部13は、熱圧着によりトナー像を用紙Pに定着させるものであり、定着処理が施された用紙Pは、排出トレイ151に排出されることになる。
【0022】
給紙部14は、複数の給紙カセット141及びピックアップローラー145を備える。給紙カセット141の上方には、ピックアップローラー145が設けられており、ピックアップローラー145により給紙カセット141に収容された用紙Pが搬送路190へ向けて繰り出され、搬送路190によって搬送される用紙Pは、搬送ローラー対19によって、転写ニップ部Nに搬送される。
【0023】
また、給紙部14は、装置本体11の壁面に開閉自在に設けられた手差しトレイ142及びピックアップローラー146を備えている。手差しトレイ142にセットされた用紙Pは、ピックアップローラー146により搬送路190へ向けて繰り出される。
【0024】
図2は、第1実施形態に係る画像形成装置1の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。画像形成装置1は、制御ユニット10、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、操作部47、原稿センサー61、及び用紙センサー191を備える。なお、
図1に示した画像形成装置1と同様の構成部分については同符号を付し、ここではその詳しい説明を省略する。
【0025】
原稿センサー61は、原稿の紙詰まりを検出するために、原稿給送部6に搭載されている。用紙センサー191は、用紙Pの紙詰まりを検出するために、
図1に示したピックアップローラー145,146や搬送ローラー対19、定着部13などの近くに適宜配置されている。
【0026】
原稿センサー61及び用紙センサー191は、発光素子と、当該発光素子から射出された光の原稿や用紙Pからの反射光を検出する受光素子とを備える既知の反射型光電センサーからなり、原稿や用紙Pの先端又は後端を検出する。
【0027】
制御ユニット10は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット10は、制御部100と、操作受付部101と、検出部103と、表示制御部105と、記憶制御部106と、判断部107とを備えている。
【0028】
制御ユニット10は、図示しないHDDに記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、制御部100、操作受付部101、検出部103、表示制御部105、記憶制御部106、及び判断部107として機能するものである。但し、これら制御部100等は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、それぞれハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0029】
制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部100は、原稿給送部6、原稿読取部5、画像形成部12、定着部13、給紙部14、操作部47、原稿センサー61、及び用紙センサー191と接続され、これら各部の駆動制御等を行う。例えば、制御部100は、給紙部14及び画像形成部12を制御することによって、画像形成部12に、給紙部14から給紙された用紙Pに画像データに基づく画像を形成させる。
【0030】
操作受付部101は、操作部47を介したユーザーからの操作入力を受け付ける。例えば、操作受付部101は、操作部47が備えるハードキーに対するユーザー操作を受け付け、更には、表示部473に表示されている操作画面に対するユーザー操作を、表示部473が有するタッチパネル機能により受け付ける。また、操作受付部101は、表示言語のユーザー設定を受け付ける設定受付部102を備える。
【0031】
検出部103は、原稿センサー61又は用紙センサー191による検出結果に基づいて、ジャムの発生を検出する。例えば、検出部103は、原稿センサー61(又は用紙センサー191)の検出信号がOFF(原稿又は用紙無しを示す)からON(原稿又は用紙有りを示す)に切り替わったとき、原稿(又は用紙P)の先端が当該原稿センサー61(又は当該用紙センサー191)の検出位置に到達したものと判定し、原稿(又は用紙P)の先端の通過を判定してから、予め定められた時間が経過しても、原稿センサー61(又は用紙センサー191)の検出信号がONからOFFに切り替わらない場合、すなわち、原稿(又は用紙P)の後端が、原稿センサー61(又は用紙センサー191)の検出位置に到達していないと判定した場合、ジャムが発生したと判断する。
【0032】
検出部103は、原稿センサー61による検出結果に基づいて、ジャムの発生を検出した場合には、ジャムの発生位置(当該センサーの配設位置。すなわち、ジャムの種類)を原稿給送部6と特定することができる。また、検出部103は、用紙センサー191による検出結果に基づいて、ジャムの発生を検出した場合には、当該用紙センサー191の配置場所からジャムの発生位置を特定することができる。
【0033】
記憶部104は、制御ユニット10に接続される、例えば、HDD又はメモリー等からなる記憶装置である。記憶部104は、ジャムの種類に対応付けて、当該種類のジャムに関連するガイダンスを記憶する。予め用意されたガイダンスは、ジャムの発生位置を示す図形部分と当該ジャムを解消するための手順を示すメッセージとを含んで構成される。
【0034】
ジャムの発生位置が、装置本体11(
図1)の右壁面に開閉自在に設けられた上から3番目の図略右カバー(名称「右カバー3」)近くである場合、当該ジャムを解消するための手順を示すメッセージとしては、例えば「右カバー3の紙づまりを処理してください。1.右カバー3を開ける。2.つまった用紙を取り出す。3.右カバー3を元の位置に戻す。」といったものが挙げられる。また、記憶部104は、予め用意されたガイダンスを構成するメッセージを複数の言語(例えば、日本語、英語、ドイツ語、フランス語)でそれぞれ記憶する。
【0035】
表示制御部105は、表示部473の表示動作を制御する。例えば、表示制御部105は、検出部103がジャムの発生を検出した場合に、設定受付部102が受け付けた設定言語に従って、発生したジャムの種類に関連するガイダンスを記憶部104から読み出し、読み出したガイダンスを表示部473に表示する。
【0036】
図3(A)、(B)は、表示部473に表示されるガイダンスの一例を示した図である。
図3(A)に示すガイダンスG1は、ジャムの発生位置を示すイメージ
図F1と、日本語で表示された、当該ジャムを解消する手順を示すメッセージM1とを有している。イメージ
図F1は、画像形成装置1の外観
図F11と、ジャムが発生した「右カバー3」の位置を示した丸F12とから構成されている。また、メッセージM1には「右カバー3の紙づまりを処理してください。1.右カバー3を開ける。2.つまった用紙を取り出す。3.右カバー3を元の位置に戻す。」といった内容が表示されている。
【0037】
図3(B)に示すガイダンスG1_Eは、ジャムの発生位置を示すイメージ
図F1と、英語で表示された、当該ジャムを解消する手順を示すメッセージM1_Eとを有している。
【0038】
なお、ガイダンスについては、
図4(A)乃至(D)に示すように、複数のページに跨って表示するようにしてもよい。例えば、表示制御部105は、1ページ目のガイダンスG11では「右カバー3の紙づまりを処理してください。」といったメッセージM11を表示し、2ページ目のガイダンスG12では「1.右カバー3を開ける。」といったメッセージM12を表示し、3ページ目のガイダンスG13では「2.つまった用紙を取り出す。」といったメッセージM13を表示し、4ページ目のガイダンスG14では「3.右カバー3を元の位置に戻す。」といったメッセージM14を表示する。
【0039】
また、表示制御部105は、次ページが存在するガイダンスG11乃至G13には、[次へ>]を押して手順に従ってください。」といったメッセージMNを表示すると共に、次ページに進むための「次へ>」と記された操作ボタンBNを形成し、前ページが存在するガイダンスG12乃至G14には、[<戻る]を押せば、前ページに戻ります。」といったメッセージMRを表示すると共に、前ページに戻すための「<戻る」と記された操作ボタンBRを形成する。
【0040】
また、表示制御部105は、操作受付部101が操作ボタンBNの操作を受け付けると、次ページへ表示を切り替えるための表示制御を行い、操作受付部101が操作ボタンBRの操作を受け付けると、前ページへ表示を切り替えるための表示制御を行う。
【0041】
記憶制御部106は、ガイダンスが表示部473に表示されているときに、操作受付部101が当該ガイダンスに対するコメントの追加を要求するユーザー指示を受け付けた場合に、コメントの追加を可能とする入力モードに移行させ、当該入力モードにおいて、操作受付部101がコメントの追加入力を受け付けると、追加されたコメントを、関連するジャムの種類に対応付けて記憶部104に記憶させる。
【0042】
例えば、
図3(A)に示したガイダンスG1が表示部473に表示されているときに、ユーザーが予め定められた操作を操作部47に対して行うことで、操作受付部101がガイダンスG1に対するコメントの追加を要求するユーザー指示を受け付けると、記憶制御部106は、表示部473にキーボード画面を表示して、コメントの追加を可能とする入力モードに移行させる。また、上記予め定められた操作としては、例えば、操作部47が備えるハードキー「#」の押下が挙げられる。
【0043】
また、記憶制御部106は、入力モードにおいて、操作受付部101が、ユーザーがキーボード画面を操作することで行われたコメントの追加入力を受け付けると、追加されたコメントを、関連するジャムの種類に対応付けて記憶部104に記憶させる。例えば、記憶制御部106は、
図5に示すように、コメントC1で修正されたガイダンスG2を記憶部104に記憶させる。
【0044】
図5は、コメントが表示されたガイダンスの一例を示した図である。ガイダンスG2は、ジャムの発生位置を示すイメージ
図F1と、当該ジャムを解消する手順を示す予め用意されたメッセージM1と、「右カバー3を開ける前にMPトレイの用紙を取り除き、右カバー2の定着前に用紙がないか先に確認しておく」といったコメントC1とを有している。「MPトレイ」とは、手差しトレイ142(
図1)のことであり、「右カバー2」とは、装置本体11(
図1)の右壁面に開閉自在に設けられた上から2番目の図略右カバーのことである。
【0045】
判断部107は、発生したジャムの種類に関連するコメントが記憶部104に存在するか否かを判断する。
【0046】
次に、第1実施形態に係る画像形成装置1の制御ユニット10で行われる処理動作の一例について、
図6に示したフローチャートに基づいて説明する。なお、この処理動作は、検出部103がジャムの発生を検出した時点で行われる処理動作である。
【0047】
まず、制御部100は、印刷処理を停止し(S1)、検出部103は、ジャムの種類(ジャムの発生位置)を特定し(S2)、判断部107は、発生したジャムの種類に関連するコメントが記憶部104に存在するか否か、すなわち、ガイダンスがコメントにより修正されておらずデフォルトのガイダンスのままか否か、を判断する(S3)。
【0048】
判断部107により発生したジャムの種類に関連するコメントが記憶部104に存在しない(ガイダンスはデフォルトのまま)と判断された場合(S3でNO)、表示制御部105は、設定受付部102が受け付けた設定言語に従って、発生したジャムの種類に関連するガイダンスを記憶部104から読み出し、読み出したガイダンス(例えば、
図3(A)に示したガイダンスG1や
図3(B)に示したガイダンスG1_E)を表示部473に表示し(S4)、その後、処理はS6へ移る。
【0049】
一方、判断部107により発生したジャムの種類に関連するコメントが記憶部104に存在すると判断された場合(S3でYES)、表示制御部105は、発生したジャムの種類に関連するコメント及びガイダンス、ここでは、コメントで修正されたガイダンスを読み出し、読み出したガイダンス(例えば、
図5に示したガイダンスG2)を表示部473に表示し(S5)、その後、処理はS6へ移る。
【0050】
制御部100は、ジャムの検出に用いた原稿センサー61又は用紙センサー191からの検出信号がONからOFFに切り替わり、ジャムが解消したか否かを判断し(S6)、制御部100が、ジャムは解消したと判断した場合(S6でYES)、制御部100は、印刷の停止を解除し(S7)、表示制御部105は、表示部473からガイダンスの表示を消去し(S8)、この処理動作を終了する。
【0051】
一方、制御部100が、ジャムは解消していないと判断した場合(S6でNO)、記憶制御部106は、ユーザーが予め定められた操作(例えば、操作部47が備えるハードキー「#」の押下)を行うことで、操作受付部101が表示部473に表示されているガイダンスに対するコメントの追加を要求するユーザー指示を受け付けたか否かを判断する(S9)。
【0052】
記憶制御部106は、ユーザーが上記予め定められた操作を行うことで、操作受付部101が上記ユーザー指示を受け付けたと判断した場合(S9でYES)、コメントの追加を可能とする入力モードに移行させ(S10)、当該入力モードにおいて、操作受付部101がコメントの追加入力を受け付けると、追加されたコメントを関連するジャムの種類(すなわち、発生したジャムの種類)に対応付けて記憶部104に記憶させ(S11)、その後、処理はS6に移る。
【0053】
一方、記憶制御部106は、ユーザーが上記予め定められた操作を行っておらず、操作受付部101が上記ユーザー指示を受け付けていないと判断した場合(S9でNO)、そのまま処理はS6に移る。
【0054】
上記第1実施形態によれば、ガイダンスにコメント(例えば、特別なテクニックや予め用意されたガイダンスに記載されていない新たな注意点)を追加することができるので、ジャムの解消を手助けし、メンテナンス者へ連絡する機会を減らすことができ、生産性の低下を防止することが可能となる。
【0055】
次に、第2実施形態を説明する。上記第1実施形態では、
図5に示したガイダンスG2のように、コメントで修正されたガイダンスを表示部473に表示する場合について説明しているが、第2実施形態では、記憶制御部106は、予め用意された元のガイダンスとは別に、追加されたコメントだけを独立で記憶部104に記憶させ、表示制御部105は、
図7(A)、(B)に示すように、追加されたコメントC1を有するガイダンスG3を1ページ目として表示部473に表示し、予め用意されたガイダンスG1を2ページ目として表示部473に表示し、両者を別々に表示部473に表示するようにしてもよい。
【0056】
また、
図4(A)乃至(D)に示したように、ガイダンスを複数のページに跨って表示する場合にも、表示制御部105は、
図8(A)乃至(C)に示すように、追加されたコメントC1を有するガイダンスG21と、予め用意されたガイダンスG11,G12等とを別々に表示部473に表示するようにしてもよい。
【0057】
次に、第3実施形態を説明する。
図7(A)や
図8(A)に示したように、追加されたコメントについては、異なる種類のジャムでも有効になることがある。例えば、ジャムの発生位置が、装置本体11(
図1)の右壁面に開閉自在に設けられた上から3番目の図略右カバー(名称「右カバー3」)近くである場合に、追加されたコメントC1は、上から3番目の給紙カセット141(名称「カセット3」)近くで発生したジャムに対しても、有効になると考えられる。
【0058】
そこで、第3実施形態では、記憶制御部106は、操作受付部101が入力モードにおいて追加されたコメントの転用を要求するユーザー指示を受け付けた場合に、追加されたコメントをユーザーが指定した転用先のジャムの種類にも対応付けて記憶部104に記憶させるようにしてもよい。
【0059】
例えば、追加されたコメントC1を有するガイダンスG3(
図7(A))が表示部473に表示されているときに、ユーザーが予め定められた操作(例えば、操作部47が備えるハードキー「#」の長押し)を行うことで、操作受付部101が上記ユーザー指示を受け付けると、表示制御部105は、ジャムの種類を示すジャムリストL1(
図9を参照)を表示部473に表示し、操作受付部101が表示部473に表示されているジャムリストL1の中からジャムの種類を選択するユーザー選択を受け付けると、記憶制御部106は、コメントC1を、ユーザーが当該選択したジャムの種類に対応付けて記憶部104に記憶させる。
【0060】
図9は、ジャムリストL1が表示された表示画面の一例を示した図である。表示画面D1は、ジャムの発生位置を示すイメージ
図F2と、ジャムリストL1とを有している。イメージ
図F2は、画像形成装置1の外観
図F11を有し、外観
図F11には、ジャムの発生位置がアルファベット「A」乃至「I」で示され、当該アルファベットに対応する位置名称がジャムリストL1に表示されている。また、ジャムリストL1はタッチボタンになっており、ユーザーがジャムの種類を選択可能になっている。
【0061】
ジャムリストL1が表示部473に表示されているときに、例えば、操作受付部101が位置名称「カセット3」と記されたタッチボタンのユーザー操作を受け付けると、記憶制御部106は、コメントC1をユーザーが選択したジャムの種類(名称「カセット3」)に対応付けて、記憶部104に記憶させる。
【0062】
また、第4実施形態では、ジャムが発生したときではなく、通常状態でジャムリストL1が表示部473に表示されているときに、操作受付部101が当該ジャムリストL1の中からユーザー選択を受け付けた場合に、記憶制御部106は、ユーザーが選択したジャムの種類に関連するガイダンスに対するコメントの追加を可能とする入力モードに移行させ、当該入力モードにおいて、操作受付部101がコメントの追加入力を受け付けると、追加されたコメントをユーザーが選択したジャムの種類に対応付けて記憶部104に記憶させるようにしてもよい。
【0063】
例えば、通常状態のときに、ユーザーが予め定められた操作(例えば、操作部47が備えるハードキー「*」の長押し)を行うことで、操作受付部101がジャムリストL1の表示部473への表示を要求するユーザー指示を受け付けると、表示制御部105は、ジャムリストL1を有する表示画面D1(
図9)を表示部473に表示する。
【0064】
ジャムリストL1が表示部473に表示されているときに、操作受付部101が位置名称「右カバー3」と記されたタッチボタンのユーザー操作を受け付けると、記憶制御部106は、ガイダンスに対するコメントの追加を可能とする入力モードに移行させ、当該入力モードにおいて、操作受付部101がコメントの追加入力を受け付けると、追加されたコメントをユーザーが選択したジャムの種類に対応付けて記憶部104に記憶させる。これにより、ジャムの解消作業を行っている最中ではなく、その他の時間でも、コメントの追加が可能となる。
【0065】
ところで、判断部107により発生したジャムの種類に関連するコメントが記憶部104に存在すると判断され、表示制御部105が、発生したジャムの種類に関連する、コメントで修正されたガイダンスG2(
図5)を表示部473に表示するが、修正されていない、予め用意されたガイダンスG1,G1_E(
図3(A)、(B))を表示部473に表示しない場合、ユーザーが理解可能な言語でガイダンスが表示されないことになる。
【0066】
そこで、第5実施形態では、表示制御部105は、例えば、コメントC1で修正されたガイダンスG2(
図5)を表示部473に表示する際、
図10に示すように、予め用意されたガイダンスに表示を切り替える指示をするための「ORIGINAL」と記された操作ボタンBOをガイダンスG2に形成し、ユーザーが操作ボタンBOに対する操作を行うことで、操作受付部101が修正されていないガイダンスの表示を要求するユーザー指示を受け付けた場合は、設定受付部102が受け付けた設定言語に従って、記憶部104に記憶されている、発生したジャムの種類に関連する予め用意されたガイダンスを表示部473に表示する。
【0067】
例えば、設定受付部102が受け付けた設定言語が「英語」である場合、表示制御部104は、ガイダンスG1_Eを表示部473に表示する。これにより、コメントで修正されたガイダンスがユーザーの得意としない言語であっても、ユーザーの得意とする言語で予め用意されたガイダンスが表示部473に表示されるので、不得意な言語だけでガイダンスが表示されるのを回避することができる。
【0068】
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。また、上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置の一実施形態として複合機を用いて説明しているが、これは一例に過ぎず、コピー機能、プリンター機能、ファクシミリ機能を有した他の画像形成装置でもよい。
【0069】
また、
図1乃至
図10を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0070】
1 画像形成装置
12 画像形成部
100 制御部
101 操作受付部
102 設定受付部
103 検出部
104 記憶部
105 表示制御部
106 記憶制御部
107 判断部