(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】超音波診断装置、超音波画像表示方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20220405BHJP
【FI】
A61B8/14 ZDM
(21)【出願番号】P 2018116836
(22)【出願日】2018-06-20
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155620
【氏名又は名称】木曽 孝
(72)【発明者】
【氏名】岡 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】田辺 悠介
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-144623(JP,A)
【文献】特表2011-521763(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0079083(US,A1)
【文献】特開2014-100270(JP,A)
【文献】特開2000-217815(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0335742(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブを駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を前記超音波プローブから受信して、超音波画像を生成し、表示する超音波診断装置であって、
前記超音波プローブによって得られた受信信号から超音波画像を生成する超音波画像生成部と、
前記超音波プローブを移動させながら連続的に取得された複数の前記超音波画像をつなぎ合わせてパノラマ画像を生成するパノラマ画像生成部と、
前記超音波画像又は前記パノラマ画像とともに、画像診断に必要な情報を示すオブジェクトを表示部に表示させる表示処理部と、
前記超音波プローブの移動速度に関する情報を取得する取得部と、
前記超音波プローブの移動速度に関する情報に応じて、前記オブジェクトのうちの少なくとも一つの表示属性を変更する表示属性設定部と、を備え
、
前記オブジェクトは、前記パノラマ画像を生成する際の対象領域を示すROI枠である、
超音波診断装置。
【請求項2】
前記表示属性設定部は、所定の最適速度に対する前記超音波プローブの移動速度の大小に基づいて、前記表示属性を変更する、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記表示属性設定部は、前記超音波プローブの移動速度と前記最適速度の乖離幅に基づいて、前記表示属性を変更する、請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記表示属性は、前記
ROI枠の表示色、表示太さ、表示状況及び線種の少なくとも一つを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記表示属性設定部は、前記超音波プローブの移動速度に応じて、前記表示色及び前記表示太さの少なくとも一方が段階的に設定された属性テーブルを参照して、前記表示属性を変更する、請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記表示属性設定部は、合成対象となる2つの画像間の相関に基づいて、前記表示属性を変更する、請求項1から
5のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブを駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を前記超音波プローブから受信して、超音波画像を生成し、表示する超音波
画像表示方法であって、
前記超音波プローブによって得られた受信信号から超音波画像を生成する工程と、
前記超音波プローブを移動させながら連続的に取得された複数の前記超音波画像をつなぎ合わせてパノラマ画像を生成する工程と、
前記超音波画像又は前記パノラマ画像とともに、画像診断に必要な情報を示すオブジェクト
として、前記パノラマ画像を生成する際の対象領域を示すROI枠を表示部に表示させる工程と、
前記超音波プローブの移動速度に関する情報を取得する工程と、
前記超音波プローブの移動速度に関する情報に応じて、前記オブジェクトのうちの少なくとも一つの表示属性を変更する工程と、を含む超音波
画像表示方法。
【請求項8】
被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブを駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を前記超音波プローブから受信して、超音波画像を生成し、表示する超音波診断装置のコンピューターに、
前記超音波プローブによって得られた受信信号から超音波画像を生成する処理と、
前記超音波プローブを移動させながら連続的に取得された複数の前記超音波画像をつなぎ合わせてパノラマ画像を生成する処理と、
前記超音波画像又は前記パノラマ画像とともに、画像診断に必要な情報を示すオブジェクト
として、前記パノラマ画像を生成する際の対象領域を示すROI枠を表示部に表示させる処理と、
前記超音波プローブの移動速度に関する情報を取得する処理と、
前記超音波プローブの移動速度に関する情報に応じて、前記オブジェクトのうちの少なくとも一つの表示属性を変更する処理と、を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置、超音波診断方法及びプログラムに関し、特に、複数の超音波画像をつなぎ合わせてパノラマ画像を生成する際に有用な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医用画像診断装置の一つとして、超音波を被検体に向けて送信し、その反射波を受信して受信信号に所定の信号処理を行うことにより、被検体内部の形状、性状又は動態を超音波画像として可視化する超音波診断装置が知られている。超音波診断装置は、超音波プローブを体表に当てる又は体内に挿入するという簡単な操作で超音波画像を取得することができるので、安全であり、被検体にかかる負担も小さい。
【0003】
このような超音波診断装置には、被検体の診断部位に沿って超音波プローブを移動させながら超音波を送受信することで、連続する超音波画像(Bモード画像)を取得し、取得した超音波画像群を結合して1枚のパノラマ画像として表示するパノラマモードを備えたものもある。
超音波プローブを固定した状態で超音波画像を取得して表示する場合、観察できる範囲が狭く、被検体内のどこを見ているのかが分かりにくいため、画像の客観性に欠けるという課題がある。これに対して、パノラマモードは、診断部位を広範囲にわたって描出することができるため、診断部位の全体像の観察や診断が容易となる。
【0004】
ところで、パノラマモードにおいては、隣接する画像間における重複や相関を求めて超音波画像群を結合するが、超音波画像群を取得するためのプローブ移動操作が速すぎると重複や相関が少なくなり、精度のよいパノラマ画像を生成できない虞がある。また、プローブ移動操作が遅すぎると、重複が多くなり、パノラマ画像の生成に不要な画像を多く取得することになるため、非効率的である。このため、パノラマモードでは、適正な速度で超音波プローブを移動させ、過不足なく超音波画像群を取得することが重要である。
【0005】
パノラマ画像を生成する際のプローブ移動操作を支援する技術としては、例えば、特許文献1がある。特許文献1には、パノラマ画像を取得する際に、超音波プローブの移動速度が適正になるように、案内表示をすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示の手法では、パノラマ画像とともに表示されている横棒状の図形がパノラマ撮影開始時点から一定の速度で伸びることで、あるいは画面上に表示する数値表示の増加により、プローブの移動操作を支援している。ユーザーは、横棒上の図形又は数値表示から撮影の進捗度を確認することができ、撮影の進捗度に合わせてプローブを移動させることができる。しかしながら、特許文献1の技術においては、ユーザーが撮影の進捗度を目視で確認し、更に、撮影部位全体に対するプローブの移動量を目視で確認し、これら二つの進捗度が一致しているか否かをユーザーが判断する、という煩雑な作業や判断が必要となる。一方、超音波画像の撮影時には、ユーザーは、超音波診断装置で表示される超音波画像を確認しながら撮影を行うため、撮影を行いながら、特許文献1に開示されている手法で進捗度を確認したり、判断することは、困難である。
【0008】
本発明の目的は、パノラマ画像を生成する際の超音波プローブの移動操作を支援できる超音波診断装置、超音波画像表示方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る超音波診断装置は、
被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブを駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を前記超音波プローブから受信して、超音波画像を生成し、表示する超音波診断装置であって、
前記超音波プローブによって得られた受信信号から超音波画像を生成する超音波画像生成部と、
前記超音波プローブを移動させながら連続的に取得された複数の前記超音波画像をつなぎ合わせてパノラマ画像を生成するパノラマ画像生成部と、
前記超音波画像又は前記パノラマ画像とともに、画像診断に必要な情報を示すオブジェクトを表示部に表示させる表示処理部と、
前記超音波プローブの移動速度に関する情報を取得する取得部と、
前記超音波プローブの移動速度に関する情報に応じて、前記オブジェクトのうちの少なくとも一つの表示属性を変更する表示属性設定部と、を備え、
前記オブジェクトは、前記パノラマ画像を生成する際の対象領域を示すROI枠であることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る超音波画像表示方法は、
被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブを駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を前記超音波プローブから受信して、超音波画像を生成し、表示する超音波画像表示方法であって、
前記超音波プローブによって得られた受信信号から超音波画像を生成する工程と、
前記超音波プローブを移動させながら連続的に取得された複数の前記超音波画像をつなぎ合わせてパノラマ画像を生成する工程と、
前記超音波画像又は前記パノラマ画像とともに、画像診断に必要な情報を示すオブジェクトとして、前記パノラマ画像を生成する際の対象領域を示すROI枠を表示部に表示させる工程と、
前記超音波プローブの移動速度に関する情報を取得する工程と、
前記超音波プローブの移動速度に関する情報に応じて、前記オブジェクトのうちの少なくとも一つの表示属性を変更する工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明に係るプログラムは、
被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブを駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を前記超音波プローブから受信して、超音波画像を生成し、表示する超音波診断装置のコンピューターに、
前記超音波プローブによって得られた受信信号から超音波画像を生成する処理と、
前記超音波プローブを移動させながら連続的に取得された複数の前記超音波画像をつなぎ合わせてパノラマ画像を生成する処理と、
前記超音波画像又は前記パノラマ画像とともに、画像診断に必要な情報を示すオブジェクトとして、前記パノラマ画像を生成する際の対象領域を示すROI枠を表示部に表示させる処理と、
前記超音波プローブの移動速度に関する情報を取得する処理と、
前記超音波プローブの移動速度に関する情報に応じて、前記オブジェクトのうちの少なくとも一つの表示属性を変更する処理と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パノラマ画像を生成する際の超音波プローブの移動操作を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る超音波診断装置の外観を示す図である。
【
図2】
図2は、超音波プローブの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、超音波診断装置の制御系の主要部を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、属性テーブルの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、パノラマ画像生成処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係る超音波診断装置Aの外観を示す図である。
図2は、超音波プローブ2の構成を示す図である。
図3は、超音波診断装置Aの制御系の主要部を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、超音波診断装置Aは、超音波診断装置本体1及び超音波プローブ2を備える。超音波診断装置本体1と超音波プローブ2は、ケーブル3を介して接続される。なお、超音波プローブ2は、超音波診断装置本体1と無線通信を介して接続されてもよい。
【0017】
超音波診断装置Aは、被検体内の形状、性状又は動態を超音波画像として可視化し、画像診断するために用いられる。超音波診断装置Aは、診断モードとして、例えば、Bモード画像のみを表示させるモード(以下、「Bモード」と称する)、超音波プローブ2を移動させながら連続的に取得されたBモード画像をつなぎ合わせたパノラマ画像を表示させるモード(以下、「パノラマモード」と称する)を、有する。一般に、パノラマ画像は、Bモード画像から関心領域(ROI:Region of Interest)として設定された高画質部分を切り出してつなぎ合わせて生成される。パノラマモードにおいて、ユーザーは、例えば、超音波プローブ2をスキャン方向(長軸方向)に手動で移動させる。
【0018】
超音波プローブ2は、被検体に対して超音波を送信するとともに、被検体で反射された超音波エコーを受信し、受信信号に変換して超音波診断装置本体1に送信する。超音波プローブ2には、コンベックスプローブ、リニアプローブ、又はセクタプローブ等の任意の電子スキャン方式のプローブを適用することができる。
【0019】
図2に示すように、超音波プローブ2は、超音波放射側から順に、音響レンズ2a、音響整合層2b、振動子アレイ2c、バッキング材2dを有する。なお、音響レンズ2aの表面(超音波放射面)には、保護層が配置されてもよい。
【0020】
音響レンズ2aは、超音波をスライス方向に収束させるレンズであり、例えば、スライス方向における中央部が盛り上がったかまぼこ形状を有する。
音響整合層2bは、超音波を効率よく被検体内に進入させるための中間的物質であり、振動子(図示略)と被写体の音響インピーダンスを整合させる。
【0021】
振動子アレイ2cは、スキャン方向に単列又は多列で配置された複数の短冊状の振動子(図示略)により構成される。
バッキング材2dは、振動子アレイ2cで発生する不要振動を減衰する。
【0022】
超音波プローブ2によれば、スライス方向に収束する超音波のビームプロファイルが得られる。また、駆動する振動子を切り替えることにより、超音波をスキャン方向に収束させることもできる(いわゆる電子スキャン方式)。
【0023】
超音波診断装置本体1は、超音波プローブ2からの受信信号を用いて、被検体の内部状態を超音波画像として可視化する。
図3に示すように、超音波診断装置本体1は、送信部11、受信部12、ROI設定部13、表示処理部14、表示部15、操作入力部16、Bモード信号処理部17、パノラマ画像生成部20、表示属性設定部30及び制御部40等を備える。
【0024】
送信部11、受信部12、ROI設定部13、表示処理部14、Bモード信号処理部17、パノラマ画像生成部20及び表示属性設定部30は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の、各処理に応じた少なくとも一つの専用ハードウェア(電子回路)で構成される。
【0025】
制御部40は、演算/制御装置としてのCPU(Central Processing Unit)41、主記憶装置としてのROM(Read Only Memory)43及びRAM(Random Access Memory)42等を有する。ROM43には、基本プログラムや基本的な設定データが記憶される。CPU41は、ROM43から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM42に展開し、展開したプログラムを実行することにより、超音波診断装置本体1の各機能ブロック(送信部11、受信部12、ROI設定部13、表示処理部14、表示部15、Bモード信号処理部17、パノラマ画像生成部20及び表示属性設定部30)の動作を集中制御する。
【0026】
本実施の形態では、機能ブロックを構成する各ハードウェアと制御部40とが協働することにより、各機能ブロックの機能が実現される。なお、制御部40がプログラムを実行することにより、各機能ブロックの一部又は全部の機能が実現されるようにしてもよい。
【0027】
送信部11は、制御部40の指示に従って、送信信号(駆動信号)を生成して、超音波プローブ2に出力する。図示を省略するが、送信部11は、例えば、クロック発生回路、パルス発生回路、パルス幅設定部及び遅延回路を有する。
【0028】
クロック発生回路は、パルス信号の送信タイミングや送信周波数を決定するクロック信号を発生させる。パルス発生回路は、所定の周期で予め設定された電圧振幅のバイポーラー型の矩形波パルスを発生させる。パルス幅設定部は、パルス発生回路から出力される矩形波パルスのパルス幅を設定する。パルス発生回路で生成された矩形波パルスは、パルス幅設定部への入力前又は入力後に、超音波プローブ2の個々の振動子ごとに異なる配線経路に分離される。遅延回路は、生成された矩形波パルスを、振動子ごとの送信タイミングに応じて遅延させ、超音波プローブ2に出力する。
【0029】
受信部12は、制御部40の指示に従って、超音波プローブ2からの受信信号を受信し、Bモード信号処理部17へ出力する。図示を省略するが、受信部12は、例えば、増幅器、A/D変換回路、整相加算回路を有する。
【0030】
増幅器は、超音波プローブ2の各振動子により受信された超音波に応じた受信信号を予め設定された所定の増幅率でそれぞれ増幅する。A/D変換回路は、増幅された受信信号を所定のサンプリング周波数でデジタルデータに変換する。整相加算回路は、A/D変換された受信信号に対して、振動子に対応した配線経路毎に遅延時間を与えて時相を整え、これらを加算(整相加算)する。
【0031】
ROI設定部13は、制御部40の指示に従って、Bモード画像における関心領域(ROI)を設定する。関心領域とは、超音波プローブ2によって取得されたBモード画像における診断対象の領域であり、診断対象部位(例えば、血流部)を含むように設定される。ROI設定部13は、例えば、操作入力部16の操作によりBモード画像上で設定された領域を、関心領域として設定する。関心領域は、Bモード画像上にROI枠で表示される。パノラマ生成処理の場合、関心領域は、パノラマ画像を生成するための対象領域を示す対象として用いられる。
【0032】
表示処理部14は、制御部40の指示に従って、Bモード信号処理部17及びパノラマ画像生成部20からの画像データを、表示部15に対応する表示信号に変換して出力し、表示部15にBモード画像又はパノラマ画像を表示させる。例えば、表示処理部14は、Bモード選択時には、Bモード信号処理部17からのBモード画像データを表示信号に変換して表示部15に出力する。また、表示処理部14は、パノラマモード選択時には、パノラマ画像生成部20からのパノラマ画像データを表示信号に変換して表示部15に出力する。また、表示処理部14は、ROI設定部13による関心領域の設定に応じて、Bモード画像又はパノラマ画像にROI枠を重畳する。
【0033】
さらに、表示処理部14は、Bモード画像やパノラマ画像とともに、画像診断に必要な情報を示すオブジェクトを表示部15に表示させる。各オブジェクトの表示属性の初期値は、例えば、表示処理部14に記憶されている。また、パノラマモードにおいて、表示処理部14は、表示属性設定部30からの属性情報に基づいて、特定のオブジェクトの表示属性を制御する。
【0034】
ここで、画像診断に必要な情報とは、診断情報、画像パラメーター、表示部15が操作入力部16として機能する場合のユーザーインターフェース、及び関心領域などを含む。また、オブジェクトは、図形、文字列、操作ボタン、ROI枠などを含む。また、オブジェクトの表示属性は、オブジェクトの表示色、表示太さ、表示状況(点灯、点滅、表示明度や表示色の変化等)及び線種(点線、破線、二重線等)の少なくとも一つを含む。
【0035】
表示部15は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、CRTディスプレイ等で構成される。表示部15は、制御部40の指示に従って、表示処理部14からの表示信号に基づいて画像を表示する。表示部15には、超音波画像120及び画像診断に必要な情報を示すオブジェクト111~114が表示される(
図4参照)。
【0036】
操作入力部16は、例えば、診断に関する情報の入力を受け付ける。操作入力部16は、例えば、複数の入力スイッチを有する操作パネル、キーボード、及びマウス等を有する。なお、操作入力部16は、表示部15と一体的に設けられるタッチパネルで構成されてもよい。ユーザーは、操作入力部16を介して、関心領域、診断部位、超音波プローブ2の種類、及び診断モード(Bモード又はパノラマモード)などを設定することができる。
【0037】
Bモード信号処理部17は、制御部40の指示に従って、受信部12からの受信データに、包絡線検波処理、対数圧縮処理等を施して、ダイナミックレンジやゲインの調整を行って輝度変換することで、Bモード画像を生成する。生成されたBモード画像のデータは、表示処理部14及びパノラマ画像生成部20に出力される。なお、Bモード信号処理部17は、超音波プローブ2の種類に応じた座標変換及び画素補間を行うDSC(Digital Scan Converter)を含む。
【0038】
パノラマ画像生成部20は、Bモード信号処理部17からのBモード画像に基づいて、パノラマ画像を生成する。具体的には、パノラマ画像生成部20は、Bモード画像上の関心領域をつなぎ合わせてパノラマ画像を生成する。本実施の形態では、パノラマ画像生成部20は、相関演算部21及び画像合成部22を有している。以下において、Bモード画像のうち、パノラマ画像の生成に使用される関心領域の部分を、「ROI画像」と称する。
【0039】
相関演算部21は、合成対象となる2つの画像間の相関を示す相関情報を演算する。合成対象となる2つの画像とは、例えば、診断開始からある時点までに取得されたROI画像をつなぎ合わせて生成されたパノラマ画像(以下、「中間パノラマ画像」と称する)と、中間パノラマ画像にこれらから合成される、新たに取得されたROI画像である。相関情報は、例えば、中間パノラマ画像と新たなROI画像において抽出された同一内容の特徴点間の距離ベクトルで表される。演算された相関情報は、表示属性設定部30に出力される。なお、同一内容の特徴点の抽出は、中間パノラマ画像と新たなROI画像との間で同一内容とみなされる特徴点を抽出することにより行われる。そして、同一内容の特徴点であるとして抽出された二つのデータは、同一観測点に関する情報であると判断される。
【0040】
なお、相関情報は、後述する速度演算部31においてプローブ移動速度を演算する際にも用いられる。すなわち、相関情報は、プローブ移動速度に関する情報ともいえる。本実施の形態では、相関演算部21が「取得部」として機能し、超音波プローブ2の移動速度に関する情報を取得している。
【0041】
画像合成部22は、抽出された同一内容の特徴点が一致するように、つまり、抽出された同一内容の2つの特徴点が同じ観測点となるように、中間パノラマ画像と、新たなROI画像を合成する。合成においては、必要に応じてROI画像に対して各種変形処理を施し合成する場合もある。新たに生成された中間パノラマ画像のデータは、表示処理部14に出力される。なお、パノラマ画像の生成方法については、公知技術を適用できる。
【0042】
表示属性設定部30は、パノラマ画像を生成する際の超音波プローブ2の移動速度(以下、「プローブ移動速度」と称する)に応じて、オブジェクト111~114の少なくとも一つ(例えば、ROI枠114、以下、「特定オブジェクト」と称する)の表示属性を変更する。本実施の形態では、表示属性設定部30は、速度演算部31及び属性決定部32を有している。
【0043】
速度演算部31は、パノラマ画像生成部20(相関演算部21)からの相関情報に基づいて、プローブ移動速度を演算する。具体的には、相関情報に含まれる距離ベクトルから超音波プローブ2の移動距離が求まり、パノラマモードにおけるフレームレートから超音波プローブ2の移動時間が求まるので、移動距離/移動時間よりプローブ移動速度が算出される。また、超音波プローブ2の回転も考慮し、特徴点を中心とした画像上の任意点(例えば、ROIの頂点など)の移動距離も算出し、相関情報から算出される超音波プローブ2の移動距離と合成した結果と、移動時間からプローブ移動速度を算出してもよい。
【0044】
属性決定部32は、算出されたプローブ移動速度に基づいて、特定オブジェクトの表示属性を決定する。属性決定部32は、例えば、最適速度に対するプローブ移動速度の大小(プローブ移動速度が最適速度よりも速い/遅い)に基づいて、特定オブジェクトの表示属性を決定する。好ましくは、属性決定部32は、プローブ移動速度と最適速度の乖離幅に基づいて、特定オブジェクトの表示属性を決定する。本実施の形態では、属性決定部32は、プローブ移動速度に応じて、表示色及び表示太さが段階的に設定された属性テーブルT(
図5参照)を参照して、特定オブジェクトの表示属性を決定する。決定された表示属性は、特定オブジェクトの属性情報として表示処理部14に出力される。
【0045】
図4は、表示部15に表示される画面の一例を示す図である。
図4に示すように、表示部15の画面は、略中央に配置される第1画面領域101と、第1画面領域外の第2画面領域102に区画される。第1画面領域101には、超音波画像(Bモード画像又はパノラマ画像)120が表示される。第2画面領域102には、画像診断に必要な情報を示すオブジェクト111~114が表示される。
【0046】
第2画面領域102の上部に表示されているオブジェクト111は、患者情報、現在日時、アノテーション(注釈)、ボディマーク(診断部位)等を含む診断情報である。第2画面領域102において、第1画面領域101の両側に表示されているオブジェクト112は、超音波のフォーカス、深度、強度、プローブ種類等の画像パラメーターである。第2画面領域102の左部及び下部に表示されているオブジェクト113は、画像パラメーターの設定等の各種操作を行うユーザーインターフェースである。超音波画像120に重畳されている矩形状のオブジェクト114は、ROI枠である(以下、「ROI枠114」と称する)。
本実施の形態では、オブジェクト111~114のうち、ROI枠114が特定オブジェクトとして使用され、プローブ移動速度に応じた表示属性で表示される。
【0047】
図5は、プローブ移動速度に対応する特定オブジェクトの表示属性を示す属性テーブルである。
図5には、特定オブジェクトがROI枠114である場合について示している。なお、
図5では、プローブ移動速度Vを、正規化した数値で表している。
【0048】
図5に示す属性テーブルTによると、プローブ移動速度Vが3<V≦4である場合が、パノラマ画像の生成に適した最適速度である。この場合、ROI枠114は、白色の標準太さで表示される。
プローブ移動速度Vが最適速度よりも遅い場合(V≦3)は、ROI枠114の太さが、標準太さよりも太く設定されるとともに、プローブ移動速度Vの最適速度からの乖離幅に応じて、ROI枠114の表示色が、白から黄色、青色、赤色と変化するようになっている。
また、プローブ移動速度Vが最適速度よりも早い場合(4<V)は、ROI枠114の太さが、標準太さよりも細く設定されるとともに、プローブ移動速度Vの最適速度からの乖離幅に応じて、ROI枠114の表示色が、白から黄色、青色、赤色と変化するようになっている。
すなわち、超音波プローブ2の移動速度が最適速度でない場合には、ROI枠114の表示属性が変更される。
【0049】
図6は、超音波診断処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、超音波診断装置Aにおいて、パノラマモードが選択されることに伴い、CPU41がROM43に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。パノラマモードの選択は、例えば、操作入力部16における診断モードの選択によって行われる。
【0050】
図6のステップS1において、制御部40は、送信部11、受信部12及びBモード信号処理部17を制御して、超音波プローブ2を介して超音波の送受信を行い、Bモード画像を取得する。生成されたBモード画像のデータは、パノラマ画像生成部20に出力される。
【0051】
ステップS2において、制御部40は、パノラマ画像生成部20(相関演算部21)を制御して、新たに取得したROI画像と中間パノラマ画像を比較することにより、相関情報を演算する。ROI画像は、ステップS1で取得したBモード画像から切り出される。演算された相関情報(距離ベクトル)は、表示属性設定部30に出力される。
【0052】
ステップS3において、制御部40は、パノラマ画像生成部20(画像合成部22)及び表示処理部14を制御して、新たに取得したROI画像と中間パノラマ画像を合成し、表示する。表示部15には、その時点までに生成されたパノラマ画像が表示される(
図7B、
図7C参照)。
【0053】
ステップS4において、制御部40は、表示属性設定部30(速度演算部31)を制御して、プローブ移動速度を算出する。
【0054】
ステップS5において、制御部40は、表示属性設定部30(属性決定部32)及び表示処理部14を制御して、プローブ移動速度に応じて、ROI枠114の表示属性を変更する(
図7B、
図7C参照)。ユーザーは、ROI枠114の表示属性(表示色及び表示太さ)により、現在のプローブ移動速度の適否を直感的に知得することができる。そして、ROI枠114の表示属性が最適速度を示すように、超音波プローブ2が移動されることにより、高精度のパノラマ画像を効率よく生成することができる。
【0055】
ステップS6において、制御部40は、パノラマモードの終了操作が入力されたか否かを判定する。パノラマモードの終了操作が入力された場合(ステップS6で“YES”)、処理を終了する。パノラマモードの終了操作が入力されていない場合(ステップS6で“NO”)、ステップS1の処理に移行する。ステップS1~S6の処理が繰り返されることにより、パノラマ画像が順次拡張され、最終的に広範囲にわたるパノラマ画像が生成される。
【0056】
なお、最初に取得されたBモード画像については、ステップS2~S5の処理は行われず、単にROI枠114内にパノラマ画像(ROI画像121)が表示される(
図7A参照)。また、ステップS5において、属性決定部32によって決定されたROI枠114の表示属性が、初期値(表示色:白、表示太さ:標準)と同じである場合、ROI枠114の表示属性は変更されない。
【0057】
図7A~
図7Cは、パノラマ画像の生成過程の一例を示す図である。
図7A~
図7Cにおいて、ROI枠114内に表示されている画像121が、最新のROI画像である。
【0058】
図7Aは、最初のBモード画像が取得された状態を示している。
図7Aに示す状態では、プローブ移動速度の判定は行われないので、ROI枠114は初期の表示属性(白色、標準太さ)に従って表示される。
【0059】
図7B、
図7Cは、超音波プローブ2を左側に移動させた場合について示している。また、
図7Bは、パノラマ画像生成中に、プローブ移動速度が最適速度よりも速くなった場合について示している。
図7Cは、パノラマ画像生成中に、プローブ移動速度が最適速度よりも遅くなった場合について示している。
図7B、
図7Cでは、一回前の超音波の送受信により取得されたROI画像の領域を点線で示している。
【0060】
図7B、
図7Cに示すように、超音波プローブ2を左側に移動させると、移動に伴って、先に取得したROI画像(
図7B、
図7Cの点線で囲まれた領域)の左側のROI画像が取得され、順次パノラマ画像が生成され、表示される。
図7B、
図7Cでは、ROI枠114が固定されているので、パノラマ画像が右側に伸びていく。なお、パノラマ画像が第1画面領域101の右端に到達すると、ROI枠114が左側に移動しながら、パノラマ画像が左側に伸びていく。
【0061】
図7Bに示すように、前回との差分Δが最適速度のときの差分Δ0より大きく、プローブ移動速度が最適速度よりも速い場合、ROI枠114が標準太さよりも細く表示される。また、
図7Bでは表れていないが、ROI枠114は、プローブ移動速度と最適速度との乖離幅に応じた表示色で表示される。例えば、
図5に示す属性テーブルTに従うと、プローブ移動速度Vが6<Vである場合は、ROI枠114は、赤色の細線で表示されることになる。
【0062】
一方、
図7Cに示すように、前回との差分Δが最適速度のときの差分Δ0より小さく、プローブ移動速度が最適速度よりも遅い場合、ROI枠114が標準太さよりも太く表示される。また、
図7Cでは表れていないが、ROI枠114は、プローブ移動速度と最適速度との乖離幅に応じた表示色で表示される。例えば、
図5に示す属性テーブルTに従うと、プローブ移動速度Vが1<V≦2である場合は、ROI枠114は、青色の太線で表示されることになる。
【0063】
このように、実施の形態に係る超音波診断装置Aは、被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブ2を駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を超音波プローブ2から受信して、超音波画像を生成し、表示する。超音波診断装置Aは、超音波プローブ2によって得られた受信信号からBモード画像(超音波画像)を生成するBモード信号処理部17(超音波画像生成部)と、超音波プローブ2を移動させながら連続的に取得された複数のBモード画像をつなぎ合わせてパノラマ画像を生成するパノラマ画像生成部20と、Bモード画像又はパノラマ画像とともに、画像診断に必要な情報を示すオブジェクト111~114を表示部15に表示させる表示処理部14と、超音波プローブ2の移動速度に関する情報を取得する相関演算部21(取得部)と、超音波プローブ2の移動速度に関する情報に応じて、特定オブジェクト(オブジェクト111~114のうちの少なくとも一つ、例えば、ROI枠114)の表示属性を変更する表示属性設定部30と、を備える。
【0064】
また、本実施の形態に係る超音波診断方法は、被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブ2を駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を超音波プローブ2から受信して、超音波画像を生成し、表示する方法であって、超音波プローブ2によって得られた受信信号からBモード画像(超音波画像)を生成する工程(
図6のステップS1)と、超音波プローブ2を移動させながら連続的に取得された複数のBモード画像をつなぎ合わせてパノラマ画像を生成する工程(
図6のステップS2、S3)と、Bモード画像又はパノラマ画像とともに、画像診断に必要な情報を示すオブジェクト111~114を表示部15に表示させる工程(
図6のステップS4、S5)と、超音波プローブ2の移動速度に関する情報を取得する工程(
図6のステップS2)と、超音波プローブ2の移動速度に関する情報に応じて、特定オブジェクト(オブジェクト111~114のうちの少なくとも一つ、例えば、ROI枠114)の表示属性を変更する工程(
図6のステップS4、S5)と、を含む。
【0065】
また、本実施の形態に係るプログラムは、被検体に向けて超音波を送信するように超音波プローブ2を駆動するとともに、被検体内で反射された反射波に基づく受信信号を超音波プローブ2から受信して、超音波画像を生成し、表示する超音波診断装置Aの制御部40(コンピューター)に、超音波プローブ2によって得られた受信信号からBモード画像(超音波画像)を生成する処理(
図6のステップS1)と、超音波プローブ2を移動させながら連続的に取得された複数のBモード画像をつなぎ合わせてパノラマ画像を生成する処理(
図6のステップS2、S3)と、Bモード画像又はパノラマ画像とともに、画像診断に必要な情報を示すオブジェクト111~114を表示部15に表示させる処理(
図6のステップS4、S5)と、超音波プローブ2の移動速度に関する情報を取得する処理(
図6のステップS2)と、超音波プローブ2の移動速度に関する情報に応じて、特定オブジェクト(オブジェクト111~114のうちの少なくとも一つ、例えば、ROI枠114)の表示属性を変更する処理(
図6のステップS4、S5)と、を実行させる。
このプログラムは、例えば、当該プログラムが格納されたコンピューター読取可能な可搬型記憶媒体(光ディスク、光磁気ディスク、及びメモリカードを含む)を介して提供される。また例えば、このプログラムは、当該プログラムを保有するサーバーから、ネットワークを介してダウンロードにより提供することもできる。
【0066】
実施の形態に係る超音波診断装置A、超音波診断方法及びプログラムによれば、ユーザーに対してプローブ移動速度を直感的に知得させることができるので、パノラマ画像を生成する際の超音波プローブ2の移動操作を支援することができる。ユーザーは、プローブ移動速度が最適速度となるように超音波プローブ2を移動させればよい。また、オブジェクト111~114は、画像診断に必要な情報を示す基本的な表示要素であるので、プローブ移動速度を示唆する支援情報を表示するために、新たに表示要素を増やす必要もなく、生成中のパノラマ画像の視認性が阻害されることもない。
【0067】
また、超音波診断装置Aにおいて、表示属性設定部30は、所定の最適速度に対する超音波プローブ2の移動速度の大小に基づいて、オブジェクト111~114の少なくとも一つ(特定オブジェクト)の表示属性を変更する。
これにより、プローブ移動速度が最適速度よりも速すぎる場合と、遅すぎる場合の両方に対応することができる。したがって、高精度のパノラマ画像を効率よく生成することができる。
【0068】
また、超音波診断装置Aにおいて、表示属性設定部30は、超音波プローブ2の移動速度と最適速度の乖離幅に基づいて、特定オブジェクト(例えば、ROI枠114)の表示属性を変更する。
これにより、ユーザーに対してプローブ移動速度が最適速度からどれくらい乖離しているかも知得させることができるので、ユーザーは容易にプローブ移動速度を調整することができる。
【0069】
また、超音波診断装置Aにおいて、特定オブジェクト(ROI枠114)の表示属性は、表示色、表示太さ、表示状況(点灯、点滅、表示明度や表示色の変化等)及び線種(点線、破線、二重線等)の少なくとも一つを含む。
これにより、ユーザーは、プローブ移動速度の適否を、視覚的に容易に知得することができる。
【0070】
また、超音波診断装置Aにおいて、表示属性設定部30は、超音波プローブ2の移動速度に応じて、表示色及び表示太さの少なくとも一方が段階的に設定された属性テーブルTを参照して、特定オブジェクト(例えば、ROI枠114)の表示属性を変更する。
これにより、特定オブジェクトの表示属性を変更する際の制御部40の負荷が軽減されるので、特定オブジェクトの表示にプローブ移動速度を迅速に反映させることができる。
【0071】
また、超音波診断装置Aにおいて、特定オブジェクトは、パノラマ画像を生成する際の対象領域を示すROI枠114であることが好ましい。
これにより、ユーザーは、生成中のパノラマ画像を確認しながら、視点をずらすことなく容易にプローブ移動速度を知得することができるため、適正な画像を取得することができる。
【0072】
また、超音波診断装置Aにおいて、表示属性設定部30は、合成対象となる2つの画像間の相関に基づいて、特定オブジェクト(例えば、ROI枠114)の表示属性を変更する。
これにより、超音波プローブ2に速度センサー等を設けることなく、特定オブジェクトの表示属性にプローブ移動速度を反映させることができる。
【0073】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0074】
例えば、実施の形態では、プローブ移動速度が最適速度よりも速い場合及び遅い場合に、特定オブジェクト(例えば、ROI枠114)の表示属性を変更しているが、プローブ移動速度が最適速度よりも速い場合にのみ特定オブジェクトの表示属性を変更してもよいし、遅い場合にのみ特定オブジェクトの表示属性を変更してもよい。
【0075】
また例えば、実施の形態では、プローブ移動速度と最適速度の乖離幅に基づいて、特定オブジェクト(例えば、ROI枠114)の表示属性を変更しているが、特定オブジェクトの表示属性に乖離幅を反映させなくてもよい。すなわち、特定オブジェクトの表示属性によって、プローブ移動速度が最適速度よりも速いか、又は遅いかのみを示唆するようにしてもよい。この場合、最適速度に対するプローブ移動速度の大小を、特定オブジェクトの表示太さではなく、表示色によって示唆してもよい。
【0076】
また、実施の形態では、特定オブジェクト(例えば、ROI枠114)の表示色及び表示太さによってプローブ移動速度を示唆しているが、何れか一方で対応してもよい。例えば、表示色の輝度を段階的に変化させたり、表示太さを段階的に変化させることにより、最適速度に対するプローブ移動速度の大小だけでなく、最適速度からの乖離幅も示唆することができる。また、その他の表示属性(例えば、表示状況(点灯、点滅、表示明度や表示色の変化等)及び線種(点線、破線、二重線等)によってプローブ移動速度を示唆してもよい。
【0077】
また、実施の形態では、属性テーブルTを参照して、特定オブジェクト(ROI枠114)の表示属性を変更しているが、プローブ移動速度に応じて、表示色の輝度や表示太さを演算して、特定オブジェクトの表示属性を連続的に変化させてもよい。
【0078】
また、実施の形態では、ROI枠114を特定オブジェクトとして使用して、ROI枠114の表示属性によってプローブ移動速度を示唆しているが、その他のオブジェクト111~113を特定オブジェクトとして使用してもよい。
【0079】
また、実施の形態では、属性テーブルTにおいて、相関情報から求まるプローブ移動速度と特定オブジェクト(例えば、ROI枠114)の表示属性を対応付けているが、相関情報と表示属性を対応付けてもよい。すなわち、特定オブジェクトの表示属性を決定する上で、プローブ移動速度を演算しなくてもよい。
【0080】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
A 超音波診断装置
1 超音波診断装置本体
2 超音波プローブ
11 送信部
12 受信部
13 ROI設定部
14 表示処理部
15 表示部
16 操作入力部
17 Bモード信号処理部
20 パノラマ画像生成部
21 相関演算部
22 画像合成部
30 表示属性設定部
31 速度演算部
32 属性決定部
40 制御部