(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】画像形成システム、色合わせ方法及び色合わせプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/60 20060101AFI20220405BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20220405BHJP
B41J 2/525 20060101ALI20220405BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
H04N1/60 300
B41J29/393 107
B41J2/525
G06T1/00 510
(21)【出願番号】P 2018127258
(22)【出願日】2018-07-04
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小野 孝一
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-094040(JP,A)
【文献】特開2016-139867(JP,A)
【文献】特開2016-150469(JP,A)
【文献】特開2009-055195(JP,A)
【文献】特開2010-157830(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0062441(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/46-62
B41J 29/393
B41J 2/525
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブに基づいて用紙に画像を形成する画像形成部と、前記用紙に形成された画像を測色する測色部と、を少なくとも備える画像形成システムにおいて、
第1のジョブに対して、前記画像形成部に画像を形成させ、前記測色部に前記画像を測色させて、前記第1のジョブの測色結果を取得し、前記第1のジョブに記載された色情報と前記第1のジョブの測色結果とに基づいて、プロファイルを作成するプロファイル管理部と、
前記第1のジョブ以降の、当該第1のジョブに関連付けられた第2のジョブに対して、前記画像形成部に画像を形成させ、前記測色部に前記画像を測色させて、前記第2のジョブの測色結果を取得し、前記第1のジョブの測色結果と前記第2のジョブの測色結果とを比較して色の整合性を判断し、色の整合性がないと判断した場合、前記画像形成部に色調整を指示又はユーザに色調整を促す警告を通知する色整合性判断部と、を備え、
前記プロファイル管理部は、前記色整合性判断部が色の整合性があると判断した場合、前記第1のジョブに基づいて作成した前記プロファイルに、前記第2のジョブの測色結果を反映させて、前記プロファイルを更新する、
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記プロファイル管理部は、前記第2のジョブの色情報が、前記第1のジョブに基づいて作成した前記プロファイルに存在する場合は、当該プロファイルの前記色情報に対応する測色結果を前記第2のジョブの前記色情報に対応する測色結果に置き換えて、前記プロファイルを更新する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記プロファイル管理部は、互いに関連付けられた複数のジョブの内の最新のジョブの測色結果のみを用いて、前記プロファイルを更新する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記プロファイル管理部は、互いに関連付けられた複数のジョブの内の最新のジョブの測色結果と当該ジョブの1つ前のジョブの測色結果とを用いて、前記プロファイルを更新する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記プロファイル管理部は、互いに関連付けられた複数のジョブの内の最新のジョブの測色結果と当該ジョブ以前の全てのジョブの測色結果とを用いて、前記プロファイルを更新する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記色整合性判断部は、互いに関連付けられた複数のジョブのオブジェクト情報を取得し、前記オブジェクト情報に基づいて画像が連続する連続領域を抽出し、前記連続領域において各々のジョブの画像間に色調の整合性があるかを判断し、
前記プロファイル管理部は、前記色整合性判断部が、前記各々のジョブの画像間に色調の整合性がないと判断した場合は、前のジョブの前記画像の色調の傾向から、後のジョブの前記画像の色の目標値を算出し、前記プロファイルを前記目標値で補正して、前記連続領域用のプロファイルを作成する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記色整合性判断部は、製本を指示するジョブによって作成された印刷物の背表紙の画像が連続する場合において、各々のジョブの前記印刷物を並べて配置した時に前記印刷物間に距離がある場合は、前記距離を考慮して、各々のジョブの背表紙の画像間に色調の整合性があるかを判断する、
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記プロファイル管理部は、色調の整合性がないと判断した領域に対しては、前記連続領域用のプロファイルを適用し、色調の整合性があると判断した領域に対しては、補正前の前記プロファイルを適用する、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記プロファイル管理部は、過去に印刷したジョブを用いて再度印刷する場合は、前記過去に印刷したジョブから最新のジョブまでの前記プロファイルの更新情報を用いて、前記過去に印刷したジョブに対応する前記プロファイルを復元して適用する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記測色部はスキャナであり、
前記プロファイル管理部及び前記色整合性判断部は、前記スキャナの読み取り値を予め作成したプロファイルを用いて変換して前記測色結果を取得する、
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一に記載の画像形成システム。
【請求項11】
ジョブに基づいて用紙に画像を形成する画像形成部と、前記用紙に形成された画像を測色する測色部と、前記画像形成部及び前記測色部を制御する制御部と、を少なくとも備える画像形成システムにおける色合わせ方法であって、
前記制御部は、
第1のジョブに対して、前記画像形成部に画像を形成させ、前記測色部に前記画像を測色させて、前記第1のジョブの測色結果を取得し、前記第1のジョブに記載された色情報と前記第1のジョブの測色結果とに基づいて、プロファイルを作成するプロファイル作成処理と、
前記第1のジョブ以降の、当該第1のジョブに関連付けられた第2のジョブに対して、前記画像形成部に画像を形成させ、前記測色部に前記画像を測色させて、前記第2のジョブの測色結果を取得し、前記第1のジョブの測色結果と前記第2のジョブの測色結果とを比較して色の整合性を判断する第1の判断処理と、
前記第1の判断処理で色の整合性がないと判断した場合、前記画像形成部に色調整を指示又はユーザに色調整を促す警告を通知する指示処理と、
前記第1の判断処理で色の整合性があると判断した場合、前記第1のジョブに基づいて作成した前記プロファイルに、前記第2のジョブの測色結果を反映させて、前記プロファイルを更新するプロファイル更新処理と、を実行する、
ことを特徴とする色合わせ方法。
【請求項12】
前記プロファイル更新処理では、前記第2のジョブの色情報が、前記第1のジョブに基づいて作成した前記プロファイルに存在する場合は、当該プロファイルの前記色情報に対応する測色結果を前記第2のジョブの前記色情報に対応する測色結果に置き換えて、前記プロファイルを更新する、
ことを特徴とする請求項11に記載の色合わせ方法。
【請求項13】
前記プロファイル更新処理では、互いに関連付けられた複数のジョブの内の最新のジョブの測色結果のみを用いて、前記プロファイルを更新する、
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の色合わせ方法。
【請求項14】
前記プロファイル更新処理では、互いに関連付けられた複数のジョブの内の最新のジョブの測色結果と当該ジョブの1つ前のジョブの測色結果とを用いて、前記プロファイルを更新する、
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の色合わせ方法。
【請求項15】
前記プロファイル更新処理では、互いに関連付けられた複数のジョブの内の最新のジョブの測色結果と当該ジョブ以前の全てのジョブの測色結果とを用いて、前記プロファイルを更新する、
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の色合わせ方法。
【請求項16】
前記制御部は、更に、
互いに関連付けられた複数のジョブのオブジェクト情報を取得し、前記オブジェクト情報に基づいて画像が連続する連続領域を抽出し、前記連続領域において各々のジョブの画像間に色調の整合性があるかを判断する第2の判断処理と、
前記第2の判断処理で前記各々のジョブの画像間に色調の整合性がないと判断した場合は、前のジョブの前記画像の色調の傾向から、後のジョブの前記画像の色の目標値を算出し、前記プロファイルを前記目標値で補正して、前記連続領域用のプロファイルを作成する連続領域用プロファイル作成処理と、を実行する、
ことを特徴とする請求項11乃至15のいずれか一に記載の色合わせ方法。
【請求項17】
前記第2の判断処理では、製本を指示するジョブによって作成された印刷物の背表紙の画像が連続する場合において、各々のジョブの前記印刷物を並べて配置した時に前記印刷物間に距離がある場合は、前記距離を考慮して、各々のジョブの背表紙の画像間に色調の整合性があるかを判断する、
ことを特徴とする請求項16に記載の色合わせ方法。
【請求項18】
前記制御部は、
色調の整合性がないと判断した領域に対しては、前記連続領域用のプロファイルを適用し、色調の整合性があると判断した領域に対しては、補正前の前記プロファイルを適用する、
ことを特徴とする請求項16又は17に記載の色合わせ方法。
【請求項19】
前記制御部は、
過去に印刷したジョブを用いて再度印刷する場合は、前記過去に印刷したジョブから最新のジョブまでの前記プロファイルの更新情報を用いて、前記過去に印刷したジョブに対応する前記プロファイルを復元して適用する、
ことを特徴とする請求項11乃至18のいずれか一に記載の色合わせ方法。
【請求項20】
前記測色部はスキャナであり、
前記プロファイル作成処理及び前記第1の判断処理では、前記スキャナの読み取り値を予め作成したプロファイルを用いて変換して前記測色結果を取得する、
ことを特徴とする請求項11乃至19のいずれか一に記載の色合わせ方法。
【請求項21】
ジョブに基づいて用紙に画像を形成する画像形成部と、前記用紙に形成された画像を測色する測色部と、前記画像形成部及び前記測色部を制御する制御部と、を少なくとも備える画像形成システムで動作する色合わせプログラムであって、
前記制御部に、
第1のジョブに対して、前記画像形成部に画像を形成させ、前記測色部に前記画像を測色させて、前記第1のジョブの測色結果を取得し、前記第1のジョブに記載された色情報と前記第1のジョブの測色結果とに基づいて、プロファイルを作成するプロファイル作成処理、
前記第1のジョブ以降の、当該第1のジョブに関連付けられた第2のジョブに対して、前記画像形成部に画像を形成させ、前記測色部に前記画像を測色させて、前記第2のジョブの測色結果を取得し、前記第1のジョブの測色結果と前記第2のジョブの測色結果とを比較して色の整合性を判断する第1の判断処理、
前記第1の判断処理で色の整合性がないと判断した場合、前記画像形成部に色調整を指示又はユーザに色調整を促す警告を通知する指示処理、
前記第1の判断処理で色の整合性があると判断した場合、前記第1のジョブに基づいて作成した前記プロファイルに、前記第2のジョブの測色結果を反映させて、前記プロファイルを更新するプロファイル更新処理、を実行させる、
ことを特徴とする色合わせプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、色合わせ方法及び色合わせプログラムに関し、特に、互いに関連付けられた複数のジョブの印刷を行う画像形成システム、当該複数のジョブの色の整合性を確保する色合わせ方法及び当該画像形成システムで動作する色合わせプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷工程では、初めに見本となる校正刷り(校正印刷)を行い、ユーザが色合いも含めて印刷物に問題がないかを目視確認した後、本番印刷を行う。この本番印刷では、定期的に見本と色合いが変わっていないかをユーザが確認するが、近年では見本(色見本)のスキャン画像と印刷物の元データとからターゲットプロファイルを作成し、色見本とターゲットプロファイルを適用して印刷した印刷物との色差が広がっていないかを検査して色合わせを行うシステムが提案されている。
【0003】
なお、通常、ターゲットプロファイルを作成する場合は、各色を含んだ数百~数千のパッチを測色する事で各色に対応したプロファイルを作成するが、このシステムの場合は、印刷物に使用されている原稿の色しか保証することができず、それ以外の色は保証できないため、特定ジョブに特化した専用プロファイルの位置づけとなる。
【0004】
このようなプロファイルの作成に関して、例えば、下記特許文献1には、原稿画像データに基づいて印刷された目標印刷物を読み取って前記目標印刷物の読取画像を表す第一の解像度の読取画像データを取得する画像読取部と、前記第一の解像度の読取画像データから、前記第一の解像度よりも低解像度である第二の解像度の画像データを生成する第一の低解像度画像生成部と、前記原稿画像データと前記第二の解像度の画像データとの対応関係を特定する画像対応付け部と、前記画像対応付け部により特定された前記対応関係を基に、第一の色空間の色情報と第二の色空間の色情報との多次元の対応関係を示す色変換テーブルを作成する色変換テーブル作成部と、を備える、色変換テーブル作成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
印刷物としてシリーズものの商品があり、最初の1巻目を印刷する色見本は、カラーエキスパートの目視により色味を確認することによって決定することができるが、2巻目以降を印刷する色見本は、カラーエキスパートの目視による色味の確認に加えて、前号との色味や色調の比較も行わないと、商品を陳列した場合に斑模様が視認され、商品価値が低下してしまう。
【0007】
この問題に対して、前号の印刷時に取得したターゲットプロファイルを用いて次号の色合わせを行う方法が考えられる。しかしながら、このターゲットプロファイルは前号の印刷物から取得できた色以外は保障されないため、前号の印刷物にない色に対してこのターゲットプロファイルを適用することは不適切である。また、前号の印刷物にある色であっても、画像が連続する連続領域では、このターゲットプロファイルを用いても色調の連続性を確保できるとは限らない。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、互いに関連付けられた複数のジョブの色の整合性を確保することができる画像形成システム、色合わせ方法及び色合わせプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面は、ジョブに基づいて用紙に画像を形成する画像形成部と、前記用紙に形成された画像を測色する測色部と、を少なくとも備える画像形成システムにおいて、第1のジョブに対して、前記画像形成部に画像を形成させ、前記測色部に前記画像を測色させて、前記第1のジョブの測色結果を取得し、前記第1のジョブに記載された色情報と前記第1のジョブの測色結果とに基づいて、プロファイルを作成するプロファイル管理部と、前記第1のジョブ以降の、当該第1のジョブに関連付けられた第2のジョブに対して、前記画像形成部に画像を形成させ、前記測色部に前記画像を測色させて、前記第2のジョブの測色結果を取得し、前記第1のジョブの測色結果と前記第2のジョブの測色結果とを比較して色の整合性を判断し、色の整合性がないと判断した場合、前記画像形成部に色調整を指示又はユーザに色調整を促す警告を通知する色整合性判断部と、を備え、前記プロファイル管理部は、前記色整合性判断部が色の整合性があると判断した場合、前記第1のジョブに基づいて作成した前記プロファイルに、前記第2のジョブの測色結果を反映させて、前記プロファイルを更新することを特徴とする。
【0010】
本発明の一側面は、ジョブに基づいて用紙に画像を形成する画像形成部と、前記用紙に形成された画像を測色する測色部と、前記画像形成部及び前記測色部を制御する制御部と、を少なくとも備える画像形成システムにおける色合わせ方法であって、前記制御部は、第1のジョブに対して、前記画像形成部に画像を形成させ、前記測色部に前記画像を測色させて、前記第1のジョブの測色結果を取得し、前記第1のジョブに記載された色情報と前記第1のジョブの測色結果とに基づいて、プロファイルを作成するプロファイル作成処理と、前記第1のジョブ以降の、当該第1のジョブに関連付けられた第2のジョブに対して、前記画像形成部に画像を形成させ、前記測色部に前記画像を測色させて、前記第2のジョブの測色結果を取得し、前記第1のジョブの測色結果と前記第2のジョブの測色結果とを比較して色の整合性を判断する第1の判断処理と、前記第1の判断処理で色の整合性がないと判断した場合、前記画像形成部に色調整を指示又はユーザに色調整を促す警告を通知する指示処理と、前記第1の判断処理で色の整合性があると判断した場合、前記第1のジョブに基づいて作成した前記プロファイルに、前記第2のジョブの測色結果を反映させて、前記プロファイルを更新するプロファイル更新処理と、を実行することを特徴とする。
【0011】
本発明の一側面は、ジョブに基づいて用紙に画像を形成する画像形成部と、前記用紙に形成された画像を測色する測色部と、前記画像形成部及び前記測色部を制御する制御部と、を少なくとも備える画像形成システムで動作する色合わせプログラムであって、前記制御部に、第1のジョブに対して、前記画像形成部に画像を形成させ、前記測色部に前記画像を測色させて、前記第1のジョブの測色結果を取得し、前記第1のジョブに記載された色情報と前記第1のジョブの測色結果とに基づいて、プロファイルを作成するプロファイル作成処理、前記第1のジョブ以降の、当該第1のジョブに関連付けられた第2のジョブに対して、前記画像形成部に画像を形成させ、前記測色部に前記画像を測色させて、前記第2のジョブの測色結果を取得し、前記第1のジョブの測色結果と前記第2のジョブの測色結果とを比較して色の整合性を判断する第1の判断処理、前記第1の判断処理で色の整合性がないと判断した場合、前記画像形成部に色調整を指示又はユーザに色調整を促す警告を通知する指示処理、前記第1の判断処理で色の整合性があると判断した場合、前記第1のジョブに基づいて作成した前記プロファイルに、前記第2のジョブの測色結果を反映させて、前記プロファイルを更新するプロファイル更新処理、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像形成システム、色合わせ方法及び色合わせプログラムによれば、互いに関連付けられた複数のジョブの色の整合性を確保することができる。
【0013】
その理由は、ジョブに基づいて用紙に画像形成を行う画像形成部と、用紙に形成された画像を測色する測色部と、を少なくとも備える画像形成システムに、第1のジョブに対して、画像形成部に画像を形成させ、測色部に画像を測色させて、第1のジョブの測色結果を取得し、第1のジョブに記載された色情報と第1のジョブの測色結果とに基づいて、プロファイルを作成するプロファイル管理部と、第1のジョブ以降の、当該第1のジョブに関連付けられた第2のジョブに対して、画像形成部に画像を形成させ、測色部に画像を測色させて、第2のジョブの測色結果を取得し、第1のジョブの測色結果と第2のジョブの測色結果とを比較して色の整合性を判断し、色の整合性がないと判断した場合、画像形成部に色調整を指示又はユーザに色調整を促す警告を通知する色整合性判断部と、を設け、プロファイル管理部は、色整合性判断部が色の整合性があると判断した場合、第1のジョブに基づいて作成したプロファイルに、第2のジョブの測色結果を反映させて、プロファイルを更新する制御を行うからである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ターゲットプロファイルを示す模式図である。
【
図2】シリーズものの商品の一例を示す模式図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係る色合わせ方法を説明する模式図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る画像形成システムの一例を模式的に示す図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る画像形成システムの他の例を模式的に示す図である。
【
図6】本発明の一実施例に係る出力指示端末の構成を示すブロック図である。
【
図7】本発明の一実施例に係るコントローラの構成を示すブロック図である。
【
図8】本発明の一実施例に係るプリンタの構成を示すブロック図である。
【
図9】本発明の一実施例に係るコントローラの全体処理を示すフローチャート図である。
【
図10】本発明の一実施例に係るコントローラの処理(出力色プロファイル作成処理)を示すフローチャート図である。
【
図11】本発明の一実施例に係るコントローラの処理(出力色プロファイル更新処理)を示すフローチャート図である。
【
図12】本発明の一実施例に係るコントローラの処理(色検証処理)を示すフローチャート図である。
【
図13】本発明の一実施例に係る出力指示端末に表示される画面(印刷設定画面)の一例を示す模式図である。
【
図14】本発明の一実施例に係るコントローラに表示される画面(出力色プロファイル作成通知画面)の一例を示す模式図である。
【
図15】本発明の一実施例に係るコントローラに表示される画面(色調整指示画面)の一例を示す模式図である。
【
図16】本発明の一実施例に係る出力色プロファイルの更新方法を示す模式図である。
【
図17】本発明の一実施例に係るコントローラに表示される画面(出力色プロファイル更新通知画面)の一例を示す模式図である。
【
図18】本発明の一実施例に係る出力指示端末に表示される画面(印刷設定画面)の一例を示す模式図である。
【
図19】本発明の一実施例に係るコントローラに表示される画面(警告画面)の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
背景技術で示したように、印刷工程では、初めに見本となる校正刷りを行った後に本番印刷を行うが、この本番印刷に関して、近年では見本(色見本)のスキャン画像と印刷物の元データとから
図1に示すようなターゲットプロファイルを作成し、色見本とターゲットプロファイルを適用して印刷した印刷物との色差が広がっていないかを検査して色合わせを行うシステムが提案されている。
【0016】
一方、印刷物として
図2に示すようなシリーズものの商品があり、このような商品を印刷する場合、最初の1巻目を印刷する色見本は、カラーエキスパートの目視により色味を確認することによって決定することができるが、2巻目以降を印刷する色見本は、カラーエキスパートの目視による色味の確認に加えて、前号との色味や色調の比較も行わないと、商品を陳列した場合に斑模様が視認され、商品価値が低下してしまう。
【0017】
この問題に対して、前号の印刷時に取得したターゲットプロファイルを用いて次号の色合わせを行う方法が考えられるが、前号の印刷物にない色に対してこのターゲットプロファイルを適用することは不適切であり、また、前号の印刷物にある色であっても、画像が連続する連続領域では色調の連続性を確保できるとは限らない。すなわち、互いに関連付けられた複数のジョブに基づいて印刷物を作成する際に、前のジョブを印刷する際に作成したターゲットプロファイルを使用して、後のジョブの色合わせを行っても、ジョブ同士の色味や色調のずれを解消することができないという問題がある。
【0018】
そこで、本発明の一実施の形態では、ジョブに基づいて用紙に画像形成を行う画像形成部と、用紙に形成された画像を測色する測色部と、を少なくとも備える画像形成システムに、第1のジョブに対して、画像形成部に画像を形成させ、測色部に画像を測色させて、第1のジョブの測色結果を取得し、第1のジョブに記載された色情報と第1のジョブの測色結果とに基づいて、プロファイルを作成するプロファイル管理部と、第1のジョブ以降の、当該第1のジョブに関連付けられた第2のジョブに対して、画像形成部に画像を形成させ、測色部に画像を測色させて、第2のジョブの測色結果を取得し、第1のジョブの測色結果と第2のジョブの測色結果とを比較して色の整合性を判断し、色の整合性がないと判断した場合、画像形成部に色調整を指示又はユーザに色調整を促す警告を通知する色整合性判断部と、を設け、プロファイル管理部は、色整合性判断部が色の整合性があると判断した場合、第1のジョブに基づいて作成したプロファイルに、第2のジョブの測色結果を反映させて、プロファイルを更新する。
【0019】
また、必要に応じて、色整合性判断部は、互いに関連付けられた複数のジョブのオブジェクト情報を取得し、オブジェクト情報に基づいて画像が連続する連続領域を抽出し、連続領域において各々のジョブの画像間に色調の整合性があるかを判断し、プロファイル管理部は、色整合性判断部が、各々のジョブの画像間に色調の整合性がないと判断した場合は、前のジョブの画像の色調の傾向から、後のジョブの画像の色の目標値を算出し、プロファイルを目標値で補正して、連続領域用のプロファイルを作成する。
【0020】
上述した本実施形態の色合わせ方法の具体例について、
図3を参照して説明する。
図3は、シリーズものの商品の第1巻と第2巻の背表紙の一例を示す模式図である。
図3に示すような互いに関連するジョブの印刷を行う場合、第1巻の印刷の際にプロファイルを作成し、そのプロファイルを用いて第2巻の印刷を行う。そして、
図3(a)の右上に示すように、第1巻の測色結果と第2巻の測色結果とを比較し、その色差が許容値未満の場合(第2巻の全体の色が第1巻の色と同じ場合)、第2巻の測色結果を反映させてプロファイルを更新する。また、
図3(a)の右下に示すように、オブジェクトの位置から画像が連続する連続領域(図の波形の図形の領域)を抽出し、その連続領域の色調の整合性を判断し、色調の整合性がないと判断した場合は、第1巻のジョブの画像の色調の傾向から、第2巻のジョブの画像の色の目標値を算出し、更新したプロファイルを目標値で補正して連続領域用のプロファイルを作成する。そして、
図3(b)に示すように、連続領域を除く全体に対しては、更新したプロファイルを適用し、連続領域に対しては、連続領域用のプロファイルを適用して第2巻の本番印刷を行う。
【0021】
このように、ジョブ同士を関連付けながら適切なプロファイルを生成することにより、互いに関連付けられたジョブ同士の色味や色調のずれを解消し、色味や色調の整合性を確保することができる。
【実施例】
【0022】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る画像形成システム、色合わせ方法及び色合わせプログラムについて、
図4乃至
図19を参照して説明する。
図4及び
図5は、本実施例の画像形成システムの一例を模式的に示す図であり、
図6乃至
図8は、各々、出力指示端末、コントローラ、プリンタの構成を示すブロック図である。また、
図9乃至
図12は、本実施例のコントローラの処理を示すフローチャート図であり、
図13及び
図18は、本実施例の出力指示端末に表示される画面の一例である。また、
図14、
図15、
図17、
図19は、本実施例のコントローラに表示される画面の一例であり、
図16は、本実施例の出力色プロファイルの更新方法を示す模式図である。
【0023】
図4に示すように、本実施例の画像形成システムは、出力指示端末10と、コントローラ20と、測色器(又はスキャナ)の機能を備えるプリンタ30などで構成され、これらは、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI(Fiber-Distributed Data Interface)等の規格により定められるLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワーク50を介して接続されている。なお、コントローラ20とプリンタ30とはPCI(Peripheral Component Interconnect)接続など、専用線で接続されていてもよい。
【0024】
また、
図4では、プリンタ30が測色器(又はスキャナ)の機能を備える構成としたが、
図5に示すように、測色器(又はスキャナ)40が通信ネットワーク50に接続(又は、出力指示端末10やコントローラ20に直接接続)され、測色器(又はスキャナ)40から印刷物の測色結果を取得する構成としてもよい。以下、
図4の画像形成システムを前提として、各装置について詳細に説明する。
【0025】
[出力指示端末]
出力指示端末10は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置であり、印刷ジョブを作成してコントローラ20に送信する。この出力指示端末10は、
図6(a)に示すように、制御部11と記憶部12とネットワークI/F部13と表示部14と操作部15などで構成される。
【0026】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)11aとROM(Read Only Memory)11bやRAM(Random Access Memory)11cなどのメモリとで構成され、CPU11aは、ROM11bや記憶部12に記憶した制御プログラムをRAM11cに展開して実行することにより、出力指示端末10全体の動作を制御する。また、
図6(b)に示すように、上記制御部11(CPU11a)により、OS(Operating System)16、文書作成アプリケーション17、プリンタドライバ18などが実行される。
【0027】
OS16は、Windows(登録商標)やmacOS(登録商標)、Android(登録商標)などであり、出力指示端末10で文書作成アプリケーション17やプリンタドライバ18を動作可能にする。
【0028】
文書作成アプリケーション17は、文章作成や画像加工などを行うソフトウェアであり、印刷指示の際にプリンタドライバ18を読み出し、文書作成アプリケーション17で作成した原稿データをプリンタドライバ18に転送する。
【0029】
プリンタドライバ18は、文書作成アプリケーション17で作成した原稿データを、コントローラ20が解釈可能な言語の印刷ジョブ(PJL(Printer Job Language)やPS(PostScript)、PCL(Printer Control Language)等のページ記述言語で記述されたPDL(Page Description Language)データ、または、PDF(Portable Document Format)データ)に変換する。この印刷ジョブには、プリンタドライバ18の印刷設定画面で設定された画像形成条件(特に、校正印刷にてプロファイル(本実施例では、出力色プロファイルと呼ぶ。)を作成するか否かの指定や色検証を行うか否かの指定、出力色プロファイルを新規作成するか登録済みの出力色プロファイルを更新するかの設定などを含む。)がプリントチケットやヘッダなどに記述されて付加される。
【0030】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などで構成され、CPU11aが各部を制御するためのプログラム、自装置の処理機能に関する情報、文書作成アプリケーション17が作成した原稿データ、プリンタドライバ18が作成した印刷ジョブなどを記憶する。
【0031】
ネットワークI/F部13は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、出力指示端末10を通信ネットワーク50に接続し、コントローラ20に印刷ジョブを送信する。
【0032】
表示部14は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(electroluminescence)表示装置などで構成され、文書作成アプリケーション17の原稿作成画面、プリンタドライバ18の印刷設定画面などを表示する。
【0033】
操作部15は、マウスやキーボードなどで構成され、文書作成アプリケーション17による原稿の作成、プリンタドライバ18による印刷条件の設定などの操作を可能にする。
【0034】
[コントローラ]
コントローラ20は、プリンタ30を制御する制御装置である。このコントローラ20は、
図7(a)に示すように、制御部21と記憶部22と画像処理部23とネットワークI/F部24aとプリンタI/F部24bと表示部25と操作部26などで構成される。
【0035】
制御部21は、CPU21aと、ROM21bやRAM21cなどのメモリとで構成され、CPU21aは、ROM21bや記憶部22に記憶した制御プログラムをRAM21cに展開して実行することにより、コントローラ20全体の動作を制御する。
【0036】
記憶部22は、HDDやSSDなどで構成され、CPU21aが各部を制御するためのプログラム、出力指示端末10から受信した印刷ジョブ、印刷ジョブに基づいて生成した画像データ、出力色プロファイル、出力色プロファイルの更新情報などを保存する。
【0037】
画像処理部23は、出力指示端末10から受信した印刷ジョブの処理方法や各種画像生成命令を解析する。また、画像処理部23は、RIP(Raster Image Processor)として機能し、印刷ジョブを翻訳し、印刷ジョブの各ページをラスタライズしてビットマップ形式の画像データを生成する。
【0038】
ネットワークI/F部24aは、NICやモデムなどで構成され、コントローラ20を通信ネットワーク50に接続し、出力指示端末10から印刷ジョブなどを受信する。プリンタI/F部24bは、コントローラ20をプリンタ30に接続するための専用インターフェイスであり、プリンタ30にビットマップ形式の画像データなどを送信して出力指示を行ったりする。
【0039】
表示部25は、液晶表示装置や有機EL表示装置などで構成され、後述する出力色プロファイル作成通知画面、色調整指示画面、出力色プロファイル更新通知画面、警告画面などを表示する。
【0040】
操作部26は、マウスやキーボードなどで構成され、上記画面に対する各種操作を可能にする。
【0041】
また、上記制御部21は、
図7(b)に示すように、プロファイル管理部27、色整合性判断部28、色検証部29などとしても機能する。
【0042】
プロファイル管理部27は、第1の印刷ジョブに対して、校正印刷の際に、プリンタ30の画像形成部に画像を形成させ、プリンタ30の測色部(又は外部の測色器)に画像を測色させて、第1の印刷ジョブの出力色(デバイスに依存しない測色値、例えば、L*a*b*値などの測色結果)を取得する。なお、プリンタ30のスキャナや外部のスキャナを用いる場合は、スキャナの読み取り値(例えば、RGB値)を予め用意したスキャナプロファイル(RGB値をL*a*b*値に変換するプロファイル)を用いて出力色に変換すればよい。そして、第1の印刷ジョブに記載された色情報(例えば、CMYK値又はRGB値)と第1の印刷ジョブの出力色(例えば、L*a*b*値)とに基づいて、L*a*b*値をCMYK値又はRGB値に変換する出力色プロファイルを作成する。そして、後述する出力色プロファイル作成通知画面を表示部25に表示させて、出力色プロファイルを作成した旨をユーザに通知する。
【0043】
また、プロファイル管理部27は、後述する色整合性判断部28が第1の印刷ジョブの出力色と第2の印刷ジョブの出力色とに色(色味)の整合性があると判断した場合、第1の印刷ジョブに基づいて作成した出力色プロファイルに、第2の印刷ジョブの出力色を反映させて、出力色プロファイルを更新する。例えば、第2の印刷ジョブの所定の色情報が、第1の印刷ジョブに基づいて作成した出力色プロファイルに存在する場合は、当該出力色プロファイルの所定の色情報に対応する出力色を第2の印刷ジョブの所定の色情報に対応する出力色に置き換えて、出力色プロファイルを更新する。また、互いに関連付けられた複数の印刷ジョブの内の最新の印刷ジョブの出力色(測色結果)のみを用いて、出力色プロファイルを更新したり、最新の印刷ジョブの出力色と当該印刷ジョブの1つ前の印刷ジョブの出力色とを用いて、出力色プロファイルを更新したり、最新の印刷ジョブの出力色と当該印刷ジョブ以前の全ての印刷ジョブの出力色とを用いて、出力色プロファイルを更新したりする。そして、後述する出力色プロファイル更新通知画面を表示部25に表示させて、出力色プロファイルを更新した旨をユーザに通知する。
【0044】
また、プロファイル管理部27は、画像が連続する連続領域において、後述する色整合性判断部28が各々の印刷ジョブの画像間に色調の整合性がないと判断した場合は、前の印刷ジョブの画像の色調の傾向から、後の印刷ジョブの画像の色の目標値を算出し、出力色プロファイルをこの目標値で補正して、連続領域用の出力色プロファイルを作成する。そして、色調の整合性がないと判断した領域に対しては、連続領域用の出力色プロファイルを適用し、色調の整合性があると判断した領域に対しては、補正前の出力色プロファイルを適用する。更に、プロファイル管理部27は、過去に印刷した印刷ジョブを用いて再度印刷する場合は、過去に印刷した印刷ジョブから最新の印刷ジョブまでの出力色プロファイルの更新情報(例えば、置き換えを行った色情報に対応する置き換え前の出力色及び置き換え後の出力色を特定する情報)を用いて、過去に印刷した印刷ジョブに対応する出力色プロファイルを復元して適用する。
【0045】
色整合性判断部28は、第1の印刷ジョブ以降の、当該第1の印刷ジョブに関連付けられた第2の印刷ジョブに対して、校正印刷の際に、プリンタ30の画像形成部に画像を形成させ、プリンタ30の測色部(又は外部の測色器)に画像を測色させて、第2の印刷ジョブの出力色(測色結果)を取得する。なお、プリンタ30のスキャナや外部のスキャナを用いる場合は、スキャナの読み取り値(例えば、RGB値)を予め用意したスキャナプロファイル(RGB値をL*a*b*値に変換するプロファイル)を用いて出力色に変換すればよい。そして、第1の印刷ジョブの出力色と第2の印刷ジョブの出力色との色差を算出し、算出した色差と予め定めた許容値とを比較して色(色味)の整合性を判断し、色差が許容値内ではない(色の整合性がない)と判断した場合、プリンタ30の画像形成部に色調整を指示したり、後述する色調整指示画面を表示部25に表示させて、ユーザに色調整を促す警告を通知したりする。
【0046】
また、色整合性判断部28は、互いに関連付けられた複数の印刷ジョブのオブジェクト情報を取得し、オブジェクト情報に基づいて画像が連続する連続領域を抽出し、連続領域において各々の印刷ジョブの画像間に色調の整合性があるかを判断する。その際、製本を指示する印刷ジョブによって作成された印刷物の背表紙の画像が連続する場合において、各々の印刷ジョブの印刷物を並べて配置した時に印刷物間に距離がある場合は、その距離を考慮して、各々の印刷ジョブの背表紙の画像間に色調の整合性があるかを判断する。
【0047】
色検証部29は、印刷ジョブで色検証が指定されている場合は、その印刷ジョブに関連付けられたグループから出力色プロファイルを取得する。また、その印刷ジョブに対して、プリンタ30の画像形成部に画像を形成させ、プリンタ30の測色部(又は外部の測色器)に画像を測色させて、その印刷ジョブの出力色(測色結果)を取得する。そして、取得した出力色プロファイルと印刷ジョブの出力色との色差を算出し、色差と予め定めた許容値とを比較し、色差が許容値内ではないと判断した場合は、プリンタ30に、印刷を停止させ、ユーザに色ずれがある旨の警告を通知する。例えば、後述する警告画面を表示部25に表示させて、ガンマ調整、濃度バランス調整、最高濃度調整、出力紙濃度調整、キャリブレーション等の色調整を実施させる。そして、色調整が完了したら、再度、出力色プロファイルと印刷ジョブの出力色との色差を算出し、色差が許容値内になるまで、上記処理を繰り返し実行する。
【0048】
上記プロファイル管理部27、色整合性判断部28、色検証部29はハードウェアとして構成してもよいし、制御部21を、プロファイル管理部27、色整合性判断部28、色検証部29(特に、プロファイル管理部27、色整合性判断部28)として機能させる色合わせプログラムとして構成し、当該色合わせプログラムをCPU21aに実行させるようにしてもよい。
【0049】
[プリンタ]
プリンタ30は、コントローラ20の指示に基づいて印刷を行うMFP(Multi-Functional Peripherals)などの画像形成装置である。本実施例では、プリンタ30は、用紙の搬送経路上にインライン測色器(又はインラインスキャナ)を備えるものとする。このプリンタ30は、
図8に示すように、制御部31と記憶部32とコントローラI/F部33と表示操作部34と画像形成部35と測色部36などで構成される。
【0050】
制御部31は、CPU31aとROM31bやRAM31cなどのメモリとで構成され、CPU31aは、ROM31bや記憶部32に記憶した制御プログラムをRAM31cに展開して実行することにより、プリンタ30全体の動作を制御する。なお、プリンタ30がコントローラ20を内蔵する場合は、プリンタ30の制御部31を上述したプロファイル管理部、色整合性判断部、色検証部(特に、プロファイル管理部、色整合性判断部)として機能させる(制御部31のCPU31aに色合わせプログラムを実行させる)構成とすることができる。
【0051】
記憶部32は、HDDやSSDなどで構成され、CPU31aが各部を制御するためのプログラム、自装置の処理機能に関する情報、必要に応じて、出力色プロファイルやスキャナプロファイルなどを記憶する。
【0052】
コントローラI/F部33は、プリンタ30をコントローラ20に接続するための専用インターフェイスであり、コントローラ20から画像データなどを受信する。なお、プリンタ30がコントローラ20の機能を備える場合は、出力指示端末10から印刷ジョブを受信する。
【0053】
表示操作部34は、表示部上に透明電極が格子状に配置された感圧式の操作部(タッチセンサ)を設けたタッチパネルなどであり、印刷処理に関する各種画面や、必要に応じて、出力色プロファイル作成通知画面、色調整指示画面、出力色プロファイル更新通知画面、警告画面などを表示し、印刷に関する各種操作や上記画面に対する各種操作を可能にする。
【0054】
画像形成部(エンジン)35は、画像データに基づいて印刷処理を実行する。例えば、帯電装置により帯電された感光体ドラムに露光装置から画像に応じた光を照射して静電潜像を形成し、現像装置で、帯電したトナーを感光体ドラムに付着させて現像し、そのトナー像を転写ベルトに1次転写し、転写ベルトから用紙に2次転写し、更に定着装置で用紙上のトナー像を定着させる処理を行う。
【0055】
測色部36は、画像形成後の用紙の搬送経路上に設けられたインライン測色器である。この測色部36は、例えば、光の波長ごとに計測可能なスペクトル方式の測色器(分光測色器)であり、用紙から読み取った測色値(L*a*b*値、XYZ値など)を出力する。上記測色部36は、例えば、RGBの3種類のセンサで印刷物を読み取るスキャナとしてもよい。
【0056】
なお、
図4乃至
図8は、本実施例の画像形成システムの一例であり、その構成は適宜変更可能である。
【0057】
以下、上記構成の画像形成システムにおけるコントローラ20の処理について、
図9乃至
図12を参照して説明する。CPU21aは、ROM21b又は記憶部22に記憶した色合わせプログラムをRAM21cに展開して実行することにより、
図9乃至
図12のフローチャート図に示す各ステップの処理を実行する。
【0058】
[校正印刷]
ユーザは、校正印刷を行う際に、印刷設定にて、印刷ジョブを使って出力色プロファイルを作成するか否かを指定する。例えば、出力指示端末10のプリンタドライバ18を用いて印刷設定を行う際に、プリンタドライバ18は、
図13に示すような印刷設定画面60(色検証登録のタブ)を表示部14に表示させる。そして、ユーザが、操作部15を操作して、「出力色プロファイル作成」の欄にチェックを入れ、新規作成を選択してグループ名(ここではグループ5)を記入して「OK」ボタンを押下したら、プリンタドライバ18は、その情報をプリントチケット等に付加した印刷ジョブを作成してコントローラ20に出力する。なお、上記では、出力指示端末10(プリンタドライバ18)が、新規ジョブに対して、出力色プロファイルを作成するか否かを指定したが、保存ジョブに対してプリントチケットを編集したり、予め出力指示端末10やコントローラ20に出力色プロファイルを作成するジョブを登録しておき、ジョブ名で自動的に出力色プロファイルを作成するか否かを判断したりしてもよい。
【0059】
まず、コントローラ20は、出力指示端末10から印刷ジョブを受信したら(S101)、画像処理部23は、印刷ジョブを解析して、プリントチケット等に出力色プロファイル作成の指定があるか否かを判断する(S102)。出力色プロファイル作成の指定がない場合は(S102のNo)、制御部21(色検証部29)は、色検証を実施する(S103)。この色検証の詳細は後述する。
【0060】
一方、出力色プロファイル作成の指定がある場合は(S102のYes)、制御部21(プロファイル管理部27)は、印刷ジョブの色情報を記憶部22などに保存する(S104)。そして、制御部21(プロファイル管理部27)は、画像処理部23が印刷ジョブから生成した画像データをプリンタ30に送信して、画像形成部35に印刷ジョブに基づく印刷を実施させると共に(S105)、測色部36に印刷物の測色を実施させ、測色部36から出力色(印刷物の測色結果)を取得して記憶部22などに保存する(S106)。なお、ここでは、インラインの測色器にて測色を実施するものとするが、印刷ジョブの印刷後にユーザが外部の測色器40を用いて測色し、制御部21が外部の測色器40から出力色を取得して記憶部22などに保存してもよい。また、制御部21がインラインのスキャナや外部のスキャナから印刷物をスキャンしたRGB値を取得し、予め設けたプロファイルを用いて出力色に変換した後、記憶部22などに保存してもよい。
【0061】
次に、制御部21(プロファイル管理部27)は、印刷ジョブのプリントチケット等に、その印刷ジョブから出力色プロファイルを新規作成するか、登録済みの出力色プロファイルに対して印刷ジョブの出力色を反映させて出力色プロファイルを更新するか、のどちらが設定されているかを判断する(S107)。
【0062】
出力色プロファイルを新規作成する設定の場合は(S107のYes)、制御部21(プロファイル管理部27)は、出力色プロファイルを作成する(S108)。
図10は、その詳細を示しており、まず、S104で保存した印刷ジョブの色情報(CMYK値又はRGB値)を記憶部22などから取得し(S201)、S106で保存した印刷物の測色結果を取得する(S202)。そして、制御部21(プロファイル管理部27)は、印刷ジョブの色情報と印刷物の測色結果との対応付けをマッピングし(S203)、そのマッピング結果より、出力色プロファイルを作成する(S204)。
【0063】
図9に戻って、制御部21(プロファイル管理部27)は、新規作成した出力色プロファイルをグループ名と共に記憶部22などに保存する(S109)。なお、グループとは、漫画の1巻、2巻、3巻…のようなシリーズものとして連載出版されているような印刷物の集まりを示す。そして、制御部21(プロファイル管理部27)は、新規作成した結果をユーザに通知する(S110)。例えば、
図14に示すような出力色プロファイル作成通知画面61を表示部25(又は、プリンタ30の表示操作部34)などに表示させてユーザに通知する。
【0064】
S107にて出力色プロファイルを更新する設定の場合は(S107のNo)、制御部21(色整合性判断部28)は、プリントチケット等で指定されたグループから最新の出力色プロファイルを取得する(S111)。次に、制御部21(色整合性判断部28)は、S106で取得した印刷物の測色結果と、指定されたグループの最新の出力色プロファイルと、を比較し、その色差を算出する(S112)。例えば、印刷ジョブの各色情報(CMYK値又はRGB値)に対応する出力色(L*a*b*値)と、出力色プロファイルにおける各色情報に対応する出力色と、を比較して、その色差を算出する。なお、上記色差の算出は、出力色プロファイルに登録されている色を対象に比較を行い、出力色プロファイルに登録されていない色は、過去に測色された事がない色であるため、比較対象外とする。
【0065】
次に、制御部21(色整合性判断部28)は、S112で算出した色差が予め定めた許容値内に収まっているか否かを判断する(S113)。色差が許容値内に収まっていない場合は(S113のNo)、印刷物が過去の印刷ジョブの印刷物と色ずれを起こしている(図の白丸で示す過去の印刷ジョブの測色結果と図の黒丸で示す今回の印刷ジョブの測色結果とにずれがある)状態であるため、制御部21(色整合性判断部28)は、色ずれがありプリンタ30の色調整が必要である旨をユーザに通知する(S117)。例えば、制御部21(色整合性判断部28)は、
図15に示すような色調整指示画面62を表示部25(又は、プリンタ30の表示操作部34)などに表示させて、ユーザにプリンタ30の色調整の実施を促す。なお、上記フローでは色ずれがある旨をユーザに通知してプリンタ30の色調整の実施を促す構成としたが、コントローラ20からプリンタ30に色調整を指示するようにしてもよい。
【0066】
一方、色差が許容値内に収まっている場合は(S113のYes)、制御部21(プロファイル管理部27)は、この印刷物の測色結果を用いて、指定されたグループの最新の出力色プロファイルを更新する(S114)。この出力色プロファイルの更新処理の詳細は後述するが、出力色プロファイルの更新方法は下記の3種類が考えられる。
【0067】
第1の更新方法は、
図16の「Case1」に示すように、互いに関連付けた印刷ジョブ同士に色の整合性があると判断した場合に、新しい印刷ジョブの測色結果のみを用いて出力色プロファイルを更新する方法である。例えば、印刷ジョブ1の測色結果のみを用いて出力色プロファイル1を作成し、次の印刷ジョブ2の測色結果のみを用いて出力色プロファイル2を作成し、次の印刷ジョブ3の測色結果のみを用いて出力色プロファイル3を作成し、次の印刷ジョブ4の測色結果のみを用いて出力色プロファイル4を作成する。
【0068】
第2の更新方法は、
図16の「Case2」に示すように、互いに関連付けた印刷ジョブ同士に色の整合性があると判断した場合に、新しい印刷ジョブの測色結果と1つ前の印刷ジョブの測色結果とを用いて出力色プロファイルを更新する方法である。例えば、印刷ジョブ1の測色結果を用いて出力色プロファイル1を作成し、印刷ジョブ1の測色結果と次の印刷ジョブ2の測色結果とを用いて出力色プロファイル1+2を作成し、印刷ジョブ2の測色結果と次の印刷ジョブ3の測色結果とを用いて出力色プロファイル2+3を作成し、印刷ジョブ3の測色結果と次の印刷ジョブ4の測色結果とを用いて出力色プロファイル3+4を作成する。
【0069】
第3の更新方法は、
図16の「Case3」に示すように、互いに関連付けた印刷ジョブ同士に色の整合性があると判断した場合に、新しい印刷ジョブの測色結果と以前の全ての印刷ジョブの測色結果を用いて出力色プロファイルを更新する方法である。例えば、印刷ジョブ1の測色結果を用いて出力色プロファイル1を作成し、印刷ジョブ1の測色結果と次の印刷ジョブ2の測色結果とを用いて出力色プロファイル1+2を作成し、印刷ジョブ1、2の測色結果と次の印刷ジョブ3の測色結果とを用いて出力色プロファイル1+2+3を作成し、印刷ジョブ1、2、3の測色結果と次の印刷ジョブ4の測色結果とを用いて出力色プロファイル1+2+3+4を作成する。
【0070】
図9に戻って、制御部21(プロファイル管理部27)は、更新した出力色プロファイルを指定されたグループ名と共に記憶部22などに保存し(S115)、ユーザに印刷物が色見本として問題ない旨、及び出力色プロファイルを更新した旨を通知する(S116)。例えば、制御部21(プロファイル管理部27)は、
図17に示すような出力色プロファイル更新通知画面63を表示部25(又は、プリンタ30の表示操作部34)などに表示させて、ユーザに印刷物が色見本として問題ない旨、及び出力色プロファイルを更新した旨を通知する。
【0071】
[出力色プロファイル更新処理(S114)]
図11に示すように、制御部21(プロファイル管理部27)は、指定された出力色プロファイル(S111参照)を取得し(S301)、印刷ジョブの色情報(S104参照)とその色情報に対応する測色結果(S106参照)を取得する(S302)。次に、制御部21(プロファイル管理部27)は、印刷ジョブの色情報が出力色プロファイルに存在するかどうかを判断し(S303)、印刷ジョブの色情報が出力色プロファイルにない場合は(S303のNo)、出力色プロファイルにその色情報とその色情報に対応する測色結果の組を追加し(S304)、印刷ジョブの色情報が出力色プロファイルにある場合は(S303のYes)、出力色プロファイル内の古い測色結果を印刷ジョブの色情報に対応する測色結果にて更新する(S305)。そして、制御部21(プロファイル管理部27)は、印刷ジョブの全色に対して処理が終了したかを判断し(S306)、処理が終了していない場合は(S306のNo)、S302に戻って次の色に対して同様の処理を繰り返し、印刷ジョブの全色に対して処理が終了したら(S306のYes)、マッピング結果より出力色プロファイルを作成する(S307)。
【0072】
その後、必要に応じて、制御部21(色整合性判断部28)は、互いに関連付けられた複数の印刷ジョブのオブジェクト情報を取得し、オブジェクト情報に基づいて画像が連続する連続領域があるかを判断する(S308)。連続領域がない場合は(S308のNo)、一連の処理を終了し、連続領域がある場合は(S308のYes)、制御部21(色整合性判断部28)は、双方の印刷ジョブ(前の印刷ジョブと今回の印刷ジョブ)の連続領域の測色結果の色差を算出し(S309)、算出した色差が予め定めた許容値内に収まっているか(色調の整合性があるか)を判断する(S310)。その際、製本を指示するジョブによって作成された印刷物の背表紙の画像が連続する場合において、各々のジョブの印刷物を並べて配置した時に印刷物間に距離がある場合は、その距離を考慮して、各々のジョブの背表紙の画像間に色調の整合性があるかを判断する。色差が許容値内に収まっている(すなわち、色調の整合性がある)場合は(S310のYes)、一連の処理を終了し、色差が許容値内に収まっていない(すなわち、色調の整合性がない)場合は(S310のNo)、制御部21(プロファイル管理部27)は、前の印刷ジョブの画像の色調の傾向から今回の印刷ジョブの画像の目標値を算出し(S311)、S307で作成した出力色プロファイルを目標値で補正して(S312)、連続領域用の出力色プロファイルを作成する(S313)。
【0073】
[色検証(S103)]
まず、ユーザが出力色プロファイルを用いて色検証を行う場合、どのグループの出力色プロファイルを使用するか選択する。例えば、出力指示端末10のプリンタドライバ18にて印刷設定を行う際に、プリンタドライバ18は、
図18に示すような印刷設定画面64(色検証のタブ)を表示部14に表示させる。そして、ユーザが、操作部15を操作して、「色検証」の欄にチェックを入れ、出力色プロファイルのグループ(ここではグループ2)を指定し、出力色プロファイルを選択して「OK」ボタンを押下したら、プリンタドライバ18は、その情報をプリントチケット等に付加した印刷ジョブを作成してコントローラ20に出力する。その際、過去の印刷物の再版を行う場合は、当時使用した出力色プロファイルを選択する事も可能である。本実施例では、最新の出力色プロファイルを指定しているものとして説明する。
【0074】
図12に示すように、制御部21(色検証部29)は、印刷ジョブのプリントチケット等にて色検証が指定されているか確認する(S401)。色検証が指定されていない場合は(S401のNo)、通常の印刷ジョブの処理であるため、指定された全部数の出力を行う(S402)。
【0075】
一方、色検証が指定されている場合は(S401のYes)、制御部21(色検証部29)は、指定されたグループから出力色プロファイルを取得する(S403)。そして、制御部21(色検証部29)は、画像形成部35に印刷ジョブを1部出力させ(S404)、測色部36に印刷物を測色させる(S405)。なお、ここでは、インラインの測色器にて測色を実施するものとするが、印刷ジョブの印刷後にユーザが外部の測色器40を用いて測色し、制御部21が外部の測色器40から出力色を取得してもよい。また、制御部21がインラインのスキャナや外部のスキャナから印刷物をスキャンしたRGB値を取得し、予め設けたプロファイルを用いて出力色に変換してもよい。
【0076】
次に、制御部21(色検証部29)は、S403で取得した出力色プロファイルとS405で取得した測色結果の色差を算出し(S406)、算出した色差が予め定めた許容値内に収まっているかを判断する(S407)。色差が許容値内に収まっている場合は(S407のYes)、全部数の出力が完了したかを判断し(S411)、全部数の出力が完了していない場合は(S411のNo)、S403に戻って同様の処理を繰り返す。
【0077】
一方、色差が許容値内に収まっていない場合は(S407のNo)、制御部21はプリンタ30に印刷の停止を指示し、ユーザに色ずれが発生している旨を通知する(S409)。例えば、制御部21(色検証部29)は、
図19に示すような警告画面65を表示部25(又は、プリンタ30の表示操作部34)などに表示させて、色ずれがありプリンタ30が印刷を停止した旨をユーザに通知する。そして、上記警告画面65でユーザが対処方法として色調整を選択した場合は、制御部21(色検証部29)は、プリンタ30に色調整を実施させる(S410)。この色調整とは、ガンマ調整、濃度バランス調整、最高濃度調整、出力紙濃度調整、キャリブレーション等である。なお、ここでは、自動的に色調整を実施する構成としたが、ユーザに色調整を促す画面を表示してもよい。
【0078】
色調整が完了したら、S403に戻って、再度印刷ジョブを出力して色検証を行う。そして、上記処理を全部数に対して実施することで、色ずれがない印刷物の出力が可能となる。
【0079】
以上説明したように、第1のジョブの測色結果と第2のジョブの測色結果とを比較して色の整合性を判断し、色の整合性があると判断した場合、第1のジョブに基づいて作成したプロファイルに、第2のジョブの測色結果を反映させて、プロファイルを更新したり、連続領域において各々のジョブの画像間に色調の整合性がないと判断した場合は、前のジョブの画像の色調の傾向から、後のジョブの画像の色の目標値を算出し、プロファイルを目標値で補正して、連続領域用のプロファイルを作成したりすることにより、互いに関連付けられたジョブ同士の色味や色調のずれを解消し、色味や色調の整合性を確保することができる。
【0080】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、その構成や制御は適宜変更可能である。
【0081】
例えば、上記実施例では、校正印刷時に出力色プロファイルの作成や更新を行う構成としたが、校正印刷を行わずに本番印刷を行い、本番印刷時に出力色プロファイルの作成や更新を行っても良い。
【0082】
また、上記実施例では、新たな印刷ジョブに基づいて印刷を行う場合について記載したが、過去に印刷した印刷ジョブを用いて再度印刷する場合は、過去に印刷した印刷ジョブから最新の印刷ジョブまでの出力色プロファイルの更新情報を用いて、過去に印刷した印刷ジョブに対応する出力色プロファイルを復元して適用することもできる。その場合は、出力色プロファイルを更新する際に、出力色プロファイルの更新情報(置き換えを行った色情報に対応する置き換え前の出力色及び置き換え後の出力色を特定する情報)を記憶部22などに保存しておき、最新の出力色プロファイルに更新情報を順次適用して、元の測色結果に戻すことによって、過去に印刷した印刷ジョブに対応する出力色プロファイルを復元することができる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、互いに関連付けられた複数のジョブの印刷を行う画像形成システム、当該複数のジョブの色の整合性を確保する色合わせ方法、当該画像形成システムで動作する色合わせプログラム及び当該色合わせプログラムを記録した記録媒体に利用可能である。
【符号の説明】
【0084】
10 出力指示端末
11 制御部
11a CPU
11b ROM
11c RAM
12 記憶部
13 ネットワークI/F部
14 表示部
15 操作部
16 OS
17 文書作成アプリケーション
18 プリンタドライバ
20 コントローラ
21 制御部
21a CPU
21b ROM
21c RAM
22 記憶部
23 画像処理部
24a ネットワークI/F部
24b プリンタI/F部
25 表示部
26 操作部
27 プロファイル管理部
28 色整合性判断部
29 色検証部
30 プリンタ
31 制御部
31a CPU
31b ROM
31c RAM
32 記憶部
33 コントローラI/F部
34 表示操作部
35 画像形成部
36 測色部
40 測色器
50 通信ネットワーク
60 印刷設定画面
61 出力色プロファイル作成通知画面
62 色調整指示画面
63 出力色プロファイル更新通知画面
64 印刷設定画面
65 警告画面