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特許7052661建設機械及びトランスリフタ装置の配管構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】建設機械及びトランスリフタ装置の配管構造
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20220405BHJP
   E02F 9/08 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
E02F9/00 H
E02F9/08 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018180872
(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公開番号】P2020051101
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136250
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 博臣
(72)【発明者】
【氏名】小田 博之
(72)【発明者】
【氏名】蔵本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】藤田 嗣人
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-240574(JP,A)
【文献】特開2017-141075(JP,A)
【文献】実開昭63-004772(JP,U)
【文献】実開昭61-085559(JP,U)
【文献】特開2011-163035(JP,A)
【文献】特開2011-105173(JP,A)
【文献】特開2008-240286(JP,A)
【文献】特開2017-048524(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0360811(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
E02F 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械であって、
アッパーフレームと、
前記アッパーフレームに対して装着されるメインブームと、
前記メインブームに配索される複数の油圧配管と、
を備え、
前記メインブームの先端には、フロントトランスリフタが取り付けられ、
前記アッパーフレームの後端には、リアトランスリフタが取り付けられ、
前記複数の油圧配管のうち一の油圧配管には、前記フロントトランスリフタ及び前記リアトランスリフタに作動油を供給するための供給配管が接続され、
前記供給配管は、調整弁によって、前記作動油を前記フロントトランスリフタに供給する第1供給配管と、前記作動油を前記リアトランスリフタに供給する第2供給配管とに分岐し、
前記供給配管は、前記アッパーフレーム及び前記メインブームの側方に配索されていることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記供給配管は、前記フロントトランスリフタと前記アッパーフレームの前端側との間に配索されるフロント領域と、前記アッパーフレームの前端側と前記アッパーフレームの後端側との間に配索されるセンター領域と、前記アッパーフレームの後端側と前記リアトランスリフタとの間に配索されるリア領域とに分割可能に構成され、
フロント領域は、一端が前記フロントトランスリフタに接続され他端が前記アッパーフレームに接続されることで前記メインブームの動きを固定する固定リンクに沿って配索され、
センター領域は、前記アッパーフレームの側部に沿って配索されていることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記センター領域に配索される複数の配管は、配管クランプによって束ねられた状態で保持され、
前記アッパーフレームの側部には、前記配管クランプを取り付け可能な配管支持ブラケットが固定されていることを特徴とする請求項2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記配管支持ブラケットには、前記供給配管の配索方向において前記配管クランプを挿脱可能な切り欠きが形成され、
前記配管支持ブラケットに取り付けられた前記配管クランプには、前記配管支持ブラケットに当接することによって前記切り欠きからの抜けを防止する抜け止め部材が設けられることを特徴とする請求項3に記載の建設機械。
【請求項5】
前記抜け止め部材は、板状の抜け止めプレートとして構成され、
前記抜け止めプレートは、前記配管支持ブラケットに対して接続されると共に、前記配管クランプに対して接続されることを特徴とする請求項4に記載の建設機械。
【請求項6】
建設機械のアッパーフレームに対して装着されるメインブームの先端には、フロントトランスリフタが取り付けられ、
前記アッパーフレームの後端には、リアトランスリフタが取り付けられ、
前記メインブームの先端に配索される複数の油圧配管のうち一の油圧配管には、前記フロントトランスリフタ及び前記リアトランスリフタに作動油を供給するための供給配管が接続され、
前記供給配管は、調整弁によって、前記作動油を前記フロントトランスリフタに供給する第1供給配管と、前記作動油を前記リアトランスリフタに供給する第2供給配管とに分岐し、
前記供給配管は、前記アッパーフレーム及び前記メインブームの側方に配索されていることを特徴とするトランスリフタ装置の配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスリフタを装着可能な建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ジャッキアップ装置を用いて上部旋回体を持ち上げ、下部走行体からクローラを取り外すクローラの取り外し方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1では、上部旋回体(3)を旋回させ、クローラ(23a,23b)の長手方向に対して上部旋回体(3)の前後方向を直交させた後、メインブーム(4)の先端にジャッキアップ部(5)を装着し、上部旋回体(3)の後部にジャッキアップ部(6)を装着した上で、解体機(1)をジャッキアップする。次に、ジャッキアップ(5)側のクローラ(23a)を取り外して仮置きした後、反対側のクローラ(23b)がジャッキアップ(5)側に配置されるように下部走行体(2)を旋回させ、クローラ(23b)を取り外して仮置きする。
【0004】
以上のように、特許文献1では、クローラの取り外し作業において、下部走行体(2)を旋回させる。
【0005】
また、別発明として、下部走行体のカーボディ内部から出力された油圧配管をジャッキアップ装置に接続して駆動源とするものが存在する(例えば、特許文献2参照。)。具体的には、特許文献2では、下部走行体のカーボディ内部から出力された配管(62)が、第1のジャッキアップシリンダ(51)や第2のジャッキアップシリンダ(81)に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-240574号公報
【文献】特開2017-141075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の技術に上記特許文献2の技術を適用すると、カーボディ内部から出力された油圧配管をトランスリフタ装置(ジャッキアップ装置)の駆動源として利用することが可能である。
【0008】
しかし、上記特許文献1では、クローラの取り外し作業において、下部走行体が旋回するため、上記特許文献2に記載の発明をそのまま適用すると、下部走行体の旋回時に油圧配管を巻き込んで破損させるおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、建設機械の油圧配管をトランスリフタ装置の駆動源として用いる場合に、下部走行体の旋回時に油圧配管の巻き込みを防止することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、建設機械であって、アッパーフレームと、前記アッパーフレームに対して装着されるメインブームと、前記メインブームに配索される複数の油圧配管と、を備え、前記メインブームの先端には、フロントトランスリフタが取り付けられ、前記アッパーフレームの後端には、リアトランスリフタが取り付けられ、前記複数の油圧配管のうち一の油圧配管には、前記フロントトランスリフタ及び前記リアトランスリフタに作動油を供給するための供給配管が接続され、前記供給配管は、調整弁によって、前記作動油を前記フロントトランスリフタに供給する第1供給配管と、前記作動油を前記リアトランスリフタに供給する第2供給配管とに分岐し、前記供給配管は、前記アッパーフレーム及び前記メインブームの側方に配索されていることを特徴とする建設機械を提供している。
【0011】
また、前記供給配管は、前記フロントトランスリフタと前記アッパーフレームの前端側との間に配索されるフロント領域と、前記アッパーフレームの前端側と前記アッパーフレームの後端側との間に配索されるセンター領域と、前記アッパーフレームの後端側と前記リアトランスリフタとの間に配索されるリア領域とに分割可能に構成され、フロント領域は、一端が前記フロントトランスリフタに接続され他端が前記アッパーフレームに接続されることで前記メインブームの動きを固定する固定リンクに沿って配索され、センター領域は、前記アッパーフレームの側部に沿って配索されているのが好ましい。
【0012】
また、前記センター領域に配索される複数の配管は、配管クランプによって束ねられた状態で保持され、前記アッパーフレームの側部には、前記配管クランプを取り付け可能な配管支持ブラケットが固定されているのが好ましい。
【0013】
また、前記配管支持ブラケットには、前記供給配管の配索方向において前記配管クランプを挿脱可能な切り欠きが形成され、前記配管支持ブラケットに取り付けられた前記配管クランプには、前記配管支持ブラケットに当接することによって前記切り欠きからの抜けを防止する抜け止め部材が設けられるのが好ましい。
【0014】
また、前記抜け止め部材は、板状の抜け止めプレートとして構成され、前記抜け止めプレートは、前記配管支持ブラケットに対して接続されると共に、前記配管クランプに対して接続されるのが好ましい。
【0015】
また、本発明は、建設機械のアッパーフレームに対して装着されるメインブームの先端には、フロントトランスリフタが取り付けられ、前記アッパーフレームの後端には、リアトランスリフタが取り付けられ、前記メインブームの先端に配索される複数の油圧配管のうち一の油圧配管には、前記フロントトランスリフタ及び前記リアトランスリフタに作動油を供給するための供給配管が接続され、前記供給配管は、調整弁によって、前記作動油を前記フロントトランスリフタに供給する第1供給配管と、前記作動油を前記リアトランスリフタに供給する第2供給配管とに分岐し、前記供給配管は、前記アッパーフレーム及び前記メインブームの側方に配索されていることを特徴とするトランスリフタ装置の配管構造を更に提供している。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、メインブームに配索された複数の油圧配管のうち一の油圧配管に対してフロントトランスリフタ及びリアトランスリフタに作動油を供給するための供給配管が接続される。また、供給配管は、調整弁によって、作動油をフロントトランスリフタに供給する第1供給配管と当該作動油をリアトランスリフタに供給する第2供給配管とに分岐する。そして、供給配管は、アッパーフレーム及びメインブームの側方に配索される。よって、供給配管の配管構成が、下部走行体とは完全に独立し、メインブームを含む上部旋回体で完結している。したがって、建設機械の油圧配管をトランスリフタ装置の駆動源として用いる場合に、下部走行体の旋回に伴う油圧配管の巻き込みを防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】トランスリフタ装置が装着された解体機の一部を示す斜視図。
図2図1のII-II位置で切った断面図。
図3図1のIII矢視図。
図4】メインブームの動きを固定する固定リンクを説明するための概略図。
図5】ホース支持ユニットを示す図。
図6】アッパーフレームの左端下側に配索されるチューブを示す側面図。
図7】配管支持ユニットの周辺を拡大した拡大図。
図8】配管支持ブラケットを示す斜視図。
図9】配管クランプを示す図。
図10】配管支持ブラケットに配管クランプを組み付けた状態を示す図。
図11図7のXI矢視図。
図12】変形例に係る配管支持ブラケットを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<1.実施形態>
本発明の実施の形態による建設機械について図1から図11に基づき説明する。以下、建設機械の一例として、図1に示す解体機10を例示する。
【0019】
図1では、説明簡略化のため、解体機10のうち、上部旋回体の一部を構成するアッパーフレーム1と、アッパーフレーム1に対して回動可能に装着されるメインブーム2とを図示している。また、図1において、メインブーム2の先端側を「前側」、アッパーフレーム1の後端側を「後側」として解体機10の前後方向を定義している。
【0020】
図1に示されるように、アッパーフレーム1は、ブームフットピン110を装着可能な左右一対の縦板11を備えている。
【0021】
メインブーム2は、縦板11に装着されたブームフットピン110を介してアッパーフレーム1に対して回動(起伏)可能に連結されている。
【0022】
メインブーム2には、メインブーム2を駆動するメインブームシリンダ21の先端部が接続されている。なお、メインブームシリンダ21の基端部はアッパーフレーム1に接続されている。
【0023】
また、解体機10には、トランスリフタ装置(ジャッキアップ装置とも称する)が装着されている。このトランスリフタ装置によって解体機10が持ち上げられ、下部走行体からクローラが取り外される。
【0024】
トランスリフタ装置は、メインブーム2の先端に取り付けられるフロントトランスリフタ3と、アッパーフレーム1の後端に取り付けられるリアトランスリフタ4とを備えて構成される。
【0025】
フロントトランスリフタ3は、メインブーム2の先端を支持する支持部材31と、支持部材31の左右両端に装着される2本のジャッキアップシリンダ33L,33R(図1及び図2参照)とを備えて構成される。
【0026】
リアトランスリフタ4は、アッパーフレーム1の後端を支持する支持部材41と、支持部材41の左右両端に装着される2本のジャッキアップシリンダ43L,43R(図1及び図3参照)とを備えて構成される。
【0027】
図1に示されるように、メインブーム2の先端には、複数の油圧配管23が配索されている。複数の油圧配管23は、図示しないアーム、ジブ、バケット及びニブラ(破砕機)等の各部に作動油を供給するための配管である。なお、複数の油圧配管23の各油圧源は、図示しないスイッチ(キャブ内外に適宜配置)によって切り替え可能に構成されている。
【0028】
本実施形態では、一例として、複数の油圧配管23のうち使用されていない一の配管(ニブラの配管)を、上述したトランスリフタ装置の油圧源として利用するものとする。
【0029】
複数の油圧配管23のうち使用されていない一の配管には供給配管5が接続される。供給配管5は、トランスリフタ装置に設けられた各シリンダ(前側のジャッキアップシリンダ33L,33R及び後側のジャッキアップシリンダ43L,43R)に作動油を供給するための油圧配管である。
【0030】
図1に示されるように、供給配管5は、メインブームシリンダ21の下側を通って後方に配索され、アッパーフレーム1の前端付近でアッパーフレーム1の左端側へ屈曲する。その後、供給配管5は、アッパーフレーム1の左端下側を通って後方に配索され、コントロールバルブ6に接続される。
【0031】
コントロールバルブ6は、供給配管5を分岐させるための調整弁であり、リアトランスリフタ4の支持部材41に対して取り付けられている。
【0032】
供給配管5は、コントロールバルブ6を介して、供給配管53と供給配管54とに分岐する。
【0033】
供給配管53は、フロントトランスリフタ3のジャッキアップシリンダ33L,33Rに作動油を供給するための油圧配管であり、本発明に係る第1供給配管の一例である。
【0034】
供給配管54は、リアトランスリフタ4のジャッキアップシリンダ43L,43Rに作動油を供給するための油圧配管であり、本発明に係る第2供給配管の一例である。
【0035】
なお、供給配管53,54は、供給配管5の一部であるため、本明細書において「分岐後の供給配管5」とも称する。一方、供給配管53,54に分岐する前の供給配管5(コントロールバルブ6に接続する前の配管)は、本明細書において「分岐前の供給配管5」とも称する。
【0036】
図1に示されるように、供給配管53(分岐後の供給配管5の一部)は、コントロールバルブ6から前側のジャッキアップシリンダ33L,33Rに向けて前方に配索される。その際、供給配管53は、分岐前の供給配管5と同じ経路を通って配索される。なお、供給配管53は、1本ではなく複数の油圧配管として構成されている。
【0037】
分岐前の供給配管5を通る作動油は、メインブーム2に配索された一の配管からコントロールバルブ6に向けて前側から後側に流れる。一方、供給配管53(分岐後の供給配管5の一部)を通る作動油は、コントロールバルブ6からジャッキアップシリンダ33L,33Rに向けて後側から前側に流れる。このように、分岐前の供給配管5と供給配管53とでは、作動油の流れる向きが逆になる。
【0038】
図2に示されるように、フロントトランスリフタ3の側(前側)へ配索された供給配管53は、分岐ユニット35を介して供給配管53Lと供給配管53Rとに更に分岐する。
【0039】
供給配管53Lは、支持部材31の左側に配置されたジャッキアップシリンダ33Lに接続される。供給配管53Rは、支持部材31の右側に配置されたジャッキアップシリンダ33Rに接続される。このような構成により、フロントトランスリフタ3の左右のジャッキアップシリンダ33L,33Rに作動油が供給される。
【0040】
図3に示されるように、供給配管54は、コントロールバルブ6から出力する時点において、供給配管54L,54Rに分岐する。供給配管54Lは、支持部材41の左側に配置されたジャッキアップシリンダ43Lに接続される。供給配管54Rは、支持部材41の右側に配置されたジャッキアップシリンダ43Rに接続される。これにより、リアトランスリフタ4の左右のジャッキアップシリンダ43L,43Rに作動油が供給される。
【0041】
なお、コントロールバルブ6には、前側のジャッキアップシリンダ33L,33R及び後側のジャッキアップシリンダ43L,43Rに供給される作動油を作業者が手動で操作可能な複数のレバーが設けられている。作業者によってこれらのレバーが操作されることにより、各ジャッキアップシリンダ33L,33R,43L,43Rが操作される。
【0042】
再び、図1を参照する。フロントトランスリフタ3とリアトランスリフタ4との間に配索される分岐前の供給配管5及び分岐後の供給配管5の一部(供給配管53)は、フロント領域FA、センター領域CA及びリア領域RAの3つに分割可能に構成されている。
【0043】
フロント領域FAは、フロントトランスリフタ3とアッパーフレーム1の前端側との間に分岐前の供給配管5及び分岐後の供給配管5の一部が配索される領域である。
【0044】
センター領域CAは、アッパーフレーム1の前端側と後端側との間に分岐前の供給配管5及び分岐後の供給配管5の一部が配索される領域である。
【0045】
リア領域RAは、アッパーフレーム1の後端側とリアトランスリフタ4との間に分岐前の供給配管5及び分岐後の供給配管5の一部が配索される領域である。
【0046】
なお、フロント領域FA及びリア領域RAに配索される油圧配管はホースで構成されており、センター領域CAに配索される油圧配管はチューブで構成されているものとする。
【0047】
図1に示されるように、フロント領域FAに配索される油圧配管(油圧ホース)は、後述のホース支持ユニット7(図5参照)を介して固定リンク25に支持された状態で固定リンク25に沿って配索されている。
【0048】
図4に示されるように、固定リンク25は、一端251がフロントトランスリフタ3の支持部材31に接続され、他端253がプレート255を介してアッパーフレーム1に接続されている。これにより、固定リンク25は、メインブーム2の動きを固定する固定部材として機能する。
【0049】
図5に示されるように、固定リンク25には、フロント領域FAに配索される油圧ホースを支持するホース支持ユニット7が取り付けられる。ホース支持ユニット7は、ホース支持ブラケット71と、ホース支持ブラケット71に対して取り付けられるU字部材73とを備えて構成される。なお、図1に示されるように、ホース支持ユニット7は、固定リンク25に対して3箇所程度設けられる。
【0050】
ホース支持ブラケット71は、固定リンク25に対して取り付けられる。また、U字部材73は、フロント領域FAの油圧ホースを内側に配置した状態でボルトによりホース支持ブラケット71に取り付けられる。U字部材73は、フック部材等とも称される。
【0051】
図6に示されるように、センター領域CAに配索される油圧配管(油圧チューブ)は、配管支持ユニット8を介してアッパーフレーム1に支持された状態でアッパーフレーム1の左端下側に配索されている。
【0052】
図7に示されるように、配管支持ユニット8は、配管支持ブラケット81と、配管クランプ83と、抜け止めプレート85とを備えて構成される。
【0053】
図8に示されるように、配管支持ブラケット81は、断面Z形状を有する板状の部材として構成され、3つの面811,813,815を備えている。
【0054】
面811は、鉛直方向に延在する面であり、アッパーフレーム1の左側面に当接した状態(図10及び図11参照)でボルトBTによってアッパーフレーム1に対して接続される。
【0055】
面813は、面811に対して水平方向に屈曲してアッパーフレーム1の内側に向けて延在する面である。面813には、抜け止めプレート85(図10参照)を挿脱可能な2枚の板部材814が下側に突出するように設けられている。2枚の板部材814にはピン穴814hが形成されている。ピン穴814hには、2枚の板部材814の間に配置された抜け止めプレート85を固定する固定ピンPN1(図10及び図11)が挿入される。
【0056】
面815は、面813に対して鉛直方向に屈曲して下側に延在する面である。面815には、配管クランプ83を挿脱可能な切り欠き817が形成されている。また、切り欠き817の入り口には、配管クランプ83を差し込み易くするための面取り819が形成されている。
【0057】
図9に示されるように、配管クランプ83は、センター領域CAに配索される油圧チューブを束ねて保持するための部材である。具体的には、配管クランプ83は、上部材831と、中間部材833と、下部材835とを備えて構成される。なお、配管クランプ83は、サブアッセン等とも称される。
【0058】
センター領域CAに配索される油圧チューブのうち一部は、上部材831と中間部材833とに挟持される。その他の一部は、中間部材833と下部材835とに挟持される。上部材831と中間部材833と下部材835の3つの部材は、油圧チューブを挟持した状態でボルトを介して固定される。
【0059】
また、中間部材833にはピン穴833hが形成されている。ピン穴833hには、抜け止めプレート85を固定する固定ピンPN2(図10及び図11)が挿入される。
【0060】
図10及び図11に示されるように、配管クランプ83は、センター領域CAに配索される油圧チューブを保持した状態で、配管支持ブラケット81に対して取り付けられる。
【0061】
具体的には、図11に示されるように、配管支持ブラケット81の面815に形成された切り欠き817(図8参照)に配管クランプ83の上部材831が差し込まれる。そして、配管支持ブラケット81の2枚の板部材814の間に抜け止めプレート85を配置し、固定ピンPN1,PN2をそれぞれ挿通する。これにより、抜け止めプレート85は、固定ピンPN1により配管支持ブラケット81に接続されると共に、固定ピンPN2により配管クランプ83に接続される。これにより、配管クランプ83が切り欠き817から抜けようとしても、抜け止めプレート85が配管支持ブラケット81に当接し、配管クランプ83の脱落が防止される。
【0062】
なお、抜け止めプレート85には、2枚の板部材814に形成されたピン穴814hに対応する位置と、中間部材833に形成されたピン穴833hとに対応する位置とにそれぞれピン穴が形成されている。
【0063】
本実施形態によれば、メインブーム2に配索された複数の油圧配管23のうち一の油圧配管に対してトランスリフタ装置に作動油を供給するための供給配管5が接続される。また、供給配管5は、コントロールバルブ6によって、作動油をフロントトランスリフタ3に供給する供給配管53と当該作動油をリアトランスリフタ4に供給する供給配管54とに分岐する。そして、供給配管5は、アッパーフレーム1及びメインブーム2の側方に配索される。
【0064】
よって、供給配管5の配管構成が、下部走行体とは完全に独立し、メインブーム2を含む上部旋回体で完結する。したがって、解体機10の複数の油圧配管23の1つに供給配管5を接続してトランスリフタ装置の駆動源として用いる場合に、下部走行体の旋回に伴う供給配管5の巻き込みを防止することが可能である。
【0065】
また、本実施形態では、フロントトランスリフタ3とリアトランスリフタ4との間に配索される分岐前の供給配管5及び分岐後の供給配管5の一部(供給配管53)が、フロント領域FA、センター領域CA及びリア領域RAの3つの領域に分解可能に構成されている。そのため、各領域FA,CA,RAに分かれていない一体物の配管に比べて、配管の組み付け作業を容易に行うことが可能である。
【0066】
また、本実施形態において、センター領域CAに配索されるチューブは約3m(メートル)の長さを有する。そのため、配管の組み付け作業が1人の作業者によって行われる場合には、配管クランプ83を配管支持ブラケット81に容易に取り付けられるのが好ましい。この点、本実施形態では、配管支持ブラケット81に切り欠き817が形成されているため、配管クランプ83を比較的容易に差し込むことが可能である。
【0067】
さらに、本実施形態では、図6に示されるように、配管支持ユニット8が2つの領域AR1,AR2に設けられる。配管の組み付け作業においては、まず、一方の領域の配管支持ブラケット81に配管クランプ83を差し込み、その後、他方の領域においても同様の操作を行う。本実施形態では、配管クランプ83を配管支持ブラケット81に差し込まれた状態で抜け止めプレート85が取り付けられる。そのため、他方の領域の作業中において、既に作業を終えた一方の領域の配管クランプ83が切り欠き817から脱落せずに済む。
【0068】
また、本実施形態によれば、配管支持ブラケット81をアッパーフレーム1の左側面に取り付け、更に、配管クランプ83を配管支持ブラケット81に取り付ける構成を採用している。よって、既存の機種に対しても、本発明に係るトランスリフタ装置の配管構造を適用(後付)することが可能である。
【0069】
<2.変形例>
本発明による建設機械及びトランスリフタ装置の配管構造は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0070】
例えば、上記実施形態では、コントロールバルブ6がアッパーフレーム1の後端側に設けられる場合を例示したが、これに限定されず、衝突等の破損のリスクを回避することを条件として、アッパーフレーム1の前端側に設けるようにしてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、図8に示されるように、切り欠き817が直線状に形成される場合を例示したが、これに限定されず、図12に示す切り欠き818のようにL字状に形成するようにしてもよい。かかる変化例によれば、切り欠き818に差し込まれた配管クランプ83の一部が切り欠き818の凹部818Dに落ち込むため、配管クランプ83の取り付け位置を容易に位置決めすることが可能である。
【0072】
また、上記実施形態では、フロント領域FA及びリア領域RAの配管としてホースを採用し、センター領域CAの配管としてチューブを採用したが、これに限定されない。上記実施形態とは逆に、フロント領域FA及びリア領域RAの配管としてチューブを採用し、センター領域CAの配管としてホースを採用してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、供給配管5がフロント領域FAとセンター領域CAとリア領域RAとに3分割可能に構成される場合を例示したが、これに限定されず、分割されていない1本のホース又はチューブによって構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上のように本発明にかかる建設機械は、トランスリフタを用いて解体機等をジャッキアップしてクローラを取り外すのに適している。
【符号の説明】
【0075】
1 アッパーフレーム、2 メインブーム、3 フロントトランスリフタ、
4 リアトランスリフタ、5 供給配管、6 コントロールバルブ、
8 配管支持ユニット、10 解体機、11 縦板、21 メインブームシリンダ、
23 油圧配管、25 固定リンク、31 支持部材、
33L,33R,43L,43R ジャッキアップシリンダ、35 分岐ユニット、
41 支持部材、53,54 供給配管、53L,53R 供給配管、
54L,54R 供給配管、71 ホース支持ブラケット、73 U字部材、
81 配管支持ブラケット、83 配管クランプ、85 プレート、
811,813,815 面、814 板部材、814h ピン穴、818D 凹部、
831 上部材、833 中間部材、833h ピン穴、835 下部材、
CA センター領域、FA フロント領域、PN1,PN2 固定ピン、RA リア領域
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