IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コベルコ建機株式会社の特許一覧

特許7052662建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法
<>
  • 特許-建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法 図1
  • 特許-建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法 図2
  • 特許-建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法 図3
  • 特許-建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法 図4
  • 特許-建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法 図5
  • 特許-建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法 図6
  • 特許-建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法 図7
  • 特許-建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法 図8
  • 特許-建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法 図9
  • 特許-建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法 図10
  • 特許-建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法 図11
  • 特許-建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法 図12
  • 特許-建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法 図13
  • 特許-建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法 図14
  • 特許-建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法 図15
  • 特許-建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法 図16
  • 特許-建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法 図17
  • 特許-建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法 図18
  • 特許-建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/08 20060101AFI20220405BHJP
   E02F 3/38 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
E02F9/08 A
E02F3/38 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018180918
(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公開番号】P2020051102
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136250
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 博臣
(72)【発明者】
【氏名】小田 博之
(72)【発明者】
【氏名】蔵本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】木谷 友則
(72)【発明者】
【氏名】藤田 嗣人
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-240574(JP,A)
【文献】特開2008-240286(JP,A)
【文献】特開2018-145659(JP,A)
【文献】特開2013-241813(JP,A)
【文献】特開2016-188551(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0105713(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/08
E02F 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械のアッパーフレームと、
前記アッパーフレームに対して回動可能に取り付けられるブームと、
前記ブームの先端に脱着可能なトランスリフタと、
前記トランスリフタが前記ブームの先端に装着された状態において、一端が前記トランスリフタに対して接続されると共に他端が前記アッパーフレームに対して直接又は間接的に接続されることにより、前記アッパーフレームと前記トランスリフタとを連結して前記ブームの回動を阻止するブーム固定リンクと、
を備えることを特徴とする建設機械のブーム固定構造。
【請求項2】
前記アッパーフレームは、前記ブームを回動するためのブームシリンダを装着するためのシリンダボスを有し、
前記シリンダボスには、プレートが取り付けられ、
前記ブーム固定リンクの前記他端は、前記プレートに接続されることで前記アッパーフレームに対して間接的に接続されることを特徴とする請求項1に記載の建設機械のブーム固定構造。
【請求項3】
前記ブーム固定リンクのうち前記他端の側の一部は、前記ブーム固定リンクの長手方向の長さを変更できるように分割可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の建設機械のブーム固定構造。
【請求項4】
前記ブーム固定リンクを支持する補助リンクと、
前記補助リンクの傾きを調整する調整治具と、
を更に備え、
前記ブーム固定リンクの前記一端側は、前記調整治具を用いて前記補助リンクの傾きを調整することで前記アッパーフレーム側の接続位置に位置合わせ可能に構成されていることを特徴とする請求項1から3のうち何れかに記載の建設機械のブーム固定構造。
【請求項5】
請求項1から3のうち何れかに記載のブーム固定構造を用いて前記ブーム固定リンクを前記アッパーフレームに取り付ける、ブーム固定リンクの取付方法であって、
a)伏せ姿勢にある前記ブームの先端に前記トランスリフタを装着するステップと、
b)前記ブームを起き姿勢に回動させ、前記ブーム固定リンクを固定治具により前記ブームに対して固定するステップと、
c)前記ブームを前記伏せ姿勢に回動させ、前記ブーム固定リンクの前記一端側を前記アッパーフレーム側の接続位置に位置合わせして接続するステップと、
を備えることを特徴とするブーム固定リンクの取付方法。
【請求項6】
請求項4に記載のブーム固定構造を用いて前記ブーム固定リンクを前記アッパーフレームに取り付ける、ブーム固定リンクの取付方法であって、
a)前記補助リンクの一端側を前記トランスリフタに接続し、前記補助リンクを前記トランスリフタに対して特定位置に固定するステップと、
b)伏せ姿勢にある前記ブームの先端に前記トランスリフタを装着するステップと、
c)前記ブームを起き姿勢に回動させ、前記ブーム固定リンクを前記補助リンクよりも前記ブームの腹側に近接する位置に配置するステップと、
d)前記ブーム固定リンクが前記補助リンクよりも前記ブームの腹側に近接した状態において、前記ブーム固定リンクを支持するための支持部材を前記補助リンクに取り付けるステップと、
e)前記ブームを前記伏せ姿勢に回動させ、前記ブーム固定リンクが前記支持部材で支持された状態において、前記補助リンクと前記トランスリフタとの接続を解除するステップと、
f)前記調整治具を装着して前記補助リンクの傾きを調整することにより、前記ブーム固定リンクの前記一端側を前記アッパーフレーム側の接続位置に位置合わせして接続するステップと、
を備えることを特徴とするブーム固定リンク取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械のブームを固定するブーム固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ジャッキアップ装置(トランスリフタ装置)を用いて上部旋回体を持ち上げ、下部走行体からクローラを取り外すクローラの取り外し方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の方法では、メインブーム(4)の先端にジャッキアップ部(5)が装着され、かつ、上部旋回体(3)の後部にジャッキアップ部(6)が装着された上で、解体機(1)をジャッキアップされる。そして、ジャッキアップ(5)側に配置されたクローラ(23a)が先に取り外された後、下部走行体(2)を旋回させた上で、反対側のクローラ(23b)が取り外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-240574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1において、下部走行体の旋回操作運転時に誤操作等が発生すると、メインブームが上昇したり、ジャッキアップシリンダがフロートから外れたりする可能性がある。また、メインブームシリンダのロッド側の保持圧が油圧機器の内部リークによって低下し、メインブームシリンダが伸びて機械が自然降下する可能性もある。
【0005】
そこで、本発明は、トランスリフタ装置によってジャッキアップされる建設機械において、誤操作や油圧機器の内部リークが発生した場合に十分な安全性を確保することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、建設機械のアッパーフレームと、前記アッパーフレームに対して回動可能に取り付けられるブームと、前記ブームの先端に脱着可能なトランスリフタと、前記トランスリフタが前記ブームの先端に装着された状態において、一端が前記トランスリフタに対して接続されると共に他端が前記アッパーフレームに対して直接又は間接的に接続されることにより、前記アッパーフレームと前記トランスリフタとを連結して前記ブームの回動を阻止するブーム固定リンクと、を備えることを特徴とする建設機械のブーム固定構造を提供している。
【0007】
ここで、前記アッパーフレームは、前記ブームを回動するためのブームシリンダを装着するためのシリンダボスを有し、前記シリンダボスには、プレートが取り付けられ、前記ブーム固定リンクの前記他端は、前記プレートに接続されることで前記アッパーフレームに対して間接的に接続されるのが好ましい。
【0008】
また、前記ブーム固定リンクのうち前記他端の側の一部は、前記ブーム固定リンクの長手方向の長さを変更できるように分割可能に構成されているのが好ましい。
【0009】
また、前記ブーム固定リンクを支持する補助リンクと、前記補助リンクの傾きを調整する調整治具と、を更に備え、前記ブーム固定リンクの前記一端側は、前記調整治具を用いて前記補助リンクの傾きを調整することで前記アッパーフレーム側の接続位置に位置合わせ可能に構成されているのが好ましい。
【0010】
また、本発明は、ブームの固定構造を用いて前記ブーム固定リンクを前記アッパーフレームに取り付ける、ブーム固定リンクの取付方法であって、a)伏せ姿勢にある前記ブームの先端に前記トランスリフタを装着するステップと、b)前記ブームを起き姿勢に回動させ、前記ブーム固定リンクを固定治具により前記ブームに対して固定するステップと、c)前記ブームを前記伏せ姿勢に回動させ、前記ブーム固定リンクの前記一端側を前記アッパーフレーム側の接続位置に位置合わせして接続するステップと、を備えることを特徴とするブーム固定リンクの取付方法を更に提供している。
【0011】
また、本発明は、ブームの固定構造を用いて前記ブーム固定リンクを前記アッパーフレームに取り付ける、ブーム固定リンクの取付方法であって、a)前記補助リンクの一端側を前記トランスリフタに接続し、前記補助リンクを特定位置に固定するステップと、b)伏せ姿勢にある前記ブームの先端に前記トランスリフタを装着するステップと、c)前記ブームを起き姿勢に回動させ、前記ブーム固定リンクを前記補助リンクよりも前記ブームの腹側に近接する位置に配置するステップと、d)前記ブーム固定リンクが前記補助リンクよりも前記ブームの腹側に近接した状態において、前記ブーム固定リンクを支持するための支持部材を前記補助リンクに取り付けるステップと、e)前記ブームを前記伏せ姿勢に回動させ、前記ブーム固定リンクが前記支持部材で支持された状態において、前記補助リンクと前記トランスリフタとの接続を解除するステップと、f)前記調整治具を装着して前記補助リンクの傾きを調整することにより、前記ブーム固定リンクの前記一端側を前記アッパーフレーム側の接続位置に位置合わせして接続するステップと、を備えることを特徴とするブーム固定リンク取付方法を更に提供している。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ブーム固定リンクによってブームの回動が阻止されるので、誤操作や油圧機器の内部リークが発生したとしてもブームが揺動しない。そのため、トランスリフタ装置によってジャッキアップされる建設機械において、誤操作や油圧機器の内部リークが発生した場合に十分な安全性を確保することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態による解体機(建設機械)を示す側面図。
図2】フロントトランスリフタ、ブーム固定リンク及び補助リンクを示す図。
図3】フロントトランスリフタを示す図。
図4】ブーム固定リンクを示す図。
図5】補助リンクを示す図。
図6図2のVI矢視図。
図7】メインブームのシリンダボスにプレートが装着された状態を示す図。
図8図7のVIII-VIII位置で切った断面図。
図9】ブーム固定リンクの取り付け手順1を示す図。
図10】ブーム固定リンクの取り付け手順2を示す図。
図11】ブーム固定リンクの取り付け手順3を示す図。
図12】ブーム固定リンクの取り付け手順4を示す図。
図13】ブーム固定リンクの取り付け手順5を示す図。
図14】第2実施形態に係るブーム固定リンクを示す図。
図15】第2実施形態に係るブーム固定リンクの取り付け手順1を示す図。
図16】第2実施形態に係るブーム固定リンクの取り付け手順2を示す図。
図17】第2実施形態に係るブーム固定リンクの取り付け手順3を示す図。
図18】第2実施形態に係るブーム固定リンクの取り付け手順4を示す図。
図19】変化例に係るスライド式架台を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<1.第1実施形態>
本発明の第1実施形態による建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法について図1から図13に基づき説明する。
【0015】
以下では、建設機械の一例として、図1に示す解体機1を例示する。また、ブーム固定構造の一例として、図2に示すブーム固定リンク6を用いて図1に示すメインブーム4を固定するための構成を例示する。さらに、ブーム固定リンクの取付方法の一例として、図2に示す補助リンク7を用いてブーム固定リンク6を機械本体に取り付ける方法を例示する。
【0016】
図1に示されるように、解体機1は、下部走行体2と、下部走行体2上に搭載される上部旋回体3とを備えて構成される。
【0017】
上部旋回体3のアッパーフレーム31には、メインブーム4が回動可能に取り付けられている。メインブーム4には、メインブーム4を起伏させるためのメインブームシリンダ41が取り付けられている。
【0018】
メインブーム4の先端には、切り欠き42に形成されると共に、ピン穴44hが形成されている。
【0019】
下部走行体2を構成するクローラ21の脱着作業では、解体機1は、機械前後に装着されるトランスリフタ装置を介してジャッキアップされる。
【0020】
図2では、機械前側(詳細にはメインブーム4の先端)に装着されるフロントトランスリフタ5が示されている。図2においては、フロントトランスリフタ5に加え、架台50A、フロート50B、ブーム固定リンク6及び補助リンク7が示されている。架台50A及びフロート50Bは、フロントトランスリフタ5を支持する部材である。ブーム固定リンク6は、メインブーム4の回動を阻止する部材である。補助リンク7は、ブーム固定リンク6の取り付け作業を補助する部材である。
【0021】
図3に示されるように、フロントトランスリフタ5の左右側板5L,5R(図6も参照)には、ピンPN1を挿通するためのピン穴52hが形成されている。メインブーム4にフロントトランスリフタ5を装着する際、ピンPN1は、メインブーム4に形成された切り欠き42(図1)に嵌合する。
【0022】
また、フロントトランスリフタ5の左右側板5L,5Rには、ピン穴54hが形成されている。メインブーム4にフロントトランスリフタ5を装着する際、ピン穴54hとメインブーム4のピン穴44h(図1)とが位置合わせされた状態で連結ピン(不図示)が挿通される。
【0023】
また、フロントトランスリフタ5の左右側板5L,5Rには、ブーム固定リンク6及び補助リンク7をフロントトランスリフタ5に対して回動可能に連結する連結ピンPN21,PN22(図6参照)を挿通するためのピン穴51hが形成されている。
【0024】
さらに、フロントトランスリフタ5の左右側板5L,5Rには、補助リンク7を輸送位置(輸送ポジション)に固定する固定部材を挿通するための挿通孔531hが形成されている。また、挿通孔531hの下側には、補助リンク7を取付位置(取付ポジション)に固定する固定部材を挿通するための挿通孔533hが形成されている。
【0025】
輸送位置とは、フロントトランスリフタ5を輸送する際に補助リンク7が固定される位置である。補助リンク7の一端側が挿通孔531hを介してフロントトランスリフタ5に固定されると、補助リンク7は、フロントトランスリフタ5に対して図示しない輸送位置を維持する。輸送位置では、補助リンク7の先端が下を向くため、仮組状態の各部材をクレーンにより安全に移動させることが可能である。
【0026】
取付位置とは、補助リンク7を機械本体に取り付ける際に補助リンク7がフロントトランスリフタ5に対して固定される位置(図2に示す位置)である。補助リンク7の一端側が挿通孔533hを介してフロントトランスリフタ5に固定されると、補助リンク7は、フロントトランスリフタ5に対して図2に示す輸送位置を維持する。取付位置は、組み立て位置や組み立てポジション等とも称される。
【0027】
図4に示されるように、ブーム固定リンク6は、両端にピン穴61h,63hが形成された直線状の部材である。
【0028】
図6に示されるように、本実施形態では、2本のブーム固定リンク6(6L,6R)がフロントトランスリフタ5の左右側板5L,5Rの内側に接続される。詳細には、ブーム固定リンク6Lは、左側板5Lの内側において連結ピンPN21を介して回動可能に接続される。ブーム固定リンク6Rは、右側板5Rの内側において連結ピンPN22を介して回動可能に接続される。
【0029】
図4及び図6に示されるように、ブーム固定リンク6(6L,6R)は、メイン部材61(61L,61R)と、メイン部材61の一端側に脱着可能なサブ部材63(63L,63R)とを備えて構成される。端的に言えば、ブーム固定リンク6は分割可能に構成されている。
【0030】
メイン部材61L,61Rは、フロントトランスリフタ5の左右側板5L,5Rの内側に接続される側の端部からアッパーフレーム31に接続される側の端部に向けて延びる長尺な直線状の部材である。
【0031】
メイン部材61(61L,61R)には、フロントトランスリフタ5の左右側板5L,5Rに対して回動可能に連結するための連結ピンPN21,PN22を挿通するピン穴61h(図4)が形成されている。
【0032】
サブ部材63(63L,63R)は、メイン部材61のうちフロントトランスリフタ5に接続される側とは反対側の端部に接続される部材である。図6に示されるように、サブ部材63は、複数のボルトBTを介してメイン部材61の端部に接続される。なお、メイン部材61の端部に対するサブ部材63のボルト接続位置を変更することにより、ブーム固定リンク6の長手方向の長さが微調整される。
【0033】
サブ部材63(63L,63R)には、後述の補助プレート60に接続するための接続ピン(不図示)を挿通するピン穴63h(図4)が形成されている。
【0034】
図5に示されるように、補助リンク7は、フロントトランスリフタ5に接続される側の一部が屈曲した側面視「く」の字形状の部材である。
【0035】
図6に示されるように、本実施形態では、2本の補助リンク7(7L,7R)がフロントトランスリフタ5の左右側板5L,5Rの内側に接続される。より詳細には、補助リンク7L,7Rは、ブーム固定リンク6L,6Rの更に内側に接続される。補助リンク7Lは、左側板5L及びブーム固定リンク6Lの内側において連結ピンPN21を介して回動可能に接続される。補助リンク7Rは、右側板5R及びブーム固定リンク6Rの内側において連結ピンPN22を介して回動可能に接続される。
【0036】
このように、補助リンク7L,7Rは、ブーム固定リンク6L,6Rの間(内側)に配置される。よって、補助リンク7L,7Rの間隔D2は、ブーム固定リンク6L,6Rの間隔D1よりも狭い。
【0037】
再度、図5を参照する。補助リンク7の屈曲部分には、フロントトランスリフタ5に対して回動可能に連結するための連結ピンPN21,PN22(図6参照)を挿通するピン穴71hが形成されている。
【0038】
また、補助リンク7のうちフロントトランスリフタ5側の端部には、補助リンク7を上述した輸送位置又は取付位置に固定する固定部材(不図示)を挿通するための挿通孔73hが形成されている。
【0039】
また、補助リンク7のうちアッパーフレーム31側の端部には、ブーム固定リンク6の取り付け時において、ブーム固定リンク6を一時的に支持する支持バー7Bを挿通するための挿通孔75hが形成されている。
【0040】
挿通孔75hに挿通される支持バー7Bは、ブーム固定リンク6L,6Rの間隔D1(図6参照)よりも長い部材として構成され、装着時に補助リンク7L,7Rよりも外側に突出する。そのため、補助リンク7L,7Rがブーム固定リンク6L,6Rに対して下側に配置される場合に、補助リンク7L,7Rに装着された支持バー7Bにブーム固定リンク6L,6Rの下側が当接する。これにより、ブーム固定リンク6L,6Rが補助リンク7L,7Rに装着された支持バー7Bよって支持される。
【0041】
再度、図5を参照する。補助リンク7の略中央(ピン穴71hと挿通孔75hとの間)には、補助リンク7の脱落を防止する脱落防止ピンPN3(図6参照)を挿通するためのピン穴77hが形成されている。
【0042】
図6に示されるように、脱落防止ピンPN3は、ブーム固定リンク6L,6Rの間隔D1(図6参照)よりも長い部材として構成され、装着時に補助リンク7L,7Rよりも外側に突出する。そのため、補助リンク7L,7Rがブーム固定リンク6L,6Rに対して上側に配置される場合に、補助リンク7L,7Rのフロントトランスリフタ5に対する固定が解除されたとしても、脱落防止ピンPN3がブーム固定リンク6L,6Rに引っ掛かる。これにより、補助リンク7L,7Rの脱落が防止される。
【0043】
また、補助リンク7のうちフロントトランスリフタ5側の端部には、図12に示されるように、公知のチェーンブロック8が補助リンク7の傾きを調整する調整治具として脱着可能に構成されている。これに関しては、ブーム固定リンク6の取り付け方法を説明する際に詳述する。
【0044】
図7に示されるように、メインブームシリンダ41(41L,41R)は、アッパーフレーム31に設けられたシリンダボス33(33L,33R)を介して回動可能に接続される。
【0045】
シリンダボス33(33L,33R)には、上述したブーム固定リンク6(6L,6R)の端部を接続するための補助プレート60(60L,60R)が取り付けられる。詳細には、補助プレート60L,60Rは、シリンダボス33L,33Rのうちメインブームシリンダ41L,41Rの内側に突出した部分に対して取り付けられる。
【0046】
図8に示されるように、補助プレート60には、ブーム固定リンク6の端部を接続する接続ピン(不図示)を挿通するためのピン穴60hが形成されている。ブーム固定リンク6を補助プレート60に接続する際、ブーム固定リンク6のピン穴63hが補助プレート60のピン穴60hに位置合わせされ、図示しない接続ピンが挿通する。
【0047】
このように、本実施形態では、ブーム固定リンク6は、アッパーフレーム31に対して直接接続されるのではなく、補助プレート60を介して間接的に接続される。
【0048】
次に、図9図13を参照しながら、補助リンク7を用いてブーム固定リンク6をアッパーフレーム31に取り付ける方法について説明する。なお、説明の都合上、一部の図面においては、メインブームシリンダ41の図示を省略している。
【0049】
まず、図9に示されるように、アッパーフレーム31に設けられたシリンダボス33(図7)に対して補助プレート60を装着する。
【0050】
その後、メインブーム4を起こした際、ブーム固定リンク6が支持バー7Bに干渉しないように、支持バー7Bを補助リンク7の挿通孔75h(図5)から取り外す。
【0051】
次に、補助リンク7の挿通孔73hをフロントトランスリフタ5の挿通孔533h(図3)に位置合わせし、固定部材(不図示)を挿通する。
【0052】
固定部材が挿通されると、補助リンク7がフロントトランスリフタ5に対して取付位置(図2に示す位置)に固定される。すなわち、メインブーム4の起伏に応じてフロントトランスリフタ5が移動したとしても、補助リンク7とフロントトランスリフタ5との接続関係は図9に示す取付位置の状態が維持される。
【0053】
また、この時点において、架台50Aとフロントトランスリフタ5とを固定している固定ピンを取り外しておく。フロントトランスリフタ5の移動に架台50Aが追従しないようにするためである。
【0054】
続いて、図10に示されるように、伏せ姿勢にあるメインブーム4をフロントトランスリフタ5に装着する。
【0055】
具体的には、メインブーム4の切り欠き42(図1)にフロントトランスリフタ5に装着されているピンPN1(図3)を嵌合させる。その後、ピン穴54h(図3)とメインブーム4のピン穴44h(図1)とが位置合わせした上で、図示しない連結ピンを挿通する。
【0056】
そして、フロート50Bをフロントトランスリフタ5から取り外す。フロントトランスリフタ5の移動にフロート50Bが追従しないようにするためである。
【0057】
その後、図11に示されるように、メインブームシリンダ41を駆動して最伸状態まで伸長させ、メインブーム4を図10に示す伏せ姿勢から起き姿勢に回動させる。メインブーム4が図11に示す位置に回動すると、ブーム固定リンク6は、補助リンク7よりもメインブーム4の腹側に近接する位置に回動する。
【0058】
ブーム固定リンク6が補助リンク7よりもメインブーム4の腹側に近接する位置に回動した状態(図11)において、支持バー7Bを補助リンク7の挿通孔75h(図5)に挿通して取り付ける。
【0059】
そして、図12に示されるように、メインブームシリンダ41を駆動して最縮状態まで収縮させ、メインブーム4を図11に示す起き姿勢から再び伏せ姿勢に回動する。
【0060】
図12に示す伏せ姿勢において、ブーム固定リンク6は、補助リンク7に装着された支持バー7Bによって支持される。具体的には、左右のブーム固定リンク6L,6Rの下端が支持バー7Bに当接することにより、ブーム固定リンク6L,6Rが支持バー7Bに支持される。
【0061】
ブーム固定リンク6が補助リンク7に支持された状態において、補助リンク7の挿通孔533hに挿通した固定部材を取り外す。その結果、補助リンク7とフロントトランスリフタ5との接続が解除される。すなわち、補助リンク7は、フロントトランスリフタ5に対して回動可能な状態になる。
【0062】
次に、補助リンク7のフロントトランスリフタ5側の端部に調整治具としてチェーンブロック8を装着する。チェーンブロック8は、フロントトランスリフタ5と、補助リンク7のうちフロントトランスリフタ5側の端部とを接続する。
【0063】
チェーンブロック8の長さを短くすると、補助リンク7のうちアッパーフレーム31側の端部が上がり、逆に、チェーンブロック8の長さを長くすると、当該端部が下がる。これにより、補助リンク7の傾きが調整される。
【0064】
チェーンブロック8を介して補助リンク7の傾きを調整することにより、補助リンク7に支持されたブーム固定リンク6のピン穴63hを補助プレート60のピン穴60hに位置合わせする。その上で、図示しない接続ピンをピン穴63h及びピン穴60hに挿通してブーム固定リンク6を補助プレート60に固定する。
【0065】
その後、チェーンブロック8を介して補助リンク7をブーム固定リンク6よりも上側に回動させ、脱落防止ピンPN3(図6)をピン穴77h(図5)に挿通する。そして、チェーンブロック8を介して補助リンク7に装着された脱落防止ピンPN3がブーム固定リンク6に当接する位置に補助リンク7を回動させ、補助リンク7をブーム固定リンク6にあずける。
【0066】
最後に、図13に示されるように、チェーンブロック8を取り外した上で、ブーム固定リンク6が張った状態になるまで、メインブームシリンダ41を駆動して伸長させ、メインブーム4を回動させる。
【0067】
以上のような手順を経て、ブーム固定リンク6がアッパーフレーム31に対して取り付けられる。
【0068】
本実施形態によれば、ブーム固定リンク6によりメインブーム4の回動が阻止されるので、誤操作や油圧機器の内部リークが発生したとしてもメインブーム4が揺動しない。そのため、トランスリフタ装置によりジャッキアップされる解体機1において、誤操作や油圧機器の内部リークが発生した場合に十分な安全性を確保することが可能である。
【0069】
また、本実施形態によれば、ブーム固定リンク6が補助プレート60を介してアッパーフレーム31に対して間接的に接続される。そのため、ブーム固定リンク6がメインブームシリンダ41の配管に干渉せずに済む。また、後付の補助プレート60をアッパーフレーム31のシリンダボス33に対して装着する構成であるため、アッパーフレーム31側に改造を要しない。
【0070】
また、本実施形態によれば、ブーム固定リンク6がメイン部材61とサブ部材63とに分割可能に構成されているため、長手方向の長さを微調整することが可能である。そのため、製造時の公差や外力に伴う歪み等に起因してアッパーフレーム31側のピン穴の軸にずれが生じた場合であっても接続位置を調整することでそのずれを吸収することが可能である。
【0071】
また、本実施形態によれば、ブーム固定リンク6の取り付け時において補助リンク7及び調整治具8が用いられるため、ブーム固定リンク6の一端を補助プレート60に対して比較的容易に位置合わせすることが可能である。
【0072】
<2.第2実施形態>
第2実施形態は、上記第1実施形態の変形例である。上記第1実施形態では、補助リンク7を用いてブーム固定リンク6をアッパーフレーム31に取り付ける方法を例示した。
【0073】
これに対して、この第2実施形態では、補助リンク7を用いることなくブーム固定リンク6を機械本体に取り付ける方法を例示する。
【0074】
以下、図14図18を参照しながら、第2実施形態によるブーム固定リンク6の取付方法について説明する。
【0075】
図14に示されるように、第2実施形態では、ブーム固定リンク6のうちアッパーフレーム31側の端部が架台60Aによって回動可能に支持される。そのため、ブーム固定リンク6は、架台60Aとの接続点を支軸として回動する。
【0076】
また、ブーム固定リンク6のうちフロントトランスリフタ5に接続される側には、長孔6hが形成されている。
【0077】
長孔6hには、ブーム固定リンク6とフロントトランスリフタ5とを接続する接続ピンPN21,PN22(図6)が挿通する。
【0078】
上述したように、フロントトランスリフタ5はメインブーム4の回動に追従して移動する。フロントトランスリフタ5が移動すると、図示しない接続ピンがブーム固定リンク6に形成された長孔6hをスライド移動する。
【0079】
その他の構成については、上記第1実施形態と概ね同じ構成を採用しているため、ここでは、説明を省略する。
【0080】
以下、図15図18を参照しながら、第2実施形態におけるブーム固定リンク6の取り付け方法について説明する。
【0081】
まず、図15に示されるように、アッパーフレーム31に設けられたシリンダボス33(図7)に対して補助プレート60を装着する。
【0082】
その後、図16に示されるように、伏せ姿勢にあるメインブーム4をフロントトランスリフタ5に装着する。
【0083】
次に、メインブームシリンダ41を駆動して徐々に伸長させ、メインブーム4を徐々に起こしていく。その際、ブーム固定リンク6とフロントトランスリフタ5とを接続する接続ピンは、ブーム固定リンク6に形成された長孔6hをスライド移動する。
【0084】
そして、図17に示されるように、ブーム固定リンク6が地面に対して略垂直となる位置でメインブームシリンダ41の伸長を一旦停止し、ブーム固定リンク6と架台60Aとの接続を解除する。
【0085】
その後、同じく図17に示されるように、メインブームシリンダ41を最伸状態になるまで伸長させ、メインブーム4を起き姿勢に回動する。そして、ブーム固定リンク6とメインブーム4とをストッパ補助リンク9を用いて固定する。
【0086】
そして、図18に示されるように、メインブームシリンダ41を駆動して最縮状態になるまで収縮させ、メインブーム4を伏せ姿勢に回動する。この伏せ姿勢において、ブーム固定リンク6は、ストッパ補助リンク9によって保持されている。
【0087】
この後、ブーム固定リンク6のピン穴63hを補助プレート60のピン穴60hに位置合わせし、図示しない接続ピンによってブーム固定リンク6を補助プレート60に固定する。
【0088】
最後に、図19に示されるように、ストッパ補助リンク9を取り外し、ブーム固定リンク6が張った状態になるまで、メインブームシリンダ41を伸長させてメインブーム4を回動させる。
【0089】
本実施形態によれば、補助リンク7や調整治具8が不要になるため、より簡易な構成でブーム固定リンク6をアッパーフレーム31に対して取り付けることが可能である。
【0090】
<3.変形例>
本発明による建設機械のブーム固定構造及びブーム固定リンクの取付方法は上述した第1及び第2実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0091】
例えば、上記各実施形態では、補助プレート60を介してブーム固定リンク6がアッパーフレーム31に対して間接的に接続される場合を例示したが、これに限定されず、ブーム固定リンク6がアッパーフレーム31に直接接続されるようにしてもよい。
【0092】
かかる変形例によれば、配管位置等の変更は必要になるものの、補助プレート60を別途準備する必要がなく、よりシンプルな構成でメインブーム4を固定することが可能である。
【0093】
また、上記第2実施形態では、ブーム固定リンク6に長孔6hを形成し、メインブーム4の回動に伴って接続ピンが長孔6hをスライド移動する場合を例示したが、これに限定されない。
【0094】
例えば、図19に示されるように、ブーム固定リンク6に長孔6hを形成せず、ブーム固定リンク6の一端を支持するスライド式架台91に長孔91hを形成し、メインブーム4の回動に伴ってブーム固定リンク6の一端が長孔91hをスライド移動するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
以上のように本発明にかかる建設機械は、トランスリフタを用いて解体機等をジャッキアップしてクローラを取り外すのに適している。
【符号の説明】
【0096】
1 解体機、2 下部走行体、3 上部旋回体、4 メインブーム、
5 フロントトランスリフタ、5L,5R 左右側板、
6(6L,6R) ブーム固定リンク、6h 長孔、7 補助リンク、7B 支持バー、
7L,7R 補助リンク、8 チェーンブロック、9 ストッパ補助リンク、
31 アッパーフレーム、33(33L,33R) シリンダボス、
41(41L,41R) メインブームシリンダ、44h ピン穴、50A 架台、
50B フロート、51h,52h,54h ピン穴、60 補助プレート、
60A 架台、60L,60R 補助プレート、60h ピン穴、
61(61L,61R) メイン部材、61h,63h ピン穴、63 サブ部材、
71h ピン穴、73h,75h 挿通孔、77h ピン穴、91 支持部材、
91h 長孔、531h,533h 挿通孔、BT ボルト、D1,D2 間隔、
PN1 ピン、PN21,PN22 連結ピン、PN3 脱落防止ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19