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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】コンテナ無人搬送車
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20220405BHJP
【FI】
G05D1/02 Y
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018205723
(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2020071699
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大森 保
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-101008(JP,A)
【文献】特開2010-044530(JP,A)
【文献】特開2016-074507(JP,A)
【文献】特開2001-097670(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103542920(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0191333(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部指令部からの指令に基づき予め定められた走行経路に沿って走行するコンテナ無人搬送車であって、
クレーンにより吊り下げられたコンテナが載置される載置面が設けられた荷台と、
前記コンテナ無人搬送車の前後方向に交わる方向に向けて操舵可能な複数の駆動輪と、
前記駆動輪に操舵力を発生させる操舵装置と、
前記駆動輪に駆動力を発生させる動力源と、
前記荷台に設けられるとともに前記コンテナを撮影する撮像装置と、
前記撮像装置で撮影された前記コンテナの撮像データの画像処理制御部による処理結果に基づき前記操舵装置及び前記動力源を制御することで前記コンテナと前記載置面とを位置決めする車両制御装置と、を備え
前記画像処理制御部は、前記載置面が前記コンテナと対向している状態で前記コンテナ無人搬送車が停車している場合、前記撮像データに基づき所定の距離を演算し、
前記所定の距離は、前記載置面から前記コンテナまでの第1距離、前記コンテナ無人搬送車の前後方向における前記載置面と前記コンテナとの相対位置を示す第2距離、及び前記コンテナ無人搬送車の左右方向における前記載置面と前記コンテナとの相対位置を示す第3距離であり、
前記車両制御装置は、
前記第1距離が第1規定値以内であるときに、前記第2距離が第2規定値より大きい場合に前記第2距離が前記第2規定値以下となるように前記操舵装置及び前記動力源を制御することで前記コンテナと前記載置面とを前記コンテナ無人搬送車の前後方向に位置決めする前後調整処理を実施し、前記第3距離が第3規定値より大きい場合に前記第3距離が前記第3規定値以下となるように前記操舵装置及び前記動力源を制御することで前記コンテナと前記載置面とを前記コンテナ無人搬送車の左右方向に位置決めする左右調整処理を実施することを特徴とするコンテナ無人搬送車。
【請求項2】
前記撮像装置は、吊り下げられた前記コンテナにおける所定のエッジ部が前記撮像データに納まる位置に設けられ、
前記第2距離は、前記コンテナ無人搬送車の前後方向において前記載置面の第1所定位置から前記コンテナにおける前記エッジ部までの距離であり、
前記第3距離は、前記コンテナ無人搬送車の左右方向において前記載置面の第2所定位置から前記コンテナにおける前記エッジ部までの距離であることを特徴とする請求項に記載のコンテナ無人搬送車。
【請求項3】
前記車両制御装置は、前記第2距離が前記第2規定値以内より大きいとともに、前記第3距離が前記第3規定値よりも大きい場合に、前記左右調整処理よりも先に前記前後調整処理を実施することを特徴とする請求項又は請求項に記載のコンテナ無人搬送車。
【請求項4】
前記操舵装置は、前記駆動輪毎に独立して操舵可能であり、
前記駆動輪の操舵可能な操舵角度は、前記コンテナ無人搬送車が前後方向に向かって直進しているときの前記操舵角度に対して前記コンテナ無人搬送車の左右方向にそれぞれ90度に設定され、
前記車両制御装置により前記操舵装置が制御されることにより全ての前記駆動輪を同方向へ90度の操舵角度まで操舵させ、前記コンテナ無人搬送車の左右方向への横行が可能であることを特徴とする請求項1~請求項のいずれか一項に記載のコンテナ無人搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナが載置される荷台を有し、予め定められた走行経路に沿って走行するコンテナ無人搬送車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されるようなコンテナ無人搬送車が知られている。コンテナ無人搬送車は、例えば港湾内において、船から降ろされたコンテナを所望の位置に搬送する手段として利用されている。そして、コンテナ無人搬送車の荷台には、特許文献2に記載されるように港湾設備のクレーンによりコンテナが載置される。
【0003】
特許文献2に記載される発明では、クレーンに設けられたカメラにより撮影された搬送車の荷台の画像に基づき搬送車の荷台の目標位置にコンテナが載置されるようにクレーンを制御する着床目標設定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-74507号公報
【文献】特開2002-241078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、港湾内で吹く風等の外乱の影響によりクレーンに吊り下げられたコンテナが揺れてしまうことがある。すると、コンテナ無人搬送車の荷台の目標位置にコンテナが載置されるようにクレーンを制御したとしても、コンテナが揺れたままであればコンテナ無人搬送車の荷台にコンテナが安定的に載置されないときがある。
【0006】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、外乱の影響があったとしてもコンテナが荷台に安定的に載置されるための位置決め精度を向上させることができるコンテナ無人搬送車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するコンテナ無人搬送車は、外部指令部からの指令に基づき予め定められた走行経路に沿って走行するコンテナ無人搬送車であって、クレーンにより吊り下げられたコンテナが載置される載置面が設けられた荷台と、前記コンテナ無人搬送車の前後方向に交わる方向に向けて操舵可能な複数の駆動輪と、前記駆動輪に操舵力を発生させる操舵装置と、前記駆動輪に駆動力を発生させる動力源と、前記荷台に設けられるとともに前記コンテナを撮影する撮像装置と、前記撮像装置で撮影された前記コンテナの撮像データの画像処理制御部による処理結果に基づき前記操舵装置及び前記動力源を制御することで前記コンテナと前記載置面とを位置決めする車両制御装置と、を備えている。
【0008】
これによれば、クレーンに吊り下げられたコンテナが外乱の影響により揺れてしまっても、撮像装置で撮影されたコンテナの撮像データに基づいて、コンテナ無人搬送車がコンテナの位置に追従して移動する。これにより、外乱の影響があったとしてもコンテナが荷台に安定的に載置されるための位置決め精度を向上させることができる。
【0009】
また、前記画像処理制御部は、前記載置面が前記コンテナと対向している状態で前記コンテナ無人搬送車が停車している場合、前記撮像データに基づき所定の距離を演算し、前記所定の距離は、前記載置面から前記コンテナまでの第1距離、前記コンテナ無人搬送車における前後方向の前記載置面と前記コンテナとの相対位置を示す第2距離、及び前記コンテナ無人搬送車の左右方向における前記載置面と前記コンテナとの相対位置を示す第3距離であり、前記車両制御装置は、前記第1距離が第1規定値以内であるときに、前記第2距離が第2規定値より大きい場合に前記第2距離が前記第2規定値以下となるように前記操舵装置及び前記動力源を制御することで前記コンテナと前記載置面とを前記コンテナ無人搬送車の前後方向に位置決めする前後調整処理を実施し、前記第3距離が第3規定値より大きい場合に前記第3距離が前記第3規定値以下となるように前記操舵装置及び前記動力源を制御することで前記コンテナと前記載置面とを前記コンテナ無人搬送車の左右方向に位置決めする左右調整処理を実施するとよい。
【0010】
これによれば、撮像データに基づき画像処理制御部が演算した第2距離が第2規定値以下となるように、操舵装置及び動力源を制御する前後調整処理を実施する。また、撮像データに基づき画像処理制御部が演算した第3距離が第3規定値以下となるように、操舵装置及び動力源を制御する左右調整処理を実施する。よって、例えば港湾内で吹く風等の外乱の影響によりクレーンに吊り下げられたコンテナが揺れていたとしても、コンテナの揺れに応じてコンテナ無人搬送車の前後方向及び左右方向の位置を調整することができる。したがって、外乱の影響があったとしても荷台にコンテナが安定的に載置される位置決め精度を向上させることができる。
【0011】
上記コンテナ無人搬送車において、前記撮像装置は、吊り下げられた前記コンテナにおける所定のエッジ部が前記撮像データに納まる位置に設けられ、前記第2距離は、前記コンテナ無人搬送車の前後方向において前記載置面の第1所定位置から前記コンテナにおける前記エッジ部までの距離であり、前記第3距離は、前記コンテナ無人搬送車の左右方向において前記載置面の第2所定位置から前記コンテナにおける前記エッジ部までの距離であるとよい。
【0012】
これによれば、撮像データにおいてコンテナのエッジ部は点として撮像される。そのため、載置面の第1所定位置及び第2所定位置からコンテナのエッジ部までの第2距離及び第3距離を演算することが容易となり、ひいては載置面とコンテナとの相対位置をより容易に検出することができる。
【0013】
上記コンテナ無人搬送車において、前記車両制御装置は、前記第2距離が前記第2規定値以内より大きいとともに、前記第3距離が前記第3規定値よりも大きい場合に、前記左右調整処理よりも先に前記前後調整処理を実施するとよい。
【0014】
これによれば、第2距離が第2規定値以上であるときには車両制御装置によりコンテナ無人搬送車の左右方向の位置の調整よりもコンテナ無人搬送車の前後方向の位置の調整が先に実施される。コンテナ無人搬送車が停止するとき、駆動輪はコンテナ無人搬送車の前後方向に向けられている場合が多い。よって、車両制御装置は、先にコンテナ無人搬送車の左右方向の位置の調整が実施される場合に各駆動輪を操舵するための時間を取ること無く、各駆動輪の操舵角度が、コンテナ無人搬送車の前後方向に向かって直進しているときの操舵角度の状態ですぐにコンテナ無人搬送車の前後方向の位置の調整が実施できる。
【0015】
上記コンテナ無人搬送車において、前記操舵装置は、前記駆動輪毎に独立して操舵可能であり、前記駆動輪の操舵可能な操舵角度は、前記コンテナ無人搬送車が前後方向に向かって直進しているときの前記操舵角度に対して前記コンテナ無人搬送車の左右方向にそれぞれ90度に設定され、前記車両制御装置により前記操舵装置が制御されることにより全ての前記駆動輪を同方向へ90度の操舵角度まで操舵させ、前記コンテナ無人搬送車の左右方向への横行が可能であるとよい。
【0016】
これによれば、車両制御装置により前後調整処理が実施されるときに各駆動輪の操舵角度が、コンテナ無人搬送車の前後方向に向かって直進しているときの操舵角度となるように操舵装置が制御され、車両制御装置により左右調整処理が実施されるときに、各駆動輪の操舵角度が、コンテナ無人搬送車の前後方向に向かって直進しているときの操舵角度に対して左右方向にそれぞれ90度となるように操舵装置が制御されるように設定すれば、コンテナに対するコンテナ無人搬送車の位置の調整が前後調整処理及び左右調整処理を1回ずつ実施するだけで完了する。したがって、コンテナ無人搬送車の位置を調整することを目的とした車両制御装置による操舵装置及び動力源の制御頻度を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のコンテナ無人搬送車によれば、外乱の影響があったとしても荷台にコンテナが安定的に載置されるための位置決め精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】コンテナ無人搬送車の第1の実施形態が用いられるコンテナターミナルの概略平面図。
図2】第1の実施形態の概略を示す側面図。
図3】第1の実施形態の概略を示す正面図。
図4】(a)及び(b)は駆動輪の操舵角度が0度又は90度であるときを示す概略平面図。
図5】第1の実施形態の制御構成を示すブロック図。
図6】(a)はコンテナ無人搬送車がクレーンの位置で停止しているときのコンテナと荷台との位置関係を示した側面図、(b)はコンテナ無人搬送車がクレーンの位置で停止しているときのコンテナと荷台との位置関係を示した上面図。
図7】第1の実施形態の制御構成の制御フロー図。
図8】コンテナ無人搬送車の第2の実施形態を示した概略平面図。
図9】第2の実施形態の制御構成の制御フロー図。
図10】コンテナの下面の凹凸を示した概略平面図。
図11】変更例の画像処理制御部における第1距離、第2距離、及び第3距離の演算を示したブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図1図7にしたがって説明する。
図1に示すように、港湾におけるコンテナターミナルでは、外部司令部としての管制塔101からの指令S1により複数台のコンテナ無人搬送車(AGV)10が予め定められた走行経路Rを走行している。コンテナ無人搬送車10は、管制塔101から無線によりコンテナ無人搬送車10の走行状態を制御する指令S1を受け、走行経路Rを走行している。各コンテナ無人搬送車10は、指令S1によりコンテナWの積載位置に停車する。クレーン103は、管制塔101により位置が制御されている。クレーン103は、コンテナWを吊り下げた状態でコンテナWの積載位置まで移動させられる。クレーン103の位置情報は、管制塔101にフィードバックされている。各コンテナ無人搬送車10には、コンテナ船102からコンテナWがクレーン103で積み降ろされる。クレーン103により積み降ろされたコンテナWがコンテナ無人搬送車10に搭載される。コンテナWが搭載されたコンテナ無人搬送車10は、走行経路Rに沿ってラバータイヤクレーン104まで走行する。ラバータイヤクレーン104によりコンテナ無人搬送車10に搭載されたコンテナWが降ろされる。コンテナWが降ろされて空車となったコンテナ無人搬送車10は、走行経路Rに沿ってクレーン103まで戻る。
【0020】
図2に示すように、コンテナ無人搬送車10の車体11は、荷台20と、複数の駆動輪30と、複数のモータ40と、複数の撮像装置50とを備えている。荷台20には、クレーン103により吊り下げられたコンテナWを載置する載置面21が設けられている。載置面21は、水平に延びる平面状である。載置面21は、コンテナWの下面bsよりも広く形成された四角形状をなしている。モータ40は、駆動輪30を動作させるための動力を発生する。モータ40には、動力源としての走行用モータ41と、操舵用モータ42とが採用されている。走行用モータ41は、コンテナ無人搬送車10を前後方向に走行させるための駆動力を発生する。操舵用モータ42は、コンテナ無人搬送車10の進行方向を変更するべく駆動輪30を操舵するための動力を発生する。撮像装置50には、2つのカメラを備えるステレオカメラが採用されている。2つのカメラは、例えば、CCDイメージセンサや、CMOSイメージセンサである。撮像装置50は、クレーン103により吊り下げられたコンテナWの下面bsにおける4つのエッジ部Eを撮影するために設けられている。撮像装置50は、荷台20の載置面21上における四隅にそれぞれ設けられている。詳しくは、撮像装置50は、クレーン103により吊り下げられたコンテナWのエッジ部Eが撮像データEdに納まる位置に設けられている。本実施形態におけるエッジ部Eは、コンテナWの前後方向、左右方向、及び高さ方向のそれぞれの面が交わる角部、すなわちコンテナWの下面における頂点である。
【0021】
図3に示すように、コンテナ無人搬送車10には、車体11に対して水平方向に旋回自在の旋回支持部12が設けられている。旋回支持部12の下端には、図示しない車軸及び図示しないデフ機構を収容する軸ケース13が連結されている。車軸の両端には、タイヤ31が取り付けられており、駆動輪30は2本のタイヤ31を備えるダブルタイヤ構造となっている。軸ケース13には、デフ機構と接続される走行用モータ41が設けられている。走行用モータ41は、2本のタイヤ31の間において走行用モータ41の長手方向が水平となるように軸ケース13に固定されている。走行用モータ41の回転力は、デフ機構を介して車軸に伝達される。よって、全ての駆動輪30には、走行用モータ41から駆動力が伝達される。
【0022】
コンテナ無人搬送車10の車体11の内部には、各旋回支持部12と連結される操舵装置14が設けられている。操舵装置14は、操舵用モータ42と、操舵用モータ42の回転力を旋回支持部12に減速して伝達する図示しない減速機とを有している。よって、操舵装置14は、操舵用モータ42の動力により駆動輪30に対して操舵力を発生する。そのため、車体11の左右に配置された駆動輪30が互いに独立して操舵可能となる。
【0023】
図4(a)及び図4(b)に示すように、コンテナ無人搬送車10の駆動輪30は、コンテナ無人搬送車10の前後方向に交わる方向に向けて操舵可能である。具体的には、コンテナ無人搬送車10の駆動輪30の最大操舵角度は、コンテナ無人搬送車10が前後方向に向かって直進しているときの操舵角度を基準として右方向に90度、左方向に90度に設定されている。よって、駆動輪30の操舵可能な操舵角度は、コンテナ無人搬送車10が前後方向に向かって直進しているときの操舵角度に対してコンテナ無人搬送車10の左右方向にそれぞれ90度に設定されている。そのため、例えば全ての駆動輪30が同方向へ90度の操舵角度まで操舵されると、コンテナ無人搬送車10は、左右方向への横行が可能となる。
【0024】
図5に示すように、コンテナ無人搬送車10は、ナビゲーションシステムNsと、車両制御装置Vsと、バッテリ81を備えている。ナビゲーションシステムNsには、管制塔101(図1参照)からの指令S1が入力される。ナビゲーションシステムNsは、管制塔101からの指令S1に基づき車両制御装置Vsに走行用モータ41及び操舵装置14を制御するための制御指令S2を出力する。車両制御装置Vsは、ナビゲーションシステムNsから出力される制御指令S2に基づきバッテリ81の電力を走行用モータ41及び操舵装置14の操舵用モータ42に供給する。走行用モータ41及び操舵用モータ42への電力供給に伴って全ての駆動輪30に駆動力及び操舵力が付与される。
【0025】
また、管制塔101からコンテナ無人搬送車10をコンテナWの積載位置で停車させる情報、及びクレーン103がコンテナWの積載位置に到達したことを示す位置情報を含む指令S1がコンテナ無人搬送車10に入力されてから所定時間経過した場合を考える。これは、コンテナ無人搬送車10の荷台20の載置面21がコンテナWと対向している状態でコンテナ無人搬送車10が停車している場合といえる。この場合、車両制御装置Vsは撮像装置50を起動させ、コンテナWの各エッジ部Eを撮影する。撮像装置50により撮影された撮像データEdは、車両制御装置Vsに出力される。なお、所定時間とは、コンテナ無人搬送車10がコンテナWの積載位置で停車するまでの時間を示している。
【0026】
車両制御装置Vsは、画像処理制御部60と、モータ制御部70と、ナビゲーションシステム指令受信部82と、メモリ83とを有している。メモリ83には、車両制御装置Vsが種々の制御を実施するためのプログラムなどが記憶されている。ナビゲーションシステム指令受信部82は、ナビゲーションシステムNsからの制御指令S2を受信し、モータ制御部70に出力する。画像処理制御部60は、撮像装置50により撮影されたコンテナWのエッジ部Eの撮像データEdを処理し、処理結果をモータ制御部70に出力する。モータ制御部70は、ナビゲーションシステム指令受信部82から出力される制御指令及び画像処理制御部60により撮像データEdの処理結果に基づき走行用モータ41及び操舵用モータ42を制御する。モータ制御部70は、走行用モータ41及び操舵用モータ42の回転速度及び回転方向を制御する。モータ制御部70は、モータ制御信号生成部71と、インバータ72とを有している。モータ制御信号生成部71は、ナビゲーションシステム指令受信部82から出力される制御指令及び画像処理制御部60による撮像データEdの処理結果に基づき走行用モータ41及び操舵用モータ42の目標回転速度及び目標回転時間を演算するとともに走行用モータ41及び操舵用モータ42の回転方向を設定する。モータ制御信号生成部71は、目標回転速度及び目標回転時間で設定された回転方向に走行用モータ41及び操舵用モータ42が駆動するように制御信号S3を生成し、インバータ72に出力する。インバータ72は、走行用モータ41及び操舵用モータ42と接続されている。インバータ72は、モータ制御信号生成部71により生成された制御信号S3に基づきバッテリ81の電力を走行用モータ41及び操舵用モータ42に供給することで走行用モータ41及び操舵用モータ42を駆動させる。画像処理制御部60は、コンテナ無人搬送車10の荷台20の載置面21がコンテナWと対向している状態でコンテナ無人搬送車10が停車している場合、撮像データEdに基づき後述する所定の距離を演算する。なお、図5ではインバータ72、走行用モータ41、操舵用モータ42は、各駆動輪30毎に1つずつ設けられているが、説明の便宜上まとめて記載している。
【0027】
図6(a)に示すように、画像処理制御部60は、撮像データEdに基づき荷台20の載置面21からコンテナWまでの第1距離Aを演算する。第1距離Aは、撮像装置50であるステレオカメラによる既存の距離測定により演算される。具体的には、第1距離Aは、クレーン103により吊り下げられたコンテナWの下面bsが載置面21に投影されたときの投影面からコンテナWの下面bsまでの距離を示している。すなわち、第1距離Aは、載置面21に直交する方向(鉛直方向)における載置面21からコンテナWの下面bsまでの距離を示している。画像処理制御部60は、所定周期で第1距離Aを演算し、処理結果としてモータ制御信号生成部71に第1距離Aの情報を出力する。なお、第1距離Aは、所定の距離の一例である。
【0028】
図6(b)に示すように、画像処理制御部60は、撮像データEdに基づき第2距離B1,B2,B3,B4を演算する。詳しくは、画像処理制御部60は、載置面21の外縁部21aにおけるコンテナ無人搬送車10の前後方向に対応する前後外縁部Tpb(第1所定位置)から載置面21におけるコンテナWの下面bsが投影された投影面(図6(b)の二点鎖線で示す)のコンテナWのエッジ部Eに対応する点までの第2距離B1,B2,B3,B4を演算する。また、画像処理制御部60は、撮像データEdに基づき第3距離C1,C2,C3,C4を演算する。詳しくは、画像処理制御部60は、載置面21の外縁部21aにおけるコンテナ無人搬送車10の左右方向に対応する左右外縁部Tpc(第2所定位置)から載置面21における前記投影面のコンテナWのエッジ部Eに対応する点までの第3距離C1,C2,C3,C4を演算する。第2距離B1及び第3距離C1は、コンテナ無人搬送車10の左前における載置面21の前後外縁部Tpb及び左右外縁部TpcからコンテナWの投影面におけるコンテナWのエッジ部Eに対応する点までの距離である。第2距離B2及び第3距離C2は、コンテナ無人搬送車10の右前における載置面21の前後外縁部Tpb及び左右外縁部TpcからコンテナWの投影面におけるコンテナWのエッジ部Eに対応する点までの距離である。第2距離B3及び第3距離C3は、コンテナ無人搬送車10の左後における載置面21の前後外縁部Tpb及び左右外縁部TpcからコンテナWの投影面におけるコンテナWのエッジ部Eに対応する点までの距離である。第2距離B4及び第3距離C4は、コンテナ無人搬送車10の右後における載置面21の前後外縁部Tpb及び左右外縁部TpcからコンテナWの投影面におけるコンテナWのエッジ部Eに対応する点までの距離である。なお、第2距離B1,B2,B3,B4及び第3距離C1,C2,C3,C4は、所定の距離の一例であり、前後外縁部Tpb及び左右外縁部Tpcは、載置面21の所定位置の一例である。
【0029】
具体的には、画像処理制御部60は、撮像装置50であるステレオカメラによる既存の距離測定により撮像データEdから各撮像装置50の原点からコンテナWの投影面におけるコンテナWの各エッジ部Eに対応する点までの前後方向における距離b1´,b2´,b3´,b4´を演算する。画像処理制御部60は、撮像装置50であるステレオカメラによる既存の距離測定により撮像データEdから各撮像装置50の原点からコンテナWの投影面におけるコンテナWの各エッジ部Eに対応する点までの左右方向における距離c1´,c2´,c3´,c4´を演算する。距離b1´及び距離c1´は、コンテナ無人搬送車10の左前における撮像装置50の原点からコンテナWの投影面におけるコンテナWのエッジ部Eに対応する点までの距離である。距離b2´及び距離c1´は、コンテナ無人搬送車10の右前における撮像装置50の原点からコンテナWの投影面におけるコンテナWのエッジ部Eに対応する点までの距離である。距離b3´及び距離c3´は、コンテナ無人搬送車10の左後における撮像装置50の原点からコンテナWの投影面におけるコンテナWのエッジ部Eに対応する点までの距離である。距離b4´及び距離c4´は、コンテナ無人搬送車10の右後における撮像装置50の原点からコンテナWのエッジ部Eに対応する点までの距離である。
【0030】
画像処理制御部60は、距離b1´,b2´,b3´,b4´に載置面21の前後外縁部Tpbから撮像装置50の原点までの距離b´を加算することにより第2距離B1,B2,B3,B4を演算する。画像処理制御部60は、距離c1´,c2´,c3´,c4´に載置面21の左右外縁部Tpcから撮像装置50の原点までの距離c´を加算することにより第3距離C1,C2,C3,C4を演算する。距離b´及び距離c´は、撮像装置50の載置面21における設置位置により一義的に決まる。すなわち、第2距離B1,B2,B3,B4は、コンテナ無人搬送車10の前後方向において載置面21とコンテナWとの相対位置を示す値である。第3距離C1,C2,C3,C4は、コンテナ無人搬送車10の左右方向において載置面21とコンテナWとの相対位置を示す値である。画像処理制御部60は、第1距離Aが第1規定値Ath以内であるとき、所定周期で第2距離B1,B2,B3,B4及び第3距離C1,C2,C3,C4を演算し、処理結果としてモータ制御信号生成部71に出力する。
【0031】
図7に示すように、第1距離Aが第1規定値Ath以内であるとき、車両制御装置Vsは、コンテナWに対するコンテナ無人搬送車10の位置を調整する。具体的には、車両制御装置Vsは、コンテナ無人搬送車10の前後方向の位置を調整する前後調整処理を実施する。車両制御装置Vsは、コンテナ無人搬送車10の左右方向の位置を調整する左右調整処理を実施する。車両制御装置Vsは、画像処理制御部60により演算される所定の距離(画像処理制御部60による処理結果)に基づき走行用モータ41及び操舵装置14を制御することでコンテナWとコンテナ無人搬送車10の載置面21とを位置決めする。車両制御装置Vsは、前後調整処理及び左右調整処理を実施する場合には、左右調整処理よりも先に前後調整処理を実施する。
【0032】
以下の説明では、コンテナWに対するコンテナ無人搬送車10の位置を調整することを目的とした車両制御装置Vsの1周期分の制御フローを説明する。なお、第1距離Aが第1規定値Ath以内である状況とは、コンテナWがコンテナ無人搬送車10の載置面21に載置される直前の状況であるといえる。この状況では、クレーン103により吊り下げられたコンテナWは、港湾内で吹く風等の外乱の影響を受けるが、その程度は小さい。よって、第1距離Aが第1規定値Ath以内であるとき、コンテナWに対するコンテナ無人搬送車10の位置のずれの程度は小さいため、第2距離B1及び第2距離B2の大きさは略同一、第2距離B3及び第2距離B4の大きさは略同一、第3距離C1及び第3距離C2の大きさは略同一、及び第3距離C3及び第3距離C4の大きさは略同一である。すなわち、コンテナWはクレーン103に吊り下げられた状態で周方向に回転するような位置ずれがほとんどない状態である。以下この点を考慮して説明する。
【0033】
車両制御装置Vsは、画像処理制御部60により第1距離Aが第1規定値Ath以内か否かを判定する(ステップS101)。車両制御装置Vsは、第1距離Aが第1規定値Ath以内でないとき(ステップS101でNo)、載置面21とコンテナWとの相対位置の検出を停止し(ステップS110)、車両制御装置VsのコンテナWとコンテナ無人搬送車10の載置面21との位置決めを目的とした制御を終了する(制御終了)。これは、画像処理制御部60が、コンテナWが載置面21に載置される直前にまで達しておらず、各撮像装置50の撮影対象であるコンテナWの各エッジ部Eが適切に撮影できないと判定するためである。車両制御装置Vsは、第1距離Aが第1規定値Ath以内であるとき(ステップS101でYes)、コンテナ無人搬送車10の前後方向における載置面21とコンテナWとの相対位置を検出する(ステップS102)。具体的には、車両制御装置Vsの画像処理制御部60は、第1距離Aが第1規定値Ath以内であるとき、第2距離B1,B2,B3,B4を演算する。車両制御装置Vsは、画像処理制御部60により第2距離B1及び第2距離B2のいずれか一方、又は第2距離B3及び第2距離B4のいずれか一方が第2規定値Bthより大きいか否かを判定する(ステップS103)。ここで、第2規定値Bthとは、コンテナ無人搬送車10の前後方向においてコンテナWが安定的に載置面21に載置されるときの載置面21の前後外縁部TpbからコンテナWまでの距離に設定されている。車両制御装置Vsは、第2距離B1及び第2距離B2のいずれか一方、又は第2距離B3及び第2距離B4のいずれか一方が第2規定値Bthより大きい場合(ステップS103でYes)、前後調整処理を実施する(ステップS104)。車両制御装置Vsは、第2距離B1及び第2距離B2のいずれか一方、又は第2距離B3及び第2距離B4のいずれか一方が第2規定値Bth以下となるようにコンテナ無人搬送車10の前後方向の位置を調整する。例えば第2距離B1及び第2距離B2のいずれか一方が第2規定値Bthより大きい状態であれば、第2規定値Bthが示す載置面21の位置よりもコンテナWがコンテナ無人搬送車10の後方に向けてずれている。そのため、車両制御装置Vsのモータ制御部70は、コンテナ無人搬送車10が後方に向けて走行するように走行用モータ41の回転方向を設定し、第2距離B1,B2が第2規定値Bth以下となるように目標回転速度及び目標回転時間を演算し、走行用モータ41を駆動させる。また、第2距離B3及び第2距離B4のいずれか一方が第2規定値Bthより大きい状態でも同様の処理が実施される。車両制御装置Vsは、前後調整処理を実施した後、ステップS106の処理を実施する。また、車両制御装置Vsは、第2距離B1及び第2距離B2のいずれか一方、又は第2距離B3及び第2距離B4のいずれか一方が第2規定値Bthより大きくないとき(ステップS103でNo)、コンテナ無人搬送車10の前後方向においてコンテナWと載置面21との相対位置にずれがないと判定する(ステップS105)。車両制御装置Vsは、ステップS105の後、ステップS106の処理を実施する。
【0034】
車両制御装置Vsは、ステップS104及びステップS105の後にコンテナ無人搬送車10の左右方向における載置面21とコンテナWとの相対位置を検出する(ステップS106)。具体的には、車両制御装置Vsの画像処理制御部60は、第3距離C1,C2,C3,C4を演算する。車両制御装置Vsは、画像処理制御部60により演算された第3距離C1及び第3距離C3のいずれか一方、又は第3距離C2及び第3距離C4のいずれか一方が第3規定値Cthより大きいか否かを判定する(ステップS107)。ここで、第3規定値Cthとは、コンテナ無人搬送車10の左右方向においてコンテナWが安定的に載置面21に載置されるときの載置面21の左右外縁部TpcからコンテナWまでの距離に設定されている。車両制御装置Vsは、第3距離C1及び第3距離C3のいずれか一方、又は第3距離C2及び第3距離C4のいずれか一方が第3規定値Cthより大きいとき(ステップS107でYes)、左右調整処理を実施する(ステップS108)。車両制御装置Vsは、第3距離C1及び第3距離C3のいずれか一方、又は第3距離C2及び第3距離C4のいずれか一方が第3規定値Cth以下となるようにコンテナ無人搬送車10の左右方向の位置を調整する。例えば第3距離C1及び第3距離C3のいずれか一方が第3規定値Cthより大きい状態であれば、第3規定値Cthが示す載置面21の位置よりもコンテナWがコンテナ無人搬送車10の右方に向けてずれている。そのため、車両制御装置Vsのモータ制御部70は、コンテナ無人搬送車10が右方に向けて走行するように操舵用モータ42の回転方向を設定し、各駆動輪30の操舵角度が同方向へ90度となるように目標回転速度及び目標回転時間を演算し、操舵用モータ42を駆動させる。その後、車両制御装置Vsのモータ制御部70は、コンテナ無人搬送車10が右方に向けて走行するように走行用モータ41の回転方向を設定し、第3距離C1及び第3距離C3のいずれか一方が第3規定値Cth以下となるように目標回転速度及び目標回転時間を演算し、走行用モータ41を駆動させる。また、第3距離C2及び第3距離C4のいずれか一方が第3規定値Cthより大きい状態でも同様の処理が実施される。車両制御装置Vsは、左右調整処理が実施された後、コンテナWとコンテナ無人搬送車10の載置面21との位置決めを目的とした制御を終了する(制御終了)。また、車両制御装置Vsは、第3距離C1及び第3距離C3のいずれか一方、又は第3距離C2及び第3距離C4のいずれか一方が第3規定値Cthより大きくないとき(ステップS107でNo)、コンテナ無人搬送車10の左右方向においてコンテナWと載置面21との相対位置にずれがないと判定する(ステップS109)。車両制御装置Vsは、ステップS109の後、コンテナWとコンテナ無人搬送車10の載置面21との位置決めを目的とした制御が終了する(制御終了)。
【0035】
次に第1の実施形態の作用について説明する。
予め定められた走行経路Rを走行するコンテナ無人搬送車10は、管制塔101からの指令S1によりコンテナWの積載位置に停車する。コンテナ無人搬送車10の荷台20の載置面21がコンテナWと対向している状態でコンテナ無人搬送車10が停車している場合、画像処理制御部60は、各撮像装置50により撮影された撮像データEdに基づき荷台20の載置面21からコンテナWまでの第1距離Aを演算する。また、画像処理制御部60は、撮像データEdに基づき第2距離B1,B2,B3,B4を演算する。車両制御装置Vsは、第2距離B1及び第2距離B2のいずれか一方、又は第2距離B3及び第2距離B4のいずれか一方が第2規定値Bthより大きければ、前後調整処理を実施する。また、画像処理制御部60は、撮像データEdに基づき第3距離C1,C2,C3,C4を演算する。車両制御装置Vsは、第3距離C1及び第3距離C3のいずれか一方、又は第3距離C2及び第3距離C4のいずれか一方が第3規定値Cthより大きければ、左右調整処理を実施する。よって、例えば港湾内で吹く風等の外乱の影響によりクレーン103に吊り下げられたコンテナWが揺れていたとしても、コンテナWの揺れに応じてコンテナWに対するコンテナ無人搬送車10の前後方向及び左右方向の位置が調整され、コンテナWと載置面21との位置決めがなされる。
【0036】
本実施形態の効果について説明する。
(1-1)本実施形態では、クレーン103に吊り下げられたコンテナWが外乱の影響により揺れてしまっても、撮像装置50で撮影されたコンテナWの撮像データEdに基づいて、コンテナ無人搬送車10がコンテナWの位置に追従して移動する。これにより、外乱の影響があったとしてもコンテナWが荷台20に安定的に載置されるための位置決め精度を向上させることができる。
【0037】
(1-2)本実施形態では、撮像データEdに基づき画像処理制御部60が演算した第2距離B1,B2のいずれか一方、又は第2距離B3,B4のいずれか一方が第2規定値Bth以下となるように、操舵装置14及び走行用モータ41を制御する前後調整処理を実施する。また、撮像データEdに基づき画像処理制御部60が演算した第3距離C1,C3のいずれか一方、又は第3距離C2,C4のいずれか一方が第3規定値Cth以下となるように、操舵装置14及び走行用モータ41を制御する左右調整処理を実施する。よって、例えば港湾内で吹く風等の外乱の影響によりクレーン103に吊り下げられたコンテナWが揺れていたとしても、コンテナWの揺れに応じてコンテナ無人搬送車10の前後方向及び左右方向の位置を調整することができる。したがって、外乱の影響があったとしても荷台20にコンテナWが安定的に載置される位置決め精度を向上させることができる。
【0038】
(1-3)本実施形態では、撮像データEdにおいてコンテナWのエッジ部Eは点として撮像される。そのため、載置面21の前後外縁部Tpb及び左右外縁部TpcからコンテナWのエッジ部Eまでの第2距離B1,B2,B3,B4及び第3距離C1,C2,C3,C4を演算することが容易となり、ひいては載置面21とコンテナWとの相対位置をより容易に検出することができる。
【0039】
(1-4)第2距離B1及び第2距離B2のいずれか一方が第2規定値Bth以上であるときには車両制御装置Vsによりコンテナ無人搬送車10の左右方向の位置の調整よりもコンテナ無人搬送車10の前後方向の位置の調整が先に実施される。コンテナ無人搬送車10が停止するとき、駆動輪30はコンテナ無人搬送車10の前後方向に向けられている場合が多い。よって、車両制御装置Vsは、先にコンテナ無人搬送車10の左右方向の位置の調整が実施される場合に各駆動輪30を操舵するための時間を取ること無く、各駆動輪30の操舵角度が、コンテナ無人搬送車10が前後方向に向かって直進しているときの操舵角度の状態ですぐにコンテナ無人搬送車10の前後方向の位置の調整が実施できる。
【0040】
(1-5)本実施形態では、車両制御装置Vsにより前後調整処理が実施されるときに各駆動輪30の操舵角度が、コンテナ無人搬送車10の前後方向に向かって直進しているときの操舵角度となる。また、車両制御装置Vsにより左右調整処理が実施されるときに、各駆動輪30の操舵角度が、コンテナ無人搬送車10の前後方向に向かって直進しているときの操舵角度に対して左右方向にそれぞれ90度となるように操舵用モータ42が制御される。そのため、コンテナWに対するコンテナ無人搬送車10の位置の調整が前後調整処理及び左右調整処理を1回ずつ実施するだけで完了する。したがって、コンテナ無人搬送車10の位置を調整することを目的とした車両制御装置Vsによる操舵装置14及び走行用モータ41の制御頻度を少なくすることができる。
【0041】
<第2の実施形態>
以下、コンテナ無人搬送車の第2の実施形態を説明する。第1の実施形態との主な相違点は、コンテナ無人搬送車が左右方向に横行する構成からコンテナ無人搬送車が前後方向に対して90度未満の所定の角度で斜行する構成に変更された点である。なお、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、詳細な説明は割愛する。
【0042】
図8に示すように、コンテナ無人搬送車10の駆動輪30の最大操舵角度は、コンテナ無人搬送車10が前後方向に向かって直進しているときの操舵角度を基準として右方向に90度未満の角度θ、左方向に90度未満の角度θに設定されている。そのため、例えば全ての駆動輪30が同方向へ角度θの操舵角度になるまで操舵されると、コンテナ無人搬送車10は、前後方向に対して角度θだけ傾いた方向への斜行が可能となる。
【0043】
図9に示すように、車両制御装置Vsは、ステップS107において第3距離C1及び第3距離C3のいずれか一方、又は第3距離C2及び第3距離C4のいずれか一方が第3規定値Cthより大きい場合(ステップS107でYes)、左右調整処理を実施する(ステップS108)。車両制御装置Vsは、例えば第3距離C1及び第3距離C3のいずれか一方が第3規定値Cthより大きい状態であれば、コンテナ無人搬送車10の位置が右方に向けて調整されるようにコンテナ無人搬送車10を斜行させる。車両制御装置Vsのモータ制御部70は、第3距離C1及び第3距離C3のいずれか一方が第3規定値Cth以下となるように走行用モータ41及び操舵用モータ42の回転方向、目標回転速度、及び目標回転時間を演算し、走行用モータ41及び操舵用モータ42を駆動させる。コンテナ無人搬送車10が斜行する場合、コンテナ無人搬送車10は、前後方向においても位置が変更される。よって、本実施形態では、左右調整処理を実施した後に前後調整処理を再度実施する。
【0044】
車両制御装置Vsは、左右調整処理を実施した後、再度ステップS102を実施する。車両制御装置Vsは、ステップS102の後、ステップS103を実施する。車両制御装置Vsは、第2距離B1及び第2距離B2のいずれか一方、又は第2距離B3及び第2距離B4のいずれか一方が第2規定値Bthより大きい場合(ステップS103でYes)、前後調整処理を再度実施する(ステップS104)。車両制御装置Vsは、例えば第2距離B1及び第2距離B2のいずれか一方が第2規定値Bthより大きい状態であれば、コンテナ無人搬送車10を後方に走行させる。そのため、車両制御装置Vsのモータ制御部70は、各駆動輪30の操舵角度が同方向へ0度となるように操舵用モータ42の回転方向を設定し、目標回転速度及び目標回転時間を演算し、操舵用モータ42を駆動させる。その後、車両制御装置Vsのモータ制御部70は、コンテナ無人搬送車10が後方に向けて走行するように走行用モータ41の回転方向を設定し、第2距離B1及び第2距離B2のいずれか一方が第2規定値Bth以下となるように目標回転速度及び目標回転時間を演算し、走行用モータ41を駆動させる。したがって、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の(1-1)、(1-2)、(1-3)、及び(1-4)と同様の効果を得ることができる。
【0045】
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0046】
○ 駆動輪30の駆動力は、動力源としての走行用モータ41で発生させていたが、例えば、動力源としてエンジンを採用してもよい。この場合、車両制御装置Vsは、モータ制御部70の代わりに、エンジンの出力を制御するエンジン制御部を備え、エンジン制御部によって駆動輪30を駆動させる。同様に、駆動輪30の操舵力は、操舵用モータ42を含む操舵装置14により発生させていたが、これに限らない。例えば、操舵装置14は、油圧により操舵力を発生させるものに変更してもよい。この場合、操舵装置14は、駆動輪30に接続される油圧機構と、油圧機構への作動油の給排を制御するコントロールバルブとを備えていてもよい。このように変更することで、車両制御装置Vsは、コントロールバルブに電力を供給させ、油圧機構の作動油の油路の開閉を制御する。よって、車両制御装置Vsによりコントロールバルブの開閉を制御することで作動油の給排を制御し、ひいては駆動輪30に操舵力を発生させる。
【0047】
〇 各駆動輪30の操舵形式としてアッカーマン方式を採用してもよい。この場合、各駆動輪30に操舵力を付与する構成を操舵装置14から油圧機構とコントロールバルブとを含む操舵装置に変更する。
【0048】
〇 前後調整処理及び左右調整処理のうち、先に行う処理はどちらであっても構わない。具体的には、第2距離B1,B2のいずれか一方、又は第2距離B3,B4のいずれか一方が第2規定値Bth以上であったとしても、第3距離C1,C3のいずれか一方、又は第3距離C2,C4のいずれか一方が第3規定値Cth以上であれば、先に左右調整処理を実施してもよい。
【0049】
〇 第2の実施形態では、車両制御装置Vsの1周期分の制御の頻度を減少させる観点から左右調整処理を先に実施してもよい。
〇 コンテナWに対するコンテナ無人搬送車10の位置を調整することを目的とした車両制御装置Vsの1周期分の制御において、前後調整処理及び左右調整処理の実施回数は適宜変更してもよい。例えば、第2の実施形態において2回目の前後調整処理が実施された後に再度左右調整処理を実施してもよい。
【0050】
〇 撮像装置50の設置箇所は、例えば1箇所だけであってもよい。
〇 撮像装置50を単眼カメラに変更してもよい。この変更に伴い、画像処理制御部60による第1距離A、第2距離B1,B2,B3,B4、及び第3距離C1,C2,C3,C4の演算方法を変更してもよい。例えば、コンテナWの下面bsに設けられた凹凸を用いるようにしてもよい。
【0051】
図10に示すように、コンテナWの下面bsには、コンテナ無人搬送車10の前後方向において凹凸が連続的に設けられている。コンテナWの凹凸のピッチPは、規格化されている。
【0052】
図11に示すように、画像処理制御部60は、撮像装置50により撮影された撮像データEdに基づき撮像データEd上でのピッチPのピクセル数Px1を演算する。メモリ83には、ピッチPのピクセル数に応じた第1距離Aが記憶されている。画像処理制御部60は、撮像データEdに基づき演算したピッチPのピクセル数Px1を用いてメモリ83に記憶された情報を参照し、第1距離Aを演算する。撮像装置50により撮影された撮像データEdにおけるピッチPのピクセル数Px1は、第1距離Aが大きくなるほど少なくなる。また、撮像データEdにおけるピッチPのピクセル数Px1は、第1距離Aが小さくなるほど多くなる。よって、ピッチPのピクセル数Px1と第1距離Aとの間には相関があり、撮像データEd上のピッチPのピクセル数Px1を第1距離Aに換算することができる。
【0053】
画像処理制御部60は、撮像データEdに基づきコンテナ無人搬送車10の前後方向において撮像データEd上の原点OからコンテナWのエッジ部Eまでのピクセル数Px2を演算する。画像処理制御部60は、撮像データEdに基づきコンテナ無人搬送車10の左右方向において撮像データEd上の原点OからコンテナWのエッジ部Eまでのピクセル数Px3を演算する。メモリ83には、第1距離Aでのピクセル数Px2に応じた第2距離B1,B2,B3,B4が記憶されている。また、メモリ83には、第1距離Aでのピクセル数Px3に応じた第3距離C1,C2,C3,C4が記憶されている。画像処理制御部60は、撮像データEdに基づき演算したピクセル数Px2及びピクセル数Px3を用いてメモリ83に記憶された情報を参照し、第2距離B1,B2,B3,B4及び第3距離C1,C2,C3,C4を演算する。また、撮像装置50を単眼カメラに変更した状態で、撮像装置50を1箇所だけに設ける場合、コンテナWのエッジ部Eまでのピクセル数Px2及びピクセル数Px3に基づき第2距離B1,B2,B3,B4及び第3距離C1,C2,C3,C4を演算する場合を考える。この場合、コンテナWが載置面21に対して周方向に回転するような位置ずれが発生している可能性がある。よって、単眼カメラを1箇所だけに設けた状態で第2距離B1,B2,B3,B4及び第3距離C1,C2,C3,C4を演算するのであれば、撮像データEd上のコンテナWのエッジ部Eだけでなく、撮像データEdの原点からコンテナWの下面bsにおける外縁部の任意の点までのピクセル数Pxnも演算するとよい。この変更に伴い、第1距離Aでのピクセル数Pxnに応じた第2距離及び第3距離をメモリ83に記憶させておくとよい。
【0054】
〇 画像処理制御部60は、車両制御装置Vsの外部に設けるようにしてもよい。例えば、画像処理制御部60をコンテナ無人搬送車10の車体11内で別体のECUとして搭載してもよい。また、画像処理制御部60を管制塔101に設けるようにしてもよい。この場合、撮像データEdは、ナビゲーションシステムNsを介して無線により管制塔101に送信され、画像処理制御部60により演算された第1距離A、第2距離B1,B2,B3,B4、及び第3距離C1,C2,C3,C4は、管制塔101からの指令S1に含まれるかたちでコンテナ無人搬送車10に送信されてもよい。
【0055】
〇 画像処理制御部60は、第1距離Aが第1規定値Ath以内か否かを判定していたが、例えば、モータ制御部70が判定するようにしてもよい。同様に、モータ制御部70が第2距離B1及び第2距離B2のいずれか一方、又は第2距離B3及び第2距離B4のいずれか一方が第2規定値Bth以上か否かを判定するように変更してもよい。さらに、モータ制御信号生成部71が第3距離C1及び第3距離C3のいずれか一方、又は第3距離C2及び第3距離C4のいずれか一方が第3規定値Cth以上か否かを判定するように変更してもよい。
【0056】
〇 コンテナ無人搬送車10の荷台20の載置面21がコンテナWと対向している状態でコンテナ無人搬送車10が停車している場合を判断するために、撮像装置50により撮影される撮像データEdを使用してもよい。この場合、所定周期で撮像装置50を起動させて撮像データEdを取得するように変更してもよい。また、コンテナ無人搬送車10が停車している旨を検出するために、コンテナ無人搬送車10に車速センサを搭載し、車速センサにより検出されるコンテナ無人搬送車10の速度が「0」となるときに停車していると判断するようにしてもよい。
【0057】
〇 第1距離Aは、鉛直方向においてコンテナWの投影面からコンテナWの下面bsまでの距離としていたが、これに限らない。例えば、撮像装置50からコンテナWのエッジ部Eまでの距離を第1距離としてもよい。また、撮像装置50からコンテナWの下面bsの外縁部の任意の点までの距離を第1距離としてもよい。
【0058】
〇 第2距離B1,B2,B3,B4及び第3距離C1,C2,C3,C4を演算するにあたって載置面21の第1所定位置として前後外縁部Tpb及び第2所定位置としての左右外縁部Tpcが採用されていたが、これに限らない。例えば、載置面21の第1所定位置及び第2所定位置として撮像装置50が設置されている位置を採用してもよい。同様に、また、第2距離B1,B2,B3,B4がエッジ部Eから第1所定位置までの距離、第3距離C1,C2,C3,C4がエッジ部Eから第2所定位置までの距離でなくてもよい。例えば、コンテナWの下面における任意の点から第1所定位置までの距離を第2距離、コンテナWの下面における任意の点から第2所定位置までの距離を第3距離としてもよい。すなわち、コンテナWと載置面21との間の相対位置が確認できるのであれば、第2距離及び第3距離を演算するための指標(例えば、エッジ部E、第1所定位置、及び第2所定位置)の位置は適宜変更してもよい。
【0059】
〇 第1距離Aが第1規定値Ath以内となるとき、コンテナWはクレーン103に吊り下げられた状態で周方向に回転するような位置ずれがほとんどない状態であったが、例えば、コンテナWがクレーン103に吊り下げられた状態で周方向に回転するような位置ずれを考慮するようにしてもよい。このとき、コンテナ無人搬送車10の前後調整処理及び左右調整処理が実施されたときにコンテナWが載置面21の外縁部21a逸脱しないように第2規定値Bth及び第3規定値Cthを設定するように変更する。
【符号の説明】
【0060】
10…コンテナ無人搬送車、14…操舵機構、20…荷台、21…載置面、30…駆動輪、40…モータ、41…走行用モータ、42…操舵用モータ、50…撮像装置、60…画像処理制御部、70…モータ制御部、101…管制塔、103…クレーン、W…コンテナ、E…エッジ部、A…第1距離、Ath…第1規定値、B1,B2,B3,B4…第2距離、Bth…第2規定値、C1,C2,C3,C4…第3距離、Cth…第3規定値、R…走行経路、Ed…撮像データ、S1…指令、Vs…車両制御装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11