(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】摩耗試験装置および摩耗試験方法
(51)【国際特許分類】
G01N 3/56 20060101AFI20220405BHJP
【FI】
G01N3/56 D
(21)【出願番号】P 2019011053
(22)【出願日】2019-01-25
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】家守 修一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩昭
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-283416(JP,A)
【文献】特開2009-244237(JP,A)
【文献】特開2004-045115(JP,A)
【文献】特開2017-096820(JP,A)
【文献】特開2000-171371(JP,A)
【文献】米国特許第06230544(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショット材を投射する投射機構と、
複数の試料を隣接して保持する試料台と、を備え、
前記ショット材は、前記試料台に保持された前記複数の試料の境界を含む部分に投射されることを特徴とする、摩耗試験装置。
【請求項2】
前記試料台は、前記ショット材の投射される投射軸線に対して、複数の角度設定で試料を保持可能であることを特徴とする、請求項1に記載の摩耗試験装置。
【請求項3】
前記試料台は、前記ショット材の投射される投射軸線に対して、位置を変えて取り付け可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の摩耗試験装置。
【請求項4】
前記投射機構がインペラであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の摩耗試験装置。
【請求項5】
前記投射機構が流体による噴射機構であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の摩耗試験装置。
【請求項6】
前記試料台は、試料載置面が平坦であって、2枚の試料を隣接して保持可能とされ、前記試料の直線に形成された境界線を、前記インペラの投射回転軸に垂直な平面上に位置させることが可能に保持されていることを特徴とする、請求項4に記載の摩耗試験装置。
【請求項7】
複数の試料を隣接して保持し、
前記複数の試料の境界を含む部分にショット材を投射し、
前記複数の試料の境界部分の摩耗の差によって前記複数の試料を評価することを特徴とする、摩耗試験方法。
【請求項8】
前記複数の試料は2枚の板とされ、隣接して保持される前記試料の直線に形成された境界線は、インペラの投射回転軸に垂直な平面上にあることを特徴とする、請求項7に記載の摩耗試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩耗試験装置および摩耗試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ショットブラストやショットピーニングなど、ショット材をワークに投射して加工を行う装置においては、ショット材が装置を構成する部材にも投射されるため、装置を構成する部材の耐摩耗性が装置の安定した稼働やワーク加工の品質に大きく影響を与えることになる。そのため、耐摩耗性にすぐれた部材の選定が重要となっている。
装置を構成する部材の選定方法としては、使用実績材料のデータベースに基づいた比較判定、材料の表面硬度(計測値・一般代表値)による比較判定等データに基づく選定方法や、一般的な摩耗試験(ピンオンディスク等の回転式・摺動式)、対象試験片に対しショットブラストまたはショットピーニングを施しての単品評価試験、実機ベース試験(フィールドテスト等)による実稼働状況での比較試験等、試験に基づく選定などが行われている。
【0003】
しかし、種々の実施環境を含む使用実績材料データベースや一般化した物理量の代表値による比較では、その比較結果が個別の装置環境に関して適合するかどうか判断するのが難しいという問題がある。一般的に用いられる静荷重を用いた摺動方式の摩耗試験機などでは、摩耗状況の発生状況が実機と相違する可能性が大きく、このため実際の耐摩耗材料の実績とは相違する場合があるという問題がある。試験片の単品評価については、各試験のばらつき対策、再現性検証等のため、評価試験を複数回行って各々の平均値を得る必要があり、各試験の有効性、再現性などを担保するために、時間と労力を要するという問題がある。また、実機を用いたフィールドテスト等では、実部品と同形の機械部品を作成して実機に取り付ける必要があるため、機械部品の製作などにコスト・時間がかかり、簡易の調査には不向きであるという問題がある。
【0004】
特許文献1では、被検体を固定する固定機構と、噴射機構とを、噴射材が外に飛散することを防ぐ樹脂製の透明な蓋体内に設け、噴射剤を被検体に噴射し、噴射した噴射材を回収循環させつつ摩耗試験を行う装置が開示されている。試験装置として、噴射機構を用いているので、一般的に用いられる静荷重を用いた摺動方式の摩耗試験機とは異なるが、上述したように、試験片の単品評価にあたるため、試験の有効性、再現性などを担保するために、時間と労力を要するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ショットブラストまたはショットピーニング加工における耐摩耗材、および、一般粉粒体を取り扱う機械の部品部材の摩耗試験を効率的に行うための試験装置および試験方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の摩耗試験装置は、ショット材を投射する投射機構と、複数の試料を隣接して保持する試料台と、を備え、前記ショット材は、前記試料台に保持された前記複数の試料の境界を含む部分に投射されることを特徴とする。
上記のような構成によれば、複数の資料の摩耗試験が同時に同一条件で行うことができる。
【0008】
本発明の一態様においては、前記試料台は、前記ショット材の投射される投射軸線に対して、複数の角度設定で試料を保持可能であることを特徴とする。
このような構成によれば、ショットブラストまたはショットピーニング加工装置を構成する部材がうける、様々な角度からのショット材の投射に対応する試験をすることができる。
【0009】
本発明の一態様においては、前記試料台は、前記ショット材の投射される投射軸線に対して、位置を変えて取り付け可能であることを特徴とする。
このような構成によれば、ショットブラストまたはショットピーニング加工装置を構成する部材の様々な位置に対応する試験をすることができる。
【0010】
本発明の一態様においては、前記投射機構がインペラであることを特徴とする。
このような構成によれば、インペラの投射装置について実際と同等の試験ができる。
【0011】
本発明の一態様においては、前記投射機構が流体による噴射機構であることを特徴とする。
このような構成によれば、流体による噴射装置について実際と同等の試験ができる。
【0012】
本発明の一態様においては、前記試料台は、試料載置面が平坦であって、2枚の試料を隣接して保持可能とされ、前記試料の直線に形成された境界線を、前記インペラの投射回転軸に垂直な平面上に位置させることが可能に保持されていることを特徴とする。
このような構成によれば、2枚の耐摩耗性の比較を実機と同等に行うことができる。
【0013】
また、本発明の摩耗試験方法は、複数の試料を隣接して保持し、前記複数の試料の境界を含む部分にショット材を投射し、前記複数の試料の境界部分の摩耗の差によって前記複数の試料を評価することを特徴とする。
このような構成によれば、複数の資料の摩耗試験が同時に同一条件で行うことができる。
【0014】
本発明の摩耗試験方法の一態様においては、前記複数の試料は2枚の板とされ、隣接して保持される前記試料の直線に形成された境界線は、インペラの投射回転軸に垂直な平面上にあることを特徴とする。
このような構成によれば、2枚の耐摩耗性の比較を実機と同等に行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ショットブラストまたはショットピーニング加工における耐摩耗材、および、一般粉粒体を取り扱う機械の部品部材の摩耗試験を効率的に行うための試験装置および試験方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態における摩耗試験装置の側断面図である。
【
図2】本発明の実施形態における試料台の正面図である。
【
図3】本発明の実施形態における試料台の側面図である。
【
図4】本発明の実施形態における全体システムの模式図である。
【
図5】本発明の実施形態における試験後の試料の模式図である。
【
図6】本発明の実施形態における試験後の試料の模式図である。
【
図7】本発明の実施形態における試験後の試料の模式図である。
【
図8】本発明の実施形態の変形例における試験後の試料の模式図である。
【
図9】本発明の実施形態の変形例における試験後の試料の模式図である。
【
図10】本発明の実施形態の変形例における試験後の試料の模式図である。
【
図11】本発明の実施形態の変形例における全体システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態における摩耗試験装置の側断面図である。摩耗試験装置10は、インペラ11、試料台12を筐体13内に備えている。インペラ11は、モーター(図示せず)の回転によって駆動される羽根(図示せず)により、ショット材14を遠心力により試料台12にむけて投射する。ショット材としては、種々の形態、材料のものが使用可能である。たとえばショット材は、微粒子の分散集合体や粉粒体などを含み、摩耗を生じさせるものであればよい。また試料台12は、インペラ11の投射軸線Aに対して、上側の試料台12-1、下側の試料台12-2等のように、位置を変えて取り付け可能となっている。
【0018】
図2は、本実施形態の試料台12の正面図、
図3は、側面図である。試料台12は、サイドホルダ29に軸38により2点鎖線Bのごとく回動自在に支持された試料載置板23を備えている。試料載置板23には、2枚の試料21、22が支持されるようになっている。試料21、22は、矩形状に形成されたものであり、互いに比較対象とされる2枚の板体である。試料載置板23は、その表面が平坦であって、該表面に2枚の試料21、22を互いに隣接させ接合させて配置できるようになっている。これら2枚の試料21、22は、上部保持板24、下部保持板25、および、ボルト34、ナット35により試料載置板23に固定されるように構成されている。下部保持板25には、L字状の窪み36が設けられており、試料を保持する状態に位置決めされると、試料載置板23と下部保持板25で凹部37を形成し試料21、22の脱落を防いでいる。
【0019】
サイドホルダ29、29は、摩耗試験装置10のフレーム26にボルト27とナット28で固定されている。サイドホルダ29には、フレーム26に垂直な面を0度として、試料載置板23を0度、30度、60度の角度で保持するための穴39-1、39-2、39-3と、15度、45度、75度の角度で保持するための穴39-4、39-5、39-6とが設けられている。試料載置板23は、試料載置板23に設けられた穴31とサイドホルダ29の穴39-1、39-2、39-3のいずれかにピン33を通されて0度、30度、60度のいずれかの角度で固定される。または、試料載置板23は、試料載置板23に設けられた穴32とサイドホルダ29の穴39-4、39-5、39-6のいずれかにピン33を通されて15度、45度、75度のいずれかの角度で固定される。
【0020】
図4は、ショット材の循環システムを含む本実施形態のシステム40の模式図を示している。インペラ11と、インペラ11の投射軸線Aに対してある角度をもって固定された試料台12が筐体13内に取り付けられている。試料は、前述の通り任意の角度に設定することが可能であり、
図1に示したように投射軸線Aに対して上下等、位置を変えても取り付け可能であるので、このことにより、耐摩耗材が実際に使用される環境に近似した位置、角度を設定することができ、試験の精度を向上することができる。
【0021】
試験が開始されると、インペラ11から試料台12に取り付けられた試料21、22に向けてショット材14が投射される。その際の投射中心は、複数の試料の境界部分を含むように調整される。ショット材は、試料の境界部分を含んで、例えば、Cに示す点線からDに示す点線の範囲で投射される。試料が矩形状の2枚の場合、その境界線は、インペラ11の回転軸に垂直な平面上、すなわち、
図4の紙面と平行な面で投射軸線Aを含む平面上に設定される。このことにより、2枚の試料に対してその境界近傍のショット材の投射環境を同一にすることができ、精度の高い比較試験を実施することができる。
【0022】
投射されたショット材14は、
図1に示す穴15から筐体13の外にあるショット材回収システム(図示せず)に回収され、
図4の筐体13の下部から経路41を経てショットタンク42に回収される。回収されたショット材14は、ショットタンク42から経路43を経て流量計44に送られる。流量計を通ったショット材14は、経路45を経てインペラ11に再度供給される。流量計44による測定結果は、測定値を記録し、インペラのモーター49を制御する制御部47に経路46を経て供給される。制御部47は、測定された流量の値と予め設定された流量を比較し、その差に基づいてモーター49の回転を予め設定された流量となるように制御する信号を経路48よりモーター49に供給する。モーター49は、制御信号に従ってインペラ11を回転させる。以上のようにショット材14を循環供給させながら定められた試験期間中ショット材が試料21、22に投射される。
【0023】
図5は、
図4の矢印Eの方向から試料台を見たときの試験後の試料台12上の試料21、22の様子を示す模式平面図である。試料21、22の境界線51を含む部分にインペラ11の投射中心があるので、摩耗した領域52が境界51を含んで現れている。また前述したようにこの境界線51は、インペラ11の回転軸に垂直な平面上、すなわち、
図4の紙面と平行な面で投射軸線Aを含む平面上に設定されているので、この境界線の近傍の摩耗した領域52内ではショット材が投射される状態が同一となる。
図6は、
図5の矢印Fの方向からみた試料の断面図を示す模式図であり、
図7は、
図5の矢印Gの方向からみた試料21、22の摩耗した領域52の拡大断面図である。
図6、
図7に示すように、試料21の摩耗表面61の方が試料22の摩耗表面62よりも摩耗量が多いため試料22の摩耗表面62より試料21の摩耗表面61の方が低くなっている。
【0024】
例えば、試料21は従来のショットブラストやショットピーニング加工を施す装置を構成する部材と同じ材料で作成された試料であり、試料22が新規に採用するか否かを検討するための新しい材料で作成された試料であるとする。摩耗した領域52では、ショット材の投射環境が限りなく同一と考えられるので、この結果はそのまま試料21、22の耐摩耗性の比較結果として採用される。すなわち、新材料は、従来の材料に比べて耐摩耗性が高いという試験データが得られたことになる。また、結果が逆だった場合、例えば新材料で作成された資料22の摩耗表面62が、従来の材料によって作成された試料21の摩耗表面61よりも低かった場合、新材料は、従来の材料に比べて耐摩耗性が低いという試験データが得られたことになる。
【0025】
本実施形態においては、上述したように複数枚の試料の境界を含む部分にショット材が投射されるので、すべての試料に対して同一の投射環境を与えて摩耗試験を実施することができ、従来の1枚、1枚を別のタイミングで試験する方法に比較して、試験環境を全く同一にできるので、比較試験では重要な要素となる比較環境の再現性が完全に担保される。特にショット材の循環供給による長時間の摩耗試験においては、ショット材として、グリット等の鋭利に角張った表面を持つ粒子を用いる試験の場合、初期のショット材の表面の鋭利さとある時間経過後のショット材の表面の鋭利さは変化せざるを得ない。この点従来の方法では、再現性の保証に問題が生じるが、本実施形態ではこの問題に影響することなく全く同一の比較試験が時間をかけずに実施可能である。
【0026】
また、試験装置内で投射軸線に対して角度を変え、かつ、位置を変えて試料台を設置できるので、試験したい材料の環境を、実際にその材料によって構成しようとしている部材の環境に合わせて、任意に設定することができ、試験の精度を向上させることができる。
また、試料台を位置を変えて複数設置することにより、同時に複数の角度を試験することも可能となる。この場合、試験対象の試料が角度により耐摩耗性が異なる点、かつ、インペラにより投射されるショット環境は、場所により異なる点を考慮して、投射量が多い場所では、試料を摩耗しづらい角度に設定し、投射量が少ない場所では摩耗しやすい角度に設定して試験を行うことにより効率的な試験が可能となる。
本実施形態では、試料を矩形状としているがこれに限定されず、試料の境界が直線をなしていれば試料はいずれの形状でもよい。境界を直線として構成することにより、1つの試料台で複数角度を同時に試験することも可能となる。
【0027】
尚、本実施形態で示した試料の設定角度は、0度、30度、60度、15度、45度、75度であったが、これに限定されず、0度から90度まで任意の角度を設定可能であることは試料台の作成の仕方によって可能であることは明らかである。また、本実施形態では試験装置をその例として示したが、これに限定されず、実際のショットブラスト、または、ショットピーニングをワークに対して施す装置に適合させて試料台を作成し、当該試験を実施しても良い。
【0028】
本実施形態では、インペラの例を示したが、流体による噴射機構を投射機構として採用しても良い。本明細書で、“投射する”とは、インペラによる“投射”と流体による“噴射”を含むものとして定義される。したがって、本発明では投射機構を様々に選択し、試料台の位置、角度も任意に設定できるので、ショットブラスト、ショットピーニング加工における耐摩耗材の摩耗試験や、一般粉粒体を取り扱う機械の部品部材、例えば粉体や砂を流体の力で搬送する流体輸送機構などを構成する部材の摩耗試験を、投射機構、試料台の位置や角度を調整して、試験する環境を整備し、実機に近似した条件を設定して試験することができる。
【0029】
(変形例1)
次に、
図8~
図10を使って本実施形態の変形例1について説明する。これらの変形例において前述の実施形態と違う部分は、試料台12に保持される試料の形態であり、その他の部分の装置の構造、試験の手順は前述の実施形態と同じである。
図8~
図10は、それぞれ試料台12に載置された試験後の試料を示した模式図である。
図8には、試料81、82、83が試料台12に載置され、これら試料の境界84を含む部分にショット材14が投射され、摩耗した領域85が形成されているのが示されている。
図9には、試料91、92、93、94が試料台12に載置され、これら試料の境界95を含む部分にショット材14が投射され、摩耗した領域96が形成されているのが示されている。
図10には、試料100-1、100-2、・・、100-n(nは自然数)が試料台12に載置され、これら試料の境界101を含む部分にショット材14が投射され、摩耗した領域102が形成されているのが示されている。
いずれの場合も、境界84、95、101を含む部分にショット材14を投射して形成された摩耗した領域85、96、102内では、試験環境はほぼ同一と考えることができるので、試料81~83、試料91~94、および、試料100-1~100-nの試料のグループ内での摩耗量の差が耐摩耗性能の差として評価される。このように一回の摩耗試験による試料数を多数枚で実施し、部材選択候補の耐摩耗性能をおおまかに把握し、その後、その結果に基づいて選択肢を厳選し、前述の実施形態のように厳密な選択のための2枚の試料による摩耗試験を実施しても良い。このことにより、摩耗試験の回数を減らし、コストと時間を節約して効率のよい摩耗試験を実施することができる。
【0030】
(変形例2)
次に、
図11を参照して本実施形態の変形例2について説明する。
図11は、ショット材の循環システムを含む変形例2のシステム100の模式図を示している。本変形例2が上記実施形態と異なる点は、本変形例では、
図4におけるインペラ11が噴射機構101に変更されている点である。また制御部47は、
図4におけるモーター49とこれを制御する制御経路48に変えて、制御経路102によってショットタンク42に備えられた機構によりショット材圧送のための流体圧力を制御する。インペラ11を噴射機構101に変更することによって、噴射機構101による環境に適合した試験を実施することができる。
【符号の説明】
【0031】
10 摩耗試験装置
11 インペラ
12、12-1、12-2 試料台
14 ショット材
21、22、81~83、91~94、100-1~100-n 試料
51、84、95、101 試料の境界
101 噴射機構