(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
F02M 26/11 20160101AFI20220405BHJP
F02M 26/30 20160101ALI20220405BHJP
【FI】
F02M26/11 301
F02M26/30
(21)【出願番号】P 2020046778
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2021-12-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】都築 洋久
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-79598(JP,A)
【文献】特開2006-348798(JP,A)
【文献】国際公開第2015/152403(WO,A1)
【文献】特開2019-44691(JP,A)
【文献】国際公開第2009/034672(WO,A1)
【文献】実開平7-42423(JP,U)
【文献】特開平9-324733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/11
F02M 26/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置と、作業機を連結する連結部とを有する走行車体を備え、
前記走行車体は、
前記走行装置および前記作業機の駆動源となるエンジンと、前記エンジンからの排気ガスの一部を前記エンジンの吸気側に還元するEGRシステムと、
を備え、
前記EGRシステムは、
前記エンジンの吸気側に戻される前記排気ガスの量を調整するEGRバルブと、
前記エンジンの吸気側に戻される前記排気ガスを冷却するEGRクーラと、
当該EGRクーラを覆うクーラカバーと、
を有し、
前記クーラカバーは、
第1のスペーサを介して前記エンジンに取付けられた連結プレートに取付けられている
ことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記EGRクーラは、
前記エンジンの側壁に沿って取付けられており、
前記クーラカバーは、
前記EGRクーラの外側方を覆うように、前記連結プレートに直接取付けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記第1のスペーサは、
棒状本体部と、当該棒状本体部の一端に設けられた第1ナット部と、前記棒状本体部の他端に設けられた第1ネジ部と、当該第1ネジ部と前記棒状本体部との間に介設された円形プレートと、
を有することを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記EGRバルブを覆うバルブカバーをさらに備え、
前記EGRバルブは、
外側面が前記EGRクーラの外側面よりも外側方に突出するように取付けられており、
前記バルブカバーは、
前記連結プレートに第2のスペーサを介して取付けられている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の作業車両。
【請求項5】
前記第2のスペーサは、
軸方向に所定の長さを有する第2ナット部と、当該第2ナット部に連接された第2ネジ部と、
を有することを特徴とする請求項4に記載の作業車両。
【請求項6】
前記バルブカバーは、
前記EGRバルブの上面を覆う第1カバー部と、当該第1カバー部の一端側から折曲されて前記EGRバルブの側面を覆う第2カバー部と
を有することを特徴とする請求項4または5に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの側面に、EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置とEGRクーラとを設けた作業車両が知られている(特許文献1を参照)。
【0003】
ここで、EGR装置は、エンジンの排気ガスの一部を取り出して再度吸気させるものであり、EGRクーラは、取り出した排気ガスの一部を燃焼室に戻す際に冷却するためのものであり、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)低減や燃費向上を図ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、排気ガス中の有害物質を削減するためにエンジンに取り付ける周辺機器類は年々増加しており、エンジンルーム内に配置できるスペースは限られていた。そのため、高温となるエンジン周辺の機器が、露出した状態で外側方に配置される場合がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、狭いエンジンルーム内であっても、高温となるEGR装置をより安全に配置することのできる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の作業車両は、走行装置(2)、(3)と、作業機を連結する連結部(7)とを有する走行車体(1)を備え、前記走行車体(1)は、前記走行装置(2)、(3)および前記作業機の駆動源となるエンジン(4)と、前記エンジン(4)からの排気ガスの一部を前記エンジン(4)の吸気側に還元するEGRシステム(5)と、を備え、前記EGRシステム(5)は、前記エンジン(4)の吸気側に戻される前記排気ガスの量を調整するEGRバルブ(51)と、前記エンジン(4)の吸気側に戻される前記排気ガスを冷却するEGRクーラ(52)と、当該EGRクーラ(52)を覆うクーラカバー(520)と、を有し、前記クーラカバー(520)は、第1のスペーサ(610)を介して前記エンジン(4)に取付けられた連結プレート(530)に取付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の作業車両によれば、高温になるEGRクーラへの人体やハーネスなどの接触による火傷や部品損傷などを防止することができ、EGR装置を安全に運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る作業車両であるトラクタの側面図である。
【
図2】
図2は、EGRシステムの配設状態を示す側面視による説明図である。
【
図3】
図3は、EGRシステムの配設状態を示す背面視による説明図である。
【
図4】
図4は、同上のEGRシステムを構成するバルブおよびクーラにカバーを取付けた状態を示す説明図である。
【
図7】
図7は、同上のカバーの側面視による説明図である。
【
図10】
図10は、ヒューズボックスの配置を示す説明図である。
【
図11】
図11は、ヒューズボックスとペダルの位置関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本願の開示する作業車両の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
まず、
図1を参照して実施形態に係る作業車両であるトラクタの全体構成について説明する。
図1は、トラクタの側面図である。
【0012】
トラクタは、圃場などで自走しながら作業を行う農業用トラクタである。また、トラクタは、操縦者(作業者ともいう)が搭乗して圃場内を走行しながら所定の作業を実行することができる。
【0013】
なお、以下において、トラクタの前後方向とは、トラクタの直進方向を指す。そして、トラクタの前進方向とは、トラクタの直進方向において、操縦席8からステアリングハンドル9へ向かう方向へ進むことであり、その反対を後進(後退)方向とする。また、トラクタの前後は、前進方向を基準とする。
【0014】
また、左右方向とは、前後方向に対して水平に直交する方向である。ここでは、前後方向の「前」側へ向けて左右を規定する。すなわち、オペレータが操縦席8に着いて前方を向いた状態で、左手側が「左」、右手側が「右」である。さらに、上下方向とは、前後方向および左右方向に対して直交する方向である。したがって、前後方向、左右方向および上下方向は、互いに3次元で直交する。
【0015】
図1に示すように、トラクタは、駆動装置としての前輪2および後輪3と、作業機を連結する連結部7とを備える走行車体1を備える。また、走行車体1は、エンジン4と、エンジン4を収容するボンネット6と、操縦部を有するキャビン11とを備える。これらは、走行車体1のメインフレームとなる左右一対の車体フレーム13の上に組立てられている。前輪2と後輪3との間には、キャビン11への昇降用のステップ12が配設されている。ボンネット6は、走行車体1の前部において開閉自在に設けられており、閉じた状態でエンジン4を覆う。
【0016】
前輪2は、左右一対であり、走行車体1の前部に位置し、車軸2aに回転自在に連結され、操舵輪として機能する。後輪3は、左右一対であり、走行車体1の後部に位置し、車軸3aに回転自在に連結されている。
【0017】
本実施形態では、前輪2および後輪3が共に駆動輪となる四輪駆動(4WD)の走行装置としているが、後輪3のみを駆動輪とすることもできる。なお、トラクタは、走行装置として、後輪3に代えてクローラ式の履帯を有する構成としてもよい。
【0018】
エンジン4は、トラクタの駆動源であり、ディーゼル機関やガソリン機関などの熱機関である。ボンネット6に覆われたエンジン4から伝達される動力(回転動力)は、図示しないトランスミッション(変速機構)により適宜減速され、前輪2および後輪3や、これ図示しないPTO(Power Take-off)へ伝達される。
【0019】
また、エンジン4は、排気マニホールド41(
図2参照)からの排気ガスの一部をエンジン4の吸気側に還元するEGRシステム5を備えている。EGRシステム5は、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)低減や燃費向上を図るために設けられている。
【0020】
図2は、EGRシステム5の配設状態を示す側面視による説明図である。
図2に示すように、EGRシステム5は、エンジン4の吸気側に戻される排気ガスの量を調整するEGRバルブ51と、エンジン4の吸気側に戻される排気ガスを冷却するEGRクーラ52とを備える。EGRバルブ51とEGRクーラ52とは、いずれもエンジン4の左側壁に沿って取付けられている。そして、詳しくは後述するが、EGRバルブ51はバルブカバー510により、EGRクーラ52はクーラカバー520によりそれぞれ覆われている。
【0021】
かかる構成により、スペースに限りのあるボンネット6の内部において、高温になるEGRバルブ51やEGRクーラ52が人体に接触して火傷させたり、ハーネスなどに接触して損傷させてしまったりすることを防止することができ、EGR装置システムを安全に運用することができる。
【0022】
また、
図1に示すように、キャビン11は、走行車体1の上部に設けられており、内部に設けられた操縦部には、操縦者の座席である操縦席8や、操縦者が操作することで前輪2を操舵可能なステアリングハンドル9などを備える。ステアリングハンドル9は、各種情報を表示する表示部(メータパネル)が上面に設けられたダッシュボード10に立設されている。なお、操縦部には、ステアリングハンドル9の近傍に、図示しない主変速レバー、副変速レバー、前後進レバー、アクセルレバーなどの各種レバー類や、操縦席8の前方下部には、前輪2および後輪3を制動するブレーキペダルP1やステアリングハンドル9の傾斜角の調整の際に用いられるチルトペダルP2(10参照)、さらには図示しないアクセルペダルやクラッチペダルなどが設けられる。
【0023】
なお、本実施形態に係るトラクタの操縦部は、キャビン11内に設けられているが、キャビン11を備えない解放型であっても構わない。
【0024】
次に、
図2~
図7を参照しながら、EGRシステム5に付設されたバルブカバー510およびクーラカバー520について、より具体的に説明する。なお、以下では、バルブカバー510およびクーラカバー520とを併せて単にカバー500と記す場合がある。
【0025】
図3は、EGRシステム5の配設状態を示す背面視による説明図である。
図4は、同上のEGRシステム5のEGRバルブ51およびEGRクーラ52にカバー500を取付けた状態を示す説明図である。そして、
図5および
図6は、カバー500の説明図、
図7は、同カバー500の側面視による説明図である。
【0026】
図2および
図3に示すように、本実施形態に係るトラクタのエンジン4には、排気ガス中の有害物質を削減するとともに、燃費向上を図るためのEGR(Exhaust Gas Recirculation)システム5が設けられている。
【0027】
図2および
図3に示すように、本実施形態におけるEGRシステム5は、エンジン4の吸気側に戻される排気ガスの量を調整するEGRバルブ51と、エンジン4の吸気側に戻される排気ガスを冷却するEGRクーラ52とを備える。
図3に示すように、EGRバルブ51は、EGRクーラ52よりも外方に突出した状態で配設されている。
【0028】
図2および
図3に示すように、EGRバルブ51およびEGRクーラ52は、エンジン4の側面部に配置されており、ボンネット6を開放すると剥き出し状態となる。かかるEGRバルブ51およびEGRクーラ52は、高温になることから、作業者などが触れてしまうと火傷のおそれがあるとともに、ハーネス類に接触すると損傷させてしまったりするおそれもある。
【0029】
そこで、本実施形態では、
図4に示すように、EGRシステム5を構成するEGRバルブ51およびEGRクーラ52を覆うカバー500を設けている。具体的には、カバー500は、連結プレート530と、それぞれ連結プレート530に取付けられるバルブカバー510およびクーラカバー520とで構成される。
【0030】
すなわち、
図5~
図7に示すように、カバー500を構成する連結プレート530は、第1のスペーサ610を介してエンジン4の側面に取付けられている。そして、バルブカバー510は、第2のスペーサ620を介して連結プレート530に取付けられ、クーラカバー520は、連結プレート530に直接取付けられて、EGRクーラ52の外側方をカバーすることができる。
【0031】
バルブカバー510は、鋼板から打ち抜かれた平板を屈曲して、第1カバー部となる上面部511と、連結部512と、第2カバー部となる垂下部513とが形成されている。上面部511は、EGRバルブ51の上面を覆うことができるだけの大きさに形成されている。連結部512は、第2のスペーサ620の先端部にボルト514を螺合するためのボルト孔(不図示)を設けるだけの幅に形成されている。垂下部513は、連結部512の下縁から略直角に外方へ折曲された後に略鉛直方向に垂下形成されており、EGRバルブ51の側面を覆うことができる大きさの矩形形状に形成されている。また、垂下部513の両側(トラクタの前後方向)には、耳片515,515がエンジン4の側へ折り返された状態で形成されるとともに、垂下部513の下側には、下部屈曲片516が形成されている。
【0032】
かかる構成とすることで、EGRバルブ51が高温になってもオペレータやハーネス類などに直接接触することを防止できるとともに、上方から滴ってくる雨水やその他の液体などによって濡れることを上面部511により防止することができる。
【0033】
クーラカバー520は、これも鋼板から打ち抜かれた平板を屈曲して、上部屈曲部521と、カバー本体部522と、下部屈曲部523とが形成されている。上部屈曲部521は、エンジン4側に折り返された後、上方へ折曲された一対の連結片525が形成されるとともに、中央部には、パイプ類を延出する切欠部524が形成されている。一対の連結片525は、ボルト526およびナット527により、連結プレート530に直接連結されている。カバー本体部522は、EGRクーラ52の側部を覆う大きさの矩形形状に形成されている。下部屈曲部523は、上部屈曲部521よりも僅かに狭幅であり、カバー本体部522の下縁から略直角方向にエンジン4の側へ折曲形成された状態で形成されている。
【0034】
かかる構成とすることで、EGRクーラ52が高温になってもオペレータやハーネス類などに直接接触することを防止できる。
【0035】
連結プレート530は、配管類などを避けることができるように適宜形状に形成された複数の凹所531,532を有し、後半部でバルブカバー510を支持するとともに、前半部でクーラカバー520を支持している。前半部と後半部には、それぞれ3つのボルト孔が形成されており、連結プレート530は、第1のスペーサ610との連結部となる前方のボルト533の軸心を中心に前後方向に回動自在に取付けられる。したがって、エンジン4の周辺が各種部品やハーネス類で十分なスペースが無くても、連結プレート530の取付けや取外しを容易に行うことができる。
【0036】
この連結プレート530とエンジン4との間に介設される第1のスペーサ610は、
図8Aに示すように、丸棒状の棒状本体部611の一端側に、エンジン4のシリンダブロックに形成されたタップ穴(不図示)に連結可能な第1ネジ部612が形成され、棒状本体部611の他端には第1ナット部613が設けられている。そして、棒状本体部611の第1ネジ部612との境界部分には円形プレート614が座金部として設けられ、この第1のスペーサ610が固定側となるエンジン4側に倒れることを防止している。
【0037】
第1のスペーサ610をこのように構成したため、EGRシステム5の構成部材の配置に応じて、EGRバルブ51やEGRクーラ52を好適にカバーすることができる。また、第1のスペーサ610をエンジン4のタップ穴を利用して取付けているため、部品点数が増加するおそれもない。そして、かかる第1のスペーサ610を用いることで、カバー500の取り付け姿勢が安定し、カバーされる部品とカバー500の位置関係を安定させることができる。
【0038】
他方、第2のスペーサ620は、
図8Bに示すように、互いに連接された長尺の第2ナット部621と短尺の第2ネジ部622とを有する棒状体であり、EGRバルブ51の張出寸法に応じた所定の長さに形成されている。なお、
図6に示すように、第2ネジ部622にはナット623が螺合する。
【0039】
上述してきた構成により、カバー500は、剛性が高く、かつ組み立て性も良好なものとすることができる。そして、狭いエンジンルーム内にも簡便に取付けることができ、高温化するEGRシステム5の熱から、その他の部品の熱による損傷や作業者の火傷を未然に防止することができる。
【0040】
上述してきたEGRバルブ51およびEGRクーラ52のカバー500、すなわち、バルブカバー510およびクーラカバー520は、ボンネット6のエンジンフード部の形状などが異なっても組み付けができるようになっている。
【0041】
図9Aおよび
図9Bは、それぞれボンネット6の一例を示す説明図である。このとき、図示するように、ボンネット6のデザインに応じて、たとえばサイドネット600の一部に切欠部601を形成すれば、カバー500との干渉を適宜回避することができる。
【0042】
ここで、本実施形態に係るトラクタのその他の構成について説明する。
図10は、ヒューズボックスの配置を示す説明図、
図11は、ヒューズボックスとペダルの位置関係を示す説明図である。
【0043】
トラクタのキャビン11内に設けられた操縦部には、少なくともブレーキペダルP1とチルトペダルP2とを含むペダル類とヒューズボックスHとが配設されている。
図10に示すように、ブレーキペダルP1は、トラクタの進行方向に向かって右側に、チルトペダルP2は左側に配置され、両ペダルP1,P2の間にヒューズボックスHが配置されている。
【0044】
本実施形態では、
図11に示すように、ヒューズボックスHは、その下端H0がブレーキペダルP1およびチルトペダルP2の作動奇跡Rよりも上方に位置するように配置されている。
図11において、符号Qは、ブレーキペダルP1やチルトペダルP2の回動支点を示す。
【0045】
かかる構成により、ヒューズボックスHを操縦部内に配設することで取扱いが容易となるとともに、ブレーキペダルP1やチルトペダルP2を操作したときに、邪魔になることもない。
【0046】
上述してきた実施形態により、以下のトラクタが実現する。
【0047】
(1)前輪2および後輪3と、作業機を連結する連結部7とを有する走行車体1を備え、走行車体1は、駆動輪となる前輪2や後輪3、および作業機の駆動源となるエンジン4と、エンジン4からの排気ガスの一部をエンジン4の吸気側に還元するEGRシステム5と、を備え、EGRシステム5は、エンジン4の吸気側に戻される排気ガスの量を調整するEGRバルブ51と、エンジン4の吸気側に戻される排気ガスを冷却するEGRクーラ52と、当該EGRクーラ52を覆うクーラカバー520と、を有し、クーラカバー520は、第1のスペーサ610を介してエンジン4に取付けられた連結プレート530に取付けられているトラクタ。
【0048】
かかるトラクタによれば、高温になるEGRクーラ52への人体やハーネスなどの接触による火傷や部品損傷などを防止することができ、EGRシステム5を安全に運用することができる。
【0049】
(2)上記(1)において、EGRクーラ52は、エンジン4の側壁に沿って取付けられており、クーラカバー520は、EGRクーラ52の外側方を覆うように、連結プレート530に直接取付けられるトラクタ。
【0050】
かかるトラクタによれば、上記(1)の効果をより高めるとともに、クーラカバー520を連結プレート530に直接取付けるため、部品点数を増加させることがない。
【0051】
(3)上記(1)または(2)において、第1のスペーサ610は、棒状本体部611と、当該棒状本体部611の一端に設けられた第1ネジ部612と、棒状本体部611の他端に設けられた第1ナット部613と、第1ネジ部612と棒状本体部611との間に介設された円形プレート614と、を有するトラクタ。
【0052】
かかるトラクタによれば、上記(1)または(2)の効果をより高めることができるとともに、円形プレート614を設けることで、第1のスペーサ610がエンジン4側に倒れることを防止することができる。
【0053】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、EGRバルブ51を覆うバルブカバー510をさらに備え、EGRバルブ51は、外側面がEGRクーラ52の外側面よりも外側方に突出するように取付けられており、バルブカバー510は、連結プレート530に第2のスペーサ620を介して取付けられているトラクタ。
【0054】
かかるトラクタによれば、上記(1)から(3)のいずれかの効果をより高めるとともに、連結プレート530と第2のスペーサ620とを用いることで、部品点数を増加させることなく、EGRクーラ52よりも外方へ張り出したEGRバルブ51を効果的に覆うことができる。
【0055】
(5)上記(4)において第2のスペーサ620は、軸方向に所定の長さを有する第2ナット部621と、当該第2ナット部621に連接された第2ネジ部622と、を有するトラクタ。
【0056】
かかるトラクタによれば、上記(4)の効果を高めるとともに、EGRバルブ51のエンジン4からの張出量に応じたバルブカバー510の配置とすることができる。
【0057】
(6)上記(4)または(5)において、バルブカバー510は、EGRバルブ51の上面を覆う上面部511と、当該上面部511の一端側から折曲されてEGRバルブ51の側面を覆う垂下部513とを有するトラクタ。
【0058】
かかるトラクタによれば、上記(4)または(5)の効果を高めるとともに、EGRバルブ51の上面および側面を効果的にカバーすることができる。
【0059】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 走行車体
2 前輪(走行装置)
3 後輪(走行装置)
4 エンジン
5 EGRシステム
51 EGRバルブ
52 EGRクーラ
510 バルブカバー
520 クーラカバー
530 連結プレート
610 第1のスペーサ
611 棒状本体部
612 第1ネジ部
613 第1ナット部
614 円形プレート
620 第2のスペーサ
621 第2ナット部
622 第2ネジ部