(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】把持装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20220405BHJP
【FI】
B25J15/08 Z
B25J15/08 D
(21)【出願番号】P 2021034860
(22)【出願日】2021-03-04
(62)【分割の表示】P 2017145735の分割
【原出願日】2017-07-27
【審査請求日】2021-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勅使河原 誠一
【審査官】杉田 隼一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-184288(JP,U)
【文献】特表2009-543707(JP,A)
【文献】特開2009-006404(JP,A)
【文献】特開2016-203327(JP,A)
【文献】実開昭60-091387(JP,U)
【文献】特開平09-011175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に直動運動するシャフトを有する駆動装置と、
1対のアッパーカム孔を備え、前記シャフトに連結されるアタッチメントと、
前記アタッチメントより、前記シャフトの長手方向に前記駆動装置から離れて備えられる1対の支持部と、
前記アッパーカム孔の内壁に接するカムフォロワおよび前記支持部に貫通される長孔を備える1対の指部と、を有し、
前記アッパーカム孔は、縦孔と、前記縦孔と交差する横孔とを含み、
前記縦孔は、前記シャフトが前記駆動装置から離れる方向に移動すると、前記カムフォロワと、前記支持部とを、前記シャフトの長手方向に接近させ、
前記横孔は、前記シャフトが前記駆動装置から離れる方向に移動すると、前記カムフォロワを、他方のアッパーカム孔に近づける把持装置。
【請求項2】
前記縦孔の長手方向は、前記駆動装置のある方向に向かうに従って、他方のアッパーカム孔に近づき、
前記横孔の長手方向は、前記縦孔と前記縦孔の前記駆動装置側の端部で交差して、前記駆動装置のある方向に向かうに従って、前記シャフトの長手方向に対して前記縦孔より大きい角度で前記他方のアッパーカム孔に近づく請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記シャフトが直線運動することにより、前記アッパーカム孔の中心線が延びる方向に対する前記指部の長手方向の角度が変化する請求項1または2に記載の把持装置。
【請求項4】
前記指部は、基部に揺動可能に設けられており、前記アッパーカム孔の中心線に対する角度に応じて、前記指部の前記基部の外周よりも外側の部分の長さが変更される請求項1から3のいずれか一項に記載の把持装置。
【請求項5】
前記指部は、前記長孔を挟んだ前記カムフォロワと反対の端部に固定部を備え、
前記固定部は、爪部を再取付可能に取り付けられる請求項1から4のいずれか一項に記載の把持装置。
【請求項6】
前記駆動装置は、互いに独立して直動運動する第1シャフト及び第2シャフトを備え、
前記アタッチメントは、前記第1シャフトに連結される第1アタッチメントと、前記第2シャフトに連結される第2アタッチメントと、を備え、
前記第1アタッチメントが、1対の前記アッパーカム孔のうち一方を備え、
前記第2アタッチメントが、1対の前記アッパーカム孔のうち他方を備える請求項1から5のいずれか一項に記載の把持装置。
【請求項7】
前記指部の動作状態を検出するセンサ部と、
前記センサ部から入力された前記動作状態に応じて前記駆動装置を駆動する制御装置とを有する請求項1から6のいずれか一項に記載の把持装置。
【請求項8】
前記センサ部は、変位センサ、角度センサ、速度センサおよび圧力センサの少なくとも1つを含む請求項7に記載の把持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
組立作業やハンドリング作業を行う際に、ロボット等に取り付けられて各種部品を把持
する把持装置が用いられる。特許文献1に記載の把持装置は、筐体の内部に複数種類の把
持爪が設けられている。特許文献1の把持装置は、把持爪の回転動作により把持爪の切り
替えを行い、把持爪が平行方向に移動することで開閉動作を行う。これにより、種々の部
品を把持する。また、特許文献2に記載されているロボットハンドは、フレームに設けら
れた爪が支点ピンを中心に揺動することで開閉動作を行う。これにより部品を把持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-471号公報
【文献】特開2000-288971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
把持装置においては、指部の開閉動作をより滑らかにすることが求められている。
【0005】
本発明は、指部の開閉動作を滑らかにすることができる把持装置を提供することを目的
とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る把持装置は、直動運動するシャフトを有する駆動装置と、1対の
アッパーカム孔を備え且つ前記シャフトに連結されるアタッチメントと、1対のロアカム
孔を備え且つ前記アタッチメントに重なる基部と、前記基部に揺動可能に取り付けられる
1対の指部と、前記指部に設けられるカムフォロアと、を備え、前記カムフォロアの一部
は、前記アッパーカム孔の内壁に接し、前記カムフォロアの他の一部は、前記ロアカム孔
の内壁に接し、前記ロアカム孔は、他方の前記ロアカム孔に近付く方向に凸となる湾曲形
状を有し、前記シャフトの長手方向に対して直交し且つ前記カムフォロアの長手方向に対
して直交する方向を第1方向とすると、1対の前記アッパーカム孔の間の前記第1方向に
おける距離は、前記駆動装置に向かうに従って小さくなっている。
【0007】
これにより、シャフトの力は、カムフォロアに直接伝えられるのではなく、アタッチメ
ントを介してカムフォロアに伝えられる。カムフォロアがアッパーカム孔の内壁に接して
いるので、カムフォロアにはシャフトの移動方向に対して角度をなす方向の力が加わる。
シャフトが動くと、カムフォロアは、シャフトの移動方向に沿って移動すると同時に、ア
ッパーカム孔に沿って第1方向にも移動する。これにより、カムフォロアは、ロアカム孔
に沿う方向に移動する。このため、カムフォロアがシャフトに直接連結される場合に比較
して、カムフォロアがロアカム孔の内壁から反力を受けにくい。その結果、指部による把
持力及び指部の移動速度のバラツキを抑制することが容易となる。したがって、本実施形
態の把持装置は、指部の開閉動作を滑らかにすることができる。
【0008】
本発明の一態様に係る把持装置において、1対の前記アッパーカム孔の中心線間の前記
第1方向における最大距離は、1対の前記ロアカム孔の中心線間の前記第1方向における
最大距離に等しく、1対の前記アッパーカム孔の中心線間の前記第1方向における最小距
離は、1対の前記ロアカム孔の中心線間の前記第1方向における最小距離に等しい。
【0009】
これにより、カムフォロアは、ロアカム孔の全長に亘って移動できる。さらに、アタッ
チメントの大きさが基部の大きさと同じか小さくて済む。したがって、把持装置が小型化
する。
【0010】
本発明の一態様に係る把持装置において、前記駆動装置は、互いに独立して直動運動す
る第1シャフト及び第2シャフトを備え、前記アタッチメントは、前記第1シャフトに連
結される第1アタッチメントと、前記第2シャフトに連結される第2アタッチメントと、
を備え、前記第1アタッチメントが、1対の前記アッパーカム孔のうち一方を備え、前記
第2アタッチメントが、1対の前記アッパーカム孔のうち他方を備える。
【0011】
これにより、把持装置は、1対の指部の開閉動作を滑らかにすることができることに加
え、1対の指部を独立して駆動させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、指部の開閉動作を滑らかにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る把持装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る把持装置の正面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る把持装置の一部の斜視図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る把持装置の一部の正面図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る把持装置の一部の側面図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る把持装置の開閉動作を説明するための正面図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る把持装置の開閉動作を説明するための正面図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る把持装置の開閉動作を説明するための正面図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る把持装置の開閉動作を説明するための正面図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る把持装置の制御ブロック図である。
【
図11】
図11は、駆動装置に流れる電流と指先力の関係を示すグラフの一例である。
【
図12】
図12は、第1変形例に係る把持装置の正面図である。
【
図13】
図13は、第1変形例に係る把持装置の制御ブロック図である。
【
図14】
図14は、第2変形例に係る把持装置の一部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。
以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記
載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。
さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る把持装置の斜視図である。
図2は、第1の実施形態に係
る把持装置の正面図である。
図3は、第1の実施形態に係る把持装置の一部の斜視図であ
る。
図4は、第1の実施形態に係る把持装置の一部の正面図である。
図5は、第1の実施
形態に係る把持装置の一部の側面図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の把持装置1は、筐体100と、駆動装置102と、ア
タッチメント5と、基部10と、第1指部21と、第2指部22と、第1カムフォロア2
5と、第2カムフォロア26と、を備える。
【0017】
筐体100は、駆動装置102及び基部10を支持する部材である。例えば、筐体10
0は、ロボットハンド等のアームに接続される。
【0018】
駆動装置102は、第1指部21及び第2指部22を駆動させる装置であり、例えば直
動アクチュエータである。直動アクチュエータとして、エア式直動アクチュエータ、電動
式直動アクチュエータ、超音波式直動アクチュエータ、圧電式直動アクチュエータ等を用
いることができる。駆動装置102は、筐体100に固定されている。駆動装置102は
、直動運動するシャフト102aを備える。
【0019】
図1に示すように、アタッチメント5は、シャフト102aに連結される。アタッチメ
ント5は、シャフト102aと共に直動運動する。アタッチメント5は、第1プレート5
01と、第2プレート502と、を備える。第1プレート501は、シャフト102aの
長手方向に対して垂直である。第2プレート502は、第1プレート501に対して垂直
である。第2プレート502は、第1プレート501から駆動装置102とは反対側に延
びている。第2プレート502は、第1アッパーカム孔51と、第2アッパーカム孔52
と、を備える。
【0020】
以下の説明において、第1方向Dx、第2方向Dy及び第3方向Dzが用いられる。シ
ャフト102aの長手方向に沿う方向を第2方向Dyとする。第2プレート502に対し
て垂直な方向を第3方向Dzとする。第2方向Dy及び第3方向Dzの両方に対して垂直
な方向を第1方向Dxとする。なお、これに限定されず、第2方向Dyは第1方向Dxに
対して90°以外の角度で交差してもよい。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向
Dyに対して90°以外の角度で交差してもよい。また、「正面視」とは、第3方向Dz
から見た場合をいう。
【0021】
図2に示すように、第1アッパーカム孔51と第2アッパーカム孔52との間の第1方
向Dxにおける距離は、駆動装置102のある方向に向かうに従って小さくなっている。
第1アッパーカム孔51は、縦孔51aと、横孔51bと、を含む。縦孔51aの長手方
向は、第2方向Dyに対して角度をなす。縦孔51aは、駆動装置102のある方向に向
かうに従って第2アッパーカム孔52に近付いている。横孔51bは、縦孔51aと交差
する。例えば、横孔51bは、第1方向Dxに沿っている。このため、第1アッパーカム
孔51は、正面視で略L字状である。
【0022】
第2アッパーカム孔52は、縦孔52aと、横孔52bと、を含む。縦孔52aの長手
方向は、第2方向Dyに対して角度をなす。縦孔52aは、駆動装置102のある方向に
向かうに従って第1アッパーカム孔51に近付いている。横孔52bは、縦孔52aと交
差する。例えば、横孔52bは、第1方向Dxに沿っている。このため、第2アッパーカ
ム孔52は、正面視で略L字状である。正面視で、第2アッパーカム孔52は、第2方向
Dyに平行な直線を対称軸として第1アッパーカム孔51と対称である。
【0023】
図3及び
図5に示すように、基部10は、第1面10cと、第1面10cとは反対側の
第2面10dとを有する板状の部材である。基部10は、正面視で、互いに対向する辺1
0aと辺10bとを有する矩形状である。基部10の辺10aは、筐体100と接続され
ている。例えば、基部10は筐体100と一体に形成されている。なお、これに限定され
ず、基部10は、多角形状、円形状、楕円形状等であってもよい。なお、
図3から
図5に
おいては、辺10aに接続される筐体100の図示が省略されている。
【0024】
第1指部21及び第2指部22は、基部10に揺動可能に設けられる。
図4に示すよう
に、第1指部21及び第2指部22は、第1方向Dxに間隔を有して隣り合って設けられ
る。第1指部21及び第2指部22は、それぞれ長尺状であり、基部10の辺10bに対
して交差する方向に長手を有して配置される。第1指部21及び第2指部22は、正面視
で、基部10と重なる部分と、基部10の外周の辺10bよりも外側に配置される部分と
を有する。
【0025】
第1指部21は、長手方向の一端側に長孔33を備え、他端側に固定部21aを備える
。同様に、第2指部22は、長手方向の一端側に長孔34を備え、他端側に固定部22a
を備える。長孔33は、第1指部21の長手方向に沿って長手を有し、第1内壁33aと
第2内壁33bとを有する。第1内壁33a及び第2内壁33bは、第1指部21の長手
方向に対向している。第1内壁33aは第1指部21の一端側に位置し、第2内壁33b
は第1指部21の中央部側に位置する。
【0026】
同様に、長孔34は、第2指部22の長手方向に沿って長手を有し、第1内壁34aと
第2内壁34bとを有する。第1内壁34a及び第2内壁34bは第2指部22の長手方
向に対向している。第1内壁34aは第2指部22の一端側に位置し、第2内壁34bは
第2指部22の中央部側に位置する。
【0027】
図3及び
図4に示すように、基部10には、支持部11及び支持部12が設けられる。
支持部11及び支持部12は、円柱状であり、それぞれ長孔33及び長孔34を第3方向
Dzに貫通している。
図5に示すように、支持部12は、張出部12aと、軸部12bと
を含む。軸部12bは、基部10の第1面10cから第3方向Dzに突出して長孔34を
貫通する。張出部12aは、軸部12bの端部に設けられ、長孔34の幅(短手方向の長
さ)よりも大きい径を有する。張出部12aと基部10との間に第2指部22が配置され
る。このような構成により、第2指部22は、基部10に対して揺動可能に、且つ、長手
方向に移動可能である。なお、
図5では、第1指部21及び支持部11は図示していない
が、同様の構成で支持部11は、長孔33を貫通している。第1指部21は、基部10に
対して揺動可能に、且つ長手方向に移動可能である。
【0028】
固定部21a及び固定部22aは、それぞれ第1指部21及び第2指部22の幅よりも
小さい幅を有している。
図5に示すように、固定部22aには、貫通孔24が設けられて
いる。固定部22aには、例えばボルト等のねじ部材を用いて、貫通孔24を介して種々
の部材が取り付けられる。なお、貫通孔24はねじ穴であってもよい。また、
図5では省
略して示すが、固定部21aにおいても貫通孔が設けられ種々の部材が取り付けられる。
【0029】
固定部21a及び固定部22aには、把持装置1が把持する対象の部品等に適した指先
部を取り付けることができる。
図1に示すように、固定部22a及び固定部21aには、
それぞれ例えば爪部41及び爪部42が設けられる。把持装置1は、第1指部21と第2
指部22とを閉じることで、爪部41と爪部42との間に部品を把持することができる。
【0030】
爪部41は、取付部41aと、把持部41bと、を有する。爪部42は、取付部42a
と、把持部42bと、を有する。取付部41a及び取付部42aは、それぞれ固定部21
a、22aに取り付けられる。把持部41b及び把持部42bは、把持対象を挟んで把持
する部分である。把持部41b及び把持部42bは、取付部41a及び取付部42aに対
して角度をなしている。把持部41bには、凹部41c、凹部41d、凹部41e及び凹
部41fが形成されている。把持部42bには、凹部42c、凹部42d、凹部42e及
び凹部42fが形成されている。このような爪部41及び爪部42を設けることにより、
様々な把持対象を把持することができる。
【0031】
図4に示すように、基部10は、第1ロアカム孔31及び第2ロアカム孔32を備える
。
図5に示すように、第2ロアカム孔32は、基部10の第1面10cから第2面10d
に貫通する貫通孔である。
図5には図示しない、第1ロアカム孔31も同様の貫通孔であ
る。なお、これに限定されず、第1ロアカム孔31及び第2ロアカム孔32は、第1面1
0cから第2面10dに向かって凹状に形成された溝であってもよい。
【0032】
図4に示すように、第1ロアカム孔31及び第2ロアカム孔32は、互いに近付く方向
に凸となる湾曲形状を有する。すなわち、第1ロアカム孔31は、第2ロアカム孔32に
近づく方向に凸となる湾曲形状を有する。正面視で、第1ロアカム孔31は、第2ロアカ
ム孔32とは反対側に位置する点を中心とした円弧を描く。第2ロアカム孔32は、第1
ロアカム孔31に近づく方向に凸となる湾曲形状を有する。正面視で、第2ロアカム孔3
2は、第1ロアカム孔31とは反対側に位置する点を中心とした円弧を描く。具体的には
、第1ロアカム孔31の一端31aと、第2ロアカム孔32の一端32aとの第1方向D
xでの距離は、第1ロアカム孔31の中間部と第2ロアカム孔32の中間部との距離より
も大きい。第1ロアカム孔31の他端31bと、第2ロアカム孔32の他端32bとの第
1方向Dxでの距離は、第1ロアカム孔31の中間部と第2ロアカム孔32の中間部との
距離よりも大きい。
【0033】
図2に示す第1アッパーカム孔51の中心線C51と第2アッパーカム孔52の中心線
C52との間の第1方向Dxにおける最大距離D1は、
図4に示す第1ロアカム孔31の
中心線C31と第2ロアカム孔32の中心線C32との間の第1方向Dxにおける最大距
離D3と等しい。
図2に示す第1アッパーカム孔51の中心線C51と第2アッパーカム
孔52の中心線C52との間の第1方向Dxにおける最小距離D2は、
図4に示す第1ロ
アカム孔31の中心線C31と第2ロアカム孔32の中心線C32との間の第1方向Dx
における最小距離D4と等しい。中心線C51は、第1アッパーカム孔51のうち幅が一
定である部分において、対向する内壁のそれぞれから等距離にある線分である。中心線C
52は、第2アッパーカム孔52のうち幅が一定である部分において、対向する内壁のそ
れぞれから等距離にある線分である。中心線C31は、第1ロアカム孔31のうち幅が一
定である部分において、対向する内壁のそれぞれから等距離にある線分である。中心線C
32は、第2ロアカム孔32のうち幅が一定である部分において、対向する内壁のそれぞ
れから等距離にある線分である。
【0034】
支持部11は、第1ロアカム孔31の他端31bと隣り合って配置される。また、支持
部11は、第2方向Dyから見て第1ロアカム孔31の一端31aと重なる。支持部12
は、第2ロアカム孔32の他端32bと隣り合って配置される。また、支持部12は、第
2方向Dyから第2ロアカム孔32の一端32aと重なる。
【0035】
第1カムフォロア25は、第1指部21に設けられている。例えば、第1カムフォロア
25は、第1指部21の固定部21aとは反対側の端部に位置する。第1カムフォロア2
5の一部は、第1アッパーカム孔51の内壁に接している。第1カムフォロア25の一部
は、第1ロアカム孔31の内壁に接している。すなわち、第1カムフォロア25は、第1
アッパーカム孔51から第1ロアカム孔31に亘って設けられている。第1カムフォロア
25は、第1アッパーカム孔51に沿って移動可能であり、且つ第1ロアカム孔31に沿
って移動可能である。なお、第1方向Dxは、シャフト102aの長手方向に対して直交
し且つ第1カムフォロア25の長手方向に対して直交する方向であるということもできる
。
【0036】
第2カムフォロア26は、第2指部22に設けられている。例えば、第2カムフォロア
26は、第2指部22の固定部22aとは反対側の端部に位置する。第2カムフォロア2
6の一部は、第2アッパーカム孔52の内壁に接している。第2カムフォロア26の一部
は、第2ロアカム孔32の内壁に接している。すなわち、第2カムフォロア26は、第2
アッパーカム孔52から第2ロアカム孔32に亘って設けられている。第2カムフォロア
26は、第2アッパーカム孔52に沿って移動可能であり、且つ第2ロアカム孔32に沿
って移動可能である。
【0037】
第1カムフォロア25及び第2カムフォロア26は、それぞれ第1ロアカム孔31及び
第2ロアカム孔32に沿って移動可能であれば、どのような構成であってもよい。
図5に
示すように、例えば、第2カムフォロア26は、軸部26b、張出部26c、張出部26
a、及び軸部26dを有する。軸部26bが第2指部22に固定される。軸部26bは第
2ロアカム孔32を貫通している。張出部26cは、第2ロアカム孔32の幅よりも大き
い径を有し、基部10の第2面10d側に配置される。張出部26aは、第2アッパーカ
ム孔52の幅よりも大きい径を有し、張出部26cとは反対側の端部に配置される。軸部
26dは、張出部26aから第2アッパーカム孔52側に延びている。軸部26dの少な
くとも一部は、第2アッパーカム孔52の内部に位置する。このような構成により、第2
カムフォロア26は、第2ロアカム孔32に沿って移動可能となっている。第2カムフォ
ロア26は、第2アッパーカム孔52の内壁と接する部分又は第2ロアカム孔32の内壁
と接する部分に、例えば転がり軸受を備えていてもよい。なお、
図5には図示しない、第
1カムフォロア25も同様の構成である。
【0038】
本実施形態の把持装置1は、第1アッパーカム孔51、第2アッパーカム孔52、第1
ロアカム孔31、第2ロアカム孔32、第1カムフォロア25及び第2カムフォロア26
により構成されるカム機構を有する。第1カムフォロア25が第1ロアカム孔31に沿っ
て移動すると、第1指部21の開閉動作が行われる。第2カムフォロア26が第2ロアカ
ム孔32に沿って移動すると、第2指部22の開閉動作が行われる。
【0039】
ところで、仮に第1カムフォロア25及び第2カムフォロア26がシャフト102aに
直接連結されている場合、第1カムフォロア25及び第2カムフォロア26にはシャフト
102aの移動方向(第2方向Dy)の力が加わることになる。この場合、第1ロアカム
孔31及び第2ロアカム孔32が湾曲しているので、第1カムフォロア25及び第2カム
フォロア26が第1ロアカム孔31及び第2ロアカム孔32から受ける力が変動しやすい
。このため、第1指部21及び第2指部22による把持力及び第1指部21及び第2指部
22の移動速度のバラツキを抑制することには限界がある。したがって、第1指部21及
び第2指部22の開閉動作をより滑らかにすることが難しい。
【0040】
図2及び
図6から
図9を参照して、本実施形態の把持装置1の開閉動作について説明す
る。
図6から
図9は、第1の実施形態に係る把持装置1の開閉動作を説明するための正面
図である。
図2は、第1指部21及び第2指部22が閉じた状態を示す。具体的には、閉
じた状態は、第1指部21の端部21eと第2指部22の端部22eとの間の、第1方向
Dxでの距離L2が最も小さくなる状態である。なお、本実施形態では、第1指部21の
端部21eは、固定部21aの先端であって第3方向Dzから見て仮想線B1に重なる部
分である。仮想線B1は、正面視で第1カムフォロア25の中心と支持部11の中心とを
通る直線である。第2指部22の端部22eは、固定部22aの先端であって第3方向D
zから見て仮想線B2に重なる部分を示す。仮想線B2は、正面視で第2カムフォロア2
6の中心と支持部12の中心とを通る直線である。
【0041】
図2に示すように、閉じた状態では、第1カムフォロア25は縦孔51aの端部に位置
する。この時、第1カムフォロア25は第1ロアカム孔31の一端31a(
図4参照)に
位置する。これにより、第1指部21は、基準線A1と平行方向に向けられる。基準線A
1は、正面視で中心線C51の縦孔51a側の端部と支持部11の中心とを通る直線であ
る。このとき、長孔33の第2内壁33b側に支持部11が位置する。つまり、第1指部
21のうち長孔33が設けられた部分は、基部10と重なっている。第1指部21のうち
長孔33が設けられていない部分が、基部10の辺10bよりも外側に位置する。
【0042】
同様に、第2カムフォロア26は縦孔52aの端部に位置する。この時、第2カムフォ
ロア26は第2ロアカム孔32の一端32a(
図4参照)に位置する。これにより、第2
指部22は、基準線A2と平行方向に向けられる。基準線A2は、正面視で中心線C52
の縦孔52a側の端部と支持部12の中心とを通る直線である。このとき、長孔34の第
2内壁34b側に支持部12が位置する。つまり、第2指部22のうち長孔34が設けら
れた部分は、基部10と重なっている。第2指部22のうち長孔34が設けられていない
部分が、基部10の辺10bよりも外側に位置する。
【0043】
ここで、基部10の一方の辺10aと、第1指部21の端部21e及び第2指部22の
端部22eとの間の、第2方向Dyにおける距離を、距離L1とする。また、
図2に示す
例では、閉じた状態で、基準線A1と基準線A2とが平行になる。つまり、第1指部21
と第2指部22とが平行状態となっているがこれに限定されない。閉じた状態で、第1指
部21と第2指部22とが所定の角度を形成するように配置されていてもよい。
【0044】
図6から
図8は、閉じた状態と開いた状態との間の中間状態を示す。
図6及び
図7に示
すように、シャフト102aが移動すると、第1カムフォロア25が横孔51bに向かっ
て移動し、第2カムフォロア26が横孔52bに向かって移動する。これにより、第1カ
ムフォロア25には第1ロアカム孔31に沿う方向の力が加わる。第2カムフォロア26
には第2ロアカム孔32に沿う方向の力が加わる。このため、第1カムフォロア25及び
第2カムフォロア26に第2方向Dyの力が直接加えられる場合に比較して、第1カムフ
ォロア25及び第2カムフォロア26が第1ロアカム孔31及び第2ロアカム孔32の内
壁から反力を受けにくい。したがって、把持装置1においては、第1カムフォロア25及
び第2カムフォロア26が滑らかに動く。
【0045】
このような動作により、第1指部21は、仮想線B1と平行方向に向けられる。ここで
、仮想線B1と基準線A1とがなす角度を、第1指部21の開閉角度θ1とする。第2指
部22も、仮想線B2と平行方向に向けられる。ここで、仮想線B2と基準線A2とがな
す角度を、第2指部22の開閉角度θ2とする。第1指部21の端部21eと第2指部2
2の端部22eとの間の、第1方向Dxでの距離L2は、
図2の閉じた状態よりも大きく
なる。
【0046】
図7に示す状態からシャフト102aがさらに移動すると、
図8の状態となる。
図8に
おいては、第1カムフォロア25は横孔51bの端部に位置する。この時、第1カムフォ
ロア25は第1ロアカム孔31のうち第2ロアカム孔32に最も近い部分に位置する。第
2カムフォロア26は横孔52bの端部に位置する。この時、第2カムフォロア26は第
2ロアカム孔32のうち第1ロアカム孔31に最も近い部分に位置する。
図8は、第1カ
ムフォロア25が第2カムフォロア26に最も近付いた状態を示す。
【0047】
図8に示す状態からシャフト102aがさらに移動すると、
図9の状態となる。
図9に
おいては、第1カムフォロア25は横孔51bの中間に位置する。この時、第1カムフォ
ロア25は第1ロアカム孔31の他端31bに位置する。第2カムフォロア26は横孔5
2bの中間に位置する。この時、第2カムフォロア26は第2ロアカム孔32の他端32
bに位置する。
図9は、第1指部21及び第2指部22が開いた状態を示す。
【0048】
中間状態及び開いた状態においては、
図2に示す閉じた状態と比較して、第1指部21
及び第2指部22のうち基部10の辺10bよりも外側に出ている部分の長さが長くなる
。開閉角度θ1及び開閉角度θ2に応じて、第1指部21及び第2指部22の、基部10
の辺10bよりも外側に位置する部分の長さが変更される。中間状態及び開いた状態での
距離L1は、
図2の閉じた状態での距離L1と一致する。これにより、距離L1が一定に
保たれつつ、開閉角度θ1及び開閉角度θ2が変化する。
【0049】
上述したように、本実施形態の把持装置1は、第1アッパーカム孔51、第2アッパー
カム孔52、第1ロアカム孔31、第2ロアカム孔32、第1カムフォロア25、及び第
2カムフォロア26により構成されるカム機構を有する。カム機構の動作により、第1カ
ムフォロア25及び第2カムフォロア26が移動することで、第1指部21及び第2指部
22の開閉角度θ1、θ2が変化する。距離L2が基部10の幅(第1方向Dxにおける
辺10bの長さ)よりも大きくなるように、第1指部21及び第2指部22が開く。した
がって、基部10の幅の増大を抑制して把持装置1の小型化を図るとともに、外径形状の
異なる種々の部品を把持することができる。
【0050】
また、カム機構の動作により、1対の第1指部21及び第2指部22の開閉角度θ1、
θ2に応じて、第1指部21及び第2指部22の、基部10の外周よりも外側の部分の長
さが変更される。つまり、カム機構は、長さ調整機構としても機能する。これにより、一
定の距離L1を保ちつつ、第1指部21及び第2指部22の開閉動作を行うことができる
。このため、把持装置1は、形状の異なる種々の部品を把持することができる。また、本
実施形態では、固定部21a及び固定部22aに取り付けられる爪を交換するATC(Au
to Tool changer)を設けない構成とすることもできる。さらに、把持装置1に接続さ
れるロボットのアーム側で、開閉度合いに応じて高さの調整を行う必要がなくなる。この
ため、把持装置1は、ロボットの制御プログラム及びロボットの動作を簡略化でき、リー
ドタイムを短縮できる。
【0051】
図10は、第1の実施形態に係る把持装置の制御ブロック図である。
図11は、駆動装
置に流れる電流と指先力の関係を示すグラフの一例である。制御装置101は、パーソナ
ルコンピュータ(PC)、又はサーバシステム等のコンピュータである。制御装置101
は、記憶部101Aと演算部101Bとを含む。記憶部101Aはハードディスク、RA
M(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含む。演算部101
Bは、CPU(Central Processing Unit)等を含む。
【0052】
入力部110は、キーボードやタッチパネル等の情報入力装置である。入力部110か
ら、把持装置1の動作に関する情報又は動作プログラムが記憶部101Aに入力される。
【0053】
駆動装置102は制御装置101からの制御信号により動作する。駆動装置102から
入力される駆動力により、上述した第1指部21及び第2指部22の開閉動作が行われる
。具体的には、駆動装置102で生じた駆動力が、シャフト102a、アタッチメント5
、第1カムフォロア25及び第2カムフォロア26に伝わる。第1カムフォロア25及び
第2カムフォロア26の移動によって、第1指部21及び第2指部22の開閉動作が行わ
れる。
【0054】
センサ部103は、例えば、変位センサ、角度センサ、速度センサ、圧力センサ等を含
む。センサ部103は、第1指部21及び第2指部22の動作状態を検出し、各種情報を
制御装置101に出力する。制御装置101は、第1指部21及び第2指部22の動作状
態に応じて駆動装置102を駆動する。
【0055】
例えば、制御装置101は、第1指部21及び第2指部22の変位に基づいて駆動装置
102を駆動してもよい。例えば、制御装置101は、第1指部21及び第2指部22の
開閉角度に基づいて駆動装置102を駆動してもよい。例えば、制御装置101は、第1
指部21及び第2指部22の速度に基づいて駆動装置102を駆動してもよい。例えば、
制御装置101は、指先力に基づいて駆動装置102を駆動してもよい。指先力とは、第
1指部21及び第2指部22によって挟まれている把持対象に加えられている力である。
すなわち、指先力とは、第1指部21及び第2指部22が把持対象から受ける反力である
ともいえる。また、制御装置101は、第1指部21及び第2指部22の変位、開閉角度
、速度、指先力等が組み合わされた情報に基づいて駆動装置102を駆動してもよい。
【0056】
制御装置101は、
図11に示すような駆動装置102に流れる電流と指先力との関係
を記憶部101Aに記憶している。これにより、制御装置101は、駆動装置102に流
れる電流に基づいて、指先力を算出することができる。なお、
図10に示す構成は、あく
まで一例であり適宜変更することができる。
【0057】
以上で説明したように、把持装置1は、駆動装置102と、アタッチメント5と、基部
10と、1対の指部(第1指部21及び第2指部22)と、カムフォロア(第1カムフォ
ロア25及び第2カムフォロア26)と、を備える。駆動装置102は、直動運動するシ
ャフト102aを有する。アタッチメント5は、1対のアッパーカム孔(第1アッパーカ
ム孔51及び第2アッパーカム孔52)を備え且つシャフト102aに連結される。基部
10は、1対のロアカム孔(第1ロアカム孔31及び第2ロアカム孔32)を備え且つア
タッチメント5に重なる。1対の指部は、基部10に揺動可能に取り付けられる。第1カ
ムフォロア25は、第1指部21に設けられる。第2カムフォロア26は、第2指部22
に設けられる。第1カムフォロア25の一部は、第1アッパーカム孔51の内壁に接する
。第1カムフォロア25の他の一部は、第1ロアカム孔31の内壁に接する。第2カムフ
ォロア26の一部は、第2アッパーカム孔52の内壁に接する。第2カムフォロア26の
他の一部は、第2ロアカム孔32の内壁に接する。第1ロアカム孔31は、第2ロアカム
孔32に近付く方向に凸となる湾曲形状を有する。第2ロアカム孔32は、第1ロアカム
孔31に近付く方向に凸となる湾曲形状を有する。シャフト102aの長手方向に対して
直交し且つカムフォロアの長手方向に対して直交する方向を第1方向Dxとすると、1対
のアッパーカム孔の間の第1方向Dxにおける距離は、駆動装置102に向かうに従って
小さくなっている。
【0058】
これにより、シャフト102aの力は、カムフォロア(第1カムフォロア25及び第2
カムフォロア26)に直接伝えられるのではなく、アタッチメント5を介してカムフォロ
アに伝えられる。カムフォロアがアッパーカム孔(第1アッパーカム孔51及び第2アッ
パーカム孔52)の内壁に接しているので、カムフォロアにはシャフト102aの移動方
向に対して角度をなす方向の力が加わる。シャフト102aが動くと、カムフォロアは、
シャフト102aの移動方向に沿って移動すると同時に、アッパーカム孔に沿って第1方
向Dxにも移動する。これにより、カムフォロアは、ロアカム孔(第1ロアカム孔31及
び第2ロアカム孔32)に沿う方向に移動する。このため、カムフォロアがシャフト10
2aに直接連結される場合に比較して、カムフォロアがロアカム孔の内壁から反力を受け
にくい。その結果、指部(第1指部21及び第2指部22)による把持力及び指部の移動
速度のバラツキを抑制することが容易となる。したがって、本実施形態の把持装置1は、
指部の開閉動作を滑らかにすることができる。
【0059】
また、把持装置1においては、1対のアッパーカム孔(第1アッパーカム孔51及び第
2アッパーカム孔52)の中心線間(中心線C51と中心線C52との間)の第1方向D
xにおける最大距離D1は、1対のロアカム孔(第1ロアカム孔31及び第2ロアカム孔
32)の中心線間(中心線C31と中心線C32との間)の第1方向Dxにおける最大距
離D3に等しい。1対のアッパーカム孔の中心線間の第1方向Dxにおける最小距離D2
は、1対のロアカム孔の中心線間の第1方向Dxにおける最小距離D4に等しい。
【0060】
これにより、カムフォロア(第1カムフォロア25及び第2カムフォロア26)は、ロ
アカム孔(第1ロアカム孔31及び第2ロアカム孔32)の全長に亘って移動できる。さ
らに、アタッチメント5の大きさが基部10の大きさと同じか小さくて済む。したがって
、把持装置1が小型化する。
【0061】
(第1変形例)
図12は、第1変形例に係る把持装置の正面図である。
図13は、第1変形例に係る把
持装置の制御ブロック図である。なお、以下の変形例の説明においては、上述した実施形
態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0062】
図12に示すように、第1変形例の把持装置1Aは、駆動装置102Aと、アタッチメ
ント5Aと、を備える。駆動装置102Aは、第1駆動装置1021と、第2駆動装置1
022と、を備える。アタッチメント5Aは、第1アタッチメント55と、第2アタッチ
メント56と、を備える。
【0063】
第1駆動装置1021は、第1指部21を駆動させる装置であり、例えば直動アクチュ
エータである。第1駆動装置1021は、筐体100に固定されている。第1駆動装置1
021は、直動運動する第1シャフト1021aを備える。
【0064】
第2駆動装置1022は、第2指部22を駆動させる装置であり、例えば直動アクチュ
エータである。第2駆動装置1022は、筐体100に固定されている。第2駆動装置1
022は、直動運動する第2シャフト1022aを備える。
【0065】
図12に示すように、第1アタッチメント55は、第1シャフト1021aに連結され
る。第1アタッチメント55は、第1シャフト1021aと共に直動運動する。第1アタ
ッチメント55は、第1プレート5015と、第2プレート5025と、を備える。第1
プレート5015は、第1アタッチメント55の長手方向に対して垂直である。第2プレ
ート5025は、第1プレート5015に対して垂直である。第2プレート5025は、
第1プレート5015から第1駆動装置1021とは反対側に延びている。第2プレート
5025は、第1アッパーカム孔51を備える。
【0066】
図12に示すように、第2アタッチメント56は、第2シャフト1022aに連結され
る。第2アタッチメント56は、第2シャフト1022aと共に直動運動する。第2アタ
ッチメント56は、第1プレート5016と、第2プレート5026と、を備える。第1
プレート5016は、第2アタッチメント56の長手方向に対して垂直である。第2プレ
ート5026は、第1プレート5016に対して垂直である。第2プレート5026は、
第1プレート5016から第2駆動装置1022とは反対側に延びている。第2プレート
5026は、第2アッパーカム孔52を備える。
【0067】
第1駆動装置1021及び第2駆動装置1022は制御装置101からの制御信号によ
り動作する。第1駆動装置1021から入力される駆動力により、第1指部21の開閉動
作が行われる。具体的には、第1駆動装置1021で生じた駆動力が、第1シャフト10
21a、第1アタッチメント55、第1カムフォロア25に伝わる。第1カムフォロア2
5の移動によって、第1指部21の開閉動作が行われる。また、第2駆動装置1022か
ら入力される駆動力により、第2指部22の開閉動作が行われる。具体的には、第2駆動
装置1022で生じた駆動力が、第2シャフト1022a、第2アタッチメント56、第
2カムフォロア26に伝わる。第2カムフォロア26の移動によって、第2指部22の開
閉動作が行われる。
【0068】
第1センサ部1031及び第2センサ部1032は、例えば、変位センサ、角度センサ
、速度センサ、圧力センサ等を含む。第1センサ部1031は、第1指部21の動作状態
を検出し、各種情報を制御装置101に出力する。第2センサ部1032は、第2指部2
2の動作状態を検出し、各種情報を制御装置101に出力する。制御装置101は、第1
指部21の動作状態に応じて第1駆動装置1021を駆動する。制御装置101は、第2
指部22の動作状態に応じて第2駆動装置1022を駆動する。
【0069】
例えば、制御装置101は、第1指部21及び第2指部22のそれぞれの変位に基づい
て第1駆動装置1021及び第2駆動装置1022を駆動してもよい。例えば、制御装置
101は、第1指部21及び第2指部22のぞれぞれの開閉角度に基づいて第1駆動装置
1021及び第2駆動装置1022を駆動してもよい。例えば、制御装置101は、第1
指部21及び第2指部22のそれぞれの速度に基づいて第1駆動装置1021及び第2駆
動装置1022を駆動してもよい。例えば、制御装置101は、指先力に基づいて第1駆
動装置1021及び第2駆動装置1022を駆動してもよい。また、制御装置101は、
第1指部21及び第2指部22のそれぞれの変位、開閉角度、速度、指先力等が組み合わ
された情報に基づいて第1駆動装置1021及び第2駆動装置1022を駆動してもよい
。
【0070】
以上で説明したように、第1変形例の把持装置1Aにおいて、駆動装置102Aは、互
いに独立して直動運動する第1シャフト1021a及び第2シャフト1022aを備える
。アタッチメント5Aは、第1シャフト1021aに連結される第1アタッチメント55
と、第2シャフト1022aに連結される第2アタッチメント56と、を備える。第1ア
タッチメント55が、1対のアッパーカム孔のうち一方(第1アッパーカム孔51)を備
える。第2アタッチメント56が、1対のアッパーカム孔のうち他方(第2アッパーカム
孔52)を備える。
【0071】
これにより、把持装置1Aは、1対の指部(第1指部21及び第2指部22)の開閉動
作を滑らかにすることができることに加え、1対の指部を独立して駆動させることができ
る。
【0072】
(第2変形例)
図14は、第2変形例に係る把持装置の一部の正面図である。
図14に示す把持装置1
Bでは、第1指部21及び第2指部22に、それぞれ爪部43及び爪部44が取り付けら
れている。爪部43及び爪部44は、それぞれ四角柱状であり、互いに対向する面に、溝
43a及び溝部44aを備える。本変形例では、溝43aと溝44aとの間に部品を挟ん
で把持することができる。
【0073】
以上説明した把持装置1、把持装置1A及び把持装置1Bの構成は適宜変更してもよい
。例えば第1指部21及び第2指部22の形状、開閉角度、及び長さ等はあくまで一例で
あり、適宜変更することができる。また、第1アッパーカム孔51、第2アッパーカム孔
52、第1ロアカム孔31及び第2ロアカム孔32の形状も適宜変更することができる。
こうすれば、第1指部21及び第2指部22の開閉角度θ1、θ2等を変更することがで
きる。
【0074】
また、第1指部21及び第2指部22に取り付けられる爪部の形状は、上述した形状に
限られない。例えば、爪部はL字状であってもよい。例えば、爪部は、円柱及び半球を組
み合わせた形状を有していてもよい。また、爪部の材質は特に限定されない。爪部の材質
は、例えば金属、合成樹脂、及び合成ゴム等である。合成樹脂としては、ABS樹脂、及
びポリアセタール等が挙げられる。合成ゴムとしては、ニトリルゴム(NBR)、シリコ
ーンゴム等が挙げられる。また、爪部の基材が金属で形成され、爪部のうち把持対象と接
する部分が合成樹脂又は合成ゴムで形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1、1A、1B 把持装置
10 基部
10a、10b 辺
10c 第1面
10d 第2面
100 筐体
102、102A 駆動装置
102a シャフト
1021 第1駆動装置
1021a 第1シャフト
1022 第2駆動装置
1022a 第2シャフト
11、12 支持部
21 第1指部
22 第2指部
21a、22a 固定部
21e、22e 端部
24 貫通孔
25 第1カムフォロア
26 第2カムフォロア
26a、26c 張出部
26b、26d 軸部
31 第1ロアカム孔
32 第2ロアカム孔
33、34 長孔
41、42、43、44 爪部
5、5A アタッチメント
501、5015、5016 第1プレート
502、5025、5026 第2プレート
51 第1アッパーカム孔
51a 縦孔
51b 横孔
52 第2アッパーカム孔
52a 縦孔
52b 横孔
55 第1アタッチメント
56 第2アタッチメント