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特許7052915端子付き電線、及び端子付き電線の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】端子付き電線、及び端子付き電線の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/02 20060101AFI20220405BHJP
   H01R 43/02 20060101ALI20220405BHJP
   B23K 20/10 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
H01R4/02 C
H01R43/02 B
B23K20/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021155322
(22)【出願日】2021-09-24
(62)【分割の表示】P 2017253935の分割
【原出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2022000861
(43)【公開日】2022-01-04
【審査請求日】2021-09-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 孝太郎
(72)【発明者】
【氏名】中山 治
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-152224(JP,A)
【文献】特開2014-211959(JP,A)
【文献】特開2014-127365(JP,A)
【文献】特開2017-162708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/02
H01R 43/02
B23K 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の端部に端子が接続された端子付き電線であって、
前記電線は、複数の素線の束である芯線を有し、
前記端子は、前記電線の端部に露出した前記芯線が接続される接続部を有し、
前記芯線は、前記端子と離れている離隔部と、前記離隔部よりも前記芯線の端部寄りの位置において前記接続部に載置された前記芯線が前記接続部に超音波溶接された溶接部と、を有し、
前記溶接部は、前記芯線が圧縮された高圧縮部と、前記高圧縮部よりも前記芯線の端部側の位置において前記高圧縮部よりも低圧縮された低圧縮部と、を有し、
前記離隔部には、前記超音波溶接の際に圧力が加えられることにより、前記高圧縮部から離れるにつれて前記芯線の外周面が前記端子から離れるように連続的に傾斜する傾斜部が設けられており、前記傾斜部は圧縮されている、端子付き電線。
【請求項2】
前記低圧縮部は、前記高圧縮部から離間するに従って連続的に低圧縮されるようになっている、請求項1に記載の端子付き電線。
【請求項3】
前記低圧縮部は、前記高圧縮部から離間するに従って段階的に低圧縮されるようになっている、請求項1に記載の端子付き電線。
【請求項4】
複数の素線の束である芯線を有する電線の前記芯線を、端子付き電線の接続部に載置し、
前記接続部に載置された前記芯線の端部を、ホーンが前記芯線を押圧する方向と交差する方向から、位置決め治具に設けられた芯線位置決め部によって挟持し、
前記芯線が載置された前記接続部を、前記ホーンとアンビルとの間に挟んで超音波振動を加え、
前記芯線のうち前記芯線位置決め部が挟持する部分と異なる部分には、比較的に高い圧力を加えることにより高圧縮部を形成するとともに、前記芯線のうち前記芯線位置決め部が挟持する部分であって、且つ前記高圧縮部よりも前記芯線の端部側の位置には、比較的に低い圧力を加えることにより低圧縮部を形成する、端子付き電線の製造方法。
【請求項5】
複数の素線の束である芯線と、前記芯線の外周を覆う絶縁被覆と、を有する電線の前記芯線を、端子付き電線の接続部に載置し、
前記接続部に載置された前記芯線の端部を、ホーンが前記芯線を押圧する方向と交差する方向から、位置決め治具に設けられた芯線位置決め部によって挟持し、
前記芯線が前記接続部に載置された状態で、前記絶縁被覆を、前記ホーンが前記芯線を押圧する方向と交差する方向から、前記位置決め治具に前記芯線位置決め部と間隔を空けて設けられた絶縁被覆位置決め部によって挟持し、
前記芯線が載置された前記接続部を、前記ホーンとアンビルとの間に挟んで超音波振動を加え、
前記芯線のうち前記芯線位置決め部が挟持する部分と前記絶縁被覆の間に位置する部分には、比較的に高い圧力を加えることにより高圧縮部を形成するとともに、前記芯線のうち前記芯線位置決め部が挟持する部分であって、且つ前記高圧縮部よりも前記芯線の端部側の位置に比較的に低い圧力を加えることにより低圧縮部を形成する、端子付き電線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示された技術は、電線と端子とを超音波溶接する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端子と電線の芯線との接合方法に超音波溶接を利用したものとしては特許文献1に記載のものがある。超音波溶接により芯線と端子とを接合するには、アンビル上に端子の電線接続部を載置し、この電線接続部の上面に電線の端末を皮剥ぎして露出させた芯線を載置する。次いで、電線接続部上の芯線をホーンで押圧してアンビルとの間で芯線と端子とを挟み付けるようにして超音波振動を与えることにより芯線を端子の電線接続部に接合するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-107882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
芯線が端子に溶接される際に、芯線の先端部がホーンから突出した状態になる場合がある。芯線が複数の金属素線が撚り合わされた撚り線である場合、芯線のうちホーンから突出した部分においては、芯線を構成する素線が、ホーンから受ける圧力によって切断されることが懸念される。この場合、切断された素線が端子から脱落し、他の部材と接触する等の不具合が生じることが懸念される。
【0005】
本明細書に開示された技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、素線の脱落が抑制された端子付き電線、及び端子付き電線の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示された技術は、電線の端部に端子が接続された端子付き電線であって、前記電線は、複数の素線の束である芯線を有し、前記端子は、前記電線の端部に露出した前記芯線が接続される接続部を有し、前記接続部に載置された前記芯線は、前記接続部に超音波溶接された溶接部を有し、前記溶接部は、前記芯線が圧縮された高圧縮部と、前記高圧縮部よりも前記芯線の端部側の位置において前記高圧縮部よりも低圧縮された低圧縮部と、を有する。
【0007】
また、本明細書に開示された技術は、端子付き電線の製造方法であって、複数の素線の束である芯線を有する電線の前記芯線を、端子付き電線の接続部に載置し、前記芯線が載置された前記接続部を、ホーンとアンビルとの間に挟んで超音波振動を加え、前記芯線には、比較的に高い圧力を加えることにより高圧縮部を形成するとともに、前記高圧縮部よりも前記芯線の端部側の位置に比較的に低い圧力を加えることにより低圧縮部を形成する。
【0008】
上記の構成によれば、芯線は、高圧縮部において、端子と強固に接続される。また、低圧縮部において、芯線は、高圧縮部よりも小さな圧力が加えられた状態で溶接される。これにより、低圧縮部において、素線同士が互いに溶接される結果、仮に一の素線が破断しても、他の素線と溶接されているので、素線が芯線から脱落することを抑制することができる。
【0009】
本明細書に開示された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
【0010】
前記低圧縮部は、前記高圧縮部から離間するに従って連続的に低圧縮されるようになっていることが好ましい。
【0011】
上記の構成によれば、高圧縮部と低圧縮部との間において、芯線に加えられる圧力が緩やかに変化するようになっている。これにより、高圧縮部と低圧縮部との境界部分において素線が破断することが抑制されるので、素線が脱落することを更に抑制することができる。
【0012】
前記低圧縮部は、前記高圧縮部から離間するに従って段階的に低圧縮されるようになっていることが好ましい。これにより、低圧縮部において素線が破断することが抑制されるので、素線が脱落することを更に抑制することができる。
【0013】
前記接続部に載置された前記芯線の端部を、前記ホーンが前記芯線を押圧する方向と交差する方向から、芯線位置決め部によって挟持することが好ましい。これにより、芯線と端子とを超音波溶接する際に、芯線の位置決めを行うことができる。
【0014】
前記芯線の外周は絶縁被覆によって覆われており、前記芯線が前記接続部に載置された状態で、前記絶縁被覆を、前記ホーンが前記芯線を押圧する方向と交差する方向から、絶縁被覆位置決め部によって挟持することが好ましい。上記の構成によれば、芯線と端子とを超音波溶接する際に、芯線のうち絶縁被覆に覆われた部分も位置決めすることができるので、確実に電線の位置決めを行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本明細書に開示された技術によれば、素線の脱落を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1に係る端子付き電線を示す側面図
図2】端子付き電線を示す斜視図
図3】端子付き電線を示す平面図
図4図3におけるIV-IV線断面図
図5図3におけるV-V線断面図
図6図3におけるVI-VI線断面図
図7】アンビルの上に、端子及び電線を載置した状態を示す断面図
図8図7におけるVIII-VIII線断面図
図9図7におけるIX-IX線断面図
図10】芯線と端子とを超音波溶接している状態を示す断面図
図11】芯線と端子とを超音波溶接している状態を示す平面図
図12図10におけるXII-XII線断面図
図13図10におけるXIII-XIII線断面図
図14】実施形態2に係る端子付き電線を示す斜視図
図15】端子付き電線を示す側面図
図16】実施形態3に係る端子付き電線を示す斜視図
図17】端子付き電線を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術の実施形態1を、図1から図13を参照しつつ説明する。本実施形態に係る端子付き電線10は、電線11と、電線11の端部に接続された端子12と、を備える。以下の説明においては、Z方向を上方とし、Y方向を前方とし、X方向を右方として説明する。また、複数の同一部材については一の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0018】
1.電線11
図1図3に示すように、電線11は、金属製の複数の素線13が撚り合わされた芯線14と、芯線14の外周を覆う合成樹脂製の絶縁被覆15と、を備える。芯線14の断面形状、及び電線11の断面形状は円形状をなしている。電線11の端部においては、絶縁被覆15が皮剥ぎされることにより芯線14が露出している。芯線14を構成する金属は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属を適宜に選択できる。
【0019】
2.端子12
露出した芯線14は、端子12の接続部17に超音波溶接されている。端子12は金属板材を所定の形状にプレス加工することにより形成される。本実施形態に係る端子12は、上方から見て長方形状をなしている。端子12は必要に応じて任意の形状とすることができる。端子12を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金と、必要に応じて任意に金属を適宜に選択できる。
【0020】
芯線14を構成する金属と、端子12を構成する金属とは、同種であってもよいし、異種であってもよい。芯線14を構成する金属と、端子12を構成する金属の組み合わせは任意に選択することができる。例えば、銅合金製の芯線14と銅合金製の端子12とが接続されていてもよいし、アルミニウム合金製の芯線14とアルミニウム合金製の端子12とが接続されていてもよい。また、アルミニウム合金製の芯線14と銅合金製の端子12とが接続されていてもよいし、銅合金製の芯線14とアルミニウム合金製の端子12とが接続されていてもよい。
【0021】
端子12は、電線11の芯線14が溶接により接続される接続部17を有する。芯線14は、超音波溶接、抵抗溶接等、公知の手法により、接続部17に接続される。本実施形態においては、芯線14は接続部17に超音波溶接されている。
【0022】
芯線14と端子12とは、端子12の接続部17の上に芯線14が載置された状態で、後述するアンビル18とホーン19との間に挟持されて圧縮状態で超音波振動を付与されることによって、溶接されるようになっている(図10参照)。
【0023】
3.溶接部16
図3に示すように、芯線14のうち、接続部17と溶接された部分は溶接部16とされる。溶接部16は、芯線14の端部寄りの位置に形成されて、比較的に低圧縮状態で溶接された低圧縮部20と、低圧縮部20に後方に連なると共に、低圧縮部20よりも絶縁被覆15寄りの位置に形成された高圧縮部21と、を備える。高圧縮部21においては、芯線14は、低圧縮部20よりも高圧縮状態で溶接されている。
【0024】
4.高圧縮部21
高圧縮部21の上面には、上方に突出する複数(本実施形態では3つ)の突部22が、前後方向に間隔を空けて並んで形成されている。各突部22は、左右方向に細長く延びて形成されている。
【0025】
図4に示すように、高圧縮部21においては、複数の素線13は、溶接により一体に形成されている。各素線13の境界は不明瞭になっている。高圧縮部21の断面形状は、後述するホーン19の溝部23の形状に倣っている。本実施形態では、高圧縮部21の断面形状は半円形状をなしている。
【0026】
5.低圧縮部20
図1に示すように、低圧縮部20は、側方から見て、高圧縮部21から芯線14の端部へ向かうに従って緩やかに拡径している。低圧縮部20のうち芯線14の端部においては、芯線14と接続部17とが離間していてもよい。
【0027】
低圧縮部20のうち、高圧縮部21に近い部分は、高圧縮部21よりも低圧縮状態であり、且つ、芯線14の端部寄りの部分よりも高圧縮状態となっている。図5に示すように、低圧縮部20の内、高圧縮部21に近い部分においては、複数の素線13は一体にはなっておらず、互いに分離された部分を有する。素線13同士は、互いに溶着した部分を有していてもよいし、また、互いに離間した部分を有していてもよい。各素線13の外形状は、ホーン19に圧縮されることにより変形している。本実施形態では、各素線13の断面形状は、角が丸められた四角形状になっている。
【0028】
図6に示すように、低圧縮部20のうち、芯線14の端部寄りの部分においては、各素線13の断面形状は円形状をなしている。素線13同士は、互いに溶着した部分を有していてもよいし、また、互いに離間した部分を有していてもよい。
【0029】
6.アンビル18
図7に示すように、アンビル18は、超音波溶接装置の装置本体(図示せず)に固定して設けられている。アンビル18の上面には、端子12が載置されるようになっている。アンビル18の上面には、端子12が滑るのを抑制するために、溝、凸部、凹部等の滑り止め構造が形成されていてもよい。
【0030】
7.ホーン19
ホーン19は、超音波溶接装置の装置本体に、アンビル18に対して上下方向に移動可能に取り付けられている。ホーン19は概ね直方体形状に形成されている。ホーン19の前後方向の長さ寸法は、絶縁被覆15から露出した芯線14の長さ寸法と、同じか、やや短くなっている。なお、ホーン19の前後方向の長さ寸法は、絶縁被覆15から露出した芯線14の長さ寸法と、同じか、やや長くなっていてもよい。
【0031】
図13に示すように、ホーン19の前端部寄りの部分は、後述する位置決め治具との干渉を避けるための回避凹部24が、左右方向について内方に陥没して形成されている。
【0032】
図8に示すように、ホーン19の下面には、上方に陥没した凹部25が、前後方向に延びて形成されている。電線11の延びる方向(前後方向)と直交する平面における、凹部25の断面形状は、概ね半円形状をなしている。
【0033】
図7に示すように、凹部25には、前端部から後方に向かって延びる低加圧部26と、低加圧部26の後方に形成された高加圧部27を有する。低加圧部26の上面は、前方に向かうに従って上昇傾斜するように形成されている。
【0034】
高加圧部27は、低加圧部26の後方の位置に、前後方向に延びて形成されている。高加圧部27の上下方向の高さ寸法は、低加圧部26の後端部と同じに設定されている。
【0035】
高加圧部27の上面には、前後方向に間隔を空けて、複数(本実施形態では3つ)の溝部23が形成されている。溝部23は、高加圧部27の内面に沿って左右方向に延びて形成されている。この溝部23内に芯線14が嵌入することにより、芯線14の上面に突部22が形成されるようになっている。
【0036】
8.位置決め治具28
図11に示すように、位置決め治具28は、超音波溶接装置に左右方向に移動可能に装着されている。位置決め治具28は、左治具28Aと、右治具28Bとが左右対称の形状に形成されてなる。左治具28A、及び右治具28Bの前端部には、左右方向について内方に突出する芯線位置決め部29が形成されている。また、左治具28A、及び右治具28Bの後端部には、左右方向について内方に突出する絶縁被覆位置決め部30が形成されている。左治具28Aの芯線位置決め部29と、右治具28Bの芯線位置決め部29との間に、芯線14が保持されると共に、左治具28Aの絶縁被覆位置決め部30と、右治具28Bの絶縁被覆位置決め部30との間に、絶縁被覆15が保持されることにより、超音波溶接時に電線11が所定の位置に保持されるようになっている。
【0037】
芯線位置決め部29と、絶縁被覆位置決め部30との間の領域は、左右方向について隙間が設けられている。隙間の左右方向に幅寸法は、ホーン19の左右方向の幅寸法よりも大きく形成されている。超音波溶接時には、この隙間にホーン19が上方から進入するようになっており、ホーン19と位置決め治具28との干渉が回避されるようになっている。
【0038】
9.溶接工程の一例
続いて、電線11と端子12との溶接工程の一例について説明する。電線11の端部において絶縁被覆15を皮剥ぎして芯線14を露出させる。図7図9に示すように、露出させた芯線14を端子12の上に載置し、芯線14が載置された状態の端子12を、アンビル18の上に載置する。
【0039】
左右の位置決め治具28を左右方向の内方に移動させ、電線11の絶縁被覆15を絶縁被覆位置決め部30で挟持するとともに、電線11の芯線14を芯線位置決め部29で挟持する(図11参照)。
【0040】
図10に示すように、上方からホーン19を芯線14に向かって移動させ、ホーン19の凹部25を、芯線14に対して上方から当接させる。更にホーン19を下方に移動させることにより、端子12と芯線14とは、アンビル18と、ホーン19との間に挟持される。ホーン19の凹部25に設けられた、低加圧部26、及び高加圧部27により、芯線14に対して所定の圧力が加えられるようになっている(図12及び図13参照)。
【0041】
高加圧部27により芯線14に加えられた圧力は、低加圧部26により芯線14に加えられた圧力よりも大きくなっている。
【0042】
ホーン19から芯線14に対して超音波振動を与えることにより、摩擦熱が発生し、芯線14と端子12とが溶接される。
【0043】
10.本実施形態の作用効果
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態に係る端子付き電線10は、電線11の端部に端子12が接続された端子付き電線10であって、電線11は、複数の素線13の束である芯線14を有し、端子12は、電線11の端部に露出した芯線14が接続される接続部17を有し、接続部17に載置された芯線14は、接続部17に超音波溶接された溶接部16を有し、溶接部16は、芯線14が圧縮された高圧縮部21と、高圧縮部21よりも芯線14の端部側の位置において高圧縮部21よりも低圧縮された低圧縮部20と、を有する。
【0044】
また、本実施形態に係る端子付き電線10の製造方法は、複数の素線13の束である芯線14を有する電線11の芯線14を、端子付き電線10の接続部17に載置し、芯線14が載置された接続部17を、ホーン19とアンビル18との間に挟んで超音波振動を加え、芯線14には、比較的に高い圧力を加えることにより高圧縮部21を形成するとともに、高圧縮部21よりも芯線14の端部側の位置に比較的に低い圧力を加えることにより低圧縮部20を形成する。
【0045】
上記の構成によれば、芯線14は、高圧縮部21において、端子12と強固に接続される。また、低圧縮部20において、芯線14は、高圧縮部21よりも小さな圧力が加えられた状態で溶接される。これにより、低圧縮部20において、素線13同士が互いに溶接される結果、仮に一の素線13が破断しても、他の素線13と溶接されているので、素線13が芯線14から脱落することを抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、低圧縮部20は、高圧縮部21から離間するに従って連続的に低圧縮されている。
【0047】
上記の構成によれば、高圧縮部21と低圧縮部20との間において、芯線14に加えられる圧力が緩やかに変化するようになっている。これにより、高圧縮部21と低圧縮部20との境界部分において素線13が破断することが抑制されるので、素線13が脱落することを更に抑制することができる。
【0048】
本実施形態によれば、接続部17に載置された芯線14の端部を、ホーン19が芯線14を押圧する方向と交差する方向から、芯線位置決め部29によって挟持するようになっている。これにより、芯線14と端子12とを超音波溶接する際に、芯線14の位置決めを行うことができる。
【0049】
本実施形態によれば、芯線14の外周は絶縁被覆15によって覆われており、芯線14が接続部17に載置された状態で、絶縁被覆15を、ホーン19が芯線14を押圧する方向と交差する方向から、絶縁被覆位置決め部30によって挟持するようになっている。これにより、芯線14と端子12とを超音波溶接する際に、芯線14のうち絶縁被覆15に覆われた部分も位置決めすることができるので、確実に電線11の位置決めを行うことができる。
【0050】
<実施形態2>
次に、実施形態2に係る端子付き電線40を図14から図15を参照しつつ説明する。本実施形態においては、芯線14に形成された低圧縮部41は、前後方向について、端子12の上面からの高さ寸法が同じになるように形成されている。低圧縮部41の、端子12の上面からの高さ寸法は、高圧縮部21の、端子12の上面からの高さ寸法よりも大きく設定されている。芯線14に加えられた圧力は、高圧縮部21と、低圧縮部41とで、二段階に変化するようになっている。
【0051】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0052】
上記の構成によれば、高圧縮部21と低圧縮部41との境界部分において素線13が破断することを抑制することができる。これにより、素線13が脱離することを抑制することができる。
【0053】
<実施形態3>
次に、実施形態3に係る端子付き電線50を図16から図17を参照しつつ説明する。本実施形態においては、低圧縮部51は、高圧縮部21側から離間するに従って、端子12からの突出高さ寸法が段階的に大きくなるように形成されている。換言すると、側方から見て、低圧縮部51の上部は、前方に向かうに従って階段状に高くなっている。これにより、低圧縮部51においては、高圧縮部21から離間するに従って、低圧縮されるようになっている。
【0054】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0055】
上記の構成により、低圧縮部51において、芯線14に加えられる圧力が段階的に小さくなるようになっている。これにより、低圧縮部51において素線13が破断することが抑制されるので、素線13が脱落することを更に抑制することができる。
【0056】
<他の実施形態>
本明細書に開示された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に開示された技術の技術的範囲に含まれる。
【0057】
(1)上記実施形態においては、位置決め治具28を構成する左治具28Aと右治具28Bとは、それぞれ、芯線位置決め部29と絶縁被覆位置決め部30とを有する構成としたが、これに限られず、芯線位置決め部29を有する芯線位置決め部29材と、絶縁被覆位置決め部30を有する絶縁被覆位置決め部30材とを、別個の部材としてもよい。
【0058】
(2)上記実施形態においては、超音波溶接時に、電線11を位置決めするために位置決め治具28を用いたが、位置決め治具28を用いずに電線11と端子12とを超音波溶接してもよい。
【0059】
(3)実施形態3においては、低圧縮部51に形成された段差は2段であったが、これに限られず、低圧縮部51に形成された段差は、3段以上であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
10,40,50:端子付き電線
11:電線
12:端子
13:素線
14:芯線
15:絶縁被覆
16:溶接部
17:接続部
18:アンビル
19:ホーン
20,41,51:低圧縮部
21:高圧縮部
29:芯線位置決め部
30:絶縁被覆位置決め部
図1
図2
図3
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図17