(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-04
(45)【発行日】2022-04-12
(54)【発明の名称】クレーン
(51)【国際特許分類】
B66C 23/76 20060101AFI20220405BHJP
B66C 23/74 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
B66C23/76 C
B66C23/74 A
(21)【出願番号】P 2022501943
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(86)【国際出願番号】 JP2021005977
(87)【国際公開番号】W WO2021166970
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】P 2020025070
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 正則
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/031842(WO,A1)
【文献】実開昭59-167872(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/76
B66C 23/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
係合部を有するカウンタウェイトと、
旋回可能に構成される旋回体と、
前記旋回体に設けられ、前記係合部と接続可能な
一対の被係合部を有し、前方位置と後方位置とを取り得る固定部と、を備え、
前記前方位置及び前記後方位置のそれぞれにおいて、前記被係合部が前記係合部に対応する位置に配置され前記係合部に接続されることにより、前記固定部と前記カウンタウェイトとが連結される
クレーンであって、
前記一対の被係合部のうちの一方の被係合部は、他方の被係合部に対して前後方向に移動可能に構成され、
前記一対の被係合部は、前記前方位置及び前記後方位置において、互いに前後方向及び左右方向にずれて配置される
クレーン。
【請求項2】
係合部を有するカウンタウェイトと、
旋回可能に構成される旋回体と、
前記旋回体に設けられ、前記係合部と接続可能な
一対の被係合部を有し、前方位置と後方位置とを取り得る固定部と、を備え、
前記前方位置及び前記後方位置のそれぞれにおいて、前記被係合部が前記係合部に対応する位置に配置され前記係合部に接続されることにより、前記固定部と前記カウンタウェイトとが連結される
クレーンであって、
前記一対の被係合部のうちの一方の被係合部は、他方の被係合部に対して前後方向に移動可能に構成され、
前記固定部は、前記旋回体に回動可能に設けられ且つ前記一方の被係合部を支持するアーム部を有し、前記アーム部の回動に基づいて前記前方位置または前記後方位置に配置される
クレーン。
【請求項3】
係合部を有するカウンタウェイトと、
旋回可能に構成される旋回体と、
前記旋回体に設けられ、前記係合部と接続可能な
一対の被係合部を有し、前方位置と後方位置とを取り得る固定部と、を備え、
前記前方位置及び前記後方位置のそれぞれにおいて、前記被係合部が前記係合部に対応する位置に配置され前記係合部に接続されることにより、前記固定部と前記カウンタウェイトとが連結される
クレーンであって、
前記一対の被係合部のうちの一方の被係合部は、他方の被係合部に対して前後方向に移動可能に構成され、
前記カウンタウェイトは、前記係合部として、
第1前側係合部と、
前記第1前側係合部と左右方向に同じ位置且つ前記第1前側係合部よりも後方の位置に設けられた第1後側係合部と、
前記第1前側係合部と前後方向に同じ位置且つ左右方向にずれた位置に設けられた第2前側係合部と、
前記第2前側係合部と左右方向に同じ位置且つ前記第2前側係合部よりも後方の位置に設けられた第2後側係合部と、を有し、
前記前方位置において、前記第1後側係合部が前記一方の被係合部に固定され、前記第2前側係合部が前記他方の被係合部に固定され、
前記後方位置において、前記第1前側係合部が前記一方の被係合部に固定され、前記第2後側係合部が前記他方の被係合部に固定される、
クレーン。
【請求項4】
前記カウンタウェイトは、上面に前記係合部を有し、前記固定部に吊り下げられた状態で連結される、請求項1
~3の何れか一項に記載のクレーン。
【請求項5】
前記一対の被係合部は、前記前方位置及び前記後方位置において、平面視で、前記カウンタウェイトの重心と同一直線上に位置するように配置される、請求項
1~4の何れか一項に記載のクレーン。
【請求項6】
前記一方の被係合部は、前記旋回体の後端部に設けられたウェイト固定部の左右方向における第1側面に設けられており、
前記アーム部は、前記ウェイト固定部の左右方向における第2側面に回動可能に設けられている、請求項
2に記載のクレーン。
【請求項7】
前記アーム部は、前記前方位置において前記第2側面に沿うように配置され、前記後方位置において、前記ウェイト固定部の後端部から後方に向けて、前記第2側面と平行な状態で延在するように配置される、請求項
6に記載のクレーン。
【請求項8】
前記アーム部の回動中心と前記一方の被係合部とは、前後方向における同じ位置又は略同じ位置に設けられている、請求項
2、6、7の何れか一項に記載のクレーン。
【請求項9】
前記旋回体の後端部に設けられたウェイト固定部の第1側面に、ワイヤロープを繰り出す又は繰り入れるためのウィンチを駆動する駆動部品が取り付けられている、請求項1~
8の何れか一項に記載のクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カウンタウェイトが装着されるクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレーンの旋回体の後部にカウンタウェイトが装着されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、左右のバラストタワーが、後部に向けてピボット回転が可能である構成が開示されている。これにより、バラストプレートの全体の重心をクレーンに対して変化させ、クレーンの安定を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された発明の場合、クレーンの上部構造の左右にそれぞれ設けられたキャリアアームが、指型フォーク接合部を介して、垂直軸まわりにピボット回転する構成であり、構成が複雑になる可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、簡易な構成で、カウンタウェイトの固定位置を前後に変更できるクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るクレーンの一態様は、
係合部を有するカウンタウェイトと、
旋回可能に構成される旋回体と、
旋回体に設けられ、係合部と接続可能な被係合部を有し、前方位置と後方位置とを取り得る固定部と、を備え、
前方位置及び後方位置のそれぞれにおいて、被係合部が係合部に対応する位置に配置され係合部に接続されることにより、固定部とカウンタウェイトとが連結される。
上述のクレーンを実施する場合に好ましくは、固定部は、一対の被係合部を有してもよい。
又、一対の被係合部のうちの一方の被係合部は、他方の被係合部に対して前後方向に移動可能に構成されてもよい。
又、一対の被係合部は、前方位置及び後方位置において、互いに前後方向及び左右方向にずれて配置されるように構成されてもよい。
又、固定部は、旋回体に回動可能に設けられ且つ一方の被係合部を支持するアーム部を有し、アーム部の回動に基づいて前方位置または後方位置に配置されるように構成されてもよい。
又、カウンタウェイトは、係合部として、
第1前側係合部と、
第1前側係合部と左右方向に同じ位置且つ第1前側係合部よりも後方の位置に設けられた第1後側係合部と、
第1前側係合部と前後方向に同じ位置且つ左右方向にずれた位置に設けられた第2前側係合部と、
第2前側係合部と左右方向に同じ位置且つ第2前側係合部よりも後方の位置に設けられた第2後側係合部と、を有するように構成されてもよい。
この場合、前方位置において、第1後側係合部が一方の被係合部に固定され、第2前側係合部が他方の被係合部に固定されるように構成されてもよい。
更に、後方位置において、第1前側係合部が一方の被係合部に固定され、第2後側係合部が他方の被係合部に固定されるように構成されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易な構成で、カウンタウェイトの固定位置を前後に変更できるクレーンを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るクレーンを示す側面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係るクレーンの旋回体の後部を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るクレーンの第2着脱シリンダが第1ポジションにある状態において、旋回体の後部を示す平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るクレーンの第2着脱シリンダが第1ポジションにある状態において、旋回体の後部を示す側面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るクレーンの第2着脱シリンダが第2ポジションにある状態において、旋回体の後部を示す平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係るクレーンの第2着脱シリンダが第2ポジションにある状態において、旋回体の後部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るクレーンの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
[実施形態]
本実施形態に係るクレーンは、移動式クレーンであるラフテレーンクレーン(以下、単にクレーンという。)である。なお、本発明に係るクレーンは、移動式クレーンに限定されず、カウンタウェイトを搭載可能な種々のクレーンであってよい。
【0012】
(クレーン)
図1は、実施形態に係るクレーンを示す側面図である。以下、本実施形態に係るクレーンの構成を説明する。なお、クレーンの前後方向を前後方向Dとする。
【0013】
図1に示すように、クレーン1は、走行体10と、旋回体20と、ブーム30と、を備える。
【0014】
走行体10は、アウトリガ11と、道路や作業現場を自走するための走行装置等と、を備える。
【0015】
アウトリガ11は、作業時に、水平方向及び垂直方向に張り出し、車体全体を持ち上げて、姿勢を安定させる。
【0016】
旋回体20は、走行体10の上方に設けられ、走行体10に対して、鉛直軸C1回りに旋回可能となっている。旋回体20は、キャビン21を備える。キャビン21は、走行体10の走行を制御するための操作部(例えば、ステアリング、シフトレバー、アクセルペダル、及びブレーキペダル等)を有する。また、キャビン21は、旋回体20やブーム30、ウィンチ24等を操作する操作部を有する。キャビン21に搭乗した作業者は、操作部を操作して、旋回体20を旋回させ、ブーム30を起伏及び伸縮させ、ウィンチ24を回転させて作業を行う。
【0017】
ブーム30は、基端側の基端ブーム31と、中間ブーム32と、先端側の先端ブーム33と、を備える。中間ブーム32と先端ブーム33とは、順次、基端ブーム31の内部に格納される入れ子式になっている。
【0018】
基端ブーム31は、旋回体20に設けられた起伏シリンダ22に支持される。起伏シリンダ22が伸縮することで、根元支点23を介して、ブーム30は起伏し、伸縮シリンダ(不図示)が伸縮することによって、ブーム30が伸縮する。
【0019】
先端ブーム33の先端に設けられたブームヘッド33aには、シーブ34が配置されている。旋回体20の、ブーム30の基端近くに設けられたウィンチ24には、吊り荷用のワイヤロープ35が巻かれている。ワイヤロープ35は、ウィンチ24からシーブ34までブーム30に沿って配置される。シーブ34に掛け回されたワイヤロープ35は、シーブ34から鉛直方向の下方に吊り下げられる。ワイヤロープ35の先端部には、フック36が設けられている。
【0020】
フック36には、荷物が吊られる。ウィンチ24によってワイヤロープ35が繰り出されることで、フック36が降下し、ワイヤロープ35が巻き上げられることで、フック36が上昇する。
【0021】
旋回体20の後部に設けられたウェイト固定部201には、カウンタウェイト着脱手段40を介して、カウンタウェイト50が着脱可能に固定されている。ウェイト固定部201は、矩形枠状の部材である。
【0022】
このように構成されたクレーン1は、ウィンチ24によるワイヤロープ35の繰り出し・巻き上げ、ブーム30の起伏及び伸縮、並びに旋回体20の旋回により、フック36に吊られた荷物を所定の位置に移動させる。
【0023】
(カウンタウェイト着脱手段とカウンタウェイトの構成]
図2は、旋回体の後部を示す分解斜視図である。
図3は、第2着脱シリンダが第1ポジションにある状態において、旋回体の後部を示す平面図である。
図4は、第2着脱シリンダが第1ポジションにある状態において、旋回体の後部を示す側面図である。
図5は、第2着脱シリンダが第2ポジションにある状態において、旋回体の後部を示す平面図である。
図6は、第2着脱シリンダが第2ポジションにある状態において、旋回体の後部を示す側面図である。以下、カウンタウェイト着脱手段40とカウンタウェイト50の構成を説明する。
【0024】
(カウンタウェイト着脱手段)
図2に示すように、カウンタウェイト着脱手段40は、第1着脱シリンダ41と、アーム42と、アーム42に取り付けられた第2着脱シリンダ44と、を備える。カウンタウェイト着脱手段40は、固定部の一例に該当する。
【0025】
第1着脱シリンダ41は、被係合部及び他方の被係合部の一例に該当し、旋回体20のウェイト固定部201の一方の側面(例えば、右側面)に、鉛直姿勢で取り付けられる。なお、ウェイト固定部201の一方の側面は、ウェイト固定部の第1側面の一例に該当する。
【0026】
第1着脱シリンダ41は、下端に第1カウンタウェイト着脱部41aを備える。第1カウンタウェイト着脱部41aは、第1着脱シリンダ41によって鉛直方向に昇降する。第1カウンタウェイト着脱部41aは、後述するカウンタウェイト50の取付部52に、ピン等の取付具によって、取り付け可能(接続可能)に構成されている。
【0027】
アーム42は、アーム部の一例に該当し、旋回体20のウェイト固定部201の他方の側面(例えば、クレーン1の進行方向左側面)に、回動中心軸43を介して、水平方向に回動可能に取り付けられている。ウェイト固定部201の他方の側面は、ウェイト固定部の第2側面の一例に該当する。
【0028】
回動中心軸43は、上端と下端が旋回体20に取り付けられている。回動中心軸43は、クレーン1の前後方向Dにおいて、第1着脱シリンダ41と同じまたは略同じ位置に配置されている。アーム42は、回動中心軸43を回転支点として、水平方向に旋回可能に構成されている。アーム42は、板状である。なお、アーム42は、棒状のものであっても良いし、トラス状のものであってもよい。
【0029】
アーム42は、後述の固定部の前方位置においてウェイト固定部201の他方の側面に沿うように配置される。一方、アーム42は、後述の固定部の後方位置において、ウェイト固定部201の後端部から後方に向けて、ウェイト固定部201の他方の側面と平行な状態で延在するように配置される。
【0030】
第2着脱シリンダ44は、被係合部及び一方の被係合部の一例に該当し、アーム42の水平方向の先端に取り付けられる。第2着脱シリンダ44は、下端に第2カウンタウェイト着脱部44aを備える。第2カウンタウェイト着脱部44aは、第2着脱シリンダ44によって鉛直方向に昇降する。第2カウンタウェイト着脱部44aは、後述するカウンタウェイト50の取付部52に、ピン等の取付具によって、取り付け可能(接続可能)に構成されている。なお、第1着脱シリンダ41及び第2着脱シリンダ44は、一対の被係合部の一例に該当する。
【0031】
第2着脱シリンダ44は、アーム42の旋回により、第1ポジションP1と、第1ポジションP1より後方の第2ポジションP2との間を移動可能とする。
【0032】
第1ポジションP1は、回動中心軸43より前方の位置である。第1ポジションP1におけるアーム42は、前後方向Dと水平な姿勢とすることができる。
【0033】
第2ポジションP2は、回動中心軸43より後方の位置である。第2ポジションP2は、例えば、第1ポジションP1から、アーム42を水平方向に180度旋回させた位置である。すなわち、第2ポジションP2は、第1ポジションP1より後方に位置する。
【0034】
カウンタウェイト着脱手段40において、第2着脱シリンダ44が第1ポジションP1に位置する状態は、固定部の第1状態及び前方位置の一例に該当する。また、カウンタウェイト着脱手段40において、第2着脱シリンダ44が第2ポジションP1に位置する状態は、固定部の第2状態及び後方位置の一例に該当する。
【0035】
固定部の第1状態(前方位置)は、第2着脱シリンダ44が第1着脱シリンダ41よりも前方に位置する状態且つ固定部により後述のカウンタウェイト50を固定可能な状態と捉えてよい。また、固定部の第2状態(後方位置)は、第2着脱シリンダ44が第1着脱シリンダ41よりも後方に位置する状態且つ固定部により後述のカウンタウェイト50を固定可能な状態と捉えてよい。
【0036】
本実施形態の場合、固定部が前方位置及び後方位置のそれぞれに位置している状態おいて、固定部の被係合部がカウンタウェイトの係合部に対応する位置に配置される。この状態で、固定部の被係合部が係合部に接続されることにより、固定部とカウンタウェイトとが連結される。
【0037】
具体的には、第2着脱シリンダ44が第1ポジションP1に位置する状態(固定部の第1状態及び前方位置)において、カウンタウェイト着脱手段40の第1着脱シリンダ41及び第2着脱シリンダ44が、後述のカウンタウェイト50の第1後側取付部54及び第2前側取付部55と対応する位置に配置される。
【0038】
一方、第2着脱シリンダ44が第2ポジションP2に位置する状態(固定部の第2状態及び後方位置)において、カウンタウェイト着脱手段40の第1着脱シリンダ41及び第2着脱シリンダ44が、後述のカウンタウェイト50の第1前側取付部53及び第2後側取付部56と対応する位置に配置される。
【0039】
第2着脱シリンダ44が第1ポジションP1及び第2ポジションP2以外(換言すれば、前方位置及び後方位置以外)に位置する状態では、カウンタウェイト着脱手段40の第1着脱シリンダ41及び第2着脱シリンダ44は、カウンタウェイト50の取付部53~56と対応する位置に配置されない。つまり、第2着脱シリンダ44が第1ポジションP1及び第2ポジションP2以外(換言すれば、前方位置及び後方位置以外)に位置する状態では、カウンタウェイト着脱手段40とカウンタウェイト50とは連結不可能である。
【0040】
(カウンタウェイト)
カウンタウェイト50は、カウンタウェイト本体51と、取付部52と、を備える。
【0041】
取付部52は、係合部の一例に該当し、カウンタウェイト本体51の上面に設けられている。取付部52は、第1着脱シリンダ41の第1カウンタウェイト着脱部41aに取り付け可能な第1前側取付部53と、第1着脱シリンダ41の第1カウンタウェイト着脱部41aに取り付け可能な第1後側取付部54と、第2着脱シリンダ44の第2カウンタウェイト着脱部44aに取り付け可能な第2前側取付部55と、第2着脱シリンダ44の第2カウンタウェイト着脱部44aに取り付け可能な第2後側取付部56と、で構成される。このような取付部53~56はそれぞれ、係合部の一例に該当する。
【0042】
取付部53~56は、カウンタウェイト50の上面において、仮想矩形α(
図2参照)の頂点に対応する位置に配置されている。仮想矩形αの四辺はそれぞれ、カウンタウェイト50の上面の四辺に平行である。
【0043】
第1前側取付部53は、第1前側係合部の一例に該当し、カウンタウェイト50の上面において、仮想矩形αの第1頂点V1に対応する位置に設けられている。第1後側取付部54は、第1後側係合部の一例に該当し、
【0044】
カウンタウェイト50の上面において、仮想矩形αの第2頂点V2に対応する位置に設けられている。第2前側取付部55は、第2前側係合部の一例に該当し、カウンタウェイト50の上面において、仮想矩形αの第3頂点V3に対応する位置に設けられている。第2後側取付部56は、第2後側係合部の一例に該当し、カウンタウェイト50の上面において、仮想矩形αの第1頂点V4に対応する位置に設けられている。
【0045】
具体的には、第1前側取付部53は、前後方向Dにおいて、カウンタウェイト本体51の上面における前端寄り部分に設けられている。第1後側取付部54は、前後方向Dにおいて、カウンタウェイト本体51の上面における後端寄り部分に設けられている。第2前側取付部55は、前後方向Dにおいて、カウンタウェイト本体51の上面における前端寄り部分に設けられている。第2後側取付部56は、前後方向Dにおいて、カウンタウェイト本体51の上面における後端寄り部分に設けられている。
【0046】
また、第1後側取付部54は、第1前側取付部53よりも後方に設けられている。第2後側取付部56は、第2前側取付部55よりも後方に設けられている。第1前側取付部53と第1後側取付部54とは、左右方向において、同じまたは略同じ位置に設けられている。また、第2前側取付部55と第2後側取付部56とは、左右方向において、同じまたは略同じ位置に設けられている。
【0047】
第1前側取付部53と第2前側取付部55とは、前後方向Dにおいて、同じまたは略同じ位置に設けられている。第1後側取付部54と第2後側取付部56とは、前後方向Dにおいて、同じまたは略同じ位置に設けられている。
【0048】
図3に示すように、平面視において、第1後側取付部54と第2前側取付部55とは、カウンタウェイト50の重心Gを通る線L1上に配置される。なお、平面視とは、旋回体20を上方から平面的に見ることを意味する。
【0049】
図5に示すように、平面視において、第1前側取付部53と第2後側取付部56とは、カウンタウェイト50の重心Gを通る線L2上に配置される。
【0050】
図3及び
図5に示すように、第1着脱シリンダ41が取り付けられた、旋回体20のウェイト固定部201の一方の側面には、ワイヤロープ35のためのウィンチ24を駆動する駆動部品25が取り付けられる。駆動部品25は、例えばウィンチ24を駆動する駆動モータや、ウィンチ24の回転を検出する検出装置とすることができる。
【0051】
このように構成されたクレーン1の場合、第2着脱シリンダ44が第1ポジションP1に位置する状態(つまり、固定部の第1状態及び前方位置)で、第1着脱シリンダ41の第1カウンタウェイト着脱部41aがカウンタウェイト50の第1後側取付部54に取り付けられ、且つ、第2着脱シリンダ44の第2カウンタウェイト着脱部44aがカウンタウェイト50の第2前側取付部55に取り付けられる。この結果、カウンタウェイト50は、旋回体20のウェイト固定部201対して、比較的前側の位置(第1位置とも称する。)に取り付けられる(固定される)。
【0052】
一方、
図5及び
図6に示すように、クレーン1の場合、第2着脱シリンダ44が第2ポジションP2に位置する状態(つまり、固定部の第2状態及び後方位置)で、第1着脱シリンダ41の第1カウンタウェイト着脱部41aがカウンタウェイト50の第1前側取付部53に取り付けられ、且つ、第2着脱シリンダ44の第2カウンタウェイト着脱部44aがカウンタウェイト50の第2後側取付部56に取り付けられる。この結果、カウンタウェイト50は、旋回体20のウェイト固定部201に対して、第1ポジションP1で取り付けた位置(第1位置)よりも後側の位置(第2位置とも称する。)に取り付けられる(固定される)。本実施形態の場合、カウンタウェイト50は、カウンタウェイト着脱手段40により、カウンタウェイト着脱手段40の下方に吊り下げられた状態で固定される。
【0053】
(クレーンの作用)
以下、本実施形態に係るクレーン1の作用を説明する。
【0054】
本実施形態に係るクレーン1は、旋回体20のウェイト固定部201の一方の側面に取り付けられた、カウンタウェイト50を着脱可能な第1着脱シリンダ41と、旋回体20のウェイト固定部201の他方の側面に、水平方向に旋回可能に取り付けられたアーム42と、アーム42に取り付けられた、カウンタウェイト50を着脱可能な第2着脱シリンダ44と、を備え、第2着脱シリンダ44は、アーム42の旋回により、第1ポジションP1と、第1ポジションP1より後方の第2ポジションP2との間を移動可能に構成されている。
【0055】
これにより、第1着脱シリンダ41と、第1ポジションP1にある第2着脱シリンダ44とで、カウンタウェイト50を前方に配置した状態で支持することができる。また、第1着脱シリンダ41と、第2ポジションP2にある第2着脱シリンダ44とで、カウンタウェイト50を後方に配置した状態で支持することができる。そのため、簡易な構成で、カウンタウェイト50の固定位置を前後に変更することができる。
【0056】
また、旋回体20のウェイト固定部201の一方の側面には、水平方向に旋回するアーム42が取り付けられていないので、旋回体20のウェイト固定部201の一方の側面に、駆動部品25等の部品を取り付けることができる。そのため、旋回体20の一方の側面の設計の自由度を高めることができる。
【0057】
本実施形態に係るクレーン1の場合、カウンタウェイト50の後側に設けられた、第1着脱シリンダ41に取付可能な第1後側取付部54と、カウンタウェイト50の前側に設けられた、第2着脱シリンダ44に取付可能な第2前側取付部55とが、平面視において、カウンタウェイト50の重心Gを通る線L1上に配置されている。
【0058】
換言すれば、平面視において、仮想平面α(
図2参照)の頂点のうち、第1後側取付部54及び第2前側取付部55に対応するの第2頂点V2及び第3頂点V3を結んだ仮想平面αの対角線上に、カウンタウェイト50の重心が位置する。なお、線L1は、第2頂点V2と第3頂点V3とを結んだ対角線に一致する。
【0059】
また、カウンタウェイト50の前側に設けられた、第1着脱シリンダ41に取付可能な第1前側取付部53と、カウンタウェイト50の後側に設けられた、第2着脱シリンダ44に取付可能な第2後側取付部56とが、平面視において、重心Gを通る線L2上に配置されている。
【0060】
換言すれば、平面視において、仮想平面α(
図2参照)の頂点のうち、第1前側取付部53及び第2後側取付部56に対応するの第1頂点V1及び第4頂点V4を結んだ仮想平面αの対角線上に、カウンタウェイト50の重心が位置する。なお、線L2は、第1頂点V1と第4頂点V4とを結んだ対角線に一致する。
【0061】
これにより、第1着脱シリンダ41と、第1ポジションP1にある第2着脱シリンダ44とが、カウンタウェイト50の重心Gを通る線L1上に配置される。また、第1着脱シリンダ41と、第2ポジションP2にある第2着脱シリンダ44がカウンタウェイト50の重心Gを通る線L2上に配置される。すなわち、カウンタウェイト50の取付位置が前側であっても後側であっても、カウンタウェイト50の取付位置を、カウンタウェイト50の重心Gを通る線L1,L2上に配置することができる。そのため、カウンタウェイト着脱手段40は、カウンタウェイト50の取付位置が前側であっても後側であっても、カウンタウェイト50を安定して支持することができる。
【0062】
本実施形態のクレーン1において、第1着脱シリンダ41と、アーム42の回動中心軸43とは、クレーン1の前後方向Dにおいて、同じまたは略同じ位置に配置されている。
【0063】
これにより、カウンタウェイト50の取付位置が前側であっても後側であっても、カウンタウェイト50の取付位置が、カウンタウェイト50の重心Gを通る線L1,L2上に位置する。そのため、カウンタウェイト着脱手段40は、カウンタウェイト50の取付位置が前側であっても後側であっても、カウンタウェイト50を安定して支持することができる。
【0064】
ところで、アーム42が設けられている旋回体20の側面に駆動部品25を取り付ける場合、アーム42の旋回軌跡を避けた位置に、駆動部品25を取り付ける必要がある。そのため、旋回体20をクレーン1の前後方向Dに長くする必要がある。
【0065】
本実施形態に係るクレーン1では、第1着脱シリンダ41が取り付けられた、旋回体20の一方の側面に、ワイヤロープ35のためのウィンチ24を駆動する駆動部品25が取り付けられている。
【0066】
これにより、アーム42の旋回軌跡を避けることなく、駆動部品25を配置することができる。その結果、クレーン1を小型化することができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明してきた。しかし、具体的な構成については、本実施形態の構成に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や、追加等は許容される。
【0068】
本実施形態では、アーム42は、クレーン1の進行方向において、旋回体20の左側面に設けられる例を示した。しかし、アームは、旋回体の右側面に設けられてもよい。また、第2着脱シリンダを第1ポジションと第2ポジションとの間で移動させる機構(移動機構)は、上述のアーム42の構造に限定されない。
【0069】
本実施形態では、第2着脱シリンダ44が、アーム42の水平方向の先端に設けられる例を示した。しかし、第2着脱シリンダ44は、アームの先端以外の場所に取り付けられてもよい。
【0070】
本実施形態では、カウンタウェイト50の取付部52は、カウンタウェイト本体51の上面に設けられる例を示した。しかし、カウンタウェイトの取付部の位置は、この態様に限定されず、例えば、カウンタウェイト本体の下面や側面に設けられてもよい。
【0071】
本実施形態では、カウンタウェイト50の取付部52を4つ設ける例を示した。しかし、カウンタウェイトの取付部を、6つ以上設けてもよい。
【0072】
また、本実施形態では、カウンタウェイト50は、カウンタウェイト着脱手段40により、カウンタウェイト着脱手段40の下方に吊り下げられるように連結される。ただし、カウンタウェイト50は、カウンタウェイト着脱手段40の上方に固定される構成であってもよい。
【0073】
また、本実施形態では、第2着脱シリンダ44は、アーム42が旋回することにより、第1ポジションP1と第2ポジションP2との間を移動する。ただし、第2着脱シリンダ44を移動させるための機構は、本実施形態におけるアーム42の構成に限定されない。例えば、第2着脱シリンダ44を移動させるための機構は、アーム42のような部材が、旋回体20のウェイト固定部201に前後方向にスライド可能に設けられた構成であってもよい。
【0074】
2020年2月18日出願の特願2020-25070の日本出願に含まれる明細書、図面、及び要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、例えば、カウンタウェイトを搭載可能な種々のクレーンに好適に適用できる。
【符号の説明】
【0076】
1 クレーン
10 走行体
11 アウトリガ
20 旋回体
201 ウェイト固定部
21 キャビン
22 起伏シリンダ
23 根元支点
24 ウィンチ
25 駆動部品
30 ブーム
31 基端ブーム
32 中間ブーム
33 先端ブーム
33a ブームヘッド
34 シーブ
35 ワイヤロープ
36 フック
40 カウンタウェイト着脱手段
41 第1着脱シリンダ
41a 第1カウンタウェイト着脱部
42 アーム
43 回動中心軸
44 第2着脱シリンダ
44a 第2カウンタウェイト着脱部
50 カウンタウェイト
51 カウンタウェイト本体
52 取付部
53 第1前側取付部
54 第1後側取付部
55 第2前側取付部
56 第2後側取付部
G 重心
P1 第1ポジション
P2 第2ポジション